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1958-03-20 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君    理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君    理事 原  捨思君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       石坂  繁君    大石 武一君       大野 市郎君    清瀬 一郎君       草野一郎平君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       永山 忠則君    丹羽 兵助君       松浦 東介君    松田 鐵藏君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    稲富 稜人君       川俣 清音君    神田 大作君       楯 兼次郎君    中村 英男君       日野 吉夫君    山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣         臨時代理国務大         臣       石井光次郎君  出席政府委員         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      河野 恒雄君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部農         業協同組合課         長)      尾中  悟君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十日  委員神田大作君及び川俣清音君辞任につき、そ  の補欠として阿部五郎君及び日野吉夫君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十九日  東海黄海漁業許可制に関する請願日野吉夫  君紹介)(第二〇九五号)  農地改革による旧地主に対する補償反対に関す  る請願外三百三十八件(猪俣浩三紹介)(第  二一二六号)  寒冷地農業振興対策確立に関する請願篠田弘  作君紹介)(第二一六六号)  同(川村善八郎紹介)(第一二六七号)  同(小平忠紹介)(第二一九九号)  同(芳賀貢紹介)(第二二〇〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業団体職員共済組合法案内閣提出第一  二九号)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  農林漁業団体職員共済組合法案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。神田大作君。
  3. 神田大作

    神田(大)委員 だいぶきのうから質問が続けられておって、こまかい点までいろいろと応答がなされましたが、そのうちで私は一つ強制加入の点について質問をいたしたいと思います。  今度のいわゆる年金法によりまして、どういう不振の組合でもこの制度加入しなければならないということになりますと、掛金をすることのできないような不振組合に対してどのような措置をとるかという点がまだ不明確でございますので、この点をはっきりと御答弁願いたいと思います。
  4. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいまお話の点は、昨日もほかの委員から御質問がありましたが、組合員資格は十四条以下によって資格得喪条件がきめられ、十六条でこれを確認するということになります。従いまして組合状況が悪ければその確認がおくれることになります。そこでどうしても組合経営状況をよくすることが前提になるのであります。これは、この法律を施行しますと、今まで届の出なかったような組合がはっきりいたしますから、それにつきまして整備特別措置法あるいはそのほかの経営刷新の仕事によって組合経営をよくしていく、こういう指導を一そう強力に進めていく考えでございます。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 指導強化してこの制度に参加できるようにするということでございますが、そうすると再建整備法によって整備しつつある過程における組合、あるいは職員はこの年金制度加入したい、しかしながら組合はこれに加入する能力がないというような場合において、これをただ指導の面だけで果して措置できるかどうか、この点をお伺いいたします。
  6. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 第十六条の、農林漁業団体は、その職員につき、組合員資格の取得及び喪失に関する事項をこの共済組合に届けなければならない。このときに問題になるわけであります。従って組合の中で負担力がないということになればこの届が出てこないだろうと思います。昨日も御説明申し上げましたように、協同組合だけにつきましても、三万四千の組合のうち約九千が専任職員がないのであります。二万五千のうちから一万四千しか前回の調査は出てきていないのでありますから、その残りにつきまして、この届を出すか出さないかということによって実際の加入状況がきまる。ところが届がおくれますれば、その職員組合において、一体この年金制度ができたのに入るか入らぬか、入るためには組合掛金をどうして出すか、出すためには組合経営をよくしなければならないじゃないかということが当然問題になってきますから、今まではわれわれの方で指導しようとしても指導を受け付けなかった状態が、はっきり受付ができるということになるのでありまして、指導の徹底が期せる、こういうことになると思います。
  7. 神田大作

    神田(大)委員 届出をするというが、これを組合自主的届出に待つのであるか、それともこの法律の精神に従って、せっかくの年金制度をあまねく組合員恩恵を与えるために、どのような方法をとるかということが非常にむずかしいと思う。自主的な届出に待つということになりますと、組合自体といたしましては相当の負担金が要るのでございますから、それを口実にしてなかなか届出をしない。従ってこの年金制度恩恵に浴することができないと思うのでございますけれども、この点の指導といいますか、法の解釈といいますか、非常にそれがむずかしいと思いますが、この点をどう処置いたしますか。
  8. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはあくまでも組合が確立しておらなければ、幾ら強制加入規定を置きましても、その面においては動かないのでありまして、これはいたし方がないのであります。ただ先ほど来説明いたしますように、十六条では組合組合員資格得喪についての事項組合届け出なければならないし、第二項では、組合員の方から組合が怠った場合には請求権があるのでありますから、法律の立て方としてはこれ以上のことはできでない。あとは組合当局組合員がこれをもとにして、実際の加入ができるような組合経営を行う意欲があるかどうか、それから私の方ではこれをもとにして指導強化したいと思っております。そういう面から今までのような非常に抜けておる点が詰まっていくのではないか、こういうふうな期待を持っておるわけであります。
  9. 神田大作

    神田(大)委員 そこが非常に問題なんです。組合としては掛金をするくらいの力があると思われても、組合責任者自体がこれに協力する態勢をとることを好まなかった場合においてはこれはみすみすそこに働いておるところの常勤の職員等が、この年金制度恩恵に浴せなくなると思うのでございますけれども、この点はどういう指導でもって除去するか、ただ組合の自主的な申告のみに待つのか、この点が非常に大事だと思うので、重ねてお尋ねいたします。
  10. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは法律建前からいきますと、予定しておる組合加入しないことは全体の計画にそこを来たすわけでありますから、法律建前上当然強力な指導をいたすのであります。さらに法律条項からいいましても、たとえば十六条一項の届出をしなければ、八十二条によりまして過料に処するという規定も置きまして、その点は非常に重視しておるわけであります。しかし実際の問題といたしましては、お説のような非常に弱体の団体がありますから、相当の手数がかかる。相当強力に指導しなければならない、こういうふうに考えております。
  11. 神田大作

    神田(大)委員 その点は非常に大事でございますが、われわれの懸念しておるのは、十分掛金をかけて共済制度加入する力があっても、その組合自体がこれに消極的である、そういうことになってそこに働いておる職員不利益を来たすようなことのないようにぜひ指導を強力にしてもらいたい。これは厚生年金の場合等におきましても、五人以上の職場であっても、その営業主掛金をすることをきらって届け出を怠って、そうしてそこに働いておるところの従業員が非常な不利益をこうむっておる場合が非常に見受けられる。それと同じような状態が本組合においても行われるおそれがあるのではないかということをわれわれは懸念する。特に不振組合の場合は届け出によってこれをやるんだといいますと、不振組合というものは、一体どの程度をいうのか、どの程度の内容を指して不振組合として届け出を待ってからこれを行うというような態度をとるのか、その境目が非常にむずかしいと思うのでございますけれども、この点については不振組合というような線を一体どこに引くのか、この点をお尋ねいたします。
  12. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは昨日私の方の調査等もお配りして御説明申し上げたのでございますが、協同組合だけで申し上げますと、三万四千のうち専任職員がないものが九千七百ありまして、業務を停止しているのが二千七百、連絡先不明五百二十五、その他六百四十六。計二万がこの法律を施行した場合に加入するかしないかという報告がなかったのであります。その二万のうち九千七百は職員がないからいいのでありますが、約一万三千のうち業務停止が三千七百あります。これはおそらく継続するための業務停止、それから継続ができない解散の手前の業務停止、この三つにはっきり分れると思います。業務を継続するために整理して停止しておる場合は当然年金加入してくるだろうと思います。連絡先不明、その他、こういうものははっきり不振組合と指すことができると思うのであります。これらにつきましては一つ一つシラミつぶしに当っていきまして、解散に該当するもの、あるいはこれから再建するものと仕分けまして、再建をする見込みのあるものにつきましては、この年金強制加入条項を適用していく、こういう現実の指導になると考えます。
  13. 神田大作

