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1958-04-03 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月三日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 川村善八郎君 理事 笹山茂太郎君    理事 助川 良平君 理事 芳賀  貢君       五十嵐吉藏君    大野 市郎君       木村 文男君    清瀬 一郎君       草野一郎平君    小枝 一雄君       椎名  隆君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       永山 忠則君    丹羽 兵助君       松浦 東介君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    村松 久義君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       石山 權作君    稲富 稜人君       久保田 豊君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡辺 伍良君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君  委員外出席者         議     員 足鹿  覺君         公正取引委員会         委員      芦野  弘君         大蔵事務官         (主計官)   高木 文雄君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     岡崎 三郎君         農林事務官         (畜産局酪農課         長)      松田 寿郎君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 四月二日  委員永井勝次郎君及び山崎始男君辞任につき、  その補欠として日野吉夫君及び阿部五郎君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十八日  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三九号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。 四月一日  狩猟法の一部改正に関する陳情書  (第七七七号)  たばこ耕作組合共済組合法適用に関する陳情  書(第八一四号)  サケ、マス延繩漁業禁止反対に関する陳情書外  一件  (第八三九号)  農林漁業団体職員共済組合法制定に関する陳情  書  (第八四〇号)  総合的農林漁村振興対策に関する陳情書  (第八四二号)  等外麦買入に関する陳情書  (第八四四号)  農協役職員年金制度実現に関する陳情書  (第八五〇号)  狼煙港の第四種漁港指定等に関する陳情書  (第八七七号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に  ついて参考人出頭要求に関する件  酪農振興基金法案内閣提出第一一六号)  三月下旬の異常低温及び降雪による農作物の被  害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  酪農振興基金法案を議題といたし審査を進めます。質疑を続行いたします。久保田豊君。
  3. 久保田豊

    久保田(豊)委員 法制局長官にお尋ねします。この酪農振興基金法の第七条の解釈についてでありますが、一般に条文通りをそのままに読むならば、これは一応の義務規定であって、当然六億の現金出資がなければこの基金成立をしない、従って業務開始はできないという解釈が通常であろうと思うのであります。それに対して、表現はこの通りでけっこうであるが、この六億というのは政府出資が五億、あと一億は民間出資ということになるのですが、その民間出資というのは必ずしも一億現金出資しなくても、いわゆる出資引き受けという理解でいいのだという解釈もあるわけであります。もっと具体的に言いますと、当初農林省側は、この六億の金額のうち政府出資以外の一億については民間現金出資である、こういう理解であったわけであります。ところがその後において多少変って参りまして、各関係方面との打ち合せの結果、これは引き受け出資でよろしい、そのうちの何割かをとりあえずいわゆる現金出資をすればそれによって第七条にはひっかからない、従って業務開始はできる、こういう統一解釈になった、こういうのであります。しかしながらこれには相当の疑問が持たれるわけであります。法制局長官はこの点についてどう考えておるか、この点を一点お伺いいたします。
  4. 林修三

    ○林(修)政府委員 お答えいたします。ただいまの点でございますが、この附則第七条に、「基金成立の当初における資本金は、六億円を下るものであってはならない。」この六億円の意味がいわゆる払い込み済み資本金かあるいは引き受け資本金をもって足りるかという御質問だと思いますが、これは私どもといたしましては、一般的に資本金という場合には、もちろん両方の意味があるわけでありまして、それが果してどちらを意味するかということは、この規定全体の趣旨を見て解釈しなければならないと思います。ところでこの附則の第四条の第六項をごらんいただきますと、ここには「設立委員は、出資金払込出資金が分割して払い込まれるときは、第一回の払込)」というようなことが書いてあります。これを見れば当然に出資金が分割して払い込まれることを予定しておるのであります。従いまして引き受け資本金払い込み済み出資金と二つあり得るということを予定しておるわけであります。こういうことから考えますと、当然に、他にはっきりしたそれを規定する規定がない限り、ここの第七条でいいます資本金引き受け資本金である、そう解釈すべきだと思うわけであります。これは私ども立案します際にも、そういう点を考慮いたしましてそういうつもりで書いたわけであります。第七条が払い込み済み資本金意味するものとすれば、当然ここには払い込み済み資本金と書くべきだと思うのでありますが、それがない限りはこれは引き受け資本金をもって足りる、かように解釈しておるわけであります。
  5. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると第七条の六億というのは、政府出資予算できまっておりますから、五億ははっきりいたしておりますが、あとの一億の民間出資については、これは引き受け出資限度を一応示したものである、こういうはっきりした理解で間違いありませんね、念を押しておきます。
  6. 林修三

    ○林(修)政府委員 それでけっこうだと思うわけであります。政府出資の五億円は、これは予算もございますし、附則第四条五項で全額出資金を払い込まなければならぬと書いてありますから、当然に払い込むわけであります。第七条の民間の方の一億は、少くとも引き受けでよろしい、幾ら払い込むかは定款できめる、こういうことだと思うわけであります。
  7. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それに連関して、民間出資の一億というのは、いわゆる引き受け出資出資額をきめたものである、従ってこの一億の限度において、いわゆる出資引き受けをしたところに対しましては、基金の側としては、成立したその後においてどういう強制ができるかという点です。
  8. 林修三

    ○林(修)政府委員 それを何回に分割して払い込むか、あるいは第一回に幾ら払い込むかということは、結局基金がきめるわけでございます。その基金がきめた履行期限に従って引き受けた人は払い込む、こういうことになっております。
  9. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一点それに連関してお伺いいたしますが、第八条であります。これは私どもの普通の理解では、一応義務規定ではない、つまり要請規定といいますか、そういうことであるからやってもやらなくてもいいのだ、こういう解釈になるかどうか。あるいはこれが何らかの——ここに規定しておりますように、「第八条に規定する者の出資する部分の額が五億円に満たないときは」ということがあります。従ってこれらが何らかの強制力を持ってくるのか持ってこないのか、この要件か四年間に満たされない場合、結果はどうなるか、この第八条の解釈を明確にしていただきたいと思うのです。
  10. 林修三

    ○林(修)政府委員 この附則第八条は、ここに書いてある趣旨から申しまして、当然四年間に民間側出資金か五億になることを期待しております。従ってそれがなくてもいいのだということにはすぐにはならないと思いますけれども、しかしながら万一それが達成されない場合に、この基金自体についてどういう法律効果を生ずるか、そういうことは実はないわけでございまして、別に基金がそのために解散をしなければならないとか、あるいはどうしなければならない、こういうあれは何もないわけであります。要するに努力的な目標を掲げたたのですが、これがどうでもいいというわけではありませんで、法律に書いてある以上は当然に五億にすることを期待しております。この意味法律規定は持つわけでありますが、ないからといって直ちに別の効果が発生するということはございません。
  11. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると今の御答弁は、くどいようですが確かめておきますが、第八条に規定する民間出資には、ある意味では第八条は拘束力を持たない、つまり出資強制をする法律的根拠にはならない、こういうことですね。
  12. 林修三

    ○林(修)政府委員 それはこの規定によって直ちに引き受け義務を生ずるわけではございません。結局基金の方で幾ら投資するということをきめて参りましてそれを募集する、あるいは過去に引き受けた者に対して割り当てる、そういうことできまってくるわけでございます。
  13. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうするとつまり民間出資者に対してはそういう拘束力はないにしても、この基金理事者に対してはどういう拘束力を持っておりますか。もっとはっきり言うと、民間の方では引き受けない、投資を認めない、理事者の方では第八条の規定に縛られてどうしても投資をしなければならない、そうすると少くとも理事者行政上の責任を追及する根拠になろうと思うのであります。それでなければこの第八条という規定を置いたことは全然無意味である。どこかに何らかの期待をするという文章がないというだけでは、特に第八条にこういうことをうたう必要はない。ですから民間出資者に対しましては、いわゆる拘束力なり規制力はないにいたしましても、少くとも公庫理事者に対しては、法律上の拘束力があるかいなかは第二段といたしまして、行政上の拘束力は当然持つ、そういう意味でもって理解しなければこの八条を設けた意味が全然なくなるわけであります。この点についての解釈は、どういうふうになりますか。
  14. 林修三

    ○林(修)政府委員 おっしゃる通りでございまして、これが民間引受者に対して直接の効果はごございませんが、理事者は当然この規定によりまして資本金の増加をするような措置をとる職務上の義務が実はあるわけでございます。従ってそれをしない場合に、罰則の規定はございませんけれども行政上の監督権の行使として、そういうことをしない者に対してそれは職務怠慢ではないかというようなことを理由として、いろいろ監督上の監督権を発動するということはあり得ると思います。
  15. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると、これは単に要請規定だということなら、置いても置かなくても、民間出資者に対しては意味がない、しかしながら理事者に対しては、当然にこの業務上の拘束力なり、それを裏づける行政上の拘束力をある程度持ってくる、こういうことになると思うのです。そういう解釈でよろしいのですね。
  16. 林修三

    ○林(修)政府委員 先ほど申し上げた通りでございまして、ただいま久保田委員のおっしゃることも大体それと同じことだと思うわけでございますから、結局職務上のなすべきことをなさないという責任理事者に出てくることになると思います。
  17. 久保田豊

    久保田(豊)委員 長官にお伺いしますが、ここの中にある四年という期間、これに対しても同じような解釈ですか。特に四年という文字がありますが、これは時限的な拘束力を持ちますかどうか。
  18. 林修三

    ○林(修)政府委員 法文に「四年を経過した日を含む事業年度の末日まで」と書いてございますから、やはりそれまでにするということをこの規定は要請しておるわけです。
  19. 久保田豊

    久保田(豊)委員 大体私どもの疑念としておりました点はわかりましたが、これは法制局長官の御解釈であって、大蔵省にもこの点を明確にしておきたいと思うのですが、そういう点については法制局並び大蔵省農林省との間に見解の統一をされておるのか、されてないのか。もっと具体的に言うと、今お急ぎのようですからあと大蔵省当局が来てお伺いするわけですが、食い違いがあれば、これはまたやり直しになります。この点はどうですか。もっと具体的に言えば、食い違いが出た場合においてはどっちの解釈をとったらいいか、はっきりしておいていただきたい。
  20. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいまの点は、実は私どもの方も、事務的に大蔵省農林省の方とも打ち合せ済みでございます。従って、食い違わないものと確信しておりますが、法律の成文法のみならず、法案解釈につきましても、一応法律解釈は、政府部内においては、私の方か責任を持っておりますから、私の方の解釈によって御判断を願いたいと思います。
  21. 久保田豊

    久保田(豊)委員 わかりました。  農林省にお伺いいたしますが、第七条の六億の出資ということに連関して、民間出資の一億を、要するにどういうふうに、もっと具体的にいいますと、大乳業者、もっと具体的に言うならば五大乳業者中小乳業者生産者団体生産者団体は実際は二つになる、大体においてこういうことになりますね。これらの一億についての出資引き受け割当といいますか、これについて前の大蔵省原案に一応承諾書をとったものについて見ますると、大体一億のうちで七千五百万は五大乳業、二千万中小メーカーの系統、あとの五百万が生産者団体、こういう割り振りになっておる。これでは、要するに、大乳業指導権が当然この中で確立されるということになってくる。参考人等の御意見をお聞きしましても、大乳業はこれを拒否はしない。しかしこれに対して大きな期待を持っておらない。こういうふうな御意見の開陳があった。中小企業はそうではなくて、この基金運用ができなければ、われわれとしては立っていけないのだ、この基金にいわゆるかぶりついているのだ、こういう答弁をされておったわけでございます。そこで私ども農林省に望みたいのは、大乳業中小乳業生産者団体、この出資割り振りをどうするかということが、実はこの基金運用をどうするかということについての一つの基本の問題になると思う。それに対して、何らか内容的に皆さんの間でもって、ここで公表のできるような各業者間の話し合いがあなたの方でついておるのかどうか、ついていないとすれば、どうふうに考えておるのか、大乳業の方は一応中小メーカーも含めて九千五百万の出資引き受けをしておるけれども、一応その後において取り消しをしておる。従って、あの出資引き受け、つまり九千五百万の出資引き受けについては、一応承諾はなかったものと見て差しつかえないと思う。新しい段階で、新しい状況のもとで、この出資割り振り業者間の方で話し合いがついておるのか、こういう話し合いがついておるとすれば公表かできるのか、あるいはこれについて農林省としては別個の考えを持っておるのかどうか、この点を明らかにしてもらいたい。
  22. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この出資引き受けにつきましては、昨年の十月のころに、大体予定されますそれぞれの関係者に一応の出資引き受け約束を実はしておるわけであります。その後事態がいろいろと変っておりますことは御指摘通りであります。従いまして現在農林省といたしましては、その関係者各位と御相談をいたしまして、どれだけのものをどういうふうに引き受けるかという、状況変化の後におきまする約束は、まだいたしておりません。ただこの基金設立をいたしまする場合の出資の場合におきまして、できるだけ信用を得る必要が多いと思われます中小企業、あるいは農協も含めましての団体、これらの各位引き受けを優先的に考えるということは、これは私たちはそういうふうに考えております。具体的な教字につきましては、今後打ち合せをしなければならない、かように考えております。
  23. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今のお話で大体の経過の今日の考え方はわかったわけであります。なかなか数字を明確に言えないと思うが、私どもは、今の乳業界全体と酪農というふうな関係考えた場合、乳価、乳製品の安定、この基金目的をはっきり生かしていくという観点からしますると、少くとも民間出資一億の引き受けについては、中小メーカーもしくはその団体並びに生産者団体が大メーカーに対して、少くとも出資上におきましても優位を確保できるような限度において考えるべきだと思う。この前の農林省原案のような格好になりますと、明らかに大メーカーが、出資面におきましても、従って業務運営面においても、役員面におきましても、当然優位を確保するということになる。それでは、大乳業の方ははっきり金融ベースに乗っておる、ほかのものは金融べースに乗らぬから、ここに将来におきまするいろいろな問題が出てくる原因があるわけでありますから、そういう観点からやや具体的に申し上げますれば、これは私の個人の考えですけれども中小メーカーないしは生産者団体、こういったものか一億の出資額の中で画然と優位を保つような比率において出資を実現することがぜひ必要だと思う。もっと具体的に言えば、少くとも五分五厘、四分五厘、こういう比率において大体やるので適当と思うが、これについて次官一つお伺いをしたいと思うが、この点をどうお考えですか。
  24. 本名武

    本名政府委員 たびたび申し上げました通り、また御指摘もございましたが、今日の乳製品の状態におきまして、最も資金を重点にして必要とするいろいろな施策というものは、中小メーカーに多いと思います。従いましてこの基金運用は、特に中小メーカー重点を置いてなされてこそ初めてその目的が達せられると思うのでありますが、ただ出資保証関係というのは、常識的にはやはり多く出資したものに一定の予定されました限度内において、それに応じた保証をするというのが建前かもしれませんが、これはむしろ基金の軍用の面になりますが、運用の面において先ほど申し上げました中小メーカーに対する重点的な取扱いをいたすように、今後指導なり協力をしていきたい、このように考えます。
  25. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の次官お話は、その面では私どもも賛成であります。しかしながら、運用の面で中小メーカー重点を置くというなら、やはり出資の面でも中小メーカーないしは生産省に当然重点を置いていいと思うのであります。しかもそれが一億の出資引き受けできないというなら別でありますが、私どものいろいろ調査した範囲においては、さっき法制局長官にもお聞きしましたような、そういう一億の出資引き受けということなら私は十分できると思う。また中小メーカーにしましても、生産者団体にしましても、出資額というものをできるだけ少くして、そしてこの基金運用面だけで自分たちが大きな恩典に浴そうということは無理です。従いまして、どうしても運用面一つ基準になりますものは、全部ではないにしてもやはり出資ということが中心の一つ基準になる。しかもできるとすれば、さっき私が申しましたような数字を、はっきり政府としてはこの段階で言えないかもしれないが、少くとも数字的にもはっきり中小メーカーなり生産者団体が優位を保てるような比率において出資引き受けをさすべきだと私は思うのですが、この点についてはどうですか。
  26. 本名武

    本名政府委員 先ほどちょっと言葉が足りなかったので、補足的に御説明申し上げますが、実は先日の大蔵委員会との合同審査の折に申し上げたことでございますが、初年度の一億というものか集まるか集まらないかというようなことでございまして、そのときに私は最後まで努力いたしましてできるだけ集めたい、同時にまた出資保証の額の問題にも関連いたしまして、重点中小メーカーに置きたいというわれわれの気持からいたしますならば、その一億を集める努力重点というものもできる限り中小メーカーの御協力をいただいてたくさん集めるようにいたしたい、しかし資本力その他を、端的に申し上げまして大メーカーと比較いたしますとなかなか容易なことではないと思いますが、しかし、この基金運用することによって得られる経営の安定とかあるいは将来への伸張を考えますときに、やはりこの機会に一つ中小メーカーの御出資を努めて多くしていただきたい、こういう念願でおると同時に、そのことについて努力をするつもりでございます。ただ問題は、大メーカー中小メーカーとの比率を最初に規定いたしまして、そこで限界をつけるということは、これはむしろ今後の運営の上においていろいろやりにくい面も起きてきやしないか、何と申しますか、運用の妙を発揮しにくくなりゃしないか、従って農林省としては、その比率というものを今考えておるわけでもございます。また話し合いの上においても、一応今までの話し合いの上で先ほど御指摘のような二千五百万円と七千五百万円というような話が出たことはございましたけれども、それが絶対の比率であるとか、それを守ろうとか、あるいはそれをどうするとかいう話し合いは今のところ何もきめておるわけではございません。いずれにいたしましても、できるだけ中小業者の方の御出資を努めてやっていただくと同時に、さらにまだそれで不足のときには、運用の上においてぜひ御心配のような点のなくなりますように、少くなるように努力をするように指導していきたい、このように考えております。
  27. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうも今の次官答弁はふに落ちない。一億の場合に大メーカー中小メーカー生産暦比率をきめておらないなんということはありませんよ。あなたの方はこれだけ引き受けろといって、引き受けますといってはっきり引受書を出しているじゃないですか。その引受書の内容が、さっき言いましたように一億の中で七千五百万は大乳業、二千万中小メーカー、五百万が要するに生産者、こういうふうになっているのです。しかもこれを向うが破棄してきているのです。そういう破棄してきておる前提で、しかもせんだっての参考人意見等においては、大メーカーはこの基金があってもこれに対して恩恵はない、むしろ大メーカーとしては、中小企業が完全に安全にやっていけることが要するに大メーカー保護策になるのだということまで言い切っているわけであります。ですから今のような御答弁では私は困ると思う。はっきり私のお聞きしたいのは、要するにそういう引き受け当時以降の状況下において、中小メーカー優先の、あるいは生産者優先比率数字的に言わなくてもいいが、前の引き受け計画、これは農林省計画に基いたものでしょうが、これを御破算にして、新しい観点から、少くとも中小企業生産者が優位の保てるような引き受け計画なり勧誘なりというものをしてやる意思がはっきりあるのかどうかということを聞いているのです。この点ははっきり御答弁をいただきたい。
  28. 本名武

    本名政府委員 先ほど申しましたように、今日までの話し合いの過程におきまして、特に当初におきましていろいろ御希望を伺いましたところが、数字の上では一応二千万、五百万、七千五百万というような数字が出たことは事実でございます。ただその後におきまして、委員会でもたびたび御指摘がありましたように、大メーカーの方からは一応お引き受けしたことを撤回するとか、あるいはまたその他の情勢変化によりまして、それまでに話し合いをいたしましたた数字と申しますか、割合と申しますが、そういうことは農林省として割当をしたのではなくして、業界、生産者の方の御意見としてそういうものが出たわけでございますけれども、その後の情勢変化によりまして、これは当然再検討をなさらなければならないのじゃないか、またわれわれも先ほど申し上げましたように、大メーカーのお気持なども察したり、またたびたび御指摘のあったような中小メーカーに対する対策も、資金の面でも出資の面でももう少し具体化する必要があるのじゃないかというようなところから、その後における変化に応じて一つ出資というものの再検討と御協力をお願いしたい、こう考えておりますので、決して農林省からは割当を申し上げたこともございません。ただその数字は、それぞれ出資者側の方々の御希望を集めたところがそういう数字になったというふうに承知いたしております。
  29. 久保田豊

    久保田(豊)委員 最後に、この点について一点だけはっきり明確にお答えをいただきたい。要するに私が申し上げていることは、今までの経過はどうであれ、今後の段階においては、少くとも中小メーカー生産者が大メーカーに対して優位の保てるような引き受け措置をとる意思があるかないかということです。この点だけ明確にしてもらいたい。あるのかないのか、これだけでいいです。
  30. 本名武

    本名政府委員 たびたび申し上げますように、中小メーカーに対する手厚き運営というものはなさなければならないことは当然でございます。さりとて大メーカーを排撃するとかあるいはおろそかにするという考えは毛頭ございません。同時にまた、こういつた初めの生産者から最終的な加工に至りますまでの流通段階を一本にして処置する基金でございますので、初めての試みであると同時に、その運営は非常に容易なものではないのでありますが、その反面また非常に効果か上るのではないかと期待いたしております。そんなところから、今後の話し合い、相談の上でそのような点については具体的にきめていきたい、このように考えております。
  31. 久保田豊

    久保田(豊)委員 次官答弁を聞いていると、だんだんぼけてくる。(「いいじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、よくないのだ。要するにはっきり私の聞いているのは、中小メーカーないしは生産者が優位を保てるような出資引き受けをするような意思があるのかないのかということなんです。私どもは大メーカーを排撃しろなんてことは言っていないのですよ。大メーカーを排撃しろなんてことは一言も言っていない。大メーカーも含め、中小メーカーとそれから生産者団体、こういう三つの構成になる、これは法律で明らかになっているのです。その中で一番の重点である中小メーカー生産者が大メーカーに対して出資引き受けの面で優位を保てるような措置をおとりになるのかならないのか、この点をはっきりお聞きすればいいのです。そう言っては失礼ですが、何だかんだと大きなことを言われているが、たった五億円ばかりの資金では、これから日本の農業の骨格を変えようという大畜産政策のほんとうの支柱にはなりませんよ。それにしてもこれが出発点ですから、明確にしたいからお聞きしているのですから、この点をはっきり聞きたい。そうむずかしい言い回しでごまかしてもらっては困る。
  32. 本名武

    本名政府委員 実は御指摘の点については中小メーカー生産者と大メーカー比率も最初から明確にして、その上に立ってそれぞれ基金運用することが実は適切であろうとも考えられますけれども、実際問題として、回りくどく申し上げているのでなくて、現在のほんとうの腹を申し上げておるわてけありますが、比率を最初からきめてやるということはなかなが困難であろうと思います。ただしかしたびたびま申し上げますように、また御説の通り、あくまでも今日この基金運用する需要に一番切実に迫られている面はどこかというと、しかもそれが中小メーカーであり、生産者に直接関係のある面に運用しなければならないということであるならば、そこにいかなければならぬことは当然でありますが、同時にまたわれわれも御指摘通りに、この中小メーカー重点をおいた出資並びに運営をしていきたい、こういう面に努力をいたしたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  33. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうも、まだ不十分だけれども了解をいたします。  それでは一つ大蔵省にお尋ねいたします。実は附則の七条であります。これは条文を読みますと当然兼務規定になる。従って六億というものが実際に出資をされなければ業務開始ができないという解釈になろうと思うのです。ところがこれに対しては農林省側からは、政府出資の五億円は、もう予算も決定している。あと民間出資の一億は引き受け出資でよろしいという解釈だ、こういうことなんです。法制局の長官も、今来てお聞きをしましたところが、この点については同意見である、こういうことでありますが、大蔵省のお考え方はこれに対してどうですか。
  34. 高木文雄

