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1958-03-27 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十七日(木曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君    理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       石坂  繁君    大石 武一君       大野 市郎君    小枝 一雄君       永山 忠則君    丹羽 兵助君       松田竹千代君    阿部 五郎君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    稲富 稜人君       楯 兼次郎君    中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  瀬戸山三男君         農林事務官         (振興局長)  永野 正二君         林野庁長官   石谷 憲男君  委員外出席者         農 林 技 官         (振興局普及部         長)      徳安健太郎君         農林事務官         (林野庁林政部         林政課長)   家治 清一君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      山崎  斉君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十七日  委員松田鐵藏君、阿部五郎君及び島上善五郎君  辞任につき、その補欠として松田竹千代君、赤  松勇君及び楯兼次郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として阿部  五郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十六日  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、  輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四二号)  狩猟法の一部を改正する法律案内閣提出第三  〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  農業改良助長法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。  直ちに討論に入ります。討論はありませんか——なければ採決いたします。     〔総員起立本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  3. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  本案に対し伊瀬幸太郎君より自由民主党、日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したい旨の申し出があります。この際これを許します。伊瀬幸太郎君。
  4. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 農業改良助長法の一部を改正する法律案に対して、附帯決議提出いたします。以下朗読いたします。    農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、本改正法の成立に際し、農業改良普及制度が、その創設以来、農業技術安定向上と農家の生活改善のために果してきた重要な役割について認識を新たにし、本法の運用に当っては、左記の各項につき特段の考慮を払うべきである。     記  一、地区普及所運営費補助金は、同法第十六条の三の規定により、国庫補助率三分の二の適用があるものと、政府部内の解釈一定すること。  二、普及員人件費普及所運営費等に関する査定単価が低額にすぎるため、市町村又は地元農民の負担によって、これを補っている事実があるので、政府は実際経費の三分の二を補助することができるよう予算の確保に努めること。  三、普及員活動力を最大限に発揮せしめるため、ジープ、オートバイ等巡回指導施設の充実に極力努力すること。    右決議する。  以上であります。
  5. 中村寅太

    中村委員長 ただいま伊瀬君より提案されました附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお本案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山政府委員 ただいま農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が御決議になりましたから、政府考え方を申し上げておきます。  附帯決議のうちの一の項目は、この法律の十六条の三の規定がやや文言上あいまいな点がありますので、かように注意を与えられたと思うのでありますが、現在三分の二であるということに決定いたしております。将来その趣旨解釈が異同のないように努めることにいたします。それから二、三の問題は、きわめてごもっともな御決議でありますので、将来十分御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。     —————————————
  9. 中村寅太

    中村委員長 去る三月七日付託になりました内閣提出参議院送付狩猟法の一部を改正する法律案議題といたし、審査に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、まず本案趣旨について政府説明を求めます。     —————————————
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山政府委員 ただいま御提案になりました狩猟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  現行狩猟法につきましては、つとにその不備な点についてその改正を要望する意見関係団体等から提起され、政府といたしましても再検討を要する点があると認めましたので研究を進めて参ったものでありますが、この問題につきましては、広く各界の学識経験者意見を聞くことが必要であると考え、昨年六月臨時に農林省野生魚獣審議会を設置し、野生鳥獣保護増殖及び狩猟規制に関する改善方策について諮問したのであります。審議会は、この諮問にこたえるため、数回にわたって慎重に審議し、同年十一月農林大臣答申がなされましたので、政府といたしましては、この答申趣旨を尊重して、有益鳥獣保護の強化をはかり、あわせて狩猟の一そうの適正化を期するために、現行狩猟法について次の諸点の改正を行うこととしたのであります。  すなわち、まず第一点は、空気銃狩猟登録制度狩猟免許制度に改め、これまでの甲種狩猟免許銃器使用以外の猟法によるもの)及び乙種狩猟免許空気銃以外の銃器を使用するもの)のほかに空気銃を使用するものにつき新たに丙種狩猟免許制度を設けるとともに、これら各種狩猟免許を通じて免許欠格条項をこれまでの乙種狩猟免許の場合の欠格条項によって統一することといたしましたほか、狩猟免許に関連して狩猟に関する講習会制度を設けることによって狩猟を行う上に最小限度必要な知識の普及徹底をはかることといたしました。  なお、狩猟法令に違反しました者につきましては、狩猟免許の取り消しの規定を設けるなど狩猟免許制度について改善をはかろうとしているのであります。  第二点は、狩猟法違反に対する監視、取締を強化するため、違反捕獲物譲渡禁止を一部の加工品にも及ぼし、鳥獣販売業者からも一定報告を徴し得るようにし、また狩猟法令に違反する罪について司法警察員として職務を行う者を都道府県の吏員のうちから指名できるようにし、その職務に従事させる職員の範囲を若干広めることとしたのであります。  第三点は、本法運営の面におきましては、立場を異にする関係者が多く、行政運営の適正及び円滑をはかる上には、広く関係方面学識経験者意見を徴することが必要でありますので、このため常置の諮問機関として鳥獣審議会農林省に置こうとするものであります。  以上が狩猟法の一部を改正する法律案趣旨でございますが、何とぞ慎重審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。
  12. 中村寅太

