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1958-02-11 第28回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十一日(火曜日)    午後一時四十四分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            平島 敏夫君            廣瀬 久忠君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞政府委員    運輸政務次官  木村 俊夫君    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省船員局長 森  嚴夫君    捕獲審検審査    委員会事務局長 辻  章男君    海上保安庁長官 島居辰次郎君    気象庁長官   和達 清夫君   説明員    気象庁予報部長 肥沼 寛一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○捕獲審検所検定の再審査に関する  法律の一部を改正する法律案(内閣  提出) ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十三年度運輸省関係予算及  び日本国有鉄道予算に関する件) ○派遣委員報告     ―――――――――――――
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 柴谷要

    柴谷要君 本法律案に関しましては、質疑討論を省略いたし、直ちに採決されるよう動議提出いたします。
  4. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 柴谷君のただいまの動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、これより直ちに採決に入ります。  捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 総員挙手と認めます。よって、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  これより、報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順決署名を願います。   多数意見者署名     江藤  智  平島 敏夫     高良 とみ  柴谷  要     相澤 重明  石原幹市郎     市川 房枝  松浦 清一     中村 正雄     ―――――――――――――
  8. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、昭和三十三年度運輸省関係予等及び日本国有鉄道予算に関する件を議題といたします。  まず、中村運輸大臣より大綱についての御説明を求めます。
  9. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それでは、私から昭和三十三年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  御承知のように、当省所管予算は、一般会計予算のほか二つの特別会計予算によって構成されています。  まず、一般会計歳入歳出予算について申し上げますれば、歳入予算総額は十五億六千七百八十二万九千円、歳出予算総額は二百五十九億九千七百七十六万三千円であります。今三十三年度の歳出予算総額を前年度のそれと比較いたしますと、八億七千百四十一万四千円の増加となっています。  このほか、他省所管歳出予算として計上されているもので、当省に関係あるものといたしましては、北海道港湾事業費特別失業対策事業費及び北海道空港整備事業費等、三十二億六千二百三十二万六千円がございます。  次に、特別会計歳入歳出予算につきましては、木船再保険特別会計歳入歳出予定額は、一億三千八百十四万六千円でありまして、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、四十一億五千三十七万円であります。  以上をもちまして、昭和三十三年度運輸省予算規模につきましての御説明を終り、以下、昭和三十三年度運輸省歳出予算等のおもな点につき、御説明申し上げたいと存じます。  まず、国際収支の改善を目的とした施策に関連した経費でございますが、第一に、外航船舶拡充に必要な融資額として、財政投融資計画中に百八十億円を見込んでいますが、これはわが国経済規模の拡大に即応し、貿易の振興国際収支の均衡をはかるために引き続き、積極的に外航船舶拡充をはかる必要があり、経済企画庁の新経済計画においても、毎年平均五十万総トン建造計画が策定されていますが、三十三年度の計画造船としては、百八十億円の開発銀行融資により二十五万総トン建造を行う予定であります。しかしながら、最近における金融情勢の逼迫から市中金融分の調達には、相当の困難が予想せられますが、市中金融機関の協力を得て、これを円滑に実施いたしたいと思います。  第二に、国際航空整備拡充に対する措置といたしまして、日本航空株式会社への出資航空大学校整備拡充いたしたいと考えています。日本航空株式会社出資に要する経費といたしましては、大蔵省所管産業投資特別会計中に五億円が計上されています。国際航空事業振興については、各国とも積極的助成策をとっている現状にかんがみまして、日本航空株式会社に対し、昭和二十八年度以来五カ年にわたって五十億円を政府より出資してきたのでございますが、さらに、同事業の健全な発展をはかるため、三十三年度においても五億円の政府出資をし、新機種の購入費の一部に充当せしめたいと考えています。また、同様の趣旨から、日本航空株式会社に対する融資円滑化をはかるため、同社の発行する社債については五億円を限度に、借入金については十七億三千七百六十万円を限度に、その元利について政府保証を行いたいと存じます。  次に、航空大学校整備拡充に要する経費といたしましては、九千百十七万円を計上しています。これは航空大学校維持運営のほか、航空路線の伸張に伴う航空機乗員需要増に対応いたしまして、航空大学校本科生養成規模を、現行の十名から三十名に拡充しようとするものであります。  第三に、観光事業振興に必要な経費として、一億七千百万円を計上していますが、これは財団法人国際観光協会に対する補助金一億三千百万円と、ユースホステル青年の家)の整備費補助四千万円であります。近年、海外からの観光客は、年々増加の傾向にあり、さらに、この誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることがきわめて必要と考えられますので、三十三年度においても、財団法人国際観光協会の行う対外宣伝を助成するとともに、国内の外客受け入れ態勢整備の一環として、ユースホステル青年の家)の整備を促進し、もってわが国国際観光事業の進展をはかろうとするものであります。  次に、輸送力増強に関する経費について申し上げますと、第四に、高速自動車国道整備のための経済調査に要する経費として、四百七十五万二千円を計上いたしていますが、これは長年の懸案であった高速自動車国道も、神戸-名古屋間につきましては、今三十二年度より建設に着手することとなり、名古屋-東京間についても、おそくとも昭和三十四年度には予定路線を決定しなければならない段階にありますので、前年度に引き続き調査実施し、早急に結論を出したいと考えています。  第五には、港湾整備に要する経費として、運輸省所管に八十四億八千二百五十一万四千円を計上いたしていますが、このほか、総理府所管に、北海道港湾事業費十三億九千百七十万円、離島振興対策事業費二億三千八十万円が計上されており、また、労働省所管特別失業対策事業費のうち、四億六千八百万円が港湾事業に充てられることとされています。従いまして、三十三年度の港湾整備のための経費は、総額百五億七千三百一万四千円となり、前年度に比べ、約三億円の増加となっています。わが国産業発展の隘路となっている港湾公共投資の立ちおくれを打開し、新経済計画に即応して港湾施設整備しようとするものでありまして、事業内容といたしましては、輸出振興工業原材料輸送沿岸輸送力強化並びに災害復旧防止及び交通安全のための港湾整備等がおもなものでございます。  第六に、空港整備に要する経費として、運輸省所管に五億三千百八十九万八千円を計上いたしていますが、このほか、総理府所管に、北海道空港整備事業費一億三千八百万円、離島振興対策事業費五千三百三十二万円が計上されています。従いまして、空港整備のための経費は、総額七億二千三百二十一万八千円となり、ほぼ前年度と同額程度でございます。  三十三年度の事業といたしまして、国際空港に関しましては、東京空港の一万フィート滑走路新設のための埋立護岸工事を行い、昭和三十五年度末には、新滑走路の舗装を完了、大型ジェット輸送機受け入れ態勢整備する考えであります。なお、東京空港整備に関しましては、七億一千万円を限り国庫の負担となる契約を結ぶことができることといたしたいのであります。また、新たに大阪空港整備にも着手いたしたいと考えています。  ローカル空港に関しましては、前年度に引き続き、稚内、釧路、函館、高松、高知松山、広島、大村、熊本及び鹿児島の十空港並びに新たに女満別及び離島関係空港整備をいたしたいと考えています。  次に、交通安全の確保災害防止目的とした施策に関連した経費について申し上げますと、第七に、海上保安体制整備に関する措置でありまして、海難救助海上犯罪の捜査の態勢強化するため、巡視船及び通信施設等整備をはかるとともに、海上航行の安全と能率化のため、灯台等航行補助施設整備をはかる必要があります。従いまして、巡視船艇代替建設及び通信施設整備に要する経費として二億六千九百八十一万八千円、航路標識整備に要する経費として四億四千六百五十五万二千円を計上いたしています。  第八には、離島航路整備補助に必要な経費として四千三十万五千円を計上していますが、これは離島航路整備法に基きまして、離島航路事業者に対し航路補助金を交付するに要する経費並びに離島航路用船舶建改造資金を融通する金融機関に対し利子補給を行うために要する経費であります。  第九に、地方鉄道軌道整備に必要な経費として三千四十一万六千円を計上していますが、これは地方鉄道軌道整備法に基きまして、地方鉄道軌道事業者に対し、新線建設補助及び老朽線欠損補助を行うために必要な経費並びに昭和三十二年七月の西九州における、水害により災害を受けた地方鉄道事業者に対し復旧費の一部を補助するために要する経費であります。  第十には、自動車車両検査登録機能の充実に関する措置でありまして、最近における自動車数の激増に対処するため、自動車登録検査要員増強並びに自動車検査施設整備に要する経費として一億二百五十七万四千円を計上いたし、車検場を新設するとともに、既設車検場の拡張、合理化及び能率化を推進いたしたいと考えています。  第十一に、航空交通管制官養成のために要する経費百十万六千円を計上していますのは、わが国における航空交通管制業務米軍によって運用せられている現状にかんがみまして、なるべくすみやかに同業務を引き継ぐために必要な措置であります。  第十二には、気象業務整備に要する経費として六億七千二十八万四千円を計上していますが、これは気象観測通信予報体制強化し、もってその的確化迅速化をはかり、交通安全確保と、一般災害防止産業発展並びに国民の福利の増進に寄与するために必要な経費でありまして、その内容は、予報精度向上をはかるための数値予報実施に必要な電子計算機の借料並びに無線模写放送実施に要する経費等三億千八百一万一千円観測精度向上をはかるためのレーダー観測網整備に要する経費三千八百五十五万九千円、防災業務整備をはかるための、水理水害対策用施設及び航空気象施設に要する経費三億千三百七十一万四千円を計上いたしています。  最後に、科学技術振興に関する経費について申し上げますと、運輸技術研究所及び気象研究所整備に要する経費一億九千七百十七万六千円、原子力船研究その他原子力開発利用に要する経費七千二百六十六万五千円、超大型船共同研究等民間科学技術試験研究に要する費用の一部を補助するために要する経費四千五十五万五千円を計上いたしています。  以上が昭和三十三年度の運輸省関係予算概要でございます。  昭和三十三年度日本国有鉄道予算概要につきまして御説明申し上げます。  まず、予算作成に当りまして、三十三年度は日本経済過大成長のあとをうけて、経済発展は幾分控え目にならざるを得ないと考え収入支出予算を組みましたが、一方また、輸送力増強のための国鉄五カ年計画実施の第二年度として、この計画の実現に支障を来たさないように十分の配慮をいたした次第であります。  以下、収入支出予算について損益資本工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は、対前年度六、二%増で四十五億六千万人、輸送人キロは、一千五十三億三千六百万人キロとして旅客収入一千七百四十八億円を見込み、また鉄道貨物輸送トン数は、対前年度四・一%増で一億八千七百万トン輸送トンキロは、五百十三億九千九百万トンキロとして貨物収入一千五百六十六億円を見込んでおります。  これらの旅客貨物輸送に要します列車キロは、四億四千万キロで、対前年度四・八%増となっております。以上の旅客貨物収入のほか、雑収入に従来収入支出予算に計上していなかった電源開発株式会社等の委託によって一国鉄が施工する工事費約四十二億円を新たに計上して、収入合計は、三千五百七十八億円と見込んでおります。  次に、経営費についてみますと、人件費につきましては三十二年度の仲裁裁定実施による増額のほか、三十三年度の昇給と期末、奨励手当合計二・四カ月分を見込んでおります。なお、このほか職員計画につきましては若干の増員を見込みまして、給与の総額は一千二百十六億円といたしております。  物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、動力費の大宗としての石炭費三百十億円のほか、修繕費五百九億円、業務費三百四億円等を見込んでおります。これらを合せまして、経営費総額は二千六百一億円となっております。  以上の経営費のほかに受託工事費四十億円、資本勘定への繰り入れ七百三十五億円、利子百五十二億円、予備費五十億円を合せて損益勘定支出合計は三千五百七十八億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れます七百三十五億円のほか、資金運用部等よりの借入金二百億円、鉄道債券の発行による二百二億円、不用資産売却等による十七億円、合計一千百五十四億円を計上いたしておりますが、一方支出といたしましては、このうち一千六十二億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還八十八億円、帝都高速度交通営団の増資に伴う出資金四億円を予定いたしております。  次に、工事勘定について申し上げます。  三十三年度は国鉄五カ年計画実施の第二年度でございますので、老朽施設の取りかえ、輸送力増強の根本的な増強対策に重点を置いて作成いたしております。まず、新線建設費については、前年度より二十億円増額いたしました。電化設備費につきましては、現在施行中の北陸線東北線山陽線等電化のための工事費六十二億円を計上いたしておりますが、このほか、これに伴う電気機関車七十二両、四十四億円、合計百六億円となっております。  通勤輸送対策といたしましては、前年度に引き続き東京附近三十億円、大阪附近二十五億円、電車増備百四十両、二十八億円その他で合計八十三億円となっております。  幹線輸送強化対策といたしましては、北海道東北、常磐線、裏縦貫線北陸線、東海道、山陽線九州その他で百二十四億円を計上いたしております。  以上のほか、車両増備、諸施設の取りかえ工事、総係費等を含めまして支出合計は一千六十二億円となっておりまして、これらに要します経費の財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千六十二億円を充てることにいたしております。  以上、御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済の動向にもよりますが、これに予定せられました収入を上げ、予定工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済発展に資するよう指導監督いたして参りたい考えであります。  以上、昭和三十三年度日本国有鉄道予算大綱につきまして御説明いたしました。
  10. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上の説明に対して御質疑がおありだと存じますけれども、多くの資料提出されておりますので、これらをお読みいただいた後に質疑をしていただくことにいたし、本日はこの程度にとどめたいと存じます。  つきましては、この際、皆さんからそれぞれ資料提出についてのご要求をお願いいたしたいと思います。ございますか。
  11. 中村正雄

