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政府委員(林坦君)
航空法の一部を
改正する
法律案の
提案理由及びその主要な
改正点につきましては、さきに
大臣から御
説明がありましたが、私から若干補足いたしまして、順を追うて
説明を申し上げさせていただきます。
最初は、第二条第九項の
関係でございますが、これは定義
規定の
改正についてであります。飛行場の転移表面の定義が、従来勾配のとり方におきまして、国際基準と若干相違しておりましたので、これを
改正いたしまして、国際基準に合致させますとともに、表現の的確を期した次第であります。
次に、
大臣が
説明されましたときの第一項目でございました第十条
関係でございますが、航空機の耐空証明を行います場合は、用途、速度、重心位置等を指示するのであります。航空機が高速化しまして、その構造が複雑化して参りましたので、航空機自体の安全性をさらに強化いたします
ために、その指定事項を追加し得るように
改正したことであります。
運輸省令で定める航空機の
運用限界ともいいますのは、たとえば積載限界でありますとか、それから対気速度の限界、動力装置運転限界、大気温度の限界、それから横風速度の限界、風及び水上
条件の限界、乗組員の限界、
運用様式の限界、
運用高度の限界その他荷重倍数の限界、そういった内容のことをきめるわけでございます。
次に、
大臣の
説明の場合の第二の項目でございますが、ちょうど
法律では第三十八条、三十九条及び第四十七条の
関係でございます。飛行場の設置を
申請いたします場合に、これを公共の用に供するかどうかの別を記載するようにいたしまして、自後の
法律関係を明確にいたしますとともに、飛行場及び航空保安施設は、これを
運輸省令で定める保安上の基準に従って管理しなければならないように改めました点でございます。この点につきまして、
運輸省令で定める保安上の基準というものは、たとえば飛行場の設備の維持、保存
方法及び改修工事の施行
方法、それから制限区域の設定及び監視について、禁止行為の表示及び監視について、消火、救助設備及び救難
方法その他緊急の場合の措置について、その他連絡、通信設備の設置及び連絡
方法、こういったような内容のことでございます。
さらに、五十四条の二の
関係でありますが、公共の用に供する飛行場にありましては、その設置者が供用の
条件その他業務の
運営に関する事項につきまして、管理規程を定めて、
運輸大臣の認可を得、これを利用者の見やすいように掲示しなければならないことといたしまして、管理の充実と公衆の利便をはかった次第であります。その管理規程について
規定いたします内容等につきましては、たとえば管理規程の内容は、入場制限、制限区域の設定、航空機による施設の使用
方法、使用料の額及びその支払い
方法、施設設置及び構内営業の規制その他禁止行為あるいは飛行場の
運用時間等を含むものであります。それから管理規程は、飛行場の供用開始の日までに定めて、利用者の見やすい所に掲示しなければならないといったようなことを
規定することに考えております。
次は、第五十三条
関係でありますが、航空の安全をはかり、飛行場及び航空保安施設の円滑な
運営を期する上から、滑走路、誘導路、その他の飛行場の重要な設備、航空保安施設を損傷するなどの行為を禁止して、飛行場内において、航空機に向って物を投げる等、航空の危険を生じさせるおそれのある行為を禁止いたしますとともに、飛行場への立ち入りは危険を伴うことも多いのであります
関係上、着陸帯、誘導路、エプロンまたは格納庫にみだりに立ち入ることを禁止したことであります。ここでたとえば、航空の危険を生じさせるおそれのある行為というのは、今申し上げましたように、花束、ビラ等を航空機に向って投げるとか、みだりに航空機に手を触れること、あるいは航空機及び給油——給排設備の至近距離で喫煙をすることなどを言っているわけでございます。
大臣説明の第三の項目でございますが、それにつきまして、
法律第七十二条
関係でございますが、航空の安全を確保いたしますのに、特に航空機の運航に関する
規定を
整備する必要がありますことは多言を要しないところでありまして、これらの
規定を
整備いたした次第でございます。まず、定期航空運送事業の公共性にかんがみまして、この事業の用に供する航空機の機長につきましては、その路線におけるその操縦の経験及び路線に関する知識を有するかどうかを
運輸大臣が認定いたしますとともに、自後定期的にこれを審査する
