運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-01 第28回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十九号   昭和三十三年四月一日     午後一時開議  第一 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員河野金昇君逝去につき院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任するの動議佐藤觀次郎提出)  最近の政府労働対策に関する緊急質問山口丈太郎提出)  日程第一 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出)  社会福祉事業法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  工業用水道事業法案内閣提出)     午後一時二十三分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御報告いたすことがあります。議員河野金昇君は去る三月二十九日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  この際、弔意を表するため、佐藤觀次郎君から発言を求められております。これを許します。佐藤觀次郎君。     〔佐藤觀次郎登壇
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤觀次郎君 ただいま議長から御報告になりました故衆議院議員従四位勲二等河野金昇君に対し院議をもって弔詞を贈呈し、その弔詞はこれを議長に一任するの動議提出いたします。  私はここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の辞を申し述べたいと存じます。  河野君はかねてから病気のため療養に努めておられたのでありますが、去る三月二十九日、心臓障害のため突如逝去いたされました。まことに驚愕悲痛きわまりないものがあります。私は年少の君のために追悼言葉を述べようとは夢想だにもしなかったことでありますが、思えば感無量なものがあります。  河野君は、明治四十三年二月、愛知県尾西市の朝日に生まれ、長じて名古屋市立商業学校卒業早稲田大学専門部政治経済科に進まれました。君は、早くから志を政治に抱き、在学中より中野正剛先生に私淑し、また、学生委員となって大いに活躍されたのであります。  昭和八年同校卒業後、国民同盟政策研究倶楽部員となり、政策調査立案に従事されたのでありますが、昭和十五年には東方会に入り、組織宣伝部員として党勢の拡張に活躍されたのであります。昭和十七年には武蔵野書房を創立し、その経営に当られ、また、みずからも筆をとって、「濠洲発達史」、「北越草莽維新史」、「雷撃」等の書を著わされたのであります。昭和十八年秋、東条軍閥による東方会への大弾圧が行われた際、君は中野先生初め同志とともに検挙の厄にあい、半年の長きにわたり獄舎の辛苦をなめられたのであります。  君は、戦後、東久邇宮内閣の嘱託となり、当時、混乱期に際し、よく民意の反映に貢献するところがありました。  昭和二十一年四月の第二十二回衆議院議員選挙には、祖国再興の熱意に燃えて、郷里の愛知県第一区より勇躍出馬、三十六才の若さをもって、みごと当選の栄を得られ、直ちに三木武夫君とともに協同民主党の結成に参画されたのであります。自来、国民協同党国民民主党、改進党、日本民主党を経て現在の自由民主党に至られ、連続して当選すること七回、在職十一年十一カ月に及んでおられます。  本院にあっては、君は予算委員公職選挙法改正特別委員通商産業委員等として、終始、真摯な態度をもって国政の審議に当り、ことに第二国会から第四国会に至るまでは、海外同胞引揚の特別委員長の重任に選ばれて在外同胞の引き揚げの促進に成果を収め、また、昭和二十六年十月には本院より英国に派遣せられ、選挙制度及び選挙施行状況をつぶさに調査視察して、翌年の公職選挙法改正に大きな寄与をいたされました。  昭和三十年三月、第二次鳩山内閣運輸政務次官となり、三木運輸大臣を助けて、運輸行政の刷新に多大の努力を払われたのであります。  君はまた、党にあっては、協同民主党遊説部長国民協同党常任中央委員国民民主党幹事長、改進党副幹事長日本民主党総務等の要職を歴任し、現に自由民主党の相談役として、近来とみに円熟味を加えたその重厚なる人柄で次第に僚友の厚い信頼をかち得ておられました。かくして、君は戦後十余年間のわが国民主政治発達の上にきわめて顕著な功績を残されたのであります。  河野君は、一面、人格高潔、すこぶるまじめな性格であり、かつ正義感に燃え、不自由の身でありながら、まれに見る努力家でありました。常に不撓不屈の信念を持し、その烈々たる気魄で物事に当られたのであります。しかも、日ごろ清貧に甘んじ、信義を重んじ、また、公私多端なる生活の中にあっても常に郷土のためをはかり、また、後進子弟指導誘掖に煩をいとわず努力を続けられました。されば、郷党の人士の深く敬愛するところとなり、その信望を一身に集めておられたのであります。  君は、若いころより雄弁家の誉れ高く、商業学校時代、県下の弁論大会において優勝されたこともあったと聞いております。  顧みれば、君は、去年の三月、昭和三十二年度総予算の本院通過に際し、自由民主党を代表し、本壇上において賛成の討論を述べ、その論議は別として、堂々たる論陣を張り、与党から万雷の拍手を浴びたことは、思えば君の多年にわたる輝かしい政治生活を飾った晴れの舞台であり、君もまたそれが得意のようでありました。「なかなか上できだったよ。ただ、大物になった君が反対党たるわが党の悪口を言うたのは少し蛇足で惜しかった」と言うと、「佐藤君、仲間からも今度はほめられたよ。君の党の人からも上できだったと言われたが」と、にこにこしていた君の姿が、今ほうふっとして私のまぶたに浮ぶのであります。  昨年の六月、不幸病魔に侵され、名古屋大学病院に入院されたと聞き、その退院の一日も早からんことを祈っていましたが、政局の帰趨あわただしいものがある昨今、君が病床から起きて廊下を散走するまでに回復されたと承わり、心から安心していたのであります。数日前も本院の廊下三木武夫君に会い、「病気河野代議士をよろしく頼む。今度の選挙には僕も応援に行くから」という、君を思う切なる友情のこもった言葉もむだとなったのを思えば、まことに悲しいことであります。その病状に一喜一憂の変化もあり、前後十カ月にわたる闘病も、御家族の手厚い看護もむなしく、ついに全快を見るに至らなかったのは痛恨きわまりない次第であります。  君、よわいいまだ四十八才。国家多難の新柄、君が台閣に列し、多年の抱負経論を実行するの期に際し、その天寿を全うせず、前途なお春秋に富む身を卒然として不帰の客となられたことは、本院にとり、また邦家にとり、返す返すも残念しごくであります。  ここに、いささか君の生前の事績を追懐し、その風格をしのび、御冥福を心からお祈りいたしまして、追悼言葉といたす次第であります。(拍手
