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1958-03-19 第28回国会 衆議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)     —————————————  議事日程 第十五号   昭和三十三年三月十九日     午後一時開議  第一 青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 科学技術会議設置法案内閣提出)  第四 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 理化学研究所法案内閣提出)  第六 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件  第七 海難審判法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日程第一 青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 科学技術会議設置法案内閣提出)  日程第四 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 理化学研究所法案内閣提出)  日程第六 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件  日程第七 海難審判法の一部を改正する法律案内閣提出)  当面の日ソ、日中、日韓間の外交交渉に関する緊急質問田中稔男提出)     午後一時三十六分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。議員赤城宗徳君より、漁業問題交渉における日本政府代表として訪ソのため、三月十九日から四月十三日まで二十六日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案日程第二、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案日程第三、科学技術会議設置法案日程第四、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員長福永健司君。     〔福永健司登壇
  6. 福永健司

    福永健司君 ただいま議題となりました四法案について、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。詳細は会議録に譲ることとし、以下、簡潔に申し上げます。  まず、青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案は、青少年問題協議会の機能を強化するため、本年七月一日から中央青少年問題協議会に新たに事務局を設け、従来内閣総理大臣官房において処理しておりました庶務を同事務局において処理させようとするものであります。  本案は、去る二月十日本委員会に付託され、二月二十日質疑終了とともに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案は、最近における電子技術の著しい進歩に対処するため、科学技術庁諮問機関として電子技術審議会を設置しようとするものでありまして、その審議会組織等につきましては政令で定めることになっております。  本案は、二月十九日本委員会に付託され、政府説明を聞き、三月十八日質疑終了採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、科学技術会議設置法案は、科学技術振興に関する関係行政機関の施策について総合調整をはかるため、内閣総理大臣諮問機関として科学技術会議を設置し、これを総理府の附属機関に加えることとし、一方、科学技術庁附属機関として置かれた科学技術審議会を廃止しようとするものであります。  しかして、科学技術会議組織は、議長及び八人の議員をもって構成し、議長には内閣総理大臣を充て、議員には大蔵、文部両大臣経済企画庁及び科学技術庁長官並びに科学技術に関しすぐれた識見を有する者四人を充てることとし、閣僚以外の四人の議員は両議院の同意を得て内閣総理大臣がこれを任命することとしまして、その任期は三年、うち二人は非常勤といたしております。なお、閣僚以外の議員につきましては、政党その他の政治的団体役員となること、または積極的に政治運動を行うことを禁止する等の制限をいたしております。  