○
芳賀委員 ただいま可決されました
農林漁業団体職員共済組合法に対しまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。
まず案文を朗読いたします。
農林漁業団体職員共済組合法案に対する附帯決議
本法は、
農林漁業団体役職員の
年金制度を確立することにより、これらのものが将来に対し明るい希望をいだき、全員打って一丸となり農山漁民に対する奉仕精神を振起し、
組合経営刷新のため安んじて
業務に専念することができる途を拓いたものであるが、更に、農山漁民あっての
団体役職員である事実に着眼するとともに、
国民の半ばをしめ、かつ劣勢
産業の担い手である農山漁民の社会的、経済的地位を考慮し、
政府は、この際すみやかに、関係
当局間の協力により、その福祉を積極的に増進するに足る
国民年金制度の実現をはかるために万いかんなきを期すべきである。
なお、
政府は本法に関しては特に左記によりその運用に当るべきである。
記
一、本
制度による退職給付について国庫補助を行う対象年令は、五十五才以上とせられているが、将来、平均余命の延長等の理由によって、他の制限における受給開始年令が引上げられるような事態が生じたとしても、本
制度においては、
農山漁村の現状にかんがみ、今後使用者および
組合員の負担の軽減、給付内容の
改善、保養施設の充実等をはかる必要があるので、行政
措置により一方的に国庫補助対象年令を六十才以上に引上げる等のことがないように注意すること。
二、
組合の
経営事務費に対する国の補助金は、
組合員一人当り百円と計算されているが、少くとも
私立学校教職員共済組合と同
程度を補助しうるよう所定経費の増額に努めること。
三、
組合員が、本
制度の対象とならない他の職場、例えば市町村役場等に移動した場合には、両者間の通算を認めない仕組みとなっているが、このことより、
農山漁村の実態上、いちじるしい不具合を生ずことが懸念せられるので、近い将来、その欠かんを是正するような
措置すること。
四、本法の制定後、
掛金の負担に耐えられず折角の
制度の恩典をうけることができないような
団体が生じないよう、新たな角度から
不振組合振興対策を再検討すること。
五、各種
農林漁業団体間に、著しい
給与水準のアンバランスが認められるので、これを逐次是正するよう強力に
指導すること。
右決議する。
昭和三十三年三月二十日
衆議院農林水産
委員会
以上が案文の内容でありますが、内容につきましてはすでに先日来当
委員会において各同僚
委員から問題点に対しましては質疑が尽されておるわけであります。
特にここで
指摘したい点は、この
農林漁業団体の共済
年金法が、これによって可決されたわけでありますが、この
団体を構成する農山漁民の現在の社会的経済的実情というものが、第一次原始
産業の
もとに置かれている関係上、その地位が非常に劣悪であるということは、これはもう言うまでもない点であります。でありますからして、これを単に
農業政策の一環として、今後の農漁民政策を進めるということでなくて、むしろ
社会保障の
立場から、今後農民に対する、あるいは漁民に対する国の
年金制度の確立が、本法制定を契機として行わるべきであるということは、これは当然必要なことになってきておるわけでありますが、たとえば
政府当局の言明等を聞きましても、いまだにこの農山漁民等に対する
国民年金制度の問題に対しては、何ら熱意を持ってこれを
実施することに対する具体的な内寄を持っておらないということが明白になっておるわけであります。でありますからして、この機会にわれわれは、この
制度の実現を機会にして取り残された農山漁民の社会的に不通な
立場にある
人たちの
国民年金制度の実現をこれによって推進させる、促進させることができるような端緒を開いたということを確認して、この
法案にわれわれは賛成したのでありますからして、この点を十分
政府においては配慮せられたいということをつけ加えまして、趣旨の弁明にかえる次第であります。