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいま佐藤君から提出されました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、動議は可決せられました。  ここに、議長の手元において起草いたしました文案があります。これを朗読いたします。  衆議院ハ多年憲政ノ為ニ尽俸セラレタル議員従四位勲二等河野金昇君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈スこの弔詞贈呈方議長において取り計らいます。      ————◇—————  最近の政府労働対策に関する緊急質問山口丈太郎提出
  7. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、山口丈太郎提出、最近の政府労働対策に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  最近の政府労働対策に関する緊急質問を許可いたします。山口丈太郎君。     〔山口丈太郎登壇
  10. 山口丈太郎

    山口丈太郎君 私は、日本社会党を代表して、現に発展しつつある労資関係諸問題に関し、若干の質問をなさんとするものであります。(拍手)  すでに御承知通り地方鉄道、軌道及びバス関係労資問題は、いよいよ深刻の度を加えつつあります。この賃金引き上げ要求に参加している組合は、百二十二組合であります。これら私鉄労働組合が毎年賃上げを繰り返すと非難されるのでありますが、これにはそれの原因を突きとめる必要があると思うのであります。  まず、給与ベースにこれを見ますと、私鉄労働者全国平均ベースはわずかに一万七千九百余円、バス企業は一万三千七百余円であります。今問題となっている大手十三社にとって見ても、基準賃金は一万八千七百余円にすぎません。しかも、戦前は毎年三月の年度がわりには昇給制度を実施していたのが大多数の会社でありましたが、今では定期昇給制度を実施していない会社が大多数であります。従って、組合から賃金改訂要求がなければ何年でも、職階は上っても給与は上らないという変則状態にあるのであります。これが毎年春に賃金改訂要求をされる原因であります。  組合では、今回も一月以降の賃金引き上げを要求し、調停申請がなされたのでありますが、中央労働委員会では意見の一致を見ず、公益委員である中山あっせん案が示されたのであります。このあっせん案平均一千円の賃上げを勧告したものでありますが、会社側は受諾、組合側は、政府みずからも認めているように、本年下期には経済事情は上昇する、昨年と本年上期との経済事情変化はない、また、会社収入の伸びは順当で、毎期の自然増収率は八%ないし一五%を示しているなどから、昨年並みの引き上げを認められていないとして拒否したのであります。組合は、直ちに中央にて私鉄総連私鉄経営者協会との間に交渉を開き、事態解決に取りかかり、なお、地方においても、単独交渉をもあわせ採用したのであります。かくて、事態解決べと前進を示し、東急及び名古屋鉄道は直ちに昨年の実績を上回る額をもって妥結したのであります、他にも妥結を希望する会社がありましたが、この二社の解決を見たる直後から、私鉄経協私鉄総連との間の交渉に暗影が見え始めたのであります。すなわち、自由民主党は、この二社の解決を見て、直ちに円満解決した東急首脳部を呼び、かかる解決策をとるならば申請中の運賃値上げ及び必要社債のワクを許可しないと言い、また、私鉄経協別所常務理事及び未解決会社幹部を呼び出し、同様の旨を言い渡したというのであります。これを裏書きするかのごとく、河野経済企画庁長官は、今月二十二日の新聞記者会見において、同様の言明をしておるのであります。  まず、私は岸総理に伺いたい。少くとも現内閣経済閣僚一員として、また与党の大幹部としての河野長官が、かかる発言を公けにするからには、岸内閣は、この私鉄争議に対する労働対策として、かかる方針を決定されたのであるかどうか。内閣の決定にあらずとも、閣僚一員がかかる重大なることを、しかも争議中に発表し、かつまた、それが真意であるとするならば、はなはだしき権力の乱用であり、いたずらに労資紛争を激化させる不当なる政府干渉であると思うが、どうか、首相所信をお伺いしたい。  このように、政府与党の激しい干渉の中にあっても、なお個別交渉を継続し、困難を乗り越えて、今まで、昨年または昨年以上の額で妥結した組合は、傘下百二十二組合の八〇%にも達しており、このうち昨年以上の額で妥結した組合は三三%に達しておるのであります。この妥結した中には自民党代議士諸君の社長をしておられる会社も含まれておるのであります。また、これら大多数の会社は、すでに運賃値上げ許可済み会社が多いのであります。本気で昨年を上回る妥結会社制裁を加えるとすれば、これらの会社をどうしようというのでありますか、承わりたいのであります。(拍手)また、聞くところによれば、この春の賃上げ闘争を利用して紛争を長期化せしめ、来たるべき総選挙を有利に導かんとするところの策動とも解される言動があるが、首相はかかる事態をどう考えておられるか、承わりたいのであります。  次に、河野長官に尋ねますが、経済企画庁日本産業企画心臓部をつかさどる重要な官庁でありますが、この長官がかかる行動をとられることは労資紛争を激化させ、かつ長期化させるのみであり、一種の争議挑発的役割を持つものと申さねばなりません。(拍手)自己の行動をどう考えられるか。また、過般申請をいたした私鉄経営者運賃値上げについては、河野長官反対の急先鋒であったと聞いているのであります。その長官が、労資紛争の取引に、かかる問題を利用することは、まことに言語道断の行為であると申さねばなりません。(拍手河野長官真意を伺いたいのであります。  私鉄経営者は、運賃値上げ申請する一方、輸送力増強政府からも要請され、これを実行しているのであります。これらのことは、私鉄経営者政府に対する弱点となっているといえましょう。もし、政府がこの弱点をとらえて、これを有力なる条件として、労資問題にくちばしを入れるのは、まことに卑怯千万といわねばなりません。一方において紛争を長期化して大衆に損害を与え、その褒賞意味運賃値上げを許すとすれば、国民大衆こそ最大の被害者であるといわねばなりません。(拍手首相並びに運輸大臣は、この事態にいかに処せられるおつもりであるか、明快に御答弁願いたいのであります。  次に、中労委のあり方について労働大臣に伺いたい。それは、三者構成調整機関たる中労委が、ややもすれば、公益委員のみの独断によって、安易にあっせん案を提示していることであります。労資意見一致せざる場合の便宜措置でありましょうが、このような便宜措置では、問題を解決することは困難であります。昨年来、労働大臣のとっておられる労働行政は、過般の国鉄を初めとする公企労関係においても、きわめて強引な態度をとっておられるのでありまして、労働問題等は単なる処罰や権力の不当なる介入によって解決さるべきものではないのであります。