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1958-02-27 第28回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十七日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   委員の異動 本日委員榊原亨君辞任につき、その補 欠として後藤義隆君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            後藤 義隆君            廣瀬 久忠君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 静夫君    運輸大臣官房会    計課長     佐藤 光夫君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省船員局長 森  嚴夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    海上保安庁長官 島居辰次郎君    海上保安庁次長 安西 正道君    高等海難審判庁    長官      長屋 千棟君    気象庁長官   和達 清夫君    気象庁次長   太田九州男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十三年度運輸省関係予算に  関する件) ○連合審査会開会の件     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  運輸事情等に関する調査中、昭和三十三年度運輸省関係予算に関する件を議題といたします。  海運関係についての御質疑がございましたら、順次御発言を願います。
  3. 中村正雄

    中村正雄君 海運関係ですが、これも昭和三十三年度運輸省重要施策の中の国際収支改善のトップに外航海運整備拡充ということで外航船腹拡充長期計画推進を書いてありますが、本年度予算に出ておりまする財政投融資の額を見ますと、大体百八十億と、こういうふうに提案されております。ところが、前年度を見ますと、前年度は二百億となっておって、前年度よりも二十億減額になっておる。そうしますと、前の委員会でも大臣質問しましたように、どうも今度の運輸省が立案いたしました重要施策というものは全然前に伸びておらなくて、前年度に比べて後退いたしておると、こういうふうに感ずるわけですが、いわゆる本年度二百億の財政投融資がなせ二十億減額されて来年度は百八千億になったか。また、来年度百八十億で十分この重要施策に載っておりまするこの政策推進できるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  4. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) いろいろ私どもは三十五万トンを目標として交渉をし、各方面話し合いをいたしたのでございますが、現在の金融事情また財政投融資関係もございまして、百八十億、二十五万トンという線にとどまったのでありますが、これは十分完遂できると思っております。融資比率も六・五・四、こういうことになっておりまして、定期船不定期船それからタンカー、こういう方面に努力をいたしまするならば、それは多々ますます弁ずるほど私ども希望であったのでございますが、これを完全に実行いたしますならば外航船腹拡充に役立つものである、こういう結論で予算表に載っておりまするごとく、そこに決定をいたしたわけでございますが、これによって十分であるとは私どもも申し上げかねますけれども、現在の海運界情勢にかんがみまして、日本国際収支改善し得るものである、こういうふうに信じておる次第でございます。
  5. 中村正雄

    中村正雄君 そういたしますと、今年度に比べて二十億削減されておっても、十分今年度以上のこの政策は遂行できるという御自信があるわけなんですか。
  6. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) ことに、毎年相当繰り越しもございまして、継続分もございますので、これはやはり完全に消化していかなければならないと思うのみならず、現在は船価をできるだけ低減して、これは一五%までいけますか、二〇%くらいまでいけますか、目下、重要な点はやはり鉄でございます。鉄は大体だんだんと安くなってきておりますが、これを五万円以下くらいにしていきたいというので、通産大臣にも私は話し合いをいたしておりまして、五万円以下程度にとどめて参りますならば、以前よりも船価は低減していくだろう、こういうような今見込みをつけて交渉をいたしておるのであります。
  7. 中村正雄

    中村正雄君 大臣の御答弁によりますと、投融資の額は二十億減額になっているけれども船価というものが本年度に比べて相当低下するので十分所期目的は達せられると、こうように理解して今の質問はそれで終りますが、次に、この施策の口の中に「あわせて長期低利造船融資を確保する目的をもって税制上の措置その他所要措置を講ずる。」と、こういう政策がうたってありますが、この「税制上の措置」というのは、どういうようなことをこの国会でお考えになっておるか、計画があれば御発表願いたいと思います。
  8. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは、第三国貿易に対する輸出所得控除率について話し合いができております。租税特別措置法……。詳細な数字局長が持っておりますから、お答えさせたいと思います。
  9. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいまの大臣第三国輸送所得控除につきましては、現在まで第三国間は三%の控除をしておりましたが、今度は五%にその控除率を上げてもらう、こういうような点を考えております。  それから特別償却につきまして、一般普通償却のほかに海運特別償却を認めているのでございますが、その期限が参りますのを延長してもらうというようなことも考えております。  それからなお、私ども施策といたしましては、船舶建造留保金というような制度が外国にもございます。たとえば英国では四〇%のインヴェストメント・アローアンスというようなものが認められておるのであります。そういうような点につきましてもただいま検討いたしております。
  10. 中村正雄

    中村正雄君 最後の項の移民船及び外航客船建造促進、こういう政策をあげておりますが、これに対して、来年度どういう措置をおとりになろうと考えておるか、この具体策について計画があれば御答弁を願いたいと思います。
  11. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 外航客船移民船は、これも補助だけですね。これは局長から答弁をさせますが、実は移民船あるいは客船、これを建造したいという希望をもちましてここに書きました。これはこちらで要求をいたしましたが、遺憾ながら所期目的を達しておらぬ程度でございまするし、移民船につきましては、できるだけのことをするという考えを持っておりますが、今、航路などについては、局長から説明をさせたいと思います。
  12. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいま大臣からお話がございましたが、まず外航客船につきましては、八十五億というような大きな金額でございまして、最小限度二隻を作りませんと正常な運航ができないという関係がございまして、非常に大きな金が要るものでありますから、遺憾ながら来年度予算では計上できませんでした。  それから移民船でございますが、移民船は、もちろん日本移民送出計画にマッチした移民船が必要になるわけでございまして、来年度移民送出計画が一万名ということに決定をいたされております。ただいまの輸送能力から申しますと、一万名程度はどうやら運べますものですから、来年度移民船は一応見送りまして、再来年度一万名がさらに増員になる場合はぜひ作らなければならぬ、こういう状況になっております。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 外航客船ですが、現在航空機にほとんど旅客を食われているという現状でもありますけれども、やはり外航客船需要もあると思うわけですが、戦前は大体どの程度——戦前と現在では航空機の発達は比較にならないかもわかりませんが、どういう状態になっているか、また、外航客船について現在でもどの程度需要があるか、お見通しがあれば御答弁願いたい。
  14. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 詳細は政府委員よりお答えいたしますが、大体太平洋大西洋によって、航空機によるか、客船によるかが違うようでございますが、私の記憶では、太平洋はやはり船がまだ四割か五割ぐらいあるように聞いております。もとより仰せのように、飛行機に乗る率はだんだんと向上しておりますけれども、なお、やはり船に乗る人が観光などに多いようでございます。と申しますことは、船に乗るということ自体が、これが一つ観光で、ここで船の生活を楽しむということでございますから、なるほど、航空機によるものは急用の人が大体多いというような統計を記録いたしておりますが、やはりそう急がない、普通の用事、観光といった人は、やはり太平洋大西洋も船に乗る率は相当あるというふうに戦後も出ているようであります。戦前一つ、私数字を持っておりませんから、局長からお答えいたします。
  15. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 太平洋北米関係だけ見ましても、戦前郵船会船サンフランシスコ線で月二回、浅間丸以下四はいの船をもちまして月二回の航海をいたしておりました。それからシャトル航路がございます。これも平安丸その他をもちまして月二回という航海をいたしておりました。  それから現在の見込みでございますが、お話通り航空機ができまして、非常に一般旅客航空機に吸収されているのでございますが、大西洋例等を見ましても、船舶によります旅客はほぼ半数というものが現在あの大西洋のひんぱんな航空路のある状況におきましても、旅客がその程度にございます。従いまして、現在太平洋ではアメリカン・プレジデント・ラインの二はい、それから非常に老齢の郵船会社の氷川丸、三ばいしかただいま旅客船がございませんので、それに相当数客船を加えましても、航空機のために客船の客がないというふうなことはないと私ども考えております。
  16. 松浦清一

    松浦清一君 先ほど中村委員質問に対する運輸大臣答弁の中で、財政支出の百八十億円で十分海運増強目的を達成することができるというふうな答弁がございましたが、まあ、海運というものは、御承知の通り国際的な好景気、不景気の影響というものが一番先にあるもので、ある年には非常に好況の波に乗って船舶不足を告げ、また、あるときには不況の関係船腹の過剰を来たす、こういう波があることは申し上げるまでもないことであります。しかし、問題は、一昨年から昨年あたりにかけて、いわゆる神武景気といわれたその好況の波に乗って、船腹不足を告げておったのですね。昨年の中ごろから本年にかけては、大体船腹は過剰を、世界的な関連からいってちょっと過剰気味である、そういう傾向にあることは、それはもう偽わらざる実態である。しかし、船というのは、そう簡単にできるものじゃありませんから、ことし不景気であるからといって、ことしどうも船が余りそうだからといって、来年、再来年また景気がやってくるかもしれないのに、その景気、不景気の反動に押されて、長期計画造船の手をゆるめたり、今までの計画によるというと、年間三十五万トン作る、こういう計画であったのに、ことしは二十五万トン、こういうことになっておる。それで十分長期計画造船目的が達成されるというふうに運輸大臣ほんとうにお考えになっているのだったら、それは間違いだと思います。なぜかというと、運輸当局が、本年度計画造船計画を立てて、造船計画を立てて、大蔵省に当初要求された額は、百八十億円ではなかったと私は思うのです。最初要求された額が、運輸当局計画をされた必要の船腹量であるとするならば、百八十億円の財政資金によって二十五万トンの船を建造するということは、これは満足すべき状態でないということは、これは明らかだと思います。もし百八十億で二十五万トンの船でけっこうだというのであったならば、最初大蔵省に対して要求した額は、山をかけておったことになる、こういうことは、大臣としては答弁をなされにくいことであると思うが、閣僚の一人として答弁なさりにくいことであるかもしれぬけれども、これでは不足だ、ほんとう計画は、三十五万トンないし五十万トン建造をしなければならぬのだ、こういうことを御答弁なさっておく方が、将来の海運の発展、造船計画の、長期船腹拡充推進のためにはいいのじゃないか、このように私は思います。いかがでしょうか。
  17. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) あなたのおっしゃる通りなんです。しかし、現在の私どもが獲得しました予算は、今申しまする百八十億で二十五万トンということでございますから、私は現在計上されておる予算を実行するという立場におきましてお答えを申し上げたのでございますが、当初は、今おっしゃいましたように、二百七十億、三十五万トン、私はこういう不景気のときに、物が比較的下って材料なども下っておるときに、むしろ作るべきものであって、そして来たるべき時代の、海運界が復活するときに備えるということは、私も重々松浦委員のおっしゃる通りに心得ておりますが、今日の予算におきましては、その程度を、これを完遂をしたい。ことに百八十億の中には六十億の継続分もございますので、これを完全に実行いたしますならば、将来の飛躍にも備えることができるという、現実立場で申したのでございまして、当初、私ども要求をいたしました二百七十億、三十五万トンの線は、これは将来とも実現するように、堅持をするという決心はいたしておるのでございますから、現実予算に現われたる分はそういうことであるということを申し上げて、その私ども決心を披瀝した次第でございます。
  18. 松浦清一

    松浦清一君 昨年の七月に出した日本海運現状、このごろはやりの海運白書でしょうか、それを再読をしてみますると、どのページもどのページも、日本船腹不足である、さらに飛躍的に拡充しなければならぬ、世界船腹量、また世界船舶輸送量に比べて日本商船隊はきわめて劣勢であるということは、これは随所に書かれておるわけですね。私はその通りだと思うのですよ。だから、今大臣答弁、非常にそれはけっこうです。百八十億円の二十五万トンでは不満足だ、三十五万トンを毎年計画的に作っていかなければならぬ、それが理想である、そういうふうに御答弁なすったことでけっこうであります。この一、二の例をあげてみますると、海運白書の四十七ページのまん中ごろからこういうことが書いてある。「戦前のわが定期船隊は百九十六万総トンであるのに対し、外国定期船隊は二百六十四万総トンであったが、現在ではわが定期船隊は百四十二万総トンで、外国定期船隊の二百八十四万総トンに比べてはなはだしく劣勢である。」、こういうことをあげておるんです。それからこれも白書の中のどっかにあったと記憶しておるのですが、戦争前の日本を中心とする輸出入貨物の積み取り比率日本船が六〇%であり、外国船に四〇%を積んでおった。それが三十一年度においては、これが逆転して、日本船で四六%ですか、とにかく戦争前の比率が逆転をしているわけですね。海運目的というものは、海運の使命というものは、これは貿易外収入としての運賃の形において外貨を獲得するという、非常に日本経済の進度を強めていくというためには役立っているわけです。これは船会社という営利社に利益を与えるとか、船会社を助けるとか、そういう意味ではなくて、日本経済の充実をはかっていくために外貨を獲得する手段として、海運増強に対して国は助成を与える、こういうことは当然なことだと思うのです。これは日本のみならず、海運先進国アメリカ、イギリス、最近西ドイツも盛んにやっておりますけれども、諸外国海運が発展しておるということは、ほとんど国の大きな助成によってやられておる。造船に対する助成、その運航に対する助成ですね、それが日本不足しておるわけです。造船に対する利子の補給をやったり、あるいは航路補助金を与えたりするということは、船会社営利を助けているんではないか、こういうしろうと筋の誤解がございますけれども、私はそういうことじゃないと思う、海運は。だから、ますます戦争前の積み取り比率の六〇%に高めていくためには、私は年間六十万トンくらいの建造を必要とする。世界保有船腹量戦前比率から考えても、九百万トンくらいに日本商船隊を増強する必要がある。しかし、九百万トンにするといったところで、戦争のために何もかも無一物になってしまった船会社が、自己資金で作れるわけはないのですから、これは金利を国際水準並みに引き下げる方策を立てて、そうして船を作って、そうして外国との競争に勝って、そうしてドルをかせいでこなければならぬ、このように私は考える。運輸大臣との見解が違うかどうか、一つ信念のほどを伺っておきたい。
  19. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) あなたの御有間の要旨、すなわち海運の大きな政策、これはもう全く私も同感でございます。むしろあなたから教えられるところが多いことを私は思う次第でございますが、要するに、戦後壊滅した日本商船隊を再建していく、今三百八十万トン程度戦前の六百数十万トンにははるかに及びませんが、できるだけ自国船をもって貿易をやる、そればかりか、第三国輸送にも貢献する、今のところ、第三国輸送収入は百二十億円という数字しか出ておりません、日本の金で。これでは海運というものの飛躍は、全くCクラスくらいのものだと見てよろしいと思いまするが、いずれにいたしましても、そういう海運収入によって国際収支改善をはかっていく、運賃保険料というものは、戦前においては日本貿易外受取勘定に非常に貢献したのでございまするが、今は遺憾ながら海運収入保険による受取勘定というものはむしろ赤字というような状態、わずかに保険料がふえておるかに私は記憶いたしておりますが、この点はわれわれはあなたの御質問、その通りを地で実行いたして参りたいと思うのでございますが、事、今年は志と違いまして二十五万トン程度にとどまりましたのは、はなはだ私も遺憾に存じておりますが、しかし、この予算に計上せられたものは、これは確実に実行していくということにつきましては、私も業者の諸君と協力してこれを遂行いたして参りたいと思うのであります。ただ、最近は輸出船舶などの注文世界的にどこも停頓しておるようであります。ある国のごときは相当取り消しもやっておるようでありますが、この輸出船舶につきましても、これもそれだけ外貨日本に受け取ることができるのでございまするから、日本の現在の造船能力というものが世界的水準にあるというのでありますから、こういう点には私どもも努力いたして参りたいと思うのでありますが、ただこれはお問いの中になかったのでございますけれども造船の将来、これは私も非常に心配をいたしておるのであります。あるいは中小造船に多少の船台に穴があく、穴があくという意味は、建造がなくなるというようなこともどうも生じてきやせぬかと思いまして、これら対策についても今苦心をいたしておるのみならず、業界におきましても委員会を作られまして、対策を講じておられると思うのでありますが、仰せ海運政策貿易外収支改善に貢献する、それをやらなければ、これはもう国家的要請であるという御趣旨に対しましては、むしろ私どもが鞭撻される思いで、非常に感謝をする次第でございます。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 少し教えてもらいたいことがあるのですが、三十二年度集計がまだ出ておらないようですから、三十一年度とどういう違いになっておるかわかりませんが、三十一年度わが国輸出入物資輸送量五千四百三十万トン、この総運賃額が八億一千二百万ドル、そのうちで日本船受取運賃額は三億七千五百万ドル、外国船受取分の四億三千七百万ドルを六千二百万ドル、前より下回っている。海運全体の収支でいくと約二億五千万ドルの支払超になっている、こういうことなんですね、三十一年度は。だから、これは前年度の計算か、会計年度か知りませんが、昨年の七月に海運白書を出されて、その統計を出されて以後の状態国際収支運賃関係ですね、それはどういう経緯をたどっておりますか、海運局長でけっこうでございますから、お教えを願いたい。
  21. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 三十一年度収支がございますので、それを申し上げたいと思います。まず輸出からでございますが、総輸出量が八百十七万トン……
  22. 松浦清一

    松浦清一君 三十一年度ですか。
  23. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 八百十七万トンでございます。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 御答弁中ですが、三十一年度は大体今統計で、資料は出ていますから、三十一年度集計をされた後の推移を、数字がまとまっておりませんければ、その推移をお教えを願えればけっこうであります、大体の経緯を。
  25. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 本日数字を持って参っておりませんから……。
  26. 松浦清一

    松浦清一君 あと資料をいただけませんか。
  27. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) あとで調べて差し上げたいと思います。
  28. 松浦清一

    松浦清一君 日本船の積取と、外国船に積んだのとの比率を、トン数別運賃別にして、わかり得る範囲の資料一つ、後ほどでけっこうでございますから……。  それから運輸大臣にお伺いしたいのですが、船舶建造金融関係というものは、何でもそうでしょうが、特に密接不離関係にあると思う。外国との競争に打ち勝つために、低利融資をする方法ですね、財政資金のみならず融資をする方法というものが国策的に考えられないというと、船を計画的に作ることはできない。これはもう天下周知の事実である。毎年々々私どもが野におって見ておりますというと、財政資金の問題で歴代の大臣大蔵省との折衝に非常に苦労されている。とにかく、最初三十五万トンないし三十万トン計画を立てて、それの所要資金要求いたしますと、いつでも削られている、これはただに造船資金関係ばかりじゃありませんが。そこで、毎年々々そういう御苦労をなさって、しかも、運輸当局世界海運情勢というものを勘案しながら、わが国船舶建造計画を立てられ、それの達成ができないということになっている。それを達成するためには、来年も三十五万トン作りたい、再来年も三十五万トン作りたいということのためには、造船所関係等もあって、今年二十五万トン、来年三十五万トンと言いましても、そう簡単に船台の融通がきかない。今は外国船注文が少くなりましたから、昨年ほどの状態ではないでしょうけれども、そういう傾向がまた現われてくるかもわからない。造船関係から言いますと、長期計画を立ててもらいたい、そうすれば、外注があっても、日本船を優先的に建造するために船台をあけて待っている。これが造船界の要望である。ただ財政資金関係のため、毎年々々区切り区切りして、そして計画を立てていかなければならないというのが今の造船界の実情です。ですから、私は金融関係については、特別の、何といいますか、仮称、海事金融公庫というものを設置して、そして造船資金全額国の出資による公庫を作って、そして長期計画を立てていく、こういうことを考えてみたらどうだろうかと思うのですが、大臣、どうですか。
  29. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 海事金融公庫というようなものが私はできればいいと思うのでございますが、ただいまのところ、私どもはこの下半期にかけての金融情勢というものを見ていかなければならぬし、ことに、預金がどこまで伸びていくか、それから重要産業にはどれだけの金が配分されるかというような点も、今私ども考えております。それから国家計画的に船を作っていくということは、これはむしろ今日において当然のことでありますが、昨年来造船資金につきましても、百億程度の削減を総合政策の上からせざるを得ないというような情勢にありましたが、実情を申し上げますと、ことに、銀行が出すといって約束をしたものがなかなか出ないというようなこともございまして、造船金融というものは決して容易にいけるものとは思っておりませんが、しかし、その中から電力とか、そういうものと並んで、あるいはそれ以上にこの造船に配分されるところの金融というものは、私はつけていかなければならぬと思っておる次第であります。それにつきまして、多少数字も今できておるようでございますし、その見通しにつきましては困難な情勢でありますけれども、一応立てておりますから、これは官房長、多少数字的にも知っておると思いますからお答えいたさせます。  それから造船所はやはり低利資金を供給するということは、これは私は観光事業と同じことで、並んでやらなければならぬと思っております。従って、借りかえをするというような計画も今検討中であるのでございまして、いずれにいたしましても、御質問のように、造船のごときは国家が安い金利で、しかも、それが長期にわたるという金融の世話をするということが、やはり計画造船の発展の土台であると思っております。
  30. 松浦清一