    神田(大)委員 その点の現実的な指導を十分に、あやまちのないようにお願いしたいということを重ねて要望いたします。  それで私は今度の年金制度実施することを契機といたしまして、きのうもちょっと関連して御質問申したのでございますけれども、どうしても役職員待遇改善をしなければならぬ。年金制度を作ったからそれで待遇の万全を来たしたというわけではない。もともと非常に低い待遇に甘んじておる農協の役職員待遇改善をやらなければならぬと思います。これは組合によりますと、今の協同組合その他の農業団体経営等役職員の非常な犠牲によって経営が維持されておる、低い給与でもって経営を保っておる、こういうことはいつまでも継続すべきものじゃないのでございまして、この点について根本的に、少くとも現在国会において提案されておるところの最低賃金制法案によりまして、最低六千円あるいは八千円というような最低賃金が審議されておりますけれども、それ以下のような賃金でもって働いておるところの役職員給与改善に対して、根本的にどういう構想指導を持っておられるかお尋ねいたします。
  14. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 給与を受ける面からは昨日も御説明いたしましたように、どうしても一定給与がほしいのでありますが、支払う方の能力によってそれが制限されております。支払う方の団体側経営刷新して支払い可能になるようにいたさなければならないのであります。そのためには協同組合等においては刷新三カ年計画もやっております。そのほか整備特別措置法であるとか、あるいは一般的な農業政策農家所得水準を上げることによって協同組合強化していく、こういうこと以外にはないと思っております。さらにまた当面の問題といたしましては組合規模が非常に小さくて職員をかかえるだけの経費が負担できない、こういう面も給与水準の低い理由になっておりますから、その点はこの際強力に進めていきたいと考えております。
  15. 神田大作

    神田(大)委員 こういうふうに給与の低い点につきましても、私は組合自体にも相当責任があると思うのでございますが、監督する行政官庁にも責任があると思う。というのは今日不振組合になってから再建整備でもって大きな金を使っておりますけれども不振組合になる前にどうして防ぐかということが非常に大事なことです。そういう点につきましていわゆる監察制度強化とか、あるいは指導職員の養成とか、そういう行政指導が足りないのじゃないか、こういう点について、農業協同組合を初め農業団体をちゃんとしたものにするためにはもっときぜんたる態度でもって、予算的にも十分な措置をし、指導人員においても万全を期する確固たる方針を立てて今後進んでもらいたいと思うのでございますけれども、この点はいかがですか。
  16. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御承知のように戦後の農業団体はいわゆる自主独立の民主的な組織である、こういう建前から、お話のように行政庁の強力な指導という面は非常に強く排除されておったのであります。しかし戦後十数年もたちまして、現在の状況を見ますれば、少くとも農林漁業団体のように組織員零細規模のものである場合には行政庁援助指導というものがやはり必要じゃないか、こういうふうに再認識をしているのでありまして、その点は先般の協同組合法改正なりあるいは整備特別措置法改正についていろいろ御指摘をいただきましたので、今後はそういう点を参酌いたしまして遺憾のないようにいたしたいと思っております。
  17. 神田大作

    神田(大)委員 そういう点について、いつの委員会におきましても、当局答弁は今後監督も十分いたし、行政的指導をする上においても万全を期したいというふうな答弁でございますけれども、実際面においてはこれがなかなか実現されていない。それから農業団体等も、再建整備をやりましても、いろいろの障害によってなかなか所期の目的が達せられない。私はどこか大きな欠陥があるのじゃなかろうかと思うのです。この点について一つ抜本的な、農業団体が少くとも他の団体に比べて遜色のないだけの経済的な力を持たせるためには、これではどこかに大きな欠陥があると私は思う。この一つ欠陥といたしましては、たとえば中金等におきましてはいわゆる系統から集めた資金系統外に流す、系統機関強化に役立てない、こういうことも大きな欠陥だろうと思う。たくさんの資金を握っておりながらこれを系統外にのみ利用し、系統でもって十分資金要求があるにもかかわらずこれを使わせない、こういうようなやはり大きな欠陥が私はあると思う。こういうものにメスを入れないで農業団体強化しようとしてもなかなか強化できない。この点についてどうお考えになりますか。
  18. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 農業団体強化一つの大きい困難は、組織員零細規模であるということ、それからまた地域的団体でありますから、その地域によって経営規模がある程度制限される、そういうところにあるのであります。これは克服すべき非常に困難な条件である、こう考えております。運輸手段なり道路の整備なりあるいは通信網発達に従ってこれはだんだん排除していくことはできる、こういうふうに考えます。さらにまたそのほかの御指摘農林中金等の活動の部面で改めるべき点はないか、こういうのであります。そういう点はわれわれの方でも非常に努力をいたしております。しかしながら何と申しましても、御指摘中金だけの問題について申し上げますれば、出来秋に金がうんと余りまして、それをやはりどこかに預けて運用しなければならない。春には農家の方に預金を引き下げられるわけでありますから長くは運用できない、そういうことになりますと、ある程度余裕金の運用について時期的に他の部面に流れる場合もあります。しかし農林漁業に対して資金を融通する場合は、やはり受け入れ側の金を返す対策というものができないで、むやみに金を貸し付けるということもできませんから、資金の融通と補助金等のうまいかね合せによってやはり農業生産性の向上、あるいは農家経済改善に努力していかなければならない、こういうふうに考えます。
  19. 神田大作

    神田(大)委員 あなたはいろいろの関係があって、なかなかこの資金というものはそううまいわけにはいかぬというようなことでありますけれども、農村では非常にこの資金要求しておるのです。しかもたとえば酪農をやるとしても、あるいはそのほかの副業をやるにいたしましても、資金が足らないためにいわゆる農業生産性というものは高まっていかない、そういう農業生産力を高める計画的ないろいろの事業があるにもかかわらず、資金面において行き詰まっておるということは私はあなたも御承知だと思うのです。そういう点について、そういう言いわけだけじゃなしに、もっと実質的に日本農業を再生産させるための資金的ないわゆる不備、そういう点をもっとはっきりとあなたは認識してやらなければ、農業団体振興も農民の経済的な発達もできないと思うのです。この点ただ単なる言いわけでは僕ら承認できないのです。その点はっきりしていただきたい。
  20. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 農林金融には低利の金が必要になってきます。しかしこれを中金固有業務だけで低利の金を要求しても、もし預金の預かり率を低くすれば、これはほかに流れてしまうのであります。従って中金農林漁業金融としての限界があるわけであります。その限界を越えたものはやはり政府農林漁業金融公庫の金なりあるいは災害復旧等利子補給付の金なり、こういうもので整理していかなければならない。従いまして農林金融全体として考えなければいけないのであって、御指摘の点は私今農林中金だけの問題をとらえてお答えしましたが、農林中金だけでは限界がある問題でありますから、たとえば酪農資金でも家畜導入資金をもっとふやすとか、あるいは開拓者資金特別会計でやっているものをもっとふやすとか、自作農創設資金をふやすとか、そういう面は今後大いに努力しなければならぬ。中金固有制度としては限界がある、こういうふうに考えます。
  21. 中村寅太

