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1958-02-28 第28回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十八日(金曜日)    午後一時三十三分開会     —————————————   委員の異動 本日委員後藤義隆辞任につき、その 補欠として西田隆男君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            成田 一郎君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            廣瀬 久忠君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   政府委員    運輸政務次官  木村 俊夫君    運輸大臣官房会    計課長     佐藤 光夫君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道常    務理事     久保 亀夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十三年度日本国有鉄道予算  に関する件)     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず委員の変更について報告いたします。  本日後藤義隆辞任西田隆男君が補欠選任せられました。     —————————————
  3. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 運輸事情等に関する調査のうち、昭和三十三年度日本国有鉄道予算に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 前回委員会大蔵大臣出席要求しておったんですが、大蔵大臣が見えないが、大蔵大臣はどうなっておるのか。
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 大蔵大臣につきましては、要求をし続けております。大蔵大臣からは、衆議院の予算関係上出られないので、他の者をもってこれにかわらしめたいという申し出がございましたけれども、私といたしましては、各委員からすでに御要求があったことで、勝手に委員長として承諾するというわけには参りませんので、要求をし続けておる、今でもその通りであります。現在、従って政府側及び当局側出席は、十河総裁小倉総裁常務理事のそれぞれ建設関係大石理事久保理事潮江理事吾孫子理事石井理事、それから運輸大臣、こういうことでございます。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 昨年以来の本委員会において、運輸関係事項について私どもはいろいろ質疑を行なってきたわけでありますが、常に問題となっているのは、対大蔵省との関係、あるいは大蔵大臣の裁定の問題、こういうことについて、私どもとしては、どうしても本委員会出席を求めて大蔵大臣見解をただし、あるいはまた、予算のそういう方向についての考え方も究明をしなければならぬ問題がたくさんあるわけです。すでに昨日も運輸委員会においても、運輸省所管事項について、やはりそういう点もたくさん見られる、特に私は前回から要求し続けておるのは、昨年度の、昭和三十二年度国鉄予算の中で、とにかく運賃値上げをして、いわゆるあれだけの膨大な予算というものをつぎ込む中に、わずかこの昭和三十二年度の、二カ月か三カ月しかたたないうちに、すでにいわゆる予算削減をする、百億ものスロー・ダウンをするということを、当時池田大蔵大臣発表した。これについて、私は運輸大臣を通じて、国鉄予算のそうした多くの削減というものが、果して国民に公約したことが実現できるかどうか、こういう点について質疑をした中で、運輸大臣としても、とにかく、この財政投融資削減については、極力これをまあ復活するように努力をする、こういう折衝を続けてもらったわけでありますが、いまだにその経過というものの発表を私どもは受けておらぬ。しかも、大蔵大臣の一方的な見解というものが、国民に公約した運賃値上げのその問題というものを明らかにすることができない。これは私ども国会議員立場で、どうしてもつまびらかにしなければならぬ問題であるが、こういう面について、特に私はもう半年以上にわたってこの点を要求をし続けてきておる。特にまた昭和三十三年度予算を審議するに当っても、そういう問題については、数多くの問題を含んでおる。こういう面から、大蔵大臣については、どうしても私は本委員会出席をさせなければならぬ、こう思うわけです。従って、今委員長の御答弁がありましたが、これは委員長は、なお一つ大蔵大臣出席要求を私は続けてもらいたい、このことを特に委員長一つ要望しておきたいと思います。
  7. 天田勝正

    委員長天田勝正君) かしこまりました。それでは一応質疑に入っていただくことにいたし、ただいまの相澤委員要求は、私ももっともと思いますので、幾たびか他の者をもってかわらしめたいということを拒否して参っておりますので、さらに続けて要求いたすことにいたします。  なお、きょうの議題国鉄の問題でございますので、これに関係する運輸省側出席も求めておきましたので、申し上げます。先に大臣のことは申し述べましたが、鉄道監督局長權田君自動車局長山内君、官房会計課長佐藤光夫君等が出席されております。
  8. 中村正雄

    中村正雄君 久しぶりに国鉄総裁も見えておりますし、大臣も見えておりますので、三十三年度予算、私は特に収入予算を中心に質問したいと思います。来年度予算歳入を見ますると、本年度歳入よりも、旅客において三・三%、貨物において三・一%の増収を見込んだ歳入が組まれておるわけであります。過去十カ年間の国の予算を見て参りましても、一般会計におきまする歳入予算については、ほとんど今までは問題はなかったわけで、かりにありとすれば、歳入過小見積りではないかということがいつも問題になったわけであります。ところが、国鉄予算になりますると、毎年歳入で問題になりますのは、過大見積りではないかということがいつも問題になっておると思うんです。従って、収入はどこまでも予定でありますので、予定でありますその収入確保されないと、せっかく組まれております支出予算の方に制約を受けてくるというのが今までの国鉄実情であったわけなんです。そういう関係から、三十三年度歳入について、果して見込んでおるこの数字確保自信があるかどうか、こういう点から質問したいと思うのです。その前に本年度歳入実績が大体確保され、歳入実績予算を上回るほど確保されておるかどうか、大体二月も末になっておるわけでありまするから、本年度歳入見通しはついておると思いますので、歳入実績について一つ答弁願いたいと思います。
  9. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お答え申し上げます。本年度実績は、御承知の通りに上半期は非常に好調でございましたが、下期に至りまして収入がだんだん漸減いたして参りました。ことに、一月以降におきまして、旅客貨物予定収入に足りない日が連続して参りまして、まあ昨年十二月までの実績で参りますと、大体対前年度一割八分見当増収になっておりまして、そのうち一三%は運賃値上げでございますから、それを引きますと自然増収が約五%程度で、まあかつかつ予定収入に達しさせたい、こう希望しておりましたが、一月の情勢が相当悪いものですから、本年度の三月末日の決算につきましては、予定収入に及ばないおそれが、公算が、だいぶ出て参りました。大体においてそういう状況でございます。
  10. 中村正雄

    中村正雄君 現在の見通しにおいて、収入予算にどの程度不足するという見通しなんですか。
  11. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 大体におきまして、国家予算に比しまして二十億程度不足するのではないかという見当を立てております。
  12. 中村正雄

    中村正雄君 ちょうど、ことしの予算を審議いたしまする運輸委員会なりあるいは予算委員会でも、特に本年度歳入運賃値上げを含んでおりましたが、自然増収を五%見ておった、この確保が非常にむずかしいということを質問いたしたわけですが、そのときには、関係者は大体この程度確保できる見通しだということで安心いたしておったわけですが、ところが、今の実績見通しを聞いてみると、約二十億前後の不足を生ずるだろう、この原因がどこにあるかと申しますと、国鉄予算は、こういう企業体でありますので、収入予算組み方に非常に僕は根本的に間違いがあるのじゃないかと思うのです。いつの場合でも、前年の予算の上に自然増収を積み重ねていっておる、こういうふうに経済が進展していき、また国鉄の業績が伸びる、毎年伸びるのであればいいけれども、やはり経済界も変動しているわけで、こういうふうな企業体であれば、やはり過去三カ年間平均収入であるとか、五カ年間平均収入であるとか、そういうものを私は歳入予算基礎にするのが企業体としてほんとうの姿ではないかと思うのですが、これについて、総裁なり大臣はどうお考えになるか、御答弁承わりたいと思います。
  13. 十河信二

    説明員十河信二君) お話通り経済の安定しておりますときには、大体前三年とかいうふうなことで、過去においても国鉄でもやって参ったわけであります。最近は非常に経済界が急激に変動いたしますので、明年の日本経済状態はどうなるであろうかということを、政府において御調査になりました政府のその総合的の調査基礎にいたしまして、貨物はこうなるであろう、旅客はこうなるであろうというところから、国鉄収入予算を算定いたすことにいたしておるような次第でございます。
  14. 中村正雄

    中村正雄君 いや、私のお尋ねするのは、前年度実績の上に毎年積み重ね方式歳入予算を組むよりも、企業体であるならば、やはり一定の過去何カ年間かの実績基準にして三カ年平均であるとか、五カ年平均であるとか、そういうものを基準にして予算を組むということの方が企業体の性格に合うのではないか、これについてどういうふうにお考えになりますかという質問をしているわけなんでございます。大臣、どうお考えになりますか。
  15. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国におきましても、公共企業体におきましても、今おっしゃるような三カ年過去を見るということは、私はいいことだと思います。しかし、国鉄は前年度を比較していっているのでございます、現実の方針として。私はこれは認めているのでありまして、方法は、私は今あなたのおっしゃったようなことも確実な見込みができると思うのでございますが、現状はそういうふうになっているのであります。ただ昨年以来、経済の規模がだいぶ小さくなって、ことに、貨物収入減等は非常に取引の萎縮からきているという現状はまことに遺憾なことで、それが国鉄収入に現われてきている、こういうふうに私は見ているのであります。
  16. 中村正雄

    中村正雄君 一応国の経済全般をにらみ合せて、来年度貨物において三・一%、旅客においては三・三%の増加を見込んでいる、こういう予算書説明であるわけでありますが、ところが、この予算を組んだときは、いわゆる昨年中であって、先ほど小倉総裁からお話もありましたように、昨年中は大体予定に近い収入確保されたが、いわゆる今年に入ってから急激に貨物旅客伸び悩んできた、こう御答弁なさっているわけであります。従って、この予算を作りましたときには、この程度伸びあるいは予想されるかもわかりませんが、今審議いたしまする今日の状態において三十三年度を展望するときに、これだけの、旅客において千八百十八億、貨物において千六百十七億、この収入確保されるという見通しがあるかどうか。総裁でも、副総裁でも御答弁願いたいと思うんです。特に貨物の面においては千六百十七億、対前年度三・一%のこの金額の面においても、あるいは輸送トン数の面においても三十三年度確保することが非常に至難だ、これは経済企画庁が出しております国の経済全般の展望を見てもこういう数字にはなりにくい、こういうふうに私は考えるのですが、これについてどういうふうにお考えなっておりますか。
  17. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 収入につきましての見積りでありますが、来年度の結局国鉄収入というようなものは、大きく経済動向に支配されるのであります。それで来年の景気見通しはいかんという問題に帰着いたしますが、私どもが狭い視野で見るよりも、やはり経済企画庁その他の国民経済伸張力成長率を土台にすべきであると考えまして、今回の収入予算はすべて企画庁数字をもととして算出してあるのでございます。その企画庁数字と合わぬようなお話がございましたが、私ども企画庁数字によりまして一応はじいたわけであります。さらに一般の方々につきまして、始終来年の経済動向ということをお伺いしておりますが、いろいろな見方があるようでございます。しかし、大体におきまして、下期からは経済が相当順調に伸びるのではないかという説を立てられる方が相当ございますし、あるいは中にはもっと早く経済が回復するのではないかというふうな御意見の方も相当ございまして、私どもはこの国鉄の来年度収入はなかなか困難ではあるけれど、不可能ではないと、こう考えまして、国鉄でできる範囲の増収対策を立てておりまして、何とかしてこの収入確保していきたいと、こう考えております。
  18. 中村正雄

    中村正雄君 まあ下期の問題は別にして、一番近い上期の収入について、本年度との対比で三%近く増収確保できる見通しがあるかどうか、最も身近な上期の問題についての見通しをお聞かせ願いたい。経済企画庁発表によりましても、下期は好転すると、こう言っておるが、上期は大体横ばいだろうと、こういう大まかな見通しになっておりますが、そうすれば、上期は横ばいで本年並みであれば、年間通じれば三%以上の増収見込みということになると、下期において六%以上の増収がないと本年度予定収入確保されないと、こういう結論になると思うのです。上期は一体どういう見通しか、これは一番近いことだから大体見当はつくと思う。
  19. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 収入見込みにつきましては、実は上期と下期とを区別して収入見込みを立てたわけではございません。それで収入見込みの算出の基礎をちょっと御報告申し上げますと、三十一年対三十二年の国民個人消費額成長率が八%でありまして、それに対しまして、個人消費率が上るだけ収入が上るわけでもございませんでして、その個人消費率が八%上りました際に、国鉄の三十二年度見込み額が五・二三%上っておりまするので、ちょうど八分の五・二三という比率が出て参ります。それで企画庁調査によりますると、三十二年対三十三年の個人消費額成長率が五%になっておりまするので、その五%に、八分の五・二三を掛けまして三・三%というのが出ましたので、それで三・三%を三十二年度実行見込み額に掛けまして、三十三年度旅客収入をはじいた次第でございます。それから貨物の方につきましては、これまた企画庁数字農林水産物資が大体三十三年産には一・四%上るであろうと、それだけの成長をするであろう、また鉱工生産物資は四・五%伸びるであろうということでございます。そこで、鉄道貨物を大きく農林水産物資鉱工生産物資というふうに分けまして、農林水産物の方が四四%、それから鉱工生産物資が五六%になっておりまするので、そのおのおのに成長率を掛けまして平均いたしますと三・一%になる。それを昨年実行見込み額に掛けたのでありまして、先ほど申し上げましたように、企画庁の示された成長率基礎としてはじいたのでございまして、年間平均いたしますと、この数字は必ずしも過大であるとも申し切れないと、こう考えております。
  20. 中村正雄

    中村正雄君 私も収入見通しについては、まあいろいろな面から検討して非常に困難だと思うわけですが、幸い、経営責任者においてこれだけの収入確保は何とかやり得る見通しがあるという答弁でありますので、あえて見通しについて議論する意思はないわけですが、ただ、運輸大臣総裁にお尋ねしたい点は、この収入歳入のもとであり、やはりこれを基礎にしていろいろな歳出の政策を組んでおるわけなんですが、今までの国鉄の例から参りますと、収入の面でもしそごを来たした場合、歳出の面でやりくりをしていくと、いわゆる日の当らない場所のもので問題のそう起きない場所のもの、こういうものをしぼっていくという傾向があるわけです。ところが、歳出予算全般を見ますると、ことしに比べてある程度均衡が保たれておると思いますけれども、現在の国鉄情勢から完全に近いものだとは考えておりません。従って、もし年度中途におきましてこれだけの歳入確保されないということになって参りますと、歳出の面に響いてくるわけで、勢い予算の補正ということが問題になってくるわけですが、その場合、収入不足につきましては別な面から収入を持ってくる、言いかえれば、借入金その他の方途を講じて現在の歳出予算確保しなければいけないと、こういう決意が大臣なり総裁にあるかどうか、この点をお尋ねしたいと思う。
  21. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国鉄の独立採算的な経営立場から見まするならば、歳入はあらゆる努力を払って確保せなければ、それが全体の経営に悪影響を及ぼしてくることは当然であると思います。従って、私は国鉄におかれましては、今副総裁がるる申されましたように、その歳入確保について、あらゆる経営方法を講じていただいて、穴のあかないように私どもは期待せざるを得ないのであります。
  22. 中村正雄

