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1958-03-25 第28回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十五日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            三木與吉郎君    委員            植竹 春彦君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   政府委員    運輸政務次官  木村 俊夫君    運輸大臣官房長 朝田 静夫君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省航空局長 林   坦君   説明員    海上保安庁警備    救難部長    松野 清秀君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豐君    日本国有鉄道考    安本部長    橋本錬太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (南海丸遭難事故に関する件)  (私鉄輸送事情に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。まず、南海丸遭難事故に関し、その後の状況、特に死亡者数遺体収容数、及び船体現況等について政府側報告を求めます。
  3. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) ただいま委員長のお話によりまして、まず南海丸乗船者の数の問題についてこれから御報告をいたします。  一月三十一日、海運局中野定期船課長現地調査に参りました当時の乗船者数は百六十七名になっておったのでございまするが、その後対策本部におきまして、遺族に対しましてアンケート調査その他の手段を尽しまして判明をいたしましたのが、百六十六名ということに二月二十四日当時はなっておったのでございます。その中の性別を申し上げますと、男が百三十八、女が二十八ということになっておったのでございまして、百六十七名当時から一名減っておりますのは、先ほど申し上げましたように、身元調査あるいは遺族に対しましてアンケート調査といったようなものを実施いたしました結果、あるいはまた山田正という方と酒井岩男という人が同一人物であるということが小松島警察本部調査の結果判明いたしましたので、一名削除したのであります。従いまして、二月二十四日当時は百六十六名ということになっておったのでございまするが、三月二十日におきまして女子遺体を特別二等室から収容いたしまして、身元不詳でございまするが、女の遺体が一名追加されまして、女子が二十八ということになっておりますすのが二十九となりましたので、三月二十二日当時におきましては百六十七というふうに小松島警察本部小松島海上保安部とが協議をいたしまして、数字を訂正をいたしたという報告を受けておるのでございます。そこで現在までに引き揚げられました遺体は百五十七体であります。従いまして、百六十七という乗船者数から考えますと、十体まだ引き揚げられておらないという状況でございます。  船体引き揚げ状況につきましては、二月六日、日本サルベージ会社が実施することに契約されましたが、実際の作業は、遺族の強い希望もございまして、岡田サルベージが全面的に協力をしてこの作業を開始いたしまして、三月九日に船体の仮浮揚を行いました。三月十日に小松島港の南防波堤灯台百二十五度、六百五十メートル、水深マイナス六メーターという地点に持って参りまして、三月十七日に船体の巻き起しを開始いたしまして、三月二十一日に船体が完全に浮き上った。そこで船内の泥を排除いたしましたり、清掃をいたしましたり、遺体の捜索の作業を行なったのでございます。三月二十一日に完全浮揚をいたしまして、今申し上げましたような船内排泥清掃作業を行いましたあとで、その後及び二十二日において県の警察本部及び小松島海上保安部におきまして船内を検証いたしております。三月二十三日の三時前に南海丸を曳航を開始いたしまして、二十四日の午後一時に日立造船の向島まで曳航いたしまして、ちょうど午後一時に向島到着、昨日の午後一時に向島到着をいたしました。  以上が今までの現状の御報告でございます。
  4. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上につきまして、御質疑のおありの方は順次発言を願います。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 この遺体の、あと十体が明らかになっておらぬという中に、特に乗組員も三人ほど見えないようですね。これはこの収容場所別、こういうようなもの、ずっとはっきりしたものを見るというと、当時の乗組員の中の職業はどういう人だったんですか。あとわからない職業は、乗組員の。乗組員のうちまだ収容されてない人があるでしょう、その収容されてない人の職名はわからぬかね、当局は。遺体収容したなら、どの職場にいる人が収容されたということがわかるはずだ。それくらいのことわからぬのか。
  6. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 海運局長、わかりますか。
  7. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 調べておりませんのですが、調べればすぐわかると思います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 努力されておることはよくわかるが、そういう点についてもやはり乗組員のうちのだれとだれがあとわからぬ、こういうようなことは調べて、そうしてやはり報告をすべきかと思う。そのくらいの親切があっていいと思う。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと関連して。この前第五北川丸のときだと思うのですが、やはり同じように人員が非常にあいまいだったわけです。私は特にあのとき発言しまして、一体どういうふうになっておるのか、船員名簿の保管の問題はどうなっておるのか、これは非常に人命に関する問題だから、これについて厳重に現数を把握するという努力をやはりやるべきじゃないか、そういうふうな質問をして、それに対して当局答弁があったわけです。従って、これはわずかに一名だといえばそれまでのことですが、今度の問題でも、こういうやはり混迷を起しているのです。これはどこに原因があるのか。この前あなたたちがここで、当委員会で約束したことも、事人命に関することだから、あくまでこれは身元を明らかにする、乗船名簿というものは厳重を期す、こういう御答弁だったと思う。そういうことはどう徹底しているのか。今度の問題ではしなくも同じような問題が起っておる。繰り返しになっている。ここにやはり問題の考え方、それから人命に対する尊重の度合いというものが、言葉では言っていても、実際の施策の面でやはり具体化されていないという欠陥が出ているのじゃないか、この点について一体どういうふうにお考えになりますか。相澤君の質問に関連してちょっとお聞きしたい。
  10. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 今回の南海丸で一名数が上下いたしまして、これはまことに遺憾でございますが、警察の調べによりますと、この中に保険詐欺として起訴されていたものもあります。そういう身分をみずから不明確にした人物がおりましたために、あるいはこういう結果になったのではないかと思っております。第五北川丸以来その点については十分注意をしております。  なお、相澤先生のおっしゃいました乗組員職業の問題につきましは、その職業種別等もわかっておりますので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 それから、この前の第五北川丸に関連して、通牒とか対策を立てられたと思うのですが、そういう問題について、これは具体的にどうなさったか、ちょっとお伺いしておきたい。第五北川丸以後に処置をどうされたか。
