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1958-03-18 第28回国会 参議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            平島 敏夫君            廣瀬 久忠君            柴谷  要君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 静夫君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省船員局長 森  嚴夫君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    海上保安庁次長 安西 正道君    気象庁次長   太田九州男君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君    日本国有鉄道公    安本部長    橋本錬太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (日本国有鉄道運営に関する件)  (旅客船の事故防止に関する件)     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査中、日本国有鉄道運営に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 柴谷要

    柴谷要君 前回委員会で御質問申し上げました岡山鉄道管理局における警察権力の介入と、暴行事件概況等について、国鉄当局真相をお伺いしたのですが、まだ実情調査中でお答えができないということでございましたが、その後十分お調べを願ったものと考えますが、それについての報告をお願いをいたしたいと思います。
  4. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 前回の本委員会でお約束いたしましたので、さっそく現地責任者である管理局長も招致いたしまして、前後の事情等を詳細に調査いたしました。それにつきましては、吾孫子常務理事から御説明申し上げます。
  5. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) それでは私から前回お尋ねのありました点のおもな点について御説明をさしていただきたいと思います。  この今回の事件が起ります前に、二月二十五日の日に岡山管理局長は、広島調停委員長にお目にかかっているわけでございます。そうして調停委員長とお目にかかりました際に、お話内容として出ましたことは、本年の一月期の昇給の問題について、まあごあっせんのお話があったわけでございますが、その際には、委員長からいろいろお話のあった点に対して、管理局長としては即答申し上げることが困難な問題もありましたために、調停委員長としては、きょうは答えも出ないようであるから、来たる三月三日の日に訪問したいというお話があったそうであります。しかし、管理局長は、その日にちょうど関西支社の方の会議の都合で工合が悪い事情がありましたので、三日の日は延ばしていただきたいということをお願い申し上げましたところ、それでは追って委員長の方から岡山に出向く日にちをきめて知らせるからと、こういうことで当日はお約束をしたようでありますが、その後濱井委員長から、あらためて十日の日に行くからと、こういう御連絡が、それぞれ当局側に対しても、また組合側に対してもそういうお知らせがあって、そうしてまあ十日の日に委員長が来られるのをお待ちする段取りになったと、こういうことでございます。  それからその日の大体の模様について詳細に取り調べて参りましたが、この前、前回お尋ねのありました点というのは、あの二つか三つのように問題点は限られていたように承わっておりましたので、その点についてだけお答えをいたしましょうか、それとも詳しく、何時何分にどうしてこうしてということを一通り全部申し上げるようにいたしましょうか、どちらにいたしたらよろしゅうございましょうか。
  6. 柴谷要

    柴谷要君 何時何分なんて言ったところで、何ですね、果して正確な時間が言えるかということはむずかしいのじゃないかと思うのです。ですから、かいつまんでお話し願って、それに対して私の方からまた質問いたしますから、その際に詳しくお答えいただく、こういう順序でお願いしたいと思います。
  7. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) それでは、この前お尋ねのありました点というのについて、まずお答えをいたしたいと思いますが、もし漏れておりましたら、御注意をいただきたいと思います。  まず、この前、警察官出動数についてお尋ねがあったそうでありますが、この日に出動した警察官の数は六十八人でございます。で、内訳を申しますと、普通の制服警官が三十四人、それから特別警備隊制服警官が三十四人、こういう数でございます。それから警察官実力行使の行われたのが、何か交渉の途中で実力行使が行われたのではないか、こういう点を問題に出されておったように伺っておるのでございますが、この点は大事な点と思いまして、私どもの方もよく取り調べてみたわけでございますが、当日、まあ組合側行動を開始いたしましたのは、もう朝早く、八時十分ごろからでございまして、この行動に対して管理局側としましては、再三放送によって退去勧告をいたしておりまするし、また、十一時三十四分ごろには、文書課長並びに労働課長が直接委員長に対して退去要求書を書面でも渡して、勧告もいたしておりまするし、また、警察官庁舎の中に入って参りましたのは——失礼しました。警察官現場に到着いたしましたのは、十三時二十五分ごろでございますし、さらに、岡山局庁舎の玄関前にすわり込みをしておった労組員約六十名に対して、排除する行為を、行動をとりましたのは十四時三十三分から十四時三十七分くらいの間というようなことでございまして、警察官状況によっては実力行使をするであろうということは、すでにだいぶん前から、状況によっても明らかであったわけでございまして、最後実力行使に移るまでには、十分時間的にも余裕があったわけでございまして、客観的に見て、部内連絡に不十分な点があったというふうには認められないのでございます。ただ、局長としましては、実力行使が行われる前に組合委員長局長室に呼びまして、実力行使というようなことになれば、けが人が出るというようなことも心配されるから、自主的に撤退してもらいたいということを勧告しておったわけであります。その勧告をしておりました最中に、公安の方を担当しております営業部長の八木君というのが局長室に入って参りまして、実力行使をしようと思うがよろしいかということを局長に尋ねましたので、局長としてはよろしいという許可を営業部長に与えると同時に委員長に対して、こういう状態だから早く撤退するようにしてくれということを申し入れておるわけであります。まあしかし、その間委員長が、局長が早くしろということを委員長に言った際に、委員長はすぐには立たなかったのでありまして、なおしばらくやりとりをしておったようでございます。この間約十五分ほどかかった模様でございますが、委員長現場に行ったときには、すでに実力行使に移っておったあとであった。結局、局長委員長に対して最後的な勧告をしておったにもかかわらず、委員長が直ちに現場にそのときすぐ行けばよかったのが、行かなかったので間に合わなかったというのが実情であるようでございます。  それから、この前のお尋ねの中に、局長陳謝しておるのに実力行使を片っ方ではやっておるのは不都合ではないかと、こういうお尋ねがあったように承わっておるのでございますが、今申し上げましたように、委員長庁舎屋上に上っていったときには、もうすでに実力行使あとであった、そういう状態になっておりましたので、委員長としては、見ようによってはいかにも何か自分が逃げておったようにもとられる。実力行使が避け得られなかった事情について組合員によく説明してくれと、こう言われたので、局長としては、所属長立場から当日の行動に関して注意を与えるとともに、事情を明らかにするというつもりで話をしたと、こういうことでございます。そうしてその際に局長が申しましたことは、早く退去するようにということを再三言ったのに、それを聞かないからこういうことになったのだ、まことに遺憾である、今後は絶対にこういうようなことをしないようにしてほしい、それからなお最後段階部内連絡に不十分な点があったことは遺憾であったという意味のことを話をしたと、こういうことでございます。それでまあそのことが、最後段階部内連絡に不十分な点があったことは遺憾であるということを局長が申しましたのが、新聞その他に陳謝したというふうに伝えられたのでございますが、局長部内連絡に不十分な点があったということを申しましたのは、先ほど申し上げましたように、委員長に対して、早く行ってみんなを自主的に立ちのかせるようにせよということを勧告しましたその段階において、現場情勢把握のための連絡が十分ついていなかった、そのために委員長への通告、打ち切りの時期を失したというふうに局長判断いたしましたので、その点を遺憾であったと、こういうふうに述べたのであると、こういう事情でございます。  まあ、この前お尋ねのありましたことのすべてに対して、尽しておるかどうかわかりませんが、とにかくおもな点はそういうようなことであったように承わっておりますので、以上、概略を申し上げた次第であります。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 一応のまあ説明を聞きましたが、大へん食い違いのある点がありますので、これから少しくお尋ねをしていきたいと思います。まず第一に、現地から報告に本社に来られたのは、これは乙部局長ですか。それとも他の人でございますか。この点から一つ聞いていきたいと思います。
  9. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 局長自身が参りました。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、管理局長及び組合委員長調停委員会に呼ばれたというのは、二十五日と言っておりますが、それに間違いございませんか。
  11. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 二十五日に、広島委員長にお目にかかりました。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 私の方の実情調査では、二月二十六日、調停委員会管理局長及び組合委員長を招請と、こうしてありますが、一日の食い違いだけれども、その点が間違いであるかどうか、それを再度お調べ願っておきたいと思います。これがまず一点、それから二つ目は、警官実力行使が、局長の方から組合に対して、事態が緊急の状態にあるので、収拾をはかりたいから委員長に来るように、こういう連絡が十五時三十分ごろ行われて、そうして、藤井委員長畑中書記長局長室に行った。局長室には、局長営業部長労働課長当局側としては三名、それに組合側から二名が行って、事態収拾の協議に入った。ところが、お互いに立場々々で主張し合っておったのだけれども、だんだん話がせんじ詰められてきて、いよいよ警官隊ピケ隊も同時に引く、こういう話が進められている過程において、営業部長が席を立たれ、そうして出られたあと実力行使が行われた。ところが、実力行使が行われているときに、すでに局長委員長との間では同時撤退という話し合いがついたという報告になっているのだけれども、この点が一番重要なことだと思います。あなたの御報告によりますというと、局長委員長の話しているところへ営業部長が入ってきて、実力行使指示局長に仰いだ、こうなっておるのだが、ここは大へんな違いですから、一つあなたの方の局長報告が間違いか、それとも私どもの方で調べた現地実情が間違いか、この点は、両当事者から聞いてみないと真実というものがわからぬと思うのですが、この点について、再度お調べ願うか、さもなければ、あなたの方の現地局長組合委員長とをここに呼んで、両者意見を聞くか、いずれかにしなければならぬと思うのだが、この点に対するあなたの方の見解は、現地報告をそのまま受け取られておられるかどうか、この点をお尋ねしておきたい。
  13. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) ただいま柴谷委員お話のように、局長が、委員長畑中書記長局長室に呼びまして、すみやかに撤退するようにということを勧告するために、いろいろ強い言葉で催促をしておったのでありますが、いよいよ十五時五十分になりまして、営業部長実力行使行動をいたしますということを言って参ったのであります。局長は、それに対しまして、行動を開始せよという命令を出したのであります。で、そこに委員長並びに書記長がおられましたので、局長委員長に対しまして、上へ上って直ちに屋上におる組合員をおりるようにしなさい、そうすれば、けが人を出さずに済むだろうし、早急にそういうふうにしろということを強く申したのであります。その判断は、早ければ早いほどいいということを申したのであります。ところが、委員長の方から、昇給の問題とか、あるいは定員の問題とか、そういったものが、組合の希望通りいれなければならぬというようなお話がまた出まして、局長はそれに対しまして、今の緊急の場合、そういうような話し合いをしている場合じゃないから、早急に一つ撤退するようにということを重ねて局長が催促したのでありますが、そういう行動に直ちに委員長が移らないうちに、十五時五十分の局長実力行使命令に従いまして、屋上の方の実力行使が十六時二分から六分にわたり、ごく短時間のうちに済んでしまったという状態実力行使が終ったというふうに私ども調査では相なっております。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 実力行使は簡単に済んだというが、簡単に済むでしょう。無抵抗な、ただすわり込んでいる人間をゴボウ抜きにどんどんひっこ抜いていくのだから、簡単に済むのは当りまえだ。そういった状況をなぜ、円満のうちに両者の間に話し合いがつく情勢にありながら、強行したかという点に問題があると思う。少くとも、私どもが入れたニュースと、あなた方が現地当局者から聞いた話とは大へん食い違いがある。この問題は、この食い違いのままでいくということは、将来に非常な問題を残すと思うので、しかるべき時期に十分事実を究明していきたいと思う。そこで問題は、食い違ったままにしておくことは、この場ですぐ解決というわけにはいきませんから、後日しかるべき処置を私の方ではとりたいと思うけれども、第一、ピケ隊といっても、これは管理局運営支障のあるようなピケを張って、人を全然入れなかったとか、そういったようなものではないと思う。特に、管理局屋上というものは、常時開放されておって、無人なんです。そこに組合員がわずかすわり込んだからといって、これがいかほどその業務に重大な支障を来たさしたか、これに向って、無抵抗な組合員に、しかも、その組合員というのは、休暇、公休非番者が出ておる。何ら勤務に支障ない人が行っておるわけです。これを警官隊あるいは公安官実力をもってゴボウ抜きにし、しかも、負傷者まで出したという事態については、われわれは断じて許すことができないと思う。というのは、岡山管理局で要求しておる内容というものは、本部本庁間で問題が取り上げられて進行の過程にある。そういう問題に関連をし、また地方特殊事情というものがあって、特殊事情の問題について交渉しておる際です。ところが、両当事者の間に問題が解決をしないから調停委員会に持ち込んだ。しかも、その調停委員長が再三努力をされて、両者の間で円満裏話し合いをしなさいということで、何回か勧告もし、骨を折っておるさなかに、組合員意思表示としては、多少の人員が管理局へ出かけて意思表示をするというのは、これは組合として当然だと思う。それを、警官隊を出動させ、公安官を出して、無抵抗な組合員負傷までさして、これを街路に引っ張り出さなければならぬという理由はどこにある。ここが問題だと思う。しかも、現地報告者内容組合報告とでは全く食い違いが生じておる。これらをあなた方は真実をつかまえるとするならば、これは組合員関係者等から、十分事情を聞かれたらいいと思う。そういうことは今日までやっておらないと思うのですが、その点いかがですか。
  15. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 組合側現場関係者から直接に事情を聞くということはやっておりません。私ども管理局長から聞いたようなわけであります。
  16. 柴谷要