    松浦清一君 今大臣に私聞きたかったのは、毎年々々財政資金の額が違って、長期計画が立てられぬというようなことではいかぬから、特別の金融公庫を作ったらどうかと私は思うのだが、大臣はどうかということを尋ねたわけです。それは、あなたはけっこうだというのですが、そのことはけっこうだと思うだけではいかぬので、そのことに努力される気持があるかどうかということをちょっとお答え願いたい。  もう一つは、官房長があとからお答え願う場合に尋ねておきたいのですが、昨年度自己資金、船に対する市中銀行から約束をした金が百億ないし百五十億、明確なことはわかりませんが、大きくいえば百五十億、小さく縮めれば百億、それだけが焦げつきになっておるわけです。銀行が金を貸しましょうといって船を作ってしまったのに、銀行は金を貸してくれないために、造船所に対して支払いがおくれる、造船所は下請け工場に対して支払いがおくれて、このしわ寄せが造船産業の下請け工場、すなわち、中小企業にそれがしわ寄せされて困っているという実情なんですね。そういうことに対して、どういう方策を立てておられるか、具体的にどうやっておられるかということを一緒に御答弁を願いたい。
  31. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 海事金融公庫、これはすぐれた構想だと思いますが、ことしはやらなかったのであります。しかし、情勢によって、私も在任しておりますれば、こういう方面には構想を練ってみたいと思います。それによって造船計画がスムーズにいくということになりますれば、これは非常にけっこうだと思いますが、それは本年はやらなかったのでありますが、将来におきましては、私もあなたの御構想のように、造船金融目的を達する意味においていいと思われますから、一つこれは私も検討いたして参りたいと思うのであります。  今官房長からお答えいたしますが、仰せのように、銀行が約束したやつを貸さないために、未払いというような状態が、たしか九十億か百億あるというように聞いておりますが、それがやがては下請け業者に影響を及ぼしていくということも事実その通りでありますが、ある程度数字を官房長が持っておりますから、お答いたさせたいと思います。
  32. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) ただいまの松浦先生のお話でございますが、来年度の市中金融機関の全体の資金状況と、船舶の設備投資に充てられます市中資金というものとの関連から御説明を申し上げた方がいいかと思うのでありますが、御承知のように、来年度の市中金融の預金というものは、一体どのくらい伸びるかということでございますが、実勢預金といたしまして六千六百億から六千八百億、このうちで定期性預金というものが大部分でございます。これが五千三百億から五千四百億、流動性の預金が千三百億から千四百億、こういうものを合せまして、実勢預金といたしまして六千六百億ないし六千八百億ぐらいに預金が伸びるであろうということでございますが、御承知のように、ただいまは市中銀行はオーバー・ローンで相当苦しんでいるわけでございますので、日銀から借りております資金というものを、ある程度返済しなければならぬということでもって、九百億ないし一千億ぐらいは、金融機関の正常運営という観点からいたしまして、これが返済を日銀にしなければならぬ、そこへもう一つ、地方債なり公社債といったようなものが、引き受けなければならぬようなものが七百億ぐらいございます。従いまして、貸し出しに充てられます資金は四千九百億ないし五千二百億、こういうことになるわけでございますが、御承知のように、市中金融につきましては、短期の貸し出しが多いわけでございますから、非常に長い期間寝てしまうような設備投資につきましては、大体このうちで二〇%ぐらいということになりますというと、一千億から一千百億ということになるわけでございます。この一千億ないし一千百億の設備投資の中で、四重点産業——鉄鋼、電力、船舶、石炭、こういう四重点産業に充てられます設備投資が大体六〇%、こういうことで、金融機関の中で自主的に調整しようとして努力しておられます全銀協の中の、資金調整委員会で、今のような市中の資金の見通しを立てたわけでございます。この六〇%が四重点産業に充当されますと六百億ないし七百億になるわけでございます。三十一年度は四重点産業には一八・六%、三十二年度におきましては四五%、こういう四重点産業に対して市中は設備投資に金を出しているわけでございますが、今度の計画におきましては、この点に重点的に、施策として市中銀行も非常な協力をするという意味合いからいたしまして六〇%これに充てようということでございますので、六百億ないし七百億が、先ほど申しました四重点産業に充当される設備融資のワクであるということになっているのでございます。そこで、船舶資金との関連でございますが、この七百億のうちで、今これは経済企画庁あたりで、四重点産業の資金の振り分けについて、バランスをとった調整をしていただかなければならぬと、私は思っているのでございますが、このうちで、約四百億ぐらいは、電力にどうしても必要であるということが、今の段階でも言われておりますので、七百億から四百億引きますというと三百億、三百億で船舶、石炭、鉄鋼、こういう残りの三重点産業がまかなわれなければならぬ、ところが、先ほど松浦先生からお話がございましたように、船舶の設備資金に対しまして、三十二年度からのずれ込みが計画造船自己資金ともに大体百億あまりございます。それから三十二年度の着工分の工程に従いましてどうしても出さなきゃならぬ計画造船で約六十三億ほどその繰り越し分がございます。自己建造も含めますと大体百十六億ばかりあります。その他三十三年度の新規着工分といたしまして、計画造船におきましては百七億という市中の融資に依存しておるわけであります。自己建造で三十三年度で着工をいたすものもございまして、かれこれ大体三百五十億ばかりの資金を必要とする、こういうことでございます。われわれの方といたしましては、この全国銀行協会の調査とほとんど同じような数子で、調査をいたしましたところが同じような数字になっておりますが、三百五十億ないし四百億、これはなぜそういうことになるかといいますと、船舶会社からの市中へ回収をいたしまする借金の返済をどう見込むかという問題もそこにからまってくるわけでございますので、その返済の見込みが、今後の海運市況のいかんにかかわっておるわけでございます。非常に悲観的な見方をすればもっと金が要る。楽観的な見方をすればもっと少くて済む、こういうことになるものでございますので、三百五十億ないし四百億ばかりの市中資金を必要とする、こういうことになるわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、電力を除きますと三百億しかない。一体これをどうするかという問題に結局なるわけでございますが、資金調整委員会でもいろいろ問題になりました。政府部内においても、われわれの方といたしましても重要な問題として、大蔵省経済企画庁等とも相談をいたしておるわけでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、二十五万トン計画造船はどうしてもやる、こういうときに問題になって参りますのは、融資比率定期船に六割、不定期船が五割、タンカーが四割、こういうことでございますので、この融資比率をもっと上げて、市中の資金を少くする、そのかわりに建造トン数は落ちる、二十五万トンから若干落ちる、こういうことでもしなければ市中資金というものはつかぬじゃないかという議論もございますけれども、この点は先ほど来松浦先生からお話がございましたように、二十五万トンでも私どもとしては足りないと、こう考えておりますので、市中金融機関側におきまする全幅の協力を得て、二十五万トン計画造船だけは遂行して参りたいと、こう考えておるのでございます。自己建造につきましては、従いまして、融資確約書を出しておるのにかかわらず、銀行の方で金を出さぬじゃないかと、こういう今のお話でございますが、これも大体三割くらいおくれておる、銀行からの貸し出しがおくれておる、こういう実情でございまするけれども、この点につきましても、あわせて何らかの政府側においても対策を講じなきゃならぬのじゃないか、ただ、工程に従って金が出て参りませんと、あとで竣工いたしました場合にでも非常に法律上の問題も起って参りまするし、これは電力だけでなしに、海運におきまする今の金融事情等が非常に深刻な状態になっておりまするので、政府部内ともよりより対策を進めておるような次第でございますけれども、一方、金融機関におきましても、ぜひとも計画造船あるいは三十二年度以来からの着工の自己建造の分につきましては全幅の御協力を願いたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 百八十億円の財政資金で二十五万トン計画造船は、今年だけの海運市況のもとで判断をすれば、私はそれでもいいんじゃないかと思うのですよ。しかし、先ほどからも申し上げるように、やっぱり船を作るということは、長期計画を立てるという必要があるので、今年はそれでいいからといって、来年、再来年もしも幸いにして好況時がおとずれてきた場合に、やはり日本船腹不足して、せっかくの荷物を外国船に積まんならぬ、こういうことが現われてくることを予想して、ことしはよさそうであるけれども長期の将来への海運計画からいくというと、二十五万トンでは少いと思うと、常識的にくろうと筋は判断されるわけです。それで、かりにもしそういうことにしましても、今官房長がお答えになりましたように、市銀からの融資というものは非常に工合が悪くなってきて、なかなか二十五万トンの船を作る融資さえうまくいかないじゃないかということが問題になってきて、三十二年度分として、十三次船の分五十四億円、自己資金による造船分八十三億円、三十三年度に持ち越された継続分が五十八億円、自己資金による造船分五十億円、十四次船八十五億円、合計三百三十億の財政資金への肩がわりが強く要望されておる、数字は違うかもしれませんが。ともかく、市中銀行からの約束をした金は今までの分でも、おっしゃる通りの百億以上の焦げつきがあって、そしてことしも思った通り金融ができないであろうという想定で、さらに三百三十億程度財政資金の肩がわりが要望されておる。これに対しての運輸当局考え方、運輸大臣考え方、そうしてその要請にこたえるための努力を払われたのか払われてないのか、そういうところをちょっとお答えをいただきたい。
  34. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは昨年来その手段を講じております。金額は三百億でございますか、私はもっと少いのじゃないかと記憶いたしますが、これは局長から数字は答えさせますから。まあその方向に努力いたしておるということはこれは申し上げてよいかと思います。詳細な数字局長から申し上げます。
  35. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私どもの御質問の点で要求いたしましたのは二百四十億でございます。計画造船自己資金分と両方合せて二百四十億に違いはございませんが、内訳をちょっと今持って参っておりませんので……。
  36. 松浦清一

    松浦清一君 その肩がわりの要請に対して、その要請にこたえ得るような努力をはらっておられるのか、その要なしとして努力をしておらぬのか、そこをちょっとお答え願いたい。
  37. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 二百四十億というのは、私ども要望にこたえまして大蔵省要求しておった数字でございます。従いまして、今大蔵省ともこの点について折衝中でございます。
  38. 松浦清一

    松浦清一君 海運問題だと自分ばかり時間をとって恐縮だから、この辺でやめておきますけれども、ちょっと船員の福利厚生の関係で船員局長にお答え願いたいのですが、今年の予算編成の途中で、特に第三国間の輸送の船に乗っている船員諸君が長期にわたって日本へ帰ってこない。そこで、外国の港にも船員の宿泊等の施設を作る必要がありとして九千万円かの予算要求をされておったと承わっております。それが予算に現われておりませんが、どのように折衝されて結局どうなったのか、その辺の経過を御答弁を願いたいと思います。
  39. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私から答えまして、足らない分は局長からもお答えいたします。実は私もそのことに気がつきまして、第三国輸送をやらなければ国際収支改善にもならない、また戦前非常に盛んであった、ところが、第三国輸送をやるには、やはり船員の福利厚生というものをやらなければ意味をなさないと思いまして、外国の二、三ヵ所に、青年のいこいの家という意味におきまして、予算仰せのように九千万円要求したのでございますが、まあ私もこれを大蔵大臣と最後の折衝のときに、重要項目の中に入れまして、極力押したのでございますが、遺憾ながらこれは今年は実現しなかったのでありますが、私は運輸省の重要政策として、これはいかなる人が運輸大臣になろうとも、当然やるべきことであり、これをやらなければ第三国輸送意味をなさない、また船員の福祉にもならぬということで、今後私もこれを、今年はできずしてはなはだ残念で申しわけなき次第でございますが、運輸省の重要政策として、実現するまでこれは努力をしなければならぬ、また、してもらわなければならぬ、こういうふうに思っておる次第でございまして、御指摘の金額、その計画はその通りでございます。
  40. 松浦清一

    松浦清一君 運輸省からもらっておりまする資料によりましても、イギリス、アメリカ、カナダ、オランダ、スエーデン等、特に力を入れておるようですが、ノルウェー、デンマーク、海運国と称せられるそのほとんどの国が、国の補助を与えて、そして特殊な仕事をしておる船員のこの福利厚生施設というものをやっている。今のところ、日本では国の費用をもってそういうものが一つも行われておらぬという実情なんです。こういう国で、海運というものの日本経済自立のために負う非常に重大な産業界に働いておる労働者であるにもかかわらず、そういうことに手がつけられておらない。今、大臣が御答弁になりましたように、おそらく優秀な運輸大臣でありまするから、在任中といったって何年でもおやりになると思います。あなたが最大の努力を払われて、実現するように一つ御努力を願いたい。
  41. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、私の前途については申し上げられませんが、かりに私が今申しましたごとく、私のこの計画、これは私は必要だと思うんです。これはだれが見たってやらなければならぬことでございますから、私のあとを引き継がれる方にも、バトンをぜひ渡しておきたいと思います。しかし、私もそういう機会があれば、これはもうぜひ押していきたいと思うのであります。ことに私も、今、松浦委員の言われましたように、各国のいろいろな例を見てみますと、日本が一番おくれておるわけで、これは率直に申しますと、大蔵省の連中の頭が、私も議論をしたのでありますが、こういうことは船主協会や、あるいはそういうところでやるべきだと言うんです。これが非常に違うといって、私は大蔵大臣と最後に激論をしたのでありますが、やはりこういうことは、仰せのように、国が援助をしなければこれは促進できるものじゃない。もっとも保険でも、厚生省関係保険などでできることはありますが、やはりこの根本は、国がこれを補助的に押していくということでなければ私はできない仕事であると思うのでございまして、今おあげになりました各国の例も、私も研究もし、見ておりますのみならず、船員福利につきましては、国際労働機構などからも勧告もございますし、その意味は重々私もわかっておるのでございますが、ただ問題は、いかにして予算にそれを計上していくかということが問題でありますから、私はこれを、いかなる人が運輸大臣になっても、運輸省の継続的な事業、そしてこれは実現するというふうに私は言い残しておきたいと思います。しかし、本年は不幸にして、計画は立てましたが、その計画が実現しなかったということは、まことに私は遺憾に存じておるところでございます。現在の福利施設その他の方向などにつきましては、これは海運局長からも、お尋ねがあればお答えをいたしたいと思います。
  42. 松浦清一

    松浦清一君 運輸大臣は、九千万円の要求大蔵省に出して、運輸省の役所の中ではずいぶんやかましく言われたそうだが、大蔵省に対しては、大臣大臣との最後の政治折衝まで何かやられなかったようなことを、そんなに運輸大臣は強いことを言わなかったですよ、というようなことを大蔵省から聞いた。それじゃ話にならぬので、それはうそかもわからぬが、ともかく、社会党が政権を担当するようになればやりますから、それまではあなた一つやっといてもらいたい。これをお願いしておいて、海運問題をやっておれば、私は一日でもやりますけれども、そう私一人で独占するのは恐縮でありますから、ほかから質問があれば、関連してまたしますが、一応これで……。
  43. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣に、私はちょっと松浦君の言うのとは逆になるかもしれぬけれども、お尋ねいたしたいと思いますが、例の造船利子補給問題について疑獄事件の起ったことは大臣も御承知の通りでありますが、決算委員会においても、本運輸委員会においても、あの当時に非常にきびしい批判というものが行われたんですが、当時飯野海運等を初め、数社にわたって改善しなければならぬ、あるいはその適正化についてのことができるまで利子補給ということはとめた、こういうふうになっておったんですが、その後の状況はどういうふうになっているのか、あの問題は一体解決がついたのかつかぬのか、一つ答弁をいただきたいと思います。
  44. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 金額は忘れましたが、三十二年度にもあれは載っておりません。それでございますから、私は三十三年度にもそれを踏襲いたしまして、載せておらぬのでございます。これはこの間も衆議院の第四分科会で御質問もございましたが、あの法律は別に廃止するということも考えておりませんが、予算としては本年は計上しなかったのであります。
  45. 相澤重明

    ○相澤重明君 予算として計上しないというその内容ですね、運輸省考えて、さっきからも長い間松浦君から質問があったように、計画造船の問題については、いわゆる日本の最重点政策として取り上げているというのであるけれども、その反面において今のような問題を、ずいぶん長い間かかってこれは運輸省としては監督指導されていると思うんですが、そういう問題について、どういうわけでこれまでいわゆる計上することができないような形になっているのか、その監督指導の面であなたの立場一つ話してもらいたいと思います。
  46. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、ああいう事件も起しておるものでございますから、国民感情的に私も多少ちゅうちょいたしておるんです。これは率直に私の心境を申し上げたわけです。しかし、あの方法によって船の発展をはかるかということもありますが、同時に、私はほかの方法、たとえば造船用の鋼材を安くしていく、それがためにあの補給金制度を考え要求したのでございますが、これも実現しなかったんですが、今幸いにも鉄、銅は合理化されてきて下ってきております。それでございますから、先ほど松浦委員にもお答え申しましたように、法律とか制度ではなくして、ほんとう話し合いで、造船用の鋼材は、トン五万円以下にしようという意味で、私はこの間通産大臣話し合いをいたしまして、通産大臣の今善処を求めておるわけでございまして、ああいう利子補給の形も、これは私は問題がなければいいいと思います。しかしながら、時代の変遷に従って、ほかの方法で、今申しますところの資材関係において下げていくということをすれば、造船業に貢献することになるんではないかということも私は考えてきておるのでございまして、私は利子補給は、もうそう大きなウエートを、率直に申し上げますと、私は考えておらないんです。それよりもほかのことでやっていただこうかというふうに変ってきておるのじゃないか、あるいはまたそういうことを必要とする時代があるかもしれませんが、私はそういうふうな立場を今とっておるわけなんでございます。
  47. 相澤重明

    ○相澤重明君 よく大臣の御答弁もわかりましたし、資料もここに見せてもらいましたから、その点わかりますが、やはりあれほど大きな疑獄事件も起きた問題ですから、監督官庁としての運輸省立場で、この当時の問題がどういうふうに解決をしたかということを、あとでできれば私は資料として提出をしていただきたいと思います。ほかの委員からも質問がありますから私はこれでやめますが、いま一つ、これはやはり造船ということではないのですが、船員の問題でちょっとお尋ねしておきたいのですが、運輸大臣にこれはお尋ねをしなければならぬ、松浦君の専門なんですが、実は日本人の船員問題については、もちろん当然松浦君の言うようにやってもらわなければいかぬのだが、第三国人、特に朝鮮の船員が、船員資格を持っておるものが一たん日本に上陸をしてしまった後には、再びこの船員資格を与えぬ、いわゆる手帳を出さぬというようなことがよく私どもに陳情が出ておるのですが、一体それはどういうふうになっておるのか、また、これは国際的な問題か、国内法としてはどうしてもそういう取扱いというものはできないのかどうか、こういう点について一つお答えをいただきたいと思うのですが。
  48. 森嚴夫

    政府委員(森嚴夫君) 朝鮮の国籍を持っておるもので日本の船員手帳を渡しましてそうして船舶に乗っておるものがお話のようにございます。しかし、これを新たに出します場合には、朝鮮の領事の証明をとっておるわけでございます。そういうようなわけで、船を上りましてから相当期間たち、船員手帳が有効でなくなってからまた乗る場合におきましては、証明の点で困難な問題がある場合が起っております。それからなお船員手帳を持っておりますものが引き続いて乗る場合には、もちろん問題はないわけでございます。
  49. 相澤重明

    ○相澤重明君 今のお話ですと、まあある程度長い期間ということなのですが、一体あなたの方で扱われておる場合には、どのくらいの期間ならば継続するのか、あるいはどのくらいの期間以上は、もうこれは再審査をしなければいかぬ、今お話のように領事の証明をもらわなければならぬ、こういうことになっておるのですか。
  50. 森嚴夫

    政府委員(森嚴夫君) 船員手帳を受けましてから六ヵ月かと思いますが——今期間はちょっとはっきりいたしておりませんが、多分六ヵ月かと思いますが、それだけ船に乗らず船員手帳を行使しなかった場合には、船員手帳は効果がなくなるわけでございます。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは終戦直後、日本の船員でも、私ども海員組合の諸君からそういうことを聞いて、帰郷というか、一時船が仕事が少くなったので故郷へ帰る、こういうことを横浜あたりでは特に多く当時扱ったことを私も事例を知っておりますが、まあ日本の船員については、事実上そういう欠点というものはだんだんなくなっておると思うのですが、今のお話のそういう基準とか、あるいは何かあるなら一応わかるように私は資料を提出していただきたいと思います。  そこで、いま一つお尋ねをしたいのは、たとえばこの朝鮮といっても南北あるわけですね、韓国と人民共和国と二つになっておるわけです。韓国の方は代表部が——日本の代表部はまだ向うに行っていないのですが、実際問題として、韓国の代表部——日本の代表部はないのだけれども、そういうことを向うに照会をする、代表部からね、そういうことだけでいいのか。それからいま一つは、人民共和国の方については、これはもう代表部も来ておらぬし、日本もそういうことをやっておらぬから、一体どこのそういう証明というものをとるのか、こういう点についておわかりになったらちょっとお答えを願いたい。
  52. 森嚴夫

