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1958-03-27 第28回国会 衆議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十七日(木曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 相川 勝六君 理事 高橋  等君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    纐纈 彌三君       薄田 美朝君    辻  政信君       中馬 辰猪君    中川 俊思君       永山 忠則君    林  唯義君       船田  中君    眞崎 勝次君       山本 粂吉君    阿部 五郎君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    木原津與志君       中村 高一君    西村 力弥君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 津島 壽一君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君         外務事務官         (アメリカ局         長)      森  治樹君         外務事務官         (条約局長)  高橋 通敏君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十七日  委員纐纈彌三君、粟山博君、赤松勇君、小松幹  君及び山口シヅエ辞任につき、その補欠とし  て林唯義君、中馬辰猪君、阿部五郎君、中村高  一君及び西村力弥君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員阿部五郎辞任につき、その補欠として山  崎始男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第二十六回国会閣法第一五五号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  三三号)  国防会議構成等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第四二号)      ————◇—————
  2. 福永健司

    福永委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案国防会議構成等に関する法律の一部を改正する法律案及び第二十六回国会より継続審査になっおります防一衛庁設置法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 本論に入ります前に、この間津島長官質問いたしました際、外務大臣が御出席にならなかったので保留になっております面から明白にしておきたいと思います。  それは昨年の十二月十九日でしたか、安保委員会におきまして、サイドワインダーの受け入れを決定いたしました際の、いわゆる外務省発表いたしました共同発表文句でございますが、御承知通りサイドワインダーは、日本政府要請に基いて供与することになったのだというふうな発表になっておるわけです。この点どうも私どもの方は納得いたしておりません。津島長官答弁を聞きましても、実際はそういうことはないのだ、すなわち日本政府要請があればといったような意味合いに解釈しておるのだ、こういうお話でございます。そういうこたなりますと、この発表というものの文句が、非常に事実と反したような形になるわけでございますが、なぜ米国政府日本政府要請に応じというような形で発表が行われたのか、その辺をよくわかるように一つ答弁願いたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御答弁申し上げます。十二月十九日の安保委員会において、この問題の話し合いが出たわけであります。当時の事情から申しますと、防衛庁は新しい科学兵器の問題についていろいろ御検討になっており、その中にはサイドワインダーの問題もあったかとわれわれ承知しておるわけであります。それらの問題につきまして、十九日の安保委員会において話が出ましたわけであります。御承知のように、安保委員会性格としては、懇芸談的な機関でありますので、安保委員会自体がきめるものでもなく、その後の政府間の交渉において決定をするわけであります。従って日本側からサイドワインダーというようなものの要求があったということであれば、アメリカ政府としてもそれを供与していいのじゃないかというような話し合いが行われたので、それを内閣の方に移して、そうして政府の闘で今後この問題をやるというふうになったわけであります。従ってそういう意味で当時安保委員会において話が行われた。しかしながら安保委員会が最終の決定機関になっておるわけではございません。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは今まで総理津島長官にも、この安保委員会性格というものについて再三質問を重ねておるわけなんです。その結果、今大臣がおっしゃったようなことは十分了解しておる。そういうことであればなおさらこの発表は納得できない。私が読むまでもなく十分に御承知だと思いますが、スタンプ大将発言がこの共同発表でそのまま書いてあるわけですが、スタンプ大将発言の中では「米国政府日本政府要請に応じ、空対空誘導弾サイドワインダーを供与する旨を明らかにし」というふうに書いてあるわけです。ところが実際の話を聞いてみますと、日本政府サイドワインダーを下さいといったようなことはない、サイドワインダーと、いう名前自体全然知らなかったと津島長官もはっきりおっしゃっている。何か適当なものがあったらくれませんかということは個人的に話したと言う。津島長官が個人的に話したことは、これは日本政府を代表しての発言ではなかろうと思う。にもかかわらず、外務省情報文化局発表共同発表によりますと、日本政府要請に応じてスタンプ大将がやると言っている、ここのところがどうも納得がいかない。これは非常に簡単な字句の問題のようにとれますけれども、今から私がずっと質問していきます安保委員会性格という問題にからみまして、どうしても明確にしておいてもらわなければならぬと思うのですが、今大臣のおっしゃるようなことでいきますと、この文言がちょっと誤まりだったということになると思いますがどうですか。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本政府要請がありますればアメリカ政府はこれを譲渡することが考えられるということを言われたわけでありまして、あるいは必ずしも発表の時期が適当でなかったかもしれないと思いますが、事実はそういうことでございます。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、この発表が非常に誤まりであった、ということが第一点。それからサイドワインダーの供与という問題については、イニシアをこっちが持っておったのではなしに、アメリカの方が好意的と申しますか、これ要りませんか、要るとおっしゃれば上げますよ、そういう持ち出し方でたのだというふうに了解していいわけですね。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 防衛庁としてはいろいろなものを新兵器として御検討になっていたと思いますし、またそれらの問題について常時いろいろアメリカ側とも折衝しておられたと思います。従って、新兵器をもらいたいという意思は表示されたようでありますが、その中にサイドワインダーならば渡せるだろうという話があったわけであります。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は、こういうような公式な発表などはもう少し慎重にやってもらいたいと思う。日本政府要請があれば上げようということと、日本政府がくれと言うから上げようということとは違うのですよ。私は今後こういう共同発表に当ってはもう少し慎重に文章そのものについても練っていただきたいと思いますが、その点、今後留意していただけますか。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 共同声明その他そういうものにつきまして今後とも十分注意をいたしたいと思います。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは本論に入りますが、私は昨年から何度もこの安保委員会性格、特に不平等条約との関連の上において質問を重ねておるわけですが、お答えを願えば願うほど、何が何やらさっぱりわからぬということなんです。そこで一つ一つお尋ねをしていきたいと思うのですけれども、安保委員会任務として当面最も重要な問題は、米軍配備の問題である、このように津島長官は十一月十一日、私の質問に対して答えておりますが、この点、津島長官、お考えに変りないでしょうよ。
  12. 津島壽一