    柴谷要君 今、国鉄労働組合との間には、一応正式な団体交渉が開かれておるのだが、国鉄労働組合本部からあなた方はこの実情を把握するという気持で尋ねられたかどうか、この点をお聞きしておきたい。
  17. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) この件について直接聞いたことはございません。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 そうすると、かりに、当局者管理者の一方的な見解報告されておって、事実と相違をしたという場合、その事実の相違点が明らかになった場合に、あなたの方ではどう処置されるのか、その見解を聞いておきたい。
  19. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私どもは、現地管理局長を信用しております。間違いがないと思っておりますが、関係者の陳述に符合しないという点が出て参りますれば、その点はさらによく究明いたしたいと思います。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 現地局長を信用されることはけっこうだと思うのだが、かりに、現地局長指示をして問題が起きた、がぜん世論が非常に不利になってきた、こういう立場に立って、真実をもし本庁報告をしない、こういったようなことが起きた場合には、あなたの方はどういうふうな処置をされるお考えでありますか。それを重ねてお聞きしておきたいと思う。
  21. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) そういうことはないと考えております。
  22. 柴谷要

    柴谷要君 ないとあくまで言われる場合には、われわれの報告を受理しておるものと全く違うので、それでは現地局長と、それから組合責任者とを一つ運輸委員会に呼んで事実の直相をはっきりしてもらいたい。これを委員長に要望しておきます。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 今の柴谷君の提案はもっともだと思う。とにかく、今の説明を聞いたのでありますが、実は少くともこれは労働対策、ことに吾孫子常務理事は、その国鉄における衝に当っておる方だ、そういう人が、今委員会で問題になっておる実情を知らしてもらいたい、そういうときに管理局長、いわばここで労使が対立して、とにかく問題を起している、その一方側だけの報告を受けて、そうしてそれで間違いないだろうと思いますという判定のもとにここに出される、ここに私は国鉄当局の労働問題を処理する態度の非常に一方的な形があるじゃないか、こういうことを指摘せざるを得ない。なぜ一体組合側からも聞いて、そしてもっと正当な判断を得て、できたら両方の言い分のようなものを公平にここに出す、少くともわれわれはそういうことを要求しておるわけです。ところが、そうじゃない、管理局長を絶対に信用するのだというので、その報告だけ出された。しかも、時間がなければこれはやむを得ないということもありますけれども、すでにこの前の委員会から四日経ている。それくらいの余裕は、これはあり得ると思う。ところが、今もそういうような努力は尽されていない。そこに、このような一体対立を生むところの一つの原因があるのじゃないか、こういう点について、これはどういうふうに考えますか。あなたは、まあそれを信用するので間違いはないと思いますと言って、そういうときの責任問題についても明確にされていないのでありますが、今後の問題もあり、今までの問題もあり、こういうような一方的な管理者側だけの意向によって、このような問題を処理するという根本的な態度に重大な問題があると思うので、この点についても、基本的態度をまず伺っておきたい。
  24. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほど吾孫子常務から御答弁申し上げましたように、われわれはやはり管理局長を特にこの問題のために招致いたして、十分調査したのであります。しかし、この場合に、委員長まで呼べとおっしゃるならば、そういうことも今後いたしてもよろしゅうございますが、しかし、実際問題といたしましては、またいろいろなトラブルがありまして、私どもが呼べば、何の権力をもって招致するかというふうなトラブルが起ることも予想せられます。おそらく、なかなかすぐには、従来のいろいろの問題で、私が委員長に来てほしいと言うのは、また、それは言い過ぎではないかとかなんか、いろいろなおしかりをこうむることも予想せられますが、しかし、そういうことは、こういう場合には一向差しつかえないのだ、どんどん委員長でも呼んで話を聞けとおっしゃれば、ここはそういう場合に委員長を呼びまして、来るか来ないかはわかりませんが、私自身その真相の徹底をはかってもよろしいと考えます。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 私は、委員長を呼ぶかどうかというのは、これはその運営の仕方の問題ですから、何も呼ばなくてもこれはいいと思う。実は、現場に行ってこれを把握する努力の方がはるかに事態をつかむと思う。何か問題が起れば局長を呼ぶ、委員長を呼ぶ、そういう格好で問題を把握しようとしても、実態はなかなか把握されないのが実情なんです。国会で問題になれば、呼ばれた管理局長はどういう態度をとるかということは大体見当はつく。呼ばれて問題になる、特に当委員会で、これは陳謝内容はどうであったかというようなことが問題になったとすれば、先ほどあなたが話されたように、決して陳謝したのではございません。しかし、新聞で報道をされたのは、陳謝ということになっているが、それは内部の連絡が非常に不十分で遺憾であったというのを陳謝といわれたんだと、これはだれも言いそうなことです。われわれは非常にそれは、もう今あなたたちの方の報告を信用しないのじゃないけれども、それを聞いていてそういうにおいがするのです。そういう点からいいますと、あなたたちはこういう問題を客観的に事実を究明して、その上に立って正しい処理方針を考え、今後の方針を立てるということだったら、現状において、少くともこれは行けなければ、人を派遣するなり、確実な、しかも、公平な態度でこの両者意見というものを把握すると、その上に立って労働問題を処理するという態度でなければ、絶対にこれは公平な態度でこの問題を究明し、そしてほんとうに妥当な方針を明らかにするということは今後できないのじゃないか。いつでもあなた方の場合は、管理者の言うことを聞くと、それだけを信用して、それでもってそれが万事だというような格好労働者側に臨んでいく、そこにこの問題をほんとう解決することのできない根本的な問題があると思う。従いまして、私は何も委員長を呼べというようなことを言っているのじゃなくて、この実情把握態度が非常に、やはり何といいますか、官僚的だ。それを呼んでそして聞けばいいんだ、そういうことでは絶対把握できない。そういう努力をされたかどうか。それで私は副総裁にお聞きしておりますのは、そういう態度でいいのかどうか。労使問題を解決する場合に、そのような管理局長だけの話を聞くということだけで、問題を処理していいのかどうか、国会で問題になっているそれに対する報告としては、そのような一方的なものだけで一体ここに報告されていいのかどうか、この基本的な態度について私はお伺いしたい。これについてお答えを願います。
  26. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 地方の労働問題につきましては、管理局長が全責任を持ってその衝に当っております。それで今回の問題も、先ほど御説明申し上げましたように、全部局長みずからその衝に当って諸般の対策をして参ったものであります。いわば局長が中心でありまして、その局長報告するということが一番事実の真相をつかめるのでございまして、こちらから人を派遣するといえば、結局それがまた聞きになりまして、かえって真相はつかめないと、こう思うのであります。  それからこの前ここで私がお答えいたしましたのは、現地責任者をも招致してその口から説明を聞くと、こういうことでありまして、まあ労使双方を呼んで聞けという御注意でもありますれば、そういたしたかもしれませんが、従来の例から見ましても、その場合にこの連絡員を派遣するというよりも、こういう重大問題でありますからして、現地責任者、しかも、終始この衝に当った局長を呼ぶということが、一番真相が把握でき、私どももそれによって一番責任が持てると、こういう趣旨で呼んだ次第であります。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 まああなたたちそういうことを言われますけれども現地でこれはなかなか問題を解決できなくて、国会の問題までにこれはなったのであります。そういう場合に、あなたたちの指導力というものはどういうところにあるのか、あなたたちの労使の問題を解決する基本方針はどういうところにあるのか、こういうことは明確にされていなくちゃならない。現地説明を信用されるというのは、なるほど経営者の側として一応われわれもわかります。わかりますけれども、労使の問題というものは、やはり双方の見解をよく聞いて、そうして妥当な線でやはりこれを解決するという努力をすること、これが少くともあなたたちのこの中央における責任者としての態度だと私は思うのです。そういう形でいつでも管理局長だとか、それから、とにかく経営者側の意向だけ聞けばそれでいいのだというふうなこれは結局趣旨のように伺うのでありますが、そういうことでは私は非常に不十分じゃないかというように感ずるわけです。そういうことをなぜ申し上げなくちゃならないかということは、先ほど申したように、これは局長陳謝内容というものは、必ずしもその報告された、これだけでは私たちは不明瞭です。非常に不明瞭です。ですから、当然これについて、この間の経過というものは、これはやはり現地からもっとそのときの正確な情報を私たちは把握しなくちゃならない。組合側からも聞かなくちゃならないだろうし、それから少くともここに新聞記者もいたわけであります。新聞記者は当然陳謝したということを言っているのですが、それがここであらためて報告されたのは、それは局長一つの解釈になっているので、実情はどういうことであったかということについては、これは少くとも客観的な根拠は薄いように思います。  その次にお聞きしたいのは、私は今の報告を聞いて非常に一つの重大な問題が含まれていると思う。それは公安支部長、つまり営業部長実力行使をしてもよいかと言って、局長のところに許可を受けに行っているのですね。そうすると、これはどうなんです。万般の準備を整えておいて、さあ準備はできました、それで今度はいわば実力行使によって組合側にそういうような制圧をかけてもよろしいかということを、一体公安支部長はやっているのですが、これは営業部長立場から管理局長を補佐したといえばそれまでのことでありますけれども、それによって局長も決意をしたというような格好にこれはなっているのですが、こういうような運営でいいのですか。局長公安支部長の任務というのは、こういうようなことになるわけですか。これは逆に局長にそういうような、何といいますか、局長をいわばまあ誘導して、あるいはそそのかして、そうしてそこに追い込んでいったというような格好になっているのですが、営業部長というのは、こういうことをこれはやっていいのですか。公安の係としてこういうことをやっていいのですか、その点どうなんですか。
  28. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 午前十一時三十四分ごろ、岡山管理局長は先ほど御説明いたしましたように、文書、労働両課長の手によりまして、委員長あてに退去要求書を手交いたしておるのでございます。それでその内容岡山鉄道管理局長乙部実、国鉄労組岡山地方本部藤井委員長あてに「屋上無線室勤務者を除き、屋上に参集している組合員や部外者を、昭和三十三年三月十日十一時五十分までに退去さすよう通告いたします。これに応じない場合、不退去者は、刑法第百三十条による不退去罪による公安職員、警察官実力行使によって排除いたしますから、念のため通告いたします。」ということで、岡鉄局長が十一時三十四分にすでに意思決定をいたしまして、退去の通告と、不退去による場合には実力行使もやむを得ないという意味の書面を執行委員長あてに提出しているのでございます。それに基きまして、十二時五分ごろに岡山管理局長から警察に対しまして警察官の出動を要請いたしたのであります。そうして、その要請の目的は、管理局本局庁舎屋上に集合しておる組合員を鉄道地外へ退去せしむるという目的をもちまして、十二時五分ごろに管理局長から岡山県の警察本部に対しまして出動要請をいたしておるのであります。従いまして、このように、組合に対しましては、十一時三十四分ごろにすでに実力行使の意思あることを通告いたしておりまするし、十二時五分ごろには、警察に対しましてそういう目的をもって出動を要請いたしたのであります。従って、この両方面において、すでに実力行使があるべきことが予想され、従いまして、この要請に基いて、十三時二十五分ごろに警察官庁舎の西側道路上に六十八名参りまして、それから、十四時三十三分から三十七分ごろに、局庁舎玄関前にすわっておりました労働組合員約六十名を警察官が排除したという行為にすでに着手しておるのであります。最終段階屋上組合員を排除するという時間が、先ほど申し上げましたように、十五時五十分ごろになっておるのでありまして、その間相当時間がたっておりますが、岡山局長あるいは営業部長といたしましては、相当慎重に、しかも、相当の時間的余裕をもって、最後の残った組合員退去実力行使で排除せざるを得なくなった、こういう段階に参ったのが十五時五十分でありまして、営業部長局長に自分の意思を押しつけるとか、何かそういうようなことではなしに、すべて局長を中心に今回の措置を決定し、また、それを慎重に、しかもまた、できるだけ公正な方法で実行に移したと、こういうことに相なると私どもは考えております。