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1958-02-20 第28回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十日(木曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            井村 徳二君            植竹 春彦君            榊原  亨君            廣瀬 久忠君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省船員局長 森  嚴夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    運輸省航空局長 林   坦君    運輸省観光局長 細田 吉藏君    捕獲審検再審査    委員会事務局長 辻  章男君    海上保安庁長官 島居辰次郎君    高等海難審判庁    長官      長屋 千棟君    気象庁長官   和達 清夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十三年度運輸省関係予算に  関する件)   —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、先般の委員会におきまして、海運局長発言中、訂正をいたしたい旨の申し出がありましたので、この際、これを許可いたします。
  3. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 前回、御答弁申し上げました事項の中に、まことに申しわけございませんでしたが、誤まりがございましたので、つつしんで訂正さしていただきたいと思います。  第一点は、計画変更いたしまして、航路権が消滅しておるというふうに申し上げたのでございますが、本件の場合には、一時休止いたしておったのでございまして、その間、航路権は、実際に運航はやっておりませんけれども休止中のものとして、航路権はまだ残存いたしておるわけでございます。従いまして第二点は、その途中において運賃認可をいたしました。これは航路権のないものに認可をしたものでございますから、事務当局事務の誤まりであると、こう申し上げたのでございますが、休止中のものでございますので、復活いたしますれば、この運賃もまた適用になるわけでございまして、これは前回申し上げたのは誤まりでございまして、休止中のものに運賃認可をいたしました例は今までもございました。実際にまた有効な処置でございました。事務の誤謬ではございません。また第三といたしまして、従って、航路権が残存いたしておりますので、休止の事由が終りました場合には、計画変更をもって新たに認可申請ができる、こういう結論になりました。従いまして、前回計画変更では認可申請はできないと申し上げましたが、これも誤まりでございまして、本件計画変更をもって認可申請をすることができる。もちろん新たに東京大島熱海という線の休止の問題でございますので、大島ー熱海間だけ新たに航路権を獲得して、前回とは全然別な計画をもって新規に認可申請をすることも、これは営業者の自由でございますが、それだけでなくて、前の航路権に基きまして、計画変更認可申請をするということもできるわけでございます。  以上、まことに申しわけございませんが、つつしんでおわびいたします。
  4. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではただいまの熱海ー大島間航路の問題及び自動車関係、さらには南極船宗谷に関する資料提出問題等がございますが、これらはまたあらためてのことにいたします。
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 本日は、主として三十三年度運輸省関係予算に関する件を議題といたしたいと存じます。  先般、運輸大臣より大綱についての説明があったのでございますが、本日は、国鉄関係予算を除き、運輸省関係予算質疑に入りたいと存じますが、それに先立ちまして、まず、各局別説明を求めるわけでありますが、あまりに多くなりますので、この際、港湾関係自動車局関係及び気象関係予算について、特に所管当局より補足説明を求めたいと存じます。
  6. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 自動車関係の来年度予算につきましての要点でございます車両検査、の登録関係につきまして説明をさしていただきます。資料は九番でございます。  それではその資料の三枚目に、概略の御説明書きがついておりますが、予算総額といたしまして、三十三年度は一億二百五十七万四千円でございます。対前年度に比べまして約二百五十万、正確に申しますと、二百四十六万円の増となっております。この中には常勤職員給与及び職員俸給その他の人件費並びに人当庁費は除かれております。増員といたしましては、定員として十九名、常勤職員として十二名、現在百四十名ほどの常勤職員を持っておりますが、その中からの定員化を五十三名というのが概数でございます。  自動車事故は年々車の多くなるのに対比いたしまして増加をいたしておりますが、それらを防止いたしますとともに、自動車の適正な使用を確保いたしますということにつきましては、道路運送車両法に基きます自動車国家検査及び登録ということが現在一番有効な措置であることは言うまでもないわけでございますが、私ども検査登録対象といたしております車両数は、戦争直後におきましては十四万両程度でございました。もう昨今では二百万両をこす状態になっております。うち、正確な数字で、二十七年度以降三十二年度というものを見ましても、お手元に差し上げておりますように、二・三倍——非常に短かい間に二・三倍という数字になっております。大体年間三十万両以上の車が日本でふえているわけでございます。ところが、検査登録要員は、その二十七年から三十二年までの間に一四%程度増加を見たにすぎないわけでございまして、相当現場職員の労働過重というものがございますのと、検査登録業務というものにつきましても、能率低下を余儀なくされている実情でございます。と申しますのは、従前まあできるだけ出張検査ということをいたしまして、自動車所有者の要請を満たしたいということをやっておりましたが、作今では集約的な検査をいたしませんと、激増する車両検査ができないということで、ある程度この出張検査というものも集約せざるを得なくなった。まあ逆に言いますと、行政サービス低下を来たしているという現状でございます。それで私どもといたしましては、できるだけそういったことのないように、車両検査の、あるいは検査登録能率向上をいたしましたり、あるいは簡素化をはかって参りましたのですが、三十三年度におきましては、どうにも現在の業務量を達成することができないということで、先ほど申し述べましたような、頭数におきまして三十一人という増員をみたわけでございます。  それからもう一つ方法といたしまして、物的な施設を改良するということも、検査能力を強化いたしますことでございますので、本年度におきましては、山口熊本本場車検場改築を御審議願っております。これでまあ大体各県に一つ相当規模を持った本場車検場を作るという、自動車局できまして以来の念願が本年度山口熊本をもって完成をするわけでございます。  次に、大都市におきます車検場機械化措置といいますものは、やはり全国的に見ますと非常に率が高いのでございまして、現在東京におきましては、品川足立車検場を持っておりますが、足立車検場は近年できましたもので、ある程度近代化された設備を持っておるわけでございますが、品川車検場におきましては、警察で車検をされておりました当時からの機械をもってやっておりますので、能率が悪い。特に一番大切でありますところのブレーキ検査をいたしますのに、御承知だろうと思いますが、車検場の急坂を下して、その運転によってブレーキテストをするというふうな、非常に旧式なテストの仕方をしておりますが、今回それをブレーキ・テスターにかえて、機械化して能率向上しよう、そのほか諸種の改革、拡張、改築機械化というものを考えて、品川重点を置いていたしたわけでございます。そのほか既設の車検場におきましても、機械の不足を充足いたしますとともに、業務能率向上に資するような機械化措置を講じておるわけでございます。  以上簡単に申し上げましたが、来年度におきまして、車両検査要員はある程度充実されておるわけでございますが、車の増加に対しまして十分とは言えないわけでございますが、私どもといたしましては、この要員をもちまして、できるだけ円滑な車検登録という業務を遂行したいと念願をいたしております。
  7. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、気象庁関係について和達気象庁長官
  8. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象庁関係昭和三十三年度予算について御説明申し上げます。お手元資料十六番でございます。気象庁におきましては、災害の防止ということに最も重点を置いて予算を組んだ次第でございます。お手元資料の順序について御説明申し上げます。  第一番に予報業務改善でありますが、これの要求額は三億一千八百万円でございます。そのうち数値予報業務に一億八千八百万円、そして無線模写放送整備拡充に一億三千万円ばかりであります。で、数値予報につきましては御説明申し上げるまでもなく、近代の予報は客観的、数理的の予報に移りつつあります。わが国でも数値予報を採用し、来年よりこれを実施することになるのであります。無線模写放送につきましても、御承知通り天気図を作成しまして、これを無線放送、つまり電送いたすわけでございます。これによって事務能率向上をはかり、また一般利用者の便に供するものであります。  第二番目は、レーダー観測施設整備であります。これの計上額が三千八百万円であります。レーダー気象観測に重要なる機械となって参りましたことは、これも御承知通りだと思います。特に九州、南の方の地区は雨が多い。またこのレーダー台風に対しても有力なる機械でございますので、今回は種ケ島にこれを設置するための経費でございます。  第三番目は、防災気象業務整備拡充でございます。このうちに水理気象業務と申します水資源有効活用をはかるための観測通報経費が六千六百万円、それから水害気象業務と申します雨の降った量を早く知り、これを通報する業務に対して一億八千八百万円が計上されております。それから次は、航空気象業務でございますが、これは、すでに設けられました航空気象台その他の気象官署におけるいまだ整備が十分でないところの整備と、新しく路線のできました所に航空分室を作る費用でありまして、五千八百万円が計上されております。  第四番目は、気象研究所整備でございまして、このために五千三百万円ほどが計上されております。その他は既定業務維持運営に要する費用でありまして、二十六億でございます。  これらを合せますと、三十三年度総額三十五億九百万何がしでございまして、前年度と比較いたしますと四億六千万円ほどの増額となっております。なお、定員におきましては五十八人の増加を見ております。  簡単でございますが、以上で終ります。
  9. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、港湾関係について天埜港湾局長
  10. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 昭和三十三年度港湾関係予算要求につきまして、資料の七というのを差し上げております。これをごらん願いたいと思います。  最初ページに「昭和三十三年度港湾局予算の概要」とありまして、昭和三十三年度港湾局予算総額は百五億九千六百七十八万四千円ということになっております。これを前年度の額の百二億八千三百九十七万円に比べますと三億一千二百八十一万四千円の増加となっております。  これを大別いたしますと、港湾公共事業に関するものと一般行政事務に要する経費とに分れまして、まず、公共事業費といたしましては、港湾建設改良災害復旧等に必要な経費といたして八十四億八千二百五十一万四千円を計上してあります。これは船舶大型化出入船舶取扱い貨物量増加に対応して、港湾建設改良を行うとともに、台風地震等により災害をこうむった港湾施設復旧等を国が施行するために必要な経費並びに港湾管理者がこれらの事業を施行するに必要な経費事業費の一部を補助するために必要な経費であります。以上のほかに、北海道における港湾建設改良に必要な経費といたしまして十三億九千百七十万円、それから離島振興対策に必要な港湾事業費といたしまして二億三千八十万円を総理府所管に、また、特別失業対策港湾事業費といたしまして四億六千八百万円を労働省所管にそれぞれ計上いたしまして、予算の移しかえを行なって実施いたす予定でございます。  次に、一般行政事務に必要な経費といたしましては、港湾法港湾運送事業法倉庫業法等に基きまして、港湾に関する事業監督並びに指導助成等に必要な経費として千四百八十九万円、そのほかに港湾建設事業に関する事務に必要な経費として八百八十八万円を計上いたしております。  次のページの「三十三年度港湾関係公共事業予算について」でございます。  これは、第一項といたしまして、港湾取扱い貨物量入港船舶増加に対処し、輸送力の増強並びに産業基盤育成強化に寄与するため、イ、として、外国貿易関係ある港湾整備をはかる。特に船型増大世界的傾向に対処して京浜四日市、松山、徳山、下松等の諸港の浚渫事業を促進する、この費用が十五億五千三百八十万円でございます。ロ、といたしまして、石炭、鉄鉱石等工業原材料輸送のため関係ある港湾整備をはかるものとして十八億八千六百二十九万円、この港湾取扱い貨物量入港船舶増加の点でございますが、これは港湾取扱い貨物量は、昭和二十九年には二億三千八百万トンでありましたのが、三十一年には二億九千三百万トン、五千五百万トンの増加を来たしております。また、入港船舶増加は、昭和二十九年には五億八千三百万トンでありましたのが、三十一年には六億五千八百万トン、七千五百万トンの増加を来たしております。次に二番目の、貨物並びに旅客の沿岸輸送力を強化するため地方中小港湾整備をはかる費用といたしまして十九億八千八百五十八万円というのを計上いたしてあります。第三番目には、海難を防止し稼行率の上昇をはかるため外部施設及び水域施設整備を促進するとともに、避難港並びに港湾区域外航路整備を行う、これが三億三百九十五万円でございます。それから四番目には、運輸省所管海岸の保全をはかるため必要な施設整備を行う、これが一億八千五百七十五万円でございます。第五番目には北海道開発のために必要な港湾整備を促進する、これが十三億九千百七十六万円であります。六番目が、都市における失業者の吸収のため港湾事業のうち労務費の大きな事業を選んで失業救済のため特別失業対策事業を実施する費用として四億六千八百万円を計上してあります。それから七番目には、作業船整備費その他といたしまして六億三千八百二十万円を計上してあります。七番目までの計が八十四億一千六百二十七万円であります。八番目の離島振興のために必要な港湾整備を促進する費用として二億四千六百万円を計上いたしております。第九日番には、港湾災害復旧事業については原則として残事業の約五七%を完成するよう措置するものとして十八億一千五百八十一万二千円を計上いたしております。なお、付帯事務費として九千四百九十三万二千円、合計が百五億七千三百一万四千円ということになっておりまして、その詳しい内訳は次のページの「昭和三十三年度港湾関係事業費一覧表」に載せてございます。  なお、その次のページには北海道関係離島振興対策関係、それから特別失業対策関係を合せますと、総計が百五億七千三百一万四千円、前年度が百二億五千九百四十六万五千円、三億一千三百五十四万九千円の増を見ている次第でございます。
  11. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて下さい。  それでは、まず、陸運関係及び航空関係について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  13. 柴谷要

    柴谷要君 まず最初運輸大臣一つお尋ねをしておきたいと思うことがあるのですが、それは、今衆議院において予算審議がなされております。ところが、この予算に関連をいたしまする重要法案が八十一件あるけれども、今日まだ四十三件しか提案されておらない。特に運輸省として企画をされておりまする地方鉄道軌通災害復旧促進法案、この法律案がいまだ出ておらない、未提出の三十八件の中に含まれておるかどうか。それから、これは直接予算関係をしておるのだから、この法律はいつ提出をする見通しなのか、これをまず大臣から最初に御回答願いたい。
  14. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) この法律は今政務調査会において検討中でございまして、あの法律がなくても九州における島原鉄道などの補助はできるという見解もございまして、まだ未決定でございます。これは出すか出さぬか早くしませんと、予算関係があるものですから……。しかし、あれがなくても西九州における災害をこうむった鉄道救済はできるということになりますれば、あるいは取りやめることになるかもしれません。今これは政調会において検討いたしてもらっております。
  15. 柴谷要

    柴谷要君 ただいまの御答弁で間違いございませんか。目下検討中であって、九州地方における災害復旧が、この法律案を出さなくても可能であるという見通しの上に立てばこの法律案は出さぬ、そうなりまするというと、予算に組まれております千四百万というものはおのずと削られると、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  16. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) そうじゃないのです。ほかの方法予算に計上して差しつかえないということになっております。いずれ、これは鉄道監督局長が詳細を知っておりますから、局長から述べてもらいます。
  17. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 大臣のお答えを補足して、なおいま少し御説明いたします。今御指摘通りに、地方鉄道軌道災害がありました場合に、この復旧を促進するための補助法案というものが確かに政府部内でも検討中でございます。ただ、今年度予算に関しまして千四百万円、北九州災害復旧補助費災害費の二割以内ということで計上してございまするが、この三十三年度予算計上額を実施するには、この法律を待たなくても実施できるのであります。従いまして、今後の恒久的な対策として、こういう制度を立てたらどうかということで検討しておりまするので、三十三年度予算の執行に関する法律ではございませんので、その意味で取り扱っておる次第でございます。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 関連して、今の局長の言う二割を計上しておるというのは何の二割ですか、いま一度はっきりさして下さい。金額がわかったら言って下さい。
  19. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それは災害復旧に要しました今までの決算額に対する二割以内の補助金を計上しております。従いまして、この三十三年度予算が御審議の上成立いたしますれば、われわれはこれの準則に基いて正確に計算をして実際には執行いたしますが、予算計上としては、災害復旧に要した金の二割以内、こういうことで計上してございます。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 それでは陸運関係監督局関係の問題と自動車局関係の問題を御質問いたします。監督局予算の中で、戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律、この法律に基いて定められております国庫負担金並びに事務委託費等は、昭和三十三年度と三十二年度を比較いたしますと、非常に減額されておる。ことに、昨年度は、対象人員十五万七千二百人で解雇者が三千人という推定のもとに三十二年度予算が施行されておる。ところが、本年度は非常に額が少くなっておるが、対象人員が減っておるのか、解雇者が減っておるのか、この人員について、局長から説明を願いたいと思います。
  21. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律というのが御指摘通りにございまして、これに基いて、国有鉄道に対して国庫負担金を支給いたしますし、その事務を取り扱います地方の府県に対して事務委託費を交付するわけでございますが、本年度計上いたしましたのは、国庫負担金が二千八百五十二万七千円、事務委託費が三百九十四万九千円でございます。これの算定方法といたしましては、大体事務委託費につきましては、いろいろ仕事にやり方をきめておりますの、でそれに基いて、三十三年度の予想せられる対象件数にそれぞれ積算いたしまして計上いたしたのでございます。それから国有鉄道への負担金につきましては、三十二年度予算額は多分二千八百五十二万円ばかりかと思いましたが、この数字に対して、三十二年度と三十三年度同額に査定して計上いたしたわけでございます。
  22. 柴谷要