    津島国務大臣 お答え申します。当時は米軍撤退が急速に行われるという事態がございました。安保委員会初期においては、これをどうするかということが当面の重大な問題でございました。従って、その安保委員会課題である第一の問題が急いだ問題になったわけであります。しかし私はそれだけが安保委員会重大課題であるというように排他的に申した覚えはございません。すなわち第二の、御承知のように交換公文形式国連憲章との関係がどうであるかという問題も議題に上り、その結果を見たわけであります。第三の課題について今後検討する、これが一番大きい問題だと思っております。従って過去の当委員会等における私の答弁中に、もしかりに一番大事だというようなことを言ったといたしましても、それは米軍撤退が始まりましたので、それに即応して、たとえば駐留軍離職者の問題、その他基地の返還の問題、また日本側においてそれに対処する方策等が重大になったという当時の、いわゆる安保委員会初期と申しますか、当面の問題が重大であったということを申し上げたわけでございまして、それはある面においてそういう発言があれば、その当時の事情を申し上げたというようにどうぞ御了解を願いたいと思います。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それはちょっと違います。国連との関連の問題についてはすでに九月に交換公文がかわされて片づいております。私が質問したときの内容というのは、在日米軍配備及び使用について安保委員会でやるとおっしゃるけれども、使用の問題に関連してお尋ねしたときに、使用の問題は主として日米行政協定の二十四条によって処理できる。しからば安保委員会においてこの使用の問題ということになるとどういうことをやるんだと私が尋ねたわけなんです。そうしたら、長官は、哨戒の問題を持ち出しました。そこでさらに私が、哨戒とか演習とかそういうような問題しか安保委員会では話ができないのですか、それでは今まで盛んにいかにも安保委員会が重要な委員会であるかのごとく言っておったのは、ちょっと誇大に過ぎはせぬかと尋ねたら、長官は、いやそれは配備の問題がある、これが当面最も重要なんだ、こうおっしゃっておるのですよ。国連のとる措置というものと安保条約との関連はすでに九月に片づいておる。しかも私が残された使用の問題について追及していったら、配備に逃げておる。それで今、あなたが配備が最も重要だとおっしゃるから、その考えに変りありませんかと言ったら、また前に逃げようとされるが、それはちょっとおかしいと思う。やはり今私が申し上げたように、国連との関連という問題については交換公文で一応のけりがついた。使用の問題は二十四条で主としてやるから、安保委員会でやる使用の問題というものは限られてくる。そうすると問題は配備という問題に狭まってきませんか、その点どうですか。
  14. 津島壽一

    津島国務大臣 私が申し上げた趣旨は、配備使用という関係において、配備の問題が撤退を含めて非常に重大な問題になっておったという意味において、その当時の事情から申し上げたと思います。しかして、第一の課題でありまする安保委員会使命というのは、配備使用を含めてあらゆる安保条約から生ずる問題が課題になっておるわけです。その意味においてよく解釈すれば、それらの問題全部が当時の課題になるという趣旨での御質問と思ったために配備使用という問題だけに関する限りにおいて申し上げた、こういうわけであったと記憶しております。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういうことをおっしゃられると、私は一々速記録を読み上げなければならぬことになる。長官が何と答えたかもう一度思い起していただけませんか。こういうことを言っておるのです。「配備の問題は非常に重大だろうと思います。しかして使用もここに付加してあるわけであります。」付加ですよ。ちょっとつけ加えてあるというのです。「それで安保委員会任務というか、協議事項というものとしては当面において重要なのは、配備の問題が一番大きいだろうと思っております。」こうおっしゃっておるのです。使用で追い詰められたら配備に逃げておるのですよ。配備が一番重要だ。安保委員会在日米軍使用——私は使用の方が重要だ、いざというときには在日米軍がどういう形で動かされるか、これが一番重要だと思って、そこで使用に焦点をしぼって追及していったら、いや、使用行政協定の二十四条でしかと規定がある。安保委員会使用の問題について協議するというのは、これは付加されたようなものだ、実際は配備だとあなたおっしゃっておるじやありませんか。あのときはそれでは私の質問に対して逃げ口上でこういうことをおっしゃったというのですが、いかがです。
  16. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいま申し上げましたように、当時の情勢からいって、米駐留軍撤退の問題が迫った大きな当面の問題であったわけであります。その意味におきまして、防衛庁長官といたしましては、配備の問題は重大であり、そのあとをどうするかということが最大の関心事であったわけであります。そういうふうな当時の状況からいってその当面の議題としてこの問題が安保委員会で取り扱われて、また協議課題になるにしては非常に重大である、こういうような趣旨であったと私は思っております。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ外務大臣お尋ねいたします。私配備の問題から先にお尋ねしたいと思うのですが、安保委員会においては米軍日本における配備及び使用については実行可能な限り協議するというふうな文句になっておるわけですね。ところが条約上は、日本国内及びその付近配備する権利在日米軍は持っていることになっているわけです。いいですか。安保委員会では日本における配備しか協議しない。しかし実際に在日米軍日本国内及びその付近における配備権利を持っておる。安保委員会はなぜその付近配備しついての協議ができないのですか。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保委員会性格で、ありますけれども、御承知のようにアイゼンハリー大統領岸総理との共同声明から出発いたしたわけでありまして、安全王保障条約に伴います諸般の問題を討議検討して、そうして話し合いをして、合意に達するものはそれによって両国政府の管理に移す、こういうのが性格だと思います。従いまして安保条約から起ります広範な問題をいろいろ論議するわけであります。そうして最終的には第三項にありますように、両国国民の願望に従って安保条約の運用をしていくというのが本来の使命だと思います。従いまして、安保委員会におきましては、いろいろな点について話し合いをする議題が非常に制限されているという問題でもないわけであります。いろいろな問題を話し合おうということになっております。従って今御指摘のように、安保条約に伴います諸般の問題について日本の軍との関係話し合いますし、また政治的な問題等についても話し合いをしていく、こういうことが性格になっております。ただいま御指摘のような国内とあれとの問題につきましては、条約局長から御説明いたします。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではわかりやすいように根本から質問いたしましょう。安保条約によって、合衆国はその陸軍空軍及び海軍日本国内及びその付近配備する権利を持っているということは間違いございませんね。
  20. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 間違いないと思います。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 安保条約によって在日米軍、いわゆる合衆国空軍海軍陸軍というようなものを日本区域、それからその付近配備する権利を持っているということは、今外務大臣お認めになりました。このアメリカが持っております権利というものと、今度の安保委員会の発足というものには密接な関係があるわけです。このアメリカの持っておる権限のうち、日本付近における配備について安保委員会協議することができないようにしたということは、一体どういうことなのかということなんです。これは条約上の問題ではないのです。政治的な問題です。大臣答えて下さい。
  22. 高橋通敏

    高橋政府委員 条約上の問題になりますから、私からちょっと前もってお答え申し上げます。  確かに御指摘通り、第一条においては「日本国内及びその附近」となっております。それからこの共同声明では「日本における配備」となっておりますから、この文字通り申し上げますれば、御指摘通りその付近ということは抜けておるわけであります。しかしこの安保条約しというのは条約でございます。それからこの共同声明というのはあくよでもコミュニケ——共同声明でございますので、本来もしこれが条約でありますれば、字句解釈やその点が完全に適合するように書くのが本筋だろうと思います。しかしこれはあくまでも共同声明でございますから、その方に条約と同じように字句の末々までも厳格に書くというのは、かえって共同声明の実体をそぐゆえんではないか。すなわちある程度ばく然としているのがかえって共同声明共同声明たるゆえんではないかというのが、やはり共同声明の持つ使命ではないかと考えております。そこで共同声明においては、大体「日本における配備」というように書きまして、条約のように「その附近」というところまでこまかく入れることを避けた次第でございます。それから安保条約の「その附近」といいますのは、やはり安保条約第四条における「日本区域」というのが全く主体となっております。すなわち日本国内配備することが主体でございまして、これはなぜ「その附近」ということを入れたかと申しますと、たとえば日本国内附近に艦隊を絶えず遊よくさせておくとか、そういうような問題は、通常こういう条約がなければ非常に非友誼的な行為である、そういたしまして、一国は他国に対してその非友誼的なそういうような行為に対して重大な抗議をなすことができるというのが一般国際法の通念ではなかろうかと思います。従ってそのような場合をなくするために「その附近」を入れた。しかし第一条においてはあくまでも日本国内における配備というのが主眼である、そのように考えまして、この共同声明においても最も主体であるところの「日本における配備」ということで、「附近」ということを落した次第でございます。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ大臣お尋ねをいたしますが、安保委員会においては条約上でいう「その附近」も協議の対象になるわけですか。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 できると思います。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 思いますじゃないですよ。できますか。
