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石山委員 安定
政策が一番私は農林
関係では重大に取り上げておかなければならない問題だと思います。特に
生産の場合は個々の単位でございますが、買い受ける団体は膨大な資本を持っておる、
加工の団体はまた膨大な組織を持っておる。これに対抗するには、やはり今の
農業協同組合の
育成強化はもちろんでありますけれ
ども、
政府自身として大きな目から見たところの全般の
価格安定策というのは当然
農林省以外にも考えられてしかるべきことだと思います。そういう点から見ますと、
日本の
経済全般というものは商工業中心であり、鉱工業
生産が中心である。どうしても農林の場合の
価格安定というものは、いわゆる一般の大衆の奉仕の形で投げやられる傾向がある。これは国民が安いものを手に入れるということはいいのでございますから、悪いことではないのでございますけれ
ども、
農家の
経済を破壊するような形においてものの
生産を助長させる、ある種目を特定に選んで、そこに集中的に
農家経済を投入させ、できたものが、国民大衆の奉仕の形のみで行われるとするならば、これは決して
農林行政としては私は妥当なものではない。
日本の
経済全般から見ても、四割をこえる農民生活を破滅の
方向に導くのですから、私は十分に考える必要があるのではないか。特に私はこの場合に、
生産性の問題については御質問申し上げたいと思っておりますが、一般的に
数字を通じて見た三十三年度の
予算書は、私は
生産性向上に何ぼか役立つ若干の
項目はあると思います。しかしそれも、今進行中の農村
経済のジリ貧——放っておくとだんだん貧乏になって身動きができないようなのが今の
農家経済だと思う。これを私
たちはジリ貧の
農家経済だと見ているわけですが、このジリ貧の速度とにらみ合せてみますと、冒頭にもちょっと申し上げましたが、他
産業に追いついて自己の生活安定を望むというふうな
政策要綱にうたっていることとは、かなり縁遠いものだといわざるを得ない。あなたの御説明を聞いたのですが、そういうような
考え方でございます。何といっても前年度の
予算にちょびちょびと積み重ねた傾向が見えます。いうところの
総花主義でございましょう、ちょびちょびと少額を積み重ねております。これはある意味では
農林省内におけるところのセクトが災いしているかもしれません。あるいは
日本の
農林行政がそういうような現実をとっているのかもしれませんけれ
ども、いずれにしても主たる
眼目をどこへ置くかということに対しては、私は支柱がない、大きな柱がないような
数字の組み立て方であるといわざるを得ません。ですから私の知人の農民運動家の一人はこういうことを言っております。この
予算は二階から子供がおしっこしたような姿である、こう言っております。これは考えてみたら、しかるにしかれない、怒るに怒れないまあまあ
予算だというような、やゆを加えた表現だろうと私は思っておりますけれ
ども、いずれにしてもそういう表現がそんなに的をはずれていないようなのが今回の
予算案ではないか、だから皆さんの方から出された
政策要綱の中でも言っています。こんなことを言っている。「
施策の大部分は従来からとられてきた
施策に総合性を付与したものか、あるいは改善したものであって、奇手妙手というものはない。」と言っている。あなたはさっき妙手という
言葉を使いましたね。その
通り言っている。次にまた言っている。「
農林水産業の
発展は
長期的観点に立って体系化された
施策を忠実かつ入念に実施することを何よりも必要とするであろう。」こう言っております。これは前に言ったことと
あとに言ったことと、だれが見てもなるほどそうなんだと、文句のつけようのないような組み合せ方をしております。それは
言葉をかえて私に言わせれば、長い間政権をとっていた保守政権、自民党の諸君が何もやらなかったということを意味しているのですよ。今までも大したことをやらなかった、ことしもやりませんでした、来年もまたやりません、こういうことになる。そうではありませんか。あなたの方の出した
政策要綱の中で言っていることをそのまま率直に聞きますと、今までも何もやらなかった、ことしもやらなかった。しかしこの
予算ではまた来年も何もやれませんということを告白しているのではないか、たった
一つ言っている。まあまあ長い目で見て下さいよということだろうと思うのです。入念にやるというので、まあまあ長い目で見て下さい。——私だって百姓の子ですから、そういうことは長い目で見たいのですよ。長い目で見たいにしても、それにしてはもの足らな過ぎる
予算ではないか。このまじめさを買ってくれということは、普通世上でいう老いの繰り
言葉になるだろうと思いますけれ
ども、
赤城農林大臣のほんとうのねらいは、好意に解釈して、今年度の
予算は私の
考え方がちょっと芽を出したくらいだ、そんなところでしょう。そういうふうに考えるのは私の善意な解釈だと思いますけれ
ども、そうでなくて、一般的な
考え方からすれば、先ほど私が申し上げたような憎まれ口をきかなければならない
予算だとこう思います。
生産性の問題について二、三お伺いいたしたいと思うわけですが、
生産性を
向上させるというと、たとえば
土地の改良をなさる、あるいは化学肥料を重点的に使う、重農機を購入する、この資金の借り入れが今の場合、
農家にとっての一番の問題だと思う。そしてコストを引き下げるためにいろんなことをやるわけでございますが、実際から言うと、そうしてできた場合の
経済状態はどうも
農家の生活の、
農家経済の安定でないという場合が最近出ております。
生産性の
向上という
農林省がとられている措置と、
農家経済、
農家の生活の安定というものはお互いが非常に相剋しておる、矛盾を感じている、そういうふうに
大臣はお考えになりませんか。最近の皆さんがおやりになっている
農林行政と
農家の生活の安定というものには、何かそこに行き過ぎのような、
農家の
経済というものよりも
農林行政が少しく片寄っているか、あるいは速度が速いか、いずれにしてもぴたっといっていないところがある。あるいは
指導方針が
農家経済と全然別個な
方向に向いているのかもしれませんけれ
ども、大へんな矛盾があるというふうに私は見ているのでございますが、
大臣はそういう現象をお見受けになりませんか。