  12. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 第五北川丸事件の後におきまして、各定期船会社に対して通牒を出しておるわけでございますが、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、後刻また御報告をいたしたいと思います。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 この多くの犠牲者に対して、前にも報告があって、いろい遺族の方々と会社側との補償あるいは見舞等についても御相談をなされておると思うのですが、その後おくれて発見された方等についてもそういう措置は十分とられておると思うのですが、その点は何かその後の状況がもしありましたら報告をしていただきたい、こう思うのです。
  14. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 最近に至りまして遺族会が結成されまして、会社の方とそういう点につきまして折衝を開始いたしております。  なお、さかのぼりますが、三月十五日から会社といたしましては、補償金の内払いといたしまして、弔慰金を各遺族のところにお届けするということを決定いたしまして、おとなにつきましては二十五万円、十二才以下の人につきましては十三万円、四才以下につきましては七万円という金額を決定いたしまして、おのおの自宅の方へ御都合を聞いて会社から持参いたしております。
  15. 高良とみ

    高良とみ君 未収容が十体あったのですが、どういうことになったというふうに考えておられるのですか。遺族は依然として待っておられると思うのでありますが、それは流失したのですか。魚にでも、フカにでも食べられてしまったのか、どういうことになったというふうに考えられておりますか。
  16. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 先ほど官房長から説明がありましたように、船内はもう清掃作業をやりましたので、船内にないことはもうもちろんでございます。従いまして、あとの十体はおそらく現場付近にあると思います。しかし今までに上ったところから見ますると、大体現場から二海里くらいの範囲以内でございます。遠くへは行っていないと思います。ですから、大体まあ沈んだ地点の近くだと思いますが、これに対しましては、現地からの報告によりますと、今日、明日は漁船が三十隻ぐらい出まして捜査することになっておりますが、明後日は十隻でありまして、その結果によりまして、その後どうするかということをあらためて検討いたしたい、こういうことになっております。
  17. 高良とみ

    高良とみ君 当委員会から見舞及び調査に行きましたときも、遺族遺体は最後まで捜査してもらいたいという要望もあったことはお伝えしてある通りでありますし、両議院議長あてにも請願が出ているわけですが、一つ十体といえども、やはり人命に関することでありますから、徹底的に捜査を、サルベージなり、何なりでやっていただきたい。やっておられるのが二日だそうでありますが、中途で放棄しないようにしていただきたいということを希望いたします。  それから、これは海運局長に伺えばいいことだと思うのでありますが、すべて短かい距離の船旅行でありましても、青函連絡ども必ず乗船名簿住所等を書かせるのでありますが、ここの連絡船においてはそれを十分にやったのか。何かあの当時の調査でありますと、船の出る前にかけ込んだ人がある。乗船名簿なんか書かなかった。そうするとまるでその辺に、ほんのげたばきで、ちょっと大阪まで乗って行こうというような気風があの航路にあるのではないかというふうに思われるわけです。それともう一つは、船会社が何か招待か何かで無切符でもって同名か乗船させているのですが、そういう人たち乗船名簿をやはり厳重にやることになっておりますか、やったのでありますか、その点を伺いたい。
  18. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 乗船名簿は作っているのであります。大体厳重に乗船名簿を作らせるように指示いたしております。業者におきましても、そういうことになっておりますが、完全に乗った者全部がその名簿に記載されているかどうかという点については、まだ明らかにいたしておりません。お話しのように、かけ込んで、あるいは切符なしで乗ったという者がその名簿の中に記載されたかどうかという点については、やはり明らかでありません。
  19. 高良とみ

    高良とみ君 その点一つ、あそこの岸壁状態やら、などを考えましても、非常に船も小さいので、簡単に切符も買えるし、また名簿に書くところはどこにあるかわからないというふうな状態のようでありましたが、どうぞ今後もまたどういう災難があるとも限りませんので、必ず切符とともに名簿は書かせる、あるいは切符はなくても名簿は必ず書いて、どこのだれだれ両名であるということを、船長が責任をもってそれを取得して後に出港するということにしていただきたいと思う。それから出帆前にかけ込んだり、まあ非常にそこら辺がルーズなように思うのでありますが、どんなものでしょうか。飛行場なんかの状態から言いましても、鉄柵があって、その中に入るまでには十分持ち物や名前なども検査してから乗せるのでありますが、あそこの岸壁状態ですと、げた一つでまたげばいいという形でありますが、もう一つ鉄柵をするなり、出入りを厳重にするなり、まああすこに限らないのです。近海航路といえども、そういうふうにしていただいた方が、あとで悔いがないだろうと思って希望いたしておきます。
  20. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、本件は、また事があった場合は、事人命に関することでありますから、当委員会の方から請求がなくとも、当局側の方から進んで説明されるように希望いたしまして次に進みます。     —————————————
  21. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、私鉄輸送事情、特に今般の春闘スト等に関して権田鉄道監督局長から説明を求めます。
  22. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) では、御指名に基きまして今回の私鉄争議経過についてその概要を御報告申し上げます。私鉄総連傘下の各組合は昨年の十二月二十日に、今年一月以降の賃金並びに八月以降の退職金についてそれぞれ各社あて要求を行いましたが、私鉄総連もこれと同時に大手十三社の賃金並びに会社退職金について私鉄経協に対し要求を行なったのでございます。その要求内容は、賃金につきましては年令別最低保障賃金の確立、一率五百円の引き上げ及び配分を含めまして一月以降一人平均二千五百円の引き上げ中小私鉄につきましては一〇%以上の引き上げということでございます。退職金についてはその支給率を現行より上げまするところの支給規程の改訂でございます。これに基きまして総連経協との交渉が数次にわたって行われましたが、ついに本年の一月二十日に交渉が決裂いたしまして、総連は同二十二日大手十三社の賃金並びに全私鉄退職金につきまして中央労働委員会調停申請を行なったのでございます。中労委では一月二十九日以降調停を続けたのでございますが、労使委員の主張が全く対立といいますか、開きがございまして、ついに不調に終りまして、三月三日に中労委中山委員長から調停を打ち切るとともに、自主交渉の勧告がなされたのでございます。