  26. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 できます。同時に附近検討外象にはなると思います。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは両国政府がきちっと話し合いが、できておりますか。今条約局長は何とかうまいことを言っていますけれども、原文を見たら一番はっきりしておるのですよ。安保条約では「イン、アンド、アバウト、ジャパン」になっておる。今度の共同コミュニケなりあるいは安保委員審議内容というところでは明らかに「インジャパン」となっております。あなたの方で勝手に附近も入るのだとおっしゃっても、アメリカの方ではのけてあると言えばどうなりますか。
  28. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 共同声明におきます安保委員会の設立の当初から言えば、安保条約そのもの関連する諸般の問題をハイレベルでもってごく率直に話し合おうというのが委員会の性質でありますから、私はそういう観点から見ましても話し合えるもの、こう思っております。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃその点は、日米間の意思統一はなされておるかという点についてのみお答えを願います。
  30. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 アメリカもそう考えておると思っております。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ先ほど条約アメリカ日本国内及びその附近陸海空軍配備する権利を持っておるということを外務大臣は認めました。権利は本来アメリカが持っておる。だからこそこの安保委員会の審議すべき事項の中でこの点に触れておるわけですが、実行可能なときはいつでも協議するという文面で表われておるのは、本来権利アメリカ側にあるから、その権利を認めた上に立っておるからこそ、この実行可能なという言葉がついたというふうに理解してようございますか。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日米間の協力関係は非常に友誼的でありまして、何でも率直に話し合おうというのが趣旨であります。従ってできる限りいろいろな問題について話し合おうということなんでありまして、そういう意味においていろいろな場合に話が進められると思っております。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今さらそんなことをおっしゃっても、私が何度質問しても、総理大臣津島長官条約協定によって定められた権利義務というものはそのままあるのだとおっしゃっているのですよ。私の質問に対していわゆる統一解釈というものを文書で持って参りましたものを読んでみても書いてある、行政協定規定共同声明というような形式で変更されるものではないと政府は言い切っているじゃありませんか。権利義務というものは明らかに残されておるということをはっきり政府は認めているのですよ。この点間違いないでしょうね。
  34. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今の政府統一解釈通りでありますが、しかし私の申し上げたのは、つまり安保委員会というものはお互いにハイレベルでもって安全保障条約関係の一切について話し合いをしようという意味でありますから、私はそういうことを申し上げたのであります。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ条約協定上の権利義務というものは依然として残っているということは確認してようございますね。
  36. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 そうであります。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで問題が発展する。安保条約の第三条を思い出していただきたい。「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定決定する。」このようにあります。日本国内及びその附近在日米軍配備される、その配備を規律する条件行政協定決定するというのが安保条約です。この点確認していただけますね。
  38. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 その通りであります。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、配備を規律する条件は、行政協定以外の方法では制約できませんね。条約の第三条に基いて配備を規律する条件というのは、行政協定以外にはよらないということが明確になっていることは御確認願えるわけですね。
  40. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約局長から……。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 条約局長じゃない、あなたは安保委員会正式メンバーですよ。
  42. 高橋通敏

    高橋政府委員 ちょっと私から補充的に申し上げますが、配備を規律する条件両国政府間の行政協定決定する、御説の通り行政協定決定することになっております。ただしこれは行政協定以外で決定してはいけないというのではない。一応それは行政協定決定することになっておるが、しかしほかの方は全然除外して、ほかの方でやってはいけないのだということにはならないと思うのでございます。私はそういうふうに考えております。
  43. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 条約局長がそういうことをおっしゃるのですが、安保条約をもう少ししっかり読んで下さいよ。両政府間の行政協定決定とするとある、これ以外の方法でもよろしいという解釈がどこから出てくるのですか。
  44. 高橋通敏

    高橋政府委員 もちろん両国政府間で協議して行政協定を改訂する方法でこれを決定していってもよろしいかと思っております。しかし本協定決定するということは行政協定だけで決定して、ほかの方の決定仕方——名前行政協定といいますが、双方の合意ではいろいろ決定できると思ってわります。
  45. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 条約を預かる局長がそういう詭弁を弄してもらっては困ると思う。それでは片一方受けている方の行政協定を読みましょう。「同条約第三条は、合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は両政府間の行政協定決定すると述べているので、また、日本国及びアメリカ合衆国は、安全保障条約に基く各自の義務を具体化し、且つ、両国民間の相互の利益及び敬意の緊密なきずなを強化する実際的な行政取極を締結することを希望するので、よって、日本政府及びアメリカ合衆国政府は、次に掲げる条項によりこの協定を締結した。」こうあるのです。安保条約の第三条では、配備を規律する条件行政協定決定するときめている。行政協定はそれを受けて、そうきめたからこの行政協定を締結する、こうなっているのですよ。これ以外の方法であるという解釈がどこから出てくるのですか。行政協定を改訂するというのならわかる。
  46. 高橋通敏

    高橋政府委員 御指摘の点、私非常に不十分であったかと思っております。わかりました。ただ行政協定というものは、ここに書いたこの行政協定だけであるということでは、ないと思います。と申しますのは、行政協定というものが一つの固有名詞的と申しますか、普通名詞的に考えられている、従ってそういう行政協定、いろいろそういう協定でやっていくのがいいのだ、そこでここに一つのこういう形式行政協定ができ上った、従ってこの行政協定でなくてはいけないというのではないのです。それ以外の、名称はいろいろあると思いますが、そういう協定でやっていけるものだというふうに考えております。
  47. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでもけっこうなんです、私の方は。もう前言を翻さないでしょうね。大臣に確認しておきましょう。安保条約によって米軍日本国内配備する権利アメリカが持っている、その配備を規律する条件行政協定による、現行の行政協定もしくは新しい行政協定でもけっこうですが、とにかく行政協定によらなければならぬということを、条約局長は今はっきりおっしゃいましたが、その点閣僚たる大臣確認いたしますか。
  48. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 その通りでけっこうだと思います。