    中村委員長 昨日中村時雄君より要求のありました内閣総理大臣厚生大臣及び農林大臣出席要求につきましては、総理大臣及び厚生大臣はいずれも参議院の予算委員会出席のため当委員会出席不可能とのことでありますので、石井農林大臣臨時代理に副総理立場をも兼ねて答弁していただきたいと存じますので、御了承願います。中村時雄君。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 了承しかねるけれども、せっかく賢明なる委員長がそうおっしゃるのですが、このような重要な法案に対しまして、たとえば短時日に、本日中にこれを打ち上げたいというような御希望があり、何か政治的な意図があるのではないかと——私自身はそれほどの政治センスがないからわかりませんが、賢明なる皆さん方政治力というものに私は非常に疑いを持つわけなんです。そこできょうは副総理農林大臣厚生大臣というような資格で、私はその意味においてお尋ねをしたい、このように思っておるわけです。  まず第一点に、現在、といっても昨年の十二月末現在でありますが、全国におきまして六県、五十五市、百十九町、五十二カ村、すなわち二百三十二カ所において地方自治体としての年金制度実施されておるわけなんです。東京都におきましても御存じのように予算の中にはすでに一億二千万円以上の経営費を作り出しておる、こういうような状態になっており、ただしかしこれらは年金制としての保障制度以前のものでありまして、敬老的な意味を含めたものが大半になっておる、こういう状態になっておるのであります。そこで国家老後の生活を安定さすということが一つの大きな社会保障としての支柱になってきておる。これは保守党であろうと革新党であろうと、全世界的な課題として問題になっておるわけでありますが、その意味においては日本は非常に立ちおくれておる、こういうことが言えるわけであります。そこで現在の年金制度を調べてみますと、大体七種類のものがあります。すなわち厚生年金保険船員保険国家公務員共済組合公共企業体職員等共済組合市町村組合共済保険、また私立学校教職員共済組合文官軍人恩給、こういうふうに分れてきておるのでありますが、これらはすべて一つ保険方式であります。すなわち一定掛金を積んだ人のみがその利点に浴する、こういうような状態になっており、また人数からいきましても、旧軍人の二百万人は別といたしまして、大体利用されている者が一千二百万人、すなわちこのことは全産業労働者の大体六五%にしか当っていない。第一次産業農業、あるいは商業、その他の零細企業に働くところの三千万人以上の人たちは、まだ全然これらの恩典に浴されておらない。その基本的な問題に対しまして、副総理並びに厚生大臣並びに農林大臣としてはどういうふうなお考え方を持っていらっしゃるか。もちろんこれは副総理だけじゃないですよ、総理大臣資格もその中に含めてお答えを願いたい。
  23. 石井光次郎

    石井国務大臣 農山漁村人たちに対しまして国民年金的な問題を考えるべきじゃないかというお話だと思います。これは農山漁村人たちをどうやって老後も安心できてやっていけるかということに心持ちをいたさなくちゃならぬことは当然でございますが、私ども農山漁村だけでなく、国民全体をそういう立場において考えるべきではないかということで、国民年金制度というものの構想を持っておる。これをどういうふうにしてやったらいいかということの創設準備を進める必要がありますので、社会保障制度審議会というものに今諮問をいたしておるところでございます。この答申を待ちまして国民全体の年金制度というものを一日も早く確立いたしたい、こういうふうに私ども考えております。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは今社会保障制度審議会に対していろいろな答申を依頼しておる、こうおっしゃったのでありますが、少くとも八年前から社会保障制度審議会は全国民を対象とする年金保障制度が最も望ましいといって、すでに逆に申入れをしておるのです。このことを御存じですか。
  25. 石井光次郎

    石井国務大臣 そのことは了承いたしております。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 そうするとあなたは今ごろになってそういう考え方を持って、そして審議会に対して答申考えていらっしゃる。ところがすでに審議会は八年前にあなた方に申入れをして、強硬な態度をとっておる。しかも、昭和二十八年にもかなり具体的な構想を打ち出して、再三政府に勧告をしているんですよ。それを今さらになってあなたが審議会に本年度どうするこうするといっていることは、ちょっとおかしいと思うのです。そういうようなことをよく考えられて、あなた自身はどういうお考えを持っていらっしゃるのですか。
  27. 石井光次郎

    石井国務大臣 それほど大事な問題であるということは私も当然考えております。従ってこれが一日も早く実施に移らなくちゃならないのでございまして、実施についてどういうふうな構想で、どういうふうにやるべきかということを今諮問しておるわけでございます。具体的な方向にだんだん進む状態にあるのでございます。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 これは非常に重大な問題なんですが、これをあなたに突っ込んでみても総理大臣兼副総理兼……というようなあなた自身考え方の中には入っていないようです。だから鋭意もう少し真剣に考えてほしいとこの点は要望しておきます。  そこで今言ったように、八年前から審議会はあなた方に答申をし、二十八年には具体的な問題を持ってあなた方に答申をし、再三再四政府にこの問題はいろいろな角度をもって陳情しておったわけなんです。そこで私たち社会党といたしましても、御存じのように三十一年におきまして、せめてそれでは慰労年金制度でも作っていきたい、こういうことによって法案を提出いたしましたが、その問題は御存じでございますか。
  29. 石井光次郎

    石井国務大臣 出ておることは承知いたしております。
  30. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはそれも一々隣に聞き合わして、出ておるか出てないのかを聞いておるようなので、本日は何も知っていらっしゃらないのじゃないかと思うのです。そこでほんとうにあなたがそういう考え方を持っているならば、この私たちの出している慰労年金制度一つ十分なる審議の機会を与える御意思がありますか。
  31. 石井光次郎

    石井国務大臣 私の方といたしましては、社会保障制度審議会には諮問しておるし、また今の問題といたしましては、この農林漁業団体職員共済組合法案を出している関係もございますから、その方をやっていただいて、これを審議することを……。
  32. 中村時雄

    中村(時)委員 社会保障制度審議会社会保障制度審議会と言っておられるが、失礼な言い分かもしれませんが、ばかの一つ覚えみたいだと言いたくなるのです。というのは、実際には、今言ったように、すでに七年前から審議会答申をし、二十八年には具体的な案を出していた。そのときにあなた方はどういう審議をなさったか、具体的に言ってほしい。
  33. 石井光次郎

    石井国務大臣 審議会から答申があったとおっしゃいますが、それはまだ実際に国民年金保険を実施していくようになるためのいろいろな問題が論議し尽されていないのでありまして、それを待ってわれわれやっていこうというわけであります。
  34. 中村時雄

    中村(時)委員 そういう熱意は、善意に解釈した場合確かにあなたにある。あなたの人柄から善意に解釈するのですよ。その意味において、あなたはその答申案に対しいつごろまでに結論をつけたいというお考えを持っていらっしゃるか。
  35. 石井光次郎

    石井国務大臣 答申が出次第直ちにこの問題は取り上げて、政府としていろいろ話を進めていきます。
  36. 中村寅太

    中村委員長 ちょっと中村時雄君に御相談いたしますが、参議院の方が会議を開かれずに待っておるそうでございますから、なるべく簡単に一つお願いします。
  37. 中村時雄