    中村正雄君 資料については、一応今配られておる資料を検討して、不足する面は専門委員室の方にお願いするということで、そのようにやってもらったらどうでしょう。
  12. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、ただいま中村委員の御発言のように取り扱ってよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではさよういたしまして、これを次回に譲りたいと存じます。     ―――――――――――――
  14. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは次に、先般当委員会が行いました委員派遣について、派遣委員から報告を願います。  まず、南海丸遭難に関する報告高良委員よりお願いいたします。
  15. 高良とみ

    高良とみ君 ただいま議題となりました委員派遣報告のうち、南海丸遭難事件に関する派遣について、その概要について御報告いたします。  一月二十六日午後六時三十分、南海丸SOSの発信以来、その消息を断ったのでありますが、二十八日午後一時沼島南方二海里の地点において、漁船住吉丸によって発見され、一般旅客百三十九名、船員二十八名、合計百六十七名が、一名の生存者を見ることもできず、遭難したことが確認されたのであります。  当運輸委員会においては、事態の重大なることにかんがみ、現地に急遽委員派遣し、その実情を調査するとともに、遺家族に対する深い慰弔を表するため、三十一日天田運輸委員長江藤理事松浦高良岩間委員現地におもむいたのであります。  まず、委員派遣の行程について申し上げますと、二月一日和歌山県庁において本海難に関して、県、市第五管区海上保安本部近畿海運局大阪管区気象台、和歌山地方気象台、同海運支局大阪基地海上自衛隊陸上自衛隊第三航空隊南海汽船株式会社等の各関係者より説明を聴取いたしました。また、遭難遺家族弔問をいたし、特に和歌山埠頭の仮安置所、鷺の森別院におきまして、一同焼香いたし、その冥福をお祈り申し上げました。二日、天田運輸委員長高良委員とは海上保安庁巡視船「あわじ」にて遭難現場に向ったのであります。  当日、巡視船船長は、海は平穏であり、夕刻より風が出る模様との説明をされましたが、出港一時間経過ごろより波浪高く、午前十時四十五分現場に到着いたしましたときには、空は暗雲低くたれこめ、雨をも加えて著しく荒天となったのでありました。遭難個所標識のブイが痛々しく雨に打たれ、波に洗われて、そのなまなましさを目のあたりに見た私ども一同ひとしく新しい悲しみに打たれ、同船せる遺家族とともに、花束を海中に投じて、その犠牲者に対し心からの冥福をお祈り申し上げました。そのころより鳴門海峡の風雨はさらに激しく、当時をしのぶにほうふつたる悪天候となったのであります。その中において海上保庁サルベージ会社及び多数の漁船による遺体収容作業は困難な条件のもとに続行されておりました。正午、しのつく雨の中に小松島桟橋に着岸し、さっそく遺家族弔問をなすとともに、遺体の安置されております地蔵寺に参り焼香をいたしました。その後直ちに、小松島市役所において、県、市、第五管区海上保安部四国海運局徳島地方気象台小松島漁業組合、同南海汽船営業所等より説明を聴取いたしました。  なお、この機会に申し添えたいことは、当日天候の悪化により、和歌山に帰ることができず、小松島に一泊したのであります。気象予報の困難なことは了承されるのでありますが、当日は夕刻より風が出て、明日は天候が悪くなるとの予報であったのでありますが、先に述べましたように、私どもが乗船しているころは、すでに大へんな荒天であって、翌日は逆に平穏な航行ができたということでありまして、気象予報が事実よりかなり時間がおくれるということを、私どもは身をもって体験いたしたことであります。  次に、海難事件並びにその救難対策概要について御報告申します。(一) 事故発生当時の状況  一、気象状況については、当日十四時現在においては、関係地方気象台、すなわち、和歌山徳島大阪神戸等からは警報注意報の発令はなかったのであります。十五時に神戸海洋気象台から瀬戸内海、四国沖に対し、次の地方海上気象警報が発せられました。すなわち、今晩から明日にかけて東後北西の風が強くなる、最大風速十五ないし二十メートル、これは陸上強風注意報程度のものであります。しかるに、十六時に和歌山地方気象台から強風注意報として、低気圧が日本海を通過する見込み、今夕刻から全域とも南の風が強くなり、後北西に変り、明晩は弱くなる。最大風速陸上十ないし十五メートル、海上十五ないし二十メートル、風波高くなる、と発令されました。徳島地方気象台では、この時刻強風注意報は発令せず、寒冷前線の通過によって一時風が強くなる程度、の通報をいたしました。  十七時に徳島地方気象台から強風注意報――これはすでに十六時に和歌山から発令されたものとほぼ同様のものであります――が発令されました。  二、事故当時の模様、当日十六時五分、和歌山地方気象台より強風注意報を受けて、南海汽船和歌山営業所では、小松島港に向け航行中の南海丸を呼び出したが応答なく、和歌山港向け航行中のわか丸応答があった後、定刻より十分おくれて十六時五十分和歌山港に入港いたしました。一方、南海丸定刻十六時二十分に入港した。同船入港後、船長は上陸し、事務所において休息した後、定刻十七時三十分、小松島港出港しました。天候は小雨で、平常より少し風が強かったので、強風を考慮して沼島回り荒天コースをとったものと推測せられます。十八時三十分、南海丸危険、南海丸危険、の連呼を小松島は受信しました。そこで、営業所では、南海丸の位置を知らせと呼んだが、南海SOS南海SOS、との無電があったまま消息を断ちました。その間二、三分のことであった。なおも南海丸の呼び出しを続けるとともに、十八時四十分小松島海上保安部和歌山港営業所有線電話をもって南海丸遭難の旨を連絡しました。十八時四十分和歌山港営業所ではこの連絡を受けて、すでに入港し、十九時出航予定のため準備中のわか丸に、直ちに予定を変更して救援出港を指令し、わか丸は二十時四十分ごろ遭難したと思われる場所に到達しました。  (二) 救難対策  第五管区海上保安本部の所属「あわじ」以下十五隻の巡視船艇及びヘリコプター等三機を現地に急派するとともに、海上自衛隊、陸上自衛隊、第三航空隊に捜索を依頼しました。これらからは掃海艇五、航空機三の協力を得るとともに、南海汽船所属の船舶四、その他漁船約二百の自発的協力を得て捜索に当ったのであります。船体確認後は、遺体収容に深田サルベージ外四社と契約し、収容作業に全力を傾倒しておりました。和歌山県及び市、徳島県及び小松島市においては、災害救助法に準じた措置を講じ、救助対策本部を設置、それぞれ遺族の世話、応急救護、情報連絡、遺体の検視等、所要の適切なる措置を講じておりました。  (三) 遺体の収容及び遺族について  二月一日午後までの遺体の収容は百三体でありました。遺族の切なる要望にもあります通り、遺体の流失を未然に防ぐため、一日も早くその引き揚げをなすことこそ緊急の問題であります。南海汽船株式会社におきましても、災害対策本部を本社に置き、和歌山小松島にそれぞれ地区本部を置いて、もっぱら遺家族に関する一切の処理に万全を期しており、なお、会社側として見舞及び葬祭料等として、とりあえず一人あたり九万円が贈られておりました。  和歌山地区の遺族の代表の方々より次のような要望が述べられました。  一、遺体の収容の迅速、二、全遺体の収容完了まで引き揚げ作業を続行すること、三、遭難原因を徹底的に調査し、責任の所在を究明すること、四、遺族に対する補償は、会社側は誠意をもつて道義に立脚して解決すること、五、国家補償についても十分考慮してほしい、六、船舶の航行、船体の構造について、より巌格な法規を定め、再びかかる事故の発生防止をすること、等でございます。  (四) 今後の対策  昭和二十九年の洞爺丸、三十年紫雲丸、三十二年第五北川丸、今回の南海丸と、海難事故の繰り返しを顧みるとき、これらはいずれも本島と四国、北海道の主要航路幹線であるというところに問題を多く内蔵しておるのであります。そうしてこれが原因は種々な条件が重なり合って海難を起すもので、原因については、厳正な海難審判所の審判に待つものでありますが、事故発生後、いつの場合でも、集約的論議が持ち出される点として、(一)気象伝達方式、(二)船体の構造、(三)船長出港判断の問題であります。  第一の気象の伝達についてでありますが、和歌山及び徳島地区においては、それぞれ気象通報に深い関係を持つものによって防災気象連絡会が結成され、平常から気象の伝達の円滑化をはかっていたのであります。これには南海汽船も会社として加入しております。当日船長注意報を知っていたかどうかという点が問題となったのでありますが、要は、通報されるのを待つだけでなく、船長はもちろん、船会社等は多数の人命を預かる責任上、積極的に気象の予知に熱意を持って、いやしくも気象を軽視するようなことのないように、特に要望いたしたいのであります。また、気象庁においては、気象情報の正確な伝達をはかるため、責任を明確にしてこれが連絡事務の近代化をはかるための予算措置等を行うことを切に要望するのであります。  第二に、南海丸の船体構造について申し上げますと、昭和三十一年三月の新造船であり、昨年四月の中間検査に合格し、船舶安全法、海上運送法、船舶職員法等の海事諸法規上何ら欠陥は認められなかったのであります。今回の遭難個所は、土地の古老の話によりますれば、ことわざに「まぜ(南風)とひつしょ(引潮)はおこわにタコ」と言われるぐらい――混合が悪いという意味であります――海流の激しい、外海の気象、海象が直接波及する瀬戸内海外部の地域なのであります。南海丸は検査を合格してはおりますが、果してその基準自体が適正かいなかということは問題であります。今後、このような航路の船舶基準については、慎重な検討と、その適格性が研究さるべきではないかと考慮するのであります。  第三に、船長出港判断については、船長注意報を知っておっても、この航路における場合は、その豊富な経験によって、この程度なら大丈夫であるとの確信のもとに出港したと思われるのであります。ただ、船長の判断にのみまかせて責任を負わせるようなことはいかがと考えられます。特に船庫連絡航路につきましては、いま少しく広い情報に基いた統一態勢の確立が要望されておるのであります。  今次の海難に際し、わが国のような海難の多い国においては、海難防止のための総合対策が最も緊急なことであり、国家的総合機関を設置して海難事故防止努力し、また、特に海難の多い地方には海上保安庁巡視船の抜本的な重点的配置もはからるべきことを痛感いたしました。  最後に、今回の海難に対する各関係機関の協力態勢は全く円滑にかつ、強力に推進されていたことに対しましては、深く感銘をした次第であります。  以上、概要の御報告を申し上げます。
  16. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上の報告につきまして、政府側に対して御質問がございますれば、順次御発言を願います。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 今の報告を聞いておると、気象予報の信頼性というものはどうもないような印象を受けるんです。事実、高良委員天田委員長が当日出かけていった、その気象予報そのものもどうもあまりよくなかったということは、一体どういうことなんですか。ちょっと気象庁の方から説明をしてもらいたいと思います。
  18. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 予報部長でございます。気象の予報は、これは発展の過程から申しますと、海上の気象が一番最初でございまして、それには資料がなくて因るということから、船から資料をもらうというようなことになって参ります。それでもなかなかうまく参りませんで、その次に発展して参りましたのが、天気が高い所から変るということから高層気象――御承知のラジオ、ゾンデによる観測でございます。そしてただいまやっております状況は、地上の状況よりはむしろ高層の、数千メートルの高い所の状況をもとにした気象の判断でございます。それは地上の状況は岬なり島なり、あるいは山、谷、そういう影響を受けますので非常に複雑な変化をいたしまして、今の技術では判断がつかない、それよりも高い所の資料をもって判断すべきだということから、現在のように変ってきております。しかし、残念ながら、私どもの天気予報の技術は、的確にあしたのことを言うということまでには行っておりません。現在そのときどきの困難さによって状況は違いますが、私どもの出しております予報が、これは判断の基準がまたむずかしいのでありまするけれども、大体われわれの判断の基準で八〇%というところが平均でございます。で、これは基準が違いますので、そこのところ――実際のところがどうなっているかということをほかの例から申しますと、私ども予報が八〇%を下回るようなときには、よく最近予報がはずれるという非難を受けることが多くなります。しかし、八五%ぐらいになると、このごろの予報はよく当るといううわさを聞きます。従いまして、私どもの判断の基準は、総体的のものではございますけれども、まず八〇%くらいのところ、それ以上をねらえば大体御要望には沿えるのじゃないかというような考えを持っております。もちろんそれでがまんするということではなくて、それ以上を当てることに努力はしております。で、ただいま申しましたような予報の精度でございますので、ときにはそれ以下のこともあり、それ以上のこともあるということを御承知願いたいのです。  先ほど当院の委員の方が現地においでになりました当日――二月の二日の予報が、今夕から天気が悪くなるという予報であったのが、現場に行ったら昼ごろからすでに悪かったという御報告をお聞きしたのでございますが、これはやはり予報がうまくいかなかった一つの例になるかと思います。そういうのが現状でございます。  それから遭難のありました一月二十六日の状況でございますが、和歌山で出しました予報は、今夕から明日にかけて風が強くなる、というような意味の注意報でございます。徳島の方で出しました注意報は、夜半前から風が強くなるから注意しろ、という内容注意報でございました。これは先ほどお話のありました運輸委員の方の現地調査においでになりました日よりよく当っていたのでございます。それはあとから実際の状況を比べてみますと、そのようになっております。で、和歌山では、夕刻前後と申しましたが、当時の風は南風あるいは南西風でございまして、和歌山の方に向いて海から吹いてくる風、風が非常に強かった、そのような状況予報を出した。それから徳島の方は、夜半前と申しておりますが、事実あの付近の資料をあとから見ますと、当時観測したものと比較してみますと、なるほど夕刻前後は、強いときが、たしか八時前後は八メートルくらいで、それ以下の風でございます。強くなっておりますのは、十時に、数字はちょっと忘れましたが、十七、八メートルと思いますが、そういうふうに強くなっております。ただし、海上につきましては、私ども的確な資料を持っておりませんので、その当時の状況がどうであったかということは、はっきりまだつかんでおりません。で、この遭難現場の付近に数隻の漁船がいたというようなうわさも聞いておりますので、その船についての状況を、今現地の気象台に連絡しまして、一体遭難の当時の海上状況がどうであったかということは取調べ中でございます。現在の予報については以上のようであります。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 いまのお話を聞いておると非常にむずかしい。もちろん、われわれも気象台を見学さしてもらったことはありますから、その努力についてはよくわかるわけですが、今のお話を聞いておると、あとでその判断をしたときには、いろいろな資料というものは取り寄せられるけれども、船を出港させるときにそういう判断ができるかどうかということが、やはりこれは非常に重要な要素になってくるのではないか。先ほどの高良委員報告を聞いておっても、何ですか、これは高良委員にお尋ねしたいのですが、和歌山へ帰ってくるつもりのが来られなくて、小松島に泊ったということなのです。これについては、当時、そういう荒天で船が帰れないという見通しでまさか船を出したわけではないと思うのですが、本院の少くとも南海丸現地調査に行く天田委員長初め派遣委員が、それらの人たちが乗っておる船がまた南海丸の二の舞を踏むのだというようなことでは、これはちょっと問題の全く極に達するわけです。そういうあなた方は報告を受けて行ったのか、それとも、先ほどの御報告を聞くと、大したことがなかったから行ってみたけれども、どうも急激に気象が変ってきて、そうしてついに帰ることができなくて小松島に泊ったというのか、その点、いま一度ちょっと高良先生にお尋ねをしたいと思うのです。
  20. 高良とみ

