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1958-02-10 第28回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十日(月曜日)     午後零時二十二分開議  出席委員    委員長 江崎 真澄君    理事 今井  耕君 理事 川崎 秀二君    理事 重政 誠之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川俣 清音君 理事 柳田 秀一君       安藤  覺君    植木庚子郎君       内田 常雄君    大橋 武夫君       太田 正孝君    上林山榮吉君       北澤 直吉君    草野一郎平君       河本 敏夫君    周東 英雄君       須磨彌吉郎君    中曽根康弘君       永山 忠則君    楢橋  渡君       野田 卯一君    福永 一臣君       船田  中君    南  好雄君       宮澤 胤勇君    八木 一郎君       山崎  巖君    山本 勝市君       山本 猛夫君    井手 以誠君       井堀 繁雄君    今澄  勇君       岡田 春夫君    勝間田清一君       小平  忠君    小松  幹君       河野  密君    島上善五郎君       滝井 義高君    成田 知巳君       西村 榮一君    古屋 貞雄君       森 三樹二君    門司  亮君  出席国務大臣         内閣総理大臣  岸  信介君         法 務 大 臣 唐澤 俊樹君         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  前尾繁三郎君         運 輸 大 臣 中村三之丞君         郵 政 大 臣 田中 角榮君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         国 務 大 臣 石井光次郎君         国 務 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 郡  祐一君         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         内閣官房長官  愛知 揆一君         法制局長官   林  修三君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君  委員外主席者         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月十日  委員滝井義高辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として滝  井義高君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計予算  昭和三十三年度特別会計予算  昭和三十三年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 江崎真澄

    江崎委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を議題といたします。  岸総理大臣より発言を求められております。この際これを許します。内閣総理大臣岸信介君。
  3. 岸信介

    岸国務大臣 連日重要なる予算の御審議を願っておるのでありますが、不幸にして厚生大臣並びに防衛長官病気のために欠席をせざるを得ないことになりました。責任ある医師の診断によりますと、両人とも約一週間の静養を要するということでございますので、内閣といたしまして、責任をもって予算審議を進めるために臨時代理を置きまして、その臨時代理において全責任をもって御審議に応じ、政府所信を明らかにし、御審議進行を遅滞あらしめないようにいたしたいと存じます。  郡国務大臣厚生大臣臨時代理とし、石田国務大臣防衛長官事務代理をせしめることに決定をいたしましたので、このことを御報告申し上げますとともに、内閣としてはこれによって全責任をもっていたしますから、どうか御審議に対して従来通り格段の御協力をいただくようにお願い申し上げます。(拍手)
  4. 江崎真澄

    江崎委員長 柳田秀一君より議事進行発言を求められておりますので、この際これを許します。柳田秀一君。
  5. 柳田秀一

    柳田委員 ただいま承わりますと、堀木厚生大臣並びに津島国務大臣病気の由でありまして、まことにお気の毒であります。国政掌理の重大な任に当られますから、御加餐の上、すみやかに御回復を祈っておりまするが、しかしながら考えてみますと、このように予算委員会におきまして代表質問のさなかに、最も重要な大臣が御病気で倒られることはまことに遺憾であります。元来が御老体の多い内閣でありますので、中には御病人の出ることもあるかもしれません。先般来のこの委員会質疑応答を聞いておりますと、まことに政府におきましては、一言にしていえばだらしがない。これは今日の世論なんです。だらしがない。内閣統一と緊張がない。だから先般のようなああいうしどろもどろの答弁になる。なるほどわが党の成田委員はつくべきところはつきました。しかしながら問題はそれほど紛糾し、混乱するような問題をついておるのじゃない。当然内閣において事前に十分なる意思統一と、さらに御勉強があったならば、こんな混乱はない。ここに今日の内閣がたががゆるんでおる証拠がはっきり現われている。たががゆるんでおるから、やはりそういう病人も出てくる。聞いてみると根本建設大臣もまた御病気だというような話も聞いておる。私はやはり閣僚諸公ももっと責任ある明確な答弁をしていただきたい。  そこでただいま総理からお聞きしますと、代理大臣責任をもって答弁さすということでありますが、この予算案内閣閣僚全体の責任でお出しになったのでありますから、臨時大臣であろうが何であろうが、いやしくも出られた以上は、全責任をもって御答弁になることは信じて疑いません。従いまして、今後におけるところの御答弁も、先日私がこの委員会の冒頭に念を押しましたように、従来ややともすれば官僚の答弁メモをただ口写しに、臨時でございますからといって、その臨時大臣の口を通じて答弁されるのでは、われわれ納得しない。少くとも、臨時大臣であろうがなかろうが、内閣閣僚全体の責任において答弁され、問題が数字的計算であるとか、そういうことならば、質問者の了承を得られた上で、委員長から政府委員答弁を求めるにわれわれは決してやぶさかではありませんが、少くとも政治問題として内閣責任を追及したような答弁に対しては、属僚どもを通しての答弁は絶対にわれわれは承服できない。ここにはっきり明言しておきますから、この点重ねて一つ総理から御答弁を願いたいと思います。  なお第二点は、ややともすると、この国会において国民の前に所信を明らかにされるのを、えてして回避されるきらいが従来ないでもなかった。先般も成田議員が解散問題をお尋ねしましたときに、総理ははなはだ不明確な答弁をしておられますのに、昨日は宇都宮に行かれての新聞記者談を見ますと、はっきりと意見を言っておられる。国会で十分に答弁できぬことを、新聞記者諸君車中談で発表するということは、これは本末転倒であると思う。少くとも国会を通じて国民の前に明らかにするのが、これが民主政治の大本であります。昨年わが党の島上議員が、クリスマス島におけるイギリス原爆実験のときにも、何らかこれに対して政府は対処する道はないか、と問うたあくる日に、政府松下特使を英国に特派することを発表された。あくる日松下特使イギリスに派遣することを発表されるその前日に、この予算委員会において島上君が、何らかこれに対して政府は打つ手はないかと聞いたときに、政府はそれに対して答弁をされておらぬ。こういう例もある。えてして国会の論議の場を通じて国民に明らかにせずして、事を回避して、新聞記者会見であるとか、あるいは国会が済んでから政府は発表する、こういう事例がたくさんあったと思う。こういう点は十分注意をして、やはり国会を通じて国民に明らかにするという態度を、もう一度岸総理からはっきりと私は御答弁を願いたいと思います。
  6. 江崎真澄

    江崎委員長 ただいまの御発言の中で、根本建設大臣病気であるやの発言があったのでありまするが、さような事実は全然ありませんので、念のため委員長から申し上げておきます。岸内閣総理大臣
  7. 江崎真澄

    江崎委員長 御静粛に願います。     〔発言する者あり〕
  8. 岸信介

    岸国務大臣 ただいまの柳田委員議事進行に関する御質問に対しまして私からお答えをいたします。先刻申し述べましたように両大臣病気のために、政府としては臨時代理を置きまして、全責任を持って国会運営その他のことに当るということを申し述べております。従いまして、ただいまの柳田委員のこの点に関する御質疑に対しましては、明確に全責任を持って一切に当るということを明瞭に申し上げておきます。  第二点の、この国会を通じて国民に、政府としては責任を持ってあらゆるものの意見を明確にすべきであるという御意見に対しましては、私も全然同感であります。従来もそのつもりで努力をいたしておりますし、なお今後も十分にそういう趣旨において努力をいたすということを申し上げておきます。
  9. 江崎真澄

    江崎委員長 午後一時半より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  10. 江崎真澄

    江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川俣清音君。
  11. 川俣清音

    川俣委員 私は世界農業の総括的な展望から、日本農業の今後のあり方についてお尋ねをいたし、その裏づけとなっております予算について、さらに質疑を続けていきたいと思うのでございます。  世界農業が当面いたしております主要な課題は、世界の大部分の国が抱いております根本的なジレンマは、一方において農家経済的地位を維持し、同時に他方においては、消費者に低価格食糧供給を行わなければならないという、この二つの責任の遂行をいかに調和していくかということであります。従いまして各国が競争的に農業政策として取り上げている傾向は、農家の所得を農業素材価格の引き下げあるいは直接補助金の交付によって維持し、肥料の増施その他による生産性増大を奨励しつつ、一方においては小売価格のこれ以上の騰貴を避けようとする傾向が現われておるのであります。すなわち農家経済的地位を維持するとともに、同時に消費者に適正な食糧を安い値段で供給するという二面をいかに調和させていくかということが課題となっておるのであります。従って各国農家人口地位悪化を依然として悩み続けておるわけであります。さらにまた剰余在庫によって起された事態悪化があるにかかわらず、貧しい消費者によりよい食物を与えるための生産費及び販売費をいかに節減するかということに、各国とも競争的に政策が払われておることは、見のがすことができません。しかしながら農産物需要はやはり依然として高い水準を維持していくであろうと見られるのでございます。その根底は拡大力があるからであると思うのであります。その拡大力人口増加、高率の投資雇用政策の拡充、未開発地域への国際投資等の好条件が迫っておるからでございます。こうした世界的農業に対する私の見まする展望、総括が見誤まりでありまするか。私の見解が誤まっておるかどうか。この点について農林大臣並びに大蔵大臣お尋ねいたしたいと思います。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいまの見方は、私も同じように考えておりますので、正しいと思います。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私もおおむね賛成であります。
  14. 川俣清音

    川俣委員 それではお尋ねいたしますが、大体世界農産物の動向を見ますると、畜産物生産が、開発の進んでおるところでは穀物生産よりも急速に増産の傾向をたどっておるようであります。また先進国地域においては、工業国地域におきましては、畜産物はここ数年間穀物生産よりもさらに急速に増産されておるようであります。さらにまた目を転じますると、粗粒食物、いわゆる穀物の中でも大麦、あるいは木材の需要が、生産増大いたしておりまするし、自給要望も強いように見受けます。もちろん全体的に見て農産物にはいわゆる高原景気というものはないようでありまするけれども、わずかココアであるとかコショウであるとかいう特殊な農産物を除きまして、そう大した高原景気はないのでありまするが、しかしながら農業の持つ本質的な工業との競争からいたしまして、とかく政治の面では捨てられがちな点も世界的な傾向だと見てもよろしいのでありますけれども、未開発国が今後独立していく上から、農業に非常に大きなウエートを置いておりますることも、また見のがしてはならないと思うのでございます。こういう観点から、農林省及び大蔵省は日本農業推進のために、特に畑作農業推進のために、農産物価格安定法をさらに強化推進されようとするのでありまするか、または廃止する方向をとっておるのでありまするか。または現在のままで進みもしないし廃止もしないという方向をとるのでありましょうか。この点についてお尋ねをいたしたいと思います。農林大臣並びに大蔵大臣お尋ねいたします。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農産物価格安定につきましては種々方策を講じて安定していきたいと思いますけれども、農産物価格安定法の対象を広げるということは今考えておりません。従って廃止するという気持はないのであります。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま農林大臣のお答えいたした通りであります。
  17. 川俣清音

    川俣委員 それではさらに進めます。食糧消費水準は、先進諸国では最近食物の質と量の点では相当伸展を見せております。低開発地域では、カロリー摂取量増加蛋白質摂取率を高めようという点で相当改善あとが見受けられるのでございます。  ここで総理一つお尋ねをいたしたいのでございますが、総理はしばしば三悪追放を叫ばれておりますが、この内容をもっと具体的に示していただきたいと思うのであります。他の二点は別にいたしまして——汚職にいたしましても、あるいは暴力にいたしましても、相手がはっきりいたしておる。ところが貧乏ということになりますると、何が貧乏であるかということが明瞭でない、明瞭でなければ追放ということは困難でございます。また貧乏追放というからには、何か具体的でなければならないと思うのであります。着々と追放するにいたしましても、順次追放しなければならないにいたしましても、何かのめどがなければならないと思うのであります。そこでやはり貧乏ということは、食生活内容が低いということが、貧乏の表現であろうと思うのであります。もちろん貧乏が経済機構、あるいは政治機構からくる。どういう経済機構からくるか、あるいは政治機構からくるかというような原因の探究を今ここで質問しようとはいたしておりませんが、少くとも貧乏を追放するというからには、どこかにめどをおかなければならない、その具体的なものがなければならないと思うので、お尋ねをするのですが、大体世界国民の一人当りの平均食糧供給量の中におけるカロリー及び蛋白質摂取量を見ますと、日本戦前と比べましてそう上ってもいないのでありますが、特に蛋白質におきましては依然として低量でございます。欧州比較にはなりませんから、パキスタン比較いたしますが、パキスタンの一日の摂取カロリー量戦前で千九百七十カロリー、現在二千二百八十カロリーに上ってきております。それに比べまして、日本は二千百八十カロリーが二千百六十五カロリーと、むしろまだ戦前に回復しておりません。特に欧州における一番貧乏国だといわれまするイタリアの例をとりますると、大体イタリアの二分の一というところにあるようであります。またほかの国をとりますると、動物性蛋白質から申しますと、パキスタン並み、あるいはほかに例をとりまするとエジプトトルコよりもさらに劣っておるというような格好になっておる。特に蛋白質の中でも、動物性蛋白質になりまするとエジプトトルコよりもさらに低いという状態であります。これを解決していくということでなければ、貧乏追放のことが成り立たないのではないかと思うのですが、この点についての総理大臣の所見を伺いたい。
  18. 岸信介