    中村正雄君 穴があいた場合はどういうふうにお考えになりますか。(「穴があいたらどうする」 「去年は穴があいている」と呼ぶ者あり)
  23. 十河信二

    説明員十河信二君) 人件費はそう動がすことができませんから、物件費で多少の調節をしていくことは必要になってくるかと思います。そういうことのないように、極力収入確保することに努力して参りたいと覚悟いたしておる次第であります。
  24. 中村正雄

    中村正雄君 私ずばりと言って、今度の歳入予算組み方を見てくると、予算折衝過程等考えて、歳出の方でこれだけの金が要ると、どうしても財政投融資関係で満足なものが得られない、こうなって歳入水増ししておる、こういう感じを非常に受けるわけです。従って、予算歳入歳出のつじつまを合わすために歳入の面にしわ寄せが来ておると、こういう感じを非常に受けるので特にお尋ねしたわけですが、支出の面でお尋ねする機会があとであると思いますけれども、今言われましたように、人件費ではしわ寄せができない、物件費に寄っていくというのが特にことしの予算によく現われておると思う。それから、ことしこの委員会でも二回、三回にわたって議論したように、修繕費に全部しわ寄せが来て、国鉄の現在の財産の保持という点において非常な支障を来たしておる、こういうふうな現状なわけです。従って、私は予算を組むときに、歳入につきましても、完全に政府自信があり、当局自信があるという歳入予算を組まなければ、国鉄の健全な僕は予算はできないと思う。本年度これだけのものは絶対に確保できると言っておる歳入も二十億前後のやっぱり赤が見込まれる。ところが、来年度の上期を考えると、ことしの上期よりも来年度の上期の方が伸びるんだという情勢はどこにもないと思う。下期については、大体伸びるだろうと政府が言っておりますが、これも未知数です。もし上期で伸びなければ、全体の数字から考えると、やっぱり下期においては、予定されておる平均伸びの倍以上伸びなければ、予算収入確保されない、こういう状態にあるわけなんです。従って、歳入については確保するよう努力をすると、こういうふうに言われておりますが、旅客の面においても貨物の面においても、では、どういう具体的な方策でこれだけの歳入確保するように努力をされる方針か、もし具体策があれば明示願いたいと思うのです。
  25. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろん、予算でございますから、収入におきましても支出におきましても、甘い予算というものは組めないと思っております。私どもは、経営から申しまして収入を確実な余裕のある予算を組む、支出においても余裕のある予算が組めますれば一番楽なことでございますが、それでは企業努力をかき立てるという目的にも沿わないわけでありまして、今回の予算につきましては、できるだけの努力をして確保していきたいということは、ただいまも申し上げた通りでございますが、その具体的方法といたしましては、今いろいろ各方面から検討いたしておりまするが、まあ旅客につきましては、いろいろのサービスの向上をしまして、できるだけ旅客輸送を増すと同時に、かたがた輸送力を伸ばしまして万全の輸送ができるように工夫いたしまするし、また貨物輸送につきましては、貨物設備をよくする、あるいは貨物列車のスピード・アップをする、あるいは側線を増設するといったようないろいろな手がございますので、そういうものを総合的に研究して参りたい、かように考えております。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。今の収入の問題は、昨年度運賃値上げのときにも大きな問題になった非常に重要な問題だと思うので、簡単に二、三質問いたしたい。先ほど小倉総裁の下期の景気が高調するだろう、そういうふうな政府見解だ、これは一萬田蔵相あたりがそういうことを言っているのだろうと思いますが、しかし、これも何かアメリカアイゼンハワーが言い出してからこちらで言い出したというような感じがある。アメリカ状態はどうかといえば、そういうことにはなっていない。つまり、アイゼンハワーのこういう声明については、ずいぶん国内で大へん見通し違いじゃないか、こういうことになっておる。従って、今の情勢から見ますると、政府はそういうような楽観的な放送をやっておりますけれども実情を見ますと、そういう格好にはなってないと思う。そんなことでいいのですか。その見通しの上に立って安心をきめ込んでたら大へんなことになるとわわれわれ考えるのですが、現在の情勢から見ますと。この点どうですか、その根拠を一つ。  それからその次に、先ほど中村君からお話が出たのですが、これはどうですか、当初案が国鉄から提出されたのが、予算折衝過程水増しになっているんじゃないのですか、こういうこともわれわれ聞いておるわけです。水増しになっているのではないか、相当これはふやされている。それで、実際は資金勘定から見ると繰り越しをしなくちゃならない、こういうような操作が先へ立って、その結果水増しになっておるというふうにもわれわれ考える。  第三点、お聞きしたいのは、この前われわれ国会から調査に行きまして、関西支社貨物輸送実情を聞いたのですが、これはもうすでに御存じだと思いますが、関西支社だけで全国の傾向を推しはかることは少し無理かもしれませんが、しかし、非常に傾向としては特徴的に出ていると思うのです。それを聞きますというと、大体これは八月ごろから金融引き締めの影響が出てきて、十一月ごろになると下降線をたどっておるというようなことが、あそこの支社長さんですか、から話がありました。それから大体六十万トンの滞貨が昨年の三月ごろにはあったのだけれども、それがもう全部解消した、そして年間の、一日の輸送量も六万二、三千トンのところで、これは昨年の傾向に比べてどういうふうになっているのか。こういう実情はどうも全国的な傾向だと思うのです。滞貨の問題なんていうのは、果してどういうふうに片づいて、それから輸送量はどういうふうになっておるか、こういう点から、先ほどの二十億というような大体今の見通しではどうしても歳入見積り損ができるというようなことがやはり出てくるのじゃないかと思いますね。こういう問題についてやはり今の歳入見通しの面についてお聞きしたいと思います。三点についてお願いしたい。
  27. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 来年度収入見込みについて確信があるかという重ねての御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、まあ国家がいかに成長するか、景気の観測はどうかということにつきましては、やはりその見通しをつける責任官庁であります企画庁数字によることが最も正しいということで、先ほど御説明申し上げましたように、企画庁数字を根拠として見込んだ次第であります。  それから収入につきましては、原案に対して水増しがあるかどうか、こういうお話でございましたが、水増しというのはいろいろな誤解を招く言葉でございまして、収入見込みは、やはり見込むものが違いますとそれぞれやはり違って参りまして、多いから水増しだというわけにも参らないかと思います。で、この原案に対しまして二十五億……(「三十四億じゃないですか」と呼ぶ者あり)十億は通り抜け勘定の収入でございまして、それは経営費と収入と両建になっておりまして、従来そういう通り抜けのものは収入予算にも支出予算にも立てないでおるのが慣習でございますのを、やはり両建にすべきであるというので加えましたのが、たしか九億かあったかと存じます。それは切符の売買手数料その他でございますが、それを除きまして純粋に収入の増を原案よりも見込みましたのは二十四、五億だったと考えます。がしかし、その程度のものは見方によりまして違うのでございまして、それが水増しであると断言するわけには参らない、こう考えております。  それから収入下降線をたどっておるのじゃないかという御質問でございましたが、先ほど私が申し上げましたように、上期よりも下期、下期よりも今年に入りまして収入が落ちておりますので、正直に申し上げて下降線をたどっておると考えますが、先ほど申し上げましたように、来年度見通しにつきましてはまた別の見方がございまして、上昇線をたどるという見方によりまして組んだ次第でございます。  なお、滞貨の方は仰せの通りに相当減って参りまして、ただいまのところでは六十万トンそこそこの滞貨でございます。輸送量は一日かれこれ三十七、八万トン程度でございまして、昨年から見ますると十万トンの余減っておることは事実でございます。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 まあ第一点の問題は、経済企画庁のこの数字をもとにしてということでありますが、やはり私は先ほど第三点で質問申し上げましたように、国鉄経営の実態に即して、逆に経済企画庁のやり方についてむしろ改訂させる、修正させるという方が私はほんとうは正しいのじゃないか、予算折衝の中で。と申しますのは、どうも経済企画庁数字そのものが実は当てにならない。当てにならないと言っては悪いのですけれども、昨年あたりの経済見通しというものは根本的にずれてきたわけです。そういう土台に立っているから、先ほど一萬田蔵相の出席を求めて当委員会で百億のスロー・ダウンの問題をやらなければならぬということが起っておる。従って、私はこれを決定するのは、どうも他人頼みということでなしに、国鉄として大きなこれは日本最大の大経営でしょう、そういうところで独得の経営の実態に即した調査機構を持っておられるのだろうと思う。そういうものは非常に根拠になるのじゃないか。それを反対に事業の計画だけで、そういうものをもとにして、その上に立脚してやっていくというのは、逆に何かまあいろいろな今後のバランスをとるために、そういうような点が行われているのではないかという感じがするわけです。  それから第二点の問題ですが、やはり昨年度からもずいぶん問題になりました収入見積りの問題につきましては、一八%のときの収入が一五%値上りよりも少い。一三%になるというともっとこれが多くなってくる。逆にこの値上げの率が少くなるに従って収入が多くなる。これは国鉄数学の実態だと思うのですが、こういうような形で今年度も、昨年ほどではないにしても、問題があるのではないか、こういう点が中村委員から私は追及されているものだと考えるわけですが、こういう点どうでしょうか。もう少し実態に即したその点でのあなたたちの主張というものはどういうふうになっているのか、予算折衝の面で。そういう基本線が堅持できないということで、どうも言いくるめられると言っちゃ語弊があるかもしれませんが、そういう結果になっては非常にまずい。しかも、そのしわ寄せが全部あなたたちの経営や、さらにそれを通じてのいろいろな国鉄の労働者諸君にしわ寄せされるというのが実態だと思う。そういう点から考えますと、この点しっかりやはりもっとやっていただかなくちゃならない。もっと科学的な調査の上に立って、はっきりしたものを堅持されるということが必要だと思うのですが、総裁にこの点お伺いします。予算組み方、その基礎になる問題として非常に重要な問題でしかも関連することが非常に深い問題ですから、当然私はそういう点で総裁の御決意をお伺いしたい。
  29. 十河信二

    説明員十河信二君) もちろん国鉄国鉄として収入見積りを立て、そしてこれを国全体の経済成長率とにらみ合せてみまして、それで多少の修正をすることもあり、あるいは増すときもあり減すときもあるというふうなことをやっておるのであります。別に押しつけられたとか何とかいうようなことではないのでありまして、私どももそういう見込みを立てて、そういう将来のことですから、これはまあいろいろな見方が出て参りますが、全体の経済の動き方を見て国鉄収入がどうなるだろうということを考えあわせてきめるような次第でございます。
  30. 中村正雄

    中村正雄君 もう一点、収入の面について、収入確保する具体策については旅客の面、貨物の面で今後努力されると思うのですが、ただ、私お聞きしたいのは、収入の大部分は貨物旅客でありますが、しかし、手小荷物の面の収入も相当あると思うのです。ところが、輸送力増強五カ年計画を見ましても、その他見ましても、手小荷物の輸送ということは相当等閑に付されているのではないか、こういう感じを受けるわけです。これは時期的に非常に繁閑の開きが多いわけですけれども、手小荷物輸送について、輸送力を増強するという計画がおありになるかどうか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  31. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 手小荷物輸送につきましては、ただいま中村先生のお話通りに時期的に繁閑がございまして、特にまあ一番殺到いたしますのは年末の半月あたりが非常なピークになっております。従って、これに対しまして十分な輸送力を確保いたしますということは、どちらかと申しますと、設備過剰になるというような点がございまするが、それ以外の時期におきましては、ただいまのところ手小荷物輸送として、輸送的に困難を感じておる、地区的、場所的に若干の問題がございまするが、全体的に見まして、それほど輸送不足だということはないと考えております。ただ、手小荷物輸送というものは、沿革から見まして、いわゆる客車の余裕を、手荷物の余裕をもって小荷物輸送を始めたというような沿革から見まして、車両の貨物輸送形態として非常に御便利、荷主さんの御便利なところもありますが、鉄道輸送形態として必ずしも理想的な点でない点もございます。かたがた、そういう点から小口貨物と統合いたしまして一貫した目でこれを見まして、そうしてよりよいサービスを、そうしてできるだけ廉価な輸送方法を講ずることが国民経済上にも、また荷主さんのサービスの上にも必要なことじゃないかと思いまして、私どもは現在の手小荷物輸送力そのものを切り離して増強するかどうかということでなくして、小口貨物と合せまして、小口貨物輸送のサービス向上という見地から、あわせてこれを検討いたして参りたい、かように考えて従来ともやっておりまするが、本年度におきましては、さらに一段とそういう点の努力を続けたいと考えておる次第でございます。
  32. 中村正雄

    中村正雄君 確かに御答弁のありましたように、時期について非常に量の差があるわけですが、またしかし、平時におきましても、地区によってはやはり相当手小荷物輸送輸送力に不足を来たしているという地区もあると思います。特に幹線なんかになりますと、特にこれを貨物輸送に転移さすということでいろいろ努力されている様子ですけれども経済が非常に伸びているときは、貨物はだんだん数量が多くなるという傾向がありますが、経済が下に向くときには、やはり零細な輸送が多くなってくるという傾向はいなみがたい事実であろうと思います。しかもまた、一般の小荷物と貨物輸送となりますと、いわゆる一般に客車便と称せられて早く向うに着くということで、小荷物による輸送が相当国民の間に喜ばれていると思うのです。そういう関係で、やはり貨物輸送に吸収するというのにも、そこに限度があるわけで、現在、東海、山陽等を見ますると、やはり小荷物輸送に相当輸送力の狭隘を感じている面も出てきていると思いますが、ところが、過去数カ年間国鉄予算を見ましても、小荷物車の新造はやられていない。現在の小荷物車の車両数で大体、時期的な問題を別にして、年間通じて、幹線も支線もまかない得るという見通しがあるかどうか、もう一度念のためにお伺いしたい。
  33. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御趣旨はだんだんごもっともの点もございますが、実は私どもも小荷物車がこれでもう十分で余裕があると申し上げかねるのでございますが、さればといって、現状をもっていたしましては、客車その他の貨車なり、その他の車両を作ることと小荷物車を増備することと、いずれが現在の鉄道輸送上急務かという戦後の一般順位におきましては、どうしても現在の荷物車というものにつきましては、いささかやはり程度が落ちるのじゃないかという考えで、万全のサービスというところまでは参りませんので、時期的にも、あるいは地区的にも多少御不便を感ずるところもございまするが、さしあたっての現状から申しましては、一応これでやっていける、こう申し上げて差しつかえないかと思います。
  34. 中村正雄