    ○高木説明員 七条の解釈につきましては、本日この委員会で法制局の長官答弁された通りでございます。その点については私どもも法制局と農林省と御相談をした上で法制局の長官答弁されたものでありまして、私どもとしましては本日の御答弁に何の異議もございません。
  35. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは時間の関係もありますから一括して大蔵省にお尋ねいたしますが、あなたは法法制局長官のここにおける答弁をお聞きになっておらぬから、こういう質問をするのは少し無理かと思いますが、法制局の長官が当委員会で今されました御解釈を、全面的に大蔵省としてはこれと同意見だといふふうにに理解してよろしゅうでございますか、七条ないし八条のこの点につきまして。
  36. 高木文雄

    ○高木説明員 その通りでございます。
  37. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それではよろしゅうございます。  それではそれに関連いたしまして農林省にもう一点お尋ねいたします。第七条についての民間出資一億ということの性格、従ってこれが業務開始をする条件なんというものもほぼ明らかになった。これは今まで私ども心配していた点がなくなってお互いに同慶であります。これについては農林省のいろいろなお骨折を感謝をするわけです、そこでもう一点聞いておきますが、一億の民間出資は実際何回かに分割して払うということになりますが、これは何回ぐらいにどのくらいの期間を通じて分割出資をさせるお考えですか。当初どのくらいの出資をさせ、その後において何年ぐらいでどういう形において分割出資を現実においてさせるつもりか、お考えがありましたら、御計画がありましたら伺いたい。
  38. 谷垣專一

    谷垣政府委員 今御指摘の点は、結論的に申しますとまだはっきりした結論には私たちは到達しておりません。一つには資金そのものの信用力というものと、運用いたします必要度というものを考えなければならぬと思います。一つには関係いたしております人たちの現実の払い込み能力という問題を考えなければならぬと考えております。ただできるだけ無理のない範囲でなければならぬと思いますが、できるだけ実際の払い込み金額を多くしたい、そういう努力をいたしたい、かように現在考えております。ただそれは実際の出資をいたされる方々、あるいはこの出資運用いたします範囲、そういうものを考えながらやらなければいかぬ、現実に即してやっていきたい、かように考えております。
  39. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点は今の御答弁で原則的には一応了解いたします。片方においてできるだけ実際の現金出資の方を多くしたい、この考え方はよくわかります。同時にまた片方において無理をしたくない、こういう考え方はよくわかります。この調和点をどこに求めるかということか実際一番問題の焦点であると思う。私どもとしましては、さっきからお話しのように、中小メーカー重点になりますと、あまり無理はできない、こう考えるのであります。これは業者間と十分御相談をしてやっていただきたいのでありますが、あまり無理な出資を当初から押しつけるということをなされないように、これは要望を申し上げるわけです。  それと連開いたしまして現金出資のあった分についてだけ保証するのですか。それともそうでなくて、それは応の基準はありますが、業務方針書等においてやったように引受分を基準にしてやるのですか、どっちなのですか。
  40. 谷垣專一

    谷垣政府委員 現実に払い込みをした金額に対する債務保証限度と、また現実には払い込みはいたしておりませんけれども引き受け出資の額に対する債務保証の根度、あるいは問題とすれば、保証料の額という問題もあろうと思います。こういうものは差をつけるべきものだと考えております。山田然これは差をつけてよいものだと考えておりますが、しかし未払込みの出資金について、その金額を全然債務保証の対象にしないなどということは考えておりません。具体的にはもう少し検討いたさなければならぬと思います。
  41. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点は今の段階でそれ以上いろいろなこまかいことをお聞きするのは少し無理と思いますか、今大体のお答えの範囲でけっこうだと思います。これはできるだけ実情に沿うたように無理のないようにやつていただきたいと思うのであります。これを御要望申し上げます。  もう一つ、第七条について、法制局長官並びに大蔵省側、農林省側の見解が統一したわけですが、そういうことになれば、第八条はあってもなくてもよいということになろうかと思います。第八条は、これは五億を引き出す関係農林省として大蔵省に義理があってどうこうというなら別ですが、少くともそういうことを考えなければ、第八条はなくてもよいのではないか。もしこれをこのまま生かしておくとすれば、今日の段階での法文では明らかにできませんけれども政府がさらに五億以上に年々追加出資していく、それに見合って第八条は生かすべきものである、こう考えるわけであります。従いまして法文にはそういうことは明確にできないにいたしましても、もし置くすれば、そういう一つ理解のもとに、あるいはそういう解釈のもとに第八条を生かしていかなければならぬ。そうなってくると、ここのたとえは五億というふうな表現、あるいは四年というような表現、さっきのような解釈になりますから、少くとも基金理事者当局に対しては拘束力をある程度持つわけです。そういうことになりますと、私はそういう点についてはこの五億とか四年とかいう点をある程度変える必要があるのではないかと思うが。どうか。つまり第七条がさっきのような解釈になれば、本質的には第八条は要らないのじゃないか。大きな観点からもしこれを活用するならば、政府は法文には入れられないが、当然五億でもって出資を打ち切るべきではなく、年々継続してこの基金のワクを大きくする。それに見合って民間出資をしていく、こういうことにしてやっていくのが当然で、その趣旨に沿うてここでもって原案の修正をしておく必要があるのではないか。それは五億という点と四年という一点に現実にはかかってくると思うが、この点についてはどうですか。
  42. 谷垣專一

    谷垣政府委員 八条の問題でございますが、この法文の中に設立当初から考えますと、五年間に民間出資五億をすることを要求いたしております。もちろんこの条文によって出資者というものが規制されるかどうか、束縛されるかどうかということは問題がございますが、これは増資の問題でございますので、出資者そのものがまだ未確定の点もございます。しかし第八条の要求いたしておりますように、基金関係しております者、基金理事者はもちろん、監督の立場におります行政庁といたしましても、第八条の規定いたしておりますように、民間出資が増資をいたしまして五億に満つるまで十分なる努力をしなければならぬ、こういうことに相なろうかと思います。従いましてこれは第七条、第八条両方を通じまして民間出資政府の当初の出資額五億に見合うところのものまで増資をすべきものである、こういうふうに私たち理解いたしております。従いまして第八条というものは第七条と両々相待ちましてこれは必要な条文である。ただ御指摘のありますように、これによって出資者その他——出資者というものが予定をされていない場合があるわけでありますから、そういうものを設立当初においてどれだけ義務づけるかというようなことは、この条文においてははっきり書いてない、さように了解いたしております。
  43. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これはこの基金法案のできました農林省なり大蔵省なりの経緯にかんがみますと、これは要するに政府が五億出資、砂糖消費税の戻り税の残余分の五億というものと、民間出資を五億出す、こういう構想から出発したものと思うのであります。この経緯にとらわれます限り、これを基本に考えます限り、もっと具体的に申しますと、第八条は置かなければ工合が悪いということになると思う。しかし私ども理解は、本年度の大カン練乳の砂糖の戻り税が十二億あるから、そのうちの七億は学校給食に使って、あとの五億は基金に使った、これでもって打ち切るというふうな大蔵省側の考え方がそもそもけしからぬ。またそれを、へい、そうでございますかといって唯々諾々として受けてきた農林省の腰もきわめて弱いと思う。問題は少くとも赤城農相になって、これは単に赤城農相の思いつきではなくて、農業白書まで出して検討に検討を重ね、農林省全体でもって、よくいえば血肉をつぎ込んで出した政策が、御承知の通り酪農を中心にして日本の農業の骨格を変えるのでしょう。そこまで腹をきめた、その政策のある面での裏打ちをしようという酪農振興基金法です。それを昨年度の消費税の戻り税が十二億あるから、これは学校給食に七億円くれてやる、あとの五億だけは基金に使え、へい、よろしゅうございますといって頭を下げるような農林省では私どもは困ると思う。これでは酪農振興政策というものは願い下げにした方がいい。与党見の諸君だって同じだと思う。十二億円の砂糖消費税の戻り税だけで酪農振興政策のごまかしをしようという根性では、与党としても酪農振興政策なんというものは願い下げにしてもらいたい。だから決して与党の諸君に当るわけではありませんが、私は今の八条の基本はそこから出発している。政府出資正五億、民間出資五億、こういうところから出ているのですから、この連関をもう一度基本的に考え直す必要がある。そういう観点からいっても八条はこのままの形で置くことは工合か悪いじゃないか、なくてもいいのじゃないか。政府の腹がほんとうにきまればなくてもいい、こういうふうに考えるのですが、この点はどうですか。これは一つ次官からお答えをいただきたいと思う。
  44. 本名武

    本名政府委員 この基金制度の出発が大カン練乳の税金の問題から出たことは、一つの原因でもあったことは御指摘通りでございます。ただ問題は十二億の税収があるからこれをやったということは、たまたま数字は一致いたしましたが、御承知の通り前年度においてもすでに学校給食を初めといたしまして、滞貨に対するそれぞれの予算措置をいたしております。特に予算は単年度のものでございますから、今後においては私は大カン練乳の税収分に見合う酪農政策というものではいけないと考えております。同時にまたいろいろな他の乳製品の生産がふえて大カン練乳が減った場合に、それじゃ酪農対策の予算というものは、その大カン練乳の消費税に見合うだけでいいかというと、そうではなくして、これは酪農対策としての第一歩であるとさえ考えております。従って第二段、第三、段の対策は今後においてなされなければならない。従って大カン練乳の税収をべースとした予算の立て方とかということは全然考慮に入れないで、新しい観点に立って今後の対策は進めていかなければならない、このように考えておりますので、決して大蔵省に押しつけられたとか、押えられたとかというような意味ではなく、むしろ次の年においてはもっともっと積極的な対策を打ち立てるように検討いたしております。
  45. 中村寅太

    中村委員長 石山權作君。
  46. 石山權作

    ○石山委員 これは政務次官にお聞きします。基金法の方式で酪農振興をおやりになる、それとも通常の予算酪農振興をおやりになるのでは、私は考え方がだいぶ違ってくると思うのです。今回の場合、十二億というて、五億を基金のやり方によって酪農振興をはかる。将来もこの形式で酪農振興をおやりになる意図のもとでこれをお出しになっているかどうか、これを伺いたい。
  47. 本名武

    本名政府委員 基金の五億は、これは一応法律にも明記してあります通り、このままで進むわけでございますが、七億というのはおそらく学校給食の予算であろうと思いますが、学校給食も今後の牛乳の生産量あるいは需給関係、あるいはまた学校給食自体の目的効果のいかんによってわれわれとしては今後もどんどん続けていくと同時に、情勢によってはこれをふやしていきたい。従ってそれに応じた予算も今後においては必要になってくる。決してこの五億プラス七億イコール十二億で酪農政策をそのままの状態で今後進めていくという考えは持っておりません。なおまた十二億だけが酪農振興対策ではなくて、中身は申し上げるまでもなく、その他にもそれぞれ酪農振興対策費を別途に予算として御決定をいただいたわけであります。
  48. 石山權作

    ○石山委員 その他に酪農振興でもそれぞれお使いになっている金額があるということは、おそらく補助金の小団地の土地改良費用の六十五億などをさしているのではないか、こう思っておりますけれども、このお金をさしているわけでございますか。
  49. 本名武

    本名政府委員 経済基盤を強化いたすために六十五億の基金を設けることになりましたが、これはもちろん間接には酪農振興対策になるかもしれません。特に非補助の土地改良に対して使う金でありますから、間接には役立つとは考えておりますが、六十五億の基金は直接酪農対策としては使うことにはなっておりません。
  50. 石山權作

    ○石山委員 今度の国家全般の予算のうちに、基金のお金がたくさん出ているわけですが、このうちで農林省関係のあるものは、例の小団地の六十五億、今回の酪農の五億と、おもに七十億でございますが、私はこの基金に対してこれは一種の見せ金だと、こういふうなことを言っているわけなんですが、この基金が年々追加されていくと、ほんとうの政府の思いやりがあることになるのですが、そうではなくて、ただこれのみでは、私はやはり見せかけになりかねないと思います。特に私は心配されるのは、この基金法によりまして別種の金融機構が出発するわけでございます。そうしますと、見方によりましてはこれは農林省の外郭機関になりかねない、これは私はほかの方を言っては悪いですが、たとえば日本労働協会というのか十五億出してやります。これも資金でございまして、利子だけしか労働者には実際の利益を与えない。しかるにこれも別個の会計でいくのでございますから、これも労働省の、悪口をいえば外郭機関になりかねないのでございます。私はそういうところから来ますと、役員はすべて学識経験者にゆだねられるようなやり方になっておりますが、これでは官僚のみが非常に発言権を持つというふうなことになりかねないと思いますが、それはどこで防ぐことができるでございましょうか。
  51. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この基金の名前が酪農振興基金という名前でありますために、今御指摘のありましたように、酪農振興はこの基金だけでやるのかという誤解が生じておるのではないかと思いますけれども、すでに三十三年度の予算面その他にもございますように、現在農林省の方で、政府の方でとっております酪農振興の諸施策は、これ以外にいろいろあるわけでございます。もちろん草地の改良の場合におきましても、その大部分は酪農に寄与することと考えております。あるいはいい品質の種牡牛をそれぞれの都道府県なり、あるいは国立の種畜牧場に置きまして、そうして民間酪農振興のためにこれを使っていく、あるいはそれぞれの生産その他に対します予察事業をやっていくというような形で、酪農振興の問題は単にこの基金だけではありません。名前が酪農振興基金という名前でありますために、酪農振興はこれだけという誤解を生じますれば、実はそれ以外にも酪農振興に関しますいろいろの諸施策はとっておるわけでございます。これは御存じの通りであります。それからなおこの基金運営が役員、官僚の思うままになるのではないか、こういう御指摘でございますが、ここでうたっておりますのは、学識経験者を考えておるわけでありまして、これは理事その他の機構の中には当然関係いたしております出資者の方々、あるいは出資者にとどまりませず、関係いたしておられます方々の学識経験者を充てる、これは私は当然のことだと考えております。ただこの中に条文にうたってある問題といたしまして、仕事の常務に当っております者が他の営利事業との兼職を禁止いたしております。これは金融業務その他におきます一つの原則でございまして、また乳業界の実情から考えましても、それぞれの乳業は、一面競争相手になっております。そういう方々が常務に当っていくということは不適当である、かような考え方から、他の営利事業との兼職の禁止をやっているわけであります、十分に御趣旨のほどを体しまして公正に理事を選んでいく、かようにいたしたいと存じます。
  52. 石山權作

    ○石山委員 そうすると学識経験者というのは、利害関係者の中からも選、ばれる学識経験者と理解してよろしゅうございますか。そうすると、それは生産者を含めてでございますか。——それでは次のことをお聞きいたしますが、十二億のうち七億が学校給食によって一つの調整をとる、生産面に関するのが五億の資金ということになりますか。
  53. 谷垣專一

    谷垣政府委員 三十三年度の予算で、およそ七億が学校給食におきます牛乳あるいは乳製品の資金に計上いたしております。それから五億がこの振興基金政府出資金として計上してある、かようなことになっております。酪農の生産面ということになりますと、今正確な数字はちょっと覚えておりませんが、おそらく草地改良というものは酪農の方が非常に大きな部分を占めると思いますが、草地改良をいたします経費が一億七、八千万もあったと思います。そのほか種畜牧場におきます乳牛の種牡牛の設置、あるいは各県に対するこれの貸付、あるいは寒冷地対策におきますところの乳牛、こういうものの国有貸付、あるいは家畜導入資金におきますところの乳牛の導入資金、あるいはまた乳量の予察事業におきます国の事業費等々のものは、これはすべて酪農の生産面におきます問題の経費ということに相なるかと思っております。酪農の振興基金は、第一条に規定してありますように、また以下の各条文にありますように、主といたしまして、生産面と申しますよりは、流通部面の問題に対します必要な資金の債務保証をいたしておる、かようなことに相なっております。
  54. 石山權作

    ○石山委員 問題は、第一条の目的なるものの本質がなかなか理解しにくい。たとえば中小企業なら中小企業を救うのだ、こういう意図かきちんと出ているなら、それもよろしい。あるいは生産者の中でも生乳を作るほんとうの農民を対象とするなら、それもよろしい。これには大メーカーも含まれるというようなことで、ぼんやりしている。ですから参考人の一人の植垣さんという方は、われわれは三十年来乳業をやっていて、欠損に欠損を重ねているのだから、これくらいなお金は今までの赤字に分配してくれてもいいような発言をなさっていられた。私は見方によってはそういうことをいえると思うのです。つまり五億という金が、非常に膨大な酪農振興の構造に対しては大へんに小さなお金なものだから、大メーカーの方は五億ぐらいの金をそんなふうに言われるのだと思います。小さければ小さいほど、中心が一つでなければ非常に金の効率が少いと思います。特に基金でございますから、利子がおおむね対象になるわけでございます。ほんとうの意味酪農振興に利する実質的な金というものは利子に該当するわけでしょう。ですからなおさら小さくなる。そうして目的が、生産者にもそうであるし、乳業者中小企業にも大メーカーにも、それぞれの場所において利益を与えるのだ、どうもこういうふうな内容に受け取られてならないのでございますけれども、真の目的はどこにあるかということをもう一ぺん御説明願いたい。
  55. 谷垣專一

    谷垣政府委員 酪農の場合、御指摘のありましたように、生産から消費に至りますまでの全過程があるわけであります。ただ二十九年、三十年、三十二年というような一時的とは申せ生産過剰の問題がある、それによりまする乳業界あるいは酪農界のショックは非常に大きかったわけであります。それは一つの危機的な状況を呈しましたときの対策でございますが、平常の場合におきましても、夏と冬という場合におきましては酪農界の状況が変るわけであります。そういう特殊の事情を酪農全体として持っておるわけでございます。そういう場合に対応いたしまする必要な資金の債務保証をこれでやっていく、かような考えであります。
  56. 石山權作

    ○石山委員 これも需給安定のための場合、いろいろ想定される場合があります。普通の工場であっても、三ヵ月くらい材料をストックさすのが普通の状態である。それが、あるときは五カ月もストックとなっておる。しかしそれが全般の経済が非常に順調であれば、三ヵ月が通常であったものが五ヵ月であっても、その場合五ヵ月が通常のようなストックの姿もあり得るわけです。今私たちが聞いているのは、この法律は不況時をば一つの対象にしているのではないか。たとえばなま乳が非常に余ったような場合にこの基金か大いに活用されるのではないか。しかし不況時というふうな言葉を用いることをはばかったのは、これは大蔵省関係等を勘案して、不況時で乳が余っているというふうな対策をとるとするならば、これは酪農振興の行き過ぎである、こういうふうなことを言われることをおそれてそういう言葉を使わないのであるが、結局はなま乳がだぶついたときを予想してこの基金法案を作ったのではないかという声が一部にあるのですが、それはどういうことでございますか。
  57. 谷垣專一

    谷垣政府委員 私たち累次次申し上げておるわけでありますが、酪農の生産、消費は非常に順調に伸びておると考えております。またそれの成長率もほかの農業関係の産業に比べまして非常に高い伸度率を示しておると考えております。ただ問題になりますのは、年間を通じて考えますと、夏と冬との間に需給のアンバランスの状況が生じます。また従来の経験から申しまして、数年に一度というものは需給関係のアンバランスが生じてくる、こういうことは今までの経験上からもあることであります。ただ、一時的でございましてもそういうアンバランスの生じましたときに、酪農というものが生産制限を勝手にやれるわけの性格ではございませんしいたしまするために、それのショックが非常に大きいわけでございます。従いまして、この基金の建前がそういうような場合を主として目標にしているということは言えるかと思います。ただ先ほど来申し上げておりますように、それは数年に一度だけでいいじゃないかという性格のものではございません。夏と冬の間のアンバランスの問題もございます。またこれが大カン練乳の免税撤廃の問題とも関係があるわけでございます。これは主として中小企業になるかと思いますが、大カン練乳等の施設を他の市乳あるいは粉乳等の施設にかえるための設備資金というものの債務保証ということもこの基金としては予定をいたしておるわであります。
  58. 石山權作

    ○石山委員 私の方の秋田県では、今の政府指導に従いまして、水田、稲作一点張りでは今後困るんだ、それで知事初め一生懸命になりまして、サイロを昨年二千個作りました、そして乳牛をどんどん入れております。ここで問題になるのは、こういう言葉が出ているところに問題がある。そういうふうにやって、乳が過剰になったらどういう方法を講ずるだろう、やれるのだろうかと言ったら、こういうことであった。いや、今の政治というものは——あるいは今の農林省行政指導というものは、といってよろしいと思いますがまず乳がうんと出て余ったら何とか方策をえる考だろうから、売れ行きの先行き不安なんか考える必要はないのだ、まず牛をうんと飼って、乳をうんと出してみるのだ、そのときになっていろいろないい考えが浮ぶんだから、こういうような意見が一部から出て、先行きをそんなに深刻に考えないで酪農振興へまっしぐらに突進していくというのが今の姿です。ただここで、あるいは休閑地あるいは山の斜面というような案外土地利用の少いところを利用してやる酪農ならいいのでございますが、水田の一反歩なり二反歩なりをつぶしてもやってみようというような機運のあるとき、そういう行政指導であるとすれば、われわれはなかなかこれに協力をすることはできないわけなんでございますが、そういうふうな指導の仕方で、出たときは何とか考えるんだから、まずやっていけ、こういうふうな態勢で今も臨んでおられるのでございますか。
  59. 谷垣專一

    谷垣政府委員 酪農の問題は生産と消費の関係を主としてやっていくと言いうことは非常に重要な問題だと思います。ほかのいろいろな主産物等においてもさようなことがあると思いますが、ことに酪農に関しましては、これに関係いたしております農家が多いということと、また農家といたしましては相当な固定資本をこれに導入するということから考えまして、生産いたしましたミルクが確実に売れるか、あるいは確実に消費されるかということが重大な問題であろうかと思います。ただ私たちといたしましては、現在のこういう経済のやり方であるので、それを前提にいたしまして消費の見通しを立てて、そうしてこの程度の生産は大丈夫だろう、こういう形で指導をいたしておる、かようなことであるのでございます。今日具体的にお示しになりました秋田県の問題に関しましては、これは地方的な問題かと思いますけれども、秋田の水田の非常に偏重しておる農業形態では不十分だ、これにもう少し外角的なものを入れる必要がある、こういう考え方で県当局が御指導になっておると思うのでありまして、私はそういう意味の御指導は非常に適切なものだと考えております。これは単に秋田におきまする水田がほとんど裏作がされていない、しかもそれだけ二毛作もできるのにかかわらずやられていないというところを利用するというやり方もございます。あるいは今まで十分に利用されていない山あるいは山のすそ野というようなものを利用するという問題もありましょう。あるいは現在のように秋田の水田が非常に生産力を高めてはおりまするけれども、やはり水田一本でいきますれば地力の減粍という問題も起きましょう。そういう形から農業経営全体を強くいたします意味において酪農指導されておるというふうに了解をいたしております。これは一つの卓見でもありましょうし、私どもも十分に協力をすべきものと考えております。
  60. 石山權作

    ○石山委員 例を秋田にばかり引くのは小さい問題でございますからなんですけれども、余った乳の処分が——秋田周辺で小さい協同組合が五つ六つあったわけであります。乳が余り始めてきたので、これを市が見かねまして共同の生牛乳の処理場を作った。そうしてこれは農林省に相談をされて指導を受けたかどうか知りませんけれども、不成功に終りました。そうしてあるメーカーにこれが売り渡されたという経緯が昨年あったのでございます。ですからいろいろなものをば計画をされて、それをまずよしと出発するのでございますけれども、締めくくりがない、というよりも最後まで見てやるという行政指導上の温情というものがない。あるいは欠点もあるかもしませんけれども、いずれにしても農林省でおやりになっている指示に従って一生懸命酪農に突入しているのでございますけれども、今申したようで、せっかく市で処理場を共同で作ったものをつぶしてしまっているこういう現象は新しく酪農をやろうとするところにはこれからもたくさん起るのではないかということであります。ですから秋田市の例なんかをとってみても、これ以前に弱小の乳業者に対してそれぞれの手を打つ必要がある、この基金法が出ると同時に、一番行政的な指導が必要なのではないか、今までもそれをおやりになっていたかどうか、秋田市の場合などは本省に御相談をしておったかどうか、こういう点をお聞きしたいのであります。
  61. 谷垣專一

