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1958-03-14 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十四日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 助川 良平君 理事 原  捨思君       木村 文男君    清瀬 一郎君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       田口長治郎君    丹羽 兵助君       松野 頼三君    村松 久義君       赤路 友藏君    伊瀬幸太郎君       石田 宥全君    石山 權作君       久保田 豊君    楯 兼次郎君       中村 英男君    細田 綱吉君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      河野 恒雄君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月十三日  委員永山忠則君及び松野頼三君辞任につき、そ  の補欠として河野金昇君及び中山榮一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員河野金昇君及び中山榮一辞任につき、そ  の補欠として永山忠則君及び松野頼三君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業団体職員共済組合法案内閣提出第一  二九号)      ————◇—————
  2. 中村英男

    中村委員長 これより会議を開きます。  農林漁業団体職員共済組合法案議題といたし、審査を進めます。本案はさきにその趣旨説明を聴取いたしたのでありますが、この際さらに補足説明を求めることにいたします。渡部農林経済局長
  3. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいま議題となりました農林漁業団体職員共済組合法案につきまして、少しく詳しく御説明申し上げます。  この法律は、農林漁業団体職員年金制度を定めるものでありまして、結論的に申し上げますと、現在の国民厚生年金昭和十九年以来施行されておりますけれども、この年金制度では、まず第一点は、五人以下の組合組合員厚生年金の適用を受けることができない。それから第二点は、お配りいたしてあります資料の七ページを見ていただくとわかりますが、市町村職員共済組合なり私立学校教職員共済組合、そういうものと職域を同じくする、また仕事内容も似た仕事をしておる人が厚生年金では受ける年金その他の給付が非常に低い。従って市町村職員なり私立学校職員と同等の給付を受けなければ、農業団体職員が安んじて職場に安定することができない。こういうことから、その二点を直すために本法律案を出しておるのであります。  法律内容を申し上げますと、まず第一に、第一条によりまして農業協同組合法森林法水産協同組合法農業災害補償法漁船損害補償法土地改良法農業委員会等に関する法律開拓融資保証法中小漁業融資保証法、こういう特別の法人で設立されております農林漁業団体常勤役職員、それとこの法律に基いて設立します農林漁業団体職員共済組合職員を含むものでありまして、すなわち農林漁業団体と申しましても、右に掲げる特別の法律で設立された団体職員だけを含む、こういうことにしておるのでしあります。  第二に、共済組合は策二条、第三条で法人として東京都に主たる事務所を置きまして、必要な地に従たる事務所を置くことにしております。ただいま私どもで予定しております組合員の数は、資料の第一ページにありますように、大体二十六万程度になっておりますが、このほかに調査漏れ組合が、たとえば農業協同組合につきましては、特殊組合を入れますと三万になるのであります。ここには一万四千しか掲げてありませんが、職員が三人ないし五人程度組合が相当数ありますので、それらを合せますと、おそらくこの法律が施行されますと組合員の数は三十万程度になるのではないか、こういうふうに予想されております。  次に、職員共済組合は第七条以下で組合会を作って組合運営に関するいろいろな議決をするということにきめております。  それから第九条で、役員として理事長一人、理事若干人、監事二人を置くことにしております。役員は任期を三年といたしまして、組合会組合会議員が選挙することにしております。  さらに定款では、組合会議員役員組合員業務及びその執行に関する事項掛金に関する事項、財務に関する事項等をきめることにしております。  