    岸国務大臣 私の申しております貧乏追放ということは、言うまでもなくその国の社会経済全般情勢からこれを判断しなければならぬと思います。文化あらゆる面からこれを判断すべきものであります。従いまして、今食生活の点についてのいろいろ数字各国との比較お話しになりましたが、日本の全体の食生活の実情というものが、カロリー計算をいたし、特に動物性蛋白質の点から見ますると、日本食生活内容からいって、これが非常に他の国に比べて低い状況にあることは、これはいろいろな社会情勢やあるいは習慣であるとか、いろいろな面からそういうことが出てきておると思います。しかし同時に、われわれが国民生活水準を高めていくという上からいえば、この食生活状況というものについてはこれはやはり科学的な検討を加えて、そして食生活の安定とその改善考えるということは、もちろん必要なことであろうと思います。ただそういう意味において、貧乏追放の見地から何カロリーというものを目標にしてどうするかというふうなことになりますと、これはなかなかここですぐ私は二千何百カロリーがその目的であるというふうに申し上げることはむずかしいと思います。が、今申し上げるように、食生活の安定並びにその内容を豊富にするということは、われわれ国民生活を安定し向上するゆえんのもののもっとも大事な一つの要素でありますから、貧乏追放の上からいっても、この食生活安定向上ということについては十分に意を用いていかなければならぬ、かように考えております。
  19. 川俣清音

    川俣委員 その国民が貧乏であるかどうかということの決定は、何といいましても、衣食住に現われてくるのでありまするから、そのうちでも人間的な要望としての食生活が低いということは、やはり貧乏であるということの一つの最も具体的な現われだと思うのであります。その意味におきまして、全体の生活水準が上っていくということは、食生活がそれに伴って上っていったということの証拠が出てこなければ、貧乏でないという説明にはならないという意味から、この点を取り上げたのでございます。  次に移ります。近年種々の農産物について、国際貿易成長率に大きな相違が生じたようでございます。すなわち一方では世界経済成長して、そのために国際貿易は拡大するという現象があり、他方においては国内の自給化傾向増大とその要因によって、多種多様の農産物国際貿易成長がむしろ制約される傾向が出てきております。特に食糧につきましては、自給化傾向が強いのでありまして、工業原料輸入に重点を置きかえるようにさえ思われるのでございます。この点からいたしまして、政府の五ヵ年計画、あるいはことしの貿易収支バランスに、今後農業施策を誤まりますると大きな影響があるのではないかと思うのでございます。この点を河野大臣お尋ねをいたしたいのでございますが、一体大臣責任を持ちまして、かなりの自信を持ちまして、今年の国際収支についてはっきりした見通しを述べておられます。ところが食糧輸入になりますと、砂糖を入れますると六億ドルを上る、あるいは六億ドルに近い食糧輸入しておるわけであります。もしも日本天候が恵まれないといたしまして、また政府農業施策があやまちますると、さらに食糧輸入考えていかなければならないという事態が起るのではないか。現在までここ十年間におきましても、二割や二割五分の影響輸入に与えておるわけであります。少くとも砂糖を抜きました四億ドルに対しましても、二割あるいは二割五分ということになりますると、八千万ドルから一億ドルの相違がくる。そうすると、これは国際収支バランスに大きな影響を与えるのであります。この点について、手放しで大丈夫だという自信を持たれておるようでありますけれども、いかに河野企画庁長官といえども、天候を支配されるだけの力はやはりまだお待ちにならないと思うのです。そうすると、これはただ机上の安心感を与えているにすぎないと思うのですが、この点についての見解を伺いたい。
  20. 河野密

    河野国務大臣 お答えいたします。御説の通り考えますが、川俣さん御承知の通り、最近の農業は、農民諸君の非常な御努力によりまして、従来と違いまして消毒、品種の改良、その他耕種改善等によりまして、たとえば昨年の天候にいたしましても、あれだけの豊作を期待できたということになっておるのであります。さればといって今お話のように決して不作がないということは考えておりませんが、豊作であることをひとえにこいねがいつつ、悪いときには今お話のような結果が出る場合も決して考慮にないわけではないのでございまして、従って明年度輸出目標は絶対にこれは具現しつつ、輸入の面におきましてはそういう事態のあることも考えつつ、経済事態を進めていかなければならない、こう考えております。
  21. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、やはり国際収支バランスを予定の通り遂行するためには、国内産の農産物生産力を維持するために、相当努力を払っていかなければ国際収支バランスが破れるということだろうと思うのであります。それで、一体それだけの努力が今度の予算の面に現われておるかどうかということになりますと、これは非常な疑問であります。大蔵大臣はどうも農林省の連中は暴力予算をとるようなことをいわれておりまするが、特に赤城君などはずいぶん乱暴なことを言って、おれのところの予算をとりにきたようなことで非常に好ましくないようなお考えもちょいちょい漏れ聞くのでありますが、大蔵大臣はこの点についてどうお考えになっておるか。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は今回の予算折衝の間のいろいろなやりとりについて何ら人に話したことも何もありません。あなたがどこまでお聞きになったか知りませんが私が言うたといえば、それは間違いであります。われわれはあらゆる立場で国家のためを考えてやっておるわけであります。  それからただいまの国際収支の問題ですが、これも関連して私今お答えいたしますが、お説のように日本国際収支において、何さま輸入食糧その他が依存しておることは高いと思います。これは綿花なんかを加えますと、おそらく十億ドルくらいに上るのではないかと考えております。ですから今度の予算の編成におきましては、できるだけ生産基盤拡大強化ということに意を用いて予算を組んでおります。私は農林省予算を減すなんということは考えておりません。ただ要らぬ金は出さんが、要る金は出そう、こういうふうに考えております。
  23. 川俣清音

    川俣委員 それでは一つ具体的に大蔵大臣並びに農林大臣お尋ねしたい。さっき大蔵大臣農林大臣は口を合せて、農産物価格安定法はこのまま進めていくのであるということを言われております。ところが一方米の統制につきましては、コスト主義をとるようにしていきたい、こういうこともちょいちょい言われておるようでございます。いずれこれはあとで詳しく一つ質問をいたしますが、もしも米の統制撤廃をし、または米をコスト主義消費者価格をきめるというような考え方で、統制を撤廃するということになりまするならば、これは農産物価格安定法から見まして、他の麦、大豆よりも最上位に価格を安定させなければならないということになるであろうと思う。そうすると、農産物価格安定法重要農産物は、これはコスト主義ではない。価格支持政策であって、コスト考えない政策が、重要農産物価格安定法の骨子であります。そうすると、麦、大豆よりももっと大切な米の方はコスト主義をとり、それ以下のものは価格支持政策をとるということにはならないと思う。その意味で、おそらく米の統制は続けていこうという御返事になろうし、コスト主義もそのままとっていけない、こういう御返事になるであろうと思いますけれども、この点について大蔵大臣並びに農林大臣見解を承わって次の質問を進めていきたいと思います。
  24. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今のお話のように、現在の統制は続けていきたいと思います。また米の消費者価格におきましてコスト主義をとっておるわけではありません。コストということはある程度参考にはいたしておりますが、決してコスト主義をとっておるのではないのでありまして、その方針でいきたいと思います。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は米の統制撤廃をすぐやるとかそういうことを言うておるわけではないのであります。そういうことができて、なおかつ農家の所得が維持され、生産、消費の価格がより適正になる、そういう状態においては何もどうこうする必要はない。そういうふうにどう持っていくかということはあとの問題だ、こういうふうに考えております。
  26. 川俣清音

    川俣委員 それでは具体的にだんだん内容一つお尋ねをしていきます。今度新たに政府は、特に大蔵省は食糧管理特別会計に六勘定項目を設けたのでありますが、その設けた理由を一つ御説明願いたい。これは大蔵大臣の所管ですから、大蔵大臣お尋ねしたい。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 勘定の区分を設けましたのは、特に先般の消費者米価引き上げの際にも強い御意見もありまして、何さま従来非常に大きな会計でありながら、いわゆるどんぶり勘定ということになりまして、かりに赤が出ましても、どこのところにどう出ておるかというようなことがなかなか明確を欠く、もう少し経理の正確を期する方がいいのじゃないが、これは非常にもっともな御意見だと思います。それでそういう見地から今度勘定を分けたわけであります。
  28. 川俣清音

    川俣委員 それではお尋ねします。これはこういう見解がある。政府が今度分けました六項目は、いわゆる企業会計的な考え方で分離したのではないかと思われる。また独立採算制というようなことにかなり重きを置いて、勘定項目に分けたようにも見受けます。大体おのおののコストを明らかにするために設けたようにも思われる。ところが食管法の建前、あるいは重要農産物安定法の建前からいうと、そういう分け方はすべきではないのではないかと思う。 これは私の見解でありますから、これだけ申し上げて、続けて質問いたします。  おそらく大蔵大臣は閣議決定事項に基いてこの六勘定項目を設けた、こういうことであろうし、また食糧管理調査会の答申に基いて、こういうものを立てた、こういう意味であろうと思うのですが、この点どうですか。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説のように、臨時食糧管理調査会の答申を尊重いたしたわけでございます。
  30. 川俣清音

    川俣委員 そこで大蔵大臣にさらにお尋ねいたしたい。三十二年九月十四日の臨時閣議決定、その前の七月五日ですか、米価審議会が開かれて答申を受けたあとで、消費者価格値上げに関しての閣議決定をいたしております。この閣議決定は今変更する必要はありますか、あるいはその後変更されたのですか、その点ちょっとお尋ねいたします。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは別に変更する考えは持っておりません。
  32. 川俣清音