    柴谷要君 ただいまの御答弁で間違いありませんか。三十二年度国庫負担金は三千二百六十三万五千円、事務委託費は四百十万八千円ですよ。ところが、三十三年度予算に組まれましたのは二千八百万円で、とにかく四百万円の違いがあり、それから事務委託費については、四百十万円が三百九十万円で二十万円も違っておる。それは対象人員が減ったのか、あるいはその事務能率化をして金額を減らしたのか、このくらいのことは簡単なものだからすぐ算出できると思うのですが、その理由だけ聞かしていただきたい。
  23. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今私が申し上げました額は、国有鉄道に対する負担金について同額と申し上げまして、事務委託費については三十二年度は四百十万八千円でございますので、若干減っております。この減っております理由は、対象人員は減らしておりません。事務委託費関係で、いろいろな事務のやり方の改善によって、五分の経費節減を見込んでおりますので、それだけが減ったわけでございます。
  24. 柴谷要

    柴谷要君 それでは続いてお尋ねいたしますが、三十二年度アフターサービス員海外派遣というものが予算に組まれております。ただ、その内容としては、アルゼンチン、インド、フィリピンに三名ずつ九名送る、こういうことなんだが、それが本年度予算計画の中にそういうことは出ておらぬ。そうすると、昨年度だけでこの問題は打ち切るという考えて計画されて、実施をしてみたけれども効果が上らなかったのか、それとも、もう必要はないのか、これらの点についてちょっと伺いたい。
  25. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点につきましては、鉄道車両等輸出振興対策に必要な経費といたしまして、今御指摘のような問題も含めまして、通産省所管並び外務省所管の方に計上してございます。この実行に当りましては、運輸省がそれぞれの省へ連絡をとりまして、今御指摘のような海外技術協力、であるとか、そういうアフターサービス員であるとかいうようなものの派遣その他に対して、経費の一部を補助すると、こういうことになっておりまして、他省所管に計上せられております。
  26. 柴谷要

    柴谷要君 それでは続いて、海外鉄道技術者招聘補助というのが昨年ありましたですね、各国から何人か呼ばれておるのですが、これは事実おやりになって成果を上げたものかどうか、本年度はそういう計画はないのかどうか。
  27. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 海外鉄道関係の、特に鉄道車両等輸出振興を中心といたします技術協力に対しましては、御指摘のように過去もやっております。たとえば三十一年度におきましては、タイ、パキスタン、インドへモデル・プラントを輸出しておりますし、中南米へ調査団を派遣し、あるいは東南アジアにコンサルタント・エンジニアを派遣しております。あるいはまたイランの国鉄総裁を招聘しております。また三十二年度におきましては、インド、エジプト、セイロン等の国鉄総裁の招聘、山あるいはアルゼンチンの招聘、あるいはまたアルゼンチン、インド、フイリピンへアフター・サービスのための所要人員派遣しております。またインドに対する交流電化の調査というようなこともやっております。従いまして、三十三年度におきましても、これは先ほど申し上げましたように、通産省所管あるいは外務省所管に計上してはございますけれども、わが方と連絡をとりまして、この執行に当っては十分の所期の目的を達したいと思いますが、今私どもが考えております計画といたしましては、東南アジア、中近東地区へいろいろ市場調査派遣というようなことを計画しております。それから招聘といたしましては、チリー、ボリビア等から鉄道車両関係の最高技術者を招聘して、わが国の実情を見せて、PRに努めたい、こういう計画を持っておるわけでございます。
  28. 柴谷要

    柴谷要君 それでは監督局にはもう一問だけで終りたいと思いますが、最近の新聞で踏切危険防止法案ともいうべき鉄道と道路との交差に関する法律案、これをこの国会に提案することになっておる。ところが、非常に国鉄にとって耳寄りの話が新聞に伝わっておるわけです。国鉄の踏切り人件費が一切警手を入れて二十六億ばかりかかりますが、大体十三億ばかり節約できる。非常に耳寄りな話が新聞に出ておるのだが、そんないい法律案がいつごろ出されるか、その内容についてちょっとお尋ねしたい。
  29. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。御指摘のように、私ども鉄道と道路との交差に関する法律という法案を実は部内で準備しております。これはすでに御案内のように、所管といたしましては、運輸省と建設省との両方にまたがるものでございますから、建設省と強力に今、詰めると申しますか、最終的な協議の段階に入っております。私どもはできればこれをぜひ今国会に提案したいと思ってせっかく努力中でございますが、まだ最終案は実は今申し上げた状況で、でき上っておらぬので、一日も早く作り上げるべく努力中でございます。その内容は、大体鉄道と道路の交差、これはいわゆる踏切りでございますが、これの一つの問題は立体交差、交通量も多いし非常に重要度の高い所においては、これは根本的に立体交差にすることが望ましいのでありますので、その立体交差の方式でありますとか、設置基準、管理基準等々についても適当な規定を置きたい。なお、平面交差として残ります踏切りにつきましては、踏切の種別を定めて、それぞれの設置基準、保守基準、構造基準、それから管理の費用分担というような問題について、これを法律でもって明確にいたしたいと考えている次第であります。今御質問のございましたのは、特にこの平面交差の踏切りの費用分担の問題に関することであろうと思うのであります。御承知のように平面交差につきましては、現在では一種、二種、三種、四種と、こうございまして、この一種というのが、踏切番がついているとか、あるいは自動信号踏切りというので、自動的にバーが上り下りするものがついておりますもので、二種というのは、一日のうち一定時間だけそういうものがついて、あとは閉鎖しておりますもので、3種というのは一例のチャンチャン鳴ります踏切信号機がついておりますもの、四種というのは、いわゆる何にもない踏切りでございますが、特に費用分担で問題になりますのは一種と三種でございます。特に、これの新築あるいは改築につきましては、工事費用分担でございますが、今御指摘の問題は、この一種の常時これを維持運営していくための経費関係する問題でございます。その点については、この維持、管理、運営費をどの範囲にするか、これが問題なんでありまして、設備については、これは比較的問題はないわけであります。問題は人でございまして踏切警手、あのいわゆる踏切瀞というものの人件費をどう持つか、これがそういう踏切りというものを別個につかまえたときに、そういう人件費まで両方で合わして持つべきものかどうかという点だろうと思うのであります。御案内のように、この踏切り等の毎年の管理費というものは、大体現在で約年間三十三億四千万円ぐらいであります、国、私鉄を通じて。そのうち二十九億ばかりは警手費でございます。ほとんど大半が人件費でございます。で、私どもの考え方は、維持管理費については、これは道路の安全を守るための効用もあるし、また鉄道の交通の安全を守るための効用もあり、鉄道と道路とが、平たくいえば一つになったような場所でございまするから、鉄道側も道路側もその維持管理責任がある。ついては、それを現在協議でやっておりまするのを、これを二分の一負担という原則を立てたいというが運輸省としての希望でございます。大体この方針については、建設省においてももちろんそう異議のあるはずはないのでありまして、歩み寄っておりまするが、その範囲について、踏切警手を入れるかどうかという問題は、実は最終的にはきまっておりませんで、これは少し話がこまかくなって恐縮でありますが、この踏切警手をかりにそういうふうな範囲に入れますると、現在の鉄道の従業員の資格と申しますか、身分と申しますか、この仕事が多少変ってこざるを得ないのでありまして、まあ何といいますか、一つの公共営造物の管理人、まあ警官に近いような、一つの公務員に近いようなものになってくる。問題が実は別に起るのであります、人事の問題として。従いまして、これをいわゆる事業者の使用人という範囲でつかまえますれば、これはやはり分担からは除かなければならぬと思うのでありまして、そういたしますると、維持修繕費用、先ほど申しましたような大体実額でありますが、警手費を除いてしまいますると、そう大した分担にならないのでそこの問題だろうと思うのであります。これは最終的にはきまっておりませんが、現在早急に実はこの立法の必要がございまするのは、新築、改築費用分担であり、維持管理の責任をはっきりすることでありまするので、ある場合にはこの踏切警手というのは、ほかのいろいろな資格問題が起って参りまするから、費用分担からは一時除くかどうか、その点を今検討している次第でございます。
  30. 柴谷要

    柴谷要君 今、何といいますか、法律案に対する構想をお聞きして、非常に一歩前進したいい法律案だと思います。できることならば早急に成案を得て本国会に提案をしてもらいたいという要望を付して、監督局関係の質問を終り、自動車局関係に移りたいと思います。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 関連して。今の踏切道法案の問題で、今概略はわかったんですが、これは非常に全国の踏切警手の人たちが重大な関心を持っておる問題なんです。ともすれば、踏切りにおいて車道の監視に当っておる人たちに対して、一般の通行が非常に量が多いために問題を起しがちなことでありますから、そういう点について今のお話を聞いておって、だいぶ柴谷委員の言うようによくなるとは思うが、少くとも、やはり単に軌道の問題を立体交差にするか平面交差にするかというだけの問題でなくて、仏を作ったなら魂を入れるという立場において、これらの人たちが安心して仕事ができるというような方針を作ってもらいたい。一つお尋ねしておきたいのは、そういう意味で関係の方々とそういう問題についてじっくり話し合う考え方を持っておるのかどうか、そういうふうなことを参考に、十分法律案を作る前に相談をされるのかどうか、こういう点について一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
  32. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点については、私どもも重大な関心を持っておる次第でありまして、特に、先ほどもちょっと申し上げましたように、この踏切警手につきましても、先ほどのような飛躍的なところまで、警官に近いようなところまで持っていくことは、そう早急にはできないと思いますけれども、そうでなくても踏切信号人としてその職能をはっきりさして、それでそれがちゃんとそういう踏切信号人ということで職務に従事するということで明確にして、いわゆる踏切番がその重大な仕事をやっていきますのに、安心して明確な職務に従事ができるように、一つそういう規定も作りたいということで原案には実は入れてございます。なおそういう点、その他この踏切りのいわゆる警報機のいろいろな信号上の問題については、実は技術面もございまするので、各事業者はもちろん、各関係の方々に実は広くこれは意見を聞いておるわけであります。御案内のように、内閣にも交通事故防止対策本部というのがございまして、その中でも、特に踏切部会というのを作っていただきまして、これには各方面の方をわずらわして特別委員で入っていただいておりますが、その結論もいただきまして出ておりますので、その結論に従ってこの法案の構想を急いでおるわけでございます。
  33. 高良とみ

    高良とみ君 またあとでこの踏切りについては詳しい法案が出てきたときに質問をする機会もあると思うのですが、今準備の過程でお伺いしておきたいのは、今内閣にある交通事故防止対策委員会の結論を得てとおっしゃるのですが、その得た内容の中に、それはもう得ておられるのでしょうか、どうでしょうか、まずそれを伺いたいのです。
  34. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それはすでに結論をいただいております。その結論の内容につきましては、多分この委員会で私が前回詳細御説明いたしたと思いますが、あの内容でございます。
  35. 高良とみ

    高良とみ君 踏切り等に関しては、世界各国、ことにヨーロッパでは交通問題に対するヨーロッパ共同の委員会を設けて、学者を動員しておるようですが、技術家のほかに医者、心理学者なども動員しておるようですが、御承知のように国際道路マークがあるわけですね。これは所管が警察庁であるというふうにお思いになるでしょうが、日本の踏切りは私鉄、国鉄その他を問わず、いきなりその踏切りへ行って一時停止せよとか、あるいはよく気をつけろとか、あるいは今の、踏切番が警報を出すというようなことなんであって、その前五十メーター、百メーターあるいは三十メーターの所に用意のマークが一つもないのですね。ヨーロッパ、アメリカなんかもそうでありますが、この先百メーターに踏切りがある、スピードを落せ。これから行くと五十メーター先にある、三十メーター先にあるから、一、二、三、四というふうな、車はもちろんのこと、人に対しても用意をさせるマークがあるわけなんですね。そういうものについて御研究があるかと思うのですが、どうでしょうか。今の防止委員会の答申の中に、そういう親切なものが必要であるという声が出ておるでしょうか。というのは、いきなり自動車やなんかにストップと言ってもなかなかストップしないので、国鉄研究所の報告の中でも、もちろんその踏切りの一時停止をしないところから起る事故が多いと言っておりますが、やはりこっちが誘導してないのだと思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) まあこれは公安委員会の問題でございまするが、私、存じておりますのでお答えいたしますか、その点は、現在道路のいろいろ、なマークがございまするけれども、御指摘のようなものは、現在でも踏切りの所在を明らかにする予告標という標識がございます。予告標を建値しておる所もございますし、御指摘のように建値してない所もございますので、これはなお親切を欠いておる点は御指摘通りであります。そのために、先ほど申し上げました踏切事故防止対策要綱というのも、これは昨年の十月二十九日に決定を見ておるのでありますが、その中に、踏切りの所在を明らかにするため予告標の設置を推進する、もっと推進しろ、こういう御指示がございます。従いまして、制度といたしましては、現在の道路標識に予告標という制度がございますので、これの設置を推進すべきであると考えます。
  37. 高良とみ

    高良とみ君 もう一点伺いたいのですが、いろいろなマークがあるでしょうが、道路は公安委員会の問題でもありますけれども、また運輸省所管のものがあるでしょう。それは踏切りなり、その他鉄道の路線のまわりにあまりにたくさんほかに広告が多い。ことに、一目瞭然でわかるものが少くて、いろいろと長い文句でもって、この先踏切りあり、徐行を要す、とか何とかいっているうちに車がすっと通るというふうなわけで、これは国際化して、言葉のわからない人もこれから通るでありましょうが、一目瞭然わかるような、絵画的な、子供にもわかるようなものを設置なされるような、これは技術面でありますけれども、いかがでしょうか、そういうところまで親切に進んでいましょうか。今予告標を増加すべしということはわかるんですが、増加したといって済ませればそれっきりでありますが、そういう点はいかがでしょうか。
  38. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点は、私お答えすべき責任の地位にいないものでございますからあれでございますが、予告標及び踏切りの標識につきましては、御案内のようにちゃんと付属の図表できまっておりまして、これは比較的現在ではわかりやすいマークが指定されておりまして、それ以外のものは用いないということになっているようでございます。
  39. 高良とみ

    高良とみ君 わかりました。またあとで、保留しておきます。
  40. 柴谷要

    柴谷要君 自動車局長にお尋ねをいたしますが、昭和三十二年度に、検査施設の緊急整備の必要な経費として四千二百万円ほど計上されて、予算を持ったわけです。その内容としては、津並びに姫路に自動車検査場を作り、あるいは検査用器具を載せた出張検査用の自動車を購入する、こういうことがあったわけですが、これは完全に実施をされ、今日機能を十分活用しておられるかどうか、それからお尋ねして参りたい。
  41. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 検査器具の拡張、並びにそれに伴いまして機動力を持たなければならないので、検査用の自動車を持つということは、年々十分でありませんが、逐次認められております。
  42. 柴谷要

    柴谷要君 津と姫路の検査場は完全にできてたのでございますか。
  43. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 完成を見ました。
  44. 柴谷要

    柴谷要君 それでは両検査場に関係者何名くらい携わっておられるか、この員数を。
  45. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ただいま手元に正確な員数がないので、姫路の検査場につきましては、兵庫の二十九名の車検場定員をさいておるわけでございまして、ちょっとお待ちを願いたいと思います。
  46. 柴谷要

    柴谷要君 昨年、特に業者並びに関係者の方から強く要望をされておりましたいわゆる車検能率向上、あるいは施設改善、いろいろまあ関係者から陳情があって、当委員会を通じて運輸大臣に特にこの問題についての要望を申し上げたはずです。その際、運輸大臣は日の当らない場所の問題を特に取り上げて、大臣としては大いにやりたい、こういう心強い御答弁をなさっておったわけですが、昭和三十三年度予算を見ると、その力強いお言葉の現われとして出てきたのが、たとえば陸運局要員の問題を見ますと、千九百六人が千九百七十八名に増員をされておる、実数七十二名ふえておる、こういう形が陸運局の実態から見て現われてきたわけです。大臣の努力は、今日の激増するところの自動車の中で七十二名の増が適切な増員であるかどうか、それから大臣がわれわれに御答弁をされた内容の、大いに努力をするというが、その努力の結論が七十二名であるか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  47. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も努力するというお約束をいたしました。従って、可能な努力はいたしました。しかし、人員は百名以上程度要求したのでございますが、削られたことは事実でございますが、なお、品川車検場を改造する、あるいは山口の、こういう所にも新しく設けるということで、柴谷さんの言われることと、私の理想は遺憾ながら無力で達しなかったのでございまするが、可能な努力によって、私はある程度改善はそのスタートを切ったというふうに感じておる次第でございます。
  48. 柴谷要