本案は二月二十日本委員会に付託され、政府説明を聞き、慎重に審議を行なった後三月十八日、自由民主党前田委員より、科学技術振興はわが国力の発展に必要不可欠な要素であり、政党政派を超越して対処しなければならない重要問題であるから、科学技術に関しすぐれた識見を有する四人の議員の人選については特別な政治的制約をする必要がなく、適任者である限り何人でもこれを任命することができることとする趣旨自由民主党及び日本社会党共同修正案提出され、原案修正案を一括して採決に付しましたところ、本案全会一致をもって修正案の通り修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内廷費及び皇族費が現在の定額では不十分でありますので、過去の実績と最近の情勢にかんがみ、これらをそれぞれ五千万円及び三百万円に改定しようとするものであります。  本案は二月二十日本委員会に付託され、政府説明を聞き、三月十八日質疑終了採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 四案を一括して採決いたします。四案中、日程第三の委員長報告修正、他の三案の委員長報告はいずれも可決であります。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、四案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第五、理化学研究所法案議題といたします。委員長報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長齋藤憲三君。     〔齋藤憲三登壇
  10. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 ただいま議題となりました理化学研究所法案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査経過並びに結果について御報告を申し上げます。  現在の科学研究所株式会社組織でありまして、研究機関としての性格及び国の援助強化並びに新技術開発という国家的事業の遂行上から見て、必ずしも適当な形態とは言えないのであります。これがため、本研究所特殊法人組織に改組して、科学技術に関する試験研究を総合的に行うとともに、新たに新技術開発を効率的に実施し、これらの成果を広く普及することにより、科学技術振興を一そう強力に推進せんとすることが、本案の目的であります。  その要旨について簡単に申し上げますと、研究所特殊法人とし、政府出資額研究所の資本の常時二分一以上の額でなければならないこととし、研究所の定款及び業務方法については認可制をとり、役員はすべて内閣総理大臣任命することといたしております。また、新技術開発業務につきましては、その円滑な運営を期するため開発委員会を設置するとともに、開発実施計画については認可制をとり、その他研究所に対する税制上の助成措置等規定いたしております。  委員会におきましては、去る二月十九日本案の付託を受け、二十五日正力国務大臣より提案理由説明を聴取した後、参考人より意見を聴取し、以来、きわめて熱心、活発なる質疑を行なったのでありまするが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  去る十二日質疑終了いたしたのでありますが、自由民主党及び日本社会党共同提案として、原案中、本研究所役員に対する欠格条項から政党役員を削除する旨の修正案提出され、採決の結果、本案全会一致をもって修正議決いたした次第であります。  なお、本研究所設立に際して、政府は、研究所への財政援助強化、大学その他の研究機関との連絡、提携及び研究員の充実並びに待遇改善等について特段の措置を講ずべきであるとの趣旨附帯決議を付したことを申し添えておきます。  以上、御報告を終ります。(拍手
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第六、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員長西村直己君。     〔西村直己登壇
  14. 西村直己

    西村直己君 ただいま議題となりました、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  公営住宅法第六条は、昭和二十七年度以降毎三カ年を一期として公営住宅建設三カ年計画を作成し、その計画の大綱につき国会の承認を求めることを規定しておりますが、本件は、この規定に基いて、その第三期分として、第三期公営住宅建設三カ年計画提案されたものであります。  本計画住宅対策審議会意見に基いて、住宅に困窮する世帯の実情に対応して、昭和三十三年度より昭和三十五年度までの三カ年間に、第一種公営住宅六万七千尺、第二種公営住宅九万戸、合計十五万七千戸を建設しようとするものであります。  本件は、去る二月二十七日本委員会に付託され、以来、慎重審査を続けて参りました。審査の過程において問題となりました点は、公営住宅建設計画における一種住宅と二種住宅の割合は適正であるか、公営住宅のほかに公庫、公団住宅をも含めた総合的な長期計画とすべきではないか等の点でありましたが、質疑の詳細については会議録に譲ることにいたします。  かくて、討論採決の結果、全会一致をもって原案の通り承認すべきものと決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本件委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  17. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第七、海難審判法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員会理事畠山鶴吉君。     〔畠山鶴吉登壇
