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1958-02-14 第28回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十四日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席分科員    主査 山本 猛夫君       江崎 真澄君    川崎 秀二君       上林山榮吉君    北澤 直吉君       畠山 鶴吉君    南  好雄君       井手 以誠君    小松  幹君       森 三樹二君    森本  靖君    兼務 田原 春次君    柳田 秀一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 静夫君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運輸事務官         (船員局長)  森  巖夫君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         運輸事務官         (観光局長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (捕獲審検再審         査委員会事務局         長)      辻  章男君         海上保安庁次長 安西 正道君  委員外出席者         運輸事務官         (気象庁総務部         長)      吉村 順之君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      肥沼 寛一君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道常         務理事         (経理局長)  久保 亀夫君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君     ————————————— 二月十四日  分科員河本敏夫君及び今澄勇辞任につき、そ  の補欠として畠山鶴吉君及び森本靖君が委員長  の指名分科員に選任された。 同日  分科員畠山鶴吉辞任につき、その補欠として  河本敏夫君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  第一分科員田原春次君及び第二分科員柳田秀一  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計予算運輸省所管  昭和三十三年度特別会計予算運輸省所管  昭和三十三年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 山本猛夫

    山本主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  本日は、昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管について質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。森三樹二君。
  3. 森三樹二

    ○森(三)分科員 主査にちょっとお尋ねしますが、国鉄総裁は御出席にならないのですか。
  4. 山本猛夫

    山本主査 今呼んでおるそうです。二人そろってなければいけませんか。運輸大臣の方からやっていて下さい。
  5. 森三樹二

    ○森(三)分科員 結局両方にまたがるわけですし、答弁も二人からしていただかなければならぬ場合もあると思います。
  6. 山本猛夫

    山本主査 それでは柳田君。
  7. 柳田秀一

    柳田分科員 運輸大臣にお尋ねしますが、日ソ通商協定が先般締約されまして、国会で承認を求める件が可決され、批准書が交換されておりますが、従って、それに伴って日ソ問通商貿易が始まると思いますが、運輸大臣は、これに対して、かつて命令航路のようなものがありましたが、そういうような航路運輸省の方で指定される御意思があるかどうか。
  8. 中村三之丞

    中村国務大臣 大体今のところ日本海方面において八社、黒海方面において三社申請をしてきております。これは別に法律によって許可するとかしないとかいうのではないので、行政措置として適当に考えたいと思います。特に、日本海方面などは、五月とか十月、これは気候の関係もございますから、大体三月中にきめて参りたいと思います。そして、向うは極東海運公社と翻訳いたしますが、そういうもの一社とこれの話し合いをしていきたい、こういうふうに考えております。
  9. 柳田秀一

    柳田分科員 日ソ通商協定のとき、窓口一本化というようなことが問題になりましたが、向う側は極東海運公社一社ということであれば、こちらの方も一本にして、航路も八社のうち一社にしぼって御指定になる御意向ですか。それとも数社御指定になる御意向ですか。
  10. 中村三之丞

    中村国務大臣 できるだけ、向うが一本でございますからこちらも一本にいたしたいと思います。その一本がほんとうの一本か、いわゆる独占で行くか、二つか三つか合せたものを一本でいくか、これは今考慮中でございます。ただ、日本海方面、ちょっとこの辺を考慮しなければならぬのですが、黒海方面は、これは一本でいった方がいいのではないかということで、せっかく今研究中でありまして、きまりましたならばこのことは私は公けに発表して、こういう方針だということを明確にいたしたいと思っております。
  11. 柳田秀一

    柳田分科員 その点はこれくらいにしておきましょう。  それから、これは国鉄のことですが、政治的な問題でありますので運輸大臣にお尋ねいたします。というのは、今各地方町村合併が非常に進んでおります。これは政府の方で指導し奨励されておるわけであります。特に、自治庁の方では、これに対しては特に法律を設けてまで、特例法を設けてまで奨励させている。その結果どういうことが起って参りますかというと、文部省としては学校統合、これは私必要なことだと思うのです。ただ、町村合併する以前、それぞれの小さな町村が独立して、それぞれ学校を持っておった。そういう小学校、あるいは新しい新制中学校等町村合併に従って学校統合が非常に行われた。そこで、起ってくるにとは、通学に際して列車もしくは自動車を利用しなければならぬ問題が起ってくる。それから、小中学では、まず六キロまで、これはまあ六キロですから往復十二キロになりますが、それくらいは、自動車もしくは列車を利用するということよりも徒歩によって通学せしめることの方がよかろうと思いますが、それ以上は、学業の問題からも、また時間的に言っても無理だと思う。そうなって参りますと、六キロ以上になりますと相当父兄負担がかさんで参ります。それで、それぞれの自治体では、特にそういう六キロあるいは八キロ、あるいははなはだしきは十九キロとか二十キロというのもありますが、そういうところの子弟に対しては、町村自体通学費補助をしておるところもあるわけであります。そこで、小学校中学校、同じ義務教育でも小学校は、鉄道にいたしますと、あるいは省営バス等を利用いたしますと、半額になります。これは今度御改正になろうとしておる鉄道営業法の中に旅客運輸規程とかいうのがあって、その十条か何かに十二才未満半額になっておるのですが、その十二才という基準はどこに置かれたのであるか。私の常識をもってすれば、十二才という線をきめられたのはおそらく義務教育だというところでおきめになったのではないかと思うのです。まさかおしりの大きさで、いすをとるところが大きいからどうこうという問題ではないと思う。十二才でも大きいのもおる。そんなことを言うなら女の方が男より大きいのですが、そんなことはどうでもいいのですが、とにかく、私は、坐席を占める面積の問題でなしに、義務教育というところに線を引かれたと思うのですが、義務教育小学校六年から中学三年までになりますと、十二才ということで線を引かれると、小学校子供半額になるが、中学校半額にならない。中学には義務として親が通わせなければならないのに、小学校の場合は半額でいくが、中学では半額にいかないという問題がある。従って、これに対しては、旅客運輸規程を変えていただくか、さもなければ、そういう場合には文部省から通学費用補助を出すか、さもなければ、そういうものに対して市町村補助したならば、それは市町村交付税交付金の中に財政基準として認めるか、こういうことが考えられるのですが、一番簡単なのは、鉄道運輸規程を変えていただいて、十二才を十五才にしていただくことが今日政治的に必要ではないか。ただしこれは国鉄運賃収入に響いてくると思いまするが、幾らくらい響いてくるか、その額をお聞きしたいのです。そう大した問題ではなかろうと考えるのですが。国鉄総裁、副総裁お越しになっているが、総裁にお聞きする前にまず政治家としての中村先生にお聞きしたいのです。どういうふうにお考えになっていますか。
  12. 中村三之丞

    中村国務大臣 それはできるだけあなたのおっしゃるようにいたしたいと思いますけれども、現在十二才となっておるのでございますし、また国鉄収入考えさしていただきませんと、今にわかにそれを十五才にするということは考えておらぬのですが、しかし、これは今後まじめに考えるように国鉄に申しておきたいと思います。
  13. 柳田秀一

    柳田分科員 今私が政治家としての中村先生にお尋ねしたいと言っておったところが、うしろからまたちょこちょこと注進があった。私は特に政治家としての中村先生に聞きたかったので、総裁、副総裁お越しになっておったが聞かなかったのです。長年憲政の道にずっと御精励なさった政治家としての中村先生に聞きたいと言ったのです。うしろの方の人に聞いたのではないのです。現在十二才になっておるとおっしゃるのですが、これは過去において十二才になっておるのです。私の常識では、おそらく十二才というのは義務教育というので線を引いたのだと思いますが、政治家としての中村先生常識では、十二才という線をどこで引いたとお考えになるか。うしろの人でなしに、政治家としての中村先生の御意見を聞きたい。
  14. 中村三之丞

    中村国務大臣 率直に申しますと、十二才という線がどこで引かれたか、私にはわかりませんが、乗物は国鉄だけでなくほかのものも大体そういうふうになっておるというのですから、やはりほかの根本のところから考えていただかなければならぬと私は思うのです。しかし、理想としては、できるだけそういう人たち負担をなくして輸送するということは考えております。考えなければならぬと思いますが、今直ちに仰せのように十五才にするということをここで返答することは、ちょっとお許し願いたいのです。私も勝手に言うわけにはいきませんから、やはり事務当局国鉄相談さしていただく、これが総合的政治判断であると私は思うのであります。
  15. 柳田秀一

    柳田分科員 それでは今度は国鉄当局にお聞きしましょう。鉄道運輸規程の十条に、国鉄では十二才未満の者は半額ということになっておるが、十二才という基準はいつどういう基準でお立てになったか。それから、十二才未満半額、六才未満はつき添い者一人ある場合には無賃とかなんとかいうことになっておるそうですが、こういう基準ができたのは明治ですか。まさか慶応じゃないでしょう。明治ですか大正ですか、何年でしょうか。また、その基準は何を尺度に引かれたか。こんなこまかいことまで総裁にお聞きするのは大へんと思いますから、どうぞ適当な方でけっこうです。
  16. 石井昭正

    石井説明員 小人半額制度は諸外国でもいろいろ例がございますので、私もよく存じませんが、日本鉄道が発祥してからずっとあったと思います。しかし、十二才にいたしましたのはたしかまだ戦前昭和何年か、はっきり記憶いたしませんが、十四、五年ごろ十二才に引き上げた。それまでは十才であった。その引き上げましたときの理由は、実は現場取扱いからで、十才で切った場合には小学校五年くらいから大人ということになるのでありますが、そうしますと、同じ小学生であっても一々改札のところで何年生だというようなことを盛んにやって、トラブルが起ったこともございますので、結局小学生であれば子供とみなすのが一番常識に適した措置ではなかろうかというので、現在十二才になっておりますが、実は小学生でも六年生になりますと十二才をこしておる者もあります。そうした場合には本来から言うとおとなの運賃をいただくという建前になっておるわけでございます。しかし、そういうのは一応例外でございますので、小学生であれば半額でよろしいというのが現場取扱い便宜ではないかということで、その当時改正いたしたと記憶しております。
  17. 柳田秀一

    柳田分科員 そういう便宜主義でやったわけですか。私の常識では、おそらくこれは義務教育というようなところに線を引かれて十二才としたと私は自分では理解しておったのですが、そうではなしに、単なる便宜主義ですか。どうですか。基準を引かれたときにはもう少しはっきりした何か根拠があって皆さん御検討になったのじゃないですか。
  18. 石井昭正

    石井説明員 十二才に引き上げたいきさつは、私の記憶しておるところではその通りでございますので、今でも、定期をお買いになるときに、小学校の六年生でも十二才を過ぎておれば、それはたしか大人運賃でやっておる、かように考えております。しかし、普通乗車券の場合はそこまでやかましく言わないで、小学生ですか、それでは子供をいただきますというようなことが非常に便宜だというようなことで十二才に引き上げたと考えております。
  19. 柳田秀一

    柳田分科員 そうすると、これは一つ特にお考え願いたいのは、このように町村合併が進んで参りますと、先ほど申しましたように、どうしても従来より父兄負担が大きくなる、これは総裁もよくお聞き願いたいのですが、一歩を譲って通学に限ってのみでも、せめて義務教育である新制中学卒業までは半額にするような御意思がありませんかどうか。町村合併という一つ政府の大きな施策を進めておられることは、私けっこうなことだと思う。こういうふうに交通が発達し、また経済事情も変っておるときに、昔のような小さな村で蟠踞するというのではなしに、町村合併を推進せしめることは非常にけっこうだと思う。また、学校も、従来のような小さな学校、あるいは小さなからに閉じこもった視野の狭い学校から、やはり大きく広げていくということは、第二の国民を作っていく上において必要だと思う。それにはやはりその環境を与えてやらなければいかぬ。ところが、そのために通学に非常に大きな父兄負担になっておるので、せめてこの通学に関してのみでも、義務教育中学の間くらいは半額にするという政治的な配慮を加えてしかるべきだと私は思う。決して私はこれを陳情するとかそういう意味でなしに、やはり政治の問題としては、日本政治全体が、一つだけぐっと先に行くがあとはついていかぬということでなしに、政治の姿というものが全体的に上っていくという上において必要じゃないか。先ほど言ったように、これはやはり国鉄運賃収入に響いて参りますけれども、国民に必要なことはやはりそれだけのサービスをして、しかもなお運賃収入も上げていく、こういう方向に政治は行くべきだと思うのですが、国鉄総裁としてはこの問題に対してどう考えておられるか。さらに、おそらく中村先生は、政治家として、私がこういうふうに申しておるので、腹の中では、お前の言っておることも筋はなかなか通っておる、こう理解しながら聞いておられると思うのです。実際に普通の常識ある政治家なら通る議論だと思う。これに対して国鉄総裁としてどうですか。あなた、少し検討をする——今すぐここでそれでは十二才を十五才に引き上げるという御答弁は求めておりませんが、これは文部省当局ともあるいは自治庁当局とも御相談になって、真剣に御研究になってもらわなければならぬと思う。おざなりな答弁で、分科会が済んだら一年間はのうのうと暮せるというようなことでなしに、一つ真剣に検討される御用意があるかどうか、あなたの率直な答弁を最後に伺っておきたい。
  20. 十河信二

    十河説明員 運賃制度の問題につきましては、国鉄当局としては絶えず検討を加えております。今日も、現在運賃制度調査会というものを設けまして、約二年間の期間内にいろいろな運賃制度検討をいたしまして、改むべきは改めるようにしたいということでやっておりますから、先刻運輸大臣からお話がありましたように、運輸省ともよく相談をいたしまして検討を加えたいと存じております。
  21. 柳田秀一

    柳田分科員 その何とか審議会ですか、そういうものを設けられたときは、おそらく一応問題点というものは事務当局がお配りになると思うのです。それでこういう点を検討してくれというのが大体各省の審議会のあり方だと思うのですが、この問題は、そういう問題点一つとして、事務当局から、実はこういう問題が今出ておるのだがこういう点も審議会の方で第三者的に一つ十分検討してくれ、こういうように問題点をその審議会にお出しになっておるか。いや、その問題はあまり国会で問題になっておらぬから出しておらぬ、こういうのですか。時間の都合から、それから先に行きますが、もしそうであるならば、きょう実はこういう問題が国会で起ったが、一つこの問題も追加して慎重に検討してくれ、こういうふうに追加するという意思があるのか、そこまで畳みかけて、それぞれの場合にどういういうようにいたされますか、それを一つ総裁から伺いたい。
  22. 十河信二

    十河説明員 ただいまのところは貨物運賃制度についてもっぱら検討を加えております。将来、今お話しのような旅客運賃制度についても問題点として提供して検討を加えたい、かように考えております。
  23. 柳田秀一

    柳田分科員 はい、わかりました。どうもありがとうございました。
  24. 山本猛夫

    山本主査 森君。
  25. 森三樹二

    ○森(三)分科員 私は輸送に関するところの根本問題から一つお尋ねしていきたいと思います。  運輸大臣並びに国鉄総裁の御答弁を求めるわけでありますが、日本国有鉄道も年々新線が設けられまして延びて参っておりますが、だんだん人口がふえて参るに従って交通が非常に悪くなって参っております。私の考えといたしましては、だんだん道路が整備されてくる、従いまして鉄道もまた新線を敷く費用というものも莫大なものでありますが、諸外国の例で、特にヨーロッパの諸国あるいはアメリカ等においても、現に鉄道輸送よりかトラックあるいはバス輸送のために使うということが非常に行われてきておるわけです。シカゴなんかにおいても、古い鉄道の路線はどんどんこわして、これをトラックあるいはバスによるところの輸送に切りかえておることも事実であります。そこで、私といたしましては、今後日本輸送の隘路を打開するために新線を建設する費用というものは莫大にかさんでいくわけでありますが、これも当然やらなければならぬところはやらなければなりませんが、同時に、これに並行して、トラックあるいはバスによるところの輸送というものもだんだんと強化していく、これに切りかえていくというようなことも一つの方法ではないかと思うのですが、運輸省あるいは国鉄当局においてはこうした点についてどのようにお考えになっておられるか、輸送の根本的な問題としてまずお尋ねをしたいと思います。
  26. 中村三之丞

    中村国務大臣 国鉄新線につきましては、本年度は九十億の予算を要求しております。この範囲内においてやりたい。率直に申しますと、新線は終戦以来相当赤字なんです。しかしながら、公共企業体はやはり地方の産業、経済交通の発展という立場から見て新線を建設する、こういう方針で進んでおります。そこで、バスか、トラックか、鉄道か、これは交通上も大きな問題でございます。たとえば、今度名古屋それから神戸間には高速度国道ができます。これは今あなたのおっしゃる一つの大きな日本交通における変化でございます。しからば、東海道幹線はそのままでいいか。これはやはり、東海道幹線は今度輸送力を増強するということで、狭軌にするか広軌にするか、今調査会において討論をいたしてもらいまして、近くその答申が出ると思いますが、ただ、冷静に考えますと、たとえばこの高速度国道の運ぶお客さんと荷物の量というものと、それから国鉄の運ぶ量とでは、やはり鉄道の方が多いようでございます。それでございますから、私の考えは、今のところ、あなたのおっしゃるように鉄道をはがしまして、そこへ自動車をつけるということも、これは場合によってはあるかもしれませんけれども、大体において並行して、自動車自動車のその性能によって、またその力によって輸送をやる、鉄道鉄道性能とその能力によって輸送を増強していく、端的に申しますならば、並行して調整して、うまくあんばいしてやっていくということが輸送方針ではないか、こういうふうに考え、またそういうふうにやっておる次第でございます。
  27. 十河信二

    十河説明員 私も今大臣お話しになったと同様に考えております。将来は道路の整備せられるに伴って自動車長所国鉄長所を組み合せていきたい。自動車鉄道が競争する関係でなく、——競争する関係もありましょうが、それよりか、むしろ自動車自動車長所を生かし、鉄道鉄道長所を生かして、両者が結合して、協同して国民経済の必要とする輸送を完遂したい、そういうふうに進んでいきたいと存じております。
  28. 森三樹二

    ○森(三)分科員 ただいまの御答弁によりますと、やはりこの鉄道とそれからトラックバス自動車等輸送を並行して調整してやっていかれるというような御答弁がありましたが、これは一がいにどちらを主にするかということは非常に困難な問題でありまして、一応今運輸大臣並びに国鉄総裁の言われたような構想においてやられることだと思うのです。  そこで私はお尋ねしたいのですが、ただいまも中村運輸大臣東海道新線のことを言われましたが、あるいは昨今の新聞では東京——鹿児島間の二十二時間輸送等に関する急行列車を新設するというようなこともありますし、その他スピード・アップの問題もいろいろと取り上げられておりますが、その反面、ただいま申し上げたところのトラックやあるいはバスというような問題についてそれならばどのようにお考えになっておるか。一方国有鉄道の改善とか、あるいは新線とかいうものには非常に力を入れられておりますが、その反面において、あなたが並行されると言ったところのバストラック、これらの点の予算等につきましてはどうもあまり重点を置いていないのじゃなかろうか、これについて運輸大臣並びに国鉄総裁はどういう計画を持って今年度の予算を立案されておられるのか、それをお尋ねしたい。
  29. 中村三之丞

    中村国務大臣 バストラック等は、これは民間においる会社申請を公平に審査をいたしまして、許すべきものは許しております。それから、高速国道にも、これはいろいろの必要が出てくると思います。これらも私どもは今考えております。また、関門あたり国道ができますと、ここへまたトラック輸送などの申請が今出ておるようであります。こういうふうにして、われわれは今両々相待って輸送を増強するようにいたしておりますが、国はそういうものを今経営しておりません。ただ、東北線におきまして、国鉄は、集約輸送と申しますか、あるいは共同輸送というような名のもとに、貨車を節約するために、ある区間には自動車を利用しておるというところもございますが、これが、さっき申し上げましたように、両々相待って調整して、そうしておのおのの機能を発揮せしめようという一つの現われでございます。
  30. 森三樹二

    ○森(三)分科員 ただいま、トラックバス等については民間会社申請に基いて適当にうまくやっているというお話でございますが、これらはもちろん営利会社でございまして、営利を目的としてやっておるわけです。そこで、これらが非常に不当な独占企業——たん権利をとると一つ独占的な企業となって、運賃等についてはもちろん許可制度でありますけれども、不合理な点もたくさんあるわけです。それで、できるならば、国鉄が経営しておるバスというものがあるのですから、単に民間会社輸送をゆだねるというのではなくして、その国鉄バスをだんだんと——あなたの今の御答弁ですと、民間会社申請があればそれを適当に許可していくというような話で、みずから現在国鉄がやっておるところのバスその他の輸送についてこれを拡充していくというようなお考えは、今の御答弁でなかったようでありますが、これらの点についてはどうかと思います。単に営利会社営利の目的のためにどんどん申請をする。そうして、一たん許可になりますと、これはもう永久の路線となって、一つ独占的な企業となる。運賃の点は一つの制限がありましょうけれども、運行その他については地方住民の意思に必ずしもマッチしない。ある場合においては独占企業の本体を暴露して、非常に地方住民から非難の声を受けておる場合も相当あるわけです。従いまして、単に民間会社申請だけに許可するというのではなくして、国鉄自体がやはり地方の住民の福祉発展のために、現在やっておるところのバスその他をみずから経営するというような方法はないかどうか。先ほどあなたは鉄道自動車輸送というものは並行して調整してやっていくつもりだというような御答弁でありましたが、その御答弁とただいまの御答弁弁といささか私はずれがあるのじゃないかと思います。この点をあらためてお聞きいたします。
  31. 中村三之丞

    中村国務大臣 私、ちょっと言い落しましたが、国鉄バスを経営したいという申請がございます。これは公共企業体でございますから、そういう場合はほかの線とよく調整をしまして国鉄を許しております。場合によっては国鉄バスを優先せしめたいと思っておるのです。それは私申し落しまして相済みませんでございましたが、国鉄バス経営は現在相当あるのでございます。また将来もこれは必要と認めます。これが適当である、その地方全体の交通のためによろしいという場合は許していきたい、こういうふうに思っております。
  32. 森三樹二

    ○森(三)分科員 今の御答弁は非常に微妙な御答弁でありましたが、どうも、われわれが見てるいと、利潤に非常に乗ってくるところのバスの路線は民間会社に許可する。その間にいろいろ取りざたされているいまわしい問題もありますが、ともかく、営利会社営利を目的としているから申請をしてそして許可をとる、いわゆる利益採算に全然乗らないようなところはやむを得ず国鉄がそれを補っていくというような節も私はしばしば見るわけです。先ほどの運輸大臣の御答弁によりますと、むしろ民間会社に優先してやろうと思っておるのだということのようでありましたが、私はやはり今申し上げたような方向に国の輸送の体系というものを持っていかなければいかぬのじゃないか、単に民間会社の利益追求のみの輸送の対象というものは本来の国の輸送というものの使命を達成しないものである、こういうように思うのです。ただいまは運輸大臣から御答弁がありましたが、国鉄総裁はそうした問題について日ごろどういうように御検討なさっておるか、総裁からも一つ答弁願いたいと思います。
  33. 十河信二

    十河説明員 国鉄は国の根幹をなす輸送を営むということが大体国鉄の主たる使命であります。この使命を達成する上におきまして、先刻来いろいろお話のありましたような事情もあって、鉄道だけでは十分輸送の目的を達することができない。そこで、鉄道のかかるまでバスあるいはトラックを運転する、あるいは鉄道の代行にやるとか、あるいは鉄道の補完的任務を持った路線を経営する、あるいは先刻申し上げましたような鉄道と相待って一体をなして地方輸送を完遂するというような趣旨におきまして、バスもしくはトラックの運営をいたしておるような次第であります。最近は鉄道輸送が非常に混雑して参っております。施設が需要に十分伴わないというふうな状態であります。鉄道輸送力を増強する上においては、どうしても自動車と相待って協同して輸送をするという、そういう方面の輸送にもっと力を入れなければならぬのじゃないかというふうに考えておりますが、そういったふうな点に相当力を入れてやりつつあるような次第でございます。
  34. 森三樹二

    ○森(三)分科員 その問題は根本問題としてこの程度にいたしまして、ことしの新線計画でありますが、大体昨年より二十億円程度予算が増額されたのであります。この程度の予算では、先ほど運輸大臣の強調されたところの新線というものの急速な解決はとうていできないのであります。これにつきまして、運輸大臣はもちろんこの予算では不満であろうと私は考えますが、この新線の内訳等についてどういうようにお考えになっておるか。これは単に新線ばかりでなく、その他いろいろな調査費その他というようなものも含まれておるのでありますが、この予算の使途についてはどういうふうな基本的な配分使用をお考えであるか。もちろん鉄道審議会等を通じてこういう問題も審議されるわけでありますが、運輸大臣並びに国鉄総裁としてはこの根本的な態度についてどういうようにお考えになっておるか、承わりたいと思います。
  35. 中村三之丞

    中村国務大臣 この九十億円の中の配分につきましては、今仰せのごとく、鉄道審議会の意見も聞かなければならぬことであります。しかし、運輸省方針といたしましては、これは国鉄と打ち合されておるのでございますから、大体次のようなものであるということを書類によって申し上げておきたい。  第一は、継続中のもの十五線、これは今後の所要額は約三百四十七億円と計算されております。  第二は、昭和三十二年度新規追加線十三線、今後の所要額は約八百三十四億円であります。  第三は、調査継続中のものが十六線であります。  第四は、津軽海峡鉄道をやってみたい。これの調査費、たしか一億円だと記憶いたします。  それから、第五に、本土——四国海峡の調査、これが一億円。  その次の第六でございますが、東海道線が昭和三十六、七年になりますと輸送力が限界に達しますから、先ほど申しました調査会の答申を待って新線をやらなければならぬ。  そういうための経費なども必要とするのでございまして、大体九十億というものは今申しましたものに配分されていくものであります。
  36. 森三樹二

