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1958-04-12 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十二日(土曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 川村善八郎君 理事 原  捨思君       石坂  繁君    亀山 孝一君       久野 忠治君    小枝 一雄君       小島 徹三君    佐々木秀世君       椎名悦三郎君    綱島 正興君       南條 徳男君    丹羽 兵助君       濱地 文平君    星島 二郎君       堀川 恭平君    松田 鐵藏君       村上  勇君    山本 利壽君       稲富 稜人君    川俣 清音君  出席国務大臣         農林大臣臨時代         理         国 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (農林経済局企         業市場課長)  鈴木 一美君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月十一日  委員安藤覺君及び永山忠則辞任につき、その  補欠として高瀬傳君及び井出一太郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員井出一太郎君及び高瀬傳辞任につき、そ  の補欠として永山忠則君及び安藤覺君が議長の  指名委員に選任された。 同月十二日  委員安藤覺君、五十嵐吉藏君、大石武一君、大  野市郎君、草野一郎平君、椎名隆君、田口長治  郎君、中馬辰猪君、永山忠則君、松浦東介君、  村松久義君及び中村高一君辞任につき、その補  欠として亀山孝一君、星島二郎君、堀川恭平君、  佐々木秀世君、山本利壽君、濱地文平君、村上  勇君、南條徳男君、椎名悦三郎君、久野忠治君、  小島徹三君及び川俣清音君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員亀山孝一君、久野忠治君、小島徹三君、佐  々木秀世君、椎名悦三郎君、南條徳男君、濱地  文平君、星島二郎君、堀川恭平君、村上勇君及  び山本利壽委員辞任につき、その補欠として  安藤覺君、松浦東介君、村松久義者大野市郎  君、永山忠則君、中馬辰猪君、椎名隆君、五十  嵐吉藏君、大石武一君、田口長治郎君及び草野  一郎平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十一日  中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三七号)(参議院送付) 同日  地方卸売市場法制定に関する請願加藤精三君  紹介)(第二九二八号)  同外七件(川村善八郎紹介)(第二九二九  号)  同(木下哲紹介)(第二九三〇号)  同(黒金泰美紹介)(第二九三一号)  同(芳賀貢紹介)(第二九三二号)  同(林唯義紹介)(第二九三三号)  同(平塚常次郎紹介)(第二九三四号)  同外一件(山崎巖紹介)(第二九三五号)  同(八木一郎紹介)(第二九三六号)  同(町村金五君紹介)(第三〇二六号)  同(内田常雄紹介)(第三〇六六号)  同(原捨思君紹介)(第三〇六七号)  同(町村金五君紹介)(第三〇六八号)  農地改革による旧地主に対する補償反対に関す  る請願猪俣浩三紹介)(第二九三七号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第三〇〇六号)  同外二十件(三宅正一紹介)(第三〇〇七  号)  蚕糸業危機突破対策強化に関する請願石坂  繁君紹介)(第二九三八号)  同(田中彰治紹介)(第二九三九号)  日ソ漁業交渉早期妥結に関する請願田中彰  治君紹介)(第二九四〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。稲富稜人君
  3. 稲富稜人

    稲富委員 改正案内容についてお尋ねする前に、基本的なものについてお尋ねしたいと思うのでありますが、現行中央卸売市場法は大正十二年の制定であることは御承知の通りであります。その後何回か法の改正を見ておりますが、果して今回の法の改正等を見まして、その後すでに三十年を経過した今日、いろいろな市場の性格その他も、あるいは世の中事情等相当に変っておると思うのでありますが、今回の改正等を含めまして、この法律が万全を期せるものであるかどうか、あるいは将来さらにこれを改正しなくてはいけないというような必要に迫られておるのか、こういう問題を基本的な問題としてまずお尋ねいたしまして、さらに御答弁によりまして質問を進めていきたいと思いますから、その点のお考えを承わりたいと思います。
  4. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいま御指摘の点でありますが、戦前から戦後にわたりまして日本の農業が非常に発展をいたしております。と同時に人口も非常に増加しております。また食生活の内容も変っておるのであります。従いまして中央卸売市場に出されまする農産物生産状況種類等いろいろ変ってきておるのであります。それに応じて随時中央卸売市場法改正してきておりますが、最近の問題といたしましては野菜果物等生鮮食料農産物、それから魚類等生鮮食料水産物、また肉等生産も非常にふえてきておりますので、それぞれの品物に相応する取引改善をはかっていかなければならないのであります。そういう際に現在の卸売市場法で十分であるかということであります。  まず第一に問題になりますのは、人口増加に相応して市場整備ができておるかどうか、人口増加のみならず、従来は市場に出されまする場合に、大八車等が主であったが、オート三輪、トラック、そういうものでどんどん荷が運ばれ、それに相応する市場施設整備ができておるか、こういう問題が第一点。第二点は、そういうふうに量がふえ、質が変っておるのに相応して、その中で取引をする卸売人なり仲買、小売流通担当者としての実態が、発展する取引に応ずるようになっているかどうか、こういう問題であります。またもう一つは、水産物のように加工あるいは冷凍というものが非常に進歩して、相当程度まで平均売りが可能になっている。そういう場合になま野菜等貯蔵のきかないものの取引と同じような取引形態がいいのかどうか、こういうことが問題として包蔵されておるのであります。そういう問題につきましては、たとえば施設整備をするにつきましても、今度の法律には間に合いませんでしたが、この法律提出するにつきまして、現在の市場拡張計画を出していただきましたものがお手元資料の中にございますが、約六十億以上の資金が必要である。この市場は、現在は十五都市にしかありませんが、ほかの都市でもこれと同様な施設をしなければならないところは非常に多いのであります。中央卸売市場法適用することのできる都市人口十五万以上の都市という内規を作っておるのであります。これらの都市ではそういう市場整備をやりたい。こういう意向が相当強いのであります。それを考えますると数百億の施設費が要るのであります。それらは五カ年計画なら五カ年計画をもって完成する必要があろうと思います。それから取引内容につきましても、生鮮農産物生鮮水産物との間に、取引の態様を変えることに応ずる法律規定を必要とする、こういう問題がありますので、これらはさらにもう少しひまをかけて実態調査いたしまして、その上で法律の根本的な改正をいたしたい。参議院の審議の過程におきましてもそういう問題が出てきまして、次の国会に中央卸売市場調査のための機関を法定して身を入れてやれ、こういうふうな附帯決議をいただいております。まさにその通りでありまして、少し時間をかけまして根本的な改正をはからなければならない。そこでさしあたり当面の急務でありますこの法案は三点を取り上げておる、こういうのが実情なのであります。
  5. 稲富稜人