    中村正雄君 まあ収入についてほかの委員からも御質問があるかと思いますので、一応私の収入の質問はこの程度にして、歳出の面について二、三お尋ねをしたいと思うのです。  本年度予算を審議するときに、特に歳出の面で私がお聞きした点は、石炭の購入費の問題だったと思うのです。特に本年度当初予算に含められておりまする石炭費の金額ではとうてい購入できないのじゃないかということを再三予算委員会でも、この委員会でも質問したわけなんですが、大体本年度の石炭費の状態はどうなっておるかお聞きしたいと思うのです。
  35. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) お答え申し上げます。三十二年度の石炭費は、ただいま御指摘のように、当初三十一年度下期の契約単価で三十二年度予算を組んだわけでございます。ところが、御承知のように、電力用炭を初めとして大幅に値上げをいたしました。私どもも三十二年度の契約といたしまして、これは単価によって違いますが、平均五百五十円前後上りまして、合計いたしますと、約三十数億本年度としては予算より石炭費が超過した、それが他の財源を食うというような結果になったものであります。
  36. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、来年度の石炭費については、これに載っておりまする予算で、大体今年度のようなミスをやらずに確保できる見通しがあるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  37. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) これははっきりした見通しを持っております。
  38. 中村正雄

    中村正雄君 鉄道は直営の炭鉱を持っておるわけなんですが、自分のところで産出しまする量と購入量との比率は、大体来年度どういうふうになっておりますか。
  39. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 運転用炭、その他いろいろ合せまして、大体五百六十万トン程度、そのうち志免炭鉱の生産いたしまするのは、約一割に相当する五十万トン程度でございます。
  40. 中村正雄

    中村正雄君 幸いに総裁が見えておりますので、この石炭の問題で、志免炭鉱の問題についてちょっと念のためにお尋ねしておきたいと思うのですが、国鉄経営調査会の答申がありましてから、志免炭鉱の払い下げということでここ二、三年来問題になったわけですが、たしか昨年のこの委員会でそういう問題になりましたときに、当時の運輸大臣と副総裁に再度お尋ねしたわけですが、いろいろ問題があって、地元ではやかましく言っておるので、この委員会で、志免炭鉱の払い下げ等は現在問題にしておらないのだということを一ぺんはっきり明言されると、こういう危惧の念が解消するのじゃないかということで、日にちははっきり覚えておりませんが——三月二十二日の委員会です。そのときに、当時の運輸大臣であります宮澤胤勇君から「その問題は、志免炭鉱の従業員の方、それからまたあそこの地元の町村の方などが見えまして陳情がありましたが、ただいまの段階ではそういうことを考えておらないことをはっきり申し上げております。」と、「そういうこと」というのは払い下げを意味しているわけです。また説明員として小倉俊夫君の発言で「これは財産の処分につきましては、国鉄限りでできるものでもございませんし、非常に大きな問題でございますので、慎重に考慮しているわけでございます。ただいま大臣が言われた通りのことで考えて参りたい、こういうふうに思います。」、こういう答弁があって、一応昨年の三月ごろには、この問題は、大体地元の不安も解消したろうと思うのです。ところが、衆議院の選挙を間近に控えました関係か、新聞紙上を見ますと、特に九州の新聞紙上に、さかんに志免炭鉱の払い下げについての内幕やら、デマやら、うわさやら、こういうような問題が毎日掲載されて、最近地元炭鉱の従業員もそうでありますし、地元の人たちも相当、払い下げになっては困るというので不安の念があるのですが、特に衆議院の選挙を控えての新聞に出ますうわさは、デマではあろうと思いますけれども、そういう疑惑の目をもって見られますので、この問題について、総裁のお考えはいろいろあるものと思いますけれども、一応現在のところ、こういう問題は全然国鉄では考えておらないというふうにはっきりされた方が、私は国鉄の信用の維持の面についても、また志免炭鉱の従業員の能率の面においても、非常に寄与するのじゃないかと思うのですが、この点について総裁からお答え願いたいと思います。
  41. 十河信二

    説明員十河信二君) 志免炭鉱の問題につきましては、かねて私は就任以来、国鉄輸送という仕事がもっとも大切な主たる任務である、その輸送という仕事においてすらなかなか手が回りかねて、国民の皆さんに御満足を得ることができないような状態でありますから、なるべくそういう副業的なものは切り離したいという考えを私は持っております。このことはたびたび当委員会、あるいは他の委員会でもお答えしておったところであります。その上に行政管理庁からもただいまお話のような勧告もありますし、また国鉄経営調査会でも同様の勧告がありましたので、それで、世間でかれこれ問題にされて、つい先だっても他の委員会で、繰り返し繰り返し、こういう問題が起る、このままにしておいてはこういう問題が繰り返し起るから、何とかこれを解決したいという考えをもって、今よりより検討中であります。大体今申し上げましたように、私は副業は整理した方がよかろうと、こう思います。それから国鉄におきましては、大体の方針として、電化、ディーゼル化ということを今後推進していきたいということで、もうすでに御承知の通り確立して、皆さまの御承認を得ているのでありますから、そういう点から申しましても、いずれはこれは何とか処分される問題であろうという不安が、従業員の間にも起っていると思うのであります。いつまでもそういう不安な状態に置くことはよろしくないから、何とかこれを解決したい、できるだけ早く解決したいというふうに考えて、ただいま検討中でございます。
  42. 中村正雄

    中村正雄君 いや、総裁方針については、これはもうこの委員会でもたびたび聞いておりますし、総裁方針について賛成しがたい議論もあるわけですけれども、これはまあ議論でありまして、総裁のお考えと、私の考えと違ってもやむを得ないと思うのですが、ただそれが、総裁一つの根拠にされております国鉄経営調査会の答申、その他を見ましても、あの当時は志免炭鉱は非常に赤字であったということは、やはり切り離すべきであるということが一つの根拠になっておったと思うのです。その後切り離されては困るという従業員の考えから、黒字にしようという努力が実を結んで、おそらく現在は志免炭鉱も、直営炭鉱ではあるけれども、黒字になっていると思うのです。従って、経営調査会の答申された説明書によりまする理由の一つは解消しているということも言えるわけなんで、またその他、やはりディーゼル化、電化といいましても、二年、三年後に、完成するものでもありませんし、やはり国鉄としては、相当石炭というものは大手の消費であろうと思うのです。そういう関係で単価を維持する面において、あるいは数量の最少限を確保する意味においても、この程度の直営炭鉱は必要だという議論もあると思うのです。これは両論あるわけで、この点は総裁に入れてもらって、方針を変更してもらいたいという議論をしようとは思いません。ただ、問題になっておりますのは、新聞紙上に騒がれておりますのは、総裁のその気持をまっすぐに受け取って切り離せるというのではなくて、払い下げをめぐっていろいろな醜聞がうわさされておる。そしてやはりこれがもし総裁の、いわゆるほんとうの一本気な気持でそういうことを断行されてもやはり世間はそうは見ない。ひいては国鉄の信用にも関係するというので、やはり今当面こういう問題については、総裁の意思はどうあろうと私は避けるのが賢明じゃないかということで、まあ総裁の御答弁をお聞きしたわけです。従って、できればそういう四囲の情勢から考えて、やはり鉄道の信用を維持するという面からいまわしい問題の起るときには首を突っ込まないようにということを私はお願いしたい、こう思うわけです。
  43. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連して二、三質問いたしたいと思います。石炭購入につきましては、実は電化が着々と進んでおるので、蒸気運転が減っていく、こういう単純な考え方からすれば、石炭費は少くなっていかなければならないはずです。ところが、昭和三十二年から見ると三十三年度予算が多く組まれている。これはどうしたことか、これをちょっとお聞きしたい。  それから第二は、本年度の貯炭の状況というものは非常に国鉄はよいということが新聞に出ておる。しかも、昨年度から見るというと二倍以上も貯炭ができておる、こういうことなんです。そうなってくるというと、購入する石炭の量は少くしてやっていけるのではないか、こういうふうに思う。この点、貯炭量が多くなってくるのに石炭費がかさんでいく、これについても御答弁願いたい。  それから、大体石炭購入に当って大手と中小炭鉱、この率を分けて国鉄基準を設けて購入しているはずです。ところが、その基準というものは大手の六八に対する中小炭鉱に対しては三二という比率がきまっていると私は聞いている。ところが、昨年度の購入の実績を見るというと、実際は七三対二七、こういう購入方式になっておる。大手の方がはるかに上回って購入されておるということ、これはまたどうしたことか、どういう理由でそういう事態に変りつつあるか。また聞くところによるというと、国鉄は大手と中小との比率を、大手に多く買い込もうという方向に変更していこうという意思があるというようなことを聞いておるけれども、これらの問題は事実であるかどうか、前後四点についてお尋ねをいたします。
  44. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) お答えいたします。先ほどの御質問の三十億増加しているとおっしゃった点は、先ほど中村先生にお答えいたしました本年度三十数億値上りをしたと、それから第二の御質問に関連いたしますが、そういった点を、現在いろいろ貯炭がふえたとか、そういったことで来年度の石炭契約単価を私どもとしてはできるだけ下げたい、もちろん相手のあることでございますから、額は今きめられませんが、何とかその辺までは下げられようということを頭に置いて、しかも、心配のないように単価を組んだわけでございます。その結果にいたしましても、本年度相当値上りいたしましたから、これらを勘案いたしますと最終的にこの程度には増加になる。  それからもう一つ、大手筋と中小炭鉱の関係でございますが、これはそのときそのときの私どもの気持といたしましては、もちろん中小炭鉱からも適当なところにおいては適当な量を買っていく、こういう基本的考え方はずっと以前から変っておりませんが、その炭況の事情あるいは炭況が非常にいいといったようなときには、これは炭鉱によりますけれども、値がいいと中小炭鉱はやはり逃げるとか、それから値が悪いとまたやってくるというような事実もございますし、そういうことをあわせて根本の気持としては、適正な割合だと、つまり中小炭鉱を適当に調達、使っていくという基本的な考え方で炭況に応じて進めている、こういうことであります。
  45. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは、そのような方針に変えるという決定をしておるということではないように私はただいまの答弁で承知しておりますが、政府は少くとも国会で中小企業保護育成のための法律案等を立案されておるが、運輸大臣国鉄の石炭購入に当って、先ほど私が指摘したように、大手と中小との比率を、基準をきめて購入することになっておるけれども、そのような方式はあくまで持続させていく方がいいというお考えであるか、それとも変更しなければならない事情をお認めになるかどうか、この点を大臣から承わっておきたい。
  46. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 国鉄の石炭購入について、私は国鉄方針を今認めておるのでありまして、今日のところこれを変更するというようなことは考えておりませんし、国鉄の計画を私は認めておるのであります。
  47. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは国鉄当局に重ねてお尋ねするが、昭和三十一年度の石炭購入の実績というものはもうすでにおわかりと思うが、志免鉱業所で出炭されて国鉄が使っている一トン当りの単価をどのように見積っているか。それから外部から購入した石炭の単価は幾らで買っておったか、これをお知らせ願いたい。
  48. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 石炭にもいろいろありますので、ごく大づかみに申し上げますと、石炭と煉炭と塊粉とありますが、これをあわせて考えて本年度の購入単価は、これは山元でありますが、約五千四百五十円、多少物によって違いますが、それが一般の購入炭であります。それからただいま申されました志免の石炭は、私ども決算の方式としては大体同種の民間から買う石炭と同じような金額にいたして、たとえば七千カロリーとか六千五百カロリーとかは同じようなものと、大体同じ値段で決算するということで採算を見ておるような形にいたしております。
  49. 柴谷要

    ○柴谷要君 ただいまの答弁では不足しているので、重ねて質問しますが、志免の経営に当って、最近は非常に能率が上ってきておって、一般の購入炭よりも安く経費が上っておる、こう聞いておる。それで少くともトン当り五百円以上、志免鉱業所から出炭する石炭の方が安く国鉄としては使える、こういうことを聞いておるが、その点は間違いございませんか。
  50. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) その点は、炭種の比較と、もう一つは、本来経費の配分とそれから減価償却の問題もありまして、そういったものを一切抜きますと、今先生のおっしゃったような数字も一部出るのであります。ここに正確な数字は持ちませんが、その五百円のうち二百円か百円、その間の差かと思っております。
  51. 柴谷要

    ○柴谷要君 今御答弁で明らかになったように、少くとも志免鉱業所を国鉄所有のものとして、そこから出炭する石炭を使っていくことの方が利益だということが証明されたと思うが、その観点に立って先ほど総裁がおっしゃったように、国鉄は副業をやめて本業一本だけだ、輸送一本だと、その考え方も一理あるかと思うが、現在国鉄が五百数十万トンに及び石炭を購入する場合に、手前で経営をしてそれを元手に他から石炭を購入する、こういう方法考えた場合には、志免のような施設をそう軽々しく、あなたの考えているような方向に持っていくということは、どうもわれわれ納得いかない。最近の傾向として、これは国鉄に当てはまらないので特に申し上げるわけではないが、私鉄の経営状態を見ると、輸送一本ではない。副業をだんだんふやしてきて、はなはだしいのはパーマから映画館までやっておる、こういう副業こそ、私どもはやめていくべきであると思うけれども、実際の国鉄輸送に必要であるところの年間を通じて五百数十万トンも使うという石炭の一割も出炭している志免を簡単に手放すというようなことは当を得ていないというように考えるが、総裁はあくまでもその御信念で貫かれるおつもりか、それとも当面国鉄が石炭購入の一策として志免を保有をし、そしてこれを能率を増進させながら、国鉄輸送のために志免鉱業というものを有効に使う意思がおありであるかどうか、これを重ねて一つ総裁からお答えを願いたいと思う。
  52. 十河信二

