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1958-03-05 第28回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月五日(水曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 伊東 岩男君 理事 稻葉  修君    理事 高村 坂彦君 理事 坂田 道太君    理事 山中 貞則君 理事 河野  正君    理事 佐藤觀次郎君       簡牛 凡夫君    杉浦 武雄君       渡海元三郎君    灘尾 弘吉君       並木 芳雄君    野依 秀市君       木下  哲君    小牧 次生君       鈴木 義男君    高津 正道君       野原  覺君    平田 ヒデ君       小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松永  東君 出席政府委員         文部政務次官  臼井 莊一君         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    齋藤  正君         文部事務官         (大臣官房会計         参事官)    天城  勲君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         専  門  員 石井つとむ君     ――――――――――――― 三月三日  委員大橋忠一辞任につき、その補欠として千  葉三郎君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員井原岸高辞任につき、その補欠として馬  場元治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月一日  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案内閣提出第一一四号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律案内閣提出第一一五号)  学校保健法案内閣提出第一二〇号)(予) 二月二十八日  幼稚園長等待遇改善に関する請願(田中武夫  君紹介)(第二七五号) の審査を本委員会に付託された。 三月三日  へき地教育振興法の一部改正に関する陳情書外  一件  (第五四〇  号)  義務教育学校施設費半額国庫負担法制定に関す  る陳情書外十件  (第五四一号)  義務教育施設費等国庫補助増額に関する陳情  書(第  五四二号)  公立学校施設費国庫負担制度確立に関する陳情  書外一件(  第五四三号)  国立大学経費増額に関する陳情書  (  第五四四号)  義務教育費国庫負担法に基く教材費国庫負担  増額に関する陳情書  (第五四五号)  学校保健法制定等に関する陳情書  (第五四六号)  道徳教育科目設定等に関する陳情書  (第五四七号)  町村教育委員会の廃止に関する陳情書  (第五四八号)  町村立小中学校における給食係給仕等人件費  負担に関する陳情書  (第五四九号) を本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  国立競技場法案内閣提出第六八号)  文教行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  初めに、去る二月二十八日の本委員会の決定に従い、南極観測隊永田隊長感謝電報を送りましたが、これに対し、去る三月三日、永田隊長より文教委員長あて、次のごとき返電がありました。すなわち、  御懇篤な電報を拝受いたし恐縮に存じます。われわれ微力のあらん限りを尽して努力いたしましたが、不幸にして第二次越冬観測目的を達することを得ず、国民各位に対しまことに申しわけなく存じております。南極の自然の偉大なることを今さらのごとく痛感し、わが国といえども南極遠征に関する先進各国と同様に、少くとも数カ年の年月をかして、じっくり対処するのでなくては、南極大陸の一角に厳然たる基地を築き上げることはむずかしいと悟りました。もし許されますならば、今回の経験を足場として、われわれ一同思いを新たにして再び昭和基地に帰り、この前人未踏の地の科学的開発を続けさせていただきたいと念願しております。  貴委員長初め委員各位のこれまでの御好意を厚く感謝し、あわせて今後の御鞭撻をお願いいたします。 以上でございます。     —————————————
  3. 山下榮二

    山下委員長 次にお諮りをいたしたいと存じます。去る二月十八日本委員会に付託になり、二十七日その提案の趣旨説明を聴取いたし、ただいま審査を続けております国立競技場法案は、わが国の体育の普及振興に資するところ大であります。また本案に関連しまして最近問題となっておりますスポーツと社会教育との関係、そのあり方等につきましても、本委員会として重大な関心を持つところでございます。つきましては、国立競技場法案に関し参考人より意見を聴取し、本案審査参考に資したいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお参考人の人選は先日の理事会の申し合せによりまして、赤嶺昌志君、小川正太郎君、川本信正君、中野好夫君、以上の四名といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下榮二

    山下委員長 御異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  6. 山下榮二

    山下委員長 それでは、これより文教行政に関する調査に入ります。質疑の通告がございますからこれを許します。小牧次生君。
  7. 小牧次生

    小牧委員 文部大臣僻地教育の問題についてお伺いをいたします。具体的にお伺いいたしたいと思いますが、まず第一には、僻地教育振興のために今日まで教育振興法が制定されまして逐次僻地教育充実をして参っておるようでございますけれども、まだ十分なところまでいっておりません。それにはいろいろな理由があると思うのであります。従いましてその理由であると思われる点について、大臣の御所見を伺ってみたいと思います。  まず第一には、僻地にある小学校中学校に勤務しておられる先生方手当の問題でありますが、これには御承知通りどういうところを僻地とするかという僻地指定基準がございます。さらにこれに従いまして手当支給されておるわけでありますが、これについてまだその額や指定基準が不十分であると私は考えておるわけでありますが、大臣はどのようにお考えでありますか。
  8. 松永東

    松永国務大臣 小牧委員の御指摘になりました僻地教育のまだ不十分、僻地教育に対するいろいろな施設手当の不十分、この点についての原因、これは今小牧委員の仰せられた通りなんであります。そういう点が原因をなして十分というところまではいかない。しかし何とかしてこれは充実をいたしませんと、ああしたへんぴなところで一生懸命子弟教養の任に当っておられる先生方にまことにお気の毒であると同時に、子どもたち教育の面にも充実せぬところが多分にありますので、何とか一つやりたいと思いまして焦慮をいたしました。だがしかし、三十三年度予算では一億八千万ですかを計上するにすぎなかったのであります。しかしこれを契機として相当文部省内にも御説のような僻地教育に対する関心が盛り上ってきておりますので、順次一つ目的を達成したいというふうに考えております。
  9. 小牧次生

    小牧委員 大体大臣のお気持はよくわかりましたが、さらにもう少しお伺いをしてみたいと思います。元来僻地における指定基準は、御承知通り国家公務員法に準じて各都道府県知事条例をもって定めてやっておるわけでありますが、学校教育という特殊な仕事に従事しておられる先生方の場合に、必ずしも他の国家公務員方々と同じようには考えられないいわゆる教育特殊性というものがあるのではないかと私は考える一人であります。これは具体的にはなかなかむずかしい問題で、教育特殊性ということをどういうふうに具体的に表現をして、どうして指定基準を設けるかということはなかなか簡単ではないと思いますが、たとえばほかの国家公務員のある場合におきましては、被服を支給されておるとか、まあ多少違ったところから待遇もまた違っておるという面もあります。それからまた逆に、学校先生方になりますと、学校が小さいので、一人で三学級あるいは四学級も担当して非常に過重な仕事をしなければならない、あるいはまた地域社会教育とか、あるいは青年学級とか、いろいろ多方面にわたる仕事もしなければならないというようないろいろな特殊性があるわけでありまして、私はこの際へき地教育振興法改正いたしまして、他の国家公務員と切り離して、何か特殊な新しい基準を設けるべきじゃないか、こういう気持を持っておるのでありますが、これについて大臣のお考えをお伺いしてみたいと思います。
  10. 松永東

    松永国務大臣 この僻地教育の問題は、ただ単に国家公務員とか地方公務員とかという公務員の率でこれを規定していくということには参りません。これは御説の通りです。従って手当とか支給とかいうような基準につきましても、やはり一般公務員とは異なったところの配慮が必要だと痛感いたしております。御指摘になりましたように、教育の面は、特に僻地教育に携わっておる人々はやはり三学級も四学級も一人で受け持っておられる現状でございます。従ってこれに対しては国家公務員地方公務員と同じような率で考えるということは間違っているというふうに考えております。これに対しては、仰せになりました通り、その振興法についてもこれを改正する必要があるのじゃないかというので、今研究を重ねておるところでございますので御了承おきを願います。
  11. 小牧次生

    小牧委員 大臣へき地教育振興法について、いろいろ改正のために研究する必要があるという御意見はよくわかりました。従ってさらにその点について、私のこういうふうに改正の方向を進めてもらいたいと思う点について、お伺いをいたしてみたいと思います。  この指定基準に関連いたします手当の問題でありますが、これにつきましても、先ほど大臣から御答弁がありましたが、今回はたしか約七千五百万円だと思いますが、手当増額になっておりまして、その点感謝申し上げておるわけであります。もちろん額そのもの増額をしてもらわなければなりませんが、これについての基本的な支給方法についてさらにお伺いをいたしてみたいと思います。  これも先ほど申し上げました通り、現在は都道府県知事権限で、条例をもって各県がそれぞれ定めて、そして手当支給いたしておるわけでありますが、御承知通り地方公共団体権限でやっておりますので、赤字のところとか、あるいは富裕県とかいろいろありまして、まちまちでございます。たとえば一律に定額を支給しておる県もありますし、あるいはまた割合を定めて、本俸の幾らという率で手当支給しておる県もございます。従ってまずこういう点を、最初申し上げたような考え方から、何らか統一をいたしまして、教育特殊性に基いた基準指定して、同時に支給方法についても、これに準じて率を定めて、各都道府県統一的な手当支給できるように、文部省としても、今後各都道府県に対して指導、助言をされる方がいいのではないか、こういうふうに考えますが、大臣はどのようにお考えでございますか。
  12. 松永東

    松永国務大臣 お説の通り、いわゆる赤字府県に対して、これまでも適当な勧告等もいたしておった事例もあるのでございますが、御指摘通り、こうした問題がいろいろへんぱな取扱いをされては、非常に教育行政上困りますので、実は昨年も二〇%から五%の五段階定率支給を直しまして、そうして実行に移すように勧告をいたしておいたのでございます。しかしながら御指摘のような点もありますので、本年度から以降はそうしたへんぱな取扱いがないように努めたいと思いまして、その面の指導勧告等も十分抜かりなくやるつもりでおります。さらに御指摘になりました法律改正と相待って全きを期したいというふうに存じております。
  13. 小牧次生

    小牧委員 この問題については、承わるところによりますと、新年度予算要求に当って、文部省大蔵省に対して、名称は正確に存じませんが、僻地教育手当というような名称要求をされたと聞いておるわけであります。それからさらに昨日の参議院における大臣のこの問題に対する答弁も若干承わったわけでありますが、僻地指定基準統一したい、こういう答弁をされたように聞いたのでありますが、この僻地指定基準統一の問題と、ただいま申し上げた僻地手当の問題について、大蔵省との交渉の経過もあわせて、具体的な構想をお持ちであるならば、この際お伺いをいたしてみたいと思います。
  14. 天城勲

    天城政府委員 私から最初にお答えいたします。御指摘のように、僻地手当の問題につきましては、一般公務員の場合と異なりまして、教職員の場合には何らか他と異なった配慮が必要ではないかということをわれわれも感じておりまして、実は本年度予算要求に当りまして、現在の地域給を中心とした僻地手当のほかに、何と申しますか、教育の面から考え僻地教育手当というものを一応考えたのでございますけれども、結果的には予算的に認められないで終っております。その要素でございますけれども、やはり僻地手当には地域的な要素がどうしても多いのでございまして、それに教育的な要素をかみ合せるということが、技術的にも、それから考え方でも、作業いたしてみますと、なかなかむずかしい点が残っておりまして、なお今後の問題として研究を続けたいと思いますが、一応教職員僻地手当の中には、一般公務員の場合と違う、あるいは距離的な条件だけでなく、他の要素を加えなければならないのじゃないかということを考えて、その点について検討を進めている次第でございます。
  15. 小牧次生