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 あなたたちは、整然と、時間があってこういう手段を尽してこうやってこうやったからこれで差しつかえないんだというような報告が今の報告です。そんなことを言って、認めることができるかどうかという問題です。それは、あなたたちにおいての手抜かりがなかったということで、もしもこういうことが承認されるということになったらどういう事態が起るか。それは、あなた、団交があって何かちょっとした問題があっても、すぐにそういうような手を打ってそしてそこに追い込んでいけば、少しも遺漏がないということになるんじゃないですか。そういうことじゃなくて、大体今度の団体交渉というものは、これはもう一応この前認められなかった。しかし、それがこの前の大会によりまして団交が再開されたんですよ。そういう中で行われておる団交なんで、非常に違うんですよ。この前の秋季闘争の場合における段階とは非常に違う。そういう段階で、しかも依然として秋季闘争以前の考え方が混同しているのがこの状態じゃないかと思う。従って、何か問題があるとすぐに公安官を出してくる、それで、すぐに警察に要請をする、何時何分に退去命令を出したんだ、これについて言うことを聞かないから最後実力行使をやった、少しも遺漏はなかった、そういうようなあなたたち立場からにおけるところのそれは一つの予備行為なんだ。そういう点に立っておるので、大体そのように警官を出す必要がここにあったのかどうか、公安官をこういうふうに出す必要があったのかどうか、こういうものは、労使の問題をほんとうに十分に解決されるために一体必要なのかどうかという判断とは非常に違うわけです。それから、そういうふうに局長の意向として出されておったんだから、従って、最後にそれを催促した、実力行使をしてよろしゅうございますかと催促したのは少しも差しつかえない、局長の意思から出たんだ、こういうことでありますが、これは柴谷委員も先ほどから繰り返しておられるように、両方で円満に退去しようという話し合いがついていた。そういう段階において、そういうことを一体わきの方からそれを逆に何か結局誘い水のように呼びかける必要があるのかどうか、この点が非常にやはり私たちの了解することのできない問題なんです。従って、そういう点についての公安官の問題でありますが、公安官四十人と聞いておりますが、これは、四十人というのはどういうふうにして集めたのです。常に四十人くらいは岡山管理局にいるんですか、公安官というのは。それならば、この公安官というのは、労使間の公安官なのか、それともどういうふうな公安官の任務になっているのか。つまり、大てい、公安官というのは、汽車に乗るのが大部分の任務だと思う。それなのに、四十人の公安官というものを一体どういうふうにして集めた。こういうことについて、これは本部長の意見を聞きたい。
  30. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) なお、その前に、当時の状況につきましていろいろ公安的な見方からいたしますと、八時十分に労働組合員が岡鉄の庁舎に侵入いたしまして屋上に上ったということ、それから今まで御説明があまり出ておりませんが、庁舎の表裏の出入り口にすわり込みましてやはり出入りを困難な状況におくというような状況、あるいは屋上と屋外で非常に高声を発しまして業務の妨害をするというような状況、いろいろな点がございまして、公安あるいは警察官の出動を求める、こういう格好になったのでございます。  なお、負傷者お話がいろいろございましたけれども、十二時四十分ごろに労働組合員が約百五十名くらいのデモ隊、デモをやっておりました者が岡鉄局の庁舎に入り込もうといたしまして、これを阻止しようといたしました守衛の末菅正文、三十八才、この者が玄関のそばのコンクリートの壁に押しつけられまして胸部挫傷一カ月の負傷を負っております。このような事態が朝から昼十二時四十分ころまで続いておった状況下に、いろいろ公安職員としてあるいは警察官としても、そうした妨害あるいは秩序の破壊というものを排除しなければならぬ、こういう形に相なって参ったわけでありますので、当時の状況を詳しく申し上げますと、そういう状況下にございました。  それから、出動いたしました公安職員の四十名というものは、大体岡山管理局には百十名ほどの公安職員が現在おりまするが、そのうちの一部の者がこの管理局庁舎の警備並びに障害の排除に管理局長によりまして動員されたということに相なっております。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 大体、いろいろのことをあんた説明されたのですが、それはそこまでいく、労働組合員がそういうふうな態度をとらざるを得なくなったそういう原因については、あなたは何も述べていない。そのあとに起ったそういう問題についてだけ今報告しているというような格好をとっている。そういう形ではこの問題を解決することはできないと思うのです、労使の問題というやつは。で、私は公安官や、警察が介入しなければ、はるかにこれは、労使の間の問題というものは円満に解決するのだという見解に立っている、今までの経験から見ても。われわれの幾多そういうような現実に対決したそういう問題から見てもそうなんです。ところが、大ていの場合公安官が出る、それから警察が出る、そういうことによって問題はますます紛糾する、そうして解決しようとしても問題は解決しないというのが実際の実情面なんです。これは労働争議だけじゃなくて、いろいろの平和の問題なんかでも大ていの場合はそうです。警官が出さえしなければ何もないのに、警官が出てわざわざ事を荒立てて、逮捕したり、実力行使をしたり、問題を大きくしている。これが最近のやり方なんです。そういうような点から見ると、先ほど来整然とした報告があり、それからいろいろ労働組合のやったことについての話があったのですが、公安官がこれに対してどういうように一体そのときに対処をし、さらに、そのような正常な労働組合一つ団体交渉という面に対して、むしろ逸脱しておるような、必要のないような立ち入りをしているのじゃないか、こういうように思われる点が非常に多いわけなんです。そういう点で、公安官がまず立ち入りしたのでありますが、これはこの前もお話をしたのですが、公安官の任務からいうと、どうも解せないのです。公安官の任務からいいますと、当然これは乗客の安全を保持するのが第一番なんです。百十人おるそうですが、そのうち四十人を振り向けた、そうなれば、必ず一方には不十分なところが出てくるのじゃないか。そうでなければ、公安官を大体最初から多くかかえているということになるのでありまして、四十人をこっちに動員して、ほとんど一日ここに縛りつけておいたということですね、これで公安官の仕事のやり方に少しも支障を来たさなかったのですか。第一の任務は乗客の秩序を維持する、こういうことについては何ら支障を来たさなかったのですか。それとも非番の人でも呼んでこれに緊急に当らせた、こういうことになっているのですか、どういう配置になっているのですか。百十人というのはおのおのその任務を持っていると思う。そうでしょう。そうでなければ冗員なんです。冗員をいたずらにふやしているということになる。国鉄の人数は全体として四十四万七千、こういうことで押えておる。そういう体制の中で公安官をふやしている。それと無関係とはいえない。四十人をそっちの方に使ったということによりまして、あとの方の始末は一体どうしましたか。四十人というのはどういう形で動員をしているのですか、そういう点はどうですか。
  32. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私率直にこの件の判断をいたしますと、あるいはお気にさわるかもしれませんですが、管理者の面につきましては、これは手落ちがない、あるいはやむを得なかったということを表明せざるを得ないのであります。それは現地局長と申しまするのは、国鉄現地の局における責任者でございまして、それは輸送の責任を持つと同時に、庁舎の秩序を維持するということは、これは局長責任になっております。しかも、本件につきましては、早朝から庁舎に労組の者が侵入して占拠しておりまして、先ほども話が出ましたように、守衛が一人一カ月の挫傷を負っております。これは、もっとも委員長、組織部長も負傷したということでありますが、この守衛が一番に重い傷でございます。それからまた懸垂幕をおろしております。これら庁舎の秩序をみだすこと、あるいは懸垂幕をおろすこと、こういうことはかつて政府の見解におきましても、これは違法行為であるということがはっきりいたされておりまするので、私どもはそういう見解に立って庁舎の秩序維持をしていかなければならぬのでございます。こういうふうな緊急事態が起っておりまするので、これにつきましては、一応緊急の状態でございまするからして、ここに公安官を集結しまして、そうしてこの秩序維持に当るということも必要になるのでございます。また、この件につきましては、先ほど来だんだんお話がございましたが、公安官あるいは警察官が出ていくことが、事態を紛糾させるというお説でございまするが、私どもも労使間の問題は極力円満に、話し合いでいたしていきたいと、こう念願いたしております。これは当委員会におきましても、私毎々申し上げているのでございまするが、しかし、本件のように早朝からそういうふうな事態が紛糾して参りましても、どうしても維持をしなければならぬというときには、こういうふうな公安官警察官の活動もやむを得ないのではないか。しかし、私どもとしましては、始終、そういうふうな場合に実力行使ということは極力控え、できるだけ穏便に、やむを得ない場合にはいたし方がないが、十分慎重な態度をとるようにということは始終訓示いたしております。この点につきましても、警察が庁舎に参りましたのは十三時二十五分ごろでございまして、一応西側の道路上で待機いたしておったのでございます。それで、いろいろ事態が切迫し、時間がたちましても、秩序の維持が回復いたしませんので、庁舎に入りましたのが十五時二十分ごろでありまして、この間に二時間ございます。それで、さらにそこで待機しておりましたが、なおかつ、秩序の回復ができませんので、先ほどの話のように、実力を行使いたしましたのが十六時ちょっと過ぎでございまして、そういうふうに十分な時間をとりつつ、かたがたには、できるだけ早く退去するように再三再四申し出たのですが、まあ不幸にして事態が回復いたしませんので、やむを得ずいたしたわけでございまして、たとえば局長が、労組の方の委員長の話によりまして、異例なことではございまするが、その依頼に応じて屋外へ出て話をしたということも、できるだけ善後措置を穏便にいたしたいという考えに出たのでございまして、かえっていろろいな気を使っているということは御承知おき願いたいと、こう考えます。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 最後に、手落ちはなかった、やむを得なかったというような御説明なんでありまするけれども、これはわれわれは了承することはできないのです。やはり事態を全体的に見なくちゃならない。第一に、昇給の問題についても、ほんとうにこれは真剣にこの問題を解決するような態度になっておったかどうか、こういう点が非常におろそかになれば、労働組合が要求貫徹のために、どうしても押えざるを得ない。そういう態勢の中で公安官を出してきて、さらに警官を出してきて、警官実力行使というのは、出動してから四時間後だ、それまでは道路の所で待機しておった、庁舎に入ったのは二時間後だ、こういうような話でありますが、大体この労働組合話し合いの中に警官を出してくる、警官で取り巻いて、そういう圧力のもとに、つまり労働者側団体交渉が非常に制約される、こういうような事態そのものが問題なんです。そこに警官出動の一体目的がないのかどうか、最近のやり方の中に、そういう非常に目に余るような態勢が出てきている。最近の石田労政の中にそういうものがはっきり出てきている。そういうものと無関係だとは言えない。これは議論になりますが、われわれはもっと事態をやはり正しく把握しなくちゃならないと思う。一方的なそういう御説明では了承できないのですから、先ほど柴谷委員から動議がありましたように、これは労使の両方の当事者を呼んで、そして正しいそのときの様子を把握するために、私は当委員会努力してもらいたいということが一つ。もう一つは、公安官であります。この公安官というものについて資料をいただきたい。これは全国的に何人いるのか、それから各管理局にどういうふうに分布されているのか、岡山の場合は百十人ということでありますが、百十人の任務は一体どういうことになっているのか、これは汽車に乗るのが大部分の私は任務じゃないかと思う。ところが、四十人をそのとき労働組合話し合い、争議の中に導入しても、あとの一体問題は差しつかえがなかったかどうか、差しつかえがあったとすれば——これは当然差しつかえがあったはずでありますが、ないとすれば、これは冗員じゃないか、冗員は労働組合のこのような対策のために、労働争議に介入するために常に常設されているのではないか、こういう疑いを今のあなた方の説明から持ったわけです。従いまして、公安官の任務、公安官の機構、公安官の人数、公安官の配置、こういうものについて、これは国鉄当局の資料を早急に出していただきたい、これはいかがですか。この二つのことを要望して私の質問は終ります。この点についてお答え願いたい。
  34. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 前段の点につきましては、私どもの関与するところではございませんから、それは別といたしまして、後段の、公安官の資料につきましては、さっそく調製いたします。しかしながら、ちょっと申し上げますと、それだけを充てればほかが手薄になる、手薄にならなかったら冗員じゃないか、こうおっしゃいますが、たとえば、問題がありまして、警察がそちらの方へ動員される、そうすると、ほかがまあ手薄になる、手薄にならなければ冗員であるというふうなお説のように拝承されますが、これは決して冗員でも何でもございませんが、そういうふうな緊急のときには集結するということも考えられるのでございまするが、これらはいずれ資料として御提出して御説明申し上げます。
  35. 柴谷要

