○田原
委員 それは
大臣、実はあ
まり御存じないと思うのです。
大臣を責める意味ではないけれども
経過は多少違っている。昨年の九月にブルガリアのソフィアでIOCすなわち国際オリンピック
委員会が開かれまして、
日本体育協会からも東会長が
出席した。その席で朝鮮民主主義人民共和国の参加が問題となりまして、その際朝鮮のNOC、国内オリンピック
委員会が国内活動をその名においてやることを認められたわけです。それから一つの条件がついて国際オリンピックにも出場できるという決定がなされておるのです。この
経過は体育協会に出ております。これは別にあなたに質問するわけじゃない、
経過を話しているのです。そこでこれには南朝鮮と北朝鮮とが一本になって
出席することを条件として認めるという一つの条件がついておりますけれども、国際オリンピックにも、その地域的な主催形式になるアジア・オリンピックにも、その条件さえ満たされるならば
出席してよろしいということが認められておる。これはぜひはっきり御了承願っておきたいと思うのです。
そこで問題は一本化の
努力をだれがするかということです。そういう決定はブルガリアでされても、それだけではそのままになってしまう。従って主催国である
日本がこの際韓国のスポーツ代表と朝鮮のスポーツ代表を東京に呼びまして、三者で懇談をして一本化の
機会を発見する
努力をすべきだと思う。意見が合わなければしょうがないけれども、これはできると思う。それをおやりになってはいかがであろうかというのであります。現にこのことにつきましては、すでに今日までのニュースによりますと、四つの国際団体から
日本の体育協会に勧告の電報が来ておる。第一には国際バレーボール連盟、第二には国際自転車競技連盟、第三には国際テニス連盟。文部
大臣、あなたの得意とするテニスの方も勧告をいたしておる。第四は国際陸上競技連盟からも来ております。
内容は相当はっきりし、かつ強いものであります。たとえば国際バレーボール連盟からは、朝鮮民主主義人民共和国のスポーツ
委員会からアジア大会に参加したいという申し込みをバレーボール連盟は受けた、これが参加できるように
要望するということが
日本側の準備
委員会に来ておる。また中国の問題もついでに申し上げますと、国際テニス連盟には中国の方が入っておって台湾は入ってない。そこで、アジア大会には中国の方が参加資格があるのであって、台湾は参加資格はないということをテニス連監から言うてきておる。第三の国際自転車競技連盟では、もっと親切に、一つの民族が二つの団体として争うことは認められないから、わが自転車競技連盟には北京側
——中華人民共和国が加入しておるので、台湾側は認めない、中国側を参加させな
さいという強い勧告が来ておる。第四の国際陸上競技連盟、これも、本部はロンドンでありますが、これには北京側も台湾側も入っておるのです。しかしその勧告は、台湾は台湾として出な
さい、台湾が中国を名乗ることはよろしくない、なぜならば、われわれの競技連盟には北京側も入っておるから、という意味の電報が来ておるわけですね。でありますから、五月のアジア・オリンピック大会は、歴史的なものであり、
日本の多くの人々も待っており、アジア各国の人々も待っておる非常な祭典なんですから、北鮮と韓国に対して、単に電報や
文書の往復や陳情だけの
努力では足らないと思う。進んで
日本側で熱情をもって、一本になっておやりな
さいというだけの親切と
努力をもって進めるべきだと思う。なぜならば、先ほど私が申し上げました米ソ間の文化
協定さえ結ばれておる。あの非常に対立しておる共産主義と資本主義の両陣営もスポーツによって国際間の緊張を緩和しましょうという、先ほど読んだような
協定ができておる。これは実現には相当時間はかかります。しかし、これは相当大きな歴史的なものだと思う。そこへ持ってきて解釈すれば解釈できるような電報も来ておるし、IOCの決定もあるのですから、問題は文部省なり
外務省なりの
関係諸省で親切に
努力されれば実現するのじゃないか。朝鮮民衆は
日本にも約百万くらいおりますが、みんな見たい、一国に偏したくないのですから、
日本側の
努力を待っていると思うのです。松永さん、どうでしょう、あなたの御在任中にたまたまアジア・オリンピック大会が東京で開かれます。この次はどこになるかわかりませんし、次に
日本にくるのも何年か後でありましょう。この大きな民族の祭典に際して、政治的に割れております韓国と朝鮮も、この際スポーツだけは一緒にする
努力がほしい。これはやっている例があります。ドイツをごらんな
さい。東ドイツと西ドイツは割れております。自分たちの民族の意思でなく割れた。しかしながら、スポーツ面においては一緒に出ます。私は四年くらい前に、ルーマニアのブカレストで、ヨーロッパ・スポーツ競技大会のときにたまたま
通り合せて見ておったのですが、出ます。同じ百メートルなら百メートルに東ドイツも西ドイツもどっちも一緒に出ます。それからメルボルンのオリンピックの大会にも出ます。それじゃ国旗はどっちの国旗を立てるかといいますと、一番になった者が東ドイツだったら東ドイツの国旗を出すのです。それから二番が西ドイツなら西ドイツの国旗を出す。西ドイツが一番なら、西ドイツの国旗を出します。国歌はどっちの国歌を歌うかというと、ドイツに関しては東ドイツも西ドイツも国歌が違うのですから、国歌だけはやめてベートーベンの名曲を歌う。(笑声)これはいかにもユーモアがあって、さすがはドイツだと思ったのであります。ちゃんとやっております。そのくらいのことをやっておる。だからもうちょっと
努力をすれば韓国と北鮮との統一問題も、スポーツが取り持つ縁でうまくいくのじゃないかと思うのであります。絶好の
機会でありますから、たまたまこうやって四つの国際競技連盟からも勧告電報が来ておるのですから、あなたが決心されればできるのじゃないかと思うのですが、あなたの御決心を伺いたい。