    中村委員長 本案について質疑なり御意見があれば、この際これを許します。
  13. 松田竹千代

    松田(竹)委員 鳥獣保護について一言お尋ねいたしたいのであります。私のところへ在留外人狩猟者が陳情に参りまして、それの申すには、外国各地でも自分狩猟家としてあちらこちらで鳥獣をとって参ったが、日本では非常に鳥獣が多いところであるが、特にヤマドリキジなどの保護についてのやり方は、自分には解せない。何とか狩猟者について注意をしてもらいたいのは、私も五千円何がしの狩猟税を払っておるが、この金は一体何に使っておるか、外国はどこの国でもワーゲンといって、つまり監理者がどこへ行っても見ておって、この法律が守られておるかおらぬかをちゃんとやっておる、日本ではそういう者に会ったことがない、こう言う。何とかして日本ヤマドリキジをもう少し保護するために、自分考えとして、また外国でやっておることでは、雄雌を無差別に撃つということはやめてもらいたい。雌を一羽とらないことによって平均八羽くらいふやすことができるから、雄は相当にとってもいいが、雌の保護に特に注意をしてもらいたい、こういうことなのでありますが、この点についてどういうことになっておるか。
  14. 石谷憲男

    石谷政府委員 一般的に申しますと、有益鳥獣を含めまして、野生鳥獣が特に戦後非常に減っておるという現実はいなめないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。従いまして、野生鳥獣保護増殖をはかりますのとあわせまして狩猟規制を行なって参るということは、実は今回の法律改正の意図でもあるわけでございます。ただいまお話がございましたキジでございまするが、これはわが国におきましては最も適当なる狩猟鳥でございまして、この減少につきましては、確かに狩猟者方面の大へんな関心の的になっておるわけでございます。そこで私どもといたしましては、このキジヤマドリに対しましては、狩猟いたしましたものを販売する行為を禁止する、要するに営業用としてとることを禁止するということを実は考えておるわけでございますが、中には、最近の状況からいたしまして、むしろ所持制限をいたしたらいいじゃないかというような議論も実はあるわけでありますけれどもさき提案理由でも申しました野生鳥獣審議会等議論を聞きましても、そこまでいくということにつきましては、いろいろ問題があるということによりまして、実はそういう措置は今回は講じないことにいたしておるわけであります。部分的に考えますと、確かにキジヤマドリにつきましては、非常に激減しておるといいながら、また地方的に考えますと、相当生息しておるところもございますので、この段階でやはり全面的に所持禁止をするということは必ずしも妥当ではないというように考えるわけでございますが、地方によりましては実は非常に減っておるということのために、特に雌キジ捕獲地方的に一応禁止いたしまして、最近増殖をしておる。この近県におきましては、茨城等が最近そういうことをやったのでございます。確かに積極的な手段を講じまして、でき得る限りの増殖をはかるということは必要でありますが、何といいましても当面狩猟鳥といたしまして一番有力なものでありますだけに、全国的に均一な措置がとりにくい、こういう現状であるようにも思います。  それからただいまの御質問に関連してでございますが、今五千円というお話がございましたが、御承知のように乙種狩猟免許の場合におきましては、従来から二段階に分れておりまして、三千六百円と千八百円、こういう段階でございます。そういういわゆる狩猟者税とあわせまして、空気銃につきましてはいわゆる登録税というものが入っておるわけであります。これは地方税でございますけれども年間三億五、六千万円くらいの税収があるわけでございます。それにもかかわりませず、一体この有益鳥獣保護あるいは増殖狩猟適正化ということに使われます行政経費と申しますか、そういうものはわずかに一割、国の予算まで含めまして一割というような現状であるわけであります。そういう意味におきまして、いわゆる施策がきわめて不十分であるということも私ども実は大へん申しわけないと考えておるわけでございますが、今後は本法案とともにその方面予算増額等につきましても全面的な努力をいたしたいというふうに考えております。
  15. 松田竹千代