    柴谷要君 それでは重ねて質問いたしますが、検査業務量増加率というものは、昭和二十七年度を一〇〇といたしまするというと、三十二年度は二三〇、いわゆる二・三倍以上に上っておる。ところが、要員事情を見ますというと、五%から約八%くらいしかふえておらないと運輸省では言っておる。ところが、その文面の表わし方の中に、昭和三十二年度の実態からいうと、特に職員には労働過重である、それが、検査登録の重大な支障になっておる、こういうふうに言っておるわけです。ところが、本年度七十二名陸運局でふえたといたしましても、実数七十二名ふえたのではないと私は思う。というのは、運輸省の中で人員を差し繰りをして、いわゆる配置転換をし、一部を臨時職員からあげて、そして七十二名という数字だけを出したけれども、実数においてはそれほどふえておらない。であるから、この数字的に現われた七十二名まるまる増員になったとは考えられない。ある所を犠牲にして、そして重点的に陸運局なり、自動車局の方に人間を切りかえたということだけにとどまっていると思う。それで、運輸省全体の要員事情から見て、決して私は所期の目的が達せられたとは思えないのですが、これらの問題について、どうお考えになっておられますか、見解を承わりたい。
  49. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 増加の実数については、局長からお答えいたしますが、私は理想まで残念ながら行っておらぬと思います。しかしながら、機械改善であるとか、あるいは可能な範囲において、私は車検場の充実改善は出発できると思うのでありまして、われわれの要求通りにはなっておりませんが、しかし、運輸省全体から見ますと、この人員増加というようなことにつきましては、比較的ほかとお比べ願いますと、車検場検査の方には来ていると私は考えているのであります。詳しい数字は、これは率直に申し上げることにいたします。別に隠しもいたしませんから、一つ検討願いたいと思います。
  50. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 実数の問題でございますが、実は二十九年度、三十年度は、毎年度三十六名の常勤職員増員をもらいました。ところが、私の方は非常に人に困っておりますので、一人当りの常勤職員の賃金をなるべくたくさんの人に使わなければならないということで、昨年度増員はなかったのでございますが、この七十二名の実数を百四十人に使っておったわけであります。それで実は予算上は七十二人でございますが、実際上はそれを百四十人に使ったわけでございまして、今回、常勤職員定員化するという問題のときに、大蔵省におきましても、その実情を十分御認識願いまして、従来の常勤職員七十二名は百四十名であるということを御確認していただきまして、その中から五十三人、常勤職員からの定員化をいたしたわけでございます。それで本年度の純増といたしましては、三十=名が新たに加わったわけでございまして、その内訳は、定員が十九名、常勤職員十二名ということになったわけでございます。この定員のつけ方は、ただいま御指摘のありましたように、省内の定員の配置がえということでまかなったわけでございます。
  51. 柴谷要

    柴谷要君 私は今自動車局長が言われたことよりもっと詳しく知っている。これは海の関係から陸の方に移された。海の方は三十三年度人員が減る。そうすると海の方は陸の方より人が余って遊んでいるような感じを受ける。ところが、海の方は非常に困難な仕事をしながら、とにかく重点的に陸運行政の方が手が足りないというので犠牲になっているのだと思う。そうなりますと、少くとも運輸委員会で、日の当らない場所について大臣は大いに努力して何とか充足するという御答弁があったにもかかわらず、その御答弁が実を結んでいないということを私は申し上げたいのです。それを特に大臣においては、これからも非常に努力をして、こういう部門に対して一段と一つ力を入れてもらいたい。それからもう一つ、私がこの委員会でこういうことを申し上げたことがあるのです。御記憶があろうかと思うのですが、実は陸運局の職員が他県出張のために出掛けるのに、二泊三日の出張命令を受けながら、役所から受けた旅費は幾らかというとたった千円。たった千円しか金をもらわない。それで二泊三日の出張ができますか、皆さん。それで、できないために、出先でもって、これは業者の皆さんに便利をはかってもらって、宿泊をしているか、あるいは自分の自腹を切って出張しておる。しかし、自分の任務である限りは、そういうことをやらざるを得ないという陸運局の状態、それを本年度予算を見るとどうですか、頭ごなしに五%、ずっと旅費でも何でもさっ引いてしまったのですが、こういうことをやっていて、この前、そういうことであってはならないようにいたします、という答弁であったにもかかわらず、今度は逆に減少になってきておる、こういうことでは人件費を頭から削ってみたり、旅費を削ってみたりしてつじつまを合せるのは、能力のない人だってできるのですよ、経営者として能力のない人だってできるのです。今日のような優秀な経営者がいるにもかかわらず、どうしてこういうばかげたことをするのですか。二泊三日の出張命令を出しておきながら、与えられた金が千円というのが現実にあるのです。その証拠というなら幾らでも証人を連れてきましょう、現実にそういう人がいるのです。そのために、出た先で多少なりとも業者の厄介になるようなことになる。そういうことでは適切なる運輸行政ができないから、適正なるものを組んでやらなければいかぬと言っておる。大いに努力しますと言うが、していない。努力はちっともしていない。逆に減少が出ておる。この予算案については、私は多くを申し上げる時間もないから、同僚議員にも悪いから私はやめますが、こういう予算の組み方は賢明じゃないと思う。必要な部面に十分与えて仕事をやらせなければ、真に運輸行政が、いかに現在担当されている方方が努力してみても、結果的には内部からくずれてくるのではないか、こういうことを考えますので、大臣は少くとも、前国会から続けてわれわれに約束されたことは、特に閣内で強調されていると思うのですが、あなたの約束されたことは実行してもらいたい。岸さんにいたしましても三悪追放だと言って大いに大みえを切っても、実行していないのと同じことになってしまいますよ。あなただけは岸内閣の運輸大臣として信頼し、あなただけは高く評価しておったのが、この予算案を見ると出てきていない。どうか一つ大臣、今からでもおそくないのだから、大いに努力して、私が指摘したような問題が再び起らないように、これをあなたに要望して私の質問を終ります。
  52. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと関連してお伺いしたいのですが、昨年は検査料の値上げをやったはずなんですが、車検検査料の値上げですね、これは車検事務の円滑を期するために値上げをする、こういう説明であったのですが、その値上げによって得た増収はどのくらいなのか、あるいは増収は全部予算に使  われるよう組まれておるのかどうか、その内容をお伺いしておきます。
  53. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 車両法の改正は、三十一年度にいたしまして、当時から見ますと歳入の方が支出を上回っているような数字になっております。これは先ほど九番目に私の方から資料として提出いたしました「自動車車両検査登録機能の充実」の一番終りにあげておりますが、三十三年度のこれは予想でございますが、歳入歳出の関係につきましては、歳入が六億三千五百五十九万円、歳出を差引きますと、歳入過金が一億八千九百万四千円というふうに一応の算定をいたしております。これはわれわれといたしましても、この車両検査登録の性質上、また、先ほど柴谷先生から御指摘のありましたように、車を持っている人の不便という点から見まして、できるだけ、出張検査もできればやりたい、少くとも五百台以上車の集結している所には、役所の方から行って車両検査をしてあげるのがいいことだと思いまして、努力はいたしておるわけでございますが、ただいま御指摘のありましたように、旅費もふえない、定員もそう十分にふえて参りません、そのために、実は昨年度につきましては、ある程度ただいまのような旅費の関係もございまして、出張車検を集約せざるを得なくなったというような状態になっております。
  54. 大倉精一

    ○大倉精一君 収入より歳出の方が少くて、結局一億八千九百万円もうかったということになる。なぜこうした余剰金を使わないのですか。
  55. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは歳出の方は御承知通り予算でわれわれの方はきまるわけでございまして、歳入金は国庫に納付されるわけであります。その間に何らの関連がないかと申しますと、われわれは大いにあると思いまして、これ一ぱい人件費なり、庁費なりを認めてもらいたいということは努力いたしたのでございますが、微力にして、本年度十分それが認められなかったということは、まことに申しわけないと思っております。
  56. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうなると、車検検査料を値上げするというときに公約されたことがうそになる、値上げによって増収された分は、車検場が不円滑で不便をかけたから、それによって皆さんの満足のいくようなことをやるから値上げをやるのだ、こういう公約のもとに値上げをしたのですが、にもかかわらず、一億八千万という余剰金があり、柴谷君が指摘したような、内部的に非常に窮屈な運営をしているのに、なぜ一億八千万円国庫に納付してしまわれるか。
  57. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 三十一年度のときは私は率直に存じませんが、こういう収入は目的税としてそれに還元するということもございますけれども、現在のところは、一般国庫の雑収入にたしか入るのだと思います。しかし、車検場予算につきましては、こういう裏づけも多少ございますから、大蔵省も、ほかのものよりもよく認めておると私は考えるのでございます。しかし、今おっしゃるような収入増と申しますか、それを直ちに車検場のいろいろな経費に充てるということは、今そういうことになっておりません。
  58. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣はその当時のことを知らぬとおっしゃるのですが、局長、これはどうでしょうね、確かに値上げをするときには、値上げは、車検業務の円滑を期すために値上げをするのだ、こういう公約をしたと私は記憶しているのですが、そうじやなかったですか。
  59. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 実は私、その当時現職におりませんので、詳しい事情は知りませんが、大体こういう料金の性質上、ある程度実費をまかなわなければならない。三十一年度のころは、たしか実費をまかなえないような状態であったと思っております。それで財政当局からも、この料金を上げるようにという慫慂心があり、かたがたあの当時から、先ほど申し上げました定員の増というものもそれに見合って認められて参ったというふうに考えておりますので、もちろんこの料金というものは、料金を上げることによりまして、御指摘のように自動車所有者へのサービスを向上するという趣旨も確かにあったのではないかと考えております。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは大臣も知らぬし、局長も知らぬということになるというと、そのときの公約について知っている方、どなたかおいでになりませんか。これは局長大臣が公約されたという意味じゃなくて、政府が公約されたと私は思うのですが、しかも、一億八千万という余剰金があるにもかかわらず、現在三十三年度に組まれている予算は、柴谷君が指摘したような非常な窮屈な、二泊三日出張で千円しかもらえない、こういうような窮屈な車検業務運営をやっているのは、どうも納得できませんね。一億八千九百万円を残そうというのはこれは公約違反です。なぜこれを使わないのですか。
  61. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 統計的に見ますと、二十八年までは、四千八百万円ほどの歳入が赤になっております、支出と比べまして、その関係は、今聞きましたら、行政サービス向上するというような趣旨も含めて料金の値上げをしたというふうに考えております。それで私どもといたしましても、ただいま御指摘のあるようなことにつきましては、十分財政当局にも説明いたしまして、大幅の増員並びに経費の増もお願いいたしたわけでございますが、財政規模の関係上、本年度はこの程度でがまんせざるを得なくなったということでございます。今後ともこの点につきましては努力いたしたいと思っております。
  62. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは局長さんの答弁の範囲内でないと私思いますが、一億八千九百万円余った金はどこへ使ったのですか。大臣どうですか。
  63. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) こういう収入は、印紙でやるのでございますから、印紙収入の全体に入っていると思いますので、国庫全体の中に入っているわけでございますから、支出の分と私は対照して考えられないと思うの所す。しかし、これだけの財源を持っているのでございますから、大蔵省は、ほかのものと違いまして、車検場経費については、私はそういうことも主張いたしておりますし、また認めていると思う、従来から。今度は御指摘のように少かったかもしれませんけれども、これは私は認めていると思います。ただ、収入増と支出の分はどうするかということは、これは国庫収入の建前上、そういう見方は私はできないと思います。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはどうも大臣答弁がそういう主張もしておりましたということなんですけれども、じゃ果してあなたが車検料値上げのときには、この値上げの分は車検業務の運営の円滑化を期するためにという公約をしているのですから、これはしてもらいたい、こういう主張をなさったかどうか、これはなさらぬだろうと思う。そういう公約は私は知らぬとおっしゃるのですから、そういう公約に基いて大蔵省にかけ合ったということはないはずです。これはどうですか。
  65. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私はそのときのことは知りません。公約は存じません。しかし、裏づけが、収入があるから、だから他の分よりよけい認めてくれということは私は主張いたしております。こういう公約が当時あったからということは申し上げません。しかし、そういうことを私はその当時おりませんでしから知らぬとは申しません。大局的に見て、この車検場改善ということにつきましては、私は可能な努力をいしたます。それでございますから、まあある程度改善、また新設も認められておるのであります。これは十分でないということは私は認めます。その点におきまして、私は皆さんの御期待に沿わなかったかもしれませんけれども、ある程度改善は私はできている、こういうふうに認めております。
  66. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは速記録も何も今ここへ持ってきておりませんので、これ以上申し上げません。しかし、速記録を後日調べて納得のいくように一億八千九百万円という金を計上したことについてはただしたいと思います。でないというと、あの値上げのときに、同じ委員会におきまして、この値上げをしたならば、この値上げの分は、これは車検業務の円滑のために値上げをするのであります、こういう趣旨説明があったと私は思うのです。にもかかわらず、こういう一億八千九百万円の余剰金をたな上げしている。しかも、陸運の関係のこの予算といいますか、非常に不足をしている、柴谷委員が御指摘した通り。にもかかわらず、公約をそのようにたな上げにしておいて、私は知りません、印紙収入の方に行って、どこに使われたかわからぬ、そんなことでは運輸委員会のわれわれ委員として、何か詭弁にかかったような気がする。でありますから、今その当時の速記録を調べて、その一億八千九百万円の使途についてはさらにお尋ねしたいと思いますから、この分の質問は保留いたします。
  67. 中村正雄

    中村正雄君 運輸省予算の全体の質問をする前に、大臣にお尋ねしたいのですが、昨年の臨時国会で、昭和三十三年度運輸省の重要施策要綱というものを当委員会で発表になりまして、大臣からも説明があり、また各局長からも詳細な説明があったわけなんです。従って、私たちとしましても、今度の運輸省予算には、昨年発表になりましたこの重要施策が相当盛られておるものだと思って検討してみたのですが、遺憾ながら、本年度よりも後退している面も相当あるやに見受けられるのです。で、運輸省全体の予算について最初お尋ねしたいのですが、本年度に比べまして、どういう増減になっているか、ちょっと簡単に御説明願いたいと思います。総額だけでけっこうです。
  68. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 御説明申し上げます。三十三年度予算全体といたしましては、行政部費で、前年度予算額が百七十四億二千四百十七万円でございます。三十三年度予算額は、資料にもございますように、百七十九億三千八百九十五万七千円、そこで五億一千四百七十八万七千円というものが行政部費において増額になっております。公共事業費につきましては、前年度予算額が百九億八千九百四十一万九千円、三十三年度予算額が百十三億二千百十三万二千円、これも三億三千百七十一万三千円の増になっておるわけでございます。御承知のように、公共事業費の中には港湾公共事業、それから空港の公共事業、それから鉱害復旧事業費というふうに三つに分れているのでございます。行政部費と、公共事業費を合計いたしますると、前年度予算額に比較いたしますと、八億四千六百五十万円の増額になっているわけでございます。これは運輸省の所管だけでございませんで、他省の所管の総理府とか、あるいは失業対策事業費とか、北海道関係あるいは原子力関係等がございますので、他省の所管と運輸省の所管とを区別して申し上げまするというと、運輸省所管におきまして八億七千百四十一万四千円が前年度予算額に比しまして増額になっているわけでございます。他省の所管におきましては、ここで減っているのでございますが、それが二千四百九十一万四千円減額になっている、こういうことでございます。
  69. 中村正雄