    小牧委員 その問題はおおよそのことがわかりましたので、次に移ってみたいと思っておりますが、それは僻地における集会室あるいはまた教職員住宅の問題であります。この点は、大臣も御承知通り、新年度予算はある程度増額になっておりまして、僻地においては感謝しておると考えるわけでありますが、これについてはまだまだ不十分でございます。学校先生方僻地学校に転任するにいたしましても、これを受け入れる住宅がなくて困っておる、またそういう関係からなかなか遠い離島とか僻地学校に転任をしたがらない、あるいはまたいい先生が得られないという、いろいろな問題の相当な原因をなしている問題ではないかと考えておるわけでありますが、これについては当該町村負担という問題がございまして、今日の地方公共団体財政の窮迫ということが大きな原因で、補助をもらって集会室学校先生方住宅を作るにいたしましても、なかなか思うようにいかない、これはやはり国の補助相当影響があると考えるわけでありますが、集会室の方は現在半分補助をいたしておりますから、これはいいといたしましても、この国の補助予算額はやはりできるだけ増額してもらわなければならない、私はかように考えるわけでありますが、教職員住宅補助については、御承知通り現在三分の一でございますが、これをどうしても集会室と同じように半分にしてもらいたい、こういう強い要求が今日まで続けられて参っておりまして、この点はおそらく大臣もよく御承知だろうと思います。大臣のところにもいろいろな団体方々陳情にも行かれたと思っております。先般新聞紙で見たわけでありますが、現在危険校舎とかその他屋内体操場、そういった問題に対する補助率の問題、その他いろいろな法律統一文部省の方では考えておられるようでありますが、こういう中に今申し上げた問題が含まれておるかどうか、これをお伺いしてみたいと思います。
  16. 小林行雄

    小林(行)政府委員 僻地教育振興の問題に関連しまして、やはり優秀な先生僻地に誘致するという意味から、教職員住宅建築というものが非常に大きな意味を持っておると思います。文部省といたしましても、年来教職員住宅建築についての国の補助ということには、相当努力をして参っておるつもりでございます。明年度におきましても、従来と比べて戸数をある程度増加して予算を組んでおるような状況でございます。  ただ、補助率の問題につきましては、私どもといたしましては、僻地財政的に非常に困難な場所であるので、できるだけ国の補助率を高くしてもらいたいということで、財政当局とは折衝はいたしておるのでございますが、御承知のような補助金整理というような一つ財政方針がございますので、明年度予算には、この補助率を高めるということは認められなかったのでございますが、文部省としては将来できるだけこの点についても努力をいたして参りたいと思っております。ただお尋ねがございました新しい義務教育施設費国庫負担法につきましては、これは学校校舎建築だけに範囲を限定いたしておりますので、校舎建築とは違う教職員住宅というものについては、従来通り僻地教育振興法をその基礎として使って参りたい。従って新法には入れないという方針となっております。
  17. 小牧次生

    小牧委員 管理局長の御意見はよくわかりましたが、それでは現在の僻地教育振興法改正する、この点についてそういうお考えはないのですか。
  18. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のようにへきち教育振興法には、別に補助率については規定をいたしておりませんので、予算折衝段階において、できるだけ補助率を高めるように努力をいたしまして、その高められた範囲内において、現在三分の一のものを将来できるだけ二分の一のものにしていきたい、そういうふうに考えております。
  19. 小牧次生

    小牧委員 それでは、その次の問題についてお伺いいたしますが、これも同様に非常に僻地学校で困っておる問題でありますが、それは学校教職員定員の問題であります。御承知通り僻地指定されるところにある学校は、非常に規模が小さい、いわゆる小規模学校が非常に多いのであります。この小規模学校に他の地域学校並みの、いわゆる一般配置基準先生方配置するということになりますと、これはもう当然僻地の小規模学校は非常に不利になるということがわかるわけであります。これについては現在の振興法にも特別の考慮を払わなければならない、こういうふうにはっきり明示してあるわけでありますが、具体的にどういう特別な考慮が現在払われておるのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  20. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のように、小規模学校教員配当につきましては、一般学校におけるような基準考えておりますと、教育上いろいろな支障があるわけでございます。実際問題といたしましては、各県でもそれぞれ小規模学校につきましては、各県なりの補正を御考慮になっておりますけれども、私たちといたしまして、へきち教育振興法に書いております趣旨を少しでも具体化する意味で、たとえば今度考えております教員定数学級規模基準に関する法律の中におきましても、小規模学校につきましては、基準教員配当以外に補正考慮して、プラス、アルファの教員配当できるような措置を講じたいという考えで現在おります。
  21. 小牧次生

    小牧委員 補正を行なって、ほかの地域よりも特別な措置を講ずるというお考えで、その点私も同感であるし、賛成をいたすわけでありますが、今度新しく定められようとする新定員基準でありますが、これにはいろいろ問題があるわけでありまして、この際全般的にわれわれも検討いたしてみたい、かように考えておりますが、これと関連をいたしまして、学校健康管理に従事しておる養護教諭の問題、これもやはり今の定員の問題と直接関係があると同時に、学校における子供健康管理という重要な仕事を担当する意味においても、きわめて私は大事な問題であると思うのであります。元来僻地といわれるような遠隔の地には医者のないところがたくさんございます。従って子供が病気をしたりいろいろな場合に非常に困るわけでありますが、こういう場合に学校に一人の養護教諭もおらない、こういうことでは私は非常に困ると思うのでありまして、この際僻地指定された学校については別途な考慮をもって養護教諭配置して、そうして僻地学校健康管理充実していくべきではないか。これについては私どもは別途に僻地のみならず、一般的に現在の学校教育法の一部を改正いたしまして、必置制になっておらない養護教諭配置についても、十分考慮していかなければならないという考えを持っておるわけでありますが、それはそれといたしまして、まず僻地における学校健康管理について大臣の御所見を伺ってみたいと思います。
  22. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 僻地における健康管理につきましてはただいま御指摘通り非常に重要なことであり、私どもも何らか根本的に対策を立てなければならぬと考えております。  ただいま御指摘定員の件でございますけれども教育上の効果をあげるために小学校は一学級に一人としておりますけれども、五学級以下の小規模学校につきましては特別の考慮をいたしておるのでございまして、これは当委員会に付託されておると思います学級編成基準及び教員定数に関する法案で御審議をいただきたいと思っております。  なお養護教諭につきましては、現在のところ現状考慮しながら、小学校につきましては千五百人に一人、中学校につきましては二千人に一人ということで、現状よりは一歩前進いたしましたが、こういう点で総数を配当いたしますので、その中で御指摘のように僻地につきましては優先的に配置するように指導して参りたいと考えております。なお今後、僻地学校におきまして御指摘のような状況にございますので、医療費、特に救急箱のようなものを検討してみたい、かように考えております。
  23. 小牧次生

    小牧委員 養護教諭の問題で優先的にというお話がありましたが、そのお気持は私も敬意を表しますけれども、実際にはなかなか容易に実現されないのではないか。従って先ほど私が申し上げた通り、どうしてもこれが義務的に配置されるという強力なる措置が講ぜられる必要があると思うのですが、そこまではまだ考えていないわけですか。
  24. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 これは当委員会予備審査で付託されております学校保健法案がございますが、この学校保健法案によりますと児童、生徒の就学時の健康診断、さらにその結果疾病その他がございますれば、これを学校に行くまでに完全になおして学校に入るように、同時に定期的な身体検査を行いまして、いわゆる虫歯、トラホーム、十二指腸、こういうようないわゆる学校病が相当ございますが、これにつきましては身体検査の結果学校病を駆逐するように、これは地方公共団体負担において要保護者と準要保護者については治療費を免除する、これについて国が一部半額負担するような措置がただいま予備審査で付託されていると思います。この学校保険法案とただいま申しました教員定数法案、両々相待って僻地における健康管理に遺憾なきを期したい、かように考えております。
  25. 小牧次生

    小牧委員 それではもう一つ伺いをいたしますが、これもよく御存じの問題で、僻地学校となれば非常に交通が不便であり、遠隔の地から小さな子供学校に通うという非常に不便なところで困っておるわけでありますが、これについて今日までスクールバスとかあるいはスクールボート、こういったものに対する措置がなされて相当この問題の前進を示しておるわけであります。ところが実際の状況におきましては、先ほど申し上げた通り僻地公共団体規模も非常に小さいし、また財政的にも困っておるということで、そういったスクールバスとか、あるいはスクールボート、あるいはこれに準ずるものを設置したあとの維持、運営に困っておるのが今日の実態であると思うのであります。しかしながら今の建前ではどうにもならない。従ってどうしても当分の間、国の方で何らかのめんどうを見ていく必要があるのではないか。私はこういうように考えるわけでありますが、これについて御見解を承わっておきたいと思います。
  26. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 僻地におけるスクールバススクールボートの維持費のお尋ねのように思いますが、これは本来市町村の経費で見るべきものでございますので、御指摘通り僻地におきましては財政状態が非常に困難でございますので、なかなかスクールバススクールボートの維持に困難だというお尋ねだと思いますが、本件につきましては地方自治庁と十分相談いたしまして、特別交付税なり何らかの方法で解決するように努力をしてみたいと思っております。
  27. 小牧次生

    小牧委員 いろいろ僻地教育振興については、われわれが解決していかなければならない問題があると思います。しかしもう一々あとこまかい問題についてはお伺いをいたしませんが、大体初めから申し上げた僻地指定基準、それから先生方の特殊勤務手当の問題、あるいは定員配置基準の問題、あるいは健康管理、こういった今お聞きいたしました問題等が僻地教育振興の条件をなす大部分であろうと考えておりますので、今いろいろ御答弁がありましたが、そういうきまっておる点についてはその通りに、まだきまっておらなければ一つ十分積極的に検討されて善処されるようにお願いしたいと思います。  最後にきのうちょっと聞いたのでありますが、今これからの問題について僻地その他からたくさんの団体方々が上京して、国会あるいは文部省等にいろいろ陳情をしておられるようであります。私どものところにもたくさん見えましたが、きのうでしたか七、八人の方が稻田文部次官に面会をしていろいろお願いをいたしたいということで、文部省に行ったら、どういうわけか稻田文部次官は面会を拒絶されたやに聞いたのであります。果してその通りであったかどうか、大臣がおられないので政務次官にお伺いをいたしますが、どういうことでしたかお伺いしてみたいと思います。
  28. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ただいまの点につきましては詳細承知いたしておりませんが、ただ文部省といたしましても、広く陳情等は十分一つ伺って、そうして意のあるところは了承して参りたい、かように考えているのでございまして、たとえば大臣等におかれましても日教組等に対しましてもいろいろ陳情はできる限り聞いているような実情でございまして、従って各事務当局においてももとよりその精神でおりますが、ただ今法案等の問題等で事務当局においても非常に多忙な際でもありますし、また陳情が近来非常に多いのであります。そこで陳情等につきましては私どもも努めて伺うようにいたしておりますが、私どもも国会開会中はこちらの方に来ておりまして、昨日も、実は私の部屋の女の子もかぜを引いて、私の部屋も締めてきておりましたし、秘書の者もこちらへ来ておる、こういうことで、あるいは昨日そういう点で陳情者の方にも御迷惑をおかけした面があるかもしれませんが、事務次官もそういうふうで非常にいろいろお忙しい際で、全部が全部陳情者にお目にかかるということもできかねる実情にございますので、あるいはそういう失礼をした場合もあろうかと存じますが、決して陳情書を無視するということでないことだけは、この機会にお答え申し上げます。
  29. 小牧次生