組合員は先ほど申し上げましたように、第一条に掲げる団体常勤役職員であります。第十四条に規定しております。すなわち「農林漁業団体又は組合に使用される者(役員を含む。)」で、農林漁業団体等から給与を受けておるものということにしております。しかし常勤しない者あるいは臨時に使用される者、こういう者は入れないことにしております。  次に、この法律で受ける障害給付なり遺族給与につきましては、租税その他の公課を課してはならない、こういう規定を置いております。この法律の特色として、第十七条に規定しております任意継続組合員というものがあります。これは組合員であった者が年金給付を受けるには二十年以上勤続したなければならない、こういうことになっております。十五年以上勤続した者には、原則としては年金給付を出さなくてもいいことになるのでありますが、それでは長年掛金をかけておるので工合が悪いので、任意継続組合員とは、掛金を、団体職員をやめてから、団体負担分も含めて本人がかけるならば、二十年継続してから後に普通の人と同じような給付を受けるという制度を設けておるのであります。これはこの制度で初めての例であります。  次に第十九条に、この法律に基いて行う給付種類を書いております。これは退職給付障害給付貴族給付三つであります。市町村共済組合等では、この三つ給付のほかに短期給付すなわち医療給付その他の健康保険の分をやっておりますが、この共済組合では短期給付は一切健康保険の保の方に回すことにいたしております。給付内容は、退職年金におきましては、二十年勤続しておる者は、退職いたしまして五十五才に達したときからその人が死ぬまで支給するのでありまして、その年額平均標準給与額の四ヵ月分に相当する金額でありまして、勤続年限が二十年をこえる場合は、そのこえる分につきまして一定額を加算して給付する、こういうふうにしております。平均標準給与額は第二十一条にきめておりますが、過去五ヵ年間の毎月の標準給与額平均にいたしております。  退職一時金は、組合員であった期間が六ヵ月以上の者に給付することにいたしております。障害年金は、組合員であった期間が六カ月以上である者が疾病にかかり、もしくは負傷したことによって退職したときにおいて、その傷病の結果として一定程度疾病状態にあるときに、その者が死亡に至るまで支給するのであります。その年額は廃疾の程度によりまして、平均標準給与月額の五ヵ月分または四ヵ月分に相当する金額にしております。障害一時金は組合員であった期間が六ヵ月以上である者で、組合員であった間に疾病にかかり、もしくは負傷したことによって退職したときにおいて、その傷病の結果として、傷害年金について定められた程度よりは軽い程度の、一定疾病状態にある者に対して支給するのであります。その額は平均標準給与月額の十ヵ月分を一時金として給付することにしております。  遺族年金組合員であった期間が二十年以上である組合員が死亡したときにその者の遺族支給するものであります。その年額はほぼ退職年金年額の二分の一にいたしております。遺族一時金は、組合員であった期間が六カ月以上十年未満であった組合員が死亡したときに、その者の遺族支給するものであります。この遺族一時金は厚生年金ではやはり勤続二十年以上でないと給付しないことにしておるのを、十年未満にしましたのはこの制度で新しく採用いたしたのであります。それから第五十一条に規定しておりますが、年金者遺族一時金というものを支給することにしております。これは退職年金を受けておる者が死亡した場合において、遺族年金支給を受けるべき遺族の範囲に含まれない遺族支給するものであります。その額は、すでに支給を受けた年金の総額が退職年金の額の六年分に満たないときはその差額といたしております。以上が組合員なり給付内容でありますが、給付程度厚生年金に比べますと約倍程度内容になります。従いまして掛金厚生年金に比べますと約倍の千分の七十八程度になっております。その掛金組合員組合員の属する団体が折半して、半分ずつかけることにいたしております。この掛金はこの年金制度の根幹になりますので、滞納ということは制度の維持に非常に影響がありますから、万一滞納がある場合には滞納分を税と同じような処置で取り立てるということの規定を置いております。  さらに国が一定補助をいたします補助規定は第六十二条でありまして、給付額のほぼ一五%に相当する額を毎年国から補助します。また組合事務の費用の一部を補助することにいたしております。  次に第六十三条であります。「給付に関する決定又は掛金その他組合員若しくは任意継続組合員組合に対して支払うべき金額の徴収に対する異議を審査するため、組合審査会を置く。」ことにいたしております。審査会委員九人で組織します。