    中村正雄君 一応昨年発表になった重要施策要綱、これを基準にして今分類されました陸運関係とその他の国内関係について質問いたしたいと思うのですが、最初国際収支の改善という面に載っておりまする観光関係についてお尋ねしたいと思います。  この重要施策を見ますると、海外観光宣伝の浸透強化という施策が第一番に載っておりますが、これは予算面を見てみますると、観光事業費補助費は前年に比べて約千四百万減額になっている。ちょっとこと重要施策要綱とは反対のような予算になっているのですが、これはどうなんですか。
  70. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいま御指摘のございました観光の補助金の問題でございますが、これにつきましては、全くおっしゃる通り、私どもの考えておりました、こういう機会に海外宣伝を大いに強化いたしたいという基一本的な考え方と、補助金の額の減額とは逆行いたしておるような形になっております。昨年度予算に、三十三年度予算に比しまして一割弱の減になっております。ただ、この点につきましては、観光事業の重要性につきましては、政府としましてはもちろん考えているわけでございまして、遺憾ながら予算的には補助金が少くなっておりまするが、国際観光の宣伝につきましては、御承知のように民間その他からの醵出金と合せまして実行いたしているわけでございまして、この不足の分につきましては、極力醵出金を増額いたしまして、昨年度以上の実績を上げるように努めたいと考えているわけであります。なお、当初私ども考えておりましたのは、現在アメリカとカナダにしかございません宣伝の事務所を、ヨーロッパ並びに東南アジアにぜひ設けたいと思っておったのでございますが、予算関係、財政的な関係から、これを三十三年度実行することができなくなりましたのは、大へん遺憾でございますが、やむを得ずそういう事情になった次第でございます。
  71. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、海外観光の面については、来年度は本年度よりも予算の面において後退いたしている、こういうふうな状態になっているわけですから、三十三年度運輸省重要施策といううちに書いてある観光事業の振興という面は、これで一体どうなんですか。まあ金はなくてもやれないことはないと思いますが、しかし、それは持に海外の宣伝等になりますると、やはり根本的は予算でありまして、予算と人がやはり中心になると思うのでありますが、予算も人もなくて、観光事業については政府は重要視しているのだ。政府の認識だけでこれが目的に到達できるものではないと思いますが、今の局長説明によりますと、国で不足している金については、民間からの醵出によってまかないたい、こういう御説明でありましたが、この資金計画はどういうふうになっているのか、具体策があれば御説明願いたいと思います。
  72. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 昨年度補助金が一億四千百万円でございまして——昭和三十二年度でございます——それから本年度は一億三千五百万円になっているわけでございまして、先ほど申し上げました約一割弱の減少になっているわけでございます。で、醸出金が、実は昨年度、三十二年度計画といたしましては、六千万円の計画を持っておりまして、これを合せまして二億少しばかりのもので海外宣伝を行うことにいたしておったわけでございますが、実は三十二年度——まだ実は年度最終まで参っておりませんが、この六千万円の醵出金が、非常に当初立てました計画に対しまして困難をきわめておりまして、大体五千万円を少し切るのではなかろうかというふうにただいま見通しを立てておりますが、ただ、これは年度末までに、さらに私どもとしましては、目標達成に努力をいたしたいと、かように考えているわけでございます。なお、三十三年度の問題につきましては、ただいまのところ、一応六千万円という計画でおりますけれども、これは実は予算がこのような格好になりましたので、これをさらに私どもは増額いたしまして、少くとも三十二年度よりは減にならない——これは基本政策要綱の線から見ますると、あるいは非常に遠い、もっと大いに増額すべきはずではないかという仰せがあるかと思いますが、私どもとしましては、少くとも三十二年度よりは、醵出金の増加によりまして補助金の減をカバーいたしまて、若干でもプラスをいたしたいということで、具体的に醵出金の計画について今当っているような次第でございます。
  73. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 関連して一言細田局長にお伺いをいたします。私もこの予算を見て、一番先に不思議に思ったのは実はこの関係なんですが、実は一昨年、私は一応世界を一回りしたときに、各地の在外公館の諸君が言うことは、日本の観光宣伝がまことに足らないのでありますして——実は若干の資料ももらってきました。イタリア、フランス等の比較できるものをもらって参りました。ここへ持ってきませんけれども、これはこの中に印刷費もあるのですね、印刷費もありますけれども、それは内容としてはもう比較にならぬのです。それでイタリアへ参りましたところが、当時の太田大使——今どこにおられるか知りませんがあの方の説明では、イタリアの国際収支、貿易の赤字はほとんどこの観光収入でまあまかなっておるという説明を私どもは聞いたことを記憶している。そこで、でき得べくんば、各国の観光収入——まあ主たる国でいいのです、世界中はとてもできませんから、主たる国の観光収入と、それに使う費用とをお調べになっておれば、お答え願いたいし、もし今お答えできなければ、適当な機会に調べてお知らせいただきたい。いかにも——当時も私一億五千万かそこらだと、そういう覚えで行きましたけれども、的確な数字はここで申し上げられませんが、とにかく大へんな違いだと私は記憶しておるのです。
  74. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいまのお尋ねの資料、全部はございませんので、ただいま手元にありますものだけにつきまして御説明申し上げたいと思いますが、諸外国、特にヨーロッパの観光事業のいわば先進国の観光宣伝費と日本のそれに比べますと、ただいまおっしゃいましたごとく、問題にならない数字でございます。二、三申し上げてみますと、日本につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和三十二年度で約二億、醵出金を含めまして約二億を海外宣伝プロパーのものとして使っている。このほか各商社とか、あるいは航空会社がやっているようなものは、これは別でございます。これと同じことで、同じ範囲で調べましたところによりますと、フランスが——これはちょっと古くなりましたですが、一九五五年の資料でございますが、邦貨に換算いたしまして九億五千万円程度でございます。これは全額政府の補助金でございます、それからイギリス、イタリア、こういうところが約九億、従いまして、日本の四倍半から、もう少し上という形になっております。イタリアにつきましては今申し上げましたが、スイスにつきましては、約六億程度、まあ現在ヨーロッパで特に観光宣伝に力を入れておりますのはフランス、イギリス、イタリアのようでございます。スイスは以前から御承知のような観光国でございまして、大いにやっておるわけでございますが、大体こういう状況でございます。  各国の収入につきましては、今具体的な数字をここに持っておりませんので、これはあらためて資料を取り寄せましてお答えをいたしたいと思いますが、全貿易収入と観光収入との比率で御紹介をちょっといたしますと、日本は貿易の収入に対しまして観光収入が二・三%でございます。これに対しまして、たとえばスイスは一七・六%、イタリアは一一・九%、フランスは五・九%といったような数字になっておりますが、なお、これの具体的な数字につきましては、わかっておりますので、資料を取り寄せましてお答えしたいと思いますが、いずれにいたしましても宣伝費、収入ともに大きな差があることは御説の通りであります。
  75. 中村正雄

    中村正雄君 大臣にお伺いしたいのですが、今まあ局長説明を聞いてみると、非常に嘆かわしいような状態になっているわけですが、今の内閣の基本が、外貨の獲得というのがすべての経済施策の中心になっているときに、運輸省としても観光事業の振興ということを重要施策のうちに取り上げた気持はよくわかりますし、またこれによりまする外貨の獲得が相当金額にしては大きなものになっているわけですが、ところが、こういう施策を決定しながら出て参りました予算書を見ると、わずか千四百万程度ではありますけれども、前年度より後退している。ここに大きな矛盾を私は感じます。なぜこういうふうに減額になったか、大臣の交渉の経過なり、閣議におきます話し合いの結果について御答弁願いたい。
  76. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は大蔵省、閣議その他において、観光事業の国際収支の改善に役立つということを強く主張いたしました。これは宣伝費問題はやはり宣伝でございますから、その宣伝費につきましても、私は可及的に多くなるということを希望し、また主張しておるのでありますが、まあ全体として予算のワクが一千億という増に縛られました結果、配分的には多少減っておりまするけれども、この金額をもっていたしまして現在の日本の国際観光に関する宣伝は全然不可能とは私は思わないのであります。それは金額的に減っておりまするけれども、その内容を充実せしめていく上において差しつかえないと思っております。ただ、これをヨーロッパ方面あるいは東南アジア方面に拡大することができませんでしたことは遺憾でございますが、この範囲内において極力日本を紹介していく、そうして観光の実をあげていくということは私はできると思います。現在日本に対しての認識が、これは観光宣伝もございまするけれども、そのほかいろいろの外交問題とか、あるいはそのほかヨーロッパにいたしましても、アメリカにいたしましても、日本の理解がだんだん認識されてきておるのでございますから、私は、現在六千万ドルほどでございますか、これをあるいは一億ドルくらいに進めていくということはできると思うのでございます。ことに、最近は観光客が相当こういうふうに多くなってきておりますから、一挙にはできませんでしょうけれども、観光による国際収支を一億ドルを目標にしていくということは私どもはできるのじゃないか。本年は十五、六万くらい人が来るのじゃないかと思います。あるいはこれを二十万を目標にしていくというふうに立てていきますならば、私はそれはイタリアとか、スイスに比べましてはまだ足元にも及びませんけれども日本の戦後の十年の今日として観光事業による国際収支の増加は、大勢としてふえている、こういうふうに思っております。
  77. 中村正雄

    中村正雄君 私のお尋ねしているのは、幾ら予算を削られても、予算の範囲内で努力するという理由も立つかもしれませんが、本年度予算を見ても一千億以上膨張いたしている。やはり膨張いたしている予算の内容を政府としても重点に置いて施策も増加していると思います。ところが、観光事業運輸省なり、政府としてもこれは重点を置かなければならぬということがたびたびいわれている。それが前年並みであればこれは普通ですが、前年よりも減っているということになると、これはやはり予算の面から見れば、観光事業は減してもいいのだ、こういう形に現われていると思います。予算の少い面でどうこうする気持はわかりますけれども予算が前年より収縮されていれば別として、一千億以上も膨張しているのに、重要施策のうちの観光の経費が減っておるというのはどう考えてもこれは形式論になるかわかりませんけれども、私は納得できない。そうしますると、出されましたこの運輸省の施策要綱というものが、ただやはり観光事業が後退しておるとしか見られない、いろいろ理屈はあると思いますけれども。この点について今さらここでどうこう言っても仕方がないと思います。民間の醵出金に全力をあげるという局長のお話でありますが、少くとも今残された道は、こういう面について大臣が努力願って、少くとも重要施策であれば、本年度よりもやはり多くの金がなければできないということは常識で考えられるわけですから、この点御答弁願いたいと思います。  局長にもう一点お尋ねしたいのは、観光事業補助費は、これはほとんど運輸省が使うのではなく、一定の法人に補助して、それにもやらすと思うわけです。従って、その法人のやはり使う金の使い方については、それぞれの事務当局において監督指導していると思うのですが、ここですぐというわけには参りませんので、観光連盟その他のこういう補助を与えている会社がどういうふうに金を使われておるか、少くとも最近一カ年間の収支その他の資料一つこの次の委員会までに提出願いたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、新たな問題として青年の家の予算が四千万円組まれております。この青年の家の補助費の四千万円、これはどういう計画になっておりますか、今具体的にわかったところは御説明を願いたいと思います。
  78. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 具体的なことは観光局長からお答えいたしますが、その青年の家の経費四千万円、私もこれは少いと思います。しかし、これは新規の予算として計上されておるのでございますから、主として外国の青年を日本に来てもらおう、そうして日本を紹介するというようなことで、そういう連盟もあるようでございます。そういう人々の家をこしらえよう。しかし、今ずいぶん各府県から申請もございますけれども、それを全国の府県に、五十万、百万を分けるというようなことはせないつもりであります。重点的に、ある施設をやったところに補助をするとかいうようにいたしまして、どうもバラックみたいなものを建てて、国辱になるような青年の家は建てないようにということを、観光局長に私は申しておるのですが、今の具体的な計画は観光局長よりお答えいたさせます。
  79. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ユース・ホステルの問題に入ります前に、先ほど資料の御要求がございましたが、国際観光事業に対します補助金は、現在は財団法人国際観光協会一本にまとめて補助いたしておりまして、昭和三十一年度の決算参照書といたしまして国会に提出いたしてございまして、国際観光事業の助成に関する法律に基いた添付書類といたしましてございまして、相当詳細に出ておりますが、三十二年度については、まだ終っておりませんけれども、必要がございますれば、三十二年の見込みをお出しすることはできるかと思います。  それから次にユース・ホステルの問題でございますが、ただいま大臣からも説明がございましたが、本年度初めて四千万円の補助金を出すことになったわけですが、これにつきましては、ただいまのところ、どれくらい補助をいたすかということにつきましては、原則的には建物の建造費、いろいろ付帯の設備費を除きまして、建物だけの建造費について、原則的には五割、富裕県等につきましては減額をいたす考えでおりますが、こういう考え方であります。なお、それではどのくらいな規模のもので、どういつた形のものができるであろうかということでございますが、大体私どもの方では、一番小さいもので五十人くらいの計画のもので、それから一番大きなものは二百人ないし二百五十人くらい収容できるという程度のもの、またその中間がございまして、三種類ないし四種類考えておるわけでございます。これは、このユース・ホステルを作ります場所によりまして大きさを決定いたしたいと考えておるわけでございまして、必要性が非常に大きいというような所には大きなものを建てたいということでございます。ただいま大臣から申しましたように、小さなものに少しずつばらまいて貧弱なものを作るという考えではございません。あくまでも将来、国際的なユース・ホステル運動というものがございますが、国際的にも決して恥かしくない、りっぱなものに重点的に補助金を与えまして作りたいと考えておりまして、この大きさによりまして数は若干違いが出てくるかと思いますが、大体五カ所ないし七カ所、一番多くても七カ所程度しか今年度はできない。いろいろ御要望もありますけれども、私どもはしぼりまして、数少くてりっぱなものをこの際作りたいということで考えておるような次第でございます。具体的な場所につきましては、実は都道府県の予算との関連がございまして、希望のない所へこちらからやれと言うわけにも参りませんので、いまだ決定は見て、おらないような次第でございます。大体そういう考え方であります。  なお、どういう形のものであるかというようなことにつきましては、一応のモデル的な設計図も作っておりますので、これは資料として一つ提出させていただきたいと思います。
  80. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して一つだけお尋ねしておきたいと思うのですが、この観光事業に関連をして、日本の観光ホテルが非常に高いと、こういうことが国際的な一つの評判になっておると聞いておりますし、私ども昭和二十七年でしたかにヨーロッパに行ったときに、英国の新聞でも、日本のホテルが非常に高いということを非常にたたいておりました。今御説明によるというと、相当補助金を出して、そうして国際的に恥かしくないものを作ると、こういうようにおっしゃっておるが、現在の観光ホテルのホテル代というのは、国際的に見てどんな水準にあるのか、果して諸外国に評判になっているように日本のホテル代が高いと、こういうことになっておるのか、どういう現況になっておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  81. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいま御指摘になりましたように、日本のホテルにつきましてはこれは非常に割高であるということにつきましては、外客の大かたの方々から非常に御批判の対象になっておるところでございます。具体的にどれくらいな金額かということをちょっと調べたものがございますので申し上げてみたいと思います。東京で、室料だけでございますが、浴室付の二人室、二人の部屋で最低が七・八ドルから十三ドルになっております。これに対しまして、たとえばローマにおきましては最低が六・五ドル、最高が十・五ドル、パリにおきましては最低が六・七ドル、最高が十一・五ドル、ロンドンにおきましては八ドルから十二・五ドル、こういうような格好になっておりまして、はっきり数字には出ておるわけであります。それでこの料金が非常に高いということは、どこに原因があるかということで実は私どもとしましては、かなり掘り下げていろいろ検討いたしております。どの部分がこう高くする原因であるかということにつきましては、いろいろ問題がございます。で、これらの点につきまして、必要がございますれば御説明を申し上げ、また対策として考えておるところを申し上げてもけっこうでございますが、まあ一応そういう状態でございます。
  82. 大倉精一

    ○大倉精一君 今、私は掘り下げてそれを検討してなにしようとは思っておりませんけれども、しかし、大体外国人等の評判は、日本の国で観光々々と言って外客を誘致するのに一生懸命になっておる。しかし、日本に行ってみるというと、ホテル代がべらぼうに高い、こんなことでは、何のために一体日本へ行くかというようなことでもって、非常に感情を害して帰るというような観光客が多いということを聞いております。でありますから、こういう点について、やはり補助金もけっこうであるし、なにもけっこうであるのだけれども、しかしながら、なぜ高いか、どういうわけで国際水準まで、あるいはそれ以下にならないのかということを十分検討されて、こういうような施策も十分考えられることが、いわゆる観光事業に対して非常に必要ではないかと思うのであります。でありますから、要望としまして、こういう点については特に留意をされて、そうして適切な施策をあわせて考慮をしてもらいたい、こういうことを要望しておきます。
  83. 中村正雄

    中村正雄君 観光については、まだいろいろお聞きする点もたくさんあるわけですが、直接予算関係ないので適当な機会にして、自動車局長・に一言伺いたいと思います……。
  84. 柴谷要