    小牧委員 臼井政務次官はその場におられたかどうか私は存じませんので、あなたを何も追及しようというわけではありません。ただ私の聞いたところでは、わずかに八名ということでした。何も日教組の方ばかりでなくて、僻地教育振興については、御承知通り非常にたくさんの団体方々が一生懸命努力しておられる。これはもう政党政派を越えて非常にたくさんの方々努力しておられる。そういう方々の中で一部の方が行かれて、そうして拒否された。どういうわけかと聞いたんですが、理由はよくわからない、拒否された方も……。文部省の中に入っていったら衛視がおってとめて、そうして取り次いでくれたのかくれないのか、これもわからない。ぜひ稻田文部次官にお会いをいたしたい、こういう真摯な気持で、はるばる遠いところから、また僻地から出てこられて、しかも理由もよく教えないで会わないというこの態度は、これはまあ臼井政務次官は直接関係のない話で、大臣にお伺いしてみたいと思ったのですが大臣がおられないので、今後そういう場合には一分でも廊下へでも出て、そうしてどういう御意見か、御意見を聞くという態度が必要である、こういうふうに考えますので、もし今私がお伺いをしたことが事実であるとするならば——事実でないとすれば別ですが、事実であるとするならば、一つ大臣にかわって臼井さんの方から稻田次官の方に十分御注意願いたい、私はこういうふうに考えますが、これを要望いたして質問を終ります。
  30. 山下榮二

    山下委員長 高津正道君。
  31. 高津正道

    ○高津委員 僻地教育の問題について少しお尋ねをいたします。文部省は新しい合併町村に対して義務教育学校の統合について指示をして、大いにそれを奨励しておられるようでありますが、それが自治体において大きい紛争の種になっておるようなところがございます。どういうような統合規準のようなものを各都道府県教育委員会にお流しになったのか、それをまずお伺いしたいのです。
  32. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 地方の町村の合併に伴って、この義務教育学校の校舎を統合して、できるだけ適正規模にして合理化したい、こういうことで文部省におきましてもいろいろ指導はいたしておりますが、特別にこういう規模でこう統合すべきであるというような指令を出したことはないようでございます。ただしかし町村の合併そのものにつきましては、いろいろ地方の事情等によって紛争を来たしておりましたこともございましたが、学校等におきましても、児童の通学の便益というようなことを考えて、そういうような点から、父兄においてもいろいろ意見が各町村によって異なる面がありまするので、そういうことがないとは限らぬと存じますが、これらは各地方の実情、その場、その場に即して話し合って、できるだけ円満に解決していくべきものである、かように考えております。
  33. 高津正道

    ○高津委員 文部省はそういう指示を出していない、通牒も出していないと言うが、何もそういうことは下へ流した覚えはないのですか。
  34. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 学校統合の規模につきまして中央教育審議会に諮問いたしました。その諮問の結果、答申が出ておりますので、それは参考に流しておると思います。たとえば学級は十八学級くらいが適当である、あるいは通学に対しては、無理のないように、そういう一般的なものでございまして、特別にどうしろ、こうしろというようなことは流しておりません。
  35. 高津正道

    ○高津委員 通学に対して無理のないようにといえば、小学校の場合、通学距離の最大限はどのくらいに考えておられますか。
  36. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 小学校四キロ、中学校六キロくらいを妥当と考えております。
  37. 高津正道

    ○高津委員 そうすると、五キロ、七キロということになるにもかかわらず統合しようとしておれば、それは不適当とお考えになりますか。
  38. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 小学校の場合には不適当と考えております。
  39. 高津正道

    ○高津委員 私は陳情を受けたもので、その学校の名前を申しますが、広島県の双三郡三和町上板木小学校というのがございますが、その町村では産業の奨励というようなことよりも、とにかく建てた学校をこわして統合するというような土木に非常に興味を持っている町長がいて、建ててまだ数年にしかならないのに、すぐにそれを中央に大きいものを——いささかソ連趣味のような、統合して建築するという趣味を非常に持っているようでありますが、もしそれが統合になれば、七キロ半に及ぶ距離から通わねばならぬ。しかも道路がめちゃくちゃに悪いのです。そしておまけにイノシシが出るのです。なお午後四時に学校が終れば、七キロ半という距離に及べば、わが家へは暗くなって帰る、そういうひどい実例があるのであります。これに反して新しい町村の統合があっても、本校を含めて九つもその村で平然として、住民の利益というか、希望に沿ってそのままにしておる新しい町村もある。こういう乱暴なことがある場合、もし書類において町長あるいはその村の教育委員長が県知事あるいは県の教育委員会に対して、距離などにおいて誤まった申告をしておる場合には、その場合はどうすればいいんですか、あるいはどうなるのですか。
  40. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 学校統合の場合は市町村の教育委員会で適正な規模で処理されると思うのでございます。ただこの場合に学級定員等に変更がある場合には、これは都道府県教育委員会の認可を要する事項でございます。と申しますのは、教員の給与費は都道府県負担しておりますから、しかし今申しました統合の規模をどうするかというようなことは市町村独自できめられるものでございます。今御指摘のように、七キロ半というような場合は、小学校の場合には特に交通機関、たとえばスクールバスのようなものが整備されていない限りは無理ではなかろうかと思います。
  41. 高津正道

    ○高津委員 統合の条件として町議会の議決は必要であろうと思いますが、町議会の議決があっても、その学区内の父兄が、一部ではあっても非常に七キロ半をたてにとって、六キロもあり五キロもあるのですから、反対しておる場合には、それはやはり認可を申請してくれば、統合せよと、このように許すものでしょうか。
  42. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 学校統合は市町村の教育委員会権限事項でございますので、認可とか何とかという問題は起きないわけでございます。
  43. 高津正道

    ○高津委員 そこの上板木小学校の父兄たちは、何とかして児童の健康を守りたい、そんな通学の負担にはたえられないというので、けなげにも児童福祉法を研究して、そして府県の児童福祉関係の協議団体に訴えたのです。それはひどいといって受けつける意向を示したところが、その次に会ってみると、同じ県庁の屋根の下にいて、教育委員会とこちらとで争うわけにはいかぬ、これは却下だ、こう言ったというのです。しかし児童福祉法という法律に違反するとその人たちが一応認めることを、他の機関とけんかをしてはいかぬというので却下するというのは、ずいぶん悪いと思います。文部省の責任ではないと思うけれども、非常に妥当を欠くと思います。しかし文部省の方からは児童福祉法の精神のように、学童の健康を守ることに注意をしていただかねばならぬので、文部省としては臼井政務次官としてはそのような扱いは適切を欠いておるというか、妥当でない、このようにお考えになりますか。公平な御意見を聞かしていただきたい。
  44. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 地方のそういう問題につきましては、やはり一番その土地の方、ことに教育問題であれば教育委員会方々がその実情をよく御承知のはずでありますから、そういう無理なことは常識上やるということは考えられないのでありますが、しかし文部省としては先ほど初中局長からお話申し上げましたように、大体原則的な、小学校で四キロ、中学校で六キロぐらいが適当、それ以上は無理である、こういうようなことは、そういう諮問に対しての答申があるということを出してございますので、それに基いて大体地方で御判断いただけることかと思うのであります。従ってそれ以上に無理をして児童の通学に負担を過重にかけるということは適当だとは考えておりません。
  45. 高津正道

    ○高津委員 児童福祉法第一条、第二条、第三条、それからその次の第何条とかと非常によく研究して、子供はかわいそうだと言っているんですが、児童福祉法を守って学童を保護する、そういう考慮文部省関係当局としてはなすべきである、このようにお考えになりますか。
  46. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 その通り考えております。
  47. 高津正道

    ○高津委員 この学校は複式で、しかも三十四、五人くらいを一年、二年一緒に教えておるわけであります。そうして本校の生徒に比べていつも成績がいいそうです。これはすし詰め学級を解消せねばならぬというよい材料を提供するもので、そこで教育が低下しておれば、適正規模学校に統合するという論拠になりますけれども、そのように遠隔の土地であり、しかもいい成績を上げておるという場合には、あまり無理をしない方がいい。私は何も利害はありません。その部落に一生懸命賛成すれば、反対の方は憎むでしょうから、私はちっとも利害はないけれども、どうも弱い方がかわいそうで、何とかしてやりたいと思ってこの質問をしたわけであります。当局の意向がわかってこれを伝えれば、関係者においては非常に喜ぶであろうと思います。
  48. 山下榮二

    山下委員長 野原覺君。
  49. 野原覺

    ○野原委員 私も僻地について若干お尋ねしたいんです。私は今日は僻地とは関係もございませんが、かつて私は僻地に五年間教員をしたことがございますので、僻地教員僻地子供たちあるいは僻地におけるその親たち考えがどうであるかということを体験しております。そういう点で二、三お尋ねしたいと思います。  まず最初にお聞きしたいことは、文部省でも調査ができておると思いますが、今日この僻地に該当する子供の数、児童、生徒、小中学校でけっこうですが、どのくらいおるとお考えですか。
  50. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 ちょっとここに資料を持ち合せておりませんので、後ほどお知らせ申し上げたいと思います。
  51. 野原覺