組合員を代表する者、それから団体すなわち使用者側を代表する者及び公益を代表する者それぞれ三人ずつで、理事長農林大臣の承認を受けて委嘱することにいたしております。  次に第六十八条以下で会計事項規定しておりまして、国の会計年度と同じ年度の区分にいたします。さらに積立金が相当大きくなりますから、余裕金運用といたしましては、安全確実の運用をする規定を七十条に置いております。  附則におきましては、組合設立事務に関する規定を置いておりまして、この組合はこの法律の公布の日から三十日以内に組合員及び団体代表者設立委員指名いたしまして、農林大臣の認可を受けて組合を設立していくということが第一点であります。それから附則の第四条以下では厚生年金保険者であった者が、今後全部この組合組合員になりますから、その場合には厚生年金に入っておった期間をこの制度組合組合員期間と通算するということにしておりますが、第五条におきまして先ほど申し上げましたように、厚生年金給付とこの組合給付とは非常な差がありますから、厚生年金期間をそのまま一〇〇%通算することは今後入ってくる人と均衡を失しますから、その組合員であった期間の大体八掛を期間として計算するという考え方にいたしております。ここの書き方期間計算でなくして、五条で給付を八掛にするという書き方にしておりますが、その裏返しの意味期間を八掛に計算するのと同じ考え方になっておるのであります。さらに現在厚生年金基金相当金額が積み立てられますので、第六条におきまして、厚生保険特別会計から組合積立金を移してもらうという規定を置いているのであります。その額はただいま計算中でありますが、大体三十億から四十億の間におさまる金額になるという見込みであります。  以上が法律内容でありまして、結論的に申し上げますと、給付内容は大体市町村共済組合組合員給付と大体似たことになりますが、先ほど申しましたように、遺族年金を十年たったときに出せる、あるいは公務障害の場合に、労働基準法で六ヵ年は災害給付をもらえますが、厚生年金ではそのもらったあとに継続する規定になっておりませんが、本制度では労働基準法でいずれも給付期間が過ぎてからこの組合疾病障害年金給付を受ける、こういうふうに扱っております。これによりまして、農業団体職員退職後の身分の安定をはかることができます。もう一つ組合員としては、組合の経営を合理化して給与水準を上げるという問題が残っております。これも順次組合の整備によって確保することにいたしまして、農林水産業中心団体としての職責を全うしていただきたい、こういうふうに考えます。ついでにちょっと資料について御説明申し上げます。  資料の一ページは先ほどちょっと申し上げましたように、この制度による組合の数、組合員数、そういうものを三十二年三月末で、農林省が調べました表を掲げております。これは二十五万九千五百九十四人ということになっておりますが、先ほど御説明申し上げましたように、法律が施行されますれば調査漏れ組合も入りますから、おそらく三十万近くの人数になると思います。現在厚生年金に加入しておりますのは、そのうちで二十二万七千人が入っておるのであります。現在の給与の状況を申し上げますと、水産業協同組合平均給与は一万一千百十九円、森林組合が九千四百五十七円、農業共済組合が一万六百二十三円、土地改良区が一万七百三十八円、農業会議が一万八千八十円、漁船保険組合が一万六千三百三十八円、漁業信用基金協会が二万一千三百十三円、開拓融資保証協会が一万九百九十円、こういうふうになっております。  次は二ページで、農林漁業団体職員共済組合所要財源率であります。積立金を五分五厘で運用いたしますとすれば、どれだけの掛金を徴収する必要があるかという計算でありまして、一番下の欄に掛金率が七八と書いてありますが、それは掛金千分の七八ということでありまして、これを組合組合員が折半して負担するということになっております。  次には脱退残存表を出しております。これをもとにしまして、どれだけの給付をしなければいかぬという前の表の給付負担割合計算する基礎になっておるのであります。  それから第五ページの収支予想表、第一年度から第十年度までの予想表を書いております。第十年目には積立金が百九十四億になっておる。一番下の欄の一番右の数字を見ていただくとこういうことになるのであります。それは一番左の欄の給与年額もととしまして、それに対して掛金をとりまして、国庫補助をもらいまして、そして先ほどの脱退残存表に基きまして率を計算いたしまして割り出したものであります。国庫補助はちょうど中ほどの欄にありますが、第一年度で一億一千五百万円程度になりますが、十年後には二億五千万円の国庫補助をもらわなければならないということになります。  それから第六ページは厚生年金との比較であります。