しかるに、石田労相は、事あるごとに労組に対決的な態度をもって臨んでおられるのでありまして、私鉄の問題に限らず、今日生起している労資紛争のすべてに対して、弾圧的権力介入の度合いはますます激しさを加えております。昨年来、国鉄労働組合を初め、機関車労組に対しても、公社側のとった態度は、必ずしも公社側の自主的な決裁に基くものとは思われない幾多の言動を見聞しているのであります。また、最近では、全逓を初め各公社に対しても多数の犠牲者を準備中であるやに伝えられているのであります。最近、政府態度を反映した公社が、いたずらに労組に対して対決的態度を持し、事あるごとに事態を誇大化し、警官の出動等を要請して、至るところで流血の惨事をすら見るに至っており、目をおおわしめるものがあります。かかることはすみやかに改め、不当なる権力介入を中止すべきであると思うが、どうか。(拍手)  また、最近、公労法関係労組調停は不能となり、仲裁裁定に付され、近くこの裁定がなされようとしている由聞いている。このときに当って、政府はいかなる態度をとっているのか。仲裁委員の公正なる自主的判断を阻害するような態度をとっているのではないか、労働大臣及び郵政大臣所信をただしておきたいのであります。(拍手)  次に、運輸大臣に伺います。今回の私鉄労働争議に当ってとられている自民党及び河野長官経営者に対する不穏当なる態度に加えるに、さらに運輸省岡本民営鉄道部長もまた、あっせん案を上回る妥結をした場合は私鉄運賃等値上げは一切これを認めないとの通達を出しているといわれているのであります。これは政府権力民間経営に対する許すべからざる越権的不当干渉行為であります。(拍手所管大臣たる運輸大臣は何ゆえかかる干渉をなさしめているのか、その理由を明示願いたいのであります。われわれは現在、私鉄経営内容より見て、正当なる賃金を認めても、運賃値上げする必要はないものと認め、反対してきたのであります。運輸大臣もまた、私の在任中は運賃値上げを認めないと、運輸委員会において答弁せられているのであります。しかるに、与党の一部のみならず、運輸省内においてすら運賃値上げの策謀があることは、これによって明らかであります。これでは運輸大臣態度と全く異なるばかりか、運賃値上げ起債など、政府の持っている権限のすべてが労資問題に持ち込まれる結果となり、運輸大臣責任はきわめて重大であります。私はこの際、運輸大臣責任を追及するとともに、所信を明快にされんことを望みます。(拍手)  次に、大蔵大臣に伺いたい。去る三月二十一日夜、交渉妥結の寸前に至り、突然、大蔵省側から、これら会社幹部に対し、中央から指示した千円以上で妥結すれば融資、社債の発行許可を停止するとの通達を発し、妥結を妨害したといわれております。先に述べた運輸省民鉄部長名通達とともに、許すべからざる政府当局越権行為でありまして、私は大蔵省態度は理解に苦しむものであります。大臣責任を強く追及するとともに、所信を明らかにしていただきたいと思うのであります。  いずれにしても、労資問題の解決に当り、これに時の権力が不当に介入し、これを利用し、利益を壟断せんとすることは、民主政治を邪道に導くものであります。私鉄争議が、あくまでも伝えられる政府及び自民党態度によって長期化し、経営者は、先に述べたごとく、褒賞意味運賃値上げ起債も与えられるとすれば、国民は大きく政府与党態度を非難するであろうと存じます。  以上をもって私の質問を終ります。それぞれ大臣の明快なる御答弁を要請してやみません。(拍手)     〔国務大臣岸信介登壇
  11. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 山口君の御質問に対してお答えを申し上げます。  従来、内閣は、私企業に対する争議につきましては、常に不干渉立場を堅持いたしております。労組及び経営者側自主的立場における円満なる妥結を望んできておるのが、政府の根本的な方針であります。  言うまでもなく、この私鉄争議国民多数の人に影響するところが大きいのでありまして、私ども争議が一日も早く解決せられることを望んでおります。長引くことは選挙云々というようなお言葉がありましたが、そういうことは政府として絶対に考えておりません。  なお、このあっせん案を上回るような妥結をした場合において、これに制裁を加える意思があるかというお話でありますが、そういうことは、もちろん政府としては考えておりません。私鉄運賃値上げの問題は言うまでもなく、輸送確保、安全、また、これの一般利用者利益が十分に守られるように、また、その経営が安定するように、あらゆる面を考え値上げの必要ありやいなや、さらに一般物価との関係も考慮しなければならない問題でございまして、もちろん各般の事情考えて決定するものであります。従って、労働条件とだけ単純に関係するものでないことは言うを待ちません。ただ、労働条件を改善し、その賃上げ等におきましても、相当労働者偶意見をいれるということは、経営者側においても、その経営内容が安定をいたしており、そういうことをいれ得ることは内容のいいということを示しておる一つの証左には私はなると思います。そういう意味におきまして、相当に労働条件も改善できるような経営内容を持っておる会社におきましては、多くはこの料金の値上げをする必要もなくして、その私鉄会社の使命を達成し得るような場合が私は多かろうと思います。そういうことは事実でありましょうが、しかし、労働条件について、賃上げ妥結いかんによって、政府がそれだけの理由値上げを認めないとか、あるいは輸送確保のための設備改善や、あるいは輸送力増強ということのために必要な資金を世話しないというような制裁を加えるということは政府としては全然考えておらないのであります。(拍手)     〔国務大臣河野一郎登壇
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  ただいま総理大臣から詳細お話がありましたように、私もそのお答えと全く同様でございます。ただ、私は経済金画庁長官といたしまして、今日の物価政策からいたしまして、物価を現状に安定させて参りたいという趣旨から、これら私鉄その他の運賃の上ることは極力避けるよう、従来お願いして参ったのでございます。ところが、私鉄各社から、会社経営内容等に準拠いたしまして、値上げの必要を強く言うてこられたことも、御承知通りでありますが、その間になんとか政府政策に御協力願うようにやって参った際に、先般の中労委裁定がありました際に、これは決して介入するとかなんとかいうことは毛頭考えておらないのでございますけれども、大方の条件を勘案せられまして、ここに中労委裁定案が出たということを私は拝見しておりましたときに、両社がこの裁定を非常に上回って妥結ができた、けっこうなことだと私は考えました。しかし、その反面において、この両社会計内容が非常に優秀なものであろうということも想像ができたのでございます。そういうふうに会計内容が優秀であれば、さらに引き続き、こういう会社は、一般利用者立場に立って考えるときに、なるべく利用者立場にも有利にやっていっていただきたいものだということを深く考えました。これは今般の東北その他の電力の値上げの問題について、社会党の各位が値上げ絶対反対と御決議になった趣旨と、私は気持は全く同じでございます。(拍手)     〔国務大臣中村三之丞登壇