なお、総連共同闘争を行なっております小田急労組から二月十日賃金退職金について調停申請が行われ、総連のこの調停に併託されましたが、今申し上げたと同様の措置がなされたのであります。この調停の不調後三月七日以来三回にわたりまして経協総連交渉が行われましたが、意見の一致を見ませんまま総連が十一日から既定方針通りのいわゆる実力行使に入ったのでございまして、十八日の夜についに交渉は決裂をいたしました。事態を注視しておられました中労委におかれまして同夜職権あっせんに入ることを決定されまして、十九日夕刻中山会長それから中島公益委員松崎事務局長がこのあっせん委員となりましてあっせんに入り、二十一日の未明になりまして四月以降一千円というあっせん案労使双方に提示されたのでございます。組合側はこれを拒否いたしまして、経営者側は受諾いたしました。組合実力行使計画は、総連では三月一日の中央委員会で第一波、第二波、第三波、第四波というように波状ストを決定しておるのでございます。  スト状況でございますが、今申し上げました中労委あっせん案に基きまして大手十社は中央統一交渉をいたし、名鉄東急、京浜はいわゆる対角線交渉と申しまして別個にそれぞれ交渉し、中小私鉄各社別交渉を行いました。この結果、二十三日のスト予定をいたしておりました組合が三十七組合でございましたが、四組合ストを回避いたしまして、三十三組合スト突入をいたしました。スト突入後も交渉が続けられました結果、東急名鉄富山地方鉄道というような、その他合せて七組合妥結、もしくは妥結しないけれどもストを中止いたしまして、結局二十六組合が終日ストを決行した次第でございます。  この争議によります輸送上の影響でございますが、おおむね定期客四百八十万人、定期外客二百七十万人、バスの客が二百十万人、合計九百六十万人の輸送ストップをいたしまして、貨物は三万二千トンが輸送ができなかったと計算される次第でございます。運輸収入にこれをいたしますると、約一億六千六百万円の影響があったと推算される次第でございます。  以上が大体今回の私鉄争議経過並びにその輸送状況でございます。
  23. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上につきまして、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  24. 柴谷要

    柴谷要君 私鉄争議の問題に関連をして、監督局長名経営者並び労働者に、何というのか警告を発したようなことが新聞に出ておったが、この内容についてお聞かせを願いたい。
  25. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 私鉄争議についての要望といたしまして、実は三月二十日、これは労働省の労政局長から私鉄経営者協会長私鉄総連委員長に単名各通でやはり要望書が出ております。これは「私鉄における賃金等をめぐる争議につきましては、政府としては、労使各位中労委調停に基いて誠意をつくして早期解決されることを期待してきましたが、未だ解決を見ていないことを残念に存じます。  さて予定されている来たる二十三日及び二十七日のストライキについて、この日が丁度各学校入学試験期日に当り、関係該当者は約十万名といわれておりますので、労使各位におかれては受験に支障のないよう充分御配慮されることを特に御要望申し上げます。」  続きまして、実は運輸省といたしましてもいろいろ重大な関心を有しておりまするので、この成り行きについていろいろ注目をいたしておったのでありますが、三月二十二日に私から次のような要望をいたしております。あて先きは私鉄経営者協会会長と、それから日本私鉄労働組合連合会中央執行委員長に対してでありますが、こういう要望をいたしました。「私鉄における賃金争議に対しましては昨日中労委からあっ旋案が提示され、これに基き労使交渉が行われると承知しておりますが、予定されている明二十三日及び二十七日のストライキについて、私鉄事業公共性から一般国民生活に及ぼす影響も大きくまた、当日があたかも各学校入学試験日にも当り種々支障が生ずることも予想されます。運輸省としましては、争議に対し何等介入意図はないのでありますが、当事者事業公共性を自覚され、早期かつ円満な解決について御努力あらんことを強く要望いたすものであります。」  以上のような要望をいたした次第でございます。
  26. 柴谷要

    柴谷要君 運輸当局要望等も、不幸にして労使間の対立が激化のままで要望がいれられなかった。そこで二十三日のストライキが行われてしまった。ところが二十三日のストライキは、幸いに日曜であったので、まあ入学試験に多少影響があったようでありますが、日曜日であったために、私鉄ストライキをやるということが予告されておったので、かなりまあ支障はあったと思うけれども、出歩きをやめたというような程度で、まあ二十三日は終ってしまったのだが、現状のままでいくならば、二十七日はこれは通常日だ。これがストライキが行われる場合は、非常に通勤、その他に重大なる影響があるわけですが、この二十七日までの見通しについて、運輸当局はどのように見ておられるか。そこを一つお聞かせ願いたいと思います。
  27. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 先ほど申し上げましたように、この第四波として、三月二十七日、木曜にやはり二十四時間ストが予定されております。実は私どもも、今も申し上げましたように、何ら争議に対する介入意図はもとより持っておらぬのでありまして、ただ事業公共性に基いて、この早期かつ円満な解決について労使双方で御努力あらんことをさらに強く要望している次第でありまするが、ただいまのところでは、その後、本日でありますか、今夜私鉄総連経協とで交渉に入るように私ども承知いたしておりまするので、そういういろいろな労使双方がせっかく努力をされておりまするので、この成り行きを十分見守って参りたいと考えている次第でございます。
  28. 柴谷要

    柴谷要君 私は、まあ自分の見通しを申し上げようとは思いませんが、とにかく私鉄総連が今日まで経営者団体団体交渉を数回にわたって行なってきた。ところが、その間経営者側の回答はいつもゼロ回答であった。ところが、緊急あっせんの結果出たものが千円ということになった。ところが、この千円は不満ということで拒否をいたしましたが、いわゆる中央交渉をはずれた名鉄なり、あるいは東急というものは、調停案を上回った金額でもって妥結をした、こういうことになっている、現実は。そうなってくると、少くともこの調停、このあっせんで出されました千円というものは、これはもう私鉄総連拒否をしているのですから、これ以上のものが出てこない限りは、これは両者円満に解決というわけにいかぬと思う。そこで、春闘相場と言われている今度の金額東急によって打ち出されたわけで、東急は千四百十円で妥結をしているのです。こうなると、少くとも東急を上回ったもので妥結をするということにはならぬと思うけれども、少くともこれに接近した数字が出てこないと、ストライキは避けられないのじゃないかというような私ども考え方を持っているのだが、運輸当局はこの見方に対してどう考えているか。見解をお持ちでしたら御披瀝をいただきたい。
  29. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 先ほど経過で御説明いたしましたように、中労委の方から調停案も出て、組合側はこれを拒否いたしましたが、経営者側はこれを受諾し、なお重ねて今晩からも私鉄総連経協とで話し合いに入られるようでありますので、その情勢の成り行きを注視いたしたいと存じますが、各個々の会社妥結内容はそれぞれ承知をいたしておりまするが、これについての見解を申し述ぶべき今段階でもございませんし、また何ら争議介入意図を持っておりませんので、さよう御了承を願いたいと存じます。
  30. 柴谷要