    ○野原委員 資料を持ち合せなければ後ほどでもけっこうでございますが、御承知のようにへき地教育振興法というのが昭和二十九年に出されておる。そこでこの法律に基いて僻地の問題を解決しようとするには、どのくらいの予算がなければならぬと文部省考えておるか。私どもはこの僻地の問題を取り上げておるところのいろいろな研究団体からいろいろな陳情を受けておるのであります。やはり責任のある文部省としてこのへき地教育振興法に基いて問題を解決していきたい。たとえば集会室を作るあるいは僻地手当を出す、こういうようにやって参りますと、国がその三分の一といったような補助率を出されておりまするが、この補助率によって解決するとして、国はどのくらいの予算が総額において出されなければならぬか、その点をお聞きしたい。
  52. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 お話の点は非常にむずかしい御注文なんですが、と申しますのは、たとえば教員僻地勤務手当というものは、これは毎年出さなければなりませんので、総額というものを算出することが困難だと思います。本年度へき地教育振興法関係では、特に僻地教員手当、これを約七千五百万増額いたしましたのは、大体従来僻地手当は御承知通り定額制でございまして、最高千二百円とかいうふうになっておりましたが、昨年から改めまして定率負担にいたしまして、最高は本俸の二割にいたしたわけであります。四%刻みの五段階、最低四%、こういうふうにいたしておりますので、これはまだ各県とも全部定率負担には切りかえておりませんが、文部省としてはできるだけ定率負担になるように、すなわち本俸に比べて何割支給というような形に指導しております。現在まだ相当数のところが一定の金額で支給しております。たとえば千円とか八百円とかいうふうな金額で支給しておりますが、これをできるだけ改めたい、これが第一点であります。その他大体振興法法律に準拠して予算要求して、一億八千万程度が本年度のその他の僻地教育振興の経費でございます。これは別に年度割というわけではございませんが、前年度の実績を考慮しながら、まあまあ、不十分ですけれども、何とかやっていけるのではなかろうかという程度のものであります。
  53. 野原覺

    ○野原委員 私の質問が非常にまずかったと思います。私も今反省しておりますが、なるほど僻地手当という人件費は総額の中に入れるということは困難であろうと思う。けれども、今初中局長も申されましたように、たとえば僻地の公民館であるとか集会室であるとか、そういうような問題はこの振興法が規定しておりますから、そういう恒常的なものに関しては総額が計算されるはずなのです。その点をお聞きしたいのです。
  54. 小林行雄

    小林(行)政府委員 僻地集会室につきましては、大体私どもの計算では不足坪数のある学校すべてを調査いたしまして、その申請の有無にかかわらず、すべてに設置するという建前で計算しますと、大体十七億かかるという数を想定いたしております。
  55. 野原覺

    ○野原委員 僻地集会室だけが十七億でしょう。そのほかに問題はたくさんあると思う。だから私は総額を聞いておる。しかし今御説明ができなければ、これもあとで資料として出していただきたいと思います。へき地教育振興法に基くものは単に集会室だけここに規定はされておりませんから、この法律に基く予算は一体どれくらいあれば問題が解消できるか、文部省考えておることを私は後ほど資料として提出されるように要求いたします。なぜ私がこういう質問をするかというと、どうも文部行政というのは、何というか、全くどろなわ式というのか、出まかせというのか、私は率直に言ってそういう感じを持つのです。だからへき地教育振興法を衆参両院で決議をあげて、私どもがここに法律として作った限りは、やはりこの法律に基いて一日も早く問題を解決するという努力を文部行政としてはやはり示すべきなのです。それを示すためには、一体この法律に基いて予算総額がどれだけ要るのか、その総額がたとえば三十一億円要る、四十億円要る、それじゃこれだけのものを一体何年度の計画で解消していったらいいかというような、計画的なものをやはり立てるべきなのです。その計画に立って今年は一億円でもいいです、五千万円でもいいです。あなた方は大蔵省にこの要求を出して一億円、二億円取っておる。ところがその取った一億円というものがいつになったら、何年先にはどういう計画で、どういう形で解消していくかということは、実は樹立されていないのじゃないか。もし私が言うことが、それが間違いだというなら、私は御答弁いただきたい。そういう計画的なものを立てていらっしゃるかどうか、重ねてお聞きします。
  56. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 もちろんへき地教育振興法によって計画の立つものは立てております。御指摘になりました教員僻地手当関係とかあるいは学校教材費関係、こういうものは別に年度別ではございません。経常的な経費でございますので、へき地教育振興法の教材、教具等の整備、それから教員の研修でございますが、これは大体毎年やっておりますので、これも幾らなければならないという経費ではございません。そこで今管理局長からお答えしました僻地集会室の問題と教員住宅の問題が大体対象になると思うのでございます。
  57. 野原覺

    ○野原委員 それで、あなた方が本年度一億何千万か計上しておることは予算書を見れば明らかなんですが、昨年度もこれは計上しておる。だからして昨年度の計上——これができたのは昭和二十九年なんです。だから私は、三十年からさかのぼってとは申しません。本年以降からでもけっこうなんですが、総額においてはこれだけ要るから昭和三十三年度はこれだけの予算を計上したのだ、本年は特に教員住宅という問題に力を入れるんだ、集会室の問題を解消していくんだという年次計画的なものを持っていらっしゃるかどうかということを聞いておるのです。明確に持っておられますか。
  58. 小林行雄

    小林(行)政府委員 僻地集会室につきましては先ほどお答え申し上げましたように、不足坪数をすべて調査いたしまして年次計画を、一応概算要求をする場合に立てておるわけでございます。ただ財政当局折衝をいたしますと、なかなかこちらの思うような年次計画的な数字が入ってこないという実情でありまして、たとえば現在の補助率で大体僻地集会室の全量を整備するのに十七億という数字が出るわけでございますが、本年度においては大体一億四千万円程度のものしか入っていない。これは比率で申しますと大体十二分の一程度のことになっておるわけであります。それから僻地教職員住宅の場合も、これは二十八年度以来年々計画を立てまして住宅難の解消をやってきておるわけでございますが、これも予算折衝に際しましては、文部省の計画したような数字がなかなか入ってこない。ただ先ほど小牧委員の御質問にお答えしましたように、文部省としてはこの僻地教職員住宅には特に力を入れておりまして、明年度予算にも昨年に比べてかなり戸数を増すというような、多少の増額を見ておるような次第でございます。いずれも年次計画を立ててやっておるつもりでございます。
  59. 野原覺

    ○野原委員 年次計画を立てておるとすれば、それは何年計画、三カ年計画か十カ年計画かお聞きしたいところです。集会室だけで十七億円も要るというのに一億何千万ということであれば、これは一億何千万の十倍だって十七億にはならぬ。そうするとこれは十何年の計画だなということにも私は考えられるし、なおまた教員の宿舎建築にいたしましても、これは総額の御説明はございませんが、一体何億円要るのか。これはある人に聞きますと、七億円くらい要るだろう、こう言っておる。文部省はどう考えているか。
  60. 小林行雄

    小林(行)政府委員 現状補助率で計算いたしたわけでございまして、大体僻地教職員住宅につきましては現在三分の一の補助率でございますので、補助金としては大体三億程度あればできるだろう、従って工事量としては私どもとしては九億程度のものがあればできるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  61. 野原覺

    ○野原委員 そこで私は第三の要望を出しますが、文部省僻地の問題を解決するために一体どういう年次計画でお考えになっていらっしゃるか、総額においてはどれだけ要るかという、その文部当局の考え方を至急御提示願いたいと思うのであります。  そこで次にお尋ねしたいことは、わが国で最もみじめな僻地の実情、これを一ぺん御説明してもらいたい。一例でけっこうです。これはどういう実情に置かれておりますか、御説明願いたい。
  62. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 全国の問題でございますから、なかなかその点はむずかしかろうと思うのでございますが、私、数年前参りまして、奄美大島あたりの僻地状況を見ますと、たとえばちょっと見ただけでも、当時土間に、ドアも何にもなく、もっとも暖かいところですから、ドアは必要ないのかもしれませんが、土間に机を置いておるような状態で、ほんとうにああいう状態ではお気の毒だ、かように考えて見て参った個所がございますが、その後奄美大島の方に向いますと、だいぶ近ごろは改良されて、徐々にではあるが、非常によくなってきておる、こういうことを伺いました。それらもやはりこういう僻地教育振興についての議員立法がなされて、皆様方の……(「それとは関係ない。それは奄美地方振興法によってよくなりつつあるのだ」と呼ぶ者あり)振興法ですか、それによって、皆様方の御関心の深いことが反映して、そうして僻地においても徐々に施設等も完備しつつある、かように考えるのでありますが、今後とも一つ僻地教育については、政府としても皆様方の御意向をくんで十分力を尽していくべきものである、かように考えております。
  63. 野原覺

    ○野原委員 ただいまの御答弁を聞いても、まことに失礼な言い方ですけれども、たよりない答弁であります。私は決していやがらせを言っておるのではないのです。僻地の問題は実に深刻なんです。そのために私たちは特別にへき地教育振興法というものを作ったのです。教育の機会均等という点から考えても、同じ日本人でありながら、ろくろく義務教育を受けることができない状態に今日置かれておる。私の調査したところによれば、その学童生徒は七十万から八十万に該当すると言われておるのです。これはいずれ文部省がどれだけ調査したかをあとでお聞きいたしますが、私どもへき地教育振興法を作ったときに、第五条という条文を特にうたったのは、そこにあるわけなんです。これは一つよく読んでもらいたいのだが、「文部大臣は、へき地における教育について必要な調査、研究を行い、及び資料を整備し、」云云と書いておるのです。私は一体どれだけの調査、どれだけの資料が整備されておるのだか、お尋ねしたのだけれども、ことごとに本日その資料の提出もできなければ、的確な御答弁もできない。最もみじめな僻地というものはどういう実情にあるか、こういう機会に文教委員会を通じて、文部当局は積極的に国民に向ってこういう実情だということをアピールすべきなんです。日ごろ調査、研究をやっていないのじゃないか。これは法律に規定されておることを十分にしていないのじゃないかという疑問を私は持っておる。第五条というものを、一体文部行政の中でどれほど消化しなさっておるのか、これは疑わしいのであります。私の言うことが、そりゃあまりひどい言い方だというならば、今からでもおそくはありませんから、その資料について、研究、調査について、具体的に御答弁が願いたい。しかしおよそこれはできないことだろうと思うから、これ以上は、この場では追及しません。あらためて出していただきたいと思います。  そこで次にお尋ねしたいことは、僻地学校に勤務する教員の養成施設ですね。これは第四条の第二項で「都道府県は、必要に応じ、へき地学校に勤務する教員の養成施設を設けなければならない。」と書いてある。今日、僻地学校に勤務する教員の養成施設を設けた都道府県があるかないか、それからこれを必要とする都道府県があるかないか、いかがですか。
  64. 緒方信一

    ○緒方政府委員 来年度予算では北海道と長崎二道県につきまして、教員養成施設予算を計上いたしております。三十二年度におきましては、なおそのほかに、岩手、兵庫、三重、青森、この四県でございましたけれども僻地のための特別の養成の必要がなくなりまして、この四県は廃止になりました。来年度におきましては、さっき申しましたように、北海道と長崎、この二カ所でございます。養成機関としましては、北海道が四カ所、長崎が二カ所でございます。
  65. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 なお僻地教育のことにつきまして、野原委員からいろいろ御注意がございましたが、文部省でも決してこれをないがしろにしておるわけではないので、おそらくへき地教育振興法の第五条に基いて調査、研究はしていることと聞いております。従ってその資料等をできるだけお出し申し上げまして御参考にいたしますが、もとよりこれが完全なるものであるということは申し上げられないと思いますが、それによってなお御検討、御注意のある個所はいただきまして、十分御趣旨に沿ってやりたい、かように考えております。
  66. 野原覺

