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柳田分科員 自治庁では町村の統合を数年来進めて参りまして、おおむね統合が自治庁が
考えておられる線に運んできたことは、私は御同慶の至りだと思います。そこで必然的に起ってくる問題は、町村の統合に続いて義務教育の小
学校の統合が起ってきているわけですが、文部省もその点は省議として今統合を進めているわけです。中
学校は新制中
学校でやや先に進みましたし、小
学校も今統合を進めておるわけです。そこで一番問題になりますのは、ことに中学生の場合に問題になるのは、通学距離が延びたということです。そういう
関係でそういう通学距離の延びた家庭の父兄は通学費に非常に負担がふえてきた。私が調べました、これはある町ですが、中
学校で三百七十六人中学生がいるのですが、そのうちで五キロ以下がわずか一四%なんです。これはどの町村ということは
あとでまたお知らせしてもいいが、五キロ以下がわずか一四%、六キロ以上が八六%、そのうちで九キロ、十キロ、十二キロ
——これは片道です。九キロ、十キロ、十二キロというのが三七%、そうすると片道二里以上通学するのが三七%、もっとあるのですが、九キロと十キロと十二キロだけでも三七%、こういうように延びまして、従ってここでバスを利用したり、鉄道を利用する。私も
考えるに、六キロまでは絶対にそういう自転車とかバスとかその他の交通機関を利用さすべきじゃない。これは青少年の訓練のためにも六キロくらいは当然歩かすべきだ。しかし八キロ以上になりますとやはり勉強の能率の点からも子供の健康の点からも問題がある。どうしてもこれはバスあるいはその他の交通機関を利用するのは、これはやむを得ぬと思うのです。ところが現在の鉄道営業法によりまして、鉄道運輸規程というものがありまして、十二才末満は半額になっておるのです。そこで小学生は半額なんですね。ところが中学生になりますと、半額を
——先般私は他の
分科会で十二才という基準はどこでとったのだ、十二才くらいの子供にもおとなくらいのスペースをとる者もおるし、必ずしも私は客車の中のスペース分できめたものじゃないと思うのです。おそらく十二才という基準をきめたのは、義務教育だから、義務教育の子供の運賃くらいは半額にしようじゃないか、こういうことで線を引かれたのじゃないか。ところが今日義務教育が十五才まで伸びましたから、当然中学生も半額にしてもらえないかということを聞いてみた。ところが運輸
大臣は、なるだけそういう方向に努力する、国鉄総裁は運賃審議会というものは、国鉄の中にあるので、そこに諮りたい、こう言うのです。それじや問題点として今出していますか、そういうような
大臣の諮問機関の場合には大てい
事務当局から問題点を出しておるが、現にあなたのところは出しておりますかと聞いたのです。出しておりません。それじゃ言いのがれじゃないか。現在貨物運賃が問題点で、旅客運賃は問題になっておらぬ。それじゃおなたの
答弁は違うじゃないかと言ったら、それじゃ問題点に入れて検討したいということになった。自治庁長官も御存じですが、参議院の文教
委員は昨年これを決議しているわけです。そうして運輸、文教両当局に要請して、すみやかにそういうふうにやるということを決議しているのです。きょうは文部省
所管の
分科会にも行って、文部省はそれじゃ参議院の文教
委員会で決議するように努力したかと言ったら、努力しましたと言うけれども、局長が国鉄の方にちょっと話しただけだ、国鉄はいや私のところは
独立採算制をとっておりますので、なかなかそうもいきません。それだけのことなんです。
一つも文部省と運輸省の間にも話をしてないのです。だからこれはあなた自治庁長官として、さらに国務
大臣としてもお
考え願いたいのですが、自治庁がそういうような町村合併を促進するならば、それに当然付随してくる通学という問題、ことに教育の
機会均等という点から言うならば、これは遠いところの父兄は単にその通学の距離が延びる、あるいは通学のバス賃に金がかかるというような物質面の負担だけじゃなしに、
相当肉体面あるいは精神面の疲労、その他非常なハンデイキャップを受けるわけです。そこで文部省ではこれに対しては
一つ今後努力しますと言っておる。そこで私は解決の道は三つあると思うのです。第一は根本的には鉄道運輸規程を改定して、義務教育であるところの十五才
——中学生まで運賃を半額にする。ところが全部の物見遊山に行く運賃まで半額にできなかったならば、一歩譲って通学に関するのみ半額とする、この点も
一つある。第二の点は文部省でそういうものに対してはやはり補助をする。これが第二。第三は自治庁の方でそういうものに対しては、やはりこれはある町村が負担しておるところも非常に多いのですが、町村なら町村単位に、いわゆる基準
財政需要額として交付税交付金の算定基準の中にやはり認めていくというやり方もあると思うのです。私は第三点が一番本問題から離れておると思うのです。本来これはそうやるべき問題ではないと私は思う。本来は私が言ったように、第一点で解決のつく問題だが、まだ解決がつかないのです。そこで自治庁としても、こういう町村統合を進めておる
関係上、暫定的でもけっこうですが、やはりこういうものを
一つそういう基準
財政需要額の中に織り込んで認めていこうという御
意思があるかどうか、それを
一つ承わりたい。本来は自治庁がやるべき問題でないことは何回も繰り返して言いましたが、しりぬぐいを自治庁に持ってきてお気の毒ですが、自治庁が町村統合を進められる以上は、こういう点まで
考えなければならぬ。
政治というものは相関
関係で関連性があるのでありますから、有機的観点に立ってこれを解決していくということは、私は決して言い過ぎじゃないと思うのです。