    川俣委員 それではもっと一つ具体的にお尋ねいたします。九月十四日の閣議決定によりますと、消費者米価内地米は十キログラム平均八百五十円とするが、価格改訂の影響を緩和するために、別に低廉な徳用米を用意するという決定をいたしておられます。そこで十キロ当り七百七十円と決定をいたしておるのでありますが、この閣議決定は、おそらく社会政策的な意味において、社会保障的な意味を大いに加味して決定したものであるという声明を、農林大臣もいたしておられまするし、大蔵省も大体同様の見解を持っておられる。そうしますると、この徳用米というものは、行政的な観点から、社会政策的あるいは社会保障的に作ったのでありまするから、この損失は一般会計で負担をしなければ消費者をごまかしたことになると思う。お前の方は値上げをするんだ、値上げをして、安い米の分までお前負担せよ、こういう決定をしておらぬはずだ。徳用米は特別に安くするのだ、この経費は政府が負担をしてやるのだというふうに了解させて、普通の内地米は八百五十円にするのだ、こういう決定をなさったように国民は理解しておる。閣僚はこれは忘れてしまっておるかもしれませんが、だまされた、あるいは大きな煮え湯を飲まされた、消費者価格の値上げにつきましては、国民はいまだに不満を持っておるわけです。徳用米の損失までも一般消費者が負わなければならないという決定をされたとは理解しておらないわけです。その点はどうなんですか、どっちと理解させるのですが。徳用米の安い米は、他の一般の米を食う人が負担をするのだ、お前たちの共同負担で徳用米をやるのだ、こういうことで決定なすったのですか、この点どうなんですか。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 あのときに、一般の平均価格を八百五十円にいたしましたが、徳用米は七百七十円、こういうことに決定いたしました。しかし七百七十円の賢い分を一般の消費者に負担させるという意味はございません。全体として七百九十円が八百五十円に上りましたので、その分につきましては消費者に負担してもらうし、政府の方でも一部負担する、こういうことありましたので、特に徳用米だけをほかの方に転嫁する、こういう意味は持っておりませんで、全体としての考え方であります。
  34. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、臨時閣議決定の第四項に、三十三年度予算編成に当っては、食糧管理特別会計の経理区分について部門ごとに勘定を設けることとし、その損益については、一般会計よりの操り入れにより処理すべきもの、消費者の負担に属するもの、輸入食糧の差益により処理するものの区分をあらかじめ明確にすることをきめております。一般会計から操り入れるもの、消費者の負担に属するもの、あるいは輸入食糧の差益で埋めるもの、こう明らかに区別することを閣議決定しておられる。そうすると、徳用米の損失は一般会計から繰り入れる、そういうことを明確にすべきであるということをみずから決定しているじゃないですか。そこで私はさきに聞いておる。この閣議決定をその後変更されたかどうか。されておりません、こう言うのです。それでは徳用米の損失は一般会計から当然繰り入れなければならぬのです。どうなんですか。これは大きな見落しですか、あるいはごまかしですか。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 決してごまかしではありません。あのときの決定は、今お読みになりましたように、食糧管理会計の区分を部門別に分けることにしております。それから、この消費者米価を上げたこと、その他食糧管理会計における赤字というか、それにはどういう方法をとろうか、それは決算上処理する方法もありましょうし、予算上一般会計から繰り入れる方法もありましょうし、それにつきましては検討を加えることにいたしまして、今度御承知のような新しい方法によってやることになっております。しかし、これは後ほど御質問があると思いますので、その際にお答え申し上げることにいたします。
  36. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この勘定区別は、どこに赤字が出るかということの勘定の区別を明らかにしたい、この明らかにしたあとの赤字をどういうふうにやるかは、これはまた別であります。
  37. 川俣清音

    川俣委員 大蔵大臣答弁まことに明快なんです。その通り閣議決定しておられる。そこで聞くのです。あなたの今の組み方は、赤字が出た最後の繰り入れば考えておられるようであります。これはまた別に質問がありますからそのときに残します。その大蔵大臣答弁通りなんです。第一に赤字の出る部分を明確にしなければならないということが閣議決定であるし、また調査会の答申でもある。そこでここの点を先に明らかにしなければならぬのじゃないですか。徳用米の損失金額はあまり大きいものじゃないにしても、これが赤字の要因になるのでありますから、行政措置ですから、これはコスト内容に入るべきものでなくて、いわゆる政府の一般的社会保障的な施策であるから、当然それは一般会計で受け持つということが出てこなければ、閣議決定に忠実じゃないじゃないですか。あなたの答弁通りなんです。答弁通りでないから聞いている。この答弁通り予算を組んでおられますか。それならよろしいのです。私はまた見落しているかもしれません。大臣答弁通り予算ができておればこれはよろしいのです。私の方が見落しですから。その点どうです。
  38. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の申しますのは、この勘定区別を明らかにして、これはどこに赤が出るか、ここに赤が出る、それを総体的に見まして、そうして考えよう、こういうことなんです。その一部分々々々をとってどう処理しようということは考えておりません。
  39. 川俣清音

    川俣委員 さっきの答弁と違うんです。さきの閣議決定方向は先ほどの答弁通りなんです。答弁通り予算が組まれておりますかと聞いている。たとえば学校給食等の補助をするための一般会計からの繰り入れなどは、これは金額自体は必ずしも決算の上でその通りは出てきませんけれども、一般会計から繰り入れている。これは社会政策的なものであるからということでその補てんを一般会計からいたしております。徳用米も同様でないですか。学校給食は一般会計から繰り入れる。その損失は食管会計で受け持たないで一般会計から繰り入れる。徳用米の損失もまた一般会計で負担区分を明瞭にするという趣旨じゃないですか。あなたはさっきそう説明されたでしょう。
  40. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私今申したのでわかっておると思うのですが、何も徳用米だけについて赤というのじゃないのでありまして、米についてはまた利益になるものもあります。全体として赤が出た場合にどうするか、こういうことです。
  41. 川俣清音

    川俣委員 そこで私は最初に尋ねたのです。徳用米は赤字が出る、欠損になる、その欠損を他の消費者に転嫁するという考えですかどうかと聞いたら、そうじゃないというのでしょう。一つのどんぶり勘定にしたら、一般の消費者にこれをかぶせることになるんじゃないですか。徳用米から出してくるところの欠損を一般の消費者にどんぶり勘定する、あなたの説明はこういうことになるでしょう。そこで、赤字が出たならばそれは別だ、こういうことです。そうじゃない。徳用米を作るということは、すでに欠損が出ることを見越されての決定であります。これはしろうとでもわかることです。初めから欠損が出ることを予定してもなお徳用米制度を置こうという決定でありますから、この欠損は明らかなんです。この明らかなものを一緒にごたごたさせないで分離しようという考え方でないのですか。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほども申し上げましたように、徳用米は特に社会保障という意味でなくて、品質上から準内地米を徳用米に回す、それを一般の消費者の負担に回すということでなくて、食糧管理会計全体としての損益を計算するということで、個々的に徳用米だからその損失は一般会計から入れる、こういう趣旨ではないのであります。
  43. 川俣清音

    川俣委員 これは大臣、ちょっと思い違いですから、私は追及する考えはございませんよ。準内地米ばかりではない。いわゆる陸稲米も加えてそうして徳用米を作った。水稲価格も陸稲価格も同じに買い入れているけれども、実際には味が悪いし、なかなか消費量が伸びないものだから、これを安く徳用米に回す、こういう意味ですから、これは欠損が出るのは明らかなんです。準内地米からばかりくる欠損じゃない。これはオカボを入れているのです。オカボ価格は水稲価格で買い取っております。特に御承知の通りもち米などはやはり水稲と同じように高く買っているのでありますから、当然これは欠損が出てくることは明瞭なんです。それもあえて徳用米を作られたからには、やはりその責任政府になければならないと思う。行政措置ですから。そうでしょう。これは、消費者価格を上げるのはやむを得ない、やむを得ないと言われた。そのかわり一方には徳用米という安い米を設定して大いに低位所得者に対しては恩恵を施すのであるから、一般消費者はこれで負担をせい、こう言われたでしょう。貧乏人の、いわゆる徳用米を食わなければならぬ人の分までも一般国民が負担せいなんと言われたのではないでしょう。それまでも消費者価格にかけるなんと言われたのではないでしょう。徳用米の損失までも一般消費者にかけて価格決定をするのだとは言われていない。だから政府の声明並びに閣議決定と違うじゃないですが。これはもう一ぺんみんなで相談されて御返事になったらどうです。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どうも私と話が違うのですが、私は徳用米の安い点だけを一般消費者に負担させるという建前では全然なくて、全体として消費者に負担してもらうものと、国の財政で負担してもらうもの、こういうわけであります。なお、徳用米は非常に売れ行きがよろしゅうございまして、会計面ではプラスになっておるのであります。
  45. 川俣清音

    川俣委員 この点は大臣ちょっと誤まりですよ。十キロ七百七十円でしょう。七百七十円で売って損でないということになりまするならば、なぜ一体内地米を八百五十円で売らなければ損だということを言い出したか。それはおかしいじゃないですか。十キロで八十円の違いですよ。八十円ですよ。十キロ八十円の開きがあるのに、これで損がないものなら、七百七十円あるいは七百七十円と八百五十円の間をとったって損はないということになるんじゃないですか。この点どうなんです。そうすると、八百五十円というのは不当な値上げであったということになるのですか。七百七十円であまり損がない。八百五十円と七百七十円の間をとりましてもあまり損はない、こういう計算が出てくるのじゃないかと思います。私は出てくるはずだと思いますよ。思うのだけれども、無理に赤字が出るというので八百五十円にしたのですから、何か一般の国民が納得するような説明がなければならないと思う。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今のお話がありましたが、八百五十円の消費者価格決定いたしましたのは、損得という意味ではありませんで、やはり消費者といたしまして家計の影響考えてこういうふうに考えたわけであります。  それから、徳用米についてお話しでありましたが、徳用米は、先ほどお話がありましたように、陸稲とか内地の五等米等も徳用米として配給しておるわけであります。それに準内地米。ここで、陸稲とかあるいは内地の五等米につきましては、会計上損になっていますけれども、台湾等から入ります準内地米においては益が出ておる、こういう結果に現在なっております。
  47. 川俣清音

    川俣委員 それはこまかくなりまするから、あまり追及しません。教えられた通り答弁するとなると窮地に陥るから、私はこれ以上その点は聞かないですよ。七百七十円では損をしないと今も言われた。ところが、八百五十円はコスト価格じゃもっと上るのだけれども、一般会計の負担を入れて八百五十円に押えた、こういうのでしょう。八百五十円自体がようやく押えられておりまするのに、準内地米の価格、これをコストを入れてごらんなさい。七百七十円では欠損のはずです。それにオカボが入るでしょう。オカボは水稲並みの五等米にしても七百七十円じゃ、いわゆるコスト——幾らかの経費を見ましても七百七十円じゃおさまらないのです。赤字が出ることは初めからわかっておるのです。わかっておるからには、一般会計でこれを負担することがすでにきまっておったはずなんですよ。きまったことをなぜ実行しないのかと、こう言うだけなんです。実行されるならいいんです。実行されないのです。そうすると、消費者価格を上げた場合に政府が声明したこことを裏切った予算じゃないか、こう聞いておるのです。もしも裏切らないというならば、予算を変えられるなら、これは別問題です。大蔵大臣どうですか。大蔵大臣に説明できなければ主計局長でもけっこうです。
  48. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、今先ほどからたびたび御答弁申し上げましたけれども、私どもは米について、内国米については内国米全体としては赤を考える、かように考えることはできると思います。
  49. 川俣清音

    川俣委員 そういう答弁があるというと、もう一度質問しなければならぬ。徳用米ということから出てくる赤字は行政措置だ、こう言うのでしょう。そういうことじゃないのですか。どんぶり勘定せい、こういう意味ですか。一般消費者もこれを負担せい、こういう意味ですか。自分の消費価格はもちろん自分が負担しなければならぬ。こういう社会政策的にやったことまでも消費者が負担すべきだというふうに決定されていないはずなんです。それは特別の恩恵だというからには、政府の恩恵だ。行政的恩恵だというからには当然行政費がこれに入らなければならぬのは当りまえじゃないですか。社会政策的なものは一般会計でこれを負担するのが当然な予算の組み方じゃないですか。学校給食も同様でしょう。そうじゃないのですか。それが経理区分を明らかにする、どこで赤字が出てくるかということを明らかにするという建前から言って当然予想されるものです。予想されないなら別ですよ。徳用米を決定したときに、これは当然予想されておるものなんです。あとで出てきた赤字じゃない。徳用米決定のときにすでに出てきたものなんです。その点どうです。
  50. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、徳用米が出てきた赤字にしても、その赤字の処理については内国米全体としてこれを処理する。そういうものを処理したからといって、徳用米を買って生活しておる人が何もそれによって不利をこうむることはない。やはり徳用米の社会政策的な点は見ていかなければならぬと思います。
  51. 川俣清音