    高良とみ君 今の疑問に対してお答えすると同時に、なお気象庁にも私ども伺いたいと思うのです。当日私ども九時に和歌山出港しましたときに、海上保安庁の「あわじ」の船長は、気象図面を見せて、ただいま六時の予報をここに気象図にしましたからと言って詳しく説明してくれたときは、低気圧が台湾沖にあります、これが瀬戸内海に来るのには数時間を要するので、今夕以前にあらしが来るとは思われません、ということに私どもも合点いたしまして、わか丸は欠航いたしておりましたけれども、出たわけであります。すると、先ほど御報告いたしました通り、約一時間余りの航程で、沼島の付近の南海丸の沈没現場に来ましたころはすでに荒天となり、皆様の委員会を代表して花束を南海丸の沈んだ個所の海に投じましたころは、船は三十度ぐらい傾斜していたと思うのですが、その後、参りました委員長初め私どもみんなは、さすがに船酔いに耐えることができないので下におりたわけです。小松島に参りますまで、直航できませんで、船は四国の沿岸方面に風を避けて、そうして小松島に沿岸沿いに参りまして、小松島に入港したのでありますが、これはいろいろ聞き合せてみますると、これは気象庁にお答え願いたいのでありますが、午前九時にとった情報は、その日の六時か、あるいはもう一つ前の三時の、台湾沖に低気圧があるという情報をもとにして放送されたような様子なのであります。その全国の気象図というものができるのに数時間を要しておりますので、小松島に参りましていろいろ聞きますと、その情報はもう古いのであって、その間に低気圧ははるかに進んでおりまして、私どもの「あわじ」が現場におりましたころは、もうその低気圧は九州の南、ないしは四国に近寄っていたために風波が出たのであります。小松島におきましては暴風雨でありまして、私どもの市役所における研究中、あるいは遺族の弔問中も、一晩じゅう暴風雨であったわけでありますから、従って、その晩委員長等は、その「あわじ」で帰られる予定であり、すでに東京行の列車も手配をしてありましたのを、やむを得ず、これは海上保安庁の方々の御希望もありまして、気象台の方も、本日は出港しないでくれ、危険であるからということで、とうとう一日延ばしたわけであります。そこで、問題になりますのは、朝三時の気象情報が、低気圧は台湾沖にあり、というようなことが東京に集まって、東京で気象庁において全部気象図を作る。全国からの情報を集めなければ、日本の天気予報ができないということでありますと、それがさらに各地域へ伝達されるのに、やはりまた相当の時間を経ますので、私どもいろいろ気象関係の方に聞いたところによりますと、一時間ないし三時間かかるし、それが気象図を作り、そうして二十のファクターを集めて、データを整備されるためには、やはり四、五時間おくれる。当日徳島の気象台のごときも、九時にまた九州西方のデータを集めて、それを確認できたのが十四時であります。放送するのが十七時である、こういうふうに何時間もおくれておるところに、私どもはちょっと合点のできないところがある。もっとも、今御説明のように高層気象あるいは大陸との関係の気象図を作らなければ予報はできないでありましょうが、こういうふうにおくれるために、近海に起る海難というような原因が、多少その辺にあるのじゃないかというような疑いをも持つわけであります。二時間もたてば、もう和歌山に着いてしまうのだからと思って、今夜半過ぎより暴風雨ということならば、船長も勇躍して五時半に出たものは和歌山に着いてしまうのですから、暴風雨の来る前に行こうと思って出たであろうというふうに考える。もっとも、本南海丸が難破いたしましたのは、風のためであるとか、あるいは寒冷前線のポケットに落ちたためとか、その辺は私ども知りませんけれども、この辺について、気象台は予報についても御苦心だと思いますけれども、どうしてこうたくさん時間がおくれるかということは、私どもしろうとの疑問とするところなんでありまして、予報部長、できたらば、このおくれる理由及び百五十個所の気象台から集めることがもっと迅速にいかないのか、あるいはテレ・タイプがほしいとか、あるいは計算するのに電子計算機がほしいとか、そういうところの不備な点があったらお聞かせ願いたいと思うのです。
  21. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと、私もそのことは不思議に思うことを皆さんに報告するとともに、一つ答弁のために気象庁の方にも聞いておいていただきたい。私はごく簡単に言いますけれども、この二日の日に乗船したときには、ただいま高良委員の仰せのごとく、気象図を見せられて、かような状態でございますので、本日はごらんのごとく――そのときの状態は確かにそうなんです。ごらんのごとく波も全くございません。風もなく、うねりもございません。これほどいい航海は容易にございませんというのが「あわじ」の船長のおっしゃることなんです。もちろん船長もその気象通報を受けまして、みずから気象図を作成して、そういう判断に立ったわけです。そこで、現場へ行ったときには、すでに運輸省から行かれた竹中参事官も、われわれと同行されておりましたけれども、ものすごい動揺で、とうてい舷側に立ってなどいたら、これは全部船酔いでどうにもならぬという状態で、部屋へ引き揚げて参りましたけれども、動揺はなはだしくして物はどんどん落ちる始末ですよ、部屋の中の物が。そこで、あとでですが、よく船になれた人でも、よく委員長は酔いませんでしたね、と――酔ってはおるんですけれども、まさかこれまではやらなかったから。ほかの人はそういう状態になって、それから先はもう風雨それこそ激しくなってしまって、小松島へ着くまでほとんどその状態が連続です。小松島へ着いたところが、これはしのつくような雨、そこで、私もまだこちらに用事をかかえておりましたから、電報を打つか、どうしようかと非常に、四時ぎりぎりまで迷っておりました。四時というのは、四時が帰ってくる予定の時間でございますので、迷っておりましたが、もうすでにこのときの状態からして、高良先生は、私はもうとても帰ることはあきらめた、ということはその前に言うておられました。私は、船長がどうしても出せないと言っていない段階においては、私は帰るつもりでおったのです。ところが、ぎりぎりになると、私が直接聞いたんではございませんが、気象台長も、きょうはおやめになってもらいたい、こういうことでありますし、また、われわれが目で見たところによっても、われわれが海上にいるときよりもはるかに風も雨もきついんですから、そういう状態の中で行ったらそれこそ大へんだというので、やむを得ずあきらめた。そしたら夜になっては、これはもうまたますます風が強いと、こういう状態ですね。そこで、どう考えても、まる一日ではないけれども、それに近いくらいのそこにズレがある。今度は翌朝は、そういうことがあるからそれにかんがみての予報が出ておれば、またさっき言う二〇%の当らざる方に運悪くわれわれが入ってしまったんだということにもなるが、さて、その次の日の新聞だと、三日ですね、三日の新聞によれば、三日の日は高松に低気圧があるというのですよ、香川県の。そうすると、これは風雨強かるべしというんですから、えらいその日こそ荒天でなければならぬ。しかるに、この日はそれこそ、前日の船長が言ったと同じということで、波立たず、うぬりなし、雨は一つもない、こういう絶好の航海をして帰ってきた。どうしてこんなにズレというか、あるんだろうと、そこで、われわれとしてはそういう全般的な、全国の気象状況を集めるだけで三時間かかる、ちゃんと計算するためには、さらにまた二時間なり三時間なりかかる、今度は放送するにはまた二時間もかかるというふうなことでは、とてもこれではやりきれぬので、局所気象をもっと早く出せる方法はないのかということを痛感してきたんですが、これらを帰って気象庁によく聞いてみようということで帰って参りました。報告に補足しながら、次の一つ気象庁の答弁に資してもらいたい。
  22. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) お答え申し上げます。話を具体的にするために、先ほどの三時という時間をもとにしてお話ししてみたいと思います。三時に日本全国――これは現地世界気象機構の協定によりまして、世界じゅう全部でございますが、気象観測をいたします。で、ずっと以前には日本では六時が基準になっておりました。そして国内の資料だけでありましたために、これを集めるのに、それほど通信機関は整備されておりませんでしたけれども、比較的早く集まりまして、私ども予報をやっておりましたときには、六時の資料は八時にはこれを天気図に書き直して予報することができたのでございます。現在はそれは三時のを使っておりますが、非常にたくさんの資料が集まりますために、かなりの時間を要することは事実でございます。国内だけのものにいたしますと、大体三時半ごろまでに東京の気象庁まで集まって参ります。それを編集いたしまして放送いたします。放送には海上資料、それから隣国の中共あるいは沿海州のものを加えますので、先ほど高良委員のお話のございましたように、一時間半くらいはかかるのでございます。その無線放送を受けまして、徳島なら徳島の気象台が天気図を作ります。そういたしますと、どうしても天気予報を出す時間は、早くて八時半くらいになる。八時半に天気予報を出すわけです。八時半に天気予報を出します場合に、そこにでき上った図は三時のものでございますので、この天気図は三時の状況であるから、ここに書かれている低気圧は、三時から九時までの六時間にはすでにどのくらい進行して、どの辺に来ておるという推定をして、それをもとにして、それからあとの、つまり昼から午後にかけての予報を出すのです。現在どうしてもそういうわけで資料を集めるのに非常に時間がかかるということで、予報を出す時間がおくれることは事実でございますし、また、そこに六時間すでにたってしまった現在の状況はどうなっているかということは、推定をもとにしなければなりませんので、そこに非常に困難な問題が起ってくるのは事実でございます。これは一般予報の場合でございますが、御承知のように、これから夏になりますと、台風などがやって参ります。台風は一時間に、非常に早いものになると百キロも進んでくるようなものがございます。これはとうてい今のようなやり方では間に合わない。そういたしますと、ただ台風のようなものは、幸いなことには非常に広い範囲の資料なしでも間に合いますので、国内の資料を使いまして、集めましてこれを放送し、あるいは東京で作った天気図の内容を言葉で放送する、今台風はどこにあるかというようなことを言う。これは観測時間から約一時間後にできるようになっております。そういうわけで非常に早く変化する場合、特に災害を伴いますような台風については、そういうようなやり方をやっておる。一般の場合には、どうしてもおくれますし、台風のような措置をとればいいじゃないかというようなお話もございますが、これには臨時に職員をかり出しまして非常な作業をいたしますので、いつでもそれをやるということはできない状況でございます。それが先ほどの天気図を作る作業をやるのに非常に時間のおくれるという問題に対するお答えでございます。  それから次に、香川県に低気圧があると言っていながら、その場合には天気がかえってよかったということに対するお答えであります。気象の問題は非常に技術的になりますので、一般の常識とかなり食い違ったことがございます。普通低気圧が来れば暴風雨になる、雨が降り風が吹くという、これは常識でございます。しかし、日本のような複雑な地形の所では、必ずしもそういうふうな常識通りにはなっていないのでございます。高気圧が来たがために、そこで雨が降るという例もございますし、低気圧が来てかえって天気がいいということもございます。よく裏日本で大きな火事がある、それは日本海に低気圧が来たときだということを申しますが、これはそういう場合には、裏日本側へ山を吹きおりた風が吹いてきますためにかえって乾燥してしまう、だから晴れてしまう。しかし、風は強い。そしてその風は乾燥しているから火事が起るのであります。で、先ほどの香川県に低気圧があったというような例も、これも少し技術的のことになりますけれども説明をいたしますと、きょう残念なことに私二月二日の日の天気図のことを頭に描いておりません、見て参りませんので……。しかし、一般的の二とから申しますと、低気圧が二つございますと、その間は常識的にはいかにも天気が悪いようにも見えますが、かえって天気がいいものでございます。昭和二十九年の洞爺丸のときに、あのとき晴れたというようなことがいろいろ問題になりましたが、あれは西の方の台風とそれから東の方に副低気圧といって小さな低気圧ができて、その間にはさまったがために一時晴れたのであります。私ども二つ玉と申しておりますが、そういう所では低気圧のそばでありながら、風はほとんどなくなって晴れるというようなことがあるということをここで申し上げておきたいのでございます。  以上でございます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 これは、まあ専門的なことについては、われわれもこまかく説明をされてもなかなか時間をかけなければこれはよくわからねけれども、私も仙台の気象台を現地調査に行ったときに見せてもらったり、いろいろ今のようなお話も聞いたわけです。それはそれとして、これは職員の数の少いことやまたその勤務状況のことについては、これは実に気象台に勤めておる人たちについては気の毒です。これは運輸大臣にあとで、さっき三十三年度の予算の提案があったけれども、これはあとでこまかい点で僕らは御質問もし、また運輸大臣にも善処をしてもらうつもりでおりますが、それはそれとして、先ほどの高良委員なり運輸委員長の御報告の中に見られる問題は、これはやっぱり非常に重要な問題であると思う。もし一歩判断を誤まった場合には、本院の議員がやはり再びそういう災害を起したということにならぬとも限らぬ。あれだけのやはり問題を起した直後の現地調査であり、しかも、南海丸遭難者に対する慰霊を行なったその時期について、そういう判断がやはりできなかったのかどうか、こういう問題については、単に今のお話を聞いておるだけではこれはもう私どもちょっとむずかしい。また、国民感情としてもそういうことだけではなかなかよく納得できぬだろうと思う。そこで、私は運輸大臣に一体どうしたらいいのか、あなたは一体こういうような今のようなお話があって、一体どうしたらいいのか、こういう点をお考えになっておるかどうか、一つ大臣からここで答弁をしてもらいたい。
  24. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 気象のことにつきましては、私もいろいろ報告を受けております。しかし、全体として私どもの受けております判断では、やはり船長には注意報なり、海の悪い点は伝えられていたと思うのでございます。それがために船長は自己の判断によって、先ほど高良委員のお話しになったごとく、平常航路を使わずして荒天航路を行っておるようであります。しかし、その沼島の辺においていかなる事態が起ったのか、これは今私どもの方でも調査をさしております。これがわかりませんと、いろいろ言われますけれども、これがわかりませんと、どういう原因で遭難したかということは的確に把握できませんので、しからば、これがだれか生存者があればいろいろ聞けますけれども、不幸にもこれは全員なくなっておる。そこで、今神戸の海難理事所の方面から船の沈んでおる状態を海中写真で見る、そういう施設を持って行っております。そうして船の向いておるところ、あるいはその舵機のところ、そういうのを捜査をして、あの辺で大体においてどれくらいの風が出てどういうふうにして沈んだかということを今検査をいたして、きょうかあすあたり着くはずでございます。  それからもう一つ申し上げておきたいことは、何としても、高良委員の御報告にもございました通り、すみやかに遺体を発見して御遺族に渡す、これが不幸な事件の起った後の第一の善後策でございますから、これは会社と、あるいは海上保険会社その他と相談をしまして、また、会社の人も来ておりまするが、日本サルベージが請け合うというのですが、実際は岡田組が今やっております。これはもう早くそういうふうにして引き揚げるか、あるいはほかの方法で遺体をお探しして御遺族にお渡しする、これをやる。  それからもう一つは、今申しましたように、その原因をどうつかむかということで、今海難理事所というのは海難の原因をつかむところでございまして、理事官は検事の立場でございますけれども、東京の方面から先ほど申しましたように参っておりますので、それによって私は真相をつかむというふうに今考えております。しかし率直に申しますと、今の、二月ごろの荒天でなかなか潜水夫なりの作業がむずかしいのだそうでございます。これはそんなことはないじゃないかということを言われれば、私一言もございませんが、今の作業では二月の荒天では二、三時間しかできない。ことに四十メートルの深い所に沈んでいるそうでございますから、この点は多少の時間のかかることは、私は出先の官憲にも、御遺族の方にもおわびして、しかし、できるだけ早くそういう水中写真等も持って行ってやるということを言っておるのです。  ここにもう一つ、これはどういう情報が入っているのか知りませんが、あの南海丸遭難した当時、あの近所を通った船がある。それは長島丸という船なんです。これは横浜に入っているそうですから……、たしか横浜か川崎に入っている。これについて今調査をしている。もう一つは、わずか十九トンの、これは私は記憶に間違いないと思うのですが、喜志丸という船、これが鮮魚を積んで小松島ですか、あの辺から行って大阪に行く、その途中で南海丸を見たというのですね。たしか喜志丸と申しました。もし間違いでありましたらあとで訂正いたしますが、そういう発音の船でございます。そういうようなのを今追っかけて原因を探査し、要するに船を見てその沈み工合、かじの状態を見れば、海難審判所の理事官は常にそういうことを判断する経験知識を持っているのでございまするから、すみやかにその辺についてはわかると思うのであります。  それから私から申し上げておきまするが、きのう読売新聞に海上保安庁の水路部長が意見を出しております。これは個人の意見でありまして、言論は私は自由でございますから、こういう意見を海上保安庁の水路部長が発表することは、私、いいことだと思って、別にこれに制肘を加えません。また、この人が個人として言っておられる意見も私はうなずけるものもあるのでございますが、そこで、私はここでざっくばらんに申します。きのう海上保安庁長官に、水路部長が机上の研究でこれだけの議論を吐くならば、現地派遣してもらいたいということをきのう申しましたから、おそらく水路部長は現地に行っているだろうと思います。  そういうふうに、今、いろいろな方面から集めまして真因を探求すべく今努力いたしておるのでございます。しかし、いずれにいたしましても、私は会社の人も、社長とかいうような者が来ましたが、あなたの方の手で遺体をすみやかに揚げるように、これが第一だと極力申しておった次第でございまして、この気象の全体的な立場からいって、私は、そうおくれておって船長が何も知らずに出たものとは、私はいろいろの報告から考えないのでありますが、しかし、今仰せられたように、気象の予報の制度について欠陥のあったということならば、一つ十分皆さんにおいて御指摘をいただきたいと思います。また、気象庁においても調べるだろうと思いますが、私は悪い点があれば率直に、これは別に強弁しません。こういうような原因は一つ皆様の御調査、また、われわれの方の調査、ことに海難審判庁の審判官の調査等を冷静に見まして処置をいたしたいと思うのでございます。