○足鹿覺君 ただいま議題となりました六
法律案につきまして、大蔵
委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、
たばこ専売法の一部を
改正する
法律案(
内閣提出第九二号)について申し上げます。
この
法律案は、
市町村たばこ消費税の税率が引き上げられることとなったのに伴いまして
日本専売公社が売り渡す製造たばこの小売定価中に含まれる
市町村たばこ消費税の税率を百分の九から百分の十一に引き上げようとするものであります。
本
法案につきましては、内藤
委員より修正案が
提出いたされました。修正案の
内容は、本案において
施行期日が
昭和三十三年四月一日となっておりますので、これを公布の日に改め、かつ、これを四月一日にさかのぼって適用いたそうとするものであります。
本案は、昨三日
質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしましたところ、修正案及び修正部分を除く原案をいずれも起立多数をもって可決いたしました。
次に、
たばこ専売法の一部を
改正する
法律案(
内閣提出第二号)について申し上げます。
この
法律案の
内容のおもな点を申し上げますと、まず第一に、葉たばこの収納価格の決定についてその基準を設けております。第二に、たばこ耕作許可の基準に関する
規定を整備しております。第三に、たばこ耕作許可に対する
異議申し立て
制度を設けております。第四に、
日本専売公社総裁の諮問機関として、公社にたばこ耕作審議会を置くことといたしております。第五に、公社が葉たばこ収納価格及び毎年耕作するたばこの種類及び面積を決定しようとするときは、公社の総裁は、たばこ耕作審議会に諮り、その議を経なければならないことといたしております。
この
法律案は、参議院先議であり、参議院において修正議決の上、本院に送付されたものでありまして、修正の要点は、第一に、収納価格は、生産費及び物価その他の経済
事情を参酌して「耕作者が適正な対価を得ることができるように定めなければならない。」となっておりましたのを、「耕作者に適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」というように改め、次に、公社が収納価格を定めようとするときは、「公社の総裁は、あらかじめたばこ耕作審議会にはかり、その意見を聞かなければならない。」とありましたのを、「その議を経なければならない。」というように修正し、最後に、「審議会は、
委員九人以内で組織する。」とあるのを、「十一人」に改めております。
本案につきましては、神田
委員より附帯決議案が
提出されました。案文は、
一、
日本専売公社は、専売事業の特質にかんがみ、耕作者の
意思が充分反映するよう、今後とも本法の改善につき検討すべきである。
一、
日本専売公社は、鑑定に際しては充分科学的検討を行い、その実施
方法についてもなお改善の方途を講ずべきである。
一、標本の制定に際しては、実際に即するよう耕作者代表の意見を充分参酌した上、これを制定すべきである。右決議する。以上の通りであります。
本案は、昨三日
質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって附帯決議を付して原案の通り可決いたしました。
次に、
たばこ耕作組合法案について申し上げます。
この
法律案は、従来任意団体として
運営されて参りましたたばこ耕作組合につきまして、事業の自主的
運営、資産の保全、対外信用等に種々の不利不便があるのにかんがみ、これを法人とすることによって、たばこ耕作者の経済的社会的
地位の向上をはかり、あわせてたばこ専売事業の健全な発達に資するため、その組織
運営等について必要な
規定を設けようとするものであります。
本
法案は、第二十六回
国会より継続審査となり、自来、専売事業に関する小
委員会において慎重に検討を続けて、今
国会に至りましたが、本
委員会におきましても、慎重審議の後、昨三日、内藤
委員より修正案が
提出いたされました。
修正案の
内容は、たばこ耕作組合の行う事業について、農業協同組合等の事業との間に不必要な競合や摩擦を生じないように、関係者間において相互に協調を保つように努めなければならない旨を
規定し、大蔵大臣及び農林大臣は、必要があると認めるときは、これらの団体に対し、あっせん、調停または必要な勧告をすることができることといたしております。その他、組合の地区は、地区たばこ耕作組合にあっては「
日本専売公社の定める
区域」となっておりましたのを、「政令で定める
区域」に改め、監事の
定数が「一人以上」となっておりましたのを「二人以上」に改め、役員の
選挙については、指名推選の
方法によって行わないこととし、「組合員の総数が三百人をこえる地区組合は、」「総会に代るべき代
議員会を設けることができる。」となっておりましたのを、組合員の総数を「五百人」に改め、代
議員の