    説明員十河信二君) 申すまでもなく石炭業というものは非常に波乱の多いなんでありまして、あるときは非常に景気がよかったり、急にまた景気が悪くなったりする業態でありますから、昨年春石炭を購入した当時は、いわゆる神武景気で炭況が非常に活発でよかったときであります。そういうようなときには、志免は比較的有利になる、また、そうでないときには悪くなるときもあり、過去の例を見ますというと、平均して志免は大体赤字になる。それゆえに払い下げをした方がよかろうという行政管理庁や国鉄経営調査会の勧告なり、答申なりが出てきておるのであります。ただある時期をとりますと非常に有利なこともあり、また、他の時期をとりますと非常に損失になるときもある。長い目で見てどうなるかということから私は考えておるのであります。なお、志免は御承知の通り非常にむずかしい炭鉱でありまして、あそこにはガスがあってなかなか、私は毎日心配しておるのであります、事故でも起って従業員にけがでもさせてはいかぬと。ところが、国鉄鉄道を運転するというのが本業であり、今何かパーマや映画館を経営しておるというように私聞えたのですけれども、そういうことはやっておりません。なるべく簡単にして輸送の、まあ輸送だけでも皆さんから非常にお小言をちょうだいしておる状態でありますから、せめて一番得意の輸送に専念したいということを私は考えておるのでありまして、それではいろいろ利害は、こういう事業を経営するにも利害双方ありましょう、利になる点もあり、害になる点もありますが、大体において、私はこういう事業は切り離していきたいという考えには変りはないのであります。
  53. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁はまあ非常に国鉄経営に当っては大衆の世論を聞き、かつ、しかるべき機関の決議等に従って、国鉄の運営をまっしぐらに改善をしていきたいという熱意で就任をされ、今日まで努力してこられたということは私ども認めます。ただ、そのことが、経営ということに対する一機関の発言のみに総裁は重点を置かれてやるということについては、多少のわれわれは意見があるわけであります。今志免鉱業払い下げの問題ががぜんあげて地元の反対連動となり、そこに働く従業員自体を日々不安の状態で働かせるということは、それこそあなたが今おっしゃったように、事故誘発の原因となりかねぬわけです。これが一番大事なところで、当面国鉄が早急に手放さなければならぬという大きな理由はないと思いますので、どうか一つ総裁の今お考えのような気持を変えないと、持続されることはけっこうでありますけれども、実際に移さぬということだけは一つまあお約束を願いたいと思う。ただ、私が申し上げたのは、御年配でもございましょうからよくお聞き取り願えなかったかと思うのだが、私鉄がやっておるというのだ、これはどことは言いません。しかし、国鉄の志免鉱業と私鉄のパーマや映画館の経営とは、事違うということを申し上げた。どうかそういう気持で従業員が安んじてあすから増産に励むように、総裁の一言でいい、私の在任中はそういうことはやりません、こうおっしゃっていただけば、何千人かの従業員に喜ばれることですから、どうかそういうことを当委員会で御発言願えれば、これ以上のことはないと思います。いかがですか、再度念を押すようで申しわけありませんが。
  54. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄方針として、だんだん石炭の需要は今後減っていきます。電化、ディーゼル化を推進していけばいくほど減るんですから。一方において、多少輸送量の増加等のために増す部分もありますけれども、大勢はだんだん減っていくことに間違いはないと思うのです。その上に国の経済から申しましても、石炭にはそれぞれ向き不向きがありまして、国鉄の機関車に使う石炭としては、志免は少しもったいなさ過ぎるということもありましょうし、それからさっき申し上げましたように、あそこは非常にむずかしいガスの多い所であります。経験のある専門家にこれを見てもらう方がいい。私は事故でも起しちゃ大へんだということ。今後、これを持っておれば、いつまでたっても従業員の不安はなくならない。この山がなくなったら、この山を掘ってしまったら一体われわれはどうなるかというふうな不安もありましょうし、そういう点から、これを私が在職中はこうしないと言っても、従業員の不安はとれないのであります。これはどうもやむを得ないと思うのです。私はなるべく早く従業員にも安心していけるようにという親心で今いろいろ苦労をいたしておるような次第でありますから、どうか御了承を願いたいと思います。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどからの国鉄答弁を聞いておって、やはり私どもは昨年の予算審議のときにも収入の問題を一やったんですが、やっぱりこれはどうしても運輸大臣にお尋ねをしておかなければならぬ。運輸収入予定増というものが先ほどから言われておるんでありますが、一体経済企画庁の案というものを、この予算の大綱の中に入れたというんだけれども、それだけでもってあなたはもう間違いないと、こういうふうに思っておりますか。
  56. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 経済企画庁の案は、これは長期経済計画の上から日本の経済の前途についての判断をしておられるのでございまして、その判断自体には私は誤まりないと思います。また、その数字においてもそういう数字が出るのであります。ただ国鉄のこの貨物収入旅客収入、これはやはりその独自の動きをすることもあり得ると思います。この貨物や運賃収入経済全体とは、これは相寄り相助けて因果関係を持ってくるのでありまして、経済がやはり発展し、成長し、よくなれば荷動きもよくなり、取引も旺盛になってくる。こういうことを私は言えると思うのであります。従って、国鉄経済企画庁数字を土台とし、その計画を土台として見積られることには、私は誤まりないと思いまするが、同時にその貨物の動き、旅客の動きということもこれは考えられるということは、これは私は先申しました因果関係において当然のことであると思うのであります。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 これはですね、昨年の当委員会においても、経済企画庁の宇田国務大臣を呼んで私どもこの国鉄予算の審議の際に、盛んに議論をしたところであります。当時、宇田国務大臣は何と言ったかというと、景気はとんとん上っていく、とんとん大臣のあだ名をとった。ところが、わずか二カ月か三カ月のうちに、とんとん上るやつがとんとん下っていってしまった、逆である。まさに国際収支のしわ寄せというものが国内経済に影響をして、そうして先ほど冒頭に私が大蔵大臣出席要求をしたように、国鉄自体が、いわゆる財政投融資のスロー・ダウンをやらなければならぬ、こういうふうに大蔵省から運輸省に話が出てきている。運輸大臣も先ほどから何回か言われたけれども、とにかく今折衝中でありますということを言われた。経済企画庁考え方を、あなたは長期経済計画についても、これを一つ基本に正しいものと考えておると言ったが、一体去年の経済企画庁考え方はどうなんですか、昭和三十二年度予算を通したばかりに、わずか二カ月や三カ月のうちに、あの大きな財政投融資の制限をしたというのは、一体どういうわけなんですか。それでもやはりあなたは経済企画庁考え方は間違いがなかったと、こう言い切れますか。
  58. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は経済企画庁のこの見通し数字は、これは誤まりだとは私どもは言えません。しかしながら、この経済企画というものは、これは私の考えですが、五カ年とか三カ年の長期計画というものの中に、やはり季節的計画というものを考えておかなければならぬ、季節の経済の変動によることです。これが私は長期計画の中に、この季節的計画も考えておかなければならぬ。雇用問題でもそうです。五カ年とか十カ年完全雇用計画をしたところで、季節々々によって雇用が変ってくることもあります。また、いろいろな国際紛争の事件も、これも影響してくるでございましょう。それでございますから、私閣僚の一人としまして、経済企画庁調査は、これはまじめにやっておるものと思いまして、これを誤まりがあるとかいうようなことは、私は言うことはできません。しかし同時に、この季節的計画というものは、これは考えていかなければならぬということを私は申してよろしい。ちょうど国鉄でも非常に季節的計画というもの、季節によって経済の動きが変ってくるという点は、これは考慮に入れておかれなければならぬと思います。そこで全体といたしましては、これは先ほど副総裁も申しましたごとく、また政府においても見通しておりまするごとく、昨年は経済がちと行き過ぎであった。ですから多少抑制をして、その結果、国際収支も、おそらく本年度の赤字が一億数千万ドルにとどまっていくだろうと思います。そういうように国際収支が調整されて参ります。そうすると下半期におきまして、私は景気はレールの上に乗って、ここから発展をしていくということになるというのは、これは私はだれが見たって誤まりないと思います。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣は、これは数字の上の、あなたがその三十二年度の下半期の国際収支が黒字に転換をする、約一億五千万ドルの方向を見ておるでしょう。これは、いわゆる実際の国際収支についての純然たる姿というものを出してない、人為的に作業を進めさしておる。だから結局、実際の日本の貿易促進というものが、実際はかなり大幅な制限を加えられておる、また輸入の問題についても、これは制限を加えておる、こういうことについては間違いがない。仕事をしなくて、どうして金がかかるかということなんです。仕事をしないから結局は赤字にならなくて黒字に転換をする、こういう点については、これはもう論理的に、私はここに資料もたくさん持っていますけれども、今までの昭和二十九年以降のずっと経済傾向というものをとってきて、それで私どもが、昨年この運賃の値上げの際に議論をしたことをいま一度私は振り返って考えてもらいたいと思う。そういうことを考えてくると、今年、経済企画庁の河野一郎君が、いわゆる大みえを切って、いわゆる今年度の国際収支の見込みを三十一億五千万ドルということを言っておるけれども、これは私は非常に甘い見方である、これは今の対中国貿易なり、あるいは朝鮮貿易なり、アジア貿易というものが、なるほど進めばそういうことが言えるかもしれぬけれども現状過程の中において、対米従属の貿易政策をやっていかれるにおいては、これは非常に甘い。私は今経済企画庁大臣を相手にしているわけじゃないから、そういうことで議論を発展させようということじゃない。ただ経済企画庁考え方を基礎に先ほど国鉄収入の増というものを見込んでおるという小倉総裁答弁に対して、私どもはそれで一体いいのか。そうするというと、やはりここに大臣に、どうしても関係のいわゆる閣僚として、最高の責任者として、まあ運輸大臣答弁を求めておきたいということを言ったのは、やはりあなたが最後に言った長期経済計画は十カ年計画を出している、今、岸内閣としては、この十カ年計画を出しているけれども、十カ年計画の中の初年度あるいは次年度の形で、時世に合したやはり実際の計画をしなければならぬ、そのことはわかるんです。そのことを私も否定をしておるんじゃない。そのことはいいんだけれども、いわゆる経済企画庁の上昇率、伸び率というものは、一体どうやっていくか、こういう点を見ると、私はそのことだけにたよってもし収入というものを考えていったら、これは大へんなことになってしまう。現実に昨年のいわゆるあなた方国鉄当局が、とにかく、あるいは運輸省の監督局長も、われわれのこの運輸委員会の審議の中において、一体運賃値上げをしてそれだけの予定収入があるかと言ったら、必ずわれわれは努力して出して見せますと言って大みえを切ったって今日ないじゃないか。そういうようなことは、これは幾ら議論をしても、これは確かに景気が私ども考えておるよりは悪くなりましたと、こう言ってしまえばそれまででありますけれども国家予算なり国鉄予算というものを編成する場合に、そういう場当り式のことをやってはならぬ。先ほど私ども委員から言っておるのは、国鉄の過去の実績というものを考えて、そうして確実に今までのいわゆる資料というものを整えて、科学的な分析の中に、昭和三十三年度は三十二年度から見まして、一体どのくらいの伸び率というものが考えられるか、こういう点をあなた方が論議の中で出してこなければ、私どもとしてはこれはなかなか了承してもらいたいと言ったって、これはそんなことは了承できない。これは私はこの収入がもし減った場合には、あとの経営の内容の問題に必ずあなた方は責任を転嫁することになると、私はそう思うんです。そういう点について、いま一度大臣にはっきり答弁をしておいてもらいたい。それで、あと国鉄総裁なり副総裁から答弁を求める。
  60. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は国際収支が自然に改善をしていく、あなたは人為的だとおっしゃいました。これは行き過ぎた輸入の過剰な場合で、入れ過ぎたという場合には、これはある程度人為政策をもって輸入の正常化をやっていかなければならぬことは、これは私は当然だと思うんです。しかし同時に、輸出を伸ばしていく、これは輸出というものは相手国があるものでございますから、世界の景気、先ほど御議論があったアメリカ景気などは影響するだろうと私は考えます。しかしながら、そういう行き過ぎた場合の正常化をはかるという人為的政策は、これは当然とるべきことだと思うのであります。そこで、私は一つの日本の景気のこの目安は、国際収支がある程度改善されて、下半期におきましても輸出が伸び傾向がある、この秋の作柄も平年作をもっていくという見通しを私は立てて、これは結局公定歩合の引き下げというものが行われなければならぬ、公定歩合の引き下げによって金融が、いわゆる警戒信号の金融が、それが青信号の方へだんだん戻されていく、そうなってきますと、私は自然に金融が正常化されていって、それがやはり清算取引に及んでいく、結局貨物などの出の少いのは、金融に非常に困難をしているんだ、どうも手控えているんじゃないか、出そうと思っても金融関係で出し得ない、それが下半期において金融が改善されていきますならば、これは生産、取引、貨物輸送というものはふえていく、これは私の判断で、これは皆さんの御教示をわずらわさなければならぬが、私はそう考えるのです。そこで、国鉄見通しもそう私は悪くないと申し上げるのでありますが、しかし、さきも申し上げました通り、やはり経済成長すれば結局生産、取引もふえてくる、貨物もふえていく、金融が悪ければ貨物も出ない、出回りも少くなるというのでございますから、私は経済企画庁経済見通し国鉄は土台とせられることは間違いないと思いますが、同時に、国鉄貨物くらいはどう動いても、お客さんの季節的動きはどうかということを考えてもらいたいというのが、私の長期計画のもとにおける季節的経済の調節というまあ私の意見なのでございます。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 それは大臣に、これはもうあなたと議論をしてもしようがないので、関係経済企画庁長官なり大蔵大臣と私はやろうと思うのであります。しかし、あなたも閣僚の一人だから私も言っておるのだけれども、これは人為的だということは否定できない事実ですよ。ということは、岸内閣は昨年一千億の減税という大きなアドバルーンを上げてだ、そうして景気はもうどんどん上昇する、国民生活は向上するということを言っておった。言っておったのだけれども、わずか二月か三月のうちに、それはもうどうもいけませんということで手直しをしたことは間違いないでしょう。手直しをしたことはこれは人為的ですよ、あなた。国民は確かに政府が言うのだから、経済企画庁の十カ年計画だから、これは間違いないだろうといって、われわれも説明を受けるというと、そういうようにぐらぐらするわけだ、これは。国民大衆はなお……ところが、現実には経済政府考えたような方向にはいかなくて、あまり景気がいい、いいと言ったものだから、あなたの今言われたように過剰投資に入ったのです。これでは大へんだということで、前の池田大蔵大臣は、これはいかぬということで財政投融資を一カ年縛り延べということでスロー・ダウンをしたわけです。その一つ国鉄にも影響してきたわけです。そしてまた国民からそういうふうに経済見通しを誤まったという明らかなる追及を受けるのを避けようとして、大蔵省は何かというと国民に貯蓄しろと言った、今あなたの言う公定歩合の利子の引き上げというものをして、そうして国民にどんどん貯金をしろと言い、前年度は預貯金については利子の引き上げをやった、そうして、実際には国民に貯金をしろ、貯金をしろと言ってその貯金を振り回して、つまり振りかえていったわけです。これはだれが見たっても経過的な措置の中でははっきりしておるのだ。だからこそ、どうしても下期についてはこんなことでは、資本家がどんどん、特に独占資本の人たちが財政投融資を、設備投資を過剰にされたらば日本の経済は混乱をするということで、これは手直しをしてやってきた。ようやく、最近輸入を押えたために、実は国際収支の見通しについては、さっきあなたの言ったように、一億五千万ドルくらいはことしの年度末にはやや小康を保って見通しは明るくなってきた、こういうことを言っておるわけです。これは私はもうだれが見たところではっきりしておる問題だから、そういうことは明らかなる人為的な問題だ。そこで、そのことのいい悪いということは、あなたが当時の大臣ではなかったのだからね、これは宮澤君が大臣だったのだから、これは議論はあります。議論はありますが、私は今年度の三十三年度予算の中で一番おそれることは、さっき副総裁総裁も言っておったように、大臣がそういう考え方でおると、もし収入が少くなった、昨年度の二十億円——中村委員の御質問に対して、二十億くらいの大体不足というものは見込まれるということをさっき言ったのだけれども、もし三十三年度いわゆる不足予定収入というものが上らないで不足が出た場合にどうするか、これは人件費について云々というようなことを言っておったけれども、これは必ず他の部門に影響してくることは間違いない。そういうことがもし——あなた方が他の部門に、いわゆる人件費とかあるいは修繕費等に影響は絶対に与えません、こういうことを確約するなら、私はそういう形の上で一つ質問をやっていきましょうや。どうですか。これは一つ国鉄十河総裁答弁をしてもらいたい。
  62. 十河信二