    政府委員(森嚴夫君) 先ほど申し上げました、帰郷と申しまして一たん船をおりる日本の船員について新しく出すのは問題ございませんが、外国人につきましては、当該国の領事の証明書をとることにいたしております。北鮮の方につきましては、その証明を出す機関がないので、実際上現在は困難でございます。南鮮と申しますか、韓国の方の領事はありますので、その証明を持ってくればいいのでございますが、それがなかなかうまくいっていないようでございます。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、実質的に戦前から来て学校へ上っておって、そうして実際には船員の経験を持っておりまして、もちろん資格を持っているんですが、船員の手帳を持っておったけれども、戦後、そういういろいろな動乱期によって、それで一時陸へ上ったためにもう今度は海へ帰ることができない、しかし、本来各国の領事館があるから、そういう領事の証明があればいいのだけれども、今のような場合に、全然もうこれは採用する方法がないということになるんですね。北鮮の方については、何といいますか、国際的な立場でそういうものを、たとえば扱う方法というものが何か考えられないかどうか、そういう点、何か研究したことはありますか。
  54. 森嚴夫

    政府委員(森嚴夫君) この問題は、仰せのような事例がときどきあるのでございます。それで何か方法はないかというので研究もいたしておりますけれども、結局先ほど申し上げましたように、朝鮮人に関する領事館と申しますと、やはり南鮮関係しか今ないものでございまして、そこで行き悩んでいるのが現状でございます。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 今のところそういう御答弁もわかるんですが、これは一つ、何といいましても、相当多くの人から私どもは陳情を受けているんです。従って、もちろんわれわれの立場からいけば、早急に日本としては正規な外交回復ということが望ましいのだけれども、なかなかそこまで進んでおりませんが、しかし、それにしても生活権の問題もありますからね、そういう点については一つ研究をしてもらいたい。どういうふうにしたならばいいのか、これは国際的な労働問題については、やはりいろいろな意見も出ておりますけれども、これは一つ運輸省としましても所管事項として、どうしたらいいのかというようなことを一つ検討していただきたいと思う。以上で私は終ります。
  56. 柴谷要

    ○柴谷要君 海上輸送の強化策の一環として、沿岸輸送の運賃に対する助成策といいますか、補助というか、そういう点の策がかつて新聞に載ったのですが、非常にいい企画だと思って検討しておったのですが、これらの問題について詳しい一つ御説明を願いたいと思います。
  57. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 詳細は局長からもお答え申し上げますが、今問題になりましたのは北海道と内地の間、これは要求いたしました。が、不幸予算に載るに至らなかったのでございまして、まことに遺憾に存じておりますが、北海道との間の計画はございます。そのほかにつきましては、ありますかどうか、これは局長から答弁させます。
  58. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 来年度予算に計上いたしましたのは、北海道の計画だけでございまして、他には予算に計上いたしておりません。
  59. 柴谷要

    ○柴谷要君 北海道航路に組んだ予算それから内容を、おわかりの限度で一つお知らせ願います。
  60. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今のは計画だけでございまして、実際は、予算には話し合いはなかったのでございます。しかし、計画そのものを知らせろという御要求でございましたらば、お知らせをいたします。
  61. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 予算要求いたしましたのは、七億九百五十万円でございました。北海道と内地との間の貨物を約百三十万トン、これで海送に転移いたしまして、北海道−本州間の輸送に資しよう、そういう計画でございます。品目等につきましては、主として農林物資でございまして、木材、木炭、バレイショ、その他の農林物資が大部分のものでございます。
  62. 柴谷要

    ○柴谷要君 実は、この運輸省計画に対しては、敬意を払いながら、これはもう実現をぜひ希望しておったわけです。とにかく、北海道の陸上輸送は、御存じの通り、すでに飽和点に達して、もはや陸上輸送は不可能に近い限界まで送っているわけです。ところが、北海道各地に非常な滞貨が発生して、どうしてもこれは海上輸送に転移しなきゃならぬということで、もちろん、運輸委員会調査に行ったときにも、これらは十分指摘をしておいた。それで、その指摘に従って計画をされて、全く当を得た政策だと思っておったが、これはまあ政府の了解されるところとならずに不発に終ってしまったという現実だと思う。で、この問題について、運輸省は、三十三年度はまあやむを得ないとしても、三十四年度以降に対しては、十分これらの考え方を織り込んだ方式を立てて進むつもりであるかどうか。また、暫定的な、多少なりともこれらの問題について予算のワク内で心得ていこうという考え方があるかどうか、この点が一つ伺いたい点なんです。
  63. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 予算のワク内でやることは、ちょっと困難だと思います。しかし、これは北海道の農産物を対象としておるのでございまするから、道民の要求も強いものでございまするがゆえに要求をしたのでございますが、今後、これは運輸省そのものの事業、政策として将来とも実現する、まあ、計画の内容は別といたしまして、実現しなきゃならぬものというふうに、私は将来とも考えております。
  64. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは次に、問題は変りますけれども、港湾関係の公共事業予算について一、二点お伺いいたします。北海道開発に必要な港湾の整備を促進するということで十三億九千百七十万円を計上してありますが、この計画内容を、局長から一つこまかく説明をもらいたいと思う。
  65. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 北海道の港湾事業費の内訳でございますが、これにつきましては、重要港湾といたしまして、函館、小樽、室蘭、釧路、留萌、稚内、これに五億三千六百万円、これを投入いたします。次に、地方港湾といたしまして、苫小牧に一億五千五百万円。それから網走、根室、岩内、紋別、森、江差、瀬棚、浦河、霧多布、花咲、増毛、羽幌、天塩、技幸というようなのに苫小牧と合せて五億七千八百五十万ということにしております。そのうち、離島でございますが、焼尻、鴛泊、鬼脇、沓形、香深、船泊、こういう諸港に対しまして八千六百万円。それから避難港といたしまして、椴法華、松前、幌泉、広尾、宗谷というのに対しまして一億二千八百五十万円。そのうち離島の奥尻、天売、これが二千七百万円というような状況になっております。なお、北海道につきましては、作業船の整備費に一億三千五百五十五万円、それから港湾の事業調査費に四百万円、それから海岸保全施設整備事業費補助に九百十五万。内訳を申しますと、だいたい以上の通りでございます。
  66. 柴谷要

    ○柴谷要君 私ども、北海道の港湾の、重要港湾なり地方港湾なり視察等をやってきて体験をしたことなんですが、運輸省の年々組まれる予算というのが、北海道はもとより、内地の港でもそうでありますけれども、総花的に予算が分散されて使われておる。そのために、工事等においても、何といいますか、継続工事継続工事というような形で少額の予算が行っておるために、継続工事にほとんどなっておる。それがために、前にかけた金が生きてきておらないというような実情を見てきたわけなんですが、こういうような総花的な予算の割り振りなしに、重要港湾なら重要港湾の一ヵ所ないし二ヵ所を最も短期間のうちに完成をさせる、また、地方港湾等においても、重点的に一溜なら一港を完全に仕上げるということで、年間を通じて一年なら一年の間に一港なら一港を完全に整備して、翌年はここはもはや経費が要らぬ、次の港に経費をかける、こういったような重点的な港湾整備の方法がとれないものかどうか、そのことが私どもが視察の結果考えられた節なんですが、本年度予算の割り振り等も総花的であり、これが悪いとは申し上げませんが、そのような考え方を強く持って帰ってきただけに、かつての報告の中にも多少そういうことを申し上げておいたのですが、これらの問題について、港湾局長、どのようにお考えになりますか。
  67. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今の重点主義の施行という点でございますが、これは内地、北海道等を通じまして港湾の数は二千有余ございます。で、今工事をしておる港湾の数を申しますと百九十ばかりございまして、約一割に満たない程度であります。今施行しております港湾は、これはいずれも非常に需要度の高いと申しますか、使わなければならぬ港湾になっておりまして、いずれも手をかけなければその使用に困っているという状態であります。それで、その工事をやります上においては、やっただけがすぐ役に立つというように計画を進めておりまして、予算の配分、施行ともにそのような見地からいたしておりまして、今予算を計上しておる港湾が、われわれとしては重点的施行計画であるというふうに考えております。
  68. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは、まあ次の問題をお尋ねいたしますが「海難を防止し稼行率の上昇を図るため外かく施設及び水域施設の整備を促進すると共に避難港並びに港湾区域外の航路の整備を行う。」、こういう項目が出ておりますが、避難港は、避難港として指定をしたけれども、一向に政府としてめんどうを見てくれないという陳情がしばしばあります。これは港湾局長も耳にタコができるほどお聞きになっておると思うのですが、本年度、避難港に対する港湾局としてどのようなお考えをお持ちですか、ちょっとそれをお尋ねしておきたいと思います。
  69. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 避難港は、御承知のことと思いますが、全国的に見まして機帆船程度の中小船の避難する場所、航路の難所を選びまして数カ所を指定して、そしてその指定をしたうちから緊急のものについて工事を進めておるわけでありますが、なかなかこの工事をして避難という面で効果を発揮いたしますのに時間がかかっておりますので、その意味で新しく工事をしても避難の効果の上らない、上りにくい所はまず避けて、工事をして早く効果の上る所を重点に置いていきたい、こういうように考えて施行計画をしておりますので、なかなか指定がされておっても、新しい所を取り上げてやるという段階はむずかしいのでありますが、しかし、われわれといたしましては、何とかして早く整備をしたいという見地から、三十三年度は、日本方面の柴山港の整備に着手したい、それから北海道では宗谷を着手したい、その他の所は整備には着手できないが、しかし、実態をよく調査をしたいという所もございます。新たに調査をいたしてみたいということで予算に持ち出しておりますのは久の浜でございます。
  70. 柴谷要

    ○柴谷要君 時間が来ましたから最後に、これは運輸省予算全般的な問題ですけれども、特に港湾関係は現場に重労働を行う労働者をたくさん抱えておるわけです。そこで、私どもとしても、これら労働者の意向を時折聞いておるのでありますが、港湾局というのは、非常に内々なところですから、労使関係はいい、組合自身、そういう気持が出ておるようですが、それだけに私どもは、やはり陸と違って特殊な工事を施すために、いろいろな危険度合なり、いろいろむずかしい技術を必要としておる、ところが、このような仕事の専門的な人たちもなかなか適材適所に使い得るという情勢にないのです。特に運輸省全般でみるというと、ややもすると、これは陸の方が非常に少いために——これは大臣聞いておいてもらいたい——陸の方が非常に少いために、海の方からややもすると転用して陸の方に使うという傾向が最近出てきた。ところが、それは逆であって、もう少し陸は陸として、新しい人員を整える場合でも、海の方から転用するというようなことじゃなく、その点もっと現場に即した態勢を組んでもらいたい。これは三十三年度予算について申し上げるのじゃなしに、従来そういう形で来ておりますので、そういう点も大臣として一つ認識されて、適切な手を打ってもらいたいということを強く私は要望して、時間が参りましたので質問を終ります。
  71. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっとこの機会に、先ほど柴谷委員の御質疑に対する森船員局長答弁のうち、足らざる点があり、これがため誤解を起している点もありますので、訂正をいたしたいという申し出がありましたので、この機会に許します。
  72. 森嚴夫

    政府委員(森嚴夫君) 先ほど船員手帳が交付してから六ヵ月したら使えなくなると申しましたが、そのほかに、船員手帳を持って船に乗っております場合、最後の雇いどめの公認を受けてから二ヵ年たつと使えなくなる、つまり最初に、船員手帳をもらって六ヵ月使わずにそのままほうっておけば使えなくなるとともに、船をおりまして雇いどめの公認を受けてから二ヵ年間は有効であるという点を申し上げませんでしたので、つけ加えさしていただきます。
  73. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、これは先般の当委員会でございましたが、朝田官房長の答弁のうち、これまた不適当な点があるので、この際訂正をいたしたいという申し出がございましたので、この際これを許します。
  74. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) 前回の当委員会におきまして、中村先生、相澤先生からの事務費の節約に関連いたしまして、物価の見通しはどうかと、こういう問題、あるいは物価との関連を私から御説明申し上げたのでありますが、非常に不十分でありまして申しわけないと思うのでありますが、また、適当でない御説明をいたしまして相済まぬことだと思うのであります。三十三年度経済計画の大綱によりまするというと、私はその際に、物価が五%下るような御説明を申し上げましたが、誤まりでありまして、卸売物価は一・四%程度の低落を見込んでおります。またCPIと称します三十三年度の消費者物価は、国民生活の安定と向上に配慮し、少くとも三十二年度末ごろに予想される比較的低い水準でおおむね横ばいと、こういうふうにきめられておりますので、この点、訂正の意味で御了解を願いたいと思います。     —————————————
  75. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、委員の変更について御報告いたします。本日榊原亨君辞任、後藤義隆君が補欠選任せられました。     —————————————
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、時間の関係がありますので、私は基本的な二、三の問題について意見をただしておきたいと思います。先ほど柴谷委員の港湾行政についての質問局長の説明がありました。その中で、まあ内地、北海道を含めて二千有余の港湾があり、そのうち百九十だけ、これが今工事中だ、こういう話がありました。しかも、今度の予算では、これは重点的にやられている、こういう話なんですが、われわれはちょっと一応納得しかねる。百九十件にも分散して総花的にやはり行われているのじゃないか。従って、ほんとうにいろいろな問題が私たちの耳に入っているだけでも、相当全国的にこの港湾の問題というものは出ていると思う。そういうものを根本的に食いとめるというようなことにはなっていないのじゃないか。ほとんどこれはこうやくばり的なやり方になっているのではないか。私はこういうものと関連しまして、今度の予算ともさらに関連して考えるときに、一体運輸当局はこの港湾行政を、先ほど松浦委員からの質問もありました海運行政と関連して、どういうふうに進めようと考えているか。一体、この中で外航船舶、そういう港、あるいは国内の運航に要する港、そういうものを含め、さらにまたどういう点、国策と関連して積極的にどの港湾を一体推進していくのか、あるいはまた一方で破壊が起っておる港湾が御承知のようにたくさんあると思います。こういうものをどの程度にそういうものとの関連の中でやるのか、つまり政策の基本的な面が明らかになっていないのじゃないか、この点は一体どういうふうに運輸大臣考えておられ、当局はまた作業を進めておられるのか、お聞きしたいと思うのです。
  77. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 三十三年度の港湾予算を中心として私のとりました方針を申し上げます。やはりまず第一に、石油とか石炭であるとか、そういう基地の港に置いておる。これに努力いたしております。それから貿易港、工業港、こういう点の完成を目ざしております。それから今日工場等も農地をつぶしてやるということは、これはもう時代おくれでございますから、できるだけ海岸の埋め立てをして、いわゆる臨港工業地帯というものを造成していく、こういうふうなところに重点を置いておるのであります。また、今日の港湾の高潮を防止するとか、こういうこと、あるいは地盤沈下をいたしておる港が相当あるようでございます。これは岩間さん御承知の新潟などもそのひどい所でありますが、こういう所の対策も講じておるのであります。しかし、一般地方港湾にばらまき過ぎて総花だという御意見でございますけれども、地方港湾というのは、これはある意味におきまして、わずかな金でもここに施設をしてやる、あるいは防波堤を作ってやる、岸壁を直してやるということによって、今まで捨てられておったというと語弊がございますけれども、あまりに恵まれなかった地方港湾に、この際できるだけの国家資金を投じるということは、これによって地方港湾は私はよみがえっていくということで、ある意味におきましては、地方港湾にばらまいておられるという、あるいは総花的であるというおしかりを受けるかもしれないけれども、これが私は地方港湾を生かしていく、そうして将来の土台を作っていくという意味もあると信じまして、そういうふうにいたしたのであります。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、時間もあまりありませんので詳しいことは後日に譲るといたしまして、そういうような何か基本構想、たとえば、これは経済企画庁で五ヵ年計画を立てておる、そういうものとの関連においての一体港湾の基本構想というようなものは、これはお持ちですか。これがはっきりした形で出されておるのかどうか、そういうものの関連からこういうものを検討しないというと、非常にまあこれは抽象論議になるわけです。今のお話を聞いていますと、どれもこれも大切だということになるわけですが、しかし、少くとも国策の面と関連させて運輸行政を推進するという、少くともそういう意気込みがなければ私はまずいのじゃないかと思うのです。そういう点、いかがでございますか。
  79. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は第一番に区別したはずでございます。たとえば特定産業関連港湾には力を入れる、たとえば石油基地ももとより私は特別会計という理想、それをもって進んだのでございまするが、これは道路が先で、来年あたり実現したいと思いますけれども、これは私はやはり緩急、前後を感じてやっているのは、予算をごらん願いますれば非常におわかり——私は理想を完全に達したとは申しませんけれども、こういう特定産業関連の港を整備するということが、やがては日本重要産業を進歩せしめるというゆえんでございますから、これは私はできていると思います。しかしながら、今申します高潮であるとか地盤沈下、これも港を保存するという上において必要でございますからこそやっております。ただ、最後に申しました地方港湾に多少総花的であるかもしれません。しかし、これは御了解を願っておきたいのは、そういうわずかな金額でもそこに投ずることによって地方港湾が生きていく、これによって地方の産業が発展し、また交通が便利になるといえば、私は必ずしも意味なくはないと思うのでございまして、重点的、それからその次のもの、それから一般、こういうふうに分けて私は予算を取ったはずでございまして、まあその間、私どものやることでございますから、御批判、御教示は私は喜んで受けまするが、まあ大体そういう考え方でやっている。こう言っても、ただ無方針にやっておらないということは私は御了承を願わなければならぬと思うのであります。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はしろうとなんで、御教示などということじゃございませんけれども、今の大臣のことは大体われわれも、これは一応だれも考えるだろうと思うのです。貿易港とそれから基本的な産業関連のなにを大事にする、それがどうですか、政策として作業化されて何年度にはどうか、そういうような構想を、何とかそういうものを持っておるのでしょうか。そういうものを持っていないで、単に頭の中で本年度はこうだということでやっておるのか、そこのところ、私は港湾行政について今進められておる事務当局の考え、これをまたどういうふうに大臣としてもこういう問題を検討されて進んでおられるか、この点、お聞きしておるのです。どうなんですか。今のお話程度のことは大体見当つくことだと思います。しかし、果してそれをはっきりした一つの基本構想として裏づけのある作業を通じてそういうものを打ち出しておられるのかどうか、そういう一環として今回の予算が一体要求されておるのかどうか、こういう点を私はやはり明確にしなければ、どうも何だか場当り的な感じがするのです。私の感じかもしらぬけれども、そういう感じがする、その点、どうでございますか。
  81. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 大きく申しますが、やはり港湾計画、公共事業の推進ということは、岸内閣が立てておりまする五カ年計画長期五カ年計画に沿うていくということは、これは申すまでもないことでございます。その意味におきまして私は特別会計を主張いたしたのでありますが、これはできなかったのは残念でございますが、その特別計画に盛られておりますのは、大体四年、五年、ことに、この特定産業関連港湾は四年ぐらいの間に継続的に資金を投じて港の設備を近代化いたしたいということはうたっておるのでございまして、無計画、無方針にやっておらないつもりでございます。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 私お聞きしておるのは、そういう何か一つの構想が具体化されたものがあるかどうか、事務当局、これは作業進めておられるか、そういうものと関連して予算の問題が要求されておるのかどうか、それは何かありますか。あったらそれはいただきたい。
  83. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それは成立しなかった、たとえば特定産業関連港の整備計画、これはございますから、これは特別会計としてできなかったので、それは御了承願いたいと思うのですが、しかし、その計画一般会計においてもできるように予算はやるつもりでおるのでございまするから、その内容を一応御説明いたしますならば、運輸省の港湾計画の大要を御了解を願えると思います。これは局長からお答え申し上げます。
  84. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今の港湾の整備計画、これは長期経済五カ年計画にマッチするように進めて参っておりますし、なお、三十三年度から入る長期五カ年計画というのに合わせるべく予算を検討して参っております。ことに、今もお話がございましたが、石油だとか、鉄鉱石、石炭というようなものについては、品目別に考えて、そしてそれの輸送計画にマッチすべくしております。その他、先ほど地方港湾について総花的であるというお話もございましたが、これはそういう意味ではなしに、港というのは、これは一つの大きな港がありますと、それに対して衛星的に働く港もございますし、また、小さい港間の輸送もございまして、そういう意味で、総花的でなしに、輸送の要請に基いた計画で進んでおります。また、輸送そのものでなくとも、地方発展のため、あるいは防災のための港湾施設もやっておるわけであります。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、その計画書をやっぱりいただきたいと思う。実は、予算をわれわれ審議するとき、つんぼさじきじゃ困るので、そういうものと関連してこれは論議しないことには国策審議にはならぬと思う。そういうものをこれは出していただきたいということ。そういうことを私が特に感じたのは、この予算を、大体港湾予算を見たのですが、昨年度とほとんど変りないですね。三億ふえたということになっておるのでありますが、北海道の港湾関係で二億ふえておるのですから、それをマイナスすれば、ほとんど昨年と同じという格好になっております。そういう中で、果して重点的な、しかも、絶対しなければならないという、そういう問題をうまく遂行することができるのかどうか。大体二百七十億当初の要求があったということを聞いておるのでありますが、それが百五億に大きく削られておる。こういう原因はどうなんです。そうして、そういうことによって、今まであなたたちが構想されておったものが非常に欠陥を持ってくる、そういうのはどこにあるのか、こういう点についても、一応予算折衝の経過について、これはお聞かせを願いたいと思います。
  86. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 最初のは、これは特別会計なんです。特別会計制度なんです。これは、今仰せになりましたように、二百七十億要求した。多少その辺に、実行可能の範囲において、縮小はいたして、金額も変っておりまするが、これは計画的になっておるのであります。しかし、特別会計はできなかったのでございまするから、一般会計の港湾事業として、これも継続的に、計画的になっておることは事実でございますが、理想としましては、私どもは道路特別会計と並んで港湾も特別会計にしなければならぬ、こういうふうに進んでおるのであります。今二百七十億とおっしゃいましたのは、特別会計の構想であったのであります。
  87. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) ただいまのところで三億ふえておるだけだから、北海道は二億だから、あとほとんどふえていないじゃないかというお話なんですが、この中にはこういう関係もあるのでございます。港湾の災害復旧費、それから災害関連事業費、これは災害があったものに対して計上する予算でありますが、これが三十二年度には二十八億ばかりあった。それが三十三年度は、もうできてきておりますので、相当減って参りまして、十五億ばかりはそこでふえてございます。そういう意味で港湾修築としては十八億ばかりがふえておるということになるわけでございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 私これでやめます。そういう資料を、これはできるだけ整備して出していただきまして、それとの関連でなおあらためてやりたいと思いますが、とにかく、事務当局や大臣はそう考えられるでしょう。一応この程度予算で支障はないというふうにお考えになるでしょう。しかし、私たちは、過般当委員会から派遣されまして、港湾の主要なものでありますが、京阪の三、四港を見た。全部問題をかかえているわけですね。そういうところに手が届かないというような形の予算じゃないかと思うのです。この予算は実際問題としてこれは局長はどう考えておられるか。実際これは局長、向うへ行かれればそういうことにすぐぶつかるのです。こういう点で、ここでの説明と現地の条件というものは必ずしも一致してない。それから今まで問題にしていました防潮堤の問題、地盤沈下に関する予算の問題、新潟だけじゃございません、東京も最近問題になってきた。尼崎も見ましたが、尼崎の防潮堤はだいぶがたびしになってきておる所がある。排水の問題なんか非常に大きな問題である。同じことは大阪でも、大阪の地盤沈下の問題が起ってきておる。こういうような点から、果してそういうものをほんとうに食いとめていくことができる一体予算になっておるかどうかということは非常に疑問に思うわけです。だから、現地視察の結果とこの予算を総合して考え、現地の感覚とそれからここで論議されておる感覚というものは、相当ズレがあるという点が非常に重要な問題じゃないか、そういう点からわれわれは申したのでありますから、どうぞそういう計画資料をもらいまして、なお、時間がなくて不十分でありますから、この点は保留しておきたいと思います。
  89. 相澤重明