    柴谷要君 守衛が負傷したということですが、これはまあ、今初めて公安本部長から聞いたので、事実は多分三月十日だと思います。診断書の内容、これをちょっと聞かしていただきたい。それから、どこで診察をされたか、これもあわせて答弁願いたい。
  36. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 鉄道病院の林という医者でございます。日にちは三月十日十二時十分ごろ、場所は本局庁舎正面玄関、外側コンクリート壁のかどに衝撃を受けたということで、病名は在胸部挫傷、これは診断書に書いてありませんが、デモ隊が侵入していきましたときに、壁に押しつけられまして、その結果こういう挫傷を受けたということであります。余病を併発せざる限り全治一カ月の見込みということでございます。
  37. 柴谷要

    柴谷要君 岡山管理局事件は、これは調停委員会の緊急あっせんの過程においてこういう不祥事態が起きた、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  38. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 緊急あっせんという言葉が当るかどうかわかりませんが、とにかく現地でもって委員長がもう一度事情をよく話を聞こう、そうしてあっせんをしよう、そういうことでその日を十日にきめておいでになった、こういうことでございます。
  39. 柴谷要

    柴谷要君 緊急あっせんかどうか知らぬと、こうおっしゃいますが、本件は、団体交渉の結果、両者話し合いがつかないために、二月十二日に交渉が決裂したので、広島調停委員会に提訴した、二月十三日に調停委員会はこれを受理をして、緊急あっせんを行うということを決定している。それで二月十八日に労使双方から事情聴取をされて、そして順次来ておるわけなんです。でありますから、緊急あっせんのさなかにおいてこういう事件が発生をした、こういうことになると思うのです。しからば、なぜ緊急あっせんで、しかも、調停委員長が、広島の方が岡山まで来てあっせんの労をとっておるときに、こういうことがなぜ起きたか、ここに問題があると思う。この問題について、当局が詳細にお調べになりましたか、この点を一つお尋ねをしておきたい。
  40. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私どもが承知いたしておりますのは、十日の日に岡山に来られるということを当局と組合の双方に通知をされた、それに対してまあ当局側の方は、当然な話しでありまするが、委員長がおいでになるのをお待ちしておったわけですけれども、その際に、組合の方が、つまり委員長に対する示威と申しましょうか、そういうような意味でデモ隊を集めたというふうに伺っております。
  41. 柴谷要

    柴谷要君 私が十分調べてもらいたいということは、なぜ三月十日に広島調停委員長岡山まで来てあっせんの労をとられるかということは、それ以前に労使双方に十分一つその前進をする姿でもって話し合いをつけなさい、こういう勧告を受けているのですね、両者が。それに向って努力をしてきた。ところが、三月三日に再度現地から調停委員長岡山に来る、こういうことになっておりましたが、三月三日は調停委員長が病気で来なかった。それで組合は当局に対して交渉を持ったわけです。その交渉の席上で、もう調停委員長が来ようと問題は解決しないということを当局は言っておられるのです。問題は進展しないということを言っておられる。そうすれば、調停に問題を持ち込んで委員長のあっせんのさなかにおいて、当局はこれをあっせんなんかだめだと言わぬばかりのことを言っている。ここが問題の発展理由になっている。こういうことだから、いわゆる当局の方針というものは調停委員会のあっせんを退けても力で押し通そう、こういう考え方が出ていると思う。でありまするから、これは本庁の指令によって警官の出動ということは要請していると思う。これは管理局長の権限で警官の出動は要請していると言いながら、これは一貫した本庁の考え方だと思うのです。それはそういう考え方は持っておらぬ、現地に全部まかしてあるから現地情勢を把握してやったのだと、こうあなた方は言われるかもしれませんが、昨日国鉄本庁の前に機関車労働組合の諸君が行ったということを聞いている、新聞で見た。ところが、きのう相当警官隊が出ている。これらもやはり関連を持っていると思うのですが、機関車労働組合の問題について、きのうの団体交渉なり、あるいは話し合いがどういうふうになったか知らないけれども警官の要請は安孫子さんの方でおやりになったのですか、それとも他の方がおやりになったのですか、そういう点を一つお聞かせ願いたい。
  42. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 警官の要請を一々私がやっているわけでもございませんのですが、全体的な一つ方針といたしまして、管理者側の力だけでは制御ができないようになった場合、また国鉄自身の守衛、あるいは公安職員等だけでは秩序の維持が困難になったというような場合には、警察官の御出動をお願いするということも、その状況によってはやむを得ないというふうに考えておりますので、そういう考え方は、これは各下部機関の長も同じにそういう考え方でいるわけでございます。ただ、今回の岡山のような場合は、そういう考え方で管理局長状況判断をいたしまして、守衛もけがするし、公安職員が退去勧告をしてもどうにもならぬという状態にありましたために、庁舎内の秩序維持のため、やむを得ず警察官の出動を求めるということになったものと考えます。  それから昨日の状況は、いつもまああの辺でデモのようなことがございます際には、所轄の警察の方で、こちらが要請するといなとにかかわらず、待機されるということはしばしばあることでございますが、昨日別にその警察官がどうこうしたというようなことは何もございません。まあ国会の先生方がだいぶおそろいで大ぜいおいでになりましたが、そのあと組合の諸君の話を私がお目にかかって伺ったと、こういうことでございます。
  43. 松浦清一

    ○松浦清一君 昨年の春の国鉄当局に対する国労、それから機関車労組の春闘がありまして、その後この委員会でも、衆議院の委員会でも、労使の関係の正常化をすみやかに期さなければいかぬじゃないかと、こういういろいろ質問が出まして、当局側からもそのことのために努力をしているというような御答弁がございました。主として国鉄関係出身の議員諸君からの質問で、当局と国鉄関係の議員諸君との間に激しい論争がかわされておったのであります。私はこのことについてきょう発言するのが初めてです。じっと見ておりまして、いつまでたっても当局と組合側との関係が対立の頂点に達したままで進展しない、こういう現状を見るに忍びないで、少し私も研究いたして、御当局に反省すべき点があるならば、こういう方法で努力をなすってはどうか、こういうことを考えて、先般の委員会であなたの方から出された、去年の八月五日付で出された職労第七百七十五号の副総裁の依命通達、それから三十二年の十二月二十日付で出された同様千二百五十九号、それから藤林あっせん案、それから機関車労働組合から出された、東京地方裁判所に出された起訴状、それから判決文、それからさらにその判決に対する控訴状、そういうような資料を求めまして、翌日その資料をいただきました。それから今度の国会になってから、二月の二十二日の衆議院の予算委員会、それから二月二十八日の社会労働委員会、この二つ委員会でいろいろ論争をしている。その経過を若干時間をかけて調べてみました。まことに残念なことには、その調べてみました結果、明確にわかったことが一つと、それからどうしてもわからないことが一つあるのであります。わかりました一点というのは、公企労法の——当局側は公企労法の第四条の第三項によって、今違法の組合になったから団体交渉をすることはできない、こういうことを明確に言っておられます。いろいろこの委員会で論争しておられる過程を見ておるというと、きわめて詳細に——両方専門家同士でありまするから、質問もしたり、答弁もしたり、なさっておられますけれども、私は裁判法廷における検事の起訴状の朗読や、あるいはそれに対する弁護士の法廷弁論のような形における質問を展開しようとは思わない。ただ、そういうふうに国鉄が厳として公企労法の第四条第三項のことをうたっておるし、それから組合の方では、組合の自主権を侵害するそういう行為に対しては承服ができぬ、組合の規約に基いて機関で決定をした代表者が団交に当るのは当然だ、かいつまんでいえばこういうことで衝突をしておるわけです。これをこのままいつまでもほうっておいたら、一体結果はどうなるかということを——当局側では、すみやかに機関車労組が来たるべき大会にかわった役員を作って、そしてあなた方の方の御希望の通り、公企労法の第四条第三項に該当する組合として出直してくれば話し合いに乗ってやろうという態度であろうかと思われるけれども組合としては、やはり組合立場がございますから、その自主性に基いて、また再びこの大会において黒川君、中村君なんて人が役員に選ばれる、こういうことになると、この説を、——どっちか両方がこれは歩み寄らない限り、いつまでたっても解決がつかない問題となるわけです。そうなりますと、われわれ国会議員という立場よりも、国民の一人として、これは放置すべき性質のものじゃない。放置すべきものじゃない。国鉄運営上きわめて重要な問題であるということで、この委員会は十分これを取り上げて問題にすべきだと——私はこういう時間ですから、もう繰り返し繰り返したたみかけてきょうは質問しませんが、一体このまま平行線をたどっていけばどうなるのかということが一点。それからこの対立が継続されている間は、石炭の節約というような面における協力もできていない。それから最近にきわめて重要な予想をしなきゃならぬ問題が起きそうですが、そういうことに対しても協力ができない。これは組合がそういうふうに言っているのだから組合が悪いのだと言って、ただ当局者はその責任を免れることはできないと私は思うのです。どうしても組合が承知しなかった場合は、一体どうするつもりなんだ、その一点をまず伺っておきたいと思います。
  44. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 現在の法律の解釈の問題並びにそれを守る問題ということについて、機関車労働組合国鉄当局との間に意見の対立がございますことは、ただいま先生の御指摘の通りでございます。私どもとしては、まあ法律の解釈につきましては、むろん私どもの独断ということではなしに、関係の政府機関の御解釈も伺って、それによって行動もいたしておるわけでございますが、機関車労働組合の方がそれを認めない。で、現在訴訟になっておるわけでございます。従いまして、この法律解釈の問題が、最後に答えが出ますのは、このままの形で進むといたしますれば、やはり訴訟が決着するまではっきりした右か左かは答えが出ないということにならざるを得ないような形に今のところなっております。しかし、訴訟でとことんまで争うということも一つの行き方であるかと思いますけれども、私どもの方といたしましては、一応政府の行政解釈というものもはっきりいたしておるように承知いたしておりますので、その解釈に従って組合側行動して下さることを強く期待いたしておりまして、あらゆる機会にそのことを組合側に対してもお願い申し上げておるようなわけでございます。同時にまた、組合側に考え直していただきますためには、現在の法律のもとにおける労使関係の取扱いというもののけじめだけははっきりつけなきゃいけない、かように考えまして、団体交渉やその他これにまぎらわしい行為についてはお断わりするという行き方をいたしておるわけでございます。そのために、これまたお話のございました通り、非協力闘争というような名目で、いろいろ業務に対する、まあはっきりした妨害というほどのことはございませんのですけれども、業務の円滑な運営が多少阻害されるというような事柄も間々起っておりますので、これは非常に私どもとしても困ったことだと思っておるわけでございますが、これらの点につきましては、関係職員の良識に訴えて、常軌を逸したような行動に出られることのないようにお願いをするということに力を注ぐ以外にないと、こう思っておるわけでございます。いろいろ新聞等に組合側の非協力闘争というようなものがいろいろな形で報道されまして、中には、お召列車の運転に支障を来たさしめるんだというようなことが伝えられたりいたしておりますが、この点は、私どもとしましても大いに関心を持っておりますことでございますので、いろいろ取調べもいたしておりまするが、ただいまのところでは、新聞等の報道の方がどちらかと申しますと誇大に伝えられておりまして、現実にはこのための支障というようなことはあまり起っておりませんです。それから、また、非協力闘争のために石炭の消費量その他の上にも非常に大きな損害を生ぜしめておるかのように書かれておる新聞等もございまするが、また、組合側の報道もございますが、これも、ただいま当局側が調べましたところでは、それほど大きなものはないということでございまして、しかし、いずれにいたしましても、労使関係がこのような状態にありますことは、私どもといたしましてもまことに遺憾でございまして、一日も早く正常化されなければならないというふうに思っておりまするが、現在の状況では、法律上の問題としてはやはり訴訟が係属されておりますので、訴訟の決着を待たなければわかりませんし、また、実際上の取扱いといたしましては、今の組合側態度ではなかなか解決が困難であると思って苦慮いたしておるような次第でございます。
  45. 松浦清一