  49. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは進めましょう。今日本の国民が一番心配しているのは、核兵器の問題です。この核兵器日本に持ち込まれるのじゃなかろうか、自衛隊が装備するのじゃなかろうか、これには重大なる関心を寄せております。これば日本の国民だけではない。イギリスの国民も西ドイツの国民も今真剣にこの問題に取り組んでいる。日本の国民は過去において幾多の経験を持っているだけに、これらの国々よりも幾そう倍もの熱意あるいは憂いを持っているわけであります。そこで核兵器の持ち込みについてもう再三各議員が質問を重ねております。そのときに、岸総理津島長官もあなたも絶対に核兵器は持ち込ませません、なぜだと言ったら、今度できました安保委員会において在日米軍配備の問題については両国政府が話し合うことになっている、この話し合いがなされない限り、この話し合いが一致を見ない限り核兵器を持ち込もうといっても持ち込まれないから心配ありませんということをおっしゃっている総理は再三言っている。私から、心配だから装備というような問題が配備の中に入るのですかと聞きましたら、入りますと総理大臣は自信満々で述べておられます。ここです、問題は。一体なぜ安保委員会協議されるだけで安心がいくのか、第一、条約配備権利アメリカが持っている。だから岸総理が装備の問題は配備に入るから大丈夫だというのは、私に言わせれば逆なんです。そう思いませんか。在日米軍が核兵器を持ち込むということは、在日米軍の装備の問題だ、それは配備の問題に含まれる、こういう解釈総理がとっておられる。だから権利アメリカ側に留保されている。そこでアメリカは勝手に持ち込もうと思えば持ち込める権利を持っているのです。しかしあなた方のおっしゃることを一応信用しましょう。実行可能な限りは安保委員会協議する、それで実行可能になって協議がされたとする。ここで意見の一致を見なければどうなります。アメリカは当然の権利として持ち込むことができます。もう一歩譲りましょう。ここで協議が成立してもいい。ところがそれぞれ両国政府が持って帰って、成規の手続でやらなくてはならぬ。成規の手続というのは何だ。今あなたもお認めになった通り行政協定を作って、配備を規律する条件行政協定で定めない限り、向うさんの権利はなくなりませんよ。こう考えていったら、核装備の問題は配備の問題の中に含まれる。安保委員会協議されるから、絶対に心配要らぬということは、これは逆であって、わざわざアメリカ権利として認めたことになって、協議されてもだめ、あるいは協議されないかもしれない。協議によって意見が一致を見ても、成規の手続、行政協定を結ばなくてはならぬ。こういういろいろな困難が出てきて、阻止できるという理屈には少しもならぬと思うのですが、大臣いかがですか。
  50. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御指摘通り核装備というものは世界的な大きな問題でもあり、核装備をしないということが日本国民の念願でもあることは御指摘通りだと思います。従って今の日本アメリカとの友好関係の上において、日本が欲しないものを、権利を持っているからといって押しつけるというようなことはしないと思います。またわれわれは、その意味において、それは十分安保委員会で取り上げられるべき問題であり、また取り上げていかなければならぬ問題だと思うのであります。そういう意味において、私どもはアメリカがそういうことを考えているときには、安保委員会話し合いをするとかいうことを考えておるわけでありまして、御指摘のような意味において、われわれは、単純に権利を持っているからといって、アメリカが円満に話し合いをつけないで持ち込むということは考えておりません。
  51. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういうことではもはや安心できないのですよ。あなたもお認めになった通り条約権利アメリカ側にあるのだ。話し合いをしなくたって、持ってきても文句を言えないじゃありませんか。日本政府は、あなたは何を根拠に文句を言おうというのですか。私は条約協定の問題にしぼって今話をしているわけなのです。それでは、あなたも条約協定上の問題だけにしぼってお答え願ってもけっこうです。条約協定上の権利義務というものは依然として残る、安保委員会を作ったことによって、何らのこれに関しての移動はないと、こういうこともあなたお認めになっているじゃありませんか。総理も認めているのです。少くとも条約協定上は、今何を持ってこようともかまわぬという権利アメリカは持っておるじゃありませんか。しかもそれを制約するものは何もないじゃありませんか。ほんとうに岸内閣層が、核兵器なんか持ち込まれては困る、国民の世論の上に立ってそう考えるならば、なぜこの権利義務の明らかになる、いわゆる協定を締結するという方向で不安を一掃しないのですか。大丈夫だ、大丈夫だと言われるままに、ずるずる。とそこまでいってしまわないという保障はないじゃありませんか。しかも安保委員会協議されるから絶対に持ち込まれることがないのだというような欺瞞—欺瞞ですよ、これは。安保委員会にはそんな権限はないじゃありませんか。権利義務ははっきり残っていると言っている。協議機関だと言っている。成規の手続はその後にとるのだと言っている。先ほどお尋ねいたしましたサイドワインダーの受け入れの問題についてもそうです。日本政府要請があったからやるような、こういうごまかしの発表をやって、実際はアメリカから、要らぬかといって押しつけられたようなものじゃありませんか。核兵器が同じようなことにならぬとは限らぬじゃありませんか。そんな心配がないなら、なぜサイドワインダーといったようなものの受け入れについてすら国民に対してごまかしの発表をするのですか。明らかにサイドワインダーアメリカ側から積極的にどうだといって持ってきたということは、今はっきりした。ほんとうに核兵器を持ち込ませないと思うならば、この際行政協定を改訂するなり——私はそれが一番いいと思う。あるいは新たなる行政協定によってでもけっこうです。きちっとアメリカ権利を制約する方向をとらなければいかぬと思いますが、そういう考えはありませんか。
  52. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今まで申し上げておりますように、日米協力関係というものは親密であって、アメリカ側においてもこの関係を非常に重視しておるわけであります。従って日本国民の願望でありますような問題につきまして、権利を持っておるからといって、その法律上だけで、行使することは、アメリカのためにもとらぬことは当然なことだと思うのであります。従ってそういう問題が起りましたときに十分協議することは当然でありまして、われわれとしては現在の安保委員会の運営その他において十分これを阻止することができる、こう思っております。
  53. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではその問題はあと回しにしますが、安保条約によりますと在日米軍というのは日本防衛の責任だけを負っておるわけですか。条約上ははっきり責任を負うという言葉もございません。しかしあなた方は日本を守るために来てくれておるのだとこうおっしゃるでしょう。それは一歩譲歩してもけっこうです。在日米軍というのは日本防衛ということだけが目的ですか、いかがです。
  54. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本防衛が目的だと思います。
  55. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなた、安保条約を読んだことがありますか。安保条約を読んだことがありますか。安保条約を読んだ上でそういうことをおっしゃっているのですか。
  56. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろん極東の平和を確保するということがございます。しかしながら極東の平和というものはやはり日本関連しておるわけでございまして、そういう意味において極東全体にわたって何らかをするためにということには解されると思います。
  57. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 条約をそう勝手に自己流に解釈しないで下さい。アメリカ国会ではそんなことは通用しませんですよ。在日米軍というものは極東における国際の平和と安全の維持に寄与するということ一が一つの目的なんです。もう一つは、いわゆる日本の安全に寄与する。この二つの目的を持っておるのです。炭総理は自衛隊が核装備を持たない、核兵器を持たない、そのために防衛を全うできなくてもやむを得ぬとおっしゃいました。これも重要な発言です。少くとも武力によって国を守ろうというものが、防衛を全うできなくてもやむを得ぬというばかな発言は私はないと思う。これは与党の議員の中にも賛成の方もおります。私どもはもともと武力によって国を守ろうと思っていない。しかし一たび武力によって、軍事力によって国を守ろうということになれば、いかなる手段を講じても最大限の努力を払って防衛を全うするという線が出てこなければならぬ。しかし岸総理は核装備を持たないことによって日本の防衛が全うできなくても、負けてもしようがないとおっしゃいました。この考えはそのままアメリカさんに核兵器を持ってまで守ってもらう必要はない、こういう考えにもつながると思うのですが、その点それではいかがです。