    川俣委員 それは論弁ですよ。経理面を先に明らかにしてあなたは答弁しているでしょう。速記録を見て下さい。赤の出たものは赤にして計算して、赤字が出た場合は別個に考えるというのがあなたの先ほどの答弁じゃないですか。こうしたものは先に計算して、さらに出たものは別個に考えるのだというのが大蔵省の今までとってきた建前じゃないですか。  さらにもう一つお聞きしますと、それでは、調査会の意向を十分尊重してこの勘定項目を作られたというのですが、調査会では一般会計から繰り入れるべきものをさらにもう一つ指定しております。事務、人件費等において、消費者負担となるべきもの、一般会計から負担となるべきものを分けていくことが正しい経理内容である、こういう決定をしております。そのことについて相当熟慮されて、そのことを盛るのだということを言われておる。七月五日の決定、閣議決定の附帯した事項にある。しろうとが言ったってだめだ。そこで聞いておるのです。みずから閣議決定しているのですから、それに附帯してちゃんと決定しておられるのだから、私は聞いておるのです。事務、人件費——これは調査会の内容ですが、読みましょうか。あなたの方の国の予算の中にも調査会の決定事項がちゃんと載せてございます。大体もっともだと承認した形において載せておられる。徳用米という、あるいは事務、人件費として当然一般会計からの負担をすべきものを明瞭に区別することになっておる。二つやっておられない。二つやっておられないから赤字が出る。この点どうですか。
  52. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま御指摘のような意見が調査会にあったことは承知いたしております。私もそういう意見ももっともと思います。これはしかしなかなかむずかしい点もある。それで検討を十分加える、こういうことであります。
  53. 川俣清音

    川俣委員 まああとお尋ねします。事務、人件費と区分するということは、これは理想としてはそうあるべきだけれども、どこで区分するかむずかしい。ところが、徳用米については、みずから決定したのだから、区分がむずがしいということを決定できるものではない。七百七十円と決定するときにすでに計算ができておると思う。これは言いのがれがつかない。これ以上追い打ちをしないで、次に問題がありますから、そのときにさらに追及いたします。  今度食管補正をいたしておられますが、財政法二十九条の第一項に基いて補正予算を出されたのか、あるいは第二項に属するものとして提出されたのでありまするか、すなわち追加予算考えられて出されたのか、あるいは修正予算考えられて提出されたものでありまするか、この点は、いずれ補正予算審議のときに十分尽しますが、この際軽くこれを承わっておきたいと思います。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二十九条の第一項に基いております。
  55. 川俣清音

    川俣委員 財政法二十九条の一項、いわゆる追加予算だと、こういうことですね。予算修正じゃない、こういう御意向です。これはちょっと承わっておきます。あとでいずれまた問題にいたします。  そこで、さらにお尋ねをいたしますが、農産物価格安定法から出て参りまする三十三年度の欠損として、約十億が見込まれております。三十三年度に出てくる損失補てん、これは三十三年度の一般予算でこれを見よう、こういう建前をとっております。ところが、米の方だけはどういうわけで一体これと右へならえできないのですか、その根拠がどこにあるのです。麦とかイモとか切りぼしとか、あるいはテンサイ糖などは、三十三年の一般予算で赤字を見る、米の方だけは別だ、こういう根拠はどこにあるのですか、どうも私はよくわがらない。これは、くろうとのあなたに聞かなければわからぬから、一つ……。
  56. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、農産物につきましては、毎年々々処理することになっております。米の方と建前が違います。なお詳しくは事務当局から申し上げます。
  57. 石原周夫

    ○石原政府委員 技術的な点につきまして、お答えを申し上げます。農産物価格安定法は、御承知のように食糧管理法と違う建前の法律になっておりますので、先般の臨時食糧調査会、あるいは十月一日の米価改訂のときにおきます方針に基きまして、これは、赤字が出るようでございましたら、一般会計から補てんをいたすという建前にいたしたわけでございます。それに対しまして、米価の方につきましては、三十二年度の補正をもちまして、運転資金の補足をいたすという建前で補正予算を出しておりますので、両者法律の基礎も違いますし、考え方も建前も違うということを、大蔵大臣はお答え申し上げたのであります。
  58. 川俣清音

    川俣委員 それは、私の質問に対する答弁にならないですよ。同じ食管特別会計の中における一つの勘定科目でありまする、重要農産物価格安定法に基くものは、三十三年度、一つの勘定科目ですよ。それからほかの勘定科目は、三十二年でやらなければならない。三十三年の分まで三十二年でやらなければならないという勘定科目がどこから出てくるか。食管会計と別に切り離しているなら別です。法律の根拠も違うし、これは別建にすべきだという議論はございますから、その問題は別です。同じ勘定項目の中の、一つの食管特別会計の中の一勘定項目です。今まではこの勘定項目は分離しなかった、分離しなかった場合の前例もある、分離してなかったら、なお議論が出てくる。今度は一々分けたのでありますけれども、分けたにいたしましても一つの勘定項目、この一つの勘定項目は、三十三年の一般予算でやる、米の方だけは別だ。こう分けなければならぬ根拠がどこにあるのですか、こう聞いている、その説明さえつけばいい。おそらくつきにくいだろうと思うけれども、答弁願いたい。
  59. 石原周夫

    ○石原政府委員 お答えを申し上げます。川俣委員の御指摘になりましたように、従来一つの食管の特別会計の中でやっておったわけでありますが、法律の基礎にいたしましても、運営の建前にいたしましても、食糧管理の系統と農産物価格安定の関係は違うわけでありますから、従いまして、その筋から申しますと、二つの特別会計を作る方があるいは適当であったかという議論もあったのであります。しかしながら、御承知の通り業務勘定ないしは調整勘定というようなものを設けまして、こういうようなやや共通的な要素もあるわけであります。それを二つの会計にいたしますと、これをまた区分いたさなければならぬ。従いまして、二つの会計にすることはやめまして、この際一つの会計の中の独立の勘定にいたす。独立の勘定ではございますが、先ほど来お話がありましたように、これは基礎の法律が違っておりますから、やはり扱い方は別にいたさなければならぬかと思っております。そういう意味で、一つの勘定にございますが、性格上の違いから取扱いを異にいたす点の基礎が出て参りますわけで、そういうような事柄の実態から、一つの会計の中の一勘定ではございますが、しかも国内の米、国内の麦、あるいは輸入食糧、こういうようなものと違う取扱いをいたす、こういうことに相なっております。
  60. 川俣清音

    川俣委員 私が尋ねておりまするのは、三十三年と三十二年と分けなければならないという根拠を聞いておるのですよ。いずれにしても、調整勘定で十億入れましたところで、端っぱが出てくるのです。いずれ調整勘定で、一つプールしなければならぬことが起きてくるのです。厳然と分離できていないのじゃないですか。分離できていないものであって、大まかに十億というものを入れておるのです。たった十億出るのではないですよ。赤字補てんが予想される推定で、しかもつかみなんです。従って、あとは調整勘定へ持っていっている。それなのに、分離して出さなければならないという根拠がないじゃないですか。これ以上は政治見解だから、大蔵大臣から。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま主計局長からも詳しくお答えいたしましたが、私は、これは分けてもいいという考えを持っております。
  62. 川俣清音

    川俣委員 なぜ分けるかという、分ける根拠を聞いている。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、勘定を変えたということだけで、何もそういうふうに一緒にしなくちゃならぬという理由も私はない、こういうふうに考えております。
  64. 石原周夫

    ○石原政府委員 ちょっと補足して申し上げます。それは、一つの勘定ではございますが、農産物価格安定に関します勘定は、独立の損益を持っているものでございますから、独自の積立金をもちまして、損益の整理をいたすという建前にいたしているわけであります。従いまして、それは先ほど私が申し上げましたような、ちょうど一つの特別会計を別に作っているのと、その限りにおいて同じようにいたしまして、その点につきましては、別な経理の立て方をいたしております。(「なぜ別にしているのか」と呼ぶ者あり)それは、法律の建前が違うからということになります。(「なぜ三十二年にしたらいかぬか」と呼ぶ者あり)それは、今申し上げておりますのは、会計の建前を申し上げておるのでありまして、それに対しましてどういうような繰り入れをいたすかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、三十二年度につきましては、食糧管理の関係につきましての運転資金を入れる。それから農産物価格安定につきましては、十月一日の米価改訂のとき以来のいきさつがございまして、これはやはり一般会計からきちんきちんと整理をいたすべき筋合いである、もし赤字が出ているようなら、これは一般会計から整理をしておくべきものである、こういうような考え方にいたしましたので、両者は、今申し上げたような取扱いの違いが出ております。
  65. 川俣清音

    川俣委員 答弁にならないのです。三十二年度の一般会計の方で、赤字が出ることは大体今計算できるでしょう。去年は、決算を待たなければできないという説明がされた。その説明は、内閣がかわっておりましても、自民党の継続された内閣でありまするから、やはり責任はあるものと解釈をいたしますが、このことは別にして、前はこういう説明だった、いわゆる修正売価主義をとるのであるから、消費価格が上る場合においては、三月三十一日の評価価格に変動がくるから、将来の欠損についての整理は、決算期を待たなければならぬ。決算期の間に消費価格が上ると、修正売価主義をとるのであるから、三月三十一日に持っておる品物の価格に変動がくる、従って計算ができない、こういう説明で前の主計局長はのがれておる。それがなければできるんだ、こういう説明になっている。これは、大蔵大臣どうなんです。ことしは、やはり七日までに消費価格を上げるという腹があるのですか。なければ、修正売価主義としましても、ほとんどこれは原価主義と変らない、それにコストを幾分見ればいいのでありますから、大きな変動はないはずであります。決算期に至って振り返ってみて、大きな変動があるわけはないのであります。この点、どうですか。
  66. 石原周夫

    ○石原政府委員 技術的な点につきまして、私から御答弁申し上げます。三十二年度は、今お話がございましたように、いわゆる修正売価主義と申しますか、臨時食糧管理調査会の決定もまだございませんし、答申もございませんし、またそれに基きまして価格をどうするかということも未定でございましたから、今川俣委員がお示しになりましたように、先へいきまして動くかもしれないということがございましたので、やはりこれは決算で見なければならないということを申し上げたのでございます。そこで、今度はどうなるかということでありますけれど、御承知のように、食糧管理特別会計というものは、八千億に上る大きな数字でございますので、数字が非常に動くわけでございます。従いまして、当初に見込みました数字が、後になって相当動くということが予想されます。従いまして、その点から申しますと、やはり建前としましては、将来も決算で補てんをする、決算で整理するという建前が適当かと思います。ある程度のところで予算繰り入れをいたしておきますと、相当大きな損益の開きが決算に出て参るということを、当然予想しなければならぬと思います。ところがそうしますと、運転資金が非常に枯渇いたすのでありますから、その運転資金が枯渇いたしませんように一般会計から資金を繰り入れるというのが、今回の三十二年度補正の趣旨でありまして、それによりまして運転資金が充足せられるということをねらって、今回の処置をいたしたのであります。
  67. 川俣清音

    川俣委員 全く今までの説明と違うじゃないですか。大蔵大臣、この点について答弁願いたい。大蔵省の方針なんですよ、一主計局長意見ではないのです。大蔵省の持っております建前が大きく変更したということになるのでございます。なぜそれでは変更しなければならなかったのか、その理由をはっきりして下さい。
  68. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 赤字は、決算が出てからこれを補てんする。前からいろいろな赤字が、これは価格変動とか原因がいろいろありまして、赤字がなかなかわからない、これは決算ができてから。私はやはり筋として正しいと思います。今度食糧管理特別会計に百五十億の運転資金を入れました。やはり三十二年度の決算がきまってから、これは処理したいと考えております。
  69. 川俣清音

