○西村(力)
委員 私は日本社会党を代表して、
行政機関職員定員法の一部を
改正する
法律案に対して、反対の
意見を述べたいと思います。
国の仕事に携わっておる人々は、非常に低い待遇にありながらも、公務員としての自覚に立って、その部署々々において自分の全能力を発揮して国民に奉仕したい、こういう
気持で努力しておるのでございます。ところがその
職員の中には、完全に定員のワク内に入って
身分の安定しておる人々と、それから形式的にニカ月ごとに契約が更新される、だれもそういうことを言われたり言ったりしないのであるけれ
ども、形式上二カ月ごとに更新になるという不安定な状態にある
職員、それから日々雇用されるという状態に置かれている
職員とあるわけなのでございまして、それらの常勤労務者といわれる諸君、あるいは常勤的非常勤者といわれる諸君、そういう人々は自分の意欲と能力とを全部フルに出してやっておるにかかわらず、そしてまた他の定員内の
職員と同じ仕事を果しておるにかかわらず、そういう不安と
矛盾の中に置かれるということは見のがし得ないことであるわけなんです。しかもそれらの人々に
給与される金というものは国民の税金である。一部公共事業においては地方
負担もありまするけれ
ども、結局同じ国民の税金なのでありまして、その税金が完全に生かされる道というのは、結局それらの諸君の不安を解消して喜んで全能力を発揮してもらうという方向に持っていくことが非常に必要なことであるということは、私から申し上げるまでもなく、本院においてもしばしばこの意思の表明が、あるいは決定が行われておるわけなのでございます。そういうわれわれの、本院の意思に沿うて
政府は今回一応これらの諸君の定員化をはかったわけなのでございますけれ
ども、実際に十万近くもおる
職員の中のごく一部にこれをしぼってきておる。一体そうしぼった
根拠は何であるか、こう言いますると、これは一応の手直しだと言うだけであって、全然その
根拠がない。各官庁がその所掌事務を行うためにこれだけはぜひ定員化しなければならぬという要求を出したにかかわらず、これに対して行政官理庁が査定をした。行政
管理庁は査定をするという仕事を
権限として持っておるのかもしれませんけれ
ども、その理由がわれわれとしては全然納得できない。しいて言うならばそれを査定する立場にある官庁の権威を保持するために、理由もなくそういう査定をやってしぼっていく、こういうことだろうと思うのです。それを大蔵省がまたぐんとしぼってきておる。大蔵省は本来の性格として金を出すまいとするから、金がよけいかかる、財政支出が大きくなるという場合において、そういう本来の性格をむき出しにするということも言えますけれ
ども、今回は事の性質が違う。これをやらないででてきたものをまるまるのむと大蔵省としてのこけんにかかわる、権威をそこなうというのかどうか知らぬが、そういう立場からしばってきておるんだ、こういう
工合に私たちは言わざるを得ないわけなのでございます。一体こういう状態に
職員を放置する
考え方は、
一般の企業家が臨時工とか社外工とかいう立場に労働者を放置しておいて安く使い、あるいはいつでも首を切れる状態にしておくのと軌を一にするのだ、こういう
工合に思えるわけなのでございまして、これはたとい自民党を基盤とする
政府であるとしてもはっきり率先して全員を定員化すべきである。私たちが
考えるには、自動車を運転する諸君でも、あるいは炊事をする諸君でも、あるいは雑役に当る諸君でも、とにかくある一つの仕事をなしとげるために欠くことのできない一部面を担当しておる。そこには仕事の軽重というものはないはずなんです。公務員となるには
法律の端っこもわからなければならぬ、あるいはまた経理の一部もわからなければならぬ。ホワイト・カラーでいるのが公務員らしい、そういう
考え方が従来日本の国にずっと続いてきておる。私たちはそういう
考え方を否定する。たとい炊事をする人であっても、働く仲間である、同志である、そういう立場に立って、これからの私たちの
考え方を推し進めていかなければならぬと思う。今回出て参りましたものは、一部定員化せられたものでありまして、その点について私たちはそれもだめだというわけではございませんけれ
ども、なぜこれを全面的にやることをしないのか、こういうことについて非常に不満でございます。私たちは、今回の
法案にはそういう理由で賛成することができおいわけなんでございます。私たちの希望することは、後に附帯決議にも出るはずでございまするが、せっかく本院の意思を実現しようとする
気持を持たれるならば、完全に本院の意思に沿うた
法案にすべきである。ぜひそのように今後の努力を願って、私の反対の
意見の開陳を終ります。