    柴谷要君 ちょっとその前に、関連質問したいのだが……。
  85. 天田勝正

    委員長天田勝正君) じゃ、それを先に……。
  86. 柴谷要

    柴谷要君 中村委員からいろいろお尋ねがありまして大体わかりましたが、予算不足のため民間の方から吸い上げて使うという御説明がございました。特に窓口を一本にして国際観光協会に加入していて、三十三年度は六千万円を目標にしておる。国際観光協会に加盟しておるのは何社もないと思うのですが、そういう各社に割り当てて、果してそれらの各社が消化し得る金額が持てるか、知っている範囲において、三十二年度の実績にかんがみて三十三年度の目標額が達せられるかどうか、それについて御見解を承わりたい。
  87. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいま柴谷委員から御質問がございましたが、国際観光協会は、御承知と思いますけれども、財団法人でございまして、これの設立者と申しますか、これは日本国有鉄道、それから日本交通公社、それから東京都、この三者が設立者になったものでございますが、財団法人でございまして、加盟とか会員とかいう関係ではございません。これは全日本観光連盟というのがございますが、全日本観光連盟というものに会員という形で入っておるわけでございます。その問題は別といたしまして、醵出金につきましては、おもなものは、ただいま申し上げました設立者の三者、そのほかに観光関係のいろいろなところが入っております。おもなものを申し上げますと、都道府県それから比較的大きな、また、観光に関係ある市、それから各種の交通会社、これは船会社もございますし、航空機の会社もございますし、それから鉄道会社、自動車会社、そういうところがございます。そのほかにホテルの関係、旅館の関係、旅行あっせん業の関係、そういったようなふうに雑多になっておるのでございますが、ただ、私ども今まで、私も至って新米で、非常に深い経験があるわけではございませんが、今までいろいろ醵出金をお願いしておりましたたくさんのところはあるにはありますが、まだ実は外客誘致の宣伝をすることによって相当利益を受けられる、しかも、まだ醵出金は今まで出しておられないというようなところもかなりあるというふうに私ども考えておるわけでございます。現に三十二年度の醵出金の先ほど申し上げましたように目標が達せられないために、これをいろいろ今実はキャンペインをやっておるわけでございますが、これにつきましても、そういう新分野を開拓していこうというふうなことでやっておるわけでございます。既存のものに対する増額に対しましてももちろんでございますが、そういう新分野の開拓をいたしたいというふうに私ども考えておるのでございまして、昭和三十三年度につきましては、徹底的にそういった方面も当りまして、特にまあお願いしておりますようなところは、公共的なところ以外は、外客が来られることによって利益を受けられるというようなところ、これを細大なくねらいましてお願いをすれば、増額の可能性は非常にあるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  88. 柴谷要

    柴谷要君 もう一つ、大体今の御答弁でわかりましたが、ただ、今日までの情勢で、その負担金をさせられております場所が、実はもっと負担金を少くならぬかどうかということで、非常にまあ考えておるわけです。というのは、今局長が言われたように、新分野を開拓すれば、おのずと既存の負担をしておったところが軽くなるのではないかと、こういうふうに考えられる。特に観光客によって利益を得ていながら、その面には何らそっぽを向いて一文も出しておらない。ところが、その恩恵に浴しないような場所でも、何というか体面というか、いろいろな関係がありまして、非常に分相応以上な負担をさせられて苦しんでおるという場所があることは、局長も御存じだと思うので、そういう点にはしかるべく配慮をして三十三年度はやっていただくように希望しておきたいと思います。
  89. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 全くお説のような点があるのでございまして、卒然としてこの表を見ますと非常なアンバランスでございます。私はこのアンバランスにつきましては、ぜひとも是正して、出していただけるところはもっと出していただき、非常に多過ぎるというところがどのくらいあるかそれは別でありますが、少くとも、そのバランスは十分考えて増額要求をしたい、かように考えております。
  90. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 私もちょっとそのことについて要望だけいたしておきます。さっき局長はイタリアの観光収入その他パーセントだけ申されたようですが、イタリアの場合で言いますと、最低でも五億ドルを下らないと私は記憶いたしておる。そこで、しからばこれに対する日本の襲用はといえば、アメリカでも二カ所、多分一カ所二人か三人しか人は配置していないはずです。ところが英国、フランス、イタリア等では大てい五カ所ぐらいあるし、一カ所六、七人はそれぞれ配置している。さっき言ったように、まるで比較にならぬものを配置しておる。こういうことだから、イタリアあたりでは貿易収入の赤をことごとく観光収入でカバーができるというところまでいっておるのですね。それから日本の場合、今、日本ブームはおそろしいといっていいくらい上っておるときなんです。このときに観光宣伝をしなくていつそれが一体できるか、これは外貨獲得の一番いいチャンスと私は信じております。そこで、政府でも重点施策に上げられておるくらいでありますから、大臣におかれても、局長におかれても、この予算については、私は自信を持ってやっていただきたい。今年いかんともならないならば、来年度はもう今のうちから一つ準備されてやっていただきたいということを希望いたしておきます。  それからもう一つ希望申し上げますが、それは多分読売新聞の「あれから十年」という続きものの記事の中にあったと記憶しておりますが、国際学生友の会ですか、あれができた基礎というのが、多分立教の学生かが、銀座を歩いておったところが、東南アジアの学生が買いものをしておる、それが、今自分が値段を聞いた品物を外人と見て即座に倍の値段を言った。これではいかぬというのが、たしかその国際学生友の会の出発であるという記事が出たのを記憶いたしております。国際観光にはそういうところが非常にやはり穴になっておるのであって、その点からいうと、まあ世界中回ってみて、どこへ行っても目ぼしい国というのは、外人が来れば品物はむしろ国内の人に売るよりも引き下げて売る。サービスはぎわめていい。態度はえらく親切だ。何もかも日本とはあべこべという感じがする。そういう面のPRをもっと努力されなければ困る。その面からくずれてくるであろうと思うので、一つこの点も御努力願うことを要望いたしておきます。
  91. 中村正雄

    中村正雄君 自動車局関係は、重要施策の関係輸送力の増強の中の自動車輸送力の増強と、それから交通安全と災害防止、このうちの陸上交通の安全確保、この二つに含まれておると思うのですが、第一の自動車輸送力の増強、これに関しましては、予算には全然載っておりません。もちろん予算措置の必要でないものも相当あると思うわけなんですが、しかし、しさいに検討してみますると、何らかの予算がなければこの施策は実行できないと思う面もあると思う。それに関連しまして、大臣でも局長でもけっこうですから、この施策を遂行するについて、現在の自動車局予算で自信があるかないか、決意のほどを承わりたいと思います。
  92. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御答弁をいたします前に、先ほど答弁を保留した点がありましたのでお答えいたします。柴谷先生の御質問の中で、津と姫路の定員をお答えできなかったのでございますが、調査の結果、津が八名、姫路が四名になっております。また、この機会に、大倉先生の御質問中、私誤まっておりましたので訂正さしていただきたいと思いますことは、車両法収正当時、よく考えると私転任早々でございましたが、現職におりましたので、ちょっと考え違いしておりましたので訂正さしていただきます。それからただいまの御質問でございますが、自動車輸送力の増強につきましては、主として私どもで取り扱っておりますのは民間の自動車輸送でございますので、直接国家予算の面におきましてそういう点はあまりないわけでございますが、われわれの業務の必要上からいいますと、新規にいろいろ要求いたしております。お手元に差し上げておりますものといたしましては、高速自動車道路の検査等をやりますための調査費、これが昨年度五百万円でございましたのが四百七十五万円ということでございますが、これらは将来の日本の高速道路予算のあり方といたしましては、われわれとしては東京ー名古屋間の最終的な調査をこれによっていたしたいということで要求いたしたわけでございます。これは認められたわけでございますが、そのほか私どもといたしましては、街頭検査ということがこの委員会でもしばしば問題になっておりますが、もぐり退治の非常に重要なものであるということで要求いたしましたが、残念ながらそれは認められなかったというふうないきさつになっております。そのほか安全措置につきましても、新しい情勢に基きましていろいろの予算要求をいたしましたが、本年度は新規はあまり認められないという状態でございまして、確信があるかというお尋ねでございますが、私どもは今まで通り、やはり自動車というものが御承知通り非常に伸びて参りましたので、現存定員をフルに動かしまして、また、現在いただいております経費の範囲内におきまして、できるだけそういう施策を推し進めていきたいというふうに考えておるわけであります。
  93. 中村正雄

    中村正雄君 このうちに駐車場法施策の推進という項がありますが、私の考え違いかもわかりませんが、駐車場法は前の定例国会に出ておりましたが、施行令がまだ出ていないと思うのですが、これはどうなっておりますか。
  94. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ちょっと私十分覚えておりませんが、出たかあるいは最近出るという状態だろうと思います。原案は見たのでございますが、実はこれは建設、運輸両省でやっておる問題でございますので、しかとまだはっきりいたしませんから、調べましてお答え申し上げたいと思います。
  95. 中村正雄

    中村正雄君 これがたしか駐車場法によりますと、公布されてから一年以内に政令で施行期日をきめる、また、詳細にきめる、こうなっておるのですが、各地方公共団体におきましては、施行令が出ないものですから、この問題について相当困っておると思うのです。従って、私の知っておる範囲ではまだ公布されていないと思いますので、至急に公布するように準備してほしい、こういう要望を伝えておきたいと思います。
  96. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点につきまして、この施行令の内容につきまして、建設省と私の方といろいろ折衝いたしております段階は聞いておりますが、御指摘のように、私、まだそれを出したという記憶がないわけでございますので、よく調べまして御報告申し上げますが、法律の方ももう一年近いわけでありますから、できるだけ早く出しますように準備はいたしております。
  97. 中村正雄

    中村正雄君 次に、陸上交通の安全確保、これまた国鉄関係は除きまして自動車関係では、今度車両検査登録機能の充実という点で予算化されておるわけでありますが、その他の面につきましては、何ら予算化されておらない。先ほども、直接民間交通の問題であるから予算は要らないけれども、日常の問題についてやはり人も要れば予算も要る、こういう発言であったわけですが、従って、まあこれに関連して、実は前の委員会で新潟県のもぐりの業者について大臣局長との間に答弁の食い違いがあった、あのときに実は質問しようと思ったわけですが、一応予算審議するときに私やったらいいんじゃないかと思って、私の意見を述べながら一つ大臣局長にもう一度御答弁願いたいと思うのですが……。  今ここに出されております資料によりましても、自動車の数というものは最近五カ年間に二・三倍になっておる。こういうふうに資料にも述べられております。ところが、二・三倍になっております自動車の内容は、ほとんどが営業車じゃなくて自家用車であろうと思うのです。営業車については、これは許可、免許の関係でそうふえてはいない。自家用車についてはほとんどもう申請だけでやれるわけですから、この二・三倍、二倍半近くになっております自動車増加の内容はほとんど自家用車である。そういう関係でいわゆるもぐりの業者等が相当ふえてきておる。こういうふうにまあ数字の方から見られるわけなんです。ところが、実際トラック関係だけを見てみましても、そういう監査といいますか、そういう要員は現在各陸運事務所に配置されておらないと思う。私の知っている範囲では、東京であるとか、大阪であるとか、こういう主要な都道府県の陸運事務所には監査要員というのは配置されておって、わずか三名か、五角だろうと思いますが、これは監査に専念  いたしておるわけでございますが、大部分の府県の陸運事務所には監査定員が配置されなくて、いわゆる輸送課に所属いたしておりまするほかの業務をしておる係員がその仕事の片手間に月のうち何日かきめて街頭に出て監査をやっておる、こういうのが現在の状態じゃないかと思うのです。従って、一日監査に出るとあとの始末をするために一週間も十日もかかる。従って、監査に出るとそれだけ日常の業務が結局累積する。また日常の業務も相当あるわけですから、それをやっていると監査に出られないという面が、相当あるのです。従ってそういうもぐり業者の摘発とか何とか、新潟県で問題になったような例は、これは新潟県では問題になりましたけれども、どこの府県にでもいわゆる白ナンバーで営業行為をやっておるのがあるのは、これは天下周知の事実なんです。これを撲滅しようといっても、現在の陸運事務所の定員の構成なり今の人員では不可能だと言っても私は過言ではないと思う。その上に先ほど柴谷君が言ったように、実際には一般の事務費を削減しておる。私は運輸省予算の全体を見て参りますと、指摘いたしましたような大きな費目の削減はこれは一千万、二千万あるいは一億と、こういう非常な大きな数字にはなっておりますけれども、実際事務費とか旅費というものは、一つの局で調べてみたって、全部重ねたって三十万か五十万、年間の範囲内で。この金を削減することは、実際は運輸省の仕事の機能の面においては一億、二億の金を削減する以上に大きな影響を与えておる。私は今度の大蔵省の予算の査定で一番不満のありますのは、こういう政治的な大きな費目についてはやはり削減しなくって、三十万、五十万円というような旅費であるとか、あるいは事務費であるとか、こういういわゆる弱い者いじめの査定である、そこにこの予算の根本に対して不満があるわけです。こういう面に対して大臣はどういうふうにお考えになっているか。それから前の委員会で問題になりましたもぐり、業者の撲滅も、人がいないからできないのじゃない、こういうふうに大臣言われましたけれども、私はまあ幾分陸運行政についてはくろうとの部類に属するわけですが、各陸運事務所の状態を見ましても、そういう道路運送法の考えております体系を維持できない根本の原因は、私は人員の不足と経費の不足にあると思っております。これに対しては、山内局長と大体意見が一致するわけですが、この点は大臣はどういうふうにお考えになるか。また局長はどういうふうにお考えになりますか。
  98. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は新潟の例を見ましても、わざわざ私は局長まで呼んでおるにかかわらず、手ぬるいです。そこで、昨日か一昨日ですか、局長人員が足らぬというから、私はそこを乗り切ればできると思います。人員が足らぬからできないということは、これは皆さんに対して、はなはだなまぬるい答弁をしておると思います。これは私は人員は足らないけれども、しかし、もぐりについては努力をする、こう言うてもらわぬと、私も所管大臣としてはなはだそっけない答弁だと思いましたから、終ってからも私はそれを率直に言ったのでありますが、しかし、これはやろうと思ったら私はできないことはないというのです。そういう私は乱暴な議論かもしれませんけれども、官庁の仕事というものは、やる気がないから、これは柴谷さんも言われたように、熱意がない、私はそういうことだと思います。熱意と勇気をもってすれば、あの狭い道路でもぐり業者をある程度取り締ることができないということは私はないと思います。こういう内輪話をいたしまして相済みませんですが、私はそういう意味で申し上げた次第でございます。  それから事務費のこまかい経費でございますね。これは非常に削られたものじゃないのですね。ある点において、これも大蔵省の官僚と運輸省の官僚ですね、この人たちは政策上の経費よりも割に事務経費をよく見ている。まあ、同じ同僚というのでございますか、私は楽な見方ですけれども事務費的なものは割に最初に認められておると思います。しかし、その金額の配分につきましては、いろいろの観測もできますけれども、わずかな十万、二十万の金は割にあとから認められておる。これは一々官房長からも御答弁を申し上げるので、そうむやみに切られておるものもないと私は思っておるのでございますが、これは官房長から一つお答え申し上げます。
  99. 中村正雄

    中村正雄君 官房長の答弁はあとから聞くとして、大臣の前の委員会答弁の内容は了解いたしますが、新潟県の場合は、やる気があれば、それはほかの仕事を犠牲にすればできるかもしれませんが、私の知っている範囲においては、たとえば近畿の滋賀、京都、大阪、兵庫この四県ぐらいの陸運事務所の状態を見ましても、今こういう事態が起きているからやれといえば、総動員してやればやれないことはないと思うのですが、もしそれをやれば日常の業務が渋滞するわけです。そういう関係でいわゆる監査要員というものが全国の陸運事務所へどの程度配置されているか、一ぺん局長から御答弁願いたいと思います。おそらく局長の御答弁の内容では、私はこの監査ということは徹底していないと思いますが、それに対する一つ御意見もあわせてお伺いしたい。
  100. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 先般の私の御答弁少し不備がございまして誤解を生じたわけでございますが、私といたしましても、大臣の御答弁と同じつもりで言ったわけでございます。といいますのは、実は職員組合とは私、しばしば会っております。ほんとうの内輪のことを申し上げて申しわけないのでございますが、職員組合としては、ほんとうによくもぐりのことにつきましては努力をしてくれていると私自身思っております。しかし、ただいま御指摘のありましたように監査要員というものを配置している、これはほとんどございません。それで、このもぐり退治といいますものは、単に取締りだけでなくて、場合によっては、自分の身に危害が及ぶということもあるわけでございます。たとえばハンカチ・タクシーというような方々をつかまえましても、今般も相当の問題が起りましたが、中には強盗、強姦前科何犯というような人がございまして、そういう人を警察力を用いてわれわれの職員が調べるということも非常に困難なことでございまして、そういうことを組合からもしばしば聞いておりますし、私も実情を知っておりますので、大倉先生への御答弁には、そういう中でも職員は全力をふるってやっているということを言いたかったと思うのでございますが、言葉が足りなくて誤解を生じた点ははなはだ申しわけないと思っております。ただいま御指摘のありましたように、監査要員というものを持っておりますのは、大きな事務所だけでございます。たとえて申しますと、札幌の陸運事務所の定員は輸送課が五名、うち課長一名、係長一名、一般が三名というふうになりまして、旅客係が一、貨物係一、そのほかが一という、定員の非常にシンプルな配置でございまして、貨物のもぐりをつかまえますときには、その一人の人がほかの仕事と一緒にやらなければならないという定員配置でございますので、私といたしましては、この係だけでなくて、総員でそういうものはやってくれ、常時の配置している定員はないけれども大臣の御指示にもありますように、そういう違法状態というものは道路運送法上から認められないことであるから、警察、あるいは場合によりましては、業界の助力も願いまして、総員でそういうことをやるように指導しておりますので、現在では専門の定員はございませんが、どこの事務所でも計画を立てまして、もぐりの不正なものに対しては立ち向っておるわけででありまして、先般の御答弁に少し、職員があまりに苦労いたしておりますので、私自身がその気持を強調し過ぎた余り、定員がなくてもやれるというふうな誤解を生じた点がございますことは、はなはだ口不精でございまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。
  101. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 御説明申し上げます。ただいまのお話で、事務費は特に痛めつけられておる、こういうお話でございますが、予算の編成の方針といたしましては、旅費は五%減、庁費は原則として五%減、こういうことで編成の原則を示されております。これは各省共通でございますが、ただ庁費の場合につきましては、研究機関、あるいは学校といったようなものにつきましては、原則からはずして三%減、こういうことであったわけでございます。そこで、旅費の額だけで言います。と、なるほど三千百四十一四千円減になっておるわけでございます。ただ庁費の問題につきましては、予算編成の方針といたしまして、物価は下る、約五%程度安定して下る、こういうことが前提になっておりますので、原則として五%減、そこで、まあ旅費、庁費の分につきましては、約二億二千七百万ぐらいの減になっております。ただそれだけを比較いたしますと、そういう節約額を食ったわけでございますけれども、新しく認められましたような事務費的なものもございますので、全体として、旅費につきましては七千円の減、庁費につきましては一億八千九百三十万一千円の増と、こういうことになっております。やりくりがありますけれども全体といたしましては額はふえておる、こういうことでございます。
  102. 中村正雄