この点は私は虚心たんかいに、どうぞ悪い点があればしかりつけていただく、しかし、あとの祭だとおっしゃられるかもしれない、しかし、これが将来の対策にもなることでありますから、私は決して強弁したり、そうじゃないとは申しません。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 ほかの委員からも関連質問もたくさんありますから、簡単に質問をしておきたいと思うのですが、今の大臣の御努力されていることについては、私も感謝します。また、ぜひ一刻も早く先ほどの現地調査報告にあったように、遺族の方々に安心をさしてやってもらいたい。それから遺族の方方の補償の問題については、今大臣も言われたように、会社の保険なりあるいは会社の費用の中であると思うのですが、そのほかにも、現地調査班に陳情されておることは、国家補償も含んでという意味もあったと思うのです。そういう点についても、それは今お答えにならなくても、十分一つ運輸省として努力のできるものはしてもらう、してやってほしいと思うのです。私の先ほどお尋ねしたおもな理由は、これはあとで海上保安庁長官からも一つお答えを願いたいと思うのですが、先ほどの「あわじ」ですかの船長が、天田委員長の言うように、きょうは非常に風もないし、波もないし、こんないい天気はない、ということで非常にほめられて現地調査班を乗せて行った、しかし、わずかな時間の後に荒天になってしまった。そこで、気象の予報を出す場合には、先ほどのお話ですと、五時間なり六時間かかるということは理由はわかりました、わかりましたが、海上保安庁が船を出す場合に、自分のところの船を出す場合、やはり気象庁からそういう予報も受け、そして船長としても、海上保安庁船長もやはり日ごろ訓練をよくされたものと信じておる、その船長がそういうことを言いながらも、なおかつ、わずか一時間や二時間の後に乗っておる者が横になってしまう、あるいはもう船は和歌山に帰ってこられない、こういうことは一体お互いに予測できないものかどうか、これはもう天候だから仕方がないといえばそれまでの話、しかし、そういうことを少くも運輸省としては、そういう事件というものをなくするために、お互いに努力もし、研究もしている、そういうことに国民一般も骨を折ってもらいたいということを非常に大きな期待を含めております。先ほど委員長等が乗った船長のそういう判断というものも一体どういうものか、こういう点も一つ保安庁長官から私はお答えを願いたいと思うのです。  それから運輸大臣には、そういうようないわゆる南海丸の事件があり、本院の現地調査班がそういうふうに大ぜい行って、しかも、今言ったような事態が起きた、こういうことに対する今後の御措置はどうするのかということを私は聞いておる。先ほど高良委員の御報告の中にあったのは三つの条件が出ておる。それは気象の伝達の方法、二つは船体の構造、いわゆる船舶の基準、こういうふうなものについてどうするか、三つは船長出港判断についてどうするか、こういうようなことを最後に高良委員は先ほど報告されている、こういうものを運輸大臣としては、こういう事故が起きた場合に、再びかような事故を起さぬために、将来にどういう対策を持つのか、また、そういうものを設置しておるのかどうか、お考えがあったならば、この際はっきりしていただければ、かえって関係者の方も心配がなくなるだろう、こういう点を一つお聞きしたい、こういうことを大臣からお答え願いたい。
  26. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も運輸省に参りまして、各大臣のときごとに船が遭難をしておします。それで、私もこんなことでは仕様がないじゃないか、紫雲丸にしても洞爺丸にしても、あの経験からいって、あれは法律を変えるとか、あるいは予算においてそれを充実するとかということはあらねばならぬと私は思っておるのでございますが、さしずめ、私は気象の伝達を早くすることですね、これは技術的に今気象庁長官研究してもらっているのです。早く伝達をしてやってもらいたい、同時に、これはちと消極的であるかもしれませんが、船長に私どもは全責任を負わしません。責任は負うべきでございますが、同時に義務もあるのでございますから、船が沈んだのは船長が悪いのだ、船員に全部責任があるのだということは私どもは言いません。今後は、会社が営利政策から多少荒天にも船長に圧力を加えて出したとか、そういったことがもしありとすれば、これはそういう船会社に対して何か処置をするというようなことも今研究さしておるのでございます。それからあの辺は相当潮流の激しい所で、異常な気象の起る所だそうでございますから、そこを通る船をどういうものを持たしていくかということを、あれは中間検査等を通っていると言いまするけれども、ああいう場所に通わす船が五百トン以下のああいうスピードを主としたものでいいのかどうか、あるいはさっき申しましたように近所に、貨物船ですけれども、三千トンの長島丸は貨物船でございますから、これはまた別でございますけれども、無事にいわゆる何と申しますか、凌波性をもって通ってきているのでございますから、ああいう異常な気象、異常な潮流のある所に対しての内国旅客船は、非常な厳重な方法でもって検査をすると同時に、船の大きさも私はもっと考えていかなければならぬ、これも今運輸次官を長とする対策委員会を設けまして、至急結論を出してもらいたいということを申しておるのであります。もとより、この人間社会におきまして、天災あるいはそういう事件を絶無にするということは、あるいはできないかもしれませんが、いわゆる現在の運輸省の法律、その機構、その能力において、今後こういうことの起らないように、私は努力する今チャンスだと思っておるのでございます。ことに、船舶の検査等につきましても、これはやっておりまするけれども、もしその検査の結果、こういうものをやっちゃいかぬというなら、私はそういう船に対しては検査証明書をやらなければいいのです、そうしたら船は使えませんから。それくらいの強いことをやらなければいかぬと思っております。  それからもう一つ、会社の責任も私は問う法律考えてくれと言っているのです。船長ばかりが責任があるわけじゃない、会社がそういうふうに無理に出さしたという場合には、会社そのものに責任を負わす、あるいは相当な処置をするというようなことを考えなければならぬと思っております。ただ今回は幸いにもあれは定員を超過しておりませんでしたから、かけておりまする保険は、一人当り二十五万円程度はこれは取り得るそうでございます。それから今高良委員のお話のように、相当見舞金、弔慰金を出しておるそうでございますが、しかし、問題は補償でございます。今後の補償、これは遺族会と会社との間においてお話し合いがあると思いまするけれども、まあ私どもは運輸省といたしまして、この間会社の人が見えましたから、これはもう十二分の補償をするようにしてもらいたいということを私は申しておるのでございまして、今のところは死体の捜査に全力をあげて遺族にお渡しする、それから原因を究明する、そうして将来の対策、これは今運輸省におきまして立てておりまして、もし法律改正を要するというならば、私はこの五月までにやってみたい、みたいどころじゃない、やらなければならぬと思います。どうももうちと私はそういう取締りを強化していいのじゃないかというふうに、今回の経験によって考えておる次第でございます。
  27. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私の方の船は全国で相当数ございますし、ことに普通の船ですと、暴風雨のような場合は逃げるわけで、私の方の船はむしろその中へ突っ込んで行くのが号の趣旨でございますので、こういう暴風雨関係、気象関係につきましては、非常に平素から神経を使っておるわけでございます。ですから、平素この気象関係をもっぱら気象庁から受けるわけでございますが、これについては、平素から非常に研究をしておりまして、大体今この辺にあれば何メーターでこれぐらい来るからということで計算してやっておるわけでございますので、大体そういう気象庁の資料に基いたならばそう間違いはないと思っておるのでございますが、肝心のその資料が間違っておったら私どもの方も自然間違うわけでございますので、その点、前回の場合はあるいはやらなかったのかと思っておりますが、平素はそういうふうに非常に綿密にやっておるのでございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 私も海上保安庁の船に乗せてもらって、非常に訓練されておることや勉強されておることはよく知っております。その点敬意を表しておるのですが、あなたの方に、この間の本院の運輸委員会現地調査をしたときの、その状況報告ありましたか。長官、いかがですか。
  29. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私どもの方から竹中参事官がついて参りました。それから報告を受けました。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 そのときの報告を聞いてのあなたは今のような御答弁ですか。
  31. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) さようでございます。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと先ほどの質問の中で、気象庁から答弁がありましたが、一、二点についてお聞きしたいのですが、第一に、気象観測を各地からあげるには三時、大体それから予報がされるのが八時半、六時間近くの時間があるわけですが、外国の気象の業務のやり方ですね、これはデータはございませんか、どうですか。今あなたたちの手にしておられる中で、今六時間もかかるというのは、これはずいぶんある意味では前近代的なやり方じゃないかと思う。予報というものが、それが果して今の世界の科学の水準の中で、こういうものはたえられるのかどうかということは、非常に大きな問題になってくると思うのです。これについてのデータのあるなし。もし御存じでしたらこの点をお聞きしたいと思う。  それから、なぜ一体こういうものがおくれているか。これはほんとうにもっと科学的に機械化していく、そういう点であなたたちの見解を私はお伺いしておきたい。といいますのは、ここに運輸大臣もいられるのですが、そういう点で、もっといい努力をされなければ、やはりのど元過ぎれば何とやら、ということになってはまずいと思う。その点からこの気象通報に関して非常にこの問題は重要じゃないか。こう思うのです。その点ちょっとお聞きします。
  33. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) ただいま私どものやっております方法は外国と同じでございます。で、こういうふうにおくれますのは、非常に広い範囲の資料をとらなくちゃいけないということで、そのためにこんなに長い時間がかかるのでありまして、しかし、実際の天気の推移は、もっともっと早く変りますので、それを全部受信をいたしまして、それで、天気図を作り上げなければ予報が出せないと、こういうものではございません。現在私どものやっております放送は、日本の国内のものが一番先に入って参りますので、これは先ほどの、三時を例にとりますと、三時三十五分から放送いたしております。ただ一時間もかかるというのは、中共、シベリア、そのほかのいろいろの資料を放送するのにそんなに時間がかかるのであります。でありますから、ほとんど局地的のもので台風のような激しいもの、こういうものの場合には、日本の国内の資料だけでやりますので、先ほども申しましたように、一時間後には天気図を作って予報を出すことができます。それから気象の変化は、いつどういう変化が来るかわかりませんので、こういう天気図は一日に四回、こういう天気図を作って予報を出すのでありますが、その間をどうするかと申しますと、前に書いた天気図を基準に頭に描いておきまして、その他のこまかい変化は、国内の気象の資料が全国で約二十八カ所、これは毎時間観測しているのが気象庁に集まって参ります。これで天気の変化の刻々の推移を見ておりまして、それで現在これがどういうふうになっているかというのを、気象庁から地方の予報の中枢あるいは府県の気象台に知らせまして、そうして早い変化に対応する処置をとっているわけでございます。方法といたしましては、結局外国も日本も同じやり方をやっております。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 すると、今のお話の、局地的には一時間後に通報できると、これは台風の場合ですか。それともそれはいつでもできるのですか。先ほどのお話では、台風の場合には全部動員して、臨時的な編成をやってそれができるというお話ですが、その点。  それから、そうすると何ですか、現在の気象業務ですね、これについて、今外国との比較があって、大体外国並みだ、こういうお話ですが、そうすると何ですか、今の機構の中で改善を要する点は、あなたの方では今のところ、ほかにないのですか、私らはそういうところを聞きたいのですが。一体、人員の問題もありましょうし、それからやっぱり機械の問題もありましょうし、それから機構そのものの運営の問題もあるだろうと思う。これは、もっとそういうところで、一体可能性がないのかどうか。そういう点は専門的なことになりますから、あなたたちの一つの構想でもいいのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  35. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 最初の台風の問題でありますが、これは台風のときには、測候所あるいは気象台が台風の中心から特定の位置――五百キロと記憶しておりますが、そこに入れば自動的に毎時間観測をして気象庁に電報を打つことになっております。従いまして、その資料を集めたものを放送をいたします。ですから、その局地的の天気図は必ず一時間後にはできるということでございます。  それから、ふだんの場合でございますが、ふだんの場合でも常時二十八カ所、この数字は私はっきり記憶しておりませんので、少し間違いがあるかもしれませんが、二十八カ所では、これは台風の来る来ないにかかわらず、毎時間の観測をやっております。それはやはり気象庁に電報で通達されております。で、これも、この毎時間の変化を追って天気の変化の推移、それをこちらでつかみまして、その推移を言葉で、平文章で地方へ、指示報と申しますが、そういう指示をする報告を送りまして、それに基いて天気図と天気図の間の変化を予報させることになっております。従いまして、注意報警報というのは、天気図を作らなければ出せないというものではないのであって、これは危険だというときには、これはいつでも出せる制度になっております。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 局地的に出せるのですね。
  37. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 警報の責任は各府県の気象台が負うようになっておりまして、これは自分の判断で出さなければならぬと思うときにはいつでも出せます。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 最も早く出せるのはいつごろになりますか、局地的な判断でやる場合。
  39. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これはやはり自分のところだけの風の変化そのものではできませんので、前の時間の天気図のどこにどういう低気圧があった、それがどう移動していくだろうかという予想を頭に描いておきまして、そうしてそれの修正を自分のところの観測所でして、結論を出すわけでございまするので、いつでもできるわけでございます。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 それは局地の責任においてやるわけですな。
  41. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) そうでございます。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 それから第二点は、気象庁長官御答弁いただけますか。今の気象業務、これでいいのかどうか。
  43. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほどの予算説明にもありましたように、気象庁の予報精度向上ということは、われわれの希望には遠いのでありますけれども、本年も認めていただきました。数値計算その他をいたしまして、さらに精度を向上したいと思っております。われわれの希望としては、先ほどお話がありましたように、気象というのは年中エマージェンシイでないので、ふだんは必要がないが、いざ注意報警報を出すときには非常に人が要る、そういうために人員の獲得が非常に困難なことでございますので、御理解を願ってできるだけこの要員を獲得いたしたいと思っております。  それから御指摘の警報の伝達とか、あるいは気象庁自体内の気象の材料を集めるということも、さらに近代的の通信を使いまして改善をはかりまして、今よりもずっと時間を短縮するようにしたいと思っております。
  44. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと関連して伺っておきたいのですが、先ほど来の肥沼部長からの答弁ですが、私はどうもそれだけでは了解に苦しむ。なぜかといいますと、私どものときの、ここに今問題になっているのじゃない、南海丸が問題ですけれども、ちょうど私たちのときと同じ事態が起きたのではないか。ここに私どもが疑点を抱いて帰ってきた。六時間おくれるということは、各委員からも指摘されたわけですが、その六時間おくれるといっても、これは長い間の職員の勘ではなくて、学問的な研究の結果、六時間後にはかくかくなってくるというのがデータで出ているのだろうから、六時間おくれてもそれはそれなりでいいと思う。問題は私の経験の場合は、六時間おくれるのでなしに、ほとんど一日近くこれが事実ずれてきた。そうするとあとで予報していると同じことじゃないか。そこで、翌日の晴天は、二つ目玉があったからそういうことになったのだと言ったって、それはそれなりにそういうふうにわかるわけだと私は思う。だからちょうどここに六時間でなしに、六時間の範囲ならそれは二〇%の間違いという方になる。けれども、六時間をはるかにこえたあとにちようどみんなずらっと当ってきているのだから、それはちょうどあとで予報しているのと同じ結果になりゃせぬか、この点は一体どうなんですか。
  45. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 当日の天気予報が時間がずれましたことは、まことに汗顔の至りであります。私ども気象学の進歩におくれないように全力を尽しておりますが、ちょうどその日は一番成績の悪かった日に当りましたと思います。ふだんそういうことはないものと信じておりました。まことに申しわけございません。しかし、警報注意報に関しましては、程度は多少の違いはありましても、私どもは百パーセントを目当てとして出しておるわけであります。
  46. 天田勝正