    川俣委員 その点は、三月三十一日在庫の評価なんです。狂いがあるわけがない。消費価格の変動とか、その後の買い入れ価格に対して特別奨励金を与えるとかいう要素があれば、これは変動いたしましょう。しかしそういう変動させる要素がないのです。三月三十一日現在の現在量に対する評価なんです。この評価の方法も変動しない、従って動く要素がないのです。前は要素があるからということだった、今度は要素がないのだということなら、違ってこなければならないはずです。そのことはまああとにいたします。  そこで、さらにお尋ねいたしますが、食管の赤字が出て困る困る、これをなくしたいということがあなたの願いらしいです。そこでお尋ねしますが、一体予備費というようなものは、今度予算を組むときに、相当渋く予備費を減らすように御努力になっておるようでございます。政府一般の予備費は、前年度と大した違いはない。ほかの特別会計になると、非常に予備費を渋く制約されておるようであります。これは、予算規模への影響ということで、きつくやられたようであります。そのよしあしは別にいたしまして、食管会計の予備費は、従来三百億程度組んでおったのでありますが、今度は五百五十一億という膨大な予備費です。五百五十一億です。大へんな予備費なんです。こういう予備費をなぜ組まなければならないのでございましょうか。五百五十一億という予備費、しかも国会審議の上からも、こういう予備費というような国会審議から免れるようなものは、できるだけ避けていかなければならぬ。財政上からもそうだし、また国会審議の上からも避けていかなければならぬはずであります。十億とか二十億なら別問題ですが、五百五十一億という膨大なものです。なぜこんな膨大な予備費を持たなければならないのでしょうか、これを一つ御説明を願いたい。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一般の歳出等の予備費が大きくなってはいけないということは、おわかりのことだと思います。米の場合におきましては、供出量が相当大きくなる傾向を従来ともとっております。それで、これを円滑に買い上げるためには、相当やはり予備を大きくしておく必要がある。かりにまた予備費が大きくなれば、この予備費が乱用されるかといえば、これは、米の買い上げの問題でありますから、予備費を乱用するということもない。これは業務上から円滑にいくという趣旨でやってるのであります。
  71. 川俣清音

    川俣委員 問題はそこなんです。別に、これは予備費がむだに使われるということで、私は言ってるのじゃないです。予備費を五百五十一億も使わなければならないというような事態は、食管会計に赤字が出てくることが当然予想される事態なんです。これだけ予備費を使わなければならないということは、非常な、予定以上の経費の異同があることを示しておるものだと見なければならぬ。そうでしょう。買い入れをしなければならぬ、保管をしなければならぬ、あるいは外国からくるところの外米、あるいは外麦にいたしましても、異常な値上りをして買い付けに難儀をするというようなときの予備費としてこれを持とう、こういうんです。前は、ほんとうは外国食糧の買い付けの需給調節のために、価格の変動及び数量の変動のために持たれたのが、食管会計の予備費を持つ一番最初の起りです。おもに外国食糧が問題の起りですが、二十八年の不作のとき、国内米の買い付けに使った歴史は持っておるのでありますが、こういう異常に予備費を使うときは、使わなければならぬときは、置かなければならぬときは、異常な状態が起るということなんです。異常な状態が起るということに対して、予備費だけは用意したけれども、その他の事態についての案は何もないじゃないですか。この点どうですか、大蔵大臣
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 予備費が多いという点ですが、それは実際やってみてどうなるか。これは、実績はもう現われておりますが、しかし、主としてこれは買い入れの数量が多かろうということが一番の眼目、それと勘定を幾つにも分けて、それぞれの勘定に予備費を置いた関係からも、総計しますと、やはりふえるという傾向相当あります。
  73. 川俣清音

    川俣委員 もう少しそれじゃ大臣に詳しくお尋ねいたします。内地米の管理三百五十億、——今までは総体で三百億、国内管理で三百五十億、国内麦で五十億、輸入食糧で百億、農産物価格で五十億、業務勘定で一億五千万ですが、この膨大なこれらの予備費を持たねばならないという考えになった。これは、一応歳出権を与えたのであります。使うことの了承を与えられたのでありますから、これを使うということには、膨大な赤字が出ることを用意せられて、心がけられて予算を組まれたかどうか、こう聞いておる。
  74. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 当然大きな赤字が出ることを予定しておいたのではありません。これは、先ほど申し上げましたように、供出の米が多かろうということであります。
  75. 川俣清音

    川俣委員 大蔵大臣は、金の勘定は緻密なんですけれども、物の勘定になると、全然だめなんです。これは、銀行家の癖なんです。一つの銀行が一円なくなると、全部とめて探しますけれども、割合に大切な額やなんかなくなったのは、やむを得ない、マッチが二つや三つなくなったって大したことはない一円だと大ごとに考える。一体大蔵省というのは、金の勘定については非常に渋いけれども、物の勘定に対してこのくらいずさんな官庁はない。これは、みずから暴露している。国有財産管理白書というものが出ている。物の勘定はまことにまずかったということを、国有財産管理白書にちゃんと明確にうたっているじゃないですか。金の勘定はうまいけれども、国有財産の管理につきましてはまことにずさんでありましたということを、白書に正直に発表しておるでしょう。問題はそこなんです。五百五十一億というような予備費を使うということは、使う権限を与えると、赤字が出ることの権限も認めるということなんです。そうでしょう。首を振ったって、五百五十一億のものをさらに買い付けるということは、バランス・シートが大きく破れることは明らかじゃないですか。異常な買い付けを行う異常な処置なんです。予見せざる物の数量の変動、価格の変動ということが重要な要素となって予備費を置かれておるのでありますから、それに伴うこの歳出権を与えると同時に、赤字が出ることを予想されなければならない。出したくないというなら、この予備費は削られておいて、あらためて審議の対象として、そのときに赤字とともに審議しなければならぬものだと思うのです。——食管会計は農林大臣が所管じゃない。大蔵大臣です。
  76. 江崎真澄

    江崎委員長 一応どうでしょう、川俣さん、一つ農林大臣責任大臣としての考え方もお聞き取りをいただきまして、それからまた大蔵大臣にも答弁させますから。
  77. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、昨年度までは、食管会計はどんぶり勘定でありました。どんぶり勘定でありますから、内地米で損があったとか、外麦で得があったとか、その間で調整がとれていたわけであります。ところが、ことしからは部門別にいたしましたから、今度の制度によりますと、部門別に損益が出ました場合には、運転資金の中へ益は繰り入れたり、損は落していく、こういうことになりますから、部門だけで一応は経理をやっていく。こういうことになりますから、各部門別に予備費が多くなるわけであります。その合計をやりますと、昨年より予備費が多くなる。昨年はどんぶり勘定でありますから、一応相互流通し合ったという関係で、ことしは予備費が多くなっております。
  78. 川俣清音

    川俣委員 農林大臣内容を聞いておるのじゃないのですよ。五百五十一億の歳出権を求められておるのでしょう。内容は何であろうと、食管会計総体で五百五十一億の予備費の歳出権を与えろという予算要求をされておるのですよ。三百億から五百五十一億の膨大なものになった予算歳出権を認めろという要求なんでしょう。従って、五百五十一億を使う権限を与えますと、赤字が出ることが予想せられるのです。予想しなければこんなものは要らないのです。付帯して起ってくる問題なんです。赤字の方は考えない、歳出権だけ与えろ、こういう要求はずさんではないかと思う。これは大蔵大臣に聞いているのです。
  79. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからたびたび答弁するのですが、これは無理に歳出権を使って買うというものじゃないのです。供出量がふえてくるから、それに応じて円滑に受け入れよう、こういうことです。ですから、供出が少ければ、自然これは予備費を使わなくて済むのです。こういうことになります。しいて歳出権を使うという意味じゃありません。それに、先ほどからしばしば申しましたように、勘定を幾つにも分けてありますから、それぞれの勘定が円滑に働くためには、それぞれに予備費をどうしてもある程度置かなければならぬ、そうすると合計がふえる、これは先ほどから繰り返して申し上げておる通りであります。
  80. 江崎真澄

    江崎委員長 主計局長に関連して答弁をさせます。
  81. 石原周夫

    ○石原政府委員 補足をしてお答えを申し上げます。川俣委員お話しになりましたように、米が三百五十億、麦が五十億、輸入食糧が百億、農産物が五十億、それから一億余の小さいものが業務勘定にあります。これは、先ほど来両大臣お話しになりましたように、今までの一本勘定が分れました関係で、たとえば従来全体では三百億で払いがつきましたものを分けたのであります。米についてお考え願いましても、非常に簡単におわかりになると思うのでありますが、百万石ふえますと百億円ふえるわけであります。従いまして、三百万石ふえることになりますと、すぐに三百億の金が要るわけであります。従いまして、そういうような予備費を支出いたしました際には、数量がふえるわけでございますから、それは、赤字がふえるわけではございませんで、それだけの見合いの資産がある、ないしは売り払い収入がふえるということになるわけであります。従いまして、予備費がふえたということは、今申し上げましたように、勘定区分をいたしましたために、各勘定がある年度の半ばに行って急に帳じりが合わなくなるということを避けますために、業務上の必要に備えますためにやったことでありまして、そのために、今お話しのようにすぐに赤字が出るかといいますと、今お話し申し上げましたように、すぐ数量がふえまして、それに対する売払収入が増すとか、在庫があるということになりますれば、この場合には、見合いのものがあるというふうに御了承願いたいと思います。
  82. 川俣清音

    川俣委員 それは明快でない、それは、しろうとの説明なんです。大蔵大臣でなくあなたが説明するからには、もう少し詳しく説明せねばならぬ。なぜかというと、買上米が多かった場合は、翌年度に対する持越米が多くなる。これは米ばかりじゃありません。麦にしても、輸入食糧にいたしましても同様です。従いまして、買い上げに要する費用、運搬、保管料、金利というものが、これだけ五百五十億がふえますならば、当然かさむのです。御承知の通り、米だけで幾ら金利を払っておるか、七十五億以上ですよ、内地米の金利だけで七十五億以上です。保管料でやはり七十億をこえておるのです。これが五百五十一億使われますと、さらに金利負担が高まり、保管料が高まり、ロスがふえていくのです。だから、お金の勘定を知っていて、物の勘定を知らぬというのは、その点なんです。赤字が出ないというなら、こういう多く買わなければならぬ事態が起きて保管しなければならぬ場合には、その保管料は一般会計から負担をする、あるいは金利もまた一般会計から負担をするというお考えがあれば別ですよ、そうじゃないのでしょう。この歳出権を与えろというから歳出権を与えたならば、これに付帯して負担が伴うのです。保管料、手数料並びに金利、膨大な金利です。内地米だけでも七十五億という膨大な金利を払わなければならぬ。そうじゃないのですか。七十五億という金利ですよ。保管料もおそらく七十何億です。この膨大なもの、内地米だけで三百五十億の歳出権を与えますならば、さらにその金利が上回る、保管料が上回る、それをみんな消費者に負担をせよと、こうくるから、こういう結果になるから、赤字は負担したくないというのが消費者の念願であり、従って歳出権も与えられないし、赤字が出てくるような権限を政府には持たせられないと、こういうことなんです。それでもなお持つというのはどういうことなんですか。
  83. 石原周夫

    ○石原政府委員 金利、保管料というようなものにつきましては、取扱い数量、あるいは在庫数量というものによりまして動きが出ます点はおっしゃる通りであります。従いまして今度の買い入れ数量がふえました場合にどういうことに相なるかということは、これは売り渡し数量をどうするかということにも関連しますけれども、そこら辺のところをしぼってみましたところ、どういうような平均在庫になるかということに相なるわけでありますが、私が先ほど来申し上げておりますのは、こういうような業務上の会計でございますから、従って豊作であるというような場合に、これは今の食糧管理法の建前といたしましては、それだけのものを義務的に買い入れるということに相なりますると、それに対するところの備えをしなければならぬということを申し上げておるのでありまして、その場合の備えといたしましては、現在の場合としては予備費をふやすという形に相なろうかと思います。
  84. 川俣清音

    川俣委員 これだけにとどめておきますが、十年の食管の歴史をごらんなさい。不作のときに赤字が増大し、豊作のときに赤字が増大しておる。いずれにしても異常な変動のときなんです。二十八年の不作のときに赤字が非常に大きくなった。豊作にまた大きな品物をかかえて、これを配給に回さないでいたずらにかかえておったために金利負担が大きくなり、保管料が大きくなっておる。買い入れ数量が多くなったときと少いときと二つに出ておる。少いときは問題ではありません。その赤字は、最高の歳出権を与えた場合でも、全部使わなければならぬというときには、大きな赤字を背負わなければならぬことは、大正十年からの食管会計の歴史において明らかじゃないですか。そうでないという年が一つでもありますか、あったら説明して下さい。大正十年からの食管の歴史を見てごらんなさい。大正十年から大蔵省の所管でありますから明らかであります。あなたが説明するようなことが一年でもあったらお目にかかります。説明してごらんなさい。
  85. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど来申し上げておりますのは、買い入れ数量と売り渡し数量との関係で、どういうようなネットの在庫になるかということでございますから、従いまして買い入れ数量の方が売り渡し数量を上回るかどうか、実効上どうなるかという問題かと思いますので、その点はもうあと百万石、また二百万石ふえたらどういうような売り渡し計画になるか、これは食糧庁の方の計画かと思います。従いましてそこら辺のところをしぼりました結果が、今現に言った数字になるかと思いますので、そこら辺のところは、そこら辺の需給計画の数字を洗ってみました上で出て参るかと思います。
  86. 川俣清音