    稲富委員 現在中央卸売市場開設する資格のあるいわゆる人口十五万以上の都市というのは、今日五十三都市ばかりあると思うのであります。そうしますとこれを開設しておるのは十五であり、さらに将来開設しようとして目前に迫られておる都市が何都市かあるわけであります。そうするとたくさんの都市開設されていないというのは、今答弁のありましたように、開設する意思はあるけれども、経済的ないろいろな抑制を受けて開設されていないのか、それともどういうような理由でその運びに至っていないのか、この点的確な理由がありましたら承わりたいと思います。
  6. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お手元に配付しておる資料の五十ページをちょっとごらん願いたいと思います。「全国における青果物及び水産物卸売市場調」という表がございます。これでごらん願いますと、中央卸売市場法に基く市場が、市場数としては十五本場でそれに分場が十六ありまして施設としては三十一ある。その場所は東京神奈川愛知京都大阪兵庫、広島、高知、福岡長崎鹿児島、こういうふうになっております。  最近開設したいというので準備を進めておりますのは北海道の札幌、和歌山福岡県の小倉、宮城県の仙台、こういうのが今準備を進めて施設建設中であります。  さらにその次の下の欄をごらん願いますと、中央卸売市場法適用を受けない地方卸売市場の数が出ております。総数で市場数が、これは小さい都市の分も含んでおりますが、これは青果物で千百九十一、水産物で千三百三十四、こういうことになっております。この規制のために県が条例を作っておるのが北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島、茨城、千葉、神奈川、福井、静岡、愛知兵庫和歌山、中国の全県、四国は徳島、愛媛、福岡長崎、熊本、大分、鹿児島であります。この中でこれはいわゆる旧来の野菜市場、魚市場に類するものであります。これをさらに中央卸売市場法に基く市場としてやるためには、施設をもっと完備しなければいかぬ。そのためには先ほど申しましたように相当施設費が要る。これは公共団体開設いたしますから、起債認可をしなければいかぬ。あるいは補助金を必要とする、こういうのでありまして、現在一方では府県当局農家経営の安定のために畑作改善等に努力をいたしますと、どうしても市場整備をはからなければいかぬということです。中央卸売市場一般卸売市場規制についての施策を強力に進めてくれ、こういう要求が出ておるのであります。
  7. 稲富稜人

    稲富委員 今の御答弁によりますと、従来人口十五万以上のところはできるだけ早く中央卸売市場開設をやるような指導を、政府としては立てていくという方針を立てておる、こういうことでありますか。
  8. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その通りでございます。
  9. 稲富稜人

    稲富委員 さらにお尋ねしたいと思いますことは、それでは現在の中央卸売市場の問題のほかに、中央卸売市場と同様な業務を行う、いわゆる今も御説明にありましたような地方市場でありますか、類似市場といいますか、そういうものが千百九十一あるというようなことでありましたが、これに対しての対策は将来どういう方向にこれを指導していこうというような具体的な計画があるのでありますか。
  10. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 このいわゆる千百九十一なり千二百三十四の中にはこの表でごらんになりますように、今、きめております人口十五万以上の都市で、中央卸売市場法適用を受けていないものが相当あるわけです。その卸売市場法適用を受けるには、施設を担当完備して、荷を引き受けてそれをきれいに扱って、せりにかけて公な配給ができる、こういうことをやられなければならぬ。それには施設を完備しなければいかぬ。そういうのでありますから、まず起債ワクならワクをとり、あるいは見返り資金低利資金を融通しておりますから、そういう整備のための何らかの助成措置もあわせて考えて、中央卸売市場法適用を受けられるような態勢を整えていかなければならぬ。そのために相当準備が要るということを先ほど申し上げたのであります。しからばそのほかの都市市場はどうするか、この問題は、類似市場一般に言われておりますものは、中央卸売市場の区域の中で、そこへ持っていかないで店を開いているものを類似市場と言っているわけです。また中央卸売市場法適用を受けていないものは地方市場、こういうふうに分類しておりますが、前段の類似市場は、中央卸売市場整備されますれば、手を加えなくてもおのずからそこへ物を持っていく必要がなくなってくる、買いに行く人も中央卸売市場へ行ける、こういうことで問題が片づきます。一般地方市場中央卸売市場法適用するものはいいが、そうでないものを県の指示なら県の指示によって条例あるいは法律を出して取引の安全をはかっていく必要がある。そういうことを私ども考えまして、将来の卸売市場法根本的改正一つの大きな項目というふうに考えております。
  11. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと卸売市場開設になっても、費用の三分の一ですか、この補助金は的確に支出されておりますか。それとも予算にはどのくらい組まれておるのであるか。現在の予算状態では何年くらいかかればそういう方向に持っていけるか。そういう方向に持っていきたいという考えを持っているという御説明でありますが、見通しがつくのでございますか。
  12. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 中央卸売市場開設に対する補助は、必ずしも恒常的についておらないのであります。これはただいまの表の次の次のページ、五十二ページと五十三ページをごらん願いますが、五大都市補助状況は、東京、横浜、京都大阪、神戸と合計して、開設当時五千六百八十五万円の建設費に対して六百十七万五千円の国庫補助政府低利資金が三百六十一万五千円、一般財源繰り入れが百四十五万二千五百円になっております。最近の例は、その次の表でごらん願いますように、三十一年度及び三十年度、三十年度には補助金、三十一年度には余剰農産物見返り資金で融資しておりまして、三十年度の補助金は五千八百七十八万九千円、三十一年度余剰農産物見返り資金は四億一千九百万円、こういうものが出ておるのであります。さらにこれをどう整備するかを次の表でごらん願いますと、人口の増に基きまして、それぞれの都市においてその都市特殊事情において三カ年計画なり五カ年計画を立てております。それによりますと、現在の中央卸売市場法適用を受ける卸売市場改善費が約六十二億要るわけでございます。このほかに先ほど申し上げましたほかの都市で新しく開設したいというのはまだ調査ができておりませんから、それを加えますと、これの何倍かの費用が要ることになります。
  13. 稲富稜人