    ○相澤重明君 今のに関連して委員長にお伺いしておきたいのですが、港湾関係について、私も京浜港等の問題についてずいぶん質疑をしたいのですが、時間がないのでやめたのですが、これはたとえば議事進行の上で他の問題に移っても、あとでまたやるという考え方でいいですね。
  90. 天田勝正

    委員長天田勝正君) けっこうです。過日の審議で三つの問題があとへ残されまして、それもやるということになっておりますので、その前に、今御注意の点も含めて審議したいと存じます。  それで最後に、私からも二点ほど伺っておきますが、私奇異の感を抱いておりますのは、これは船舶局の関係ですが、沿岸航路船舶の問題、これは南海丸の調査その他今まで沿岸航路が打ち続いて海難事故が起るということに関連して、各委員からも御注意があったわけですが、どだい今の検査基準そのものが誤まっておるのではないか、あるいは予算が足りなくて検査に疎漏が自然に出るのではなかろうか。ところが、船舶局の予算を見ると、あべこべに減っておる。このことは過日の注意ばかりでなく、今までの海難事故のたびごと、おそらく各委員から御注意のあった点であろうと思うのだが、しかるにあべこべに、説明だけは検査を徹底させるなどと書いておきながら、事実は予算は減っておる。一体この点はどうなんですか。  それからもう一つ、ついでですが、本委員会で実態調査が十分できておらないのは、何としても離島航路関係だと思います。来てくれと言われても予算関係上行かれない。私どもが昨年北海道へ参っても、全く離島に関係のない人すらたまたま行ってみて、実にひどいものであります、ぜひ一つ足を伸ばしてもらいたいという要請があったくらいなんです。しかし、これに予算関係等で行けないから、私ども十分実地について知ることを得ないわけですけれども、ところが、この予算を見ますというと、どうも一向離島関係について力を入れられていない。たとえば、この海運局の関係航路補助金にいたしましても、一向にふえていないであべこべに減っている。それから利子補給金でも限度額だけは毎年相当組まれておるけれども、これも漸減されつつある。そうして限度額が漸減されるのみならず、今度は実行予算でおそろしく締めている。限度額があっても予算では締めて、まるで比較にならない額になってきて、さらに実行予算で減るから、決算という面に現われたのではさらにそれよりも減る。これでは離島航路の振興を、中村運輸大臣の、日の当らない面に私は日を当てるように努力をいたします、という、就任当初のお言葉と全く逆じゃないか。同時に、港湾局の関係では、離島振興対策費なるものがここに掲げてありますけれども、港湾だけを直すとするならば、これはびっこになりはせぬか、この点どうですか。局にすれば三局にまたがることを一ぺんに質問したのですが、お答えを願いたい。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 そのお答えをしてもらうその前に、委員がいなくなると因るのですが、この前私は官房長に運輸省の職員の給与問題のことを質問しておいたのですが、まあ答弁としてはきわめておざなりの答弁だったのですが、御承知のように、最低賃金法が国会に提案をせられておる。これらの問題について、本委員会でも社会労働委員会との連合審査をすることを一応きめておいてもらって、その取扱いについては、委員長に御一任いたしたい、こういうふうにしたいのですが、ほかの委員に……。
  92. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 実は質問質問にして、そのことをメモに書いて、質問あとすぐこれをしたいと思ってメモに書いてありますから……。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは委員長に御一任しますよ。
  94. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 船舶検査の基準の問題につきましては、ただいま南海丸の問題につきまして厳重な再検査をいたしております。海難の原因はいろいろあると思いまするが、そのうちに海難審判庁の方から決定的な海難に対する原因その他が判明すると思います。しかし、私どもその結果を待たずに船の方でできるだけの調査をいたしまして、もし将来荒い航路につきまして、船の基準をさらに上げなければならないという見解に達しましたときには、当然その基準を引き上げるように努力するつもりであります。  それから検査の……。
  95. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 予算のことを聞いているから、予算に関連して。
  96. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) それから検査の問題でございまするが、検査の旅費の減っておりますのは、大蔵省の今度の予算の査定の方針としました一般的な庁費、旅費の削減という定めをそのまま受けておるわけでありまして、この削減がなければ昨年度と大体同じような金額になったはずであります。検査につきましては、船がふえますのにもかかわりませず、検査に従事します人員の増加がなかなか実現いたしません。その点、私ども強く責任を感じておるわけでありまするけれども、現在の大蔵省との折衝におきまして、なかなか人員の増加が期待できませんので、私どもとしましては、検査の事項のよりよき合理化ということを、今検査官の方でいろいろ検討を加えておる次第であります。検査関係の費用の削減につきましては、そういうような事情でございます。
  97. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 離島航路港湾関係は。
  98. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 利子補給は、お話通り一般補助金整理で削減を見たわけでございますが、内容につきましては、当該航路では赤字を出しておっても、会社といたしましては、ほかの航路、あるいは兼営等で利益を出して、あるいは配当をしているというようなところも現在まではございましたが、大蔵省とも話し合いをいたしまして、そういう点はぜひ、利益を出しているような会社については若干の削減をしても、実際にはどうしても維持しなければならぬ航路で赤字が出ている、こういうふうな航路へ重点的に回わそうというような方法考えたいと思っております。  それから同じく離島航路の点につきましては、監査旅費等は本年は若干増額を見まして、実際の、実地監査を励行いたしたいと思います。なお、一番の問題といたしましては、現在の離島航路の就航船舶が老朽になっておるという点でございまして、この点は船舶の保有会社等について、もう少し計画的にやっていきたいということで予算要求をいたしたのでございますが、残念ながら来年度予算成立いたしませんでした。従いまして、その点につきましては、今までのように開発銀行の資金で何とか今年も建造をやってもらう、こういうふうに努力いたすつもりでございます。  なお、運輸会社等の関係につきましても、今年は残念ながら日の目を見ませんでしたが、引き続き大蔵省とも折衝いたしまして、近い将来ぜひ実現いたしたいと、こういうふうに考えております。
  99. 天田勝正

    委員長天田勝正君) もうおしまいにすることにして、注意だけ申し上げておきますが、船舶局の関係では、これは海難事故のたびごとに、本委員会において各委員から注意を喚起されているところなんですよ。ですから、必ずしも検査基準を上げろということを言ってるのじゃなくて、あまりに沿岸航路ばかりに海難事故が多過ぎるんじゃないか。それには根本的な基準もいささか甘いんじゃないかという問題と、今、現在の検査でも予算が足らなくて疎漏があるのじゃないか、疎漏なしで検査すれば、そういう不備な点が発見できるんではないか、こういうふうに言ってるのであって、南海丸の審判の結果を見たら云々というのでなく、現実に海難ができて、あの通り人が死んでいるから、そういうことじゃ困るということが各委員の気持なんですからね。  それから今の海運局長の話だけれども、他の路線でもうかっているから云々というようなのは、まだ日の当る方なんですよ、伊豆七島の関係みたいなところで。ところが、ここにおられる柴谷委員と行った北海道の場合には、他の航路なんか持っていやしない。だから、その危険を防ぐためにのべつ欠航するということなんです、そうすると、離島の住民というものはえらい不自由をする、それを言っているのです。それを日の当る方の航路のことを持ち出してきて言っても答弁になりません。まあ言うだけにしておきます。  そこで、さっき相澤委員からも言われましたが、実は他の委員からも御注意がございまして、今日は時間がないから、船員局の最低賃金の問題には入らない。しかし、これは当然に運輸、労働両委員会にまたがることでありますし、まあ労働委員会の方で今審議をいたしておりますけれども、これに関連して、船員の最賃については、やはり当然連合審査をしなければならないと思っておりますから、そういう機会には十分答弁ができるように政府当局において御用意を願いたい。以上申し上げておきます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  100. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて下さい。  それでは船員の最低賃金の関係につきましては、予算の問題を一応了した後に本委員会においてもこれを審議し、さらにまた、最低賃金法全般につきましては、適当な機会に社会労働委員会に合同審査を申し入れる、かようにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではこの扱いにつきましては、委員長におまかせ願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではさよう決定いたします。  午後二時再開いたしたいと存じます。休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時三十二分開会
  103. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 午前に引き続き再開いたします。  昭和三十三年度運輸省関係予算に関する件を議題といたします。  気象庁関係、海上保安庁関係高等海難審判庁、運輸技術研究所等に対し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  104. 相澤重明

    ○相澤重明君 海上保安庁に一つお尋ねをしたいのですが……。
  105. 天田勝正

    委員長天田勝正君) お断わりいたしますが、島居長官はただいま文教委員会の方へ出席しておられまして、すぐ参ります。ただいまは、申し上げますと、海上保安庁の関係は次長の安西君、気象庁は和達長官、太田次長ともに見えられておりますし、高等海難審判庁長官の長屋君、運輸技術研究所長の中田君等が見えられております。
  106. 相澤重明

    ○相澤重明君 気象庁に一つお尋ねをしたいと思うのですが、この中の重要所管事項という説明が出されておるわけですが、特に、私は茨城県のあそこの観測所の問題について一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、この前、私ども本院の現地調査に参りまして、現地をいろいろ視察さしていただいたわけですが、その際に非常に運輸省予算が少くて思うように、どうも国際観測に協力をする上に、国際観測の面では非常に優秀な地位にあるようでありますが、気象庁なり、あるいはその他の問題にしても、業者関係からも相当寄付をしてもらわないと、率直にいって、国内のこれらの関心を持っておる人たちの応援がなければ、予算も満足に使えないというような話をちょっと聞いて、そのことをわれわれは現地調査の結果として御報告をしておいたのですが、そういう点について、どの程度まで国際観測年等の問題についても、今後気象庁なり、あるいは関係の方々は努力をするのか、これは一つ一番しまいの八の方に、国際地球観測年における協力業務ということについて、少し文章は載っておるようでありますが、その点、一つ御説明をいただきたいと思うのですが。
  107. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいま御質問の茨城県には、柿岡の地磁気観測所がございます。また、館野には高層気象台がございます。この双方に関してだと思います。双方とも地球観測年に重大な役割を持っておる観測所でございます。国際地球観測年に関しましては、文部省を通しまして約一億三千万円が気象庁の方に充てられるようになっております。もちろん、これをもって十分と申すわけではございませんが、一通りの国際的に恥かしくない観測はこの両所において行われると思っております。
  108. 相澤重明

    ○相澤重明君 たとえば一つの例で、茨城の地磁気観測所の構内等の問題ですね、隣りの東大の研究所なり、あるいはそういう土地の購入をされているところもあるのですが、あそこの構内を見ると、非常によくはできておりますが、まだ十分な実は観測、あるいはそういう業務を行うに必要な用地というものがとれておらぬ、現地の人の意見を聞くと、所長の意見にしても、何とか、どうしても予算がなければ貸してもらって、骨折ってもらいたいというようなことも言っておるし、できるならば国家的に、日本世界的には相当この問題では水準が上っているのです。各国からも期待を持たれているにもかかわらず、予算の削減ということで思うようにいかぬ、あるいはまた、そういったことができないというふうなことを言われているのですが、たとえば、今の地磁気観測所の問題について、そういう点について、どういう計画を持っているか、お答えいただきたいと思うのです。
  109. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまのお話は、柿岡の地磁気観測所のことでございますが、わが国における地磁気観測は、柿岡の地磁気観測所が中心となりまして業務をいたしておりまして、世界でも名のあるりっぱな仕事をしておる観測所であります。これに対しまして気象庁としましては、数年来気象庁としてできるだけの予算を、柿岡地磁気観測所に振り向けることができるように努力いたしまして、世界でもあまり数のない標準磁気儀というものも昨年完成いたしました。極力装備をいたしておりますのですが、気象庁としては、できるだけのことをいたしておりますが、何分気象庁全体の窮屈のために、地磁気観測所も窮屈をいたしておると存じております。
  110. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の長官お話では、長官としてはできるだけ努力しておるかもしれぬけれども、実際には、現地の職員の立場から見ると、思うように、学問的にもあるいはまた気象関係立場からいっても、機械設備といっても、ようやく二基ですか、できましたけれども、これも実際にまだほしいものがあるわけですね、あるいは天体観測にしても、必ずしも人員の面等からいっても、これはあなたが長官としている場合と、現地の観測している人たちの立場からいうと、これはずいぶん私は隔たりがあると思う。現地の要望というものについて、私ども率直に本委員会としての派遣委員の報告として出しておいたわけですが、そういう点について、もっと私は積極的な意見というものを実はほしいわけなんです。これは何も私どもがあなた方におせじを言うのではなくて、やはり気象業務というものは、いかに重要性を持つかということは、これは運輸省関係としては前回にもいろいろお話があったように、たとえば南海丸の問題にしろ、北川丸の問題にしろ、あらゆる今までの海の事故を見ても、あるいはまた空の問題を見ても、これは気象上に及ぼす影響というものは非常に甚大なものがあると思う。そういう点からいっても、ともすればこれは学者にまかせればいいという考え方で、とかく政治家の立場でおろそかにされるようなことがあっては私はやはりいかぬと思うのですよ。ですから学者の問題でなくて、これは国民全体に奉仕する最も重要な問題であるのだから、そういう点をあなた方自身がやはり政府部内においても積極的に進めてもらうとともに、やはり国民にもそういう点を私はもっと理解させるような実は運動というものもやっていかなければならぬ。昨年五月一日以降の国際観測について、若干新聞では取り上げてもらったけれども、これもごく一部です。世界的なあれだけの大きく関心を持たれていることにしては、むしろ国民はやはり知らな過ぎると思う。私自身が知らなかった、行ってみて初めて、なるほどなあと思わせられたくらいであり、そういうことは一にかかってあなた方のやはり実際にPRが足りないのじゃないか。いま一つは、そういう地域に勤務している、辺陬地域に勤務している人たちに対する実際の労働条件なり、あるいは生活問題について、やはり幹部の人たちの考えていることがズレがあるのじゃないか、こういうふうに思うのですよ。そういう点についても、どういうふうにしてあなた方はこれを国民によく知ってもらい、協力してもらうのか。あるいは予算関係ではそういう点について、たとえば気象庁の人員としてはどういうふうに要求をして予算定員というものはきめたか、こういうこともあわせて私は一つ答弁いただきたいと思う。
  111. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 御理解あるお言葉、御激励をありがたく思います。おっしゃっていただくこと一つ一つごもっともでありまして、私ども、さらに今後一そうのその御趣旨の努力を払いたいと思っております。なお、気象庁におきましては、社会に及ぼす影響の近年ますます大きいのにかんがみまして、できるだけの予算についても努力をいたしました結果、今年度は昨年度の約三十億を三十五億程度に増額していただくことができたのでありますが、もちろんお説のように、まだまだすみずみにまで、いろいろ整備いたすということには十分でないことを痛感しているし、なお、経常費等におきましても、それに伴う経費も今回は従来よりも若干認めております。また、営繕その他におきましても、できるだけ、今年も多少認めていただきましたので、それについて努力いたしたいと存じておる次第であります。
  112. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから定員の要求予算定員に盛り込んだ定員は幾らと聞いているのです。その御答弁漏れています。
  113. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 定員につきましては、要求は二百三十九人でございまして、本年度計上されましたのが五十八名となっております。
  114. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の問題に関連をしているのですけれども運輸省重要施策要綱というのを見てみますというと、気象業務の強化の中で、一番終りに、防災気象業務の整備ということがあって、水害の防止云々となっているのですけれども、これは最近において気象庁に対するところの国民からの要求というものが非常に具体的になり、また、各方面から万般にわたって要求がきていると思うのです。たとえば農業災害の問題とか、港湾の関係とかというようなものはたくさん来ていると思う。で、そういうものに対しまして、幸いにして重要施策ということの中に入っているのですけれども、結局は、予算を見てみますというと、定員の増が十名、常勤職員が二十名ということになって、重要施策ということについては、それに必要な人員と予算というものがこれに伴っていないというような気がするのですけれども、これでどうでしょうか、長官として、重要施策でこういう国民的な要望にこたえるんだということが重要施策になっているのですけれども、この定員と、この人員と予算でできるかどうか、これが問題だと思うのです。これはどうでしょう。
  115. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 今年度はこれをもって最善を尽すと申し上げるわけであります。
  116. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうなればそれだけで終りでありますけれども、今お話を聞いてみますというと、その他の定員の問題も含んで二百三十九名を要求していると言われるのですけれども、私が方々から聞いたり何かしますというと、大体一千名から千五百名くらいの人員が足らぬのじゃないか、こういうことを言われているのです、気象庁全体として。いわゆる国民的な気象サービスという面において、それを完全にやろうと思うと千名から千五百名足らぬ。むろん、それを全部埋め合わすことができないにしても、要求人員二百三十九名はあまりにも少いのじゃないか。あるいは気象庁の方は、伝統的にみんなほしいのだけれども、そうはいかぬからといって非常に遠慮深いのかもしれませんけれども、しかし、大体自分が気象庁長官になって、責任をもってこの仕事をやっていこうというには、責任ある要求をしていいと私は思う。千人要ったら千人要求する、千五百人要ったら千五百人要求する、その要求が削られたらやむを得ませんけれども、そういう中で遠慮して二百三十九名しか要求してないというのは、これは少し消極的過ぎやしないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
  117. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほど申しました要求人員二百何がしは新規業務のものでございます。仰せのように、気象庁の仕事が、どこまでサービスしてやるかということは、能力次第でございます。いろいろ災害が起りますとき問題になるのは、もっと親切に気象庁の業務が浸透するようにどうしてしないかというお話が多いのでありまして、そういう面に関しては、従来の予算の立て方ではほとんど計上されておらないのであります。今後この業務がより効果的になるために、そういうサービスという面についても、国家的に行い得るようにわれわれ最善の努力をいたしたいと思っております。
  118. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣一つお伺いしたいのですけれども、大体気象業務というのは非常にじみな業務でありまして、いわゆる橋を作ったり、鉄道を敷いたりするのと違って、金をかけてもすぐに効果が出るものではないのであります。でありますから、従来ともすれば気象業務に対しては非常に予算面においても渋い予算を組まれておって、要求予算からほとんどを削られて関心が薄いという面があったのですけれども、最近の南海丸あるいはその他の従来の災害等を見ましても、さらに気象の予報制度がもっとよかったら、あるいは予報の速度がもっと迅速であったら、予報がこうであったらということを、しょっちゅうそのたびに言われているにもかかわらず、気象庁の予算というものは案外考えられてない、こういうことなんですね。そこで、今の損害とか何とかというお話があったのですけれども、船を一ぱいぽかっと沈めたり、一つの大きな災害があった場合には、非常に大きな国家的な損害を招くのであって、そういう面からしても気象庁というものに対する関心というものは、政府としてはもっと突っ込んだ関心を持たなければならぬと考えておりますが、大臣としては、気象業務に対する御認識と今度の予算編成に対してどういう御方針でもって大蔵省と折衝されたのであるか、それについてお話を伺いたい。
  119. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は運輸相に就任いたしまして気象庁本庁、それから中央気象台を見て回りました。仰せ通り欠陥があるのでございまして、しかも、これはじみな仕事で、あまりに世間的にも認められない、ほんとうの縁の下の力持ちの仕事をしておられるということを私は痛切に感じまして、そこで、気象庁の予算につきましては、要求は相当してあるのです。もっとも、本庁の庁舎が非常に悪いのでございますから、これらの改善要求したのですけれども、不幸にしてあるいはまた私どもの無力にして目的を達せられなかったのでありますから、ああいう重要な機械を持っている場所でございますから、これはやはり鉄筋コンクリートにしてやらなければならないということが私の主張だったのですが、しかし、今回の予算におきまして、理想は別といたしまして、結果的には予報制度の向上といったようなレーダーとか、あるいはロボット雨量計というようなものに、これはことに北海道において主として重点を置いたのでございますが、これで多少私は目的は達せられる、しかし、もとより理想じゃございませんが、目的を達せられたものもあると思います。それから地方によりまして宿舎が非常に悪い、たとえば神戸あたり、まだあれは全く、私いつも申しましたように、戦災のあのままになっている、ああいうような一番ひどい所を一つ建て直していくということは目的を達せられました。そういうわけでございまして、私は、仰せのように十分とは申されませんけれども、この気象庁の予算につきましては、相当私は目的の一部は達せられたと思うのであります。  それから何か今の気象の問題でございますけれども、これはやはり気象の伝達というようなことにつきましても、大いに私は、もっと迅速にやるという必要もあるのみならず、これは今研究さしておりまするが、たとえば、あの南海丸でもあれは陸上における風速と、それからあの潮岬ですか、ああいうところの沖に起ったところの突風と申しますか、うねりというもの、これが、いわゆる海象をキャッチすることがまだ私は足らなかったと思います。そうでございますから、かりに観測所がございましても、平地に置かれる観測所の観測と、それから海のその中に一つ何か設備をして、あの辺の特異な海象を知り得るということに欠けておったのではないかと、私はこの間いろいろ報告を受けまして承知をいたしたのでありますが、あとでそんなことを承知してけしからぬと仰せられたら、私は言いようもございませんけれども、そういう点にまだ欠けておる点があると思いますので、対策といたしまして、具体的にこれは将来法律で改むべき点があれば改める、あるいは施設で増加しなければならぬ点は将来私は期しておる次第でありまして、気象庁の問題につきましては、私も相当熱意をもってやったつもりでありますが、事多少志と違っておる点もございますが、予報制度の向上という点につきましては、私は幾分か改善ができたと信じておるのであります。
  120. 大倉精一