    中村(時)委員 大体一時間くらいの約束が三十分に減らされて、ついに二十分くらいに話し合いをつけてきたわけですが、その範囲内において私の方も質問を終りたいと思っております。  それでは今の問題は、答申案が出れば直ちに政府の中においては十分検討をし、即時実行に移したいというふうに受け取ってよろしいですね。
  38. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは国民年金保険を取り上げる意思をあらゆる機会に政府が申しております通り、答申がありましたならばなるべく早い機会に取り上げて実施に移すように努力することは当然だと思っております。
  39. 中村時雄

    中村(時)委員 それではもう一つお尋ねしておきたいのは、二十八年には具体的な答申案が出されたのですが、その問題に対しては今のところは十分な討議をされなくて、そこであらためて諮問をし、答申案を出してもらう、こういうふうに了解していいですね。
  40. 石井光次郎

    石井国務大臣 その答申だけでは、まだ十分実施するには、参考とするには、また基本とするのには足りない。もっと詳しいものを出していただきたい。それを無視するわけにはいかないわけであります。
  41. 中村時雄

    中村(時)委員 それではほんとうにあなたが審議に入って熱心に検討されたならば、その答申案の中のどういうところに欠陥があり、どういうところがどうなっているかということもお聞きしたいが、時間がありませんからその点は省くことにいたしましょう。しかしあなたの頭の中で構想を描いておいていただきたいと思います。  次に第三点といたしまして、恩給を除くところの、先ほど言いました七種の中で六種は全部積立金でありますから、厚生年金からはすでに二千億円、その他が七百八十六億円という膨大な額に上っておる。そこで現在の資金は大蔵省に大半が年六分の利率でもって預託されておる。そこでまた共済組合の方は積立金を銀行預金や信託あるいは有価証券あるいは土地というようなものに投資をしているところもたくさんあるわけであります。そういうばらばらの形態というものを、あなたが先ほどおっしゃったように、年金は一本にしていきたいという基本構想があるんだとおっしゃるなれば、それらを統一いたしまして、この投資ということは非常に危険なのであります。それが絶対のものであるとは言い得ない。そこで政府の方といたしましては、それを一本にして将来への年金制度のステップを考えているような方向を持っていらっしゃるかどうかお尋ねします。
  42. 石井光次郎

    石井国務大臣 これはいろいろな場合があると思うのでございますが、大体におきまして一本化していくべきではないかということで、この案を進めております。
  43. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで次に、現在この農林委員会におきまして、御存じのように農林漁業団体職員共済組合法というものが出ております。目下審議中でありますが、それを何とかかんとかいいながら、本日じゅうにというので時間の制約まで受けておる、こういうような状態になってきている。そこでこの点一点お尋ねしたいのですが、現在この農業協同組合厚生年金加入している者が二十四万人おるわけであります。そうしてそれに対するところの積立金というものが大体におきまして二十余億円、きのうもその発表があったおけなのであります。そこで考え方によりますといろいろな問題が出てくる。そういうふうな厚生年金に金を積み立てておる。この金を利用したいという考えも出てくるだろうと思うのです。膨大な金ですから。そこであなたのおっしゃるような、今言った一本化をはかりたいという基本構想を持ちながら、すでに答申案も先ほどの審議会要求をされているそういう時期に、もうすぐに目の前にその答申案も出てくるのであろうというときに、その一本化に対するところの逆行の行き方をとっておると私は考えざるを得ない。そこであなた自身たちがそういう逆行の姿をとるというところに社会の疑惑が出てくる。すなわち第一次産業である農民自身には何の利益にもならない、恩典はない。しかしそういう人たちだけに恩典を与えることはおかしいじゃないかという一つ考え方が出てくると思う。同時にまた農協のそういう職員のみを通じて、あなた方がそういう逆コースの方向をかりにとるとするならば、それは政治的な何ものかの意図があって、そういうことをしているのではないかと考えられる節も出てくる。さらにはまた一本化をはかりたいという厚生大臣考え方が、閣議の中において、いろいろな方途からついにこれをのまざるを得ないといういろいろな新聞発表もあった通り、そういうような経過を考えた場合に、一体副総理としての考え方はどのように今——先ほどあなたのおっしゃったように、一本化をはかりたいといいながら、片一方においては分裂していくような傾向をとっておるこういう姿のあり方に対して、あなたは一体どういう構想を、どういう将来への考え方を持っていらっしゃるか。
  44. 石井光次郎

    石井国務大臣 答申が出まして、実際にこれが行われるというのには時もかかるので、その間今までと同じような行き方が維持されていくわけでございまして、これは特に悪い方向にわざわざ持っていこうという意味でないことを御了承願いたいと思います。
  45. 中村時雄

    中村(時)委員 だれも悪いと言っているのではないのです。農業協同組合職員全体としてはプラスになってくることなんです。ところが今言ったように、あなたは政治家でしょう。全体として見ていくときには、そこに農村とそういう一つの階層との問題が出てくるわけなのであります。そこで私の言うのは、今言ったようないろいろな組合資金の積み立てであるとか、そういうようなものを各銀行がねらい打ちに借り受けようとしているとか、いろいろな問題がその中にあるわけなんです。そこで私の言うのは、一番最後で時間がありませんから一点だけ最後にそれではお聞きしましょう。あなたに一々くだらないことを聞いたっておわかりでないようですから。そこであなたに対してお聞きするのは 一体第一次産業の基本になる農民が、自分たちの年金制度というものは果していつごろできるのであろうかという具体的な考え方を持っている。そこであなたのおっしゃるように、その審議会答申が出ればそれを一応検討して、とこうおっしゃいますが、その答申の出る時期、それに対する見通し——なぜ見通しを言うかといいますと、すでに二十八年には出しておるのです。そこで出しているものを検討された結果、こういう点が足らぬからこういうところをもう一回出してくれといってあなた方は諮問していらっしゃるというのだから、そこでその諮問されてくるところの内容。今言ったように時期、内容、そういうようなところを一言、御構想があるならば、ここで全農民に御発表願えれば幸いだと思うのです。
  46. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは審議会の方から出てくるものを待つよりほか今私はないのでございますが、先申しますように、なるべく早い機会に答申を得たいということをわれわれの方は要望しているのであります。そうして出てから先の問題は、どういう構想でやるかという問題は、その答申と相待ってきめるべき問題でありまして、農林省としていろいろ考えていることももちろんあるわけでございまするが、これらにつきましては全体の問題として考慮する問題だと思います。
  47. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはきのういらっしゃらなかったからわからないんですけれども、この構想は持っているということの発表はすでにしているんです。そこであなたに、少くとも副総理立場として、これだけ重要な問題になっているのだから、あなた自身のお考え方もあろうと私は善意の解釈をしたわけです。その中に政治ゼスチュアも何もないのです。ほんとうに真剣にこれに取っ組んだ場合に、今言ったように少くとも全国民の熱望している時期であります。内容はあなたに聞いたところで今おっしゃるようにおわかりにならない。それはそれでけっこうです。わからないのはわからないでけっこうです。それをごまかして政治ゼスチュアとしてこうしようああしようというようなことは抜きにして、一つあなた方がいつごろまでにしたいという考え方があるだろう。もしもできなかったらあなた方が言って答申を促進しようとかいろいろな方法があろうと思う。だからそこに目途がなくては一つの政治的なゼスチュアでは政党に国民はついて行けない。そこで出ましたらただ検討してとかいうことでなくして、ほんとうにあなたの考えていらっしゃることをそのままずばりと言ってもらいたい。
  48. 石井光次郎