    説明員十河信二君) 収入の減りますときは自然輸送量も減りますから、従って、また物件費もそれだけ減さなければいかぬ、これは国鉄経営上私は当然なすべきことじゃないかと思うのです。それでありますから、収入が減りますとどうしても経費にも手心を加えて節約するということはこれはしなければならぬかと思います。それをしないでそのまま予算通り金を使うということはやってはいかぬことだと思います。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 この経済企画庁のですね、案を土台にして収入を見ておられるんですが、私はこれは別な角度からお聞きしたいのですが、大体経済企画庁で資金計画というようなものは、国鉄の場合これは詳しく立てておりますか。今のこういう問題とにらみ合してどうも一貫した方針がないんじゃないか。これはあとで詳しく聞くけれども、もう一つは、総合輸送計画、こういうような問題で経済企画庁方針は立っておりますか。昨年の運賃値上げのとき、ちょうど一年前でありますが、当委員会でこの点を宇田経企長官に尋ねたけれども、これはほとんど十分な答弁はできなかったのであります。また運輸省当局も、国鉄当局もこれについては明確な答弁はできなかったのであります。これは先ほど申しましたように、あとで詳しくお聞きしますけれども、資金計画を見ますというと、非常に方針が変っているんですね。こういうふうに見ますというと、経済企画庁企画庁ということを言われますけれども経済見通しについては、なるほど、そこのところは踏襲をされるということになるかもしれぬけれども、資金計画の面や、総合輸送計画の面では、これは経済企画庁のそういう方針を踏襲しているという立場に立っているんですか。これはあとで経済企画庁長官の出席を求めて詳しく意向をただしたいんですが、国鉄当局運輸省当局としてどう考えておられるか。この点明確にしてもらいたい。都合のいいところだけをこれは向うの案に従い、あとのところはぼやけているというんじゃ問題にならない。それほど一体現在経済企画庁方針というものは明確になっているか、そういう点で総合的に貫くことができるかどうか。この点非常に重要だと思うんですが、運輸大臣並びに国鉄総裁から御答弁願いたいと思います。
  64. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 長期計画経済の中には、これはやはり運輸計画はあるわけです。造船の計画もございますし、あるいは鉄道の計画も持っております。これが当然入らなければ長期の計画経済というものはできないはずであります。国鉄の資金計画につきましては、これは金融の将来を見ております。これは方々からこの資金を集めていくという計画でございまするが、大体におきまして百億の削減は、これは繰り戻しが四十三億減っておりますから、あのスロー・ダウンも正味六十三億というふうになっているのであります。今後、私もこれは見通しでございますが、徐々に日本の金融というものは正常に戻ってくる、それは預金がどこまであるかということからも見てみなければなりませんが、一時のように、八千億というようなことはなかなかむずかしゅうございますけれども、しかし、この預金が非常に自然にふえていく、それによる資金計画は、これは銀行におきましても、資金調整委員会において立てておられるのでございまして、全体といたしまして、私は今後金融というものは正常に戻ってくる、今はただ引き締めをやっているだけで、これは金融じゃございません。これは貸すべきときは貸す、消化せしめるときは消化せしめる、こういうことはできるという見通し国鉄の資金計画も立っているものである、こういうふうに私は見ているのでございます。
  65. 十河信二

    説明員十河信二君) 先ほど申しましたように、国鉄国鉄の独自の見積りを立てまして、収入はこうなる、経費はこれだけ要るという計算をするわけであります。しかしながら、国鉄日本経済あるいは世界経済の状況に応じて影響を受けるのでありますから、国全体あるいは世界経済状態を総合的に検討しておる経済企画庁の意見はこれは尊重して参照する必要があると、私はそういうふうに考えます。それで、多少出たり引っ込んだりするようなことをいたしたのであります。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 どうも運輸大臣の話を聞いておりますと、もっともこれは昨年からいらっしゃらないからわからないことだが、当委員会でずいぶんこの問題は問題になったわけです。しかし、方針はこれはあとで具体的に聞きますが、この中であなたがただいま……後日御答弁願えばはっきりすると思うのです。それから総合輸送計画の面でもなかなか立っていないのですね。そういうことがあるのだ、現実に。で、今言ったようなばく然とした何かまあそういう形のものはあるでしょう、それは。しかしながら、もっと明確な科学的な一つの計画というものが必要なんです。五カ年計画はすでに二カ年に、これはもう第二年度に踏み込んでいる、こういう態勢の中にこの問題をもっと明確にしなければならない、それだけの責任があるわけです。この前の一割三分の運賃値上げに反対しましたけれども、現行においてはこれは行われている。そうすれば、この問題についてわれわれはやはり徹底的にこれを明らかにしなくちゃならない。そういう中で一体経済企画庁の指導性があるかどうかという点、その点はどうも今総裁からお話がありましたが、これは非常に不明瞭だと思いますので、これはまた別な機会に経済企画庁長官の出席要求したいと思うのです。委員長の方からも確認していただきたいと思うのです。私の申し上げたいのは、都合のいい面の経済見通し景気見通しについては、一応そこにつじつまを合わしたことになっているが、そのほかの面で一体果して総合的なこれと関連したところの資金計画や、あるいは総合輸送計画の中で明確なこれは方針をとっているかどうか。この点非常に不明瞭だと思う。今の御答弁では何も出ていないのです。こういう点については、またこれについては明確な御答弁もなかったわけです。ですから、総合してあとでお聞きしたいと思います。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 私も関連して別の角度からお伺いしておきたいと思うのですが、今までの質問は、いわゆる景気がよくなるかならないか、どうだというようなことが中心になっておるようでありまするけれども、私のお聞きしたいのは、いわゆる岸内閣は重要政策の一つとして、道路の拡充整備ということを取り上げられておるわけなのであります。従って、この政策がどんどん進捗していきますというと、輸送分野というものが非常に変ってくると私は思うのです。特に日本における長距離輸送なんというものは、もうたとえば青森から下関まで行くやつは長距離輸送になるかもしれませんけれども、東京−大阪間は長距離輸送にはならない。ですから、こういう輸送分野の推移というものをどういう工合に考えておられるのか。端的に申しまして、来年度においてトラックの輸送の増強率というのはどのくらいに見込んでおられるのか、これを一つお聞きしたい。
  68. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) トラックの輸送数字は私持っておりませんが、大体のことを御答弁申し上げます。きのうも予算委員会であなたの方の楯君から御質問があったのでありますが、まああれは中央道というものができてくる。それから今名古屋から神戸に行く、吹田でございますか、小牧から吹田、それから今度関門トンネル、関門国道にこれは近くバスが通ずるようになりますから、そういうふうになって参りますと、ことに関門なんかも、これも将来鹿児島辺に行くということを見ておかなければなりません。これは私もその点は心得ておりますが、それで、これと鉄道はどうかというと、これは非常な重大問題でございまして、私も深く考えなければならぬと思いまするが、まあわれわれの持っておりまする資料からの判断によれば、かりに国土開発縦貫自動車道路に自動車が走っていくというのと、かりに東海道の輸送ということを見てみますると、どれだけの分がそういう自動車に移っていくかというこの統計をまずはじき出していかなければならぬと思います。で、まあ自動車局あたりの統計を調べてみますと、その転移する数は少い。従って、やはり東海道は東海道としての鉄道の役割を持っていかなければいけないというのです。それが今幹線調査会などにおきまして、現在の東海道は三十六、七年にその輸送力が行き詰まるという見通しであるから、これを別に狭軌にするか、広軌にするか、一つやっていかなければならない、こういう見通しも立つのでございまして、やはり私は自動車は自動車の特性、鉄道鉄道の特性というものがそのうちには、競争はしておりますけれども、そこに依然特性がある、その特性を生かしていって、両者の調整をはかっていくということを政策の眼目としておけばいいのじゃないかという、今日のところそういうふうに考えております。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 非常にばく然とした御答弁なんですけれども、つまり自動車は自動車の特性、鉄道鉄道の特性というのですけれども、その特性なるものが、非常にこれから進化をしていくということから、つまり今までこれが鉄道の特性であったと考えておったものが、それがもうすでに、鉄道の特性オンリーではなくなるという時代がすぐ目の前に来ているわけであります。でありまするから、そういうようなものを勘案して、そうして来年度国鉄貨物見通し、あるいは再来年度貨物輸送見通し、そういうものをやはり勘案しないというと、ほんとうのものは出てこないのじゃないかと思う。この予算書説明を見ましても、そういうトラックの影響というものは一つも書いてない、そういうものはどうして書いてないわけですか。特にトラック輸送あたりは何か五億三千万と、鉄道輸送の三倍、人員といたしましても、いわゆるバスにして三十五億人、国鉄の三十六億人に大体匹敵している、そういう工合に、近来急速に伸びてきているところの路面輸送の問題について、国鉄輸送力を推定する上に、何ら考慮を払われていないということは、こういうことは何だか隠されているような気がする。そこで、これをいわゆる政府として総合的な政策を立てられないというと、どういう現象が起るかというと、いわゆるどんどん国鉄の荷物が路面輸送にとられて、そこに転移していく、そうなれば国鉄は独算制をもっていけないから、国鉄が荷物をとろうとしてやっきになり、民間業者と国鉄とが非常な競争をするような状態になっていく、こんなようなことになりはしないかということを憂慮するわけであります。でありますから、日本の一つ経済の隘路としてみれば、輸送が大きな隘路である、こうなれば、国鉄の路面輸送も、総合的にこの輸送の隘路の打開ということについては、計画を立てなければならぬと思うのですが、そういう面がどうもはっきりしない。今の大臣答弁でいきますというと、国鉄国鉄の特性があり、トラックはトラックの特性があるとおっしゃる。その特性なんというものは、きょうの特性はあしたの特性でなくなってしまう。大きな道路ができれば、トレーラーでもって、これは二両も三両も連結して走るようなことは、そう遠くないでしょう、そうなるというと、国鉄の特性はすでに特性でなくなってくるということも考えなれけばならぬのですが、こういう点について、総裁、どうでしょう。そういう問題を勘案して、国鉄の荷物の転移といいますか、そういうような傾向について、どういう工合にお考えになっておるか、これは参考のために聞いておきたいと思う。
  70. 十河信二

    説明員十河信二君) 自動車の運ぶ荷物は、全体の荷物のパーセンテージを申しますと、だんだん自動車で運ぶパーセンテージが多くなっていくということは間違いのないことだと思います。しかしながら、その輸送量、トン数と輸送距離を掛け合わしたものを考えますと、まだまだ日本は非常に少い分量じゃないかと思います。先刻大臣お話になりましたように、東海道だけで考えてみましても、いろいろな角度から考えまして、まあ一割五分か、せいぜい二割ぐらいが自動車の方に転移するものだというような大体結論になっているのであります。そこで、来年度予算におきましては、われわれはそういうことも考慮いたしまして、国鉄国鉄としての見積りを立てたのであります。その上に日本経済全体を総合的に見た経済情勢、世界全体の動きを見た情勢を判断して勘案をいたしたということを御説明いたした次第であります。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで、いろいろ国鉄としても、今後の道路の拡張整備と相まって、いろいろな政策の変化もあると思うのでありますけれども国鉄としても、やはり鉄道輸送の一環といいますか、そういう面からトラックの輸送ということについても、やはりある部面では考えなければならぬ状態が出てきはしないか、こんなことも考えられるのです。ですから、いわゆる政府の言うところの道路を急速に整備拡充するという、こういう政策と国鉄輸送増強の計画というもの、そしてその見通しというようなもの、あるいは荷物並びに人員と輸送分野のいろいろな推移というもの、こういうものについてどうも総合的な一つの計画、方針がないように私は見受けられるのですね。先ほど大臣の御答弁から見てもそんな気がするのです。でありますから、結局計画が片っぱしから倒れる、計画倒れになるということが出てきはしないかということを心配する。でありますから、私が心配しておるのは今までの変化と、今までの変化以上に道路の急速な整備に伴って、いわゆるトラック輸送の分野というものの急速な変化が起ってくる、こういうものを当然勘定に入れておかなければならぬと思うのですが、この際一つ国鉄自身のトラック輸送についての将来の方針なり、お考えなりについて、方針がありましたらお聞かせ願いたい。
  72. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻も運輸大臣から御説明のありましたように、鉄道鉄道の特徴を生かし、自動車は自動車の特徴を生かして、そしてお互いに欠点を補い合って共同して輸送を完璧にするということが、私は輸送の目標でなければならぬと思うのであります。そういう点につきまして、私どももかねてから検討をいたしておりまして、昨年は東北線におきまして、自動車と鉄道と共同して輸送を完璧にする、そして鉄道輸送貨物のスピード・アップもやりますし、また輸送力も増加いたしますし、貨車も大へん浮いてくる、経営合理化にもなる、そして国民には非常にサービスをよくしていくということで、そういうことを実行いたしております。道路が改善されるにつきまして、鉄道貨物あるいはお客も自動車にとられる部分も相当多量出て参ります。それは先刻申し上げた通りでありますが、一面においては、道路が改善されるに従って鉄道の培養になっている、鉄道に来る貨物あるいは旅客が多くなるということもまた考えられる、そういういろいろな面も勘案いたしまして予算の編成をいたしたような次第であります。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題は非常に大きな問題ですから、逐次これから委員会において機会あるごとにお伺いしたいと思うのですが、ただ、ちらっと今東北の問題が出ましたので、この面にもちょっと触れておきたいと思いますけれども、私もこれ拝見して参りました。確かに構想は非常にけっこうで私も賛成をするわけなんですけれども現状を見ますと何といいますか、非常に不合理で矛盾をした方法をしておられる。端的に言うならば、貨車のとまらない所へどんどん荷物を運んでしまう。貨車のとまらぬ所へ貨物を運んで、そこからまた持っていく、そんなばかげた共同輸送はないと思う。これは何らかの欠陥があると思う。今総裁お話を聞いていると、東北の共同輸送がまことにりっぱなもののようにおっしゃっていましたけれども、着想はいいが、現在やっておいでになるところの東北の共同輸送なんていうものは、私はあまり感心しないと思う。あれはやはり改善しなければならぬと思うのですが、どうですか。
  74. 十河信二