    中村正雄君 官房長に伺いますがね、今の予算の内容で、大体旅費なり、あるいは事務費等は、これだけの仕事をするについて遺憾のないようにやれる自信があるのですか。
  103. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 庁費につきましては、一応物価が安定して下るのだ、こういうことでありますので、これはまあ問題は別にいたしまして、旅費につきましては、運賃が下ったわけでもないし、宿泊料が下るかどうかわかりませんが、この点は私から申し上げるのはどうかと思いますが、予算のワク内でできるだけの経理をしていかざるを得ない、こういうことで、自信があるかどうかと言われますと、その点は与えられた予算の範囲内で十分の努力をいたすより仕方がない、こういうことでございます。
  104. 中村正雄

    中村正雄君 最後に、私は要望しておきますが、結局事務費の不足であるとか、旅費の不足ということが仕事の能率に非常に大きな影響がある原因の一つであります。もう一つは、特に監督行政をやっております運輸省が、やはり事務費の不足なんかをどこかでカバーしなければならぬ場合がある。それが業者とのくされ縁になったり、それが今までのいろいろないまわしい事件には、そういう原因があったわけです。そういう点について、本年度事務費が十分だったとはいえない。その上に削減されているわけですから、今からここで復活を言ってみてもどうにもできないと思いますが、これの運用については、ほかの費目で節約できるものがあって流用できれば、そういう面にも御留意願いたいし、来年度予算編成については、そういうものは五%あるいは一〇%というように一律に削減するということでなくて、事務の実態をよく見て、やはり行政が円滑に運営できるようなそういう費用だけはお考え願いたいということを要望して私は一応質問を打ち切りまます。
  105. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をとめて。   〔速記中止
  106. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 先ほど私は車両検査手数料の値上げのための一億八千九百万円という余剰金がたな上げしていることについてお尋ねしたのですが、当時の速記録がここに届きましたから、これに従ってさらに質問をしたいと思います。  このときに、吉野運輸大臣は提案理由説明いたしまして、その最後にこういうことをつけ加えております。「本法案は、いずれも手数料を適正化して、検査登録業務の円滑をはかるための改正でございますので、何とぞ十分御審議の上すみやかに本法案を可決されるようお願いいたします。」、こうなっている。でありますから、この値上げした分は、これは今までいわゆる登録業務というものは円滑でなかった、でありますから、検査登録業務を円滑にするために値上げするのだから可決してくれ、こういう工合におっしゃっている。それから、その次の委員会のときに、私はこういう質問をしております。「この提案理由説明を見ますと、二百円を三百円に値上げする理由として、自動車大型化した、構造装置が複雑化した、だから検査も複雑化した、こういう工合に書いてありますが、これはそれだけ、二百円を三百円にするに値いするようなそういう手数が、実際問題としてかかるのですか。」、こういう質問に対しまして、山内政府委員は「これは御指摘通りでございまして、原価計算をいたしますと手数がかかりまして、そのために二百円を三百円にいたしたわけでございます。御承知通り、行政手数料というものは幾らにしなければならないという規則はございませんが、従前の例で申しますと、もちろんこれによって利益を得るということは、政府の行政行為でございますので、そういうことは考えていないわけでございます。」、こうなっている。これによって明らかのように、いわゆる二百円を三百円に値上げした、あるいはまた運行許可手数料五十円を百円にした。こういうことは実際それだけ手数が原価計算をやるとかかるのだ、こういうことを説明しておられる。そして決してこれによってもうけようとは思っていない、こういうことも言っておられる。しかし、現実にこの予算を見ますと、一億八千九百万円もうかっている。それを使わない。理屈では、車両検査登録業務の円滑化をはかるため、こう値上げをするとなっているが、そうしますと、この一億八千九百万円というものを、そのために使わないとなると、公約違反ではないですか。その当時われわれはその通りだと思って賛成したのですが、これはどうも食い違っているのではないか、これは大臣どうでしょうか。
  108. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) その増収がどういうふうにして出たか、自動車の車体が多くなったからか、この点は局長から答弁させます。予算経理の立場から申しますと、これは繰り返して申し上げるようでございますけれども、これは収入印紙によって収入として入っている、それの収入だけを区別にして、また歳出に充てるということには私はなっておらないと思う。全体として国庫の収入に入っている、そして経費として支出し得るというわけでございますから、私どもとして、増収があったから、それだけせなければならぬという建前になっておらないと思います。しかしながら、われわれが予算編成のときの主張の場合において、これは当然これだけの財源の裏づけがあるから、われわれの経費分を出してもらいたいということは言い得ると思うのでございますけれども、一億八千九百万円よけい出しておるから、これだけ施設をよけいせいということは、国庫の収入の立場から見てどうかと私は思うのでございます。
  109. 大倉精一

    ○大倉精一君 それではもう一つお尋ねするのですが、この一億八千九百万円というのは、いわゆる車検料の値上げ、あるいは運行許可手数料の値上げですね、これによって生じた増収分でございますか、一億八千九百万円というのは。
  110. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) それは印紙収入と予算でもらいました数字との差額でございます。
  111. 大倉精一

    ○大倉精一君 どっちにしてもこれはいわゆる検査料とそれから手数料、そういうものの値上げによって、こういうたくさんの収入を得てきたということに間違いないわけですね。であるから、いわゆるこの法案を審議するときに、手数料を適正化したわけかもしれませんけれでも、適正化して、そうして検査登録業務の円滑をはかる、こういうことにならなければ、この法律の本旨というものは成り立たないわけです。そういうことであったためにわれわれは賛成したわけです。そうしてこれは適正化された分であるから、これは別に余分なものでないということになるのです。あとの、そのときのあなたの答弁を見ましても、もちろん、これによって利益を得るというようなことは、政府の行政行為でありますので、そういうことは考えていないわけでございます、こうなっておる。であるとするならば、その当時われわれがこの法律案審議した記憶からいきますと、これによって、今までいわゆる予算の不足のために不備、不便を感じておったところの、そういう車検登録業務なり、あるいはそういうものが今度は円滑にいくであろう、こういう認識のもとに、われわれはこれを賛成したわけですが、そうじゃなかったのでしょうか。それじゃ、なぜこの一億八千九百万円というものを使わないのか。この当時そういうつもりでわれわれは賛成したのです。しかも、今度の予算を見てみると、きわめて不十分である。新潟の場合でも、中村君から質問がありましたけれども、これは私は現地からいろいろ参考人に来ていただいて質問してからお聞きしたいと思っておるのですが、そういう工合に、いまだもって足りない予算である。どうも私はこの一億八千九百万円というものを使わないということは納得いきません。
  112. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 検査手数料の収入がふえましたのは、御指摘のように検査登録の料金の値上げも影響しておりますが、年々増加いたします検査対象車両、あるいは登録対象車両の増というものも大きく影響いたしております。それによりますと、改正いたしました当時の検査対象車両数が百四万両でございましたが、昭和三十三年におきましては百四十二万両という見込みになっております。また登録車両数におきましても、昭和三十一年当時九十九万両のものが、百三十六万両というふうに見込まれておりまして、これらが収入の増に非常に大きな影響を与えておると思います。また御指摘のように、国家のやりますそういう検査というものの行政上の性格が何かということが、当時あるいは御質疑があったかと思いますが、一応行政的には実費徴収というのが建前でございまして、その趣旨から私そういう御答弁を申し上げたわけでございます。で、こういう何と申しますか、車両検査といいますことは、これは国家の義務でございまして、義務を遂行する一つの仕事でございますのでこれによって国家が収益を上げようという仕事ではないということは御指摘通り、われわれもそのように考えまして、そのように大蔵省には説明をいたしております。ただ当時、三十一年度当時にも相当要員の要求をいたしておりました、といいますことは、昭和二十七年に車両数を一〇〇といたしまして、昭和三十一年には車両数は一九七になっておりましたが、人員から申しますと、昭和二十七年が一〇〇といたしまして、昭和三十一年が一〇五というような状態でございまして、これは昭和三十一年に改正いたしたのでございますが、その前の年には一〇〇ということで 昭和二十七年から昭和三十年まで全然定員の増がございませんでした。しかし、車はどんどんふえてくるということで、われわれの先輩といたしましては、毎年こういう定員の要求をいたしたわけでございます。その際に、当時まだ日本におきますそういう車両検査の何と申しますか、検査場の整備が十分できておりませんで、毎年毎年国から金を、相当の予算をもらいまして、各方面に検査場を作っている、そうしますと大蔵省の方では、車両のそういった検査であるから、いわゆるそういうものを使用する者からも、一部負担すべきではないかというような意見も強く言われまして、われわれといたしましても、その意見を肯定いたしまして、車両のそういった料金の値上げをしたわけでございます。その後二年続きまして、先ほど御説明いたしましたような三十六人ずつの常勤の定員の増を見たわけでございます。
  113. 大倉精一

    ○大倉精一君 数字のむずかしいことを並べられてもわからぬのですが、今お話を聞いていると、収入増加の原因の一つは、車両数がうんとふえたので、この面においても収入がふえたのだとおっしゃるのですが、車両のふえる傾向は、商売だからちゃんとわわっていると思う。車両がふえて、そうしてそれによって収入がどんどんふえていくという見通しがあるならば、手数料を上げなくても、余っている金を、たな上げするようなものを生み出さなくてもいい、なぜ余った金をたな上げするくらいなら、二百円を三百円にしなくても、二百円でけっこうまかなえる。それはそれとして、車両増加数、それはおそらくあなたがたのそろばん勘定に入っておったと思う。そうして実費だ実費だとおっしゃるけれども、実費なら二百円でいいはずです。一億八千万円今余分な金が出てきたのだから、決して実費じゃない。ですからそういう数字的なあなたの方の、あれやこれや、ややこしいことはしろうとにはわかりませんけれども、ただ、本案を審議するときの約束と全然違うということを指摘しているわけであります。大臣、これはどうでしょう。われわれはそういうつもりで賛成したわけじゃないし、また現場のこれに関係する人々もこれによってわれわれも今後円満に仕事ができるのだ、あるいは業者の方でも、これによって助かるのだと、こう思って喜んだに相違ない。ところが、やってみるというと、確かに金額は一億八千万ふえて、やれやれと思ったとたんにたな上げにされて使われないで、相変らず現場が不利な状態にあるということですね。
  114. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、しばしば繰り返すようでございますが、国庫の収入は、これはともに一体としてあるわけでございまして、これは何何といって区別せられないと思うのでございます。しかし、それが歳出となって現われた場合におきましては、われわれとして、これはこの収入によって得た金があるのだから、裏づけの財源があるから、歳出においても十分見てもらいたいという主張を、私はするだけでございまして、そう商事会社のバランスシートというふうにいかないと思うのでございます。
  115. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと。今大臣のいわれるのは、歳入と歳出とは別だ、こういうことを主張されているのですが、それはその限りにおいてはそうなんです。ところが、今大倉委員指摘している速記録は、政府委員として答弁されている、自動車局長が、本院において。やはり政府委員に非常な制限を与えるということは、政府一体、要するに責任の立場で答弁願わなければならない。そこで、政府委員等については、参議院においては議運において非常に厳選をする、ですから、局長が言われようと、政務次官が言われようと、大臣が言われようと、政府の答弁と聞いている。その答弁の中には、歳入と歳出とはそれぞれ別であるけれども、しかし、この件に関しては、別途歳出の面で決してもうからないように配慮する、という意味がうたわれておる。ですから、歳入と歳出はそれぞれ別であるけれども、歳出の面においてこれに、歳入に見合う額を計上すべきであると、こういうふうに分けてお考え願えれば、繰り返し繰り返し同じ答弁でなしに、それは今後努力をするなり、その努力が至らなかったなり、何とかという答弁になるわけです。そこのところのけじめはつけておかぬと、何べん……。
  116. 大倉精一