    川俣委員 大正十年からの歴史を調べて、いずれまたあとお尋ねします。あなたのような説明にならないのです。農林省がどんなにやりましても、大蔵省がやっても……。たとえば三十二年の食糧及び農産物の経費を見てごらんなさい。国内米で供給量が四千八百八万七千石です。それで買い入れが二千七百万石、持ち越しが二千百万石、売却が二千九百万石になっておる。たとえば買い入れに対して五百万石を持越米に持つというのは常識です。戦前も大体端境期における持越米というものは大体五百万石か六百万石。それを持越米二千百万石、買い入れ二千七百万石、合せて四千八百万石持ち、売り渡しを二千九百万石持っているのじゃありませんか。これは米の例です。麦の例も同様です。従って歳出権を与えるとこういう結果になるから、赤字を初めから組んでおるなら歳出権を認めましょうと言うのです。組まなければ認めるわけにはいかないということになるじゃないか、こう言っておるのです。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは先ほどから言うように、やはり農家から見て米がたくさんできて供出したい、そういう場合に……。だから、それを円滑に買い入れるために予備費をふやしておくということは適当なことじゃありませんか。私はさように考えてやっております。
  88. 川俣清音

    川俣委員 内地米が多く出たときには買わなければならないということを阻止しようというのではない。そういう場合には赤字が出るということを覚悟して、予備費を請求されなければ認めるわけにはいきません、こう言っておるのですよ。予備費を多く使ったときは、いつでも赤字が出た年なのです。赤字は別だ、予備費を使うだけの権限を認めろというのは——予備費を使うことは膨大な赤字が出るところの要因となるのであるから、赤字対策が講ぜられないで、しかもことしのように余裕金のあるときであるから、すでに対策を立てられて、これだけの予備費をお使いなるならばよろしい、こう言うのです。余裕金があるのですから、予備金に見合うものを用意されるなら別です。一般会計から少くともこれに見合うところの四、五百億の金を用意されて、予備費を使うことを承認を求められるなら、これは筋が通っております。この点はどうです。
  89. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今のお話ですが、たとえば来年豊作だということになれば買い入れ数量がふえるわけです。買い入れ数量がふえれば赤字がふえるということになります。そういう場合には、今度は外国輸入食糧関係は減ってもいいわけです。その場合にはその方の予備費はあまり使わない、こういうことになります。しかし先ほどから申し上げましたように、部門別になっておりますので、それぞれの部門でまかない切れるだけの適当な予備費というものは必要だ、こういうふうに考えております。
  90. 川俣清音

    川俣委員 赤城君、初めていい答弁——いい答弁というより、もっともらしい答弁をした。それならばそんな歳出権を求めないで総体の歳出権を求めたらいい。おのおの使ってもいいという要求をされたのですから、内地米にも使おう、外国食糧にも使おうという一本にされた要求をされておるのでしょう。そういう請求なんでしょう。これは相融通し合うならば、調整勘定のところに予備費の金を置くならば別ですよ。おのおの要求されたならば両方ともおのおの使ってもよろしい、使わしてほしいという請求なんでしょう。別々だというなら、確かに内地米をたくさん買った場合には外国米は買わないでよろしい。それならばそのように予備費を使用するようにしておいたらいい。こんなものを使えるようにされておくからには、それだから……。大臣、そうむきにならないで、あまりボロを出さないようにできるだけ……。そこで、あまりわからないで答弁をすると、かえって時間を食いますから、私の方で説明しますよ。そこで、そういう説明になると、この予備費というものは毎年一本の方がよろしいということになる。しかし、いやそれは別だ、片方は内地米が多くとれたときでも外国食糧が値上りしたときのことも考えられるから、これは外国食糧として別建にとっておかなければならない、こうも説明ができる。あなたのような説明だと、どんぶりで一本にしておけばよろしいということになる。そういうふうに予算を変えてこなければならぬ。そうでない、内地米をたくさん買わなければならぬ場合も起きてきたような場合、外国米がもし不作な場合には、それだけでも足りないから、トン当りのドルが非常に不足をして、これでは足りない、こういうことも意味する、こうなってくると、膨大なものだと思うのです。そこでこれは何とか一つ考え直されたらいいんじゃないですか。もっともなように答弁だけを免れようといたしましても、また問題を起すのですから、もう一ぺん一つ大蔵大臣農林大臣とそこで相談をして、御返答願いたいと思うのです。
  91. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一括して予備費を置いた方が適当ではないかという御意見のようでありましたが、部門別に分けましたので、その部門ごとに整理しまして、その整理のあとを資金の方で調整勘定でこれを移していって整理する、こういうことになっていますから、部門別に分けた以上はやはり各部門ごとに予備費を置いた方が適当だ、こういうふうに私は考えております。
  92. 川俣清音

    川俣委員 それでは次にお尋ねいたします。そこで三十二年の赤字補てんとして閣議決定に基きますというと、三十二年の赤字補てんを補正でやるというふうに閣議決定をしております。資金で持つなんという決定はしておられないのですが、いつこういうふうに変更になったのか。七月五日の閣議決定も九月の決定もこれを一般会計から赤字補てんとして繰り入れるという決定をしておられるのでありますけれども、資金で持つなんという決定をしておられないのにいつ変更せられたのですか。これは大蔵大臣独自で変更したんですか。前の閣議決定なんというものは、大体大蔵大臣は認めないということもときどきおやりのようでありますから、そういうふうな判断でおやりになったならこれはまたよろしい、一体いつそういうふうに変更せられたのですか。
  93. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御質問が私ははっきりとらえ得なかったのですが、この決算が済んでから補正する……どういうふうな御質問でございますか。
  94. 川俣清音

    川俣委員 三十二年の赤字補てんは一般会計から繰り入れて赤字補てんをする、こういうふうになっておる。それを調整資金で持つ、こういうふうになったのはいつ変ったんですか。
  95. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三十二年の赤字百六十億は今度補正をして入れるわけです。そのほかに百五十億を資金として持っている、こういうことになるわけです。
  96. 江崎真澄

    江崎委員長 主計局長に補足させます。
  97. 石原周夫

    ○石原政府委員 補足して御説明申し上げます。十月一日に臨時食糧調査会の答申に基きまして米価の改訂をいたしたわけであります。その際に、この米価改訂をいたしました以外の分は一般会計から繰り入れる、あるいは勘定区分をやるということをきめまして、ここの機会に食糧管理特別会計を健全化いたすという方向を打ち出し、その方向に基きまして自来関係省で相談をいたしました結果、これはやはり資金を繰り入れることによりまして運転資金を充足いたすということが最もいい方法であるということになりまして、従って経理の健全化という具体的な方法といたしまして資金の繰り入れということを決定いたしたわけであります。
  98. 川俣清音

    川俣委員 あなたの説明だと運転資金という説明なんですね。しかも決算が終った三月三十一日に初めて運転資金となる。一日より運転資金のないようなものなんです。これは運転資金というのですか。
  99. 石原周夫

    ○石原政府委員 補正予算がいつ通るかということとお尋ねの点は関連をいたすかと思うのでありますが、補正予算通り次第、所要の手続を経まして一般会計からの繰り入れをいたしたいというふうに考えておりますので、必ずしも三月三十一日というわけでもないのであります。
  100. 川俣清音

    川俣委員 三十二年度の赤字見込み九十六億は三十二年の決算を待って赤字補てんをする、こういうことでしょう。そうなんですね。その間は運転資金、こういう説明なんですね。そうじゃないですか。
  101. 石原周夫

    ○石原政府委員 三十二年度の現在の見込みは九十六億という数字予算参照書でお示しをいたしております。これがきまりますのは七月になるわけでありますが、それがきまりましてから補てんをいたします。しかしながら今回繰り入れておりますこの資金は百五十億でございまするので、それを上回った金額でございますから、九十六億の穴埋めをいたしましても、現実には食管の赤字というのは一ぺんに出るわけでございませんで、毎日々々、毎月毎月出ておるわけでありますから、その意味で一ぺんに七月出るというわけではございませんけれども、全体を通じまして百五十億、もし九十六億という金額にきまりまして、その欠損処理をいたしましたあとにおきましては、それで百五十億の差額というものが運転資金ということに相なる、そういうことでございます。
  102. 川俣清音

    川俣委員 これは三月三十一日にもうすでに赤字がある。この赤字をすみやかに埋めておかないというと金利がかさむのです。食糧証券を発行して人の金を使っておるのですから、早くこれを埋め合せておかないと、延びれば延びるほど運転資金にはならないのです。一方において多額の金利を払わなければならない、その金利負担の方が大きいのです。問題はそこにあるのです。  まあ答弁にならないけれども、次の問題に入ります。そこでさらにお尋ねいたしますが、一体ほんとうに食糧会計に資金を持たせるわけにはいきますまいか。先ほど申し上げたように、政府責任を持って赤字を出さないとするならば、出させないようにするには、食糧証券でありますとか、いわゆる公債に準ずるような食糧証券を発行して買い入れをさせないで、初年の需給調整法のように、自己資金を持てばこういう金利負担が避けられます。少くとも金利負担七十五億という膨大なものがなければ赤字の解消率が非常に高いわけです。そこで自己資金を持たせるわけにはいきますまいか。管理会計の中であへん特別会計は御承知の通り、去年が三千五百万円ですか、おととしが千五百万円、合せて五千万円、みんなで七千二百五十万円かの資金を持っておるわけです。同じ管理会計の大蔵省に属するところのあへん特別会計は資金を持たせて管理会計をやっております。食糧国民全体に及ぼすものでありますから、本来であれば、むしろこういう余裕金のあるときに減税をするということと同じように——減税の恩典は、税金の場合では非常に階層によって違いますけれども……。
  103. 江崎真澄

    江崎委員長 静粛に願います。
  104. 川俣清音

    川俣委員 食糧に対する手当をしました場合は、国民全部に及びます。従ってこの食糧会計の健全化のためにも、資金を持たせますならば、少くとも金利負担が少くなるわけでありますから、金利負担が少くなれば赤字が出てこないことになります。そこで金利を持たせることにいたしてはいかがですか。あへん特別会計は御承知の通り年間二億くらいの予算で七千二百万円くらいの資金を持っておるのです。食管会計は御承知の通り八千七百億くらいの仕事をいたすのでありますから、約四千倍の資金を、あへん特別会計と比べますると持ってもいいということになる。そういたしますと、少くとも三千五百億くらいな資金を持ち、あるいは持ち越し米に見合うだけの資金、二千五百億でも持ちますならば、食管会計は健全会計になると思うのですが、健全会計を望み赤字を解消しようとするならば、こういう余裕金のあるときに、食管会計の資金に回すようなことを考えられたらどうです。
  105. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 食管会計の金利負担をできるだけ軽くするということは異論がないのでありまして、今まででもできるだけ努めております。たとえば国庫余裕金を現在でもおそらく千億以上食管に入れておるような状況であります。また今回のこの資金を入れたのも、やはりこの赤字があるような状態でこれを糧券でおおうということが不健全だ、それで今回こういう措置をとったわけであります。しかしこれは要するに考え方はいいにしても、やはり財政全体の観点から考えていかなくちゃなりませんし、また財政に余裕があっても、その余裕をどういうふうにまた重点的に使うかといういろいろな問題がありますので、すぐに食管に入れて食管特別会計を充足することばかりにいくわけにもいきませんので、御了承願いたいと思います。
  106. 川俣清音

    川俣委員 ちょっと詳しくなりますが、一体金利が下った、下ったと言いますけれども、三十一年、三十二年、三十三年の予想を比べますると、石当り、三十一年は百八十一円、三十二年は二百四十六円、三十三年は二百五十七円を予定しておるじゃないですか。ちっとも下っていないじゃないですが。三十一年と三十二年は、一方では年度会計であり、一方では米穀年度会計である、こういうことで差ができたという弁解をなさるかもしれませんけれども、いずれにしても三十一年の石当り百八十一円から二百四十六円と、六十五円のはね上り、さらに三十二年から三十三年は十一円のはね上りであります。これはどうなんですか。できるだけ金利負担は安くすると言いますけれども、これははね上っているじゃないですか。
  107. 石原周夫