    説明員十河信二君) お話通り改善を要する、まだまだ完璧と申しかねるのであります。しかしながら、あれでも一歩前進しておる、漸次改善して参りますから、どうかしばらく御猶予を願いたいと思います。
  75. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっとお断わりいたしますが、先ほど来相澤委員外各位から要求のありました大蔵大臣出席の件でありますが、先ほど衆議院の本会議に恩給法の改正案の上程に際して出席されておりまして、それが済んで直ちに予算委員会ということで、これが午後七時ごろまでかかるというような状況でありますので、しからば、これにかわるべきといっても、先般来の皆さんの要求からいたしますと、根本的な問題について大蔵大臣にただしたいということでありますので、他にかわるべきというわけにも参らないと思います。よって、本日のところは、これはやむを得ざることといたし、あらためてやはり要求し続ける、こういうようにいたしたいと思いますので、その向きで御了承願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  76. 中村正雄

    中村正雄君 次に、歳出の面で修繕費についてお聞きするというよりもだめ押しをしておきたいと思うのです。この問題については、この委員会でも二回、三回とやりまして、特に今年度修繕費がいろいろな面で食われておる。特に国鉄から出されておる数字を見ましても、本年度五百一億の修繕費が実際修繕関係に使われましたのは四百五十五億で、五十億近いものが他に流用されておる。このことが国鉄の現在の財産の保持の上に非常に悪影響を与えておる。来年度予算からこういうことのないようにということで、たびたび国鉄当局運輸省も確約されておったわけですが、幸い今出されておる予算のうちの修繕費は、本年度に比べまして約八億程度ふえて五百九億、こういう数字が出ておるわけなんです。しかも、ことしの予算は、完全なものではありませんけれども、大体経営費その他も均衡のとれておる予算でありますので、三十三年度予算を実行する上におきましては、ことしのような修繕費を他に流用することがないということをあらかじめ確約していただきたいと思うのですが、副総裁、どうです。
  77. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 仰せの通り年度修繕費経営費の他の面の不足を補いましたために非常に不足になりまして、私どもも実に遺憾だったわけでございます。今年度はその昨年度不足した部分の予算をちょうだいしてありますので、修繕費はぜひとも確保していきたい、こう考えております。
  78. 中村正雄

    中村正雄君 そのお答えを聞きますと、これ以上修繕費についての質問は私はしたくないと思いますので、今の副総裁の言を来年度一カ年間一つ実行してもらいたいと思うのです。  私の最後にお尋ねしたいのは、工事勘定等五カ年計画について二、三総括的な問題について御質問したいと思うのです。本年度予算審議のとき、特に運賃値上げ議題になりましたときに、五カ年計画が裏づけとなって議論されたわけですが、そうして昨年の三月十四日に当委員会国鉄から五カ年計画の実施計画表というプリントを提出されております。これによりますと、資金総額、これは御説明のありましたように、新線建設を除いて五カ年間五千六百三十六億として、初年度であります三十二年度は九百九十九億、これがまあ三十二年度の計画であったわけですが、そうして三十三年度の計画としては千百十五億というのが五カ年計画の二年度予算の計画になっております。ところが、本年度出されております予算を見ますると、大体九百七十二億、これだけしか計上されておらないように私は計算するわけなんです。従って、最初の計画よりも百四十億余り不足いたしておると思います。これはなぜか。まあ、物価の値下りその他を見込んで、これだけでも十分満足にやっていけるという意味で削減されたのか、あるいは五カ年計画をスロー・ダウンするという意図のもとに減額されて予算を出されているのか、この点お伺いしたいと思う。
  79. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 御指摘の通りに、五カ年計画の原案におきましては、改良費が千百十五億になっておりまして、今回の提出予算につきましては九百七十億程度でありまして、その開きはございます。で、これは私ども工事費は多々ますます弁ずるのでございまするし、できるだけ原案を確保いたしたかったのでございまするが、諸種の事情によりまして、国家投融資のワクも限定されておりまするので、多少の減額を受けた次第であります。しかしながら、五カ年計画でお約束いたしました輸送力と申しまするのは、これはいろんな面で弾力もございまするので、少くとも三十二年度におきましては、所期の輸送量を達成いたしておりますし、従いまして、その程度輸送力は、いろいろ原案よりも少かったのでありまするが、いろいろな工夫によりましてこれを補って参ったのでございまして、それと同様に三十三年度におきましても、いろいろまあ五カ年計画原案の施設を、その期間にそっくり原案通り完成するということは、金額が減りましただけにむずかしい点もございまするが、いろいろな工夫に上りまして、輸送力は計画通りに維持して参りたい、こう考えております。
  80. 中村正雄

    中村正雄君 副総裁の御答弁ちょっとあいまいな点があるわけなんですが、来年度予算には百四十億減額されておるけれども輸送力増強の計画は大体達成できる、こういうふうに理解したらいいわけですね。
  81. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 施設の面におきましては、多少のスロー・ダウンが免れないかもしれませんが、それは後年度には、五カ年計画でございまするからして、後年度にぜひそれを回復するだけの資金をいただいて回復していきたい、しかしながら、過渡期の輸送力につきましては、いろいろ緩急その他を勘案いたしまして、また工夫に工夫を重ねまして、お約束しただけの輸送量は達成していく覚悟でおります。
  82. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、五カ年間の経費五千六百三十六億というものは変更するわけじゃないけれども、次年度、三年度、四年度等の予定された金額の変動はある、従って、本年度はこれだけ少いけれども、来年度はこれだけ少いけれども、三年度なり四年度においては、現在の予定に来年度減らされた分を加算して補いをつける、こういうふうに理解したらいいわけですか。
  83. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) さようでございます。
  84. 中村正雄

    中村正雄君 運輸大臣にお尋ねしたいのですが、最初五カ年計画を出されましたときは、毎年新線建設は七十億、合計三百五十億、こういうふうに予定されて計画が発表され、運賃審議の資料にされたわけなんです。ところが、今副総裁から答弁がありまして、また私が質問しましたように、本年度はいろいろな面で計画よりも百四十億減額されておる。にもかかわらず、新線建設費は最初の予定よりも二十億増額した九十億を来年度に盛っている、こういう矛盾はなぜ出たか、運輸大臣から答弁願いたい。
  85. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) その中には青函のあの調査費、それから夢のかけ橋の調査費、そういうものが入っていると思います。それから東海道新線の調査費、そういうものが入っているのだと私は思っております。
  86. 中村正雄

    中村正雄君 そうすると、九十億の中に純然たる新線の建設でなくして、淡路島に対する橋の問題、青函の調査費の問題、あるいはその他のそういう調査費的なもの、五カ年計画に含まれておらないところの新しい事業の調査費がどの程度含まれているか、数字を示してもらいたいと思います。
  87. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 数字鉄道監督局長から示します。
  88. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) お答え申し上げます。これは先の国会で五カ年計画を御説明いたしました際にも御説明申し上げましたが、繰り返して申し上げますが、当時申し上げましたように、新線建設は一応七十億として五カ年分三百五十億を計上しておるが、これはいろいろ新線建設の重点的施工、国土開発、国民生活安定その他の関係で別途いろいろ具体的には計画する、こう申し上げまして、五カ年計画の主要内容は、主要改良工事と取りかえ諸改良でございまして、いわゆる改良費に属する五千九百八十六億から三百五十億を引いた、先ほど御指摘になった五千六百三十六億というものを主体にいろいろな改良をやって参る、こう御説明したわけであります。で、建設費につきましては、御案内のように建設審議会という制度もございまして、そこでいろいろ具体的に審議をいたしていたのでありまするが、前回の建設審議会では、やはり一応の重点的な重要新線の建設計画を樹立されまして、これの計画内容が、大体昭和三十三年度には百三十億規模ぐらいという年度計画の計画を審議会の方では持っておられたのであります。まあ、いろいろ私どもの方でも新線の内容を検討いたしました結果、三十三年度は九十億、こういたしたのでありまして、三十二年度は七十億でございましたが、二十億増ということにいたしたのであります。しかし、この金額は他の改良費を食ってやるわけではございませんので、改良工事、取りかえ諸改良については、それぞれの計画を合せまして、先ほど答弁がありましたように、全体の五カ年計画としては五カ年間全体として見て予定通りやりまするが、とりあえず三十三年度において計上いたしました金額でも、大体全体の改良費の五カ年計画の進捗率から申しますと、三四ないし三六%ぐらいに相なるかと思うのでありますが、おおむね所期の進捗をいたしておるわけであります。  一方、建設費につきましては、申し上げましたようなことでございまして、この具体的な配分については、建設審議会の御意向も承わって線別にして配分いたしたいと思っておりますが、大体私どもで今考えておりまするのは、この予算説明書にも書いてありまする通りに、総係費に十二億、車両費に三億、工事費に七十五億、こういう予定でございます。総係費の中にただいま大臣から申し上げました東海道新幹線の調査費並びに青函、四国の連絡鉄道調査費を含めて考えておるわけでございます。
  89. 中村正雄

    中村正雄君 私の質問している趣旨と根本的に違う点があると思うのです。私は、新線建設の費用として七十億を二十億ふやして九十億にしたということが改良費を食っていると申し上げているわけじゃないのです。一応大臣としてもお考え願いたいのは、新しい線の建設については、これは審議会が大臣の諮問機関としていろいろ年々決定されるわけなんです。従って、その決定をどうなさるかは大臣の自由であるわけですけれども、ただ、私の主張したいのは、昨年の国会運賃値上げを審議するときに、五カ年計画を御発表になって、そうしてこれだけの金が要るから運賃を値上げしてもらいたいと言われたときに、国鉄が出しましたものは、三十二年度にはこれだけ金が要る、三十三年度にはこれだけ金が要るということで締めて五千六百三十六億要るから、これだけの運賃値上げをしてもらいたいということを国民に公約し、国会発表して運賃値上げを断行されたわけなんです。従って、三十三年度には、千百十五億という金を国鉄は五カ年計画の遂行のために投入しますということは、去年公約しているわけなんです。ところが、来年度のいわゆる新線を建設する九十億は、その後それぞれの機関でおやりになって大臣に答申されたわけなんです。従って、私がお尋ねしたいのは、去年国民に公約した千百十五億というものを百四十億も削っておきながら、その後大臣の諮問機関が決定したからといって、二十億も最初の予定よりもふやした新線建設の費用を組むことはおかしいじゃないか、なぜ組んだかという根本の趣旨をお尋ねしているわけです。これについて大臣はどうお考えになりますか。
  90. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私はこまかいことはよくわかりませんから、監督局長から数字的に答弁させた方が的確だと思います。
  91. 中村正雄

    中村正雄君 私は二十億の内容を聞いているわけじゃない。国民に去年公約した国鉄が使う金千百十五億、これをいろいろな関係で本年度はこれだけしかできないから、次年度以下にはまたふやしてやろう、こういう予定で本年度削減しておきながら、国鉄に大して利益にならない、国政の窮屈なときに、新線建設の方に最初の計画よりも二十億も多く回わさなければならない理由がどこにあるかということをお尋ねしているのです。
  92. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 新線の建設は運輸省といたしましては、やはり地方産業、経済の発展あるいは地方民の要望、これは考えていかなければならぬと思います。そういう意味におきまして、私ども努力をいたしていかなければならないことは、これは当然のことじゃないかと思います。
  93. 中村正雄

    中村正雄君 それは必要なことは認めるわけなんです。問題は、国鉄としてやらなくちゃいけない新線は九十億じゃないと思うのです。必要という観点から見れば、それは五百億も、一千億もあるのじゃないかと思う。ただ、必要なものはたくさんあるけれども、先ほど何かの答弁のときに総裁からも言われたように、これだけの金で、そうしてどれから優先的にやるかということが必要の順位じゃないかと思う。必要だからやるという意味であるならば、これは何兆あったって足りやしない。それほど国鉄は必要なものがたくさんあると思う。私は国民に、これだけは絶対必要だ、そのために国民に値上げはがまんしてもらいたいと言われたときに、国民に出されたその数字を百四十億も減額しておきながら、その後、これは必要だからといって二十億新線建設をふやしたことは、どうも納得できない。その必要の度合が、五カ年計画はスロー・ダウンしても新線建設二十億をふやさなければならない必要がなければ、僕は出せないと思う。そういう必要があれば具体的に示してもらいたい。
  94. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) その必要につきましては、それは線路の数であるとか、各線のことを御説明申し上げれば御了解願えるだろうと思います。
  95. 中村正雄

    中村正雄君 そうすると、昨年の国民に公約したことはやらなくても、新線建設に二十億ふやさなくちゃいかぬという理由があるわけなんですか。
  96. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) ちょっと補足して説明させていただきますが、今御指摘の通りに、昨年お示しいたしました数字は、三十二年度がいわゆる改良費で九百九十九億、それから三十三年度で千百十五億という予定の表を提出してお示しいたしております。あのときに御提出いたしました資料で御説明いたしましたように、建設費は別ワクで、「七十億」、「七十億」として別に計上してございます。それぞれのものを検討いたしました結果、まず建設費につきましては、すでに御承知の通りに、すでに工事に着手しております線が二十八線でございます。従いまして、これについてはすでに工事に着手をしておりまするので、やはりある程度経済速度をもってこの建設を完了せしめることが、いろいろ貴重な資金の投資効果から申しましても、また地方交通の確立から申しましても、必要でございまして、これの必要額がどうしてもあるわけでございます。このほかに、なお御承知の前回の建設審議会で十六線の調査線が追加になりまして、これは調査をいたしているわけでありますが、しかし、工事着工線につきましては、これはどうしてもそういった意味から予算が必要でございます。そういうことを勘案いたしまして、大体百三十億くらいの実は計画を私どもは持っておりましたけれども、これをいろいろな資金の関係、財政上の理由もあり、また各線別に事務的に洗い直しまして、これを九十億と査定いたしたわけでございます。  一方、改良費につきましては、でき得べくんば千百十五億をつければこれは理想的でございまするけれども、これもこの内容はすでに御承知の通りに、老朽資産の取りかえやら、それから輸送力の増強やら、さらに近代化というような、五カ年計画の大別して三つの目標に分れる工事がそれぞれあるわけでございます。これはあの際にも御説明いたしましたように、五カ年計画の前半においては、主として老朽取りかえに重点を置くということでございます。その点については、従いまして、老朽取りかえについては、三十三年度も相当程度を見ておりまして、三十二年度の実施額と三十三年度の計画額とを合せますると、全体計画を一〇〇といたしまして、六〇は完成するわけであります。従って、これは前半において完成すべきものは予定通りに行っているわけであります。  それからまた通勤輸送につきましては、これまたいろいろ御指導をいただきまして、私どもも重大だと思っておりまするので、この点は前二カ年で、計画を一〇〇といたしまして、四五は完成するわけであります。従いまして、計画通り進めております。ただ、財政上の規模その他がございまするので、非常に大きな用地買収を伴い、また根本的な増強になりますような基本施設については、これは若干計画が、二カ年では予定よりおくれておりまして、そのために三四%ないし三六になるのでありますが、全体としては、予定通りでき得る五カ年間見通しが立ちましたので、財政上の、資金等からやむを得ず千百十五億を圧縮したわけでありまするが、その最初に持っておった構想からそう遠ざかっては輸送力の整備に支障を来たしまするので、一々工事内容を洗いまして、そういうふうに査定したわけであります。
  97. 中村正雄