    ○森(三)分科員 そこで、私あらためてお尋ねしたいのですが、ただいまも運輸大臣から説明がありました継続線十五線、それから三十二年度の新規追加十三線等の御説明がありましたが、いずれも予算が非常に少いことは事実なんです。私が最も遺憾にたえないのは、津軽海峡の海底トンネル並びに本土——四国間の海底トンネルの問題でありますが、これは運輸大臣相当力を入れられておったし、またわれわれとしても大いに期待しておったわけです。一つの例を申し上げますと、先般の南海丸事件はあのような痛ましい百五、六十名の生命を失ったわけでありますが、これは全くわれわれとしては遺憾にたえない、全く予想もしなかった海難であります。それからまた、数年前におきましては、御承知の通り津軽海峡においては洞爺丸が転覆いたしまして、千二百名の貴重な人命を失っております。われわれが全く予想だもしない、あのような、三千トンも四千トンもある大きな船が転覆するなんということが発生しておるわけであります。従って、そうした海難を避けるということ、そうしてまた一面におきましては輸送力を強化するという方面からいたしまして、海底トンネルの設置というものは実に強い国民的な要望があるわけでありますが、これには調査調査と言っている。われわれの知るところでは、大体調査ができておるのでありますが、津軽海峡の様子を見ますと、大体六百から六百五十億の予算が必要だとされています。そうしますと、毎年六十億ずつ出していきましても十カ年以上かかる。地元の方ではどうかといいますと、もうすでに海底トンネルの工事にかかっておるような実際気持を持っている人が多いのです。ところが、今も運輸大臣の御説明の通り、今年はようやく津軽海峡、それから四国の淡路島—本土の場合も一億円の調査費がついた。私はそのようなことでは日本輸送力強化はとうてい実現できないのじゃないかと思うのです。これも予算要求はたしか十億程度ずつ出してあったはずでありますが、私は何も運輸大臣政治力が弱いとかなんとか言って非難するわけじゃありませんが、これは運輸大臣だけの責任じゃなくて内閣全体の責任だと私は思います。しかし、このようなことでは、百年待ったところで、海底トンネルというものはできないと思うのです。しかも、一億ずつの調査ということは、一体どういうようなことをやるのか。一億でもって果して海底トンネルの設置をするだけの調査というものができるのか。考えてみますと、毎年——来年になってもこのような一億か二億の予算でまた調査、再来年になってもまた調査と言って、調査々々で日が暮れてしまうのではないかと思います。少くとも国全体の輸送力、それから海難を発生させないという観点から、急速に私はやらなければならぬ一つの大きな問題であると思うのです。こうした面にここでは一億ずつの予算ですが、御承知の通り、本年度の予算におきましては、経済基盤強化の予算として二百二十一億というものが計上されておることは御承知の通りだと思うのです。この経済基盤強化の予算の中には、港湾その他いろいろな重要産業等に使用することができるというような項目が書いてあるわけでありますが、私は、このうちからでも運輸大臣としては予算をお取りになって、これらの海底トンネルを達成するように御努力なさることが当然であろうと思うのです。それくらいのことをなさらなければ、私は運輸大臣として海底トンネルに対する熱意がないと言われても仕方がないと思うのですが、この点についてお考えを願いたいと思うのです。この二百二十一億の経済基盤強化資金繰り入れの予算を、道路整備、港湾整備、科学技術振興、異常災害の復旧、または産業投資特別会計への繰り入れに必要な経費に充てる財源の一部を確保しようとするものである、こうなっております。従いまして、道路整備とか港湾整備とか、科学技術振興、異常災害復旧、こういうようなものがあるわけでありますから、運輸大臣の御努力によっては、こうしたものの中から相当予算を獲得することができると思うのです。これについて一つ信念的な答弁を願いたいと思うのです。
  37. 中村三之丞

    中村国務大臣 この両海底トンネルと橋を作るということは、私も前運輸大臣考えを受けついで、また各方面の要望に従って、やりたい決心なのでございますが、仰せのように調査費を五億ずつ十億要求したのです。それがほかの振り合いで一億程度にとどまりましたことは、まことに私申しわけないわけでありますが、この一億円は毎年一億円ずつというのではなくて、着工を前提としての調査でございますし、すでにもうある程度調査ができて、可能であるという見込みのもとにやっているわけでございますから、これを毎年繰り返すことはないのでありまして、着工のための予算を今後つけていくということは、私どもの考えているところでございます。なお、その調査あるいは技術的方面の可能性につきましては、もし御要求でございますならば政府委員からお答えを申し上げたいと思いますが、要するに、これは着工を前提としたものであると御了承願いたいと思います。何分にも、これは大きく申しますと日本においての世紀の大きな事業でございますから、ある程度慎重な期間が必要であることも御了承願いたいと思います。
  38. 森三樹二

    ○森(三)分科員 運輸大臣は誠意のあるような御答弁でありますが、しかし、どうも力のない御答弁で、全く物足りないと思うのです。この両海底トンネルは、きのうやきょうの問題ではないのです。事件が発生した直後から非常に大きな世論となって現われている。今のような御答弁ですと、調査費として出したんだが、これは着工を前提としたものだ、こういうのですが、着工を前提として一億円出して、どれだけの仕事ができるのですか。現在までの経過も係官から御答弁願いたいと思いますが、それで来年からでも本格的に着工できるんですか。また来年もこのような情勢になるんじゃないですか。いつでもおざなりで一年延ばし一年延ばししている間に十年くらいすぐたっちまうですよ。本腰を入れて来年からでもやられるというだけの確信ある御答弁ができるんですか。こればかりの予算をつけて、これは着工の前提だと得々としておっしゃっているなんて——とにかく五十億や六十億の予算でできる仕事じゃないのです。先ほど申し上げた通り、青函間の津軽海峡トンネルだけでも少くとも六百五十億要るという計算になっている。毎年六十億出したって十年以上かかる。それを今年一億くらいの調査費を出して、あたかも着工を前提としたと大見得を切られても、納得できないですよ。一つ係からも御答弁願うと同時に、あらためて運輸大臣の確信ある答弁が聞きたい。私が先ほど申し上げた経済基盤強化資金を導入して根本的な着工に入ってもらいたいと私は思うのです。経済基盤強化の二百二十一億というものの必要度を私は先ほど申し上げたのです。これについてあなたは今見解を述べられませんか。この点も一つ答弁願いたい。
  39. 中村三之丞

    中村国務大臣 経済基盤には港湾は入れました。これは港湾の近代化という立場から私が主張して入れたのですが、鉄道は入っておりません。
  40. 森三樹二

    ○森(三)分科員 しかし、拡張解釈ができるかどうか。異常災害の復旧というのが項目の中にあるわけですね。そうした点で、何らかの措置によってこの金を五億なり十億なり入れて根本的な調査をやるのでなければ、一億くらいの調査で来年着工できますかどうですか。そうすると、今の御答弁ですと、経済基盤強化の二百二十一億からはとうてい海底トンネルに予算を回すことができないというように了解してよろしいのですか。それを回すだけの努力をしてもとても見込みがないというような、きわめて冷静というか冷淡な御答弁のように聞えるのですが、それ以外に予算を持ってくるとか、——予備費から持ってくるわけにはいかぬでしょうが、何らかの方途を講じて、少くとも明年着工の態勢を整えることができないのかどうか。この問題については数年前からわれわれは真剣になっているのですから、運輸大臣答弁にはきわめて重要性があると思うのです。一つしっかりした御答弁を願いたいと思います。
  41. 中村三之丞

    中村国務大臣 経済基盤の方は港湾だけで、御了承願いたいと思います。  着工を前提としてでございますから、来年は、この調査が大体見込がつき、確信ができて、技術的な資材の関係もできれば、これは一日も早く予算に数十億円を計上して計画的にやっていくことに努めることは、申すまでもないことだと思います。
  42. 森三樹二

    ○森(三)分科員 それでは、先ほど運輸大臣は係官からでも説明させてよろしいとおっしゃったが、係官から両海底トンネルの具体的調査がどの程度まで進んでいるのか、一億円ずつの金を出したら根本的な調査が完了して来年は本格的に予算を出せる段階にまでなるのか、どうかを承わりたい。運輸大臣は調査ができたら明年からでもすぐにやりたいというようなことを言っていますが、それは単なる希望的な見解のように私は聞いたのです。ことし中に調査を完了して来年から必ず着工するというだけの確信ある答弁をなさらなかったように思う。もう一度大臣の御答弁、あわせて係官の御答弁を私は要求します。
  43. 中村三之丞

    中村国務大臣 ともかく着工を前提としての調査費をとっておるのでございます。調査費というものは頭を出しておるのですから、これは公共事業として今後継続的にやり得るという一つのスタートが切られておると私は思うのであります。この点は御了承願いたいと存じます。
  44. 森三樹二

    ○森(三)分科員 スタートを切ったのはわかりますよ。しかし、スタートを切っても進むだけの力がなければ仕方がない。ものには速度というものがあるでしょう。ことし完了して来年着工できるだけの調査費なんですか。あなたは五億円ずつ調査費を要求したと言ったでしょう。五億円なければできないと思っているものが、一億円でできるわけはないでしょう。あなたは、ただ頭を出して責任を免れたいと思ったら、大違いですよ。頭を出してスタートを切ったということはわかりますよ。スタートを切ったといったって、その速度が鈍ければ何年かかるかわからないのだから。また来年もこんなことだったら実現の見込みがつかない。だから、私はさらにあらためて言いますが、スタートを切ったのはいいけれども、この一億円で来年着工という段階に入れるのですかどうですか。スタートを切ったことはあなたがおっしゃらないでも私はわかっています。そこがかなめなんですよ。
  45. 中村三之丞

    中村国務大臣 スタートは切られたのでございますから、これをできるだけ早く計画的に——計画的にでございますよ。計画的にやるということは、私ばかりか、今後の運輸大臣の努力すべきことだと思います。そう来年とか再来年できるとか、それは中共の……。
  46. 森三樹二

    ○森(三)分科員 しかし、計画がなければだめでしょう。
  47. 中村三之丞

    中村国務大臣 計画はこれから申し上げます。計画は金額もあなたのおっしゃる通り大体その程度でございます。その点は私から申し上げるよりも国鉄とか……。計画を申し上げることは私はあえて辞さない。だからさっき申し上げておる。しかし、これは私は責められてもまことにつらい立場なんですが、その点は、私は、五億と言ったが一億になったといって率直に申し上げておる。しかし、スタートを切った以上は、私も、この次の運輸大臣も、歴代の運輸大臣が保守党でしょう。保守党の歴代の運輸大臣は努力いたします。
  48. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 この工事の計画は、もう御承知のことかと存じますが、一応順序として申し上げますと、先ほどお話がありました通り、総工費が約九百億円でございます。  それから、これは青函海峡でございますが、隧道の延長が三五・五キロでございます。その中で海底部が二二・五キロになっております。工事期間が約十カ年、こういうことでございまするが、これは概略の見当で、ただいまのところかような計画を一応立てておる次第でございます。  これはほんとうに申しまして世紀の大事業でございまして、かような長大な海底隧道は世界にもまれなものでございまするので、慎重に慎重を期していたしませんと、工事が途中で頓挫し、または事故を発生するということになりまするので、十分に事前の調査をいたしていかなければなりません。このためにただいままで約九千万円の調査費を投じております。そして、最近までに調査をいたしましたのは、海底部の地形や地質確認のために、あるいは水深の測量をいたし、あるいは海底部の岩石を採取いたし、あるいは弾性波の試験をいたし、さような調査を進めていき、これらを総合しまして、ただいまの技術の水準から申しまして、工事が可能であるという結論を得たわけでございますが、しかし、これをさらに実行に移しますにはまだまだ調査不十分の点がございます。この隧道をいたしますには、どうしても縦坑を所々に大規模に試掘いたしまして、いろいろ実際上の調査を行わなければならぬ。かような段階でございまして、今すぐに着工する、路線もきめまして開さくにかかるというところまでの調査にはまだいざさか無理がございまするので、今回の一億円をもちまして、誤まりのないように十分に調査を進めていきたい、こういうことでございます。  次に四国の連絡鉄道の状況をお話し申し上げますると、ただいままでに八百七十万円調査費を投じまして、水深測量や海底の岩石採取等を行いました。これもやはり、現段階におきましては、四国連絡鉄道は技術上可能であるという結論を持っております。しかしながら、これを実際の工事に移しまするには、まだまだ各方面、各種の慎重な調査を要しなければなりません。たとえて申しますれば、やはりこれも同じように、地質の測量を完全にいたしませんと、工事中に不測の障害ができてもいかぬ、こういうことで、来年度はみっちり基礎の調査をして、工事の遂行上万誤まりのなきことを期して、いきたい、かように考えている次第でございます。
  49. 森三樹二

    ○森(三)分科員 私は今の御答弁を聞けば聞くほどどうも実現がずれていくような感じがするのです。もちろんこれだけの大工事でありますから、慎重の上にも慎重な調査が必要だと思うのでありますが、今の御答弁を聞いておりましても、大体それならばいつごろから着工できるのだということが一つもはっきりしない。調査々々詰めです。それは調査ができなければ仕方がありませんが、調査がいつできるかという御見解もあまりないようです。そうしますと、先ほど中村さんが言われたように、五億円の予算をことしは要求した。この要求した五億円があれば調査が完全にできるのですか、あるいはこの一億円の予算の場合には、これは調査ができないのですか、その点はどうなんですか。調査費というのは一体どれだけあれば完全にやれる見通しなのか、調査をする期間は一体どれだけの期間があればできるのか。先ほどのあなたのお話によりますと、縦坑を作って実地の調査もしなければならぬという。縦抗をやるということになれば、とても一月や二月でやれるはずはないです。それをやっただけでも相当の時間がかかる。従いまして、実施計画の調査の総ワクというものは一体幾ら見ておるのか、五億円あればいいのか、十億あればいいのか、二十億あればいいのか、これも明確にしてもらいたいと思います。一億円ずつを毎年出してそれを積み重ねていく、全体の調査費はどれくらいかかるのだ、調査期間はこれだけの調査期間があればこれをやれるんだ、それだけの確信ある御答弁を願いたいと思う。そうでなければ、全くばく然としておって、先ほど運輸大臣の御答弁の、スタートしたんだからとにかく調査し着工するんだというような御答弁では私は納得できないのです。もう少し確信のある御答弁を願いたいと思います。
  50. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 調査費が一億で足りるか足りないかというお話のようでございますが、もちろん、当初要求予算よりも大幅に減額いたされましたので、非常に窮屈は感じております。しかしながら、調査につきましては、もちろん十二分に資金がございますればよろしいのでございまするが、これも一般の財政との均衡からでありましょうか、削減を受けまして、この範囲で一応調査をしろということでございますので、その範囲におきまして十分に努力もし、また工夫もこらしてやって参りたい。それで、先ほど申し上げましたように、大体他の部分の調査はほぼ完了しておりまして、それを基礎として推論いたしますと、この隧道は実行可能であるという専門家の結論が出ておりますので、調査完了次第着手の予算をあらためてちょうだいいたしまして遂行いたすつもりでございます。なお、調査の途中におきまして、もし調査に不足を生じたような場合には、また関係方面に御連絡をとりましてやりくりその他をいたして、何とか調査を遂行して参りたい、かように考えております。
  51. 森三樹二

    ○森(三)分科員 同僚の御質問もありますから、あまりくどくやりたくないのですが、あなたの御答弁が柔軟な答弁ですから申し上げるのです。私はもっとはっきりした答弁を期待しておるのです。今、一億円でやって足らなければまたお願いする、一億円でやれるならそれでもってやってしまうというように聞える答弁なんです。しかし、実際において、われわれの判断では、もっとも私らはしろうとですが、一億円や二億円ぐらいではそれはできないような気がする。あなたの御答弁では、一億でもできるかもしれぬ、できなければまた一つ予算を何とかしてやる、そういうふうな御答弁です。ざっくばらんに、運輸省として考えておる調査費の総ワクはこれだけ要るんだ、これだけあれば一年なり二年なりすればできるんだという明確な御答弁をいただいて、それで私は次の質問に移りたいと思うのです。
  52. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 当初お願い申し上げました調査費は五億でございまして、これは決して水増しでも何でもないのです。ところが、一億でできると申し上げますと、前の五億が水増しではないかというおしかりもこうむるので、答弁が非常につらいのでございますが、先ほど申し上げましたように、調査というものをできるだけ能率的にいたしまして、何とか調査を完了いたしたい。しかし、工事費の流用は認可を受ければできることでございますので、もしほかの工事がおくれ、この調査が進んでなおかつ多少の不足があるというような場合には、その間関係方面の御了解も得て融通をきかせることもあろうか、こう申し上げたのでございまして、ただいまの気持は、ぜひこの一億をもちまして調査を進めて、できますならばこれをもちまして調査の十分なデータをとりたい、かように考えておる次第であります。
  53. 森三樹二

    ○森(三)分科員 それではこの問題についてもう一問だけ。今の御答弁では、できれば一億でもって仕上げたい、しかし五億の予算を要求したのは決して水増しの要求ではなかった、そういうような御答弁のようですが、それで御確信があるのですか。一億で大体やれるというのか、それともやはり五億円なら五億円の金があれば着工の段取りまでやれるのか。あなたの先ほどの御答弁によると、縦坑まで作って調査されるということですが、一億円というようなことではとてもできないような気がするのです。そういうような、悪い言葉ですが、ごまかしのような答弁ではなく、はっきり、五億なら五億なければできないんだ、この一億程度では自分たちの考えている調査はできないのであって、着工がおくれるんだということを国民にはっきり知らしてやってほしいと思うのです。われわれ自身、いろいろ尋ねられても、あいまいもことしたあなた方の答弁をこれまた答弁してやらなければならぬのです。どうも雲をつかむようで、はっきりした認識を得られないのです。だから、五億なら五億ほんとうに要るんだ、ことしはしようがないから一億でできるだけやるが、来年もまた調査をするんだ、だから着工するといっても少くともあと三年や四年はかかるんだとか、もう少し明確な時間的な御答弁を願えれば、この問題はこれで終りたいと思うのです。運輸大臣一つ腹をきめて御答弁願いたい。総裁、副総裁からもはっきり御答弁願って、ほかの問題に移りたいと思います。
  54. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は、調査々々で日を暮すべきものではないと思います。従って、国鉄当局において、技術的にも経済的にも、これだけの調査によって、そして今後着工できるということは——私は率直に申しまして技術のことはわかりません。ですから、国鉄から一つ答えていただいて、これだけの調査期間を置けば大体はわかる、そしてあとは着工だ、これは国鉄考えておられると思うので、技術的に何も知らぬ私からなまじっかな答弁はいたしませんから、一つ国鉄の言うところを冷静にお聞き願いたいと思います。
  55. 十河信二

    十河説明員 先刻来、運輸大臣からも小倉副総裁からもお話のありましたように、申すまでもなくこのトンネルは非常に困難な事業であります。海底隧道は御承知のように世界でもあまりやっておりません。本年は英仏海峡の計画をやっておられる方がフランスから日本の関門隧道の研究に来られるというふうな状態であります。従って、青函間の海底だけでも二十二キロ、全体で三十五キロあるというこの隧道は非常に困難な事業であります。調査の上に調査をやってみないと——一応の調査でまずこれは技術的に可能であるという見通しがつきましたから、今度実行する上においてはもっと先ほどから話のありましたようないろんな調査をやってみないとわからないのです。五億要るか十億要るかわからぬですよ。それで、とりあえず来年度は一億で調査を進めてみて、確信がついたならばどういう地質にどういう工法でやっていくか、工法にもいろいろありますから、その地質や海底の状態に応じてどれが適当であるかということをきめてから着工しなければならぬ。従って、工費も、大よその見通しはつけておりますけれどもどれだけかかるか、また何年間でやれるかということをまだはっきりは確定いたしておりません。実行にスタートしておるのではありますけれども、そういうふうな状態でありますし、われわれもできるだけ早く調査して、できるだけ早く技術的にもあるいは経済的にも可能な範囲でやりたいということを考えておる次第でありますから、御了承願いたいと思います。
  56. 森三樹二

    ○森(三)分科員 総裁からも非常に真剣な御答弁があったようでございますが、私としては、ことしの予算が非常に貧弱だ、このような貧弱な予算をもってしてはとうていわれわれの期待するような工事の着工というものの実現はいつになるかわからないという、非常に悲観的な考えを持っておるわけであります。そこで、中村運輸大臣に聞き、総裁にもいろいろ質問したわけでありますが、大体の調査はできておるのであって、これからの調査はほんとうにやるという踏み切った調査になっておりますから、一刻も早く、必要な経費を獲得して、そうして万全を期して着工に入っていただきたい、かように考えております。  それから、今度は進みましてお尋ねするのでありますが、昨年は運賃一割三分の値上げをいたしまして、国鉄は五カ年計画の実施を始めたわけでありまして、本年度はその二年目に当っておるわけです。そこで、毎年一千億円ずつの施設改善等をやっておられるわけでありますが、これについて、私は、果してどれだけの施設が改善されたか、また、国鉄考えておるところの五カ年計画というものは、去年の初年度実施においてどのような成績を上げたか、一応お尋ねしたい。
  57. 中村三之丞

    中村国務大臣 五カ年計画は完全に遂行するように努力をいたしております。本年度の工事勘定の予算は千六十二億円計上されております。これでは十分とは申しません。しかし、五カ年計画の動脈を傷つけない、予定の方向を傷つけないという金額は獲得できたと私は思うのでございます。それらの内容につきましては政府委員から詳細お答えを申し上げたいと存じます。
  58. 權田良彦

    ○權田政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、昭和三十二年度を初年度としていわゆる国鉄五カ年計画というものを進行せしめておりますが、この昭和三十二年度で仕上げましたものと、昭和三十三年度の今御審議願っております予算案によります工事経費とを合せて、これは五カ年計画でありますので、新線建設費は別といたしまして、いわゆる改良費についておおむねの進捗率を申し上げてお答えしたいと思いますが、大体、五カ年計画の進捗率で、通勤輸送で全体の四八%くらい、幹線輸送で一八%くらい、幹線電化で二六%くらい、電車化で三五%くらい、ディーゼル化で二五%くらい、車両増備で二八%くらい、その他諸改良で二九%くらい、取りかえ、諸改良、老朽施設の改善では全体の六〇%くらい進捗いたしております。総計におきまして約三六%足らず進捗いたしております。従いまして、五カ年の二カ年間でこうなりますので、御案内のように、五カ年計画で前国会で御説明いたしました通りに、初年度、次年度という五カ年計画前半では、取りかえ、諸改良に重点を置いております。すなわち、老朽施設の取りかえに重点を置いて、安全ということをまず第一に果し、自後いろいろ近代化というような方向に行って、五カ年で所期の目的を達するということになっておりますので、今申し上げましたように、個々の内容別に申し上げますると進捗度の早いものもありますしおそいものもございますのはそういう事情でございまして、この昭和三十三年度予算案を実行さしてたいだきまするならば、緊急とりかえというようなものはほぼ終了すると考えておりまするので、三十四年度以降はその他の重要な近代化あるいは輸送力増強に重点を向け得ることになりまするから、五カ年間全体として見ますると、大体所期の計画通り達成できる、かように考えておる次第でございます。
  59. 森三樹二

    ○森(三)分科員 今御説明がありましたが、そのおもなものは、車両あるいはレール、その他駅とかいろいろあるのでしょうが、最も重点的な順序はどういう方向か、伺いたい。
  60. 權田良彦

    ○權田政府委員 五カ年計画のときに御説明いたしました通りに、五カ年計画の目的といたしますことは、突き詰めて申しますと、一つは老朽資産を取りかえる、できるだけ古いものを新しいものに取りかえて安全に遺憾のないように期するという点。この点は、御案内の通りに、戦争中にいろいろ酷使いたしましたし、被害を受けましたし、戦後その点がいろいろな事情から非常に意にまかせず十分でありませんでしたので、新たに思い切ってそういうところを老朽取りかえをやるということが一つでございます。それから、もう一つは、輸送力が非常に足りませんで、いろいろ世間、国民、荷主の需要に沿い得ない、この輸送力を緊急に整備して、できるだけ需要に沿うように輸送力をつけていく、このことによって日本経済、社会、国民生活の伸びに対しておくれを取り戻すということが第二の目的でございます。第三の目的としては、鉄道というものは、技術が進歩して参りまして、いわゆる近代化と申しますか、たとえば蒸気列車なんかでも、支線区ではやめてガソリン・カーが走るとか、あるいは軽量の車両が早いスピードで走るとか、いろいろ新しく技術が近代化されまして、動力、車両その他通信にしても新しい技術を採用して参る。これは経営の合理化にも役立つわけでありますが、いわゆる鉄道の近代化ということを行う。突き詰めて言うと、この三つが五カ年計画の大きな目的でございます。これが、先ほど申し上げましたように、通勤輸送でありますとか、幹線輸送でありますとか、電化でありますとか、ディーゼル化でありますとか、それぞれの事項別に行われるのでありますが、全体の気持としては、老朽資産の取りかえは五カ年計画の初期においてやってしまう。初期はまずこれに重点を置く。同時にまた輸送力の増強をいたし、さらに近代化を行う。これは、テーマ別に個々に工事別の内容をこまかく申し上げますと、今言った通りの原則で簡単に割り切っているわけじゃございませんので、個々の工事別にはそれぞれいろいろな配慮を加えてございますが、全体の方策としてはそういった進行速度でやっておるわけでございまして、三十二年度の実績並びに三十三年度のこの御審議願っております予算を実行させていただきますれば、大体私どもが当初考えました計画通りの内容、順序で進行する、こういう事情に相なっておるのでございます。
  61. 森三樹二

    ○森(三)分科員 私どもは、昨年の予算審議に当りまして、当初国鉄考え運賃の値上げに対しては反対したわけです。最初国鉄当局は一割八分の値上げを考え、さらにまたわれわれが反対いたしまして一割五分、最後に一割三分の線で切ったわけですが、一割三分の引き上げによって三百六十六億の財源を確保するというのが目的であった。実際上の成績としてはどれだけの運賃の増収があったでしょうか。
  62. 石井昭正

    石井説明員 大体ただいまお話のございましたように三百六十六億円というのが運賃の値上げによる増収でありますが、昨年度の予算を御審議願いましたときには、それには輸送量の増加とあわせて増収が見込まれてあります。私どもの方でこれを分析して考えてみますと、運賃の値上げによる増改分については全く予定通りの実績が上って参っております。ただ、輸送量の伸びの点につきましては、下半期に至りまして若干経済界の不況と申しますか財政緊縮というような点が旅客、貨物ともに現われて参りまして、輸送量の伸びの方で予定通り達することはあるいは若干困難ではないかというような状況でございます。
  63. 森三樹二

    ○森(三)分科員 大体予想通りの実収を上げておるというわけでありますが、私どもは、運賃の引き上げというものは国民経済に非常に大きな影響がある、こういう観点から、今でも運賃引き上げはよくなかったと思っております。去年引き上げしたのでありますから、すぐに引き上げるというようなことはなかろうと思いますが、今後国鉄総裁運輸大臣等は運賃の引き上げなどということは絶対になさらないようにしてもらいたいと思います。また、航空運賃なんかもだんだんと実績を上げて参っておるようでありますが、とかく運賃を上げよう上げようとするきらいがある。国鉄、私鉄はみな上げたわけでありますが、これについてどういうお答えを持っておるか。去年上げたばかりだから今年はまさか上げるとは言わぬでしょうが、国鉄の五カ年計画、国鉄の復旧等は、もちろん私どもとしても輸送力の強化から言って必要だと思いますけれども、運賃値上げによってこれをやっていくという考え方にはわれわれは反対しておる。昨年上げたことについては今でもわれわれは反対しておるわけでありますが、今後の情勢としてどういうお考えを持っておるか、一応お聞きしたいと思います。
  64. 中村三之丞