    稲富委員 結局、先刻からの御答弁にありますように、地方市場中央卸売市場の方に、だんだん開設するように指導していきたい、さらに類似市場法的措置をやって中央卸売市場開設というふうに計画をしていきたいというのがあなたのお考えのようでございますが、そうしますと、やはりこれに対しては単なる法的にそういうことをやるばかりでなくて、それを推進するためには、今申し上げましたように、補助金であるとかそういうものが両々相待って急速にその目的を達成していけるようになってくると思う。そうすることによって生産者の保護が行われていくのじゃないか、今日こういうような経営不振等から生産者が非常に困っておるという事例はたくさんありますので、こういう点に対しては、予算面とにらみ合せていかなくちゃならない。これに対してどのくらいの熱意があるかということが非常に問題だと思います。これは急速にやろうとおっしゃるなら急速にやるだけ予算裏づけはやっていかなければならないし、あるいは補助率等も、補助金で不十分なものは、融資の関係とかそういう具体的な問題とともに進めていかなくちゃならないと思うのですが、これに対しては今申されるように、根本的な法の改正まで持っていって万全を期したいというならば、この予算裏づけに対する具体的な対策がなければならぬと思うのですが、これは両々相待って検討されておるのであるか、そういうふうに持っていこうというどのくらいの熱意があるか、そのくらいは今回の改正法案についてわれわれ知っておきたいと思うのでございますが、これはどうなんでございますか。
  14. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方でもまさに御指摘の点を一番問題にしておるのであります。これは戦時中戦後の食糧不足のときには、米麦重点主義野菜を作るということよりも全部米麦をやろう、こういうことで中央卸売市場に対する一般関心も非常に薄かったのであります。その間整備すべきところが整備できてなかったのであります。農林省としましても、その当時は結局主食にきゅうきゅうといたしまして米麦に集中されておったのであります。世の中が落ちついて参りますと、どうしても農家経済を拡大し、安定するためには米麦だけではいかぬ、ほかの生鮮食料品も作らなければいかぬのは当然であります。そのためにはどうしても卸売市場整備をはからなければならぬ。ところが先ほど申し上げましたが、相当施設費が要る。と同時に野菜なり魚はいつでも小売屋の店に行けばある、消費者もあまり中央卸売市場関心がない。生産者も何かしらん持っていけば処理される、こういうことで済んでおった。それよりもむしろ最近までは都市から野菜、魚を引っぱり出しにくるような状態でありました、セラーズ・マーケットであったわけであります。今は消費生産の伸びのバランスが、むしろ消費よりも生産の方が多くなっている。従ってどうしてもこの流通改善をはからなければならぬということが各方面で認識されております。そういうわけでありますから、私の方では、既設の市場のみならず、そのほかの都市についても、一つの観念的な計画はできますが、それがその都市財政状態なりあるいはその地方流通状態に合せて、どの順序でどの都市に作っていくか、そういう計画を綿密に立てまして、それに応じて政府補助なりあるいは低利資金を融通する、あるいは起債ワクを広げる、こういうことをやっていこうというのであります。しかしながら今までそういう生鮮食料品流通改善に対する生産者団体あるいは都市当局も、残念でありますが、必ずしも熱意があったというわけにはいかない。この熱意を喚起しますのには、そういう重要性をとくと頭に入れていただいて、そして計画を立てた上で強力に進めていく。ですから多少ひまがかかりましても、そういう問題を根本的に取り上げていく必要がある、こういうのであります。今回根本的改正をやれやれといっても、そういう資料が整わないものですから、この暫定改正になっておるような次第であります。
  15. 稲富稜人

    稲富委員 次にお尋ねしたいと思いますことは、本法の第二条に、分場設置認可の問題が規定されておるのでございますが、これを見ますと、「中央卸売市場開設セムトスルトキハ業務規程及事業計画二関スル書類具シ農林大臣認可受クヘシ中央卸売市場分場設置セムトスルトキ亦同シ」ただこれだけ表示してあるのでございますが、この分場設置に対してはどういうような条件等考え認可をされておるのであるか、やたらに分場設置するということは、いろいろ弊害等も生ずるであろうと思うのでありますが、これに対する認可条件といいますか、こういうものに対してはどういうことを基準にされておるか、承わっておきたいと思います。
  16. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは結局中央卸売市場開設されておる都市におきまして、一定施設に荷を出してそこでセリを行うのでありますが、荷を運び込み、出す、その限界があるわけであります。従ってその消費量、荷の到着分散の量と施設の量、人口の比率、それを見まして、その必要の限度において許可する、こういうのであります。すなわち一定の面積であれば人口何万人の生鮮食料品の取扱いができる。従って人口十五万の都市ならば大体一個所でいいじゃないか、三十万ならば三個所でいい。しかしそれも地理的に必ずしも一がいに言えませんけれども、あまり小規模であってこれをやれば、量が少いと必ずしもセリがうまくいきませんから、その最低基準は、私ども人口分布状況、すなわち需要状況と入荷の可能の状況を見て許可しております。
  17. 稲富稜人

    稲富委員 分場設置というものは、人口比例というものを基礎として分場設置をやられておりますと、やはり輸送費その他が相当に影響してくるので、分場設置等考えなければいけないのじゃないかと思う。それでたとえば人口のことばかりでなくしても、ことにこの海産物のごときは、漁港との関係とか、これに対する輸送関係、もちろん陸上のものは三輪車その他で運搬するからそんなにかからないにしましても、そういうものは考えなければならない。ことに手数料なんか、分場設置をやっておりますと、二重の手数料を払わなければいけない。これは消費者に影響するということになりますので、やはり、ただ人口のいろいろな比例人口関係ばかりでなくして、そういうような二重の手数料の問題であるとか、あるいは輸送費用の問題というような問題を考えて、分場設置に対して考える、こういうような検討をする必要はあるのじゃないかと思うのでございますが、これはどうですか。
  18. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の御説明が少し不十分でありましたが、その通りであります。荷引きの状況と申し上げましたが、それは結局貨車の引込線あるいは港の接岸の状況トラックが入れる可能性、いろいろあります。それから分散する便利、それとその都市需要をにらみ合せまして、一個所にしたらいいか二個所にしたらいいかということをきめるのでありまして、当然需要と、それに対する供給の手段といいますか、供給の便益、輸送機関港湾施設引込線その他は当然考えなきゃならぬと思います。
  19. 稲富稜人