  58. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本日本の自衛のためにできるだけのことをいたすことは当然でありまして、日本国民として最大限の努力をすることもまた当然だと思います。しかし核兵器によって装備するかしないかという問題は、それとは別個だと思うのでありまして、日本としてはできるだけ最大限の努力をして防衛をやるというふうに考えております。
  59. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 二つ以上続けて質問するといつも答えがないので、一つずつしぼってやります。岸総理は核装備をやってまで日本を守ろうとは思わぬ、核兵器を持たないために負けてもしようがない、防衛を全うできなくてもしょうがない、こうおっしゃっています。この点は閣僚たる大臣もお認めになるわけでしょうね。
  60. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本の国民の念願から言いまして、核兵器を持たぬという考え方があるわけであります。従って核兵器を持たなくても、負けるという前提はおかしいと思います。最大限の努力をして、努めて負けないようにやるというのが当然だと思います。
  61. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 岸総理は負けてもしようがないとはっきり言っているのです。あなたは違いますか。核兵器を持たないために、日本防衛を全うできなくてもやむを得ませんと総理ははっきり言っている。これは辻委員質問のときだったと思う。前長官の船田さんはかんかんになって、この席で総理に食ってかかっておりましたよ。総理考えとあなたの考えと違うなら違うでいいのです。いかがですか。
  62. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 核装備をしなければ負けるとか負けないとかわからぬわけでありますが、私としましては、核装備というものはなしで、できるだけ負けないようにやるのが当然だと考えております。(笑声)
  63. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではその点は岸総理とやや見解を異にするというふうにとっていいわけですかね。岸総理は、自衛隊が核装備を持たないことによって、防衛の万全を期することができなくてもやむを得ない、こう発言しているのですが、あなたはそう思わない、そういうふうに考えていいのですか。それならそれで私は岸総理が出てきたときに今度質問します。あなたが幾らそう言ったって、閣僚であなたと違う考えを持っている人がいるんだから、そんな人は首を切れと私は総理にそう申します。  もう一つ日本の自衛隊は核装備を持たなくても、日本にはアメリカという友軍がある、同盟国がある、これが万全の力を振って日本の防衛をやってくれるだろう、こういう考えがその陰にはあるだろうと思う。そうしますと、そのアメリカが、核兵器を装備しなければ日本の防衛の万全は期せない、こういったら外務大臣としてどうしますか。安保委員会でそう言わぬとも限りませんよ。
  64. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 核兵器を装備しなければ日本が守れないとか守れるとかいうような仮定のことにつきましては、私御答弁しかねます。
  65. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今アメリカが、対ソ戦略といったような面で、どういう構想を持っておるか十分に御認識あるだろうと思う。ソ連がJCBMを完成した以後において、アメリカはどういう構想を持っておりますか。アメリカにはこれに対抗するいわゆるICBMというものがない。そこでやむなくどういう措置をとろうとしておるか。あなたも安保委員会のレギュラー・メンバーとして十分御認識になっておると思いますけれども、いわゆるソ連の周辺に近接する地域にアメリカは第一線基地を持っている。この第一線基地にIRBMとそれから核貯蔵所というものを設置して対抗しようとしている。しかしこれも早急に間に合う問題でないから、さしあたっては原子爆弾や水素爆弾を積んだ爆撃機を四六時中空中を飛ばして、基地をやられても、そのまま敵地に向って発進できるような態勢をとっておる、こういうことについては十分御認識があると思う。大統領はこういう点に関して放送演説であるいは一般教書でるる述べております。私がいまさらここで読み上げる必要もないと思う。幸いにわれわれには同盟国がある、第一線基地があるということを再三言っております。その中に日本が含まれておることははっきりしておるのです。アメリカ日本を守るというそういう立場にあるかもしれません。条約上はなくても。それと同時に極東の安全に寄与するという任務を持っておる。日本を守るために装備は要らないとかりにあなた方がおっしゃっても、われわれはもう一つの目的であるところの極東における国際平和と安全に寄与するためには絶対に要るのだ、こういう主張をしてこないとは限らない。今のアメリカの対ソ戦略からいったら、私はそういう要求の必ず出てくる時期がくると思う。そういうときに、アメリカとの友好関係がどうとか、そんなことを幾らおっしゃってもだめですよ。少くとも日米安保条約は認められておる。極東における国際の安全と平和を確保するために絶対に要るのだと言ってこられたときに、それを突っぱねることができますか。何を根拠にして突っぱねますか。外務大臣
  66. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまお話のありましたように、現在の段階において、アメリカもソ連も核兵器で戦備をしておるということは、御指摘通り事実だと思います。しかし私は、日本外務大臣として、第三次世界戦争が起るというふうな不幸を避けるべく努力するのが私の任務だと思うのであります。われわれとしては核兵器の生産、保有、使用というようなものについて、一日も早く世界的に軍備縮小なり、あるいは制限などができまして、そういうものが用いられない時代に一日も早くするように努力するのは外務大臣としての任務だと考えております。
  67. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなた一人が幾らさか立ちして任務考えてやろうとしてもだめですよ。世界の動き、流れをあなた一人が食いとめられるような顔をしてもだめですよ。現にもう台湾にも核兵器と、無人爆撃機マタドール部隊が配置されておるのを、あなたは知っておりますか。沖縄にもその現象がある。韓国にもきておる。とにかく第一線基地には全部この原子兵器というものがもうすでに配置されておる。そういうときに、日本だけが拒否できるかという問題、当然あなたたちとしても真剣に考えなければならぬと思う。口約束だけではなしに、ほんとうに持ち込ませないというのならば、向うの権利を制約するきちっとしたものを作る必要があるのじゃありませんか。なぜそれをやらないのですか、外務大臣
  68. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私だけで世界の平和を達成するような、そんな大それたことを考えておりませんが、世界各国の人たちが、すでに核兵器を使って第三次世界大戦をやることは人類の破滅だということは、身にしみて感じておるわけであります。この大きなやはり流れというものはわれわれも当然促進していく、ささやかであろうとも努力をして参らなければならぬのであります。そういう意味においてわれわれは努力をするということを申し上げたので、私一人がやってそれができるのだということを申し上げたわけではないのであります。再度のお尋ねでありますけれども、私は現在の日米友好関係の上において、日本が欲しておらないことを押しつけてくるというようなことは考えておらないのであります。
  69. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなたの願望というものは真剣なものだと認めてもいいですよ。しかし世界の動きというものはそれとは逆に進んでおるのじやありませんか。あなたは外務大臣という立場で、原爆の実験一つ阻止するためにどれだけの働きができましたか。あなたは一生懸命やっているつもりかもしれないが、実験一つ阻止できない。米ソ両陣営は、この核兵器というものの増強に血道を上げておるじゃありませんか。逆の方向にどんどん進んでおるじやありませんか。そういうときに万般の憂いをなくするために日本だけにでも持ち込ませないとほんとうに腹から考えておるならば、なぜ持ち込まないような規定をしないかと言っておる。それでは申し上げますが、安保委員会で話をされるのもけっこうでしよう。あなたは日米間の友好関係云々、そういうことから、好まないものを持ってくるはずはない、こうおっしゃいます。しかし条約上は、アメリカは持ち込もうと思えばいつでも持ち込める権利を持っているということだけは確認できますね。
  70. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 その点については先ほどお答えした通り考えておるわけであります。核実験の問題につきましても、むろんこれはなかなか一朝一夕には参りませんけれども、しかしながら本年あたりの動向から見ますれば、核実験だけを切り離しても、あるいは協定が査察等の問題が発達してできるのじゃないかというような若干の動きにもなってきております。決して悲観しないで、われわれはそういう意味において努力しなければならぬ、こう考えております。