    中村正雄君 今の答弁を聞いておると、新線建設を重点にやって、あとの五カ年計画は従のような答弁になっていると思う。新線建設をこれだけやっても、五カ年計画の全体には影響はないという説明をされていると思うのです。もしそれが実際であれば、先ほどの総裁答弁とは食い違って、これは五カ年計画の資金計画は修正しなくちゃいかぬと思う。五千六百三十六億もなくてもやれるのだという結果になるのじゃないかと私は思う。そうすると、運賃値げげを認めるためにこれだけ金が要るのだと言っておきながら、運賃値上げを通すために山をかけておった、こうしか受け取れないと思います。私の質問しているのは、やはりいろいろの困難はあろうけれども、計画された年度に従って、計画された仕事を完遂していくということが一番大切である。その方の用地買収その他をずらすと言われておりますけれども、そういうことでずらしておいて、そうして百四十億も減額しておきながら、新線建設の方に二十億ふやす、むろん建設審議会では九十億では足らぬでしょう、百三十億も百四十億も要求するでしょう。またあなたの方でもやりたいという面においてはもっと多くの考えをお持ちでしょう。しかし、それは限られた財源でやるわけでありますから、どちらを重点にするかといえば、私は国民に公約した五カ年計画を重点にやって、それが満足にやれて、その上にほかで削れる金や余る金があれば、新線建設に七十億を九十億にふやそうと、百億にふやそうと私は自由だと思う。従って、改良費は食っておらないと言われるけれども国鉄全体の収入あるいは財政投融資、そういう面から考えて全体から見れば、現実に百四十億、五カ年計画を食っておいて、二十億新線でふやしているという結果には間違いない。従って、どうもこれは納得できない。しかも、本年度、副総裁の話では、ずらすものは三年度、四年度でふやすと言われておりますけれども、再来年度予算を来年今ごろまた審議するときに、きめられました第三年度は千百四十四億になっておりますが、これだけの資金確保できるかどうか、これは疑問です。また来年審議するときには、こういう状態で五カ年計画は支障がないようにやっていくが、本年度はこれだけずらします、そういう説明をされたのでは、五カ年計画は、完成するのはスロー・ダウンする、こういうことを懸念して、私はこの間に矛盾があると思う。しかも、淡路島の関係等を考えたって、これは確かに必要でしょう。しかし、必要だといって、現在大切な国鉄の財産を、金を今つぎ込まなければいけないかということは別の問題だと思うのです。今国鉄が何といっても国民に一番先にやらなければならないことは、やっぱり五カ年計画を完全に実施するという、この点になければならないと思います。その点について、僕は総裁がどういうふうにお考えになっておられるかお尋ねしたい。
  98. 十河信二

    説明員十河信二君) お話はしごくごもっともで、そういう御意見の出ることもよくわかります。建設費と改良費というのを大きく分ければ、現在線の改良、新線の建設、こうなりますけれども、その建設費の中にも改良費とよく似たようなものも相当あるのでありまして、これはどちらを優先ということを一概に言うわけにもいかぬかと思います。例をあげると、はなはだ差しさわりがあるかもしれませんが、たとえば東京付近で申しますと、今の東海道線の新しい複線を作るということ、これを改良費と言っていいか、建設費と言っていいかということ、これは私非常に疑問だと思うのであります。これはこの東海道線の新しい複線を建設する調査をする費用をこの建設費の中に盛り込んである。これは一面から言いいますと、改良費とも見られるのであります。また、武蔵野線というようなものも、これも改良費に入れてもいいという議論もできるかと思うのであります。要するに、建設費といい、改良費というのは、便宜的に費目をつけて分けてあるのでありまして、どちらがどうということは全体的にはなかなかきめかねるのじゃないかと思います。
  99. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。これは重大な発言じゃないかと思います。去年われわれはこの点については国鉄当局が確認して、そうしてこの五カ年計画は完全にやるのだ、こういうことによってあの法案は審議されたわけなんです。今のように複々線を作るのも改良費に入れるといような言い方だったら、私は大へんなことになると思うのです。当然今中村委員の質問というのは、国民の公約を一体果すのかどうか、同じ限られた資金の中で、もし余っておるなら、これはいいでしょう、国民の公約を果しておいて、そうして金が余っているのだから、新線の建設をするというのじゃ違反じゃありません。発展と認めることができるかもしれません。しかし一方において、現実的にはっきり数字に現われている。權田さんの説明を聞きましても、なるほど老朽施設の取りかえ、こういうものは六〇%、通勤輸送は四五%、ほかのものはどうなっているか。公約している幹線輸送対策、電化、電車化、ディーゼル化、これらはみな二〇%、三〇%にも達しない。しかも、平均すると三四%から三六%である。五カ年計画によりますと、今、中村君も言われましたが、毎年資金は等分に分けられているはずです。そうなってくると、当然四〇%が今年度に完成されなければならない。ところが現実的には、それが新線建設の方に食われるという形になっております。その理由としては、資金の不足というような問題、スロー・ダウンの問題などからんでいるのでありますが、とにかく三四%である。そうすると、次年度はどうなるか、三年度、四年度、五年度、大体これは六四%施工しなければならないということになります。そうすると、一年の平均をいたしますと、もう二二・三%遂行しなければならないということになります。現状は先に行って大へんなことになると思う。私がこのことを特にお伺いしておりますのは、資金計画と非常に関係がある。資金は限られている。あとでもっと詳しくお聞きしたいのですけれども、資金の面から見まして非常に窮屈な格好になっております。これは国鉄要求が通らなかったからだと思う。たとえば資金運用部資金などは要求が半額以下に削られている。私の仄聞するところによると、五百九十億要求されたということを聞いている。しかし、実質的には二百億に削られている。そしてその足りない分は、あるいは収入見積り過大、水増し、あるいは経費を節約することによって収入を多く見積る、そこから浮かす、もう一つは、公債の方に振り向けるというようなことで、昨年とはずいぶん変った方式がとられている。それでもなおかつ、昨年のワクを守ることができないという格好になっている。そういうことになっていきますと、これはどういうことになるか、ことに一方で新線建設が九十億、百三十億、百五十億というふうにふえている。資金の量というものは、一応のワクがかかっているということになれば、当然これは改良費の方が食われてくる。そうなってくると、どうしても今までのやり方によるというと、資金が足りない。政府の投融資は非常に限られて、ぎりぎりにされている。それから公債の発行もいろいろひもつきで窮屈な場面になってくる。そうすると当然今の国鉄考え方としては、結局運賃収入の方にその財源を求めざるを得ないという格好が出てくるのではないか。そしてここに第二、第三のやはり運賃値上げというようなものが、要因としてはらまれているということは非常に重大だと思う。この問題は、今国鉄の進めております資金計画と関連しまして、さらに、この財源をやはり大衆の負担の方に求めるという今までの常套手段と非常に私は関係があると思う。そこへもってきて、さらに東海道線の複々線化というような問題が起ってきておりますけれども総裁は事もなげに言われましたけれども、これは大体三十億ぐらいの資金が要るのでございます。そういうふうになると、これは全部最初の公約というものは圧迫されてくずれてくるという問題が現実に起ってくる。これは現実にはっきりと起ってきているのです。こういう問題を私たちは見のがすことができないのでありまして、われわれは、はっきりと昨年は公約実施の面、これを大きな看板に掲げまして、そうしてこれを名目としまして一割三分の運賃の値上げをやらせたのです。従って、われわれはそういう点では国民に大きな責任を負っている。そういうものが基礎からくずされて、そうしてここの答弁だけでうまくごまかされるということは、これはわれわれは断じて了承することができないと思います。こういう点について、どういうふうに一体公約を実施されるのか、そして運賃値上げは、これは現実にやられているのでありますから、これをどう貫くか、もしそうでないとすれば、これは運賃は元へ戻したらいいと思います、早い話が。もう五カ年計画はくずれたのですから、大衆を欺瞞しているということになっております。この言葉は少し強いかもしらぬけれども、そういう格好になっております。事実予算書がこれを語っております。そういうことになったら、あのようなことはわれわれはなはだ見通し違いで申しわけございません、従って、この一割三分は取り消します、元へ戻します、そして新たに資金計画を求めてこれをやるということに私はいかなければならぬと思う。そうでなければ政治の公約ということは貫くことができない。これはわれわれ了承することができないところがあるのですが、この点については、運輸大臣総裁関係者から腹をくくって一つ答弁を願いたい。断じてわれわれは了承できません。
  100. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は再度の値上げをするとか、そういうようなことはすべきじゃないと考えております。しかし、大体において、私は五カ年計画の線は沿い得られておると思う。ただ、新線の問題でございまするが、これは先ほど申し上げましたように、地方産業の開発といったようなことも一つ考えを願わなければならないと私は思うのでございまして、一割三分を今お話しになったように返上すると、そういうようなことは私どもはあまりにも極端ではないかと思います。現在の線に沿うて計画していくということは、一つ御了承願わなくちゃならないと思います。
  101. 岩間正男

    岩間正男君 大体において貫いておられるというお話ですが、大体では困るのです。一方で新線建設が九十億とか、そういうふうな形で今年ふえて、そうして改良費の方で食われているというような、そういう事態が起っているなら、ここのところは一応今までの経済の変化によるあるいは修正というふうに見られる点もあるのですけれども、そうじゃないのです。一方ではこれと反するような方法がとられて、そうして一方が縮小をされておって、それで大体というようなことでは私は通らないと思います。そうすると、これは五カ年計画というやつは現実に修正されておると思うのですが、この私たちが昨年いただいた案を修正したものを、これは修正五カ年計画でありましたが、これの修正修正五カ年計画というものなんですか、どうなんです。この点を明確にしてもらいたいと思います。
  102. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 再修正をした意味ではございません。これは従来の計画の線に沿うて行われておるのであります。
  103. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっとその件については小倉総裁から……。
  104. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 五カ年計画について申し上げます。先ほども申し述べました五カ年計画は、三十二年度を初年度といたしまして三十七年度まででございまして、この五カ年計画が国鉄の一枚看板であるばかりでなく、国家意思の決定に基いたものでございまして、仰せの通り公約でございますから、これはぜひ達成いたしたい、こう考えておるのであります。ただ、国鉄予算には継続費のような制度がございませんで、単年度の査定でございますから、ときに多少の起伏があるのはこれはやむを得ないかと存じます。言葉をかえて申しますれば、昨年の春の神武景気が続いたならば原案通りの投融資もいただけたかと思うが、そういう年々の多少の経済変動によってそのときの予算の変動は、やはり全体の国力は各要素によって分け合うのであるから、国鉄だけがわがままを言うわけには参りません。しかし、私どもは先ほど申したようにできるだけの工夫、あるいは工事にしても特段の研究をして、国民にお約束した輸送力は確保していきたい。多少施設の点で繰り延べが起ることがあったとしても、それはまだ五カ年計画としては三年間ありますので、将来また各方面にお願いして設備的なスロー・ダウンがあればそれを回復して参りたい。五カ年計画は現在のところ絶対に遂行するという決心で進んでおります。
  105. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。今のお話を聞くと、やはり先ほど申した総合的な計画がない。経済企画庁の問題と関連するが、こういう点で非常に明らかになったと思う。資金計画も毎年変って、そのつど、ケース・バイ・ケースのやり方、これは極端でありますが、そういうようなやり方がこの問題を非常に混乱させていると私は思う。そして必ずこれは貫くのだということを言っているが、そうすると、先ほど私が申したように、本年度、今までの計画等の関係から見るというと、今までは二年の間一七%くらい、しかし、先に行って二二%というようなこれは工事量が必要になってくる。当然これと関連のある資金の問題から見ても、国家資金が投入されない。そして国鉄公債の募集も限度が来るということになると、当然先に行ってまた運賃値上げというような要因がこれ自身の中にはらまれているのではないかと私は強く心配するのです。従って、総裁にここで明らかにしてもらいたいのは、とにかく最初の公約の面は実施するという問題が一つと、それから、そのことによってこの財源を大衆負担には絶対に求めない、こういうことが確約できるのですか。十河総裁運賃値上げは、少くともこの計画が遂行される過程の中においては、そういうことはあり得ないと、これは断言できますか。この点断言していただかないと因る。
  106. 十河信二

    説明員十河信二君) 私の在任中は運賃値上げはいたしません。五カ年計画はさっき副総裁答弁しましたように、多少の起伏があっても五カ年間はそれをやってのけたい、そういう確信、覚悟をもって進んでおります。
  107. 中村正雄

    中村正雄君 それでは新線建設との関係については納得できないものがありますが、これは一応次回に譲りまして、この五カ年計画がスムーズにいっているのは老朽施設の取りかえや通勤その他でありまして、もう時間もないので、電化について最後にお尋ねしたいと思いますが、これも当初の計画によるというと、第二年度は電化百五十五億というのが大体計画されておるが、今年度予算には百五億しか組んでおらない。またこの電車化の問題についてある程度金額がふえている。計画では二十五億になっているが、本年は三十三億組んであって、八億ほどふえておるけれども、電化自体は大幅に最初の計画よりも資金の面において減額されておると思う。五カ年計画の輸送力増強の根幹は電化であろうと思うのですが、それがこれだけスロー・ダウンされておる。昨年当委員会でいろいろ議論されて、三十二年十月日本国有鉄道ということで、国鉄幹線電化について、という資料を当委員会に提出になっております。従って、本年度のこの予算で、当委員会に出されておりまする国鉄幹線電化について、というこの内容が計画通り達成できるかどうか、総括的にお尋ねしたいと思います。
  108. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほども申し上げました通りに、五カ年計画に盛られておる電化、たしか千六百六十キロかと記憶いたしますが、それはぜひ達成いたしたい、こう考えております。例を三十二年度にとりますると、上野−宇都宮間及び大阪−姫路間、これは年度内に電化をいたすということにお約束してありましたのですが、いろいろ多少の工事の遅延で、四月十日及び四月十五日には開業いたす予定になっております。そういう点から見ましても、電化工事はぜひ五カ年間に所期の目的を達成いたしたいと、こう考えております。
  109. 中村正雄