    谷垣政府委員 秋田の具体的な例につきましては、私まだ十分に承知いたしておりません。あるいは係の方へ御相談があったかとも思いますが、私の方までは相談が来ておりません。この酪農をやります場合におきましても、ほかの産業の場合と同様だと思いますが、やはりそれぞれ関係しておられる方の自分の判断、それに対しまする利益あるいは損失というものの判断に基いてやられることと思います。それは農協でありましょうと、あるいはそれぞれの会社組織の問題でありましょうと、それにかかわりませずそういう判断でやられることと思います。ただ私たち行政指導の立場としましては、そのことが特に農民に対しまして悪影響のないように、あるいはまだ消費の部面から考えましても悪影響のないように、外部におりましてその御相談に応じたりすることに相なろうかと思います。従いましてミルクを処理いたしまする施設が大きいものがいいか、小さいものがいいか、あるいは農協組織がいいかどうかというような問題、これは一般的な表現ではできない問題であろうと思うわけであります。それぞれの地域におきまする特質を考えて判断さるべきもの、かように考えております。
  62. 石山權作

    ○石山委員 一つの産業というものは、どんなものでありましてもそれぞれ形態に応じたところの規模というものがまず脳裡に浮ばなければその事業は失敗に終るわけでございます。たとえば稲作とか麦とかカンショとか、こういうふうな事例をたくさん持っている産業であれば、私はそんなに苦労はないと思いますけれども、何と申しましても酪農というものは、私たちが昔軍馬を飼ったような格好で理解している畜産でございますから、今度それを馬から牛に乗りかえると申しますか、全然様相が違う。昔ならば小さい馬を育てて、大きくなってこれを軍馬で売ったから、これはもうけが確認されておる。今度はそうじゃない。小さい牛から飼って大きな牛にして牛乳にしたり肉にしたりしてやっていくわけでございます。今までよりも業務の内容が非常に多岐多様にわたったといってもいいと思います。そうした場合に指導方法が悪いと、それぞれの単協が非常に赤字になってしまうのではないか。私は今までのことも言っているし、これからも今までのままだしと赤字が出て、特に単作地帯の秋田のようなところでは、せっかく最初は情熱を持って酪農振興をやっても、今のような蹉跌を何回か繰り返しますと、やっぱり米の方がいいのじゃないか、こっちの方が安全性があるのだというふうにまた方向転換を企てる。そうすると方向転換を企てるためのロスはだれも負担するのじゃない、農家個々が負担するのですが、これは十分注意していただいて、単協に対しての事業計画なり、そういうふうな基準をしっかりのみ込ませる必要があると思っていますが、そういうことは今おやりになっているかどうか。
  63. 谷垣專一

    谷垣政府委員 酪農が農業の中で一番いいというようなことは指導いたしておりません。日本の農業の場合、水田というもの、米作というものが非常に大切なものである、これが日本の農業の根幹である、かように私たち考えております。ただ酪農というものが日本の農業のいろいろな経営の上に非常に大きく寄与いたすことは疑うべくもないことだ、かように考えております。格農家に対しまする酪農の飼養管理、あるいは組合に対しまする指導は私たち従来からいたしておりますが、これに対しましての適切な指導を今後とも大いに進めていきたい、かように私は思っております。
  64. 石山權作

    ○石山委員 雑音が多いので大きい声で御答弁願いたい。
  65. 中村寅太

    中村委員長 御静粛に願います。
  66. 石山權作

    ○石山委員 これは一楽参考人が言っておるのですが、これはほんとうにこの法律の建前からいって、需給の面に金を使え、ですから飼料などには融資しちゃいかぬ、こう極言しているわけなのですが、これでよろしいのでございますか。
  67. 谷垣專一

    谷垣政府委員 それぞれ参考人の御意見があったわけでありますが、ここで予定しておりますのは、乳代の立てかえ払いという考え方によりまする組合員の生産資金、こういうことになろうかと思います。乳代が来ません場合においても各戸の農家が乳牛を飼養いたして、ミルクを生産しておるわけであります。その生産に支障のないようにやっていく必要があるのではないか、かような考え方であります。従いまして生産資金という建前から、えさがその対象の一つになるということは考えられるかと思います。
  68. 石山權作

    ○石山委員 先ほど政務次官が、基金は今のままでは満足しているのではない、ふやしたいというような意向を漏らしたのでございまするが、これは六条と八条に関係があるわけでございますが、政府出資民間出資の割合はやはりこのままでお進みになりますか。
  69. 本名武

    本名政府委員 この基金の有効な利用については努めて努力をいたしたい。ただこれをふやしたいということは現在では考えておりません。と申しますのは、御承知の通り、大体この基金によりまして債務保証いたします対象の額を、十億の資金ができましたときに五十億くらいの債務保証をしたいという目途のもと、またその五十億くらいな債務保証をいたしますことによって、大体に現在の需給の計画予想からいきましてやっていけるのではないか、こういうことであります。ただ問題は、私のふやしたいと申しましたのは、十二億の大カン練乳の税金をベースにして酪農政策は事足れりというのではなくして、その点で基金以外の酪農振興対策に対して積極的にふやしていきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  70. 石山權作

    ○石山委員 これは四年たって民間出資がととのって初めて十億ですから、ふやしたいということは四年以後ということになるわけでございますか。
  71. 本名武

    本名政府委員 今申し上げました通り、私はこの基金は一応政府出資五億、民間出資五億、合計十億で一応今日の予想される需給計画、あるいは生産並びに加工の段階において当分は間に合わしていける。従って、今直ちにこれをふやすというのではなくして、酪農振興対策というものは、この五億と五億の千億だけではなくして、ほかにまだたくさんやっております。やっておりますが、今日の農業生産性の点からいっても、農民所得の点からいっても、もっともっと酪農は伸ばしたい。そのためにはこの基金はふやさなくても、基金以外の酪農振興予算の上においてふやしていかなければならない。従ってそのために努力をする、こういうふうに申し上げたわけであります。基金とは別個の予算をふやすというわけであります。
  72. 石山權作

    ○石山委員 しかし酪農振興費として十二億というものだから、みんな十二億に頭がいっているわけなんです。そうして七億は手のつけられない学校給食、五億だけが何とかいじれそうだという印象だから、酪農振興は全部酪農基金に依存していくのではないかというふうな気持は私だけじゃないと思うのです。世間一般ではあの予算書を見たり説明書を見たりすると、まずそこへ頭がいくだろうと思います。しかしこれはこれとして、そのほかに酪農振興をおやりになる。そうしますると基金というものは一応このまま据え置かれていくということは確認されてもいいわけですか。
  73. 本名武

    本名政府委員 法律にはっきり明記いたしております通りに、酪農基金——この法律基金というのは明らかにその使命があるわけであります。その使命にあげて酪農振興対策費がしぼられるという誤解は私ども生産者並びに乳業者においてなしていないと実は信じているわけでございます。ただ十二億という大カン練乳の税金の問題があった。さあこの税金は政府が取り上げるから、それにかわって一つ対策を立てろという話があったことが頭に入っておりますと、酪農対策は十二億で一切やられた。従ってそれによってできた法律は五億の基金であり、七億の学校給食である。これが酪農対策の予算の全部であるというふうに誤解されるというのは、はなはだ遺憾でございます。ただそれならば五億のこの基金のほかに、あるいは学校給食七億のほかに、十分な酪農振興対策費がとられているかというと、私どもは満足はいたしておりませんけれども、今後において基金並びに学校給食以外に、酪農振興対策予算を増額していくようにしたということを申し上げたわけであります。もちろんこの基金というものは、四年後において十億になりまして、その四年後においてさらに新しい段階あるいは基金の効用などが現われてきて、増加をする必要があればおのずからそのときに検討されるべきであって、今日においては、これを直ちに何年後に増額するということは考えておりません。
  74. 石山權作

    ○石山委員 一般の農民や中小乳業者は、おそらく来年も増額してもらえるものだというはかない希望を持っておると思います。それはなぜかといいますと、酪農振興に関する項目が少いということ、項目が少くて金額も従って少いですから、ここにみな自がいっておるということが、私だけの誤解であればけっこうですが、おそらくそうではないだろうと思っております。なぜかと申しますと、学校給食にしましても、これは将来ともずっと続けておやりになるのか、そうしてこの額は、年々酪農振興の生産量の増額とともにふやしていけるものかどうか、これは私などはあまり感心しませんが、一部では、この学校給食の問題を法制化していただければ、われわれは非常に安心して乳牛を飼うことができる、こういうふうに切言している農民もございます。そういう点ではいかがでございますか。
  75. 谷垣專一

    谷垣政府委員 酪農の振興に関しまする予算は、先ほど来申し上げておりますように、この振興基金あるいは学校給食以外にたくさんございます。金額的には不十分なものがいろいろございますし、施策的にはもう少し考えるべきものがあろうかと思います。施策といたしましても、まだそのほかにたくさんのものがあるわけでありますが、その中の学校給食の問題でございますが、学校給食を制度化すべし、あるいは法制的にこれを確立しろ、こういう意思見も私たちのところへも参っております。これらにつきましては十分検討いたしたいと考えております。金額を増額するかどうかというとことでございますが、これは御存じの通り予算は単年度でございますので、三十三年度予算のときに三十四年、三十五年のことを議論するわけには参らないかと思いますが、需給の状況等も考えあわせまして、必要があればこれは継続すべきものであるというふうに私たちは現在考えております。
  76. 石山權作

    ○石山委員 流通過程において、今の酪農振興のうちで一番安定感のある方向としては、学校給食一つしか私たちは見当りません。このほかに何か妙手を二つも三つもお持ちでございましょうか。それを知らしていただければ大へんに酪農家は喜ぶし、安心してどんどん畑地転換ができるのではないかと思いますが、その妙手のほどを二、三お知らせ願えれば大へんよろしいと思います。
  77. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これはほかのものでもそうでございますが、消費と見合いました生産ということが大切なことだと思います。しかし消費と見合った生産といいましても、退嬰的に考えるのではなく、消費の拡大ということを努力をする必要があろうかと思います。御存じのように、ミルクは大ざっぱにいって、一割が農家に返り、あと乳製品と生ミルクが半分々々という形で生産されているのが日本の現状でございます。これが将来乳製品の方がふえるか、あるいは市乳の方がふえるかという、いろいろ問題があろうかと思いますが、とにかくそういう形におきまして生産され消費されておる現状であります。これも消費の拡大あるいは安定した消費ということでどういう妙手があるかということでございますが、これは一、二の妙手というよりも、今申し上げましたような乳製品と市乳の現状において消費がされておるわけでございます。妙手というものは、やはり今の酪農界の状況から見まして、乳製品の種類におきはしても非常な変化かございます。たとえば数年前には現在におけるようにアイスクリームの普及というようなことは想像されなかったことであります。また粉乳というようなものの消費も非常にふえておるのであります。これらはしかも急速に変化を来たしておるわけでありまして、乳製品の消費におきましても今後ますますふえていく可能性があるものと考えます。
  78. 石山權作

    ○石山委員 長期経済計画の中で、いわゆるわれわれの食生活というものと農業経済というもののあり方は、当然もっと論究されなければならなかったし、一つの方針が打ち出されなければならなかったのですが、あの経済計画書を見れば、なかなかよくやっているなというふうには私たちには思われませんです。今度の法律の提案内容の一つとして、利益金はおおむねこの乳製品の愛用方の宣伝に使うということは、私も大いに観迎するものだが、それにしても私は、農林省あるいは商工省あるいは厚生省、こういうふうなところのエキスパートの方々がそれぞれ寄り合って、やはり一つの方針を立てるべき時期がきていると思うのです。つい去年まではパン食を必ず三回に一回は食べなさいということを盛んに宣伝しておったのです。パンを食べると、まさかみそ汁でパンはちょっと食えません、やはり牛乳を飲まざるを得ないでしょうし、バターをつけなければならない。こういうふうな一つのめどというものを何ぼか出しておかないと、漫然として乳製品は生活の向上とともに進むなどといっても、私はこれは運動方針にならないと思うのです。たとえはソ連の農業を改革するのにフルシチョフは三年たてばバターの製造がアメリカを追い越すと言い、そういうような合言葉で一生懸命酪農を進めるとか農業の改革をやるというふうなことをやっておる。日本の場合でも私はやはりそういうふうな、だれでもうなずけるような合言葉を用意して、そして酪農振興に乗り出さなければ、今の局長の御答弁のように、どうもはっきりしないようですと、私は食生活も改善にならぬだろうし、製品もなかなかはけていかないということは現実だろうと思います。はけないのを学童に乳を飲ませる、こんな安易なやり方ではいたずらに国費を使用して効果が上らないという流通部門が私は生まれてくると思う。そうであってはいけないと思いますがそれに対して今考えておられる需給面の方策を一つお知らせいただきたい。
  79. 谷垣專一

    谷垣政府委員 酪農振興に何か適当なスローガンが必要ではないかというお話でございますが、別にそういうことは私たちの役所の方で申し上げることではございません。ただ五ヵ年計画状況からいいますと、五年後にはミルクが倍になるのだ、年々ミルクの量が百万石以上増産されていくということは一応の見通しとして言えると思うのであります。これがスローガンとなりますかどうかは別でございますが、そういうことは言えるだろうと思います。消費増大の問題につきましては、これは役所がやる問題というよりも、民間その他で努力をされておるわけであります。役所の方といたしましても、この酪農の振興が生産面あるいは消費の面におきまする非常に重要なアイデアを持っておりますから、十分にこれに対する努力をいたさねばならない、かように考えております。
  80. 石山權作

    ○石山委員 生産の方はお役所が責任を持つけれども、消費の方は民間団体が一生懸命やっているというふうな言い方では、私はそれはのがれ口だと思うのです。それはいけない。やはり計画をお立てになるには、生産者から最終の消費までいく——厚生省ではわれわれのからだの目方まで計って骨格を的確につかむというのが一つのやり方だと思う。ですからスローガンというものを今持っていなくても、私はそういうふうなことを早く求められることを要求しているのでございます。  次に私はお聞きしたいのだが、これはやはり参考人の一人から意見があったのですが、乳価についての試算がなされているかどうかということを参考人が言っております。それがなされていないので、乳価は何ぼで作り上げればいいのかわれわれは困っているのだが、乳価の算定を今までおやりになったことがございますか。
  81. 谷垣專一

    谷垣政府委員 乳価の問題は、これはいろいろ問題がございます。これは、乳価は幾らがいいかという具体的な数字を出したことはございません。ただ生産費調査等は数年来続けております。今までやっておりまする対象農家の数等が非常に少い、もう少しこれを広めなければいかぬというわけで、三十二年度からは、従来約百戸程度、あるいは多いところでも二百戸程度のところでやっておりましたものを、約一千戸に近い対象農家というように広げて正鵠を期しておるわけでございます。生産費調査その他はやっております。
  82. 石山權作

    ○石山委員 需給、流通の安定のためにこの基金をお使いになるとすれば、当然乳価の支持価格というものが想定されなければこの需給流通をうまくやるということはできないと思うのでございますが、その点についてはいかがでございますか。
  83. 谷垣專一

    谷垣政府委員 需給の問題等にこの基金が直接タッチをするわけではございませんけれども、それぞれの資金の運用をこれによって円滑化するわけであります。従いましてたとえば滞貨がふえまするような場合におきましても、これでやっていくというような力がふえるわけであります。あるいはミルクの供給が非常にふえていくというような場合におきまする、これの乳代の支払いをこういうものがやっていく。通常の運転をいたしておりまする場合は、あるいはこういうものの必要度が少いかと思いますが、急激な変化の参っておりまするようなときには必要が大いにあるわけでございます。
  84. 石山權作

    ○石山委員 それでは、非常にむだな努力を繰り返さなければ安定ということはなされ得ないのではないか。特に、今の局長の考え方でやるとするならば、大へんに大きな資金がなければそういう需給のバランスをとるということ、価格維持を保つということはおそらく不可能だと思いますが、そうではありませんか。
  85. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この基金で直接に価格支持をしようというふうには考えておりません。基金のワクが十億になりますと、あるいは出発時六億というかっこうでいきますと、これの債務保証限度が五倍と見まして、出発当初約三十億、五年たちましたあとは五十億、こういうことになるわけであります。この数字は、従来の状況から判定いたしまして、正常な在庫というものがそれ以上に超過いたしまして一種の異常在庫的な様相を呈する場合があるわけでありますが、そういうものに対する対策の金額といたしましては大体その程度のものでやれるであろう、かように考えております。
  86. 石山權作

    ○石山委員 私たちは、この法案は弱小の農民あるいは弱小の企業家をかなりに擁護してもらえるものだというふうに考えておったのですが、局長の説明を聞いていますと、どうもそういう点があいまいになりそうでございます。つまり農民の場合には牛乳の支持価格がなかなか求められない。支持価格を中心にして調整を行うという意図があれば農民の方々はいいと私は思いますが、そうでない場合には、おそらくそのときそのときの経済の情勢によって動かすというのでありましょう。そうしますと、そのときの経済の情勢というものは弥縫策にならざるを得ないと思うのです。そうすると弥縫策にならざるを得ない場合に利害得失のはっきりするのは、資本力の小さい者が被害を受け、資本の大きいメーカーが暫定措置の間に割合に利益を多く得るという現象が生まれてくる。これは今までの経済の統制と自由の間を縫ってきた戦争以後の経済界を見ていれば、よくお互いが理解され得ることだと思います。それが今度の基金法によって見た場合においても、そういうことがまたぞろ行われております。しかも法律の名前の下で行われていく危険性があるのではないかと思いますが、そういう縣念は要らないのでございますか。
  87. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この基金は、これでもって価格支持までやろうということを考えておるわけではありません。ただ二十九年、三十二年の状況がありましたように、乳製品の滞貨がありますと、当然に乳製品の価格が下って参ります。そうしますとそのことはすぐに原料乳の価格の低落を来たさせる格好になるわけであります。これは二十九年、三十二年の状況にもはっきりそれが出ておるわけであります。そういう場合にこの基金運用によりまして滞貨の維持というもの、あるいは乳代の遅払いという状況が起きた際においても生産者団体に対しての債務保証という形において、再生産をやりますような資金をある一定の期間は確保できるという形になるわけであります。そういう意味におきましての価格問題に対する一つの安定をこれがやることになるかと思いますが、幾ら幾らの価格を支持するという形においてはこの基金ではできない。もし支持価格のようなものをやるといたしますれば、もっと基本的に、問題の考え方を違った形でやっていく必要がある、かように考えております。
  88. 石山權作

    ○石山委員 私は今の全般の経済の動きとか、法律を作られるいろんな面は、かなりに計画経済的な理念の入った要素で、法律解釈なり経済が運行されると見ております。特に米の問題などは私はそのいい例だと思っております。私がなぜ支持価格というふうなもの、乳価の試算というものにいろいろ注文をつけているかと申しますと、酪農振興のことを考えますと、生産者一つの熱意を感じさせ、不安を与えないためには、かなりに官僚統制のそしりを受けるかもしれませんが、どうしてもある日月、たとえばこれは三ヵ月でもいいでしょうし半年でもいいですけれども、乳価の支持価格というものが現われてくる仕組みでないと、酪農振興法というものは思った方向に進んでいかないのではないかと思うものですから、何回も申し上げるわけです。それに対しては、あなたの方ではどこまでもそういうふうな考えはないとおっしゃるのでございますか。
  89. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御存じのように、酪農状況というものが生産と消費ともどもに非常に躍進的に伸びておる状況でございます。また乳製品の種類にいたしましても、種々変化をいたしております。こういうふうに非常に成長期にありますものに価格支持という形のものをやりますのは、もう少し検討を要するのではないか、もちろん価格支持そのものが不要だというわけではございませんが、十分なる検討を要するのではないか。またそういうことをいたします場合におきましては、現在のように自由な経済の行われておる場合におきましては、その仕組み、機構その他について十分なる対策を必要とするかと思います。またミルクという商品の性格上保存もなかなかきかないものでございますので、これもまた十分な考究を要する問題である、かように考えておる次第であります。
  90. 石山權作

    ○石山委員 乳というものがいろいろな形に変化をするのでございますから、全部が全部一つの規格にはめるということは、現在においては妙味はもちろんないのでございますけれども、いずれの産業を見ましても、第一次産業というのは一番荒っぼく働いて一番利益のない仕事なのです。いわゆる産業構造上からいえば、一番搾取をされる。最終的段階の巧妙をきわめた工作を経た製品ほど利益があるというのは、これは何を見てもその通りでございます。乳の場合には生乳生産者の農民が一番被害というと語弊があるかもしれぬけれども、搾取を受けるような要素を持っておるわけなのです。ここを中心的に援助をしてもらえないと、先ほども言ったのですが、かなりのいい水田をば酪農に転じて、総合的な日本の農業をば改善しようとする農民のその気持が失われていくことを私はおそれておるわけです。どうしてでもこの支持価格的なものが将来とも認められない、やることは今の段階では不可能だとするならば、それにかわるような安定策が当然ここに生まれてこなければならぬ。今までの局長の説明を聞いていますと、この支持価格的なものに対応するきちんとした安定策か説明されていないように思うわけであります。もう一ぺんその点に関して説明を伺いたい。
  91. 谷垣專一

    谷垣政府委員 酪農に関する安定をいたしていくための施策はいろいろあろうかと思います。具体的に価格支持そのものをずばりとやる、こういうことは現在の段階においては、私たちはまだできないであろう、十分なる検討を要する問題でおろう、こういうふうに申しておるわけでありまして、全然それが不可能という言い方をしておるわではございません。検討を要すべき問題だと申し上げておるわけであります。やはり酪農状況から申しまして、これに対する安定策としてはいろいろな対策がとられております。たとえば農家の側におきましては、それの飼養管理費を安くする、生産費を安くする方法を講じてやったらいいじゃないか、これに対する政策はいろいろとられております。あるいはまた農民の組織といたしましての農協等の共販の組織を十分に強化さしていくための指導、あるいは現在行われておりますような集約酪農的な形におきまして、飼養密度を高めていく。さようにいたしまして工場に集めまして、その工場が十分に合理的にやって生産費を安くさせていくことができるようにする。また消費の面におきましても、学校給食とかいうような対策を講じていっておるわけであります。この酪農振興基金も、やはりそれの対策の一つということに相なろうかと思います。従いましていろいろの安定策というものはとられておるわけでございます。今申し上げておりますように、何十円あるいは何十何円の支持価格だから、この価格を支持しろ、そういう意味の価格支持そのものずばりの対策が現在とられていない。これは今後段階に応じて考える必要がある、こういうふうに考えております。
  92. 石山權作

    ○石山委員 どうもこれは私の杞憂かもしれません。今のままでいけば生産者も困るし、中小乳業処理者も幾つかが合併して、そのうち何ぼかがつぶれて、そういうふうに何回かの動揺と犠牲を経なければ、なかなか酪農振興の本道に乗らないような気がしてなりません。もちろん資本主義の世の中だからといえばそれまでですが、地ならし工作とか、弱いものは殺してしまえとかいう上に乗っからなければ振興が行われないとするならば、それは振興というものも見せかけになるわけでございます。私たちはそういう非常に無理な競合をして、強いものだけを残して、弱いものはやむを得ないのだ、こういう考え方で酪農振興は行いたくないというのでございます。ですから、いろいろな事情かあるにしても、この場合法律をお作りになるのでございますから、きちんとしためどをつけたようなやり方で酪農振興をば指導してもらいたいのでございますけれども、どうもそういうふうな方向にいかないのは非常に残念でございます。この問題はおそらくあなたとかなりお話をしても、相当行き違いがあるのではないかと思いますので、一応打ち切ります。  法文に戻って一つお聞きしたいのは、いろいろやってみて役目を果したという場合もあるだろうし、どうもうまくいかなかったという場合もあるだろうと思いますが、いずれにしても解散するということになった場合、この法律には出資額限度に応じて配分する、こういうふうになっております。そうしますと、何か残っていたものは全部使い果して、そうして限度額に応じるというのですか、それとも残った分は国庫が吸い上げてしまうというやり方でございますか。
  93. 谷垣專一

