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松永国務大臣 このたび
政府から
提出いたしました
学校教育法等の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案の
理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この
法律案は、
学校教育法につきまして、専科大学制度の新設及び定時制
高等学校と技能
教育施設との連係のため所要の規定を設けるとともに、特殊
教育関係の規定等を整備いたし、また国立学校設置法につきまして、国立学校における授業料の減免に関する規定を設けることとしたものであります。
まず
学校教育法の
改正といたしましては、第一に新たに専科大学の制度を設けたことであります。
わが国の高等
教育機関として、大学のほかに、約二百七十校に達する短期大学がありまして、主として専門職業
教育及び女子
教育の上に相当大きな役割を果して参りました。しかしながら、短期大学は発足当初の経緯もあり、当分の間ということで認められている暫定的なものであって、性格も明確を欠くきらいがあり、その
改善は各方面から久しく要望されてきたところであります。
政府においては、このことについて中央
教育審議会を初め各方面の
意見を聞いて慎重に
検討いたしました結果、このたび新たに恒久的な専科大学の制度を設けることとし、従来の短期大学は
昭和三十三年三月三十一日までに認可されたものに限り、当分の間存続できることにいたし、今後は短期大学の新設は認めないことにいたしました。
専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的とし、四年制の大学とは、その目的、性格を異にするものであります。
修業年限は、
高等学校卒業
程度を入学資格とするものにあっては、短期大学と同様二年または三年でありますが、一貫して充実した
教育を施す必要がある場合には、
中学校卒業
程度を入学資格とする修業年限五年または六年の専科大学の制度をも認めることにいたしました。この制度は、産業界その他から要望されている充実した中級技術者の養成にも大きな役割を果し得るものと信ずるのであります。
専科大学は、一年の準備
期間をおいて
昭和三十四年度から発足できることにいたしましたが将来、充実した専科大学が設置されるに従い、短期大学も漸次これに転換することを期待するものであります。
第二は、定時制
高等学校と技能
教育のための施設との連係を図ったことであります。
高等学校の定時制
課程に在学する生徒が、学校以外の技能
教育のための施設におきまして、
高等学校と同
程度の
教育を受けております場合には、生徒は、二重の負担を負い、保健上からも適当でなく、また
教育上も能率的ではありません。そこで技能
教育施設における学習を
高等学校における
教科の一部の履修とみなすことにより、その相互の連係を密にし、生徒の生活の実態に即した効果的な
教育方法を制度化いたしまして、
科学技術教育の
振興に資することといたしたのであります。
第三は、特殊
教育に関する規定を整備いたしたことであります。すなわち現在、盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部は、単独には設置できないこととなっておりますが、
関係者の要望もあり、また特殊
教育振興の見地からいたしまして、特別の必要がある場合には、これらの部をそれぞれ単独に設置し得る道を開き、さらに特殊学級の対象となる
児童生徒の種類につきまして、
教育上及び実際上の見地から現行の規定を整備いたしましたほか、盲学校、聾学校及び養護学校に就学すべき者の範囲を政令で明らかにする等の措置を講じたのであります。
以上の諸点のほか、
学校教育法につきましては、就学義務に関する規定等に所要の整備を行なっております。
次に国立学校設置法の一部
改正でございますが、これは、国立学校における授業料の減免について、財政法及び国の債権の管理等に関する
法律との
関係もありますのでこれを、明確に規定することといたしたものであります。
以上がこの
法律案の提案
理由及び内容の概要であります。
次に、このたび
政府から
提出いたしました
学校教育法等の一部を
改正する
法律の
施行に伴う
関係法律の
整理等に関する
法律案について、その提案
理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この
法律案は、
学校教育法の一部
改正による専科大学の制度の新設に伴い、各
関係法律に所要の
改正を加えたものであります。
内容のおもなるものを御説明申し上げますと、第一に、
教育公務員特例法の一部を
改正しまして、国公立専科大学の学長及び教員の身分取扱いについては四年制単科大学の学長及び教員の例によるものとし、ただし国公立専科大学の前期の
課程を担当する教員の身分取扱いについては大学付置の学校の教員の例によるものとしたことであります。
第二に、
教育職員免許法等の一部を
改正しまして、専科大学の前期の
課程を担当する教員は
高等学校教員の免許状を必要とするものとし、必要があるときは免許状を有しない教授等が授与権者の許可を受けて前期の
課程を担当する教諭または講師となることができるものとし、専科大学において所要単位を修得した者には免許状を授与することができるものとしたことであります。
第三に、一般職の職員の給与に関する
法律の一部を
改正しまして、国立専科大学の学長及び教員の給与については国立大学の学長及び教員の例によるものとし、ただし国立専科大学の前期の
課程を担当する教員の給与については国立
高等学校の教員の例によるものとしたことであります。
第四に、産業
教育振興法等の一部を
改正しまして、専科大学の前期の
課程については
高等学校に準じてその
教育の
振興をはかるための補助等を行うことにしたことであります。
第五に、装蹄師法等の一部を
改正しまして、短期大学卒業
程度または
高等学校卒業
程度を資格要件とする資格規定に、専科大学の卒業者または専科大学の前期の
課程の修了者を加えたことであります。
その他
学校教育法の一部
改正による規定の整備に伴い、
関係法律に所要の規定の整備を行いました。
以上が、この
法律案の提案
理由及び内容の概要であります。
何とぞ十分御
審議の上、御賛成下さるように切にお願い申し上げます。