  71. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 答弁をそらさないで下さい。今までの総理大臣以下閣僚の答弁、あるいは私の質問に対してお示しになった政府統一解釈、そういうものによると、条約協定で定められた権利義務というものは、共同声明安保委員会協議といったようなものでは変更されないと繰り返し言っている。従って岸総理は、装備という問題も配備の中に入ると言っているし、この在日米軍日本区域内、あるいはその附近における配備権利は、アメリカ側が持っているのだから、条約権利として核装備も核兵器も、持ち込もうと思えばいつでも持ち込める権利アメリカは持っているのだ。私は条約上だけの話をしている。そういうふうに理解して差しつかえないでしょうね、こう言っているわけです。
  72. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先はどからお答えしているよこりに、そういうふうに考えております。
  73. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 はっきり言って下さい。前言ったから二度言わなくていいということはないでしょう。アメリカは持ち込もうと思えばいつでも持ってこられる権利を持っておりますね。
  74. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約上の権利は持っております。
  75. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 アメリカ条約上核兵器日本に持ち込もうと思えばいつでも持ってこられる権利を持っている、こういう重大な発言外務大臣はなされました。条約権利を持っておるものを制約しようと思えば、これまた条約協定によらなければならぬ、そういうことも御認識願えますね。
  76. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保委員会ができまして、両国の願望に沿って安保条約を運営するわけであります。そういう意味において、両国の友好関係から見て、安保委員会においてすべての話し合いをしなければ、そういうものを行使しないというふうにわれわれは考えております。
  77. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 安保委員会というものをすぐ持ち出すのですが、それじゃいいです。私はほかの問題をここで一つ合間に入れましょう。安保委員会でなければ話し合いができないようなことをいつでもおっしゃるのですが、行政協定の二十六条には何と書いてありますか。日米合同委員会は何のためにあるのですか、外務大臣
  78. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日米合同委員会は、行政協定から起る諸般の問題を討議し決定していくわけであります。安保委員会は、先ほどから申し上げておりますように、岸総理とアイゼンハワー大統領とが安保条約をめぐる諸般の問題につきまして、最高レベルでもって一つ話し合って、そして両国の国民の考え方をそこで述べて、そうして友好親密裡にこれらの安保条約から起る諸般の問題を話し合っていこう。そうして両者が合意に達したものだけについては、両国政府でそういう取りきめその他もやっていこう、こういう意味でありまして、そういう意思味において大きな政治的な意味を持った委員会だとわれわれは考えておるわけであります。従って諸般の問題について十分そこで審議をし、話し合いをして、そして安保条約の運営に資していく、こういうわけであります。
  79. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これはだれでもいいのですが、合同委員会正式メンバーを教えて下さい。
  80. 森治樹

    ○森(治)政府委員 お答えいたします。会同委員会日本側の代表はアメリカ局長でございます。先方は参謀次長でございます。
  81. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると今度の安保委員会というものは、メンバーの上からいっても一クラス上だ、こういうことになるわけですね。そこで安保委員会に逃げ込むわけですが、その安保委員会というものについて、先ほど申し上げたように、まず第一に、たとえば核兵器持ち込みというような問題を諮ろうとした場合に、実行可能な限りという制約がありますから、議題に供されないというおそれもあす。本来アメリカ側権利として持っておるということを、外務大臣は今認めた。だから日本が核兵器持込みについて話し合いをしようと言っても、向うが拒否することもある。これは間違いないですね。実行可能な限りですから……。それから一つずついきましょう。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保条約に伴いますそういういろいろな問題については、私は現在の日本アメリカとの関係においてあらゆる問題を必ず持ち込んで、この安保委員会話し合いをするということに確信を持っております。
  83. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 実行可能な限りとある限りですよ、これこそ。されない場合もあり得るかということです。
  84. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、ただいま申し上げましたように、すべての問題が安保委員会話し合いをされる、こう考えております。
  85. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると安保委員会ではすべての問題が協議される。一応それでは、その点であなたがそうおっしゃるならば、今後そうなるものと信じていい、それでは協議されて、協議が不成立になる場合もあるわけですね。そしてまた、成立しても今度成規の手続をとらなくちやならぬ。この面でひっかかることもあり得るわけですね。この点いかがですか。
  86. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保委員会会で協議が整わぬ場合は当然あります。それから協議が整った場合は、両国政府間の取りきめになるわけであります。
  87. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、岸総理が、安保委員会にかかるから絶対に心配は要らぬのだというようなことをおっしゃっているのは、いささかこじつけだというふうになるかと思う。今まで岸総理にわれわれが再三尋ねて、あなたが幾ら核兵器を持ち込ませないと言ってみたところで何らその保障はないじゃないかと繰り返し繰り返し言うことに対して、総理は何と言ったかというと、念のため答弁をそのまま読みましょうか。これは昨年の十一月十六日私の質問で、私は、核兵器の持ち込みは心配要らぬ、安保委員会で話し合うから大丈夫だとおっしやるが、アイゼンハワー大統領と特に核兵器というものを議題に供して話し合いをされたことがありますか、核兵器の持ち込みについても安保委員会で話し合うということが確認されておりますか、という質問をしたのに対して、岸総理はこう答えております。「特に核兵器の装備をどうするかということは話しておりません。これは核兵器だけじゃなしに、将来いろいろな科学兵器の進歩に伴いましていろいろな装備が起ることがあると思います。これは私は当然配備の中に入って両国の安保委員会において話し合いをすべき事項である、かように考えております。」そこで私は「その核兵器の問題簿についても、安保委員会において両国政府代表の意見が一致を見なければ絶対に持ち込まないということでございますか。」「さように考えております。」これだけのことで、もう絶対安心だと言わぬばかりの答弁なんです。いつもそうなんです。しかし厳密にずっと考えていきますならば、特に条約協定の問題だけにしぼっていきますならば、こんなことでは、あなたが先ほどから再三認めておられるように、とても安心できない。配備する権利アメリカが本来持っておる。この権利を規制するものは、規律するものは行政協定による以外はない。かりに安保委員会において話し合いをしても、協議が不成立に終ることもある。協議が成立してもやはり行政協定というところに戻ってくる。行政協定を結ばなくちゃならぬ、ここに戻ってくる。そうしますと、将来ならば、行政協定の改訂なり、新しい締結なりができるかもしらぬけれども、今だからできぬのだという理屈が私にはわからない。岸総理アメリカに行ったときに、一番国民が関心を払ったのはこの不平等条約の改訂です。岸総理もそこに焦点を置いて、アイゼンハワー大統領以下アメリカ側の首脳部と話し合ったとおっしゃる。ところが、いろいろアメリカ側国内事情によって、条約協定を直ちに改訂することは困難である。だから安保委員会というものを作ることになった、こういうお話です。しかしよく考えてみれば、これにみんなひっかかっているのです。私に言わせれば、国民は岸さんにだまされている。今は条約協定の改訂はできないけれども、将来ならばできるという保証が一体どこにあるのか。ここに安保委員会というようなワン・クッションを設けて、ここですっと逃げているのですから、安保委員会で話し合っても、結局は行政協定に戻ってくるということです。今なら改訂はできぬ、将来はできる、こういう保証は一体どこにあるのですか。これでも、安保委員会というものが、事不平等条約の改訂という問題に関しては、ごまかしであるという私の意見に反駁できますか。安保委員会で幾ら協議して決定しても、それだけでは何もならない。行政拘束もされない。ここで協議決定されても、条約協定の改訂というところに戻ってこなくちゃならぬ。これでもごまかしでないといいますか。いかがですか、大臣