    柴谷要君 運輸省はきぜんたる態度で、労使双方の問題に介入はしないという線が明らかになっているのでけっこうだと思う。しかし争議の問題は、一にかかって労働者側が今日とっている態度、もうすでにその結論に近いものが出ていると思う。で、これを中央交渉なるがゆえに依然として千円を固執しておったのでは、二十七日の争議は私は避けられないと思う。そこで私どもが考えているのは、やはり経営者がこの際誠意を示して、そうして解決をはかるという方向でないと、もうもはやその私鉄総連——いわゆる労働組合の方は態度を明らかにした。それで、上は東急が示した金額というものがあるのだから、この線が明らかになってきた以上は、もう妥結は目の前にきていると思う。これはもうかかって経営者側の譲歩にあると思うのです。ところが、まあ経営者考え方が依然として千円を固執するということになると、二十七日の争議は避けられないと、こう思う。こういう場合に運輸省としては、介入はしないけれども二十七日の争議を回避させると、こういう立場にあるならば、何らかの警告経営者側、あるいは労働者側に出すという第二段のかまえを持っておられるかどうか、これを重ねてお尋ねをしておきたい。
  31. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点は先ほど申し上げましたように、この当事者事業公共性を自覚されまして、早急に、またかつ円満な解決についてなお一そうの御努力あらんことを強く要望いたすものでございます。
  32. 柴谷要

    柴谷要君 まあ、もう一点だけお伺いしておきますが、どうも私鉄は、かつて戦後労働組合が発足し、経営者との間に団体交渉をやってきておる。ところが、大体気勢は示しますけれどもストライキを打ったというのは、ほんとうに数が少いはずなんです。ところが今回は、少くとも二十三日から始めて、第一波、二波、三波、四波と、計画されて、これはもう整然とやろうという気がまえになっておるのです。これはどこに私は原因しているかと思うと、かつて大手十三社が運賃値上げを交渉してきたわけだ。運輸省に申請したわけだが、この運賃値上げを運輸省が押えたために、ある程度経営者が少し片意地になって、一つこの際だからやらしてみようという気持があるかなしや。これらの点について監督局長、今のような意思が経営者側にあるようだとお考えになっておられるかどうか、この点を一つ聞かしてもらいたいと思うのです。
  33. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 先ほど申し上げましたこの中央労働委員会あっせん案としての中山会長の案にも、この最後の三というところに、「私鉄事業公共性にかんがみ、将来の安定的な賃金制度の確立のために研究機関の設立を考慮すること。」と、こういうことについて努力されたいということを出されておりまするが、この点については私どもとしても全く同感でございます。で、今御指摘の点については、これは当事者の問題でございまするので、当方としては了知をしておらぬ点でございます。
  34. 柴谷要

    柴谷要君 局長はあまりうまい逃げ方をしておるけれども、そんなことは明らかだよ。私鉄経営者が、この際少しは国民の迷惑になっても、おれらの言うことを政府がちっとも聞かないから、これは絶好の機会だからストライキをやらしてやろうという気持は経営者にあると思う。そのくらいのことを監督局長が知っていないで、うまい監督行政ができるように思っているのかい。率直に言いなさいよ。何も国会だから、何も院外において責任を負わせようとは思わないから、はっきり言ったらいいじゃないか。
  35. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それは当事者の問題でございまして、監督の問題でございませんので、何ら了知しておらぬ点でございます。
  36. 柴谷要

    柴谷要君 まあ、私鉄がとまっていいということは、国民全般、また国会においても特にこれは避けなきゃならぬと思う。しかし、もうこれは法律に定められたように、当然の権利でやられることだから、とやかく私どもは言う気持はありませんけれども、少くとも二十七日はこれをとめるというようなことになるというと、いろいろ各方面の産業にも重大な影響を来たしますから、運輸省としても十分に考慮して、あまり頑迷な経営者であるとするならば、重大な警告を発して、すみやかに——春闘相場というのは東急がもう示されておるし、名鉄が示されておるのです。これはもう相場が出ておる。その相場まで引き上げれば、二十七日のストライキというものは回避できるのですから、運輸省もしかるべく——まあ政務次官も御出席のようですから、一つ政務次官も御努力願って、二十七日のストライキ回避の方向に努力されるように要望して、私の質問を終ります。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 私はまあやはり局長に、運輸省の立場にどういう見解を持っているか、お尋ねしておきたいと思うんだが、先ほどもあなたのお話しになったように、労働省の労政局長名ですか、いわゆる労使に対する要望書なるものが出された。ともすれば、最近の労働行政というものが、どうも、自主交渉なりあるいは自主的な判断というものを政府権力によって誤まらせる方向というものが出されるのではないか、そういう印象を、警告という字句は使っておらなくても、あるいは要望という字句であっても、どうもそういうような感じが強い。せっかく団体交渉でまとまりかかるものが、そういう政府の、特に労働省の措置によってくずれてしまう、こういうような感じを私どもは受けるのでありますが、運輸省は、所管のいわゆる運輸交通行政を担当しておる立場として、労働省にはそういう事態のときにはそんなふうに相談をされておるのか、それとも、これはもう労働省が独断的に運輸省には相談なくそういうことをやるのか、この点について、運輸省の立場を、一つこれは監督局長と次官からお答えをいただきたい。
  38. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 私鉄における賃金等をめぐる争議につきましては、私どもといたしましては、労使各位中労委調停に基いて誠意を尽して早急にかつ円満に解決されることを期待しておるのでございまして、その点につきましては、政府部内といたしましても、運輸省は監督の立場から、労働省は労働行政の立場から、重大な関心を持って注目をしておるのでございまして、その間に、両省におきましては、事態のいろいろな情勢につきまして、常時、密に、情報交換と申しまするか、いろいろ知り得た事実を相互に連絡し合って、いろいろ注目をしておる次第でございます。従いまして、先ほど申し上げました要望につきましても、これはあくまでも要望でございまして、何ら争議に対して介入するという性質のものでもございませんし、また、警告でもございません。今、私の申し上げた気持を、要望としてお伝えしたのでありまして、従いまして、三月二十日の労政局長要望についても、また、三月二十二日の私の要望についても、相互に緊密に連絡はし合っておるのでございます。なお、今後とも、十分事態を正確に把握いたしまして遺憾なきを期したいと存じておる次第でございます。
