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1958-04-04 第28回国会 衆議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月四日(金曜日)     —————————————  議事日程 第二十号   昭和三十三年四月四日     午後一時開議  第一 中小企業信用保険公庫法案内閣提出)  第二 中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出)  第三 盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 義務教育学校施設費国庫負担法案内閣提出)  第五 たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第九二号)  第六 たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号、参議院送付)  第七 たばこ耕作組合法案(第二十六回国会竹山祐太郎君外三十五名提出)  第八 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案内閣提出)  第九 国家公務員共済組合法案内閣提出)  第十 国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  北海道開発庁設置法案(第二十四回国会内閣提出)及び北海道開発庁設置法施行法案(第二十四回国会内閣提出撤回の件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑  日程第一 中小企業信用保険公庫法案内閣提出)  日程第二 中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出)  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 義務教育学校施設費国庫負担法案内閣提出)  学校保健法案内閣提出参議院送付)  日程第五 たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第九二号)  日程第六 たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号、参議院送付)  日程第七 たばこ耕作組合法案(第二十六回国会竹山祐太郎君外三十五名提出)  日程第八 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案内閣提出)  日程第九 国家公務員共済組合法案内閣提出)  日程第十 国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  酪農振興基金法案内閣提出北海道地下資源開発株式会社法案内閣提出)     午後一時十六分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。内閣から北海道開発庁設置法案及び北海道開発庁設置法施行法案の両案を撤回したいとの申し出があります。これを承諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案の撤回を承諾するに決しました。
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。国務大臣郡祐一君。     〔国務大臣郡祐一登壇
  6. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、選挙方法を最近における町村合併の実情に即して改めること、衆議院議員その他の選挙にわき参議院議員選挙方法改正に伴い所要の調整を加えること、あわせて選挙管理執行に関する規定について合理化をはかることの三点を中心として、公職選挙法に必要な改正を加えようとするものであります。  まず、選挙方法に関する町村合併、進捗に伴う改正であります。御承知のように、町村合併の結果、郡市の区域に出しい変動が生じまして、現在の郡市の区域をそのまま都道府県議会議員選挙画定基礎的単位とすることができなくなりました。そこで、選挙制度調査会の答申に沿って、人口議員一人当り人口の半数にも達しない郡市はこれを独立選挙区とすることを認めないものとするとともに、いわゆる飛び地またはこれに類似する状況にある郡については、それぞれの地区を独立郡の区域とみなして選挙画定単位とする等、郡市の区域をもって都道府県議会議員選挙区とする原則に若干の例外的措置を認めることとしたのであります。なお、同じく町村合併の結果町村の規模が拡大されたことにかんがみまして不在者投票の事由及び町村選挙選挙運動に関し、新たに運動用はがき使用を認め、ポスター枚数を増加し、町村長選挙小型自動車等使用を認める等、規定合理化することといたしました。  第二に、衆議院議員その他の選挙に関する参議院議員選挙方法改正に伴う規定の整備であります。政党政治のもと、政策中心とする政党活動、また、国民のこれに対する批判は常時活発に行われておりますし、一面、近時における交通宣伝等選挙運動手段の発達の状況にもかんがみまして、この際、衆議院議員選挙運動期間を、必要にして十分である二十日に短縮することといたしました。これとともに、選挙運動用はがき及びポスター枚数をそれぞれ五割及び六割増加することといたしました。これは過般の参議院議員選挙運動方法改正とも照応するものであります。地方公共団体選挙につきましては、運動期間は、すでにこの前改正いたしておりますので、はがき及びポスター枚数を増加することにいたしました。  第三に、選挙管理及び執行等合理化に関する事項であります。すなわち、立会演説会における演説順序決定方法合理化するとともに、演説会場における秩序保持に関する規定を整備し、選挙管理委員会における異議の申し立てまたは訴願の審理の適正を期するため証人喚問制度を設け、また、二以上の選挙を同時に行う場合における投票及び開票の順序を明確にする等の措置を講ずることといたしたのであります。なお、現在、指定都市以外の市及び町村選挙管理委員会委員定数三人とされており、しかも、その全員が出席しなければ会議を開くことができないものとされておりますため、委員会運営上種々不便がありますので、今回委員会の権限を整備することとされたのに伴い、この法律案附則において地方自治法の一部を改正し、その定数を四人とすることといたしております。  そのほか、附則におきまして、ただいま申し上げました公職選挙法の一部改正に伴い、関係法律規定整理を行うことといたしたのであります。  以上が公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。      ————◇—————
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告があります。これを許します。井堀繁雄君。     〔井堀繁雄登壇
  8. 井堀繁雄

    井堀繁雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました公職選挙法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、岸総理並びに大蔵、法務、自治庁の各国務大臣に対して質問をいたしたいと存じます。  まず第一に、政府選挙法改正をなさんとしたその意図について、ぜひただしておきたいと思うのであります。公職選挙法改正は、申すまでもなく、主権在民の憲法のもとにありまする日本にありましては、国家国民にとってきわめて重大なる問題と申さなければならないのであります。選挙法を、軽々に、一党一派や、あるいは主権者である国民の審判を受ける側にある者が、これをいたずらに改正すべきものでないことは、今さら申すまでもありません。しかも、本国会は、会期も余すところわずかとなっておるのであります。かく押し詰まって参りました今日、かかる重要法案を唐突として提案されました政府意図が那辺にあるかを、私ども国民とともに強い疑いを持っておるのであります。一体政府は、この国会の短かい会期中に、かかる重要法案を十分に審議せしめる時間的操作をどのようにお考えになっておるか、また、この法案の性質から申し上げますならば当然公聴会を開くべき事柄でありまして、その措置をとる時間的余裕が果してあるか、また、これに対する政府措置はいかなるものであるかを明確にしていただきたいと思うのであります。申すまでもなく、議員及び政党にとりましてはきわめて利害関係の強い法案でありまして、従って、それ自体を、議員やあるいは政党が、国民意思を問うことなく、かかる法案を唐突として提案することは、その手続自体に非常な不合理があるということを指摘し、政府はこれに対するいかなる見解をお持ちになっておりますかを明らかにしていただきたいと思うのであります。  