    ○野原委員 僻地定員の決定は、内藤初中局長の所管かと思いますが、これはどういう配慮がなされておりますか、お尋ねします。
  67. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 ただいま本委員会に付託になっております学級編制基準及び教員定数の標準に関する法律案によりまして、僻地学校というものは大部分が五学級以下と思いますが、小規模学校についてはできるだけ特別の考慮を払うようにいたしております。ですから、いずれそのときに御説明申し上げたいと思っておりますが、小規模学校について政令の定めるところにより、普通の場合は一学級一人でございますけれども、何らか特別に考慮したい。今大蔵省折衝中でございます。いずれ決定次第申し上げたいと思っております。
  68. 野原覺

    ○野原委員 小規模学校というのは僻地でない小規模学校と、僻地に該当する、そしてなおかつ小規模学校というのとあると思うのです。私の聞いておるのは、この僻地教員の定数についての配慮を尋ねておるわけですから、小規模学校だけの考え方で御答弁されては困る。僻地については法律に基いて特段の配慮をしなければならぬのでしょう。御承知ですか。お尋ねします。
  69. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 私どもの方は、全国的な基準をお示しして、県の教員の総数のワクをきめたいと思っております。従来は、御承知通り、実績負担でございましたので、教員の定数というものはございません。ですから、都道府県都道府県の責任において教員定数配当されれば、文部省は必ず実支出額によって二分の一を精算負担した、こういう格好になっておったのでございます。ところが最近は赤字府県が相当ふえておりまして、約十九県が赤字団体指定されて、教員の首切り等がどんどん行われておる実情でございますので、この際できるだけ教員の定数を確保したい、こういう配慮から、実は教員定数の標準に関する法案をお出ししたわけでございます。その中では、全国的な基準といたしまして、小規模学校、特に五学級以下について特別の補正を、するという考え方でございますが、今御指摘僻地の場合には、必ずしも小規模でない場合も理論的にはあり得ると私は思います。しかし私どもの調査では、僻地の場合はほとんど小規模学校でございますので、小規模学校補正考えますれば、総数は何とか妥当な数字が出るのではなかろうか。その総数の中で具体的に配当するのは、へき地教育振興法第四項によって都道府県が特例の考慮を払う義務が生じてくるわけでございます。総数として僻地を持った都道府県に十分な配当ができるように考慮したいと思います。
  70. 野原覺

    ○野原委員 どうも答弁が納得できないのです。これは法律が規定しているのですよ。法律はどう規定しておるかというと、明らかに第四条の第四項において都道府県は、僻地学校に勤務する職員及び職員の定員の決定について特別の考慮を払い、文部省はこれを指導しなければならぬと規定がうたってあるんだ、小規模学校の今度の定数基準というものは、これはことしからでしょう。私は百歩譲って、その小規模学校で解決できるんだとかりに仮定いたしましても、第四条第四項というものは小規模学校だから定数を考慮しろというのじゃないのです。僻地だから考慮しろということなんです。だからことし提案があるまで、去年まではほってきたのかどうか、都道府県にどういう指導をしてきたのかということは、僻地に該当する都道府県の責任者に二、三尋ねてみたのです。何も指導は受けておりません、こう言っておる。その人の言うことはでたらめかどうか、あなたはそういう指導をされたか、お尋ねしたい。
  71. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 文部省としては僻地教員の優遇について、また定数の配置について十分の考慮を払うように指導しております。
  72. 野原覺

    ○野原委員 十分の考慮を払うように指導しておるとすれば、たとえば学級数と僻地の定数の率ですね。小規模学校の場合は一学級一・幾らということでいきますが、僻地の場合はどういう率でいくことが最も理想なのか、正しいのか、妥当なのか、その見解を持っておられるでしょう、お聞きしたい。
  73. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 そういう比率が出るのは私は困難だと思います。というのは僻地学校でも単級学校が非常に多いし、単級学校というのは御承知通り一年から六年までを含んだものでございます。ですから、この場合に教員数と児童数との関係もあるので、どの程度の児童数が単級では持てるかという問題が私はむしろ中心じゃないかと思う。ですから単級学校の場合は、私どもは一学級大体二十人くらいの規模にしたい。それから複式学級のものもあると思う。複式の場合には二個学年の複式と三個学年、四個学年を持った複式とは非常に負担労力が違ってくると思う。その場合の基準をどういうふうにするかという問題もあると思う。一がいに定数で一・何がいいというようなことは私は言えないと思います。
  74. 野原覺

    ○野原委員 文部省はそういう指導ができなければ、都道府県はあなたの方から特別の考慮を払え、こういうことをいわれたって、考慮の払いようがないのですよ。そういう指導はあなた方の文部官制によってやらなければならぬことなのです。駐在員を置くなとか、やれ何だかんだとつまらぬところの指導は微に入り細にわたってあなたの通牒を流している。これはいずれそのうち追及いたしますが、きょうはやめますけれども、つまらぬ通牒はどんどん流しておって、法律が規定するところの第四条第四項、「都道府県は市町村の行うへき地学校に勤務する教員及び職員の定員の決定について特別の考慮を払い、並びにこれらの者の採用について必要な指導、助言及びあっせんをしなければならない。」と書いてある。都道府県考慮しろといったって、都道府県考慮しろと聞いたかしれないけれども考慮しろという通牒は出していない、そういうものは通牒でもらっていないと言っておる。該当府県に文書で出していますか。あなた方はそれは出していない。頭を傾けるくらい記憶にないでしょう。やっていないじゃないですか。
  75. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 昭和二十九年の制定でございますので、法律が制定になりますれば、法律趣旨を詳細に通知いたすはずでございますから、私は出しておると思います。
  76. 野原覺

    ○野原委員 そこで私がお尋ねしたいことは指導する場合には大体この程度のものでなければならぬという具体的な指導をしなければならぬと思う。特別な考慮を払えというなら、これは法律の条文通りなんだ。こんなことは指導にならない。だから具体的なものを持っていらっしゃるかと聞いているのであるが、ないならないと言ったらいい、あなたはそういうものを持っていない、今研究中だというなら正直に言ったらいいと思うんです。
  77. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 各府県の条件がいろいろ違うと思います。山間僻地のものもございますし、島嶼の場合もありますし、それからさっき申しました単級、複式、いろいろと状況が違うと思います。そういう意味で私どもはただいま国会に提案しております学級編成基準を見ていただきますれば、大体おわかりと思いますが、結局小規模学校教員数と児童数との関係にあると思う。ですから小規模学校の場合は、特に単級の場合は二十人とか、普通の複式の場合は三十人程度とか、あるいは二個学年複式の場合は三十五人程度——普通五十人を一学級とする場合でも、特に学級規模を小さくして、学習効果を上げるように従来も指導して参ったのでありまして、その実績に基きまして今度法案提出したわけでございます。
  78. 野原覺

    ○野原委員 これで終りますが、大体法律ができましたから、法律に基いてやむなく幾らかの経費を計上して僻地が改善されつつあるということは、これはお互いに喜ばしいものと思う。思いますけれども僻地に対する文部当局の熱意というものは私は必ずしも十分でないと思う。私は具体的にたくさん尋ねてもいいんですけれども、失礼ですが答弁できないことばかりなんです。私が今まで聞いたことでも、本日は資料も出せないし、御答弁もできないので、従って私はこれ以上お尋ねしませんが、法律は、文部大臣は調査研究資料を整備して、その整備した研究なり資料に基いて具体的な指導をすることを要求しているのです。都道府県並びに市町村に対して文部大臣の責任として法律要求している。そういった具体的な指導に欠くるところが大いにあると私は遺憾ながら考えざるを得ないのです。こういう不熱意に対して、実は僻地の諸君が非常に憤激して、北海道から鹿児島に至るまで代表者の諸君が東京に集まって大会を開かなければならぬ、こういうことになってきいるわけなんです。そのうち資料を出されるでございましょうから、私は出された資料に基いていずれあらためてまた質問をしたいと思います。もっと十分な研究をされるように、そういう怠慢なことでは相ならぬということを申し上げて終ります。     —————————————
  79. 山下榮二

    山下委員長 次に国立競技場法案を議題として審査を進めます。質疑の通告がございますから、これを順次許します。佐藤觀次郎君。
  80. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 極東オリンピックが近く東京で開かれることになっておりますが、この具体的なことを今まで発表がありませんので、とかく世間から文部省はどういうふうにやっているだろうと疑問に思っておりますが、その構想と、どこでどういうふうにやるかというようなことについて、一つ政府当局から御説明を願います。
  81. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 佐藤委員のただいまの御質問でございますが、国立競技場は五月のアジア大会を目指してもう完備に近づいておりますが、ただこの運用につきまして、やり方についていろいろ議論のあるところかと思いますが、できるだけこれを独立採算的にやるべきでないか、こういう御意見もございますが、しかしアマチュアの競技という建前から申しますと、その点についてもいろいろ議論の余地はあるのでございますが、しかしできるだけ自律的にいくことが望ましい、こういうような観点から特殊法人を作りまして、国が国立競技場建設についての今までかかりました費用を支出する、さらにまたそれにつけ足す建設についての費用も今後出て参りましょうから、そういう場合にはさらにあとから追加出資して、そうして特別法人を作ってこれが独立の運営をする、なおもちろん監督等は政府の文部省において監督をする、大体こういう構想に基きましてこの法案を出したのでございますが、なお詳細につきましては担当の政府委員から御説明申し上げます。
  82. 福田繁