定数について「組合員の総数が千人未満の地区組合にあっては四十人以上、千人以上の地区組合にあっては五十人以上でなければならない。」と
規定せられていたのを、代
議員の「
定数は、七十人以上でなければならない。」といたしました。また、代
議員会においては、代
議員の
選挙並びに定款の変更及び
解散または合併に関する
事項について議決することができないこととなっておりましたのを、役員の
選挙についても議決することができないことといたしました。なおまた、今回農林漁業団体職員共済組合法が
施行せられるにつきまして、たばこ耕作組合も、同法による共済組合に加入できることといたしました。
以上が修正案の概要でありますが、本案につきましては、さらに神田
委員より附帯決議案が
提出いたされました。
附帯決議の案文は次の通りであります。
一、組合の地区は、地区たばこ耕作組合にあっては政令で定める
区域となっているが、
政府はその政令制定に当っては必ずしも
日本専売公社の支局等の管轄する
区域に捉われることなく、各地の実情を充分に考慮し、且つ、組合の
運営に支障のないように定めること。
一、組合の行う事業として、葉たばこの生産上必要な肥料その他の資材の共同購入を
規定しているが、非出資組合が経済
行為を行うことは適当でないので、組合が現在行っている事業の範囲をこえることのないよう厳に戒め、且つ、他の農業団体との間に事業の競合、摩擦を来さないよう厳重に留意すること。
一、たばこ耕作組合が農林漁業団体職員共済組合法による共済組合に加入する場合は、たばこ耕作組合の監督者である専売公社は、共済組合の監督者たる農林大臣と常に緊密な連絡をとるべきである。
右決議する。
以上の通りであります。
次いで、
質疑を終了し、討論の通告がございませんので、直ちに採決いたしたところ、修正案及び修正部分を除く原案並びに附帯決議案はいずれも全会一致をもって可決いたしました。
次に、旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための
特別措置法等の
規定による
年金の額の
改定に関する
法律案について申し上げます。
この
法律案は、旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための
特別措置法等の
規定による
年金の支給の実情にかんがみ、その額を恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の
改正の
内容に準じて
改定いたそうとするものであります。
次に、そのおもなる
内容について申し上げます。まず、退職
年金、遺族
年金等につきましては、その額を恩給法による同種の恩給の
改定措置に準じて
改定することとし、公務に基く傷病及び死亡を給付事由とする
年金につきましては、恩給法による同種の恩給の
改定措置等を考慮して、従前の最低保障額を引き上げることといたしております。
また、若年者に対する増額分の支給停止、高齢者に対する繰り上げ
改定等につき、所要の
措置を講ずるほか、
国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の
規定により現に支給されております
年金につきましても、この旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための特別
措置法の
規定による
年金の
改定に準じて、所要の
改正を行うことといたしております。
本案につきましては、慎重審議の結果、昨三日
質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
次に、
国家公務員共済組合法案について申し上げます。
この
法律案は、
現行の
国家公務員共済組合法が
昭和二十三年に制定され、以来約十年を経過し、この間諸般の
事情の変化もありまして、
制度の全般にわたって再検討を加えなければならない時期に立ち至っておりましたが、今回、五現業に勤務する恩給公務員に対しても共済組合の長期給付
制度を適用する必要が生じて参りましたのを
機会として
制度全般にわたり整備改善をはかろうとするものであります。
次に、この
法律案のおもなる
内容について申し上げます。まず第一に、長期給付
制度につきましては、退職
年金、退職一時金、廃疾
年金、廃疾一時金、遺族
年金及び遺族一時金等の既存の給付につきまして、他の公的
年金制度との権衡を考慮して、その支給額の改善を行うほか、新たに再就職による組合員期間の通算
措置を講じ、退職
年金の支給開始年令を
現行の五十才から五十五才に引き上げることとする等、所要の
規定の整備を行うとともに、五十五才以前において退職して
年金の支給を希望する者のため、新たに減額退職
年金の
制度を設け、公務上の傷病または死亡による退職の場合にも、廃疾
年金または遺族
年金を支給できることとし、また、退職
年金、廃疾
年金及び遺族
年金についてそれぞれ最低保障額を定め、将来他の公的