    石井国務大臣 同じようなことを申してなんですが、向うの審議会の方からの答申はわれわれとしてはなるべく早くやっていただきたいということを申して話を進めるだけでございまして、いついつまでにこれができて、そうしていついつまでにあとの案ができるという具体的なことを今は申しておりませんが、なるべく早くという熱意だけは申し上げているわけであります。そうしてそれによって私どもは検討していく。農林省また厚生省というような立場々々において、いろいろこうあるべきだというようなこと等はもちろんみな考えは持っているわけでございますが、これはみんな出そろったところでほんとうの成案を得るときに十分なディスカッションをする問題でありまして、ただいまのところはまだ申し上げる段階にないのであります。
  49. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはなるべく早くと言う。言葉の限界点ですね。政治家としてはなるべく早く御配慮をいたしますとかいろいろなことを言うんですが、そこでなるべく早くで国民はだまされ続けている。そこで本年度なら本年度でいい、本年度にはぜひともこれをやっていきたいのだという、そういう考え方を持っていらっしゃるかどうか。
  50. 石井光次郎

    石井国務大臣 なるべく早くということは一日も早い方がいいわけでございますが、私どもはこの夏前にでも答申がわれわれに得られるように努力をいたしたいと考えております。そのようにお答えをもらい得るのじゃないかということをも考えております。
  51. 中村時雄

    中村(時)委員 答申案があすにでも出ましたら直ちに審議に入って本国会中にそれを法案化して出す御予定を持っていらっしゃるかどうか。
  52. 石井光次郎

    石井国務大臣 あしたかりに出て参りまして、すぐこれが成案になって提案するということは、なかなかこれは困難だと私は思う。
  53. 中村時雄

    中村(時)委員 それはどういうことですか。一日も早くという御熱意がある、するとあすといってもできるわけなんです。そうすると今国会は五月十七日まであるわけです。十分それで間に合うわけです。しかもあなたは以前から審議している、どういうところがいけないのだからとこういうような具体策まで考えていらっしゃる。そうすればわけはないじゃないか。その熱意があなたにあるかどうかということの問題だけです。それとも党内派閥の中において、各派閥を口説くだけの十分自信がないとおっしゃるのですか。
  54. 石井光次郎

    石井国務大臣 法案はでき上るまでに相当いろいろな研究したものを持ち寄って、法規その他もありますし予算の問題もあるし、いろいろこれに伴う問題もありまして、なかなか簡単にあす、あさってというわけにはいかないという心持ちで、あなたの仰せのようにすぐにもやろうというようなことを言ってうそをつくようになってはいけないから、ほんとうのことを申し上げたのでありまして、実際の進行はあなたが一番よく御承知だと思います。できるだけ早くやります。
  55. 中村時雄

    中村(時)委員 わけのわかたようなわからぬような答弁なんですが、それからもう一点、中政連はこの厚生年金の中核体をなしているわけです。ところが各組合が単独に独立的にやる、こういうような方向がどんどん出されるとするならば、中政連だってそれだけの資金というものの利用方式をとりたいだろうと私は思う。これは経済局長が横から幾ら指図しても、農林省の関係のないところです。そういうふうな状態で、もしも中政連がそういうような一つ法案を提出された場合にはあなた自身はどういうふうなお考えを持っておりますか。
  56. 石井光次郎

    石井国務大臣 中政連ですか、あれは今どういう考えを持っておるかということを聞いたこともございませんし、それは向うでやるかやらぬかわからないということでありますが、私が今まで聞いておるところでは、そういう問題に鮎川君が入っておるとは思っておりませんし、まあ出てくれば出てきたときの問題だと思っております。
  57. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはもうちょっとすかっとした人だと思っていたのですが、あなた方は閣議で、中政連から出されるとこの厚生年金の基本ががたがたになるので、中政連の方は認めないという発表を新聞でもしているじゃありませんか。それを何も知りませんというのはどういう意味なんですか。あるいは腹痛でも起してお休みになっておったのかもしれませんが、そういうことはちゃんと具体的に出ているのです。
  58. 石井光次郎

    石井国務大臣 私自身はどういうわけだか承知しておりませんが、出たことは確かにあるそうでありますから、政府は取り上げないというような意味のことをそのとき話し合ったということだろうと思います。
  59. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたも正直に、そういう話し合いをしておって、あなた自身は今まで知らなくて、お隣りの方から声があってそういうことがわかったということを正直におっしゃいましたから、これ以上は追及しません。  それで最後に、ゆりかごから墓場までということは社会保障の基本なんであります。そこであなたのようなゼントルマンが、少くともそういう方向に全力を向けてやっていただきたいということを熱望します。これは同時に、そういうことは要らぬことかもしれませんけれども、あなたが将来総理になる第一歩のステップになるであろうということを考えるわけですから、鋭意その方向に御努力を願いたいということを申し上げまして、これをもって終らせていただきます。
  60. 中村寅太

  61. 川俣清音

    川俣委員 時間が非常に制約されておりますので、問題点だけを摘出して四点ないし五点お尋ねしたいと思います。  一点は厚生年金から分離して長期給付を行うのでございますから、従って貨幣価値の変動というものを長期にわたって見通していなければならないと思いますが、この点について検討をせられたかどうか。
  62. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 年金制度は在職期間が相当長期の掛金で、退職後相当長期に支払うのでありますから、貨幣価値の変動というものは当然頭に入れて考えておるのであります。
  63. 川俣清音

    川俣委員 現状の貨幣価値がどの程度変動するという見通しを立てられたのかどうか。
  64. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 具体的に将来の貨幣価値の変動を現在想定することはできません。しかし貨幣価値が変動した場合に、その貨幣価値の変動に応じて手直しをするという前提で考えておるのであります。国民厚生年金におきましても、これは非常に不十分でありますけれども、貨幣価値の変動に対する一応の措置は講ぜられておるのであります。
  65. 川俣清音

    川俣委員 そこで前置きとして、厚生年金から分離するということは、わざわざ基本体系から分離するということは責任を持った一つの体系を作るということでありまするから、みずからの責任で長期に見通しをつけなければならないと思う。将来国民年金の方は一定の見通しをつけるでありましょう。あえてそのワクからはずれてこの制度をとられるからには、ある長期の見通しをつけたのでしょう。つけてなければ問題だ。つけたとおっしゃるからどんな見通しであったか、この制度の運営におきましては非常に重要でありまするから、誤算があろうとなかろうと、一定の見通しだけはおっしゃっていただきたい。
  66. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはこの法律に基く年金制度だけの問題でなくて、全体の年金制度に共通の問題でありまして、共通に解決される、こういう話し合いでやっておるのであります。
  67. 川俣清音