    ○福田政府委員 ただいま政務次官からお答えいたしました事柄に、大体主競技場の問題について御説明申し上げたのでございますが、大体第三回のアジ了競技大会の概要を申し上げますと、アジア競技大会と申しますのは御承知のようにアジア競技連盟というのが主催になるわけでございます。主催者としては競技連盟でございます。ところでこの日本の東京におきます開催につきましては政府関係者、それから東京都の関係者、それから競技団体、こういうものをもって組織委員会を構成しております。この組織委員会が中心になって、このアジア競技大会を進めるわけでございますが、現状はいろいろ各種の準備が進んでおります。大体参加国といたしましてはただいまのところ二十カ国の予定でございまして、参加人員も大体日本側の選手を含めまして約千六百人というようなことになって、五月二十四日から六月一日まで九日間あるのでございます。  これにつきましては施設の面と大会の運営のためにいろいろ準備が要るわけでございます。  施設の面につきましてはまず主競技場でありますが、主競技場につきましてはただいま政務次官からお述べになりましたように、これは政府で建設いたしまして、管理運営を政府でやるというような建前で法案の御審議をお願いしているわけでございます。そのほか付属の庭球コート等につきましては、これはやはり政府で作るというようなことで、現に工事を進めております。そのほか東京都としていろいろやることがございまして、施設の整備につきましては、御承知と思いますけれども、室内プールを作る必要があるというので、約六億三千万という予算をもって体育館の裏に室内プールを建設中でございます。そのほかトラックだとかあるいは蹴球場の整備だとか、あるいはバレー・ボールのコートの整備だとか、あるいはまた射撃場の整備だとか、講道館を使ってやります柔道だとか、そういった各種の競技を行います施設が、それぞれ競技団体、あるいは主要なものにつきましては東京都が中心になって整備を進めております。そういった状況でございまして、それぞれの施設の整備も大体現状では予想通り進捗いたしております。  それから競技大会の運営でございますが、ただいま申し上げましたような規模でもって行われる予定になっておりますが、これにつきましては大体三億三千万余りの予算をもってこれを運営していく、そのために政府といたしましても三十三年度予算に六千万円の補助金を計上している、こういうようなことになっております。概要でございますが、以上補足いたします。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いずれあとで大臣が来られてから詳しい説明を聞きたいと思いますが、文部省は体育局を作ることになっておるのですが、アマチュアのスポーツについては御承知のようにオリンピック——アジア、オリンピックをこしらえることもそうでありますが、どうも不徹底な点があります。あした参考人に野球の問題を聞くことになっておりますが、一体学生のスポーツをどのように考えておるのか。特に極東では何といっても日本がスポーツでは一流の国でありますから、外国との問題になると将来いろいろな問題が起きるけれども、しかしアマチュア・スポーツをぜにもうけの具にしたり、それからそれがためにいろいろと問題の起きないようにしなければならないと思っておりますが、一体文部省はそんな腹があるのかどうか。特に文部省が体育局を作って今後やっていこうというときに、どうも何か腰が弱い。当然大蔵省要求すべき経費の問題でも、何か経費が足らぬというようなことを言っておりますけれども、一体アジア競技大会のようなアマチュアのスポーツに対してどんな確信を持っておられるのか、その点について臼井政務次官並びに福田局長にお尋ねしたいのですが、そういうようなことについて、どうも私たちから考えてみると、何か非常に浮き腰になっておる、こういうように考えられるのですが、一体確信があるのかどうか、あるいは損害が出たらどうなるのか。御承知のようにこの前のオリンピックに行ったときには、競輪の方の金をもらって行ったというような問題もございまして、とかく世間からスポーツに対していろんな疑惑が持たれておりますが、この点についてどういう確信があるのか。今度せっかく競技場ができるわけですが、国民が心配しないでアマチュア・スポーツを見ることができるかということについての、確信ある考え方を承わりたいと思います。
  84. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 アマチュア・スポーツとの関係でございますが、もとよりスポーツの本来の建前はアマチュア・スポーツというものを根本として考えていかなければならないのでありまして、ことに政府といたしましてはアマチュア・スポーツをどういうふうにして発展させていくか、ここに基本がなければならないと考えております。従ってもちろん予算等につきましても、そういう方面に十分考慮もいたしておりまするし、従ってあまりプロ・スポーツの方からの援助によってアマチュア・スポーツの方の育成をはかるというようなことは望ましいことではございませんで、今回のアジア大会におきましても、ただいま仰せのような競輪等の収益の援助を受ける、こういうようなことはいたしませんで、なるべくそういうことは避ける、こういうふうにいたしております。なおスポーツ界におきましてもアマチュア・スポーツとプロ・スポーツとの規定が非常に厳重に区別されておりまして、従ってアマチュア・スポーツ界のものがプロ・スポーツの方と規定に反して関係した場合においては厳重な処分を受けるというようなことになっておりますのも、やはり同様の趣旨からではないか、かように考えております。ただしかしスポーツという意味を広く解釈すれば、やはり娯楽という面もたくさんあるのであります。従って一般社会の人がスポーツによって楽しむということになりますと、プロ・スポーツというものの意義もそこにあるわけでございまして、なおまたこのプロ・スポーツによって国民全体のスポーツに対する興味、さらにこれに対してのスポーツを振興しようという熱意というものが刺激され、醸成されるという利点は非常にあるのでございます。そういう意味においては、プロ・スポーツだからといって、一がいにこれを排斥するというようなことはやるべきでなくて、やはりそこに大きなプロ・スポーツとしての使命というものはある、かように考えておりますが、ただしかし文部省としては、先ほど申し上げたように、アマチュア・スポーツというものを基本に考えて、そうしてこれの振興をはかっていく、かように考えております。今回体育局ができました趣旨も、重点はもとよりそこにあるのでありまして、この点だけを一応申し上げます。
  85. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうなれば、福田局長にお尋ねするのですが、今度の五月に行われますアジア大会の経費をどういうふうに考えておられるのか。大蔵省にどのくらい要求されて、どういう方法で採算をとられるのか、ここで一つ説明を願いたいと思います。
  86. 福田繁

    ○福田政府委員 ただいまの御質問はアジア大会の経費の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、施設を除きまして、アジア大会を開催いたしますに必要な経費といたしましては、大体三億三千八百三十五万ばかりの経費が要るということに見積られております。その中で、いろいろ経費がかかるのでありますが、その三億三千八百万ばかりの経費につきまして、もとより入場料収入のみをもってこれを期待することはできませんので——入場料収入で大体見積られておりますのは、一億三千二百五十七万というような数字が見積られております。その入場料収入のみでは足りませんので、これは従来そういう大会でも例になっております選手団の負担金だとか、あるいはまた広告料の収入だとか、あるいはプログラムの売り代、そういう若干の経費を計上いたしましても、なお足りないのでございます。従って、これはやはり相当国家が援助して大会を開催しなければできないというような見地からいたしまして、この国家から出します補助金といたしましては、ただいま申し上げましたように六千万円を計上いたしました。同時に、東京都もこの開催につきましては非常に熱意を持って当っておりますので、大体政府と同額東京都で負担をするというような関係から、東京都の補助金が大体六千万円見込まれております。従って、大部分を両方の補助金と入場料収入でまかなっていく、こういうような建前で運営する予定になっております。私どもといたしましては、大蔵省要求いたしましたアジア大会の運営費に対する補助といたしましては、六千万円要求いたしまして、要求通りこれは一応確保いたしたのであります。
  87. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 外国選手の宿舎なんかについては、どういう構想を持っておられるのか、またその他経費の問題について伺いたい。
  88. 福田繁

    ○福田政府委員 外国から参ります選手の宿舎の問題でございますが、これにつきましては、当初オリンピック村のようなものを新しく作ってやったらどうかというような計画もございましたが、いろいろ組織委員会の方で検討いたしました結果、なるべく経費を切りつめていくというような趣旨からいたしまして、既存のホテルを借り上げた方が非常に安くいく、また非常に便利だというような点からいたしまして、男子の場合におきましては、ただいまのところ第一ホテルと日本青年館、これを借り上げて充当する。それから女子につきましては、高輪にありますプリンス・ホテルを借り上げまして、これを寄舎に充当する、こういう計画で進めております。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その経営の点でありますが、政府が六千万円、東京都から六千万円、それから入場料が一億三千万円ということで、大体予算が立てられておりますが、これが果して予期の成果を上げない場合にどういう処置をとられるのか。そういうことで、実際行なったあとで足りないことがこれまでにあるようだが、その心配はないのか、こういう点について文部当局はどのように考えられるのか。われわれが安心して極東オリンピックを迎えることのできるような、そういう資料のために、福田局長から御説明願いたいと思います。
  90. 福田繁

    ○福田政府委員 この予算の編成につきましては、これは何回も検討に検討を重ねて、こういう予算になっておる次第でございます。ただいまのところで、この予算でまかない切れないという事柄はないようでございます。従って、私どもといたしましては、この政府の補助金あるいは東京都の補助金、あるいは入場料収入というようなものを合せまして、この範囲内で実施することを希望いたしております。目下のところ、組織委員会ともそういう話し合いでいっております。従って、これは予想しておりませんけれども、もしそういう事態が起きるようなことがあれば、事前によく連絡いたしまして善処したいと考えております。
  91. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 競技場は三月三十一日までにはきちっとうまく完成するか、今の進行状態についての大体のアウト・ラインをお知らせいただきたいと思います。
  92. 福田繁

    ○福田政府委員 主競技場に充てます屋外競技場の方につきましては、関係者の非常な御努力によりまして、工事は非常に順調に進んでおります。従って今月の二十五、六日ごろになれば、大体一応の工事を完了いたしまして、引き渡し得るような状態になっておりますので、今月中にはこれを文部省に引き取ることができるであろうと考えております。その他、先ほど申し上げました各般の施設につきましても、目下昼夜兼行でやっておるような状態でございまして、大体目下の予想では順調に進んでおる、間に合うというふうに考えております。
  93. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 経費の問題で、今の予算範囲内でうまくやられるかどうか。今までの工事がだいぶん工事費が安くなると思うのですが、そういう点について、大体の収支状態はどうなっておるのかお伺いしたいと思います。
  94. 福田繁

    ○福田政府委員 この主競技場の工事につきましては、この経理関係は一切建設省にお願いしてありますので、建設省で主としてやっております。従って、そのときどきの報告を受け、また連絡をして相談をするというようなことをいたしておりますが、ただいまのこの工事の進捗状況に合わせまして支出をされておりますので、大体予定の額を、もちろん上回りませんが、その範囲内で十分工事は実施されておりまして、少しも支障ないように聞いております。
  95. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 なお収容人員は七万と聞いておりましたが、大体予定通り七万ぐらいの人が収容できるかどうか、そのことをついでに説明してもらいたい。
  96. 福田繁

    ○福田政府委員 一応の収容人員は七万と予定しておりますが、これは御承知でもございましょうが、一応標準規格に合わした寸法によって席をとっておりますので、割合にゆとりのある寸法だと考えております。従って詰め込めばもう少し入る。あるいはまた立席を相当考えますともう五、六千、万くらいは優に入るのではないか、こういうふうに考えておりますので、定員は七万というように一応考えておりますけれども、多少その辺に余裕があるようでございます。
  97. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大臣がお見えになりましたから、二、三の点についてお伺いしたいと思います。実はこの次の次の国際オリンピックを日本に誘致しようという運動がございます。近く国会でも決議されると思うのでありますが、文部省は体育局を作って、アマチュア・スポーツに熱を入れるといいますけれども、この次の次のオリンピックを誘致するためにどんな方法をとられておるのか、だれを代表に出して実際に腹をこしらえてやられるのか、その点を文部大臣からお伺いしたいと思います。
  98. 松永東

    松永国務大臣 御指摘になりました点につきましては、この五月にIOCのアジア大会が開かれますので、そのときに関係者が寄ってみっちり協議をして万全を期したいというように考えております。今準備委員会でやってはおるのでありますけれども、しかし正確なことはあと二カ月過ぎた五月にみんなが集まりますから、そのときに万全を期して今度こそは招致したいというように考えております。
  99. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大臣としては日本へ必ず来るという確信を持っておられるのかどうか、この点を一つ重要だからお聞きしたいと思います。
  100. 松永東