    ○石原政府委員 川俣委員お示しのように、三十三年度は十一円ほど金利が上る計算に相なっておるわけであります。これは従来食管会計がどんぶり勘定でございましたので、金利負担の割掛がこういうふうに精密な計算をいたしてなかったというところにその理由があるわけであります。今回は国内の米、国内の麦というふうにみな分けたものでございますから、おのおのそのために、たとえば概算払いをいたす、概算払いのためにどれだけどの時期に要るというような計算が正確にトレースできるわけであります。従いましてそういうような精密計算の結果こういうような計算が出て参りまして、今お示しのような金利負担の増加に相なっておるということになるわけであります。
  108. 川俣清音

    川俣委員 いずれにしても、コストが上ったということには変りはないのです。下った、下ったというのに上っておるじゃないですか。このコストを基礎にして赤字が出るという計算をなさるのでしょう。これだけの経費がかかったから中間経費これだけ、政府負担経費これだけだから赤字だ、こうおっしゃるのですから、この赤字の要因であります行当り金利負担の率を下げていけば、赤字が出ないということになることは明瞭なんです。そこで負担の軽減、コストを引き下げるという、こういうお説であり、そういう主張であるならば、みずからこの金利を下げる必要があるのじゃないが、そうすると赤字にならない。これが安くなる。中間経費が少くなりますと、八百五十円の消費価格でもなおもうカるということになってくるのでありまして、あえて消費価格を上げなければならないという理由にはならない。赤字だから上げろ、こう言っているのですから、赤字にならなければ、上げる必要はないじゃないですが。それでもなお大蔵省は、農林省に対してことしの秋ごろにはさらに消費価格を上げようというようなお話があるようですが、この点はどうなのですか。上げるのですか、上げないのですか。
  109. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のところ考えておりません。
  110. 川俣清音

    川俣委員 そうしますと、上げないで赤字を解消するということになると、この資金を持たせることにお努めになったらよろしい。どうしてできないか。
  111. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 繰り返し申し上げますように、御意見には全く賛成しておる。できるだけこの金利負担を軽くしようということに努力いたします。どういう程度でやれるか、今後のいろいろな事情を考えなければなりません。かように申しておるわけであります。
  112. 川俣清音

    川俣委員 それであへん会計と同じように資金を持たしたならば、金利負担がなくなって負担率が四分の一以下になる。最盛期における短期の食糧証券の発行だけで済むのですから、負担がほとんどなくなる。そうしたら解消できるのではないか、やればやれぬことはない。どうしてできないのですか。これを聞いておる。
  113. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは財政力にも限界がありまして、またこういうような金をどこに使うかということについては、かりに余裕がありましてもいろいろ慎重に考えなければならぬということを申し上げておきます。
  114. 川俣清音

    川俣委員 先ほど申し上げた通り、これは国民全体に及ぼすものです。ほかの減税だというとある階層に及んで、ある層には及ばないということがあります。食管会計の赤字を解消するということは、国民全体の負担を軽くならしめることでありまして、このくらい適切な国民所得の分配はない。税金を国民に還元するとするならば、これが一番還元の方法として公平な還元の方法だ。消費価格を上げる、または下げるということによって、最も国民の税金の負担を軽減する意味におきましても、このことは考えられてよろしいのではないかと思う。あへん特別会計が持っておるのですから、同じ管理会計が持っていて、食管だけ持てないということはない。大正十年の高橋是清のときには、三千六百万円の資金を持たせた。これを現状の価格に直しますと大へんな金になる。これはもちろん統制価格でなくて、需給価格を持っておったときですら、こういう資金を持たせて運用させた歴史があるのでありますから、持てないことはない、持たしてならないことはない。こういう国庫余裕金のあるときにこういう方策が講ぜられなければならないと思いますが、この点はどうですか。
  115. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 重ねてのお尋ねですが、御意見は十分傾聴いたすのでありますが、十分これは慎重に検討しなければならないということであります。
  116. 川俣清音

    川俣委員 そこでもう一つお伺いします。先ほど食管会計は買い入れ価格に対して中間経費をかけてある程度コストを見ておるのは妥当な方法である、こう言われたのでありますが、そういうコストというものは、臨時調査会の答申に基きましてもおわかりになりますごとく、それは米穀年度、買い入れた米に対しての経費をかけてみて赤字が出るか出ないかということが、これがコスト主義考え方であります。ところが大蔵省の考え方はそうじゃない。年間を通じたいわゆる米穀年度、買った米にプラスするのじゃないのです。前年買った米とこれから買った米とを年間通じた計算ということになると、これはコスト主義というわけにはいかない。買い入れ原価に対して経費幾ら、これで幾ら売る、こうならなければいけない。ところが会計年度は、米穀年度においてはまたがるのでありますから、両方の買い入れ価格が二つあるわけであります。従って買い入れ価格が二つあり、中間経費が二つある。そのバランスをとった赤字を見るというのが会計年度のやり方でありまして、いわゆる調査会が示した実態価格あるいは需給均衡価格というものから離れた価格構成を考えられて赤字だ、こうおっしゃるのではないですか。この点をもう一度。
  117. 石原周夫

    ○石原政府委員 米穀年度と会計年度との食い違いから、中間経費の計算などにおきまして若干の食い違いが出ることはお説の通りであります。しかしながら今赤字がどうだとか、あるいは需給均衡価格がどうだとかいうことを食糧調査会がおっしゃっておりましたのは、そういうような両会計年度からの両年度の計算の違いからくる差ではなくて、実態的な生産価格コストをプラスしたその計算の最も大づかみなところを見ているわけであります。修正原価主義として期末に計算をいたします計算の仕方には一つの計算の仕方がある。もちろんそれはその計算で赤字がどうだ、黒字がどうだということに相なりますけれども、そこのところの差よりはもっと大きな差が現在出てくることは御承知の通りであります。そこのところの実態をどうするかということが今後の問題であると考えております。
  118. 川俣清音

    川俣委員 次に、時間が参りましたから方向転換いたしまして、過年度農業災害についてお尋ねをしておきます。  二十八年災害につきましてはまだかなり残されておるようでございます。当然当時の立法処置から見ましても政治的負債があると思うのであります。二十八年災害をいまだに放置しておるのでありまして、その責任はかなり重大だと思う。こういう財政余裕金の出たときにこの負担をしておくこと、過去の負債を公債整理と同じように整理しておくことが必要じゃないかと思うのですが、いまだに今度の予算を見ましてもまだ二十八年災害を残しておられますのはどういうわけですか。
  119. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二十八年度災害がまだ残っておりますことはまことに遺憾でありますが、しかし、御承知のように、二十八年度災害は二千億以上にも上る大災害でありまして、今これを一挙に解決するには、なおおそらく百億以上の金が要るような状況であります。それで、財政の状況からいたしまして、今回は残りの五割やる。で、全体としておそらく九二%ないし三%程度は完了いたします。従いまして、この三十四年度には完全に完了いたす、こういうことになるわけであります。今のところは、こういう程度お答えする以外にないのであります。
  120. 川俣清音

    川俣委員 三十二年度で余裕金が出た場合には補正予算を組んでこれらの仕事を遂行するということが本来の姿じゃないかと思うのでありますが、時間がありませんから、これ以上追及いたしません。あらためて別な機会に譲ります。  次に農林大臣お尋ねしておきたいのですが、木材は、先ほど申し上げた通り世界的に生産も伸びておりますし、需要もまた伸びてきております。これは建築材ばかりではなしに、むしろ繊維パルプ、あるいは紙パルプの需要増大に伴いまして、木材の需給がかなり逼迫するのではないかと思われます。国内におきましても相当山がはげて参りまして、手近かなところにその資材を求められないような状態にもなってきております。植伐のバランスがだんだん破れかけてきております。ことに、四、五年を考えますと、相当な危機がくるのではないかと思うのですが、農林省は、林道の開発、拡大造林等を考えられておりまするけれども、なお植伐の不均衡が来まして、これらの面から日本の産業を大きく制約するような結果が来るのではないかと思うのですが、これに対して対策をお考えになっておりますかどうか、お尋ねいたします。
  121. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいまお話通り、木材の供給力が非常に逼迫する見込みであります。でありますので、あるいは五カ年計画あるいはそれ以上の長い計画に基きまして、人工造林するとか、拡大造林とか、こういう手を打って、計画に従って供給力を進めていきたいと思います。特に本年度におきましては、造林の資力のないところにつきましては、造林をする所有者との間に契約を結ばせまして、これを植林した場合には共同のような形にして、伐採するときにはこれを部分的に分けていくというような分収造林といいますか、そういう法律も追って御審議を願うことにしたいと思います。御趣旨のように非常に心配でありますので、強力に進めていきたい、こう考えております。
  122. 川俣清音

    川俣委員 最後に総理大臣並びに石井国務大臣お尋ねしておきたいと思います。  夏ごろの閣議で、国家公務員の責任体制の確立ということを強調された声明が行われたのでございますが、国家公務員の責任体制が必要でありますことは、もちろん異議はございませんし、かくあるべきだと思うのです。ところが、現在国家公務員の身分が不安定な形において、いわゆる常勤労務者、または非常勤でありながら常勤の仕事をしておるというような身分の不安定な形に置かれておる人々が多数おられるわけです。これでは、いかに責任体制の確立と申しましても、身分が不安定であったのでは責任の追及をすることができなくなるだろうと思うのです。そこで、実際必要なために使用しております労務者といいましても、非常勤職員でも常勤的任務を持っておる人々に対しましては、責任制の確立の上から、すみやかに定員化いたしまして、国の人事管理を完璧ならしめることが必要じゃないかと思うのです。ところが、せっかく閣議で国家公務員の責任制の確立を声明されましても、中のある官庁、あるいは行管などでも、それは内閣の声明であって法律じゃないのだからして、全部定員化しないでもよろしいんだというようなことすら言われておるのであります。これは内閣の声明を非常に無視するものでありまして、いかに国家公務員の責任体制を確立するかということに末端まで徹底しなければ、閣議の権威がなくなると思うのでありまして、この点に対して総理大臣並びに所管の石井国務大臣から御答弁願いたいと思います。
  123. 岸信介

    岸国務大臣 昨年の九月に、たしか閣議を決定いたしまして、公務員の責任体制を明確にすることについて談話を発表いたしました。従来もしばしばこういうことが行われておりますが、しかし、私は、今回のことにつきましては特にその効果を期待いたして、各大臣の所管の公務員についての責任体制をどういう方法で明確にし、どういうふうに実行しておるかということを内閣に連絡するように、報告を求めて、相当な効果をあげつつあります。ただ、今のお話の定員外の労務職員としての職員が相当数あります。これを定員化する問題については、従来もいろいろ御議論がございましたが、勤務の内容、実態等から見て、これをことごとく定員内に入れるということは困難であると思うのであります。また公務員法の全面的改正の問題もありますので、それらもにらみ合せまして、本年度は、そのうち定員の中に入れることを適当と認めておる約二万名ばかりの者を定員の中に組み入れるという措置をとっておるわけであります。
  124. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 ただいま総理大臣がうお答えしたような次第でございますが、行管で取り扱いました定員外の職員の定員化の問題について少し補足して申し上げます。  これは数年来国会で何とかこの問題を解決せよということを言われ、また内閣の方でもこれを解決したいということを表明いたして参りました。私が行管の仕事を引き受けてこの問題に取り組みまして、いろいろ研究しまして、私の考えは、実は、これは一挙に解決すべきものでないか、そのためには公務員制度調査会の答申が出ているのでありますから、これに沿っての公務員制度各般にわたっての改正を行い、それによって六万人に上っておりまする定員外の人たちの処遇をしていく、ある人は公務員にするか、ある人はしないかということできめたいと思いましたけけども、どうも公務員制度をこの国会に出すには手おくれで、少し時間がないのでございます。で、かねてからのお約束によりまして、少しでもこれを解決する方向に進んでいきたい。できれば私は公務員制度そのものを改正して一挙に解決したいのでありますが、できませんから、今度は実態調査資料をこしらえまして、いろいろな面につきまして詳しい調査と、それから各省とも相談をいたしまして、それから集計いたしました結果が、約三分の一、六万人のうち二万人弱になったのでございますが、この人たちだけでもこの際は直して、責任の大小によりまして、公務員にするならしていく、そうして将来一日も早く公務員制度その他を改正して全面的に解決をしていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  125. 江崎真澄

