○久保田(豊)
委員 政府当局並びに中金の
理事長としてのお気持はよくわかるんですが、そういう指導
方針でやられるということは、またそうでなくちゃならぬと思うのですが、それだけではなかなか簡単に解決がつかない問題だろうと思うのであります。これは今のような条件の中における農林金融といいますか、系統金融そのものの全般的なあり方、本質の問題にもつながって参りますので、簡単には解決のつかない問題であるということは、私
どももよく
承知をしているわけであります。ただ、今のような状態の中でも
基本的な問題として考えられるのは、私は大きく言って二つないし三つあると思うのであります。今
農民がいろいろと新しい条件の中で従来の米麦作から新しい農業に
転換していこうという際に、それに必要な
資金がなかなか獲得できない。その獲得の道はどうかというと、農機具の場合でも酪農の場合でも、ほとんど正道金融ということで財政の裏打ちがあって、特別に利子の安いものでなければこれは使えない。しかも非常に窮屈にしばられて、手続が困難なために、それだけでは役に立たないというところに片方においては追い込まれている。それが末端の農協を通じて出る農業の
転換資金のおもなものになっておると思うのであります。このことは今の系統金融なり何なりが持っております普通の金融機関
——普通といっても農業を対象にしていますから特殊な性格を持っていることは明らかでありますが、そういう
意味を含めましても、そういう機関だけでは農業の
転換に必要な
資金は回せないのじゃないかということが
一つあるのではないか。これを具体的にどう切り開いていくかということが、やはり
日本の農業を近代化していく場合においては、非常に大きな問題になりはせぬか。特に
政府が
補助金
政策から
融資政策に変わって、いこうとする場合に、農協側としてはもっと深く再検討して、農林金融全体の問題として考える必要があるのじゃないか。全体からそういう正道金融だけをたよりにしてやろうとしても、なかなかうまくいかぬ面が非常に多い。それでは農業の
転換などはなかなかできない。また
農民の方は、そういう
資金の相当のの部分を一般金融なり系統金融なりから借りてやったのでは
金利が高くて、よほどいい条件でなければ、新しく始める農業はできないという問題、この点も正道金融と一般の系統金融との連関なり本質上の
関係をどういうふうに
調整をされていくのかということを、私
どもはもう少し突っ込んで
——私
どもに具体的な結論があるわけじゃありませんが、考えていただきたいということが
一つ。
それからもう
一つは余裕金
——中金にしても公庫にしても、これは余裕金じゃありますまいが、問題があると思うのであります。今の農林金融からいうと、系統金融から余裕金が出ることは当然であります。従ってその余裕金をコール
資金なり何なりに回すのも当然であります。しかしこの余裕金の中で、私の理解が不十分かもしれませんが、大体においていわゆる系統外の部外
融資といいますか、その比重がだんだん余計になってくるのではないか。それが農産物を原料とする企業に貸せるとか、あるいは農産物にいろいろな資材を提供するというようなことから流れておりますけれ
ども、その方の比重がだんだんふえてくる。しかもそれらの
資金は、実際にはどうかというと、農産物の買いたたき
資金になっているというのが実情であります。たとえばおととしのイモのごときは明白である。酒会社にしましても、あるいは澱粉工場にしましても、それ相当の
資金がいっておる。またその金が農協を通じていっておる。
政府が一貫匁二十四円五十銭の保証価格を出しておるにもかかわらず、現場においては十二貫俵一俵百五十円くらいでたたいておる。東京ではどうかというと、百八十円くらいで売りつないで、手数料をとっておりますから、現場で百五十円というようなことになっておる。こういう
意味での系統外の部外
融資がだんだん大きな比重を持ち、しかも実質上固定化してきておる。
農民の方は預金を吸収されて、そうしてだんだん上へ上げていって、それが余裕金の形になって、なるほど
消費の促進にはなりましょうけれ
ども、その裏においてはそういう
関係になってきておる。こういう点についても、中金の
経営上から、いろいろ問題があろうかと思いますけれ
ども、この点についてもう一度根本的な再検討を要する時期にきているのではないか。この問題が解決しない限り、
農民の新しい農業への
生産力増強
資金というか
転換資金というか、こういうものは円滑にいかないという問題が片方に出てきていると思います。もう
一つは機構の問題ですが、理屈
通り中金も大体二段階で、中央の中金と府県の中金
支所ということになる。信連は一段階になっているが、実質上は二段階と見てもいいのではないか。これは御
承知の
通り県に信連があって、郡には大体信連の出張所みたいなものがあって、これも二段階になっている。今度また長期金融をやるような公庫が、ある
意味において二段階になってきている。こういうことになりますと、勢いそういう場合における
経営コストというものは全般的に高くなってくるのではないかと思うのであります。そこで私はお聞きいたしたいのは、中金の場合でも公庫の場合でも、原資コストがどのくらいになっておって、それに
経営コストがどれだけ加わっているのか、こういう点を、もし御調査がありますればお聞かせを願いたい。それと同時に、私
どもにはっきりした結論があるわけではありませんけれ
ども、それぞれの金融機関が、金融機関としては自主性を持っているわけでありますから、その自主性を中心とする限り、支店がだんだんふえていくのは当然だと思う。つまり
事業の自主性をだんだん強めていくのは当然だと思う。そういう点からいわゆる
経営コストがだんだんよけいになってくる。午前中の
質疑応答でも、今度公庫の支店
設置については大体ブロック別に一行を原則とする、さしあたりは四行ということでありますが、だんだん公庫の
業務が大きくなればどうしたって支店網は広くなっていくと思う。そういう点中金もそうだ。見方によりましては信連さえ二段階になっておる。こういうのが今の信用系統の実態ではないか。そういうもののいわゆる原資コストに
経営コストが加わっていくところに
一つの大きな問題があると思う。こういう点を今ここでどう機構的に改革しなければならぬかということは別としまして、それぞれの機関から見れば、中金は中金としてごらんになり、公庫は公庫としてごらんになり、信連は信連の立場で見れば、私はそれぞれ問題があり、なかなか譲れない点があると思う。しかしながら
農民の見地から見た場合には、これは迷惑な話であります。何らかこの間においてこれらの
調整をとっていけないものか。そうして
経営コストをできるだけ切り下げることによって、
農民の
金利負担を少くしていくことを当然全般的な立場からして考えなければならぬ。これが今のところ逆行しているというふうに私
どもは見ておる。この三点についてのお考えを
政府並びに中金の
理事長並びに公庫の総裁からそれぞれお聞きをしたいと思う。そうでないとここに出ておるような支店問題のごときは、この点をどう考えるかということによって将来がきまる問題である。午前中に渡部局長からお話のありましたように、片方においては経費も考え、片方においては事務能率も考えてやらなければいかぬという程度の話では、この問題はますます拡充するだけです。そういう程度でとまる問題ではないと私は思いますが、この点についてのお考えをそれぞれお聞かせいだきたいと思う。