    松永国務大臣 来年のことを言うと鬼が笑うといいます。数年先のことは何が笑うか知りませんが、しかし私は第十二回国際オリンピック招致運動を責任者としてやった体験を持つわけであります。あのときには私は東京市会議長をいたしておりましたが、あのときの空気も、運動する初めは東京に招致することができるかどうかということは非常に疑問としておったのですが、しかし猛烈な運動の結果は、御承知のように軍部がじゃましてとうとうしまいにはこれはできなくなりましたけれども、招致することにきまったことは御承知通りであります。今度は世界各国でもとにかくやはりアジア開催をやるのが至当だろう、国際オリンピックはひとりアメリカとヨーロッパの専有物じゃないのだという声が非常に盛んなのでございます。やはりアジアの一番先達者であるところの日本に持っていくことが当然じゃないかというふうな空気が随所に現われておるようでございます。私はこの次には必ずや招致することができるというふうに思っておる次第でございます。
  101. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちょうど数年前に川崎君が厚生大臣をやっておるときに、厚生省に体育局を持っていこうという大きな運動をされておりながらできなかったことがありますが、われわれは当時文教委員会におりまして非常に遺憾に思いました。しかし今度は幸い松永文部大臣大臣になられまして、体育局が文部省にできることになって非常に喜んでおるわけでありますが、学生スポーツという問題についてはとかく世上問題があります。特に野球選手の引き抜きの問題あるいは入学試験にからんでいろいろの問題がありますが、こういうものについて松永文部大臣はどういう構想を持っておられるのか。特に体育局ができ、体育行政が全部文部省に持ってこられることになりますと、学生アマチュア・スポーツ、職業野球の問題あるいは水泳の問題等々いろいろありますが、一体どういうような方針で体育局を作られて、日本のいわゆる学生スポーツまた一般のアマチュア・スポーツに対してどういう方法をとられるのか。これは文部大臣が特に今度体育局を作られる関係上責任もあり、確信もあると思いますので、その点だけ御意見を承わりたい。
  102. 松永東

    松永国務大臣 これは特に学生ばかりでなく、社会的にスポーツを奨励したいというふうに私は考えておるのです。しかし特に学生は御承知通り一番発育のまっ盛りですから、この時期にこそ徳育あるいは知育と並行をして体育はまさに奨励しなければならぬ。幾ら健全な思想を持っておりましても、幾ら優秀な頭脳を持っておりましても、そのからだが病的であっては何の役にも立ちません。そこで何としても一つ健全なからだをまず作らなければならぬ、体育を奨励しなければならぬということを常々念願いたしております。しかしながらこれはそれぞれの学校においてやはりそうした空気が盛り上ってきております。今日ではどこの学校でも、小学校中学校、高等学校、大学、みんなそうしたスポーツ熱にたぎっておるというふうに考えております。従ってこうした空気をますます助長して、そうしてりっぱなからだを作るように精進したいというふうに考えております。さらに進んでは国民全体がそうした体育に関心を持つように、さらにまた国民全体が老若男女を問わず、都鄙を問わず、こうした体育に精進するようにやりたいということを念願いたしまして、実は国民体育デーというものをこさえたらどうかというので、この間から問題にして今研究を進めておるような次第であります。
  103. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 文部大臣一つ伺いをするのですが、実は私たちもスポーツが好きで、野球なんかは特に好きでありますが、今大学の入学試験、就職試験、特に就職試験が大へんになっております。ところが野球の選手であるがために相当な金をもらっておる。数千万円といわれ、数百万円といわれておりますが、片方では一万円の月給を取るのに大へんな就職をしなければならぬのに、大学で野球選手をやっておれば何千万円もらえるというようなことは、これは社会上非常によろしくないと思うのです。特に文部省は大学の指導監督をする立場でありますので、こういうような弊害をどのようにお考えになっておるのか。また今後こういうような弊害をどのように指導されていかれるのか。大学を出る人あるいは高等学校を出る選手の問題について、いろいろとかくの批評がある。これはわれわれの学生時代には考えられなかったような事態が職業野球を中心としていろいろ現われております。明日参考人からいろいろ承わるつもりでおりますが、こういう点について文部大臣はどういうような考えで今後こういうような問題を処理されるのか。こういうことについてお伺いをしたいと思います。
  104. 松永東

    松永国務大臣 御指摘になりました点は私も新聞紙上でそうしたことのあることを見ておるだけなんです。お話の通り、非常に困ったことだ、苦々しいことだと考えております。そうした契約ができたとか、あるいは何千万円で売り買いができたとかというようなことを聞いております。ただしかしそれを文部省として停止するというような権限は何も持ちませんので、困ったことだと思うばかりで、どうにも手がありません。しかしこれは先日来関係者といろいろ——関係者と申しますのは文部省内の関係各局課と相談しまして、何とかこれは手が打てぬか、警告を発するとかなんとかというような、法律上のそうしたことの禁止ができぬとしても、何らかの方法はないものかということを相談をこらしておるところなんであります。御説の通り、こういうことは特に学生として生活しているアマチュアが、そうした方面に売り買いされる——売り買いという言葉を使っていいかどうかわかりませんが、これは非常に困ったことだ、好ましからざることだ、何とかこれは禁止せぬければならぬというふうに考えております。
  105. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まあ近くはアジア大会もあり、また今言われるように国際オリンピックも日本にくるような状態にもありますが、特に体育局を文部省に今度作られまして——これは四月から組織法でできますが、ただ体育局だけを作るのではなくて、やはり体育局長にその人を得ないと、今後のスポーツ運営がうまくいかないと思う。松永文部大臣は人柄のいい人でありまして、議長もやられたし、文部大臣としてはアマチュアでありましてもなかなか好評があるわけなんです。どうか文部省が体育局を作ってやる以上は、非難のないようにその人を得て、将来の日本のスポーツ運営を十分に文部省の中で、一般の人が不満を持たぬように公平な運営をやって、将来あらしめることを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  106. 木下哲

    ○木下委員 佐藤委員からの御質問の関連質問ということで通告を申し上げてありましたが、いずれあしたあたりの参考人の出席の上で詳しいことは承わることにいたしまして、一切略します。  一点だけ大臣伺いますが、先ほど次官からプロとアマチュアということについていろいろ御意見がありましたが、私の聞き方がまずいのか、一体どういうふうにおっしゃっておるのかつかむところがなかったといいますか、私の方の国の言葉でいえば、何を言っているのかわからなかったというふうに感じたのであります。この際、大臣に一点だけ明瞭に、お願いしたいこととお気持を承わりたいことは、例をプロ野球にとりますと、これは一つの企業でありますから、いろんなことに金を使う、これはいたし方ないと思います。たとえば国鉄のチームから金田を引いた場合にはゼロになる、従って金田に月給を五十万、百万出すこと、これはいたし方ないと思いますが、この際体育局もできるときではあるし、私もスポーツの中に関係ある者として言う意見で、あるいはいろいろ議論もあるとは思いますが、率直に申しますと、学問の方に天才教育とかいろんな進むべき道がある、予算的にもいろいろ措置をされておる、この場合に、また天才ということの定義、限度にもいろいろありましょうが、スポーツの天才、アマチュアとしてのスポーツがどれだけ国のためになるか、まあ戦争に負けた日本を再建するのにこれこれというような意味合いからいいましても、ぜひこの時期に、スポーツの天才という者がますますその道に伸びることを一つ考え願いたい、とお願いを申し上げると同時に、私のこの意見に対して率直な意見を承わりたいのであります。この一点だけ伺います。
  107. 松永東

    松永国務大臣 スポーツ面におけるアマチュアの天才を発挿させるということにはしごく同感であります。そうした天才を発揮してこそみんながスポーツに趣味を持っていく、邁進していくということにおいて、私はどうしてもそうした天才を伸ばしていきたいというふうに考えております。ただしかしプロの方ではまあ月給が五十万円とかなんとか、莫大もない、夢想もできないような月給でかかえられておるとか動かされておるとか、それは御説の通りいろいろな企業団体の宣伝にもなることでありましょうし、ああしたことをやっておりますが、しかしそれは今どうにも手が出ないところです。相当な給料を出さぬければならぬのは、これはもう無理もないことですけれども、やはりおのずから限界があるのじゃないか。あまり過当な給料や過当な身代金といいますか、何かそういうものを出して刺激するということは、私は喜ばしくない、好ましくないことだというふうに考えております。これはいま少し大いに研究してみたいと思います。
  108. 木下哲

    ○木下委員 大臣のしごく同感だ、研究するというお話でわかったようでもございますが、今具体的にどういう案かお示しを願いたいとはわれわれは決して申し上げませんけれども、先ほどから申し上げましたように、スポーツのアマチュア人としての天才が伸びていく道というものについて、ぜひともいろいろな御措置をお願いしたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  109. 山下榮二

    山下委員長 野原君。
  110. 野原覺

    ○野原委員 佐藤委員の質問に対して、大臣から国際オリンピックの東京招致についての確信のあるお話があったわけです。ところが私の考えるところによると、これはなかなか簡単に東京にはこないと思います。従ってこの次の次の国際オリンピック大会を東京へ招致するには、やはり責任省である文部省が東京に呼ぶだけの具体的な計画をすみやかに立てなくちゃいかぬと思うのです。立てておられるとは思いますけれども、あれだけの確信のあるお話ですから、何か持っていらっしゃると思うのですが、ございませんか。
  111. 松永東

    松永国務大臣 大体の空気は招致できるというふうに考えておりますけれども、御説の通りこれはこのまま放置しておいてもこっちにくるものではありません。ですからこれは懸命の努力をしなければなりません。その懸命の努力は、要するにもちろん文部省が中心となっていろいろお願いせぬければならぬのでございますが、あるいは皆さんにもお骨折りを願って、招致運動をやりまして、実現するための努力一つやらぬければならぬというふうに考えております。仰せの通りこのままほおっておいてきようとは夢にも考えておりません。努力の結果こちらに招致することができるというふうな見通しは持っております。
  112. 野原覺

    ○野原委員 今度、大臣も御承知かと思うのでありますが、列国議会同盟の一九六〇年、再来年の会議が東京で開かれることにほぼ決定なんです。これは衆参両院の議長が中心になって、非常な努力をされた結果なんです。で、私どももほんとうを言って東京にもいいかげんオリンピックがきてもいいと思うのです。日本の国際オリンピックに対する選手の派遣、その他今日まで異常な熱意を示してきたことから考えても、実は東京にこの次の次にくるということはおそいくらいなんですね。しかしほうっておいたら私はこないと思う。これは日本だけでなしに、各国が国際オリンピックというものを引っぱろうとしておりますから、具体的にやはり各国に対し、日本でオリンピックを開かねばいかぬじゃないか、こういう呼びかけをする必要があると思うが、最近においてそういうことをやられておるかどうか、いかがです。
  113. 福田繁