元来、公職選挙法は、選挙に関する基本法でありますのみならず、民主政治のもとにおきましては、主権者たる国民の公器である。それを、従来、選挙たびごとに、また選挙種類ごとに、とかく軽々選挙法改正しようとするきらいが多かったのであります。私は、かかる行為は、公職選挙基本法でありまする本法の法律の権威を傷つけるのみでなく、その内容などにつきましても、よほど慎重でなければならぬと思うのであります。これは民主政治に深い理解を持つ人々の大きな憂いとなっておるところでありまして、われわれ民主政治理想を追求せんといたします者にとりましては、厳にその態度を戒めなければならぬと思うのであります。ことに、今回提案されました、法律案内容を拝見いたしますと、いかにも、その内容が、現議員立場を有利に導き、反対に、多くの自由にしてかつ積極的に民主議会に出ようとする多くの新人のために非常な圧力となるべき内容のものが盛られておる点については、われわれはまことに遺憾とするものでありますが、この点に対しまして、総理大臣見解お尋ねいたしておきたいと思います。  きっと、総理は、しからずと御答弁なさるかもしれませんが、といたしまするならば、次のことを私は明らかにする義務が必然的に生ずると思うのであります。それは、この衆議院議員の任期は、法律に基きまするならば、まだ多くの時日を残しておるのでありますけれども、要するに、世論に伝えられておりまする選挙の時期は解散とともに考えなければならぬのでありますから、その解散権を握っておりまする総理大臣といたしましては、かかる法案提案する限りにおいては、その解散の時期、必然、選挙の期日というものをある程度明確にして本案を提出し、あるいは提案理由に明らかにすべきものであると思うのであります。巷間伝えるところによりますと、五月十八日の日曜を投票の目途に解散を断行するものではないかと聞き及ぶのでありますが、かかる世論が台頭してきておるということは、申すまでもなく、一国の総理でありまする岸総理大臣のその責任非難する声と私は見るべきであると思いますが、この非難にこたえて、明確な態度をこの機会に打ち出すべきものではないかと思うのであります。この点に対する総理の率直なる御見解を承わっておきたいと思います。次に、第二の問題は改正案内容であります。詳細はいずれ委員会において論議を尽したいと思うのでありまするが、重要と思われる点を一、二にしぼりましてお尋ねをいたしてみたいと思います。それは、この法案の一番大きな影響力を持つと思いまするのは、選挙運動期間衆議院の場合に限って二十五日から二十日間に短縮いたしておる点であります。政府の述べるところによりますると、交通機関宣伝機関など、すなわち選挙運動に対する合理的な事情の発生したことをあげておりますが、私も、これに対しましては同意をするにやぶさかではありません。しかし、その理由をあげるにおきましては、次のことを明確にしなければならぬと思います。選挙法精神は、ここで説くまでもございません。選挙法目的は、選挙を受ける、すなわち被選挙者立場ではなくて、有権者である主権者立場から自由にして公正なる意思の表明が行われ、言いかえれば、候補者の人物や政見あるいは政党政策などに対して、あまねく批判と検討の上で、自由とその立場が保障されなければならぬことになりまするから、もし二十日間にして、衆議院議員選挙当りまして、有権者のその目的が達せられまするような措置が同時に講じられて、また、それが国民にうなずかれる内容を備えてこそ、この短縮に対する主張合理化されてくると私は思うのでありまするが、残念ながら、ただいまの提案理由や、あるいは政府提案されておりまするいろいろな参考資料の上からは、そのみじんも感じ取ることができないのみならず、反対にそのことは選挙人の自由を奪うのみではなくて、それはきわめて短期のうちに公正なる選挙を行うというのではなく、公明選挙の実を上げるというものとはおよそ縁の遠い、身勝手な議員主張が盛り込まれておるやに一般疑いを受けているのでありまして、このことは、民主議会の名誉の上からも、私は明確にする必要があると思うのであります。もしこの点についてしからずという主張がありまするならば、この機会に具体的にいたしていただきたいと思います。  その次は、選挙法の第一条の精神についてこの際、総理大臣並びに自治庁長官に明確な御見解を述べていただこうと思うのであります。説明いたしまするまでもなく、第一条に明らかにしております精神は、有権者の自由なる意思が表明いたされるためのあらゆる便宜なる措置をこの法律は命じており、また、第百五十三条の四項には、これを具体的に言い表わしております。すなわち、立会演説会の開催は事情の許す限り回数を多くするように努めなければならぬということを命じておるのであります。ところが、二十日間に——二十五日を五日間圧縮いたしますことによって、私は、このことを遂行することに非常な障害となり、すなわち、反動的な傾向を持つ改正であるといわれましても、返す言葉がないと思うのであります。この選挙法精神にこの改正は相反するのではないかと思うのでありまするが、しからずとするならば、そうでない具体的な事実を、自治庁長官において、この際明らかにさるべき義務があると思うのであります。  次に、この改正の中で選挙管理あるいはその執行合理化せんとする意図がありまする点については、われわれも賛意を表するところであります。しかし、残念ながら、その中身は全く空虚なものでありまして、わずかに法文や規定を整備し、取り立てて申し上げまするならば、選管が証人を喚問する制度を設けたのと、町村選挙管理委員の三名の定員を四名に改めたという程度にしかすぎぬのであります。真に選挙管理合理化するといたしますならば、私は、選挙法改正というよりは、現行選挙法を、厳正に、かつ、その運営の面におきまして、あるいは行政的な面におきまして政府が真摯な態度をもってこれを実行に移そうとすれば、十分公明選挙の実を上げる余地が残されておると思うのでありまするが、この点に対する総理並びに自治庁長官見解お尋ねいたしておきたいと思います。  この点については、自治庁長官には、やや具体的な事実を列挙いたしまして、この機会に御答弁を願っておきたいと思います。  それは、現行公職選挙法によりますると、公職選挙というものは、選挙管理委員会をあらゆる権力から独立せしめ、あらゆる権力から干渉を受けない自由なる立場における選挙管理委員会選挙執行し、管理をするというところに、選挙法面目躍如たるものがあるわけであります。ところが、現実の面におきましては、その組織や機能というものを拘束するのみならず、圧力をすら加えて、その自由を奪っておるのではないかと、それぞれの専門家の間において批判が行われております。この非難を排除する意味からも、政府より、この際、次の事柄について明確な御答弁をいただいておきたいと思います。すなわち、今日の選挙管理委員会というものは、一応形の上では民主的手続をして選び、その人選についても法律はそれぞれ厳正公平で、いずれの立場にも偏せない公正な人を選ぶことを規定しておるのでありますが、人間の社会でありまするから、必ずしも理想通りいかぬといたしましても、この点にも多くの改善と政府責任を私は問うものがたくさんあると思いますが、この点に対して政府は反省する余地はないか。  次に、選挙管理委員会独立を形式的に法律が許しましても、その実質は、わずかに選挙管理委員名誉職的態度においてこれを遂行しようとする現状は、これは空虚な姿となっておるのでありまして、これに地位を与えるには——実質を与えるには、私は、まず第一に、選挙管理委員会に専属する事務局設置しなければならぬと思うのでありますが、その設置を今日まで政府は怠っておるのみならず、たびたび選挙管理委員会などの要請があるにもかかわらず、この設置を、故意にか、拒否しておりまするのは、いかなる理由でございましょうか。これを設置する意思総理にあるかどうか。  第二の問題は、これと並んで書記専任制が実施されてこなければならぬのであります。一人の書記も持たない選挙管理委員会が、こんな重要な事務を、また重要な事項管理するということは、不可能に近いことであります。この点を、私は、ぜひ充実しなければ、選挙公明化をはかるといいましても、しょせんは木によって魚を求める結果になると思うのであります。  第三の問題は、やや具体的に不合理が指摘されておりまする問題であります。それは、地方選挙管理委員会委員人選並びにその実態であります。御存じのように、公選の知事、あるいは市町村首長、これらの選挙は、地方選挙管理委員会によって管理されておりますことは申すまでもありません。その選挙管理委員人選を見ますると、知事のもとに任免されておりますところの副知事でありますとか、あるいは部長がその任にあり、あるいは首長のもとに指揮命令に従うべき助役や収入役選挙管理委員になっておる。いわば、身分の上からいえば自分の上司であり、自分地位をいつでも剥奪することのできる指揮権を持っている人たちのために、一体、公正な選挙管理が行われるはずがないのであります。