    ○大倉精一君 予算関係大臣も御承知だと思いますが、あしたは大蔵大臣がおいでになりますから、大蔵大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、今の御答弁でありますと、満足はできないが、大体これでやっていける、こういうようなお話であります。私はまた逆に旧態依然として一向気象庁は前進されていない、こう思っております。今のお話のように北海道はどうだ、あっちはどうだとおっしゃるのですが、気象なんというものは、これは広い空を相手にするものであって、ここの入口をふさいだらこっちから入ってこないというものではない、気象なんというものは。その辺が私は少し認識が違うのではないかというような気もするのですが、それでまたいろいろお話があったように、二、三のことを一つ長官にもお伺いしたいと思うのですが、たとえば海洋観測の問題を一つ取り上げてみましても、今度長崎と舞鶴に海洋観測のいろいろな船を配置するという問題があったのですね。ところが、長崎はその要求を削られた。わずか三百トンとかの小さな船であったけれども、削られてしまった、あそこで海洋観測ができなくなった。あるいは舞鶴では非常にちっぽけなぼろ船が海洋観測に従事しておる、当然これは舞鶴にしても、ぼろ船では海洋観測はできませんから、予算を計上しなければならぬけれども、気象庁の方では遠慮なさって予算を計上していない。今度長崎の方は全部削られておる。一体これでもって東シナ海や日本海の海洋観測をどうやって観測するのですか。大臣は北海道をやったというが、わずかな船の予算を削られてしまっている、どうやってこの方面の海洋観測はするのですか。
  121. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せのように、今年海洋観測船を要求いたしましたが、残念ながら計上されませんでした。さらに今後最善の努力をいたしたいと思っておりますが、今年は、持っております中央あるいは神戸海洋気象台の船を活用すること、並びに漁船その他と協力しまして、できるだけのことをしたいと思っております。
  122. 大倉精一

    ○大倉精一君 長崎の三百トンくらいなものを作るとどれくらいのお金が要るのですか。
  123. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 建造費約一億円です。
  124. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣、これはどうでしょう、わずか一億円くらいのものでありますけれども、たびたび、差しつかえないということですが、これがないとそれはいろいろな方法で苦心してやられるでしょうけれども、決して完全な海洋観測はできませんね。でありますから、北海道をふさいでもこっちはあいています、こういうような問題があるので、今度予算が大体やられたというようにおっしゃっておるが、私はやれないと思う。こういうような問題を特に長官、もう一ぺんお伺いするのですが、舞鶴ではこれはこの船でやれるのですか。なぜこれは予算要求しなかったのですか。
  125. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 全く仰せ通りでありますが、長崎一本やりにして、まずこれからやろうというのが一つでございます。他に申せば、全般的の予報制度の向上ということで、外国においても最先端を切る数値予報の採用、無線放送の整備拡充、これに最重点を置きました関係も多少あります。
  126. 大倉精一

    ○大倉精一君 数値予報の関係あとで伺いたいと思うのですが、そのほかに、あなたは地震の専門家であるのでございますが、全国の地震計、いつか私はお伺いしたことがありますが、だいぶ古いのですね、精度が。九州の宮崎の方に行くと、機械がなくて、すすを塗らなければ使えないというようなことで、何かその方が非常に事故を起してけがしたことがあるのですが、全国的に非常に精度の低い、非常に悪い地震計が全国的に配置されてある。これは、日本は有数な地震国ですが、これに関する予算がほとんど計上されておらない。これは幾ら要求されたのですか。
  127. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 地震観測網の整備につきましては、本年最後まで努力いたしまして、とうとう最後に成立いたしませんでした。来年こそはと期しておるのでございます。約六千万円でございます。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 それから、これは削られてしまったんですから、今ここでとやかく言ってもしようがないが、これは六千万円という金ですね、これでも私は十分じゃないと思うんですけれども日本の今の地震計の現状におきまして、この地震観測について、私は非常に不十分だと思う。非常に不安だと思う。さらにこれは強化しなければならぬと思うのですが、長官のお考えをこの点一つ率直に聞かしてもらいたいと思う。
  129. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) おっしゃる通り、当然、地震国の地震観測設備としては、関東大震以来あまり手を加えない設備というものは、非常に外国に対しても恥かしいと思っておりました。毎年思っておりました。どうしても本年この整備をいたそうと思って最後まで努力いたした次第でございますが、まことに残念ながら、地震は非常にときたま起るものでありまして、気象の方は、毎年々々来る災害でありますので、気象に重点を置かざるを得なくなりました。来年こそ地震観測の整備をいたすつもりでございます。
  130. 大倉精一

    ○大倉精一君 運輸大臣、どうでしょうね、あなたが予算の折衝をなさるときに、地震計の問題についても関心と注意を持っておられたかどうか、全然これは御存じなかったですか。
  131. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も、これは長官から聞いておりました。全然無関心ではなかったのでございまするが、遺憾ながら計上されなかったのでございまするが、私も、長官の切なる要求は存じておったことは、申し上げるまでもないことでございます。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 歴代大臣は、事気象に関するというと、十分重大なる関心をもってということは必ずおっしゃる。おっしゃるけれども、一向に実は上っていない。わずか六千万円ぐらいのものが放置されて、今気象庁長官おっしゃったように、世界に恥かしいような地震国の設備よりない、まことに私は恥かしいと思いますから、十分これは肝に銘じておいてもらいたい。なお、農業気象関係でもそうでありますけれども、これは全部削られておりますけれども、何か農林省との関係はあるんですか。
  133. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 農業気象に関しましては、もちろん農林省と密接なる関係を持たなければ効果が上らない次第でございます。すでに数回の打ち合せを行いまして予算要求をいたしたのでございますが、不幸にして本年は成立いたしませんでした。しかし、今気象審議会におきまして、あらためて農業気象というものについてその方面の権威者をまじえて成案を作っておりまして、来年度は、農業関係すべてを含めました成案をもって予算の折衝に臨みたいと思っております。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣から、先ほど南海丸に関連して、あそこの研究が足りなかった、もっとあそこを調査研究する余地があったんじゃないかというようなお話があったんですけれども、そういうようなお考えの中で、本年度予算において、いわゆる気象庁関係の研究に関する費用ですね、これは一体どういうことになっておるか。何か技術関係が各省ともに三割ぐらい削られておるということを聞いておるんですけれども、気象庁もやっぱり削られておる。何か聞くところによるというと、ロボット雨量計あたりを見回っていくについても、ほとんど予算も計上されていないし、何か十八人か二十人ぐらいおるそうでありますけれども年間わずか六万円しか計上されていない。ロボット雨量計の見回りに行けないという情勢もあることを聞いておる。あるいは研究費にいたしましても、非常に少いものでございますから、気象関係材料、そういうものさえ購入することができないという、研究費が非常に貧弱であるということを聞いておりますけれども、これは長官、どうでしょう、そういう場合に必要な研究費というものはあるんですか。全然、そういう必要な気象資材までも購入できないとか、あるいは、ロボット雨量計を見回る旅費さえない、そういうのが事実なのか、あるいは、そうじゃなくて、十分ではないがそういうものがあるのかどうか、どうなんです。
  135. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) まず、 ロボット雨量計のことでありますが、確かに二、三年前までは非常に困窮しておる状態で、見回りもほとんどできませんでございましたが、近年になりまして、多少見回りする旅費も見ていただけることになりました。もちろん、もとが不十分でございましたので、いまだに不便をいたしておりますが、一応見回りを最小限の程度はできるようになりました。  なお、気象研究所のことでございますが、本年は二千九百万円に査定を受けております。この気象研究所は、軍の施設を譲り受けて戦後新しく発足したものでございまして、当初のスタートが新設の経費なしに出たものでありますので、現在地の研究所に比べて非常に貧弱なものでございまして、二、三年前からやっと今日の程度の額を査定されるようになりまして、われわれとしましては、スタートの貧弱なことを見ていただいてもう少しと思っておりますが、まあ現在におきましては前よりも多少よくなっております。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも気象庁長官、非常に謙遜されておるのですけれども、これはもう気象台が気象庁になったのですから、学者であると同時に、やはり必要な予算を取るという気魄も持ってもらわないというと、日本の気象業務は向上しないと私は思うのですが、何も遠慮することは要らぬと思う。必要なものはこれだけ要るんだといってどんどん精力的な折衝をしないというと、なかなか大蔵省なんというものはくれません。ですから、幾らもらって十分とはいかぬが、予算が満足だなんて言っておるけれども、来年の要求も、お前そんなことを言っても、国会において満足と言ったじゃないかというようなことを言って、もらえなくなりますから、遠慮なくこれじゃいかぬのだということをこういう機会に言ってもらわないというと、われわれもしょせんはしろうとですから、責任ある長官からそういうことを言ってもらいたいと思う。さっき数値予報の話があったのですけれども、これなんかも、もう二年も三年も前から電子計算の数値予報はどうしたと言っておった。いや、技術陣がどうやらこうやら、予算がどうやらこうやらといってさっぱりニュースがなかった。特に、時の運輸大臣は、石井さんあたりは、数値予報なんて今初めて聞きましたと言って、メモ見せて下さいというような程度の認識だった。それをやっとアメリカから何か借りるようになったんですね。買わない、借りるのですね。こういう予算にやっとなって、おそまきながらけっこうだと私は思うのでありますけれども、そこで、これに関連してお伺いをしなければならぬのですが、その前に、この数値予報は一体いつから動き出すのですか、実際役に立つのか。
  137. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 機械の入りますのが来年の二月末ということになっております。それで整備をいたしましてできるだけ早く実行に移していきたいと思っております。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで、これに関連いたしまして、私は前から非常に大きな関心を持っておった北方の定点観測の問題なんですけれども、これは第一回は三十七億の予算が計上され、第二回は十八億幾らの予算が計上され、昨年は八億余の予算が計上されておった。ところが、今年は何も計上されていない。これは要らぬのかということなんですね。私のしろうと考えでは、数値予報をやろうと思うと、逆に北方定点がなければ、数値予報の高い機械を借りてやっても、非常に穴があいて困るのじゃないか、こう思う。数値予報をこれからやろうとする、高い機械をこれから借りてやろうとすると、その中で逆に北方定点というのが私必要になってくると思うのですが、今度は、今年に限って北方定点の予算を計上されていない。これはどういうことになっておるのか、一つ長官のお考えを承わりたい。
  139. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せのように、数値予報に対して北方定点の重要性は増しておりまして、ぜひ私どもも持ちたいと思う次第であります。ところで、近年の災害がしきりに起るこの防災業務をとりあえず先へやって、そうして非常にお金のかかる北方定点は一時あとに回さざるを得なくなったという状態になったのがほんとうのところであります。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 多分そういう御答弁だろうと思っておったんです。(笑声)非常にお金がかかるといって、いったいどのくらいかかるのですか。
  141. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 定点観測で一番お金のかかる部分は船を作ることでございまして、二千トン級三隻を作るのに二十数億円かかるのであります。これは現在の気象庁としては、あまりにも大きな金でございます。
  142. 大倉精一

    ○大倉精一君 三隻一ぺんに作ればそうなんですけれども、三隻一ぺんに作らないでも、去年は八億でよかった。あなたの方もそれで予算を計上された、計上でなくって要求をした。三隻一ぺんに作らなくとも逐次作っていくということになれば、そんなに一ぺんにお金を出さなくともいいと思うのです。飛行機を買うより安いのですからね。その辺の出費の関係はどうなりますか。
  143. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) この予算は一挙にやろうとして要求したことは事実なんですけれども、できなかったのですが、しかし、やる場合にはやはり一挙にやった方が私はいいと思っておるのですが、しかし、一挙にしてできなかったので、はなはだ相済まぬわけなんです。
  144. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこが大臣認識不足で、あなたは一挙に一挙にと言うけれどもほんとう日本の気象業務を一挙にやればとんでもないお金が要る。私は一挙にはいけないと思うのです。あなたが言ったように、数値予報というものをこれから始めるのだが、高い機械を買う——これは買うのでなくして借りるので高いお金が要る。この高いお金を出して数値予報をやるには、これを実際効果あらしめるためには、北方定点をやるということなのです。北方定点が、これがなかったら、この高い金を出して数値予報をやるその効果が半分になってしまう。これは専門家等が言っているわけなのです。それをどうして、たとえば運輸省の省議でもって定点観測をやるということを取り上げなかったと聞いているのですけれども、片一方で数値予報をやって、高いお金を出して機械を借りる、そのために必要度の増したところの北方定点観測の予算というものは計上されるどころか、省議に乗せない、これは長官が悪いのか、大臣が悪いのか、どっちが悪いのですか。まるで気象業務がちぐはぐじゃないですか。それもわずか七億、わずかじゃないかもしれないけれども、それだけやれば画龍点睛、いよいよその気象業務に精度を増すという、そういう七億、八億なんですから、これは当然使うべきだと思うのです。七億、八億を節約するために、今の数値予報というものは効果が半減してしまう。これは全くどうも国家の金の、死に金を使うというものなんですが、一体大臣、今からでもおそくないから、船を一隻作りませんか。
  145. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今からどうということは私も自信がございませんが、しかし、現在の数値予報の借料でまあ間に合わしてもらいたいと言って私どももこの予算は承認したわけなんでございますが、これは学問的にいって、北方定点といいますか、それと関係があるということでございますけれども、数値予報というものも必要であるということは気象庁長官も申し上げましたが、電子計算機ですか、これの借料は予算に取ったわけなのです。ここまでいったらある程度ましだと、一つおぼしめし願いたいと思うのですが……。
  146. 大倉精一

    ○大倉精一君 何か大臣は、初めは非常に関心を持っておやりになるということを申されたのですけれども、やはり全部御存じなくてはこれはむずかしいと思うのですけれども、こういうような新しいものを取り入れた場合に、数値予報というものは画期的なものです。これも必要だとおっしゃいますが、これは必要なのです。ぜひこれは今の気象業務にはなくてはならない近代的な重要なものなんですけれども、こういう新しいものを取り入れるという場合には、これに関連したいろいろなものについてやっぱり関心を持たれて、そうか、それじゃ北方定点が要る、これの船を一隻作ろうじゃないか、三隻は無理だから一隻作ろうじゃないか、たとえ大蔵省から削られても、なぜこれだけの予算を計上しなかったか、長官、気象庁として運輸省の方に予算要求したのですか。
  147. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 本年は予算を出しませんでした。
  148. 大倉精一

    ○大倉精一君 それはけしからぬと思う。遠慮もほどほどです、実際要るものを。削られてもいいんだから、出すべきですよ。今年ブランクにして、来年出したらどうなります。聞くところによると、今のお話によりますと、来年は数値予報の機械が入ってくる、そうしていよいよ数値予報が始まる、これから船を一ぱい作ろうか——出してみても大蔵省、うんと言いますまい、中一年あけたんだから。だからこういう予算はやはり計上して、そうして気象業務というものの精度を向上する、こういうことを長官みずから一つ先頭に立って旗を振ってもらわぬと、私は、しろうとにはわかりにくいことなんで、大臣お困りだろうと思うんで、これは一つ気象庁は定点観測の問題については、さらにもっと積極的におやりになった方がいいと思いますが、これはあす大蔵大臣がお見えになりますから、この点については伺いたいと思うのです。  次に、ちょっとお伺いしておきたいことは、先ほども相澤君がちょっと触れましたけれども、南極の観測の問題なんですけれども、これも、これはいろいろ新聞とか、あるいはその他の書き物の上で見ますると、気象庁の気象に関するいろいろな進言なり意見というものが必ずしも取り上げられていないということをわれわれは聞いているのですけれども、気象庁のそういう気象に関する意見というものは十分取り上げられて、採用されておったかどうか、これは一つ率直にお尋ねをいたしたい。
  149. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私は統合推進本部のメンバーの一人でございまして、常に気象に関しての意見を徴されておりまして、十分取り上げられております。そういうことが取り上げられなかったというようなことは間違いでございます。
  150. 大倉精一

    ○大倉精一君 もっともここでは、いろいろ問題があり事情もあると思いますが、たとえばこういう話はあったかどうか、南極というところは非常にむずかしい人跡未踏の地であるからして、南極へ行くならば、南極へ行ったことのある人を連れると非常にいいというような話があったように聞いているのです。それがちょうどアメリカの何とかいう人が南極探検の体験がある、ケープタウンから向うに行くのだという非常に格好の人が出てきたらしいのですが、これも何か海上保安庁の方に反対されて、南極に連れていくことができなかったという話があるように聞いております。それは事実かどうか。
  151. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 海上保安庁とは緊密な連絡をいたしまして、そういうことは私は絶対ないと思います。
  152. 大倉精一