制度を設けたことであります。こういった
制度は、大体この定期的審査というような
制度は、広く国際的にも用いられているものでありまして、現在でもこうした認定と同様な
方法を
実施しているのであります。これは自治的な審査等を現在はやっている、こういう状態でございますが、これをこの
法律におきましてはっきりとしたわけでごさいいます。省令で定めます場合に、たとえばこの経験というようなことは、この路線ごとに使用する飛行場の進入
方式に従って飛行した経験であるとか、あるいはその路線ごとに使用するその飛行場につきまして、有視界飛行状態において、所定の降下
方式に従って飛行した経験、またその飛行場において計器飛行状態において、計器飛行による降下
方式に従って飛行した経験、こういったような内容を言っておるのであります。また、この知識と言いますのは、最低気象状件のもとに、所定の降下
方式に従って安全確実に着陸する
方法、あるいは路線上に発生することが予想される特殊の気象状態、そういったことに関する知識であります。その他、通信の
方式あるいは管制の
方式等、一般にあることは当然でございます。また、
運輸大臣が認定をいたします場合に、
運輸大臣の指定する者が、その認定を受ける者と同乗してこれを行うといったようなことも
規定し、また、自後定期的にと申しました点については、現在のところ六カ月ごとにこれを審査しようというのが国際的慣例でもございますので、そういうことにしたいと思っております。
次に、第四の項目についてでありますが、これは法の第七十三条の二に関する
規定でありまして、機長は、出発前に航空機が航行に支障のないこと、その他運航に必要な準備が整っていることを確認しなければならないことといたしまして、機長の責任を明確にいたしますとともに、事故の未然防止に資したことであります。この出発前の確認につきましては、航空運送事業にありましては、
運輸大臣の認可を要しております
整備規程あるいは運航規程に現在明定させることにいたしておりますので、現在においてもこの航空運送事業にあっては大体
実施されていることでありますが、それ以外のものの場合にも規制する必要もありますので、この際、明文をもってはりきりとこうした責任を
法律上に取り上げたわけであります。
第五の項目でありますが、飛行場の周辺の上空において、航空交通が特にひんぱんでありますので、飛行場の周辺における進路、経路、速度その他の航行の
方法を
運輸省令で定めまして、航空機はこれに従わなければならないことといたしまして、飛行場周辺における航行の安全の強化をはかった次第であります。
第六の項目は、法の九十九条
関係でございますが、前に述べました出発前の確認と相関連いたしまして、
運輸大臣が航空機の運航の
ため必要な
一定の情報、たとえば運航に必要な飛行場及び航空保安施設、これはビーコンとか、航空灯台などでありますが、それらの運航状態、あるいはそこに気球等が存在するとか、あるいは軍または自衛隊の空中演習の有無などを、航空機乗組員に対して、その情報を提供することといたしまして、運航の安全に寄与するようにいたしますとともに、また、その資料の収集の
ために、ロケットでありますとか、花火の打ち上げその他の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある
一定の行為、これは百三十四条の二の
関係でございますが、
一定の行為を行う者に、事前に
運輸大臣に通報すべき義務を課したことであります。
第七の項目として
説明されたことは、最近
わが国にダグラスDC7Cというような大型機が導入されまして、航空機の検査の手数料は重量制になっておりまして、従来の最も重量の大きいダグラスDC6Bについては、すでにその最高額に達しておりますので、今回の新機種の導入に伴いまして、その最高額はその重量の増加に比例して引き上げることといたしました次第でございます。民間の航空機の供給源がほとんど
外国でありますことや、国際航空の発展を考慮いたしまして、また、
外国において検査を行う場合の手数料についての
規定を設けたのであります。
さらに航空従事者に関する試験等の手数料につきましては、他の
同種の国家試験等の手数料と調整をはかりまして、若干その額の最高限度を引き上げることといたしたのであります。
それらに伴いまして、これら
改正の条項に伴いまして、罰則の整理、条文の整理その他所要の
改正を加えたのが本
改正案でございます。
以上、簡単でありますが、この
法律案につきまして、省令の事項等を加えて補足して
説明申し上げた次第でございます。