    松田(竹)委員 よくわかりましたが、しかし狩猟税を特に鳥獣保護のために使うということに対して一段の御努力を願いたい。
  16. 中村寅太

  17. 稲富稜人

    稲富委員 今回の狩猟法の一部改正法律案の中に、特に空気銃ということを限定したのはどういうわけでございますか。
  18. 石谷憲男

    石谷政府委員 御承知のように空気銃現行狩猟法におきましていわゆる猟具ということになっております。そこで空気銃の扱いを、さきにも申し上げましたように、従来登録制対象でありましたものを免許制対象にするということと、あわせましていわゆる年令制限を従来の十八歳から二十歳に引き上げる、こういう二点の改正空気銃に関しましては試みたのでございますが、御承知のように最近空気銃と申しますけれども、非常にその性能が向上いたしまして、次第に装薬銃に近いような機能を発揮するということにも相なって参りました関係上、非常に危険性を伴ってくるという場合が多くなってきたわけでございます。あわせまして、この空気銃はその性能からいたしまして、装薬銃と違い発砲いたしましてもその音が非常に低いわけでございます。そういう意味もありまして、多くの場合いわゆる公安上の制限地域であります公園でありますとか人家の周辺地域というようなところで撃たれる。それからまた本来の性能からいたしまして、主としてねらわれるのが小鳥でございまして、せいぜいハトぐらいのクラスまでのものがねらわれるということでございます。同時に、大体これは飛んでいる鳥を落すのではございませんで、木にとまっておるとか、屋根の上に静止しておるものを撃つことになるわけでございまして、勢い無差別に撃たれやすいことになるわけでございます。ところが有益鳥類ということになりますと、その大部分はやはり小禽類であるわけであります。いわば、はっきりした害鳥とも言えるものはスズメニューナイスズメのたぐいであるわけでありますが、これらとともに出て参ります小鳥が撃たれるということになりますと、やはり一番増殖考えたい有益小禽類というものが無差別に撃たれることになりまして、そこで従来一応この点につきましてはいろいろ批判があったわけでございます。中には空気銃のごときはむしろ猟具からはずすべきだ、むしろ猟具としては禁止すべきであって、射的場等におけるスポーツとしてこれを使うように制限すべきだ、こういう議論もあるわけでございますが、私どもといたしましては、必ずしも、現状をもっていたしましても製造業者もあり、かたがた愛好者もあるわけでございますからそういうわけにもいかない。そこでいわゆる空気銃の悪い面というものを極力セーヴするという面を考えて、そのためには十分なる思慮分別のつくために年令引き上げることが必要であると同時に、一方におきましては従来の甲種乙種免許制対象にいたしました猟法目的物をとるということにつきましては何ら変らないという意味におきまして、従来の登録制を、今回新たに丙種免許制というものを設けまして、それを空気銃に適用するということにいたしましたわけでございます。
  19. 稲富稜人

    稲富委員 本改正案目的というものは、先刻御説明の中にもありましたごとくに、有益鳥獣保護をはかるということが大体その趣旨のようにわれわれも考えるわけでございますが、今日まで空気銃によっていわゆる被害をこうむった鳥というのは有害鳥獣が多いのか有益鳥獣が多いのか、その点はどういうことになっておりますか。
  20. 石谷憲男

    石谷政府委員 これは必ずしも十分なる資料もないのでございますが、要するに家の周辺にしばしば出て参りますスズメあるいはニューナイスズメのごときものをとろうといたしまして多くの場合発砲をするということではございましょうが、そういうものと一緒に現われて参ります有益禽類というものを無差別に殺傷する、こういうことは非常に多いようでございます。
  21. 稲富稜人

    稲富委員 これは林野庁以外のことだと思いますが、大体スズメ被害によって穀物年間こうむる損害というものはどのくらいございますか。これは大体農林省統計に出ておると思いますが……。
  22. 石谷憲男

    石谷政府委員 実は林野庁ではこの種類の統計の持ち合せがないのでございますが、振興局におきまして、これは全国的な調査ではないのでございますけれども、数府県について行いました調査がございまして、確か年間推定いたしますと二十万石というようなふうでございますが、よく調べましてお答えいたします。
  23. 稲富稜人