    谷垣政府委員 第四十四条に関します御質問かと思いますが、四十四条に明記いたしておりますように、債務を弁済して残余財産がありますときは、出資額に応じて分配をいたします。ただしそれを出資者に分配することのできる額は、その出資額限度といたしております。それ以外の財産が残っておりますものをどうするかというようなこと、このことはその解放の場合におきまして、別に法律を作って国会において御審議を願いまして、それによって規定していこう、こういうわけでございます。従いまして残余財産がありましたものを国庫に全部帰属させるのか、あるいはもっとそれを乳業界のために使用するのか、どういうようなやり方でやるかということは、その場合におきましての国会の御審議を仰いできめていく、かような考えでおります。
  94. 石山權作

    ○石山委員 この法律から見ますと、何だかありったけの財産を分配するというふうに見えますから、そうしますと、無理して財産を残さない工夫をするだろう。そういうふうなことであってはおもしろくないものですから、その出資額限度とするということが二項にうたっているわけですね。ですから、限度というふうなことを考えてみますと、無理をして出資額の採算に見合うように出資が行われるだろう、出費が行われるだろう、こういうことを私は懸念したわけですが、そういうことにはなりませんか。
  95. 谷垣專一

    谷垣政府委員 基金ができますれば、基金運営に当りまする理事各位あるいはそれと関係いたしております関係官庁といたしましても十分に基金の機能を発揮させるように運営してい、かれることと思いますし、また監督官庁としましてもそういうことを期待いたしておるわけであります。従いまして基金が十分なる運営をいたしまして、その結果としてだんだんと財産が少くなることもございましょうし、あるいは余剰金がそれにつけ加わってふえるということもございましょう。要は基金目的に沿いました軍営をやつて参りたい、かように考えております。
  96. 石山權作

    ○石山委員 これは政務次官にお聞きをいたしますが、酪農振興はこの基金のみによるものではない。この基金のみでは非常に少額であるということは、これはお認めいただけると思います。いかかでございますが、それは間違いないですね。酪農振興に関しては、この酪農基金のみでは少額であるし、目的を達することができないのだということは、お認め願えますか。
  97. 本名武

    本名政府委員 酪農振興対策の全体の予算としては、これは今日の段階においてわれわれはまだ増額いたしたいという考えでおります。しかし財政その他の事情によって三十二年度は御決定いただいたような予算の範囲内にとどまるわけでございます。ただ御指摘基金といたしましては今日の段階においてこの法律による運営に必要な基金といたしましては不足だとは考えて、いない。むしろこれによって基金運営は相当の効果をあげていける、このように考えております。
  98. 石山權作

    ○石山委員 これからおそらく政府のよい指導のもとに酪農振興はどんどん進むだろうというふうに考えておりますが、それが想定されたように進んでいって、需給、流通の部門においてかなりの問題が起きてくるだろうと思いますが、その場合において一番われわれがとっつきやすいのは学校給食の問題でございます。これは一番妙手だと思います。今局長から何回も聞きますけれども、これ以外の妙手というものはなかなかない。あっちこっち寄せ集めて全体の上にふんわりした形で食生活の改善が行われれば、ふんわりした形で生活向上が行われれば、大へんいろいろな問題が起きてくるというふうな意意見のように私は聞いておりますが、一番の妙手である学校給食の法制化あるいは学校給食の増額、こういうふうなものに対してあなたは幹部としてどういうふうなお考えを持っていられるか、お聞きしたいのでございます。
  99. 本名武

    本名政府委員 先ほど来のお話もございましたように、われわれとしても乳価の支持価格を初めとして諸般の安定対策を検討いたしております。御指摘のように学校給食は相当の多額な国費をもつてやることでありますと同時に、生産者もこれに対する恒久的な持続を希望している、これも当然だと思います。そうして御指摘のように妙手の一つであるとも考えております。ただ問題は、日本の牛乳の需要量というものが非常に少いというところにわれわれはこの乳価対策というものを新しく考えていかなければならない。従って支持価格をきめたからそれで安定するということではなくして、生産も需要も伸しながら、その上に立って安定策を講じたい。それには学校給食を初めとして、いろいろな方法があろうと思います。これは検討いたしております。その一つとして、私は今度御審議いただいております基金制度というものは、しいて言えば、まさに妙手の一つであろうとも考えておるわけでございます。自余の妙手につきましては、先ほど局長も申し上げましたように、今後において十分検討をいたしていきたいと考えております。
  100. 石山權作

    ○石山委員 これは次官に対して私の要望になると思いますけれども、先ほど局長にも言いました、乳価の安定対策としまして、いわゆる支持価格のような格好のものを、やはり農林省としては考える必要があるのではないか。それから、一つの運動の仕方としまして、厚生省あるいは文部省、農林省等がそれぞれお話し合いをなさいまして、適確なものといってもなかなかないでございましょうけれども、やはり民間協力する意味においても、乳製品を多く使うことは食生活の改善にもなるし、国民の体質にも非常に影響するものだというふうなことを、それぞれまとめる必要かあると思う。それは学問的なりっぱな本でなく、普通一般の家庭にまかれやすいような格好のものをまとめる運動を進めていただかなければ、生意は上っても、使う方がそっぽを向いているというような格好になると思います。次官は大へん若いのでございますから、私の言い分は割合に理解していただけると思うのですか、この乳製品を多く使うということは、われわれの生活をちょっと上げてもらえばいいと思う。私はこういうふうなことを、内地の市場を多く開くとか、内地市場を開拓するとかいうふうな言葉を使ってもいいと思いますが、まだまだいろいろな面で、ストップとか何とかいうようなことを心配しないでも、どんどん使い得る内地市場はあると思います。その内地市場をよくする、食生活をよくするということになりますと、少しく生活向上をするような政策をしていただけば、牛乳が売れないとか、バターが残ったとかいう声は、私はあまり聞かなくても済むのではないかと思う。これは一つのいやがらせではない。私はほんとうにそう思っている。バターをあまり心配しないで、気楽にパンに塗るような生活、バターでいため御飯を食べられるような生活、こういうふうなことは、皆さんの政党の幹部の方々がその考え方になれば、私はそう心配なく行われるものだと思う。もとの方がびっしり詰まって、上に詰めようというても、それはいうところのふん詰まりで、あんなに消化のいい牛乳が、腹にもたれてなかなか消化ができないというのが、今の現象だろう思います。どうぞ通じのよくなるように、一つ施策をしていただけば、牛乳があまり売れないとかなんとかいう心配はないじゃないかと思いますので、この点大いに要望しておきます。
  101. 中村寅太

    中村委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  102. 中村寅太

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。三月下旬の異常低温及び雪害による全国的な農業災害について、議員足鹿覺君より発言を求められておりますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認めます。足鹿覺君。
  104. 足鹿覺

    足鹿覺君 大へん貴重な時間でありますので、簡単にお願いを申し上げたいと存ずるわけであります。先ほど鳥取県知事の遠藤さんからるる御陳情がございましたように、去る三月の二十八日から三十日にわたりまして鳥取県下全域にわたって、三十センチないし多いところでは五十センチの異常な降雪がありました。引き続いて、氷点下五度、六度という異常な低温が続きましたために、県下全般にわたって農作物、果樹、また葉タバコ等に甚大な被害を与えたわけであります。その被害の実情等につきましては、先刻陳情もありましたし、また実物で果樹の果芽がやられたものについてもごらんをいただきましたので、私はこれを省略いたしますが、ただいまも話しましたように。県下で今判明しております被害額が約千億を突破するだろう、まだまだ被害がふえるような状況であるようであります。皆さん方からごらんになりますと、十億の被害かという程度にお考えかもしれませんが、貧弱県の鳥取県としましては、農家にとっては非常な致命的なものでありまして、非常に心配をいたしておるような次第であります。聞くところによりますと、昨日の理事会にもお願いを申し上げました際に、農林当局も全国的に被害があるようなお話をお漏らしになっておりまして、まだ正確な状況はつかんではおられないようでありますが、これはただ単に鳥取県のみのことではなくして、全国にまたがるこの種の被害があるようにも大体推察できるのであります。従いましてこの点につきましては、農林省とされましてもすでに御調査が進行し、相当の資料もつかんでおいでになることと思いますし、また今後も十分御調査をいただきまして、被害の実態がなるべくすみやかに把握され、天災融通法の対象として取り上げられることなどを中心としまして、各種の被害農家に対するところの対策、また被害を最小限度に食いとめていただく技術上の措置、いろいろお願いをしなければならぬのではなかろうかと思うのでありますが、この点についてあとでもまたいろいろと事情が判明いたしますならば、それぞれ緊急対策の概要についても伺えることとは存じますが、まずとりあえずこの事態を申し上げまして、早急に御善処を願いたい、かように存ずる次第でありますが、政府としての御所見をこの際承わりまして御善処を願いたい、かように存ずる次第であります。幸い本名政務次官もおいでになっておるようでありますので、よろしくお取計らいをいただきたいと思いますが、この際御所信を承わっておきたいと思う次第であります。
  105. 本名武

    本名政府委員 三月末の全国的に各地に見ました雪害並びに低温被害は非常に異例なことでございまして、われわれも心配をいたしておるのであります。第一回の概況の報告を現地から受け取りまして、さらにその被害の大きくなるであろうという予想が見られましたので、被害をこうむった農家の方々を初め被害者に対し衷心お見舞申し上げるとともに、これが対策に万全を期さなければならないと考えておりますが、ただ第二回目の報告が、これは統計調査部をして調査をさせておりますが、五日に参ります。さらに十日には第三回目の報告、二十五日ごろには最終的な報告がまとまろうと思います。ただ時間がかかるようでございますが、御承知の通り、こういった被害の調査は、被害当時の実情だけでは判断しにくい面もございますので、日を追って状況をつぶさに調査しながら対策を立てて参りたいと考えております。鳥取県を初め、御説の通り特に西日本においてこの被害が大きいということでありますので、その点に特に重点を置いて調査をいたしております。なお天災法の適用につきましては、被害の状況や実情によりまして努めてこれが適用の上、対策の万全を期したい。いずれにいたしましても、詳細な報告を至急逐次取り寄せて対策をとりたいと思います。
  106. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま本塩政務次官からいろいろと御所信を承わりました。まず五日に全国的な第一報が参るということでありますが、どうか一つ現地の実情もよく御調査をいただきまして——ちょっと最近例のない被害のケースでございます。すでにお聞き及びだろうと思いますが、ことしは暖冬のために果樹にしろあるいはその他農作物にしろ、西日本の方においては特に生長が早かった。委員長のお手元にも差し出しておりますように、ナシにしましてもカキにしましても、花芽が相当普通よりもふくらんでおる。そこへ一尺以上の雪が積り、三日間にわたって氷点下何度という低温が来ましたために、ナシのごときはもうすでにつぼみが相当ふくらんでおりまして、よく見ますと中のずいが完全にやられてしまっておる。全く処置がないのではないかと案じておりますし、カキのごときは、ただいまも知事が申しましたように、外見はまだつぼみが相当かたいのでありますが、よく見ますと全く乾燥して、枯死状態になっております。そういうような実情でありまして、いろいろと技術上における応急あるいは将来の樹勢を挽回し、将来に備えるためにも、特に技術上における御指導も仰がなければならぬのではないかと、私どもしろうとでありますけれども痛感をいたしておるわけでありまして、その点も十分御配慮をいただきたいと思います。特に委員長におかせられては、貴長な時間を委員外発言をお認めいただきまして、非常にありがたく存ずるわけでありますが、当委員会においても、まだ被害の実情が全国的にわかりませんので、われわれがいち早く御陳情申し上げ、お願い申し上げておるわけでありますが、どうか委員会としても大きくこの問題を取り上げていただきまして、すみやかなる適切妥当な措置を講じていただきますよう、一そうよろしくお願いを申し上げて、私の質問なりお願いを終りたいと思います。どうもありがとうございました。     —————————————
  107. 中村寅太

    中村委員長 酪農振興基金法案を議題といたし、質疑を続行いたします。芳賀貢君
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 基金法の内容に入る前に、昨年の秋、牛乳、乳製品需給調整対策についての政府の諮問に対する答申というものが、農林大臣の諮問に答えまして酪農審議会から出されておるわけであります。この審議会の答申内容は、今後のわが国の酪農振興の上においてもある種の具体性を持っておるとわれわれは考えておるわけでありますが、今回の酪農振興基金法の法制化の問題あるいは酪農振興法の一部改正というような問題にもからんでこの答申はなされておるわけでありますけれども、この答申の主たる内容と、この答申を政府としてはどのように尊重されて施策に移されておるか、その点をお尋ねいたします。
  109. 谷垣專一

    谷垣政府委員 今お話しの昨年の酪農審議会からの答申でございますが、これはお手元にその資料が参っておりますので御存じのことかと思いますが、種々な点に触れております。具体的な対策といたしましてうたっておりますものは、生乳取引の合理化、それから需要増進の問題、さらに酪農振興基金の設置、そのほかの設備等の問題、こういう点にわたって触れておるわけでございますか、これらの答申に対応いたしまして、政府の方といたしましては必要な部分を予算化し、あるいは必要なものの立法化をいたして参っておるわけであります。この対策に対します答申を受けまして以来、政府の方でやりました措置といたしましては、当時の状況から見ましても、大カン練乳等を中心とした乳製砧等の保管、たな上げ、それから一月から実施いたしました学校給食の実施、さらに当時乳業者が経営資金等におきまして困っておりましたのに対する融資のあっせんというようなものをやって参ったわけであります。三十三年度の対策といたしましては、引き続きましての学校給食の実施あるいは酪農振興基金の設置、こういうような点につきまして施策を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 実は赤城農林大臣がおれば、当然これは農林大臣の責任において、今後の酪農施策をどうやるかということを明確にしてもらうべきなんですが、ソ連の方に行っておるのでこれはやむを得ないと思いますけれども、この答申の中に盛られておる内容というものは、今回の政府の、単に酪農振興基金法だけを今国会に出すという程度では非常に消極的だと思うのです。先般酪農振興法の改正はどうするがという点に対しては、政府としては今国会に提案する意思はないということが明確になりましたので、われわれとしては、そういう政府の熱意のない態度である場合においては、むしろ基金法の審議もこれは考えなければならぬというふうに思ったのでありますが、とにかく委員会に付託されておるので基金法の内容についても審議を現在進めておるわけなのですが、午前中の委員会においての本名政務次官答弁によっても、酪農基金の設置だけでこの酪農の問題の解決ができるのではないということが表明されたわけなんですが、問題になる生乳取引の合理化の問題であるとか、乳価の安定施策というものは、今回の国会の中においては明確に出てきていないわけです。このことについては酪農民は非常に失望しておると思うんです。それでおりますからして、これらの点に対しては具体的にどうするかという点をお述べ願いたいのであります。さらにこの審議会の答申の中に、生産費を低減することによって需要の増大をはからなければならぬということを述べてあるのでありますが、コストの低減化ということになると、当然生産費の中で相当大きなウェートを占めるところの飼料の問題ですね。購入飼料の価格の引き下げの問題であるとか、あるいは自給飼料の増産の問題等の対策というものは、これは当然立法化をしなくてもやれる事柄なんですが、こういう点に対しても何ら具体的な措置が講ぜられていないと考えられるわけです。特にふすまの価格等は、先般お出しになった資料を見ても、大体ふすまの適正価格というものは、われわれは六百円ないし六百五十円程度というふうに考えておるのでありますが、それが現在八百円くらいの線になっておるということになると、こういう飼料価格というものが適正価格よりも相当上回って取引が行われておって、これを全く放置しておるということは、政府としても怠慢であると思うのです。こういう点に対してはどのような対策を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  111. 本名武

    本名政府委員 ただいまお話通り、私どもは生産から加工、流通消費に至るまでの合理化をはかって、特に生産の維持と価格と安定を期したいということは当然でありますが、同時にまたこの法案のみによって、いわゆる基金のみによって事足れりとしておるのではないということは前回も申し上げた通りであります。ことに酪振法改正を並行して提案して提案し、御審議をいただきたいという気持は当初持っておりましたが、前回も申し上げましたような事情で、今回ただいままでに間に合っておりません。従って御指摘のような生産費を初めとしてのいろいろな問題についての御心配があろうと思いますが、これらについては決して放置いたしているわけではなくして、限られた財源の中から、飼料の対策であるとか、あるいはその他生産費に直接間接に関係のある処置を講じまして、これが自的を達成しようと努力をいたしているのでございますが、午前も申し上げました通りに、われわれとしては、まだまだ不足でありますけれども、そのことは今後において一そう努力いたしたいと考えております。なお詳細については局長の方から御説明申し上げたいと思います。
  112. 谷垣專一

    谷垣政府委員 答申にありますように、生産費を低減いたしまして、その結果として消費を拡大していくという点でございますが、もちろん工場におきまする生産費の低減の問題もあるわけであります。ただいま御指摘になりましたえさの問題につきまして御説明いたしたいと思いますが、御存じのように乳牛を飼養いたしまする中で、購入飼料によりまする分野をできるだけ自給飼料によってまかなっていくようにいたしたい、こういう考え方で自給飼料あるいは牧草等の栽培の普及指導をいたしてきているわけであります。三十三年度におきましても、その点におきましての従来の施策と変りました点は、草地改良、主として牧草地の改良になると思いますが、今までの野草地を牧草化する等の草地改良の面におきましては、従来展示施設というようなやり方にとどめておりましたものを、今度は正式に事業化をいたしましてやっていくという形に切りかえて参ったわけでございます。大体一億七、八千万予算で今年度からそういう新しい形にやって参りたいと考えております。さらに牧草の種子の問題でございまするが、牧草の種子に関しましても、従来からやっておりまするような国の原種圃、それから各農家に委託採集をさせまして、そしてそれを供給する、こういうやり方をやるわけでありまするが、これに対しましても、国の原種回あるいは原種圃のもう一つ前の原々種圃と申していいかと思いますが、原種圃に入れますところの牧草を、より確実な形で優秀なものを栽培いたしまするような、原々種圃と申しまするか、そういう式の圃場で国の種畜牧場の中に増反さしていきたい、かようなことを考え予算措置をそれぞれ講じておる次第でございます。なお購入飼料の問題につきましては、ことに酪農に関しまする購入飼料の問題点といたしましては、ふすまの問題があろうかと思いますが、ふすまの問題は昨年に引き比べまして、今年は政府はこれに対しまする供給力を十分にふやして参って計画を立てておるわけであります。さらにそのほかに低質小麦をもちまして、専門にふすま増産のための工場を指定してやって参るというようなことを計画し、実際に運転をいたしておるわけであります。なおこれらの飼料にとどまりませずに、化学飼料と申しますか、たとえば尿素を適切に使って蛋白源としてのえさの代替に充てるというようなものも新しく指導して参ってきておるわけでございます。ふすまの価格の問題でございまするが、御存じのように、最近におきましてはふすまの価格が若干の値下りを示してきています。このことは政府の方で売り出しまするふすまの量、また払い下げまする度数をふやして参っておるということと、また民間におきまするふすまの輸入数量がふえて参ってきております。それらの事情によりまして現在のふすまの価格は若干先安の状況に推移しております。この状況は当分続くものと私ども考えている次第であります。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この購入飼料の場合は、せっかく議会で飼料需給安定法というものがあって——これは昭和二十七年からできたのですよ。そういう法律根拠があるのですから、政府は熱意をもって飼料の価格の調整をはかるということであれば、相当期待に沿った効果は現われるわけなんですが、こういう点に対して農林当局は非常になまぬるい態度を持っているとわれわれは見ているのです。何か特別な事情があるわけですか。飼料価格というものを一定の正常の状態に押えるということは、これはやれることなんだけれども、それをあえて積極的にやらないということには、これは何らかの特殊事情か何かあってやらないと思うのですが、どういう理由なんですか。
  114. 谷垣專一

    谷垣政府委員 ふすま飼料の価格は、飼料需給安定法に基きましてそれぞれ売り出しておるわけでございまして、このふすまの問題に関しましては、一昨年の秋からの状況が値が高くなって参ったのでありますが、これはあの際におきましての、国内におきまするいわゆる米の増産がありまして、そのために粉食の方への進度が少くなったということ、それからスエズの問題が惹起いたしまして、そのために海運関係が非常に乱れたというような状況がございました。そのために極力海外からのふすまの輸入をはかったわけでありますが、それに対する十分なる対応ができないままになって参ったのであります。その後の事情といたしましては、海外の事情も相当違って参っておりますが、かなりの数量を輸入いたしまして、ようやく先安の状況にまで市場の相場を冷やして、かようなことに相なっているわけでございます。なお現在のえさの価格の状況は、お手元に資料をこの間差し上げたと思いますが、大体におきましてみな最近におきましては安い形に相なっております。トウモロコシのごときものは、実は数年にない低い価格を示しておる、こういう状況であります。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかく世界的には農産物が過剰傾向なんですから、いわゆる外国から飼料等農産物を輸入する場合も、これは漸次廉価な飼料を輸入することは可能なんですね。ですから逐年飼料の値下りということが行われるべきにもかかわらず、この表を見ても、たとえば昭和三十年の七月から三十一年の十月までの間は、ふすまに一例をとると、大体六百円の線をたどっておるわけですね。それが三十二年に入ってからずっと上昇しておるということになるわけだけれども、その間スエズ問題等の若干の理由があるとしても、世界的な情勢から見れば、飼料価格というものは、輸入に依存する分については低廉な飼料が輸入できるということに当然なるわけです。そういうところにやはり十分注意をして、一つこの飼料の価格の引き下げを行うことによって、たとえば生産者の乳代の中で占める飼料の部面のコスト引き下げが行われるということになれば、実質の所得というものはふえることになるわけですから、そういう点に対しては、やはり政府としても特段の措置が必要だと思うのですよ。ただ基金運用の中で、生産者団体に対してはえさ資金の不足が基金の債務保証によって借りることができるというようなことは、これはむしろ本質的な問題でないと思う。やはり農民が一番望んでいるものは、生産する場合に必要な経費ですね。飼料なら飼料の適正な値下げというものを強力にやるという措置の方が期待に沿うのじゃないかと私は考えているわけです。  次に牛乳の取引の改善の問願なんですが、結局取引の改善ということは、乳価の維持とかあるいは適正化ということに通ずると思うのです。こういう点に対してもあまり積極的な指導とか施策が進んでいないわけです。先日配付されました資料を見ても、地帯別にいって非常に乳価がでこぼこになっていますね。たとえば生乳、飲用牛乳の場合においては宮城県が最低で四十六円、最高は長野県の六十六円ということになって、やはり二十円の差が一升につきある。それから加工原料、原料乳の場合においては、最低が北海道の四十円、それから最高が島根の六十円ということでやはり原料乳の場合においても一升で二十円の差があるというようなことは、これは地域の情勢というものは、市乳地帯あるいは原料乳地帯によって条件が違うということは十分わかるわけなんですが、しかし一升について十円も二十円も差があるということになると、これは実にゆゆしい問題だと思う。ですから乳価の安定とかあるいは乳価の最低価格を維持するような対策を講ずる場合においては、全国的なでこぼこな乳価というものを、一体どの程度に適正化するかということが非常に大事な点でないかと思いますが、これに対しまする具体的な措置はどう考えていますか。
  116. 谷垣專一