    ○福田政府委員 オリンピック招致について、各国に連絡をして大いに運動したかというお尋ねのようでございますが、このことにつきましては、すでに東京都が中心になりまして、ローマ大会の際のオリンピックを東京で開きたいという、かなり具体的な計画をこしらえまして、国際的に呼びかけて参ったのであります。この点は御承知のことと思いますが、それに合せまして、日本側にありますところのIOCの委員が——例年それぞれの国で会合を開かれておりますが、そのIOCの総会の機会に、日本側から機会あるごとに各国の委員を説きまして、日本にオリンピックがくるようにというようなことをやっておるわけであります。それに対しましては、事柄はIOCの総会でありますけれども、政府側といたしましても、一応その総会に対しまして、日本側の委員が出る場合におきましては、極力そういう運動を援助していくというような建前で、各国の委員が納得いたしませんとこれはできませんので、各国に対して極力そういう努力はいたしております。
  114. 野原覺

    ○野原委員 その程度のことは私も知っておるのです。ただ私が遺憾に思うのは、東京は確かにやっております。安井さんがやっておった。日本の体育協会も、IOCに行って発言もして動いておるようです。ところがやはり東京に招致するには、いろいろ組織的にやっていくための準備委員会というようなものを、政府と東京都と体育協会、こういうもので作って計画的にやらないと、これはとてもだめじゃないかと思うが、そういうものは考えておられるかどうか、お聞きしたい。
  115. 福田繁

    ○福田政府委員 御承知のことと存じますが、先般、野原先生のおっしゃるようなそういった準備委員会ができまして、これは政府関係、体育協会関係、東京都関係、国会議員の方々にもお入りいただきまして、会長には総理を仰いでおります。この準備委員会の中で、各種の部会あるいは専門委員会に分れて、各般のことを検討しながら、それによって早急にある程度の結論を出して、近く東京で開かれますところのI0Cの会合の際、極力政府としても東京招致に万全の策を立てて働きかけたい、こういうような意味で、現にいろいろな準備が進められておるような次第でございます。
  116. 野原覺

    ○野原委員 一つ本腰を入れてやってもらいたいということを要望しておきます。  そこでもう一点お尋ねしたいのは今からもう三十年も昔になりますが、私ども中学校時代の体育大会というものは、ある一定の学業成績、及第点をとっていない者は、試合に出場することが禁止されていた。文部大臣が健全なスポーツということを言われましたが、私立の大学においては、特にスポーツに天才的なものを持っておる者について——これはそういう学校はないと思いますけれども、よく世間ではそういう特典といいますか、学業というものを同等に見ないで、スポーツにすぐれた天分を持っておるからということを理由に、その学校に入学を認めるということが流布されておるのですが、その辺のところを文部大臣にお聞きしたい。
  117. 松永東

    松永国務大臣 御説のようなことを私も聞いております。しかし幸いにして今では、今仰せになりましたような点を、各私立大学あたりでも考慮しまして、学業のできない者をスポーツが優秀だからといってどんどん入れるというようなことはやっておらぬようであります。従ってやはり試験制度あたりも、厳格にやっているということを各学校で聞きまして、非常に喜んでおるような次第でございます。しかし十年ばかり前までは、お説のようなことがあって、困ったものだと思っておりましたけれども、今日では非常にその点では粛正されて参っておるということを聞いて、喜んでおるような次第であります。
  118. 野原覺

    ○野原委員 特殊な選手になろうかと思いますけれども、たとえば六大学の野球リーグというものがある。その特にもてはやされた、それからスポーツにおいてはすぐれた天分を持っておる選手が、年間を通じてその大学の学業に出席した時間数はきわめてわずかだ、こういうこともよく聞くのです。やはり学生のスポーツである限り、学業をおろそかにしたスポーツでは、これは健全なスポーツとは言えないと思う。こういう方面の指導を、今度新設される体育局等においては考えるでありましょうけれども文部大臣として一体どうお考えになるか。健全なスポーツといわれる限りは、ほんとうに学業を捨ててしまって、そのスポーツにだけ学生がうき身をやつすのは不健全じゃないかと思う。学生スポーツである限り、プロだ、アマだということをよく問題にしますけれども、私が問題にする場合に、プロというのは職業的、つまり金で売買されるということを、この前の予算の分科会でも、小川半次君が文相代理唐澤さんに質問しておりましたが、これは私は単に金銭による売買だけじゃないと思う。やはり健全な学生スポーツという限りは、ある程度学生の本分である学業をおろそかにしてはいかぬ、こういうようなところから、昔は出席日数が何日、それから学業成績が何点、たとえば六十点、それ以下の者はその試合に出場することを認めないというような具体的なやり方で、学生がスポーツにのみこり固まって、学業をおろそかにするようなことがないように考えておった。このことは、スポーツだけから見れば問題があるかもしれませんけれども、私は学生スポーツという点から見れば、やはり考えていかなければならぬのじゃないか、大学の権威の上からも、考えていかなければならぬのじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えですか。
  119. 松永東

    松永国務大臣 その点に関する限りは、野原委員のお説と私は同様の意見を持っております。従って今後もそうした趣旨に基いて、各私立大学にも一つ協力をしてもらおうと思っております。しかし幸いにして先ほども申し上げる通り、十年ばかり前とは大へん違いまして、やはりお説のような趣旨に従って各私立学校のスポーツを奨励しておるというふうに聞いております。
  120. 野原覺

    ○野原委員 あと一点は、国立競技場法案のことですが、付則を見ますと、四月一日から実施するということになっておりますが、このことはアジア競技大会と関係があるのですが、お尋ねします。
  121. 福田繁

    ○福田政府委員 法律の施行期日の問題でございますが、アジア競技大会を開催いたしますためには、諸般の準備が要るのでございまして、この法人も四月一日から出発して、従って予定しておりますところの資本金の出資とか各般の準備をいたしまして、そうして五月のアジア大会の運営に支障のないようにしたい、こういう意味で四月一日を期日としておるのであります。
  122. 野原覺

    ○野原委員 四月一日にこの法案が成立しないといろいろ問題があります。私は時間がありませんから、私ども各条文を検討してみていろいろの意見を持っておるのですが、申し上げませんが、四月一日にどうしても成立が困難だ、あるいは三月二十五日ごろにしか参議院を通らない、こういうことになると、アジア競技大会に支障がございますか、もし成立できない場合には、アジア競技大会はどういう運営でなさるか、お尋ねしておきたい。
  123. 福田繁

    ○福田政府委員 お尋ねのように、三月二十五日ごろまでに法案が成立いたしますれば、支障はないと存じますが、私ども予測いたしておりませんが、不幸にしてそういう事態に至りました場合には、なおよく研究したいと思っております。
  124. 野原覺

    ○野原委員 これをもって終ります。     —————————————
  125. 山下榮二

    山下委員長 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、審査を進めます。質疑の通告がございますから、これを許します。高村坂彦君
  126. 高村坂彦

    ○高村委員 実は私は国立競技場の問題につきましてもいろいろお尋ねをしたいと思いましたが、時間がだいぶ過ぎておりますから、国立学校設置法の一部を改正する法律案について、若干のお尋ねをいたしたいと思います。  今回の国立学校設置法の一部を改正する目的は、科学技術教育振興ということが主となっておるようでありますが、科学技術教育振興ということについて、これだけの学校の設置なり、あるいは学科の増設なり、あるいは研究所の増設といったようなことで、大体満足しておるのだ、こういうお考えでございますか、あるいはなおこういうこともやりたかったけれども、他日を期するのだというような問題もおありだったかどうか、その点をまずお尋ねいたしたいと思います。
  127. 松永東

    松永国務大臣 御指摘になりました点について、実を申し上げますと、三十三年度予算でわれわれがその科学技術教育振興の面について入手いたしました予算では、きわめて不満足で、これでは足りない。これは質の面からいっても、量の面からいっても、まだたくさんの予算をちょうだいしてやらなければならぬ問題がたくさんありますけれども、しかし一度にはなかなかそういきませんので、このくらいな程度の予算で三十三年度一つ進めてみたい、そしてさらに三十四年、五年と漸進的にやっていきたいというふうに考えております。
  128. 緒方信一

    ○緒方政府委員 大臣の御説明に若干補足を申し上げますが、この国立学校設置法に規定いたします事項は、学部の設置あるいは短期大学の設置、それから研究所の設置というような事項でございまして、なおこのほかにも、このたびの予算で実現いたしたい点は多々ございます。たとえば学部の中の学科の増設、それは十五学科を科学技術関係で増設いたしたいのでありますが、そのほか学部に付設いたします研究施設も相当数新設をはかっております。あるいは付置研究所にいたしましても、内容の整備等をはかりたいと思いますが、この改正法に掲げましたのは、法律事項になっております部分だけをここに出しておる、かようなわけであります。
  129. 高村坂彦

    ○高村委員 科学技術教育振興ということが、科学技術振興の一環として重視されてきたわけでありますが、来年度予算を見ますと、教育関係予算に比して一般の科学技術振興予算が非常に多いように思うのです。ところが科学技術などというものは、そう一朝一夕に振興できるものじゃないのであって、やはり基礎から積み上げていかなければならない。そういう意味におきましては、私どもはひとり大学だけでなしに、小中学校、高等学校、そういうものの基礎的な方面からそういうところに意を用いてやっていかなければなりませんし、ことに一般の科学技術の振興を期する上におきましては、まず日本の今日の段階においては教育という基本的な問題に重点を置くべきだ、かように私ども考えておるわけであります。そういう点についてことしの予算の振り分けを見ますと、科学技術教育振興という面においてやや押され気味になっておるという感じがいたしますが、大臣はどういうふうにお考えでございますか。御所見伺いたいと思います。
  130. 松永東

    松永国務大臣 それはお説の通り、私どもはもう少し予算をほしかったのですが、しかし大体与えられた、すなわちこの間衆議院を通過しましたその予算範囲内で三十三年度の科学技術教育振興はやっていけるのじゃないか。それと申しますのは、量においても大体千七百人学生を増加することができますし、さらにまた中学校、高等学校の課程においても、科学技術のやはり教育を浸透させることができると思います。従って逐次いわゆる経済五カ年計画の最終の三十七年度までのうちには、その計画の線に沿うて、必要な中堅技術者を作り出すことができるというふうに考えておる次第であります。
  131. 高村坂彦

    ○高村委員 だいぶん時間が過ぎておりますからこれで終りますが、私は大臣の御苦心はわかりますけれども、やはり科学技術の振興ということについては、なるほど当面いろいろ派手なこともやらなければならぬ面もあろうと思いますけれども、やはり教育の面でその基盤を作っていくということが最も大事だと思っております。そういう意味におきまして、この国立学校の設置法の一部を改正して、国立学校の面において相当の伸展が見られますけれども、さらに小中学校、高等学校また国立学校研究費等についても、私はことしの予算全体を見まして決して満足と思いません。どうか今後一段の御努力を切にお願い申し上げまして、なお法案の内容等につきましては質問を留保いたしまして、本日の質疑を終りたいと存じます。
  132. 山下榮二

    山下委員長 それでは本日はこの程度といたしまして、委員会散会後理事会を開きます。なお、明日は午前十時より参考人の出席を求め、国立競技場法案に関し、意見を聴取いたすことになっております。  本日はこれをもって散会いたします。     午後零時五十六分散会