  18. 畠山鶴吉

    畠山鶴吉君 ただいま議題となりました海難審判法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案趣旨を簡単に御説明いたします。近年、海難審判の迅速と科学的な原因の究明が強く要望せられて参りましたが、海難審判庁理事官取扱い件数は年々増加するとともに、科学進歩外国関連事件増加等と相待って、海難事故の様相は一そう複雑化して、理事官の取り扱う事務量はきわめて過重なものになっているのであります。かような理事官事務現状にかんがみまして、現行法に所要の改正を加えようとするものであります。  次に、改正の要点を申し上げますと、理事官事務の円滑な運営をはかり、審判を促進するために、簡易なる事件を処理する要員として新たに海難審判庁理事官を設けるとともに、審判の権威と公正を期するために、海難審判庁審判官、理事官及び副理事官任命の資格及び定数政令で定めることにいたし、その他条文の整理を行おうとするものであります。  本法案は去る二月五日本委員会に付託され、翌六日政府より提案理由説明を聴取し、同月十三日、十八日、熱心なる質疑が行われましたが、その内容は会議録により御承知を願います。  かくて、同十八日討論を省略し直ちに採決の結果、本法案全会一致をもって政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。  なお、本法案に対して、自由民主党生田宏一君より、政府海難審判関係職員定数並びにその待遇現状にかんがみ、海難事故防止及び海難審判事務早期処理について、予算その他に特段の考慮を払うべき旨の附帯決議案提出されまして、直ちに採決の結果、これまた全会一致をもって可決された次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  21. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、田中稔男提出、当面の日ソ、日中、日韓間の外交交渉に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  22. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  当面の日ソ、日中、日韓間の外交交渉に関する緊急質問を許可いたします。田中稔男君。     〔田中稔男登壇
  24. 田中稔男

    田中稔男君 すでに同僚諸君も御存じの通り、今日、日本外交は八方ふさがりの状態に陥っておるのであります。国民はひとしくこの現状を憂慮しております。私は、ここに、日本社会党代表して、日ソ関係日中関係及び日鮮関係の当面する諸問題について、岸総理藤山外務大臣その他関係閣僚にお尋ねしたいと考えるものであります。(拍手)  まず第一に、日ソ関係についていえば、ことしの漁業交渉は、すでに六十日以上を経過したにもかかわらず、いまだに解決のきざしさえ見えません。ソ連側は、サケマス、ニシン、カニ等漁業について、種々のきびしい条件を提示してきたのでありますが、二月二十七日の平塚イシコフ会談において、オホーツク全面におけるサケマス沖取り漁業の禁止を主張するに至ったのであります。サケマス漁獲許容量については、日本側の要望する十四万五千トンに対して、わずか八万トンを提案してきたのであります。日ソ漁業交渉の結果いかんは、国民経済全般に及ぼす影響がきわめて深刻であります。この際、私は、日ソ漁業交渉経過と今後の対策について、藤山外務大臣答弁を求めるものであります。  伝えるところによれば、河野経済企画庁長官は、一昨年の河野イシコフ会談において、将来オホーツク海における沖取り漁業を禁止することに同意したといわれているが、果して事実であるかどうか。また、ソ連側漁獲許容量八万トンの提案河野イシコフ会談に基くものであるといわれているが、果して事実であるかどうか。正式の外交文書にはなっていないとしても、何らかの言質を与えたことはないか。もしその事実があったとするならば、河野経済企画庁長官の責任はまことに重大である。河野長官の明快な御答弁を要求するものであります。