  13. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私鉄争議につきましてはその自主的解決を期待し、運輸省はこれに介入すべきものではないという態度をとっておることは、御承知通りであります。大私鉄運賃値上げ物価低位安定のため、これをストップいたしております。今これを解除する考えは持っておりません。(拍手)われわれは、争議運賃値上げとは関連して見るべきものでない、こういう考えを持っておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣石田博英登壇
  14. 石田博英

    国務大臣石田博英君) お答えを申し上げます。  中央労働委員会が労、使、公益三者によって構成されておりまして、その三者の協議によって労働関係紛争を予防し、あるいはこれを解決いたしまして、産業平和の確立と経済の発展に寄与することを期待しておりますのは、これは労調法の基本的な考え方でございます。従って、でき得れば三者の意見が一致するような事態まで努力を継続されることが望ましいことであることは言うまでもないのでありますが、しかし、一方、今回の場合のように、スケジュールがすでに組まれておりまして、そして、そのスケジュールの終点がきまっているようなものでございますから、労使意見が一致するまで待つわけには参らない場合もございます。そういう場合にはやむを得ず、公益立場を代表する委員の方が、労使双方の主張を十分勘案をいたしまして、あっせん案を示し、それに基いて労使紛争解決するように勧告をいたしますことも、これはやはり労調法の精神にかなうものと考えまするし、また、第二者の立場公益委員あっせん案を尊重されて、そして労使の問題が解決されることが望ましいと考えている次第でございます。  それから、私ども労働行政が、ことごとに、権力をたてにとって圧迫を加えるというお話でございますが、私ども政府は、なすべき義務を明確に実行することによって労働者諸君にも法規の順守を求め、これによってよき慣行を作り上げていこうとするのであります。(拍手)たとえば、仲裁裁定完全実施、あるいは超過勤務手当の支払い、その他政府のなすべき義務は今日まで確実にやって参りました。  また、今回職権仲裁を請求いたしたことにつきまして、その仲裁裁定された場合におきましては、政府はどういう態度をとるか、という御質問でございますが、今までしばしば申しておりました通り、また、職権仲裁を請求言いたしましたときに明らかにいたしました通り仲裁裁定は完全に実施することは当然でございます。(拍手)     〔国務大臣田中角榮君登壇
  15. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。  合法にして正常な労働運動の発達を願っている私でございますから、労働運動の不当干渉となるような警察権の介入は不当にいたしておりません。先般来の警察官の出動は、違法行為の未然防止と、組合運動が行き過ぎて公安を害したり、社会秩序を乱さないための予防措置として、最小やむを得ない限度のものであることを御了承願います。(拍手
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 大蔵大臣は出席されておりませんので、その答弁は適当な機会に願うことといたします。      ————◇—————  日程第一 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  地方自治法の一部を改正下る法律案内閣提出
  17. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、日程第一とともに、内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第一、地方税法の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長矢尾喜三郎君。     〔矢尾喜三郎君登壇
  20. 矢尾喜三郎

    ○矢尾喜三郎君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本案は、地方税制の現況並びに再建途上にある地方財政の現状にかんがみ、地方団体の財政運営に混乱を生ぜしめない限度における改正として、自転車荷車税を廃止し、あわせて若干の徴税の合理化及び負担の均衡化等をはかろうとするものであります。  改正案の内容を簡単に申し上げますと、まず自転車、リヤカー、荷車等に対する自転車荷車税を廃止し、これによって生ずる市町村の減収を補てんするため、市町村たばこ消費税の税率を引き上げ、軽自動車及び二輪の小型自動車に対する課税権を市町村に委譲し、現行の原動機付自転車に対する課税とあわせて市町村税として軽自動車税を創設すること、次に、道府県民税及び市町村民税の課税標準である所得税額の算定については、新たに認められる所得税の貯蓄控除額を控除しないものとし、固定資産税において新技術の企業化用機械設備等の資産に対し、課税標準の特例措置を設け、電気ガス税の非課税範囲に最近新たに製造を開始された化学製品等数品目を加え、木材引取税の税率を引き下げ、軽油及び揮発油以外の炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合にも、軽油引取税を課する等の諸点であります。  本法律案は、二月二十二日本委員会に付託され、同月三十七日には郡国務大臣より提案理由の説明があり、その後、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方財政計画とも関連せしめて審議を行い、三月十二日には参考人より意見を聴取し、また、地方税法改正に関する小委員会を設けて、本案はもとより、地方税制全般にわたって、しさいに検討を加えるなど、審議に慎重を期したのでありますが、これら審議の詳細は会議録に譲ります。  三月二十六日には、川村継義君外九名提出にかかる本案に対する修正案が提出せられ、川村委員より提案理由の説明がありました。修正案は、事業税の軽減、遊興飲食税における免税点の引き上げ、農耕地の固定資産税の軽減、電気ガス税の税率の引き下げを非課税範囲の制限、たばこ消費税率の引き上げ及び消防施設税の創設等を内容とするものであります。  昨三十一日には、川崎小委員長より、地方税法改正に関する小委員会の審議の経過並びに結果について報告がありました後、亀山孝一君外十七名より、本案の施行期日につき、「昭和三十三年四月一日」とあるのを「公布の日」に改める旨の修正案が提出されました。  同日、政府原案及び川村継義君外九名提出にかかる本案に対する修正案並びに亀山孝一君外十七名提出にかかる本案に対する修正案の三案について質疑を終了いたしました。