    江崎委員長 川俣君、申し合せの時間も経過しておりますので、結論にお入り願います。
  126. 川俣清音

    川俣委員 まだ残っております点は分科会等に譲りまして、私の質問はこれで終ります。
  127. 江崎真澄

    江崎委員長 柳田君より関連質疑の申し出があります。この際これを許します。柳田秀一君。
  128. 柳田秀一

    柳田委員 大蔵大臣予算の形式の点を一点だけただしておきます。  今回の三十三年度食管に百五十億の調整資金をお入れになったのでありますが、これは補第2号によって一般会計から三十二年度に繰り入れられる。従ってこれが当然食管特別会計の方に、受け入れる方にも受け入れの措置をとられなければならぬと思いますが、その措置はとられておりますかどうか、大蔵大臣からお答え願いたいと思います。
  129. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この百五十億の一般会計からの繰り入れは、これは特別会計の歳入の方に関係するものでありまして、歳入は見積りになっております。特別会計の方の補正はいたしておりません。
  130. 柳田秀一

    柳田委員 歳入の見積りだと言いますが、財政法の十四条でも、歳入歳出はすべて予算に編入しなければならぬ、こういうことになっておるのですが、そうすると、一般会計の昭和三十二年度から補てんしたこの百五十億、これは、財政法による予算に受け入れなければならぬという予算はどこでこれを受け入れるのですか。三十二年度の食管特別会計で受け入れるのですか、どこへ受け入れるのですか、その点を明確にしていただきたい。
  131. 石原周夫

    ○石原政府委員 三十二年度の…補正予算におきまして、一般会計で計上いたしました百五十億円は、食管特別会計の歳入へ受け入れになるわけであります。
  132. 柳田秀一

    柳田委員 ただいま主計局長から明確に、百五十億は特別会計の歳入で受け入れる。そうしますとこれは三十三年度の特別会計の受け入れでやられますか三十二年度でやられますか。これは事務的になりますから、私の方から申し上げますが、主計局長でけっこうです。
  133. 石原周夫

    ○石原政府委員 三十二年度の歳入で食管会計で受け入れますと、これは別途御提出をいたしております法律案で明らかでありますように、三十三年度は新しく調整勘定ができますので、調整勘定の調整資金に組み入れられるわけであります。しかしながら、この金は現実には三十二年度中に米麦その他の食糧になっておりますので、三十三年度の調整勘定といたしましては、これをさらに歳入に繰り入れるということはいたしません。
  134. 柳田秀一

    柳田委員 そうすると、百五十億の一般会計から繰り入れた分は、三十二年度の食管の特別会計にも繰り入れられていない、三十三年度の食管の特別会計にも繰り入れられていない、その間は宙ぶらりんになっておるということに相なりますが、これは大蔵大臣から一つお答え願います。
  135. 石原周夫

    ○石原政府委員 ちょっと先ほど……
  136. 江崎真澄

    江崎委員長 主計局長答弁あと、必要があれば大蔵大臣からも答弁があるそうであります。
  137. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、三十二年度は食管会計の歳入になるということを申し上げたわけであります。従って、三十二年度の食管会計の歳入になりまして、食管会計としてはそれを受け入れまして、それが米麦その他の食糧になっておる。三十三年度はその状態で勘定区分をいたしまして、調整資金という整理はいたしますが、その中に歳入としては繰り入れないということを申し上げたのであります。三十二年、三十三年いずれも繰り入れになるということを申し上げたわけではありません。  なお、形式的なことを申し上げておきますと、先刻来大臣のお答えになりましたように、従来からの例から見ましても、歳入だけの補正をいたしますことはいたしておりません。三十一年度におきましても三十億円の繰り入れを食管会計に一般会計から行っているのでありますが、その際にも歳入だけの補正をやれば補正になるわけでございますから、特別会計の方の補正はいたしておりません。一般会計の補正だけにいたしておるわけであります。
  138. 柳田秀一

    柳田委員 そうすると、今主計局長お話でわかりましたが、一応入れるところは食管会計だ、しかし年度は三十二年度だ、ここまでわかってきた。ところが、三十二年度の食管の特別会計の方には受け入れられていない。ただ従来の慣例で、歳入は歳入だけの補正はしないというけれども、そうすると、財政法の十四条では、「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」とはっきり書いてある。これは宙ぶらりんだ。どこにも入っていないということになります。これは大蔵大臣からお答え願いたい。
  139. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 財政法によりまして歳入に入れるのでありまして、歳入はその性質上見積りになるのであります。そのために三十二年度の食管特別会計の方の補正はする心要はないわけであります。
  140. 石原周夫

    ○石原政府委員 三十二年度の食管会計の歳入に入れるということを申し上げましたのは、三十二年度の歳入科目を立てまして、立目と申しますか、目を立てて受け入れるわけであります。従いまして、歳入は御承知のように幾多の場合におきまして目を立てまして歳入を受け入れる道がこれは一般会計にもございます。そういうような目を立てて新しく歳入を受け入れますので、歳入予算といたしましては一般会計を補正したままにいたしておきましても、そのままで歳入を食管会計に出す。それは目を立てるという方法でいくのだということで御了承願いたいと思います。
  141. 柳田秀一

    柳田委員 どうもそれは少しおかしいと思うのです。歳入だけは受け入れることはしないといいますが、ここに国税の方は、これは三十二年度で受け入れて三十二年度に出すのですから、このたび三百九十四億ですか、その補正されたそのうちで三百億の法人税があって、二六%分の七十八億というものはちゃんと一般会計から受け入れるとちゃんと国税に書いてある。そうして三十二年度で受け入れて三十二年度で出すのだ、こういうふうにちゃんと平仄を合わせることになっておる。ところが、食管会計の方は、受け入れの方は三十二年度で受け入れて、支出は三十三年度になる予定である。しかし、受け入れる方はちゃんと受け入れておかなければ、これは支出するときに一体どこから出すのか。予算書には、三十二年度で受け入れるのか三十三年度で受け入れるのか、どっちで受け入れるのか、はっきりしておかなければならぬと思います。
  142. 林修三

    ○林(修)政府委員 法令の解釈問題に関係しますから私からお答えいたします。歳入歳出は、御承知の通りに、歳出は支出権限の付与でございますが、歳入は見積りということで、これは従来からの解釈でございます。歳入は会計法の第三条によりまして法令の定めるところによりこれを徴収すべしということになっております。法令その他それに付属すべき政令の定めるところに従ってその歳入を徴収するとあります。根拠法令に従って歳入は入ってくるわけであります。予算は、その歳入の法令によって入ってくるものの見積りを計上しておるわけでありまして、その点で歳出と性質が違います。歳出は、予算の歳出金額に計上されました金額をもって政府に支出権限を与える、こういうことで、歳入と歳出と性質が違うわけであります。それで、従来におきましては、歳入のみの補正ということはやらないというのがそこから参りまして、今の交付税特別会計の方に歳出も同時に出るということになれば同時にこの歳入歳出を補正いたしておりますが、今度の食糧管理特別会計の方に歳入面のみが法令に従って載って新しく歳入が付加される、こういう場合は補正をいたさないということになっております。そうして、何ゆえに三十二年度にそれが歳入に入ってくるかという根拠でございますが、これは御承知のように、今主計局長からも御答弁いたしましたが、別途提案いたしております食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計から繰入金に関する法律案、この法律案が通過いたしまして、この第二条で、三十二年度に百五十億円を食糧管理特別会計に繰り入れる、この法律の規定によって、当然に食糧管理特別会計に入ってくるわけであります。会計法第三条によりまして、歳入は法令の定めるところによりこれを徴収する、この規定によってこれは当然入ってくるわけであります。
  143. 柳田秀一

    柳田委員 見積りであることはわかるのです。これは三十三年度の食糧管の特別会計資金増減経過表にも、一般会計より受け入れ百五十億円三十二年度、ちゃんとこのように予定は書いてあります。それでわかるのです。ただ交付金のように三十二年度に入ってきて三十二年度に出すのだからこれは受け入れておくが、三十二年度に入ってきて三十二年度に出すのだからこれは受け入れないというのは、財政法の筋が通らないと思う。法律というものはあとから出てくるのです。歳入歳出はすべて予算に編入しなければならぬと書いてあるのですから、少くとも一般会計から百五十億補てんしたならば、特別会計には受けなければなりません。ピッチャー立ったならば、キャッチャーはたまを受けなければなりません。やはりキャッチャーのミットにたまは入れなければ、そのたまはどこへ行ったかわからない。そういうミットに入れていくというのは、三十二年度に入れるか三十三年度に入れるかしかない。歳出は三十三年度になっても、歳入の方は三十三年度よしんば三十三年度か、どちらかキャッチャーのミットにおさめておかなければならない。これが財政法です。財政法を受けて会計法が最後に規定している。財政法の根本精神は生かしておかなければいけないと思いますが、どうも私は今の説明では納得できません。もう一度、これは法律のことですから、特に許可して法制局長官答弁してもらってもよろしゅうございますが、あなたは早くてちょこちょこ言わずに、われわれ法律のことはしろうとでございますから、よくわかるように一つお答え願いたい。
  144. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいま御説明いたしましたことで尽きるわけでありますが、御承知のように、歳入と歳出は性質が違う。歳出に支出権限の付与でございます。歳入は法令によって取る。歳入歳出予算はまず歳出として適正に歳出権限を与える、それに見合う歳入は幾らであるかということで歳入、歳出をバランスして、普通予算を組むわけであります。しかし最後には歳入予算に従って歳入を取るわけではない。所得税法、法人税法あるいは一般会計の繰入法とか、こういう一つの歳入の根拠になる法律によって歳入が入ってくるわけであります。これは必ずしも歳入予算に拘束されません、法律に従って入ってくるものは入ってくるわけであります。そういう性質でございますので、従来の取扱いは、歳入のみの補正につきましては補正をしない、こういう取扱いにしている、こういうわけでございます。
  145. 柳田秀一

    柳田委員 どうもそういう法律的解釈をやられますと、こちらはわかりません。  ただ一点不審なのは、そうするとこの財政法に規定したところの三十二年度から百五十億出たものは当分宙ぶらりんに浮いているということになりますか。どこにも繰り入れられていない。三十二年度一般会計から出された百五十億の過年度の赤字はどこへ持っていくのですか。少くとも次に予見されるところの赤字見込みに対して百五十億出したのですから、当然三十二年度の特別会計で受け入れて、それから三十三年度にどうお使いになろうとけっこうですが、一応受け入れるだけは受け入れておかないと、どうも筋が通らないと思います。これはどうも私にはわかりません。
  146. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは先ほど御説明いたしました通り、受け入れの根拠は食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、この第二条、これに受け入れの根拠があるわけであります。この法律が通過いたしまして成立いたしますれば、その法律の規定によりまして百五十億円を一般会計から食糧管理特別会計に入れるという根拠規定がございます。これに従って三十二年度中に食糧管理特別会計に百五十億円が入るわけであります。入ったあとどうなるかということは、ただいま申し上げました法律案に書いてある食管会計に資金を作るということになります。その資金の使途が第三条に書いてございます。これに従って三十二年度中は経理されまして、残った部分が三十三年度に資金として繰り越されまして、これは別途また提出になっております食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に従いまして、残った分が調整勘定の資金に入るということになっておりまして、そういう筋道で三十三年度における調整勘定の資金になるはずであります。
  147. 柳田秀一

    柳田委員 どうもわかりませんけれども、わからぬなりにこれで質問を終ります。
  148. 江崎真澄

    江崎委員長 委員会散会後理事会を開きますから、理事の諸君はお残り願います。  明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会