    稲富委員 分場問題は大体わかりましたが、その次にお尋ねしたいと思いますことは、今回の法の改正によりまして、卸売人最低純資産額を定めて、その状況に応じて業務停止及び取り消しをなすというので、大臣権限が非常に強化されておるのであります。ところが先刻私質問しました第八条には、開設者に対しては、命令の定むるところの設備に要する費用の三分の一以内の補助金を交付することができるということになっておるのでございますが、この開設のときの補助金の交付と、あとから生じまする大臣権限強化、こういう関係はどういう関係になりますか。最初補助のときには、やはりその能力等は十分見て補助等の対象にされるだろうと思うのでございますが、その者があと取り消しをなさなきゃならぬというような場合が生じないとも限らない。こういうような開設者に対する補助と、後段の、今回の法の改正で見まする権限強化による業務停止及び取り消し、こういうような問題の関連はどうなるか、この点を承わりたい。
  20. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 中央卸売市場法の建前は、地方公共団体卸売市場施設開設する許可を与える、これが第一であります。その施設開設するときに補助なり低利資金を融通する。それができまして、その中で荷受けをいたしましてセリにかける卸売人という者をまた許可するわけであります。純資産額の問題は、第二段の卸売人に関する規定でありまして、せっかく施設を完備いたしましても、その中で荷受けをする卸売人経営がまずくて、赤字になって倒産するということになれば、これは出荷者に対しても迷惑だし、消費者も迷惑でありますから、その卸売人の資産の内容を厳格に常に見守っていくことが必要である。ただ現在の法律では、第十条の六の二項によりまして、当該卸売業務をなすに足る資力信用を欠くに至ったときは取り消すことができる、こういう規定になっておるのであります。その前の段階として、自発的に純資産額を絶えず卸売人は健全にしておくという段階を置いた方がいいんじゃないかというのが、今度の改正の要旨になるわけであります。そうしてこちらの検査なり指導で資産の堅実化をはかって、それでもどうしてもいかない場合には取り消す、そういうことにいたしておるのであります。さらに現在は卸売市場の中に卸売人が何人かございますから、第一段の過当競争がその原因になる、そういうことも起らないようにここですると同時に、純資産を健全化する、こういうねらいでいたしておるわけであります。
  21. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、現在中央卸売市場において、卸売人は十五市場に二百数社あると思っておるのでありますが、この経営状態はどういう状態になっておるか、この点を承わっておきたい。
  22. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは資料の五十九ページにございますが、許可を受けている卸売人が二百二人おりまして、その中で純資産額がマイナスのものは二十六ある。ですから約一割余りが健全状態でない。これをできるだけ早い機会に健全化をはかっていきたい、こういうことであります。
  23. 稲富稜人

    稲富委員 今の報告によりますと、卸売人経営不振なのがいささかあるようなことでございます。厳密に調べるともっと多いということが一般にいわれておりますが、そういう赤字経営になった原因はどこにあるのか、この点をわれわれはこの法の改正において検討する必要があるのではないかと思うのでございますが、この点を承わりたい。
  24. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 端的に申し上げますと、荷引卸売人の過当競争によるところが非常に大きいと思います。その原因は、先ほどちょっと触れましたが、戦後の生鮮食料品の不足から、都市住民の生活確保のため、都市卸売人地方から荷引きを奨励するというか、強要しておったわけです。そのために、五十五ページでごらんの通り、いわゆる荷主交付金と称して生産者に奨励金を交付しておるのであります。今度はせりに参加する仲買小売人に対して、代金の取り立てと市場運営に協力してもらうというので売買参加者交付金、こういうものを出しておるのであります。それが会社の経費を一〇〇として、東京の青果十九社の平均を見ますと、両方で約三割近くかかっているわけです。ほかの地方でも横浜が二割七分、大阪は実に三割五分、こういう費用を使っているわけであります。これは今の荷主交付金なり売買参加者交付金なりが交付金として考課状に計上されているそのままをとっている。そのほかにいろいろな交際費とか通信費とか、そういうものを入れるともっと多くなる。そういうわけでありますから、一方が十出せば十一出す、次が十二出すというふうにせり上っているわけであります。この点を今度の改正では業務規程で規制していきたい。そういうふうに考えておるのであります。それによってだんだん純資産の堅実化をはかっていき、両面から卸売市場の健全化をはかっていく、こういうわけであります。
  25. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま述べられましたように、非常に不健全な経営をやっていることが従来卸売人の赤字の原因になっているとすれば、これは将来考えなければいけないことだと思う。これに対して今回の法の改正規制をしようとするのはもっともなことだと思いますが、そういうことに対してもっと監督を強化することが必要である。今度の改正の目的もそこにあろうと思いますが、今度の改正によって今不健全な経営をやって赤字の原因をなしていることが完全に除去されるのかどうか。こういうことに対して確信がありますか。
  26. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この法律ができますれば、一定の手続をして健全化ができなければ取り消されることになりますから、その前に健全化できないならば営業権を譲渡するなりあるいは合併をするということになって健全化ができる、また私の方でもそういうことをある程度指導していきたい、こう考えております。そういうことによって今の不健全な内容からだんだん窮地に陥って、最後に二進も三進もいかなくなった神田のマル東事件のようなことを未然に防止することが確実にできる、こういうような考えでおります。
  27. 稲富稜人