その際、川村継義君外九名提出にかかる修正案について内房の意見をもとめましたところ、郡国務大臣地方財政の現状並びに国の予算との関係にかんがみ、将来はともかく、現在修正を加えることは適当ではないとして、内閣はこの修正案に賛成しがたき旨意見の開陳がありました。  かくて、政府原案並びに両修正案の三案を一括討論に付し、委員中井徳次郎君は、日本社会党を代表して、亀山孝一君外十七名提出にかかる修正案及びその修正部分を除く政府原案に反対、川村継義君外九名提出にかかる修正案に賛成、委員徳田與吉郎君は、自由民主党を代表して、亀山孝一君外十七名提出にかかる修正案及びその修正の部分を除く政府原案に賛成、川村継義君外九名提出にかかる修正案に反対の意を表されました。  採決の結果、川村継義君外九名提出にかかる修正案は賛成少数をもって否決、次いで、亀山孝一君外十七名提出にかかる修正案は賛成多数をもって可決、その修正部分を除く政府原案も賛成多数をもって可決せられ、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  その際、委員永田亮一君より、本案に対し、自由民主党提案になる次のごとき附帯決議を付すべしとの動議提出せられ、これまた賛成多数をもってこれを付することに決しました。     附帯決議   本法の施行に当り、政府は特に左の諸点に留意し、法改正に伴う影響に対処して遺憾なきを期すべきである。  一 自転車荷車税の廃止とその減収補てんのための市町村たばこ消費税の税率引き上げの結果、なお減収となる市町村に対しては、その減収分を補てんするため、万全の措置を講ずること。  二、木材引取税の税率を引き下げたため、徴税を適正化するも、なお減収となる市町村に対してはさし当り、特別交付税をもって完全な減収補てんを行うとともに、次年度以降将来の減収補てんについても適確な恒久的財源措置を講ずること。  三、地方税制の全面にわたって再検討を加え、可及的速かに、その綜合的かつ、根本的改正を行うよう、その方途を考究すること。  右決議する。  次に、地方自治法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  地方自治法の別表には各般の法令によって地方公共団体及び地方公共団体の機関に処理を義務づけている事務、並びに地方公共団体に設置を義務づけている行政機関及び職員等をすべて掲げることになっておりますので、関係法令の制定、改廃に伴い、別表の整理が必要となるのであります。昭和二十七年、第十三回国会において、この別表の制度が設けられましてから、すでに三回にわたり所要の追補、改訂措置が講ぜられているのでありますが、今回さらに昭和三十一年第二十四回国会以降の法令の制定、改廃に伴う整備をはかろうとすることが、本案の主たる内容であります。  本案は、三月十八日本委員会に付託、同日郡国務大臣より提案理由の説明を聞き、審議に入りましたが、本四月一日質疑を終了、その際、亀山孝一君外二十八名提案にかかる修正案が提出せられ、提案者を代表して委員纐纈彌三君よりその趣旨の説明が行われました。修正案の内容は二項目にわたり、次のごときものであります。  修正の第一点は、町村議会の事務局に関するものであります。すなわち、地方議会の事務部局の制につきましては、現行法では、都道府県の議会には事務局を置き、市の議会には条例の定めるところにより事務局を置くことができることとなっておりますが、町村の議会にあっては、単に書記長、書記その他の職員を置くだけで、法律に基く事務局を置くことは認められていないのでありますが、町村合併によって町村の規模も拡大し、新町村建設の段階に臨んだ今日においては、町村議会においても、市と同様、条例の定めるところにより事務局を置くことができることとし、従来からすでに存する町村議会の事務局についても、これを法制化しようとするものであります。  次に、修正の第二点は市となるべき要件のうち、人口要件につき臨時の特例を定めようとするものであります。すなわち、地方自治法第八条には、市となるべき普通地方公共団体の備えなければならない要件が定められており、人口要件としては、人口五万以上を有することとなっております。御承知通り、この人口要件は、以前には人口三万以上であったのを昭和二十九年に改正したのでありますが、町村合併の推進と、合併計画遂行の過程において、市となるべき期待を持ちながら、関係町村がその区域の面積が地勢上広大なのに比して人口が不足し、あるいは周辺市町村の各般の事情によって、人口要件を満たすに足るような合併が困難である等の理由によって、従前の人口三万以上の要件で市となったものに比し、その能力、実質において遜色がないにもかかわらず、単に人口要件改定の時期的ずれにはばまれて、新しい人口要件に欠ける結果となったもの等に対しては、町村合併も大よそ終結し、一段落を遂げた今日、一定期間内を限り、以前の人口要件をもって市となることのできる道を開くため、さきに人口要件が改正されたとき、経過措置として、改正規定の施行の際、現に都道府県知事に対して当該処分の申請がなされている場合は従前の例によるものとされた趣旨をさらに延長して、本年九月三十日までに申請をしたものは人口三万以上をもって市となることを認めようとするものであります。  討論を省略して採決に付し、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案はこれを修正議決すべきものと決しました。  なお、その際、委員渡海元三郎君より、本案に対し附帯決議を行うべき旨動議が提案され、採決の結果、これまた全会一致付すべきものと決しました。附帯決議は次の通りであります。   地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   公立学校の教育公務員のうち、全日制の市町村立高等学校の教職員のみが、退職年金の基礎となる在職期間の通算制度においてとり残されている現況にかんがみ、政府は、これらの職員についても都道府県立の高等学校及び義務教育諸学校の教職員と同様に、その在職期間を通算するよう、すみやかに措置すべきである。  右決議する。 以上の通りであります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。  中井徳次郎君。     〔中井徳次郎君登壇
  22. 中井徳次郎