年金制度との期間通算を行い得る素地を準備することとするほか、さらに、長期給付の
規定の適用範囲に、新たに印刷、造幣、国有林野、アルコール専売及び郵政の五事業特別会計に勤務する恩給法上の公務員をも加えることといたしております。第二に、短期給付
制度につきましては、従来の法定給付のほかに、新たに付加給付の
制度を設けることともに、被扶養者の範囲、組合員資格喪失後の継続給付の受給資格期間等について所要の
改正を加えるほか、昨年の健康保険法の
改正に伴う所要の
規定の整備を行うことといたしております。第三に、その他のおもな
改正事項といたしましては、長期給付の
責任準備金の一部を資金運用部に預託して、その安全確実な運用をはかり、共済組合
制度に関する重要
事項を調査審議するため、新たに大蔵大臣の諮問機関として
国家公務員共済組合審議会を
設置し、また、共済組合または同連合会の
事務職員も、今回新たに組合員にすることができる等の
措置を講ずることといたしております。なお、長期給付
制度の
内容の
改正と、その適用範囲の拡大に伴う所要の経過
措置につきましては、別途
法律をもって定めることといたしております。
本案につきましては、横山利秋君
提出の修正案が
提出いたされております。修正の
趣旨は、本
改正案の
附則において、公共企業体職員等共済組合法の一部を
改正することとし、公共企業体の職員等についても、その短期給付について、法定給付のほかに、新たに付加給付を支給できることといたそうとするものであります。
本案並びに修正案につきましては、慎重審議の結果、昨三日
質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
なお、本案につきましては、横山利秋君より次の附帯決議案が
提出されましたが、採決の結果、全会一致をもってこれを付すべきものと決しました。
附帯決議の案文は次の通りであります。
一、本法制定の根本主旨により恩給法の適用をうける非現業
国家公務員についても本法の適用をすべきことが当然である。従って、
政府はすみやかにできれば次期
国会に之が
改正法案を
提出すべきである。
二、第二条第一項の臨時に
使用されるもので本法の適用をうけるものの範囲を定める政令の制定に当つては、一年以上雇傭される常勤的非常勤職員を適用の対象にし得るよう、その
実態を吟味の上深甚の考慮を払うべきである。
三、今回の
国家公務員共済組合法案の
提案及びさきに行われた健康保険法の
改正に伴い、公共企業体職員等共済組合法について、医療機関等の
規定について所要の
改正を行い、あわせて次に掲げる
事項等の長期給付に関する
附則の
規定を整備する必要があると
考える。
(一) 傷病
年金、傷病賜金についても、増加恩給と同様支給を停止しないことにする。
(二) 更新組合員の組合員期間に職員期間に準ずる
国家公務員であった期間で、
運営規則の定めるものを加える。
(三) 組合員期間二十年未満の者に支給する
年金の資格年限のうちに旧組合職員の在職期間で、
運営規則の定めるものを加える。
最後に、
国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
この
法律案は、ただいま御
説明申し上げました
国家公務員共済組合法案が成立
施行となりました場合に、その長期給付に関する
規定の適用を受ける者に対し、普通退職の場合の退職手当、その他
一般の退職手当に関する
規定の適用の特例を設けようとするものであります。すなわち、
現行の退職手当は、退職事由の分類に従い、その退職手当の支給割合を異にしているのでありますが、その退職事由の分類について再検討し、その分類及びそれに応ずる退職手当の支給割合を改めることとし、この特例による退職手当の最高限度額を退職時の俸給月額の六十ヵ月分とするとともに、死亡退職の場合の俸給四ヵ月分の加算
規定は適用しないことといたしております。なお、この
法律の
施行の際に在職する職員で特例の適用を受ける者の退職手当について、所要の経過
措置を設けることといたしております。
本案につきましては、横山利秋君より修正案が
提出いたされております。修正の
趣旨は、
日本専売公社、
日本国有鉄道及び
日本電信電話公社の職員についても本法の適用を受けることができることといたそうとするものであります。なお、その支給額については別に
法律で定めることといたしております。
本案並びに修正案につきましては、慎重審議の結果、昨三日
質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
なお、本案につきましては、横山利秋君より次の附帯決議案が
提出されましたが、採決の結果、全会一致をもってこれを付すべきものと決しました。 附帯決議の案文は次の通りであります。
附則第十四項による
法律的
措置は、公社の特殊性にかんがみ、他の職員と同様の処遇が確保されるよう、速やかに、できれば次期
国会にこれを行うべきである。
以上、御報告申し上げます。(拍手)