    中村国務大臣 再び運賃を引き上げるということは、そう容易にすべきものではないと思います。昨年の運賃引き上げは、これは賛否両論ございましたが、ともかく決定いたしたのでございますから、この運賃引き上げによる増収はできるだけ国鉄の改良、近代化に回していくというふうに努力しまして、これを放漫な経費にむざむざ使ってしまうことは、私は監督の立場として許しません。同時に、今後国鉄の経営の合理化をはかってもらう。そして経費の節約もはかってもらい、また同時に、国からも、これらの工事費について、あるいはその他の経費について相当これを支出して、いわゆる公共企業体としての国鉄が総合的に発展するよう私は念願をいたし、またそういう意味において監督をいたしております。  それから、私鉄につきましては、大私鉄の運賃は、岸内閣の物価を低位に安定せしめるという政策の立場から、私は今ストップさせております。その結果、私鉄におきましても、むしろ自己資金でやろう、増資をやろうという会社もございまして、これはかえっていい結果を来たしておるようでございます。しかしながら、中小私鉄でぼろぼろなやつが——これは私は正直に申しますが、ぼろぼろのがございまして、レールは摩滅しているわ、犬くぎはないわ、停車場の設備は悪いわ、こういうものには金を貸しません。また増資もできない。こういう場合はやむなくよけい出してもらうという意味で利用のお客さんに多少負担してもらって、まずサービスをよくする、経営を改善する、ことに安全ということを考えております。ぼろ鉄になって不安全になりますと、これはまた人命尊重という立場から深く考えなければなりません。こういう点につきましては二、三ある程度上げましたけれども、大私鉄の運賃につきましては今上げておりません。
  65. 森三樹二

    ○森(三)分科員 運輸大臣はそういうお考えですが、われわれは運賃引き上げというものは大衆の大きな課税と同じでありますから反対しているわけでありまして、十分その点は御留意願いたいと思います。  そこで、国鉄の近代化ですが、私は三等乗客に対する待遇改善をもう少しお考えになっていいんじゃないかと思います。運賃値上げによって一番大きく影響を受けておるのはやはり三等乗客が主体であると思います。たとえて言うならば、東北本線、常磐線あたりを見ますと、二等寝台あるいは二等特別車等はがらがらにあいている。ところが、三等寝台は満員で乗れない。三等寝台券を買うのに上野駅へ一週間前から行かなければ買えないという実情です。ですから、特別二等車と二両の普通二等車で、三両、あれを一両はずして、三等寝台を一両増結してやれば、長距離三等乗客というものは非常に利用がしやすくなるのであります。そういうことについてどういうふうにお考えになるか、実際に大臣がお調べになっておりますか。
  66. 中村三之丞

    中村国務大臣 三等車をふやすということは、私も賛成でございます。ただ、私は手元に持っておりませんが、乗車効率によりまして——これは数字は監督局長に示させます。この数字によって、必要であるか不必要であるか、これは乗車効率のパーセンテージを監督局長から示しまして、それによってお答えにかえたいと思います。
  67. 權田良彦

    ○權田政府委員 乗車効率は、全国の数字でございますが、棟別でございますか、ちょっとお伺いいたします。
  68. 森三樹二

    ○森(三)分科員 全国的にも線別にも、特に東北本線を私は聞きたい。
  69. 權田良彦

    ○權田政府委員 手元に東北本線の関係の数字を持っておりますので、御参考までにお答えさせていただきたいと思います。  東北及び北海道の準急と急行列車の二等と三等別の旅客の乗車効率の平均が、東北で二等が六九%、三等が九三%、北海道では二等が五〇%、三等が八〇%となっております。これは今準急、急行で申し上げましたが、普通列車で申しますと、東北で普通列車が、二等が五二%、三等が一三二%、北海道で普通列車は、二等二〇%、三等が九五%となっております。御指摘の通り二等車の非常にあいているものもございます。これらの二等車を三等車に置きかえる等の措置については、目下国鉄検討中でございますし、車両の運用に属することでございますので、なお詳細はもし御必要があれば国鉄からお聞きを願いたいと存じます。
  70. 石井昭正

    石井説明員 ただいま監督局長から御説明がございましたが、特に二等車の成績が悪いのは普通列車の方でございます。急行、準急につきましては、ほぼ——三等と同じまではいきませんが、やはり何と申しましても二等車の方が乗車効率が幾らか少いということは、これは全国的な問題でありますし、サービスの上でもある程度御了承願えるのじゃないかと思います。ただ、列車別に見ますと、非常にそういう奇異の感じを持つようなものもございます。これは、やはり車両でございますので、運用上率直に申して、行きはほとんどからに近いものも動かさなければ、帰りの需要がまかなえない。あるいは、行きのときにはそれだけ乗降客が多いのに、帰りの列車にはまるダイヤにはどうも御利用が少いというようなものもございます。それから、いま一、二等車につきましては、御承知のように、特別二等車と普通二等車の問題がございまして、特別二等車につきましては、リザーべーションをいたします関係上、特別の料金をちょうだいいたしておりますので、従って、そういう特別料金を払わないで二等車に御乗車になりたいという方のために、どうしても普通二等車も配置しなければならない、こういうような事情でございます。この点につきましては、私どもただいま検討しておりまして、何とかそういうことのないように、特別二等車と普通二等車の区別を廃止して一本で参れば、線区によりましては、御説のように一両はずして、それに三等を増結できるというようなところもあると思って検討いたしております。何分にも料金制度に関することでございますので、いろいろ難点もございますから、ただいま慎重に検討をさせていただいておるわけでございます。特に、普通列車につきましては、先ほど申しましたように、二等車の乗車効率が悪い点につきましては、車両運用上やむを得ない点も多々ありますが、なお検討いたしまして、私どもといたしましては、御説のように、三等乗客のサービス向上に一そう努力いたしたいと存じております。
  71. 山本猛夫

    山本主査 午前中はこの程度にとどめ、午後は一時三十分より再開することといたしまして、休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  72. 山本猛夫

    山本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小松幹君。
  73. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 最初に資料要求をします。日航関係の損益計算並びに資産勘定について資料があるならば本日お願いしたいのですが、なければ後刻でもけっこうです。
  74. 中村三之丞

    中村国務大臣 資料はございますから、御提出いたします。今すぐ御要求でございますか。——それでは、大体、資産、負債とか借入金とか、政府保証について、そういう簡単なアウト・ラインをお知り下さる数字なら今ございます。
  75. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 本年、日航は相当黒字を出しておるそうでございますが、黒字を出しておる場合の資産勘定なり損益計算が知りたいのですが、ちょっと数字的に言っていただけませんか。
  76. 中村三之丞

    中村国務大臣 航空局長から文書によりまして御報告申し上げます。
  77. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 それから、大臣予算大綱の説明の中に、日航に十七億円の政府保証の借り入れを認めておりますが、これはおそらく一時借り入れでなく長期の借り入れと思いますが、何年計画で、どういう計画になっておりますか。
  78. 林坦

    ○林(坦)政府委員 日航に関する資料につきましては、すでに国会の方に提出してございます。財政法第二十八条による昭和三十三年度予算参考書類の三十ページ及び三十一ページに資料としては提出してございます。
  79. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 その三十一ページの資料ですね。どういう計画で償還するような計画になっておりますか調べておるのですが、わからないから、ちょっとこれを説明していただきたい。
  80. 林坦

    ○林(坦)政府委員 日航の借入金の償還計画の件につきましては、民間の借入金が十七億何がしございますが、これにつきましては、もうすでに返済時期も参っておりますので、来年度におきまして、これを借りかえあるいは一時借り継ぎをいたしまして、それを処理していくように予定いたしておりまして、これに関連しまして、国の債務保証等を考慮いたしまして処置する予定でございます。
  81. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 そうすると、十七億三千七百六十万円というのは、借りかえの借り入れですか、新たなる借り入れを予定して政府保証をやっているのじゃないのですか。
  82. 林坦

    ○林(坦)政府委員 すでに期限が参っておりますので、新たに借り入れまして、これの返済に充てる、こういう格好になっております。
  83. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 間違いないですね。それならば、十七億三千万円の借りかえの借り入ればどういう政府保証のワクに入っているわけなんでしょう。政府保証が予算総則の借り入れの政府保証の分として入っておるのですか、何年くらいな支払い計画の中に入っているのか、これをちょっと聞きたい。
  84. 林坦

    ○林(坦)政府委員 詳細の点につきまして、ここにちょっと資料を持っておりませんので、計画の正確なところは申し上げられませんが、すでに今までの借入金が期限が参っておりますので、これはどうしても返さなければならない。その後におきまして、これから民間の金融機関と交渉いたしまして、借りかえといいますか、新しく借り入れて、これの返済に充てる、こういうつもりでございます。
  85. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 政府政府保証として元利を保証しておる以上は、私は予算の参考書類の国債及び借入金償還年次計画の中に入っておると思っているのです。償還年次計画の中に入っていない借り入れの政府保証はしていないと思うのです。だから、大蔵省あたりでは、この借り入れについての年次の償還計画があるはずであります。それが、ここに出ておるのは一括して出ておりますから、日航に関するものは出ておりません。だから、それをもう少しはっきりしていただきたいと思う。今おわかり願えねば、あとからでもいいですが、どうですか。
  86. 林坦

    ○林(坦)政府委員 後ほど調べまして御返事申し上げます。
  87. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 一番最初の、運輸予算のうち、国際収支の改善について、観光的な意味で外貨をかせぐ、こういう意味でありますが、そのうちで、ユース・ホステルというか青年の家、これの具体的な計画をちょっと御説明していただきたい。
  88. 中村三之丞

    中村国務大臣 これは大体一億円ぐらいでございまして、これは議論もおありかと思いますが、文部省の方面では社会教育の方に、運輸省の方には四千万円、これは外人を誘致するという建前から二つに分れておりまして、府県などがそういう青年の家を施設する場合には補助を与える、大体こういうふうに考えておるのです。今各府県にどういう計画があるか、申請のある向きもありますが、まだない向きもございまして、これは順次その四千万円を有効に重点的に私は配分していきたいと思う。わずか五十万や百万を各府県に渡したところで意味ないと思いますから、重点的にこれを配分していきたい、そして、たとえば外国の青年たちにそこへ泊ってもらう、こういうふうに考えております。もとより、外国の青年諸君が来られないで、それがあいているというようなことならば、日本の青年たちが、あの軽井沢あたりで見られるような、小さい家におって不便なような、また快適でないような設備よりも、こういう施設にまとめてやったらいいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  89. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 運輸予算では四千万円を組んでおります。そして、二百人くらいなのを一つ、五十人くらいなのを六つくらい計画を立てておる。そういう計画の具体的なのをもう少し……。
  90. 細田吉藏

    ○細田政府委員 お答え申し上げます。  大体私どもの方でユース・ホステルの規模基準を四通りくらい作っております。大体、二百人収容のものから、百五十人収容のもの、百人収容のもの、一番小さいので五十人収容のものというふうに考えておりまして、これは設置の場所によりまして規模が変ってくることになるかと思います。現在、予算が三十三年度初めてつくわけでございまして、各地方公共団体からはこれまでもいろいろ計画もされ申請もあったのでございますが、具体化するのは昭和三十三年度が初めてでございまして、ただいま私どもの手元へ参っておりますのは、実は正式に書面ですでに申し入れて参っておるものもございますし、一応府県等からお見えになって計画をお話しになっておるものがございまして、続々参っておるわけでございますが、大体十七、八カ所ただいまのところ出ているわけでございます。  補助といたしましては、建物の建築費の半額を原則といたしまして、一部例外はございますが、半額地方公共団体に補助するという考え方でございます。  予算が四千万円でございますので、来年度できる数が非常に限定されるわけでございます。これをどこへどの程度の規模のものを作るかということは、各府県等からの申請等が出そろいますれば、早急に決定いたしたいと考えておる次第でございます。
  91. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 説明には六カ所とあるのですが、六カ所の具体的な説明がありません。今あなたの言うのは、何か地方交付税みたいな格好の、各県から申し出が十七あって、それをばらまいてやるのだ、半額負担だ、——半額負担にしても、四千万円ですから、八千万円ですね。八千万円で一体あなたたちの構想はどういう構想を持っておるか。それで外貨をかせぐというのだから、一つかせぐ具体的な方法をもう少し説明してもらいたい。今のまるで街頭商人的な説明ではわからぬ。
  92. 細田吉藏

    ○細田政府委員 実はこの件に関しましては地方公共団体の予算関係もあるわけでございまして、六カ所と申しますのは、一応、二百名程度のものを一カ所と、それから小さいものについて五カ所程度で算定をいたしたわけでございますが、これにつきましては地方の御意思なり御熱意なりとの関係もあるわけでございまして、具体的に何県のどこに作るということについてはただいまきまっておらないのが実情でございます。
  93. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 私が聞いておるのは、何県のどこに作るというようなことは聞いておらぬのです。今あなたのおっしゃったことを言えば、当初の予算編成の方針とやや変ってきたような感がする。最初は二百名程度のもの一カ所、あとが六カ所か五カ所こしらえて、そして外貨をかせぐという説明じゃないのですか、予算提出の方針は。そうなれば、そのときのいわゆる二百人の建物はどういう格好に建てて、どういう外人をどういうふうに招聘して、どういうふうにして外貨をかせぐのだという具体的なものがなければならぬ。ただ、予算があるから地方に募集して、何だか住宅金融公庫の募集みたいなことをしてやるというような説明のように聞こえる。もう少し本気で説明して下さい。
  94. 細田吉藏

    ○細田政府委員 どの程度の規模にし、どういうものになるかということにつきましては、後ほど、一応の設計図等もできておりますので、お届けいたしたいと思いますが、それぞれの大きさのものについて、一つのモデルとしての設計は一応こしらえておるわけであります。これはあくまでも基準でございまして、各都道府県等でこれにいろいろモディフィケーションが加えられるのではないかと思います。  それから、外客が一体どのくらい来るのかというお話でございますが、これについては、実はユース・ホステル運動は特にヨーロッパにおいて盛んでございまして、国際的にもユース・ホステル協会というものが活躍しておるような状況でございまして、今後これについて、どのくらのものが直ちに来るかということにつきましては算定しておらないのでございますが、いずれにいたしましても、これは初めてのことでございまして、こういうものができますれば、今後国際的なユース・ホステル協会の活動と相まちまして、多数の外国人の青少年を迎えることができる、かように考えております。
  95. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 それはホテルですから、外人向けにすべての設備を作るというわけですね。
  96. 細田吉藏

    ○細田政府委員 外人の青少年が泊り得るような設備にして、もちろん国内の青少年に対しても当然宿泊ができる設備にいたしたいと思います。
  97. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 日本の青少年をどういうふうにして吸収するのか。外国人と日本人の生活様式なり集団宿泊方法も違うと思いますから、その辺はどういうあんばいで考えておるのか、それが一つ。  それから、外貨をかせぐ意味の青年の家というが、外貨もかせげば日本の青年もという、どちらが主になるのですか。
  98. 細田吉藏

    ○細田政府委員 国際的なユース・ホステルの運動でございまして、私どもとしては、将来は外国の青少年にできるだけたくさん来ていただいて、外貨の獲得にも努めますると同時に、日本の紹介宣伝にも当りたいということでございます。私どもの方の考え方といたしては、外客の誘致ということが主体でございます。一度にその理想までは実際問題として到達することはかなりむずかしいのじゃないか、かように考えております。  なお、生活様式の問題でございますが、これについては、私どもの方としましては、これが非常に違っておるというふうには考えておりません。一応外国の青少年が来て泊れる設備をして、これが同時に日本の青少年に対しても十分利用していただけるということで考えたいと思います。
  99. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 青年の家が、日本の青年のための家でなく、外人目当ての青年の家だということは、大体あなたの外貨獲得のための青年の家だということでわかりました。それでなければ政治答弁で、あなたに聞いてもしようがないが、もう少し事務的に聞きますと、かりに四千万円で、全部地方自治団体にやらせるんですか、運輸省が直接やるんですか。
  100. 細田吉藏

    ○細田政府委員 地方公共団体が建てる、それに対して国が補助金を交付するという考え方でございます。
  101. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 そうすると、外人目当てのそういうユース・ホステルが四千万円なり、かりに八千万円でどういうスケールのものができるかということを想像したときに、かりに五つ作っても、一つが一千万円か二千万円の範囲です。今二千万円で土地から建築から外人向けに外貨をかせぐようなものをこしらえたら、一体どんなものができるのか、それを具体的にもう少し、一般の観光ホテルとどう違うのか、その辺をはっきり明示していただきたい。
  102. 細田吉藏

    ○細田政府委員 先ほども申し上げましたように、一応の図面もできておりますし、設計図等もございます。どういうものとおっしゃいましても非常に何でございますが、概略申し上げますと、たとえば二百人収容いたしますものについて申し上げますと、延べ面積四百坪で、大体鉄筋コンクリートで、その建物の建設費は三千万円程度になるかと思います。五十人のもので考えますと、大体の延べ面積百二十坪くらいでありまして、ブロックで考えまして八百万円程度でできるかと思います。そのほかにどういう点お尋ねでございましょうか、図面等は別途ごらん願いたいと思います。
  103. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 運輸大臣にお尋ねいたしますが、今のお説明によりますと、どうも運輸省の、これを本年新たに予算化しようという意欲、こういうものをこの程度ぜひこうせにゃならぬという意欲というものが出ていない。ただ地方団体まかせ、地方営利主義か何かでやってくれれば補助してやろう、こういうことで外貨獲得のいわゆる青年の家というものができるかどうか、どういう意図のもとに運輸省がこれを予算化したのか、その辺のもう少しはっきりした信念というものを伺いたい。
  104. 中村三之丞

    中村国務大臣 最近世界的に旅行ということが非常に普及いたして参っております。ことに国民旅行というようなこともだんだんと普及して参りました。そこで、われわれは外国の青年、東南アジア方面等とか、そういう方面の青年諸君が日本に遊びに来られた場合の、いわゆる適切な施設を私どもはまだ欠いておると思うのです。しかし、これを運輸省が直営でやるということは、これは運輸省の建前として私はなかなか困難だと思います。そこで、たとえば東京都なら東京都にそういう計画があるようでございます。そういうものに対してこの予算から補助していこうというふうなことも考えておるのでありまして、これは率直に申しますとわずか四千万円です。これは多額のことは今できませんが、これを土台として将来大規模に私どもは進めていきたい。これはその最初の計画でございまして、この点はさよう御了承願いたいと存ずるのでございます。
  105. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 そうすると、文部省に組んである青年の家、これもおそらく地方団体になると思うのです。そのからみ合せはどういうように考えておりますか。
  106. 中村三之丞

    中村国務大臣 文部省は、これは社会教育の立場からやるものと思うております。それは今の日本の青年が多く、社会教育的立場においてそういういこいの家をこしらえるというのであります。われわれの方は、これを観光局の仕事といたしまして、できるだけ外国の青年をお招きして、そしてそこに泊っていただく。しかもこれは比較的低廉で——日本の普通のホテルは相当高いものでありますから、比較的低廉にお泊めをしていく。あるいはこれがもっと大きく進んで日本の青年と世界の青年との交換というようなことにもだんだんとなっていきますならば、このユース・ホステルの企ても私は将来発展していくだろうと思います。
  107. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 それじゃ、地方団体が、東京に青年の家が二つ請求があって、運輸省からも金を取る、文部省からも金を取るというような場合、具体的な場合はどうなんです。
  108. 中村三之丞

    中村国務大臣 それは両方から金を取るなんて、そんなうまいことを私どもはやらしません。ですから、やはりそこに截然と区別をして、われわれの方は、世界的な、外国の青年を相手とするということに主力を注ぎたいのでございまして、両方から取るというようなことは、これは私どもは許しません。実際、理想から申しますならば、運輸省一本でやったらいいと思うのでございますけれども、そこはどうも、この予算の配分について私も個人的意見はありますが、今のところ、最初として、外国の青年をここへお招きする、こういう立場でわれわれも今観光局をして立案せしめておるわけでございます。
  109. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 そうすると、地方団体になりますと、外人目当てのものを作る、もう一つ文部省関係のものを作る、二つ作るということは許されないわけですね。
  110. 中村三之丞

    中村国務大臣 金を両方取るということは、私は許すべきものではないと思います。しかし、場所的に違うだろうと思います。社会教育を主としてやるのと、外国の青年をそこに泊めるということと、やはり地域的にもそこに区別せなければならぬと思います。二つのものが隣同士で並んでおるというようなことは、これはどうもむだなことだと思うのでありまして、われわれの方は、主として観光、そうして外国の青年にそこに行って簡単にしかも経済的に泊ってもらう、こういう施設をしたいと思うのです。ノルウエーですかどっかでは、船の中に泊めたりいたしておるようです。先ほど観光局長も申しました世界的な青年のユース・ホテルの同盟と申しますか、そういう連合体が連絡をして、日本の青年もおそらく外国に行くでございましょう。また行ったらいいと思う。そうして、外国の人もこちらがお招きするというようなことにもなると思うのであります。それですから、大局的に見ましては、私はやはり国と国との外交と申しますか、親善と申しますか、そういうのが大きな建前であります。もとより、外国の青年が来るのでございますから、そう多額のお金を持って来やいたしますまいが、ある程度の外国のお金を持って来るというなら、それが外貨の誘致になって、日本経済に寄与することになると思いますが、これは理想としてはもっと大きなものを建てなければいかぬと思います。スイスあたりのホテルなどを見ますと、まだまだこれは初歩的なものであります。しかし、こういう初歩的なものでございますけれども、一応それをやっていくということで出発したという点は、どうぞお認め願いたいと思うのでございます。
  111. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 どうも運輸省予算を提出した概念というものがはっきりしない。今大臣の説明を聞けば、完全なるこれは外人青年を相手とした青年の家である。ところが、事務当局に説明させれば、日本人もいいのだ、こういうような説明をする。それじゃ文部省のそれとはどうなんだ、それは別個だと言う。一体四千万円くらいの金を積んでおって、こっちもいいあっちもいい、外人もよければ日本人もいい、地方団体に出させる、そうして二つは認めぬのだとかいうようなあいまいな態度で、この青年の家というのを出したならば、これは何ら意味がない。しかも、それを、地方団体が十七今申し込んでおるから、わずかに分けくずしてしまうような青年の家ならば、これは文部省の方にみな回してしまったらいいと思う。はっきり青年の家として外国青年を相手にした国際的なものならば、堂々たる国際的なものをはっきりどこそこに建てるのだ、東京なら東京、熱海なら熱海に建てるのだ、あるいは日本に二つ、九州なら九州、あるいは熱海なら熱海に建てるのだということでなければならぬ。北海道に建てるのかあるいは九州に建てるのかうやむやで、四千万円という金を使い果されるということは、これは火を見るよりも明らかだ。金を変に使うだけということになる。外国の青年を吸収して、観光なり日本の国内情勢というものを外国の青年に知らしめるといった高遠なる理想があるならば、少くとも本年は——将来二つ、三つ建てる必要があるが、本年は日本に一個所、世界のどこにも負けないようなりっぱなものを作るのだという考え方が先行しなければ、千万円か八百万円くらいな小さなバラック建か、コンクリ建だとしても内容や設備が伴わないようなものなら意味がない。少くとも、外国青年、アメリカの青年も来るでしょうし、イギリスの青年も来るでしょう。こうした場合には、内容、設備等も世界の水準に負けないようなものを作らなければならぬ。四千万円の金というものは、その地方団体を相手にして分けくずすような金じゃないと思うが、この点大臣はどう考えられますか。
  112. 中村三之丞

    中村国務大臣 お話の通り、私はそのように思っております。わずか四千万円でございますから、これを五十万円とか百万円ずつ地方から申請があったからといって、私はそんなものを分け与えるという考えを持っておりません。重点的にやりたいと思っております。この間も、あるところから見えて、申請したいというから、私は断った。百万円や二百万円をあなたの方に分けることはできない。やはりこれは重点的に補助をして、今あなたのおっしゃるように、青年の家で世界の青年を日本に招くのでございますから、掘立小屋みたいなものを建ててかえって国辱になるようなことは、私はさせないつもりでおります。これは一つ御了承願っておきたい。
  113. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 そうすれば、やはり最初の考え方、二百人とかあるいは五十人収容のものを六カ所というような考え方、これは意味がない。ただ予算をとるために、あるいは岸総理が日本の青年に向って青年の家を建てるということだから、内地の勤労青年も入れると言うのかもしれないが、運輸省なんか、この計画をして、日本の青少年をどういうふうに収容していくか。しかも外国の青年を一緒に入れるというようなことはできないと思う。だから、そういうごまかしを言わないで、はっきり外国青年を相手に建てる国際的建築だ、こういう意味で、もう少し腹を据えてこれにかからなければ、私は意味がないと思う。これは私は岸総理のいわゆる青年向け放送の一つの道具にされておるのだと思う。そういう意味なら、外国青年を相手にせぬ方がいい。外国青年を相手にして、今どき四千万円の金でどれだけ外国青年を集められるような内容や設備ができるかといえば、もう一つだけで精一ぱいだと思う。だから、そういう意味ならば、これはごまかしである。今運輸大臣がそういう意図で言うならば、これはそういうことも考えられるということになるわけですが、本年はユース・ホステル協会の会議を東京にも持ちたいと言っているそうでありますが、これは具体的計画があるのか、伺いたい。
  114. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ユース・ホステルの会議につきましては、まだ確定はいたしておらないように聞いております。
  115. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 これは、確かに、東亜のインドやインドネシアあるいは西洋諸国の青年に日本に来てもらって日本の実際を見てもらうということ、同時に日本の青年も外国へ行くという青年の交換ということも考えられると思う。ところが、ただばく然とこういう青年の家というものを出しただけでは意味がないと思う。ただその協会に入るとかあるいは招致するとかいう問題でなくして、やはりこれの世界的な組織の上に立って指導し、あるいはユース・ホステルの運営あるいは運用の組織というものを考えなければ、ただばく然と家を建てて、フリ客を入れるのだ、こういうような考えでは意味ないと思う来たら入れましょう、あいておったらそのままあけておきましょう、そういうことではホテルの運営なんかできっこないと思う。大ていの企業体とかそれぞれの官庁あたりが、共済組合等で保養所を設けておる。ところが、最初の保養所の考え方は、組合員なり共済組合員なりを入れる保養所ということで、ホテルがわりに利用されていたのだが、それでは運用上採算が合わない。だから、それ以外の者を入れるとか、宴会場にも使わなければならぬというわけで、しまいにはその趣旨というものが本来の趣旨をはずれてしまって旅館稼業に転換しておるような実態を内地でよく見受けると思う。これはなぜかというと、やはり運営ということを考えないからだと思う。今青年の家の運営というものは、フリ客、外人が何人来るかわからないが、インドから一人、アメリカから五人、ぽつんぽつんと来て、そういうものを相手にしたホテル経営というものが、どう運営をするか私は知らないが、あいてしまって、しまいには経営経費も管理人の費用も出ない、運営費が出ないということになる。家だけは建てても、運営を一体どうするか、だれがどういう経営経費をもって運営するか、このことが一つもわかっていない。その辺は質問でお願いしますが、やはり基礎的な一つのユース・ホステルを作るという意味ならば、それの世界的な一つの運営組織というものを拡大しなければ、私は作った意味がないと思う。その辺についてどう考えますか。
  116. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、ユース・ホステルができましても、これの運営は非常に大事な問題かと考えております。ただ、これは、フリの客が来るのを待つという考え方ではございません。やはり計画的に誘致運動を展開いたすということでございますが、これにつきまして実は本年初めて着手するわけでございまして、そういった点の具体的な方法につきましてはいろいろ話し合っておるところでございます。なお、運営の方法につきまして、いろいろ先ほど大臣からも説明がございましたように、比較的低廉な値段で泊めるという計画をいたしておるのでございますが、それで経営がどの程度で成り立つかといったような点につきましても、私どもの方としましては一応の計画はいたしておるのでございます。ただ、これらにつきまして、ただいま先生のお話しになりましたような点が実は非常に心配がございますので、こういう点につきましては十分すべり出しのときから間違った方向に参らないように私の方で指導をして参りたい、かように考えております。
  117. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 これははっきりしておきたいのですが、やはり最初事務当局の方が言ったように、地方団体の要請に従って分けくずしていくというのか、大臣のおっしゃるように、運輸省の方から何かはっきりした一つのポイントを出して、その筋を鮮明にしてやっていくのか、その運営はどこが主管してどうやっていくのか、あくまでも地方団体にその運営をまかせるのか、あるいはこれは運輸省で責任を持ってその組織化を進めるのか、その運営と指導というものは一つもはっきりしていない。
  118. 中村三之丞