    ○中井徳次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提案の地方税法の一部を改正する法律案及び同修正案に反対し、社会党提出の同法の修正案に賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)  政府改正案の内容は大体七項目に分れておりまするが、そのおもなるものは、まず自転車荷車税の廃止、たばこ消費税率の引き上げ、電気ガス税の非課税範囲の拡大、木材引取税の税率の半減等でございます。  まず第一に、自転車荷車税について申し上げますと、この廃止は、実はかねてから社会党の主張してきたところでございます。昨年度の本国会におきましても、私はこの壇上よりそれを主張いたしたことであります。しかしながら、この廃止には現在の市町村の困難なる財政状態から見まして、これに見返る確実なる財源を付与するということが必須条件であり、これが前程条件でなければならぬのであります。(拍手)しかるに、この廃止の問題につきましては、実は今回の政府地方税制の改正の事務当局の原案にはありませんでした。これが閣議において話が出まして、早々の間に、実は選挙対策として社会党政策を借用されたというふうな形でありますから、その結果、財源の取り方がはなはだ乱暴であります。すなわち、市町村たばこ消費税を二%引き上げて、総体としてはこの額が合うということになりますけれども、税源の乏しい山村の町村、地方の小都市等におきましては、たとえば、たばこの小売店が人口比率によってずっとあるわけではございませんから、非常な減収になって参ります。そうして、政府にこれが説明を求めますと、一体減収になる町村の税額の総額は幾らであるかという答弁さえできない。ただ、府県単位としまして、たとえば埼玉県においてはプラス・マイナスの計算でどうなる、静岡県ではプラス・マイナスでは二千万円の減収になるという数字だけは出ますが、マイナスだけの総計は出てこない。このプラス・マイナスの数字だけで日本全国で七億円だというのでありますから、私どもの判断ではおそらく十数億に上りまして、個々の市町村の財政欠陥ということになります。これに対しまして、政府はいつも交付税と言うのでありますが、こういうふうに税制改正をいたしますごとに差額ができるということは今の政府の野放し、自由放任の資本主義体制下にありましては当然のことでありまして、これを放置して今回改正をしようというがごときは、断じてわれわれの承服しがたいところでございます。  第二は木材の引取税であります。これにつきましては、この引取税の性格からいいまして、自転車荷車税以上に山村の市町村にかわりの安定財源を与えなければなりません。たとえば、一定の年限を経ました立木等につきまして、きわめて軽い、今の固定資産税の一割あるいは二割程度の固定資産税的性格を持った税金を課するとか、あるいは木材の伐採税のごとき税種を設ける、それと振りかえにこの引取税を廃止せよというのでありまして、これは私どもも賛成でありますが、政府はその裏打ち財源の措置をとりもしないで、一部業者の圧力に押されて、今日この税率を半減いたしました。大臣の説明によりますと、税率を半減しても、西日本においては税収入は変りはない。まことに奇妙なことであります。東北、北海道のごとく国有林の多いところは一般交付税及び特別交付税でカバーすることができると言っておりますが、これはやはり語るに落ちたものといわねばなりません。すなわち、税率を半減しても税額が減らないというのは、過去における木材引取税の徴税のでたらめさを表明したものであります。そうして、政府のこの方面における指導が全く欠けておったということを暴露したものであろうと思うのであります。また、東北及び北海道においては先に述べた自転車荷車税と同じように、この回答はやはり、地方交付税、特別交付税まるでおかみさんが買物かごに物を買って全部それにほうり込むようなどんぶり勘定の答弁でありまして、これでは全国の市町村にとりましては、税収入の将来についていたずらに不安感を与えるだけでありまして、私どもはとうてい首肯しかねる次第であると思います。  第三には、電気、ガス税の非課税範囲の拡大であります。これについては、金額にしましては一億円ばかりだ。そうして、内容がジルコニウム地金、エチレン、テレフタール酸、エチレンオキサイド等々まことにむずかしい表現をもちまして、こういうものを製造するために使用する電気については免税となっておりますが、だんだん調べてみますと、一体こういうものを製造しておる会社はどこかということになって参りますと、いわく三井石油、いわく住友化学、いわく三菱油化、いわく東洋レーヨン、いわく帝国人絹、カネカロン等々でありまして、いずれも日本の大産業系統のものであります。わずか一億円ばかりのものを、こうした一部大会社の要求がありました場合には、直ちに、わざわざこれは国税ではありません、地方税まで免税をするというところに、私は現政府の性格を見るのでありまして、あきれ返った次第だと存じます。  以上、すなわち、自転車荷車税及び木材引取税につきましては、それによる見返り財源の不確実さという点において、政府のこのどろなわ的な対策には賛成するわけにはいかないし、電気ガス税の免税については断固反対せざるを得ないということになります。  政府提出案に対しまして、社会党改正案は、まず第一に、現在地方税中の最も問題の多い事業税に手をつけております。シャゥプ勧告以来、事業税の取り方につきましては、これは絶えず論争の的であります。中政連の主張を待つまでもなく、現在の事業税は果して応益性のものか、あるいは応能性のものか、はっきりいたしておりません。結局のところ、特に府県財政の混乱を救うための便宜的なものとして、商業、工業等にのみ課せられておる税金でありまするから、方向といたしましては将来撤廃に進むべきものであろうと思います。しかし、私どもはさしあたりその現実の面を十分勘案いたしまして漸進主義をとり、今般個人企業を中心として基礎控除を二十万円まで引き上げ、税率を一律に二%引き下げるということにいたしました。  また、電気ガス税につきましては、政府意見と全く対立をいたしております。戦後の復興も一応見通しがついて、大産業の経営も昨年あたり異常な高利潤を上げた今日、これら産業に付随する電気、ガスの料金は、しかもまた他の一般料金に比べて非常に安い今日、依然として免税を続けて、中小企業はもとより、生活援護者に至るまで、一般国民大衆には一割の高率をずっとかけておるというがごときは断じて私どもは首肯し得ないところであります。(拍手)従いまして、わが党は、税率を一律に七%に引き下げまするとともに、街路灯のごときは一挙に免税にする。そうして、現在非課税でありまする一千数百億に及びまする電気料金について、一律に三%の課説を試みようとするものであります。現在の社会情勢より見まして、まことに妥当なものといわねばならぬと存ずるのであります。(拍手)  次に、遊興飲食税について申し上げたい。昨年度、政府は、芸者の花代を三割より一割五分に一挙に引き下げながら、大衆飲食の税率を逆に五%から一割に引き上げましたことは、その当時、世論のひんしゅくを買いました。そうして、保守党内閣は、明年は改めます。こういう回答でありましたが、今年は依然としてほおかむりであります。そこで、私どもは、大衆飲食の免税点を現在の三百円より五百円に引き上げ、旅館の宿泊の免税点を八百円より千円に引き上げることにしたのであります。これは、大衆の側から見て、時宜に適した、当然のことといわねばなりません。本件につきましては、与党諸君も大半賛成やに私は承っておる。最後に幹部の解釈によりまして押えつけられたのが実情であるように聞いております。はなはだ残念なことだと存ずるのであります。(拍手)  なお、事業税その他の減税に伴う見返り財源につきましては、たばこ消費税を一挙に引き上げまして、これをカバーしたい。これは、政府の諮問機関でありまする地方制度調査会が三年前から答申をし、これを主張し続けておるところであります。これによりまして、将来は、国の歳入の欠陥というものは租税特別措置法の改正によりまして幾らでもカバーができるのでありまして、これに対する与党政府等の御批判は私は当らないと考えております。  以上をもちまして、政府の提案に反対し、社会党提出地方税の一部改正に賛成をする討論といたします。(拍手