  88. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまお話のありました通り総理アメリカに行かれまして、安保条約全体について、日本の立場からいろいろな話し合いをされたわけであります。その結果が今御指摘通り、いろいろな事情があるから安保委員会等を作って、そしてそこでいろいろ検討した上で、最後の第三項にありますように、両国民の願望に沿うように、将来安保条約の改訂も考えていこう、こういうことでできた委員会だと思います。従って、この委員会は将来にわたって、やはりそういう問題について討議をしていく、またお互いの考え方を述べ合っていくということになろうかと思います。そういう趣旨からいいまして、安保委員会にすべての問題がかかってくる。また協議がととのわないものはアメリカ側がこれを実行に移さないというふうに、われわれは感じておるわけであります。決してごまかしの機関だとは思っておりません。
  89. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ごまかしですよ。はっきりごまかしです。特に内閣委員会で何回も質問しておることに対して、安保委員会で意見が一致しなければ、アメリカは勝手にやらぬことになったのだと総理は何度も言っておりますが、そんなものじゃないじゃないですか。安保委員会の意見が一致したって、行政協定に戻ってくるじゃありませんか。安保委員会だけでアメリカ権利を制約することはできぬじゃありませんか。あなたもさっきから認めておるように。それを、安保委員会でいかにもアメリカ権利を制約できるかのごとく誇大に宣伝しできたところに問題がある。しかも、その一番関心の大きな核兵器の持ち込みというような問題まで安保委員会議題になり、ここで意見の一致を見なければ持ち込まれないと、いかにもアメリカ権利を制約できるかのごとく、今まで誇大に宣伝してきておるじゃないか。これをうそじゃないというのですか。幾ら意見が一致したって、両国政府の正規の手続によって新たな協定を結ぶか、現行協定を改訂しない限りアメリカ権利を制約することはできないじゃありませんか。それをできるかのごとく言っておることはごまかしですよ。それでもごまかしじゃないというのですか。
  90. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保委員会の権限と申しますか、安保委員会としてはただいま申し上げておりますように、あらゆる問題をここに持ち込みまして、そうして話し合いをし、また安保条約はむろんのこと、行政協定等の不備な点を決定し、あるいはこれらを両国民の願望に沿うように運用改訂する問題を取り上げるのでありますから、むろんそうした問題については、安保条約の改訂とかあるいは行政協定の改訂とかいうことにいく場合もありましょう。そういう意味において安保委員会ハイレベルでもって十分懇談協議して、そして両国民の願望その他もそこで話し合うというところの機関であるわけであります。
  91. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 明快です。安保委員会がごまかしだという意味において明快です。去年から私に追及されて、条約及び協定上の権利義務の点については、依然としてそれは存しておるということを言わざるを得なかった。だから核兵器というような問題についていっても、安保委員会議題にして、意見が一致しなければそのまま持ってこないようなことをいっているのはごまかしですよ。幾ら意見が一致しても、両国政府を縛る何らかの協定なり何なりがなければ、安保委員会協議が成立したというだけでは持ち込みを禁止することはできるということになってきたのですから、少くとも今まで総理や各閣僚の皆さん方がいってきたことはごまかしだということをここで露呈したわけです。  私はそでれじゃ最後に確認しておきます。今の問題、核兵器の装備といったような問題は、配備の中に入る。従って安保委員会議題に供されることはあるかもしらぬ。しかし幾ら安保委員会協議議題に供せられて意見の一致を見ても、結局は両国政府を縛るところの何らかの条約協定その他の措置がなされなければ、それをもってアメリカ権利を制約することができないということを確認していただけば、きょうはあなたに対する質問は一応終って、あとで総理質問いたします。
  92. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保委員会話し合いをしまして、話し合い合意に達しないものはアメリカ側がこれをやらぬということを私ども確信しております。従ってそういう意味になりますれば、別に行政協定を急ぐ必要もない。
  93. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そんなばかなことがあるものですか。配備に関する権利アメリカが持っておるとあなたは言ったじゃありませんか。認めたじゃありませんか。この権利を規制する方法を話しておるのですよ。安保委員会で意見の一致を見るということは、アメリカ権利を規律する、規制する、それについての意見の一致を見るわけなんです。意見の一致を見ないということは、アメリカ権利を規制することができないということになるのですよ。そこのところにあなたたちのごまかしがあるのです。今の話はおかしいじゃないですか。権利は本来アメリカが持っているのです。この権利に何らかの制約を加えるために、安保委員会協議するのです。意見の一致を見て初めて権利を制約する方法が出てくるのです。意見が一致しなければアメリカは依然として権利を持つことになるのです。そこのロジックにごまかしがあると私は言っているのです。いかがです。
  94. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保条約を運営する上において、政治的に考えてみまして、日本アメリカとの友好関係において、ただいま申し上げましたようにいろいろな問題を安保委員会で討議いたしまして、日本の国民の考え方を申しますれば、友好的な立場からいって、日本の欲せざるものをアメリカは押しつけることはないということを私は申し上げております。
  95. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はきょうは条約論争をやっているのですから、条約にしぼってきさて下さいよ。アメリカ日本合衆国陸海空軍配備する権利を持っておるということをあなたはお認めになったのです。この権利を制約する方法行政協定による以外にないということもお認めになったのです。いいですか、認めたことを忘れちゃ困りますよ。この制約をするための一つ方法としてあなたたちは、安保委員会というものができた、安保委員会で話し合うことになったと言う。安保委員会話し合いができて、なるほど日本政府のおっしゃる通りだ、核兵器は持ってこぬようにしよう、すなわちアメリカ権利を制約することに意見が一致したとする、そうすると勢い行政協定の改訂なり新協定の締結なりという方向に向っていく。いいですか、残念ながら協議が成立しなかった、その場合にはアメリカ権利を制約できないということになるのです。条約上そうなんでしょう。いかがですか。
  96. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 話し合いがつかなかった場合に、アメリカがその権利を行使することはすまいと思います。従って私はその手続をする必要もないんじゃないかと思われます。
  97. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 するかしないかは別です。私が聞いているのはアメリカ権利に何らの制約を加えることができなかったということになるということは確認していいわけですね。そういう場合。
  98. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 純法律論からいえばあるいはそうかもしれませんけれども、とにかくごの問題を話し合いをして、そうして日本の欲しないことを向うは権利行使でやらぬということを私どもは信じております。
  99. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 純法律論でいいんです。安保委員会協議ととのわずというような場合には、アメリカ権利条約上何らの制約を加えることにはならぬ。そのことだけお認めになりますね。法律的にでいいんですよ、私は法律論争をやっているんだから。
  100. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 両国の首脳者が会談をして、そしてできたものでありますから、条約上の問題はありましても、大きな意味において両国を制約していることは当然のことであります。
  101. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そんなばかなことがあるもんですか。あなたは、サイドワインダー受け入れという問題一つをとってみても、安保委員会協議したといっても、それだけで何の効力もないと言っているじゃありませんか。そのときにはそのとき都合のいいようなことを言い、ほかのときにはまた別のことを言って、というようなでたらめなことはやめなさい。サイドワインダーの受け入れのときだって、安保委員会で向うは供与しよう、日本は受け入れようときまっただけでは何にもならぬと言っているんじゃありませんか。現実、津島長官安保委員会の翌日、閣議でサイドワインダーの性能その他の説明をして、そして了承を得ているじゃありませんか。安保委員会話し合いだけでサイドワインダーの受け入れというような問題についてすら何ら両国に拘束力はないと言っているじゃありませんか。今度は別ですか。そういう詭弁はやめなさいと言っているんです。なぜ率直に言えないのですか、私が法律論として質問しているのに。安保委員会で幾ら話し合いをしてみても、協議がととのわなければアメリカ権利を制約できない、協議が成立しても行政協定その他の措置によらなければアメリカ権利を制約できない、これだけのことがなせ認められないのですか。