(「河野長官はいないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)河野長官御欠席のようでありますが、河野長官答弁は他日これを求めることとし、かわって岸総理答弁を要求するものであります。  政府は、今回新たに赤城農林大臣代表任命し、昨日ソ連へ派遣したのでありますが、赤城代表に与えられた権限はいかなるものであるか。すでに平塚代表もたびたび述べているように、漁業交渉事務折衝の段階においては、双方の主張が対立したまま壁にぶつかっている状態であります。これを打開するためには政治折衝を必要とするというので、新たに代表任命が行われた次第であります。いやしくも政治折衝を行うと決意した以上、政府は、日ソ関係全般関連において漁業問題の政治的解決をはかることを覚悟しなければなりません。たとえば、オホーツク全面禁漁ソ連提案は、単に魚族保護のためばかりでなく、ソ連防衛上の理由に基くものではないか。もしそうであるならば、平和条約締結その他の方法によって、ソ連の対日不安感を一掃することが漁業問題解決のために必要となってくるのではないか。しかるに、赤城代表は、自分はサケマス漁獲量交渉する権限しか持っていないと述べている。しかも、岸総理フルシチョフ第一書記あて親書を携行するといわれているが、フルシチョフに会ってサケマスの話だけをするつもりであるかどうか、また、岸総理親書の中にもサケマスのことばかり書いてあるのかどうか、岸総理答弁を要求するものであります。(拍手)  また、赤城代表は十四日の閣議において、交渉が決裂して帰国する場合もあると発言し、藤山外務大臣もこの発言に賛成しているが、政府はその場合さらに新たな代表を派遣する用意があるかどうか、派遣するとすれば、従来の経緯からして、河野企画庁長官を派遣する意向はないか、また、岸総理みずから乗り出す意向はないか、あるいはまた、去る十七日付の日本経済新聞の報道するように、交渉遷延の場合、政府自主出漁を強行する腹があるかどうか、岸総理答弁を要求するものであります。  北洋における近海漁業安全操業の問題についても、交渉は一歩も前進しておりません。北海道沿岸漁民のために、日ソ間に安全操業の取りきめが行われることは、もちろん、わが党の切望するところであります。しかるに、二月五日、ソ連側から、安全操業問題の解決平和条約締結されていない今日不可能である旨の申し入れが行われたのであります。確かに、安全操業の問題は領海の問題とつながり、領海の問題は領土問題とつながり、領土問題を解決することはすなわち平和条約締結することであります。政府安全操業問題と平和条約締結問題とを切り離して交渉する方針であるが、ソ連側がこの政府方針を受け入れない場合はどうする考えであるか、特に窮迫のどん底にあえぐ北海道沿岸漁民生活保護について、いかなる対策を講じる考えであるか、藤山外務大臣及び関係閣僚答弁を要求するものであります。(拍手)  さらに、対ソ政策根本について一言触れたいと考えます。岸総理反共を標榜されることは自由であります。しかしながら、反共は必ずしも反ソを意味するものではありません。この両者を混同することは、イデオロギーと外交政策の区別を知らぬ者であります。(拍手)今や米ソ両陣営の巨頭会談が行われ、世界に再び雪解けが始まろうとしておる今日、政府はいつまでも親米反ソの態度を続けるつもりであるか。岸内閣は、一たん鳩山内閣の線まで戻り、そこから出直して、経済及び文化積極的交流、さらに平和条約締結等日ソ友好の増進に努力すべきではないかと考えます。かかる善隣友好の精神があってこそ、漁業交渉安全操業問題を日本に有利に解決し得るのではないか。(拍手岸総理及び藤山外務大臣答弁を要求するものであります。  第二に、日中関係について若干の質疑を行います。  今日、日中貿易の自由な発展は、ほうはいたる国民的要望であるばかりでなく、鉄鋼、肥料等不況に悩む日本工業に活路を開くものであります。去る三月五日北京において第四次日中貿易協定調印を見たことは、まことに喜ばしいことといわなければなりません。この協定締結交渉が相当難航したことは、前回の交渉によって調印するばかりになっていた協定本文及び附属覚書草案に対し、自由民主党が、一、通商代表部員数の極端な制限、二、通商代表部員安全保障の拒否、三、国旗掲揚の権利の否認、四、協定及び覚書の発効は本国政府同意を必要とすること等、四項目の重大な修正要求をあげて日本側代表を拘束し、政府もまたこれに同調したためであります。しかるに、日本側代表は、意を決して、ほとんど無修正のまま、この草案調印したのであります。私は、日中両国の利益のために、この協定政府同意と協力を得て誠実に履行されることを期待するものでありますが、政府意向は果してどうか、また、両国通商代表部は、およそいつごろまでに開設される見通しであるか、岸総理及び藤山外務大臣前尾通産大臣答弁を求めるものであります。  日中貿易協定調印に当り、台湾政府日本政府に対し厳重なる抗議を申し入れたと伝えられております。