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 徳田與吉郎君。     〔徳田與吉郎君登壇
  24. 徳田與吉郎

    ○徳田與吉郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、自由民主党提出の修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成をし、社会党提出の修正案に反対意見を述べようとするものであります。(拍手)  現行地方税制度は、シャゥプ勧告に基いて、昭和二十五年、独立税主義と地方財源増強とを基調として成立し、自後、この基本方針のもとに、数回の改正を見たのでありますが、地方公共団体の財政需要の推移に応ずることができず、ために地方財政が危機に直面いたしましたことは、御承知通りでございます。ここにおいて、第二十三国会以来、地方財政確立のために深い関心が払われ、引き続き行われました諸政策が幸いにも効を奏しまして、ようやく安定の方向をたどるに至り、ことに地方団体のガンとも考えられましたいわゆる赤字団体が再建団体として再出発し、今や赤字解消に必死の努力を払い、前途に曙光を認めようとするに至っておるのであります。このようなときに、地方自主財源の根幹であります地方税制にかりに検討の余地があるといたしましても、部分的な変革を加えて、税収の見通しに混乱を招くようなことは、角をためて牛を殺すの愚を求める結果になりまして、策を得えたるものとは申しかねるのであります。むしろ、この際、交付税その他によって財源を確保し、地方団体の基礎を固めることが、地方住民の恒久の福祉に寄与するものであると、かたく信ずるものであります。この意味において、政府原案が、極力地方税源の変動を避けて必要最小限度の改正にとどめたことは、当を得たものとして、わが党の賛意を表するところでございます。(拍手)  すなわち、今次改正内容の重点は自転車荷車税を廃止したことでありまして、その他は単に徴税の合理化、負担の均衡をはかるための住民税、固定資産税、電気ガス税、木材引取税、軽油引取税等に若干の必要やむを得ない改正を加えたものであります。  たとえますと、住民税に関する事項については、従来国策による減税が行われた場合、それが直ちに地方税に反映いたしまして、自動的に減収を見たのでありますが、今回の昭和三十三年及び三十四年度分の所得税について認められた貯蓄控除は住民税には適用せないで、その課税標準は貯蓄控除前の所得税額といたしておることでありまして、地方財政が一応国家財政と別個のものとして存する以上、自主財源確保の建前から当然なことであります。  固定資産観、電気ガス税にかかわる改正につきましても、従来すでに税の特例規定の適用を受けていた課税客体と同じ性質の新たなもの若干について物理的に範囲を広げたにすぎないものであります。特例規定存廃については、おそらく議論があろうと思います。これは根本の問題に触れ、その影響するところがきわめて大きいので、軽々に取り扱うべきものではないのであります。  木材引取税について、いろいろ御議論がありました。これは税率を二%引き下げることと相なっておりますが、過去に生じておりました徴税の不合理を、これは是正したものでありまして、不合理は是正できますが、なおこれによって円滑に従来の税収を確保することができるようになっておるのであります。しかも、この改正によって著しく財政欠陥が先ほど出るようなお話がありましたが、それは市町村に特別交付税をもって補てんすることを政府が答弁をいたしております。さらに、これは附帯決議をもって適当な措置をするように決議をいたしております。  自転車荷車税の廃止に至りましては、これは大衆に対する零細課税の整理として多年要望されたところでありまして、かわり財源の調整がつかないままに今日に至っておったことは、むしろ、先ほどおっしゃったように、これを熱心に主張しておられました社会党諸君が、これが主眼である税制改正反対されるということは、どうもわれわれには理解のいかないところであります。ことに、廃止に伴う市町村の税制欠陥約五十億円は、新たにたばこ消費税二%の引き上げによって補てんをされております。また、従来道府県税でありました軽自動車及び二輪の小型自動車については、原動機付自転車とともに、軽自動車税として市町村に課税権を委譲する等、まことに適切な措置が講ぜられておるのであります。  このように、原案は地方財政の変動を最小限度に食いとめるように努力しておりますにもかかわりませず、社会党提出の修正案は第一、事業税の軽減、第二、遊興飲食税の免税点の引き上げ、第三、都道府県たばこ税率の引き上げ、第四は農耕地の固定資産税の軽減、第五は電気ガス税の税率の変更、第六は市町村たばこ税率の引き上げ、第七は消防施設税の創設など、きわめて広範囲にわたっておる総花式のものでありまして、地方税法の根本改正に関する問題点の羅列としては一応敬意を表しますけれども、修正案としては、ようやく安定しつつある地方財政に不足と動揺を与えるおそれのあるものでありまして、責任のあるわが党としてはこれにはとうてい賛意を表することができません。(拍手)  以下、二、三の内容について検討を加え、反対趣旨を明確にしたいと思います。  まず第一に、事業税の軽減でありますが、中小企業者の税負担を軽減することはこれはわが党本来の基本方針でありまして、すでに個人事業税については昨年ある程度の軽減をはかっておるのであります。また、法人については今回の法人税の軽減があり、地方税としても住民税の法人税割が自動的に軽減されるのみならず、自転車荷車税の廃止等、実質的には中小企業の負担は徐々に軽減をされておるのであります。今回、見返り財源がなくして、重ねて事業税を軽減することは都道府県財政の中核である事業税収入に急激な欠陥を生ずることになり、自治行政運営の面からも、責任あるものの、これはとり得ないところであります。本問題は国政並びに地方行政の総合的な立場に立って徐々に解決すべきものであると信じております。  農耕地に対する固定資産税の軽減も、事業税と同断でありまして、市町村、ことに農村を主体とする町村のおもなる財源に大きな影響を与えるような改正は、これはやるべきではないと思います。むしろ農業政策を通じて農村振興の道を求むべきであると思います。遊興飲食税、電気ガス税に対する免税点の引き上げあるいは税率の引き下げはこれは十分考慮の余地はあります。