    谷垣政府委員 お手元に資料として配付いたしましたものによってごらんを願ってもおわかりのことと思いますが、各地々々の値段に非常に差がございます。もちろん生産費も差がありましょうし、そのほかに需給の関係というものからくる値段の問題もあるかと思います。ごらんになりますように非常に違いがございます。従いまして全国で一本の価格というものはなかなか出ないものだと思うのであります。もちろんたとえば、生産費の調査にいたしましても、名地の状況を集めまして、そうして平均して出すというようなことはできておりますし、可能でありますが、それだけでは実情に応じたものにはなり得ない、かように考えております。乳価の問題以外の取引の問題につきましては、文書契約の履行でございますとか、あるいは共販の態勢を強化させる指導でありますとか、あるいは農協の組織を十分に強めていくやり方でありますとかいうようなことを指導して参ってきているわけであります。今後ともにこういう点については、十分なる指導を加えて参りたい、かように考えている次第であります。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の言うのは、全国を一本価格にせいというのではなく、それは地域差とか市乳とか原料乳による差というものは当然あるわけです。しかし何らかの根拠を求めて、そうして最低の乳価なら乳価というものを算出して、それを維持させるということは当然必要だと思うのです。ところが現在まで各地における生産者乳業会社の乳価交渉等を見ても、明確な業者の間を共通するところの乳価の算定の根拠というものがないのです。そこに欠陥があると思う。ですから乳価の安定をはかる場合にも、適正乳価とか最低乳価の算定の根拠というものを明らかにして、それが一つの基本になって乳価交渉とかが行われるということになれば、現在よりも取引の改善というものは数歩前進するのではないかと思うわけですが、いかがですか。
  118. 谷垣專一

    谷垣政府委員 今御指摘になりましたような乳価を算定する場合の基準あるいは条件と申しますか、そういうものをきめたらどうかというお話でございますが、確かにそういうものがきまれば非常にけっこうなことだと存じます。またそういう努力をする必要があろうかと思いますが、今何分にも地方におきまする取引の文書化ということ自体が十分にされておらない状況でございます。あるいは文書化をいたしましても、その間に、たとえば期間でありますとか価格算定いたしまする種々の条件でありますとかいうようなものが、まだまだ十分に整っていない状況にございます。たとえば飲用乳の場合と加工乳の場合と非常に価格差があるわけでございまして、そういう用途別の価格というようなことも、まだごく一部の地帯しか実際問題として取り上げていない状況でございます。そういうような点について今後手を入れまして、一つの価格を作ります場合の基礎的な条件というものを固めていく必要があろうかと存じております。これは今後におきまして検討し、あるいはそういうような指導ができますればけっこうなことだと考えております。
  119. 芳賀貢

    ○芳賀委員 しかし何か具体案というものは研究してあると思うのです。ですから乳価を決定する場合、たとえば生産費を基本にした方式もあるでしょうし、あるいは需給価格というものにウェートを置いて、そしてやや逆算するような方式で生産者価格をそこから算出するとか、幾つかの方式はあると思うのです。そういうものを全然研究しないでおいて、むずかしい、むずかしいと言ったって、それじゃ何年たったって具体案ができないじゃないですか。そういうことを検討したことはあるのですか。
  120. 谷垣專一

    谷垣政府委員 乳価のもとになります生産費調査その他は、御存じのように農林省といたしましては続けてきておったわけであります。ただこれにいたしましても、現実には三十一年までは対象の農家の戸数というものが百戸程度のものであったわけであります。こういう程度のものでは生産費調査に十分なものとは言えないと思います。そこで三十二年度からはこの対象戸数を千戸近くに引き上げまして、生産費調査が確実なものになるように努めて参っておるわけであります。また各メーカー生産者との取引の問題にいたしましても、なるほど脂肪の検定はありましょうが、それ以外の問題につきましてはまだ十分なる規格その他ができておりません。そういう点につきまして今後指導して参りたい、かように考えております。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本名さんにお尋ねしますが、私の今言ったような点は、やはり今後の酪農政策上大事な問題だと思うのです。政府は全く努力しなかったのですが、今後酪振法の改正をやる場合においても、内容を充実するとすればやはり乳価の問題とか具体的な取引の問題であるとか、紛争の調停、あっせんとか、そういうことは当然やっていかなければならぬことなんです。これは農林大臣がいないからやむを得ませんが、政務次官としてはこういう点に対してどういうふうにお考えになっておりますか。各地を回ったような場合には、酪農問題、乳価問題についてはどういう演説をやっているか、いかがですか。
  122. 本名武

    本名政府委員 農林省か今日まで努力しなかったかどうかという御判断はおまかせするといたしましても、現実に結果から見まして効果を十分に現わすことができなかったことだけは私は率直に認めなければならないと思います。そのことは実はな届けていたということなのか、あるいは新しく特に赤城農林大臣になりましてから酪農振興に力を入れようとしたその構想と申しますか、方針と申しますかこれが非常に強く、しかも広範にわたったために、従来の対策だけではこれが満足するようなわけには参らないということもあったりいたしまして、これらのことから今日ただいまの結果から見ますと、御指摘のようなお考えをお持ちになるのも無理はないと思います。けれども、先ほども申しましたように、決して漫然といたしておるわけではなく、また局長もお答え申し上げましたように、それぞれ今後において積極的に検討し、さらに充実していきたいという念願であると同時に、ただいまもある面においては、相当積極的に検討いたしまして、近い機会に酪振法を諮って、それぞれの施策についてまた御検討、御批判をいただくようにいたしたい、かように考えております。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に共販態勢の問題なんですが、この点については、先般畜産局長から公取委員会農林省の間において了解点に達した酪農問題の諸点に対しての説明がありまして、それが文書の形で配られておりますが、きょうは公取の事務局長並びに芦野委員の出席を願っておるわけでありますので、この機会にこの文書の内容に対して、これは今後の法案の審議上非常に重要な資料になりますので、明確にしておいてもらいたいと思う。  そこで委員長にお尋ねしますが、横田公取委員長が退任されて、今度は長沼さんが委員長になったのですが、実は新任委員長にも出席してもらってこういう酪農問題についての公取の所見等も聞きたかったのですが、現在まだ御出席がないようですが、今日出席が可能であるかどうか、一応確かめてもらいたいと思います。
  124. 中村寅太

    中村委員長 公取委員長は今外に出ておって連絡がつかないそうです
  125. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では次の機会に委員長の出席を求めて、公取委員長にも酪農の問題に対する勉強を相当しておいてもらわなければいけない点もありますから、委員長のことに対しては次の機会に譲ります。  そこで問題か四つ出されておりますが、第一点の公取委員会委員である芦野さんの談話の問題につきまして、当農林委員会は昨年決議を行なっております。この内容にも触れておりますので、この芦野談話で問題になりました酪農の共販というものは、原則を条件付委託販売でなければならぬというような表現に対して、当委員会はそれは誤まりがあるということを指摘したのであります。今回の発表によると、この条件付委託販売というものは共販の原則ではないというふうに改められておるわけです。これは非常に大事な点だと思いますので、まず農林省にお尋ねしますが、こういう見解の一致は、共販というものは条件付委託販売が原則でないということであれば、その原則はどういう形かということになるわけなんですが、この点に対して明確な御答弁を願います。
  126. 谷垣專一

    谷垣政府委員 共販の場合に何が原則かというお話でございますが、無条件で販売を委託する場合もございましょうし、あるいは条件をつける場合もあろうかと思います。どちらの方が原則になるかということは、別に私の方で積極的な指導はいたしておりませんが、現実の問題といたしましては、大体において出荷先というふうなものはきまっておるわけでございます。あるいは価格等の問題にしましても大体においてきまっておるわけでございます。従いまして条件付、無条件という意識なしに大体は無条件ということになっておるのが実情ではないかと思います。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは局長率直に言ってもらわぬと困るのです。共同販売というものはどういう形が原則であるということがわからぬということはないでしょう。少くとも農林省に籍を置いておる以上、あなただって農協部長もやったことがあるし、この文書に表われている点は、条件付委託販売が共販の原則であるとは農林省公正取引委員考えておらぬというのだからして、原則は別にあるということになるのじゃないですか。
  128. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この表現の問題は、要するに条件つき委託販売が共販の原則とは考えていないということでございまして、それ以外に原則があるかないかということまでは触れていないわけでございます。農協の販売をいたしまするような場合に、協同組合の考え方からしまして、あるいは販売をいたしまする条件をよくするという意味合いからいたしまして、できれば無条件委託販売という形で組合員か組合に委託するということがこれは望ましいことかと思います。そうして市場の状況その他の判定を、組合のそれに当りまする当事者がやっていく言いうことが形といたしましては指導的に考られておるかと存じます。ただこれは商品の性格にもよるところが多いのでございまして、それでもって一律にいくかどうかということはだいぶ問題がある。北海道のたとえば雑穀類というようなもの、これを無条件でそれじゃ委託販売をやれといって、どの程度に実際にやれるか、これは商品の性格の問題もあろうかと思います。ただ市場で販売いたします場合に、その責任を負わされた者といたしましては、無条件販売委託を受けた方がやりいい、それの方が全体としてはずっと的確に商機がつかまえられると思います。ただそういうものは品物の性格あるいは組合員の市場に対しまする判断等によりまして変ってくることが多いのではないかと思います。ミルクの場合におきましては、実情は無条件で委託しておるという形の方が多いと思います。
  129. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は畜産局が高度集約地帯に対して指導要綱を示しておるのですが、それによると共販組合を設立して、その地域の集乳事業等は共販組織を通じて行うべきであるというような具体的な指導を行なっておるわけなんです。ですからそうなると、必ずしも無条件委託ということが大原則でないとしても、やはり大よそ無条件委託販売というものが主体である、たまたま条件付の委託販売も行われるということで、主と従の関係というものはこれはおのずから判断ができると思うのです。ですから原則がないということになれば、主体はどういう形になるかということになると、やはり協同組合を通じての、いわゆる組合員が組織した協同組合に組織員である組合員が農産物あるいは牛乳の出荷を行なって最も有利に販売するというところに目的があるから、やはり組合と組合員の相互関係というものは共同の行為だと思うのです。ですからやはり方向としては無条件委託販売ということが建前になる、この程度の断定はできるでしょう、いかがですか。
  130. 谷垣專一

    谷垣政府委員 ミルクの場合はほかの商品の場合と少し違いまして、継続的な行為になると思います。従いまして条件といい無条件といいましても、一定期間そういう継続した行為が始まります以前において組合と組合員との間に意思表示があろうかと思うのであります。一たんきまりました場合には、これはその間自由なときに勝手に条件を変えるというわけにはなかなかいきにくい、またそうあっては混乱を生ずる、かようなことになると思うのです。従いまして継続した行為でございますから、その委託をいたします当初においては、いろいろな意見が出て参ると思います。またそういう意見が発表されてしかるべきものだと思います。しかしそれの委託が始まりましてからの状況といたしましては、これは継続して同一の個所なり何なりへ持っていくということが建前になる、かように考えております。途中で自由に条件を変えまして、あそこへ持っていくここへ持っていくというやり方は、組合の共販運動の実態、ミルクの実態といたしまして不適当であると考えております。
  131. 芳賀貢

    ○芳賀委員 現在は酪振法等の一つ効果といいますか、地域的に共販組合ができて、その地域の中における生産者が組織した協同組合、単位農協ですね、これらが共販組合に加入して、乳業者生産者との間における乳価交渉のごときもそういう形で現在行われておるわけなんです。ですから個々の牛乳生産者乳業者との間における直接取引というものは、全然事例がないわけではないが、共販というものを考えてみた場合には、そういうケースはほとんどなくなってしまう。そうすると乳価交渉の場合には、共販組合とか協同組合が生産者の立場を代表して、利益を代表して会社側と折衝して有利な条件で価格をきめる、そしてその期間を定め文書契約によって取引を行うということになるから、どうしても売り先をきめたりあるいは価格を指定したところの条件委託販売というものは、牛乳の場合においてはそれほどの必要がないということにすでになっておると思うのです。ですからそのことを公取委員会においても認められて、このような統一の見解が発表されたというふうに私たち理解しておるわけでありますが、この点に対しましては芦野さんの御意見はいかがですか。こういう文書がこの間配付になっていますが。
  132. 芦野弘

    ○芦野説明員 ただいまお読みになりました文書の条件付委託販売の件に関しては、ここに書いてある通りで、それから畜産局長がその解釈を述べられましたが、私も全く畜産局長が述べられたことと同じように考えております。
  133. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで芦野さんにお尋ねしますが、御承知の通り当農林委員会において昨年の四月二十六日に酪農振興対策と私的独占禁止法の運用に関する委員会の決議を行なっております。この中には主として、当時たまたま青森県の三八集約酪農地域の指定問題等をめぐって、これが独禁法違反の事実であるということで審判が開始されておったわけてすが、たまたまこのような公取委員会の態度というものは、その根源は農協法あるいは酪農振興法、あるいは独禁法等に対する、公取と農林省当局の解釈等に不一致の点がある。そこに基因しておる面が非常に多いということを委員会指摘いたしまして、これに対する是正を求める内容の決議が行われたわけであります。たまたまこの決議の中には、昭和三十一年の十一月七日に、公取委員である芦野談話という形で発表になりまして文書の中に、今私が指摘した共販問題に対する部面があるわけでありまして、この点が今回の農林省と公取の了解点の中で是正されたということになるわけです。この点は公取委員会として是正されたというふうに私は考えておるのですが、もちろん委員会委員である芦野さんにおかれても、これはその通り表現を今度は是正したということになったと思うわけですが、この点はいかがですか。
  134. 芦野弘

    ○芦野説明員 芳賀委員の仰せの通り、公取委員会としても是正したわけであります。ただこの是正という言葉でありますが、これは昨年の御決議にも、誤解を一掃するよう是正することとございまして、昨年やはりこの委員会において申し上げました通り、私の談話は最初からいわゆる条件つき委託販売を否定する趣意ではなかったのでありますが、そういうふうに誤解されたり、あるいはそういうふうにわざと曲解して、これを利用したというような向きもあるように承わったのでありまして、この機会におきまして、それは誤解であるという点を明らかにいたしたわけであります。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に文書の第二点ですが、これは共販態勢の育成、確立のために、農協または連合会と組合員との間の専属利用契約の締結を促進し云々ということになっておるわけです。この専属利用契約の締結を促進するというのは、どういうような意味を持っているのか。
  136. 谷垣專一

    谷垣政府委員 従来の実際のやり方を見ておりますと、法律でいっておりますような形の専属利用契約は、なかなか行われていないと思います。従いましてこの法律によりますような専属利用契約というものを、実際に行わしていったらどうか、かように考えておるわけであります。法律でいっております専属利用契約という格好になりますと、おそらく組合と組合員各個の間に契約させるということになろうかと思います。従来そういう形のものは、形式的にはあまりなかったように思います。あるいはそれの条件であるとかいうようなこと、そういうようなこと、そういうものは今後指導していきたい、こういうわけであります。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは先般委員会において問題になりました、たとえば農協法の十九条二項の問題ですね。農協法が示しておる、組合と組合員との間における専属利用契約、それを現行の形のもとでそういう契約を締結して、強力に共販態勢を進めていく、そういうことですね。これはいかがですか。
  138. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そういうことでございます。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうなると、先般局長も言った通り、十九条の改正を、たとえば酪振法の改正の場合にやる必要があるというような意思表示があったのですが、そうすると、公取と農林省の見解が一致すれば、専属利用契約等の問題についても、現状の規定において十分やっていけるということになるわけですか。
  140. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御存じのように十九条問題は、むしろ十九条の二項の方の問題が議論される問題だと思います。現在のように、十九条二項というものにはっきり書いております以上、現行法のもとにおきます専属利用契約をいたして、その実行を確保する方法というものには、おのずから限度があろうかと思います。これから私たちの方で指導していきたいと考えておりますことは、もちろん現行法の範囲内の指導ということに相なると思います。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二項がまだ生きているのですから、現在の規定では組合員に専属利用契約を義務づけるということは、ちょっとできないわけです。そうならぬのですか。
  142. 谷垣專一

    谷垣政府委員 十九条二項でいっておりますものは、専属利用契約をしないということをもって、組合の施設利用を拒否してはいけない、こういう趣旨のものであったと思います。ですから、そういうところに触れるものはできないと思いますが、しかし、この専属利用契約を、組合と組合員との間に契約をいたしまして、そしてそれに対して違約があったような場合には、その契約の内容として、違約金を取るとかいうような形は、これはできるわけであります。また違約をした場合を考えなくても、契約という形を通じまして、組合と組合員との間の専属利用契約というものが強固になっていく、これは当然考えられることかと存じます。そういう意味においての指導をやって参りたい、かように考えております。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に第三点、これは問題になる点ですが、酪振法に基いた高度集約地区の指定制度は、結局酪農振興計画というものがその地域に立てられて、中心工場というものが指定されるわけです。中心工場は百五十石の集乳というものが一つの目標になって設置されることになるのですが、この三点からいうと、中心工場に出荷することを制限したり、中心工場以外の工場に牛乳を出荷するということを、別に規制しているのではないというふうに、これはうたっているわけです。ですから、その地域の生産者は、中心工場へ牛乳を出してもいいし、あるいはまたそれ以外の工場に出荷してもいい。あるいはまたその地域に中心工場として指定された以外の工場が建設されても、それも差しつがえない、こういうような意味の表現だと思うのですが、この内容はいかがですか。
  144. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御指摘通りに、法律解釈としてはその通りでございます。ただ酪農地域を指定する場合におきまして、政令その他で基準をきめているわけであります。その際には、そこに組合の共販という形かできているということを一つ予定をいたしております。また中心工場を決定いたす場合、あるいは酪農の指定地域をやります場合に、計画を持ってこさせるわけでございます。その計画自体は、これはその地帯における農民あるいは団体諸君の意見を聞きまして、そしてその計画が持ち来たされているわけでございます。従いましてその中心工場へミルクを持ってくるというその計画自体は、その地帯の農民か承認をした形のようになっております。従いまして中心工場に持っていくことの法的な強制とかいうものはどこにもございません。ございませんが、指導的にも、また現実問題としまして、農民の意思に沿った計画という形になって出てきておりますので、中心工場にミルクが集まるということになる、かように考えております。
  145. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは法律的には特別の制限とか、規定を設けるわけにはいかぬけれども行政的には酪農振興法に基いた農林省の当初の方針というものをそのまま堅持して、今後やはり行政的には当初の方針通り進めていく、そういうことなんですか。
  146. 谷垣專一

    谷垣政府委員 その通りでございます。
  147. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に第四点の問題は、青森の三八集約酪農地域の独禁法違反の事件については、今後とも公正取引委員会農林省と緊密な連絡協議を行なって、酪農振興に十分な注意を払いながらこれを処理するということがここにうたわれておる。現在まだ三八地区の問題は審判係属中であるというふうに考えますが、どのような協議とか連絡をつけながら、この問題の審判が進んでおるか、この点に対して芦野委員から経過等について御説明を願います。
  148. 芦野弘

    ○芦野説明員 御承知の通り三八問題の雪印乳業事件に対する被疑事件については、昨年の二月審判開始決定をいたしまして、四月でありましたか、第一回の審判を開きまして、特に慎重に委員会が直接審判に当っておりまして、自来何回やりましたか、かれこれ十五、六回公用審判を開きまして、この間に五十九人の関係者参考人として審尋いたしまして、このほどやっと参考人の審尋を終りまして、いわゆる結審をいたしました。これからその証拠に基いて審決を書く段取りになっております。なおつけ加えて申せば、農林省と緊密な連絡協議を行うこととし、審決の結論はもとよりこれは私ども公取独自の結論でいたさなければならないことでございますが、しかしいろいろ酪振法ともからみ合っておりますので、これらの精神であるとか、農林省運用の方針であるとか、これについては十分必要に応じて農林当局の御意見も伺い、その御趣旨も入れて審決する段取りになると思います。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今のお話で大体わかりましたが、もちろん審決は公取の権限で行うことは言うまでもないことですけれども、それに至るまでの間、この問題のできた原因とか、いろんなそれに関連した実情というものは、これは酪農問題でありますから、そういう場合には、農林省の立場、あるいは酪振法であるとか、あるいは農協法等の見解とか立脚点というものが、非常に食い違っておる場合においては、同じ政府機関内部においても不統一というものが生まれるものでおるから、そういう点に対しては緊密な連絡とか協議をその過程において尽して、最も公平妥当な結論が出るようにわれわれは期待しておるのですが、そこで局長にお尋ねいたしますが、この問題に対して農林省としては、公取委員会に対してどのような連絡とか意見とかを述べて、そうして農林省の立場を正しく公取のこの問題の処理に反映するように努めておるか、内容についてお述べを願いたい。
  150. 谷垣專一

    谷垣政府委員 結審あるいは審決自体は委員会の方でなさることでございまして、ただ当時の事情でございますとか、あるいは酪振法の解釈とかいうような問題は、随時こちらからも参り、あるいは向うの係官等もおいでを願い、こちらの事情を御説明申し上げて、向うから御質問があればそれにお答えする、こういうことでございます。
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し具体的に、どういうところに問題があって、その問題についてはどういうような意見を述べたとか、そういうことをもう少し明らかにしてもらわぬと、ただ連絡したとか、話し合いをしましたと言っても、内容がわからぬのです。
  152. 谷垣專一

    谷垣政府委員 先ほど来御説明いたしておりまするお手元に配っておりますような了解をとってきておるわけでありますが、これらのものを一つの問題として、両方で協議をいたしておったわけであります。あといろいろの調査は向うでなさいます。その経過につきまして、これはどういうふうな意味農林省がやられるか、そういうような点につきまして連絡をいたしておる、かようなことでございます。
  153. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうも内容が不十分ですが、それじゃ審判中に農林水産省としてあるいは証人とか参考人というような形で出席して、農林省の見解を正式にそういう場所で述べられたということはないですか。
  154. 谷垣專一

    谷垣政府委員 農林省の担当官が委員会にも参りまして——これはたしか正式の参考人と申しますか、証人と申しますか、そういう形になって出席してやっております。そのほかのことは別に正式な委員会の審決の内容として、そこに召喚されてどうという形のものではございません。
  155. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体わかりました。それじゃ公取の関係はきょうはこれでけっこうであります。  法案の内容について二、三お伺いしておきますが、第一の点は、基金法の一番のねらいはたとえば乳業者の場合は、どの階層に重点を置いてこの法律運用しようとしておるか、その点。
  156. 谷垣專一

    谷垣政府委員 法律運営の問題といたしましては、やはり資金の需要がありまするが、それに対する信用が手薄であるというような事情、その他の事情から考えまして、中小企業でありますとかいうものが運用上の重点になる、かように考えております。法律上形式上におきます重点という形にはなりません。運用上は当然そういうことになるかと思います。
  157. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは第八条にも出ておりますが、一、二、三号にわけて大メーカーあるいは中小メーカー並びに乳業を行う協同組合という形になっております。結局この基金制度ができて出資者に債務保証を行うということになるわけですから、その業務運用上から見ると、債務保証を行なって、信用の度合いがこの出資者に高まって、そうして金融等の措置が順調に講ぜられて、企業が円滑化するということが一番のねらいだと思いますから、これは弱体化しておるところのメーカーとか、乳業を行うところの協同組合等に重点を置くということは当然なことになると思うわけです。それでこの基金業務の内容等を見ると、非常に幅が広過ぎて、重点がどこにあるかちょっとわからないのです。ですから間口だけを広げるというのもけっこうでありますが、制度上から見た場合に、最も重点をどこへ置くかということが明確になっていないと、せっかく基金制度ができても期待に沿ったような運営とか成果が上らぬと思うのです。その点が業務の内容等についてまだ明確になっていないので、その辺の内容をもう少し詳しくお述べを願いたい。
  158. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この基金の重要な働きを期待いたしております一番の重点ば、生産と需要との間に均衡が破れたような場合、従いまして具体的には乳製品等の市場が悪くて、ある程度滞貨を持たざるを得ないようになっておるような時期が、納入価格の切り下げという形になって農民の方にも影響が出てくるわけでございます。さような場合に、この基金が十分なる働きをするように期待をいたしておるわけであります。従いましてそういう際に十分みち働きのできるような運営をいたしていかなければならない、かように考えております。また大カン練乳の免税廃止等の問題が出ておりますし、また事実中小企業の方では大カン練乳の製造設備を改良したり、あるいは他の装置に切りかえたりする経費が必要でございます。従いましてその設備資金も重点的に考える必要かある、かように考えております。運営重点はそういうことになると思います。ただ平常から全然そういう資金が要らないという筋のものではございませんので、平常の場合の資金の融資等の債務保証にも利用することがあろうかと思いますが、ただ基金本来の性格は、冒頭に申し上げましたようなところが重点になって参りますので、十分それに相対応するだけの余力をたくわえておく必要がある、かように考えております。
  159. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると大別して、不況の条件が生じた場合の基金の役割か  一つと、それから通常の需給面の正常な取引等が行われるため、それも通例の業務をやるということに分けて考えていいわけですね。
  160. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そういうふうに考えていいと思います。
  161. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その不況条件というものは、どういう現象になった場合にそういうことになるのですか。
  162. 谷垣專一

