○森(三)
分科員 そこで、私あらためてお尋ねしたいのですが、ただいまも
運輸大臣から説明がありました継続線十五線、それから三十二年度の新規追加十三線等の御説明がありましたが、いずれも
予算が非常に少いことは事実なんです。私が最も遺憾にたえないのは、津軽海峡の海底トンネル並びに本土
——四国間の海底トンネルの問題でありますが、これは
運輸大臣も
相当力を入れられておったし、またわれわれとしても大いに期待しておったわけです。
一つの例を申し上げますと、先般の南海丸事件はあのような痛ましい百五、六十名の生命を失ったわけでありますが、これは全くわれわれとしては遺憾にたえない、全く予想もしなかった海難であります。それからまた、数年前におきましては、御承知の通り津軽海峡においては洞爺丸が転覆いたしまして、千二百名の貴重な人命を失っております。われわれが全く予想だもしない、あのような、三千トンも四千トンもある大きな船が転覆するなんということが発生しておるわけであります。従って、そうした海難を避けるということ、そうしてまた一面におきましては
輸送力を強化するという方面からいたしまして、海底トンネルの設置というものは実に強い
国民的な要望があるわけでありますが、これには調査調査と言っている。われわれの知るところでは、大体調査ができておるのでありますが、津軽海峡の様子を見ますと、大体六百から六百五十億の
予算が必要だとされています。そうしますと、毎年六十億ずつ出していきましても十カ年以上かかる。地元の方ではどうかといいますと、もうすでに海底トンネルの工事にかかっておるような実際気持を持っている人が多いのです。ところが、今も
運輸大臣の御説明の通り、今年はようやく津軽海峡、それから四国の淡路島—本土の場合も一億円の調査費がついた。私はそのようなことでは
日本の
輸送力強化はとうてい実現できないのじゃないかと思うのです。これも
予算要求はたしか十億程度ずつ出してあったはずでありますが、私は何も
運輸大臣の
政治力が弱いとかなんとか言って非難するわけじゃありませんが、これは
運輸大臣だけの責任じゃなくて内閣全体の責任だと私は思います。しかし、このようなことでは、百年待ったところで、海底トンネルというものはできないと思うのです。しかも、一億ずつの調査ということは、一体どういうようなことをやるのか。一億でもって果して海底トンネルの設置をするだけの調査というものができるのか。
考えてみますと、毎年
——来年になってもこのような一億か二億の
予算でまた調査、再来年になってもまた調査と言って、調査々々で日が暮れてしまうのではないかと思います。少くとも国全体の
輸送力、それから海難を発生させないという観点から、急速に私はやらなければならぬ
一つの大きな問題であると思うのです。こうした面にここでは一億ずつの
予算ですが、御承知の通り、本年度の
予算におきましては、
経済基盤強化の
予算として二百二十一億というものが計上されておることは御承知の通りだと思うのです。この
経済基盤強化の
予算の中には、港湾その他いろいろな重要産業等に使用することができるというような項目が書いてあるわけでありますが、私は、このうちからでも
運輸大臣としては
予算をお取りになって、これらの海底トンネルを達成するように御努力なさることが当然であろうと思うのです。それくらいのことをなさらなければ、私は
運輸大臣として海底トンネルに対する熱意がないと言われても仕方がないと思うのですが、この点についてお
考えを願いたいと思うのです。この二百二十一億の
経済基盤強化資金繰り入れの
予算を、
道路整備、港湾整備、科学技術振興、異常災害の復旧、または産業投資特別会計への繰り入れに必要な経費に充てる財源の一部を確保しようとするものである、こうなっております。従いまして、
道路整備とか港湾整備とか、科学技術振興、異常災害復旧、こういうようなものがあるわけでありますから、
運輸大臣の御努力によっては、こうしたものの中から
相当予算を獲得することができると思うのです。これについて
一つ信念的な
答弁を願いたいと思うのです。