    中村国務大臣 これは、私がさっきもたびたび申しましたように、重点的にやっていきたいと思います。つまり、四千万円程度の金を最初に分け与えるというようなことは、これはいかぬと思います。そしてまた、地方におきましても現にこういう計画のところがあるのでございます。そういう青年の家の計画のあるところに重点的に補助を与えたらいい、私はこういうふうに考えておりまして、このわずかな四千万円の金を、あそこに五十万円、百万円、あるいは十万円、そういうことは避けたいと思っております。そうしなければ青年の家はできてこないと思いまして、この点は小松君のおっしゃる御意見まことに私は傾聴いたしておる次第であります。
  119. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 この運営なんでございますが、やはり地方公共団体にまかせた場合に、これは地方公共団体がこういうものを直営してやるというところにまた問題があるのです。運輸省が直営してむずかしいように、また官僚化していくように、地方公共団体がやっても、運営という問題は、ほんとうに外人相手の運営なのですから、そう簡単に地方公共団体だからやれる、運輸省だからやれないのだ、こういう考え方は、私はなかなか承知はできないわけです。必ずこれは地方公共団体も建築には骨を折ったとしても運営等にはまた別個な考えが生まれてくると思う。そうでなければ、家は建てたけれども、運営までするということは、なかなか地方公共団体もできないと思うのです。その点については大臣どう考えますか。
  120. 中村三之丞

    中村国務大臣 地方団体は財政も必ずしも豊かではございませず、そういう方面の経営について失敗しないように、私は十分やってもらわなければならぬと思います。それがために龍頭蛇尾に終ってしまっては、せっかくの計画が台なしになると思います。しかし、地方団体の大きな富裕県と申しますか、比較的余裕がある県においてこういう計画をやっておるところがございますから、私は、そういう意味においてこういうものに援助を与えたらよかろう。その点は将来地方団体において維持経営を十分やっていただけるものと私は存じておるのであります。
  121. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 今度は逆に、そのユース・ホステル協会が世界的にできておれば、日本の青年が外国のそういうユース・ホステルを利用する組織、そんなものはまだ考えられておらないだろうと思いますが、そこまで考えなければ作った価値がないと思います。この点についてはこの程度で質問を終りたいと思いますが、大臣が言われたように、やはり重点的な運営なりあるいは建築なりをしなければ意味がないということを私はつけ添えて申し上げておきます。  さらに、その次の質問としましては、最近首相官邸で観光のいわゆる全体会議をしたときに、本年の外人客をどういうように誘致して外貨をかせぐかという大評定をやったそうでありますが、そのときの結果はどういうふうに出ているのですか、ちょっとお聞きします。
  122. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいまの御質問は、おそらく内閣の諮問機関でございます観光事業審議会の主催で開かれました全日本観光会議のお話ではないかと考えるのでございます。全日本観光会議には、観光関係のほとんどあらゆる問題が網羅して出ておったと思うのでございます。これに出席いたしましたのは、各都道府県の観光関係の責任者の方々、それからおもな市の観光関係の方々、それから各種の観光の団体がありますが、この関係の代表の方々がお集まりになったと思います。結論的には、この観光会議で御決議が出されておりました。この決議で要約されることでございまするが、特におもなる点を申し上げますと——また会議そのものにも私ずっと出ておったのでございますが、特に強く議論されました諸点について申し上げますと、日本の国際観光についての隘路と申しますか、最も力を注がなければならぬものといたしまして、道路の問題、これにつきましては非常にたくさんの議論がなされております。特に主要観光地を結ぶルートについての道路を一級国道並みと申しますか、格をさらに上げて、道路整備の全体計画の中でこれを特に重要に扱ってもらいたいということが非常に議論になりました。それから、ホテル並びに宿泊の設備が非常に足りない。これについていろいろな点に問題があるのでございますが、実は観光団等が参りましてもホテル不足のために船に帰って泊るというような実例もございまして、これにつきましてはいろいろな問題があるわけでございますが、この関係の急速なる整備をはかる。日本旅館に外人を泊めるようにするということもひっくるめまして、宿泊設備それから観光のいろんなそのほかの設備がございます。ドライブ・インの問題でございますとか、いろいろあるわけでございますが、そういった諸点についての設備、それから文化財の保護関係のこと、観光の対外宣伝の強化について、そういった各般の問題。観光全般にわたっているのでございます。これを最も端的に申しますと、観光事業の振興の計画が一応あるわけでございます。五カ年計画をやっているのでございますが、この関係につきましては必ずしも当初考えられているほど進歩いたしておりません。観光関係日本の各方面の方々もお集まりでございますので、この際、観光審議会として、また政府として観光の振興計画の促進をしていく、こういうことで大体会議は終ったかと思います。必要がございますれば資料でお示しいたしたいと思います。
  123. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 そのうちの決議されたものの第二項の宿泊、いわゆる外人目当ての宿泊ホテルの設備が不足している、これは確かに不足していると思うのです。これに対する運輸省としての考えなり予算措置はどうなっておりますか。
  124. 中村三之丞

    中村国務大臣 別にこれに膨大な補助金を与えるというような予算措置はございませんが、申請を受けましたら開銀の融資などについてはあっせんをいたしております。現に大阪におけるホテルなどもそうでございます。将来、そういう外人を目的とするもの、私はこまかいちゃちなものは許さぬつもりでおります。相当程度の人を収容する。やはり外国人というものは宿泊などに非常に神経過敏でございますから、満足してもらうホテルを作らなければ、妙なホテルをあっちこっちたくさん作ったって意味をなさぬと思いますから、この点は集中的に開銀の融資の世話をして参りたい。大阪の例などはその一つでございます。名古屋にも相当多くできております。そういうふうに、私は、設備の相当完備した、日本へ来てあのホテルに泊って満足だというのをこしらえたいと思います。同時に、先ほど観光局長が申しましたように、それではなかなか足りませんから、日本旅館を外人向きにしていって、中には日本旅館に畳の上で泊りたいという人も多いようでございます。ところが、手洗所、ふろ場などはその部屋についておらないのです。そういうようなものは、いわゆる国際観光ホテル製備法というものがございまして、これによって登録旅館になるのですが、今度はこれを厳重にしまして、日本旅館をもっと高度なホテルにする。それがためには、冷房設備もする暖房設備もする、そうでなければ許さない。あの法律で許すことによって固定資産税などは相当軽減される恩典を与えておるのでございますが、今その流行で、たくさんな人があの法律によって登録旅館にしてもらいたいという申請がずいぶん私の手元に来ているのですが、私は、これを厳選いたしまして、流行を追うてただその場限りでやっていくというようなことは許さぬつもりです。相当設備をして洋式ホテルに負けない和式ホテルということで、今私どもは厳選をいたしているのみならず、法律の改正も今企図いたしている次第でございます。
  125. 山本猛夫

    山本主査 小松君に申し上げますが、大体お約束のあなたの持ち時間が近ずきましたから、結論に入って下さい。
  126. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 それでは次に進みます。  観光事業補助費が出ておりますが、それはおおむね海外出張所がアメリカを中心に作られている。ホノルルとかあるいはサンフランシスコ、ニューヨークというように、アメリカを中心に観光客誘致の海外支店的なものがこしらえてありますが、岸総理の施政の説明でも、アジアを半分くらい考えておるというようなことなんですが、一向にアジアに対するそういう誘致的なものを考えていない。この観光事業のための海外支店というようなものについてはどうい覧お考えなんですか。
  127. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいま御指摘になりました通り、わが国の観光の宣伝事務所は、戦前は、アメリカはもとより南米にもございましたし、東南アジア、ヨーロッパ、全部で十三カ所もございました。現在は、ニューヨークとサンフランシスコとホノルルとカナダのトロント、四カ所でございます。実は本年度ぜひともヨーロッパに一カ所と東南アジアに一カ所を設けたいというふうに運輸省といたしましては考えておったのでありますが、諸般の状況で昭和三十三年度にこれを設けることができなくなりました次第でありまして、できるだけすみやかな機会に、ヨーロッパ並びに東南アジアに、さらに広く少くとも戦前の状況ぐらいまでは復活をさせたい、かように考えておる次第であります。  なお、アメリカに非常に多いということでございましたが、最近までの実績がアメリカからの客が非常に多かったようなことでアメリカが三カ所になっておるのでございます。
  128. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 今まではアメリカが多かったのですが、三十三年度になりますとイギリスからの遊覧船がたくさん入る予定になっているのです。また、アジアの方からも入ってくるのが相当あると思います。何も今までアメリカが多かったからアメリカ向けだけに観光事業を広めるというのじゃなくて、この際ヨーロッパなりあるいは新地としてアジアあたりも対象にしなければ片手落ちだと思うのです。現に、本年に入りますると、当初四月、五月から入ってくるのはアメリカでなくてほとんど豪州とかイギリスが多いのです。そういう実績がもうどんどん出ておるのですから、ヨーロッパ関係あるいはアジア関係を広げなくちゃならぬと思うのです。この点については、予算を削られたからしようがないと言うのだろうと思いますが、これは実際から見たらアメリカ一辺倒の観光事業だ。アメリカ向けの観光ならせぬでもいいくらいのものです。今一番日本がしなければならないのは何かというと、ヨーロッパが日本に対する認識が浅い。同時に、一番大事なのは東洋です。日本の観光なりあるいは勢力を広げていくためにはこれが一番大事なんです。この点一つ大臣答弁をお願いします。
  129. 中村三之丞

    中村国務大臣 今までは観光客の五、六割がアメリカ人であったものですから、そういう傾向にあったということは現実として御了承願わなければならぬ。しかし、将来はヨーロッパ、ことにパリに私は置きたいと思うので、実はパリなどを要求したのです。これは予算の話し合いによってできなかったのですが、来年度はぜひパリあたり、それから今おっしゃった東南アジア、シンガポールあたりにやりたいと思います。一方に片寄らないようにということはお説の通りであります。ただ、別にアメリカ一辺倒じゃないのでありまして、アメリカ人が比較的多かったので、自然そういうところの宣伝に力こぶを入れたものと私は考えております。将来は世界各国相手に日本の宣伝をしていくような方向に考えて参りたいと思っております。
  130. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 最近イギリスが、日本とアメリカをつなぐ——香港までをつなぐいわゆる太平洋航路の大きな旅客船の航路の新設を二本もしておるのですが、これは日本の海運関係とどういう関係があるのですか。日本の海運も相当伸ばさなければならぬが、本年は日本の客船はいわゆる計画造船の中からも減らされておる。三十五万総トンから二十五万総トンに減らされておりますが、こういういわゆる計画造船も現在日本としては減らされておる。今のままでいけば太平洋の旅客誘致というのはアメリカと今度申請されるイギリスに全部とられてしまうと思われるが、これに対して日本は漫然と見ておるかどうか。日本旅客船によって日本への観光誘致はできないものか、その辺についてのお答えを願いたい。
  131. 中村三之丞

    中村国務大臣 いわゆる観光を主とする船を太平洋に二万トンくらいにしたいと思っておる。その理想を予算に現わしたのでございますが、これも不幸にして今実現をいたしませんが、これは将来ぜひともやらなければならぬ。ただし、現在の情勢を見ますと、相当日本航空の飛行機によって外人ことにアメリカ人が日本に観光しておるものもおります。ですから、今後は客船と飛行機相待って、海と空で外人客を誘致するということは、私はお説の通りに考えております。しかし、現在でも日本航空のお客が相当あるということを御了承願っておかなければならないのです。
  132. 山本猛夫

    山本主査 小松君に申し上げますが、持ち時間が参りましたからどうぞ。
  133. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 それでは国鉄の問題に入りますが、関門トンネルが今度公団によってできておりますが、これに対してバス会社がいろいろバス路線の問題で相当もめております。九州からのバスの乗り入れ、山口県からの乗り入れと、十社か十何社これをめぐって争っておりますが、国鉄の方も国鉄運営バスを出すということで相当もめております。これはどういうようなさばきようにする予定ですか。今の申請されておるものをどういう見地で認可するか。一つにするということもできぬでしょうが、二つにするか三つにするか、五つか六つか七つにするかわからぬが、その辺のしぼる目標というものを、多く言わぬでもいい、目標というものを運輸省としては基本的にどう考えておるか。
  134. 中村三之丞

    中村国務大臣 まず、あの国道にどれだけのお答があって、そうしてどれだけのお客によってどれだけのバス会社をそこに許すということを今調べております。やはりお客が大切であります。お客が少なければ多く許すわけにいかぬ。お客が相当あればその許可の数については考えていかなければならぬと思いますが、現在私は八つも十もあるのを全部許すというような考えを持っておりません。やはり相当の資力があって継続的に営業ができるというものでなければ私はむやみに許す考えを持っておりません。しかし、まだこれは運輸審議会の答申もございませんから、その運輸審議会の答申を待って私は善処するつもりでおるのでございますが、ただ、ああいうものができたから、あれは申請が自由でございますから、自由にやるというようなことは、これは断ち切らなければならぬと私は思います。やはり相当信用と資力があって継続性のあるものを許していく。あるいはまた一つ会社にしてしまう。三つある場合、これを一つにまとめて、一種のまとめたものにすることによって信用もできますから、私はそういうことをしてもらいたいと思っておりますが、何分運輸審議会の答申がまだございません。しかし、お尋ねでございますから私の腹を申し上げたのでございます。私はそういうふうに考えております。
  135. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 大臣の腹はそういう腹ですが、今までの運輸省のやり方を見ておりますと、箱根の山を見たらわかる。去年あたり五島慶太と堤康次郎をめぐってたった二つの会社でしのぎを削って、運輸省がどうさばいたかという問題になります。これは全国バス会社が血みどろの、必死の戦いで運輸省に食いついておりますから、これは安直に解決はできないと思います。大臣政治家ですから一刀両断にやるかもしれませんが、今の運輸省の力ではとてもようやり切れぬと思う。しかも、バス会社は、何年先かわからない、まだ運行しないコースまで占領しているという実態がある。だから、一年も二年も先のコースを申請して、そうしてその間繩張りだけを広げておく、こういうことはやめてもらって、現実にあすからの運転という問題を早期に解決する。これはなかなか重要な問題でありまして、解決も相当難関に逢着するのじゃないかと思います。この関門トンネルをめぐっては、関係者は注目して見ております。どういうように運輸省がさばくか。これは山口県からも来ていれば、九州からも行っているんです。方々から、高度な利権ですから、京都から来たり、鹿児島から来たりはしないが、あの付近の会社が、国鉄もまじってやっているのですが、おおむねどういう解決が出るかということを見ておりますから、一つ厳正公平に筋の通った解決をしてもらいたい。  トンネル関係はそれだけにしまして、海岸保全の問題で建設省と農林省と運輸省とがまたがっておるところがあるのですが、運輸省の海岸保全というのはどういう考え方でやっておるのか。
  136. 中村三之丞

    中村国務大臣 海岸保全ということは、決壊防止ということだと私は解釈いたしますが、たとえば北陸あたり、波で洗われて海岸が決壊する、こういうことだと解釈しております。これは今港湾局長から予算の数字は多少わかっておりますから御説明申し上げると思いますが、海岸決壊ということにつきましては、北陸——私もそれを実際に見て参りました。これはいろいろ専門的な方法もございまして、これを今講じておりまして、海岸決壊につきましては、私は予算の許す範囲においてその個所には本年度は相当施設ができたと思っておりますが、金額のことなどにつきましては港湾局長からお答えを申し上げます。
  137. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 計画というよりも、建設省の果す役割と、運輸省、農林と重なっておるところ、あるいはどっちにしたらいいのかという問題、その辺どうです。
  138. 天埜良吉

    天埜政府委員 海岸の決壊防止その他高潮対策等につきましては、海岸法によりまして、各省の所管を明らかにしております。運輸省の所管となっておりますところは港湾の区域内でございまして、そこに関する海岸の防護に当る、こういうことにしております。ただいまのお話のように、海岸の区域と外にわたっては、建設省あるいは農林省の分担の所管の区域がございます。その境目のところにおきましては、相互相関連して協議をいたしまして、そごのないように進めることにいたしております。
  139. 山本猛夫

    山本主査 小松君に申し上げます。持ち時間がすでに過ぎましたので、もう一問だけ許します。
  140. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 時間を私に最初に何分と明示しておかぬで、勝手にそういうことをされては困ります。  運輸省関係は一応それで終りましょう。  その次、国鉄ですが、国鉄の工事の合場に、民間の建設工事よりも仕事で言うたら鉄道の工事の方がもうかるという概念があるわけです。その裏を返して言えば、もうけるというのは、工事を厳格にするという意味があるから相当ゆるんだ経費の見方をしておると思います。運搬をする場合、土砂を運ぶ場合でも、セメントを運ぶ場合でも、ほとんどトラックを利用しているのに、積算の基礎がやはり人方を中心に積算しているのが多い。これはどういうわけですか。たいていのところが、二千メートルくらいのところを一人が何トン運ぶ、あるいはどれだけの立米運んで何百人と、これはトラックでやったら二日で終ってしまうものを、人間の方でやって三十日もかかるような計算をしておる。これはどういうことなんです。
  141. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 お答えいたします。私、その現実の例は存じませんが、それはおそらく河川等の工事で特殊な場合だと存じます。ただいま国鉄の工事は高いという御指摘でございましたが、鉄道では、請負工事の積算基準委員会というものを作りまして、部外の方々を委嘱いたしまして、そこでしっかりした請負の積算基準を出していただきまして、それによって請負工事の費額を算定いたしておりまするほかに、最近、工事費の節約を、予算上におきまして一割の減額を命ぜられておりますようなわけで、工事費の原価の低減ということにはあらゆる努力をいたしておりまするので、特に工事費が高いとは考えておりません。ただいま御指摘の人手を使うということは、何かそのときに河川の改修等でやむを得ない場合にそういうことが生じたことだと考えます。
  142. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 決算の方からの調査によると、日本電設工業株式会社というのが相当大きな問題点をはらんでいる。この日本電設工業株式会社というのはどういう会社なんですか。
  143. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 日本電設株式会社は、戦争中に設立せられました会社でございまして、前にも国会答弁したことがございまするが、電化をいたしますについて、技術的に国鉄の工事について貢献した点も非常に多かった会社でございます。しかし、会計検査院で工事につきまして御注意があり、批難事項として報告もございましたので、厳重にそれを注意いたして、なお、不当工事につきましては、それぞれ全部の手直しをいたさせました。
  144. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 批難事項の中にも日本電設工業株式会社の批難事項が一番多い。しかもそれはほとんど全部が随意契約である。競争入札をやらせないでどうして随意契約をやるのか。随意契約をやる場合、おもに日本電設工業は電化工事なんですが、その電化工事の積算が、鉄道としては、私に言わせれば非常にでたらめの積算をしておるわけです。この随意契約というのはどういう意味で随意契約なんですか。随意契約が多い。
  145. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 電化工事に限らず、請負工事につきましては、先ほど申しました委員会と別に請負工事の会社の資格及び指名委員会というものを作っていただきまして、これには部外者の経験者を御委嘱いたしましてそこで鉄道がどういう会社と取引すべきであるかということを一々御答申を受けてやっておるのでございます。電化工事につきましてもまた同様でございまして、その資格及び指名委員会では非常に厳重な点数主義で各会社の点数を取りまして、それは、過去の経歴を百五十点にするとか、あるいは経営の規模あるいは設備等を何点に見るとか、いろいろむずかしい点数制度にいたしまして、しかもそれを業種別に、あるいは地域別に分けていただきまして、それによって指名競争契約をいたしております。大体におきまして指名競争契約で競争をいたしてやっておりまするが、鉄道の工事につきましては特異工事がございまして、たとえば夜中非常に列車の回数がこんでおりまして時間もたっぷりとれないようなところを工事いたすとか、あるいは事故がありましたら暴風の中でも工事をするとか、そういう特殊な工事がございまして、そういう工事につきましては従来の経験者に随意契約をいたしておりまするが、私の記憶するところでは、その随意契約の部分は全体の工事の大体三割を出ないか、こう承知いたしております。
  146. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 私の質問するのは、最近東北の電化あるいは今も姫路までの電化をやっておるし、将来山陽線の電化をやりますが、その場合にやはりそういうのが加わってくると思いますが、随意契約がいいとか悪いとかいうのではない。随意契約をやりながら、しかもその積算の根拠が非常にあやふやだ。たとえば、山科変電所から引いた架空送電線の積算の場合に、二百五十四メートルの距離を人の肩で運搬するようにしてある。そしてトン当り大体セメント二・八人の計算で出ておる。二百メートルだから、高々三百メートルに及ばないところの距離を人の肩で運んでトン当り二・何人。セメントを一トン三百メートル運ぶのに、これはトラックで運びさえすれば簡単なんです。実際に人が運んでも、一トン運ぶのに一人役はかからない。〇・八人もかかってはいない。それを積算の根拠で三人役も取っている。一人役かからないのを三人役取っている。だから数百万円の積算の根拠に誤まりがある。そういうようなことがどうして起るのか。これは、トラックで運べば、三百メートルばかりで、山科辺ですから、電化工事の鉄塔の問題ですから、山科のあの辺で、別にトラックが行かぬところというわけはない。かりにトラックが行かぬでも、人間の肩で一人役もないところを三人役で見ておる。そういう計算はどうして成り立つのか、そういうところはどういう計算をやるのか、もう少しはっきりしてもらいたい。
  147. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先ほども申し上げましたが、御指摘の件は会計検査院からも指摘がございますので、こういう点は詳細に再調いたしまして、かつてもございましたが、余分な金を払っておりました場合には返戻させた例もございますので、そういう方法も検討いたしたいと存じます。今回日本電設が批難事項として相当件数の御指摘を受けましたので、私どもも非常に相済まなく思いまして、日本電設の責任者を呼び厳重に注意いたしましたところ、電設といたしましても、事態の重大にかんがみまして、この会社自体といたしまして責任者の処分をいたしたと承知いたしております。また国鉄の内部においても監督不行き届きの件によって処分をいたした次第でございます。こういうことは、これを契機として工事請負単価を厳重に査定いたして参るつもりでございます。鉄道は五カ年計画で非常にたくさんの電化工事をいたしますので、今後十分に注意いたさなければならぬと思います。
  148. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 最近の積算の根拠が、単価を上げさえすれば工事費というものはうまくもうかるようにできておるのでありますから、距離の問題もとり方に問題がある。同時に今度は平均賃金の問題がある。京都とか東京といえば甲地区の計算をやる。山科あたりは京都の甲地区ではない。それが一番上の甲地区の賃金基準を持ってきて積算の根拠にしている。一番高いところの賃金平均基準を持ってきて、しかも支払いには一番低い基準で払っておる。その間の差額がある。差額をとるとらぬは別として、京都なら京都、東京なら東京の甲地区の最高の賃金平均の基準をもって積算の根拠にするということは誤まりじゃないかと思う。東京のどまん中の四谷の地下鉄でやるような工事なら甲地区の賃金平均基準をとらなければならぬが、山科のようなへんぴなところでやっているのに、その甲地区をとってやるということは相当な問題がある。この点についてはどう考えますか。
  149. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 もちろん請負単価はその地区に応じた賃金あるいは物資の価格ということを基礎にしていたさなければならないと思います。先ほども申し上げましたが、積算基準の規定が非常にこまかくできておりまして、たとえて申しますれば、会社の利益金を何分にするかというところまできちんときめてございます。それによって各工事局におきまして予定単価を積算いたしまして、そして原則として競争をさせるのであります。競争させまして、一番安い札がなおかつ予定単価よりも高い場合には、再見積りをいたさせまして、なおそれでも追いつかぬ場合にはネゴシエーションをいたして、できるだけ安くいたすことに形式はなっております。御指摘の点はあるいは事務的に誤まりがあったのかもしれませんが、そういう点はさらに調査して厳重に工事局に注意いたさせることにいたします。
  150. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 工事関係の積算をもう少し厳重にやるということなんですが、これはいつのときでも建設省あたりでも相当あるわけです。もちろん積算の根拠というものは絶対確定的のものではないことはわかっておる。けれども、今の実情として、トラックでほとんど間に合うところはいわゆるトラックの力というもので計算する。人の肩、人夫、荷役という格好だけなら計算はやすいです。計算はやすいけれども、それでは私は積算の基礎としてはまずい場合が多いと思う。この点は運輸省やら国鉄のいわゆる各地方の監理局あたりで相当締めてかからないと——おおむね業者は指定してあります。国鉄関係のほとんどの仕事というのは、工事関係以外のものも特別登録してありまして、国鉄の業者というのは特別なワクの中に入っておる。そのワクの中に入っておりながら積算の根拠がそういうずさんなことでは、とても現在の国鉄の経理は鮮明にならない。国鉄が幾ら運賃値上げをしても追いつかぬと思うのです。運賃値上げして金が余れば余るほどそういうずさんな経理運営をやる。もう一つ例をあげれば消毒剤の問題でもここに批難事項が出ておりますが、フジサイドがいいというので、競争出願をして競争入札させるはずだったのにフジサイドにわざわざ随意契約でやった。あとで調べてみたら、フジサイドは一番悪いので、ほかのいわゆるガンマー乳剤とかあるいはネオヂクロンというのがいいという結果が出ておるわけであります。いわゆる競争入札をするはずだったのにわざわぎ随意契約で特別にフジサイドに指名したが、検査してみたらフジサイドの方が悪かった、そういうようなことは一体どうして起るのか。これは、資材関係を扱う者として、どうしてそういう間違いが起るのか、どこが悪かったからそういう間違いが起ったか、それを説明して下さい。
  151. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先般洗剤に関しまして汚職の問題が起りました。そのときの経緯等には先生がおっしゃったようなことがあったかもしれませんが、洗剤の問題といたしましては最近はその問題だけでございましたので、それについて申し上げますと、実はあのときの取引先の洗剤は、あとから調べましてもやはり結局一番よかった品でございます。それで洗剤は、二十数社ありましたのを整理いたしまして、多分七社と記憶いたしておりますが、七社に限定して、これに競争をさせまして、その製品の試験は鉄道技術研究所で作りました厳重な規格に合せて試験をいたします。その試験の際も、試験官はメーカーが全然わからないような仕組みでその七社の品を鑑定して、規格に合うか合わないかということを判定する仕組みになっております。ただし、洗剤の規格等は非常にむずかしいので、科学的な標準を作りましても、なおかつ実際に車を洗いますときにはまた別の要素が出てくるということで、研究所の仕様書にも現車試験をさらにすべしということになっております。それで、現車試験をしておりましたものが、つい会社とまずい関係になりまして、そして警察ざたになったのでございますが、あとでそのまずいことをした会社の製品を検査いたしてみますと、やはり一番よかったということにはなっております。しかし、そういうふうな不祥事件ができましたので、その後は全部現車試験を廃しまして、見積り競争だけで納入いたさせておるように改善いたしました。
  152. 山本猛夫