  39. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) ただいま局長からお答えいたしました通り、労働省は労働問題を主として、運輸省の方は輸送力の確保の面を主としておりますが、いずれにいたしましても、両者緊急な連絡をとりまして今後に対処したいと思います。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、今の次官や局長のお答えをすなおに聞いておりますと、いわゆる運輸交通、特に輸送力の問題について、運輸省としては、所管事項について、やはりこういう問題については重大であるから、閣内においても十分連絡もする、あるいは、労働省との間でも連絡をする、労働省も、労働行政の立場でそういうように運輸省に連絡をする、こういうふうに私伺ったと思うんです。そういたしますというと、先ほどの労政局長のいわゆる要望書を出すときには、運輸省労政局長要望書を出すことを承知をしておった、こういうふうに私は理解をするわけです。そしてまた、二日おいて、今度は運輸省要望書を出す。従来、石田労働行政というのは、警告を乱発をして単に警告倒れになっておる、こういうのが、今まで国民が受けておる印象なんです。何でも労働問題については警告を出せばいい、あるいは、要望を出せばいい、こういう形だけの問題であっては、決して、労使の円満な解決策とか、あるいは労使の自主的な交渉というものを伸ばすことにはならん。そういうふうに従来の石田労働行政というものを考えた場合に、今回の措置については、二十日は一つ労働省は労政局長名で出そう、二十二日は運輸省監督局長名で出そう、今度は二十五日は運輸大臣名で出そう、それから二十七日には労働大臣名で出そう、こういうことになるのかどうか、その点を一つ率直な意見を私は聞かしてもらいたい。
  41. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今回こういう要望をいたしまたのは、事態が非常に重大でもございまするので、特に私鉄事業公共性から一般国民生活に及ぼす影響も大きく、また、たまたま当日があたかも各学校入学試験日にも当りましたので、種々支障を生ずることが予想されましたので、こういう点についてもなるたけ受験に支障のないよう十分配慮されたいという点もございまして要望いたしたのでありまして、たまたま労政局長の方においては三月二十日にいたしました。私どもは、なお事態を見守っておりましたが、二十二日に至りましてもなお事態が刻々迫って参りましたので、この意味において重ねて要望を申し上げたのでありまして、やはりそのときの状況判断に基いて私どもとしていたしたのでございまして、あらかじめ計画的にいつになったらどこ、そういう持ち番をきめてやりますいわゆる闘争に対する介入ではございませんので、そういう事態についてその場限りでいたしたことでございまして、計画的に今後どういう段取りでするかということを別に考えておるわけではございません。そのときの状況によりまして適切な判断をいたしたいと考えております。また、在来からも、これはよく御承知の通りに、事態の判断に基いてこういう要望をいたした事例もございます。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 今の答弁は、すなおに私も聞いて了承をしていいと思うんです。けれども、従来からの石田労働行政というものを見ると、彼のあだ名を一名警告大臣と言っておる。労働者に対してはもうとにかく警告を発すればいいと、こういうような労働運動に対する不当な干渉や介入や、あるいは権力をかさに着たところのいわゆる労使の自主的な交渉というものを押えつけようとするような印象というものを国民一般は受けておる。だからこそ、石田労働行政については、あれは警告大臣だというニックネームが国民の間に伝わっておる、みんなに。また今度そろそろ石田が警告を出すだうろ。そろそろ彼が何か声明を出すだろう。つまり、石田が何かやるだろうということをいつでも聞いておる。こういうようなことでは、日本の労使の円満な交渉というものを妥結をさしたりあるいは労使の慣行を樹立することにはならん。そこで私は先ほどお尋ねをしたのは、運輸省は少くとも輸送力の確保のために公共機関としての私鉄というものはどうあるべきか、その監督をつかさどっておる所であるから、運輸省のその立場において、私は、最も早い機会に善処をしなきゃならん、こういうふうに実は思っておったわけです。しかし、そのあなたの御答弁でまあ一応そういう筋が見られたのでありますが、先ほどお尋ねをした中のお答えの中では、どうも二十日には労政局長、二十二日には監督局長、それは別に相談をして出したのじゃない、こういうんだが、この次にはまた二十五日には一つ運輸大臣が出そう、二十七日には一つ労働大臣が出そうというようなくさみがあっていかん。そういうことがないのかどうか。  それからいま一つは、先ほど、今晩私鉄総連経営者協議会いわゆる経協交渉を持つと、こういうことをお聞きをいたしましたが、私は、やはり自主的な交渉の中に円満な解決ができるように、今晩、もしまあ長引いてあるいは明日にわたるというようなときでも、運輸省は単に警告を出すとか要望書を出すのでなくて、実際に交渉というものが円満に妥結するように、むしろこれは労働組合の建設的な意見というものから考えれば、経営者側に強く訴えていいのじゃないか。労使の自主性ということであるけれども、そういう問題をむしろ考えるべきじゃないか、こういうふうに思うんだが、一体そういう点についてどのように考えておるか。  以上の点について、二つの点についてお答えをいただきたい。
  43. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 先ほど申し上げましたように、三月二十二日に、私は、明二十三日及び二十七日のストライキについてなかなか重大な影響があるから、どうぞ事業公共性を自覚されて御努力願いたい、こういうことを申しておりまするので、ただいまのところ重ねて書面を用いる必要はないと存じておりますが、これもまた事態の成り行きが今後どうなりまするか、特に今晩労使双方誠意をもって交渉に当られると思いまするので、その模様等もあらためて伺いました上でいろいろ事態を判断して参りたいと存じております。で、私どもといたしましては、でき得る限り、それはなかなか両方に言い分もございましょうけれども、従来の行きがかりからいたしますると、双方とも不満は残ると存じまするけれども、ともに公益事業当事者たる立場に顧みられまして、すみやかに早期かつ円満な解決について一つ努力あらんことを強く要望いたすもの以外の何ものでもないのでございます。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 私はほかの委員の方の御質問もありますから、これで終りますが、最後に一つ、これは運輸当局に私から意見を述べておきたいと思うのですが、それは、先ほど柴谷委員の御質問の中でお話がありましたが、私鉄経営者は料金の値上げ、運賃料金の値上げというものを今まで運輸当局に提出をしておった、しかし実際には、われわれがいわゆる経営状態内容というものを国会に、運輸委員会において報告をしてもらいたいと言ったけれども、しかし実際にはいまだにこまかい資料というものは提出をしていなかった。ところが、株主の配当等を聞くというと、この前当局から発表されたように、経営者側大手筋については関西が一割一分、関東が一割三分ですか、そういうふうなことを私は前に委員会でお聞きをしておるわけです。事実一般の私鉄関係については傍系の事業というものはたくさんと行われておる。こういう点から考えると、運賃値上げというもの、料金値上げというものをしなくとも、経営の合理化、いわゆる労使のほんとうに努力によって私はいいものが生まれてくる。何も労働者側に負担をかけなくてもよい、国民大衆に負担をかけなくても私は現状でできるのではないか、こういうような点を考えておったのだが、今回のいわゆるこの労使解決によって、それを理由に私は運賃なり料金なりの値上げというものを申請をされては困る。こういう点について運輸当局もそういうことはないと思うが、そういうふうな考え方を持っておるかどうか。この点について最後に一つお尋ねをしておきたい。