    川俣委員 これは分離するのですから、分離するということはあえて責任を分離するということです。厚生年金あるいは国民年金である場合におきましては、国民の大半を対象とするものでありますから、従ってそこに問題の解決は別だと思う。あえて分離するからには、分離上の責任を負わなければならぬということは理の当然だと思う。なるべく右へならえしたいというなら分離するという理由は薄くなる。あえて分離するということは、責任体制を別に作るということです。その責任体制に応じた当然の見通しがなければならぬだろう、こうお尋ねしておるのです。
  68. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 少し説明が不十分だったと存じますが、貨幣価値の変動に対してどう処置をするか、その前提となる貨幣価値の変動は共通の問題である、こういうことであります。それに対して処置をしなければならぬというのも共通の問題であります。最後に、分離すると処置の仕方が、たとえば公務員の恩給の場合も一種の年金でありますが、これは全額国庫のまる抱えになっております。ですからまる抱えになっておる分は、一面においてはその変動に対処した処置がしやすい場合、あるいは逆に税金であるからしにくい場合がある。こちらの場合は、メンバーが団体団体職員でありますから、団体の経済力によってやはり貨幣価値の変動に対応しやすい場合、しにくい場合、これは解釈のとりょうでありますが、やろうと思えばやれるということはしやすい、しかし経済力の負担がなければ実行がむずかしい、こういう意味でしやすい場合、むずかしい場合それぞれによって違うのであります。しかしいずれにしましても、貨幣価値の変動という一つの共通の事態に対応する処置をする、大体バランスがとれた処置を当然とらなければならない、こういう前提で分離の場合には考えておるのであります。
  69. 川俣清音

    川俣委員 時間がないからこれ以上申しませんが、あなたの答弁の中に非常に矛盾があるのですよ。これはこれ以上追及しません。  第二に、農協が本法の適用の大宗をなしておるのであります。農協の発展あるいは健全化あるいはその向上には、かなり米麦の価格が影響を及ぼすであろうと思われます。別な言葉で表現するならば、米の統制撤廃いかんによりまして農協の将来性または発展に大きな影響を及ぼすものだと思う。そこでおそらく農協にそうした多大な影響がないものという前提、すなわち農協は今後育成強化されていくものだという前提に立ってのこの制度の創設だと思うのです。そう理解する。理解が間違っておればあとで答弁願いたい。私はそう理解する。そうすると、少くとも米の統制は相当長期にわたってこれが実行されるものという観点であろうかと思うが、この点についてどういうふうに理解をしておられるか。これはわざわざ政務次官に聞く必要はない。事務当局でこういう点を検討されたかどうかということです。見通しを聞いているのではない。どういう検討をされたか、何年ぐらい続くというふうに見たか、これによって農協は打撃があるかないかということを検討されたかどうか、従ってそこに勤めておる職員の身分に大きな変動があるかないかということを当然検討されたのじゃないかと思うのですが、どういう検討をされたか、検討の内容を聞きたい。
  70. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私どもの検討では、御指摘の通り米麦は何と申しましても農業粗生産額の、これは畜産物を含めまして六割以上を占めておるのでありますが、これがこの年金制度の中核をなす協同組合の非常に大きい経済的支柱であるということは当然考えております。しかしそれと米の統制撤廃とは別な話であります。しかし私の方の検討では、米の統制をはずすということは全然考えないで、それは遠い将来そういう問題が現実の問題として取り上げられることはあるかもしれないけれども、この案を立てるときにはそういうことを考えないで、米の統制が継続される前提でこの案を考えております。
  71. 川俣清音

    川俣委員 考えないでと言ったりあるいは続くものと考えておる、一体どっちがほんとうなんですか。統制撤廃を考えないでも農協というものが将来発展性を持っておるものだ、こういう理解の上に立ったという答弁のようでもありまするし、また米の統制撤廃というものは農協の健全の上にかなり、七〇%あるいは六〇%以上の重要性を持っておるものであるから、この制度を続けるからには米の統制撤廃は当分やらないという意味もとれた。どっちなんですか。影響がないというのは、続けることによって影響がないのか、統制撤廃をやってもなお農協に影響がないということで影響がないと言われたのか、その点ちょっとあいまいなんです。
  72. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この年金制度と米の統制撤廃とは全然関係ないのでありますが、組合はいずれにしろ日本農業政策からいえば米麦を中心とした経済事業を行うことは当然であります。しかし私どもの方では、統制撤廃というものを近い将来に、農林省の事務当局としましてはあるいは経済局長としましては全然考えないで、相当将来まで統制は続くものという前提で考えております。
  73. 川俣清音

    川俣委員 今のところちょっと不十分なんですけれども、統制撤廃が行われないもの、そういうことで農協の堅実性は依然として保たれる、従ってそこに勤めておるところの職員の身分というものについてはあまり大きな変動はない、変動がないばかりでなくて、将来相当水準も上るという前提で考えられたという答弁でもありまするし、無関係だということは、米麦の統制または価格支持によって農協というものは左右されないのだ、こういうふうにもとれたのです。どっちですか。
  74. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 結論的に申し上げますと、統制撤廃というものは考えないでやっておりますけれども、理屈を言いますから理屈的に答えたのでありますが、統制撤廃をやっても農協は当然自分のものを共販をやって全部やったらいいじゃないか、こういう理屈がありますから、そういうものとは関係なしに、結論的には統制撤廃を考えないでこの案を立てておる、こういうふうにお答えしたのであります。
  75. 川俣清音

    川俣委員 これ以上は追及しません。問題は農協の健全性をはかるということになりますと、おそらく米麦以外に他に農協の事業を拡大していくというようなことによって影響を少くするということなら、これは方向としてあり得ると思います。そういうことを検討されないということは無責任だろうと思うのです。現状の職員を維持することにきゅうきゅうとしてこの制度をとられたということであります。それならばその前提に身分の不安定になるようなものを、これ以上のものを、行政的にでき得るものでありますならば、それを先に除くという大前提を置いてこの制度を進めなければ、いたずらに国民に負担をかける結果になるのではないか。当然やるべきで行政的なあるいは政府の方針によって続けられるものは続けられて、こういう方向でいくのだからして農協の職員の身分を安定するのだ、あるいは給与も向上するのだ、従って今政府負担の百分の十五あるいは一人当り百円の事務負担金を将来は減らし得るのだ、こういうことで国民に承認を求めなければならぬものだと思う。本体自体がつぶれるかどうかわからないというような不安のもとにおいて、国民に一人当り百円の事務費または国庫負担の百分の十五ということを無責任に課すというものではないと思う。一定の見通しを持って、今こういう負担をかけるけれども、将来農協をしてこういうふうに発展さしていく、できるだけ国民の負担を軽くするのだから、この分については一般会計で見てくれというなら、これは筋は通ると思います。今どんなに負担が重くても、あるいはあえて耐えるかもしれません。しかしながら疎漏であるために今後国民負担をかけるということは、これはなかなか容易に、今はできるといってもできないのではないか。これは消費米価の場合も同様なんです。消費米価のような場合には国民全体の負担になるから、上げても税金も同じようなものです。それでもあえて一般財政の負担に耐え切れないということで消費米価を上げるのでありますから、この点については十分検討されていなければならなかったと思うのです。やや疎漏だと思いませんか。
  76. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では理屈上からいいますと、米の統制が継続されていくから農業協同組合が維持されているのだ、こういうふうには当然出てこないと思うのです。統制継続をしなくても協同組合は当然存立して発展すべき建前であり、そういう意図で農民が組織しておるのであります。しかし現実の姿は統制によって非常に仕事がやりやすくなっている面は否定することができないと思います。従いまして、先ほど申し上げましたように、統制を継続するかしないかということとの関連は、理屈上は当然すぐ出てこない、こういうふうに考えております。
  77. 川俣清音

