○
政府委員(朝田静夫君) ただいまの
松浦先生の
お話でございますが、来
年度の市中
金融機関の全体の
資金の
状況と、
船舶の設備投資に充てられます市中
資金というものとの関連から御説明を申し上げた方がいいかと思うのでありますが、御承知のように、来
年度の市中
金融の預金というものは、一体どのくらい伸びるかということでございますが、実勢預金といたしまして六千六百億から六千八百億、このうちで定期性預金というものが大部分でございます。これが五千三百億から五千四百億、流動性の預金が千三百億から千四百億、こういうものを合せまして、実勢預金といたしまして六千六百億ないし六千八百億ぐらいに預金が伸びるであろうということでございますが、御承知のように、ただいまは市中銀行はオーバー・ローンで相当苦しんでいるわけでございますので、日銀から借りております
資金というものを、ある
程度返済しなければならぬということでもって、九百億ないし一千億ぐらいは、
金融機関の正常運営という観点からいたしまして、これが返済を日銀にしなければならぬ、そこへもう
一つ、地方債なり公社債といったようなものが、引き受けなければならぬようなものが七百億ぐらいございます。従いまして、貸し出しに充てられます
資金は四千九百億ないし五千二百億、こういうことになるわけでございますが、御承知のように、市中
金融につきましては、短期の貸し出しが多いわけでございますから、非常に長い期間寝てしまうような設備投資につきましては、大体このうちで二〇%ぐらいということになりますというと、一千億から一千百億ということになるわけでございます。この一千億ないし一千百億の設備投資の中で、四重点産業——鉄鋼、電力、
船舶、石炭、こういう四重点産業に充てられます設備投資が大体六〇%、こういうことで、
金融機関の中で自主的に調整しようとして努力しておられます全銀協の中の、
資金調整
委員会で、今のような市中の
資金の見通しを立てたわけでございます。この六〇%が四重点産業に充当されますと六百億ないし七百億になるわけでございます。三十一
年度は四重点産業には一八・六%、三十二
年度におきましては四五%、こういう四重点産業に対して市中は設備投資に金を出しているわけでございますが、今度の
計画におきましては、この点に重点的に、
施策として市中銀行も非常な協力をするという
意味合いからいたしまして六〇%これに充てようということでございますので、六百億ないし七百億が、先ほど申しました四重点産業に充当される設備
融資のワクであるということになっているのでございます。そこで、
船舶の
資金との関連でございますが、この七百億のうちで、今これは
経済企画庁あたりで、四重点産業の
資金の振り分けについて、バランスをとった調整をしていただかなければならぬと、私は思っているのでございますが、このうちで、約四百億ぐらいは、電力にどうしても必要であるということが、今の段階でも言われておりますので、七百億から四百億引きますというと三百億、三百億で
船舶、石炭、鉄鋼、こういう残りの三重点産業がまかなわれなければならぬ、ところが、先ほど
松浦先生から
お話がございましたように、
船舶の設備
資金に対しまして、三十二
年度からのずれ込みが
計画造船、
自己資金ともに大体百億あまりございます。それから三十二
年度の着工分の工程に従いましてどうしても出さなきゃならぬ
計画造船で約六十三億ほどその繰り越し分がございます。自己
建造も含めますと大体百十六億ばかりあります。その他三十三
年度の新規着工分といたしまして、
計画造船におきましては百七億という市中の
融資に依存しておるわけであります。自己
建造で三十三
年度で着工をいたすものもございまして、かれこれ大体三百五十億ばかりの
資金を必要とする、こういうことでございます。われわれの方といたしましては、この全国銀行協会の
調査とほとんど同じような数子で、
調査をいたしましたところが同じような
数字になっておりますが、三百五十億ないし四百億、これはなぜそういうことになるかといいますと、
船舶会社からの市中へ回収をいたしまする借金の返済をどう見込むかという問題もそこにからまってくるわけでございますので、その返済の
見込みが、今後の
海運市況のいかんにかかわっておるわけでございます。非常に悲観的な見方をすればもっと金が要る。楽観的な見方をすればもっと少くて済む、こういうことになるものでございますので、三百五十億ないし四百億ばかりの市中
資金を必要とする、こういうことになるわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、電力を除きますと三百億しかない。一体これをどうするかという問題に結局なるわけでございますが、
資金調整
委員会でもいろいろ問題になりました。政府部内においても、われわれの方といたしましても重要な問題として、
大蔵省、
経済企画庁等とも相談をいたしておるわけでございます。先ほど
大臣から申し上げましたように、二十五万
トンの
計画造船はどうしてもやる、こういうときに問題になって参りますのは、
融資比率が
定期船に六割、
不定期船が五割、タンカーが四割、こういうことでございますので、この
融資比率をもっと上げて、市中の
資金を少くする、そのかわりに
建造トン数は落ちる、二十五万
トンから若干落ちる、こういうことでもしなければ市中
資金というものはつかぬじゃないかという議論もございますけれ
ども、この点は先ほど来
松浦先生から
お話がございましたように、二十五万
トンでも私
どもとしては足りないと、こう
考えておりますので、市中
金融機関側におきまする全幅の協力を得て、二十五万
トンの
計画造船だけは遂行して参りたいと、こう
考えておるのでございます。自己
建造につきましては、従いまして、
融資確約書を出しておるのにかかわらず、銀行の方で金を出さぬじゃないかと、こういう今の
お話でございますが、これも大体三割くらいおくれておる、銀行からの貸し出しがおくれておる、こういう実情でございまするけれ
ども、この点につきましても、あわせて何らかの政府側においても
対策を講じなきゃならぬのじゃないか、ただ、工程に従って金が出て参りませんと、
あとで竣工いたしました場合にでも非常に法律上の問題も起って参りまするし、これは電力だけでなしに、
海運におきまする今の
金融事情等が非常に深刻な
状態になっておりまするので、政府部内ともよりより
対策を進めておるような次第でございますけれ
ども、一方、
金融機関におきましても、ぜひとも
計画造船あるいは三十二
年度以来からの着工の自己
建造の分につきましては全幅の御協力を願いたい、こういうふうに
考えておる次第でございます。