    稲富委員 この十一条によりますと、卸売業者に対する保証金納付という制度があります。この卸売人に対す保証金の制度は、今日まで厳重に実行されているか、この制度はどういう効果をもたらしているか。保証金制度があるにもかかわらず、今おっしゃったように卸売業者が生産者等に迷惑をかけているという事実もあるわけです。現在この制度は厳重に守られているかどうか、この点を承わりたいと思います。
  28. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 厚い方の資料の二十三ページに保証金の状況が書いてありますが、これは大体三十万円から六百万円という程度であります。この程度の保証金では現行法のもとで今の卸売人を救済できないのは明らかなんです。これはむしろ開設者卸売人にいろいろな場を貸し与えたりした手数料を払わないので、その手数料徴収の身がわりの役、市場使用料の担保になる程度でありまして、取引のしりぬぐいをするための金にはとうてい及ばないわけであります。しからばといってこの保証金をうんとやれば、それだけ金が寝ることになりますから当業者としては耐え切れないので、どうしてもそういうことでなしに取引の健全化をはかるということを考えなければいけない。もう一つは、保証金でなしに、そういう共同危険担保のための基金制度を考えたらどうかということが出ております。これは東京都等は非常に熱心であります。しかしほかの都市開設者は熱心でない。そのために法律上いろいろな問題がありまして、今度の改正には間に合わなかったのでありますが、次の根本的改正の際には、この問題をどうしても片づけなければならぬ。使用料に対する担保だけなく、取引の安全をはかるための担保としての共同積立金、そういうものが必要になってくると考えております。
  29. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、十一条の保証金制度と今回改正されます純資産額の決定基準額、この関連はどういうことになるのでございますか。
  30. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 純資産額基準は、さしあたりの問題といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、一割以上がマイナスになっておるのでありますから、どうしても急に純資産額を理論的な額にきめることはできない。従って当分のうちは資料にお配りいたしておりますように、最低十万ということでこれが純資産額が大体従来の業者については二年間で健全化をはかる、こう予定をしておりますから、二年後になったときに、その市場の三日分の取引額を標準としてきめたらいいんじゃないかというふうな検討をいたしておりますが、相当な額を純資産額としてきめたい、こういうふうに考えております。
  31. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると結論として申し上げますことは、やはりこの問題は先刻から申されたようないろいろな不健全な経営のために、仲買人というものが非常に経営不振のために、生産者その他に非常に迷惑をかけるという問題が生じてくる、ここに非常に問題があると思うのです。これに対しては今おっしゃったような保証金制度のごときものを、あるいはそういう意味で保証金制度もあったかと思うのでございますが、現在ではこれが十分用を足していないということもいわれている。それで法の改正一つの目的であろうと思うのでございますが、そういうような生産者等に損失を与えたというような場合には、日ごろこれの取扱いの面から生じました積立金の制度を作っておくとか、そういうようなことによって生産者に補償するというような具体的な計画はできないものであるか、そういうような方法をおとりになるという意思はないのであるか、この点一つ承わっておきたいと思うのであります。
  32. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほどの資料でちょっと御説明申し上げましたように、卸売人の主要経費が約三割近くは奨励金として交付されている。もしこれがなくなればその分は積み立てが可能なのでありますから、一方でそういう取引の奨励金の規制をすると同時に、それによって浮き上ってくるものを当分のうちは財源に使って、信用保証の積立金にやってもいいじゃないか、こういうことを今開設者に勧奨しているのであります。これは現在の開設者では大阪東京、その他都市の事情がいろいろ違いますから、一律にどの市場もというわけにはいかぬと思いますが、必要なところから順次やらしたい、こういうふうに考えております。
  33. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと結論から申し上げますと、現在のこの卸売商の非常な経営不振による生産者に迷惑をかけているというような問題があるから、今度その法の改正をしてその点を補いたい、こういうような考えがある。しかしながら現在のこの法の改正を見ても不十分な点はたくさんあるので、こういう問題に対しては十分検討した上で、さらに法の抜本的な改正をやっていきたい、こういうのが政府の趣旨である、そういうふうに聞いていいのでございますか。
  34. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その通りです。
  35. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますると、法の改正の問題につきましては、今おっしゃったようなことでわかります。そうしますとその法の改正を行うまでに、今言ったようなまだ不十分な点から生ずる生産者に迷惑をかける、いわゆる不合理な経営のために生じてくるこういう問題に対してはすみやかにあるいは積立金制度とか、あるいはもちろん監督を厳重にすることも一つである、そういうような補償をする方法を別途に急速に考える、こういうことが非常に必要になってくるので、その根本的な法の改正に行くまでの生産者等の補償に対する具体的な計画というものを承われば、私は納得できると思うのですが、これに対してはどういうお考えですか。
  36. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この前の改正で、監督権が従来は府県知事だったものを農林大臣に上げております。監督の権限としては一応整っているわけです。それが三十一年の中ごろから施行されまして、私の方からも係官を派遣して、検査を厳重にいたしております。検査だけでは十分でありませんので、御指摘の信用積み立てもやらなければならぬ。それから開設者それ自身の根本的な施設の増強を待たないでも、施設を可能な限り改善すると同時に、開設者の責任ももう少し持ってもらわねばいかぬ、こういうことで今度のマル東事件等につきましても、東京都には相当強く申し上げまして、東京都の方も御認識を深めてきておりますから、御指摘の点はそのようにいたして参りたいと思います。
  37. 稲富稜人

    稲富委員 私がそのことを聞きますのはこの前の法の改正を見て農林大臣の監督が強化されたものと思っておったところが、今度の神田の今おっしゃったような市場の問題が生じて、少からず生産者に迷惑をかけている。こういう問題が生じているので、今回の法の改正をもってこういうような弊害を一掃することは困難だと思う。それだからこういう問題に対しては再びああいう問題を繰り返さないようにもちろん監督を厳重にすると同時に、これに対する対策というものをやはり考えてやるということが非常に必要ではないか。こういう点から私はそういうことをお尋ねしているわけです。この前の法の改正で、一たん前進したものといえども不十分であった。今度の法の改正によっても私は完全なものと思えない。やはり不十分であると思う。これに対してはやはり根本的な改正をやらなくちゃならぬ。根本的な改正をやるといいますと、先刻からいろいろ答弁もありましたように、いろいろ各般の調査をやりますと、これは短時日にはできない。何年かかかると思う。その間の空間において、やはりまた先回繰り返したような神田の市場事件のようなものを繰り返さないとも限らないので、こういうことに対して万全な処置をどうするかということを、やはり考えて今回の一部法の改正をやるべきでないか、こういう点から私はその点を念を押しているわけなんです。これに対してはそういうことのないように、生産者が安心して出荷のできるように、こういう方法を法の改正と同時に、そういう方面に対する行政処置をやっていくということを考えておくことが、私は必要ではないか、こういうふうに考えるわけなんです。これに対する行政上の処置をどうなさるか、これに対する決意のほどを承わっておきたいというのが私の質問の要旨なんです。
  38. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先般の改正で監督権を強化されましたけれども、検査いたしましても、先ほど御説明申し上げましたように十条の六で「資力信用ヲ欠クニ至リタルトキ」というような抽象的なことでありまして、経過的には従来地方長官の監督であったものを農林大臣の監督に移したけれども、その切りかえの時期が十分の監督が行き届かなかったわけです。今度はこの改正によりまして、純資産額なり取引の規正というものを有権的に、はっきりした基準ができるわけです。たとえばマル東の事件等でも、毎年監督してあぶないあぶないと忠告するだけでとまっておったのでありますが、明らかにああいうのであれば非常な純資産のマイナスでありますから、これの手当を今度は会社の内輪でひそかにやるのでなしに、開設者も農林省もそれをどうするかということをやっていくわけでありまするから、この改正によって二度とああいうことは起らない、こういうことを期待しているのであります。しかし御指摘のように、それでもまだいろいろな問題が起り得るじゃないかということはその通りであります。これはわれわれが農林省、開設者それから卸売人自身はもとより生産者等の連絡を密にして、たといマル東のようなものでも私の方で検査して、それから考課状が出てあぶないということがわかっておっても、生産者におれのところにくれといって出荷さしているわけですから、そういうことをある程度応分にいたしまして取引の安全を期することによって、御心配の点は除去できるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  39. 中村寅太