政府は、堀内大使の帰任に際し、岸総理蒋介石あて親書を托し、絶対に中華人民共和国承認する意思のないことを明らかにするということであるが、果して事実であるかどうか。一体、何ゆえに新中国承認を拒否し続けるのであるか。中華人民共和国が生まれてからすでに九年、この隣邦は広大なる国土に六億の人口を養い、安定した政権のもとに、驚嘆すべき建設を続けているのであります。中国とのすみやかなる国交回復はわが党年来の主張でありますが、自由民主党幹部諸君の中にも、心ひそかにわが党の主張を支持する者が少くありません。(拍手)今こそ政府は対華政策根本的転換を考慮する時期に達したとは考えないか。また、郵便協定電波協定航空協定気象協定漁業協定引揚協定等業務協定日中両国政府間に締結することは国交回復を待たなくとも可能であると考えるが、政府意向はどうか、岸総理藤山外務大臣その他関係閣僚答弁を求めるものであります。  さらに、最近、李徳中国紅十字会会長より、帰国者四百名、戦犯八名及び遺骨二千体の送還に充てるため、日本政府大型配船を求めてきているが、政府意向はどうか、総理その他関係閣僚答弁を求めるものであります。  第三に、日鮮関係について政府見通しをただしたいと考えます。  日韓全面会談はいつ開かれ、目下釜山抑留中の日本人漁夫はいつまでに送還される見込みであるか、藤山外務大臣答弁を求めます。  そもそも、これらの漁夫は、韓国が一方的に、かつ不法に設定した李ラインを侵したという理由抑留されたものであります。李ラインが依然として存在する限り、日本人漁夫の逮捕と抑留は跡を断たないものと考えられます。ごく最近においても、済州島付近で、海上保安庁の巡視船「たつた」と水産庁の監視船第一京丸が韓国船の銃撃を受けたのであります。政府は、李ラインの撤廃について、現在韓国不法に占有を続けている竹島の問題とともに、よろしく国連に提訴すべきであります。李ラインがマッカーサー・ラインの継続であり、今日なおアメリカ海軍海上防衛線である理由によって、国連に提訴することをちゅうちょしているのではないか。また、アメリカに対して、李ライン及び竹島問題についてあっせんを依頼したことはあるか、その事実があるならば、折衝の結果を示してもらいたい。藤山外務大臣答弁を求めるものであります。  現在、不幸にして、朝鮮南北に分れ、その平和的統一は、朝鮮民族の悲願であるばかりでなく、また日本国民の切なる希望でもあります。しかるに、もし、日韓会談の結果、韓国政府をもって全朝鮮における唯一の合法政府と認めて、これと正式の国交を結び、北にある朝鮮民主主義人民共和国を敵視するようなことになれば、中国人民義勇軍撤退開始に伴い最近とみに熾烈となった朝鮮平和的統一の機運を阻害することをおそれるものであります。     〔「時間々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 田中君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  26. 田中稔男

    田中稔男君(続) 私は、今日の事情のもとにおいては、韓国とのみ正式の国交を結ぶことをやめて、外国軍隊撤退の後に中立国機構監視のもとに行われる全鮮自由選挙により、南北朝鮮平和的統一が実現を見るまでは南北いずれとも何らかの暫定的外交関係を結び、その間経済的、文化的交流を続けていくことが最も妥当であると考えるが、岸総理及び藤山外務大臣の所見をただすものであります。  最後に、一間、沖縄社会党中央執行委員にして前沖縄立法院議員である宮良寛才氏が、羽田空港において、百万円の日本通貨を携帯しているという容疑で、税関吏にほとんど裸体検査にひとしい調べを受け、さらに、那覇空港においては、携行したわが党の鈴木委員長録音テープ社会党機関紙等を没収されたことは、御存じの通りであります。かかる事件は、わが党に対する重大なる侮辱であります。羽田空港における身体検査はアメリカ諜報機関の情報に基くものではないか。また、那覇空港における没収は、もちろんアメリカ側の意を受けた当間主席の指令に基くものと考えるが、政府は直ちにアメリカ政府及び当間主席に抗議すべきではないか。
  27. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 田中君、田中君……。     〔「時間々々」「議題外だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  28. 田中稔男

    田中稔男君(続) 藤山外務大臣、一萬田大蔵大臣及び愛知内閣官房長官答弁を要求するものであります。     〔国務大臣岸信介君登壇