    山本主査 小松君に重ねて申し上げます。結論にお入り願います。
  153. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 ときどき新聞の三面記事にも、この前大阪の鉄道関係で資材購入で小さな製鉄会社のコネクションについて問題があった。これは、資材購入あるいは鉄道資材の払い下げ、こういう払い下げなりあるいは購入の契約をする場合に、もう少し厳格な態度で上司の者がまかせ切りでなくてやらなければ、ここで幾ら副総裁答弁しても、あなたが一々全国を見て回るわけじゃないから、末端の経理には相当ずさんな——これは国鉄だけでなしに日本国中あらゆるものがそうであるように、相当不正な契約というものがおおむね行われておる。そのために、かりに運賃値上げといっても——運賃値上げというものに別に反対をする意図でなしに、こういう国鉄の経理というものがずさんであって、そうして運賃だけ上げるということに去年も反対した。私は、去年もこの委員会に出て、上げることはかまわぬけれども、国鉄の経理、計算というものがもう少し国民を納得させなければだめだということをしつこく言ったはずだ。やはりその後も続々とそういうものが出てくる。毎年出てくる。これはもう石川五右衛門が言ったように浜のまさごは尽きるとも国鉄から不正が出ないことにはならない。実際は出ておる。毎年々々出ておる。そうして毎年々々同じことをここで総裁なり副総裁答弁しておる。ほんとうに資材購入なりあるいは積算などに真剣に立ち上っていくだけの努力をしていない。ただ、営業成績がどうか、最後のいわゆる旅客運賃がなんぼか、あるいは貨物運賃はなんぼになった、これでとんとんになった、あるいは黒字になった、赤字になった、そこだけを見ておるから、むしろ経営なり資材にたくさん金を回すと不正は尽きないと思う。だから、資材費やあるいは運営費はできるだけしぼってしぼり上げていかなければならぬと思うのだが、金があるとでたらめに使うというのが骨の髄までしみ込んでおると思う。だから、今度の総裁なりあるいは副総裁なりは国鉄を再建するために骨を折っておるが、ただ労働組合とけんかするばかりが能じゃない。こういうことに一つ目をつけてしっかりやらなければ、足元からくずれてくることを私は申し上げる。まだまだたくさん批難事項もございますが、その点を申し上げておきます。  もう一つは、今度は財政投融資と、それから事業債の問題でお尋ねしたいのですが、去年の財政緊縮で百億円の引き延ばしができておる。それから、きょう資料をもらいましたが、公募債、国鉄債の方は百五億しか十二月末までには公募ができていない。二百十五億が予定された公募債ですから、半額しか公募ができていない。そうすれば、資金の繰り延べ百億に公募債の未償還が百五億あれば二百何億ですが、それと国鉄のいらゆる運営費というものはどういうような関係になっておるか。先ほどそちらの方から五カ年計画の去年と三十三年とを一括した問題としてパーセントを午前中にあげてくれたわけだが、それとの関係をちょっと……。
  154. 權田良彦

    ○權田政府委員 御説明申し上げます。  御指摘の通りに、この三十二年度の国鉄の外部資金の関係でございますが、これは債券が二百十五億でございます。そのうち現在まで発行済みが百五億でございまして、ただいまの予定では、二月に三十億、三月に二十三億発行いたすつもりでおります。そういたしますと、大体の見通しとしては、結局五十七億くらい繰り延べに相なるかと存じます。一方、預金部資金につきましては八十億になっておりますが、これは今日まで借り入れ済み五十億、残り三十億は今月末に借り入れる予定にいたしております。  これと本年度の予算との関係でございますが、本年度の予算については、御承知のように、外部資金といたしましては資金運用部が二百億になっております。それから、その他鉄道債券といたしまして二百二億、計四百二億の外部資金になっております。一方、三十二年度の経費の関係でございますが、これは、石炭の値上り関係、動力費の問題、それから特別退職金、災害等の増加で、既定経費をある程度上回らざるを得ないという見通しがついておりますが、今申しましたようなものと合せまして、工事費といたしますと、三十三年度で今御審議願っております工事費が千六十二億、本年度の工事費が千七十二億ばかりでございますが、このうち債券の発行がそうなっておりますので、工事のワクとしては三十二年度に関する限り約百億円程度繰り延べざるを得ない状況にあるかと思います。これらを総合いたしまして、三十二年度と三十三年度の工事費を合せて考えましたときの五カ年計画の進捗率が、おおむね先ほど御答弁いたしましたような見通しになる。従って、五カ年計画としては、これは長期計画でございますので、一年度でなく、五カ年間においてその所期の目的を達する、こういう計画に相なっておる次第でございます。
  155. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 それでは、今の資金の見通しから考えて、本年と去年と一緒に合せていけば大体五カ年計画は順調にやれる、こういう見越しですね。そうすれば、どうですか、去年あたりの経費、運賃値上げのときにえらいやれないというような意向で四苦八苦したのですが、少々無理をしたら百億くらいは浮かしてでもやれるのだ、裏を返せば百億くらいはしぼってでもどうにかこうにかやれるのだというような考え方も出てくるのですが、どうですか。
  156. 權田良彦

    ○權田政府委員 それは、前回の国会で十分御説明いたしましたように、運賃値上げをいたしましたときには、将来の五カ年計画というものも考え合せて、さらにそれぞれの見通しを立て、それをさらに財務的に原価を見てそれで精算して詰めた結果でありまして、従って、そういうことのために、今三十二年度においても三十三年度においても自己資金が出ておるわけでありまして、三十二年度における自己資金、また三十三年度における七百三十五億の自己資金が出ておるわけでございますから、それを前提として申し上げてできるわけでありまして、それがなくなれば工事資金はなくなるのでありますから、五カ年計画はできない。従って、五カ年計画は、そういう五カ年間の計画を単年度ずつに合せて、今二年度で締めてみて大体そういうことができるということになっておりますので、さよう御了承願います。
  157. 山本猛夫

  158. 田原春次

    田原分科員 私の質問は、運輸省に三問、それから国鉄に二問あります。  第一問の方は、離島間の航空路の問題と共産圏の航空路の問題、それから北米、南米航空路の問題の三問、第二の方は、これは自動車局でありまして、これは公営バスに関する諸問題、タクシーに関する諸問題、なお時間があれば関門国道トンネル通行料金の問題について運輸省に伺いたいと思います。第三問は、海運局関係で、これは外務省との関連もあると思いますので、一部は一般質問に回しますが、北鮮航路の問題、それから移民船の問題。  それから、国鉄の方は、第一問は列車時刻改正に関する最近の疑問点、第二は国営または直営事業に関する問題であります。  それで、運輸省の方から最初にお尋ね申し上げますが、第一の離島間の航空路はどうなっておるかということ。本年度の予算を見ますると、離島振興対策費が各省にそれぞれ入っておりますが、これはすべて海上航路、船舶の問題でありまして、航空路の問題になっておりません。しかるに、たとえば、今すぐ頭に浮びます地方でも、鹿児島市と奄美大島との間の航空路の問題、新潟市と佐渡との問題、長崎市と五島列島の問題、東京から青島の問題等があるわけであります。いずれも、それらの地方相当の人が住んでおり、通信並びに緊急の場合の人命救助等があるのであります。平素、定期または不定期の航路がないために、事件が起ると大へんみな苦労をし、迷惑をしておるのであります。従って、これは当然航空局としては国内の離島間の航空路を早急に実現させておくべきものであったと思うのにかかわらず、今日までこれが実現していないという状態になっておるが、まず第一にこれをお伺いいたします。
  159. 中村三之丞

    中村国務大臣 仰せのように、離島間の航空路は今後どうしても大いに奨励し、この実現をしていかなければならぬと存じます。     〔主査退席、畠山主査代理着席〕  鹿児島、種子島、屋久島、ああいうものはこの間実現はいたしましたが、問題はやはりその離島における飛行場の設備、管理、管制、こういうようなところを整備していかなければならぬと思いますから、私は離島間の航空路はこれを奨励、実現しなければならぬと思いますけれども、やはりその離島におけるそういう設備も促進していかなければならぬと思うのでございまして、これは順次にさようにやっていきたいと思うのであります。奄美大島も大体同様に考えておりまして、将来、奄美大島の飛行場というものは完備いたして参りますならば、私はその理想を実現することができると思うております。
  160. 田原春次

    田原分科員 むろん着陸設備は準備してかからなければならぬことは当然でありますが、その間といえども事故は起りますから、たとえば水上飛行機を離島に対して使う、あるいは通信だけならばヘリコプターを使うという方法もあるのでありますから、運輸省の方にやる意思があるならば、何も完全な発着飛行場の完備を待たなくても、さしあたりできると思いますから、そういうふうにやってもらいたと思います。  第二点は、共産圏との航空路開設の問題であります。御承知のように、中国と日本との間においては、戦前東京を起点として福岡、上海航空路があったのであります。すでに昨晩は鉄鋼視察団も行くようになりまして、日本の一番重工業の中心である八幡製鉄その他も長期交易計画で行くようになったくらいでありまして、貿易業者その他単なる旅行者等は多数行っておるのであります。しかるに、両国間の国交回復がないということのために、やむを得ず香港から広東回りで北京に入っておりますので、片道最小限三日かかるのであります。もしこれが東京—北京間を高速度のものを使えば六時間くらいで行けると思います。また、福岡を起点として考えても、北京までは六時間くらいで行けるし、戦前のああいう飛行機でありましても、福岡—上海というものは三時間でやっておったのですから、もうこの辺で航空路の開設問題はやるべきじゃないかと思いますが、何の予算的な措置もしておらぬ。どうしてこういうことになっておるか、私は了解できない。なお、両国の首府を結ぶ東京—北京間がいろいろな点においてかりにすぐできないとすれば、福岡—上海間のような近接地域間だけの協定でもできそうなものだと思いますけれども、これに対する動きも少しもわれわれにはわかっておりません。そういう点について方針を聞かしてもらいたい。
  161. 中村三之丞

    中村国務大臣 共産圏につきましては、私も航空路をできるだけ早く開設したいと思いますが、ことに、国際航空から言えば、中共なども私は非常に関心を持っておるのでございますが、これが平和条約の関係でやはり航空協定ということも関係がございまして、あるいは経済的の問題あるいは技術的の問題もございまして関心は持っておりますけれども、今のところ相当そういう内面の障害がございまして、直ちにこれをやるということは、今なかなか困難なように思います。ソ連につきましては、これは航空協定を結ぶということがなりますれば、できると思いますが、ただ、どこへ入れていくかという経済的、技術的の問題になって参りますから、相当困難なる交渉を重ね、またこれを打開していかなければならぬと思っておりますが、全体といたしまして、私は、共産圏との航空路開設ということは、今後努力すべきものであり、また必要であるということにつきましては認識をいたしておりますが、そういう事実につきましては、航空局長から詳細御説明申し上げて、御了解をわずらわしたいと思います。
  162. 林坦

    ○林(坦)政府委員 ただいま運輸大臣から御説明申し上げました通り、通常、二国間の航空交通を開始するに先立ちましては、航空協定を締結して行うことが建前でございます。また、その協定を行う場合には航空上の利益等を十分考慮してやる必要があるのでございます。かりにソ連について申しますれば、現在まだ国際民間航空条約の締約国でございませんので、国際航空交通開始に必要ないろいろな技術的な条件、たとえば航空の交通管制の問題でありますとか、あるいは航空の援助施設の方式でありますとか、またその運営状況、また使う飛行機等につきまして、十分な情報の交換がそれに先立って必要でございます。従って、わが国もこの国際航空交通については重大な関心を持っておるのでありますから、これらの条件等を勘案して善処していきたいと思っております。中共等につきましても、もちろん今後航空交通の上から占める重要な地位にかんがみまして、将来はこの地域との航空交通を取り行うことにつきまして、われわれとしても深い関心を持って見ておる次第でございます。今大臣から申されましたように、技術的な点、また経済的な点等を考慮いたしまして、できるだけ、そういう条件が満たされるようになりますれば、こういう航路の開設ということにつきましても考えていかなければならないことだと存じております。
  163. 田原春次

    田原分科員 数日前の新聞によりますと、郵政省所管で中国と日本国の間の郵便協定が可能な段階に達しておるということなんです。これは詳細はまたあとで聞きますが、そうしますと、小包、普通郵便の送り出し、受け入れをするとすれば、どうせ船と飛行機ですから、航空協定も直ちに今から準備にかからなければいけないのじゃないかと思います。これは私の希望であります。なお、一部の反対があるという空気も考えられます。それは主として在日米軍の妨害がおそらく想像できるのでありますが、これに対してはたとえば、今でもわれわれが香港に行く場合に、沖繩の上空に行きますと、沖繩ではカーテンをおろして飛行場を見せないようにしているのですから、アメリカ側の妨害を気にせぬくらいの勇気がほしいと思います。これは私の希望であります。  次は日本航空の南米航路における北米から南米への旅客のとれないということに関してのアメリカに抗議をしてほしいということであります。御承知のように、日本航空は、サンフランシスコまでは週二回も三回も行っております。それから、二カ月か三カ月置きに南米のブラジルのサンパウロまで行くわけでありますが、ほとんど乗客が少い。しかるに、ブラジルには在留日本人及びその子弟を合せて約四十万人いる。ひとり海外に移民が行っておるだけでなくて、最近は石川島造船所とか、鐘紡の工場であるとか、あるいはミナスというところに大きな製鉄所を作ったり、投資、技術の導入等についても相当大幅に将来の発展が望まれておるわけです。ところが、アメリカ国内の自国の法律によって、アメリカの国土から外国に、飛行機がよその国へのお客を運ぶことを禁止しておる。すなわち、日本からブラジルまで直通の乗客は日本で乗せる限りはいいけれども、これがホノルルやサンフランシスコに着いて、そこから南米に行く場合は乗せられないというのでがんばられておる。これはまことに、日米友好であるとか、日米安全保障条約とか、盛んにおためごかしを言って、軍事的には半占領状態にしておきながら、航空機関だけは一方的に自分たちの都合のいい法律をもって強行しておることは、われわれとしては不満足にたえない。日本航空が二カ月か三カ月に一回南米にエキステンションするには、当然サンフランシスコからでも、ロスアンゼルスからでも、メキシコシティからでも、同じ日本のお客が乗る場合、また、われわれが出張しておっても、ストップ・オーバーして乗る場合もありますから、当然これは乗客の希望によって飛行機の機種は選ぶべきでありますから、こういう点についてももっと強くアメリカと交渉すべき段階であると思うのでありますが、そのことがないのはまことに遺憾であります。なぜ一体アメリカに遠慮しておるのか、この点を明瞭にしてもらいたい。
  164. 林坦

    ○林(坦)政府委員 ただいま南米等の日本航空の便に関連いたしまして、米本土と南米との間の輸送にこれが十分な働きを示しておらぬという点について御指摘がございましたが、まことにこの点は遺憾でございますが、これは第一に回数がきわめて少いという点に重大な点があるのでございまして、現在はサンフランシスコを経てブラジルに運ぶにしましても三月に一ぺんといったような現状でございます。これは日本航空の機数が非常に不足しております関係上、そうしたサービス以上のことができなかったのでありますが、明年度あたりから回数を若干ふやしまして、少くとも月に一回程度はそういうサービスを行うように取り運ぶ準備をいたしております。また、現在は日米の航空協定におきましては、日本の航空機はハワイを通りましてサンフランシスコとシアトルに入ることが認められておるのでありまして、これは、サンフランシスコから先の米国の国内におきましては、国内における輸送はもちろん各国共通に外国航空機には認めておりません。ただ、サンフランシスコから南米に参るという場合には別に法律的に禁ぜられる筋はないわけでございます。この点について特別に制限があるということは私は聞いておりません。ただ、現実に、サンフランシスコでありますと、ちょっとある意味で南米の方に参りますには回り道であるというような関係もございまして、かりにこれがロスアンゼルスでございますならば、非常にそういう面で都合がいいというような点もございますので、アメリカとの航空協定の実施につきましては、至急にわれわれとしましてはロスアンゼルスをポイントとして加えるように交渉いたしたい所存で準備を進めておる次第でございます。
  165. 田原春次

    田原分科員 ロスアンゼルスに延ばすことは当然のことでございまして、初めから実はそのくらいにしておかなければいけなかったと思います。あれからペルー、チリ経由の線と、それからコロンビア、ヴェネゼラ、ブラジルの東海岸の線と、当然延びていかなければならぬと思う。今あなたの御答弁の中に、三カ月に一回ではお客が少いというけれども、途中で乗客をとれないことからくることが一つあると思う。従って、早急に交渉していただきたい。現在乗せておりません。規約があるかないか知らないけれども、乗せておらない。この点はよくお調べになっていただかなければならないと思う。第一、今日本はアメリカの飛行機を買っておるのですから、飛行機を売っておいてお客は乗せさせないというような変なことはないと思う。それを向うで聞かなければ、当然アメリカの飛行機は返して、イギリスからでもソビエトからでも飛行機を買うぐらいの強い腰をもってやってもらいたい。これは希望です。  第二点は、自動車局に対する質問です。昨年度においてバスの路線の新しく許可した数、特にその中で私営バス会社経営バス線と、それから都道府県、市町村等の公営バスの数、まずこれをお尋ねしたい。
  166. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 昨年度におきましてバス路線を認可いたしましたのは非常に多い数字でございまして、今ちょっと手元に資料がないので、すぐ取り寄せて申し上げたいと思いますが、まず概略を申し上げますと、新しい会社を設立してバス路線の免許になったものはないと承知いたしております。そのために、公営企業を含めまして新しい会社バス路線の免許というものはないと思います。そのほか、私営、公営を含めました一般のバス、あるいは国鉄バスというものの伸びは相当大きなものがあるわけでございまして、その数字につきましては、ただいま取り寄せまして御説明申し上げたいと思います。
  167. 田原春次

    田原分科員 新しく許可をしなかったというのは、実は私は不思議なんです。数年前に石井さんが運輸大臣時代に、福岡県の門司市で市営バスを計画したのです。市内を回るもの。しかるに、福岡県は西鉄バスとい民間企業体がありまして、これが非常に強力なる力を持っておる。強力というのは、民衆に対して強力ではなくて、政府を動かすくらいの影響力を持っておる。ついに門司市の市営バスは願書を出したけれども不認可のままうやむやに消えておる。それからだんだん調べてみますと、都市の通学、通勤上ある中小都市の市内を循環するようなバスを計画しても、許可しない。今のあなたの御答弁も、昨年は公共経営バスの許可がないというのですが、なぜ一体許可しないのですか。人口は年に今百二十万もふえるといっております。いろいろな事業も盛んになり、学校も多くなりますから、バスこそはもっと大幅にふやしていいと思う。しかるに、許可主義、認可主義というものを非常に厳格にとって、そのとる方針は、既存業者を保護する、あまりたくさん許可すると既存業者が倒れるだろうという最も旧式な資本主義方針なんですね。むしろ、歩いていく人を早く職場に運ぶという通勤、通学の低額所得者の足のかわりになるという方面に頭をかえれば、許可しなければならない。いつまでたっても許可しないのは不審にたえない。従って、これは私の意見なんですけれども、都道府県、市町村等が全地域にわたって既存の民間会社と競争するようなものは別として、特定地域、たとえば住宅区域から下町まで既存のバス会社の路線がない場合、——それは引き合わないからないのです。そういう場合に、必要があって、市民のために公営バスを出願した場合に、なぜ一体許可しないのか。自動車局の方針があまりにも許可、認可に厳重であるために、しばしばいろんな疑惑を世間に流布されている。国会議員に寄せられますいろんな通信がありますが、そのことの正否はよくわかりませんけれども、過去五カ年間にわたって公営バスを許可しなかった。そういうようなことが盛んに言われるゆえんのものは、私は、運輸省自動車局の方針が古過ぎるのではないか、サービス本位ではなくて権利本位になっているのではないかという感じがしますが、もしそうであったならば、それをかえて、バスがはんらんするぐらいに許す。普通、タクシーなどに乗りましても、神風タクシーで生きた心地がしない。バスならば子供でも幼稚園にやれるのです。一方、汽車は、後ほど質問いたしますが、北九州のある線によっては、二〇〇%の乗客で、振り落されて月に何回か死ぬというような例がある。そういうところに競争的に私営鉄道は今さらできない。どうしてもバスで運ばなければならない。しかるに、バスは一民間会社に許したきりで、公営を許さない。その基準は何かというと、既存会社を保護するということで、全く笑うに耐えないことだと思います。  あなたは古くから自動車局におられたのか、新しくきょうかわったのか存じませんけれども、古くからおられる方ですね。そうだったら、うわさはよくないね。あなたは古くからいた人ならば、やめる前に一つ思い切って、出願になっている公営バスはみな許可する、そしてせめてああそうだったというみんなに安心と信頼を持たせるようにしてもらいたい。もしあなたが新しい局長だったら、過去のそういういろんな疑惑を一掃してどんどん許可する。許可された後に経営ができないならば合併ということがあるのですから、お互いに足代を倹約して通勤、通学をする市民、大衆の方に基礎を置いてもらいたいというのが私の希望ですから、これに対する方法を聞かしてもらいたい。大臣はこれを聞いておいてもらいたい。
  168. 中村三之丞

    中村国務大臣 これは、最高の責任は私でございますから、私、はっきり申し上げます。公営を妨害するとか阻止するということは私は考えません。ただ、公営の中であとから非常に赤字を出していくものもある。ですから、経営よろしきを得ると見込みを立てて公営をやるというものならば、いかに民間業者が反対するともやってよろしい。現にあるところで今問題になっているところがある。私は押し切りたいと思うのですが、その点は私は同感であります。今後これを奨励して、私の方から申請を出しなさいなんということは申しませんが、公営をやりたいという申請がある場合には、公平に、少くとも私の在任中は判断したいと存じます。決して民間業者をおそれて公営をやらないという考えは私は持っておりません。自動車局長答弁する必要はない。私が答弁して、それで一つ田原君御了承願いたい。
  169. 田原春次

    田原分科員 それではしばらくお手並み拝見ということにしておこう。  次はタクシーの運転手の問題だから、あるいは運輸省自動車局の問題じゃないかと思いますが、増車その他の際における条件にしてもらいたいと思います。非常に事故が多い。これは要するに、一日二十四時間ぶっ通しの勤務であったり、そういう雇用状況が悪いために、どうしても過労になる。従って、大きなひき逃げ等は裁判さたになりますけれども、そうでないかすり傷は実にひんぱんに多い。従って、これまた私に言わせますと、既存のタクシー業者を保護するという古い資本主義的経営方針運輸省に残っているのではないか。この点につきましては、運転手を保護するためにも、最低給料をきめるなり、勤務時間、実働時間を少くとも八時間制にするなりして、乗客の不安を除くようにしなければならないと思いますが、これに対する何か方針らしいものをお考えになっておりますか。お考えになっているならば、この際やってもらいたい。
  170. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 タクシー運転手の勤務時間につきましては従前特別の措置が認められておったわけでありますが、現在では一般の労働者と同じように八時間労働制ということで労働基準法そのままの適用になっております。ただ、勤務の態様といたしまして、就業規則のある場合には、ある範囲内の延長はできるということになっておりますが、基本的には八時間労働制ということではっきりいたしておるわけであります。ただいま御指摘のように、厚生施設その他を完備しなければならぬということは、八時間労働制を実施をいたしましても、厚生施設が十分でないと十分な休養がとれないということで、たとえば東京陸運局におきましては、行政指導といたしまして、帰って寝るところを設けろというような単に口頭のものだけでなしに、たとえばふとんとかそういうものを写真をとって持ってくるようにというような指示もいたしまして、相当具体的なこともやっておるわけであります。また、御承知の通り歩合制が多いわけでございまして、その歩合の割合が非常に低いので、そういうことも、行政措置といたしまして、できるだけ歩合を多くするようにということでやっております。問題は労働問題でございますので、主管官庁は労働省でございますが、これが直ちに事故その他にも結びつきますので、われわれは、タクシー業者の監査をいたします際にも、そういう労働条件につきましても、関連事項といたしまして十分会社取扱いを監査をいたしまして、注意すべきは注意をするというふうにやっておるわけでございます。
  171. 田原春次