    稲富委員 私の言っておるのは、スズメ被害というのは相当穀物増産影響すると言われておる、これは統計が出ておるわけなんです。一羽のスズメ年間に三合か四合だったと記憶しておりますが、スズメ被害というものは食糧増産に非常に影響をこうむる。そうすると空気銃によってとられる鳥というのは害鳥スズメが多いとなりますと、その点の利害関係がどういうようになるか、国家的の損失という点を考えなければいけない。空気銃がとるのがスズメが多いということなのだから、その点は一応考慮の中に入れなくちゃならぬ問題だ、こういうことも考えられますので、参考までにスズメのために受ける穀物被害数量等がどのくらいあるかということを承わりたいと考えておるわけでございます。その点からこの法律を出すのに当って、制限面というものを一律な法律改正じゃなくして、スズメ以外の益鳥はとってはいけないとか、何かそういうような限定するような技術的な方法はなかったかということなんです。なかったからこういうものを出したとおっしゃるでしょうが、その点は考えられたかどうか、こういう点を承わりたいと思う。
  24. 石谷憲男

    石谷政府委員 御承知のように、実は有益鳥獣あるいは有益禽類とこう申しましても、大体その標準というのは、主として農林業に及ぼす影響で一応有益、有害というものが区分されておるわけでございますが、絶対的に有益であり、絶対的に有害であるというものもごく少数はあるわけでございますけれども、時期によっては有益であり、また時期によっては同じものが有害な働きをする、その逆の場合もある、こういうふうな非常にあいまいな性格もあるわけであります。たとえばスズメ等の場合におきましても、これは全期間を通じて絶対的に有害かと申しますと、必ずしもそういうわけではございませんで、やはりひなを育てる期間におきましては有害な虫を食うとかなんとかいうことによりまして、有益な機能を持っておる、こういうことであるわけでございます。そういう意味合いにおいて狩猟をなし得る鳥獣そのものもこの法律できめないで省令できめておる、こういう状況でありまして、これはやはりそれらの鳥の生息の状態とも関連いたしまして、場合によっては非常に動き得るものだ、こういうことに相なるように思うのであります。そこでおそらくただいまの質問は、空気銃等狩猟を行います場合に、スズメだけに限定できないかということでございまして、実はスズメ狩猟鳥獣ということでありますが、その他の有益鳥獣というものがスズメ一緒にいつの場合でも公園あるいは屋敷の付近に出てきて、そういうものがとにかく多分に興味本位で撃たれるということも相伴いまして無差別に殺される、こういうのが実は空気銃によるいわば狩猟の実態である、私どもはかように認識しておるわけであります。
  25. 中村寅太

  26. 石田宥全

    石田(宥)委員 先刻稲富委員質問に対する御答弁によりますと、最近空気銃性能が非常に高度のものが出てきたというお話でございますが、従来猟法については制限がありますけれども猟具について明確な規定が行われていないわけでございます。同じ空気銃といいましてもその性能がいろいろあるわけでありまして、ほんとうに子供のおもちゃ程度で別に被害もないというようなものもあり、またずっと性能の高いものになりますれば、従来の猟銃とそう変りのないものまで出てきておるということでありますが、そういう点で性能別一定制限を加えるというようなことができないものかどうか。また将来こういうものを全面的に禁止してしまうというふうにお考えになっておるのではないかとも考えられるのでありますが、その点はどうなんでしょう。
  27. 石谷憲男

    石谷政府委員 御承知のように現行法によりましても、コルクを発射いたします空気銃というものはいわゆる猟具とはなっておらぬわけであります。コルクを発射する空気銃以外のものを猟具ということで区分いたしておるわけでありますが、要するにコルクを発射する空気銃は完全におもちゃでございます。それ以外のもので最近市販されておりますものは、相当いずれも高性能なものというふうに一般的に判断してしかるべきじゃないか。コルクを発射する以外のものにつきまして何かそこに段階的な区分というものがあるのではないかということにつきましては、なかなかその判別というものが困難になって参るように思うのであります。と申しますのは、市販されておりますものから見ますと、大体高性能なものが非常に多いという現状からいたしまして、そういうふうに判断いたすわけでございます。それから次の問題でございまするが、実は野生鳥獣審議会答申におきましても、空気銃による狩猟は将来は禁止の方向に持っていくべきであるけれども、従来これを愛好していた狩猟者製造業者等に与える関係考えて、この際は現状登録制免許制に改めるという程度が適当ではないか、こういうような答申が出ておるのでございまするが、私どもといたしましては今回の年令引き上げ免許制度の取り上げということによりまして、全面的にこれを禁止するということについては目下のところ考えておらないわけであります。
  28. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に免許制になって二十才に年令引き上げになったわけですが、これを十四才以上は所持することができる。そうすると、所持するということと、これを使うということとの関係で矛盾があるように思うのでありますが、所持することは十四才として、免許年令は二十才とされたのは一体どういう理由に基くものでしょうか。
  29. 石谷憲男