    谷垣政府委員 不況条件はどういう条件になったときにいうかということは非常にむずかしい問題で、常識的に考えるほかに方法がないと思います。通常考えておりますのは、二十九年あるいは三十二年の状況のようなことになるわけでおりますが、在庫量は平均いたしますと大体各月同じ姿を出しております。一ヵ月あるいは一ヵ月半くらいの在庫があったような場合には、これは通常の形かと思います。それ以上になりました場合にはやはり滞貨がふえておる、こういうことになろうかと思います。滞貨だけで見るわけにはいきますまいと思いますが、滞貨だけから見ますとそういうふうに考えられます。それから冬と夏場においても条件が違いますので、一がいに平均を在庫量だけで議論はできませんが、これが業界の通常の判断でいけば出てくるのではないかと思います。言葉で簡単に常時と申しておりますが、どこまでくれば常時であるかというようなことは常識的な形で判断していくべきだと思います。それの事業量その他の算定は、私たちの方では在庫が一ヵ月半くらいなら通常在庫、こういう形で、それ以上の在庫がある場合のことを予測いたしまして、それを事業計画数字的なものとして考えていく、かように考えております。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、基金運用上から見ると、やはり不況条件に対処するための基金運用というか、そういう条件が出てくればこの基金が発動されるような準備と用意が必要なわけですね。通常の業務として基金運用されるということになると、そのウェートはどういうことですか。通常の業務の方に全部の基金が出払ってしまえば、麻痺状態になってしまうから、不況条件が生まれた場合に何らそれに対処する基金の働きができないということになりますね。この点は非常に大事だと思うのです。ですからその運用比率をどういうふうにやられるか、これは大まかなことしかわからぬと思うのですが……。
  164. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御存じのように、北海道は少し条件か違うかと思いますが、一般的に考えますと、夏場商品がはけてくる、冬場在庫がふえてくる、こういうことになろうかと思います。それでそういう運転資金の貸し出しをします債務保証の期間の限度は、大体今半年と考えております。普通でいきますれば、やはり滞貨のふえます時期から春あるいは夏先くらいまで考えれば、そういう事情は解消するのが通常ではないかと思います。また問題の起きますのもやはり秋から冬にかけてのところから問題がはっきりした形になる、こういうのが通例ではないかと思います。従いまして大体年間の波は秋から冬にかけてのときの状況で、半年持てば、夏場には何とかなる。こういうことを繰り返すのではないか、かように考えております。従いまして今の非常時用にどれだけ持つかということになれば問題でございますが、むしろ片方の設備資金は少し長く寝ますから、そちらの方との比率考えていけば大体いけるのじゃないか、かように考えております。
  165. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今言われた設備に対する問題と、それから二十九条の三項に該当する、主として生産者ですが、この生産者に対するいわゆる生乳の生産に要する資金というのが対象になるわけですね、こういうものの内容を明確にしておく必要があると思うのです。ですから設備に対するものとか、あるいは滞貨に対するものとか、生産面に対するものとか、それから不況の事態が生まれた場合に、どうするかというような問題、大まかに分けてとういうような比率でこれをやっていくかということを伺いたい。
  166. 谷垣專一

    谷垣政府委員 今御指摘のこまかいところまで実は今案が固まっておるわけではございませんが、設備の問題と運転資金の問題、これは債務保証をいたします期間が違っておりますから、区別して考えていく必要があると思います。大体設備の債務保証は当初五億くらい見たらいいだろう、こういう考え方でおります。従いましてほかのものは運転資金ということになろうと思います。六億出ますとあと二十五億くらいのものは運転資金として見ていく、かように考えております。そのほかの二十九条三項のものをどういうふうに見るか、どの程度充てるかということでございますが、それに対しましてはまだ私の方ではっきりした数字考えておりません。この事態の発生しますのは、大体において乳製品等の滞りができた時期と軌を一にする場合が多かったと思います。またそれぞれの出資状況考えなければならぬし、出資者に対する債務保証考えながらやっていかなければならぬ、かように考えております。
  167. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第三号の場合は、生産者団体に債務保証をして資金の貸し出しを容易にさせるが、むしろ乳代の支払いか困難なる事態ということになれば、これは当然メーカー側において滞賃が生じたということになって、乳代の支払いができないということになる。ですからそういうような乳代の支払いが不円滑になった場合、生産者団体に債務保証をして資金を借り入れさして立てかえ払いのようなことを個人の組合員にさすのが妥当か、滞貨を持っておるところのメーカー側に基金から資金の貸付が行われるような状態を作って、そして乳代の支払いをスムーズにやらすか、方法は二つあると思うのです。この点はやはり基金の本旨からいうと、生産者側に荷物を負わせるということはできるだけ避くべきではないかと思うのですが、局長はどう考えますか。
  168. 谷垣專一

    谷垣政府委員 私たちも御指摘のような同様な考えを持っておるわけであります。乳業者の乳代が滞るというのは、乳業者にまず適正に乳代を払わせるということが先になることだと考えております。ただ生産者の場合をこれで考えておりますのは、やはりこれによって生産者自体の出荷する能力——今までひもつきでいろいろえさ代や何か実際上もらっておるものがあろうかと思いますが、そういうものがこういう形になりますと、系統金融を利用する場合におきましても、はっきりした自分自身の足で立っていけるということになろうかと考えております。
  169. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでこの三号の生産者団体の場合ですが、分類すると総合農協と特殊農協と二つになるのです。総合農協の場合には、単に乳業とか生乳の取扱いだけをする協同組合ではないのですから、これは資金的にはそれほど不自由はしないと思うのですけれども、特殊農協の場合、酪農協のような場合に、系統利用というものは果してどの程度行われているのですか。たとえば信連に加入する状態とかあるいは系統利用の度合いというものは、全体の特殊農協の中でどの程度系統利用を完全に行なっておるか、あるいはそれが行われていないか。この問題はやはり資金運用上大事な点だと思うのです。
  170. 谷垣專一

    谷垣政府委員 全体といたしましての特殊農協の系統金融利用度がどのくらいになるかという問題、これはあるいは経済局の方でそういう数字を持っておるかもしれませんが、酪農だけに関しましては、まだ私たちの方で全体的な数字を持っておりません。ケース・バイ・ケースで問題を考える以外にないと思いますが、系統金融はたとえば地方によって違うわけでありますが、総合農協等の関係その他で、信連等に対しまする利用が非常に高い特殊農協もございます。しかし必ずしもそれだけではない状況でございますので、それぞれの具体的な場合によって考える必要があるのではないか。これはかなり県のそれぞれの団体の間の事情等によって違う状況を呈しております。
  171. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは特殊農協の場合でも、県の信連とか販連とかそういう農協の連合会に当然加入しておられるのです。ですからほとんど大部分が加入しておるということになると、系統を通じたところの資金の融通とか、運転資金も入りますが、あるいはまたえさや何かの取扱い等についても、系統利用というものが現実の問題として相当行われておるということになけば、これはやはり系統内において処理できる問題が非常に多いのじゃないかと思うのです。その連合会等に対する加入の度合いは非常に少くて、系統以外の金融機関に依存したり、あるいは取引しなければならぬという実情であれば、これは今の段階においては基金考えるということにもなるが、そういう実態を全然把握していないで、生産者団体基金の結びつきをどうするということは、これはいささか粗漏な点かあると思うのです。
  172. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この系統金融を利用するのは当然だと考えております。これは責務保証ですから、どうせどこからか金を借りなければならぬ。組合が特殊組合であろうと総合農協であろうと、とにかくできるだけ系統金融を利用していく。これは当然なことだと思います。ただそれだけで不十分な場合が生じているわけであります。それに対しましての債務保証考えていく。あるいは系統金融自体におきましても責務保証の必要があるわけであります。それは開拓金融でありますとか、そのほかの金融も債務保証があるわけでおります。そういう意味でこれが許されている、かように考えております。
  173. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そのような系統に所属している場合は、系統内において金融等もまかなえるということが望ましい形なんです。系統内部で全く信用を失って、系統以外の資金に依存しなければならぬ、それも系統からも信用されてないから系統外の機関からはさらに信用がない、そこで債務保証を受けて金を借りなければならぬ、こういう事態になると、これらの協同組合言はよほどの不信組合ということなるわです。そういう組合あるいは非常に劣悪な中小メーカーが、この基金制度ができたことだけによって実際に信用度がどの程度高まるかということは研究してありますか。
  174. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これができましてどの程度信用力が高まるという試算はまだやっておりません。ただ現実の問題といたしまして、酪農をやっている組合、またはそういう地帯が非常に経済力の豊かな地方のみとは限らないというのが実情であります。組合自体の問題といたしましてそういうことがあると思います。これもまた現実問題ではございますが、系統組合の中で信用がある、ないということがあります。現実問題としては感情論その他のためになかなか融資のできない場合もあるかと思います。そういういろいろな場合が現実問題として生じております。
  175. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、この点については経済局長に出席してもらって、系統に所属している特殊農協に対する取扱い問題を検討する必要があると思います。  さらにお尋ねしますが、乳業者に対する必要な設備の新設または改良に要する資金ですが、これはどの程度のものを言っておるわけですか。
  176. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この法律で書いておりますのは、どの程度ということを言ってないわけでありますが、当面運用の問題といたしましては、大カン練乳問題から考えておりますので、事実大カン練乳の生産はかなり減ってきておりますが、それの設備を転換する、あるいは新しいそれにかわる施設を作る、こういうものが重点にならざるを得ない。あとは資金量によりまして判定をしていく、かようなことになっております。
  177. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、大カン練乳の製造施設の転換については、この二十九条一号のロで示したこの資金の保証を行うということになるわけすね。それ以外のものについては、設備の新設とか改良に対する資金は対象にしないということですか。
  178. 谷垣專一

    谷垣政府委員 大カン練乳の改装施設だけを見るという趣旨で申し上げているわけではございません。ほかの施設も見ます。見ますが資金最の問題もございます。当初考えておりますのが、大体五億といたしますれば、やはりそれによる制限がございます。単に大カン練乳だけを考えているわけではない。現在いろいろ言っておりますのは、中小企業の方でも総合工場的なものを作りたいという計画を持っております。こういうものも当然単に大カン練乳だけの問題ではございませんで、一つの対象として考えていいのじゃないか、かように考えております。
  179. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは中小企業に対しては設備の新設または改良に対する資金も対象にする、そういう範囲ですね。大メーカーに対しては対象にしないのですか。
  180. 谷垣專一

    谷垣政府委員 大メーカーを除外するという考え方ではございません。資金量の限度もございますので、実際の問題としてどういうふうにやるか考えなければならぬと思いますが、今頭の中で考えられております点は、当然そういう要求が出てくるものと考えられますのは、先ほど来申し上げたものでございます。大メーカーのものを排撃するとかいうことを言っているのではございません。問題は保証料の問題もございますので、果して大メーカー保証料をつけてこういうものを要求するかどうか、これも実際やってみなければわかりません。
  181. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは大メーカーを排撃しないというが、おそらく対象にならぬというのですか。
  182. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これはやってみないとわからないと思うのですが、大メーカーの場合におきまする設備資金はほかから融資を受ける可能性が非常に多いのではないかと考えております。保証料をつけてこの金を利用する度合いは少いのではないか、かように考えておるわけであります。決してそういう区要求があった場合に、それを拒否するということではございません。実際問題としての、要望が少いのではないか、かように考えております。
  183. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから間口が広過ぎるのですよ、これは。先ほど局長の言ったように、大カン練乳製造の施設転換に要する資金なら資金ということで限定していくとすれば、それでもうすっきりするし、それから合理化を進める場合の設備か劣悪な中小企業等に対しては、設備改善のための資金を対象にするとか、その限界というものは明らかにしなければ、大メーカーは対象にしないわけじゃないといっても、その限度というものが明らかにならぬと、不安がそこに生ずると思うわけです。ばく然とした根拠であれもそうだこれもそうだということになれば、間口だけ広がって結局その運営に支障が来たすということになるのですね。
  184. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この問題は、先ほど申し上げましたように、設備資金の問題は運転資金の分野にどういうふうに見るかということで、何といいましても運転資金に対しまする債務保証がこの基金重点になるわけであります。それに支障のない限度の金額というものは、余裕がどのくらいあるかということから設備資金を考えなければならぬ、かように考えております。従いましてその中でどれを優先順位に持ってくるかということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、大カン練乳の免税措置撤廃いうことからきておりますこともございますので、そういう切りかえのものが優先順位としては高い順位になるのじゃないか。表からずっととっていって、そうして資金ワクが一ぱいになってしまえばそれでなくなっちゃうわけですから、優先順位としてはそういうことになる、こういうことでございます。
  185. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だからその資格に条件を加えればいいと思うのです。たとえば出資者であっても資本金が何千万円以内とかなんとか、そういう特に大とか中ということを規定づけるる必要はないのですがね。とにかく経営力の弱い、合理化の進んでおらない企業等に対して、この設備資金を出すということになれば、その資格条件というものはやはり明らかにしておく必要があると思うのです。たとえばこれは法律にうたわないとしても、その業務運営の方法等にそういうものを規定するとか、きちっとしたものかなければこれは運営できないと思うのです。いかがですか。
  186. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これはおそらく基金ができまして出発の当初においてそういう方針を明確にいたす必要があると思います。これは私たちの方だけできめるわけには参りませんから、実際の基金運営に当ります諸君が、知恵を出してきめていくということになるわけであります。
  187. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは八方美人的に全部に総花的にうまくやりますなんて言ったってできないんですからね。だから限界をなるべく整理して、こういう点に重点を置いた場合において乳業界の全体の安定度合いが高まる、あるいは取引の改善ができるというところに大目的というものを置く必要があると思う。大メーカーの場合だって、中小メーカーが不況条件のもとで経営が困難になって製品の投げ売りとか何とかやるような事態が来れば、やはり大メーカーの経営に直ちにひびいていくし、またそれが生産者側から見れば乳価暴落の一つの原因になるわけですからね。ですから好ましくない条件を包蔵している弱い層に対して強いてこ入れをやるというのがこの基金制度の本旨だと思う。ですからそういう場合においては、設備資金の対象の分野についてもやはり明確に規定づけを行なって進むのが当然じゃないかと思う。特に先ほどのお話では、三十億のうち五億だけが設備投資の面に考えているということになると、もうこれはいささかのものですからね。当然その内容を限定する必要が出てくると思うのですが、そういう点を明確にする御意思はないのですか。
  188. 谷垣專一

    谷垣政府委員 先ほど来申し上げておりますように基金運営重点は運転資金だと思います。設備資金につきましては大カン練乳の改装施設その他が重点になることと思います。ただほかのところを全部排撃するというわけではございませんが、重点的に見るという格好になりますと、そういうことになる。
  189. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうなると結局運転資金に重点を置くということになれば、牛乳の購入に要する資金その他経営に必要な資金というものに重点を置くということになるですね。
  190. 谷垣專一

    谷垣政府委員 二十九条の一項のイと二項とあるいは三項、こういうところが運転資金の分野に当ると思います。
  191. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから繰り返して指摘しているように、メーカー側と生産者と両方に融通できるようなことをあなたは考えているのですが、二十九条の三項の場合は生産者団体が乳代の立てかえ払いを団体の会員に行う場合においても基金の対象になるということをいっておいて、一方においてメーカー側に対しては牛乳の購入に要する資金に対してはこれはやはり対象になるということをいうている。これがどちらかに明らかになっていれば乳代の支払いというものは順調にいくと思うのですが、どうなんです。
  192. 谷垣專一

    谷垣政府委員 一つのケースに二重払いというか二重に保証するという意味ではございません。ただ乳業者の方でそういうことのやれないような事情になっている場合、こういう場合生産者の方に対して債務保証をする、こういうことを申し上げているのであります。
  193. 芳賀貢

    ○芳賀委員 乳業者乳業代金を生産者に払えない場合においては、これは基金の対象になるのですよ。それで裏ずけをしてやれば牛乳代金というものは生産者に支払いが可能になるのですよ。ですから乳業者なら乳業者に対して牛乳の購入代金の確保の道も講じてやれば生産者団体に対して立てかえ払いの道を講じてやるという必要はないと思う。二重払いということを私はいっているのではない。
  194. 谷垣專一

    谷垣政府委員 いろいろな場合がそれはあろうかと思います。二重払いをやるという趣旨ではない、これははっきりしておるわけであります。生乳の生産をしてそれをメーカーに出します場合、遅払いが起きたりあるいは乳代の支払いがなかったりするような場合が起き得るわけであります。そういう場合は生産者についてでありますが、乳業者に対して生乳の購入資金の債務保証をする、これがもちろん主体になると思いますけれども、それだけではカバーできない場合があり得るわけであります。
  195. 芳賀貢

    ○芳賀委員 乳業者の乳代の支払いが困難な事態ということになれば、製品がストックして、それによって乳代の支払い困難というような事態ができるわけです。ですからそこに滞貨金融というものが行われれば、乳代の支払いが円滑になるということになるのです。そうなれば、生産者団体が乳代の立てかえ払いを基金に依存してやるという事態は解消するのではないか。乳業者が、基金の力を借りても乳代の支払いをすることが不可能である、それで生産者団体基金に依存して生産者に乳代の支払いをするというような事態は最悪の事態であって、生産者団体乳業者から乳代の支払いを受ける可能性かなくなったような事態にしかならないわけです。ですからそういう困難な事態にならない前に、この基金制度というものは救済することになるわけです。だから生産者団体に乳代の立てかえ払い等をやらせるようなことは、なかるベきだと思うのです。
  196. 谷垣專一

    谷垣政府委員 乳代の立てかえ払いをやらなくて済むということになればけっこうであります。ただ生産者の方がいつもメーカーの方から代金の支払いがくるのを当然だ——経済の原則からは当然でありますが、そういう事態が生じました場合に、生産者としては乳代を待ってやるという形において、逆に強い立場が生産者に与えられるということもあり得るわけであります。原料を提供する者が仕掛品の代払いを少し待ってやる、そうすれば当然生産者の方の発言がその後においては強くなっていくことが考えられるわけであります。その場合、そういう運用もまたこれによって可能になると考えております。
  197. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう安易なやり方で、常時運転資金と称して乳代問題だけにこれが片寄っていった場合においては、債務保証による基金制度というものは全く効をなさないですよ。平常の取引の場合においても基金が発動しなければ取引ができないような事態を、むしろ基金制度を設けることによって作るようなことになるのです。これはやってみなければわからぬのですが、問題が非常に出てくると思うのです。だから生産者に債務の重圧がだんだん転嫁されるようなことを防いで、やはり乳代の支払い等に対してはあくまでもメーカー責任においてやらなければいかぬ。それが困難なような場合においては、基金から裏づけをしてやるということであって初めていいわけです。それをやることが生産者団体の発言権も高まるなんということになると、債権者、債務者の力関係みたいなことになって、好ましい姿ではないと思うのです。しかもこの生産者団体というものが大部分が系統に所属しておるということになれば、出荷した乳代に対するそれに見合った融資というものは、これは系統内において運転資金は常に流れてきているので、それもできないということになると、これは特殊な組合以外にしかないということになってくるわけです。むしろ特約組合的なものがこういうことになるかもしれませんが、いかがですか。
  198. 谷垣專一

    谷垣政府委員 その点は十分に戒心を要して運用していかなければならぬかと思います。これは系統金融をやってその上の債務保証でありますから、これでもって系統金融を除外する、そういうことではないと思います。ただ御指摘のところは、十分に注意をして運用いたしていく必要があろうかと思います。
  199. 芳賀貢

    ○芳賀委員 系統関係は経済局長か来たらお尋ねしますが、さらにお尋ねしたい点は、この業務の内容が単に債務保証だけに尽きておるわけなんです。基金の中にはこういう性格のものはありますが、法律の当初にもうたった通り、牛乳の取引関係の改善とかあるいは需給の安定とか、乳価の安定という全体の一連のものがこの基金一つの性格であるとすれば、これは単に債務保証だけに尽きればいいということではないと思うのです。業務の内容というものをもう少し拡大して融資的な業務をやれるようなことにした方が基金制度というものが生産者からもあるいはいうところの大メーカーからも支持されるようなことになると思うのですがね。
  200. 谷垣專一

    谷垣政府委員 今基金業務をこれ以上に広げることは考えておりません。
  201. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば酪振法の改正でも同時にやって完璧を期するというなら話はわかりますが、酪振法の改正はできないということになると、酪振法に期待しておったような諸点についても、できればこの基金制度の中において補っていくという思想も一つは生まれてくるわけであります。ですからそういう場合に、たとえば飲用牛乳の場合とか、乳製品の需要の拡大等に対するそれに付帯した事項等についても、この基金業務として取り上げてやれるようなことになれば、非常に積極的な基金の内容になるのではないかと思うわけなんです。
  202. 谷垣專一

    谷垣政府委員 基金業務を消費増大のところに向けるかどうかという問題でございますが、基金の性格からきますと、少し幅が出過ぎる感じがいたします。ただ基金目的がそういう意味の需給の不均衡という場合の働きを期待しておることが重点になるわけであります。そういう事態がこなければこれまた一つけっこうなことでございます。ただ政府の方としましては、この業務の内容を現在のこの案でいきたい、かように考えております。
  203. 芳賀貢

    ○芳賀委員 こういう債務保証だけの基金制度もあるが、しかしそれ以外の幅を持った基金の制度というのは他に幾つもありますから、不況条件とか、需給の不安定とか、そういう好ましくないような現象が現われて基金が発動する。むしろその発動する以前にこれを防止したり何かするようなそういう一つの行動とか、運動とか、そういうような付随した、むしろ先行したような仕事がこの基金の中で業務としてやれるということになれば、これは非常にいいんじゃないかと私は考えておるのですが、何も出した法律原案を固執するというようなこともないのですから、私の言うのがなおいい案であれば、これは別にあなたが賛成したからといって差しつかえないと思うのです。
  204. 谷垣專一

    谷垣政府委員 基金の目標としておりますような事態がこないようにさせるということ、これは大きく言えば基金の機能、目的としておりますことに沿うゆえんのものであろうと思います。ただこの現在の基金でそこまでやれるかというと、ちょっとやれないだろうと思います。
  205. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それば十分なことはできないと思いますし、それから基金本来の使命からいって別の方に重点を移すというわけにはいかぬですから。たとえば基金運営する上の運用益等も出るし、そういうものはこのままでいけばそれを今度は積み立てておいて基金に繰り入れるということにしかならぬわけですね。ですからそういう運用益とかあるいは業務の一端として本来の業務が支障のない範囲内においてそういうことも可能であるということになれば、むしろいいんじゃないかというふうに考えられるわけです。
  206. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そういうふうになりますれば、基金一つの機能が拡大された形になりまして、終局的には基金目的と大体同じ目的の機能が出る、こういうことになろうかと思います。
  207. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に問題を移して役員の選任の形式なんですが、これは農林大臣が選任するということになっていますが、もう少しこれに民主的な性格を与えるような選任方法はとれないものでしょうか。
  208. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これは基金の組成が大企業あり、中小企業あり、あるいは生産者団体ありというふうに相当に広いわけでございます。またそれぞれの立場があるわけでございます。またこういうような政府出資をいたしておりまする機関につきましては、それぞれの所管大臣が理事の任命をするというようなことが一つの例になっておるわけであります。従いましてそういうやり方で十分に公正妥当な選任をやっていくことが可能である、かように考えております。
  209. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでこの役員の問題ですが、通例からいうと、法律を審議するころには、たとえば理事長とか理事とか監事の人選の内定ぐらいは行われておると思うのですが、この基金の場合においては、農林大臣は不在ですが、役員の人選等に対して内部的にどの程度に進んでおりますか。これはあなたより政務次官の方がいいでしょうが……。
  210. 谷垣專一