    田原分科員 次は、関門国道トンネルの通行料金の問題が地方的に非常に大きくなっている。それは詳しい数字やいろいろな根拠は持っておりますが、建設省の方に聞いてみたいのですが、運輸省も御関心が足りないのじゃないかと思う。そこで、運輸省に一言申し上げておきますが、十七日の分科会の建設省の質問のときにこの担任の方も同時に出席してもらいたいことを要求しておきます。それは、年間通行量を、関門国道工事事務所では年間百五十万と去年見積っておった。ところが、いよいよ道路公団の管轄になりまして、計算して、六十八万台と見積って、半分以下にした。従って、関門国道工事建設事務所の計算当時はトラック一台九百円くらいに見ておったのが、今日はそれが千八百円とるということになって大問題になっておる。道路というものは、道路公団の採算主義になる場合は他に代替道路のない場合で、あそこのように最初内務省の土木局で始めて全体の費用のうちの六割は国費で内務省時代にやった。それを向う二十年間に元をとるんだということで一台千八百円もとるようになったのではたまらない。従って、三月九日の関門国道トンネル開通式を控えて、今山口県全県と福岡県全県のバス業者、トラック業者、タクシー業者、自家用業者関係、三輪車業者その他がボイコット運動を起そうという機運が強くなっている。これは私らはとめないつもりなのです。自然にまかしておくつもりですが、通行料金が建設省一存でできる、運輸省には通告するだけでいいという解釈を建設省がしているところに問題があると思う。工事が終ったあとは、通るものはそういうガソリンを使うタクシーも自動車でありますから、運輸省が当然そんなに高くてはいかぬぞということを今までやってないということは、運輸省は非常に冷淡であるとか不熱心であるとか、弱さを感ずるのですが、中村運輸大臣もこの辺で一つ根本国務大臣と突っぱり合うくらいの元気を出してもらいたいと思うが、料金の半減という問題についてどうでしょう。
  172. 中村三之丞

    中村国務大臣 料金の問題は将来に属することであります。しかし、運輸省が建設省に押しまくられるということは、私はしないつもりでございます。しかし、運輸省と建設省は、やはり互いに了解してやっていかなければなりませんから、そういう問題は、紛糾さすということはなくして、運輸省と建設省が話し合いをして円満に解決するようにいたしたいと思います。
  173. 田原春次

    田原分科員 この問題は建設省の分科会の際にあらためて質問いたしますが、運輸省自動車局長出席しておいていただきたいと思います。  第三問は海運局に対する質問でありますが、これは時間の関係で省きます。それは二十二、三日ごろに一般質問でお聞きしますが、多分に外務省にも関係があることであり、北鮮航路の開拓の問題と南米の移民船の問題でありますのでその際出席していただきたいと思います。  次は国鉄に対する質問に入ります。第一問は列車時刻改正の問題であります。きょうの新聞を見ますと、来たる十一月にまたまたダイヤの大改正がある、鹿児島から特急で二十二時間の計画を立てておるということでありまして、これはまことにけっこうなことだと思う。けれども、問題は、何時間で走るという問題でなく、何時と何時に東京を発車するかという問題なんであります。私がまず最初にお尋ねしたいのは、列車時刻改正に当っては、どういう基礎資料、どういう係、もしくは、非常に審議会作りのお好みの国鉄ですが、列車時刻審議会のようなものを作ってやっておるのですか。消費者代表を入れておるのですか。ただ昔からの式でやっておるのですか。今までのやり方をちょっとここで説明を聞きたいと思います。
  174. 石井昭正

    石井説明員 列車時刻の改正につきましてはいろいろな要素がございますが、やはり、何と申しましても、当該機関の輸送力、現在の輸送設備、輸送能力でもってどの程度まかなえておるか、どういう点を改善しなければならないかという点のねらいと申しますか、そういうものをつけまして、それに今度は現在のダイヤを組みかえる際にいろいろな客車あるいは機関車の運行等も勘案いたしまして荒筋を引きまして、その荒筋によって一応再検討をいたしまして、そうしてこまかな作業に移りまして——現在では、ある程度基本的な改正をいたしますのには、精一ぱい努力をいたしてもどうしても半年くらいの時間を要するわけであります。これは、何分にも御承知のように線路設備その他いろいろの設備が非常に行き詰まっておりますので、その間を縫って何とか列車の増発その他を押し込むという関係にございますので、いろいろな点からむずかしい問題を一つ一つ切り抜けて最後の案を決定しておる次第であります。こういう点につきましては、私どもとしては平素から各鉄道局あるいは本社にモニターを置きましていろいろ御意見を参照しておりますので、特にこの機会に審議会というようなことはやりませんが、十分御利用者の御意見等をしんしゃくして、できるだけ御便宜措置をはかりたい。ただ、先ほど申し上げましたようにいろいろな条件がございますので、何時に出た方が都合がいいというようにきまりましても、そのときの設備、車両の状態で次善の策でもってごしんぼう願わなければならない場合も多々ございます。まことに残念でございますが、そういう点は御了承願いたいと思います。
  175. 田原春次

    田原分科員 そのときの設備や車両の状態でこうなった。私はそれは納得できない。実例を申し上げます。私はしばしば東海道線に乗りますが、東海道線で申しますが、あるいは東北線はどうか知りませんが、急行だけをとりまして、山陽線から四国、九州に行く急行列車の時間表というものは非常に片寄っておる。まず第一は、午前十時に出る急行が第一なんです。その前にはありません。それからすぐ三十分置きの十時半に三三列車、それからまた三十分後の十一時にいずれも九州まで行く。それからずっとなくて、午後一時にまた九州行があって、午後一時半にある。三十分置き。それから夕方まで全然なくて、六時半の特急と三十分後に七時の特急というのがある。それからずっとなくて、最後は夜の八時半の博多行で、その次は九時四十五分の鹿児島行でおしまいなんです。従って九時四十五分に乗りおくれますと、翌日の十時までは東京にいなければならぬということになる。昼間だけ走っておって、夜間は全然走らぬことになっておる。これは線路の都合でもなく、設備の都合でもなく、車両の都合でもない。集中してやっておる。昔からそうであったかというと、数年前は午前八時に熊本行の阿蘇という急行があった。それから午後十一時に鹿児島行の急行があった。従って東京市民は夜の十一時から翌朝の八時までは汽車を利用することができなかったけれども、そのほかは利用できた。それがいつの間にか午前十時始発、午後九時四十五分終発にきめてしまって、一日二十四時間のうち半分は全然通らない。そうすると、夜間に飛行機があるかというと、夜間に飛行機はありません。結局鹿児島まで二十二時間で行けるなんて書いてあるけれども、実際は行けやせぬ。九時四十六分に東京駅へ着いた者は、朝の十時までお預けですから、二十二時間にあらずして四十六時間目でなくしては鹿児島に着かぬことになる。なぜ一体こういうことをするのか。しかも昼間の停車のあれを見まする、夜中の二時ごろに着く中くらいの駅がたくさんある。たとえば朝十時の三一列車は広島に夜中の二時に着くのです。しかるに東京からは午後九時四十五分以降には出さない。大都会の東京こそ夜中の二時ごろに出てもいい。皆様は外国に行かれたでしょうが、ニューヨークのセントラル、ヨーロッパにおきましても、またモスクワにおきましても最近は夜中に出る。私は乗ったことがあるからわかる。大都会は都電や国電が一時ごろまで通っておるから、一時ごろのご東京始発があっても十分間に合う。しかし広島に行きたい人が、これで広島に午前二時に着いて、それが広島の駅前に行くのならいいんですよ。それから山の中に行く人なら、夜明けまで駅のホームに一晩泊らなければならない。このように、中間の岐阜であるとか名古屋であるとか広島は、夜中の停車がたくさんある。これは要するに発車時間が偏在しておる。東京、大阪中心のダイヤをマンネリズムにいつまでもやっているからです。だから今あなたが言われた理由からいうと、これは理由にならぬ。設備は同じですよ。車両の数も同じです。従って大都会こそ夜中に出るものを作ってもらいたい。今度十一月にダイヤを改正するそうですから、半年かかると言われますが、今から八カ月あるから間に合う。ですから午後十一時か十二時に始発のものを作って、もし機関車や車両数がないというなら、三十分置きに出すものを間引けばいいんですから、そういうふうにすることによって、東京から鹿児島までは三時間置きくらいには何本も出るようにする。現在の重量数でそれが間に合うということになりますから、そういうふうにしてもらいたいし、それにはあなた方のような内部の専門家だけで時刻を改正しないように、少くとも貨物主、それから地方の自治体の者とか、あるいは労働組合の人たち、農民、そういうものを入れた列車時刻の改正委員会のような審議機関を作っておいて、全国的に青森からも新潟からもいろいろの希望を聞いてやったらどうかと思うのですが、そういうような御用意を今からされたらどうでしょうかと思います。これは一つ総裁から聞きたいと思いますから、総裁から御答弁を願います。
  176. 十河信二

    十河説明員 ただいまお話の点はしごくごもっともに存じます。従来ももちろん、全国的にでき得る限り皆さんの御満足のようにということで、皆さんの御意見を伺って参考にいたしておるのであります。しかし国鉄のダイヤをきめます際には、なるべくお客さんの多いところを標準にしてダイヤを組む結果そういうふうになったのじゃないかと思います。今後は、ただいまお話のありましたようなことを十分に考慮いたしまして、ダイヤの改正のときに参考にしたい、こう考えております。
  177. 田原春次

    田原分科員 総裁も愛媛県のようですから、地方に帰られるので、さだめし夜中に帰られたこともあるだろうし、ぜひそういうようにやってもらいたい。  その次には、急行列車の停車に関して有力者の影響力なきやいなやという問題を、実例をもって申し上げます。ここにあげました八本の普通急行、特急が、山口県に限り最低三カ駅、最高七カ駅とまるのです。すべての急行が山口県だけは七つとまる。特急に至ってもとまる。山口県にだれか有力な者がおる、私はそう思うのです。(笑声)元鉄道次官であるとか、あるいは岸総理大臣とかいうものが言うたのか、あるいはおべっかに鉄道の方でサービスしたのか知りませんが、たとえば特急にいたしましても、佐藤榮作の岩国にとまる分と、岸信介の三田尻にとまる分がある。私は数回乗っておりますが、おりる者は一人もしくはゼロです。たとえば岩国だけでも、特急を加えまして七つ停車いたします。徳山も佐藤榮作と岸信介の選挙区ですが、これも八つとまるのです。こういうようなことは偶然か知りませんけれども。特急のごときは一県一停車主義のように見える。広島県においては広島だけです。しかるに山口県だけでは七カ所もとめて、駅員の方が閉口していると思う。お客もおらぬのにとめなければならぬのだから。(笑声)今度反面福岡を見ますと、門司からすぐ博多になってしまう。それから一本の特急しかないときには小倉にとまらない。小倉駅というものは大分と宮崎を控えているのですが、あそこにもとめない。従って門司まで来て待つか、福岡に来て待たなければならぬ。さらに長崎線を見ますと、佐賀県の鳥栖にとまらぬために、熊本、鹿児島に行く人は博多で乗りかえてもらわなければならぬ。そういうように、今総裁は乗客量によってきめるというけれども、一番乗客の多い、二百パーセントもお客のあるという北九州においては、特急が一カ所しかとまらない。ほとんどおりる人のない山口県に七カ所もとまる。これはダイヤ編成が一種のマンネリズムだと思う。だから乗客本位であるから、山口県は小郡と下関はやむを得ぬでしょう。しかしその他の特急はやめた方がいいと思う。急行も七回もとまったら、お客さんはかえって乗らないものだ。たとえば岡山県の倉敷駅は急行は一日七つあるうちで二本くらいしかとまらない。そのほかは通過します。だから小倉から東京に行く人は、午前と午後の二つの急行に乗るつもりで準備するのです。こういうわけですから、総裁はお気づきにならぬかもしれぬが、私は始終乗って一種の被害者だから、これはいかぬなと思っている。幸い十一月にダイヤ編成をするそうですが、山口県のことはあまり不公平で、停車と発車にずいぶんエネルギーを使う。だからそういうことをよして集中していくことによって、全体の時間がセーブできると思いますから、これは強く希望しておきます。私は必要あらばダイヤ編成委員に加わって、いろいろ御指導申し上げたいと思う。(笑声)どうか総裁、私の今の意見に対して御意見を聞かせていただきたい。
  178. 十河信二

    十河説明員 私はなるべく国民の多数の御意見を経営の上に反映させたい、こう考えておりますが、御承知の通り鉄道は設備が非常に不足しております。その不完全な、不足しておる設備の上をできるだけよい列車を出そうといたしますと、おそらくとめたいと思っても、そこでとめると全体のダイヤに狂いを生ずるというふうなことがときどき起るのであります。そういうことが起るために、今御指摘のような場合も起ってくるというようなことになるかと思います。しかしながら、そういう不公正平な取扱いはいたさないように、今後も十分気をつけて参りたいと思います。
  179. 田原春次

    田原分科員 とにかく総裁の御発言を信頼して——いろいろ信頼できぬ点もたくさんあるけれども信頼して、十一月の列車編成のお手並みを、拝見します。もしこれがやはり依然として有力者本位の停車になったり、それから昼間中心主義になったり、東京、大阪中心の発車停車主義になっておったら、そのころ私が落選しておったらしようがありませんが、当選しておったら、相当強硬に分科会で責めますから、覚悟しておいてもらいたい。  次は国鉄の雑収入、参考資料の二ページの雑収入で五十四億ばかり収入がふえることになっております。この内容の概略だけを聞かしてもらいたい。何でふえるのか。
  180. 久保亀夫

    ○久保説明員 お答えいたします。     〔畠山主査代理退席、主査着席〕  この五十四億の大体の内容を申し上げますと、そのうち最も大きいのは、約四十二億、これは従来国鉄がいろいろ委託を受けまして工事をいたしております、たとえば電源開発の工事でありますとか、専用側線工事でありますとか、こういった工事を大体年間平均いたしまして四十億くらいやっております。従来はこれを予算を通さないでいわゆる歳入歳出外でやっておったのでありますが、会計検査院からもいろいろ意見もありまして、来年度から予算を通す。会社から収入をいたしまして、それを経費として工事費なり人件費に出していくということにいたしまして、この四十二億を予算に掲げたわけでございます。それから、もう一つ大きいのは、約十億でございますが、これも、従来収入いたしましたたとえば運輸収入がございまして、一例を申しますと、交通公社で代売いたした収入がある。それに対して御承知のように、五%弱の手数料を出しておりますが、従来はそれを収入から割り戻しておった。しかし、これも一応収入収入としてとり、それをあらためて経費として出すということが穏当であろうというようなことで、来年度からそういうふうに取り計らいまして、収入の方で十億とる、それから支出の方で十億支出に立てる、かようにいたしまして、約五十四億のうち、五十二億ばかりが、そういう従来通り抜けのものを予算に上げたということでございます。残りの二億がいわゆる雑収入。建物使用料でありますとか、営業料金でありますとか、その他の業務量増加等に伴うものでございます。
  181. 田原春次

    田原分科員 そうすると、今の御説明の中には、国鉄直営の福岡県の糟屋郡の志免炭鉱という項目は上ってこないのですが、志免炭鉱の収入はどの収入の欄に入っているのですか、あるいは他のあれに出ているのですか、また幾らくらい見込まれておるのですか。
  182. 久保亀夫

    ○久保説明員 志免炭鉱の収支は、この予算には直接上っておりませんで、別に中間勘定、これは予算の参照書にございますが、中間勘定として処理いたしまして、ここでは石炭費の支出という項目で上っておるわけでございます。
  183. 田原春次

    田原分科員 志免炭鉱に関しましては、御承知のように、世間でうわさされておるところによりますと、十河総裁はこれを民間に払い下げる考えがあった。これを地元で聞きまして、まず炭鉱所在地の四つの町長、それから町会議員並びに労働組合及び主婦会等が大挙して数回東京に来まして、あるいは常務理事級の人、また総裁も数回会ったと思いますが、消えるがごとく消えざるがごとく今日まで至っている。これは、時間がありませんから、私も資料だけで申し上げて御返事を伺うつもりでありますが、大手筋、三井、三菱、住友、古河等々数社の間に、払い下げを受けたいということであった。資産少くとも五十億以上あるという非常に有望な炭鉱であるというので、これは仲に立った二、三のブローカーがありまして、三菱だけでも運動費に七千万円使ったといわれますが、その結果、三菱一社が指定払い下げを受けるかのごときところまできておったといわれておった。これは、そういう方法もいけないし、払い下げ自体もいけない。少くとも国営で持っておるものを、赤字ならばともかく、黒字になっているものをどうして一体払い下げるか。むしろ総合経営こそ望ましいのじゃないか。直接の経営ではないが、鉄道会館であるとか、あるいは民衆駅であるとか、あるいは退職者による交通公社であるとか、弘済会とか、国鉄にはむしろ総合経営の傾向さえあるのに、炭鉱だけを切り離して特定の政治ブローカーの運動費のかせぎにすることはよろしくないという解釈をわれわれはしておった。これは、しかしながら、いろいろな国会の委員会等でも各方面から質問がありまして、一応消えておったかのごとくされておった。ところが、最近河野一郎君と川島幹事長の発言として一部の新聞に出ておりましたが、当否は私は知りません。これらの二人があるいは迷惑するかもしれませんが、名前はそういう名前が新聞に出ておったことは事実であります。国有財産を払い下げるのに、三菱炭鉱のようなものを指定して払い下げるのはよろしくないから、その方式は一応御破算にして、公正なる一般入札にして払い下げろという、依然として払い下げ論に間違いないけれども、三菱ということはやめて一般的にやれという御意見もまた始まっているといううわさが立っている。これに対しましても、某炭鉱主は、これらのそういう御破算にする形に対して五千万円の運動費を使ったということが九州の中小炭鉱に最も信じられておる。現場を見たわけではありませんし、御迷惑になってはいけませんから名前はあげませんが、そういうことになっているといううわさがある。従いまして、私は、きょう特に総裁にここに来てもらったゆえんも、これに対する方針を聞いてみたいと思ったからであります。私ども社会党としては、重要産業国営論の立場からものを見ている。従って、現在の資本主義機構のもとにおいても、国営であるものは、能率を増進させるという意味においてはいろいろ工夫改良を進言いたしますけれども、国営のものを今さら民間に払い下げるなどということはもってのほかであります。党をあげて反対するつもりでありますから、こういうことが単なるうわさであって、あくまで国鉄は自己の必要とする石炭を志免炭鉱から引き取る、並びに志免炭鉱の経営を改善して、もっと黒字にして、それらの炭は、他に運輸省の中にも石炭を必要とする部局もあるのだからその方にも回す、そういうふうに進むべきだと思うが、これに対する十河総裁方針はどうであるか、この機会に明瞭にしてもらいたいと思うのであります。
  184. 十河信二

    十河説明員 国鉄は膨大な事業でありまして、よく皆さんから、大男総身に知恵が回りかねという批評が最も適切に当る、こういうことを言われて、われわれも恐縮いたしておるのであります。従って、私は、なるべく運輸交通に直接関係のある部分の仕事に全力をあげてやりたい、こう考えております。しかるところ、政府の行政管理庁あるいは政府が設けられました国鉄経営調査会におきまして、ともに、傍系的の事業、炭鉱業それから被服、もう一つは製材業、そういうふうなものはできるだけ早く切り離すべきだという勧告になっております。それですから私も、それらの権威ある官庁あるいは調査会の勧告に従って、できるだけそうしたいと思っておりますが、今日まで製材工場を整理しただけでありまして、まだ被服工場も炭鉱の方も、どういうふうに整理するか、どうするかということが、まだ国鉄部内でもきまっておりません。目下それ以来絶えず検討はいたしておりますけれども、まだどういうふうにして譲渡するかということも一切きまっておりません。従って先ほどお申しつけになりましたようなことは全部風評であって、憶測であると私は信じております。
  185. 田原春次

    田原分科員 これが風評であることを承わって、まことにわれわれも当然であると思うのであります。先ほど委員会の答申に基いてと言われたようでありますが、これもその通りであると私は承知しております。ただし、その当時国鉄の資産等を調査して勧告を出した。当時は確かに志免炭鉱は赤字であった。その後黒字になりまして、昨年だけでも少くとも一億五千万円以上は黒字になっておるという報告を受けております。私は事実これが黒字であるかどうか知りませんけれども、これは大へんだということで従業員も奮発したのではないかと思いますので、赤字から来た経営切り離し論ならばその根拠は消えたと思うのです。それから、一業を主にするということも一つの確かに理由になると思いますけれども、国鉄も燃料を使うことでありますから、これはお考え願わなかったら困ると思うのです。これは私の希望でありまして、そういう問題は、原則論からいきましても実情から申しましても、払い下げは不当であるとわれわれは解釈しておる立場から希望を申し上げておりますが、特に疑惑の起りやすいような金銭関係もありますので、ぜひ十分慎重にやられるように願いたい。これに対して監督官庁である運輸省には鉄道監督局があるだけでありますが、大臣としても、やはりこういう問題については微妙でありますから、考えてもらいたいと思いますが、大臣のこれに対する御所見はいかん。これで私は終りますが、はっきりした御所見を聞かしてもらいたいと思います。
  186. 中村三之丞

    中村国務大臣 この問題については国鉄総裁から私の方に何のお申し出もありません。従って、私はこれに対して何の考えも持っておりません。ことに、今総裁の申したように、そういうことは慎重にやらなければならぬと存じております。ことに志免炭鉱は最近一億四千万円ほどの利益を得ておるということもありまして、今後経営の合理化ということも進んでくるだろうと思います。従って、目下のところ私は国鉄総裁から何の申請——国鉄の財産を処分する場合は運輸大臣の許可を得なければならぬというようなことがあるようでございますが、そういうようなことは何もございません。私は存じません。国鉄から何も申しておりません。また国鉄総裁意思も今お答えした通りでございますから、どうぞその点は疑いの目で見ずして一つ公明にごらんを願いたいと私は思うのでございます。
  187. 小松幹

    ○小松(幹)分科員 今の国鉄の経理の問題とちょっと関連して伺います。さっきの電力の問題ですが、関西電力が国鉄との関係で電力値上げをするというようなことをちょっと聞いております。今の国鉄と電力会社との電力供給、需給の契約関係、これを一つお聞かせ願いたい。  それと、もう一つ、私鉄と国鉄との連絡運賃ですが、すでにたな上げになっておる運賃料金がある。と同時に、たな上げではないけれども二億円くらいの貸しがある、焦げついておるというように聞いておるのですが、この二点だけお尋ねいたします。
  188. 久保亀夫

    ○久保説明員 第一点の関西電力料金について、詳細な数字は別として概要を申し上げます。従来各電力会社ともいろいろのいきさつがございまして、いわゆる一般の供給規程の解釈上若干有利な解釈ということで、比較的有利な電力料金で提供を受けておったわけでございます。ところが、本年度運賃値上げをいたしますについて、実は昔の協定の際に、運賃値上げが実現した際にはある程度条件を変えるといったような覚書と申しますか申し合せがございまして、これによりまして実は昨年度電力会社相当打ち合せなりあるいは交渉をいたしたわけでございます。結論といたしましては、金額は正確に覚えておりませんが、普通の計算よりも相当大きく割引をしていただきまして四、五千万円前後、そういう数字で妥結いたしまして三十二年度の料金を決定いたした。こういうことでございまして、若干以前の料金に比べて値上りにはなった、しかし通常のものよりは安い、こういうことであります。三十三年度は三十二年度にきめました条件を踏襲するという条件で参ると存じております。  それから、第二の私鉄の連絡運賃の問題でございますが、これにつきましては国会の委員会におきましてもしばしば実は御指摘がございまして、私どもも連絡運輸収入の未収金の解消についてはいろいろ努力いたして参っておりました。数字の結論だけを申し上げますと、一番多かったのは二十九年度末でございますが、三十年の三月末には五億八千万円ございました。ところが、最近の実績を申し上げますと、昨年の十一月三十日現在で二億六千五百万円、会社の数にいたしますと三十年当時は四十八社、現在では二十四社ということに相なっております。実は今たな上げというお言葉がございましたが、一昨年から御相談しまして、昨年の春たまっておりましたうち、できるだけ月賦でもいいから処理させようということで、会社といろいろ相談しまして、年賦償還の計画を立てまして、それをいわゆるたな上げと称しておるのですが、それを最大五年以内に年賦償還する、たとえば一千万円の未収金がたまっておりますれば二百万円を毎年払う、もちろん毎月新しく発生するものは当然払いまして、それを上積みに払う、その分だけ銀行保証をとるというようなことをいたしまして、この二十四社のうち半分以上をいわば軌道に乗せまして着実に滅して参ったわけであります。残りの十社、これは、いろいろ運輸省当局とも相談いたしまして、どういうふうにするか、何とかいい方法はないかということで自来相談いたしておりますが、何しろ会社の内容も相当悪いといったようなことで、角をためて牛を殺すこともできませんので、どういうふうにしていくかということで、約十社程度はそういう形で残っておるというのが現状でございます。
  189. 山本猛夫

    山本主査 森本君。
  190. 森本靖

    森本分科員 まず国鉄予算についてちょっとお聞きしたいのですが、この予算書の八十四ページの三十一年度の日本国有鉄道財産目録の中の三十二年三月三十一日現在の長期借入金の千四百三十六億一千三百四十五万二千円、この内訳についてちょっと説明願いたいのであります。
  191. 久保亀夫

    ○久保説明員 とりあえず概数で申し上げますと、この長期借入金のうち、大きく分けますと二つございまして、一つは、国鉄が公社になりました際に持っておりました公債を一般会計に対する借金に振りかえた、これが約六百億ございます。それから、残りの九百億くらいが、昔の預金部、今の資金運用部からの借金、大体こういう工合に大別できるわけでございます。
  192. 森本靖

    森本分科員 これは国鉄だけの問題でありませんけれども、専売公社にいたしましても電電公社にいたしましても、公社を設立された当時における政府からの借入金がこういう形で今残っておるわけでありますが、この六百億というものの政府に対する償還はどういう形でやっておられるのですか。
  193. 久保亀夫

    ○久保説明員 この公債から振りかえました借入金は、法律なり制度上の建前といたしましては、原則的には一般会計が償還したときには償還する分は返すという原則でございますが、これは国鉄政府との話し合いで延ばしてくれることもできるということに相なっております。そして、実は昨年までは、肩がわりいたしましても、国鉄の財政事情も困るということで、期限が来ても延ばしてもらうということで、利子を払うだけで償還はいたしておらなかったわけでございます。ところが、本年度から御承知のように運賃の引き上げをいたしまして、これは当然返すべきであるというようなことで、私どもとしてはいろいろ論議はいたしたのでございますが、結論としては、運賃引き上げで財力ができたわけだから、ある程度は返していくというようなことに最後的にはお話がまとまりまして、三十二年度、すなわち本年度から二十四億償還をいたすことになっております。ただし、これにつきましては、大体の見当としては二十五年か三十年ということでありまして、毎年度予算事情によってきまるということでございますが、来年度は大体十億余りを返すということに予算的には相なっております。
  194. 森本靖