    委員長天田勝正君) もう一つちょっと。さっき数値計算というお話がありまして、私ども現地で、数学者が三年もかかるようなことでも電子計算機だと二分ぐらいで用が足りてしまう、そこで電子計算機を用いたらどうかということで私も高良委員も主張したところが、所在の気象台長は、さようなことはだめでございます、という話だったが、一々手でやらなければ気象の計算というものはできないのですか。
  47. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在電子計算機は気象の大勢を見るのでありまして、地形の変化とか、そういう局地的の研究もいずれは電子計算機の仕事になるでありましょうが、まだ大勢を見るために使うのが第一番でございまして、各国とも局地的に使うのは今研究中でございます。  なお、六時間といわれますと、まあそう天気図を作る時間というものは、一日何回もありませんので、そういうふうにおっしゃいますが、これについては、非常に気象作業というものは複雑でございますから、資料を見ていただきますと、簡単に六時間というのではないと思われます。あとで資料を差し出したいと思います。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 これは私よく知らなかったのですが、気象庁で最低限必要とするような数字があるのですね、これは国会の方に出されているのですか。これは資料として予約したいのですが、最低限、業務をあなたたち担当される面において、しかも、できるだけそういう、先ほどの百パーセントをめざしてやるという、そういう点では裏づけがなければならぬと思うのです。それにこれは予算の問題に関連するのですが、しかし、そういう点でこれは考えてみると、今度の南海丸だけでもかれこれ計算すると十億円以上の損害ですね。これはわれわれ現地に行って見まして、いろいろな精神的負担は抜いて、物の値段だけ考えても、そんなふうにはっきりしたのです。そうすると、そういうふうなことがたくさん起っていますね。これは南海丸だけではなく、あの日だけでもずいぶん多くの船が沈んでいます。そういうものを年間の計算にしますと、その損害は莫大なものです。そこで、ここでたとえば六億の五倍使ったとして三十億の金を使っても、そういうものを未然に防げたら私は国家の利益になるのじゃないか。こういうところに出し惜しみをしているところに、現在のやはりこれは災害の原因がある、そういう点からわれわれは努力しなくちゃいかぬと思う。私だけの責任ではない。そういう点でお願いしたいのですが、何しろ、今最低とにかくこれだけは必要だという、そういうプランがありましたら、ぜひこれは本委員会提出していただきたいと思うのですが、これはいかがでございましょうか。予算審議とも関連するわけですが、こういうのは今まで出されておりましたか。それとも出されておりませんか。そして出されておられないとすれば、出していただけますか。その点。
  49. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) その資料は今まで出しておりません。ただ、ここで申し上げますのは、気象作業もいろいろ航空その他新しい仕事がふえて参っております。それから洪水の対策も逐年やっております。そういうような新規要求でも、私どもの方の要求はその何分の一かしか人員というものが入らない状態で、そうすれば今の現在を保つのさえ困難でありまして、そちらからもさいておるということになるのであります。年々の予算というものは、現状を遂行するのに必要なものを私どもは要求を出しております。あの数字が現状の上から必要な数字で、それもいただけないのは御承知の通りであります。ですから理想の方は私ども実は計算したことはございません。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 これはやはり私たちも、これに関連するものとして一応そういうものを頭に描いてわれわれは行動しなければならぬと思いますので、できるだけ、まあいきなりというわけにはいかないと思いますが、そういう理想に近いものでけっこうですから、そういうものを出していただきたい、こういうときでないと、鉄は赤いうちに打たなければ、また何年後かになるともう南海丸は忘れてしまうのですから、そう言っちゃまずいのですが、そういう傾向が事故を何年たっても絶やせない原因だと思う。やはり今度の遭難事故と無関係とは思われないので、ぜひお願いしたい。  もう一つは、これは気象庁の方ではございませんけれども、どこになるのですか、海運の問題ですが、これについて海運の管理ですか、そういう点で私たち伊丹の空港を見たわけです。伊丹の空港に行きますと、 コントロール・タワー、レーダーの装置がある。それをつぶさに見せてもらったのですが、実に、相当あれは電波の管理によりまして刻々の変化がつかまり、レーダーによっては、絶えず航空機の存在を明確につかむというような形になっております。ああいう装置を一体局地的に適用できないものか。科学的な操作で現在の海運のそういう管理をやっていくとしたら、相当程度やはり遭難を避けることができるのじゃないかという感を非常に深くした。和歌山に参りまして次の日伊丹の空港を見まして対照的にぴんと来たわけです。海運のそういう管理の仕方は非常にやはりまだ前近代的なものが残っておる、船長の感という、そういうようなものがたくさん残っておるような感がするのですが、もっとやはり科学的なことができるのではないか、そういう点についてはどうなんでしょう。運輸省の中ではどこが担当する部門になりますか、海運ですか、お伺いしたい。
  51. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) それでは私からお答えを申し上げます。この問題につきましては、ただいまお話がありましたように、船長の判断にまかしておるというような、国際的なあるいは従来からの経緯、伝統といったようなものがございます。ただいまのお話のように、そういった伝統だけで判断しないで、もっと科学的にやるべきではないか、こういうことでございますが、私どももそういった伝統といったものもいい面もございますけれども、今のお話のような科学的な何と申しますか、運航管理制度といったものにつきましても、先ほど大臣が申し上げましたように、旅客事故防止対策委員会といったものを省内に設けておりますので、その一つの課題としてただいま研究をいたしております。航空につきましてディスパッチャー制度というものがございます。運航管理者といったようなものの制度が海運についても採用できないかどうかということについて、なお、検討を続けておるようなわけであります。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 まだその結論は出ないのですか。それはいつごろ作られてどうなったのですか。その対策委員会がいつ作られて、その結論、いつ出たのですか。
  53. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 今回のまことに残念な事件を契機といたしまして作りましたものでございますから、二月の五日に作りまして、そこで、ただいまいろいろの考えられる南海丸の直接原因がこうだと、こういうことでなしに、考えられ得るあらゆる課題をこの際に検討してみようということでございます。直接原因の探求はもちろん、御承知のように海難審判庁の権威のある御調査を待って、科学的に証明づけられるというふうに考えておりますので、今の問題もこの対策委員会研究をして参りたい。今すぐにそういう制度がいいかどうかということにつきましては、結論はなかなか出にくいと思います。従いまして、別に何といいますか、学識経験者その他広く有識者でもって組織しておりまするところの海上航行安全審議会というものがございまして、そういう方面にも、専門家の御意見も承わらなければならぬかもしれませんが、早急に結論を今直ちに出すということは少し無理じゃないかと私は存じます。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 ちょうど私はあそこで和歌山の県庁に参りまして、先ほど報告のありましたように、関係者数十人に集まっていただきまして、そこで一つの課題になりましたのは、やっぱり総合的に、しかも、科学的にこの原因を徹底的に探求する、そのためには、今の機構だというと、非常にばらばらになっており、統一されていない、もう一つは、責任感というものが先に来て、そうして一体果して真相を大胆率直に、次の遭難を防ぐためにやるようなふうになっておるかどうか、そうでないような感じをわれわれは受けたわけであります。そういう点からわれわれは、そういうようなことについてもわれわれも一つ意見を出したわけであります。そこで、あそこの海上保安庁関係の所長さんがぜひこれはやって下さいというお話でありましたが、今度作られたところの今の委員会ですか、審議会ですか、これはどういう機構ですか、これは機構のあらましを話していただいて、できましたら資料をいただきたい。どういうものでどう作っておるのか。
  55. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 委員の構成は、部内だけでわれわれの業務の反省もいたし、将来の対策を、立法の上で改正すべき点があれば改正しなければならぬ、こういうようなことで、構成といたしましては、省内の関係長官、局長をもって組織いたしております。委員長に事務次官を充てまして、委員には官房長、海運局長、船舶局長、船員局長、港湾局長、海上保安庁長官気象庁長官、それから運輸技術研究所の所長、こういうことにいたしております。委員会の事務は、海運局の海運調整部の海務課において行いまして、委員会の運営に必要な事項は、委員長がやる、こういうことになっております。
  56. 江藤智