こういう実態をそのままにして私は公正な選挙を行うというところに矛盾があると思うのでありますが、これをすみやかに改める御意思はありませんか。  次に、いずれも、こういう委員会がありましても、予算を与えていないのであります。その予算権は、その選挙管理を受ける側の知事市町村長が、その自治予算の中からわずかに割愛するというやり方でありますから、お恵みによって選挙管理委員会の費用がまかなわれているというようなところに、どうして独立した公正厳正なる選挙管理が行われるでありましょうか。かような矛盾を放任すべきものではないと思うのでありますが、これに予算を与える御意思はないか。  また、選挙管理委員会独立は、今日、自治法によって、ある程度そこなわれております。これは、歴史的な事情があって、やむを得ないことかもしれませんけれども、たとえば、自治法第百八十条の規定のごときは、選挙管理委員会独立をそこなうものというか、その弱体化をするがごとき内容のもので、あります。こういうものを改めて、選挙管理に関する事項というももは自治法から公職選挙法に移さるべきものであると思いまするが、そういうことについてお考えがございましたならば、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。  以上、七点をあげておきましたが、こういう点は、何も法律改正を行わなくても、行政的な措置もしくは政府運営合理化するという責任の範囲内においてなし得ることであります。こういうなし得ることを行わないで、先ほど申し上げました、基本的な公職選挙のよりどころでありまするかかる方案を、選挙たびごとに、あるいは選挙種類ごとに、たびたび変更いたすということは、しかも選挙のまぎわにきてこれをやるということは、選挙管理を行うものといたしましては、また選挙を取り締るものといたしましては、迷惑千万、というよりは、公正なる法の運用というものはできるものではありません。昔のように、封建的に、その権力のもとによらしめるというのでありますならば、しばらく別でありますが、少くとも民主政治を指向する今日においては、有権者選挙民理解と納得の上にこれがなされなければならぬと思うのであります。  次に、時間がありませんから簡単にお尋ねをいたしておきたいと思いますのは、選挙取締りについてであります。もちろん、公明選挙理想からいたしますならば、官憲の取締りによって選挙公明化するということの好ましくないことは申すまでもありません。また、これを強行すると選挙は暗くなるのでありまして、まことに矛盾するものでございますけれども現状におきましては、どうしても選挙法規定されておりまする違法行為だけは厳正公平に取り締らなければならぬと思うのであります。ところが、最近、解散を見越してか、猛烈な事前運動に類する行為が露骨に現われてきておるのでありますが、一向に検察警察当局はこれに対して目をおおうかのごとき現状で、これが一般から非難されつつあるのであります。一つには、これは、鳩山内閣のときに、選挙違反事項に関しまして大赦の恩恵を与えましてその結果、全く検察当局及び警察当局の努力というものが水泡に帰せしめられた。このことは、私は当事者にとっては当然そういう気持になると思うのでありまして、かかる事態を私どもは猛烈に反省する必要があると思う。特に政府立場にあるものといたしましては、近くまた恩赦のごさたもあるやに聞くのでありますが、私は、選挙違反のようなものは、民主政治理想を追求する立場からいたしますならば破廉恥罪だと思う。その破廉恥罪が依然として今日許されるということは、国民の側にも反省を求める声を聞くのであります。  私は、この点に関連いたしまして次にお尋ねをいたす所存でありますが、ここで法務大臣に明らかにしていただきたいと思いまするのは、かかる恩赦などによって一ぺん失敗をいたしましたことを再び繰り返さないこと。さらに、それを取り返すために、今事前運動に類するような露骨な行為に対しまして、政府はいかなる措置をとろうとするか。あるいは、今後行われんとする衆議院の総選挙を通じて、公職選挙に対する取締りの方針というものが、この内閣にはあるはずだと思いまするが、この機会に明示される必要があると思いますので、このことを法務大臣から御答弁いただきたいと思うのであります。  最後に、ぜひ明確にいたしておきたいと思いますることは、特に岸総理におきましては、汚職の追放に熱心な御主張をなさっておいでになるのでありますが、汚職を温存するそのもとは何かといえば、言うまでもなく、私は選挙の公正が期せられないところにあると言って言い過ぎではないと思うのであります。そのもとをきわめることは公明選挙を実施せしめるにあることは、多くの先進国の例を見ても明らかでありまして、このことを実現いたしまするためには、現行選挙法第六条、第二百六十一条の規定に対して、政府が忠実にその目的遂行のために努力されることによって多くの効果を期待できると私は思う。また、ヨーロッパの民主主義に成功いたしておる国々におきましては、その顕著なるものがあるのでありまして、国会はこの点について何回か決議をし、政府にその決意を迫ったのでありますが、昨年、ようやく、第六条の精神によりまして、すなわち、選挙民政治常識の向上のため、常時啓発、周知のための予算を、わずか一億円でありまするけれども委託費として組まれたことは、私は大いに敬意を表するに値すると思うのでありますが、残念なことには、その金額はあまりにも少額でありまして有権者の割合にいたしますと、一億といいますならば、一人当り二円にも満たないものであります。そんな少額なもので、かかる大きな民主主義政治確立基礎、また汚職の根源を断とうとする大仕事をなさせようとすることは、いかにも申訳にすぎない、ほんの国会に義理立てしたというにすぎない金額でありまして、この機会に、思い切って、かかるものに予算を割愛されることによって公明選挙の実をあげることが可能だと思いますが、この点に対する総理並びに大蔵大臣の見解をただしておきたいと思います。  以上、はなはだ簡単でございましたけれどもお尋ねをいたして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇
  9. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  選挙法はきわめて重要な法律であり、これが改正について慎重にしなければならぬということの御意見は私も同感でありまして、当然でございます。ただ、御承知の通り、この選挙法規定をごらん下さいますと、いわゆる選挙に関する基本を定めた部分と、手続を定めた部分とがございます。もちろん、選挙法全体について重要かつ慎重でなければならぬことは言うを待ちませんけれども、手続に関する規定につきましては、実施のこの経験からいい、いろいろその他の行政上の措置等の変更によりまして、その時勢に合うように変更をしていかなければならぬことも言うを待たないのであります。今回のこの改正内容を御検討下さいますと、その大きなものは、今申し上げているように、これは選挙法の基本に関する基本的なものではなくして、いろいろな実施の結果から見、経験から見、最近の事情の変化等により、また、その他の選挙法改正に伴うところの、これとの調整というような点でございまして、決してわれわれは軽率にこれを取り扱っているわけではございません。提出がおくれましたことについては、いろいろな研究を慎重にいたしました関係上おくれたわけでございましてもちろん十分御審議をお願いいたします。  それから、この法案を出したということと、何か解散の時期について関係があるような御意見でございましたけれども、言うまでもなく、そういうことには全然関係ございません。また、解散の時期につきましては、いろいろな御議論がございますけれども、私、しばしば同様な御質問にお答えを申し上げております通り、今、私としては、そういうことをはっきり考えておるのじゃないということを繰り返しておきます。  それから、汚職追放のことからいっても、公明選挙を実施することが根本であるという御意見は、私は同感でございます。そして、その公明選挙を実施するために、常時啓発のこの運動なりあるいは措置を講ずる意味におきまして、選挙管理委員会の活動を大いに活発にやるということも、これは非常に望ましいことでございますことは、言うを待たないのであります。政府といたしましても、もちろん十分ではありませんけれども、本年度におきましても約五割程度の費用を予算的にふやしております。これでもって十分だとは私は申しませんけれども、選管が、従来、社会教育に関する機関であるとか、あるいは民間の団体等と連絡を持ちまして、相当な効果をあげておりますし、また、これを一そう促進いたしたいと考えておるのであります。  なお、この選管の構成であるとか、事務局の組織であるとかいうような問題等につきまして、また、選挙期日をなぜ二十日に縮めたかというようなことにつきましては、主管の大臣から詳してお答えをすることにいたします。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  10. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 選挙の公明を期するために常時啓発費を増額する意思はないか、こういう御質疑であったと思いまするが、これにつきましては、地方財政計画の歳出面にすでに一億円を織り込んでおりますが、さらに国の予算におきましても、地方公共団体等に対する委託費といたしまして、およそ一億円を計上いたしております。なお、三十三年におきましては、特に総選挙の年でもありますので、五千万円を増額いたしております。かように、そのときの情勢に応じまして遺憾なきを期しておるのでありますが、なお今後においても、こういう客観的な情勢において善処いたしたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣郡祐一登壇