これは一番初めに給付種類を書いてあります。退職年金退職一時金、障害年金障害一時金、遺族年金遺族一時金、年金者遺族一時金、こういうもので、農協に三十七年間勤務いたしまして五十五才で退職した場合にどういうことになるか、それから二十年間勤続いたしまして三十八才で退職して五十五になってから年金をもらうのでありますが、その場合どうなるかということを、この法律に基くものと厚生年金とで比べますと、まず五十五才の年金を受ける年まで勤続したという場合には、その退職時の給与を二万四千円と仮定しますと、退職と同時に毎年十五万円の給付を本制度でもらえます。厚生年金の場合でありますと給付の開始が六十才であります。しかもその場合は五万四千円しかもらえぬ。これは非常に在職期間が長いからこの場合には約三倍の給付をもらうことになりますが、その下の欄の二十年間勤務して三十八才で退職して五十五才からもらうということにしますと、三十八才の退職時の給与を一万六千円と仮定しますと、その人が五十五才になって年金額五万九千円をもらえます。これを現在の厚生年金でいいますと六十才からもらうのでありますが、三万六千円しかもらえない、約倍の給付をこの制度によってもらえるということになります。退職一時金では、十年間勤めまして二十八才でやめた、そのときの俸給が一万円と仮定しますと、直ちに五万八千円もらえます。厚生年金では五十五才までくれないわけでありまして、しかもそのときに一万八千円しかもらえないということになります。それから障害年金は、十年間勤めまして二十八才で障害年金を受ける場合は、俸給一万円としますと一級の場合は四万四千円、二級の軽微の障害の場合は三万五千円、これは厚生年金と似たり寄ったりであります。それから障害一時金は八万八千円、厚生年金は四万円、退職一時金と一緒にもらうということになりますから、十四万六千六百六十七円ということになります。遺族年金は上の欄に書いてあります退職年金受給者が死亡した場合に、三十六年勤続しておれば毎年七万五千円もらう、二十年勤続の場合は二万九千円もらうということになります。それから遺族一時金は、農協に九年六カ月勤務して死亡した場合は、そのときの俸給九千円と仮定しますと、五万三千二百円もらう、厚生年金ではない。それから年金者遺族一時金は、年金受給者が死亡し遺族年金を受ける権利のある遺族がない場合にもらうのであります。退職年金額の六年分ということになるのでありますが、これは厚生年金ではないのであります。  その次には、厚生年金保険船員保険恩給公共企業体職員等共済組合国家公務員共済組合市町村職員共済組合私立学校教職員共済組合農林漁業団体職員共済組合、この法律に基くもの、これの比較をしておるのであります。厚生年金では受給者が現在九百十七万おります。船員は十八万、恩給国家公務員で六十万、地方公務員で九十二万、公共企業体国鉄専売電電、これが六十八万、国家公務員共済組合、これは二百四万であります。これは国家公務員の中でいわゆる本官でない、恩給をもらえない人の組合であります。市町村が三十四万、私立学校は六万七千、農林漁業団体は二十五万九千、こういうことになっております。  その次は掛金であります。厚生年金では千分の三十、船員保険はいろいろ内容によって違いますが、一番高いので千分の百六十六、恩給は千分の二十、公共企業体国鉄が千分の九十五、専売が千分の八十四、電電が千分の九十四、国家公務員共済雇用人で千分の九十八、任意継続の分で千分の九十八、市町村が千分の百三、私立学校は千分の五十四、われわれが考えておるのは千分の七十八ということになります。それに対しまして組合組合員との負担割合は、厚生年金が半分ずつ、恩給は千分の二十、公共企業体では大体半分、市町村では組合員負担が千分の三十八でありますから、組合員負担が少いのでありますが、これは市町村負担が非常に多くなっておるのであります。それから私立学校はやはり大体半分、われわれの制度も半分、こういうことになっております。それから国庫補助は、厚生年金では事業費の百分の十五、それと事務費、こういうふうになっております。公共企業体国家公務員市町村共済組合、こういうものについての負担割合を書いてあります。私の方で考えておりますのは、私学厚生年金補助率もとにして考えておるのであります。  その次は給付内容比較でありますが、これは省略いたします。  それから第十一ページを見ていただきますと、今の負担割合比較を図表で出しております。組合員負担市町村共済国家公務員共済組合員負担割合とほぼ同じになるということを示しております。  以上法案説明並びに資料説明を申し上げたのであります。
  4. 中村英男

    中村委員長 次に質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。助川良平君。