    江藤智君 今の岩間委員の御質問に関連して一つお尋ねしたいのですが、今度参りまして痛切に感じましたことは、陸と船との間に全然連絡がついておらぬ。船長もおそらく気象を知っておっただろうというだけで、船長気象予報は確認して行ったというはっきりした報告は全然ない。それから出たあとの船も荒天だから沼島の方の北回りのルートを通るであろう、こういうだけであって、船長から荒天によって北回りのルートをとったといったような報告も全然ない。で、突然沈没の前にS ○Sが出たというのでありまして、このような定期の重要なルートの船としては、われわれが常識的に考えましても、もう少し陸上のそういう運航関係と船との間にはっきりした連絡方法を平素から規定しておいてもいいんじゃないかという気がするわけなんです。もちろん空港のコントロール・タワーのような科学的な方法ができれば、これはもう万全ではありますけれども、まあそれほどの設備をやらなくても、すでに船には無線の設備もあるのですし、連絡をとろうと思えば、いつでもとれると思うのですが、そういうような訓練といいますか、一つの指示というようなことについては、従来運輸省当局としては、全然会社等に対して指示をしたことはないのですか、その点一つ。
  57. 高良とみ

    高良とみ君 関連して。それと同じ欠陥が方々にあると思う。こういう大きな悲劇が起るにはいろいろな要素が集まっていると思いますが、この南海丸い関しても、昭和三十二年六月十九日定期検査を受けた、三十一年の五月に新設検査を受けた、いずれのときにも何ら無電関係の指示事項はなかったということで、まあ非常に安閑としているわけなんです。それから無線従事者は二人とも試験を通っておりまするけれども、一人は、この会社の名簿によりますと、甲板員であり、一人は給仕なんですね。ですから船が出るについては、その二人は、それぞれ甲板員として、あるいは給仕としてお客さんの世話をしていたというわけであって、無電を受ける用意というものがなかったように思うのです。従って、船長がこれをSOSを発するという責任はとったでありましょうけれども、そういう点が五百トンばかりの船にしてみても、またしかし、それであるがゆえに、なお大へんに手ぬかりのように思われるのですが、一つあわせて御答弁願いたい。
  58. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 海運局長にお断わりしておきますが、この際、この船には無電設備がなくても許可されるということは、委員は皆承知しておってなんです。しかし、それにもかかわらず、かような危険があるからやるべきじゃないかというのを含めておりますから、その向きで答弁して下さい。
  59. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 現在の規則では、この船は無電設備を持っていなくてもいい船になっております。実際には無線電話を持っておりまして、これで常時陸上と通報しておったわけであります。私どもも、その点ではむしろよく設備しておったと思うのであります。ただこの点につきましては、今回の事故にもかんがみ、さらに通信機関について規定そのものをなお検討してみたい、そういうふうに考えております。従いまして、陸上と船舶の通信につきましては、本船については、必要のつど無線電話で連絡をしておったのでありまして、当時の気象予報につきましては、和歌山営業所から船に再三連絡を試みておるにもかかわらず、気象状況その他の関係で当時は十分な聴取ができなかったのじゃないかというふうな、傍受しておる小松島方面の営業所の話で私ども聞いておるのでありますが、従いまして、ふだんから注意報その他の連絡はいたすようにしておったと、こういうふうに考えるのであります。  それから先ほどの高良先生のお話でございますが、もちろん通信機器がある以上、専門の通信要員を配置する方がいいことは申すまでもないのでありまして、今後も規定の検討、改善につきましては、そういう点についてもあわせて考慮したいと思っております。ただいまの規定では、兼務でも通信の免状を持った者ということは、むしろ私どもとしては、会社としてはよくやっておったと、こういうふうに考えるのであります。
  60. 江藤智