  29. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。対ソ、対中共、対韓国の関係における質問の諸問題に対してお答えいたします。  第一点は、日ソの間の漁業交渉の問題に関する御質問でございまして、数点にわたっております。これは、言うまでもなく、日ソ共同宣言と同時にきめられました漁業協定に基くところの年々の委員会の問題でございます。昨年第一回を東京でやり、本年モスクワでやるわけでありまして、この問題はあくまでもこの漁業条約に基く技術的な問題として処理さるべきことは、あまりにも明白な問題でございます。従いまして、ただいまの御質問にありました、これを平和条約等と関連させての御意見でございましたけれども、これはソ連側はそういうことを主張しておるやに見えますが、絶対に事理きわめて明白な問題でございまして、漁業条約上の問題として私どもは交渉するつもりでおります。従いまして、赤城全権に対する権限もそういう範囲に限られておることは当然であります。いわゆる政治折衝であるとか、政治交渉という問題につきましては、世間に非常な誤解があるように私は思います。それは、本来この漁業委員会においてきめられることは、両国科学的な基礎に基き専門家の間においてその漁獲量をきめるということになっております。ところが、今日まで共同の調査ができておりませんために、両国の専門家が持っておるデータは互いに自分の方だけの立場から調査したものでありまして、これに食い違いがあるわけであります。これが、われわれは十四万五千トンを主張し、ソ連側が八万トンを主張しておるゆえんであります。これを何とかまとめていくということになりますと、結局歩み寄りできめる、科学的根拠だけではきまらないという問題を、私どもは政治的折衝においてきめる、こういうことを申しておるわけであります。科学的の根拠できめるものに対して、結局歩み寄りで妥協を見出すということが政治折衝であります。この漁業問題を、本来それと何らの関係のない平和条約問題その他の問題と政治的に関連せしめるという意図は、私ども全然持っておりません。  オホーツク海の制限の問題及び八万トンの問題に関して、イシコフ漁業相と当時の河野国務大臣との間に何らかの話があったのではないかというお話であります。これは、しばしば国会において答弁されております通り、当の責任者である河野君が明確に申し上げておる通り、伝えられるような文書によるものもなければ、そういう話し合いはない。ただ、この漁業条約ができます過程において、ソ連は当時八万二千トンをとるということを言っておりました。その計画に基いて、もしもソ連が八万二千トンであれば、八万トンという数字は出たことは事実でありますが、今日漁業条約ができたる後において、その話し合いというものは何らの拘束力を持つものではないと、私どもは考えております。(拍手)  また、オホーツク海の問題につきましては、これは条約にも規制するということになっております。もと出しておった船団を相当に制限して今日参っておるのでありまして、われわれは、その規制ということについては認めておりますが、全然これをオホーツク海から締め出されるということには反対をいたして参っておることは、御承知の通りであります。そうして、これが何らか防衛問題とからんでいるのではないかというお話でありましたが、私どもはそうは思ってはおりません。いろいろな想像、揣摩憶測が行われておりますが、現に、他のカニであるとか、あるいはニシンや、あるいはタラ等の漁船は、これに入れることを認めております。航行を禁止はいたしておりません。ただ、サケマスについてはソ連側として、漁族の保護の上から、オホーツク海の漁獲を全部禁止しようというのがソ連側主張でありまして、これに対しては、われわれは、われわれの根拠に基く主張をする考えであります。  なお、フルシチョフやあるいはブルガーニン首相等に対する私の親書の内容云々のお話がありましたが、これは親書のことでありますから、ここで申し上げることができないことを御了承願いたいと思います。(拍手)  それから、この交渉が決裂した場合どうするかというふうなお話でありましたが、私どもは、誠意を尽して、あくまでもこの両国の間に存しておる友好関係を増進するというこの基礎的な考え方に立って、あくまでも誠意を尽し、われわれの主張ソ連側に納得せしめて結論に達するという強い所信のもとに、実は交渉に当っておるのであります。(拍手)  安全操業の問題につきましては、それが領海の問題に関係があり、あるいは領土問題に関係があるということにつきましては、御説の通りであります。従いまして、私どもはこの問題を持ち出して話をしたということは、ソ連側日本との間に今領土問題を解決するといったって、それは主張がなかなか違っておる、こういう状況のもとにおいて、北海道の小さい零細漁民が近海に出ていって拿捕される、こういう危険をなくするために、いわゆる平和条約締結するまでの暫定措置として、何らかの安全操業ができるということを認めることは、ソ連がかねて主張している。こういう弱い人々に対し人道的立場からソ連としても当然考えていただけるものだという見地に立って話をしておるわけであります。この経過につきましては、すでに申し上げた通りであります。(拍手)  それから、対ソ政策根本について、反共と反ソとは別であるというお話でありますが、これは当然のことであります。