    谷垣政府委員 まだそれぞれの出資その他の状況も確定いたしておりません。従いまして人選等はまだ進めておりません。
  211. 芳賀貢

    ○芳賀委員 経済局長が出席したようですから、経済局長にお尋ねしますが、本法の第二十九条、これは業務規定したところなんですが、二十九条の規定の中で生産者団体に対する基金の発動の点が出ておるわけです。その場合生産者団体というのは、御承知の通りほとんどが協同組合でありまして、これを分類すると総合農協並びに特殊農協生産者団体になるわけです。この政府案からいいますと、年産者団体である協同組合に対して、基金が牛乳の販売代金の立てかえ払いをやるとか、あるいは牛乳の生産に要する資金の貸付を行うための行為をやるとか、そういうことが規定されておるわけです。そこでお尋ねしたい点は、協同組合の場合には、たとえば酪農業のような特殊組合の場合でも、これはほとんど府県の信連とかあるいは販連等に加入しておるというふうにわれわれは理解しておる。どの程度この酪農関係の特殊農協が系統の連合会等に加入しておるか、その内容を聞かしてもらいたい。
  212. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 ただいま正確な資料を持っておりませんので、数字的に御説明申すことはできませんが、私の記憶では、連合会には相当部分が入っておる、こういうふうに承知いたしております。
  213. 芳賀貢

    ○芳賀委員 相当部分というのはわからないのですよ。畜産局長も相当入っておると思うという程度で、どのぐらいの特殊農協があって、その特殊農協が何十パーセントぐらい系統に加入しておるか、そういう状態が両局長とも全く不勉強なんです。
  214. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 私問題を承知せずに出てきたものですから、これはすぐ調べて御報告いたします。
  215. 芳賀貢

    ○芳賀委員 じゃその点はあとでいいですが、そこで系統機関に加入している特殊農協の場合、団体の組合員であるところの農民に対する牛乳の生産に要する資金の貸し出し等は、この系統を通じて円滑に行われてしかるべきなんですよ。それができないような事態があって、この基金に依存して系統機関以外の銀行や金融機関から基金の債務保証を受けて条件の悪い資金を借りなければならぬというような事態はそうあり得ないと思うのですが、そういう内容についてはいかがですか。
  216. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 私も員外から金を借りる必要はそうない、こういうふうに考えております。
  217. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ここに問題があるわけなんです。もう一つは、この基金の内容は、経済局長もごらんになればわかるのですが、乳代の支払いの場合、二つの方法がこの基金の中に出ておるわけです。たとえばメーカー側が生産者に対して乳代の支払いを自分の力で円滑にやれないというような場合には、基金に依存して乳代支払いに必要な、あるいは牛乳を購入するに必要な資金の借り入れができるということになるわけですね。それが完全に行われれば、乳代の支払いというものが生産者に対しては行われるということになるわけです。ところが一方においては、生産者団体メーカーにかわって乳代の立てかえ払いをするために、基金保証を受けてそうして金融機関から金を借りて支払いをするということもできるということになっておるわけです。ですからこれは協同組合関係とかあるいは生産者団体の側から見れば、当然その乳代支払いの義務を持っておるところのメーカー側に支払いの裏づけをさしてやって、完全な乳代支払いをできるような処置が行われれば、生産者団体があえて基金の力を借りて立てかえ払いまでしなければならぬという事態は起きなくて済むのではないかというふうに考えておるわけです。これは結局は協同組合関係の系統の中金とか信連が特殊農協に対して冷淡な差別的な扱いをするということになれば、その系統以外からの融資を受けなければならぬということにもなるが、しかし農協法に根拠を置いて特別の使命を持った協同組合が連合会等に加入している場合においても、同じような扱いをするのは至当だと思うわけです。ですからこの間に特殊農協等に対する扱い等に対しては差別があるのではないかというふうにも考えられるのですが、そういう点に対してはどういう判断をしておられるのですか。
  218. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 お話のように、乳代の支払いがしつかりしておれば、それで事足りるのであります。しかしこの取引の状況におきましては、ここで予想しておることは、普通の場合でなくて何らかの原因によって困難を来たした場合にこういう方法もあけておいた方がいいのではないかということで、この規定かあると私は考えておるのであります。これは現在でも系統組織であるから、系統の金は当然貸すべきだという建前ではありますけれども、必ずしも事業の成績かうまくいってない、あるいは事業の将来について安心を持ちたいというために、県によって信用保証協会というものを作って、保証をしておるところもあるわけであります。このことはわれわれの中でも、そういうものは系統利用の精神に反するから作るべからずという強い意見をなす者もあるし、農林省といたしましては、それを奨励はしないが、そうかといってそういう信用保証協会を禁止の命令までは出しておらないのが実情であります。従いまして、その程度に類する保証というものはなしでもいいじゃないか、なしにして系統利用をもっと強化したらいいじゃないかという説も出ると思いますけれども、そういうものがあっても悪くはないじゃないか、こういうふうに考えるのであります。
  219. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特殊農協が連合会等に加入して、しかもその地域が共販体制を、とれるような場合は、乳代というものは直接生産者に支払いを行うのではなくて、通例は信連とか販連に対して乳業会社が一括支払いをするような形式でこの乳代が流れてくるわけです。そういうことになれば、ある程度の期間、直接乳業者からの乳代の支払いが季節的には遅延するようなことがあっても、系統利用が行われておる場合においては、別に生産者団体が特別の措置を講じて乳代の立てかえ払いをしなければならぬという事態にはならないと思うのです。ですからこういう点はやはり農林省として、特殊農協等に対しても十分な協同組合の系統内の組織であるという認識を高めて、適正な指導を行なっていけば、乳代の問題あるいは飼料の購入資金等の問題に対しては、基金に依存しなければならぬというような最悪の事態は生じなくて済むのではないかと思う。そういうことを進めるお考えはないのですか。
  220. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 この点は、たとえば米麦等は系統の利用率が非常に高いと思いますが、その他のものについては、系統の利用というのは必ずしも三段利用が徹底してないので、またこれを徹底することは現在の段階で可能かどうかという問題もあるのであります。上級機関が系統利用を強化するということになって、全部引き受けてくれるかどうかという問題になりますと、必ずしもそれまでの体制ができてないというようなありさま、これはひとり乳だけでなくして、たとえば全販が扱っております生鮮食料品につきましても、系統の利用率が、県の連合会を通じて中央卸売市場の丸Aに出荷しておるものはほんのわずかでありまして、直接単位組合から全販たる丸Aに販売を委託するものが担当ある。あるいは野菜の場合であれば全然任意の出荷組合が全販に出荷委託をする、こういったふうなのが全販の取扱いの中では半額以上ある。こういうふうな実情でありまして、公式的な三段の系統利用ということを非常に強くいいますと、かえって現在の状況では不便を生ずることがあるということも考えられるのであります。しかし建前といたしましては、私ども考えでは、もし三段をそのまま通じないにしても、出荷の調整なり、共販の強化のために、段階の利用というものは当然考えなければならない。現物をそれぞれの帳簿を通して、三段を通じておったのでは手数もかかる、いろいろな不便も出てくるだろうから、出荷は直接単位組合から乳の処理業者に出す。しかしその販売方法等については、中央機関が統制をしていく、こういうことをやるべきではないか、こういうことを打ち出しておるのであります。そういう点から考えますと、こういう制度があっても悪くはない、こういうふうに考えるわけであります。
  221. 久保田豊

    久保田(豊)委員 関連して。経済局長にお尋ねしますが、今も乳代の立てかえ払いの問題その他について問題が出ておるわけです。ただこれは酪農の問題だけでなく、最近の農業が大体において非常に商品化してきた、しかも市場の条件が非常に変ってきている、あるいは流通条件というものが相当変ってきているという段階において、いつも特殊農協と一般農協の問題が、中央でも問題になるが、地方の現地でも問題になる。これは私はさしあたりの問題としては、今までの農林省農協に対する指導政策というものが二途に出ている。一つはいわゆる整促段階的な指導であって、ざっくばらんにいえば、米を扱い、肥料も扱い、その米の代金をむりにくぎづけして、預金さして預かって、これでとにかくことしも出るようにやれ、あまりほかのものに手を出してはいかぬという総合農協に対する指導が、ドッジ・ライン以来今日まで、ある意味において一貫してきている。そのために御承知の通り、ある程度農協も堅実化してきたことも事実です。ところが片方において、そういう指導が非常に強く行われている。ところが農業関係の商品化が非常に進んできて、しかも流通条件が変ってきているから、ある意味においては危険があるけれども、何とかしなければ農民の要求は満足できないという場合が多い。ところがそれは片方において、総合農協に対しては今のような指導が行われている。片方においては、それでは農民が満足できないということで、やろうとしても総合農協でやれないという点がある。従って全体的に、非常にこういう問題については新しい、流通取引の問題については、総合農協は系統的に非常に弱い、そうしてのろのろしている、やれない、しかもあぶないからやるなと言う。農林省はどうであれ、県あたりが監査に来てやってごらんなさい。監査に来ると、そういう点がはっきり出てくる。新しい仕事をやっては、必ず小言を言われる。しかも役人的な感覚で、これはどうだ、これはどうだと言われる。そうして小言を言われると、いやだといってやらなくなる。それでは農民の要求は満足させることができない。そこで農民は自然発生的に、いわゆる任意農協みたいなものが、しかもそれが、だんだんとやって特殊農協みたいな格好になってやる。ところがこの方に対してははっきりした指導方針も、あるいはたとえば、金融の裏づけは何もない。ですからうまくいっているうちはいいが、へたに失敗すれば、末端の農民はこれでパアです。こういう関係が非常に出てきている。私はこれは一気に割り切ることはなかなか困難であるが、農林省としては、少くともそういう新しい農協の態勢、これに応じた農協に対する——特殊農協その他を含めて、組織の面においても運営の面においても、あるいは事業の面においても、これをはっきり割り切るべき段階が来ている。再検討すべき段階か来ている。そういう問題がはっきり割り切れないから、さっきみたいに、畜産局長が言われたように、現地においてはいわゆる酪農協あたりがいろいろやる。そうすると片方では、資金はどうかというと、導入資金は総合農協を通じなければ来ない。ところが乳代はそっちへ回ってこない。乳代が回ってこなければ、農民からいうと、乳代は総合農協を通ずれば押えられて、毎日の生活費なり運転資金に困るから、あっちへやっては困るのだという問題が出てくる。特にその点は畜産部面において相当シリアスに出てきておる。畜産局長が言われるように、現実にこういう問題があるのだから、それに対処しなければならぬという気持はよくわかる。しかしこれはこれだけで放っておいてはいかぬ問題である。農林省は少くとも、そういう点については経済局は経済局、畜産局は畜産局、各局ばらばらだ。たとえば大きな中央農協にしましても、中金なり、公庫なり、あるいは販連なり、購連なりの方針がそれぞれ別個に動いておる。こういう態勢がもっとひどくなれば、これはほとんど農協政策としては意味を失ってくる。この点は今すぐにここで結論を出せとは私は申しません。現実にすでに問題になっておるのですから、あらゆる面からこの問題を真剣に取り上げて御検討になる時期にきておると出思うが、こういう点について、先だってこの問題についてはあなたの方の協同組合課長にもいろいろ問題を出して話してみたが、そのときに得た雑談の範囲では、どうも何も用意がない。特に経済局においてはないように見たわけです。これは私のひが目かもしれません。そうでないことを望みますが、そういう再検討なり何なりをされておるか。この点がないものですから、畜産局長からいろいろ聞いても、畜産局長は現実にこういう問題があるのだから、とにかく先のむずかしい問題はあとにして、現実に現実にといって逃げている、これはやむを得ないと思う。畜産局長の立場はよくわかるが、さてそういう点については私は大きな問題があると思うが、こういう点について再検討を始めているのか、あるいは始める意思があるのかどうか、見解を聞いておきたい。
  222. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 御指摘の点はまさにお説の通りでありまして、私の方では、昨年の十一月に流通改善対策を農林省議で決定いたしました。そのうちにはいわゆる総合農協と特殊農協との関連についても、農産物の販売は末端における農家は必ず共販体制が必要である、そのためには従来の総合農協でやっても統制がとれないから、特殊農協で共販体制を確立することか必要だ、その際に資金面等の問題があろうと思いますが、それは総合農協団体加入するなり、あるいは特殊農協のメンバーが総合農協に二重加入することによってその間の調整をとっていったらよい、こういう線をはっきり出してきているのであります。しかし先般協同組合法改正等、あるいは年金法のとき等にも数字的に御説明申し上げましたが、農業協同組合の数が三万四千のうち、いわゆる総合農協が二万二千七百、そのうちでもわれわれの調査の対象になっておるのは一万をわずかにこえるばかりである、特殊農協については調査の線にも浮んでこない、こういうのが実情でありまして、これをまず特殊農協は特殊農協としての働きがあるわけでありますから、その働きをはっきり実現できるようにする。それから総合農協は御指摘のように米麦を主体にする総合農協であったのが、今までの実体ではないかと思います。それはなぜかといいますと、安全確実であるということが一つであります。しかしその他の農産物を扱うということになりますれば、これは米麦で最後には政府特別会計がつながるというふうに簡単にいかないわけでありますから、それ相当の勉強が要るわけです。研究は市場調査も要るわけであります。そういう点につきましては、これは農協全体がその気になって、それぞれの系統の知識をしぼって協力し合わなければ効果は上らないのであります。たとえばその際には生産物の販売については、必ずしも三段制に固執することはよろしくないのでありまして、販売方法は共販の統制あるいは知識の普及等については、上級農協が末端農協指導してもらうけれども、実際の物の流し方はその指示に従って直接流してもよいじゃないか、そういう線も出しておるわけであります。しかしいずれにいたしましても、農協それ自体がもう少し全体的なレベルが上ってこなければ、そういうことも理屈倒れになるのでありますから、その線をそれぞれの団体に示しまして、今農協刷新三ヵ年計画の二年目になっておるわけでありますが、その中にどれだけ持っていくか、こういうことでやっておるわけであります。全販連等につきましても、農産物の販売については米麦以外に畜産物につきましても手を出す、蔬菜、果実につきましても、これの共販体制の確立について案を練っておりますし、これはわれわれの出しておる案をそのままのめる分とのめない分といろいろなものがありますから、それを検討中であります。これは一挙にすべてを解決するわけにはいきませんけれども、徐々に一歩々々確実にやっていかなければいかない問題だ、こういうふうに考えております。
  223. 久保田豊

    久保田(豊)委員 つまり総合農協のいわゆる共販体制とかあるいは農協刷新三カ年計画ですか、こういう程度のものではだめなんですよ。でありますから農業の実態の変りつつあるところから、もう少し深く突っ込んでやってもらいたい。結論は今の総合農協へ何でもかんでもまかせるということになってしまう。それで片がつくならば何も特殊農協なんか作りませんよ。そこに片がつかないいろいろな分野が、組織の面でも運営の面でもあらゆる面で出てきているから、そういうものが今のところ非常に不完全な危なっかしい特殊農協という形できているわけです。ですからそういう点をもう一歩深く検討していただいて、それは今あなたのおっしゃる通り、今まで整促段階的な指導をしてきた、正直な話、農協では新しい青果物やそういう鮮度の高いものや何かの扱いができっこありませんよ。これは単位農協もそうでありますが、県段階とかそういうことになると相当そういう問題も出てくるわけです。ですからそこらはもっと深く本質的に突っ込んで調査もし、方策を立てられても問題が一気に片づかないことはわれわれは百も承知です。しかし少くとも農協に対する農林省指導方針だけは明確にしておいてもらわないと困る問題がいろいろ出てくるのではないかと思うのです。今ここにその一端が相当大きく出ているから、その点を突っ込んでやってもらいたい、こういうわけです。
  224. 芳賀貢

    ○芳賀委員 経済局長にお尋ねしますが、先ほど私の質問したのは、単にこれは単位特殊農協の事例だけではない、二十九条の二号、三号に示された出資者の中には、事業連合会も入っております。ですからそういう場合は乳業を行うところの特殊連合会が系統外から融資を受けて、会員である末端の単位特殊農協に資金の転貸を行うという事態も生まれてくるわけです。こういうことになると、やはり協同組合全体の系統利用とか、系統資金によるところの運営態勢というものはくずれるような場合も出てくるわけです。この点は経済局長並びに畜産局長等におかれても、農林省の内部なんですから、十分協議を尽して生産者出資者である農協の融資関係の点に対しては、意見を調節して行う必要があったのではないかと思いますが、この事業連合会の転貸方式のような問題はどう考えておりますか。
  225. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 私はこの規定はそれぞれそういう道を開くのであって、道を開いたからそっちの方に系統金融がくずされてしまう、こういう心配は私は持っておらないのであります。そうかといって、こういう道を全然開かずに、全部系統利用の方にやっていけということになりますと、先ど久保田委員からもお話がありましたように、総合農協主義というものは、極端な言葉で言えば総合農協でなければ全然相手にしないという時代があったように私今承知いたしておるのでありますが、そういうことになりかねないのであります。従ってこの規定運用するにつきましては、どうしても農業の施策を行う上の中心は協同組合であることは間違いないのでありますから、その活動の支障にならないような運用をしなければならないのは当然でありますが、こういう道を開いていくこともある程度必要である、こういうふうに考えておるのであります。
  226. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長は何か勘違いしているのです。私は末端における酪農等を事業にして行う農協が、必ずしも総合農協でなければならないと言っているのじゃないのです。末端には総合農協もあるし、特殊農協もあるわけです。しかしもう一つ上の段階にいけば特殊農協の場合においても、県段階の連合会に加入するのは通常の姿なんです。それが行われない場合においては、県段階においては特殊事業を行う連合会というものはあってしかるべきなんです。この特殊事業を行う連合会というものは、全国段階においてはやはり中央の中金とか全販とか全購とかそういうところにつながっても一向差しつかえない。また全国的に全酪連みたいなものがあっても、横の連絡においては、やはり全国段階の各連合会のつながりというものは当然持つべきだと思うわけなんです。そういう形を私は是認しておるけれども農協全体のこういう事業機構とか金融機構というものは明確にあるのだから、その系統とか機構内における金融措置等は、特に運用面における乳代の支払いの問題とか飼料の購入代金等の問題は回収に不安はないんです。組合員である生産者が出荷する乳代によってえさ代を払うこともできるし、日々生産される牛乳の代金等からそういう回収の面においてもこれは心配がないわけです。この資金をわざわざ系統外の金融機関に依存するために、基金の債務保証までしてもらわなければできないのかというところに問題があると思うのです。しかも中金の場合においては、余裕金がだぶついて系統以外に資金の貸付を行わなければならぬという事態まで生じて、法案の一部改正まで試みたことになっておるんですから、そういう点は農林省として明確にしてもらいたいと思う。
  227. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 お話によりますと、全部が完全な能力を持って組織化されておる、そういう前提のお話のように私はとるのでありまして、それなら何をか言わんやで何もかもうまくいくのでありますが、やはりいろいろな形態、いろいろな段階がありますから、一挙に系統に全部縛りつけてしまうことは昔の農業会式の考え方になってしまうのではないか、こういうふうに感じるのであります。従って農林省なり中央の指導といたしましても、一つの理想的な形態を描いて、それを強力に固めていきたい、こういうふうに考えますけれども、あすから全部それに合わないものはいろいろな制度ができても、その利用の道がない、こういうのでは少し不十分ではないか、こういうふうに感じるのであります。そういう意味から、こういう規定があってもいいのではないか。しかしあくまでも運用は根本を忘れないような運用をしていかなければならない、こういうふうに考えます。
  228. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、この基金では施設に対する融資の取扱いはできないことになっております。わずかなものはやりますが……。そこで問題は、今後年間百五十万石とか、二百万石とかいうような牛乳の増産が期待できるわけですね。そうなりますと、これを処理するための施設の新設、あるいは拡張というものは当然行なっていかなければならぬわけですが、そういう金融のあっせん等に対しても、これは基金業務とは違いますが、一方において生産の増大する牛乳の処理施設等に対する金融措置というものは当然考えていかなければならぬと思うわけです。これに対してどういうようなお考えを持っておりますか。
  229. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これは現在それぞれの民間企業の能力に応じましての資金調達によってやっていくという格好になっているわけでありますが、もちろん協同組合あるいは協同組合の比率の非常に高い会社のようなものは、金融公庫の融資が可能になるわけでございます。その他の設備資金を必要とします民間企業はそれぞれの自力でやっていく。私たちの方でも今後この設備資金の問題に対しましては、それぞれのあっせんその他の協力をしなければならぬと、いろいろ検討を加えているわけであります。
  230. 芳賀貢

    ○芳賀委員 経済局長にお尋ねしますが、乳業の施設はやはり広い意味の原料として農業の生産とつながっている関係もありますので、結局その施設に対しては、たとえば現在の公庫融資の対象等もある程度検討を加えて、そうして生産の増大する部面の適正な処理施設に対しては、できれば公庫融資等の道も拡大できるというようなことも、やはり検討考慮する時期に来ていると思いますが、この点に対してはどういう考えでありますか。
  231. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 私の方では、農産物の流通改善は中間の処理まで農林省が十分タッチしなければ、せっかく第一次生産者が苦労しても、その効果が第一次生産者に返ってこない。こういうふうな考え方に立って先ほど御説明申し上げました、昨年の流通改善対策についても、そういうような趣旨からいろいろな点を打ち出しているのであります。従って公庫資金の貸し方についても当然そういうことを考えなければならない。その前の段階で、もしそういう金がありますれば、それこそ中金の余裕金等は、まずもってそちらの方に融通することが必要であるというように考えております。これは畜産局の方から要望があれば、それらの問題につきましては積極的に御協力を申し上げているのであります。
  232. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば公庫融資の場合には、いわゆる農民出資というか、それが九〇%というところに一つの資格条件がきまっておりますから、九〇%以下の農民出資というものは対象にならないわけです。ですから、これはやはり検討を加えて、たとえば九〇%を八〇とか七〇というように条件を緩和するとかして、実態は過半数が農民の出資において営まれている企業のような場合においては、設備資金等に対しても、公庫からの融資ができるというような改善というものは行うべきではないかと思うのですが、どこまでも九〇%を固執していくということになれば、現在より拡大はできないということですね。
  233. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 私の方でもその出資比率の問題、あるいは長期契約で一定の期間専属利用契約ができておるようなところには、もっと広く公庫の金を貸し出したい、こういう方向で検討を進めております。
  234. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに出資内容が農民資本だけに依存していない会社の場合でも、たとえば今局長の言われた共販体制によって、協同組合の責任において原料乳を提供しておるという状態が長期にわたって継続しておるような企業に対しては、やはりその解釈を拡大して公庫融資を行うというようなことは、これは資金源の問題とか今後にかかる点もありますが、公庫法の改正等が今出ておる時期でありますから、こういう点に対しても、今後のわが国の乳業の発展のために役割を果すべきだと思うのですが、畜産局長のこれに対する考えはいかがですか。
  235. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そういう方向において検討を進めていく必要があろうかと考えます。
  236. 芳賀貢

    ○芳賀委員 経済局長どうですか。
  237. 渡辺伍良

    ○渡辺(伍)政府委員 先ほどお答えいたした通りであります。どうしてもそういうふうに農産物の販売が有利にできるような態勢で考えていかなければならないと考えます。
  238. 中村寅太