  11. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 第一に、選挙運動期間短縮の理由いかんというお尋ねでございます。衆議院議員選挙運動期間は、大正十四年、すなわち普選法制定のとき以来、二十五日となっておりまするが、その当時は、交通にいたしましても、宣伝の手段にいたしましても、今日とは全く隔絶いたしております。そのような点の便宜が十分現在は満たされております点、次には政党の政治活動が現在きわめて自由な状態において行われております点、すなわち、政党政策国民に常時徹底いたしておりまするし、国民の強い批判もこれに対して常に加えられております。これらの点も、従来の二十五日を維持する必要のない点であります。また、選挙公営の範囲は著しく拡大されまして二十五日にきめました普選法の制定当時におきましては、わずかに封書の選挙郵便が認められておっただけでございます。その後におきましては、今日のような選挙公営が拡大されており、このたびにおきましても、はがきにおいて五割、ポスターにおいて六割というような増加をいたしております。さらに根本的に考えまして、選挙運動は集中白熱されて行わるべきであり、それには二十日間をもって必要にして十分なる期間であると判断いたした次第であります。  第二は、立会演説会等について従来よりも機会を乏しくするのではないかというお尋ねでございますが、現在の法律にもありますように、立会演説会の開催回数は、選挙を繰り返すごとに、なるべくこれを増すことにいたしておりますし、このたび二十五日を二十日にいたしましても、立会演説会の開催回数のみならず、経歴放送、政見放送、あるいは個人演説会、選挙公報等につきましても何ら支障なく行えまするので、御懸念のような点はございません。  次に、選挙管理委員会の機構についてのお尋ねでございまするが、選挙管理委員会と申しまするのは、一面、常時啓発のような政治常識的な仕事をいたしますると同時に、きわめて法律技術的な仕事をいたしておりまするから、その点で、御指摘のように、独立性が保障されなければ相ならぬのであります。従いまして知事市町村長から独立して仕事をいたしておりますが、同時に、また、自治体の議会で選挙をし、職員は委員長が任命するというような現在の形態は、調和のとれておるのだと思っております。  御指摘の事務局独立とか専任書記設置とかいうような問題は、その事柄は、もし実質を伴いまして行いまするならば適切なことだとは存じまするが、地方行政の組織全体の簡素化の方針ともあわせて考えてみたいと思っております。  副知事、助役等の兼職禁止の問題は、法律等で特にこれを規定いたしませんでも、実際の指導等において適宜処理できることだと考えております。  委員会予算執行権を持たせますことは、私は、委員会と自治体との関係において事柄はいかがであろうかと考えております。  委員会規定公職選挙法に移せという点も、これも自治体との関係もございますし、とくと研究させていただきたいと思っております。(拍手)     〔国務大臣唐澤俊樹君登壇
  12. 唐澤俊樹

    国務大臣(唐澤俊樹君) 選挙取締り方針についてのお尋ねでございましたが、選挙に当って、検察当局取締り方針の根本精神は、私が今さら申し上げるまでもなく、公職選挙法精神に基きまして選挙の公正を確保するということを眼目といたしております。その意味におきまして、いやしくも選挙の公正を害するような違反事件がございましたらば、検察当局といたしましては、厳正公平、また不偏不党の態度をもって厳重に処置いたしたいと考えております。この方針は、事前運動たると事後の運動たると、その間に差別はございません。いやしくも選挙の公正を害するような違反がございましたならば厳重に処置して参りたいと考えております。(拍手)
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。
  14. 山中貞則

    ○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、日程第一及び第二とともに、内閣提出中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を追加し、三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第一、中小企業信用保険公庫法案日程第二、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員会の報告を求めます。商工委員長小平久雄君。     〔小平久雄君登壇
  17. 小平久雄

    ○小平久雄君 ただいま議題となりました中小企業信用保険公庫法案外二件につきまして、商工委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  まず、中小企業信用保険公庫法案について申し上げます。中小企業に対する金融対策としては、融資資金源の増大とともに、信用補完制度の拡充強化がきわめて必要とされることは、御承知の通りであります。この信用補完制度は逐年その利用が増大し、制度の改善も行われつつ今日に至っておりますが、なお幾多改善の余地を残しておりますので、この際画期的な整備を行うことが適当であり、この趣旨に基きまして本案が提出されたのであります。すなわち、本案は、中小企業信用保険公庫を創設し、中小企業信用補完制度の中枢機関たらしめようとするものであります。  次に、その内容について簡単に御説明いたします。  第一に、公庫の資本金は、政府一般会計からの出資金二十億円、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律により政府から出資される六十五億円、及び中小企業信用保険特別会計から承継する現有資産の合計額をもってこれに充てることであります。  第二に、公庫の行う業務は、中小企業信用保険法による保険業務及び信用保証協会に対する事業資金の貸付業務とすることであります。すなわち、本年度におきましては、保険については保険準備基金として六十五億円、資金貸付については二十億円を政府から出資することにしております。  第三に、公庫の予算及び決算につきましては国会の承認を受けることとし、利益及び損失につきましては、利益積み立て、あるいは資本金の取りくずし等によって処理することであります。そのほか、余裕金の運用につきましては、すべて資金運用部に預託して行うことにしております。  第四に、公庫についての主務大臣は通商産業大臣及び大蔵大臣とし、業務の方法、事業計画及び資金計画については主務大臣の認可を要するとともに、その他必要な監督を両大臣が行うことであります。  次に、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について申し上げます。  第一は中小企業信用保険法の改正でありますが、これが本案の最重要部分でありましてその要旨は、信用保証協会を相手方とする包括保証保険制度を大幅に拡大する反面、従来の融資保険及び普通保証保険の制度については、その機能を若干縮小してしばらく存置するとともに、金融機関を相手方とする保証保険は廃止することであります。  第二は公庫の予算及び決算に関する法律改正でありまして、中小企業信用保険公庫が保険金支払い等あらかじめ指定を受けた費目に予備費を使用する場合には大蔵大臣の承認を要しないこととすることであります。  第三は、税法及び行政機構関係の法律に所要の改正を加えることであります。  以上の両案のうち、中小企業信用保険公庫法案は、二月二十四日に当委員会に付託され、二十七日に提案理由説明を聴取し、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案は、三月一日に付託され、四日に提案理由説明を聴取いたしました。  その後、両案を一括して三月十三日より審議を進め、慎重を期するために二十六日両案に関する審査小委員会を設けまして熱心に検討を続けたのでありますが、四月一日に至り、小委員会においてほぼ結論を得て同日、小委員長内田常雄君より委員会に報告がありました。  