    ○松浦清一君 今までの御答弁でも、とにかく組合の反省を求めるということ、それ一点張りで御答弁をなすっておられますが、この問題の解決をしなけりゃならぬ一番の力というものは、一体どこにあるんでしょうか。これは運輸大臣でしょうか、国鉄総裁でしょうか。その辺のところがあんまり明確じゃない。役所の方の指示を仰ぎながらやっているということを始終おっしゃられますけれども、ことしの二月の二十二日の予算委員会で、衆議院の井堀君の質問に対して、十河総裁はこういうふうに答えております。「労使慣行の正常化ということは私も心から望んでいるところであります。それにはまず法律の規定を守って違法状態を解消するということが基本的の前提条件ではないかと思います。その前提条件がちょっと欠けておりますので、団体交渉によって平和裏に問題を解決したいと思いながら、できないで困っている」。できないで困っている。処置ない。それから、運輸大臣が同様の答弁において「国鉄の労使関係の正常化ということは、私も監督の立場から、常に熱意を持ってこれを見守っておる」と、こう書いてある。だから、これは、運輸大臣は見守っておるだけで、国鉄の自主裁量によってこの解決を見守っておるのか、それとも、運輸大臣ががんばっておって、そうしてあなたの方のいつもおっしゃる組合の反省がない限り団体交渉に応じてはならぬ、正常の組合とは見てはならぬ、こういうのは、運輸大臣が主としてそれを考えておるのか、国鉄総裁が主としてそれを考えておるのか、どういうことなんですか。責任のなすり合いになったり、国鉄総裁に聞けば、運輸大臣の指示を仰いでからと、こうおっしゃるし、運輸大臣に聞きゃ、まかしてあるようなことを言うておるわけですね。これはしばしばこの委員会でも私は聞いておるわけです。だれが一番強い権限を持っておってこの解決に当っていく、こういうことなんですか。どういうふうになっておるのですか、その辺。
  46. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 労使の問題は、これは国鉄の問題でございまして、総裁が全責任を持つわけでございます。ただ、労使の問題が、いろいろ法律の問題、あるいは予算の問題と、こういうようなことになりまして、たとえば法律の解釈、あるいは予算の問題ということになりますと、これは総裁あたりでいかんともいたしがたい点がございますので、そういうときには、関係方面に御連絡をとるとか、あるいは指示を仰ぐとかいうことはございますけれども、労働問題の個々の問題は、全部総裁責任において処理いたしております。
  47. 松浦清一

    ○松浦清一君 今までの裁判所の判決なんかの書類を見ましても、結局、機関車労働組合というのは、労働組合であるということは憲法上間違いない。労働組合であることは間違いない。この公労法の第四条の三項には該当しない、こういうことが法解釈上はだれが解釈したところでもこうなっているようなんです。そこで、私は、問題になると思うのは、こうして待っておれば、機関車労組が反省をして、あなた方の言うつまり反省をして、そうして役員を入れかえてやってくるだろうということであなた方待っておる、もう一つの希望は、裁判所の判決が国鉄側に有利に判決されるだろうということを待っておる、こういう態勢にあると思うのです、実態はですね。もしそういうことになる期間が非常に長引くか、もしくは、どうしても当局側の言うことに承服ができなくて組合がゼネストを断行して、そうしてあなた方のおっしゃる第四条第三項の規定に反するようなことをどうもやる、そうすると、五万三千かなんぼの機関車労働組合組合員全部首切っちゃうわけですか。私は、自分のことを言ってはおかしいですけれども、三十何年労働運動をやっております。いまだ解決のつかなかった問題に当ったことはないんですよ。いまだどうにもこうにもならないというような問題に直面したことはない。ストライキもやりました。私の所属しておる組合では、今国会で問題になっておる最低賃金法案に先がけて、最低賃金の問題も協定ができておる。この間もストライキをやりましたけれども、それで今の海運の関係は非常に不況です。不況ですけれども、二年間私どもはしんぼうしてきた。これはやらなければいかぬじゃないかというので、一人平均四千円のベース・アップをやったのです。これは非常に政府側としては困難だったでしょうけれども、やはりそれは最終的には話し合いによって解決はできているのです。話し合いをすれば解決がつかないというはずはないのですよ。ただ、あなた方は期待している——向うが折れてくるだろうとか、判決が有利になされるだろうという期待をもって、じんぜん日を送っているということは、まことに私は残念しごくだと思う。何か打つ手はありませんか。私は率直に聞きますけれども、正式に団体交渉ができない、かりにそういうことを認めるとしても、団体交渉をやる前の予備折衝をやる、黒川君、ちょっと来てくれ、中村君、ちょっと来てくれということで話し合いをすれば、解決のつかない性質のものではないと思う。あなた方はあまりかみしもを着てい過ぎるので、労使の正常化が保たれなくて、そうして国民に非常に迷惑をかけ、心配をかけているということが、私は現状だと思う。それは労務管理上非常に私は大切なことだと思うのですよ。あなた方が今、急転直下、公企労法の第四条第三項の規定、あれはわれわれの解釈が間違っておったと、こういうことは言えないでしょうから、そう言わないでも、それを正常な軌道に乗せるためには、一ぺん一つ話をしてみようじゃないかということで、正常な軌道に乗せるための話し合いというものは、率先あなた方の方から努力していけば、おのずからそこから曙光が見出せるのではないか、こう思うのです。それをやるという御意思はございませんか。そうでないと、やはりただ旗をかついでわっしょわっしょといっておったのでは話にならぬ。中村君、ちょっと来てくれや、黒川君、ちょっと来てくれやというようなことで話をするということでないと、そうしてきっかけを作っていくということでないと、裁判の判決や、組合の方があなた方の思う通りになってくるのを待っておれば、いつまでたってもこれは解決つかない、こう思うのです。その辺の一つ腹ごしらえはできませんか。
  48. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 国鉄当局立場といたしましては、この法律の規定というものがあって、それに明瞭に抵触した状態がそこにあると私どもそう考えておりまするので、そういう状態があるにかかわらず、現実にはそういう法律無視のことが行われておっても一向差しつかえないのだという形になったのでは、やはり困るのではないかというふうに考えますので、法律無視の状態が改められない限りは、組合団体交渉をやったり、あるいはそれと同じようなことをやるということは、これはやはりどこまでもやらずにいきたい、しかし、職員個人としてのいろんな話は、これはまた別でございますから、現実にもこれは来てもらうこともございまするし、また先方から来られた場合に、お話をするということはやっておるわけなのであります。
  49. 松浦清一

