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徳安委員 先ほど
大臣の御答弁をいただきましたが、まことに至れり尽せりの御答弁でございますけれ
ども、私
どもがちょいちょい
事件に関係された方の
お話や担当された弁護士
諸君の話を聞きますと、
事件直後からすでにその担当する弁護士
諸君は、これはもう無罪だというようなことを力強く世間に放送されていることがあるのです。非常に
社会情勢が変化したとか、新しい
法律ができまして、それによって
解釈が違ってくるし、客観情勢も違ってきたから、その当時はそうでないと思っておったが、変化の結果がこういうことになったということも一応うなずける問題ではありますけれ
ども、その当初から、もちろんこれは弁護士は御商売ですから、引き受けるに当っては、お前罪になるぞ、重いぞというようなことを言って受ける人はないと思うのです。けれ
ども、そういう
相当権威のある
諸君が、これはもう無罪だ、間違いないというようなことをはっきり世間に放送され、しかもその結果が無罪になっているというようなものにつきましては、ただ先ほどの
大臣の
お話だけでは、私
どもはどうも納得のいかないような点もあるのであります。私は
検事がみな悪いと
考えておるのじゃない。みないいと思うのです。しかし、やっぱり政界にも不心得の者が一人か二人あるために、まるで政界はみな悪いことをしておるように思われるように、検察当局においても、少し
根性曲りがあったり、わがままをしたり、そして
検事ファッショの傾向がありますと、
検事みなが悪いように世間が誤解するのでありまして、これはまことに残念なことでありますから、これは相戒めて、私
ども政界におる者も、またその取締りの任に当られる検察当局も、十二分にこうした点については世間の非難のないような御処置をいただきたいと思いますが、法務
大臣は、こういう点につきましては、
大臣という責任の立場から、先ほどの御
説明は無理のない
説明だと思いますけれ
ども、今後の問題につきましては、もう少しお
考えをいただけないだろうかと思うんです。
大臣の政党の出身でもございますので、歴代の法務
大臣に私
どもは親しみを感じておりまして、御無理をなさろうとは
考えておりません。また、私が法務
委員になりましたのは昨年の十一月からでございまして、
刑事局長というような人は、
ほんとうに鬼
検事みたいなものを指図するのですから、どんな顔つきをしている人か、笑い顔
一つしない人だと思っておったが、その方の
説明を聞いてみますと、私はほかの方で
委員長もしましたし
委員にもなりましたが、ほかの役所の局長より以上に親切丁寧にして下さる。こういう
刑事局長がおる間は、
検事ファッショなんということはあり得るはずがない。それで実は安心したと思うんです。思うんですけれ
ども、どうも、つかまったが最後、もう何と言いわけしても聞いてくれない
検事さんも世の中にある。これは、つかまえられた
人間はうそを言うという先入主からそうなさるのかもしれませんけれ
ども。でありますから、私
どもは、
大臣やただいままでの
説明を聞きました
刑事局長等の御答弁につきましては、非常に満足します。またこういう方の指揮、監督なさっておる部下が
検事ファッショなんということに陥るとは
考えられません。しかし、これが永久におって下さればいいけれ
ども、いつまたかわられるかわからない。
政治家については非常に最近世間が神経過敏になりまして、何か
事件があれば手をたたいて事を大きくするという形がございます。取調べに当って、ことに、
社会党でもわれわれ自由党でも、党の幹部の名前でも出れば、もうそれで天下を取ったような大きなことを新聞に書く。あるいはまた、名刺一枚があったということで、これが問題になる。実に想像以上の宣伝効果といいますか、国民の
気持を刺激するのに大へん大きな影響があるのであります。しかし、私
どものこれまでの
考えで申しますと、むしろ今日では政党人よりか官僚の力の方が強くて、官僚独善に陥る弊害がたくさんあると思うのです。でありますから、名刺一枚持っていったくらいのことで
役人が不正をしいられるなんということはあり得るはずがありません。今日の局長や次官も、
大臣が
大臣でおられる間は言うことを聞きましょうけれ
ども、総辞職だとか、内閣が更迭だとか、あるいはまた改造があるということになりますと、なかなか局長、次官は、言ったってすなおに聞かないのが現状なんです。いわんや、私
ども陣がさが行ったって、政党に少しくらい竹のある
諸君が行ったって、鼻の先であしらっておるくらいで、正面ではぺこぺこしましても、腹の中ではかえって舌を出すというような官僚も多いのですから、そんなに政党人は今日力が強くないのです。今の世間の風向きがそうとっておるものですから、何でもかんでも
政治家が少しちょっかいを出せば悪いことだというような工合に
考えられておりますので、非常にこの点についてはわれわれ自身も自粛しなければならぬと思いますが、しかし、こういう風潮に乗じて検察当局等が不用意な言語を発せられましたり、またその態度等にそういう点が現われますと、新聞は、あることないこと、ないことを書くわけはございませんが、針小棒大に大きく取り上げるということで、
政治家が非常に迷惑するのであります。ちょうど、
政治家が新聞等に書かれますことは、たといそれが罪がなかったにいたしましても、これは、弁護士の
諸君が弁護士の免状を取り上げられたり、お医者さんがお医者の免状を取り上げられたと同じことでありまして、もう一生の生活を棒に振らなければならぬのでありますから、こういう点につきましては十二分に
一つ御注意が願いたいと思います。
そこで、これは先ほど目についたことでありますから、思いつきの
質問でございますけれ
ども、この
刑法の中に、百九十四条でございますか、「特別
公務員職権濫用」という条文があります。「裁判、検察、警察ノ
職務ヲ行ヒ又ハ之ヲ補助スル者其職権ヲ濫用シ人ヲ逮捕又ハ監禁シタルトキハ六月以上十年以下ノ懲役又ハ禁錮二処ス」、こういうことがございます。これは
一つ刑事局長さんに伺いますが、こういうことはどういうことを指さしておるのでございましょうか。読んで字のごとくとおっしゃられれば別でございますが、これまで例がございますれば、そういう例もつけ加えて
一つお話しいただきたいと思います。