    ○大倉精一君 何べんでも言うようだけど、僕の言ってることに答弁がしてもらえぬから——どうも僕の日本語がへたかもしれぬけれども、やっぱり答弁してもらわないと困る。
  117. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ですからそういう意味で、やはり政府委員答弁であるということをまず第一に頭へ置いていただき、その答弁の中には、これは検査を適正化するための値上げであるがゆえに、もうけるようにはいたすものではないというのであるから、歳出歳入は別であっても、歳出の面においてこれに見合う計上があってしかるべきだと、さきの答弁を引き伸ばせば自然そうなる。ここに大倉委員の質問があるのでありますから、その上で一つ局長なり大臣なり、御答弁を願いたい。
  118. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の委員長のそういう趣旨で、もう一回大臣にお伺いしたいんですが、それじゃ、閣議で予算の編成のときに、あたなは閣僚として、この値上げをした法律案の趣旨弁明の趣旨と、それからこの当時の審議の経過を反映されて、これはこういうものであるということを一つお考えに置いて主張されたかどうか。おそらくこれは、この当時知らなかったとおっしゃったからして、おそらくそういうことなかったと思うんですが、これはどうでしょう。
  119. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私はその当時のことを存じませんから、そう申しません。しかし、最後に大蔵大臣と個別的に会いましたときに重要項目をしぼったんです、国際海運とか……。その中にこの車検場の充実ということについて私は項目の中に入れまして、そして大蔵大臣に次のごとく説明——これはまあ内輪のことで、申してよろしゅうございますか……、別に私談したわけじゃない、密談じゃないんですから、公けの話しでございます。そのときに私の申したのは、これだけ六億も収入を得ておるじゃないか、その得ておるということを考えて、一種の僕は裏づけ財源だと思うから、車検場に関する件はわれわれの言う通り認めてもらわなければ困る、ということは私申しました。これだけの努力は私いたしましたが、今、吉野大臣当時のことは私は存じませんでしたから、申し上げませんでした。
  120. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私は、この法案を議員として責任をもってこの審議をし、賛成した手前から、今一億八千九百万円というものを、その当時の約束を違えて、そうしてたな上げしてしまうということは、どうしても私は納得できない。  もう一つは、あなたの方の内閣で汚職の追放ということを盛んに言っておられるんですけれども、先ほども中村君がちょっと言いましたが、いわゆる声の小さいところの予算というものはなかなかくれない、こういう末端の方、特に陸運行政の予算なんというものは、いわゆる福助予算で、上の方は予算は大きいけれども肝心の窓口におけるところの現業の方の予算は非常に少い。ここに、それじゃ陸運事務所の予算が非常に少いという場合はどこに帰するかというと、実態は民間業者なり何なりから寄付を強要すると、そういう現象が出てくる。そういう現象が出てくるならば、これは監督官庁としての機能が果せないのは当りまえのことだ。新潟の例においても、いわゆる陸運秩序の紊乱ということは、監督官庁の末端において、そういうことが一つの必然的な現象として起ってくる。であるからして、そこに監督官庁としての機能が麻痺してしまう、そういうところに非常に大きな問題があるんではないかと思うんです。そういうところにこれはつながっておるんです。でありますから、私は納得できない。この一億八千九百万円をそういうところに使っておられるのか。まだまだ万全でないでしょうけれども、しかし、一歩一歩でも前進になると思う。そういうところが末端の実情を無視して、ほおかぶりして、あるいはそういうことは知らないかもしれません、そういうところの実情を無視して、こういう金は約束あるにかかわらず使わない。そうして相変らず末端の方では苦労惨たんをする。新潟の陸運事務所は、あそこに行ってみますとひどいものです。わずかにちょっと五万か六万かければ直せるところにそういう予算がない。そういうところで、あすこに車検をもらいにくる人やら何かがひしめき合って、雨の降る日は中に入る場所がない、そういうことを無視して、そうしてこの約束をたがえて、当然使うべき金を使わずにおいて、金もうけをしているような印象を与えるのは私はけしからぬと思う。どうしても一億八千九百万円はどうも……。そうしてもう政策はりっぱに、陸上交通の安全確保や、あるいは自動車の事故の総合究明や、あるいは新潟の問題については、私は断固として決意を持ってやっておると言っておっても何もできない。金がないかといえば金はある。一億八千九百万円ある。どうもこれはそんなことをほうっておけば、何のためにわれわれが一体審議しているかわからなくなってしまう。作文をわれわれが訂正したり、赤鉛筆でチェックするような格好で何も意味がない。委員長、これは、この金の処理について、私は要すれば大蔵大臣に来てもらって、一つここで弁明してもらいたいと思います。
  121. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは後刻にいたしますね。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  122. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて下さい。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと、今の大倉委員の質問を聞いていたんですが、これはよく起ることだと思うんです。法案を通すときは、よくいろいろうまい説明をやるわけです。法案が通ってしまうと、あとは野となれ山となれという傾向が非常にある。これは国鉄の五ヵ年計画なんかについても、あとでわれわれは質問したいと思っておるんですが、そういう点はどうなんですか。吉野運輸大臣時代に先ほどの法案は通ったと思うのですが、そういう政策については、これは大臣も踏襲するのですか、どうなんですか。そういう方針が明らかにされて、その説明を了解して、そのもとに法案は賛成されたということにさっき聞いているのですが、ばらばらになって、同じ自民党内閣で、そして大臣はかわったからといって、あとは野となれ山となれでは、これは非常に私はまずいのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。これは単に今度の法案、今だけの問題じゃなくして、いつでも法案審議の中で起ってくる、これは常習的なことなんです。これについて大臣の所見を一つただしておきたい。  もう一つは、大体車検という問題は、非常にこれは、人命とも関連した安全の問題だと思う。ある場合は国家で足し前しても、この安全を当然保全すべき問題じゃないかと思う。ところが実際は、これによって利潤を上げて、それが雑収入の方にたな上げされている、こういう事態は、これはなかなか納得できない面があるのではないか。元来どういう性格のものであるか。この二点、私は関連してお聞きしておきたい。
  124. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、吉野大臣の時代の、手数料ですか、検査料の値上げのことにつきましては、別にこれを踏襲しないとかするとか、私はそういうことは申しません。予算の上から見まして、私はこれを繰り返さざるを得ないのです。そうおっしゃることは、ちと私は無理じゃないかと思うのです。一応印紙収入に入っておりまして、そして別に一億八千万の利益がたな上げされておるわけじゃないのであります。つまり六億円というものは、これは印紙収入に入っておるのでありますから、それを大蔵省が全体として査定してくる。しかし、繰り返しますごとく、これだけの収入があって、裏づけの財源があるじゃないか、だからこの車検場の問題には、ほかのものよりもよく計上してもらいたい、こういう要求以外、私はどうもお答え申し上げることはできないと思うのです。しかし、当時の自動車局長は、よく事情を知っておると思いますから、その手数料というものがどういう性質のものか、これはなかなか議論があると思いますが、局長から答弁さす方が私は的確であろうと思います。しかし、法案が通ったら、あとは野放しである、あとは責任を負わぬとは申しません。しかし、今のような手数料の性質は、検査料と申しますか、あの予算の上から見れば、私は、そういうものになるだろう、別にイヤマークされまして国庫の中に入っておらぬのです。全体としての印紙収入の中に入っておるという解釈、そしてそれを全体として、経費として支出されておる、こういうふうに私は解釈する以外にないと思うのでございますが、いかがなものでございますかな。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ第一の問題、お伺いしますが、当時だって、その論議の中で、今言った財政法上の建前ぐらいは、少くともこれは政府もわかっておったろうし、それから質問した大倉議員がわからないということは考えられないのです。それにもかかわらず、今のような、一応の約束をこれはつけたわけでしょう。そうすると、今のような大臣の御答弁になるというと、もう全然これは先約はできない。できないような建前になっているということを承知の上で、そうしてそのときは法案を通せばいいのだからというので、のど元過ぎれば何とやらということで、やったことになりますね、今の御説明をどこまでも通されると。そういうふうな財政法上の建前は一応それとして、実質的に、どうそこを打開し努力するべきかというところに問題はあったのだと思いますよ。そうでないと、今のような答弁が、答弁まかり通るのじゃ、私はどうしてもおかしいと思う。この点、どうなんです。
  126. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは私の予算の考えの収支論の方からいって、そういうふうに私は考えるのです。これが目的税でありまして、この取った税金が道路改修に使われる、あるいは車検場に使われるというなら、これは私はわかると思いますけれども、これは全体の印紙収入に入るのでございますから、どうも私としてはそういうふうに解釈せざるを得ない。しかし、これを離れまして車検場、ことに陸運事務所の経費というものが非常に虐待されているという事実があることは、これは私も認めます。就任以来認めましたから、これらの点についてかなりな努力はいたしたのでございまして、この点は一つ御了承を願っておきたいと思います。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう今のような御答弁をされるとすれば、先で約束すべきじゃなかったという結論になると思います。私はそういうふうに理解いたします。しかし、これは論議しても仕方がないから、質問の第二の点をお願いします。
  128. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 岩間君、もう一度繰り返して下さい。忘れられたようだ。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 第二点は、大体これは非常に安全に関する問題ですね、人命に関する問題、従って、国家が支出をしてもこれは完全を期すべきじゃないかと私は考える。そういう性格のもの−だと思う。しかるに現実においては、逆にこれから利益を上げているという形で、しかも、利益が雑収入の方に入っている、こういうことで一体これは済む問題か、これは性格の問題です。この点どう考えるか、はっきりして下さい。
  130. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 私もその点は仰せの通りだと思います。しかしながら、車両検査といいますのは、事故のうちで、車両欠陥によりまするところの事故を防止する現在では唯一の方法でございまして、これを十分やるということは、事故防止上大切なことでございまして、その意味からいいましても、道路運送法の第一条でも、安全性の確保ということを一番強調しているわけでございます。それで私どもといたしましては、財政上は印紙収入と予算というものは違うということは一応言われますが、実質的には非常に裏づけになるのではないかということで、実は本委員会で論議されているような論法をもちまして、財政当局には定員の増、設備の増というものを要求して参っているわけでございますが、やはり国家予算の中で、この程度でことしはやってくれということで、やらざるを得ない状態になっているわけでございます。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 質問を保留します。
  132. 相澤重明

    相澤重明君 委員長一つ要望しておきたいと思うのですが、先ほども大倉委員が、この車検登録並びに手数料の問題で、一億八千万からの益金を大蔵省に雑収入として納入することについて、やはり大蔵大臣の出席を求めて見解を聞く、こういうことについて私も同感であるし、その際に、これはあわせて大蔵大臣にやはり答弁を求めなければならぬことを、私は前の国会の際に運輸委員会でも申し上げておいたのは、国鉄の財政投融資の百億からのスロー・ダウンについての運輸大臣の努力並びに大蔵大臣の見解というものをお願いをしておったわけですが、それもあわせて答弁のできるように、大蔵大臣一つ出席をしてもらいたいのです。ですから、二つのことを含んで、一つ委員長から、大蔵大臣に出席要求をしてもらいたい。これは一つの要求です。
  133. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 承知いたしました。
  134. 相澤重明

    相澤重明君 それからこまかい点から入っていきますが、私は前のやはり国会で運輸大臣に、自動車局や、あるいは陸運事務所の問題で、ちょうど柴谷委員と同じように、いろいろ御質問申し上げたのですが、特に先ほどの官房長の説明で、庁費あるいは旅費の節減が五%行われているというわけでありますが、この前御質問したときにも、陸運事務所あたりで電話機があっても電話は使えないということを私は大臣に申し上げたことがあった。大臣はその際に、よくそういう実情も一つ調べてみたい、こういうようなお話があったが、庁費の節減ということは、そういうものにまで——今度はいよいよ電話機はあるけれども、どうせ使えないのだから、そういうものは売り払ってしまう、こういうようなことまで含んでいるのかどうか、一つお答えを願いたいと思うのですが。
  135. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 五%減に庁費がなりましたので、今までの電話機は売り払ってしまうということには直ちにそういうふうにならないと思います。それはすべての物件購入費がそう下るということでありませんので、これはまた経費の節約によってそういうことに当然ならないかもしれません。従いまして、予算の執行に当りましては、その予算の範囲内で適切な運営をやっていきたい、そういうような電話機をはずすというようなことはいたしません。そういうことで十二分の努力を続けていく、こういう考えであります。
  136. 相澤重明

    相澤重明君 具体的にいって、私は横浜の例をこの前申し上げたのです。が、横浜の陸運事務所で電話機は一つきり使えない。私どもがいろいろ現地の調査をしても、実際に多勢の人が来ており、あるいは電話の応答もあるのに、電話機が一つのために、所長も歩いていかなければならぬし、係員も満足な応答ができぬ、こういうようなことを私はこの前申し上げたわけです。そういうふうな電話機は売り払わないけれども、現実には庁費というものが節減をされれば、やはり実際の行政事務というものはサービスはできない、こういうことに私どもは理解をできると思うのですが、そういうふうに理解をしてよろしいですか。
  137. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 全体的の事務の運行につきましては、節約する余地もないとは思いまするけれども、節約をする面も検討いたしまして、できるだけそういった方面に支障のないように努めて参りたいと思います。
  138. 相澤重明

    相澤重明君 それから一つ、陸運局関係でちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、先ほど柴谷委員の御質問に対しても、いわゆる定員増の問題が先ほども若干述べられておりましたが、今度のこの給与総額について、どういうふうになっておるかという点を一つお答えを願いたいと思いますが、減っておりますか、ふえておりますか。
  139. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 人件費でございますか。
  140. 相澤重明

    相澤重明君 そうです。私の方は資料はありますがね。
  141. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 人件費につきましては、運輸省所管の一般会計といたしまして五億七千六百九十七万八千円の増額になっております。これは既定人員の昇給に伴う増加額が三億四千八百七十九万二千円、それから新規増員増加額が、九十二人ございますが、これが千五百七十万八千円、年末手当が前に〇・一五ヵ月分増額になりましたので、それに伴いまする増額が八千三百三十五万五千円、通勤手当が今度は制度として実施になりますので、それに伴いまする増額が八千四百六十五万八千円、それから退職手当の増加額といたしまして四千四百四十六万五千円、合計いたしまして五億七千六百九十七万八千円増額になっております。
  142. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど官房長は、物価は五%減を、いわゆる下ると出いうお話をされたようでありますが、人事院の勧告も近いうちに私は出るものと思うのですが、物価が下るという一つ根拠を示してもらいたいと思うのですが。
  143. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) これははなはだ、私にとっちゃ非常に難問でございますが、経済企画庁で策定をいたしました昭和三十三年度の経済計画大綱というようなものに基きましても、全体の、それは短期的な景気観測もございましょうけれども、すべてのそういった来年度の経済の見通しというところから、物価というものが五%の低位において安定をするという結論が出ておるのであります。この点につきまして、経済計画大綱の問題それ自体になりますので、私からこれはその程度にまでしかお答えができませんので、あしからず御了承願いたいと思います。
  144. 相澤重明

    相澤重明君 これは、官房長に経済企画庁の全貌を聞いてもわからぬと思いますが、これはいずれ、それじゃ河野企画庁長官でも本委員会に呼んで、その物価の値下り問題も一つ聞かなければいかぬかもしれません。これはやはり職員のベース関係にも関係をいたしますから。まあそれはそれといたしまして、今陸運局等を初め、運輸省で考えておるのは、現状のベースに対する昇給等の問題であって、給与体系そのもの、あるいは実際の生活賃金というものについては何ら考慮されておらないのかどうか、そういう点について官房長からお聞きしたいと思うのですが。
  145. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) ちょっともう一度内容を……、少し理解しにくいところがございますので。
  146. 相澤重明

    相澤重明君 給与体系を是正をして、そうして生活改善のために実際の生活給というものを直していく考え方はないか。陸運局の職員も非常に生活給については低位で困っておる。従って、皆さんに対しても、運輸大臣に対しても、あるいはそれぞれの所管長官に対しても、おそらくベース・アップの要求というものを私はしておるだろう、そういう問題について、全然見込みをしなくてもいいのかどうか、こういう点を一つ率直にお答えをいただきたい、こう思うのです。
  147. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) もちろん御承知のように、昭和三十三年度予算におきましては、ベース・アップの分は見込んでおられないわけでございますが、ベース・アップの問題につきまして、あるいは給与改善等につきましては、職員組合等の要望もございます。しかしながら、ただいまのところでは、政府全体としてはそういうところの具体的な考えはありませんし、予算においても盛り込まれておりません。ただ、これ全体の問題になりますので、給与担当の所管大臣もおられますので、私といたしましては、まあその程度しか申し上げられない。
  148. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣にお尋ねしておきたいと思うのですが、人事院の勧告が出た場合には、人事院の勧告を尊重するとおそらく御答弁があると思うのですが、そのように理解をしてよろしいですか。
  149. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 運輸省の職員組合からベース・アップの御要求が昨年ございました。しかし、これは全体としての公務員の問題でございますから、私は今のところでは考えておらぬということはお答えをいたしました。しかし、これは政府全体としてのやはり公務員の待遇の問題でございますから、今後情勢によって問題になるだろうと思いますから、人事院の勧告は、従来から尊重は内閣としていたしておるのであります。
  150. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまの御答弁を聞いて、私もやや明るい方向を見たんでありますが、なお一つ、ついでに大臣からお答えを願っておきたいのは、人事院の勧告が出た場合に、アップという問題が出たならば、これは補正予算として組み入れる、こういうことは所管大臣として当然な私は努力をしなければならぬと思うのですが、その点はそういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  151. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これはやはり大蔵大臣とも——大蔵大臣ではない、内閣全体、政府全体として考えなけばならぬことでございますから、私が単独でどうするということはお答えはなんでございますが、これは大蔵大臣の財政計画予算といろいろ見合って、内閣全体として将来処理すべきことであると思います。
  152. 相澤重明

    相澤重明君 私は、もちろん国務大臣としての立場ではあなたの今のお話はその通り了解をするのですが、所管大臣として、あなたが多くの職員を使っておる立場において、あなたがそういう立場に立ったときには、当然傘下の職員の立場をやはり内閣の中に反映をしていかれる努力をするということを、これは当然しなければならぬと私は思うのですが、そういうことをお尋ねしておるわけです。
  153. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それは自分の所管における従業員の幸福を願う、そういうことはもう当然のことでございます。しかし、私単独に運輸省だけできません。これはやはり広く内閣全体としての問題でございますから申し上げた。しかし、所管大臣としましては、従業員の人たちの幸福をはかり、生活の安定をはかるということは、これはもう私どもといたしましては当然なすべきことであると思います。
  154. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣が職員のベース・アップについても努力をされるということを確約いたしましたので、私はそのことは了解をいたします。  次に、陸運局にお尋ねしておきたいのですが、自動車整備士技能検定の、いわゆる予算の中で非常に減っておると思われるのでありますが、自動車が非常に増大をする傾向にあるにもかかわらず、技能者の整備検定の予算を減らしたということは、一体どういう理由なんでしょうか。
  155. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 一般行政事務と同じように庁費、旅費につきまして五%の減を見ております。その関係で減っておるわけでございます。
  156. 相澤重明

    相澤重明君 これは運輸大臣に。そうすると、いま一度お尋ねしておかなければならぬのですが、仕事というものはもうすべて何でもかまわずに頭から画一的に五%なら五%というふうにすぱっと切ってしまう、いわゆるその仕事の量とか質というものは考えない、こういう方針で今の予算というものは組んだということですか。運輸大臣、御答弁願います。
  157. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それは標準はそういうふうになっておるのでしょうが、しかし、そこに出入りがあり、そこに緩急があることであると私は考えております。
  158. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の日本の国情から見ますと、先ほども当局から御答弁のあったように、自動車のいわゆる必要数あるいは生産数というものは著増をしておるわけです。そうしてこれらに対するところの、先ほど各委員から言われたように整備なり、あるいは事故の防止というものについては、所管の運輸省として、あるいは陸運局として、自動車局として、これは非常に大きな問題であると思う。その根本をなす整備をする問題について、画一的に五%削るんだからそういうところも削ったという先ほどの局長のお話では、これはちょっと私ども了解ができない。なぜそういうことをしなければならぬのか。あるいは先ほど大倉委員も言ったように、車検登録の問題にしろ、手数料にしろ、実際にふえておるのにかかわらず、なぜそういう点を減さなければならないのか。もっとそういう点については、資料を添えた説明があってしかるべきではないかと思う。これでは予算説明にならぬと私は思う。いかがですか。
  159. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 局長に議事の進行上申し上げますが、相澤委員のおっしゃったのはこういうことなんです。今まで百人でちょうどいい仕事があった、それが、仕事が倍になったら二百人が必要である、ところが、二百人必要であると見込まれるところなら、五%だとやはりそこで十人の人を減らす、金もそういうふうに減らすというなら話がわかるけれども、前年百人おったものが、仕事が倍になってもその百人の五%、五人を減らすというのでは、まるで新しく出てきた仕事というものはそこに全然予算というものがつかないと等しいのじゃないか、こういうことを頭に描かれて御質問申し上げているのですから、それをお含みの上御答弁願いたいと思います。
  160. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 自動車整備士の技能検定につきましては、大体受験者が本年度と来年度と同じである。大体同じ数であるという想定のもとに予算の要求をしたわけでございますが、ただいま申し上げましたように、大蔵省の一般方針によりまして、すべて五%減らすということで、この点につきましては、われわれの方としましては、理由はよくわからないわけでございますが、(笑声)ただいま官房長から御説明になりましたようないろいろな理由で減らしたというふうに理解いたしております。
  161. 相澤重明