    ○松浦清一君 あなたはやはり役所の人で、機械的によく考えるけれども、これが私企業の社長、重役だったらどうするでしょう。私企業の社長や重役だったら、そんな格好をしておられませんよ。それはやはり正面衝突すれば、私は会社の社長であっても、労働組合委員長であっても、それは話し合いの糸口は開いていくと思いますよ。あなた方は、個人的に損害がないから、そういうことをおっしゃっておられる。親方日の丸のつもりか知れませんが、法律は守らなければいけません。私は法律に違反せいとは言っていない。法律を守るためにどうしたらいいかという話し合いはなさるべきだと思う。どういう問題の折衝を行うにしても、いろいろの予備折衝というものがあるはずです。国会運営をするにしても、本会議でどういう議題がどうして出されるか、だれが質問をして、どういう工合にするか、どういう大臣が出るかということも、運営委員会で相談してやっておる。だから、そういう本会議が開かれる前提としての、いわゆる各派交渉会に類する——私の立場においてもけっこうだと思う。何べんでも話し合いを繰り返していったら、両方はやはりものわかりのいい、御理解のある人たちですから、話の一致点というものは見出されると思う。いきなり団体交渉を始めようかということでは、あなた方の面子もおありでしょうから、団体交渉をするにはどうしたらいいか、あるいは今まで懸案になっておる問題の解決にはどうしたらよろしいかということについては、それは小倉個人でもいい、中村個人でもいいですから、そういう話し合いを何べんも重ねていったら、幾ら労働組合の人たちだって、輸送事業の重要性というものは、十分認識しておるはずです。国民に対する国鉄責任者としても、その義務なり重要性というものをよく自覚しておられるはずだと思う。ただ、体面だ、法律だということでにらみ合っておるから、いつまでたっても解決がつかない。そういうことになれば、組合としても、力で争っていかなければならない。先ほど申し上げたように、私が組合の指導者なら、五万三千人全部首になるまでやりますよ。みんな集まれば五万三千人首を切るということはとてもできぬことだから。あなた方は、とてもそんなことはやれぬだろうというので、なめ切っておるわけだ。そういうことでやっておるのでは……。私はこれでやめますけれども、また次の委員会でも、その次の委員会でも、この問題を継続質問としてやります。それを予告をしておきます。ただ、話し合いのつく道筋を開くための予備折衝をやるという意見一つ固めてもらいたい。どうかそれに基いて一つやるという御答弁をいただいて、きょうはやめておきます。それをやらぬというようなことはできないでしょう。
  50. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 四十五万の職員の大多数の者は、法律はやはり守るという原則を認め、そのもとに行動しておりますので、そういう諸君と、頭から法律を認めないという立場をとっておられる方と同じにというわけにはいかぬと思いますが、その辺のけじめはきちっとつけなければいけないと考えておりますが、先ほども申し上げましたように、職員個人としてのお話し合いは、これは今までもやっておりまするし、お互いに現在の行き詰まった労使関係を打開したいという気持は、十分に持っておるつもりでございますから、そういう意味での話し合いは、これからもいたしたいと思っております。
  51. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで私わかりました。話を進めて下さい、そうでないと……。あなた方は組合をちょっとなめ過ぎておられる。われわれ戦争前の労働運動なんというものは、労働組合には何の保護もなかったですよ。それでも私は船の関係をやっておりましたけれども、日本全国の船をとめて抗争したことがあるのです。法律々々と言うけれども、法律をたてにとって話し合いの場を作らないということではいかぬ。法律を守るためにどうしたらいいか、こういうことの話し合いは、仲間同士としてなされなければならぬ。ただ、私は他人ですよ、国鉄御一家からいえば、私は他人です。他人が心配しておるのに、御一家の人たちがやあやあと言って話ができない、そんなばかなことはありません。それをやって下さい。
  52. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して。今の答弁の中で、ちょっとこの前の私の質問に関連する事項がありまするので、その点についてお伺いしたいと思います。熊本におけるところのお召し列車の運行計画について支障はないと、こういう報告でありました。そこで、お尋ねしたいのですが、新聞の報道通りに、機関車労働組合の熊本の地方本部におきましては、お召し列車の運行計画というものについて協力はしないという、そういう決定をしておるかどうか、それについてお答えを願いたい。
  53. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 熊本では、三月の十一日に熊本の地方本部から——これは国鉄労組の方でございますが、お召し列車乗務のための一カ月前からの特別訓練をしないで、普通時の取扱いにしろと、それからお召し列車のための臨時施設その他は中止し、組合の経済要求を受け入れよ、こういうことを申し入れてきましたので、検討しようということになっておる模様であります。従って、この方は話をしておると思います。それから機関車労組の方は、三月十一日付の毎日新聞によれば、熊本支部は非協力闘争を行うという言明をしたというふうに報道されておりますが、この点、今取り調べておりますが、はっきりしたことがわからない、別に当局側に対しては、少くとも非協力闘争をするのどうのということにはなっておらぬ、こういうことでございます。
  54. 大倉精一

    ○大倉精一君 まだわからぬというお話なのですけれども、この前の委員会のときには、その新聞記事は見ておらぬから現地について調べて御返事を申し上げます、こういうことだったのですが、どういうわけでわからぬと言うのですか。
  55. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) お尋ねによりまして、またその新聞記事も持っておるのですが、具体的な詳しい状況を私どもも知りたいと思いまして、現地に照会をしておるわけでございます。連絡しておるのですが、新聞に報道された事実はあるけれども、具体的に何も今のところ新聞に書かれたようなことは起っておらぬし、そういう話もないのでございます。
  56. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いておるのは、熊本の機関車労働組合の諸君がお召し列車の運行について協力をしない、非協力という、そういう決定をしたのか、そういう態度を持っておるのか、こういうことを聞いておるのですが、それはわからぬですか。
  57. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) それはわからないのでございます。決定したということはわからないのでございます。
  58. 大倉精一

    ○大倉精一君 それはあなたの方に鉄道電話等もあると思うのですが、わからないという原因はどこにあるのですか。どうしてそれは調べることができないのですか。機関車労働組合とは話をしないからわからないわけなのですか、どうなのですか。
  59. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 組合内部のことは組合内部の決定であって、私どもの方にわからないことはしばしばあるわけでございます。熊本でもって照会はしてみたのだろうと思いますけれども、わからないようです。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 お召し列車については何ら支障がないという御答弁でございましたけれども、そういう大きな支障もあるのではないですか。お召し列車を動かすものは機関車労働組合の労働者だ、その労働者がきめておる態度については、さっぱりわからないというのであれば、これほど大きな支障はないと思うのです。どういうわけでわからないのですか。わからぬはずはないじゃないですか。お召し列車を運行しようとする場合、それを動かすところの機関車労働組合の諸君がこれに協力しない、少くともそういう工合に報道をされておる、新聞に。それをあなたの方はいろいろな電話その他の機関があるにもかかわらず、わからぬというのはどういうことですか。機関車労働組合を相手にせぬということでもって全然話し合いもしないからわからぬと、こういうことなのですか。
  61. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) お召し列車の運転に協力しないということは、これは国鉄としては非常に重大なことでございますから、それだけのことをほんとう組合として決定したなら、当然当局に対しても通告してきそうなことだと思いますが、そういうことは何もしておりません。
  62. 大倉精一

    ○大倉精一君 通告してきそうなものだとおっしゃるところを見ると、機関車労働組合というものにやはり委員長書記長もあるとお認めになっておると思うのですが、今までのお話によるというと、あれは労働組合として認めがたいから話し合いもしないのだ、こうおっしゃっておると思うのですけれども、今のお話によるというと、あなたの都合のいいときだけ向うの方から書面でもって通告してくるだろうというふうに期待しておられるようですが、どうもその辺食い違っておりませんか。
  63. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私ども、現在団体交渉もしくはそれにまぎらわしいことはやらぬということを言っておりますけれども組合側としては、とにかく機関車労働組合というものの存在をあらゆる機会に認めさせよう、こういうお考えでありますから、しばしば書面等も提出されてくることがあるわけでございます。従って、交渉はいたしておりませんけれども、おそらくこういう大きな問題についてほんとうに決定したというようなことが通常の場合わからないということは予想されないのでございます。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは非常に大きな問題だと私は思うのです。お召し列車の運行そのものに協力しないというのではないように新聞には書いてありました。お召し列車の運行について、一カ月間の訓練期間があって、その訓練に関連をしていろいろ職場においては問題が起ってくるから、そういう問題について話し合いをしたい、こういう機関車労働組合からの申し入れに対して、あなたの方では話し合いをしない、こう言っておられるから、結局機関車労働組合の方ではそれではそういう計画については協力ができない、こういうことが新聞には書いてありました。少くともあなたはその新聞をごらんになったとするならば、そういう非常に重大な事態に対して、どうしてお調べにならないか。お調べになってわからないという理由はどうなんですか。どうも納得できません。
  65. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 列車の運転ということは、これは当然業務運営に関する事項でございますし、現地では具体的計画を立ててその計画に従って現実には機関区長がその区域に対して業務上の命令を出して仕事を遂行させておるわけでございますが、その間に具体的に今何の支障も起っていない、こういうことであると思います。
  66. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも私の質問から答弁が全部それるようなんですけれども、端的にもう一ぺん聞きましょう。そういう重大なことであるとさっきあなたはおっしゃったが、そういう重大なことが新聞に報道されておる、それをどうしてそういうことがわからないのか。組合がそういうことを決定したということを調べてみたってわからない、こうおっしゃったのだけれども、どういうわけでわからないか、あなたの方で。
  67. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 地元の者としては、お召し列車の運転に備えて着々といろいろ準備を進めておると思います。その準備を進めておる過程において障害にぶつかっていない、そういうことなんです。
  68. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうことを私は質問していない。それはあとから質問しますけれども現地の機関車労働組合としても、国鉄の地本といいますか、その関係当局の方へこの計画には協力しない、そういう決定をしたと伝えていると思うのです。これが事実かどうかということを伺っているのです。わかりませんか。わからないとするなら、どういう理由でわからぬのか、それを聞きたい。
  69. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 機労の熊本支部が非協力闘争を行うということを言明したということが新聞に伝えられておる。しかし、ほんとうに言明したかどうかは私どもはわからない。
  70. 大倉精一