    中村正雄君 そういたしますと、本年度百五億の予算で計画されておりました三十三年度の電化は完全に進むという見通しですかどうですか。もしずれるものがあれば、どの線区がずれるということを御答弁願いたいと思います。計画よりもずれる線区を御答弁願いたい。
  110. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 工事によりまして多少遅延するものが出てくるかとも思いますが、ただいまのところ……久保理事からお答えいたします。
  111. 中村正雄

    中村正雄君 あわせて、久保常務理事が御答弁になるのであれば、本年度は電化について利用債ということを考えておられるのですが、これの消化の見通しについて御答弁願いたい。
  112. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 電化工事、もちろんこれは全般の工事にも同様の考え方でございますが、たとえば本年度財政投融資の繰り延べはございましたが、私どもといたしましては、できるだけ資金的には翌年度に回っても、工事はなるべく進めるという配慮と申しますか、工夫をいたしまして、ただいま副総裁から御答弁申し上げました東北線の宇都宮まで、それから山陽線の姫路までの、実は当初では三月半ばごろか、三月末ということになりますと、そうなりますと決算が全部本年度になるということでしたが、諸種の事情も考えまして四月十四日、延びたと申しましてもわずか半月、決算は車両等でたとえば十数億繰り延べる、これは一例でございますが、そういうようにいたしまして、できるだけ実際の工程は延ばさないようにするという工夫をいたしたわけであります。こういうことが来年度も同様に黒磯まで、あるいは次の年度の岡山までというものは少しずつ、多少これはただいま申し上げました程度のズレは、資金状態でも少し改善されますれば、すぐに取り戻せる、こういう状況でございます。  一例として申し上げたわけでございますが、それからもう一つは、お尋ねの利用債の問題でございますが、来年度は民間資金の導入ということを新しく発展させまして、特に地元の利害関係の多い者と申しましても、国鉄の工事は大部分そうでございますが、それで特に地元で要望され、また、こちらといたしましても、五カ年間の工事として推進しなければならないものといたしまして、従来の観念よりも一歩利用債の考え方を進めまして、たとえば、ことに電化につきましては、電化工事費の相当割合、これはまたものによって違って参りまするので、あるいは地区により継続工事もございますし、新規工事もございますし、この辺、目下ぼつぼつ折衝を始めておるのですが、状況を申し上げますと、電化工事を中心といたしまして、あるいはディーゼル化の工事、一部の駅等の拡張あるいは改良等、そういった問題につきまして、地元からも相当強い熱意が具体的に出て参りまして、御承知のように予算は八十二億でございますが、そのうち約三十億を御承知の大阪環状線と、従来からやって参りましたような工事でございます。残りの五十億は、予算書にもあげておりますが、主として電化、ディーゼル化、一部車両等に地元の協力を受けまして、消化と申しますか、工事を推進できるような態勢を今作っておりまして、私ども見通しでは、今いろいろ地元の状況を承わったところでは、十分に消化できる、あるいは工事を推進できるという確信を持てるように相なったのでございます。
  113. 中村正雄

    中村正雄君 私心配いたしますのは、国鉄の電化調査委員会から一応の計画を発表になっております。従って、この線区の完成は何年の何月と、こういうふうに一応発表になっておるわけですが、その当時は利用債ということを一応考えておらなかった。従って、本年度から新たに利用債が相当大幅に電化についても利用される、こういう状態にあるわけですが、そうしますと、非常に懸念します点は、この線区はこの年限内に仕上げる計画である、しかし、利用債をこれだけ地元でやってくれなければできないという結果になることをおそれるわけなんです。言いかえれば、地元の利用債の不消化の責めに期してこの計画がおくれるようになるのじゃないか。利用債を消化するだけの余裕のある地方であればいいですけれども、この計画を見ましても、非常に現在再建整備法の適用を受けているような自治体が相当多いわけなんで、そういうところでは、とてもこれだけの利用債を引き受けられないという地域もあると思います。そういうところは、利用債を引き受けられないから計画通りいかないのだということで、国鉄の計画のズレを地元の利用債の不消化の責めに期するということを今心配するわけであります。今久保理事お話によると、消化できる、できればけっこうなことでありますけれども、できない場合も、それぞれの地区のやはり財政状態を十分お考えになって、一律に利用債の割り当てをやったり、あるいは利用債の負担割合をきめて、これだけ利用債を引き受けぬからだめだというような、官僚主義的なことをおやりにならないように願いたいということを希望しておきます。  それからもう一つ、この計画になっております二、三の線区について簡単にお尋ねしたいわけですが、もちろんただいま答弁のありましたように、予定が一カ月おくれたり二カ月おくれる、これはもう大して問題にすることはありませんけれども、一応今問題になっている線区で、国鉄発表によりますると、姫路−岡山間の電化は三十五年四月と、こうなっております。門司港−久留米間も三十五年の十月、岡山−下関が三十七年の四月と計画発表されております。従って、この計画の通り今の予算で遂行できる自信があるかどうか、二、三の例をあげてお尋ねするわけであります。
  114. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) ただいまの前段の点につきましては、実はこういうやり方になるということは、予算を一応国会へ御提出する前に、今の考え方のきまります前に、支社長を二回も呼びまして、目下盛んに現地で交渉中でございまして、先生のおっしゃいますように、無理のないように、しかも、協力の推進できるようなという線で、目下打ち合せをしている次第であります。  それから第二の点でございますが、今二、三の例を申されましたけれども、たとえば門司港−久留米の三十五年十月、それから岡山−下関、これはだいぶ先になりますが、三十七年四月、こういったものは、全体として問題ないと思っております。姫路−岡山が三十五年四月になっておりますが、若干隧道の工事がございまして、これの関係で若干おくれる、むしろこれは工程の問題で、岡山駅の構内の工事の問題で若干おくれる、しかし、一年延びるとかそういう間隔ではなくて、若干おくれるという見込でございます。
  115. 柴谷要

    ○柴谷要君 鉄道公債の問題でお尋ねしておきたいと思うのですが、公募なり、利用債は非常に努力しなければなかなか集まりが悪い。ところが、縁故債三十五億というのが計上されまして、今回これが使われる。この計画は非常に国民に知らしめれば適切な手だということで、非常にいい反響を受けると思う。ところが、この三十五億捻出に当って所定の手続を十分とられておるかどうか、この点を一つお尋ねをしておきたいと思います。
  116. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 縁故債につきましては、これはすでに御承知かと思いますが、国鉄共済組合からと申しますか、に、債券を引き受けていただくという基本的な考え方でございまして、もちろん広範でございますから、そういう予定を立てたわけでございまして、これにつきまして手続的には二つございまして、一つは、縁故債の条件を含めて、もちろん予算には一応予定といたしまして利率その他出しておりますが、もう一つは、共済組合の資金の運用の問題でございまして、御承知の共済組合運営審議会にかけて条件等を相談する、ですから、これは対政府関係と共済組合運営審議会、その中にもちろん、御承知のように、国鉄の組合が入るわけでございますが、こういった三つの点を、予算が成立いたしましたらそれによりましてそういった条件を予算の趣旨に沿いまして相談してきめる、こういうことになるのでございます。
  117. 柴谷要

    ○柴谷要君 右のまあ手続でけっこうだと思うのです。運営審議会を開いてこの機関の決定を見ると、こういうことはまだこれからの問題でございますか。
  118. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) もちろん予算の決定を見ておりませんので、正規の運営審議会にこれをかけることはいたしておりませんが、組合関係と、それから運営審議会のメンバー等には、私どもの方のそれぞれの関係者からいろいろと説明をいたしまして、協力いただくようにお話は、正式ではございませんが、いたしております。
  119. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは、こまかくて恐縮でございますが、重ねてお尋ねしておきますが、今運営審議会の職員代表としては国鉄労働組合、機関車労働組合からおのおのが出ておると思うのです。その際、構成はまあ当局側の二名あるいは職員代表二名で成立はするわけですね。そこでまあ決定されれば一向に差しつかえないわけです。ところが、機関車労働組合は御存じの通り現在ああいう形にあるわけでございます。その際に、これは機関車労働組合というような観念で、機関車労働組合から選出されておる審議会委員をオミットしてこの会議を開くというようなことは絶対なさらないと思うのですが、そのようなことは絶対になさらない御意向でございますか、お尋ねをしておきたいと思います。
  120. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 共済組合の運営審議会の委員というのは、共済組合の組合員の中から代表を選ぶ、そういう実は建前でございますので、事実上大きな労働組合が二つございますから、その母体から委員を出していただいておりますけれども考え方は、機関車労働組合であるから、あるいは国鉄労働組合であるからという考え方ではなしに、共済組合員の代表だと、こういうことで出ていただいております。従いまして、機関車労働組合であるか、国鉄労働組合であるかというようなことを共済組合運営審議会で問題にするというようなことはいたしませんし、そういう考えは持っておりません。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 そのことでも今ちょっと吾孫子さんにお尋ねしておきたいのですが、その場合に、共済組合関係でもし公債の問題、消化するというような場合、職員の厚生関係等の問題に支障を来たすのじゃないかというようなことも心配されるのですが、そういう点はどうなんですか。
  122. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 御承知のように三十五億というような金額でございまして、共済組合の資金、これは長期会計、短期会計、貯金会計、経理等いろいろございますが、それにつきましては、現在の運用は、一番大物の長期会計の例をとりますと、公平に大体こういうものにこういう程度運用するということがございまして、例の不動産投資であるとか、それから組合内部の貸付、それからそのほかには一般の運用として信託であるとか、有価証券とかいうものがございます。こういうものは従来は一般の信託でありますとか、一般の有価証券を引き受けるとかいうことでもっぱら利息ということを主にしてやっておるわけでございまして、大体それに相当する部分を目当てに債券を引き受けていただく、一部貯金もございますが、そういうことでございまして、今先生御心配になりました不動産投資その他貸付等、職員の福利厚生の関係でこれを圧迫するということは全然ないと存じております。
  123. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣一つお尋ねしておきたいと思うのですが、さっきあなたが、私の国際収支の問題から預金の問題にも話が入っていったのですが、今年度も、これは今のような経済情勢の中から考えると、やはり預金の吸収ということはどうしても一生懸命やらなければいかぬと、こういうことになってくると思うのです、これは政府方針としても。ところが、国鉄鉄道債券の募集を少くしたというのが今説明があったわけなんです。少くした反面には、国鉄の職員が積み立てているところの資金を共済組合等の審議会でお諮りをして貸してもらう、こういうことなんだそうだが、先ほどの中村委員の質問にもあったように、地元の利用債等の問題も答弁があったけれども鉄道債券の額を減らしたということは、鉄道債券が売れないという見通しなのか、すなわち、買ってもらえないということなのか、それとも預金の伸びというものが、現在の資金の需要状況から考えて、とにかく鉄道の債券は困難である、こういう考え方なのか、そうでなくて、もう内部的に、今久保常務理事が言ったようなことがあるから、とにかくそういう方針をとったのだ、こういうのか、そのいずれが運輸大臣としてこの予算というものを提出された根拠なのか、それを一つ答弁願いたい。
  124. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これはやはり金融の情勢を見て、相当困難性があると見て最初は組まれていると思います。しかし、これは金融界の情勢が変って参りますならば、ことに、鉄道債券というものは、私は確実で金利も比較的いいんでございますから、金融情勢が改善されますならば、金融債の応募というものは投資物件として私は確実なりと思います。従って、その間に変更を加えるということはやってもいいんじゃないかと思いますが、まあ現在の情勢見通してそういうふうに配分されたものであると私は思うのであります。要するに、金融は引き締めで悪いときもありますが、また、これが改善されていくときもあるのでございますから、要は金融界の情勢、その投資物件としての有利性、こういうものを判断していきますならば、私は消化はできるものではないかと思うのでございますが、共済組合に持っていただくということは、これは非常にけっこうなことでありますけれども、やはりこれは今日やむを得ざる手段に国鉄として出られたのだと思います。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 これで終りますが、大臣にやはり念を押しておかなければいかぬと思うのですが、これは利用債の問題にしても、中村委員が指摘したように、なかなか心配の念を持つわけです。地元はなかなか大へんな問題なんです。それからいま一つは、今の鉄道債券の問題も、確かに金融状況が好転すれば、これはあなたのおっしゃるようなことも私も予想されると思う。しかし、なかなかそう簡単に、今の国内経済状況というものを考えてくると、鉄道債券というものをそれほど大幅に引き受けてくれるという状況にはならないだろう、こういう点があなたも先ほど冒頭で言われたやはり金融関係というものを考慮されたということになってくると、そこでそういうようなもし二つの面で利用債にしろ、あるいは公募にしろ、そういうものがもうどうも不十分であった、こういう場合には運輸大臣としても当初計画、国民に対する公約という建前からいけば、私はやはりこの資金部の運用資金ですね、これをやはり増額せざるを得ないだろう、また、そうしなければ国民に対する実際の私はその公約を果すことにならぬだろうと、こう思うんだが、現在のこの資金運用部資金を、資金運用部よりの借入金というものをあなたはそういうためにふやす考えがあるかどうか、本音はこれはやはり現実の問題として資金ができなかったらどうするのだ。これは、作りますといえば、それまでだけれども、私は今言ったその前段の二つの問題、なかなかこれは大事な問題だと思ったから、この問題をできれば念を押しておきたい。できれば運用部の資金というものをもっと出させる方向に大臣がある程度のやはり大蔵省の折衝の中で言っておく必要かあるんじゃないか、こういうふうに考えるのだが、この点、あなたのお考え一つ聞いておきたい。
  126. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 一応は今の消化を目標として努力していくことは、私はこれは当然だと思います。しかし、情勢いかんによって、私ども鉄道の運営が支障を来たさないように努力は私もいたさなければならぬと覚悟はいたしております。
  127. 岩間正男

    岩間正男君 質問はありますけれども、次回に譲っていただいて、その前に資料の要求をしたい。それは五カ年計画の最近の実施状況ですね。それからこれの工事がどの点まで進んでおるか、これに対するまた工事の状況、そういう点で私は資料をもらってないわけです。だから、はっきりしてないわけです、実施一年後の実情が。これらをできるだけ詳細に作ったものがありますか、最近の。あったらそれでけっこうですが、ないとしたらそういうものをほしいのですが、どうですか。
  128. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 作成してお届けいたします。
  129. 天田勝正

    委員長天田勝正君) まだ十分ならざる点もあろうと存じますが、次回に譲りまして、本日は、この程度で散会いたしたいと存じますが。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  散会いたします。    午後四時三十四分散会