この小委員会の結論に基き、まして、翌二日、自由民主党並びに日本社会党共同提案による修正案が提出され、引き続き両案及び修正案につきまして採決を行いましたところ、中小企業信用保険公庫法案は全会一致をもって可決すべきものと決し、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案は、これも全会一致をもって修正案の通り修正すべきものと決した次第であります。  修正の要旨は、普通保証保険につきまして、現行制度の後退とならないよう、填補率を原案より引き上げるものであります。  なお、自由民主党並びに日本社会党共同提案により、両案に対する附帯決議案が提出され、松平忠久君の趣旨説明の後、これまた全会一致をもって両案に対しそれぞれ提案通りの附帯決議を付することに決しました。  次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  中小企業金融公庫は、中小企業金融の政府機関として、主として設備資金の供給を通じて、その合理化、近代化の促進に貢献をして参ったのでありまして、その事業も逐年拡大し、昭和三十三年度におきましては、前年度より約二十二億円増の五百七十億円の貸付を行う計画になっております。  本改正案は、このような事業規模の拡大に即応して公庫の機構の充実をはかるためと、あわせて貸付対象について所要の改正を行うために提案されたものであります。  改正の第一点は、環境衛生同業組合及び同連合会が現在公庫の貸付対象となっておりますが、これは組合の構成員の主体が中小企業者であるために貸付対象となっているのでありますから、この趣旨を明確にするため、構成員の三分の二以上が中小企業者である組合及びその連合会を対象にする旨を明記することであります。第二点は、公庫に代表権を有する副総裁を置くことであります。  本案は、二月二十六日に当委員会に付記され、翌二十七日に提案理由説明を聴取いたしました後、三月六日より質疑に入り、本日に至りまして質疑を終局し、引き続き採決を行いましたところ、全会一致をもって本案は可決すべきものと決した次第であります。  なお、その際、自由民主党並びに日本社会党共同提案による附帯決議案が提出され、阿左美廣治君の趣旨説明の後、これまた全会一致をもって提案通りの附帯決議を付することに決しました。  以上申し上げました三法案に関する質疑の詳細及び附帯決議等につきましては会議録を御参照願うこととし、これにて御報告を終ります。(拍手)
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案中、日程第二の委員長の報告は修正、他の二案の委員長の報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り決しました。
  20. 山中貞則

    ○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、日程第三及び第四とともに、内閣提出参議院送付学校保健法案を追加し、三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第三、盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案日程第四、義務教育学校施設費国庫負担法案学校保健法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員会理事佐藤觀次郎君。     〔佐藤觀次郎君登壇
  23. 佐藤觀次郎

    ○佐藤觀次郎君 ただいま議題となりました、内閣提出にかかる義務教育学校施設費国庫負担法案につきまして、その要旨及び文教委員会における審議の経過と結果について申し上げます。  本案は、公立義務教育諸学校における教育の円滑な実施をはかるために、その施設整備に要する経費について国がその一部を負担する制度を確立しようとするもので、国の負担率は、不正常授業を行う小学校校舎の建築と危険建物の改築は三分の一、学校統合の校舎及び中学校校舎、中学校屋内運動場並びに盲、ろう学校の建築は二分の一とし、国の負担限度はこれを政令に譲ることとし、その他経費の種目、算定の基準など、この法律施行に必要な規定及びこの法律に関連する他の法律の改廃等を定めております。  本案は、去る三月十五日当委員会に付託されまして以来、慎重に審議されましたところ、本案では、一、国庫負担の対象に小学校屋内運動場が認められていないこと、二、教職員給与費及び教材費がそれぞれ二分の一国庫負担となっているにもかかわらず、学校施設費の国庫負担率が二分の一と三分の一とに区別されて不均等であること、三、児童、生徒一人当り基準坪数や不正常授業の範囲その他が政令で定めることになっていて実際に教育上の必要性が満たされるかどうかなどの点について疑義が生じ、特に、第二十六国会において公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法の一部改正法案が成立するに際して全会一致をもって可決された附帯決議の内容たる学校施設、設備費国庫負担二分の一の趣旨に対し、本案は著しい懸隔ありとして、不満の意を込めた質疑がございましたが、その詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、四月二日に至り質疑を終了、引き続いて、櫻井奎夫君から、本案に対して、一、国庫負担の対象に校地の購入費、幼稚園の危険建物改築費をも加えること、二、国庫の負担率をすべて二分の一にすること、三、国の負担限度を政令に委任しないことなどについての修正案が提出されました。  かくて、本修正案及び本案に対し、それぞれ討論を省略し採決の結果、修正案は起立少数をもって否決され、本案は起立総員をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  次いで、佐藤觀次郎から——私であります——本案に対して要望案が提出されました。すなわち、本法案内容は、去る第二十六国会において公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法の一部を改正する法律案に対する本委員会の附帯決議たる「義務教育が国と地方公共団体との共同責任にかかる重要事項たる点と、地方財政の実情とに鑑み、公立義務教育諸学校の施設、設備についても、政府は、すみやかに、義務教育費国庫負担法の精神に則り、これに必要な経費の二分の一を国が負担するために必要な措置を講ずべきである。」という精神に照合すれば、その懸隔まことに大なるものがあります。政府は、来年度において必ずこの決議の精神を実現するため、万全の努力をいたされるよう、全委員の名において強く要望するものであります。  かくて、この要望案も、採決の結果、起立総員をもって原案の通り可決せられ、よって本案は要望を付して可決せられました。  次に、内閣提出にかかる盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その要旨及び文教委員会における審議の経過と結果について申し上げます。  本案は、盲、ろう学校及び養護学校の高等部に就学する生徒にかかる学校給食費を新たに国及び都道府県の行う就学奨励費の対象として規定するとともに、現行法では、これらの学校に就学する児童、生徒にかかる就学奨励費はその児童、生徒の住所地の都道府県が支弁することとしてあるのを、今回学校所在地の都道府県の負担に改め、なお、他の都道府県に住所を有するものについて支弁した経費については、事後において当該地の都道府県に対して、その二分の一を求償できるようにする等、所要の規定を設けております。  本案は、去る二月十七日当委員会に付託されまして以来、慎重に審議を重ねて参りましたが、その詳細については速記録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、四月二日に至り質疑を終了、引き続いて高村坂彦君から、本案に対して、本案は昭和三十三年四月一日から施行することに規定してあるが、すでにその施行日は経過しているので、これを公布の日から施行することとし、これに伴う事務的修正を行う旨の修正案が提出されました。  さらに引き続いて、佐藤觀次郎から、一、国及び都道府県は、幼児に対しても学校給食費及び通学、帰省に要する交通費を支弁すること、二、国及び都道府県が従来行なっている就学奨励費の項目に実験実習に要する経費等を新たに加えることに、これらを高等部の生徒に対しても支弁し得るように規定すること等の修正案が提出されました。  かくて、両修正案及び本案に対し、それぞれ討論を省略し採決の結果、佐藤觀次郎の提出にかかる修正案は起立少数をもって否決せられ、高村坂彦君の提出にかかる修正案及び修正部分を除く原案は起立総員をもって可決すべきものと決定した次第でございます。  