    ○大倉精一君 それはどういう理由でわからないのか、それをお尋ねしているのです。わからぬということは、調べる方法がないのか、あるいはそういうことを調べる必要がないのか、どういうわけでおわかりにならぬのですか。新聞社が知っている、それを、松浦君じゃないけれども国鉄一家が知らない、そんなばかなことはない、どういうわけでわからないのか。
  71. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 管理局現地で調べたところでは、そういう事実ははっきりしておらぬ。
  72. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私どもの方でもう一回確かめてみましょう。実際機関車労働組合現地の人が非協力という態度を決定しておる。にもかかわらず、あなたの方ではそういう事実がない、こう言うのです。これは食い違っているといたしますならば、大へんなことだと思う。これは私は調べてみます。お召し列車に支障がないというお答えでございますけれども支障がないという認定といいますか、そういうものは一体何を支障があると言うのか、何を支障がないと言うのか、列車さえ動けば支障がないのか、あるいは少くとも天皇陛下というお方が九州においでになるお召し列車が通る、この列車は確かに動く、動くけれども、これを動かす国鉄当局とそれから従業員とが背中合せになっている、そういう雰囲気の中でお召し列車が通っていく、これはかなり重大な支障だと思うが、副総裁、この認識はいかがですか。
  73. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お召し列車が特別の列車でありますから、これについては関係者全部が円満な支障のない運行をいたさなければならぬ、という点で協力しなければならぬと思います。
  74. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁も私の質問と違います。私の質問は、先ほどの吾孫子理事報告は、お召し列車の運行については何ら支障がないと、こういう言明をされておりました。ところが今機関車労働組合とあなたの方との関係は、先ほど松浦君がるる質問しておった通りに、まるでかたき同士のような格好になっておる。そういう雰囲気の中でお召し列車が通っていく、これは重大な支障だと思う。まかり間違えば、このお召し列車にいつ何どきどこでどういう支障が起るかもしれない、そういう状況のもとにおいてお召し列車が通っていく、かりに無事に通ったとしても、重大な支障だ、こうわれわれは認識せざるを得ない。でありますから、そういう点についてそういうような状況のもとにおいてお召し列車を迎えるということ、これは非常な大きな支障じゃないかと思うのですが、そういう認識に立っていないのですか。
  75. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お召し列車にかかわらず鉄道の列車はすべて重大であります。ことに旅客列車につきましては、一旦事故があれば多数の死傷者を出す、こういうことできわめて重大でございます。しかしながらただいまの団交をする、しないという問題は、これは労働組合との問題でありまして、現在の列車は、これは業務運営でございまして、すべての列車が最近はきわめて正常に運転いたしております。
  76. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の質問にお答え願わないと、いつまでたってもこういう質問をしなければならぬということになるのです。質問の要点は、一般の客車あるいは貨物列車、これは確かに国鉄の闘争中でも通ります、汽車は動きます。動いておりますけれども、九州でお召し列車を迎える、天皇陛下がおいでになる、こういう事態に今何ら支障がないという御報告については、私はどうしても納得いかない。いわゆる機関車労働組合現地の諸君と、そうして国鉄の当局とがいがみ合った中でお召し列車を迎える、確かにお召し列車は動いていくでしょう。しかしそういう中でお召し列車を通すということ自体が、私は大きな支障だという、そういう認識の上に立っておられるかどうかということを私は言うわけなんです。ただ何でもかんでも汽車さえ動いていればいいのか、それでいいわけですか。しかも私の今聞くところによると、新聞等で見ますと、先ほども松浦君がいろいろ質問しておりましたけれども、あまりにもあなたの方はかたくなだ、かたくなであるがために話し合いもしない、陳情も受けない、何らの調べもない、当局としてこうきめたからということも知らせない、相手側に知らせない。こういうところから争議が起っておるということを私は聞いておるけれども、これなんかそういうあなた方の態度からして、いわゆる現地においては非協力という態度が生まれていく。そういうような状態であれば、その状態そのものが非常に大きな支障である。お召し列車を通すという場合には非常に大きな支障である、こう私は考える。もう一ぺんその認識についてお答え願いたい。
  77. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お召し列車と現在の機関車労組との関係はどうだと、こうおっしゃいましても実は答弁に困るのでございまして、私のお答えを繰り返すようでありますが、お召し列車については万遺憾なきを期して参りたい、こう申し上げるよりほかはないと思います。
  78. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあこれ以上質問いたしましても、質問の要点をはずされておりますので私は申し上げません。上げませんが、そういう御答弁は全く私は遺憾だと思う。お召し列車をそういう状態のもとに通すということ自体が、私は非常に大きな支障だと、こういう認識を持っておるのだが、あなたの方では支障があるとか支障がないとかいうお答えがあればいい。あればいいのだけれどもそういうお答え一つもない。私はそういうような状態でお召し列車を迎えるということは、非常に大きな支障であると、こういう認識を持ちます。私はあなたが今お答えにならぬからこれ以上要求はいたしませんが、ただ現地の聞いている事実と食い違っておりますから、これはまた私の方でも調査をいたしまして、この質問を保留いたします。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 関連。吾孫子常務理事に一点お伺いしておきたいのですが、先ほど機関車労組の決定ですね、それあなたご存じないという話なんですが、そういうことで労働対策できますか。情報をはっきり把握しないで、そうして多数の労働者の働きがどうなっているかということがわからないで、そうしてあなた労働対策できますか。ちょっとその点お伺いしておきます。
  80. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 組合の内部事情というものはよくわかっておれば、それにこしたことはないと思いますが、しばしば秘密の決定もあり、秘密の指令もある。それを一々知らなければ、完全なあるいは労働対策というのはできていないのかもしれませんけれども、知り得る限度でやる以外に方法はない、こう考えます。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 新聞に出たことは組合の秘密のあれとは違うと思う。新聞に出たくらいの限度のことがあなたにははっきりつかまれていない。またその努力をされた形跡もない。そういうことで、しかも労働者に対しては今言ったように団交はあくまでしないと、法律の限界でやっていくんだ、こういうようなことで、この前から大倉委員がずいぶん質問された問題については、何ら変更ないわけなんですが、私は危くてしようがないのです。そういう情報もつかめないで、労働者の気持や労働者の動きや、そういうものがほんとうにつかめないで、立てられている労働対策とは何ものかと言いたい。それは欠陥と認めておられますか。非常に欠陥があると思います。機関車労働組合の人員は相当の数だと思うのです。その人たちがどういうふうに動き、どういうことを要求し、そうして現在どんな考えを持ち、行動しているかという問題について、はっきりあなたがつかんでいられないと、そうしてどのような対策を用いるのです。これをはっきり、現在の労働対策の上における欠点としてお認めにならなければならぬと思いますが、その点どうですか。
  82. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 労使双方というものは、これは対等の両当事者でありまして、お互いにやはり組合には組合側の秘密ということもございましょうし、経営者側には経営者側でまた経営上の秘密ということもございますでしょうし、それをお互いに全部両方わかっていなければ、完全な労務対策ができないじゃないかということは、わかっているにこしたことはないと思いますけれども、ある程度やむを得ないことではないのかというふうに考えております。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 やむを得ないなどで済まされる問題ではない。現実には天皇の列車が通る、その運行の問題なんかもあるわけです。これだけを大きくわれわれ言う必要も認めない。その点ではまあ小倉総裁とも考えは似ています。その点は一般の旅客対策もあり、天皇だけは特殊だとは考えておりません。そういう点ではそうだけれども、しかしそれをひっくるめても、一方ではそういういろいろ言明をして、いろいろ新聞にも報道されている。それが国鉄のしかも労働対策をやっている最高責任者がはっきりつかんでいられない。そういう態勢の中で、あなたたちは大体心配はないだろう、支障はないだろう、こういうようなことでこれは話をしておられるのだが、支障があるかないかということは、これはほんとう実情をつかまなければならぬ。従ってあなた方の今立てておられる労働対策というものは不安なきを得ない。何らの具体的な客観的な情報の上に立っていない、労働者の動きの上に立っていない。そういうような労働対策というものはあり得ない。従ってこれは非常に欠点を暴露せざるを得ないと思う。そういうような欠点がどこから起ったか、その点については深く考える必要があると思う。つまり団交が持たれない、労使の間が正常化されていない、そういうことによって、はっきりあなたたち自身対策の中にも、そういうような今度は不明僚な、欠陥が起っているのだ、という事実をお認めにならなければならぬと思いますが、この点どうです。これは副総裁にお聞きしたい。当然でしょう、当然だと思う。
  84. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) あのお召し列車は、前にも申し上げましたように、国鉄としては特に重大なお召し列車でありまして、特に重大であると思っております点につきましては、岩間先生と私と少し考えが違うのでありまして……。
  85. 岩間正男

    岩間正男君 それはいいです、それは何も大したことじゃない。
  86. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 実は原則論といたしましては、できるだけもちろん労使間がスムースに行っておりますことが一番望ましいので、情報収集その他満足に行くということはこれは疑いを得ませんのですが、現在につきまして、現段階のようなことはまことに望ましくないことでございまして、できるだけすみやかに正常化をはかることに、立ちもどることを念願といたしておりまするが、なおこの本件の熊本の問題につきましては、実は私の部下の関係の方面から、お召しについて遺憾なきを期しているということでございましたので、それ以上の質問をいたさなかったのでございますが、これは私も手ぬかりでございますので、十分今度調査いたして、さらに遺憾なきを期して参りたい、こう思っております。
  87. 柴谷要

    柴谷要君 関連。何か話を聞いていますと、お召し列車に対して国鉄は特別に何かやっているように聞きとったのですが、私はそうじゃないと思うのです。ただ普通列車の運転と違って特別の規定があって、特別の規定に従って鉄道はお召し列車の運転に挺身しているので、ですからその規定のワク内、国鉄支障なくやっていればいいのです。それで別にわいわいと全部陛下のお召し列車の方に向って、国民が一体となって陛下をお迎えしなければならぬ、という態勢を作らなければならぬような情勢じゃないと私は思う。国鉄は規定に従って運転すればいいと私は思うのです。ただそういう場面に地方では交渉をしないかといって……下部末端の機関車労働組合の諸君は善良な職員でもあり、機関車労働組合に結集されておる、地方においては過去においては、中央交渉地方交渉二つの単位があった、だから地方交渉単位があれば当然交渉できるのです、地方がどうであろうとも。今日そういう単位がなくなったから、あなた方一律に見ておられるけれども、ちょうど皆さんの関心を持っている問題だけに、お召し列車の問題に対する申し入れがあったら、管理局長がちゃんと申し入れを受けて、意向を聞いて、話し合いでも何でもやっていけばこんな問題は出ないのじゃないかと思うのですが、そういう処置吾孫子さんしていないのですか。中央では四条三項の制限規定があるから、これは相手にしないと言っておられるけれども地方ではそういうことはないのじゃないのですか。そういう問題については特殊なことだから、機関車の諸君を呼んで十分話し合ったらいいじゃないですか。そうしたら立ちどころに問題がなくなるでしょう、そういう問題を国会で議論しなくてもいいのです。そういうお考えお持ちじゃありませんか、あなたの頭でちゃんとやられるということで考えておられるなら、おやりにならなければならぬ。早くやったらこんな問題はなくなってしまうのです。すぐ現地でおやりになる気持はありませんか、ちょっと局長にサゼスチョンしなさいよ、問題は解決するから。
  88. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) お召し列車の運転は、他の列車運転についても同じでありますが、これは業務上の問題でありますから、業務上の指示をそれぞれ下部機関に落しておるわけであります。それでそれぞれの命令支障なく遂行されればそれで問題ないわけでございまして、現在おそらくお召し列車の運転も間近に迫ったので、それについての業務上の指示も出ておることと思いますが、それらのことはきちんと行われておるというふうに、私どもは承知しておるわけであります。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 答弁に食い違いがあるから……。今黙って聞いておると、吾孫子さんの答弁と副総裁の答弁とだいぶ食い違っておる。そうして今副総裁は今さらながらしげしげと新聞記事を見ておられる。吾孫子さんはそういうことは調べてもわかりませんという答弁だった。だんだんそれが変化してきて、そういう態度は決定いたしておりません、こう言う。それで私は、現地調査した結果、もう一ぺん質問いたしますと、こういうことになった。ところが今さっき副総裁岩間委員に対する答弁の中では、現地支障がないと言っておりましたので、であるから、労働組合のそういう問題については調査いたしませんでしたと、こういう答弁です。いや、私はそう聞きました。速記録を調べましょう、そう聞きました。これはずっと終始一貫した答弁じゃなくて、もうそのときどきの行き当りばったりの答弁というより受け取れない、調査してもわかりませんでした、それがだんだん変化してきて、労働組合もそういう態度の決定はしておりません、こういうことだった。今度は副総裁は、現地報告では何ら支障がないということでありましたので、そういう問題については調査いたしませんでしたと、そう言う、どれがほんとうですか、両方からもう一ぺん聞きたい。
  90. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私は部下から、この問題について、遺憾のないようにしておりますということを聞きましたので、それでそうかと申したと言っております。しかし、下の段階でこれをどういう調査をしたか、あるいは調査がされなかったか、そういう点はまだ承知しておりませんので、これにつきましては、こういう問題になりましたので、さらにあらためて私はこの問題について前後の事情を聞こう、こう申し上げたのであります。で、新聞を読んだのをおしかりのようでございますが、これはやはり一回読めばということでもなく、さらにどういうことか記憶を呼び起すために見たのでございますが、ここにやはり見出しとしては、お召し列車運転お断わりと、こう書いてあります。しかし、こういうことは、私どもの常識ではこれほどの話はよもやあるまいと、こう考えるのでございまするが、先ほども申しましたように、私どもとしましては、この運転計画というのは団交でなく、実際の日常業務としての話をもちろんつけております。そうでなければ交番も組みもないわけでありますので、そういう点については、現段階におきましても、列車がすべて正常に運行いたします点から見ましても、このお召し列車運転お断わりというところについては、非常に私も疑問を持っております。よもやこういうこともあるまいと思いまするが、さらに私の責任において事実を調査し、遺憾なきを期して参りたい、こう申し上げておる次第であります。
  91. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今副総裁お答えになりましたように、調査をしてなかったというのではございません。これは先ほど来私が申し上げましたように、熊本の管理局に対して、この事実に対してどうなっておるかということについては、何度も本社から聞きもし調べさしておるわけでございます。それから組合との関係につきましては、お召し列車の運転そのものは、これは何も団交事項でもありませんし、また団交にまぎらわしい行為を、これほどのことを必要とする問題ではございませんので、業務執行として立てた計画が間違いなく実行されさえすれば、それで列車が動くわけでありますから、そういう意味で団交ができないからということとは少し問題が違うのではないか。現実にお召し列車運転の計画は着々準備が進められておる。それでそのことに何も支障が起っていないというふうに聞いておりますので、そのことを申し上げたのでございます。
  92. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  93. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。
  94. 高良とみ