  5. 助川良平

    助川委員 ただいま説明をいただきました年金法案につきましては、全国の農林漁業団体職員諸君がきわめて熱心にその成立を希望されておられた問題でありましたが、その間におきましてあるいは年金特別委員会なり新聞の論調なり必ずしも好意ある態度を示されておらなかったわけでございます。また社会保障制度審議会等におきましても、きわめてきびしい論議が展開されておったのでございます。そうした中にありまして、農林漁業団体の目的なり、団体農林水産業生産力の増強また農山漁民の経済的社会的な地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展に寄与するために設立せられたものである、こういう根本的な性格の上に立たれまして、さらにまた農林漁業団体農林水産政策の上に占めておる重要な地位を尊重されて、本法案提出に至りましたことはまことに敬意を表するところであります。  今日まで農林漁業団体につきましては、政府におきましてもいろいろ団体育成強化に努めてきておるわけでありますが、なかなか所期の目的が達成できない、特に優秀な人材が他に転出してしまうといったようなことが起りまして、ほんとうにこれらの団体農山漁民のために十全の奉仕を全うしていく、そういうためにはさらに別途の強力な措置が必要でありますことは申すまでもないのでございまして、そうした中にありましてまず団体そのものの真に強力な運営の基盤とならなければならない常勤役職員、その身分安定保障を確立することはきわめて緊要の課題であったわけでございます。そういう面から考えますと、今日ここに提案されましたことはいささかおそきに失するきらいがないでもないと存じますが、ともかく周囲の悪条件の中から本法提案に至りました間の農林当局の努力に対しましては、一応敬意を表してよいと存じます。そういった意味で急速に本法案成立を期待するものでございますが、三、四の点についてただしておきたいと存じます。第一に、市町村共済組合なりあるいは私学共済組合、その他の共済組合におきましては、短期給付長期給付とを総合して行なっておるわけでございます。今度の組合法案におきましては、短期給付を分離してあるわけでございまして、実際に組合運営を考えて参りますと、組合組合員との間に緊密なつながりというものがどうしても切れがちになるのじゃないか。短期給付を総合して行なって参りますと、日常業務が頻繁に行われまして、組合組合員との間のつながり関係もきわめて密着して参りますので、組合運営は非常にやりやすいものとなると思いますが、この法案に基きますと短期給付は分離をいたしておるわけでございます。特にこの組合につきまして短期給付を分離しました理由についてお示しをいただきたいと思います。
  6. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お説のように私学なり市町村では短期給付も含めているのであります。短期給付医療給付なり分べん給付なり、健康保険組合でやっているのであります。当初われわれがこの案を立てますときにはそれも含めてということとなっておったのでありますが、よく検討いたしますと、結局短期給付給付内容は、分離いたしましても特に改善されるという点が出てこないのであります。さらにこの給付内容が一番大きいのは医療給付でありまして、医療施設の利用あるいは医療給付とそれに見合う掛金との関係、こういう点を考えますと、今直ちに短期給付を分離して独立のものに吸収する利点はあまり考えられないのであります。短期給付の問題につきましても、ただいま厚生省の方でそういう改正を考えているさなかであります。長期給付についても国民年金制度で考えておりますが、短期給付の方は本国会にも改正案が出てくるような状態でありまして、非常に進んでおります。長期給付はなかなか、国民年金というものは社会保障制度審議会なりあるいは国民年金委員会で検討されておりますが、一年二年でわれわれが期待するものの実現は非常に困難でないかという考え方から、それまでこの長期給付国民厚生年金のままで待たすということは、農業団体農村経済に占める地位からいいまして、職域を同じにするような市町村なり私学の待遇をこう極端に相違させておくことは忍びがたいので、とりあえず長期給付の分だけを大急ぎでやったようなわけであります。
  7. 助川良平