次いで、櫻井奎夫君から、本案に対して附帯決議案が提出せられました。すなわち、   盲、聾その他の身心薄弱者の養護、教育は、人道上より、また本人の幸福上よりして極めて緊要事である。政府はこの趣旨にかんがみ、この改善充実のために、万全の努力を払うべきである。  右決議する。  以上の附帯決議案は、採決の結果、起立総員をもって可決せられ、よって本案は附帯決議を付して修正議決せられました。  次に、内閣提出にかかる学校保健法案につきまして、その要旨及び文教委員会における審議の経過と結果について申し上げます。  本案は、教育上、学校保健の重要性にかんがみ、次の事項規定しております。すなわち、一、従来の学校における保健管理制度を整備し、今後は一定の学校保健計画を立て、一そう計画性を持たしめること、二、学校環境衛生の維持改善に努めること、三、児童、生徒、教職員等の健康診断及び健康相談の規定、四、伝染病予防に関する規定、五、都道府県の教育委員会に学校保健技師を、各学校には学校医、学校歯科医及び学校薬剤師を置くこと、六、要保護及び準要保護家庭の児童、生徒の伝染性または学習に支障を生ずるおそれのある一定の疾病治療に要する医療費に対し地方公共団体が必要な換助を行うこととし、これについての国庫補助に関する規定、七、学校教育法の第十二条を改正し、同法が面本法であり、本案は同法の特別法なることを明確にしたことなどであります。  本案は去る三月二十八日当委員会に付託となりまして以来、各委員は、教育委員会における学校保健技師及び学校医に対する処遇、養護教諭の学校保健上における地位等について慎重に審議を続けて参りましたが、その詳細については速記録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、四月四日に至り質疑を終了、討論を省略して採決の結果、起立総員をもって本案は原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  次いで、坂田道太君から、本案に対して附帯決議案が提出されました。   学校保健法案に対する附帯決議   案   養護教諭は学校医の下において、学校保健の常務に従事するものであり、学校医が必ずしも常勤と限らない現状において、学校生活における養護教諭の重要性は極めて大なるものがある。   政府は本法案趣旨に鑑み、養護教諭制度の拡充について、適切なる、措置を講ずべきものと認める。  以上の附帯決議案は、採決の結果、起立総員をもって原案の通り可決せられました。よって、本案は附帯決議を付して可決されました。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  24. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案中、日程第三の委員長の報告は修正、他の二案の委員長の報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り決しました。
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第五、たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第九二号)、日程第六、たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号)、日程第七、たばこ耕作組合法案日程第八、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案日程第九、国家公務員共済組合法案日程第十、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案、右六案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長足鹿覺君。     〔足鹿覺君登壇
  27. 足鹿覺

    ○足鹿覺君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第九二号)について申し上げます。  この法律案は、市町村たばこ消費税の税率が引き上げられることとなったのに伴いまして日本専売公社が売り渡す製造たばこの小売定価中に含まれる市町村たばこ消費税の税率を百分の九から百分の十一に引き上げようとするものであります。  本法案につきましては、内藤委員より修正案が提出いたされました。修正案の内容は、本案において施行期日が昭和三十三年四月一日となっておりますので、これを公布の日に改め、かつ、これを四月一日にさかのぼって適用いたそうとするものであります。  本案は、昨三日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしましたところ、修正案及び修正部分を除く原案をいずれも起立多数をもって可決いたしました。  次に、たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提出第二号)について申し上げます。  この法律案内容のおもな点を申し上げますと、まず第一に、葉たばこの収納価格の決定についてその基準を設けております。第二に、たばこ耕作許可の基準に関する規定を整備しております。第三に、たばこ耕作許可に対する異議申し立て制度を設けております。第四に、日本専売公社総裁の諮問機関として、公社にたばこ耕作審議会を置くことといたしております。第五に、公社が葉たばこ収納価格及び毎年耕作するたばこの種類及び面積を決定しようとするときは、公社の総裁は、たばこ耕作審議会に諮り、その議を経なければならないことといたしております。  この法律案は、参議院先議であり、参議院において修正議決の上、本院に送付されたものでありまして、修正の要点は、第一に、収納価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して「耕作者が適正な対価を得ることができるように定めなければならない。」となっておりましたのを、「耕作者に適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」というように改め、次に、公社が収納価格を定めようとするときは、「公社の総裁は、あらかじめたばこ耕作審議会にはかり、その意見を聞かなければならない。」とありましたのを、「その議を経なければならない。」というように修正し、最後に、「審議会は、委員九人以内で組織する。」とあるのを、「十一人」に改めております。  本案につきましては、神田委員より附帯決議案が提出されました。案文は、  一、日本専売公社は、専売事業の特質にかんがみ、耕作者の意思が充分反映するよう、今後とも本法の改善につき検討すべきである。  一、日本専売公社は、鑑定に際しては充分科学的検討を行い、その実施方法についてもなお改善の方途を講ずべきである。  一、標本の制定に際しては、実際に即するよう耕作者代表の意見を充分参酌した上、これを制定すべきである。右決議する。以上の通りであります。  本案は、昨三日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって附帯決議を付して原案の通り可決いたしました。  次に、たばこ耕作組合法案について申し上げます。  この法律案は、従来任意団体として運営されて参りましたたばこ耕作組合につきまして、事業の自主的運営、資産の保全、対外信用等に種々の不利不便があるのにかんがみ、これを法人とすることによって、たばこ耕作者の経済的社会的地位の向上をはかり、あわせてたばこ専売事業の健全な発達に資するため、その組織運営等について必要な規定を設けようとするものであります。  本法案は、第二十六回国会より継続審査となり、自来、専売事業に関する小委員会において慎重に検討を続けて、今国会に至りましたが、本委員会におきましても、慎重審議の後、昨三日、内藤委員より修正案が提出いたされました。  修正案の内容は、たばこ耕作組合の行う事業について、農業協同組合等の事業との間に不必要な競合や摩擦を生じないように、関係者間において相互に協調を保つように努めなければならない旨を規定し、大蔵大臣及び農林大臣は、必要があると認めるときは、これらの団体に対し、あっせん、調停または必要な勧告をすることができることといたしております。その他、組合の地区は、地区たばこ耕作組合にあっては「日本専売公社の定める区域」となっておりましたのを、「政令で定める区域」に改め、監事の定数が「一人以上」となっておりましたのを「二人以上」に改め、役員の選挙については、指名推選の方法によって行わないこととし、「組合員の総数が三百人をこえる地区組合は、」「総会に代るべき代議員会を設けることができる。」