    中村委員長 細田綱吉君。
  239. 細田綱吉

    ○細田委員 畜産局長の御奔走というか、大蔵省に対する交渉の結果、附則第七条のいわゆる出資は、払い込みでなくして引き受け額でいいのだいうことを伺いましたが、出資引き受けをした限りは将来いつか払い込みをする、長い短いということはあるにしても観念の上で払い込むということは、当然大蔵省との折衝の上であると思う。引き受けたその金は大体何年間くらいに払い込むか、その点を一つお聞かせ願いたい。
  240. 谷垣專一

    谷垣政府委員 具体的に何年間という結論をまだ持っておるわけではございません。しかし当然第八条で増資その他の問題をうたっておるので、できるだけ早い期間において払い込んでいただくということになると思います。
  241. 細田綱吉

    ○細田委員 第八条の趣旨によってということになると、四年くらいの間に払い込ませるのだというふうに見ていいのですか。
  242. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これはやはり基金そのものの融資保証をいたします一つの基礎になるものでございまして、従いましてそちらの面も考え合せながら、できるだけ早い期間に払い込んでいただく、少くとも第八条にうたっております期間内には払い込んでいただかなければいかぬ。金額いかんによっては三年でお願いするとか二年でお願いするとかいうことになるかもわかりません。
  243. 細田綱吉

    ○細田委員 これはあなたの御努力によって大蔵省もそういうふうに納得したわけです。これはもちろんただ「資本金は」となっている限りは、払い込み資本も引き受け資本も両方含まっているということが法律の第一ページなのです。それを私に対する大蔵省答弁のごとく、これは払い込みを意味するということは、法律の第一ページを読んだ者ならおかしいと思う。そうだとすると別個の文言が必要なわけです。これは当然ではあろうと思うが、しかし当該の行政担当官庁として大蔵省にそれをさらに確かめたということは御苦労であったと思うのです。その御苦労をさらに進めて、八条の期間の範囲内にということをそう窮屈に考えなくたって、五億か六億、あと一億、場合によっては大蔵省の方から一億か二億出してもらうように御努力になた方が、こっちの方をそうあわてて——あわてるいうわけじゃない、規定してあると言われるかもしれないが、もっとゆとりのあるようにお考えになれないかと思うのです。払い込み時期というものはいずれ農林大臣の指示によって決定せられる、従ってあなたの方は時間的にもっとゆとりを与えるという御意思を現在持っていないか、その点を一つさらに伺っておきます。
  244. 谷垣專一

    谷垣政府委員 もちろん実情によりまして考慮を払う必要があるわけでありますが、今のところはできるだけ早い期間に払い込んでいただきたい、かように考えております。
  245. 細田綱吉

    ○細田委員 法文でうたっている四年はできれば三年というような御趣旨の話を今伺ったのだが、どんなに早くても三年以上とこれを理解していいのですか。
  246. 谷垣專一

    谷垣政府委員 現実に即しましての判断を下していきたいと考えております。ただ今ここで少くとも三年は大丈夫だというふうに申し上げるわけには参らぬと思います。
  247. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの方じゃせっかく大蔵省と折衝して、引き受け資本でいいのだという確認を求めて、これか二年だとか一年とかじゃ、せっかくの御苦労も水のあわになってしまう。しいて変に解釈するならば、立案のときにその点をはっきりしなかったものだから、大蔵省も細田に対する答弁で、これは法文上おかしいのだ、だから折衝によってそういうふうににしたけれども、しかしそれは実際問題としてそういう条文にあったような期間にというようなことだったら、これは何もならぬ。むしろそうだったらわれわれの方で法文を修正した方がいい。もっとあなたの方で実情に即して——実情ということは意外に金がたくさん要る場合というようなことを意味されるのじゃないかと思うが、私は五億が六億であろうと、そう大して、実情に即して、これが特に四年が三年だ、三年が二年だというようなことはなかなか想像がつかないのです。大へんくどいようですが、いま一度あなたの最低年限というものはどのくらいにわれわれが了解していいか。実情をにらみ合せてやるのだから、さっぱりわからないというのじゃちょっと立法者としておかしいのですが、その点を一つさらにお伺いします。
  248. 谷垣專一

    谷垣政府委員 問題は当初設立の際の六億、民間出資一億の問題であると思います。この一億の出資というものは、払い込みも含めましての資本金であることははっきりしておるわけであります。できるだけよけいに払い込みをしていただきたい、かように考えております。ただそれは実情に即して考える必要がありますので、今二年でありますとか三年でありますとかいうことを確定的に私たちがここできめておるわけではございません。できるだけ早い機会に払い込んでいただく、こういうつもりでいきたい、かように考えております。
  249. 細田綱吉

    ○細田委員 大体引き受け資本でいくということになったから、中小メーカーからいくと大へんやりよくなった。そして中小メーカーと大企業との出資は、前にたしか八千五百万円と千五百万円くらいの比率になっておったと記憶しておりますが、これがこうなった。これがというのは、言いかえれば出資引き受けていいということになったので、それは出資のウエートが逆になっていいのだ、中小メーカーからいえばそういうふうにしてもらえばその負担能力はあるのだ、私はそう思うのですが、これに対してあなたの求めようとする出資先のウエート、ウエートといったらおかしいですが、要するに出資額はどういうふうに考えておるか。従来と同じように考えているか、あるいはまた考えが違ったようにお変りになったか。この点一つお伺いしたい。
  250. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これは法律の議論の途中でいろいろ状況もあったわけでございますが、設立に関しましても、できるだけ中小企業の諸君を重く見る形において考えていきたい、かように考えております。比率をどうするかというところまではまだ考えておりません。
  251. 細田綱吉

    ○細田委員 説明は説明なんです。中小企業を重く見るといったって、一分に見るといったのを二分に見るから重く見た、あるいは二分に見るといったのを三分に見るから重く見たといっても、これは説明になるが、そういうことじゃないのです。全体の企業というのは、私の了解するところでは、国民の金をこれだけつぎ込むのですから、大メーカーをさらに大きくするという趣旨のものじゃない。従って全生産農家の潤いになる。それにはやはり中小メーカーのてこ入れが必要だということに私は了解している。それである限りは、今のあなたのような抽象的な説明では私どもは引き下るわけにはいかない。従来は今申し上げたように八千五百万あるいは千五百万というふうに出ておったのだから、これが出ていないはずはない。またあなたもかりに詳細な最後の一円までの数字はきまっていなくても、およそあなたの腹がまえはできておると思う。それを一つお聞かせ願いたい。
  252. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御指摘になっております数字は、これは私たちの方から割り当てた数字ではございません。民間の方からのそれぞれの自発的なものとしてああいう数字でできて参った、こういうことでございます。今後におきましても私たちの気持といたしましては、中小乳業者あるいは生産者というものをできるだけ重点的に考えていく方針で民間出資のあれを待っていく、こういうことにいたしたいと思います。
  253. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると中小メーカーの方でこれだけ引き受けますというのが一応このワクの中であるならば、それを優先的にあなたの方で取り入れる、こう了解してよろしいか。
  254. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そういう方針で考えていきたいと思います。
  255. 細田綱吉

    ○細田委員 これはくれぐれも一つあなたの方に御注意申し上げるというか、お願いしておきたいのですが、大メーカーの方がこれを積極的に利用しようという意図に変ったことは確かです。それからまたこの前参考人が出てきてから、少し何か風向きがおかしいのだぞということで、積極的にもっと一つわれわれの方でこの基金には協力したいという動きが活発になったということも私は聞いておる。あなたの方で、今中小企業の方で引き受けるというだけは、これは一億のワクの中である限りは、優先的に、全部というわけにもいかないかもしれないが、八千五百万円引き受けるのだという限りは、それを取り入れるとおっしゃった。そこで問題になるのは払い込みの時期です。これが二年といったらどうにもしようがない。やはり画龍点睛にならない。そこで払い込みの時期はいつかということが非常に重大な問題になってきておるわけです。全額とはいわないが、八千五百万円を中小メーカーの方で引き受けるのだということになれば、中小メーカーの方を優先的に取り扱いますと言われる限りは、払い込みの時期はもっとゆとりのあるというか、長期に考えていただかないと、これはせっかく龍はかいたけれども目が入らないということになってしまうわけであります。さらに今あなたのおっしゃる中小メーカーを中心に考えるということ、それから払い込みの時期をもう一度関連してお答えを願いたい。
  256. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この基金が債務保証をいたします場合に一番必要を感じて参りますのは、中小企業の方が多かろうと思います。従いましてそういう諸君が重点的に運営できるようにいたしますと同時に、出資その他に関しましても、そういう方面からの出資を優先的に考えていくというような方針でやって参りたいと思っております。なお払い込みの時期の問題でありますが、現在のところこれを何年にするかということは、ほかの出資状況等を考えないとわかりませんけれども、今ここではっきりきまっているわけではございません。それから第一回の払い込みはできるだけ早い時期に全額払い込みのできますように考えていきたいと思っております。先ほどの細田委員からの御指摘のような、中小企業の立場を十分に考えたところで考えていきたいと思います。
  257. 久保田豊

    久保田(豊)委員 関連。今の点は確かに非常に大事なお答えだと思います。この一億の民間出資引き受けについて、今の御答弁は、中小企業等がこれだけおれたちの方は引き受けると言えば、それを最優先に扱う、これを認めていく、こういう御趣旨ですか。それともそれらに対して大メーカー生産者団体との関係も含めて何らかあなたの方で調整を加えられるのですか、それともまず中小企業を三出資の扱いの上で優先的にする、従って中小企業者がこれこれ私の方で出資したいと思いますがということになったら、出資の割り当てまでも認めていく、こういうのですか。はっきりして下さい。
  258. 谷垣專一

    谷垣政府委員 中小企業あるいは生産者等の出資はできるだけ優先的に考えて参りたいと思います。ただこれは全体の出資状況を見てきめませんと、その申し出のものを全部そのままできるかどうか。のこ問題については、これを優先的に扱って参る方針で検討をいたしたいと思っております。
  259. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで問題があるのです。優先的に扱うということは、おそらく午前中の次官の御答弁でもほぼそれに匹敵するようなことがあった。問題はこの一億の民間出資。従って基金全体の運用なり運用の基礎になるものは、やはり大体において出資です。そこで私どもの心配するのは、中小企業なり生産者団体出資面において、大企業を非常にじゃまだから入れないというわけではないのですが、少くとも主導権——主導権というと語弊があるが、そういう優位な地位におれる程度の比率を保っておいていただかないと、口で何と言っても、どうしても中小メーカーと大メーカーとは力のバランスが違うのですから、この基金運営についてそういう支障が起ってきやしないかと心配するわけです。そこで比率はどうという数字ははっきり言えなくても、優先的に扱う以上は、少くとも基金民間出資のワクにおいては優位を保てる程度のものは確保するという確言をいただきたい。これを私は午前中次官に言ったのだが、最後の点になると逃げちゃう。裏を返して言うと、この点をぼやかしておけばあとでどうでもなるという危険がある。この点について、数字的にはっきり言うことは無理だと思うから言わなくていいが、少くとも優位の持てる程度の出資は優先的に認めていく、こういう意味農林省は何らかの調整をしなければならぬ段階が必ず来ると思うのですが、これに対するはっきりした考え方をここで表明願いたい。
  260. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この基金運営については、当初政府が五億出資して民間出資がそれにつけ加わる、こういう格好でできておるのであります。役員の選任その他に関しましても、これは農林大臣の方で任命いたすことに相なります。従いまして、民間出資比率だけで基金運営が全部規定されるというふうには私ども見ておりません。しかし先ほど来御指摘のありますように、出資の場合において中小企業なり酪農をやっております生産者団体、こういう分野をできるだけ優先的に考えていくということは、先ほど申し上げた通りであります。
  261. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一度聞いておきます。優先的に扱う、それはよろしいが、優先という意味は、少くとも出資の面においてある程度数量的にも——運用の面は別です。運用の基礎になるのは何といっても出資です。これが一つの大きな基準になることは明らかである。これがないならあなたの方から出されている資料なり何なりというもの、この法案全体がうそになるから、どうしたって、それが全部ではありませんけれども、資金運用の基礎はやはり民間出資、これが大きな基準になることは明らかである。私どもメーカーを排撃するなんという考えはありませんけれども出資面において中小メーカー生産者団体は、大メーカーとの対比においてある程度の優位を持たせる扱いをするということを明言できないはずはないと思う。どうしてあなたはごまかすのですか。ごまかすと言うと語弊があるかもしれないが、言葉を濁すのか。この前の参考人意見その他をずっと聞いても、その点はあなたの方でここではっきり言って一向さしつかえない問題だと思う。その点をはっきり言わないでああこうああこう逃げるのは何か裏があるのではないか、こういう印象が強くて、それが心配になるわけです。ですから、くどいようですが、運用面は言わなくてよろしい、出資面についてだけ、今の中小企業なり生産者団体と大メーカーとの関係を、単なる優位というだけで、あとは数量的なり何なりは適当に調整しますでは困る。これをはっきり言って下さい。
  262. 谷垣專一

    谷垣政府委員 何度も申しますように、中小企業なり酪農をやっておりますものを優先的に考えて判断をして参りたい、かように考えております。
  263. 細田綱吉

    ○細田委員 局長、あなたはそういうふうに逃げるかどうか知りませんけれども引き受けから払い込みまであまりに期間がないのだ。そうしてお前の方で八千万引き受けろと言ったって、できないと言われてもしようがない。あなたの方に腹がないからそういう不可能なことを強制することになってくる。従来は大メーカーに八千五百万円持たすつもりであったけれども、逆になって、お前たちもここへ入れることができるようになった、それでお前たちは八千万円なら八千万円入れろ、あるいは六千五百万円なら六千五百万円入れろ、そのかわり、実情に即して、二年の間ではむずかしいだろうからこれを五年にしましょうということがあとから出てくるわけです。どっちにしても、中小メーカーの方が引き受ける額をきめるにしても、払い込み時期が明示されないと、中心的にするなんと言ったところが、幾ら引き受けてよいかわからないということになる。これは不可能なことだ。あなたの答弁は、現実的に言えば雲をつかむようなものである。中小企業家に向って打つ手がないでしょう。農林省の畜産局でこういうことをきめたけれども、われわれの方はいかぬからどうも協力しかねますと、三くだり半を突きつけられた人たちに煙幕を張ったようなことを言って、なるべくその人たちも誘導してこっちへ入れてやりたいというふうにわれわれには見えるが、そんな義理はちっともない。あなたに三くだり半をたたきつけて玄関を出て行った人たちである。それがよほど美人かなんかしれないが、追っかけるということはみっともない話である。だからあなたとしては、従来そういう業務方法書においてある数字が出ていたが、こういうふうになったのだから、まだできておりませんといえば、それまでだけれども、それだけにもうこの問題はおよそ腹がまえはできていなくちゃならぬ。できていなかったならば大メーカーに従来通り押されてしまいますよ。またあなたも押されるつもりでかかっていると見てよい。それだったらわれわれも考えなくちゃならぬ。この貴重な国民の金を五億円も大メーカーに流し込んでやる必要はちっともありはしないですよ。どうですか。三くだり半をたたきつけられたあなたが、もう玄関を出ていった人たちに、さらに追っかけてもっと八千万円も六千万円も持たせるお気持がなおあるかどうか、その点を一つ伺いたい。
  264. 谷垣專一

    谷垣政府委員 先ほども申し上げましたが、先ほど言っておられました数字は、これは民間の方からのそれぞれおきめになった出資の額であります。私の方から割り当てた数字ではございません。今度の場合におきまして、あの数字にこだわりませずに、中小企業があるいは酪農の諸君の方がよけいに出すということでございますれば、そういうふうな方法で私たちは措置していっていいものと考えておるわけでございます。  なお払い込みの時期を今明示しろというお話でございますが、これは今のところ私たちの方では出資割当なり、割当引き受けなり、その他の事情を考えないと、私ども今払い込みを三年にするとか二年にするとかということを申し上げるわけにいかない段階であります。
  265. 細田綱吉

    ○細田委員 いや、中小メーカーはできるなら全体でも持ちたいのです。そういう気持なのはあなたもよくわかっている。ただ持てないからしようがない、最高限度一千五百万とかなんとかいうことになったと思う。持てるようになれば八千万だって八千五百万だって持てますよ。持ちたい。持つためにはやはり払い込みの時期というものをはっきりしなくちゃうっかり引き受けはできませんでしょう。そうでしょう。将来の立法を待つというようなあやふやなことでは、とにかく一企業体の責任者はできるはずがない。だからあなたの心がまえが中小企業にあんまり持たせまいと思うからそういう答弁になるのですよ。これはお前たちは三、四年くらいでそんな金は持てっこないじゃないか、だから大メーカーに持たせるよりしようがないのじゃないかという腹があるから今のような答弁になってくる。そこで、それじゃ一つ聞きますが、役員の選任、これはもちろん大臣が選任するのですが、しかし所管局長としてのあなたの原案通り大臣は大体のむと思う。それは別として、あなたの意思としては、この役員の過半数、重要なポストは、たとえば理事長だとか専務理事だとかいう人たちはどこから採るのです。
  266. 谷垣專一

    谷垣政府委員 三くだり半を突きつけられたからそれをどうこうというような御質問がございましたが、私の方は大企業を必ずしも排撃するということを申し上げておるわけではありません。ただ中小企業あるいは酪農の諸君というようなもののこれに対しまする需要が多かろうと思いますし、またそういう諸君を優先的に扱うのはいいであろう、こういうことからそういう方針でやって参りたいと申し上げておるわけであります。  なお理事の問題でありますが、理事長あるいは常務に当っております理事は、これは営利事業からの業務を禁止された規定がございます。従いましてそういう形のないところから選ばれるということになると存じます。それから理事の内容、片方の非常勤理事でありますが、理事の振り割りをどうするかというような問題、これはまだ私たちの方では考えておりませんが、出資者の諸君あるいはその他の、出資はしなくても関係のある学識経験者というようなところから選んで参るということになると思います。
  267. 久保田豊

    久保田(豊)委員 関連して、くどいようですが、もう一度だけ局長にお聞きしますが、中小企業なり生産者団体を優先するというのは、出資について比率ははっきり言えないが、少くとも過半数はその連中に持たせるということですか、それとも持たせることはできないというのですか。どっちですか、はっきりお聞きします。
  268. 谷垣專一

    谷垣政府委員 優先的に考えるということは、もちろん過半数の場合も中に入ってお答えをしておるわけであります。どれだけの比率であるというようなことの数字を申し上げる段階ではございませんので、申し上げてないわけでございますが、優先的に考えるということは、そういうことも含めまして、私たちは持っていきたい、かように考えております。
  269. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると今過半数は中小企業メーカーから出資させるという趣旨を含んでいるんだということを伺いましたので、その点は大体いいとしまして、理事の選任で、非常勤の理事は別としまして、理事長、常務理事というものによって、ほとんどこの基金の性格も、日常の活動の性格も決定づけられると思うので、従ってそれを出資者から出てもらうというような抽象的なことでなくて、大体あなたは中小メーカーを優先するというが、これは中小メーカーの方から採るか、大メーカーの方から採るか、この点だけはあなたもはっきり言えると思う。この点の答弁一つはっきり願いたい。
  270. 谷垣專一

    谷垣政府委員 常勤の理事はこの条文にありますように、業界で仕事をやっておる方というわけに参らぬと思います。その他の非常勤理事の問題でございますが、これは出資をしておる出資者の諸君あるいは出資をしなくても関係あります学識経験のある人たちあるいは生産者の諸君も入ります。そういうようなところからこれを選びたい。出資者の中には大メーカーもあればもちろん中小企業もありましょうし、いろいろあると思います。従いまして大メーカーの中から採るのかあるいは中小企業の中から採るのかということ、これを今大メーカーから採りますとか中小企業から採りますとかいうことを申し上げておるわけではありません。出資者の方から選んでいきたい、こういうことでございます。
  271. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたは中小メーカーを中心にする、優先するという御答弁をされているのだが、中小メーカーから常勤理事を採るか、大メーカーから採るかということはまだきまっていない、もちろんきまっていないでしょうが、まあ今の考えていないというような御趣旨が、極端に言うと、出資中小メーカーからよけい取る、しかし理事長、専務理事は大メーカーから採るのだというばかなことをされたのでは、中小メーカーはたまったものじゃない。運用はその場合は何といったって大メーカーに偏重するのは当然なんです。これは大メーカーそのものが資金を使うというようなことではなく、御承知のように関係子会社というようなものがたくさんあるので、みなそっちに流してしまうのです。明治や森永や、そういう大きいところが使うなどということはわれわれはちっとも考えていない。けれどもその子会社、孫会社がたくさんあるから、みなそれに流してしまう。だから万が一悪く解釈して、あなたのおっしゃる通りなるほど出資中小メーカーからよけい取った、ところが理事長、専務理事は大メーカーから採ったなどということになったら、なお目も当てられないのは中小メーカーです。その点を私は伺っているのです。そういうことは非常にやる可能性があるので、あなたの意見をこの際はっきり聞かしておいていただきたい。
  272. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これは第二十三条に「理事長及び理事(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」こういうふうに兼職の禁止規定がございます。この条文の精神を生かしました人選をやるべきものだ、かように考えております。
  273. 細田綱吉

    ○細田委員 そこでこの人は現在三井の禄をはんでいないから、三菱銀行に籍がないから、この人をやるからこれで人事か公平だというなら、資本主義のカルテルとかコンツェルンの性格をわざと全く曲解している。そんなばかなことでひもがつかないなんということは、およそ三千世界には通用しない。そこでもっと端的に、中小企業にウエートを置くならば、理事長や常務理事はやはり中小メーカーにウエートを置いてとりますというように言ってもらわなかったら、三千世界に通用しない。通用するのはあなただけだ。そんな議論は私黙って引き下るわけにいきませんから、さらにあなたの腹を聞きたい。
  274. 谷垣專一

    谷垣政府委員 第二十三条に「理事長及び理事は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」こういう条文がございます。これは銀行法その他にある金融に関する考え方と一脈を通じた考え方になっております。その精神を生かしました形においてこの人選を進めていきたい、かように考えております。ただし非常勤理事の問題は別であります。
  275. 細田綱吉

    ○細田委員 その精神でいかれたのでは大へんなんです。あなたはその精神でいくとおっしゃるでしょう。ところが現在どの銀行だって、三井銀行なら三井コンツェルンに優先的に資金を流すでしょう。三菱銀行なら三菱コンツェルンの方に資金を流す。しかしこれはあなたのおっしゃったように、営利会社の三井銀行の頭取は三井物産の専務を兼ねているというわけじゃないのです。そういうものとは形式的には縁は切れているけれども、やはり中小メーカーの推薦する人たち、そういう方法をとらないと、これはどこからも禄をはんでいないというようなばかなことをあなたがおっしゃるなら、これはあなたはあまりにも役人過ぎると思う。役人でも最後のハイエスト・クラスにおる人がそんなばかなことを、あなた自身も考えてないと思う。今の銀行法その他に兼業禁止の規定があるからというような、そんな気持でやられたならば大へんなんですよ。これはかつて森永の緑をはんだ人が現在は森永とは縁がございませんと言って専務理事になってごらんなさい。あるいは現在は明治に縁がないと言ってそうして理事長になってごらんなさい。そっちに片寄るのは当然です。その株を調べてみたって細君や子供の名前にしておったらわかりはしませんよ。あなたの言うその態度が非常に危なっかしい。大企業偏重になるおそれが十分にあるということを大体裏書きしておる。その方針をあなたは最後まで貫くつもりなんですか。そこをもう一度伺いたい。
  276. 谷垣專一

    谷垣政府委員 ただいま細田先生のおっしゃいましたような心配のないようにやって参りたいと考えております。
  277. 中村寅太

    中村委員長 他に御質疑はありませんか——なければ質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  278. 中村寅太

    中村委員長 この際お諮りいたします。目下審査中の農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について、明日参考人として農林中央金庫理事長楠見義男君の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認めさよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十五分散会