  40. 川俣清音

    川俣委員 主として事務当局に聞きたいのです。この前の中央卸売市場法改正のときに、将来は根本的に市場法を改正するという政府の言明があったわけです。その一つは、この法文は大正十二年にできて、その後改正はされておりますものの、こういう一般経済法規としては非常にむずかしい表現でできておる、しかし附則になりますとわかりやすい表現になっておる、その連絡がすこぶる誤解を生むというより、たとえば十条は「業務停止スルコトヲ得」附則の方は「卸売の業務停止を命ずることができる。」同じ表現ですけれども、非常にニュアンスが違ったような表現が附則の中に出てくるということになるので、特に流通経済ですから、経済法規はできるだけ今後の若い人たちでも理解し得るような法文の体裁に直さなければいけないのじゃないか。従ってこの次の改正のときには経済法規だけにもう少し最近使われるような用語に変えたらどうか、そういうことも重要な要素として根本改正を要望したのに対して、政府は次期の改正のときには必ずこれを実行するという約束ができておったと思うのです。どうしてこの点を検討されなかったかということが一点です。
  41. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御指摘の点は、私の方で先ほど稲富委員の御質問に御説明申し上げましたように、根本的改正については非常に問題が多岐にわたっておるわけであります。その準備ができないうちにこの神田市場のマル東事件というものが起きまして、その根本的改正まで待っておったのでは、先ほど卸売人の資産の評価の状況を御説明申し上げましたように、いつまた第二のそういう事件が起らぬとも限らない、従って根本的法改正ができるまでの間でも、そういうことをわれわれの方で手を打っておく必要がある、こういうことを考えておるわけであります。その条文の書き方でありますが、これはまことに体裁が変なので、大正、昭和時代の、明治憲法時代の法律に新憲法で修正を加えておるわけであります。それが明らかにかたかなとひらがなで用語の使い方も違ってきておる。これらを改めるとすれば全部直さなければいかぬのであります。それには今度の条文の書き方は、それは実体的な内容に変えて書きかえる必要があるというので、今回は書き方を改めずにおったのであります。
  42. 川俣清音

    川俣委員 それは局長、弁解にならない。三十年の改正のときに、一年か二年の間に根本改正を行うという約束だったのです。従って二年経過しておるわけです。この間に当然マル東のような事件が起るおそれがあるので根本的改正をやろうということなんです。こういうようなマル東の事件が起きたとしますれば、やはり改正をしなかった責任を感じなければならぬわけです。当然それまでに根本改正を行うべきだった。それを怠っておいて、事件が起きたから一時的な処置としてこういう方法をとるということは、これはやはり行政としては至らなかったことをみずから反省しなければならないと思います。従ってもっと根本改正をこの際行うのでなければ、まただらだらといくのじゃないかと思うが、この点どうですか。
  43. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御指摘のように、行政が十分迅速にいっていないのは私どもおわびしなければならないところだと思います。しかし川俣先生も十分御承知のように、問題は非常に複雑でありますから、やはりこれは各方面の意見を集中いたしまして、そうして根本的に、それこそ文字通り根本的にやるのでありますが、その中間において矛盾しているというおしかりを受けても、やはり十分の資料を整えてやった方がいい、こういうふうに考えますので、この点は御了承を願いたいと思います。
  44. 川俣清音

    川俣委員 政府は、特に農林省は、三十三年度予算案を組むに当って、特に流通経済の確立のことを重要な施策として掲げている。従って流通経済の基本ですから、当然今度の三十三年度予算と伴ってこの根本的改正が出てこなければならないはずだ。流通経済改善というなら、改善の基本になるものはこれなんだから、少くとも中央卸売市場法改正がこれに伴ってこなければならぬわけである。むしろ中央卸売市場法改正を先にして流通経済改善ということが出てこなければならぬはずだと思う。だから、経済白書において、あるいは経済政策において、農林政策において流通経済改善と言うからにはこういう微温的なものをもって改善とはおそらく言われないだろうと思うが、この点どうですか。これは局長に聞くのはちょっと無理かもしれませんが、やはり省議に参加して流通経済改善ということを打ち出したからには、局長もこれはのがれることはできないと思う。
  45. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御指摘通りだと思います。ただこれまた言いわけでおしかりを受けるかもしれませんが、農産物流通については、米麦等は商品の性質といたしましても非常に取り扱いやすい、ところが生鮮食料品は加工、貯蔵がなかなかききにくい、生産の予測も非常に困難である、従って理屈は比較的簡単でありますが、まず基礎データから集めていかなければ工合が悪い。端的な例で申し上げますと、ある県のミカンの生産量は、統計で出しますとその生産量はその県から貨車に載せた量よりも少い。そういうことでありまして、これから直していかなければほんとうの流通改善はできないのでありますから、果樹センサス、そういう準備もしておりますが、それに相応して今度は農業団体の共販態勢、これはこの委員会でずいぶん御議論願いましたが、総合農協と特殊農協との関係、それらとやはり市場という問題になる。市場自身の問題について言いますと、先ほど御説明申し上げましたように、やはり施設についての整備が必要である。それにはここに表を配っておりますが、すでに法の適用を受けて開設しているものだけは有権的に相当資料が整っているからすぐできます。しかしそれでは問題は解決できないので、まだ未開設の地域をどうするかということになると、すでに開設したいという希望が出てきているのもあるし、今調査中のものもある、これらはやはり農林省と都道府県とがもう少し根本的に話し合って計画を立てなければならぬ。従いまして一年、二年待ったのにまだできないじゃないかというおしかりでありますが、これはやはり一、二年しかられてももう少し根本的な調査をした上で先の計画を立てるべきである、こういうふうに考えております。
  46. 川俣清音