    助川委員 次にこの法案を見ますと、政府管掌健康保険なりあるいは厚生年金におきましては、五人未満組合につきましては強制加入をしておらないわけでございますが、この組合では五人未満のものも強制加入をさせるようになっているわけでございますが、現在の組合の実情等を見て参りますと、なかなか五人未満のいわゆる一般的に見て不振組合なりあるいは把握のなかなか困難なような組合があるように思います。そういうものを強制加入して参りました場合に、掛金徴収の面につきまして何かこう不安を感ぜられるわけでございます。また組合の確認といいますか、掌握がなかなか容易でないように考えられるわけでございます。そこで五人未満強制加入にいたしまして、掛金徴収に支障なく進めていかれる見通しが立てられるのか、あるいはまたそういうきわめて小さい組合に対しての掛金未納の対策等について、どういう方針でおられますか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お手元に配付いたしております資料でごらん願いたいのでありますが、第一ページの加入予定者数及び給与、この表で見ていただきますと、たとえば農業協同組合で一万四千五百五十一組合が調査報告を出しているのであります。実は農業協同組合は総合農協で一万二千七百、特殊農協で二万一千余り、合計三万四千あまりの農協があるのであります。その中で養蚕農協のごとく職員が県庁の役人なりあるいはそのほかの職員が兼務しておるのが約六千ぐらいありますが、そういうものは別にいたしまして、一人なり三人なりの職員がある特殊農協が相当あるのでありまして、それらの小規模の組合まで強制加入にしておるのであります。御指摘のように、掛金の徴収が可能かどうかという問題を、われわれこの法律を立案するとき非常に重要な問題として検討したのです。厚生年金と同じように、そういう五人未満団体は、法律スタートのときは、入れない方がいいんじゃないかという議論もあったのであります。しかし幾ら職員の数が少い組合といえども、農業団体としてはこれを育成強化していかなければならないのでありますから、これを入れていく、そのかわりそういった組合につきましても、中央会なりあるいは今度できます組合において府県及び地方の団体にも、その組合役職員数なりあるいは組合の事業あるいは毎年の決算の状況を報告させまして、それをカードでファイルしておくことにいたしまして、この年金制度を維持するのみならず、それらの組合の整備強化がはかれるものということで、中央会その他の団体にもその点を強調しまして、どうしても入れる前提ではそういうふうな団体の整備が必要であるからそれをやれるかどうかということを念を押した上で、それはぜひやる、こういうことで五人未満団体も全部強制加入にすることにいたしておるのであります。法律立案の過程におきまして、そういういきさつで、中央会等からそういう請書も私の方へ出てきておりますから、この法律運用には万遺漏はないものと確信いたしておるのであります。
  9. 助川良平

    助川委員 なおこの五人未満ないし不振組合の問題につきましては、そういった団体側との強い話し合いもけっこうだと存じますし、遺憾ない態勢で進んでいただかなければならないわけでございますが、特に総合農協だけを取り上げてみましても、非常に数の多い不振組合あるいは休眠組合、そういうものが出ておる現状でございます。しかもそれぞれ合併以前の村ごとに組合が設立されておりまして、相互に緊密な連係のとれておる団体であるわけですが、一方においては、組合が不振であるために職員身分安定の措置が講じられない、隣の組合はそういった施策が講じられて円滑な運営ができておる、そういったこの法律によって作られます組合の問題ではなくて、村の単位組合の中でそういう職員の間になかなかやっかいな問題の出るおそれも考えられると思うわけでございます。そこで今後不振組合ないし弱小組合に対する掛金徴収の問題につきまして、単にそれらの組合を確認し、掌握していくという面の努力だけでなく、実際に末端の組合が、一方では身分安定の確保に対して本年金制度に乗っていける、一方ではなかなか乗っていけない、そういうギャップができて、末端の組合の諸般の運動の上に支障の起きないように、特に一般的に不振組合対策としての対策ももちろん強力に推進していただかなければなりませんが、この年金制度に伴う不振組合掛金徴収についての対策を、何かもっと明確な施策を講じて立てていくことが非常に必要ではないかと考えられるわけなんですが、何かそういう対策がございますならばお願いをしたいと思います。