となっておりましたのを、組合員の総数を「五百人」に改め、代議員定数について「組合員の総数が千人未満の地区組合にあっては四十人以上、千人以上の地区組合にあっては五十人以上でなければならない。」と規定せられていたのを、代議員の「定数は、七十人以上でなければならない。」といたしました。また、代議員会においては、代議員選挙並びに定款の変更及び解散または合併に関する事項について議決することができないこととなっておりましたのを、役員の選挙についても議決することができないことといたしました。なおまた、今回農林漁業団体職員共済組合法が施行せられるにつきまして、たばこ耕作組合も、同法による共済組合に加入できることといたしました。  以上が修正案の概要でありますが、本案につきましては、さらに神田委員より附帯決議案が提出いたされました。  附帯決議の案文は次の通りであります。  一、組合の地区は、地区たばこ耕作組合にあっては政令で定める区域となっているが、政府はその政令制定に当っては必ずしも日本専売公社の支局等の管轄する区域に捉われることなく、各地の実情を充分に考慮し、且つ、組合の運営に支障のないように定めること。  一、組合の行う事業として、葉たばこの生産上必要な肥料その他の資材の共同購入を規定しているが、非出資組合が経済行為を行うことは適当でないので、組合が現在行っている事業の範囲をこえることのないよう厳に戒め、且つ、他の農業団体との間に事業の競合、摩擦を来さないよう厳重に留意すること。  一、たばこ耕作組合が農林漁業団体職員共済組合法による共済組合に加入する場合は、たばこ耕作組合の監督者である専売公社は、共済組合の監督者たる農林大臣と常に緊密な連絡をとるべきである。   右決議する。 以上の通りであります。  次いで、質疑を終了し、討論の通告がございませんので、直ちに採決いたしたところ、修正案及び修正部分を除く原案並びに附帯決議案はいずれも全会一致をもって可決いたしました。  次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の支給の実情にかんがみ、その額を恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正内容に準じて改定いたそうとするものであります。  次に、そのおもなる内容について申し上げます。まず、退職年金、遺族年金等につきましては、その額を恩給法による同種の恩給の改定措置に準じて改定することとし、公務に基く傷病及び死亡を給付事由とする年金につきましては、恩給法による同種の恩給の改定措置等を考慮して、従前の最低保障額を引き上げることといたしております。  また、若年者に対する増額分の支給停止、高齢者に対する繰り上げ改定等につき、所要の措置を講ずるほか、国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の規定により現に支給されております年金につきましても、この旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金改定に準じて、所要の改正を行うことといたしております。  本案につきましては、慎重審議の結果、昨三日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、国家公務員共済組合法案について申し上げます。  この法律案は、現行国家公務員共済組合法が昭和二十三年に制定され、以来約十年を経過し、この間諸般の事情の変化もありまして、制度の全般にわたって再検討を加えなければならない時期に立ち至っておりましたが、今回、五現業に勤務する恩給公務員に対しても共済組合の長期給付制度を適用する必要が生じて参りましたのを機会として制度全般にわたり整備改善をはかろうとするものであります。  次に、この法律案のおもなる内容について申し上げます。まず第一に、長期給付制度につきましては、退職年金、退職一時金、廃疾年金、廃疾一時金、遺族年金及び遺族一時金等の既存の給付につきまして、他の公的年金制度との権衡を考慮して、その支給額の改善を行うほか、新たに再就職による組合員期間の通算措置を講じ、退職年金の支給開始年令を現行の五十才から五十五才に引き上げることとする等、所要の規定の整備を行うとともに、五十五才以前において退職して年金の支給を希望する者のため、新たに減額退職年金制度を設け、公務上の傷病または死亡による退職の場合にも、廃疾年金または遺族年金を支給できることとし、また、退職年金、廃疾年金及び遺族年金についてそれぞれ最低保障額を定め、将来他の公的年金制度との期間通算を行い得る素地を準備することとするほか、さらに、長期給付の規定の適用範囲に、新たに印刷、造幣、国有林野、アルコール専売及び郵政の五事業特別会計に勤務する恩給法上の公務員をも加えることといたしております。第二に、短期給付制度につきましては、従来の法定給付のほかに、新たに付加給付の制度を設けることともに、被扶養者の範囲、組合員資格喪失後の継続給付の受給資格期間等について所要の改正を加えるほか、昨年の健康保険法の改正に伴う所要の規定の整備を行うことといたしております。第三に、その他のおもな改正事項といたしましては、長期給付の責任準備金の一部を資金運用部に預託して、その安全確実な運用をはかり、共済組合制度に関する重要事項を調査審議するため、新たに大蔵大臣の諮問機関として国家公務員共済組合審議会を設置し、また、共済組合または同連合会の事務職員も、今回新たに組合員にすることができる等の措置を講ずることといたしております。なお、長期給付制度内容改正と、その適用範囲の拡大に伴う所要の経過措置につきましては、別途法律をもって定めることといたしております。  本案につきましては、横山利秋君提出の修正案が提出いたされております。修正の趣旨は、本改正案附則において、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正することとし、公共企業体の職員等についても、その短期給付について、法定給付のほかに、新たに付加給付を支給できることといたそうとするものであります。  本案並びに修正案につきましては、慎重審議の結果、昨三日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、本案につきましては、横山利秋君より次の附帯決議案が提出されましたが、採決の結果、全会一致をもってこれを付すべきものと決しました。  附帯決議の案文は次の通りであります。  一、本法制定の根本主旨により恩給法の適用をうける非現業国家公務員についても本法の適用をすべきことが当然である。従って、政府はすみやかにできれば次期国会に之が改正法案提出すべきである。  二、第二条第一項の臨時に使用されるもので本法の適用をうけるものの範囲を定める政令の制定に当つては、一年以上雇傭される常勤的非常勤職員を適用の対象にし得るよう、その実態を吟味の上深甚の考慮を払うべきである。  三、今回の国家公務員共済組合法案提案及びさきに行われた健康保険法の改正に伴い、公共企業体職員等共済組合法について、医療機関等の規定について所要の改正を行い、あわせて次に掲げる事項等の長期給付に関する附則規定を整備する必要があると考える。   (一) 傷病年金、傷病賜金についても、増加恩給と同様支給を停止しないことにする。   (二) 更新組合員の組合員期間に職員期間に準ずる国家公務員であった期間で、運営規則の定めるものを加える。   (三) 組合員期間二十年未満の者に支給する年金の資格年限のうちに旧組合職員の在職期間で、運営規則の定めるものを加える。  最後に、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました国家公務員共済組合法案が成立施行となりました場合に、その長期給付に関する規定の適用を受ける者に対し、普通退職の場合の退職手当、その他一般の退職手当に関する規定の適用の特例を設けようとするものであります。すなわち、現行の退職手当は、退職事由の分類に従い、その退職手当の支給割合を異にしているのでありますが、その退職事由の分類について再検討し、その分類及びそれに応ずる退職手当の支給割合を改めることとし、この特例による退職手当の最高限度額を退職時の俸給月額の六十ヵ月分とするとともに、死亡退職の場合の俸給四ヵ月分の加算規定は適用しないことといたしております。なお、この法律施行の際に在職する職員で特例の適用を受ける者の退職手当について、所要の経過措置を設けることといたしております。  本案につきましては、横山利秋君より修正案が提出いたされております。修正の趣旨は、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の職員についても本法の適用を受けることができることといたそうとするものであります。なお、その支給額については別に法律で定めることといたしております。  本案並びに修正案につきましては、慎重審議の結果、昨三日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、本案につきましては、横山利秋君より次の附帯決議案が提出されましたが、採決の結果、全会一致をもってこれを付すべきものと決しました。 附帯決議の案文は次の通りであります。     附則第十四項による法律措置は、公社の特殊性にかんがみ、他の職員と同様の処遇が確保されるよう、速やかに、できれば次期国会にこれを行うべきである。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  28. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決に入ります。  まず、日程第五につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。  次に、日程第六ないし第十の五案を一括して採決いたします。日程第六及び第八の委員長の報告は可決、第七、第九及び第十の委員長の報告は修正であります。五案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、五案は委員長報告の通り決しました。