私どもも、反共の立場をとっておりますけれども、ソ連との間には、共同宣言に基くところの友好関係を増進するために、あらゆる努力をいたしております。すでに貿易、通商に関する協定ができましたことも、御承知の通りであります。また、あらゆる点において友好関係を積み重ねていって、あの困難な根本的の問題を平和条約締結にまで達せしめようとして、真剣に努力をいたしておるのみであります。 日中関係についていろいろ御質問がありましたが、特に私からお答えを申し上げる点に関しましては、何か、この際、対中共の政策を根本的に再検討し、これを変えていく必要があるのじゃないかという御意見でありました。私どもは、従来、貿易はできるだけ日中との間に盛んにしていく、しかし、今日の状況においては、中共政府というものを承認し、これとの間に正常な国交を回復すべき段階でないということを申し上げて、承認する意思はないということを申し上げてきております。今日においても同様な意見であり、第四次協定を、われわれがこれを検討する場合におきましても、この根本考え方については何ら変っておらないのでありまして、私は再検討をする必要を何ら認めておりません。(拍手)  業務協定の問題について、いろいろな協定政府間のレベルでやったらどうかという御意見であります。私は、これが完全に技術的また実務的の問題であるならば、これを両国政府の間において協定することも差しつかえないと考えております。たとえば、郵便やあるいは気象の問題等についてはそういうものであります。しかし、おあげになりましたいろいろな協定につきましては、内容を十分に検討しなければ、一がいに抽象的に申し上げることは困難であろうと思います。  なお、遺骨やあるいは引揚者をこちらに送るために大型の船の配船という問題についての御質問がありましたが、われわれも、今事務的に検討しまして、その希望にできるだけ沿うようにいたしたいと思います。  それから日韓の問題でありましたが、詳しいことは外務大臣から答弁いたしますが、韓国政府というものをわれわれがどういうふうに見ているかという問題について、われわれの考えを明らかにいたしておきたいと思います。私どもは、外交の基本方針の一つの大きな柱として、国連中心の政策をわれわれは強く述べております。従いまして、こういう国際紛争のあるところ、また、その地域において分裂しておるというような場合におけるところの政府の扱い方については、私は、国連の決議なり国連のこの取扱いというものを重視して考えることは、国連中心主義の立場をとるわれわれとしては当然であると思います。(拍手)この意味におきまして、韓国政府というものをこの国連において取り扱っておることにつきましては、田中君もよく御承知であろうと思いますが、この方針によってわれわれがやっておるわけであって、また、韓国と北鮮との間に、いわゆる全朝鮮の統一されることにつきましては、私どもも心から隣の国としてそれを念願しておるわけであります。現在のところでは韓国政府を正式な政府として扱う、こういうことであります。(拍手)     〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  30. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 総理大臣が簡明にして明快なる説明をされておりますので、私としては若干の補足を申し上げたいと思います。  漁業交渉経過というお話でありましたが、これは、御承知の通り、漁業条約によります交渉でありまして、本年はモスクワにおいて開くことになっております。従いまして、一月十三日から委員会を継続して開いております。最初数回総会的な委員会を開きまして、その後分科会等に移りまして、諸般の問題について討議をいたしております。結論に達したものもあり、結論に達しないものもあり、最終的に、ただいま申し上げましたように、総漁獲量の問題が今日まだ解決をいたしておりません。また、オホーツク海の問題についても、これまた妥結しておりません。従いまして、赤城代表が今回行かれまして、そうして、これらの問題につきまして十分な折衝をされることに相なっております。  安全操業の問題でありますが、これまた、私が国会でたびたび御報告を申し上げております通り、昨年の六月からソ連と接触を保ってきたのでありますが、八月十六日に、向う側から、暫定的に、平和条約ができるまでの間の安全操業の問題について話し合いをしてよろしいという回答を得ましたので、日本側といたしましては、八月二十九日にこの問題についての案を提示したのであります。その後のソ連側の態度は、私どもが催促をいたしました際に、現地に人を出して調査している、それらの者が帰ってきたならば必ず交渉をしようというようなことで遷延されてきたのでありますが、十二月末、漁業委員会の席上でこの問題を話し合おうということであったわけであります。