○高津
委員 私は勤務評定も実に重大な問題であるし、道徳
教育を特設されるということも非常に大きな問題だと思います。それからやはり
教育委員の公選制をいわゆる任命制に切りかえたことも教員に対する攻撃だと私は
考えております。次から次へ持っていかれるのに、岸
総理が日本の指揮権を持って今
指導者に立っておられるということに対しても、教員は非常に不安を感じ疑問を持っておるように思うのです。道徳
教育を特別の時間を作ってそこで教えれば、愛国心の
教育をせねばなりません。
文部大臣はそのように申します。愛国心を教えれば国防観念、国防思想、そういうことを、やはり国を守るということを教えねばならぬでありましょう。ところが岸
総理の動きを見ておると、アメリカへ往復してこられるたびごとに、日米
関係というものは深まる一方であって、幾らか修正されそうに見えた保守党の
政府の政策が、また日米の新段階というので後退して、再軍備、憲法改正が急調子でまた進められようとしておるのであります。あなたに対する疑念というのは、いよいよ戦争を始める場合に、海軍は自重論、陸軍はアメリカを過小評価してやるべし、その場合に一番文官として最高の発言を閣議で持っておられたのが、日本の経済実力を知っておる商工
大臣であるあなたであったわけでございます。そういう場合には
文部大臣が発言したって権限ありません。その場合にあなたが大丈夫だと言われたから戦争が始まる、こういう重大な責任があなたにあったということを
全国の教師はみな知っております。さらに戦争が終るころに、宮中では
会議が始まっておる。そうしてどうしてこの戦争を終局しようかということを心ある政治家がみな
考えておるときに、あなたはどのように行動をされたか。
総理になられなければだれもそう調べる者もなかったかもしれないけれ
ども、今日はいろいろ調べが行き届いておりまして、八月十五日の数日前に山口市の松田屋においてあなたの組織されておる尊攘同志会の青年隊をお集めになって、一億一心で、断じて平和など語るべきではないという、とても強い、アメリカを過小評価したままの見解をそのときもずっと続けておられた。さらに進んで、今度いよいよ占領軍が来て、あなた方を戦争責任者として引っぱろうとしたときに、あなたはそのときもまだ態度は変らず、キーナン検事であろうと、その他の検事であろうと、裁判官に対して言うべきことはどしどし言うのだと言って巣鴨へ入っていかれたわけであります。そしてそれを貫かれるかと思うと、そうではなしに、あなたは寺内寿一大将を持ってこよう、こういう
考えがあったにせよ、東条さんとの意見の相違もしまいには出ておるから、しまいの部分だけ言われて、時の閣僚として東条が悪いような証言を次から次へと重ねられてあなたはここへ出られる、東条さんはあのように死刑、その前の広田弘毅氏も死刑、その他たくさんの死刑者や自殺者が出ておるのであります。国の根本政策について責任のある人間としての態度をとっておるのであります。道徳
教育の中では
指導者の責任ということも教える。そうして出てこられてアメリカに行かれて、今度はアメリカを過大評価されて、国は一ヶ国では防衛はできないのだ、
科学技術が兵器、武器の方面にきておる以上は、一ヵ国ではできないのだ、アメリカと結んでいく以外にはないので、集団防衛が現代の常識である、これ以外のことを教えるものは好ましくない、こういうような意見を、たった今もそこでアメリカ一辺倒を述べられたのでありますが、やはり道徳
教育というものには濁りがあってはいかぬと思うのです。国の
指導者がすっきりしておれば、この教員のほうはいたる反対運動、
教育を守るために、そうして愛国心からも反発をするというような、こういう空気は私は起らないと思うのです。あなたはさきにはアメリカを過小評価して日本を誤まり
指導し、今またアメリカを過大評価して、アメリカがソ連と武器の競争において敗れて、あわてて、よろめいて、ノイローゼになり、ヒステリーであることはだれでもみな認めております。アメリカの反共ヒステリー、しかし今や反共ノイローゼの状態になって、しかもソ連の最高
会議での自分の国からは原水爆の
実験はやらないというあの声明で、アメリカは追い詰められておるのであります。だから動物でいえば、ソ連がライオンでアメリカはオオカミかもしらぬ、その戦闘力において。アメリカと集団防衛集団防衛といって、ライオンのちょうど目の前で戦う訓練をし、軍備を拡張するというような、そういう
指導を、そういう国防の方法、それを
学校で教えれば、それば批判
精神を身につけた子供は、それでは日本は負けるじゃないかという、そういう
質問をやるのであります。私はやはり筋が通っておらなければいかぬと思うのです。またこの人は日本を戦争にもう一ぺん引きずり込むのじゃないか。アメリカが三十分後に爆撃されれば、それより十五分前に国は焦土と化するのじゃないか、前線基地だから……。これが日本人の常識であり、裸の王様の話のように、みんな王様は裸だということを知っておるが、公けの席で、あるいは個人的な席で、あなたはこの道あるのみだ、この道あるのみだと言っておられる裸の王様みたいなものだと私は思うのです。だから純真な学童、
生徒は国防の方法についていろいろな
質問をして先生を苦しめるに違いないのです。そうして
学校の先生は戦争前に
教育勅語の
教育をやって、戦後民主主義の
教育をやって、ここにまた岸信介という
総理大臣が現われて、それをもう一ぺん七面鳥のように
学校の先生を変らせるならば、
学校の先生はそれを何と思うでございましょうか。
教育の地位というものが、
教育の権威というものが失われると思うのです。局、課長はあなたの命令で動くので、それはまあ問題にしない。あなたには責任がありますよ。私はこの際は冷戦というか、低い姿勢といっちゃいやでしょうから、かくばかり混乱をした場合には、なんとか日教組の中央幹部と会って、十分懇談して、そうしてこの大混乱をしずめるようなお
考えをお持ちにならなければならぬと
考えますが、
総理いかがですか。