    森本分科員 国鉄が現在の公社になった時分からのこの借入金については、全部政府からの公社の借入金ということになっておりまするが、この内訳は全部公債ですか。外債みたいなものはないのですか。
  195. 久保亀夫

    ○久保説明員 一部外債がございます。
  196. 森本靖

    森本分科員 その数字をちょっと明確にしてもらえませんか。
  197. 權田良彦

    ○權田政府委員 では正確に数字を申し上げます。三十一年度末で千四百三十六億、御指摘の通りでございまして、その内訳は、一般会計が五百三十四億、資金運用部が八百五十一億、運輸省から五十億五千万。今御指摘の五百三十四億の内訳でございますが、外国債としては第一回四分利英貨債が二千万円、第三回四分利英貨債が二千四百十二万円、四分利仏貨債が二千六十六万円、計六千四百八十万円、それから借入金が十一億四千二百万円、残りが内国債でございます。
  198. 森本靖

    森本分科員 支払いについては、大蔵省と国鉄当局との話し合いによって延ばしたり、またその償還の金額についてもその年度々々きめる。これは国鉄だけじゃございません。専売公社にも電電公社にもあるわけでありますが、しかし、少くとも国の金を借り入れておって、それをその年度々々、いわゆる交渉によってきまるというようなものは、これは会計上から言ってもまことにへんちくりんな異物ではないかというように考えるわけですが、借りるものは借りて、資本として投入するものは投入するというようにして、借りたものは借りる、返すものは返すというふうなことを明らかにしていきたい。何ならこれを全部政府出資として国鉄に投資をする、こういうふうな方法にしてこれを打ち切る。これは大蔵省の方が来ていないとなかなかわかりにくいと思いますが、そういうような措置はとれぬものですか。
  199. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。その御議論は、実は前国会運賃値上げの際、やはり経理の御質問で御指摘を受けた点でございますが、その点は、当時お答えいたしましたように、そういうお考えもありますけれども、ろいろな事情から、政府出資にはしないのだという方針を立てたわけでございまして、従って、旧特別会計時代から引き継いだ分でありますが、一般会計の債務であることは確定しておるわけであります。しかし、これは会計法上その償還については先ほど久保常務理事からお話いたしましたようなことで処理をいたして差しつかえない事項でございますので、前回の三十二年度予算から一部償還をしていく、それは年度々々の予算でその額を確定して計上する、こういう方針でやっておるわけでありまして、今、諸般の財政上の観点から、これを直ちに政府出資に切りかえるという措置をとる意思はないわけでございます。
  200. 森本靖

    森本分科員 公社が借り入れておるところの法的な根拠、それから、これを償還するところの法的な根拠、公社法その他の法律についての法的な根拠はどれどれですか。どの法律の第何条によってですか。不明確な点が多分にあるんだ。
  201. 久保亀夫

    ○久保説明員 日本国有鉄道法施行法第九条に、大事なところだけ読みますと、「昭和二十四年五月三十一日において国有鉄道事業特別会計が負担する公債及び借入金は、日本国有鉄道法施行の日において、一般会計に帰属せしめる。」、これが根本の法規でございます。これに対して日本国有鉄道は前項の公債及び借入金の金額に相当する額の債務を政府に対して負う、この二つが根本になるわけでございます。そうして、その次に、その規定には、日本国有鉄道政府に対して負う債務の償還期限等は、原則としては一般会計に専属した公債及び借入金の償還期限によるということでございまして、その次に、政府は今の一般会計に帰属した公債及び借入金の償還期限を延期しまたは借りかえをした場合は、今度はそれによって国鉄にはね返っていくのだということが法律に書いてございます。この法律によりまして、原則に対して政府側で償還期限を延ばしてもらえれば、国鉄も延ばしてもらえる、こういうことに相なっておるわけでございます。
  202. 森本靖

    森本分科員 この問題については、その原則的な問題と、それから特例としてこれを扱っておるということについても、これは法的にはもっと整備し、研究をしなければならぬ点が相当あるのではないか。毎年この問題が繰り返されて、そうして各公社ともこの問題の処理については実は困っておるのではないか。それから、大蔵省自体としても、この問題については、これを棒引きする、出資するということで非常に弱っておるのではないかということも考えられるわけですが、これを一つ明確にしていただくということで、今後この問題については、国鉄だけではございませんけれども、国鉄一つ十分研究をして、こういう国の膨大な金額が妙な原則論以外の形においてなされていく、しかも毎年々々予算においてこれが変更される、それから償還金額についても年に何ぼということがはっきりきまっておらぬ、そのつどつど政策的にこれが変っていくというようなことについては、これは公債としての建前からいくと非常におかしい。そういう点については、今後国鉄も十分研究をしてもらうし、また監督官庁でありますところの運輸省としても、これは十分に研究をして、会計法上もう少し明瞭な格好にしていただきたい。このことを私は要望しておきたいと思います。  次に、国鉄にもう一つお聞きしたいと思います。国会議員は国鉄は無料パスでありますが、これはむろん法律によってきまっておるわけでありますけれども、この国会議員以外で国鉄が無料パスを出しておるところはどのくらいありますか。
  203. 石井昭正

    石井説明員 ただいま詳細な資料がございませんが、私どもの方で無料パスを出しておりますのは公務に関係する職員、それからあとはこの職員に対する精勤の賞として出しております精勤パスというものが大部分でございまして、部外者に対しましては国鉄の仕事を委嘱した場合においてのみ出しておる、こういうふうに承知いたしております。
  204. 森本靖

    森本分科員 ただいま公務に関すると言われたが、私は国鉄の職員に対する無料パスのことを今聞いておるわけじゃありません。国鉄の職員以外に対して無料パスが相当出ておると思いますが、その無料パスはどういう方面に配付されておるか、それが何枚配付されておるか、それからその配付については二等のパスもあればまた三等のパスもあると思いますが、その内容を一つこまかに知らせてもらいたい。これはなぜそういうことを聞くかと申しますと、われわれは汽車に乗っておっても、案外無料パスが非常に多いんじゃないかという気がするわけなんです。しかもそれが国鉄の職員ではない、そういう人も多分にあるような気がしますので、この際私はこの分科会において国会を通じてこの無料パスの配付先を明らかにしておいてもらいたいと思う。
  205. 石井昭正

    石井説明員 ただいま手元に資料がございませんので、至急資料を取り寄せて御配付申し上げますから御了承願います。
  206. 森本靖

    森本分科員 それは資料がないということならば、これ以上質問してもやむを得ませんけれども、この問題は国民からもかなり疑惑を浴びておる問題でもありますので、一つ明確にしてもらいたい。たとえば私が知っておる範囲内においても、各地方長官あたりには相当出ておるようであります。昔の地方長官に相当するような、いわゆる各省におきましても昔のいわば勅任官クラスというような諸君には出ておるようなことを聞いておりますし、またそういう人たちは十分に旅費ももらって出張もしておるというようなこともありまするので、その辺は一つ私は明確にしてもらいたい、こう思っておりますが、残念なことにはその資料がありませんので、この問題は後日質問をいたします。  ついでに国鉄の問題でありますが、今度の予算書の説明の資本勘定の中に、国鉄の共済組合から三十五億円の金が出ておりますが、これは共済金というものをこういうものに引き充てて、一体国鉄の共済はその収支というものが、この低利で合っていきますか。
  207. 久保亀夫

    ○久保説明員 御指摘の通り来年度初めて共済組合から縁故債券を募集するということに相なったのでございますが、実はこの縁故債券の条件等につきましては目下大蔵省と打ち合せ中でございまして、詳細はきまっておりませんが、要は共済組合の資金と申しましても実は二つございまして、一つは長期会計つまり年金等を負担し支払う会計でありまして、これが国鉄負担金と組合の掛金とで成り立っておりますが、これは五、六分程度の利回りという目標で運用されておるわけでございます。これともう一つは貯金経理と申しまして、組合員つまり職員の貯金を集めて利子を払っている、これをその利子なりコストを払う程度に少くとも運用しなければならぬ、こういうことなのでございまして、それと両方にらみ合せて、つまり長期会計の予定利回りについては十分に保証し、かつ貯金経理のコストは十分に償う、ただそれ以外の一般に信託とか、あるいは有価証券等いろいろ共済組合としても従来から運用しておりますから、それとも見比べて妥当な利回りなり条件を大蔵省と相談してきめまして、要するに組合の収支計算としてはもちろん十分にペイするような率をきめて参りたい、こういうようなことで今交渉を進めておるわけでございます。
  208. 森本靖

    森本分科員 これは予算案を提出する際に、そういう金利というものははっきりきまって、そうしてこの予算案というものを国会の審議にかけるのが普通じゃないですか。一応三十五億円というものを計上したら、それの利回りというものはこれこれだということをちゃんと話し合いがついて、そうして出すのがほんとうじゃないのですか。それを一応三十五億借りられるものは借りる、そのあとの払う金については、またあとからの相談だというようなことは、ちょっとおかしいのではないでしょうか。
  209. 久保亀夫

    ○久保説明員 予算といたしましては、七分の利率で予算を計上いたしております。もちろんそういう目標でいっておりますので、細目についてはなお打ち合せる、こういうことでございます。
  210. 森本靖

    森本分科員 この国鉄の共済組合が、国鉄の職員に貸し付けておる利率は幾らですか。
  211. 久保亀夫

    ○久保説明員 貸し付けておるとおっしゃいますものは二つあると思いますが、一つは貯金経理でございます。貯金経理では職員が金を貯金しまして、これに対して利子を払っております。この利子は、短期資金に対しては六分、それから定期に対しては八分を支払っております。平均いたしますと、七分を若干下回るのがコストの面でございます。
  212. 森本靖

    森本分科員 これは国家公務員の共済と違って、普通の共済から金を貸し付けるということはやっていないのですか。
  213. 久保亀夫

    ○久保説明員 共済組合から金を貸し付けておりますものはいろいろな例がございます。現金もございますし、それからまた信託貸付というようなものと、いろいろございまして、それによっていろいろ利率が違いますので、一がいに申せませんが、六分ないし七分という見当を持っているわけであります。
  214. 森本靖

    森本分科員 それからもう一つ、この国鉄の共済組合員に対する個人貸付、住宅貸付それから医療貸付などもあろうと思いますが、そういうものの資金はもうこれは潤沢で、申し込んだらいつでも借りられますか。
  215. 久保亀夫

    ○久保説明員 今御指摘の貸付は、もっぱら先ほど申し上げました長期経理というところでやっておるわけであります。つまり組合員の掛金、それから国鉄の持ちます使用者負担金、この二つをもちましてこれを運用しまして年金を払い、あるいは退職給付をする、こういうことでありまして、大体毎年——年によって違いますが、六十億見当の純資産が増加いたしておるわけであります。それからこの資産の運用につきましては、実は共済組合法に基きます省令によってきまっておりまして、あるいは不動産投資には一八%なら一八%、それから支部へ貸し付ける部内貸付についてはたとえば二〇%、それから有価証券に対して一〇%、信託に対して一〇%といったような省令の規定がございまして、その範囲内で運用をいたしておるわけであります。ただいまのお言葉に対しては、もちろん住宅貸付等につきましては相当希望が多うございます。これに対しましては一〇何%か、今正確な数字は忘れましたが、二十億近いものでもって住宅あるいは分譲住宅等の資金を貸しておるのでありまして、相当需要は充足しておる現状でございます。
  216. 森本靖

    森本分科員 住宅貸付にしても、あるいは個人貸付にしても、あるいは年末の貸付等についても、これは全部所属共済組合の希望通り資金がありますか。
  217. 久保亀夫

    ○久保説明員 その点は、私原則論として相当需要を充足しておるというふうに申し上げましても、時期的には必ずしも百人申し出て百人とも充足できないという場合もあるかと思いますが、大体充足しておるように私ども了解しております。と同時に、今申し上げたように、省令で一応ワクがきめられておりまして、それを別な貸付にするとかあるいは従来の例でございますと、信託預金などを削ってここに持っていくというようなことは、一応ワク内でしかできない、こういった建前になっております。
  218. 森本靖

    森本分科員 時間がありませんので、この点についても私はこまかく聞きたいと思いましたが、ただ私が要望しておきたいのは、この共済組合の金というものは、一般の財政投融資なんかの金とは非常に意味が違うわけであって、あなたが御説明されたように、これは共済組合の規定によって組合員から掛金を徴収して、それに対して一定の割合を国鉄当局負担する。そうして相互扶助という形の共済組合をやっておるわけであって、いかに資金が困ったといえども、こういうところから三十五億円というような金を出すというようなことについては、私は相当疑問があろうと思う。もっともこれが一般の投資と同じような形において、金利その他について見劣りがしないということになれば、これはまた別になってくるわけでありますけれども、しかし現実にはそういう方面に使うということよりも、やはり組合員の福利厚生施設の拡充、そういう方面に使うためにあるわけでありますので、その点を私は要望して、この問題については非常に遺憾であるというふうに申し上げるわけであります。これは一つ将来十分に考えておいてもらいたい、こう考えるわけであります。  それから国鉄当局に、これはほんとうに小さいことでありますので、こういう際でなければ聞けないのでありますが、私は前から一度聞いてみたいと思っておりました。国鉄の宇高連絡船でありますが、あの宇高連絡船の甲板部に特別室というのがあります。あれは何か規定があってああいう特別室というのがついているわけですか。普通の船室は全部三等と二等と特別二等、料金をとるところは三つのように私は聞いておりますが、その上に特別ルームというのが甲板にありますが、これはどういうふうになっておりますか。別格の人が乗る形に規則か何かでなっておりますか。
  219. 石井昭正

    石井説明員 私もそういう設備があるということは承知いたしておりますが、どういう理由だということにつきましてはなおよく調査いたしたいと思いますが、おそらく貴賓送迎用のために設けたのではないかと思います。
  220. 森本靖

    森本分科員 これは特別な料金をとっておりますか。
  221. 石井昭正

    石井説明員 特別の料金の制度はないのじゃないかと思います。  それからちょっとお聞きしたいと思いますが、この秘密通信装置の整備というのはどういう意味ですか。
  222. 安西正道

    ○安西政府委員 これは秘密通信装置というものを、若干の陸上の基地と船艇に備えつけておりまして、発信いたしますと受信する設備に届くまでは電波がほかに漏洩しないというような特殊の装置になっております。
  223. 森本靖

    森本分科員 それは何かマイクロウエーブとか超短波とか極超短波とかいう、どの部類に属するのですか。
  224. 安西正道

    ○安西政府委員 一般の短波を利用します普通の通信でございます。
  225. 森本靖

    森本分科員 その問題についても私は専門的に聞いてみたいと思いますが、時間がありませんのでこれを省略いたしたいと思いますが、特に海上保安都の通信設備その他の問題について、ここで強調しておきたいと思いますのは、海上保安関係の通信設備というものが拡充強化をせられておらなければならぬにもかかわりませず、これが非常に貧弱だということについては、将来とも十分にあなたの方でも考え、さらに運輸大臣としても考えることでありますので、そういう要望をしておきまして、ほかに相当各局に対する質問がありますが、主査の顔に免じまして、一応これで質問を終ります。
  226. 山本猛夫

    山本主査 上林山榮吉君。
  227. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 まず運輸大臣にお伺いいたしますが、公共企業体審議会から昨年答申があったことは御承知と思います。これは三公社に対する機構なり運営なりについての答申であります。そのうちで国鉄に関する部分について、運輸大臣は、あの答申は大体妥当である、こういうふうにお考えになっておるのか、あれは、妥当でない、こういうふうにお考えになっておるのか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  228. 中村三之丞

    中村国務大臣 私はあの答申書を読みましたが、もっともな点もあるが賛成せぬ点もあるのでございます。たとえば国鉄予算、決算を国会からはずせとか、運賃の決定をも国会からはずせとか、これは全く最高機関たる国会を侮辱しているもので、私どもはあんなものは全然賛成できませんが、しかし中には国鉄というものが公共企業体として大いに能率を増進せよとか、あるいは支社制度を拡充せよということ、これはもう現に国鉄におきましても支社制度を拡充いたしておりますから、そういう点は私はよろしいと思います。そうしてまた、国鉄を民営にせよとも言っておりませんから、私はとるべきものはとってよろしいが、とるべからざるものが多いと思いまして、私も今研究をいたしておるので、決してあの答申案に盲従する気は私はありません。私はこれははっきり申し上げておきます。
  229. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 盲従しているとか盲従していないとかいうことを聞いているのじゃないのです。せっかく公共企業体審議会が三公社の機構整備なり運営について答申を総理大臣あてにしておるのでありますから、これに対する運輸大臣の見解を伺いたい。私もいまだいずれとも研究をいたしておりませんが、そういう見地から、これは妥当なものである、あるいは妥当でないとするならば、国鉄としてはこれを参考にしながらよりよい案を持たなければならない、こういうふうに考えておるのでありますけれども、そういう案を近く考え研究体制が整っておるのかどうか、これが一点。それから今大臣は、何も民営にするというのが入っていないからその点はまあそれでいいんだ、こういうお話でありますが、幹線に関係のないいわゆる支線、幹線輸送関係のないような支線、こういうようなものは民営に移した方が適当である、こういう答申が行われておるわけです。これについてどういうふうにお考えになっておるか。それから支社制度はなるほど国鉄の方ではすでにお考えになっておりまするが、この支社制度をもう少し拡充して、大きくブロック制にしていく、そういう意味において能率を上げる、こういうような行き方についてはどういう考えを持っているか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  230. 中村三之丞

    中村国務大臣 国鉄においても鉄道監督局においても、あの審議会の答申をほごのようにして捨てるという考えは持っておりません。それはとるべきものはとって今研究はいたしておると思いますが、支社制度は今ブロック別になっておるわけでございます。ただそれを分割的な経営にしようなんということも一部の意見はありますが、これはやはり現在の支社制度というものをあるいは独立採算制にするかというようなことについても今後研究を要すると思いますけれども、別にあれは分割経営の意味をなしておるものじゃないと思います。それから支線についてはこれを民営にせよというのですが、これは一つの議論ですけれども、やはり支線というものは国鉄の幹線と相連絡しなければならないのでありまして、支線だけぽっと離したらこれは孤立してしまって何にもならないのじゃないかと私は考えておるのであります。やはり幹線との、幹との関係というものを考えなければなりませんから、にわかにそれを民間に経営させるといったって、私は能率が上らぬと思う。むしろ民間がやればこれは損してしまって、しまいに捨てなければならぬではないかと私は思うのです。私は要するに現在の公共企業体は維持していきたい。しかし公共企業体のもとにおいて能率が上らぬとかあるいはその他の点に欠点があればこれを直していくということを考えておりますけれども、現在の公共企業体というものを純然たる民営にしてしまう、あるいは昔の官営にしてしまうということは、時代逆行である。しかもまだやってから八年しかたたないものを、そう急いで直すということは、あまりにも日本人的な性急じゃないか、こういうふうに率直に私は思うておるのでございます。しかしあの答申につきましては、まじめに真剣に、今後国鉄におきましても鉄道監督局におきましても考えておる、また考えてもらいたい、こういうふうに思っておるわけですが、ただ一般論といたしまして右のように考えておる次第でございます。
  231. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 答申案は、政府公共企業体審議会に、こういう問題について学識経験その他の方面から勘案して答申をしてもらいたいといって、政府審議会に依頼をしたわけなんですね。それに対する一つの答申なんです。だからこれはなるほど緻密に、そして真剣に研究して、とるものがあればとる、とるべからざるものがあればとらない、こういうようなことは一応一般論としてはうなずけますけれども、ただいまの大臣答弁を伺っていると、答申は、もうあんなものは大したことはないのだ、参考にするような点は大してないのだ、今のままで大体よろしい、まあ多少何かやらなければならぬ点があるかもしれないというようなふうに聞えることは、答申に対するいわゆる権威あるいは答申を政府がどういうふうに受け取るかという、その態度については、私は今までの御答弁は少し誤解をあるいはせられるのじゃないか、こういうように思うのです。これはただ私が御答弁を聞いての感想でありますが、いずれにしてもああいう答申が出た以上は、この答申はこの点は具体的にとるべきである、この点はいまだ未熟であるし、かえって害悪である、こういうような態度を、これは国鉄に限らず、あなたは国務大臣でもあられるわけです。ですから専売公社に対する民営論、これも重大です。あるいは電電公社に対する答申の内容、こう七たようなものは関係閣僚が、相当政府の今後の態度というものを協議されて、できるだけこれを国民に示す態度があれば、議論が少くなるのじゃないか。たとえば国鉄にしても、関係者もそれ以外の人々も相当この答申については関心を持っている者もおるし、ことに専売公社の民営論については、これはタバコ耕作者などの関係その他からも、相当の関心を持っておられるのでありますから、私が要望したいことは、関係大臣なりあるいは内閣全体の答申に対する態度、こういうものを御研究の上で一つ国民に知らせるべきものではないか、こういうふうに考えますが、この点はいかがでございますか。
  232. 中村三之丞

    中村国務大臣 私はあの答申は、国鉄については現在の公共企業体を別に否認もしておらぬようでございます。しかし改善をせよといっておることは事実です。私ももっと真剣に掘り下げて研究をしたいと思いますけれども、そういうふうにいっておるのです。しかし私ははっきり申し上げておきます。現在の国鉄公共企業体を、民間の実業家に移せということを私は考えておりません。またこれを元の鉄道省のような官営形体に還元するということも考えておりません。これは私ははっきり申し上げておきます。
  233. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 時間があればもう少し具体的なことについてお尋ねしたいのでありますけれども、後日に譲りまして、答申案に関する質疑はこれで終ります。     〔主査退席、畠山主査代理着席〕  次にお伺いいたしたいことは、行政の盲点と言いましょうか、あるいはセクショナリズムの副産物とでも申しましょうか、鉄道と、いわゆる運輸省と建設省との協議によってしなければならない仕事、いわゆる交通事故を少くするために、しかも交通事故が、比較的大きい事故が起ることを防ぐために、例の立体交差の整備あるいは年度計画によるこれが解消、こうたしような問題は、最近運輸省においても建設省においても話し合って、幾らか緒につきつつあるようでありますけれども、まだそうしたような残骸が残っておりまして、なかなかそれがうまく協議が整わない、そういう関係からこの方面の事業が思ったように進んでいない。これは小さな問題のようでございますけれども、交通事故は去年一年間を調べてみても、十四万六千八百三十三件起っている。あるいは死傷者が七千五百七十五名、重軽傷者が十二万四千五百三十名あるいは物的な損害が三十億、この中で占めるいわゆる踏み切りの立体交差でないために起る交通事故というようなものも、これは相当なものなんです。何かこれが一つの事件が起ったとしてごらんなさい、あるいは大災害が起ったとして、これだけの死傷者が出たとするならば、これはみんなが、国民が関心を持つのでありますけれども、単なる交通事故としてこういう問題を考えておるために、あまり関心がない。だからこの問題も私はいずれ適当な機会にお尋ねしたい。また労働省、運輸省、建設省あるいは公安委員長などとも協議を試みたい。ことにこれもさっき申し上げたように、関係閣僚なりあるいは首脳部が寄って、交通事故の防止対策というものを大きく取り上げていかなければならぬ、こういうように考えておりますが、それはさておいて、今申し上げます通り、一番事故の起りやすいこの平面交差というものは小さな問題ではなくて相当大きな問題でありますが、全国で何個所を何年間で解消する協議が建設省と運輸省で整っておるかどうか、これを伺いたいのであります。
  234. 中村三之丞

    中村国務大臣 この立体交差踏み切りなどの問題について、どうも建設省と意見が合わなかったようでございますが、これは最近訂正されておるようです。それからどういう数で、どういうふうにしなければならぬかということは、私数字を持っておりませんので、これは一つ鉄道監督局長から御答弁申し上げます。
  235. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。踏み切り事故防止ということ、これは御指摘の通りであります。交通事故の中でも、年々鉄道事故は、これは幸い減って参っておりますが、踏み切り事故だけはふえて参ります。これには今御指摘の立体交差の問題と、平面交差においてもなお改良の余地がありまするので、これに改良を加えるということは、きわめて私どもは重要な問題だと思いまして、ここずっと深く研究もしておりますし、建設省とも深く話し合いをしております。立体交差につきましては、御承知のように、国鉄道路管理者としての立場における建設省との間には協定が成立をいたしまして、その費用分担については協定ができ上っております。それに基いて年年逐次やっておりまするけれども、全体の立体交差をなくすということには、御指摘の通り、まだほど遠いものがございます。私どもはこの立体交差と平面交差とを合せまして、今御指摘のように在来の二元的立場を越えまして、新たに総合的立場で踏み切りを一つの公共施設だとして、これに対する設置基準、構造基準、保安基準、管理の分担、費用の分担というものについて明確にいたしたい。これは多少立法を要すると存じまするので、近い機会においてこの明確な規定を盛り込んだ立法措置について、目下できますように準備中でございまして、建設省との話し合いも強力に推進しております。そのうち立体交差の解消計画と申しますか、年次計画は、実は国鉄国鉄なりに、また道路管理者の方は道路管理者なりに持っておりまするけれども、突き合わしたほんとうの一つの年次計画というものは、残念ながらまだ不備でございます。従いまして私どもはこの立法措置と同時に、こういった今の御指摘のような将来計画というものも立てて、その管理分担、費用分担等も立法措置で明確にしつつ、かつ御指摘のような点について、実際政府として一つの計画で、これまた予算の裏づけがなくてはいけませんので、そういうものを作り上げたいと努力しておるのが偽わらざる実情でございますので、実情を御説明いたした次第でございます。     〔畠山主査代理退席、主査着席〕
  236. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 運輸省が持っておられる立体交差の改良しなければならぬという数、あるいは平面踏み切りを改修しなければならぬという数、同時に建設省があなた方に連絡しておる、これに関する数、これは一体どれくらいになっておるか。それから年度計画は立っていないので、とりあえず三十二年度と三十三年度だけをやることにしたんだ、こういうふうに受け取っていいのかどうか。さらに申し上げたいことは、ただいま遺憾の意を表せられたのでございますが、年度計画が建設省の数と運輸の数が合わないために、基礎的な問題は解決されたけれども、これが十年計画なりその他で解消するような相談がまだできていない。これは私は同じ政府部内でまことに遺憾なことである、こういうふうに考えるのでありますが、三十四年度以降については、そういうような年次計画を立てられる御方針であるか、建設省ともそういう方針をきめておられるのか、これは私が決して運輸省だけをお責めしているのじゃなくて、この問題については建設大臣にも特に要望しておきたい、こういうように考えておるのでありますが、その辺のことを勘案して御答弁を願いたいと思います。
  237. 權田良彦