    江藤智君 私が言っておりますのは、運輸当局を別に責めているわけではないのですが、とにかく今度の事故を見ると、あまりにも唐突で、もう少し船との連絡をよくやっておれば、たとえ沈んでも、それまでの経過でも多少わかるのではないかという気がするので、現在対策委員会のようなものを作って今後の事故防止研究をしておられるようでありますけれども、あるものについては、非常に時日がかかるものもあるかもしれません。しかし、船と陸との間のある連絡を規定するというような事柄は、これは早急にもできることでありますから、研究された上で、そういうような方法が有効であるという結論が出たならば、できるだけ早く実施できるものから実施をしていただいて事故防止に資するというふうに一つ要望いたします。
  61. 柴谷要

    柴谷要君 私は南海丸事件に関連をして気象通報の問題を論じようとは思わない。なぜか。とにかく今日の気象庁職員の実態は、私ども視察の結果よくわかっておる。このような気象庁の現状下において職員は努力されておる。それをあたかも南海丸の原因は、気象の伝達がおそかったから、こういうようなことが起ったようなかりに職員に感じを与えることは、今後将来の気象庁職員の士気に関係するものと私は思うので、南海丸事件に関連しての気象庁問題を論じたくない。そこで、私は特に申し上げたいことは、三十三年度の予算案の中で徹底的に掘り下げて議論してみたいと思います。それについて要望を一つ申し上げておくけれども、気象庁の長官はこの際、ほんとうにあなたが理想的に思っておる気象通報はどうあるべきかということを信念を持って言われるように私は切望しておきます。また、この問題については、政府等においても、十分、問題が起きてからそれに対する対策を立てるというような後手々々に回るような対策ではいかぬと思う。よって、私は極論を申し上げますならば、運輸行政に対するこれは政府の熱意がない、その結果こういう問題が随所に起きておる、こう言わざるを得ないと思う。  そこで、いま一、二点をつけ加えて申し上げておきたいと思うのですが、これは気象庁ばかりではない。運輸省のすべての予算を検討していくとそういう結論になる。そこで、私はこれは責任は政府にあると言いながら、政府のこれらの問題を作らせる原因をなしておるのは、やはりそこに頭を並べておられる皆さん方です。いわゆる政府に対してもあなた方の補佐の任が足りておらぬ。その結果こういう不祥事件が起きていると私は思う。そこで、少くとも今申し上げたような私は心配がありますから、本日はいろいろ気象庁に対してお尋ねしたい点があるけれども、これが誤まり伝えられて気象庁職員の努力が今後の士気に影響するようなことがあってはいかぬから申し上げない。しかし、これは三十三年度予算案の中で徹底的に私どもは追及をし、問題を広げていきたいと思う。その際にどうか一つ皆さん方に特に切望しておきたいことは、信念を持ってわれわれの質問に対して答えてもらいたい。それで、今年度与えられた予算の中で拡大されないとしても、どうか一つ皆さん方の信念だけは吐露してもらいたい。これを一つ約束を願いませんと、この議論が空に回ってしまうと思う。それで私は南海丸事件については、少くとも海難審判所で結論を急がれておられると思う。その結論を見た上で十分われわれはその原因についてもまた探求をし、また責任についても追及をしていきたい、こういうふうに考えておるわけです。まあ一つだけお尋ねをしておくのですが、どうか一つ、三十三年度の予算案の審議に当っては、今申し上げたようにわれわれがあらゆる面からいろいろの問題を掘り下げて、事例をもっていろいろ申し上げますから、どうか一つ、資料だけは完全に整えていただくように、特にこの点を要望しておきます。  それから、まあ派遣委員の皆さん方が幸いにしていい経験をせられた。その言葉をわれわれは大いにこれから参考にしてやっていきたいと思います。そういう意味において、どうか一つ、本日はこの南海丸事件に関連してのそういう問題を打ち切っていただいて、私は次の問題に進んでいただきたい、特にこれを強く要望しておきます。
  62. 高良とみ

    高良とみ君 実にこまかいことですが、この際取り上げておきたいこともあるので、ただいま柴谷委員の御質問、御要望、もっともと思うのですが、毎日起ることなんですから、気象庁に対して一つ二つ伺っておきたいと思います。よろしゅうございますか。――和達長官がいろいろ病気を冒して御努力になっていることは非常に厚く買うのでありますが、どうなんでしょうか。ただいまのような、こまかい六億七千万円の予算の中身はこれからこまかくお示し願いたいと思いますが、気象について国民が少し知らな過ぎるし、私どももあまりたより過ぎていると思うのですが、まあこの視察をし、あるいは大阪管区の書類なんかを拝見して思うことは、あのことが起ったのは、南海丸沈没ということが起ったのは、日曜日だ、また、われわれ視察団が行ったのが日曜日である、日曜日であったからこれを受信する人が少かった、そういうようなことを言われると、これは一体どこの国かしらと思って、そう日曜日々々々従業員が減るようになるのか。その点は一つの一般論なんでありますが、どうでしょうか。気象については、まことに従事なさる方は気の毒でありますけれども、そうして冬季の乾燥また異常な気象では、日曜日も平常以上に仕事が多いのだろうと思うのですが、そこを繰り合せて、日曜日であったからああいうことが起ったとか、日曜日であったから受信者が足りなかったというようなことは、気象庁としては頭におありにならないように承知しておりますのですか、確かでしょうか。
  63. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象庁におきましては、日曜日であろうとも、元日であろうとも、何らの差異もありません。毎日二十四時間勤務を励行しております。
  64. 高良とみ

    高良とみ君 ありがとうございました。それについて、先ほども予報部長のお話に、電話で気象庁に報告するというお話がありましたし、また気象予報についても、船会社その他へも電話を使うことが非常に多いのですね、有線電話を使うことが。そのために、徳島から小松島を呼び出すのに二時間もかかっておるというようなことは、それはもっと有効なものを民間会社から出させていいのだと思うのですが、電話の、長距離電話が出ないことはだれでも知っているのですが、直接的な連絡でもっといけるようになることが今度の予算に出ているでしょうか。何とか電話でなしによい方法はないでしょうか。
  65. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せの通り、気象の伝達は、専用の通信を持つことが第一であります。現在では大きなところでは同時通信で、これは電話でありますけれども、一斉に必要方面に配られるようになっております。徳島気象台では残念ながら現在まだこういう設備がございませんが、できるだけ各地方気象台にはその設備をいたしたいと思うのであります。ただ、この伝達組織にはなかなかに予算が十分でないために、利用者側も協力していただいて、そういう設備が早くでき上るようにわれわれ努めたいと思っております。
  66. 高良とみ