  10. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、協同組合について申し上げますと、三万四千の組合のうち全く専任職員がないのが九千七百ございます。それを差し引いた残りについて、現在業務停止をしておる組合が総合農協で一万二千七百のうち四百二十、そのほかの組合を合せると三千七百業務停止いたしております。それから連絡先不明、すなわち一度作ったけれども、今はなくなっておるのではないか、それは届が出てないのだと思いますが、それが五百あります。そのほか、よくわからないのが六千あります。従いまして、先ほど申し上げました表にある一万四千百五十一は、はっきり加入予定届が出ておるのであります。それを除いた約一万余りの組合については、この際そういった業務内容を精査して、解散するものは解散する、整理するものは整理する、それから再建整備していくものは整備する、こういう仕分けをいたします。法律によると、来年一月から法律を施行することになっておりますから、その間において県当局なり、県の中央会その他の団体を督励して、それぞれの組合について先ほど申し上げたような仕分けをして、シラミつぶしに指導していきたい、こういうふうに考えます。
  11. 助川良平

    助川委員 次に積立金の移行に関してですが、厚生年金特別会計から三十億ないし四十億円の積立金を移行させるということでございましたが、その時期はいつごろになりますか。今までの私学共済なり市町村共済なりの場合、非常に時間がかかっておるように思います。積立金の移行の時期の相違によって組合運用については大きな負担がかかったり、負担の軽減もはかることができるわけでございますので、その時期をいつごろになるとお考えになっておられますか、その時期についてお伺いをいたします。
  12. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 現在厚生年金に入っておるものは二十二、三あるわけです。これは全国に散らばっておるのでありまして、全国に厚生年金のものがありますから、それを集めまして、一つ一つの計算をはじき出してやらなければ、ほんとうの移管はできない。これには今の厚生年金の、あれだけの膨大な機構を使いましても三、四年かかるわけであります。しかし、それはほんとうに一銭一厘違わなぬところまで出すのでありますが、そういうことをやらないで、概算で私のところはまず引き継いで、あと清算をゆっくりやりたい、こう考えております。概算の引き継ぎは三十因年度中に引き継いでもらうことに厚生省と話をつけております。
  13. 助川良平

    助川委員 なお、概算引き継ぎをしました後、精細に調査をされて清算を行うわけですが、その精算の際に、本質的にはすでに厚生年金から新しい年金に切りかえられておるはずの積立金ですから、当然金利がその精算金に付帯しているもののように考えられるのですが、それはどうお考えですか。
  14. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは理屈を言えば金利をとらなければいかぬのでありますが、金利の計算をやるとまた精算がめんどうになりますから、そういうことをやるよりも早く移管してもらって、そして給付に遺憾のないようにした方がいいじゃないか、こういう考えで、私学の引き継ぎのときなんかはそういう一時金だけの分を引き継いだのですが、今度の場合は積み立てたものは一応全部返すという話で厚生省にも協力していただきましたから、非常なこまかい計算はいいことにした方がいいのじゃないかということにしております。
  15. 助川良平

    助川委員 次に政府補助金でございますが、政府補助金は事務費の全額と給付の百分の十五というふうになっているのでありますが、まず事務費の方につきまして、一組合員当り幾らになるわけですか。それと、組合の財務を健全に運営していかなければならないわけですから、今日までの掛金算定等の中で考えておられる事務費の所要額等と、政府補助金の事務費金額等につきまして、どういう関係になりますかお知らせを願います。
  16. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 事務費補助は一人当り一年百円、こういうことで補助を受ける約束になっております。これでは大体事務費の三分の一くらいになると思います。しかしこれはこれからの組合運営方法でありまして、今われわれ検討しておるのは、役職員のうち専属の管理者を置く必要がある、しかしそのこまかい事務は、せっかく農協共済組合があるのでありますから、あるいはそういうふうなものに委託することによって経費を非常に節減する方法も考えなければならないだろうということで検討をしております。一人当り百円というのは、ほかの制度はみな百円でありまして、この制度だけによけい出せといっても、これは簡単には話がつきませんから、われわれの中の方でもっと検討する点は検討した方がいいじゃないか、こういうふうに考えております。
  17. 助川良平