    川俣委員 他の法規の場合は、これは行政で幾らか措置できる部分もある。これは自由経済の中にかなり存在する集散市場のあり方について方向を打ち出しておかなければ、日夜の取引が行われているときに二年、三年待つなんていうことがおかしいのです。物が動いているときに一年、二年待つわけにいかないでしょう、そこに混乱がくるわけです。混乱を避けようとするならば、やはり集散市場としてのあり方はいかにあるべきかというような方向を打ち立て、それと同時に流れ方をどういうふうに流れさすかというようなことが打ち立てられてこなければ、方向を打ち立てていかなければ——これは要綱だけでもいい。早くこういうような方向流通経済改善をはかるんだという方向が打ち出されなければ、いつまでもこのような、いわゆる小市場的な形態を持続させるということになりますと、しかもかなり公共性を持ってきたにかかわらず、ただ大臣認可というようなことだけで——流通市場というものは大臣認可云々だけでは改善されない。それも一つの方法であることはあるけれども、便法ではあるけれども、根本的改正の意図が出てこなければ、今日の経済の混乱を救うことはできないという意味で、根本的改正を要望したのであります。これは与野党一致して要望しておった。少くともどういうような流れ方、将来性のある集散市場としては、どうした方向を持つべきかということが打ち出されてこなければ、このくらいの改善では何にもならないのです。少くとも方向だけでも打ち出されていかなければならない。この改正をするなら、将来どういう方向でいくんだという打ち出し方があるならまた別です。万一従来のまま容認しておいて、行政措置もとらないというのでは、行政指導もできないじゃないか。方向がなければ、どう指導するつもりです。案がなしで、どうして指導するのです。(「むずかしいんだ」と呼ぶ者あり)むずかしいと言うけれども、方向がないのにどうして指導できる。むずかしいからほっておくということはないでしょう。だから早く方向だけでも打ち出さなければならないじゃないか。どういう改正をするかということは、二の問題にしても、集荷市場としてのあり方はどういう方向であるべきか。流れをそういうふうに持っていきながら改正をするというのは、これはいいですよ。非常にむずかしい問題だからということで、手をつけないで自然の流れにまかしておいたならば、再びこういう問題が起きるのは当然なことです。行政指導ができないじゃないですか。この点はどうです。
  47. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御指摘の点は非常に広範な問題だと思います。私の方では、生鮮食料品流通改善については、昨年十一月省議で一応の方向を打ち出しているわけです。生産者は共販態勢を強化する。それには貯蔵、加工の二段制、三段制の問題を整備しよう、そういうことであります。その次に、加工のきくものは、極力そういうものを奨励して、平均売りができるようにしようということで、どうしてもそういうことができないものは、やはり市場中央卸売市場整備強化によって、流通の公平、公正を期していこうという点で市場改善という点を打ち出しておるわけであります。その前に、市場が、現在の十五都市がふえて十九都市だけでは、たとえば白菜なら白菜、キャベツならキャベツ、リンゴでも同じでありますが、一カ所に競合して集中して、そのものが暴落することによって、全体に影響を与える、こういうことを調整する機能ができてこないわけであります。やはり中央卸売市場整備をしなければならぬ。その中央卸売市場整備内容は、これは二つに分れまして、施設整備取引方法の整備、こういうふうになっております。法律に関連する問題としましては、卸売資格の要件とかその他取引方法の整備、こういう問題になってくると思います。その際問題になりますのは、生鮮農産物生鮮水産物取引方法と肉の取引方法とは、これは今問題を提起して研究を進めておるのでありますが、これが変ってきておるんじゃないか。従ってやはりそれを別建にしなければいかぬじゃないかという意見が相当強く出てきておる。しかし果してどうかということは、水産業界なら水産業界の中で、必ずしも意見が一致しておりません。従ってそれらを検討して、やはり別建にした方がいいという結論を出すには、行政庁でこうだという線を引きましても、新しいものをやるのでなしに、従来の経過がありますから、経過と調節をとりながら切りかえていかなければならぬ。相当ひまがかかっても私はやむを得ないんじゃないか、こういうふうに思うのであります。急げ急げと言っておりますが、急いでおっても、膨大な人員が関係し、膨大な数の都市関係するのでありますから、やはり相当程度の時間的余裕がいただきたい、こういうわけであります。
  48. 川俣清音

    川俣委員 広範な問題とはいいながら、昨年の十一月に省議で決定しました流通経済改善方向というものと、中央卸売市場、いわゆる集荷市場との結びつきというものを考えていかなければ、基本を立てなければ、柱を立てなければ結ばれないのです。結ばれなければ、いわゆる集荷方法、あるいは生産者の団体における集荷方法、あるいは輸送方法が改善されましても、受入れ態勢が十分でなければ結びつきができないのです。だから末端を指導するにしても、中央市場との関係をどうするかということを結びつけなければ、末端の指導育成ということができないのです。そこで私は問題を取り上げていきたい。困難は困難であろうけれども、この際——ほんとうに局長がかわるたびごとに、今度はやります、今度はやります、こう言うに違いないんですよ。そこにやはり問題がある。官庁の無責任な点がここに出てくるのです。従ってこういう機会でなければ、なかなか——あなた方をとっちめても、ほんとうにやれということは言えないのだ。あなたがかわると、また変るでしょう。また今度、あらためてやります、こういうことになるだけなんです。これは安閑としていられないということが痛切に起ってきているのです。やはり基本的な改善、改革をするということに踏み切らなければならぬ。踏み切るには、この法案をあげないでおくと、結局踏み切ることもできぬじゃないかと思う。それじゃ一つ聞くけれども——大きいことを聞いたってしようがないから小さいことを聞きますが、二十七条の次に左の一条を加える。「第二十八条第一条ノ二ノ規定ニ違反シタル者ハ一万円以下の過料ニ処ス」そうすると、罰金等の特例に関する法律で、過料は二千円以下となっておる。一万円以下ということになると、過料じゃないということになるんじゃないか。大体今のところ過料は二千円以下というのが通例だと思います。法制局で調べると、そう言う。今調べてきたんです。万円だと、過料というのはおかしい、こういう答弁ですが、この点どうですか。
  49. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 科料と過料の違いだと思います。これは過料でありますから、一万円でいいと思います。
  50. 川俣清音

    川俣委員 それではまあ過料だから一万円でいいということにしておきます。  そこで第二にお尋ねいたしたいのですが、一条ノ二に「中央卸売市場ニ非ザルモノハ其ノ名称中ニ中央卸売市場ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ」こういうことになっております。これは今までは、普通、名称を用いることができない。——名称というのと文字というのとどこが違うのです。名称というと、たとえば文字自体が違っていても、かなり広範なものになって、まぎらわしいことになる。文字ということになると、字そのものということになると、おそらく今まではまぎらわしい名称を用いてはいけないというのが趣旨であったと思うのです。中央卸売市場ということも、やはりまぎらわしい市場名を使わせないということであって、文字そのものではないと思うのですが、この点はいかがですか。
  51. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは名称中に「中央卸売市場」という文字そのものを使ってはいけない、こういうことです。卸売市場はたくさんあるわけでありますから、中央卸売市場という文字を使うものはこの法律適用を受けるものに限るということで、これは文字そのものを使ってはいかぬということであります。
  52. 川俣清音

    川俣委員 そうなると、かなあるいはローマ字で中央卸売市場と——このごろローマ字が非常に多いのですが、「チューオーオロシウリシジョー」というふうにローマ字で書いた場合は違反にならないという考えですか。
  53. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この法律の文字通り解釈すれば、違反にならないと思います。
  54. 川俣清音