    高良とみ君 第三点としましては、これは海上保安庁長官からも伺いたいのですが、海上保安庁巡視船等も無線の設備のないものが半数に近い、あるいはそれ以上あるというようなことで、現地では非常に苦心をしておられる、そういう点、それからまた、今後海難が、一月に二十回も注意報が出るような瀬戸内海あるいは近海において、ほかの船舶もほとんど連絡の方法がないということを考えますと、りつ然とするわけなんで、また近海において何万の小さな船が沈んだなんていうことを聞くのではないかと思うのですが、海上保安庁の小さな船舶、あるいはそれがない舶船にまで無電設備をするような予算等は、そこまでいかないのですか、今度出ているのですか、そういう点を伺いたいと思います。それからもう一つ、ついでに。小さな船舶もせめて気象通報等に注意するように、トランジスター放送機くらいはほしいのですが、そういうものを設置することは、保安庁としては御要望になり、今度の対策本部にもそういうことは出しておられるのでしょうか。
  67. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 保安庁長官、含めて答弁を願いますが、第五管区で、全部の船舶を南海丸のために動員されている。しかし、その中で事実は三隻しか、あのような荒天の中に救難作業ができないという事実を聞いて、私どもは全く驚いたのです。そこで、それを改善する予算も、今、高良委員の御指摘のものとともに、今回の予算に組まれているのかいないのか、要求されているのかいないのか、それらをはっきりしていただきたいと思います。
  68. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 海上保安庁としては、もちろんのこと、無電設備は持たなければいけないのでありますが、いわゆる巡視船、二百七十トン以上の船は、もちろん外洋へも出ますし、無線設備も持っておりますが、港内で、つまり巡視艇と称する小さい船舶においては、まだ無線設備を持っていないのが相当数あるわけでございます。これはいつも予算に要求するのでありますが、とにかくうまく成立しないのは非常に残念なことであります。船舶につきましても、新造船をうんと持ちたいのでありますが、全くわれわれの努力の足りないせいか、とにかくうまくいかないのを非常に遺憾に思っているわけであります。  今回の現場派遣しておる船舶は、さっきおっしゃいました三隻だけではございません。もちろんたくさん外洋に出られる船舶はありますが……。
  69. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 三隻だよ。あなたの方の参事官が行って確認したのだから、三隻だよ。
  70. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) とにかく小さい船舶が多いのは非常に遺憾なのであります。できるだけ今後努力をいたしたいと思っているわけでございます。
  71. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 島居長官が遠慮するのはおかしいじゃないか。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 そのことについて、木村政務次官に一つ答弁を求めましょう。今の島居長官の言うことについて、政府の答弁を求めましょう。
  73. 木村俊夫

    政府委員(木村俊夫君) 今、長官が申しました通り、私ども努力の至らないために、非常に不満足な状況でありますことをおわび申し上げます。ただし、こういう事件が起りますごとに、政府当局内におきましては、ますますこの海上保安関係予算の重要なことを認識いたしまして、今後この方面に特に努力をいたしたいと思います。
  74. 高良とみ

    高良とみ君 政務次官についでに伺っておくのですが、しろうとの質問ですけれども、民間にはハムというのがありまして、世界各国と無電交換をやっているわけです。そうして戦争で足を失った人たちのためにはみな買って与えるというくらいに、大した巨額の富でなく無電が操縦されている。これを政府が、ことにあなたの方の運輸省は何か機関をお作りになって、あらゆる交通機関に設置させるように、一つの公社でもいい、それを作らせて、それを持たせる、そうして船の許可を与えるときには、必ず必要条件として持たせるということにすれば、もっと生命の安全のために使えるのじゃないかと思います。都合によれば、まことにこれはなんでありますが、海上自衛隊等からももっと協力を得て、こういうものの近代化をなさる方針はないのですか。そうして民間の会社から無電機械を買い上げているというような形でなく、運輸省として、汽車にも必要だし、船にも必要だし、あるいはほかのものにも必要でしょうが、今後、そういう公社のようなものを作って、無電機械あるいは安全装備をお作らせになってはいかがなものですか。
  75. 木村俊夫

    政府委員(木村俊夫君) もとより政府機関のみならず、そういう民間の御協力は私どももまたありがたいと思います。また必要だと考えておりますが、今仰せになりました公社を作る問題については、もう少し具体的に検討いたしたいと思います。
  76. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは最後に一点だけ、私からお尋ねしておきますが、これは海運局長にお聞きします。それは船体構造の問題についてですが、現行法規においてはちゃんと検査の通ったということは、私どもは確認して参りました。しかし問題は、現行の許可基準が妥当なりやいなやということは、大いに問題だろうと思います。というのは、沿岸航路なるがゆえに、許可基準はきわめて、端的に言うならば、甘い基準になっておる。ところが、沿岸航路ばかしでしょっちゅう大きな海難事故が起きておる。特に人命を失うのは沿岸航路ばかしである、こういう事態を見るときに、今の船舶許可基準が一体これは妥当なものとは、しろうとの考えからすれば考えられない。これらの基準の問題について、海運局長はいかがなさるおつもりか、この点について一つ承わりたい。
  77. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 船舶局長からお答え申し上げます。船の構造安全の問題でございまするが、これにつきましては、現在、船舶安全法または船舶復原性の規定というものをもちまして検査をいたしております。ことに復原性の問題につきましては、船が波や風にもまれる場合の復原性安全というものは、非常に理論的にもむずかしいケースがございまして、この問題につきましては、四、五年以来、斯界の学識経験者を集めまして、この程度でよかろうということで、この規定を制定したわけでございます。もちろん、この制定をするにつきましては、そういう方々のいろいろの知識、または従来のいろいろの海象、気象に関するデータ等も十分調べまして、この規定を制定いたしたわけでありますが、しかし、現実におきまして、船がひっくり返っておるわけであります。この点につきましては、私ども実は率直に申しまして、実に意外な気がいたしておるわけであります。しかし、まことに意外というだけでは能のない話でありまして、この点につきましては、本船の僚船のわか丸というのが一隻残っております。その船につきまして、十分性能の再検査をいたしますと同時に、復原性の基準そのもの、または船の救命その他の設備につきまして十分検討を加えたい、こういうふうに考えております。わか丸の復原性の再検査につきましては、会社側にも伝えてございます。この南海丸の引き揚げが一段落つきましたときに、適当な調査機関を設けまして、徹底的に一つ調査をいたしたい、またそれをもとにしまして今後の対策を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  78. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 山下船舶局長に重ねて伺いますが、瀬戸内海のような内海でありましても、なお大きな事故があったことは御承知の通りであります。ことに洞爺丸の津軽海峡もしくは今回のように南海丸の鳴門海峡、こういう場所は、しろうと考えでも外洋の影響を受けるということは私は明瞭だと思う。だから、同じ沿岸航路でありましても、これを同じ基準に律するということにいささか無理があるのじゃないか、これはしろうと考えとして何人もこういう点には疑点を持っておると思うのですが、これらについて、ほんとうの内海と外洋の影響を受けるところの沿岸航路とを差等をつける方がむしろ正しいのじゃないかと思いますが、今後それらについてどうお考えになりますか。
  79. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 南海丸はこれは瀬戸内海からはずれて航海をしておる船でございまして、いわゆる平水の船としての基準にもたれた復原性の検査または安全上の検査をしておるわけではございません。沿海として検査しておるわけでございまして、従いまして、沿海のあの程度の客船であれば現在の法規にもたれて安全であろうという判断のもとに許可を与えておったわけでありますが、その点につきましては、今後さらに十分検討いたしまして、沿海のうちでも、特にそういうような波や風の影響の多いような航路等につきましては、十分再検討いたしたいと考えております。
  80. 高良とみ

    高良とみ君 次官に、最近までの南海丸遺体の収容状況、それから船は浮き上らせるつもりなのか、その点について、遺族の気になってみれば、あそこに沿岸にいていらいらしていると思うのでありますが、私ども同情にたえませんので、最近までの情報を承わりたいと思います。
  81. 木村俊夫

    政府委員(木村俊夫君) 現在までの大体の作業状況の御報告を申し上げます。二十八日に御承知の通り船体を発見いたしまして、潜水作業によりまして船内を、漁船によりまして船体付近を、巡視船によりまして海面上をそれぞれ捜索して参りました。これらの作業が天候平穏なときに限られる関係上、作業がなかなか意のように進みませんでした。本日午前八時現在までに収容いたしました遺体は百十九体でございます。船内の捜索は二月四日をもって、なにせよ泥に埋まっておりますので、泥に埋まっていない部分を終了いたしました。五日よりはエア・ポンプによる排泥作業と申しますか、泥を排除する作業を実施しながら、船体内の泥中に遺体がありますので、その収容作業にかかっております。しかしながら、なかなか御承知の通り作業が困難をきわめておりますので、御遺体の早期収容を期するためにも、船体の引き揚げを早急に実施する必要があると思います。そのために、船体の引き揚げは、二月六日に日本サルベージが実施することに契約されましたが、実際の作業には、遺族の御希望番ありましたし、また運輸省当局の意見もありましたので、最初から作業に従事しております岡田サルベージが全面的にこの作業をやることに変更いたしました。御遺体と船体の引き揚げは並行して実施される予定でございます。サルベージ会社におきましては、非常に慎重を期するために、あるいは六十五日ないし七十日間を必要としておるようでございますが、運輸省といたしましては、御遺族の御心境もお察しいたしまして、また運輸省としても、当然の監督上の見地から、できるだけすみやかに船体の引き揚げを行う監督をいたす所存でございます。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 最後に。先ほどから各運輸省の省庁のお話が出たわけですが、ぜひ運輸省としては、総合的な政策について早急に樹立をしていただく、こういうことをぜひ次官にお願いをしておきたいと思う。  それからいま一つきょうは運輸省関係の予算説明があったわけで、各関係の政府委員の方が出席されて、大へん私も喜んでおるわけですが、ここに奇異なことは、国鉄関係の者がだれもおらぬ。一体、政府予算の提案説明を大臣がするときに、国鉄関係はおらなくてもいいのかどうか、こういう点について、一つ木村次官の方から、どういう理由で本日は出席しなかったか、それを一つお答え願いたいと思います。
  83. 木村俊夫

    政府委員(木村俊夫君) ただいまはおりませんが、先ほどまでは国鉄の小林常務理事が出席しておったようでございます。鉄監局関係が参りませんので、はなはだ手落ちでございます。国鉄の方から小林常務理事が来ております。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 少くとも新年度の予算の提案説明を大臣が行い、あるいは次官も出席して、関係の長官なり局長が全部出席しておる。国鉄は少くとも総裁なり副総裁なりおったはずだ。おらぬ総裁、副総裁であったら、そんなもの要らない。ただ常務理事が出席するだけなら、それはもう必要がない。総裁、副総裁が要らなくなったのなら、直ちにやめてもらう、こういうことが私は必要だと思う。そこで、今後はそういう事例を残さぬように、一つ運輸省の方でやはり本委員会を尊重する建前を私はとってもらいたい。これは国会軽視もはなはだしい。そういう点を私は警告を発して、一つ善処を要望しておきます。
  85. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、南海丸問題につきましては、これを契機に、各般の注意すべき問題がすでに述べられております。これらの点について、当局におきましても十分勉強された上、一つ三十三年度予算とともに伺うことにいたしたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散会