  31. 山中貞則

    ○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出酪農振興基金法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  酪農振興基金法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事助川良平君。     〔助川良平君登壇
  34. 助川良平

    ○助川良平君 ただいま議題となりました、内閣提出酪農振興基金法案について、農林水産委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。  わが国の酪農は、数年来、営農並びに国民食生活の改善に伴って目ざましい発展を遂げ、しかも、今後農業の中核として大幅な拡大が企図されております。しこうして、牛乳の生産と消費とは、長期的にはほぼ均衡して伸びることが期待されますが、乳業の特性として、一時的に季節的あるいは地域的な不均衡の発生が免かれがたく、その結果、乳価の過度の下落、受乳の拒否、乳代の遅払い等となって、生乳取引の混乱を来たし、酪農経営の安定した成長を阻害しますので、これを未然に防ぎ、生乳取引を改善するよう、酪農振興基金を設立して、乳業者または生産者の経営に要する資金の融通を円滑にするために、本案が提案されたのであります。  以下、その内容について概要を申し上げます。  第一に、この基金は、政府及び民間の共同出資によって設立する財団的特殊法人でありまして、設立当初、政府は五億円を、民間は一億円以上、その後おおむね四年間にさらに四億円を出資することとなっております。  第二、民間の出資者は、乳業者、乳業者の組織する団体及び生乳生産者の組織する団体であります。  第三に、業務としては、出資金を財源として、民間出資者の所要資金、すなわち、乳業者につきましては、生乳の購入資金その他の運転資金あるいは経営合理化施設資金を、また、乳業者団体につきましては、構成員にこれらの資金を転貸するために必要な資金を、生乳生産者団体につきましては、構成員に生乳販売代金が支払われるまでの間に必要とする生産資金を、いずれも金融機関から借り入れるときの債務保証を行うこととなっております。  第四に、基金の機関として置かれる役員、すなわち理事長一人、理事二人、非常勤理事七人以内、監事二人以内は農林大臣の任命としております。なお、理事長の諮問機関として評議員会を設け、評議員は出資者及び学識経験 一考中から十五人以内を農林大臣が任命することとなっております。  第五に、定款及び業務方法書は農林大臣の認可を必要とすることといたしております。  本案は、去る三月一日提出されましたが、目下発展途上にあるわが国の酪農業にとって最も大切な乳価安定対策として、まさに一礎石を据えようとするものでありまして、その審議には特に慎重を期し、広く各関係者代表から参考意見を徴し、あるいは大蔵委員会と連合審査会を行う等、熱心な検討を行い、四月三日質疑を終了いたしました。  本案に対する主要な論点は目的、構成、出資、業務等でありましたが、時間の関係上、詳細は会議録により御了承願うこととし、これを省略いたします。  かくて、本日採決に付しましたが、本案に対し、自由民主、社会両党共同提案により、基金の業務として乳製品の滞貨等に対する融資保証が行われる旨を明確化するとともに、さらに基金の本来の業務に支障がない範囲内で牛乳及び乳製品の需要の増進に関する業務をも行うことができるように修正することとし、社会党芳賀貢君より同修正案が提出され、本修正案は全会一致をもって可決され、次いで修正部分を除く原案を採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決されました。よって、本法律案はこれを修正議決すべきものと決した次第であります。なお、本案に対し、自由民主、社会両党共同提案により、政府は、すみやかに酪農振興政策を再検討し、乳価の安定、生乳取引に関する紛争のあっせん処理機構の確立、学校給食及び職場・給食等集団飲用の促進並びに生乳生産者の共同販売組織の整備による生乳取引の改善のために必要な酪農振興法の改正並びに財政上の措置を講ずべきであるという点、ほか、本法の運用等に関連し、五項目の附帯決議を委員会の総意をもって付することといたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  35. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り決しました。
  37. 山中貞則

    ○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出北海道地下資源開発株式会社法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  38. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  北海道地下資源開発株式会社法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。国土総合開発特別委員会理事川村善八郎君。     〔川村善八郎君登壇
  40. 川村善八郎

    ○川村善八郎君 ただいま議題となりました北海道地下資源開発株式会社法案について、国土総合開発特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、北海道における地下資源の開発を促進するため、探鉱等の事業を行う北海道地下資源開発株式会社を設立し、その組織、業務等に関し必要な規定を設けようとするものであります。  その内容の骨子を申し上げますと、第一に、本会社は探鉱等の事業を行うことを目的とするものであって、鉱山の経営は行わないこと。第二に、会社の事業の性質上、国の意思を的確に反映せしめる特殊会社の性格を明らかにするため、政府は常時会社の株式の二分の一以上を保有することとし、昭和三十三年度は産業投資特別会計からの出資二億円、民間からの出資一億円を予定しております。第三に、会社の性格にかんがみ、各種の助成措置を講じ、政府所有株の後配を行い、会社の設立、資本等の増加に際しては登録税を減免し、社債発行限度の特例を設けているのであります。その他、役員の選任、事業計画、社債及び借入金等に対する主務大臣の認可等に関して規定しております。  本案は、去る二月十七日に本委員会に付託されて以来、慎重審議を重ねたのでありますが、これら質疑応答の内容会議録に譲ることといたします。  昨三日、自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかる修正案及び附帯決議を付すべくの動議が提出されたのであります。  修正案の要旨を申し上げますと、原案においては本会社の本店は東京都に置かれることとなっているのを札幌市に置くことと改めること、その他関係法律改正規定に対する法制上の事務整理を行うことの二点であります。  また、附帯決議の趣旨は、政府は、木会社の社債の発行条件について適当なる措置をすること及び役員の選任について適切な配慮をすることの二点であります。  同日質疑を終了し、本日採決の結果、本案は全会一致をもって附帯決議を付して両党共同修正案の通り修正議決すべきものと決した次第であります。  以上をもって御報告といたします。(拍手)
  41. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
  43. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十分散会