    川俣委員 局長は理屈上出てこないと言うが、今農林省はどういう見解を持っているか知りませんが、日本の農政関係から見て、また農業団体から見て、多くの国民から見て、もしも米の統制撤廃が行われるといたしまするならば、少くとも今の農協というものは、その事業量において、米麦いずれも統制撤廃の結果起ってくるところの打撃は非常に大きい。従いまして、三分の一内外または三割以上が、農協の運営を困難ならしめることなくして、それ自体農協から脱落するのじゃないかと見られるわけであります。農協自体が立っていかなければ、その職員は身分が安定していかないから、急激なる退職者が出るということになると、この制度というものは破壊せられていくわけです。だからこの制度の前提条件について、もう少しきわめたかどうかということを聞いておるのです。関係ない、関係ないということを言われるから、ずさんじゃないか、こう言うのです。そういう不安があれば、これは承認することができない。あらゆる検討をしたけれども、これについて確信はある、これなら別です。農協の将来に米麦の影響があまりないのだというような簡単なことならば、職員の身分を保障しようという、その保障をするさきに、すでに今日不安だということです。来年撤廃するというのでは掛金をかける人はありませんよ。そんな不安定なところに勤めておって、何らの給付がないという見通しがつくならば、掛金をかける人もない。それ自体出発においてそこを来たす。だからこれは制度が悪いのじゃないのですよ。私は制度がいいとか悪いとかいう議論をしているのじゃない。勤めておる勤め先が給与の根源が不安定であれば、この制度というものは不安定だ、こういうことなんです。だから、それが安定しているかどうか、こういうことです。
  78. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは見解の相違になると思いますが、川俣委員協同組合は米麦の統制で生きておるのだ、極端に言いますとそういう結論でありますが、私は必ずしもそう考えかいのであります。それは考え方の相違じゃないかと思います。しかし現実の姿は、とにかく統制は別の意味で消費者保護、あるいは農家経営安定——組合でなくて、農家経営の安定の意味から、これははずすことは考えておりません。それをはずすということを前提として、こういうことを考えておりません。相当長期に統制は続くという前提で考えております。その結果川俣委員のおっしゃるように、組合の健全性に非常に資していくならばなおさらいい、こういうことであります。
  79. 川俣清音

    川俣委員 これ以上聞きたくないのですが、農協というても、農協の基盤をなすところの組合員は農民なんです。農民に動揺を与えるようにしたら、農協というものは成り立っていかないのです。すなわち、農民をよくするために職員は働いているのです。働いておる限りにおいて、農民から保障されるのは当然のことなんです。これは問題ないのです。そこで、もしも米麦の統制撤廃が行われるとするならば、少くともその事業というものは、酪農の方に発展していくだろうと思います。あなたの言ったのはその意味かと思います。それならばやはり酪農と農協との結びつきを、今にして考えていかなければならぬのじゃないか。この点どうでしょう。
  80. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 酪農の発展する部面では、もうすでに酪農を中心にした農協というものが、地方によっては相当確立されているのであります。今後そういう部面がふえていくことは、当然あると思います。米麦を中心とするところは、やはり米麦中心の農協というものが維持されていかなければならないと思います。
  81. 川俣清音

    川俣委員 そのように酪農の方にいくならば、今は酪農組合と単位組合とは並列されている場合も多いのですから、こういう問題について検討も加えられずにおって、職員の身分の安定——その職員の身分の安定ということは、結局は職員が農村に奉仕しているから、奉仕の対象としてこれらのものが給与されるということになると思う。農村自体を、農民自体を不安定のままにしておいて、その職員だけが安定するという考え方は間違っていることは、ほかの委員から指摘された通りです。この点政務次官から一つ……。
  82. 本名武

    ○本名政府委員 実は経済局長からお答えいたしておりますことで、私の意見も大体尽きているのでございますが、今川俣委員のおっしゃるのは、私はやはり一つの理屈があると思います。ただその理屈の前提が、われわれと考え方が違うということであります。協同組合は、これは決して職員のための組合ではなくして、生産者農民のための組合でなければならぬことは、申すまでもありませんが、組合自体経営が不振に陥るとか、成り立たないというようなことは、これは何も米の統制がはずれたから、どうとかこうとかいう問題でなくして、私はやはり生産者自体に直接の影響がある問題だと思うので、これはこの制度とは切り離して論ぜらるべきことである。それならば、統制を撤廃するかどうかということですが、これは局長からはっきり申し上げた通りに、われわれとしては統制を撤廃することを前提にして何も考えていない。声はいろいろありますけれども、われわれは、統制はむしろ今日の生産並びに需要の面から見て、継続すべきだという考え方を強く持って臨んでいる、こういうふうに考えております。  それから、先ほど申し上げました前提の相違と申しますか、見解の相違と申しますか、私は、米を扱うか扱わないかということは、これはちょっと変でないか。米であろうが、牛乳であろうが、生産者が生産したものは、今後においても当然、その流通構造が変ろうが変るまいが、協同組合としては絶対に扱っていかなければ、生産者も協同組合も成り立たないのである。こういう考え方に立って、この論議は別個になさるべきであって、本法案に対する御心配の点は、私どもは、その点に関する限りは心配は持たないで進めていくつもりであります。
  83. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけにします。政府負担の百分の十五、これをこすようなところがありますと、この制度の運命に非常に大きな影響を与えると思う。また千分の七十八という負担率が、さらに上回るような運営が行われるといたしますならば、せっかく熱望したところのこの制度に対する批判が、当然起ってくると思います。そこで、こういう問題について常に当局が考慮しなければならぬのは、自分が想定した以上の事態が起るといたしますならば、その責任は——これは局長よく聞いて下さい。あなたが経済局長をやめても、農林省にいる間は、それはやはり追及されることをみずから容認しておられるかどうか、この点明確にしてもらいたい。それと同時に、席を去って農業団体等に関係するときにも、なおさらに責任を追及されるものであるという覚悟をしておられるかどうか。これは速記録に残しますから明確な答弁をして下さい。
  84. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御指摘の通り、立案者としての責任は生きておる限り続くものと考えております。
  85. 中村寅太

    中村委員長 他に質疑はありませんか。——なければ質疑はこれにて終了いたします。     〔「委員長々々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  86. 中村時雄

    中村(時)委員 委員長、それはおかしいですよ。たとえば何か法案そのものの中に問題があって、それによってまた話し合いをせんならんという場合には、その内容というものは当委員会に発表もしなくちゃならぬし、それに基いて質疑が出るかもしれない、それを質疑を打ち切るということはおかしいと私は思うのです。これから話し合いをするならばそれでけっこう、一時休憩にして話し合いをして、その結果それに対する質問があるかないかを考えるべきだと私は思うのです。いきなりそれを打ち切ってしまうということは、私はどうしても了解できません。
  87. 中村寅太

    中村委員長 それでは中村時雄君の御意見の通りにすることにいたしますから、私の今質疑終了と言ったことは取り消します。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  88. 中村寅太