    石谷政府委員 御承知のように銃砲刀剣類等所持取締令によりますと、満十四才に達すれば所持の許可ができる、こういうことになっておるわけでございまするが、これはいわばこの法律目的である公安上の関係からいたしまして、一応十四才になれば所持資格を与えてもよろしいということであろうかと思うわけでございますが、やはり狩猟法立場からいって、狩猟鳥獣捕獲するという立場から参りますると、やはり十分に判断能力を備えた満二十才以上ということでなけらねばその対象になり得ないということに相なろうと思うのでございまして、その間一体どういうことになるのかということでございまするが、これは指定されました射撃場等におきまして射撃をするということは、実はその間の年令において認められておる、こういうことでございまするので、そういうように御理解をいただきたい、かように考えております。
  30. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に狩猟税ですが、この税金は都道府県税になっておりますが、狩猟者の多くは都道府県等の区別なしに他府県にどんどん狩猟に出かけておるわけであります。そういう場合にこれを都道府県税にするということは当を得たものではないように考えられるのでありますが、これを都道府県税にされたということにはあるいは理由があるかもしれませんが、どういうことでそういう措置をとられるのですか。
  31. 石谷憲男

    石谷政府委員 これは今のお話のごとく狩猟免許を受けまして出猟する地域というものが免許地以外のところが非常に多いという状況であるわけでございまして、従いまして狩猟者税の多額に入ります場所と、それからいわゆる狩猟の多く行われる場所は必ずしも一致しておらないという現状にあるわけでございまして、そういう意味からいたしまして実は相当な税収があるにもかかわらずなかなか猟政費というものが予算的にも確保しにくいという現状があるわけでございまして、先ほども説明申し上げましたように、税収に対しましては、この予算額というものは、わずかに一割という程度であるわけであります。こういうような根本的な問題を是正をいたしますためには、お話のごとく、やはり国税にいたしまして、統一的にできるだけの行政費の計上を考えて参るということに相ならなければならぬものだというように、私ども考え、この審議会等におきましても、いろいろと具体的な話し合いというものをとげたのでございますが、現在の地方財政の実情から、これを国税にいたすということにつきまして、非常に問題があるということで、そういう方面からのたっての据え置きの要望もあり、こういうふうな従来通りで、あえて国税に取り上げるに至らなかった、こういう実は経緯があるわけでございますが、現行狩猟制度の本来の姿から考えますと、ただいま御説明申し上げましたような経緯から、確かにこれは国税にいたしまして、必要な措置をそれぞれの地域に対して妥当に行なって参るということにならざるを得ないのではないかと考えております。
  32. 石田宥全

    石田(宥)委員 違反をして捕獲した者に対しては、譲り渡し、譲り受けが加工品にまで及ぶということは、酷に過ぎるのではないか、そこまで取締りを厳重にしなくとも、その違反行為、あるいは乱獲行為を防止できるのではないかと思うのでありますが、そういうところまで及ぼさなければならない理由が、どういうところにありますか、その点を一つ伺います。
  33. 石谷憲男