    ○大倉精一君 海上保安庁の方、おいでになりましたら、ちょっとお伺いしたい。
  153. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 安西次長が見えております。
  154. 安西正道

    政府委員(安西正道君) あの南極の観測の計画が起りまして、それからそういう話があったことはございます。ただ、予備観測の際におきましては、すでにもうそういう人を頼むとしても時期おくれであるという問題もございましたし、また、関係者が慎重にいろいろ考えたのでございますが、あの経験者というのは、あのプリンス・ハラルド海岸のああいった方面についての経験者じゃないというような問題もございますし、また、何分にいたしましても、多数の人たちが参る関係上、船内におけるみんなの和といいますか、そういったような問題もございまして、慎重に考慮した結果、あえてお願いしないということになったように聞いております。
  155. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私は別に証拠をつかんで、あるいは事実をつかんでお尋ねをしているわけじゃないのですから、あなた方の答弁を信ずるよりほかないのですが、もしそういう人があったとするならば、今度日本の観測隊が行く海岸には行ったことがないかもしれませんけれども、しかし、南極という特異な気象状態なり、あるいは海洋の状態なりについては、一回行ったことがあるという人は非常にとうとい体験者じゃないかと思うのです。そういう人を連れていっておったら、あるいはもう少し何とか現地において打開できたのじゃないか、あるいはさらに工合よくいったのではないか、こういう工合にわれわれしろうとは考えるわけです。あなたの見解では、あのときにはああいう人は連れていく必要はなかった、われわれ南極に行ったことがない日本人だけで十分だ、こういう判断のもとに連れていかなかった、こういうことなんですね。
  156. 安西正道

    政府委員(安西正道君) あの場合におきましては、ことに気象庁長官もおられますが、関係者が非常に南極の気象資料等についても、事前に相当勉強して参っております。それからまた、海上保安庁からも宗谷の船長を捕鯨船に乗せまして、一年ばかり予備観測の始まる前の冬に南極へ派遣いたしております。そういうような関係で、いろいろわれわれの手でできる最善のことはいたしたはずでございますが、何分にもやはりああいう観測というような大事業であり、また危険性も伴います。あの時には時間もないので、そういうお願いもしなかったことは事実でございまするが、それよりも、やはり機宜の処置を適切にとり得るということにおきましては、やはり気心の合った人たちが行くことがむしろよかったのではないか、そういうように考えております。
  157. 大倉精一

    ○大倉精一君 さらに、南極観測に関する東京の統合本部ですか、何かあるのだそうでありまするけれども、何か、聞くところによると、指揮系統ですか、命令系統というものが、どうも必ずしも理想的にはいっていなかったという話も聞いておるんです。それで、あの本部長は松永文部大臣だと思うのですけれども、文部大臣はあの統合観測本部あたりにはしょっちゅう出ておりましょうか。
  158. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 重要な指令を出す場合におきましては、文部大臣に御出席をいただいておりました。
  159. 大倉精一

    ○大倉精一君 先ほども、船内の人の和ということが大事だというお話があったのですけれども、これは確かだと思います。非常な場所で生命をかけた仕事をやるという場合においては、何をおいても人の和ということが大事なんですけれども、これも私も確かな証拠があるわけじゃありませんけれども、たとえば、アメリカの船に救済を頼む場合におきましても、全然永田隊長は知らなかった、船員も知らなかった、ただ、船長と、そうして海上保安庁の方と連絡をされて、そうしてアメリカの船が助けに来るということなんです。それを聞かされて、永田隊長以下はあぜんとしたということなんです。永田隊長以下は、帰りがけにこういう目にあった場合に、外国船の助けを頼むというような考慮のもとに、大体自力脱出という決意をして、そうして、見通しも立てて努力をしておられたところへ、突然アメリカの船が来るということになって、何かちぐはぐな状態が起ったという話を聞いておるのですが、そういう事実があったのでしょうか。
  160. 安西正道

    政府委員(安西正道君) いろいろ、その点につきましては、新聞等にも現地の報道班員の記事であるとか、そういうようないろいろのものが出ておりまして、実は非常に誤解を与えたような感じがいたしますが、あのバートン・アイランド号の応援を頼むようになりましたいきさつにつきましては、実は、早くから統合観測本部で関係者が、宗谷がビセットしてしばらくたちまして、もしこれが長期にわたるようであったら、アメリカの援助か、あるいは外国船の援助を頼む以外には手はないのじゃないだろうかというようなことも考えまして、いろいろ、外務省を通じまして、外国船の応援を頼み得るいろいろの各国の砕氷船を調査いたしておりました。しかるに、そうしてまた応援が果してできるかどうかというようなことにつきましても、いろいろ東京で検討しておったわけでございます。そういたしましたところ、ちょうど昨年援助を頼みましたソ連のオビ号もあの当時は氷にビセットされておりまして、応援、派遣できないというようなことでございまして、それ以外におきましては、アメリカの船を頼む以外にはもうないというようなことで、統合観測本部で適当な時期を実はみんなで考えておったわけでございます。もし応援を頼むといたしますと、やはり約二週間から二十日以上、アメリカの基地から応援に来てもらう関係上かかるというようなことで、その時期を誤まると非常に時期を失することになるというようなことで、早くから用意しておったわけでございます。最後にどうしても、宗谷の自力脱出の機会を考えてみますと、これはとうてい観測事業はできないだろうというようなことになりまして、そのときに実は文部省を通じまして隊長にも伝えてもらい、また海上保安庁の通信をもって船長にも伝える、で、いろいろ船長と隊長との間にも意見のそごがあったような関係のように見えますが、実はその点につきましては、われわれはあまり心配をいたしておりませんでした。と申しますのは、非常に隊長も船長も機会あるごとに一緒になりまして、東京へ、予備観測が終りまして帰って参りましたときも、船の関係者と隊の関係者は毎日のようにいろいろとほんとうにインティメートな関係で交際をいたしておりまして、われわれも非常にその面で隊とそれとの関係が割れるというようなことは一つも危惧されないような状況で出発していったわけでございます。従いまして、ああいうような記事が出たのはどういうわけであろうかといういうことを考えてみますと、おそらく私の方の通信が非常に、私の方は直通の通信を使っておりますし、また隊の方は、どうしてもこれは電波法の関係で公衆通信を使うというような関係で、多少時期のズレもございますが、また、おそらくあの氷海の中におきまして、関係者はほんとうに血みどろな努力をして働いておったんだろうと思います。そこで、あるいはその船長から隊長に伝える時間がおくれたというようなことも考えられるわけでございます。それからもう一つは、あの隊員の記事を見ますと、バートン・アイランド号をあの時期に頼みますと、今度は接岸ができたあとで、もし氷の状態が悪くなった場合に、アメリカの援助を得られないのではないかということを非常に隊員の方々は心配しておられたように思います。この点につきましては、どうしてもやはり電信で通信する関係上、東京と現地との意向がそごいたしておるわけでございまするが、われわれの気持といたしましては、ビセットを助けてから最後に宗谷が脱出するまで実は援助を得られるように了解しておりましたし、実はアメリカの大使館の方でもそういうような内諾を与えてくれておったようなわけでございまして、隊員が非常にそういう点でお互いの通信の疎通がうまくいきませんで、皆様方に御心配をかけたわけでございますが、実は結果から見ますと、ちょっとしたそこでございまして、あの当時隊長あたりに相当ショックを与えたような点につきましては、私ども遺憾に存じておりますけれども、その点については、まあ一つの行き違いであろうというふうに御了解願いたいと存ずるわけでございます。  それからまた統合観測本部の指令系統が割れたというような御意見が、いろいろ巷間にそういうように伝わっておるようでございますが、この点につきましては、実は毎日宗谷から参ります通信と、それから文部省あてに参ります通信を関係者が見まして、毎日のようにほとんど私の方と文部省、気象庁あるいは学術会議の茅会長、四者が毎日のように電話で連絡をしておった、ほんとうに緊密なくらいに実は連絡しておりまして、たとえば文部省との関係で参りますと、課長が私の方の課長に伝えて参ります、それからまた局長が同じことを私のところへ伝えて参りまするし、また次官が私のところの長官に伝えてくる、お互いにそういうように緊密にやっておりまして、実は外部にあの新聞記事でいろいろ御迷惑をかけたように考えておりますが、内情は実はそういう関係でございますので、御了解願いたいと思います。
  161. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ現地へ行っておられる人は非常な血みどろの努力をしている。何らその点につきましては心配がなかったものと十分私は信じております。そういう問題についても何かの手違いであろうということを考えておるのですが、ただ統合本部の指令が割れた、そういう意味じゃなくて、命令系統、指令系統に若干将来にわたって研究すべきものがあるのじゃないか、たとえば船を動かす権限が統合本部長にあるのかないのか、この船を動かすという権限というのですか、命令というものは、これは海上保安庁で持っておったのじゃないかと思いますが、そのことはどうでしょうか。
  162. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 船の運航につきましては、これは船員法の問題もございまして、船長が一切の責任を負うということに、まあこれは世界的にそういうふうな法令の建前になっております。従いまして、隊長の要求がございましても、これは船長が航海の安全に支障があるという場合におきましては、船長の判断で隊長の意向と相反するような場合も起り得るということは考えられるのであります。従いまして、この船の運航につきます指令につきましては、建前からいたしますと、やはり海上保安庁にあるのが建前であろうと考えております。ただ、その運用を合理的にするということにつきましては、これは文部省なり、統合観測本部の関係者が集まりまして、必ず協議する、で、実は東京におきましても、そうでございまするが、関係者は十分に船の安全ということにつきまして、十分の配慮をして下さっておりまして、実はその船の運航について、お互いの意見のそごはなかったわけでございます。おそらく松本船長と永田隊長の間にも、あのバートン・アイランド号の応援を除きましては、そういったような意見の相違はなかったようにわれわれは了解いたしております。
  163. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  164. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。
  165. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題は、大臣が今時間がないようでありますから、あとでまた質問したいと思いますが、ただ、私は現地の永田隊長とそれから船長との間の云々、そういうわけじゃなくて、現地におけるところの血みどろの努力に対して、背後にある機構、あるいはその他の問題が十分であったかどうかということについて、お互いに責めるのじゃなくて、検討する要があるのだ、こう私は思うわけで、いろいろお尋ねしているわけです。  そこで、大臣一つお伺いしたいのですが、これに関連して、南極観測に対して当初予算決定予算関係はどういう工合になったか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  166. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 宗谷に関する経費でございますか。
  167. 大倉精一

    ○大倉精一君 南極観測に関する……。
  168. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 全体の経費でございますね。今ちょっと調べさせて、答えます。
  169. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 南極関係予算につきましては、これは文部省の予算として実はついておりまして、それを宗谷の改装費、それから宗谷の運航費に関する面だけ私の方の予算につけかえするというような操作になっております。今金額はここに持っておりまするが、宗谷の予算につきましては、ほぼ私どもの要望するところを入れてもらっておるというような状態でございます。ただ、多少不足の部面もございましたが、この点につきましては、海上保安庁の経費の中から支弁しておる面もございます。
  170. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いておるのは、南極観測に関する当初要求予算、たとえばもう少し具体的に申しますと、当初やっぱり一年間観測を延ばすという要望もあったように思うのです。技術的にこれは非常に一年きりでは危い、もう一年やっぱり予算として延ばすべきだ、こういうことも含んだ意向もあったように思うのですが、そういうものを含んだ当初の予算を削られて最後に決定した予算、こういうものについてお尋ねしたわけです。これはこの委員会でやるのは筋が間違っておれば、また別の機会にお尋ねします。
  171. 安西正道

    政府委員(安西正道君) この金額を申し上げます。予備観測でございますが、一昨年から昨年の春までの予算でございますが、これは宗谷の改装費といたしまして六億九百万円でございます。それから宗谷の予備観測の運航費でございます。これは船員の手当であるとか、運航費であるとか、燃料費、そういうものを含めました金額でございますが、六千五百八十七万円でございまして、予備観測関係予算といたしましては、宗谷の改装費、運航費を含めまして六億七千五百六十二万円という金額が成立いたしております。
  172. 大倉精一

    ○大倉精一君 要求は……。
  173. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 要求は大体その程度要求いたしまして認められております。多少足りない面もございますが、その点は、先ほど申しましたように、海上保安庁の既定経費から多少充当したものもございます。  それから本測観でございますが、本観測につきましては、宗谷の改装費二億六千万円でございます。これは予備観測の際に相当改装いたしておりますので、本観測のときには若干の改装で済んだというような点から、多少少くなっております。それから運航費につきましては、七千五十三万円でございます。合計いたしまして、本観測の際における海上保安庁関係予算といたしましては、三億三千二百七十三万円という金額になっております。
  174. 大倉精一

    ○大倉精一君 要求は……。
  175. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 要求も大体同様でございます。ただ、今回は昨年と違いまして、多少氷に長くおりましたので、その期間の経費がかかっております。従いまして、多少これをオーバーするのではないかというように考えておりますが、この点につきましては、後刻大蔵省要求する計画でございます。  それから最後に、宗谷を迎えに行く三十三年度予算でございますが、これにつきましては、運航費といたしまして一億三千万円成立いたしております。宗谷の改装費は含んでおりませんが、これにつきましては、宗谷が帰ってこないと何分にもどこをどの程度修理していいかというようなことがわかりませんので、それはそのときにおいて要求するというような建前になっております。
  176. 大倉精一

    ○大倉精一君 本観測の不足する分はあらためて要求するという説明なのですけれども不足する金額はどのくらいですか。
  177. 安西正道

    政府委員(安西正道君) これは旅費と手当の一部でございます。それから宗谷は御存じのようにプロペラーを相当損傷いたしております。それからかじも第二回目に相当いためております。そういった方面の改装費その他でございます。ちょっと今、金額につきましては推算いたしておりませんので、はっきり申し上げられません。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。この前ちょっと資料をお願いしておったのですが、それは大体世界各国の観測隊を出しておる国々の装備並びにいろいろの設備、それに伴う予算、これは文部省を中心とする統合推進本部ですか、そこでやっておる、だからここの直接の関係じゃないという話だったのですが、しかし、こちらでも全体的な視野からこれは見る必要があるというのでこれはお願いをしておった。ところが、これを、もらったものを見ますと、この資料は宗谷のトン数とか、設備、それからその他の船の能力、こういうものは出ておるのだけれども予算とかそういうものはないわけですよ。これはあなたの方で、もしできましたらもう一度そういう足らないところをやってもらいたいのです。そうでないと全体のことがわからないわけですね。これだけでは片々たる参考にしかならないわけですが、今の予算の面も、日本のもあると思うのですが、宗谷に関する予算についてはお話があったけれども、全体の予算はどうなっておるか、その中で募金なんかやってなかった面とか、その他寄付金でもってまかなった面、総負担面、その中で政府の予算はどうか、こういう点で、もうちょっと詳しいものを出してもらいたい。
  179. 天田勝正

    委員長天田勝正君) これは御要望でしょう。答えを求めておきますか。
  180. 安西正道

    政府委員(安西正道君) それは国内関係の、日本関係の分でございますか。
  181. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本関係のものと、概算でいいのですが、外国関係予算、これはわからないのですか。
  182. 安西正道

    政府委員(安西正道君) これはちょっと外務省を通じまして、外国の大使館に聞かないとちょっとわからないのですが、若干期間がかかると思いますが、よろしゅうございますか。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 いいです。まとまり次第でいいです。
  184. 安西正道

    政府委員(安西正道君) はい。
  185. 大倉精一

    ○大倉精一君 安西さんにもう一点最後にお伺いしておきたいのですが、わかったらお答えいただきたい。この観測はやはり一年間さらに延長といいますか、期間を一年間余分に見るべきだと、こういった主張をしてその予算要求したというのですが、これはどういうわけで削られたのか、おわかりになっておったら一つお話し願いたいと思う。
  186. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 一年間延長の問題については、私は実は聞いておりません。ただ、昨年の国際会議でもう一年延長したいというような話が学術会議にあった、こういう点につきましては聞いておりまするが、当初の計画は、おそらく一回の予備観測と一回の本観測、それからそれに加えて本観測の引き取りの関係、この三カ年計画だったろうと私は了解いたします。
  187. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣はこの間の経緯について御承知ありませんですか。
  188. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私はその間の経緯は不幸にして存じません。
  189. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ、この問題はあとでまたお伺いするとして、大臣も時間がないようですから、今までの質問を総決算的にお伺いをするのですけれども、今までの質問によって、大臣からずっとお答えをいただいたのですが、それによりまするというと、大体気象関係予算も本年度は非常に不足であるということはおわかりになっておるようであります。だからして、私はここでお伺いしておきたいことは、来年度、来年度ということを盛んに言われるのですが、これは毎年言われておるのでありますから、きょう私がお伺いした中で、少くともこれだけは来年度はやってもらえるものだと、質問の中で考えておったのですけれども、その第一番には庁舎の問題、あの庁舎は非常に貴重な資料と機械がたくさんある所だが、バラック建で今でも不自由をしておる、こういうわけで本年度も四億円ですか、予算要求されておったのですが、これも全部削られておる。これは当然来年度は今言ったような観点から、新築をしなければならぬと私は思うのですが、こういう点と、それから数値予報を採用すれば、それに関連して、本年度予算ではもういけないかもしれないけれども、もしいけなかったら、来年度は当然定点観測の予算も組んで、両々相待って数値予報の効果を完全ならしめたいということを思うのですが、こういう点と、それから観測につきましては、少くとも気象庁が必要であると要求しているところの長崎あるいは舞鶴におけるところの船の建造、こういうもの、それから地震計がわずか六千万円計上されている、こういうものも来年は整備をしなければならぬ、こういう工合に考えているのですが、要するに、きょう私が部分的に摘出して質問したそういう問題については、来年度はどうしてもおやりにならなければならないという御覚悟ができたように思うのですが、こういう点はどうでしょう。
  190. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も今のような諸点は、今度気象庁から聞きまして、努力をするべく要求いたしたことは事実でございますが、不幸にして所期目的を達せられなかった。来年のことは、私はここで申し上げることを差しひかえたいと思いますが、しかし、これはいかなるものが運輸大臣になりましても、この気象庁の重要な要求は、極力努力して実現せしめるということは、気象業務の進歩発達のために私は当然なすべきことであると思います。
  191. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも答弁が上っつらをいくような気がするのですけれども、そういう問題は、今回気象庁から聞いて努力するという仰せですが、少くとも非常に大事な問題であるところの定点観測というものはお聞きになっておらぬと思うのです。気象庁自身が予算を計上していないと言う、でありますから、こういう問題を私はきょうは指摘したのですけれども、来年度と私は申しません、申しませんが、数値予報というものを取り入れてしたいのだとなれば、これを並行的に実施をして完璧を期する、こういうお考えでなければならぬと思うのですが、あらためて一つ、お伺いしておきたい。
  192. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 実は北方定点観測の問題については、ある週刊雑誌の読者から私あて質問が来まして、これに対して、私は重要であるということを、気象庁から回答をしてもらったことがございますから、私もこのことは、詳しい技術的なことは答弁の質格はございませんが、存じております。これが今おっしゃった数値の予報と関係のあるということは、これは気象庁長官が申し上げました通りでございますから、この問題も私は重要度は認識はいたしております。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 今大倉委員からずいぶん長い間、いろいろな問題について指摘されたのですが、私はこの前の委員会で、これは気象庁に対しましてお願いしておいたのですが、つまり、非常に理想的な案というまではいかなくても、とりあえず当面、気象業務に対して予測しなくちゃならないことはたくさんあるだろう、そういう案を一応示してもらいたい、それとの関連なしに、現行のものをわれわれ審議しても、非常にしろうとで、わからない面もあるわけであります。PRもそれに伴ってなされておりませんから非常に徹底しない。国民の関心を高めるということが、相澤君からも指摘されましたが、非常に重要な問題になっていると思います。これはそういうものを出していただけるでしょうか。たしか十日ほど前だと思いますが、当委員会でお願いしたはずですけれども、まだいただいていないのです。どうでしょうか。何かまだそれについて、出すと工合が悪いということがあるのですか。
  194. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 提出がおくれましてまことに申しわけありません。気象審議会が、今後数年間計画というものの答申をしたのがございまして、それは全気象関係にわたっております。これを資料として差し上げることはすぐできることでございます。それに多少時勢の変りと、われわれとしての見解をつければ、差し上げられるかと思います。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは予算化されているのですか、予算の問題は抜けておりますか。
  196. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) これくらいの額が必要であるということは、この審議会の答申に計上されております。
  197. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほどの質問の続きなんですが、定員問題について、要求定員二百三十九人で予算に盛り込めたのが五十八人——気象庁ですね——お話があったわけですが、私どもまあ現地を各方面調査をしました結果、先ほど大倉委員もちょっと言っておりましたが、現在の作業量の中でさえ非常にこれはもう困惑をしておるのですよ。まあ私どもが見ておって、よくまあこれだけ緻密な業務に四六時中努力されておるということを実は感謝をしておるわけです。ところが、あなたのおっしゃったのは、新規要員なんですね、これは、ですから、根本的にまあ私の御質問をしていることにちょっとあなたのお答えははずれておるのですが、現状の、たとえば私はまあ仙台にしろ、柿岡にしろ、ずっと離島関係調査をしてきたわけですが、現状の過酷な労働条件をあなたは少しでもこの定員面で直していくという考え方がないのかどうか、その点一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
  198. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せのように、現在の定員が非常に仕事が多いので苦労しておることはよく存じております。で、予算の建前上なかなかそういうことで定員をふやすことはできませんので、まあその苦労しておる一半の原因であるサービスという面を取り上げて定員の増加に努力することが一つ一つは、機械化ということによりまして労働力を少くするということにおいて、できるだけ仰せの方針を実行いたしたいと思います。
  199. 相澤重明