    中村委員長 速記を始めて下さい。  他に質疑はありませんか。中村時雄君。
  89. 中村時雄

    中村(時)委員 ただいま審議中の法案に対しまして、いろいろな問題を勘案した結果、付則の第四条に対して一、二疑義がありますので経済局長にお尋ねをいたします。第四条のうちで、「組合の成立の日の前日において厚生年金保険の被保険者であった者で組合の成立と同時に組合員となったものの組合の成立の日の前日以前における厚生年金保険の被保険者であった期間(その期間の計算については、厚生年金保険法の規定による。以下同じ。)は、この法律(第二十一条第三項を除く。)の適用については、組合員であった期間とみなし、これとその者が組合員となった後の組合員である期間とを合算する。」というふうに番いてあるのですが、その中におきまして「この法律(第二十一条第三項を除く。)の適用については、」こうなっておりますが、私は少くとも第二十一条を除く、こういうふうに考えられるので、この点この第三項を除くというのみにとどめた理由を一つお尋ねしたい。
  90. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この点はやはり御指摘の通り二十一条を除くといって、第三項を取った方がいいのじゃないかと思います。
  91. 中村時雄

    中村(時)委員 局長の言うことは、私の除くという意味をどういうふうに推察されたか知れませんが、一体あなたの除くというその欠陥はどこにあったのか、せっかくあなたの御答弁ですから、一応あなたにその弁明だけは認めることにして、あなたの趣旨をここで御発表願いたい。
  92. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この期間を厚生年金から通算いたしまして、通算後の基本となる俸給額の算定方法を書いてあるのであります。それはこの組合ができてからの期間の俸給額で算定するのでありますから、第三項だけを除く、こういうことでなしに二一条全体をそのまま適用していく、こういう工合であります。
  93. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで委員長にお諮りするのですが、このような事務当局の大きな手落ちがあって、そのためにこれは本会議における議長訂正にすべきか、あるいはこれは当委員会に付託されたものですから当委員会の修正にすべきか、本会議において再提出して再び当委員会に回付をされて審議のし直しをするか、いろいろここにあるわけなんです。審議のし直しをしたいとおっしゃるならば念には念を入れて十分審議のし直しもいたします。ただしそれは時間の関係もあるでしょうから、あなた方の考え方も十分取り入れて、ここに私たちは、私たち社会党からこの第四条に関する修正案を提出したいと思うのであります。賢明なる自民党の諸君もおそらくこの点に関しては御賛成願えると思うのでございまして、(拍手)委員長にお諮りする次第であります。  私の申します修正意見の前に、まず第一に委員長が私たちの質疑の問題の取り上げ方をどう取り上げるか、その質疑が一応終了した結果、私の考えている修正案が出てくるわけです。そこで委員長の方といたしましては、一応質疑打ち切りの通告をしていただき、引き続き私の方から修正案を提出します。これで大体委員長の顔が立つと思いますから、一応そういうふうにお取り計らいを願いたい。
  94. 中村寅太

    中村委員長 他に質疑はありませんか。——他に質疑もないようでありますから、質疑はこれにて終了いたしました。  本案に対し中村時雄君より修正案を提出されました。その趣旨の説明を求めます。中村時雄君。     —————————————
  95. 中村時雄

    中村(時)委員 ただいまの修正案に関しまして、私の方から案文を読み上げます。    農林漁業団体職員共済組合法案に対する修正案   農林漁業団体職員共済組合法案の一部を次のように修正する。   附則第四条中「第二十一条第三項」を「第三十一条」に改める。  以上お諮りを願いたいと思います。
  96. 中村寅太

    中村委員長 引き続き討論に入ります。討論があればこれを許します。——討論もないようでありますから、これより採決いたします。まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  97. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。  次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  98. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって本案は修正議決すべきものと決しました。本案に対し芳賀貢君より、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる附帯決議をいたしたい旨の申し出があります。この際これを許します。芳賀貢君。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま可決されました農林漁業団体職員共済組合法に対しまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    農林漁業団体職員共済組合法案に対する附帯決議   本法は、農林漁業団体役職員年金制度を確立することにより、これらのものが将来に対し明るい希望をいだき、全員打って一丸となり農山漁民に対する奉仕精神を振起し、組合経営刷新のため安んじて業務に専念することができる途を拓いたものであるが、更に、農山漁民あっての団体役職員である事実に着眼するとともに、国民の半ばをしめ、かつ劣勢産業の担い手である農山漁民の社会的、経済的地位を考慮し、政府は、この際すみやかに、関係当局間の協力により、その福祉を積極的に増進するに足る国民年金制度の実現をはかるために万いかんなきを期すべきである。   なお、政府は本法に関しては特に左記によりその運用に当るべきである。      記  一、本制度による退職給付について国庫補助を行う対象年令は、五十五才以上とせられているが、将来、平均余命の延長等の理由によって、他の制限における受給開始年令が引上げられるような事態が生じたとしても、本制度においては、農山漁村の現状にかんがみ、今後使用者および組合員の負担の軽減、給付内容の改善、保養施設の充実等をはかる必要があるので、行政措置により一方的に国庫補助対象年令を六十才以上に引上げる等のことがないように注意すること。  二、組合経営事務費に対する国の補助金は、組合員一人当り百円と計算されているが、少くとも私立学校教職員共済組合と同程度を補助しうるよう所定経費の増額に努めること。  三、組合員が、本制度の対象とならない他の職場、例えば市町村役場等に移動した場合には、両者間の通算を認めない仕組みとなっているが、このことより、農山漁村の実態上、いちじるしい不具合を生ずことが懸念せられるので、近い将来、その欠かんを是正するような措置すること。  四、本法の制定後、掛金の負担に耐えられず折角の制度の恩典をうけることができないような団体が生じないよう、新たな角度から不振組合振興対策を再検討すること。  五、各種農林漁業団体間に、著しい給与水準のアンバランスが認められるので、これを逐次是正するよう強力に指導すること。  右決議する。   昭和三十三年三月二十日       衆議院農林水産委員会 以上が案文の内容でありますが、内容につきましてはすでに先日来当委員会において各同僚委員から問題点に対しましては質疑が尽されておるわけであります。  特にここで指摘したい点は、この農林漁業団体の共済年金法が、これによって可決されたわけでありますが、この団体を構成する農山漁民の現在の社会的経済的実情というものが、第一次原始産業もとに置かれている関係上、その地位が非常に劣悪であるということは、これはもう言うまでもない点であります。でありますからして、これを単に農業政策の一環として、今後の農漁民政策を進めるということでなくて、むしろ社会保障立場から、今後農民に対する、あるいは漁民に対する国の年金制度の確立が、本法制定を契機として行わるべきであるということは、これは当然必要なことになってきておるわけでありますが、たとえば政府当局の言明等を聞きましても、いまだにこの農山漁民等に対する国民年金制度の問題に対しては、何ら熱意を持ってこれを実施することに対する具体的な内寄を持っておらないということが明白になっておるわけであります。でありますからして、この機会にわれわれは、この制度の実現を機会にして取り残された農山漁民の社会的に不通な立場にある人たち国民年金制度の実現をこれによって推進させる、促進させることができるような端緒を開いたということを確認して、この法案にわれわれは賛成したのでありますからして、この点を十分政府においては配慮せられたいということをつけ加えまして、趣旨の弁明にかえる次第であります。
  100. 中村寅太

    中村委員長 ただいま芳賀貢君より提案されました附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕〕
  101. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際附帯決議について政府の所見を求めます。渡部農林経済局長。
  102. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいま御決議になりました附帯決議の趣旨については農林省といたしましては全力を尽して実施に努めたいと思います。
  103. 中村寅太

    中村委員長 本案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  105. 中村寅太

    中村委員長 この際お諮りいたします。水産に関する小委員会委員の異動に伴う小委員の補欠選任につきましてはすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十七分散会      ————◇—————