しかし、そのかわり財源をたばこ消費税に求めていることはすでに政府原案に含まれる自転車荷車税の欠減約五十億円にこれはプラスするものでありまして、とうていこれは実現できる案ではございません。  以上、要するに、この修正案は、今までの地方税軽減の陳情を一括上程して、しかも、その財源欠陥を、たばこ消費税に、これまた一括背負わせた、選挙目当ての人気取りの案とも見受けられるものであります。収支のバランスは合っておりますけれども、個々の地方団体にこれを適用しますと大きなアンバランスを生ずることは明らかでありまして、先ほど、自転車荷車税の欠陥はたばこ消費税でやればできる、こうおっしゃった社会党諸君はこれほど大きな地方財政の変動に、たばこ消費税を充てれば、どれほど大きなそれぞれの地区に増減があるかということはこれはよく知っておられることでありまして、まことに筋の合わぬ話でございます。しかしながら、わが党においても、中央地方を通じ、税制の根本的な検討の必要は認めております。従いまして、政府をして臨時税制調査会を設けしめて、国税、地方税に総合的な再検討を加えることにすでに決定をいたしております。この際、修正案に含まれておりますような問題点をこの調査会に持ち込んで、ともに審議の機会を持ち、協力していただくことが、最も適切だと考えます。(拍手)  なお、自由民主党提出の修正案は本改正法律案が年度内に成立しなかったため施行期日を変更したものであります。  以上の理由によりまして、わが党は、わが党提出の修正案並びにこの修正部分を除く政府原案に賛成し、社会一党提出の修正案に反対の意思を表明して、私の討論を終ります。(拍手
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず日程第一につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。  次に、地方自治法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  28. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出参議院送付社会福祉事業法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  社会福祉事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事野澤清人君。     〔野澤清人君登壇
  31. 野澤清人

    ○野澤清人君 ただいま議題となりました社会福祉事業法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本改正法案のおもなる内容について申し上げますれば、その第一点は、新たに社会福祉事業として結核回復者後保護施設を経営する事業及び隣保事業を加えたことであり、第二点は、従来指定都市以外の市については一の福祉事務所を設置することを建前としておりましたのを、今回政令で指定する人口おおむね二十万以上の市については、その実情に応じて二以上の福祉事務所を設置できることとしたことであります。右のほか、社会福祉法人の事務負担の軽減並びに行政事務の簡素化をもはかるとともに、社会福祉法人の指導監督について、厚生大臣のほか、都道府県知事も報告、徴収及び検査の権限を行使することができることといたしておるのであります。  本法案は、二月八日本委員会に予備付託せられ、三月二十日厚生大臣より提案理由の説明を聴取した後、審議に入りましたが、同二十八日本付託となり、社会福祉事務所職員の充足、社会福祉行政に対する財源措置等の諸問題について、きわめて熱心なる審議が行われたのでありますが、その詳細は会議録について御承知願いたいと存じます。  次いで、本日の委員会において質疑を終了、直ちに採決を行いましたところ、本案は全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  工業用水道事業法案内閣提出
  34. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出工業用水道事業法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  35. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  工業用水道事業法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員長小平久雄君。     〔小平久雄君登壇
  37. 小平久雄

    ○小平久雄君 ただいま議題となりました工業用水道事業法案につきまして、商工委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  近年における工業の著しい発展に伴って、急激に増大した工業用水の需要を反映いたしまして、最近工業用水道事業は急速な拡大を見せつつあり、今後、主要工業地帯における用水の供給はその大部分が工業用水道事業によって行われることになるものと考えられるのであります。この事態に対応いたしまして、工業用水の豊富低廉な供給をはかり、工業の発展に資するためには従来の体制ではとうてい不十分でありますので、新たに法的措置を講じて、工業用水道を適正かつ合理的に布設、管理させるとともに、その布設を助成する必要があるのであります。  以上が本法案の趣旨でありまして、次に内容の概略を申し上げます。  第一に、工業用水道事業の開始を、地方公共団体の営むものについては事前届出制、その他のものについては許可制をとることとし、法定の基準にのっとった工業用水道の建設及び運営が行われるよう措置したのであります。  第二に、工業用水道事業者に供給規程設定の義務を課するとともに、その内容について一定の基準を示し、これによらしめることとし、地方公共団体についてはこれを届出制、その他のものについては認可制としたのであります。  第三に、工業用水道事業者に対し、給水の確保、施設の維持について所要の義務を課し、給水の安定性を確保することといたしました。  第四に、工業用水道の布設につき、国が資金の確保その他の援助に努めることとし、また、通商産業大臣の水源調査、土地立ち入り、土地収用、道路占用の特例等の措置を講ずることといたしたのであります。  本案は、三月五日当委員会に付託され、翌六日小笠通商産業政務次官より提案理由の説明を聴取いたしました後、三月二十七日及び本日の委員会において質疑を行い、本日質疑を終局いたしまして、引き続き採決を行いましたところ、全会一致をもって本案は可決すべきものと決した次第であります。  質疑の詳細につきましては会議録に譲ることとし、これにて御報告を終ります。(拍手
  38. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  40. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十六分散会