  45. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) いわゆる大手私鉄十三社の旅客運賃というものについては、これはもうすでによく御存じの通りに、昨年の六月下旬から七月上旬にかけてそれぞれ別々に運賃改訂の認可申請がございまして、これは、実はなおこの点については私どもとしても、この申請についていろいろ厳密な運送原価の検討あるいは利用者の負担その他を考慮して検討中でございまして、具体的には、すでに御承知の通りに運輸審議会にすでに諮問をいたしまして、この運輸審議会で目下詳細に検討中でございまするので、私どもとしては、この問題についてはこの答申を待ってでございませんと行政処分ができませんので、まだいずれとも決定をいたしておらない、いわばペンディングの格好になっております。従いましていわゆる大手私鉄十三社の運賃については、こういうように懸案として継続しておるわけでございます。今お尋ねのような、たとえばこういうふうな人件費の増額に伴いまするところの支出増というものがかりにありまして、その結果さらにまた経費増のゆえをもって運賃値上げの申請をしてくるかこないか、これはまあその社その社の申請によるものでございまするので、こちらでどうするという問題ではございませんので、もしかりに申請があらば、これをそれぞれの所定の手続で検討をいたすわけでございまするけれども、いわゆる大手私鉄十三社については、今すでに値上げが申請中でございまするので、この問題から特にさらにあらためて申請するということは考えられないと存じます。われわれは運賃原価の検討のときには、それぞれ標準原価というものがございまするので、人件費なり物件費、補修費、その他利子償却、それについて厳密な検討を行いまするので、そういった事情で運賃の方は考えて参りたい。従いまして、現在の争議の問題と運賃の問題とは全く別個の問題であるとわれわれはかように了解をしておる次第でございます。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと確認だけさしてもらいます。  そうすると、局長の言われるのは、昨年各社から出されておる資料に基いていわゆる運輸審議会で検討をし、またその審議会の答申を待ってきめるのであって、今回のこれらの問題について追加申請というものがたとえば出された場合であっても、そういうことによってものを判断はしない。また追加申請というものは実質上考えておらない、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
  47. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) ちょっとこの点は手続的なことにわたって恐縮でございまするけれども、現在の私鉄の運賃というものは申請主義と申しますか、申請をするかしないかということは、その社で決定をして、自主的に決定をして、かりに申請をいたしましたならば、それを私どもは所定の手続で審査をする、こういう建前になっておることは御承知の通りでございます。従いまして今、たとえばの話でございまするけれども、いわゆる大手私鉄十三社についてはすでに申請が出ておりまして、この申請が継続中でございまするから、その審議を継続していくことが事務上当然の手続でございます。もしかりにこの私鉄十三社が自主的に現在の申請を取り下げるというようなことがございますると、これは取り下げになりまして、事案はそこで解消いたしまして、あらためてこれをまた出すか出さぬかということは私鉄の方で自主的に決定いたしまするので、もしそういう、仮定の話でございまするが、自主的にまた再び新しい資料で出してくれば、それを今度所定の手続で審査するという段階になりますが、今申し上げておるのは手続的なことであって、実際問題として、今の継続中の問題を私どもは審査する立場にありますので、それ以上は仮定の話でございますので、今手続的に申し上げた次第でございます。
  48. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  49. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 今の權田監督局長の、私鉄運賃の値上げをどうするかという問題の答弁と、私は中村運輸大臣と食い違いがあると思うのです。今までの経緯から見まして。これは、中村運輸大臣は審議会の答申のいかんにかかわらず上げない。こういう方針でこの前は厳重にきまった。これは当委員会でもずいぶん論議されて、われわれは私鉄運賃の値上げというものはこれはいかぬということでいろいろな根拠をあげてここで質問したわけです。そのときの權田局長の立場は非常に、速記録を見るとわかるのだが、誘発的なところがあった。どうしてもこれは上げる条件があるような説明があった。その説明と今の答弁とはずいぶん関係があると思うのだが、私は、国民が今度の私鉄争議を境としてどうも運賃値上げをされるのじゃないかということを非常に心配されているのじゃないかと思う。こういう点から考えて、これは私鉄の経営そのものをもっと詳細に洗えば明確になることですが、決してこれを口実にしてはならない、こういう点で努力すべきだ、これがわれわれの任務だというふうに考えているのですが、監督局長としてどうも技術的な面というような点で今の話があったのでありますが、どうもそういうようなものとの関連で、結果においては誘発しないものでもない。われわれはこういう点については厳重に警告を発しておきたい。警告はあなたたちも出しておるから、こちらからもこの点について。これはちょっと次官なり局長から一言言っておいていただきたいと思う。
  51. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 今、局長から申し上げたのは、運賃問題を認可する際の手続の点に重点を置いて申し上げたので、多少誤解を招いたかもしれません。要するに運輸大臣が申し上げたのは、運輸審議会の意見はこれは諮問でございますので、その答申にとらわれないで政府の最高決定をやると、こういうことで申し上げたと思います。ただいま局長が申し上げました通り、運輸審議会に答申がまだ出ておりませんので、答申を得て運輸大臣も決定をされると思います。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 あくまでこれは中村運輸行政を貫いてもらいたいと思う。この私鉄の運賃値上げ問題についてですね、今度やはり非常に国民が関心を持っておりますので、こういうことが口実になって、去年の夏はできなかったから今度はこれで突破口を作るのだというような考えを経営者が持つようになったら大へんな認識不足だということをここでまあ特にくさびを打っておきたいと思う。そこでお聞きしておきたいのは、警告の問題ですが、今までの警告が出された例は何回ございますか、ちょっとお聞きしたい。
  53. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 要望が出ましたのは、昨年多分出たのじゃないかと思うのです。それから、私の記憶いたしまするのでは、だいぶ以前にも私鉄に対して鉄道監督局長が口頭でもって要望いたしたことがあるように存じますが、これはやはりこういうことになったら必ず出すというような問題ではございませんので、やはりそのときの事態々々の判断でいたしておりまするから、そういったような例がかつてはあったと記憶いたしております。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 これは効果が、実効があったというふうにお考えになりますか、こういう警告を出した。