    ○相澤重明君 だから、大臣にお尋ねをしておきたいのですが、やはりこれもこの前の現地調査の報告で本委員会で行なっておるわけですが、この気象庁、気象台関係は、やはり僻地なり非常に離島関係というものが多いわけです。ところが、大臣もこの報告の中で御承知だと思うのですが、そういう高い所や、あるいは離島関係では場所によって井戸水が使えない、天水おけによって雨水を飲み水あるいはふろ等に使っておるということで、非常に当時放射能関係によってまあ問題になったこともあなたは御承知の通りだと思うわけですが、今年度は、そういう問題について全部それを改善ができたのかどうか、あるいはまあそういう予算的な問題としてどういうふうに処置をされておるのか、一つお答えをいただきたい。これは人道上の問題ですからですね。
  200. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) そういう離島の方面、ことに灯台あたりで雨水を飲んでいる、私も映画で見ました。これは今、今度の予算で新たにどう改善するということは遺憾ながら出ておりませんが、今気象庁あたりではこれを適当にこして、そして害毒のないようにするように今やっておるようでございます。これを根本的にどうやって改善していくかということは、将来の大きな問題と思いまするが、今日の予算では今ありませんが、まあできるだけの今の方法をとって、その天水が人身に悪い影響を与えないようにしておるという報告は受けておる次第でございます。
  201. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは大臣の、まあ今までの運輸関係について非常に大臣が努力されておることは、私どもはいつも敬意を表しておるのですが、事この人道問題になるというと、やはり私は一歩も仮借できないわけです。これは昨年も夏、新聞をにぎわしたように、気象台関係の従業員がこのために非常な身体的な影響を与えられたということは、もう大臣御承知だと思うのです。私どもは、ここに、本委員会に出席しておる江藤委員高良委員も皆離島関係も見ている、実際にですよ。実際に全然水が、雨水以外に利用する方法がないのかというと、そうではないのです。これはそういうふうに気象、これは海上保安庁の関係、灯台関係にも、これは同じような立場があるのだけれども、これはほんとうに井戸を掘るなり、あるいは、水道を作る考えがあればこれはできるわけです。私どもは三宅島の現地調査もやってみた。三宅島にそれじゃ、そのいわゆる飲料水がないのかというとそうじゃない。これはもういい水がたくさん湖にある。あるけれども予算がかかるから、町の人たちが飲む水を、とても自分たちの金を出しただけじゃやりきれない。だから、これは国家的な立場で開発をするなり、また、そういう貴重な作業に携わっておる人たちに、この恩恵というものを与えるように努力をすればできると、こういうことをわれわれ自身が、ここにおる高良委員も江藤委員もみんな現地を調査して見ておるわけだ。しかし、もうすでに何年もそういうことは言われておると思うし、特に本委員会では、私どもが昨年現地調査をしてその報告をしておるわけだ。だから、それを少くとも実行に移すならば、あるいは計画して、たとえば本年はいけなくても、それでは次年度からどうするというような計画を持たないということは、本委員会に対する私は非常な不満だと思うね。だから、山の中のこの高い所に、山形県の方における放射能によって大体に影響を及ぼしたということもあるし、あるいは三宅島、あの離島の中で十分その水道の問題もこれは国家的な立場で取り上げれば、それこそわずかな金でできるということをわれわれは確認しておる。そういうことをやろうとしない官僚というのは一体これは何だ。これは私は運輸大臣を責めるばかりではない。それは所管業務の長官、いわゆる海上保安庁長官なり、気象庁長官なんか、積極的にやろうとする意思がないからそういうことになる。私は今の大臣答弁を聞くとそういうふうに思われる。この点は、一体大臣答弁は先ほどは一応形式的になったかと思うのですが、これは大臣からの御努力をいただかなければならないと思うのですが、その前に関係長官から答弁をしていただきたい。
  202. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象庁関係で雨水を使っておる所が十数カ所でございます。この中で井戸を掘るとか、その他の処置によって水を得られる所は極力そのようにいたしております。そのために、その名目での予算はございませんが、実行で着々とできる所は手がけております。たとえば鳥島のごときは、雨水によるより以外に方法がございませんので、今年水槽をさらに拡充し、それをこし、そして放射能の検査をちゃんとできるようにいたす、室戸岬においてもそういうような処置をいたす、こういうようにできるだけ本年度も実行でそれをいたしまして、こういうことの御心配のないようにできるだけすみやかにいたしたいと思っております。
  203. 安西正道

    政府委員(安西正道君) 飲料水を天水にたよっております灯台が——人の住んでいる灯台でございますが——八十五カ所ございます。昨年お話に出ましたように、東北の灯台で放射能の関係ではないかということでだいぶ御心配をおかけいたしましたが、あれは病院の意見では、まあ放射能の関係ではないというような結論は出ておりまするけれども、この点につきましては、実は雨水にたよるということは、おっしゃるように非常に危険性もございますので、できるだけ私どもといたしましても、これを切りかえて参りたいというので、実はずっと調査いたしております。調査いたしておりまするが、なかなか井戸を掘ると申しましても、灯台のあります所が非常に僻地であるとか、そういうような島嶼のはずれにございますので、なかなか現状では困難でございます。しかし、それと同時に、厚生省と協議いたしまして、厚生省で水道の施設をやってもらえる所は、水道の施設を引いてもらって、われわれの方で灯台までの水道を引くというような協議もいたしておりまして、直ちにできるような所につきましては、そういったような措置もとっております。そういうボーリングがなかなか困難でございまして、水層を発見できないような所につきましては、暫定処置といたしまして、厚生省と協議いたしまして、特殊の濾過槽を用いまして、濾過の装置を改善いたすように——暫定措置としてではございまするけれども——いたしておりまするし、またときどき国立衛生試験所に依頼いたしまして、そのような個所につきましては、放射能の含有量を定期的に調査してもらうというような措置をとっております。予算としては、気象庁長官も申しました通り、特別にそういう予算は取れておりませんけれども、既定経費の中におきまして、そういう努力をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  204. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ大臣が他の委員会に行ってしまったので、実際その責任者の答弁を求めることができないんですが、非常に私は遺憾だと思う。事人道上の問題については、優先をしてこれを処置しなければならぬ。しかも、本委員会として現地調査をして報告をして、その処置を要望しているにもかかわらず、予算が一銭も計上していない、既定予算の中で努力をするなんという、そんなものはたかが知れておる。そういうことに役人がサボるから、結局は実際の現地におる者は一番苦労するわけです。そういうところを、私はむしろこれは政府の当事者に追及したかったわけですが、いずれまたあと運輸大臣に言いたいと思うんですが、今の次長の話なり、長官の話を聞けば、努力をすると言うけれども、これはただ努力をするという口だけじゃなくて、私はそういうことを、いかに離島や、そういう僻地において勤務しておる者が苦労しているかということを、やはり率直に次官なり大臣に話して、そうしてそういう人道上の問題を解決するように私はしなければいかぬと思います。だから、もちろん国の予算の中だから、一ぺんに全部やるといってもなかなかできぬでしょうが、少くとも計画的にそういうことをやらなければならぬ。私はこれはあなた方の責任だと思うんです。そういう点はぜひ一つ、本年度も厚生の問題なり、あるいは来年度の問題なり、そういう点は私は一つ努力してもらいたい。  その次にお尋ねをしておきたいと思うのは、これらの離島なり僻地に勤務している職員の教育問題、あるいは医療施設の問題、こういう問題についてどうなっているか、こういう点については、昨年も少し御答弁をいただいているけれども、非常に不満足な点なので、今年度はどういうふうな計画をし、予算を立てているんですか、この点を一つお答えいただきたい、これは気象庁も海上保安庁も、両方同じですから。
  205. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) まず医療施設でございますが、非常に不便な所では、医師法の違反のない限り、自分の手でできるように、あるいは無線で指令するとかいうようなことでできるようにいたしております。もちろん、許されれば医師を定員の中に加えることに努力をしつつあります。また、それほどでない僻地におきましては、嘱託医を置くというようなことをいたしております。  それから職員の教育でございますが、これは気象庁に研修所がございまして、職員がかわり合って、そこへ半年とか一年とか来て研修いたすようになっております。そういうときにも、僻地の中央に接することの少い者は、できるだけそういう所へ来て研修するように努力いたしております。なお、通信教育というものがございまして、一方、通信によって教育を続けております。
  206. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 子弟の教育につきましては、私どもの外郭団体に海上保安協会というものがございまして、また別に灯光会というものがありますが、その力を借りまして、僻地勤務職員の子弟のために学生寮というものを、横浜のちょっとこちらの所と、それから小樽に設置いたしまして、そうして就学資金の貸付とか、あるいは学齢児童の別居補助金というものの支給等を行なってやっておるのであります。それから医療関係につきましては、僻地の航路標識につきましては、応急用の医療品というものを、その地に救急箱というようなものを配付しておりますし、また年一回、今南極へ行っております宗谷がずっと回っておったのでありますが、その後、若草というのを代船に使いまして、これが年にずっと回りまして、職員の健康関係状態調査、あるいは職員は付近の共済保険にかけるようにしておるのであります。
  207. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは気象庁も海上保安庁も、私の質問に対して答弁が漏れているが、今年度予算はどうなっているか、あるいは既定予算の中でやろうとするのか、そういうものを特別に昨年本委員会で私が申し上げたので、特にそういうものを予算化をしたのかどうか、こういう点についてもお答えをいただきたいわけです。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
  208. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほどの教育は、私、職員と思いましたが、子弟でございましたら、実は気象庁としては、直接子弟に関しては、東京の研修所の寄宿舎に子弟をできるだけ置いて勉学せしめるというような処置以外には、あまりいたしておりません。しかし、子弟を教育させなければならぬという人は、できるだけ僻地へは少くしたい。それから交代をひんぱんにいたしまして、その子弟の教育にも間違いないようにいたしたい。その交代に関しまして、本年度数百万円でありますが、前よりもひんぱんに交代することは多少認められましたが、われわれの理想は、もう少しひんぱんにいたしたいと思っておる次第であります。それから貯水池や何かを作る費用も若干認められておりますが、しかし、井戸を掘るとか、そういうわずかな改造のような費用は、先ほど努力と言いましたが、実際実行いたしたいと思っております。
  209. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 今の予算でございますが、薬の方につきましては、毎年経常費で大体約百五十万円くらいついております。それからその他の問題につきましては、いわゆる去年から予算に載りました集約管理におきまして、そういう僻地に勤務しておる人々を、なるべく都会地に住まわせるように、だんだんに予算を取ってやっていくというので、去年と今年で約七千二百万円くらい予算が計上されておるわけであります。
  210. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、今の二人の長官の御答弁でありますが、実情をやはり十分私が申し上げていることについて理解がされておらないと思うのです。そのあなた方の御答弁を聞いていると、集約管理にしろ、あるいはまた教育を受けるような子供があればなるべく都市に、町に連れていきたいというのだが、そんなことをして仕事ができますか、全部。これはもう気象台関係とかあるいは灯台関係なんというのは、いつでも僻地であり、離島関係が多いわけです。また、そういう所こそ必要なわけです。ですから、国民のためには一番最前線の守りであり、一番苦労をしておりながら、また一番恵まれない立場にある人です、これらを全部そういうことをやろうということはできない。現に先ほども申し上げたように、私ども本院から三宅島の現状調査に行ったときに、六年も七年も実際に自分で交代をしたいと言っても交代に来る者がない、こういうような、実際に家族の者も含んでこの教育の問題にしろ、医療の問題にしろ、とにかく環境衛生の問題が非常に大きく生活の上にのしかかっているわけです。しかも、先ほど保安庁長官が言われた交代赴任旅費を今度若干増額をしたと確かに書いてありますが、こんなことで今の僻地におられる人や、離島の職員を安心して業務につかせるということは私は非常に困難だと思う。それは結局現地の実際の苦労をされておるのを、やはりあなた方が東京におって考えるからそういうことになるのじゃないか。これは私のひがみじゃございません。私は別に気象庁の職員でもなければ、海上保安庁の職員でもないわけです。けれども、われわれがこの国会側から現地を調査視察してみて、そうしていかに業務の重要性ということを考えていく場合に、あるいはまた海上保安庁の職員のように身の危険を賭して、そうして日夜の業務を遂行している者に対して、そういうような実情というものを把握しておらぬからこそ、結局予算の中に配慮できない、こういうふうにわれわれには考えられる。従って、既定予算の中でやろうなんていっても、既定予算というものはきまっているのだから、そういう点について、私ども考えとしては、やはり計画的なそういうものを直していく考え方がなくちゃならぬのじゃないか。先ほどから申し上げたように、本年の予算の中では、全然そういう新規なものは認められない、こういうことであっては、私は一カ年間のわれわれの努力したことが、あなた方に御注意申し上げたことが実現されないというのは、まことに遺憾だと思うのです。いずれ、先ほど申し上げたように、責任者にもお聞きしたいと思うのだが、長官は少くとも現場の第一線に立っておる職員の立場に立って一つ省内でぜひ努力をしてもらいたいと思います。それで、このことについて今のような、たとえば御婦人がお産をする場合だって、実際になかなかそういう処置がとれないで困る、あるいは盲腸のような、突然的に病気になった方々も、それこそ飛行機を借りてこなければ間に合わないということで、実際どれほど苦労をされているかわからない、そういうことはぜひ直してもらうことにして、ここに書いてある交代赴任旅費というのは九百万見ておるというのだが、一体現地のああいう一番最前線で苦労をされておる人たちの勤務年限というものは、一体どのくらいに考えておるか、あなたはひんぱんにかえたいと言っておるが、一体どのくらいにかえておるか。今までの全国の人たちが、長い人があるわけですが、そういう人たちに対する問題も、どのくらいの計画でそれが実際にあなたの言うようにかえることができるのか、そういう点を一つお答え願いたい。
  211. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 平均いたしましてまず二年と考えております。今度きめました交代は、やっと三年を認められたわけであります。予算に新たに見えておりませんが、私どもの経費というのは、自分たちの中で僻地のそういう方に優先的に皆さんできるだけたくさん回すということに従来努力しておったので、経常費全体をふやすということも、僻地振興として言ったつもりでございます。それでこの三年の経費はとても足りませんので、中からつぎ込んで、もっと短かくしてやろうということであります。
  212. 相澤重明

    ○相澤重明君 海上保安庁、どうですか、灯台関係は。
  213. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 先ほどいろいろありがたい御注意がございましたが、私途中から来ましたので、最初の御質問をよく存じませんので、失礼いたしました。先般「喜びも悲しみも幾歳月」をごらんいただいた通りでございまして、よく見ていただいたことにつきましては、おそらく私の方の現地、僻地におります灯台職員などは、ほんとうにきょうの声を聞いたら喜ぶかと思うのであります。実は私も全部回ったわけでもございませんが、できるだけへんぴなる所はこれでも回っておるつもりでございます。そうしてまた巡視船に乗りましても、いろいろと、北海道のオホーツク海の方とか、身をもってあの人たちと一緒に回って、これらについては、こんな船でいいだろうかということを実は痛感しておるようなわけでございまして、きょう、いろいろありがたいお言葉をいただきまして、私も非常に感激しておるわけでございまして、できるだけやっておるつもりでございますが、なお今後とも、御注意によりまして、いろいろこの施策を、足りないところをなおやっていきたいと思っております。特に、先ほど御質問がございましたが、途中で出ましたので申しおくれましたが、当然灯台につきましては、私もできるだけ何とかもっと楽なようにと思いまして、いわゆる給料の関係につきましても、上級のまあ事務所長として格づけされました数が百十一あったのでありますが、本年はこれを百五十二に人事院と相談して増加するようにもなっておるわけでございまして、いろいろ各方面からこういうことを考えておるのであります。そうして灯台につきましてはおっしゃる通りでございまして、だれか人が行かなければいかぬのでありますが、われわれとしては、こういう原子力なんかの時代において、どうしても人がここにいて業務を守るというのは、いかにも古いのではなかろうか、それでできるだけ無人灯台というのをつけて、灯台職員は、普通の子供が小学校へも通える所にいて、そうして見回りに行けばいいようにするために、そういうのをだんだんつけていきたいと思っておりまして、実現する所もあるようでございます。そういう点で集約管理を、そういうような方法によってできるだけ無人にして、場所によって無人にできない場所もございますが、できるだけ無人灯台にして、新しき科学の力を借りて、僻地におる方々を文化的水準にまで引き上げて、科学的にやっていかなければならないと、こういうふうに考えておることを、先ほどの答弁一つつけ加えさしていただきたいと思います。  それから私の方は最悪地の方では、五階級に分けておりまして、最悪地の方には一年から二年程度、それからいわゆる観音崎とかいうようないい所では五年くらい、こういうふうなものを考えたのでありますが、北海道の松前小島とか、へんぴな離れた島々については、なかなか渡海交代もむずかしいのでございますので、そういう方面については、巡視船の大きいので渡海交代をさして、できるだけの措置は全面的に尽したいと、かように考えておる次第であります。
  214. 相澤重明

    ○相澤重明君 両長官の誠意ある言葉で、私も一応今の意見は十分尊重し、また理解をしていきたいと思うんですが、しかし、口の答弁だけで実効が出ないようなことであっては絶対にならぬ。いずれ、運輸大臣にこの点は追及するつもりですが、一つ海上保安庁長官に続いてお尋ねをしておきたいと思うんですが、あとまた他の委員が質疑がありますから、私はきわめて簡単にしておきたいと思うんですが、今年度のこの予算の中を見ると、まあ海上保安庁の苦労されておることはわかります。わかりますが、必要な船艇であるとか、あるいはレーダーであるとか、あるいはまた飛行機であるとかいうものが、どうも私どもが現地を調査をして率直に報告されたことについて、その要望というものが入っておらないんじゃないか。一体、島居長官は、今出ておる三十三年度予算が、あなたの方で、保安庁でもって要求されたものの何%になっているのか。あなたは、これがあなたの要求をしたものが一〇〇%実現をしたと思っておるのか、そのことを一つ先に私はお尋ねをしておきたい。
  215. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私も全く残念に思っておるのであります。私が現地を回りましても、巡視船などというのは、救難に出かけまして、帰ってくるとまた出かける。ひどいのは、帰ってくる途中からまた次の救難に出かけるということでございますし、また、行って二隻も曳航して帰ってくると、こういうのでございます。また、船艇にいたしましても、先ほどちょっと申し上げましたように、最初は、まあ海上保安庁の船舶を全国にばらまいたと、一口でいえばそういう格好でございまして、北海道あたりで二百七十トンの巡視船でああいう所を救難に出かけるというのは、冬場はことに困難なる状況でございますので、ことしも、どころではなくて、去年もことしもずいぶん要求したのでありますが、私の努力の足りないせいでございますか、絶対額においては去年より多少ふえたぐらいでありまして、去年というよりも、私が一応考えたものの約六〇%強ぐらいにしか取れなかったことは、まことに残念に思っておるような次第でございます。来年は、来年はというか、この次は何とか、ことしもやったのでありますが、別の方法で、巡視船も、また通信設備も増してもらえないかというようなことを、別の角度からいろいろ検討したいと考えておるのであります。
  216. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはまああなたばかりを責めるわけじゃないけれども、やはり何と言ってもあなたは責任者なんですから。各海上保安庁の管区を見て、あるいは本部長初め各現場の人たちの意見を総合してみて、私ども資料的に調査をしてみて、海上保安庁の巡視船がいわゆる救難をするために、どのくらいの財貨というものが国民の利益になっておるかわからぬ。おそらく現状においても、予算的に考えた場合に、もっと予算を、必要経費というものを計上すれば、さらに国家のためには非常に利益になる。あるいは人命救助においてしかり。そういう点が、予算が足りないからということで、結局はみすみす救難することができないということがある。ごくわずかな話ならば、一つの標識をふやすだけでも船の航行のためにはどれだけ危害を救うことができるかわからぬ。あるいはもっと、今の時代ですから、レーダーなりあるいは飛行機を作ることによって、海上保安庁の今の機能というのはどのくらい大きく作用できるかということも、これはもう火を見るよりも明か。今私どもの手元に配っていただいた予算あるいはその内容を考えてくると、どうもそういう数字が、今あなたは六〇%とおっしゃったが、新規のものを含めばかなり表面づらはよくなっておるけれども、実際いって、内容的に考えていくと、非常に少いのじゃないか。昨年とほとんど変らぬ、こういうような私は実態だと思う。しかも、一方においては、雨が降ろうと風が吹こうと、とにかく身を挺して、一歩誤まれば海上保安庁の職員は身を犠牲にしなきゃならぬ、そういうことまでしておるにもかかわらず、実際には内容というものはよくなっていかない、こういうことであっては私は、まことに遺憾だと思う。そういう点について、特に重点的に今年あなたが取り上げたという個所も少し出ておりますが、一体、今年度要求をした重点的な内容について、何%実現をしたのですか。予算額では六〇%かもしれぬけれども、各裏日本、北海道から九州の果てまで私どもいろいろ調査をしてみて非常な大きな問題を残しておるから、昨年の本委員会において現地調査の報告の中で特に強い要望を付しておいた。その点が一体これだけですか、あなたが出したのは。どうなんですか。
  217. 江藤智