    高良とみ君 この問題は、私は、一つさっそくに鉄道電話ででも現地及びその他お呼びになりまして、午後に一つ、皆さんが心配していることですから、国鉄からお話を至急に伺うことにして、今は時間もあれですから休憩にしていただけば、この話し合いが少しでも進むのじゃないかと思いますので、あえて議事進行をお願いしたわけであります。
  95. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 午後二時まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時四十分開会
  96. 大倉精一

    理事(大倉精一君) これより運輸委員会を再開いたします。  過般の南海丸遭難以後、運輸省内に設置されました旅客船事故防止対策委員会の中間報告をいたしたい、との発言の申し出が政府よりありますので、これを許可いたします。
  97. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) 過日の南海丸の事故にかんがみまして、当運輸委員会におきまする国政調査の御意見、あるいは当委員会におきまする御質疑を通じまして、私どもの日ごろ扱っておりまする行政を率直に反省をいたしまして、事故の絶滅を期するために、去る二月の五日に省内に旅客船事故防止対策委員会というものを設置いたしまして、種々問題点を検討して参ったのでございます。お手元に差し上げてございまする資料はそれの中間報告でありまして、今後この方向に向って対策を具体的に進めて参りたいと思っております。なお、これにつきまして当運輸委員会の御高見をも拝聴いたしまして、逐次実施に移して参りたいと思っておるのでございます。  まず第一に、そこにあります海運局の関係の問題でございまするが、御承知のように、国内旅客船には老朽船が非常に多いのでございまして、早急にこれを代替いたさなければならないのでございますが、三十三年度の予算におきましても、旅客船事故防止対策という構想を私どもは立てまして、共有制度を通じまして船質の改善をはかりたい、こう考えて努力をいたしたのでございまするけれども、すでに御承知の通り、予算が成立いたしませんので、三十四年度の予算にはぜひともこの実現をはかりたいと、こう考えておるのであります。当面その間におきまして、開発銀行あるいは中小企業金融公庫等に対しまして、融資のあっせんをはかって参りたいと考えております。北海道におきましては、すでにいち早く、共有制度によりまする船質改善の方途といたしまして、離島航路整備会社というものの設立を目下進めております。道庁、北海道開発公庫、民間、こういった構成におきまして、新年度早々設立される見込みでございます。  次の2のディスパッチャー制度の採用、3の気象海象の把握の定型化、これは二つ相関連をいたす問題でございまするが、気象海象の情報の入手と伝達につきまして、航路及び企業の実情に即した合理的な手続を、ここに定型化していこうということを考えておるのでありまして、それがまた、当委員会でもお話がありましたように、船長の出港判断を助けて合理化していくためには、一つの仕組みといいますか、体制を行政指導によりまして進めて参りたい、こういうふうに考えるのでございます。  4のPR活動の強化でございまするが、これは運航、営業両面におきまする実際の業務担当者の協力を得なければ、海難防止の実効が上らないのでございまするので、新しく海難防止協会というものを四月の早々に設立いたしまして、講習会あるいは実地の技術指導、あるいはパンフレットその他の啓蒙、そういった活動を強力に展開して参りたい、こう考えるのでございます。  その次の船舶局関係の船舶の安全性の基準の問題でございまするが、この対策委員会におきまして決定をいたしまして、当委員会にもその際御報告申し上げました、南海丸の僚船のわか丸の実船試験の結果を、お手元に別紙の資料として配付を申し上げておるのでございまするが、去る二月二十五日から二十八日に至りまする間において、運輸省を中心に、運輸技術研究所、あるいは大学の専門家の協力を得まして、これはみな造船技術審議会の安全部会の委員の方々でございまするが、そういった方々の御協力を得まして、傾斜試験、動揺試験、あるいは実船航行試験、こういったものを実施いたしました結果は、お手元に配付をいたしておりまする資料のように、復原性の基準に適合しておる、ということが判明をいたしたのでございます。また、いろいろの性能上の数値がそこに出ておりまするが、特異な点は見出されなかった、こういう結論で精密な学術試験調査というものを終了いたしておるのでございます。ところが問題は、現実に事故を起して沈没しておるのでございまするので、復原性の基準に合格したことが判明をいたしましても、さらに安全性を高める方が望ましいという見地からいたしまして、所要の改造を行うことを運輸省からも慫慂いたしましたし、会社からもその具体的な計画案というものが出て参りましたので、これを承認をすることにいたしております。今後の対策の問題といたしましては、ここに一つの問題がございまするのですが、沿海区域というものが、もっと十分外洋に準ずるような航路もあるのであるから、安全性基準の適用の上からいって、もう少し航路を細分化するか、あるいは特定の航路に対して、安全度を高めるような措置を基準の上で考えるべきであるという御意見もありましたので、そういう方向に向って、造船技術審議会の方に、官民の専門家の集まりでございまするので、その審議会に諮問をいたすことにいたしております。  それから、その次の復原性に関する資料を整備していない船舶、主として復原性規則の制定以前の船舶の中で、さしあたり沿海区域の旅客船の二百隻を目途といたしまして一斉調査をいたし、順次平水区域の船舶にも拡大をいたして参りたいということでございます。その資料ができ上りました船舶から順次、検査時期を利用いたしまして復原性の試験をやりまして、その性能を確認いたしまして、就航航路の適否を決定するような措置を講じて参りたいというふうに考えるのでございますが、航路の特殊性というものにつきましては、海上保安庁、あるいは気象庁等の科学的な基礎になるような資料をもとにいたしまして、調査を行なって参りたい、こういう方針を立てたのであります。そういう調査をいたしまして、それとともに、こういった資料に基きまして、各船別に定員を再検討をいたすということが、そこにあがっております2の問題であります。  その他、船舶通信施設の拡充、あるいはゴムボートの救命艇代替とラジオブイ設備の強化、検査方法改善、検査組織の強化、臨時旅客運送を行う小型船舶に対する安全規則の改正、あるいはレーダー、自記測深器の設備強制、航海計器の検査の法制化、あるいはまた非常の場合におきまする出入口を、夜光塗料を塗りまして表示して明らかにしたい、平水航行の船舶に海図を備え付けさせる、また国際航海で行なっておりまする非常訓練の実施を国内航海にまで拡大をするというようなことにつきましても、具体化を研究しようということが、船舶局の関係の問題でございます。  その次に、船員局の関係でございますが、船員局関係といたしましては、この対策委員会で主として問題にいたしましたのは、船員の素質の向上という問題と、乗組船員の実態調査、こういう二項目に分れておりますが、船舶職員につきましては、旅客船の航路の実情に応じまして、その資格について、法制的に検討を加える必要があるとも考えられるのでありますが、差し当り行政指導によりまして、航路によって適正な配乗を行うということを実行いたします。それと同時に、職員につきましては、優秀な船員の配乗を指導していく。わが国ではまだ批准しておりませんが、エーブル・シーマンの制度について国際条約がございまするので、そういう趣旨を取り入れまして、将来法制化にまで持っていくことも検討をしてみるということであります。その他、教育、指導につきましては、講習会あるいは講演会、パンフレットの頒布等によりまして、あらゆる機会を利用して現場指導を行なっていく、特にローカル気象の教育に重点をおいて指導を行なって参るということであります。また一番最後の、乗組船員の実態調査でございますが、労働条件あるいは労務管理の悪いときには、やはり事故が起っておる実績でありますので、そういう方面について強力に行政指導をやり、また、この方面についての調査研究も続けていきたいというふうに考えておるわけであります。  その次は海上保安庁関係でございまするが、特に旅客船に対する取締りを強化するために、去る二月二十五日現地に指令を発したのであります。定期取締りと特別取締りとに分けておりまするが、特に行楽シーズンを控えておりまして、立ち入り検査あるいは保安官の派遣、あるいはそれに対する警乗、こういったような方法を通じまして、適切な取締りを実施するということにいたしております。旅客船航路筋の航路標識が整備をされていないために事故が起るという問題もありまするので、大体三十三年度の予算におきましては、十四カ所、三千百万円をもってこういった施設の整備をはかる予定にいたしております。  それから潮流急激な個所についての潮流図の作成、あるいは潮流の急激な水域付近に、気象、海象報知を行いますステーションを設置する、あるいは海流の予報、海上保安庁関係の通信所の聴守体制を強化して参る、夜間に遭難事件が多いことにかんがみまして、小規模通信所は、定員の関係で昼間だけ執務いたしておりまするが、夜間も聴守できるように整備をいたしますとともに、通信施設のないような所は、小規模通信所等を新設いたし、また巡視船艇にも施設を整備して、陸上部署相互間の連絡通信網もあわせて強化して参りたいということでございます。  次に、気象庁の関係は先ほどもちょっと触れましたが、気象、海象資料の収集強化であります。今回の事故にかんがみまして、気象、海象資料の収集の上において、あるいは不十分な点があったのではないかというふうにも考えられますので、離島あるいは岬の突端等に風向、風速の観測所、ロボット観測所を設けまして、こういった方面の施設を整備して参りたいと思うのでありますが、三十三年度にもこの種の要求を予算においていたしたのでございまするが、これも成立をいたさなかったのでございまして、実行の上において一つ特定個所に試験観測を行なってみようということをこの委員会でとりあえずきめたのでありますが、大体気象庁の内部においても、できるじゃないかというところで今なお検討をしておりまするが、実行で一カ所、少くなくとも百万円ばかりの経費を要するのでありますが、そういうものを実験的に施設をいたしまして、これで陸上風と海上風との差異、あるいはそれの相関関係といったものも究明して参りたいと、こう考えておるのであります。また、海上におきまするそういった資料の収集につきましては、どうしても船舶から臨時通報をしてもらいます、そういう資料を収集する必要もございますので、現在は法規的には義務づけてはおりませんけれども、行政指導によって、なるべく船舶からの通報を得まして、そういう方面の強化をはかっていきたいということであります。それからNHKその他の放送機関の気象注意報、警報の周知の迅速化の推進、あるいはまた、その次の旅客船の多い航路につきまして、局地気象報知制度をしく、先ほど申し上げましたような、海象、気象の資料の収集強化という体制ができ上りますと、照会のあったときに知っている範囲で答えるという方式で、ある程度局地気象の報知が可能であると考えられます。また異常時にはラジオで放送することの可能性も行い得るように、将来検討していきたいということであります。  その次の気象警報標識あるいは拡声器等の施設の強化でありますが、これは気象庁が整備するのではございませんが、主として利用者によって整備されるものが多いのであります。あるいは先ほど申し上げました海難防止協会等が、その利用者に対してある程度補助をして、施設を整備していくというようなことも考えられますので、そういったものに対しまして、通報の基礎となるインフォーメーションの提供については、気象庁はできるだけ協力をするというような手段を講じたい、あるいはまた防災気象連絡会などを活用して参りたい、気象指導、気象情報の解説、気象測器の検査の強化と、こういうことにも努力をして参りたいということであります。  以上、種々の問題点を検討をいたしましたが、この中には、今後長時間をかけて、相当科学的に調査研究を必要とするものもございまするし、早急に実施に移し得るものもありますので、そういったものにつきましては、逐次具体的に、その推進をはかって参りたいと思うのでございまするが、当委員会の御意見も拝聴いたしまして、さらに具体化に努力を進めて参りたい。こう考えておるのであります。
  98. 大倉精一

    理事(大倉精一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  99. 大倉精一

    理事(大倉精一君) 速記をつけて。  ただいまの報告に対する質問は次回に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 大倉精一

    理事(大倉精一君) 次回は公報でお知らせすることにして、本日は、これをもって散会いたします。    午後三時二分散会