  55. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 私の記憶いたしまするのでは、だいぶ以前に出し、まして、これは労使双方がいろいろその立場を顧みられまして、双方ともに努力されて円満に解決された事例もございます。今回はまあ不幸にして先ほど申し上げましたような状態になりましたけれども、それでも一部解決したのもございまして、やはり私どもといたしましては、そのときの事態の判断で、先ほど申し上げたような点は要望申し上げたいと思うのでございます。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 これはむろん運輸行政を守るものとしてこういうものを全然出していけないということを私は申しておるのではありませんが、時あたかも労使の紛争をやっている、そういうときに介入しないということを原則としている運輸省は、慎重にこれはやってもらいたいと思うのです。まあ口実は、入学試験のことが口実になったようで、いかにももっともに思うのでありますが、介入しないという形の介入があるのですね、介入しないという形の介入が。やはり労使を圧迫する。こういうことでは望ましくないので、しかもこれはあまり今度の問題は実効がなかったと見るので、この問題についていろいろ論議されましたが、これは労働行政との関連というようなことで、非常にめんどうな面もある。これは慎重を期してもらいたい。  その次にお聞きしたいのは、これはどうでしょうか。中労委調停案が千円という格好で出た。ところが、東急名鉄は千四百円あるいは千四百十円ということで、全く調停案のこれは線からずっとはみ出しておる。そうすると、こういうような調停案では非常に何というかな調査が足らない、認識が足らない、非常に不十分なものであったというふうにわれわれは考えるわけですが、こういう形でこれはむろんあなた方の見解は述べられるかどうかわかりませんが、これに対してどういう考えをお持ちになりますか。こういう調停案ではなかなかこれはまとまらぬのではないかということで、先ほど柴谷委員も非常に強調されたわけでありますが、非常に不統一ではないか。こういう不統一な調停案を出してきて、こういう問題を解決しようとしても非常に困難ではないかと考えるのですが、今度のやり方どういうふうにお考えになりますか。
  57. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 中労委あっせん案につきましては政府としては批判すべき筋合じゃないと思います。ただ、先ほどから局長が繰り返し申し上げました通り、各社それぞれ当事者の事情もありましょうし、出て参りました解決案は多少異なっておるようでございますが、あくまで運輸省といたしましては中労委あっせん案をベースといたしましてすみやかに労使双方妥結するということを希望しておるものでございます。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 いや私は、中労委あっせん案そのものが現状に合っていないんじゃないか。合っていない面がたくさん出てきたんじゃないか。つまり現状調査が不十分で、把握が不的確であったのではないか。そういうことによって今後混乱させられる面があるのではないか。これに対して運輸行政の面からどうお考えになるか、こういう点をお聞きしておる。
  59. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 先ほど冒頭にこの交渉経過なり要求内容なり、それから中労委調停状況なり、職権あっせん状況を申し上げておきましたが、そういうような経過でせっかく努力をいたされておるのでありまして、私どもとしては今御指摘のように、その内容がどうのこうのという見解を申し述ぶべき立場にもございませんし、また現在、今晩も労使双方誠意をもってなお自主的解決に臨まれるようでありまするので、なお事態を十分関心を持ってその成り行きを見守って参りたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、あなたたちの立場としては、このあっせん案が非常に不十分だとか悪いということは言われないかもしれません。しかし、今申しましたように、すでに不統一であり、非常に調査が不十分であり、現状に合わない。こういうような事態があるのですからね。そういう点については一明確にやはりこれは今後この進展の中で明らかにされなくちゃならない。まあ、この程度で終っておきます。
  61. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御発言はございませんか。——ございませんければ、次に日本国有鉄道の運営に関する件について、前回に引き続き質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  62. 柴谷要

    柴谷要君 議題が岡山鉄道管理局という問題になっておるのですが、国鉄当局から特別にこの前に報告されたこと以外の問題があれば報告を聞かしていただくんですが、ないと思うんです。そこで、この問題は私がこの前提案をいたしましたように、労使双方の行き違いがあるから、両者を現地から呼んでくれ、こういうことだけ私は希望を委員長に申し上げておいたんですが、本件は理事会でもう少し御討議願って、その結論によって問題を取り上げましょうという方向に持っていってもらいたいという私は希望を持っておるんですが、そのような処置をきょうはとっていただきたいんです。そのほかに、資料その他提出の問題があれば、その資料についての御質問は、これは別のことでございますが、私のこの前に提案いたしました事項は、そのように一つ取り計らいを願いたいと思います。
  63. 天田勝正

    委員長天田勝正君) その件につきまして申し上げますが、昨日の理事会でもこれを諮りました。しかし、参考人なり証人なりということで本委員会に招致するということにつきましては、意見の妥結を見られなかったわけでございます。そこで、さらに引き続き質疑をされて、あとどうするかということは、次回においてさらに協議いたそう、実はこういうことに相なっております。しかしその件のみならず、今、岩間委員からも御指摘がございましたけれども、今この席上で配付になりました公安官の問題等についても、御質疑もあろうと思って、きょう時間もないことでありますので、一応質疑、こういうことになったという事情でございます。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 今の柴谷委員発言のように、これはもうみんな委員会で私が最初に質問をしてから、数回も岡山の問題については質疑を行なっておるので、委員長の先ほどのお話もございますが、一つ柴谷委員の言うように取り計らっていただきたい、こう思います。それから公安官の問題にちょっと入らしていただきたいと思うんですか、どうですか。委員長お諮り願いたいと思いますが、皆さんにこれはもう御了承願えると思うんですが。
  65. 江藤智

    ○江藤智君 昨日理事会でもちょっとその問題が議題になったのでありますけれども、この前の御質疑の程度では、食い違いと申しましても、その場所に、局長のところにあらかじめ労組の代表の人が二人おったとか、あるいはその後に入ってきたとかというような程度の事柄のように思ったのであります。もう少しこの際現地から、ことに今、春闘も山を控えておるときでありますから、責任者を呼ぶということについては、われわれとしても納得がいくような場合において一つ検討をしようじゃないか、まあこういうことで延ばしたわけなんでありまして、われわれとしては、もう少しその点は検討いたしたい。ことに、もちろん国鉄の問題でありますから、運輸に関係することは当然でありますけれども、むしろこれはもっと広い労働問題の問題であって、社労の方でも、何かそういうような問題を取り上げておるというような話も聞いておりましたので、その方の成り行きも一度確かめてみたらいいんじゃないかというので昨日は延ばしたのであって、ただきょうここですぐ呼ぶというような事柄は、もう少し慎重にいたしたい、こういうふうに考えるわけです。
  66. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  67. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記を始めて下さい。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど岩間委員が、この前要求された「鉄道公安職員の職務内容について」というプリントをもらったわけですが、国鉄当局一つお尋ねをしておきたいんですが、今、国鉄労働組合団体交渉は、あなた方の方では平常に行われているのかどうか、この点についてちょっとお尋ねしておきたいと思うんですが、いかがですか。