    助川委員 それから給付補助金のうち百分の十五ということになっておるようですが、私学の場合と違いまして整理資源分につきましては差し引かれたわけですが、その理由を明確にしていただきたいと思います。
  18. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいま厚生年金改正、それから国民年金の議論をしておるのでありますが、そこで厚生年金から分離してやる場合に、厚生年金とのつり合いを考えなければならないということから、百分の十五、ただし整理資源を除くということで、大体と平均しますと、全給付に対して百分の十二くらいになると思います。そういうところで率直に申し上げますと妥協したのであります。これを大蔵省と争っておると、今国会に法律の提案が間に合わないというおそれもありますので、遺憾ながら法案に織り込んだ程度でわれわれの方はスタートする。しかしこれはさらに実際に年金としての給付——一時金は別として、年金給付が始まるのは六年後でありますから、厚生年金なり国民年金なりの制度が整備されたときにあらためてこの問題を再検討したい、こういう話し合いになっておるのであります。
  19. 助川良平

    助川委員 それから今度の年金制度で参りますと、従来の厚生年金のように、他の職場に移りましても通算されるというふうな工合に参りませんで、その点非常に心配の点が残っておると思います。そこで今後他の共済組合との間の通算等ができ得ますように、ぜひとも検討していただかなければならないと思いますが、その点についてどういうお考えですか。
  20. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その点は非常に問題になったのでありますが、この法律農業団体職員身分を安定して、安んじて農業団体職員としてとどまってもらいたいというのが一つのねらいでございます。従いましてそれを足場にして次の団体に移るということは、本来この法律は予想してはいけないのであります。しかしいろいろな理由でそういう場合もあるのでありますが、今、年金の通算はほかの制度でも、国家公務員同士あるいは厚生年金の中では職場がかわっても通算しますが、制度制度の間ではつながりがないのであります。これは国民年金なり、国民年金改正の非常に重要な点になっておるのでありまして、そのときにこの問題も片づけたらいいじゃないか。それまでは先ほど申し上げますように、この組合で満足をしていただきたい。もう一つはそういうことを考慮しまして、任意継続組合員制度というものを第十七条で置いておるのでございます。一五年以上厚生年金を続けておれば、掛金を自己負担によって二十年間かけて、残りの期間かけて、そうして年金をもらうということも、今の御指摘のような点を考慮して置いておるのであります。
  21. 助川良平

    助川委員 大体私の質問の要点は以上で終りでありますが、なお本制度につきましては一面農民に対する年金の問題が解決されないうちに、農林漁業団体職員についてのみ年金制度が認められて参るわけでございますので、農民の感情的なものも一つ残っておるような感じもいたすのでございますが、一面農民年金制度なり国民年金制度なり、そういった問題の一つの大きな先駆的役割を果すものであるというふうにも理解をされておるように考えられるわけでございます。そこで、そうした実際の農、山、漁民の本制度に対する期待というものは非常に強いものがあるように思います。この制度を通じまして、農林漁業団体役職員の諸君に、ますます団体の整備に強力な拍車をかけてもらう、真に農、山、漁民の奉仕に遺憾ない態勢を整えてもらわなくちゃいけない、そういう期待がきわめて強いわけでございます。今度の年金制度の問題につきましては、本質的に組合の財務の健全化をはかります上から、組合自体の強化も必要であります。また組合の強化をはかって参りますためにも、役職員の一そうの奮起を強く要請しなければならないわけでございます。それとともに、こうした身分安定保障の上に立って、役職員がさらに組合団体農山漁民に対する奉仕の立場を、より強力に推進して参るように、強い要請が職員諸君の上に課せられるものと考えられるわけでございます。今後さらに政府におきましても、組合育成強化対策の充実をはかってもらうこと、あるいは組合における役職員の諸君の組合強化のため、また農山漁民に対する奉仕の団体の強化のために、一層善処せられますように強く要望いたしまして、質問を終ります。
  22. 中村英男

    中村委員長 本日の質疑はこの程度にとどめることにいたします。  なお散会後本案について農業協同組合部長等と懇談いたしたいと思いますので、委員の方の御参集を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二分散会