    石谷政府委員 実は狩猟法令に違反いたしまして捕獲した鳥獣を、譲り渡し、または譲り受けました者につきましては、従来もいわば両罰主義によりまして、双方を処罰するということに相なっておるのでございますが、鳥獣加工品がその対象外になっているということのために、加工することによりまして、適法にその規定の制約をのがれるというような、実は実態が相当あったわけでございますので、今回鳥獣保護目的法律改正いたします機会に、その範囲を加工品にまで拡大をいたしまして、違法捕獲物の流通を根絶するということに目標を置いて、こういう措置を実はいたしたわけでございます。しかし加工品には、加工方法でありますとか、あるいはその程度によりまして、御承知の通りさまざまな状態のものがあるわけでございまして、中には違法捕獲物であるかどうかというようなことにつきましても、容易にその判別ができがたいというようなものもありますから、省令でこれを規定することになっておりますが、規定いたします加工品の範囲は、原形を判別し得る程度のものということに限りまして、いわば善意の第三者が違反に問われるというようなことにつきましての、一般的な不安というものが、まずないように考えながら、ここまで手を伸ばしまして取締りを行い、あわせまして鳥獣保護目的に資したい、こういうことであるわけであります。
  34. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 関連して。ただいま稲富委員の御質問に長官はお答えになったので、だいぶわかりましたのですが、問題は十八才を二十才に引き上げた、こういうことになると、一番空気銃狩猟をやるスズメ、あれは大体子供が多いと思うのです。ところがそれがとれなくなるということになって、非常な農作物に被害を与える。その被害が、今稲富委員の話では、スズメ一匹に一年に三合くらいの被害がある。こういうような被害に対する、何か善後処置ということをお考えになっているかどうか、これを一点お伺いしたい。
  35. 石谷憲男

    石谷政府委員 実はスズメでございますが、これは御承知のようにいわゆる狩猟鳥に相なっているものでございますから、従って狩猟対象になるわけでありますが、これは狩猟対象になるといいながら、これまた狩猟期間中しか狩猟対象にならない、こういうことになるわけであります。ところが一体スズメ被害というものは、ある地方に集中的に時期的に現われてくる。こういう問題に関しましては、いわゆる有害鳥獣の駆除という、これを補完する制度の運用によりまして行なっているわけでありまして、その場合におきましては、私どもは主として網による一網打尽式なスズメの駆除ということを大いに奨励をし、そういう方法による有害鳥獣の駆除の許可を行なっている、こういうことであるわけであります。なるほど十八才が二十才になるということによりまして、若干そういう懸念もあり得ると思うのでありますが、そういうことによるスズメの駆除に対する影響というものは、私どもといたしましては、さして御心配いただくようなものではないだろう、こういうふうに考えております。
  36. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 今回の改正で二十才ということに引き上げられて、しかもそれが一定の講習を受けた者でなければ許可を与えない、こういうことになると、実際問題として——空気銃の使用を禁止するという意図のもとに今回の改正がなされたように思いますが、この点先ほどの長官の御答弁では、そういう考えはないということでありましたが、しかしながら二十才にする、しかも幾日かの講習を受けて、しかもそれによって免状を与えるということになると、単なるスズメやあるいは小鳥をとるというだけであるならば、実際問題としてそういう講習まで受け、許可をとる人が少くなると思うのです。従ってそういうことになると、一番農家に被害を与えるのは小鳥ですが、その小鳥に対しては捕獲できなというようなことに私はなると思うのです。網で捕獲するとおっしゃいますが、網ということになると、今までのように手っとり早く軒先に来ているスズメ空気銃で撃ち落すとか追っぱらうというような、そういう簡単なわけにはいかないと思うのですが、お考えはどうでしょう。
  37. 石谷憲男

    石谷政府委員 実は狩猟行政というものは、御承知のように非常に広い地域の山野で行われるものでございますから、これを取り締るにいたしましても、なかなか十分徹底したことは期せられないということは、よくおわかりいただけることと思うのであります。一方においては取締りをできるだけ厳重にするという必要もございますが、やはり抜本的な問題といたしましては、若い人たちからさらに青壮年に対しまして十分にPRといいますか、趣旨の普及宣伝、徹底をはかって参りませんと、結果的に有益鳥獣保護あるいは増殖といいましても、なかなか効果は期しがたいのではないかというのが私ども考えでございまして、そういうことに関連いたしまして、今回いわば狩猟者免許をいたします一つの要件といたしまして、簡単な講習というものを考えることにいたしたわけでありますが、この講習とは、多くの場合に野性鳥獣に関する知識に乏しいので、狩猟鳥獣と、しからざるものとを識別するための知識を与えるとか、あるいは銃も、空気銃装薬銃にかかわらず、相当高性能になって参りましたので、これらの操作について十分な知識を与える、その他一般の狩猟法に対する知識を与えるということが内容で、きわめて簡単な内容のものでございますので、むしろこういうPRの機会を利用していただいて、そうして十分に訓練を経た人が狩猟されるということで誤まりなきを期したいというのが私どもの主眼であるわけであります。
  38. 中村寅太

    中村委員長 他に御発言もないようでありますから、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  40. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際暫時休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————