    ○理事(江藤智君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  218. 江藤智

    ○理事(江藤智君) では、速記を起して下さい。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  219. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 主として船舶航空機それから通信、灯台というようなものが重点でございますが、船舶につきましては、まことに残念でございますが、ざっと一五%程度しかふえていないのでございます。飛行機は、去年はヘリコプターが一機あったのでございますが、ことしは落されている。灯台は二四%ぐらいでございます。それから通信は一三%、こういうふうな状況なので、ほんとうにおっしゃる通りに、先ほどお話ございましたが、救難でも私の方が大体の時価で計算いたしますと、一年間に百三十四億ぐらいの積荷と船舶とを救助しておるような次第であります。また、人命は去年一カ年で一万三千人ぐらい救助しております。こういうふうなこともよく思っておりますし、話すのでありますが、やはりどうも努力が足りなかったのかと思いますが、まことにこういう結果になったのは残念に思っている次第でございます。
  220. 高良とみ

    高良とみ君 関連してちょっと伺いますが、そのヘリコプターは長官、取れなかったのですか、ここに上げてある七機を配置してありますが。というのは、これは昨年からの七機であって、本年は一つも増機してないのですか。落されたのですか。
  221. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) はい、さようでございます。
  222. 高良とみ

    高良とみ君 それはどうですか、前のお約束とちょっと違うようですね。
  223. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) まことにどうも、いろいろこれは残念でございます。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもここでおわびをされても困るのですが、実際問題として、ことに昨年度は、先ほどもお話しになったような映画なんかが国民の大きな視聴を浴びた、こういうような世論が下から盛り上っておる、そういう態勢の中で一体これと結合してあなたたちの問題を解決されるように努力されたのか、そういう点、少し参考になるのではないか。政府内だけの予算獲得技術だけで取れるのか、去年第一位にランクされた、そうしてしかも、あれは賞を受けておる。国民は非常に大きな関心を持ったわけです。そういう態勢の中で海上保安庁の仕事が浮んできたわけです、国民の前に。そういうところを一体なぜ予算獲得の上に、利用といっては悪いかもしれないけれども、実際はそうなんだ、そういう問題をやらないのか。ああいう映画が行われたあと予算としては、これはとてもりょうりょうたるものだという感じがする。第一点、この点はお考えになっていただきたい。気象庁の場合も同じようなことが起るのじゃないかと私先ほどから考えておる。それでこの中で一、二点お聞きしたいのですが、本年度予算定員は、昨年に比べて十四人ふえた、一万八百十五人から一万八百二十九人、わずかに十四人ふえたというのですが、昨年の予算単価に比べまして、これは給与費が増額になっておるわけでしょう。予算単価はふやされておりますね。この点ちょっと詳細に説明してもらいたいと思います。どのくらいふえておりますか、総額とそれから単価。
  225. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 人件費は二億三千二百万円増加しております。それから単価でふえましたのは、四・五%昇給原資としてふえておるのであります。それから十四人ふえましたのは、常勤職員の定員化したものでございます。
  226. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、昨年度予算に比べて、実質的には約一億五千万、経常費では減っておるということになりますね。そういうふうに了解していいですか。
  227. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 結論においてはおっしゃる通りでございます。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 それが先ほどからのいろいろな、巡視船をもっと増強しなければならないとか、性能をよくしなければならないとか、その他たくさんの問題をかかえておると思うのですが、今度の南海丸事件の中でこの一端が明らかになったのじゃないかと思います。とにかく、あそこに行って、引き揚げる船よりも非常に小さい船が行って、そうして作業をやってみても全然近寄ることもできなかったというようなことですね、そういう問題については、これは全然答えられない。実質的には経常費は減っておる。こういう事態だと思うのですが、この原因は何でしょうか。どうも私たちには了解できない。先ほど申しましたように、非常に海上保安庁の仕事というものは国民の前に映り出して、南海丸事件の問題は、予算最後の決定の時期だったと思いますけれども、こういう点では非常にこれも新たな問題になった。それなのに実質的に経常費が昨年より減っておる、こういう事態はどうなんでしょう。私はわからないのだ。この原因を明らかにしていただきたい。
  229. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) こまかいことを申しますと、船舶運航費、通信専用料、通信業務用、庁費などが減っているのでありますが、単価の値下りというようなことで一律に五%減できておりますし、そういうようなことで減らされておるような次第であります。まことにこれはほんとうに、私の方で一番痛いのは、おっしゃるように船でございます。それと通信でございますが、何とかこれをふやしたいと思って、できるだけやりましたし、また、おっしゃるように、国民のああいうものを分け合ってきておりますので、それを利用というのではないのですが、ほんとうのことを説明するのでありますが、やっぱりこれは努力が足りないのですか、来年は何とか別の方法でやろうと思いますが、その節はどうか一つあなた方も大いにやっていただきたいと思うのです。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは気象庁並びに海上保安庁の通用語ですね、来年は何とか、いわく、来年は何とかいたします。しかし、これで毎年々々国会を切り抜けてきたことがこういう現状になっているんじゃないでしょうか。そういう感じがするのですが、これは別に皮肉ではありません。そこで、どうなんでしょうか。気象庁さんの場合もお聞きしたのですが、あなたたちの持っていられる、最低これだけはとにかく海上保安業務をやるために必要だという、そういう計画を持っておられるのですか、そういうものを今まで何か国会から要求されて発表したとか、外部関係にそういうものを提出したというようなことはございますか。
  231. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私どもでは、一万海里の沿岸につきまして、これを警備とか救難とかいうようなことについて、これだけの船はなくてはいかぬというので五カ年計画をもちまして、それをもって大蔵当局にも交渉しておるという次第でございます。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう御計画は国会の方の資料としていただけますか。
  233. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 今日持ってきておりませんでしたが、あとからもちろん差し上げたいと思います。
  234. 高良とみ

    高良とみ君 この間うちからいろいろ教えていただきましたけれども、今度のいろいろ御努力になって、数値予報や、あるいは同時に写真でおとりになることもけっこうなんですが、前から不思議に思っているのは、ここにあります名古屋地区以西の二十八カ所に受画装置を装備するということなんですが、このことは日本の、私ども常識で考えるだけのことですが、日本の台風やその他あらしは大体南の方から来るんで、それがとかく東京中心主義になっているんじゃないかという心配なんですがね。それで北海道やなんかも海難がありましょうけれども、その点もう少し、その東京に集めるというようなことよりも、もっと全体を見渡せるまん中ごろにものを持っていくとか、あるいはそのほか、それを各気象担当官のおりますその官署の間の、五十五カ所の間の相互の連絡ということについてはどんなふうにお考えなんですか。その設備と方法は今度の予算で十分になりますでしょうか。
  235. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 無線模写放送は、今年九カ所、第一段の管区気象台とか中央気象台というふうな所に置いてございます。それから今度の三十三年度におきましては、府県代表の気象官署に全部つけるという要求をいたしましたのですが、残念ながら半分ということになりましたので、まあ雨量も多いし、台風も多い西の方をそれでは頼むということになった。なお、この無線模写放送は全気象官署に逐次つけたいと私どもは念願しておりますが、それとは別に、気象官署同士の連絡というものは、専用気象通信を持っております。
  236. 高良とみ

    高良とみ君 この今の無線放送の整備なんですが、この二十八カ所というのは、本年度はできる中に入っている方なんでございますね。そうしてその相互の間の無線模写放送もできますか、この今度の整備で。
  237. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 無線模写放送は、現在のこの計画では、中央でもってあらゆる資料をとり、その大勢を、気象の大勢を知らせるというのが第一段でありまして、もちろん、いろいろローカルにおいてこういうことは将来やらねばなりませんが、まだ今のところ、その計画はここに出ておりません。
  238. 高良とみ

    高良とみ君 この気象については、私ども、この間ほかの委員もだいぶ援助して下すったのですが、私にはまだよくほんとうにのみ込めない点があるわけなんです。要するに、ひどい目にあって初めてわかってくるのでありますが、この間の予算大臣の御説明にもあった通り、本年は予報については、今までよりもよほど科学的であるばかりか、時間のズレのないようなものを国民に提供していかれるということについて、今の設備でもって、大体においてこの日本状況においてはこれ以上のことはできないというふうに、南半分に関しては考えてよろしゅうございますか、どうですか。
  239. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) この無線模写放送というのは、御存じの通り天気図を電送いたしますので、今は資料を放送して、その資料に基いて各自に天気図をこしらえる、ですからこれで時間も短縮できれば人手もセーブできるというわけでございます。それは遺憾ながら全図でなくて西半分というので、東半分は従来と同じやり方をやるわけなんであります。
  240. 高良とみ

    高良とみ君 その東半分は来年度計画なすっておられると思うのでありますが、そこで、今度は図表になって持っていくのですから、それを地元の気象予報官というようなものが、これを十分に生かしまして、そうしてその土地でもって、土地、土地で、まあ付近の観測所とも連絡をして、そうして十二分にそれで日本の天気予報というものは、大体この間二〇%はずれるというお話があったのですが、それがずれない程度にいくようになりますでしょうか。まあ、できるならば今度の方法によって、一〇%でもよくなるというふうなお見通しでしょうか。
  241. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) これは時間の短縮と人の力のセーブがおもでありまして、直接にはこれは技術向上ではございませんが、その時間の短縮と人力のセーブということは、成績も必ず上ると思いまして、数%は私は向上できますと存じております。
  242. 高良とみ

    高良とみ君 わかりました。それから海上保安庁長官に伺っておきたいのです。先ほどもだいぶ遠隔地、離島におられる方々の家族その他の問題が出たのでありますが、今までの数で、ヘリコプター七というふうなもので、今後病人があるとか、あるいはいろいろな事件があったときに、これで十分に福祉並びに予防にこれから働いていかれるお見通しですか、どんなふうですか。
  243. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) いや、とても今までのヘリコプターではだめだと思いますが、今までのヘリコプターは主として遭難船がありましたときに、そのあり場所とか、あるいは人が行けない場所に遭難船があったときに、それでつり上げてヘリコプターの中に入れて帰ってくる、こういうのでやっておるのでありますが、航路標識事務所の方の職員に対する救援といいますか、そういうようなことは、速急の場合には巡視船を使ってやりたいと考えております。
  244. 高良とみ

    高良とみ君 離島の中でも、ことに、だいぶ南の方の島ではこの間うちまではアメリカのヘリコプターが病人の救助なんかに行ったりしているわけです。その点は今度はどうなりますか。アメリカ方面の空軍の方はまだいるでしょうが、それはやはり期待できる、今までとあまりその点は変りはないと考えていいですか。
  245. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) たとえば三宅島とか八丈島とか、南の方の場合よく例がございますが、大事の場合に巡視船を派遣しておりますが、しかし、その巡視船も波が荒くてつけないような場合も多々あるようなわけでございまして、そういうときに自衛隊の飛行機を頼んでおりますが、今後ともそういうふうな方向に行くと思います。
  246. 高良とみ

    高良とみ君 この海上保安庁の予算が、とても巡視船やその他御満足でないのですが、海上自衛隊とも少し協力して、あるいは陸上自衛隊はもちろんですけれども、少し向うで余っている力をもう少し国民の平和時の奉仕に使うようなことについて、何かお考えをお持ちのように承わったことがあるのですが、いかがですか。本年度はもう少し国民のために働いてもらうために、あなたの方から要請なされば、訓練に差しつかえないといいますか、そういう程度では十分に働いてもらえるのですか。
  247. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 今度の南海丸のときでも、また前回の第五北川丸のときでも、その前の洞爺丸のときでも、同様海上自衛隊の艦船に応援を頼んでおる事実もあるわけでございますので、そういうような場合には、今後ともお願いするわけでございますが、また、われわれは別の方法で、何とか私の方に船を獲得するというとおかしいでしょうが、いただけるような方法を何とかならぬものであろうかということを先般来考えておるのでありまして、今後はそういうふうな方向で私どもの船をふやしていったならば、何とかもっと効率的に船がふえるのではなかろうかと考えておるのでございまして、そういう場合になりましたら一そう皆様の御援助をお願いする次第であります。
  248. 高良とみ

    高良とみ君 この間、南海丸のときには陸上自衛隊は少し手伝ったようです。陸上自衛隊のヘリコプターなんかも出たようですが、海上自衛隊はあのときにはどのくらいの働きをなさったか知らないのですけれども、私ども国民の立場からすると、そういうときにこそ海上自衛隊も大いに働いてもらいたいと思うのですよ。どうもその点があなたの方も遠慮しておられるのだと思うし、命令系統が違うのかもしれませんけれども、巨額の金を使っておることでありますから、一つ今後とも国民の海難あるいは事故があったときには、大いに働いてもらうような、省とあるいは庁との間のもう少し円滑な、同じ日本の国民のための働きができるように、こちらこそ一つ御努力していただきたいということを要望したいのですが、その点いかがなんですか。それは無理なんですか。あるいは知らぬ顔して船が沈んでも向うの方で戦争の準備をしておられるということかと思うのですが、どうもその点わからないのですが、一つ教えいただきたいと思います。
  249. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) いや、この間のも実際は私どもから要望しまして出ていただいておるようなわけでございまして、そしてもう簡単に、いわゆる文書などはあとにして簡単に電話一本で出ていただくような協定というものができておりますので、今後ともそういう場合においては、いわゆる軽々とすぐ出ていただくようになっております。また、航空機についても同じく、さっそく出ていただくようになっております。今後はなお一そう連絡を緊密にしまして、高良先生のおっしゃる御趣旨に沿いたいと存じております。
  250. 高良とみ

    高良とみ君 それは一つこれから実績を拝見していきます。それというのは、この間南海丸の事件やその他があったので、運輸次官を委員長とする海難防止協議会というものができたそうですが、そういうときにこそ各省が連絡ができているはずだろうと思うのですが、まだ時間がないと言われるかもしれないのですが、一つその結果を私どもは大いに期待して待っている……。そうすると、それはどなたにお願いしておいていいかわかりませんが、官房長あたりから、この次のときには、こういう結論が出ましたということを聞かしていただきたい。  それからもう一つお願いしたいのは、わか丸のテストが行われておりますが、まだ一、二回でわからないかもしれませんけれども、これは海運局長ですか、伝言していただきまして、わかり次第一つ私ともに結果を、まあ、海難審判等にも関係があるのではっきりしたことはなかなか言えないかもしれませんが、わか丸の安定度についてはどういう結果であったという資料でもけっこうですから、見せていただくように御依頼しておいていただきたい。  それから海難災害防止の中には各省との連絡があると思うのです。これも官房長にお願いしておきたいと思うのですが、何の問題をとっても、非常に各省との連絡の問題が多過ぎるのですね。その間がうまくいっていないことが多いものですから、一つ今度できている陸運局を中心にした災害防止委員会というのがあるそうでございますが、昨日も東京陸運局長あたりは皆その会議に行っておられる、それも一つ結果を出してもらいたい。新聞に出ていますよ、ちゃんと。今度は災害防止の役員、学識経験者も入ったものが出ていますが、結果を……。そういう希望を添えまして私の方は一応切っておきます。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も一、二点、最後に意見を付さしていただきたい。一つは、今海上自衛隊との協力の問題ですが、これは最初やむを得ないという形でやるべきじゃないか、もしこういう形で海上自衛隊を当てにしてやっていけば、海上保安庁というものは何年かかっても整備されないのじゃないかと思うのです。こういう格好でいったのでは予算が年々だんだん少くなっていくから、それと、場合によっては海上自衛隊の方から協力を求められて下請機関みたいな仕事をさせられたのじゃ話にならないので、こういう点については、やはり一応やむを得ない最小限度の協力というものはこれはいいのですが、何か密接に連絡をとってというのは必要上言われたことだと思いますが、一つ問題じゃないかと思います、この点は。  もう一つの問題ですが、今度の南海丸の問題を見ますと、海上保安庁は、これはフルに、そうしてあらゆる能力を尽されたということになっておりましたか、この点をお伺いしたい。
  252. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私の方といたしましては、全力を尽したと思っております。最高のときは十三隻巡視船が出ておりますし、何といいますか、遭難後におきましても、ずうっと今日までサルベージとともに、死体の引き揚げその他にも従事しておるのでございまして、あの辺にある船舶を全部向けた次第でございまして、実は太平洋にほかの救難に行かなければならぬ船が、遭難船が起りましたときに、あの辺が全部あそこへ行っておりますので、少し遠い所から救難船を回わさなければならなかった事態でもございますので、できるだけのことはしたというふうに考えております。
  253. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、先ほどの予算の審議と関連して、今年度予算は、人件費を除けば総体的に減っておるわけですね。しかも、あの南海丸のような問題についての国民の要望は非常に大きいわけです。そうすると、少くとも、それはもうあの事件に対してあなたたち百パーセント、今のお話によりますと一一〇%の努力をされたかもしれません。また私たちも努力されたことを、これはずいぶん聞き、また見ておるわけです。そうすると、少くとも今度の予算においては、南海丸の事件を再び避けることのできない予算であるということは、これは明確に言えるように思うのですがね、少くともこの予算の面において。装備の面でこれをほんとうに裏づけする、物的裏づけをやるという形では、この予算は全然努力されていない、総体的に減額されているのですから。そういう形が出ると思うのですが、そう確認してようございますか。
  254. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) そう言われましても、実はほんとうに困るのでありますが、去年よりは減っておるわけではないのでありまして、船は、去年と同程度船舶は作るようにはしているわけでございまして、今のように私自身も十分承知しているわけでございますが、結果から見れば努力が足りなかったかということになるわけでございますが、ほんとうに奮闘したのであります。しかし、その結果、去年程度のところで落ちつかされたということになったわけでございます。
  255. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは海上保安庁長官を責めるのじゃありません。大蔵大臣があした出るそうですから、少くとも予算折衝の面で、しかも、非常に問題になっていた南海丸の問題なんというものにこたえる、そういう一つの角度からこの予算についての考慮を払われなかったということだけははっきり出ていると私はつかんでいいと思うのです。そういう予算になっています。何を言ったって、私自身がただ指摘しただけの話で、この予算自身が語っておる、こういう点でやはり私は非常に問題があるということを考える。これはまああなたを責めるというよりも、運輸大臣なり、実は大蔵大臣なりの問題、今の政府当局の問題だと思うのでありますが、これは別な角度から私は質問さしていただく。予算の性格そのものをはっきり私自身が指摘するしないにかかわらず、事実そのような予算になっておるということは、これは明確だと思います。この点確認しておきます。
  256. 高良とみ

    高良とみ君 海上保安庁長官、今度の南海丸なんかでもってあれだけの大仕事をされたのですが、あれの国費の出どこですね、そうするとそういう任務だからといってやっておられるのでしょうけれども、その国費が、それだけかかっておるものが、常備の費用のほかに何かあるんじゃないですか。やはりその会社やそれから地方の自治体の負担はそうですけれども、海上保安庁としても何かあるんじゃないですか。時間外勤務とか、そういうものがよほど出てくるのじゃないですか。
  257. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私の方の巡視船は大体既定経費でまかなっておる次第であります。
  258. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御発言がなければ、本日は、この程度で散会いたしたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 天田勝正

    委員長天田勝正君) では、散会いたします。    午後五時五分散会      —————・—————