    相澤重明君 それでは一つ角度を変えてお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、先ほど冒頭に柴谷委員から地方鉄道軌道災害復旧の問題については予算説明を願いましたが、地方鉄道軌道整備補助について、今年度さらに減額をされておるわけでありますが、これはどういう理由でありますか。今度は一つ監督局から御答弁願いたい。
  162. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。御承知のように地方鉄道軌道整備補助というのは、整備法というのがございまして、その規定でやっておりますが、その内容は、これまた御承知のように、新線補助と欠損補助に分れております。これは三十三年度予算は二千五十二万円でございますが、この対象になります会社については、これは御案内のように決算によりますので、会社の財務諸表が確定いたしました営業年度を洗い直して査定いたしますので、目下査定中でございますが、このいろいろな在来の認定会社というものがございまして、そのおのおのの認定会社について三十三年度の予想を立てたわけであります。そういたしますと、まず三十三年度では、予定といたしまして、新線補助五社、欠損補助六社くらいの見通しになるわけでございまして、その各社につきまして、これは法律で新線の方は営業用固定資産額の六%以内、欠損の方は欠損額の範囲内、こういうことになっておりまするので、これは予算の執行に当りまして、確定した財務諸表を査定し直して交付するわけでありますが、予算積算の基礎といたしましては、これを予定いたしました額を積み上げますと、大体新線で九百三万円くらい、それから欠損補助で七百三十九万円くらいと相なりまするので、その合計額の千六百四十一万六千円を計上いたしたわけでありまして、これはそういうふうに認定されました対象会社の予定に行きますので、各年度々々で予算額が変るわけでございます。
  163. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまの点についてはわかりました。そこで一つ大臣にお尋ねをしておきたいと思うのですが、地方鉄道軌道は非常にもうかっておる社というものは少い、こういうことをよく聞くわけでありますが、あるいはこの前の国会の際に、地方鉄道軌道等の運賃料金値上げの問題について、やはり政策的にも運賃料金を値上げすることは、実情調査は重んずるけれども、好ましくない、特別に必要なものでなければ上げないという大方針を定めて物価の抑制をされたことは、私どもも非常に敬意を表しておるわけであります。しかし、今回の三十三年度予算の中で、一体、今の地方鉄道軌道補助の問題とも関連をするのでありますが、私鉄運賃の値上げというのが今どのくらい政府に出されておるか。それでまたこれの審議見通し等につきまして、一応おわかりになったならば、監督局長からでも一つ御報告願って、そして大臣の見解を私は表明してもらいたいと思います。
  164. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今どれくらい申請しているか、これは監督局長からお答え申し上げますが、私の今の方針と申しますか、考えは、御承知のように、大私鉄はストップしてございます。問題は中小私鉄でございます。中にはずいぶん、まあ率直に申しますと、オンボロが多うございます。みんな赤字なんです。そういうものを——私は値上げは原則として歓迎いたしませんけれども、それを捨てておきますると、ますます交通の安全という上からいって不安がある。といって、それらのオンボロ会社を廃線にしてしまうということも、今なかなか地方の交通の点からもむずかしい。といって、こういうところへ銀行は金を貸しやしません。また借入金もできません。そこで、この間も数社のそういう老朽的なものに対しましては、線路を改善する、あるいは停車場を改築する、こういう意味においてある程度の値上げを認め、まあこれはざっくばらんに申しますと、その会員の会費をある程度上げてもらう、そして全体のサービスをよくし、施設の安全をはかって地方鉄道の役割を果してもらう、こういう意味でございまして、今後全部上げるという考えはございませんが、私の知っている範囲では、こういう中小私鉄の値上げにつきましては、一順回っているのじゃないかと思いますが、これは局長から数字等についてお答え申し上げます。要するに、私はやむを得ないものに対しましては、サービス改善事業改善、これを条件といたしまして今許しているのでありまして、これは特殊の事情でございまして、全般としては物価を低位に安定させ、また民衆の利益を保持するという立場から、いましばらくこういうものはストップいたしている次第であります。
  165. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。一月二十三日現在で運賃改訂認可申請中のものが十六社ございます。そのうちの十三社は、これは今も御質問のありましたいわゆる大手筋というので、まだこれは継続で運輸審議会で審議中でございまして、いわゆる中小私鉄に属しますものは残り三社でございます。
  166. 相澤重明

    相澤重明君 大臣のお話もよくわかりましたが、結局大臣の御説明でいきますと、審議会の経過なり、あるいはまたその時期なりというものを考えると、大体選挙が終ってからというようなことになりますかな。そういう点どうですか。
  167. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 別に選挙のことは私は考えておりませんが、日本の経済が正しい調子を取り戻し、発展をし、また家庭における負担能力がふえるというときには、これは私は別に適正の運賃を作るというのでございますから、一時、戦時物価統制令のようにストップいたしているというのであります。しかし、その期間がいつであるかということについては、これは日本経済の全体をもって見なければならぬと思います。  なお、はなはだついでのようで恐縮でありますが、今運賃の値上げを条件として改善させました鉄道は、これは相当いい。たとえば横浜から厚木など相当改善されてきている。また北陸電鉄も相当改善してこられると思いますが、そういうものは軌道に乗ってだんだんと人が乗ってくれば、こういう鉄道も私は健全な経営状態に入るのではないかと今見通している次第でございます。
  168. 相澤重明

    相澤重明君 大臣、非常に関係者のために努力をされているようでありますが、一つここでお尋ねしておきたいのは、地方鉄道というのは、運賃を値上げするばかりではなかなか安定をするといってもそれは困難ですね。従って、地方鉄道あるいは軌道について、事業税の軽減というふうなものをあなたは大蔵省と折衝をしてやるなり、あるいは運輸関係の所管大臣としてそういう政策というものを持つ考え方はあるかないか、こういう点について一つお答えをいただきたいと思うのです。
  169. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) こういう事業に対して税制上の負担を軽くするということは、私ども一つ方法であると思いますが、今すぐ事業税のことを、これは今予算提出しているのでございますから、現在のところ考あておりませんが、こういう私鉄に対しましては、一つは、これは国家の補助を与えるということも、同時に税制上の面において軽減策を講ずるということも、私は健全な発展を回復せしめるという面においては必要だと思いますが、目下のところは、予算の上に、租税の上に提出はいたしておりません。従って、これは将来の考慮すべき問題であると思います。
  170. 相澤重明

    相澤重明君 ぜひそれは一つ事業税の問題については全般の問題でありますから、研究をされて、今のお話のように考慮し努力をしていただきたいと、私はこう思うのです。  それからこの前の委員会でも申し上げましたが、地方軌道については、特に地方自治団体が非常に大きな問題としてこれは悩んでいるところでありますが、大蔵省のいわゆる融資面についても、利子の引き下げとか、あるいは公債の期間の延長という問題が強く要望されておって、私もこの前大臣にその点を要望したのでありますが、そういう点についてはどういうふうに大臣お考えになりますか。
  171. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 相澤君もう一ぺん要点をはっきり。
  172. 相澤重明

    相澤重明君 いま一度申し上げますが、地方の公営軌道について、この前の国会で私は大臣に、地方自治体としてこの公営軌道の維持改善について非常に困っている、こういうので、いわゆる大蔵省の債券を発行する場合に、利子の引き下げの問題とか、あるいは期間の延長ということがどこでもいわれている、こういう問題が、大蔵省なり地方自治庁なり、いろいろあると思うのですが、やはり交通関係として運輸大臣からそういう点の意見を述べて、そうして努力をしてやってほしいということを私は申し上げたわけです。その点について、三十三年度のうちに、大臣はそういう点についても努力をされるかどうか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  173. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは公益事業全体として総合的に見る必要があるので、どこか一つ抜いてゆくということは今ちょっと考えておりませんでございます。
  174. 相澤重明

    相澤重明君 それでは時間ももう五時になってしまったので、あと一つだけ私はお伺いをしておきたいと思うのですが、これはやはり本省関係航空関係ですね。この間、運輸委員会日本航空の羽田に招待を受けて関東地方を乗ってみたわけですね。それでそのときに感じたことですが、日本のパイロットとアメリカのパイロットでは、同じ仕事をしながらも待遇面においては非常な差がある。具体的な例が、人件費についても、日本人の五倍以上あるいは七倍かもしれぬというような状況下にあると、こういうようなことを聞いたわけでありますが、今回の予算・を見ると若干ふえておると思うのでありますが、そういう航空官署の問題について、パイロットの養成とか、あるいは航空事業の問題についてどういうふうに具体的にお考えになっておるか、そういう点を一つわかったら御説明をいただきたいと思うのです。
  175. 林坦

    政府委員(林坦君) ただいま御指摘のございましたように、外人の乗務員に対しましては、現在日本航空としましても約三十数名の外人を雇用いたしております。これは今お話のございましたように、日本人の乗務員に対して相当高額な給料その他を払っておるということももちろん事実でございます。これに対しまして、将来日本航空が国際線を延ばしていく関係もあり、どうしても乗員を早く日本人の乗員をもって充てるようにしたいということは、われわれ航空に携わっておりますものの悲願でございまして、一日も早くこの目的を達成したいという意味で、本年度も大いに予算折衝に当りまして、最後まで大臣以下、この問題について努力いたしました次第でございます。今度の予算におきましては、航空大学校の予算は、本年度まで本科十名の養成規模でございましたものを、今度はこれを当初五十名程度の養成規模にふやしたいというので、大いに財務関係と折衝いたしたのでございますが、結論におきまして、とにかくいろいろ財政上の都合もあり、漸増的にこれを考えるという意味におきまして、明年度昭和三十三年度といたしましては、総額、航空大学校に充てる費用といたしまして、維持費は七千六百五十一万八千円、施設費に二千九百三十九万三千円、こういうものをつけまして、さしあたり三十人という規模にこれをふやすということにいたした次第でございます。これが明年度予算に現われております乗員養成でございます。その他日航にいろいろ乗員養成につきまして、養成費の補助等も考慮したのでございますけれども、まず日本航空といたしましては、さしあたり決算じりも多少改善して参りましたので、そういう点につきましては、だんだん乗員をレベルアップしていく面の費用等は、一応会社においてこの際努力をして、この目的を達成するようにする、こういう趣旨で、一応その点は来年度としてはやめたような次第でございます。
  176. 相澤重明

    相澤重明君 この前やはり運輸委員会で現地調査をした際に、強い要望のあった三宅島の航空場設置の問題について報告がされておったわけでありますが、今の設備費等の御報告もあったわけですが、これらの離島等に対するところの航空関係についてはどういうふうになっておりますか。
  177. 林坦

    政府委員(林坦君) 離島の空港整備につきましては、一応内閣所管となっておりますけれども、明年度予算といたしましては、五千三百三十二万円を計上いたしておるのでございます。
  178. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、具体的にはどこという所はわからぬわけですか。まだその案は持っていないのですか。予算だけですか。
  179. 林坦

    政府委員(林坦君) 離島の問題につきましては、実は土地その他の問題をもう少しきわめなければなりません関係もございまして、今問題になっておりますのは、八丈島とそれから種子島、屋久島のような所が問題になっておりますが、その内訳につきましては、まだきまっておりません。
  180. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 関連して、航空関係で伺っておきますが、東京空港の整備のために予算が組まれ、かつその上、七億一千万円の国庫債務負担行為が必要とされるという説明でありますが、この七億一千万円の国庫債務負担行為は、一体いかなる部面に使われて、そうしてどの程度整備が可能であるか。第二点は、ローカル空港の整備について十空港とさきに言いました、女満別、八丈、種子島、屋久島、こういうものを整備する、これらは一体どの程度の進捗になるのか。第三点は、日本航空株式会社出資という項目の説明の中にこれはあることですが、発行する社債五億円に限り、また借入金について十七億三千七百六十万に限り、政府が元利支払いを保証する、こうなっておるから、これは、一般にいう国庫債務負担行為そのものではないにしても、次第によればさようになるということですが、これらはどこに使われて、どうという、この予算を使うことによって実際は進捗するのか、一括して御説明を願います。
  181. 林坦

    政府委員(林坦君) 羽田の整備に関連いたしまして御説明申し上げますと、羽田につきましては、実はまだ相当あそこに一万フィートの平行滑走路を設けるという意味におきまして、すでに本年度五億一千万円の金を予算に計上いたしました。もちろん、このうちにおいて、現在まだあそこの問題といたしましては、地元の漁業権関係問題等に関連いたしまして、測量までは一応済ましましたのでございますが、その後の補償問題等もございまして、目下いろいろと打ち合せ中でございます。従って、本年度にそういったような補償とか、あるいは必要な土地買収の面を済ませまして、来年度に繰り越し明許になっております金がまだ二億一千万円ほど残る見込みでございます。  それから、先ほど御指摘のございました、七億一千万円の金につきましては、実はその中に来年度予算といたしまして二億九千七百五十万円、それから三十四年度にわたるものとして四億一千万円、これらを合せまして大体七億一千万円程度を一括して、来年度初めに工事の契約ができますように、埋め立ての関係及び護岸の上工事を少くともそういうふうな金で完成すると、こういう金で三十三、三十四にまたがります関係上、七億一千万円を債務負担行為というふうに計上してある次第でございます。  また次に、日航のローカル空港につきましては、大体女満別まで含めて、離島については先ほど御説明申し上げましたが、離島を除きまして、三億二千万円ほどの金になっております。これを使いましての進捗は、大体三十三年度につきましてついており金を配分いたしました場合に、大体稚内はすでにそれで照明施設を除きまして、土木工事も完了いたしますし、標識施設も完備いたしまして、照明はございませんから夜間はちょっと無理でございましょうが、大体定期が通える程度になる。それから釧路、函館は、これはまだ伐採とか土工事等を完了するとか——あるいは土工事がまだ部分的にしかできないということでございますので、まだ三十三年度はここで使う状態にまで立ち至りません。そのほか高松、大村、熊本、鹿児島といったような所は大体これで土木関係工事は完了いたしまして、鹿児島はさらに通信施設、照明施設も完備いたしまして、大体こういう関係で、使い方といたしましては、定期が離発着できる程度まではなる。まだもちろん全部完備したというわけではございませんので、高松、大村、熊本等には、若干の通信とか、あるいは照明とかの工事があとに残って、三十四年度以降になる。松山につきましては、土木工事は大体完了いたしまして、不定期航空としてならば使用できる状態になります。高知も同様な状態でございます。広島がございますが、これはまだ埋め立てといったようなことをいたします関係上、まだ飛行場として三十三年度予算では使うわけには参らない。北海道の女満別につきましては、滑走路はあまり上等ではございませんけれども、残っております。従ってこれに若干管制施設等の一部に手をつける、従って、これはまあまだ現在それほど改善になるというほどの金はつかない、かように考えておる次第でございます。  それから日航の出資その他の点についてでございますが、日航につきましては、大体来年度計画といたしまして、五億の政府出資を来年度さらに加えることにいたしております。これによりまして、現在日航の資本金は、政府の出資が五十億、その他を入れて七十一億ばかりでございますので、政府が五億ふやすということは、つまり全体としましては一割程度の増資ができる、かように考えられるわけでございます。そのほかに社債が五億認められたわけでございますが、社債につきましては、現在二十五億社債を持っておりますが、社債を発行しておりますが、さらに五億政府の保証のもとに社債を増加することができるということになります。また、十七億あまりの政府の保証の問題でございます。これは本来ならば、いろいろとまだ返還期の来た市中銀行の融資等もございまして、もっと出資をふやしてこれらは償却してしまうべき本来の飛行機の代金のものでございますので、増資等によることがより確実ではございますけれども、とりあえずこの問題につきましても、支払い等のために十七億ほどの赤が、さらに支出があるわけでございます。その点をこの十七億の政府保証の金によりましてまかないをつける、こういう段取りでございます。
  182. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御発言ございませんか。——御発言がなければ、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十七分散会