    ○權田政府委員 実は今前段の御指摘の数についてはここに数字を持っておりませんので、ちょっと全体的な数字はお答えいたしかねるのでございますが、後段の問題については、私どもは少くとも先ほど御答弁申し上げましたような内容の年次計画というものを、三十四年度以降からはぜひ実現したいという意気込みで進捗しておる次第でございます。
  238. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 交通事故を防止する上において、ただいまの御答弁をしっかり年次計画によって実行されるように、私は強く要望をいたして、この問題は打ち切りたいと思いますが、この前の予算の総括質問の場合に、時間がなかったために荒筋をお尋ねいたしておいたわけでございますが、これに対しましては、率直に運輸大臣も、あるいは国鉄総裁や副総裁等におかれても、きわめて熱心に御答弁がありましたので、私はこれを期待しておるわけでありますけれども、重要な問題であると思いますので、もう少しく敷衍してお尋ねを、この機会にしておきたいと思うのであります。  それは国鉄の資産再評価の問題でありますが、これは過大評価と過小評価を通算しますと、二百十億になるわけでありますが、しかもこの過小評価、過大評価の問題はとりあえず一応そのままにしておきまして、私がここでお尋ねしたいことは、東鉄などの管内における資産評価はもちろんのことでありますが、評価以外に、資産台帳から五十億くらい落ちておる、こういうことでありますが、そういうような事実があるのかどうか。これは監督する側の不注意もあっただろうし、第一線の従業員の熟練しない、あるいは放漫な事務の経理ということにもなるわけでありますけれども、いずれにしても五十億くらいの資産が落ちておる、こういうことを聞いておるのでありまするが、これは事実かどうか。
  239. 中村三之丞

    中村国務大臣 先日あなたが御質問なすったこと、私もこれはもう率直に認めざるを得ませんので、総裁も申し上げた次第です。ところがあなたの二百十億という数字はどちらからおとりになった数字か、これは多分読売新聞の記事じゃないかと私は想像するのでございますが、その読売新聞の記事は、行政管理庁あたりから出た数字である。これはうそだと私は申さないのです。ただその抽出方が私は違うのじゃないかと思うのでございます。それから私はこの問題を重要視しているのです。なぜならば、それはなるほど、二兆円の財産の中から漏れたとか調査が行き届かなかったと私は言わせぬのです。実際いえば、こういうことをやるのは、国鉄にやってもらわなければ、私もそう決算承認のめくら判も押せないので、この点は総裁とも相談をいたしておりまして、十分一つほんとうの数字を出してくれ。それからどの点に過大評価があるか、ちょっと一例を見ますと、いわゆるトンネルに相当過大評価もあるのです。ほかの部門には過小評価もあったり、また漏れておるような点もあるのです。会計学上からいえば、これはその年の予算参照書に載っているのでございますから、あの予算参照書を三十二年度の決算において正確に直していくということをいたします。またそうせなければならぬのでありまするが、この点につきましては、今担当の経理局長に、相当私はこの間も、もっとしっかりやってもらわねば困るじゃないか、こういう問題ばかり起してもらってはいかぬということを言っておいたのですが、今ここに経理局長がおりますから、説明を率直にさせて、私はこれを隠し立てもせず、またうそをついたりいたしませんから、どうぞ一つ経理局長の言うことをお聞きを願いたいと思うのであります。
  240. 久保亀夫

    ○久保説明員 先般来御指摘の点については、私ども中央といたしましても、また現場といたしましても、粗漏の結果ということで、まことに申訳ないのであります。ただいま先生から御指摘のありました、東鉄の五十億ばかりの評価漏れはなかったか——先ほど大臣も申されたように、今のところ過大過小、総額どれくらいになるかということは、調査の過程でございまして、最終的にはまだつかまえられておりません。ただ今の東鉄の問題につきましては、五十億あまりの評価漏れということは事実でございます。それのよって来たりましたところは、私も直接にいろいろ調べたのでございますが、大体線路設備、つまり土工、盛土、切取、路盤というようなことでございまして、今までいろいろな数字が出ておりますけれども、全体の間違いの八、九割は、そういった線路設備、土工、路盤、あるいは大臣の申されたトンネル、こういうもので、建物とかなんとかいうものは間違っていないのであります。財産の性格とか非常にむずかしい点もあったのでございますが、これはもちろん弁解にはならぬのでございまして、東鉄の場合にはそういった財産の評価について、これは台帳に載っておったわけではございませんで、それをいろいろな係数をかけることになっております。何か単価を幾らにして計算するとか、何倍にするとかいうような係数をかけることになっておりますが、ありていに申しますと、二十八年にちょうど財産の整理の科目を大幅にかえたことがございまして、それの整理もまだ十分にできていない面も実はあって、両方から漏れたというようなことも理由でございましたし、その他いろいろな理由で、要は疎漏ということは免れませんが、五十億余り東鉄で土工設備の評価漏れがあったということは事実でございます。まことに申しわけございません。
  241. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 運輸大臣が非常にこういう方面に御熱心に監督をしていかれようとする、その御決意とお考えに対しては、心から私は敬意を表しておる次第でございます。ただ私の言った数字は正確でないかもしれぬ。これはあなたがおっしゃったように、最終的にお調べになればわかることでございますから、数字の大小は私は論ぜぬでもわかっておると思うのですが、数字は聞くところによると、もっとふえるのじゃないかという情報も私は聞いておるのです。だから私が言った数字が絶対にその通りであるとは私申し上げません。なおまた行管等の監査の報告も、私は見ておるのでありまして、決して一部の新聞に出たことを事大きく吹聴しようというような考えは毛頭ございません。むしろ私は与党の立場ですから、そういう考えは全然ないのです。ただいずれにしても、国鉄はどの点から考えてみても八方破れの感がある。事件を一々あげませんけれども、先ほどからの質疑の中にも一、二あったわけでありますが、そういう意味からも、一つ健全な信用のある国鉄になってもらわなければならぬという意図から、私は質問しておるのです。運輸大臣はめくら判を自分は押していない、こうおっしゃるから、事実は三十年度の決算書にあなたが判こを押したものでもなかろうし、三十一年度の決算書に判こを押されたものでもなかろうと思う。しかし三十二年度の決算には、御在任が長ければ、あるいは判こを押さなければならぬことになるかもしれぬわけです。そういう意味から国会に対して国鉄が、評価を間違ったばかりでなく、しかも資産台帳から相当の額が落ちておるものを、国会の承認を得ておるわけなんです。考えようによってはこれは重大な問題ですよ。しかも一割三分の値上げの基礎は、先ほどからもいろいろ議論があったようですが、この決算を基礎にして、一割三分の運賃値上げもはじき出されてきたことになるので、これは単なる経理上の失敗では済まされない、こういうように思うので、今後こういうことがないようにすると同時に、現在起った問題を合理的に合法的に処置し、場合によっては一つ一罰百戒で、責任者を出すくらいの決意を持っていかなければならぬのじゃないか、私はこういうように考えるのです。時間がありませんから、ただ資産台帳から落ちておったその事実を、経理局長からお話がありましたので、私はこれ以上申し上げませんけれども、立場が立場であられますから、御苦心の点もあろうかと思いますけれども、この際国鉄はあらゆる方面に傷を受けておるから、運輸大臣御在任中に一つ手術できるところは思い切って手術をしてもらう、こういう意味で私はこの質問を敷衍して申し上げたわけであります。  最後に申し上げたいのでありますが、これは要望です。運輸大臣も非常に努力をされたこともわかっております。また関係事務当局も非常に努力したことを私はよく承知しております。それは言うまでもなく、運輸行政は道路と幹線輸送と港湾、この三位一体の合理的な解決をしなければ、これはそれこそ輸送だけを考えてみても完全な輸送にならないわけです。ところが残念ながら道路は建設省になっておる。幹線輸送と港湾だけが運輸省である。こういう形態である。そこで道路もこれは悪いのでありますから大いにこれを改善しなければならぬというので、特別会計を設けたが、これは大蔵大臣立ち会いの上で私はこの論議をしたかったのでありますが、大蔵大臣の都合でここだけで申し上げるわけでありますけれども、これはどうしても特別会計を——三十三年度は残念ながらいろいろな事情でせっかくの御奮闘にかかわらずできなかったけれども、三十四年度には湾港特別会計をどうしても確立して、これは輸送の点からいっても、貿易の点からいっても、この問題だけはもう運輸省の最大の一つの仕事であるというふうにお考えになって今後の御奮闘を願いたい。これに対する御所感があれば承わりますけれども、なければ私は強く要望申し上げるだけにしておきたいと思います。
  242. 中村三之丞

    中村国務大臣 御指摘の問題で黙っておることは私も無責任のそしりを免れませんから、一言申し上げます。  国鉄の評価漏れの問題、これは御承知のように会社再評価の法に関連して、合理的な減価償却をやって経営の合理化をはかる、こういう建前を国鉄がとって、学者などを委任して、どういう点に原則として再評価をやるかということをやられたわけです。この点は私は努力を認めるのですが、肝心の膨大な資産の計算になるとこういうようなことになったのです。これは総裁以下今一生懸命になってこれについて善後策を講ぜられておりますから、私はそれを信じておる次第であります。  港湾の特別会計につきましては、私は実はこれは一番重大だと思って努力をいたしたのでございますが、いろいろ私の不徳のいたすところでできなかったのでございますが、一体港湾の近代化をやるのには、現在の一般会計ではいけないのです。幸い一般会計の港湾経費は百五億で、金額は決して御非難下さらず、ほめてもいただけませんけれども、まあ大体においてできておりますが、これをもう一歩前進して、継続費的な意味において港湾の近代化を三年か四年にはかっていくということには、まだ遺憾の点がございますから、将来特別会計というものにぜひ上林山君の協力もわずらわし、皆さんの御協力も得てやりたいと思います。ただ特別会計になりますと、特別会計の数が多いとか言われますけれども、現に多目的ダムの特別会計あり、道路があるのですから、道路、港湾、これは並んでやらなければ意味をなさないのですから、今後私も努力いたしたいと思いますので、どうぞ一つよろしく御後援をお願いいたします。
  243. 山本猛夫

    山本主査 井手以誠君。
  244. 井手以誠

    ○井手分科員 時間がありませんので、私は七、八分簡単な問題をお尋ねいたしたいと思います。外航船舶建造について、利子補給がすでに三十二年度から停止になっておりますが、まだ法律は生きておると思いますが、いかがでございますか。
  245. 中村三之丞

    中村国務大臣 まず私から申し上げまして、こまかいことは海運局長から申し上げますが、今度の予算で停止させたのは私なんです。法律はまだ生きていると思います。
  246. 井手以誠

    ○井手分科員 もういろいろ申し上げませんが、すでに三十二年度から三十三年度にかけて停止でございますので、いわゆる天下の耳目を聳動させた造船疑獄の発端にもなっておる、一部で悪法といわれるこの外航船舶利子補給法、これをすみやかに廃止なさる御用意があるかどうか。もしこのままにして置いておきますと、ちょうど休火山みたいなもので、海運界がまた悪くなるとまたやるのじゃないか、造船界が悪くなるとまたやるのじゃないかという疑惑を招きますので、停止になっていれば——あなたが自分でさせたのだ、こう大みえも切られましたので、この機会にはっきり廃止法律案を出すという御言明を願いたい。
  247. 中村三之丞

    中村国務大臣 予算において事実上利子補給をしなければ、それで私はいいと思います。あの法律は死火山だと思うのですが、決してそれを私は今復活するという考えは持っておりません。
  248. 井手以誠

    ○井手分科員 死火山だとおっしゃる、復活する意思がないとおっしゃるならば、むしろこういうものははっきり廃止した方が私はいいと思います。私は強くその点を要望したいのですが、死火山というなら、一つこの機会におやりになったらどうですか。重ねてお尋ねいたします。
  249. 中村三之丞

    中村国務大臣 今度の国会には出しておりません。しかし事実上私は利子補給はやっておらぬということだけは一つ御了承願っておきたい。
  250. 井手以誠

    ○井手分科員 そういう趣旨であるならば、廃止法律案をお出しになるように重ねて要望いたしておきます。  それからもう一つ、よく特別会計が設けられますと、その後のことについてあまり運営については明らかにされていないようでありますが、もちろん予算は出ておりますけれども、この機会に承わりたいのは自動車損害賠償の特別会計、自動車の事故による賠償問題、この法律ができてから二年近くになりますので、今日までの実績を承わりたいと思います。最近非常に交通事故がふえております。従ってどういうふうに今日まで運営されたか。その運営について、と申しますのは、死者、重傷者、軽傷者に一人当りどのくらいずつ今日まで払われたのか、その総額と収入の点だけでけっこうでございますから、お願いしたいと思います。
  251. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 御承知の通り本法は三十年から実施になっておるわけでございます。最近の資料といたしましては、三十二年の十月まで実績が集まっておりますので、それにつきまして御説明申し上げます。件数といたしまして、死者が六千八百四十六人、それに対する補償金額が十六億四千九百万円、一人当りの単価二十四万一千円になっております。それから重傷者は二万九千二百四十五人、損害の保険金が十七億三千六百万円、一人当りの平均が五万九千円、軽傷者は三万七千九百五十三人、三億九千九百万円、一人当り一万五百円、総計いたしまして、件数として七万四千四十四件、金額が三十七億八千四百万円、その総平均が五万一千円でございまして、補償がずっとずれておりますのに、収入と合わない点もありますが、十月までという点を含めまして、概算といたしまして大体収入五十億という数字になっております。
  252. 井手以誠

    ○井手分科員 もちろん事故ということについては、それぞれ原因が一方ばかりではないと思いますが、主として私は自動車のスピード違反による事故がほとんどだと思っておりますが、どういうふうでございますか。
  253. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 事故の原因別につきましては、御指摘のようにスピード違反というものもありますし、バスあるいはほかの営業用車の事故を調べてみますと、道路状況が悪かったり、あるいは運転手の疲労あるいは施設の不備というようないろいろの原因が重なっております。
  254. 井手以誠

    ○井手分科員 お聞きしますとほとんど自動車側の責任になっているようでありますが、お聞きしました金額によりますと、死者が一人当り二十四万円、重傷五万九千円、軽傷一万五百円、たっとい人命に対してははなはだ少いのであります。しかしこれは特別会計が発足して間もないからではありましょうけれども、一応二年以上になりましたし、基礎もある程度固まったと私は思っております。収入五十億に対して、若干ズレはあるという御答弁でありましたが、三十七億のお支払い、お聞き及びでございましょうが、せっかくできたこの自動車損害に対する賠償のことですが、もう少しこれを引き上げられるお考えはないのか。ある程度の見通しが立ちましたから、たっとい人命に対して、死者に対する二十四万円などというものは低過ぎる、重傷者の五万九千円というものも低過ぎるのであります。保険料の問題もありましょうが、これをもう少し引き上げられるお考えはございませんか。
  255. 中村三之丞

    中村国務大臣 将来考えたいと思いますが、今度の国会には現状のままにいたしているのです。しかしそれよりも支出は非常に手数が複雑なようなんです。わずかの金でも十万円ぐらいの金でもなかなかできないというので、これを早くお渡ししてあげるということが一番肝心じゃないかといったようなことをこの間も言っておりますので、せいぜい迅速に、負傷をなさった人、なくなった人に渡るようにこれを今注意しているのです。金額につきましては、今の物価の状態、生活状態、またその人の打撃あるいは家族のことなんかを考えれば、仰せの通りのことは将来やらなければならぬと思っておりますが、正直に申しまして、今度はこのままにしてあるのでございます。
  256. 井手以誠

    ○井手分科員 もう一点だけです。再保険料はうまく入っておりますか。
  257. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 今収入五十億に対して支出三十七億八千万円、非常にもうかっているというような印象を与えるといけませんので申し上げますが、一応決算書にもあげておりますように、われわれの方の三十二年度の収支予想では、一億四千九百万円の赤字というふうに考えているわけでございます。  それで再保険料の方は入っているかということでございますが、実はあまり成績はよくありません。強制保険でございますので、百パーセント入らなければならぬわけでございますが、台数からいいまして八十数パーセント程度の保険の加入になっております。いろいろ原因はあると思うのでございますが、主として成績の悪いのは小型三輪、自家用の入り方が悪いということと、もう一つ今までの制度といたしまして、五日、一カ月、三カ月、六カ月、一年、こういう非常にこまかく割りました保険の制度がございまして、このために保険料の入り方が悪いということでございまして、二月一日から、臨時運行許可票の五日というものは特殊の場合に認めまして、あとは六カ月以上の保険に切りかえましたので、この点からもある程度の向上は望めるんじゃないか。法の建前といたしましては百パーセント入らなければならぬので、われわれといたしましてはぜひ百パーセントに完全になるように努力いたしたいと思います。
  258. 井手以誠

    ○井手分科員 大臣、せっかくできたいい制度ですから、今お聞きの通り保険料の収入も上等ではないようでありますから、もちろん原因を除くことが一番大事ではありますけれども、この制度の充実に格段の御努力をお願いいたしまして、私は、時間がありませんので質問を打ち切ります。
  259. 山本猛夫

  260. 畠山鶴吉

    畠山分科員 私は時間がありませんので申し上げることを申し上げる機会がありませんが、先ほど来他の委員からも観光問題についていろいろ御質問があったようでありますが、私はこの観光問題について国内観光と国際観光と考えたときに、もう言葉は言い尽されております。そこで今後どういうふうに実行に移すかという点につきましては、いろいろ補助金とかあるいはいろいろの問題が出されておりますが、先般欧米各国を視察して参りまして、日本の観光というものは、こんなことでは、とうてい国際的観光には、お月様に石をぶつけるような話で及ばぬことだと思いました。そこで運輸大臣はいろいろお考えになっているようでありますけれども、御承知のように、所管がいろいろに分れておりまして、運輸省だけで思うようにいきませんし、運輸省には観光局もありまして、これがもう少し予算措置やあらゆるその行政の権威というものが与えられておりましたならばうまくいくのでありましょうが、私が今まで長い間考えておりますと非常に薄弱のように思われます。そこでこれを一本化させなければ国際観光というものはとうてい成立しないように考えております。私はこれをまとめて申し上げますと、もはや国内観光というものはこのくらいでいいんじゃないか、いよいよ国際観光をする場合において、現在のような措置ではとうていこれは実現できない、まずいろいろ考えてみまして、最近におきまして新聞の社説等におきましても、いい言葉がときどき列記されましてごもっともな点がありますが、これらの点を一つも実行に移されておりませんので、これも実行しなければなりませんと同時に、先ほど大臣はパリにでも出張所を設けたらいいがというけっこうなお話でありますが、欧米の各国を歩きましたときに、一カ所や二カ所の出張所を作ったくらいではとうてい及ばないことでもあり、私は各大公使館の人に聞きましたが、もしこの観光事業あたりをやるのであったならば、大公使館は協力していいのだ、それがつまり大使館の一つの仕事にもなるし、また外国の人との交際上においても非常にいいことであるから、これは頼まれればするという意見が全部であります。しかるに一つの出張所を設ける場合におきましても莫大な予算が要ると同時に、いざ予算の場合になると、どうも観光予算なんかということで大蔵省あたりにけ飛ばされて、何年も何年も同じことを繰り返しております。皆様も世界の観光行政というものの実際のやり方を御承知の方が多いと思いますが、資源の少い日本としては、今日観光事業というものを観光産業として、本腰を入れて取り上げてもらう必要がある。魚をつるにもえさ代ぐらい出さなくて大きなタイがつれないと同じことでありまして、この際運輸大臣は、これらの点を一つ各所にまたがって推進をしてもらいたい。どこかで責任を持ってこの問題を取り上げていただかなければ、いよいよ国際加盟とかあるいは国際親善とかいうことを言うておりましても、から念仏に終るのではないか。実際にやり方によっては幾らでもお客様は来るし、本年度は十五万人の外客を予想しておるようでありますが、他の国から比較いたしますと、これらの数字は問題になりませんし、またこれによる収入は国内全体の経済問題がここに現われてくる。  最後に受け入れ態勢について、ホテル、旅館の問題ですが、これらにしても先ほど大臣からお話しのあったように、便所もバスも全部つけて、暖房、冷房設備をすればよいというのですが、これらを施設して改善する場合には、少くもその施設費に莫大な金がかかるのです。これらを持っていって今回の金融措置の方面から聞くと、観光事業はあと回しにしてもらう、お前の方はだめだというようなことで、てんで金融機関が取り上げてくれません。この点についても外国では一番いい場所にりっぱなホテルができております。それでこの金融措置問題についてはごく安い、長期の低利資金でこれを成長さしております。やかましい言葉ばかり言うのもけっこうですけれども、裏づけができなければいけないと思うのです。
  261. 山本猛夫

    山本主査 畠山君、要点だけ一つ簡単に願います。
  262. 畠山鶴吉

    畠山分科員 時間がないのでかように申し上げたのですが、これらの見通しについて、大臣一つ極力骨を折っていただいて何らか一本化さしてやっていただくことを要望いたしまして、大臣の御所見を拝聴したいと思います。
  263. 中村三之丞

    中村国務大臣 国際観光に移ってきた、全く私もその通りと考えます。今のところ、今度予算措置といたしまして国際観光協会に対しての援助などをやっておりますが、これは仰せのように、世界的に規模を広げていかなければならぬと私は考えております。観光事業に対する金融の無理解ということは私も聞いております。何か観光事業というものはぜいたくな事業のように銀行が思うておる。しかし現在のところ開銀を通じてホテルの建設などには援助をしておる。あるいは将来とも不動産取得税などについても私は恩典を与えてよいと思うのであります。こういうふうに税制の上から見ても金融の上から見ても一段と努力をいたしておる次第でございますが、ただホテル事業というものは、私は経営したことがございません、畠山さん一番よく御承知ですが、何といっても安い金利で長期に入れる金を私は獲得してあげなければいけないのだと思う。これは私今いい案もないので、今のところ開銀にたよっておるのですが、これを一つ今後できればやってあげなければ、高い金利で短期間借りておっては何にもならないのでございまして、ここらも一段の工夫を要すると考えております。できれば、保険会社などはこういう方面に余裕金を出さないかと思うておるのですが、これは将来進むにつれて私も工夫をして参りたいと思っておるのであります。
  264. 畠山鶴吉

    畠山分科員 今大臣のは何か工夫をしたいというお考えですが、ごもっともです。そういう工夫をしたいというようなまま子扱いをされておるから——政府部内におきましてこれを一本化さして、りっぱに成長さして、外国人が来てもどうも宿泊料が高いといわれないような措置は緊急の問題だろうと思うので、今までのような日本政府考え方では、この問題は、国際観光は進まないと思うのです。  そこで私の最後にお願いしたいことは、まずまま子扱いに金融面をしないこと、そこで開発銀行にしても何にしても、必要に応じてよかったら貸してやろうということをまずきめていただきたい。そうしてこういうふうに改善するのだ、こういうふうにしたならばこういうふうにしてやるのだという一つ基本の裏づけを作っていただきたい。まずそれができなかったら、これはいつまでいっても解決しない問題じゃないか。特に大蔵省はこのことに反対しているようでありますから、この点について、特に大臣の御配慮を私はお願いしたいのですが、お見通しはどうでしょうか。
  265. 中村三之丞

    中村国務大臣 一本化といううことは、観光行政を一本化せよということでありますか。
  266. 畠山鶴吉

    畠山分科員 つまり、これを一本にまとめられるということです。
  267. 中村三之丞

    中村国務大臣 これはよく言われることで、厚生省に国立公園のことがあったりしておりましょう。そういうことの一本化ということも、私ども御説によっていいと思いまするが、率直に申し上げますと、私が今すぐこれをやる機会も力も持っておりませんが、現在の観光局を中心として努力していく以外に道はないと思うのであります。できるだけ私は、今のホテルの建設などについても開銀にお願いをいたしておるような次第ですが、何といっても金の要ることは、私も承知はいたしております。しからば、どこから観光事業に何百億とってくるかということをどうするかということは、今のところ、私も正直に申しますといい案もないのです。従来の方針を今実現をしておるという程度にとどまっておることを、はなはだ遺憾とする次第でございます。
  268. 畠山鶴吉

    畠山分科員 今大臣も、答弁が、はっきりしたことはできない、ごもっともだと思いますが、しかし、これを政府でもう少し何とか真剣に取り上げていただくように御配慮を願いたい。  最後に、私は国鉄に一言お伺いしたいのですが、先ほども隧道の問題で出ておりましたが、長い間おっぽりぱなしになっておりまして、再三再四にわたって、もったいないからということを国鉄に要望いたしました、弾丸列車の丹那トンネルでございますが、その後伺えば、方針が大体きまったようでございますが、御当局の御意見を拝聴したいと思うのです。
  269. 石井昭正

    石井説明員 戦前のいわゆる弾丸列車と申しますか、東京・下関間を通じましての新幹線用地といたしまして、丹那隧道を買いまして——新丹那でございますか、新しい丹那隧道の掘さくに若干着手いたしまして、そのままになっております。その掘りました部分を保存しているだけで、遊んでおったわけであります。先刻来お話のありました東海道新幹線の構想、それからまたその実施等につきましては、ただいま運輸省調査会をお設けになって、鋭意御検討になっております。その結果の結論も近く出て、また近い将来には資金その他の手当もついて、これが実現に移ると思いますが、その暁におきましては、現在すでに着手いたしております丹那というものの利用ということが当然考えられ、またその点を十分考慮に入れた路線決定がなされるものと考えております。
  270. 畠山鶴吉

    畠山分科員 トンネルの問題は、あのまま放置しておいては国策上非常にもったいないことであると思いますので、どうぞお願いいたします。  そこで、これに関連いたしまして、熱海駅の問題が大きな話題となっておりますが、新丹那トンネルを利用される場合においては、現在の熱海駅の改造という問題については、考えを新たにしていただきたいと思う点がたくさんあります。いろいろ御調査もされておることでありましょうが、これらに並行して、熱海駅の改造等については御考慮を切にお願い申し上げます。私としては、今の小さな来宮駅とか、あるいは現在の熱海駅とかいうものを考えずに、いろいろの点から考えたら、あのトンネルの中間あたりを駅にしていただきまして両わきに道路のりっぱなのを作って、両方へこれをさばきするようにしたならば、あの交通の便から考えても非常にいいことじゃないかということを、地元で始終現状を見ておる関係考えておりますので、御参考に、これらも一つ考えに入れて、ぜひ一つあの地方交通緩和のために御研究をお願いいたしたいと考けております。  以上時間もありませんので、今日の私の質問はこれで終ります。
  271. 山本猛夫

    山本主査 これにて運輸省所管についての質疑を一応終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、明十五日は午前十時より開会し、郵政省所管について質疑を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十六分散会