  69. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 団体交渉は、国鉄労組との間には、平常のようにやっております。ただ、ときどきデモンストレーションみたいなことを伴うような場合がございますので、そういうような場合には、平静な状態においてお話し合いをいたしたいからという意味で、お断わりする場合はありますけれども、原則的には団体交渉は進めております。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 まあ今の答弁で私も了解しますが、一つ団体交渉というのは、やはりお互いに信頼しなければできないんですから、そういう面で、たとえば多くの人が陳情に来ても、それはその人たちが全部入るわけじゃないだろうから、団体交渉はやはり平常の問題として進めていく。そこで、さらにお尋ねしたいのは、新潟地方本部は、現在どういう形になっておりますか。
  71. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 新潟地方本部の関係は、解雇された方がそのまま役員にとどまっておるという格好にございまして、新潟地方本部としては、国労本部がのんだ例のあっせん案の正常化の原則というのを認めないという態度でおりますので、新潟地方本部との間では団交はやっておらないようでございます。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 国労の新潟地方本部は、全部解雇されておるんですか、役員が。その点いかがですか。
  73. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 三役は全部解雇されております。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 三役だけですか。
  75. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) その他の役員も解雇されております。大部分の役員が解雇されております。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 これは、本社の指導というものがどうなっておるのか、そこをやっぱりちょっとお尋ねしておかなければいかんと思うが、せっかく自主交渉労使の慣行樹立ということで全体として努力をされておるのに、まあ二人か三人か知らんが、今の御答弁ですと、全部が解雇されておるということではないようですね、新潟地方本部にしても。そうするというと、あなた方の文句のつけるところが、少し行き過ぎをしておるというような印象を受けるんですがね。本社本部間においては、お互いに話し合いができて、平常に団体交渉は持たれるというのに、今度は、そういう組織の中にある一地方本部についても、指導性を持ってやるならば、ある程度の話し合い、あるいは団体交渉というものができるんじゃないかと、こう思うんだが、特に刺激を強くしているような印象を受けるが、そういう点はないんですか。
  77. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 新潟は、本部にたとえますれば、要するに組合を代表する立場の役員が全部解雇者である——まあ、執行委員の中にはたしか一人解雇されていない人があったんじゃないかと思っておりますが、大部分解雇されたままであります。それで、実は、昨年藤林委員長あっせん案を受諾いたしました際に、あのあっせん案の中には、別に地方組織のことまで何も書いてはございませんでしたけれどもあっせん案の本旨というのは、組合の代表者は少くとも職員の身分を持った者に変えるべきであるという原則を認める、その原則を認めた上で、ただし、そういってもすぐにはできないだろうから、それまでの間は、臨時代表者なり何なりでつないでとりあえず団交をやるようにと、こういう御趣旨であったのでございます。それで、まあ、組合の幹部の方にしても、考え方としては同じ精神で臨むと、こういうことで私どもも了解しておりましたんで、新潟の地方本部に対しても、あっせん案の本旨に沿うた原則は当然認めるというふうに考えておったわけでございますけれども、新潟の方の話を聞きますと、新潟の地方本部は、あっせん案の線を認めない、結局、将来正常化すべきであるという原則も頭から認めていない、こういう形でありますし、また、適法な代表者を臨時に出すというようなこともいたしておりませんし、ちょうどまああっせん案を受諾いたします前の国鉄労組と同じような形になっておりますために、いわゆる団体交渉はお断わりしておる、こういう事情にあるわけでございます。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 これは、鉄道公安職員の問題に実は私はやはり疑問を持っておるのですがね。今のそういう本社本部間におけるせっかくの労使の慣行樹立が、あなたの方の新潟当局の方の一方的な見解がだんだん労組を刺激をする、こういうような形が私は出ておるんじゃないかと思うんですが、それは、何か組合の本部の者なりあるいは地方本部の人なりが仕事の面で歩くというと公安職員がついて回るというような話を聞いておるが、そういう事実はありませんか。
  79. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) ただいまお尋ねのようなことについては、聞いておりません。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 もしそういうことを聞いておらなければ、私もいいと思うんです。やっていないということならばいいと思うんですが、何か特に挑発行為のような刺激をするようなことで、組合の役員が行っても公安職員をつけて歩く、一人の者に四人も五人もつけておるというような話を私はちょっと聞いたわけです。まあ橋本公安部長の言うのには、そういうことは聞いておらんということだから、いいと思うんですが、もしそういうことがあるとすれば、これはもう大へんな問題だと思う。今私どもの手元にもらったこの公安職員の職務内容というものから考えて、これは重要な問題が生まれると思う。ですから、そういうことや、あるいは、せっかく労使の紛争をなるべく平和裡に解決努力をするということで本社も一生懸命やっておるだろうし、組合も一生懸命やっておる、しかし、出先機関は厳として自分の言うことしか聞かん、あるいは、時によるとそういう組合の役員にさえ公安官を四人も五人も護衛をつけて歩くなんということがあったら、これは私は重大な問題だと思うのだが、それで、もしそういうことになれば、これは運輸委員会としてはいま一度十分これらの問題について徹底的な究明をしなきやならん場面が来ると思う。そういうことがないということをお聞きしたので、私も、それはそうかなあということであるのですが、今後そういうことのないように、私は、本社支社間あるいは局間の連絡指導というものはやはりやってもらいたいと、こう思うのだが、副総裁なりあるいは吾孫子務理事の方はそういう私の言うような考え方に立つかどうか、その点を一つお答えをいただきたいと思う。
  81. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 本社と地方との間では十分連絡をとるように努力をいたしておるつもりでございますけれども、なお足らない点もあるかと思いますから、今後一そう連絡を密にして本社の意図と食い違ったようなことが行われないように注意をいたしたいと思います。
  82. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 別に御発言もございませんければ、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十八分散会