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永山委員 私は今問題になっております広島
大学の三原
分校の件について例証を申し上げたいのでございます。いわゆる中央集権的な
考え方だけでなしに、
伝統と歴史をとおとんで、そして一県一校にとらわれずに、
教育行政
機関は特に
伝統のある地に存置することをお
考えを願いたいのであります。私は三原
分校の件について事例を申し上げて、御意見をさらに承わりたいと
考えておるのでございますが、広島県は大県でございまして、中国山脈の背筋を北に控え、山また山、それから南の瀬戸内海の島々を全部持っておるのであります。この山間僻地と離島
振興法で、今回さらに恵れざる電灯のないところに、電灯をつけてやろうという法律ができましたのですが、こういう島々まで控えておるのであります。こういう地形の
状態のところである広島県の東部三原に、
教育養成機関がございます。その
教育養成機関を卒業した先上が非常に優秀なる成績を持っておるのであります。ここは二年課程でございますが、将来四年課程へぜひ持っていかねばならぬという
考え方で、われわれは
構想を進めておりますが、二年課程でありながら——これはあまり
内容的には申し上げられぬのでございますけれども、県の
教員の採用の試験があるのであります。この
教員採用試験を見ましたならば、一番平均点の成績がいいのであります。その点数まで申し上げることはどうかと思うのでありますけれども、
大学の四年課程を経てきた者よりは、数段優秀なる成績をもってパスいたしておるのであります。そして山間僻地あるいは島の奥地で一生涯
教育に専念をいたし、模範の
学校を作り、模範の
教育を行う
先生として非常に尊敬されておるのであります。そういうように
先生自体が、——卒業生がいいだけではなしにそこを中心に付近の
先生が練成を続けられておるのであります。あらゆる講習会、研修会をやっておるのでございます。ことに
付属小学校がございますので、その
機関を通じて、また
先生を中心にして練成を続けておるのでございますから、付近全上体の
教育レベルが非常に高く、しかも文化が高いのでございます。われわれはそれはどういう
理由であるがということについていろいろ検討いたしておるのでございますが、通学し得る範囲及び層が深いのであります。しかも経済的に悪くても勉強したい、大いに自分も知性を伸ばしていきたいという燃え上った
生徒が多く集まるのであります。そういう
関係におきまして非常なる成績を上げておるのでございます。今日なおこの時代に至りましても
教育の
機会均等主義は行われていない。こういうような経済的に悪いところの、しかも優秀なる将来伸びる
生徒を
機会均等的に
養成をする、
教育をしてやるということが今なおできていないということに対して、非常に遺憾に思う。しかしそれらの層を三原
分校はある程度まで吸収をいたしておるものであります。やはり広島市へ集中するということでなしに、三原市に
一つ教員養成機関があるということが、
教育機会均等の不備を補正しておるのではないかというように
考えておるのでございます。この機会に、
教育の
機会均等主義によりまして、さらに言葉をかえて
教育の社会保障
制度を
政府はどう
考えておるか。今日
高等学校へもなお行けないところの層が四割五分ないし五割に近いものがあるのであります。そういうような経済的に恵まれぬ層の中にむしろ優秀なる人がたくさんあるのであります。それらの皆さんの
教育をぐんぐん伸ばすために、
政府はどういう抜本的な施策をなさっておるのであるか。そういうようなこともせずにおいて、ただいたずらに
学校の経済的な
理由で、
文部省の経費を節減するために大蔵省から強く圧力をかけられる、あるいはただ
先生の生活環境というようなことで、中央集権的に統合をされるということに対しては、われわれは断固反対をいたしておるものでございます。それに対しては今回育英資金法の改正によって五千人の英才
教育をやるというようなお
考えを持っておられるのでありますけれども、そういうような微温的なる、微々たる
考え方であっては
教育の
機会均等、あるいはほんとうに恵まれざる経済におられるところの子弟の
教育を、その分に応じて伸ばすというようなことはできないのではないかということを私は非常に残念に思う。社会保障
制度を確立するということは、まず
教育からである。
教育の社会保障
制度の確立が第一だ。いやしくも非常に優秀なるとこころの子供は幾らでも伸ばしてやるのだからというような
考え方がなくてはならぬ。そういうような
関係の
人々を三原
分校は自然に吸収をいたして
教育をしておるのであります。やはり
伝統と歴史をとうとぶということは、そこにあるのだと思うのであります。こういうような
伝統と歴史による
教育のセンターが広島においては三ヵ所に分散をしております。当局の
考えは如何でありますか。
この場合育英資金の中で、
教員養成を目ざす者に対しまして別ワクをもってこれをやるというようなお
考えをお持ちでございますか。またこれに対する
教育の
機会均等あるいは経済的に恵まれざる者の
教育を伸ばしてやるということに対する根本問題についても所見を承わりたいのであります。