日本といたしましては、漁業委員会の問題とこの問題とは全く性質を異にしておりますので、従って、同じ時期に開くことはよろしいけれども、問題は全く別の問題であって、従って、この問題は漁業条約による委員会の進行とは全然別であるということを申したわけであります。その後、ソ連側から、平和条約の関係においてこの問題を処理したいというような申し入れがありましたが、私どもは、その交渉経過から申しております通り、この問題は、日ソが友好関係を樹立して参ります通商条約の締結、あるいは暫定、こういう措置によりまして、将来の平和条約の基礎を作っていく友好関係を打ち立てるという意味におきましても、一日も早く別個にこれらのものを処理していかなければならぬという方針を変えておりません。従って、この問題につきましては、忍耐強くソ連側交渉をして参ることを考えておるわけであります。  日中貿易につきましては、三月五日、三団体が北京で第四次協定を作って帰ってこられました。昨日、三団体の代表の方にお目にかかりまして、三団体から文書をもってそれらのこと等について報告をされることに相なっておりますので、それを見た上で、私どもとしては十分な政府の態度を決定して参りたいと思うのであります。そういう意味において、今後日中貿易を促進するということについては、われわれ政府としても十分考慮し、便宜をはかって参らなければなりませんが、しかしながら、中国承認という問題とは全然別個の意味においてこの問題は私どもは扱って参りたいということを考えておるわけであります。  日韓会談につきましては、十二月の三十一日に抑留者の相互釈放の取りきめをいたしたわけであります。抑留者の相互釈放の取りきめをいたしましたことは、日韓間を平和状態に持っていく友好関係を打ち立てるために、両国にあります諸般の問題を全面会談を開いて解決していくための予備的な友好状態に置くための協定であります。抑留漁夫韓国に置いておいて、そうして全面会談を開きましても、これは全く両国の友好関係のもとに会談を進めていくということにはならぬのでありまして、従って、そういう意味におきまして、われわれは抑留送還の取りきめをいたしたわけであります。今日まで、日本側としましては、その約束を果して参ったのでありますが、残念ながら、まだ韓国側において第一次、第二次の五百名の送還をいたしましたけれども、その後の送還をしておりませんので、全面会談を開くのをしばらく見送っておるわけでありまして、韓国側として何らかの意思表示が第三次以後の送還に対してあることを期待しておるのであります。  なお、先ほど李ラインの問題についてお話がありました。李ライン等の問題につきましては、全面会談において十分私どもは討議を尽して参りたいと思っておりますが、李ラインはマッカーサー・ラインあるいはクラーク・ラインとは全然違うのでありまして、マッカーサー・ラインは占領行政の上からいいまして日本の出漁区域を限定したのでありますが、これは平和条約締結とともにその目的を達したので終っておりますし、クラーク・ライン国連軍が休戦をいたしましたときに終っておるのでありまして、李ラインとは全く別なんであります。従って、これらの問題についてアメリカに対して何らかの意思表示をいたしたことはございません。  以上、補足的な説明を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣前尾繁三郎君登壇
  31. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 日中第四次協定につきましては、一そう貿易を促進するという目的に向って極力支持と協力を与えたいと思います。  民間代表部につきましては、準備ができ次第に開設の運びとなっておると考えております。(拍手)     〔国務大臣石井光次郎君登壇
  32. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 一、二の問題につきお答え申し上げます。  南千島の安全操業問題が、ただいまはまだ不調にはなっておりませんけれども、停滞状態にあって、はなはだ遺憾でございます。これは外務省を通じて忍耐強く交渉を願うつもりでございますが、もしこれが長引くような場合においては、その住民諸君が非常に生活上に困られるという問題が起ってくるのでございますから、これらにつきましては、浅海増殖をはかり、また漁業転換をはかる等によりまして、これらの人たちの生活を保護していきたいと思っております。(拍手)  第二に、日中漁業協定政府間の協定に改める時期でないかという質問があったのでございまするが、これはまだ政府間の協定にする時期でないと思っております。(拍手
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 河野国務大臣は登院されておりませんので、同大臣答弁は他日適当な機会に願うことといたします。      ————◇—————
  34. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十八分散会