    川俣委員 そうするとやはり名称という表現を使わなければならぬ。こういう一つの公的な機関でありますから、このごろは、おそらく輸出などの場合に中央卸売市場というのをローマ字で表現することはたくさんあると思う。それは悪意にやる人はないと思いますけれども、やはり国会の審議にかけるからには、文字を用いることを得ずなどということを言わないで、従来使われておるように、名称を用いることができないという表現の方が法律としては妥当じゃないかと思うのです。今までは名称を使用することを得ずというようなことがあったけれども、これは用いることを得ずでもいいのですから……。
  55. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 結局卸売市場というのは、先ほどの表で御説明申し上げましたように数千あるわけでありますから、中央卸売市場という文字をはっきりしておきますれば、ほかの小さい小売店とか何とかいうのと違って、まあ万人がよく知っておるので、中央卸売市場でないのにそういう名称を使って、生産者なら生産者に不測の迷惑を及ぼさない、こういうことを確保すればいいのじゃないかということと、もう一つは、御承知のように施行規則の中に、第七条で中央卸売市場の名称というのは「中央卸売市場ナル文字ヲ用ヰルヘシ」、こういうのがあったのであります。この施行規則では法制局の解釈では、施行規則の中に織り込んでおることは単なる制限的規定にすぎないので、取締りをするのに不十分であるから法律に移した方がいい、こういうことで移しておるのでありまして、文字の使い方等についてはこれで差しつかえないのじゃないかと思います。
  56. 川俣清音

    川俣委員 普通法律用語として使われております表現方式をわざわざとらなかった理由はどこにあるのですか。今までいろいろな特異な法律があるでしょう、東北開発会社とか。こういう類似な名称を用いることができないとかいうのは、おもに名称という表現を使っておるのですが、普通に法律用語としては類似の名称を用いることができない、こういう表現が法律用語としては普通なんです。今衆議院の法制局で調べてきたのですが、普通そういう用語が使われておるのに、特にそれと異なる理由があればこれは別です。
  57. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはたとえば今ある生活協同組合法等にも、名称中に生活協同組合連合会という文字を用いてはならない、こういう書き方があるのであります。ですから二つの書き方があるのじゃないかと思います。名称中にそういう文字を使っちゃいかぬという書き方もあるわけでありまして、最近の法制局の例ではそうだ、こういうことを言っておられるのでありますが、私の方の考えでは、これでさしたる支障はないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  58. 川俣清音

    川俣委員 どうも場外取引のようなものはときどき行われる危険性がある。従ってまぎらわしい名称を用いさせないというのがこの立法の趣旨だと思う。文字じゃないのです。いわゆるまぎらわしい名称を用いないということが趣旨だと思うから、その趣旨に沿うように、やはり普通の表現のように書きかえる必要があるのではないかと思う。一時場外取引が非常に盛んになったこともある。今でも場外取引が行われることがあるのです。従って文字ということだけに局限しないで、やはり市場法的な正常な取引にまぎらわしい取引をやめさせようというのがこの立法の趣旨だと思う。
  59. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今の生活協同組合法でございますとか、国民健康保険組合でも、やはり「国民健康保険組合ニ非ザルモノハ其ノ名称中ニ国民健康保険組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ」こういうことで、やはり同じ書き方になっているのです。この趣旨は何々村組合とか、何々市中央卸売市場、こういうふうにやるものには名称の中にそういう文字を保護すれば足りるのではないか、こういう考え方だと思います。これ以上はちょっと見解の相違になるのではないかと思いますが、私どもも法制局で十分審議をしていただきまして、その趣旨に従ってやったわけでございますから御了承願います。
  60. 川俣清音

    川俣委員 健康保険組合のような場合、これは文字でないと、いろいろな名前が上につかないから、文字という表現によるのだと思います。何々健康保険組合、これは文字でなければならない。一方中央卸売市場というようなものは、これは文字じゃないと思う。健康保険組合をローマ字で書いたり、かなで書いてまぎらわしくする必要はない。むしろ何々健康保険組合というようになりますから、これはやはり文字の表現でよろしいと思う。ところがこれは取引市場ですから、やはり名称という表現の方が適当じゃないかと思う。
  61. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは取引市場と申しますけれども、施設開設を許可しておるのでありますから、やはり一つ施設の名称だと思います。それはやはり何々市生果物中央卸売市場、こういうふうにつけておるのであります。従って今の私が例にあげましたように、ほかの組合と同じように解釈して差しつかえないのではないかと思います。
  62. 川俣清音

    川俣委員 そこで問題になるのです。これはたとえば魚菜中央市場というのがあったらどうしますか。そういうふうになると、これは名称でなく文字だというと、一文字違ってもいいということになる。たとえば魚菜を売る中央卸売市場ができる。わきに魚菜中央卸売市場という名称を使ったらどうなります。文字だというと使ってもいいと思います。あえて抗弁しないで、これは検討が足りないのだから、足りないなら足りないと言いなさいよ。
  63. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 わきにそういう中央卸売市場という名称を使ったらそれは過料をかけます。とにかく中央卸売市場という文字を使ったら過料をかけるのであります。
  64. 川俣清音

    川俣委員 今局長の答弁の中でも、名称を使ったら文字を使ったらというように——一般的に言うと名称なんだから、おとなしく名称と書いたらいいじゃないですか。局長自身が名称と言ったり、文字と言ったり表現を変えるわけです。
  65. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 やはり文字であります。従って御存じのようにローマ字で書いたり、ひらがなで書いた場合にはその文事を使わないから過料を課すわけにはいかぬが、行政指導でまぎらわしいのを防止することにしたいと思います。
  66. 中村寅太

    中村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  67. 中村寅太

    中村委員長 速記を始めて。  他に質疑はありませんか——なければ質疑はこれにて終了いたしました。  次に討論に入ります。討論はありませんか——なければ採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  68. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  本案について稲富稜人君より自由民主党、日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したい旨の申し出があります。この際、これを許します。稲富稜人君
  69. 稲富稜人

    稲富委員 中央卸売市場法の一部を改正する法律案附帯決議を付するの動議を提出いたします。    中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   農畜水産物生産から消費に至る流通過程において、中央卸売市場の果している重要な役割にかんがみ、政府は、卸売人整備統合、その財務内容の速急な健全化と育成、保証金、信用基金制度等の検討、卸売人、仲買人、買出人の性格の明確化、類似市場の吸収、地方市場整備、前渡金、奨励金、手数料等の適正化、取引方法の改善による流通経費の節減、消費者価格の引下げ、安定等を内容とする本法の根本的改正を図るとともに、市場施設の充実のための国の助成を強化し、もつて農畜水産物生産者経営の向上及び消費者の生活の安定のため、いかんなき措置を講ずべきである。以上であります。
  70. 中村寅太

    中村委員長 ただいま稲富君より提案されました附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします、     午後零時十分散会      ————◇—————