  102. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 共同声明を基本とする安保委員会というものは両国の最高首脳部が大きな意味において話し合いをされ、決定されたものでありまして、むろん条約上の効力があるわけであまりせんけれども、両国政府を大きく縛っておりますことは事実でございます。従ってこの委員会決定というものは両国政府が尊重し、またその趣旨に従っていくということも当然だと思います。
  103. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それがごまかしだというんです。この間私に政府統一解釈というものをくれたじゃありませんか。これには何と書いてありますか。安全保障条約に基いて両国政府合意して定めた行政協定第二十四条の規定共同声明というような形式で変更されるものではないと言っているじゃありたよせんか。これをまた変えるんですか。
  104. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、変えているわけではありません。しかしながら両国の最高政治責任者の話し合ったものは尊重さるべきものであり、するということを申し上げているわけです。
  105. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 共同声明というような形式で変更されるもめではないと前には言っているじゃありませんか。これはあなたも含めた政府統一解釈ですよ。あなたはいかにも共同士月明、アイク・岸声明というものが条約協定を上回る、そういう大きな拘束力を持っているかのごとく今度は言っておりますけれども、この間私が使用の問題について質問したときに、共同声明というような形式協定すら変更されるものではないと政府が述べているんです。
  106. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 法律的にはむろんそうでありますし、従ってそこにお示しの通り統一解釈一であります。しかし両国の政治的関係から大きな精神的なものを考えてみますれば、それは大きく条約その他の精神を作っているものだと思うのであります。従って政治的に見ますれば、それは尊重さるべきものであって、当然尊重していくものだ、こう考えます。
  107. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 だから政治的にはあなたたちが一生懸命やればいいんです。私は条約上、法律上のことだけ聞いているんです。この間私がいろいろ質問したら、石橋は政治上の問題と条約上、法律上の問題と混同してうまくやってきたというようなことを、愛知官房長官が放送討論会で言っておりましたが、そういう憂いがあるなら、私はこの際はっきり分けましょうと言っている。政治上の問題はあなたがおっしゃる通りでいいんです。条約上の問題をお尋ねしている。おわかりですね。アメリカ日本陸海空軍配備する権利は持っている。この権利に対して何らかの制約を加えようと思えば、行政協定による以外にはない、これは再度お認めになった。しかし特別に安保委員会というものを作って、ここで話し合いをして、意見が一致しても、その後両国政府が正式の手続をして行政協定の改訂とか新しい協定の締結というようなところにいかなくては拘束力はないということになる。話し合いが成立しなければこのアメリカ権利というものに何らの制約を加えることにもならぬ。これだけの法律論をなぜお認め願えないんですか。
  108. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほどから申し上げておりますごとく、政府統一解釈は御承知通りに、私も思っているわけでありまして、その点に異存はございません。ただ条約その他を運用して参ります上においても、両国の精神的な組帯または両国の首脳部の考え方というものが、これを運用していく政治的な大きな力であるということは申すまでもないことでありまして、その意味において安保委員会というものにいろいろな問題をかけて、そうしてその両国で話し合った精神によっていくものだ、こう考えております。
  109. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 政治上の拘束と法律条約上の拘束とどっちが優先しますか、国際間に……。
  110. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 優先すると申しますのは、やはり条約というものは両国間のあれで最高の政治的な立場でもってこれを運用するのが当りまえなことだ、当然なことだと考えております。従って好友親善の関係にある国との条約の運用ということについては、そういう点から考えて十分運用されるものだと考えております。
  111. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 なんておかしなことを言うのですか。共同声明というような形式で変更されないというのが政府統一解釈だと示しておきながら、今それをくつがえすようなことを言おうとするのですか。共同声明というのはこれは政治的な問題です、拘束力ありとするならば、政治的な拘束力しかありません。行政協定というのは、これは条約協定法律です、明らかに法律上両国を拘束しているのです。どちらが優先するかと言ったときに、この間は統一解釈としてはっきりと共同声明の方を否定しているじゃありませんか。その後の答弁においても、岸総理は両国間の条約協定上の権利義務はそのまま存している、総理も認めているじゃありませんか。
  112. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、それですから先ほどから政府統一解釈によって、あるいは総理も言われたように、条約によって効力があるということは認めておるわけです。ただしかし両国の間の政治的関係から見まして、たとえば核兵器の持ち込みというような問題については、大きな政治的観点から見て、日本国民の願望を十分アメリカ側が了承する、そうしてまた日本国民の願望を尊重しなければいかぬという大きな精神から見て運用されるべきだということを申し上げておるわけであります。
  113. 高橋通敏

    高橋政府委員 ちょっと私から補足、補充させていただきます。ただいまの法律解釈、政治的解釈という問題で御指摘になったのでございますが、これはまことに御指摘通り、一応法律解釈はどうだ、政治的の問題はどうだと、われわれは自分の仕事の範囲内ではそういうことは考えますけれども、実は法律解釈とは何であるかということも、政治的解釈とは何であるかということも、非常にむずかしい問題なのでございます。そこでたとえば法律解釈という場合に、どういうのを法律解釈というのか、たとえば言葉の解釈であるか、論理的な解釈であるか、非常にむずかしい問題でありまして、私はそこを法律解釈であり政治的解釈だと一がいにはっきり分けることはできないんじゃないか、こういうふうに考えております。  ただいま御指摘の点もわれわれ事務当局として考えますのに、たとえばこの安保委員会協議がととのわない場合はどうであるのか、協議がととのわない場合はそれでは配備する権利に入って、そこで配備する権利はもちろんアメリカは無制限じゃないか、ただしかしそこに核その他の問題も入るんじゃないか、そういうふうに考えられるという点も御指摘通りであります。しかしながらその前に共同声明におきまして、安保委員会でこういうふうな協議が行われた、それで協議がととのわなかったということ、これはととのうかととのわないかという実態問題でなくて、そういう法律的な仮定的な問題としてお答えするのでございますが、そういうふうにととのわなかったという事実は、今度は行政協定に返りまして、配備する権利アメリカがそれじゃこれを全然無視していいのかというと、これはまた非常な問題じゃないかと思います。そこでそういうふうに考えるのが政治的解釈であって、そうでなくて全然度外視して純粋にあれがあるんだと考えるのが法律的な解釈だ、そういうふうに区別をするということはなかなかむずかしい問題じゃないかと思います。従いましてそういう安保委員会における経過というものが、たとい成立しない場合においても、今度は翻って安保条約の問題になりますときに、双方が相当これは考慮に入れなければならぬ問題じゃないか、そういうふうに考えます。
  114. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 昨年来私が使用の問題についていろいろ質問しておると、石橋条約上の問題と政治上の問題とこんがらがって攻めてくるからどうもならぬ、こう言っておる。だから私は分けて法律だけでやると、あなたの方では政治上の解釈もどうのこうのと、今度はこれをからみ合せてくるようなことをおっしゃる。しかも外務省における法律の一番人であるあなたまでがそんなことを言い出しておる、それでいいのですか。やはり政治上の問題は切り離していくべきだと言うから、私は切り離していくのですから、その限りにおいて答えればいいのです。法律論だけで、私の言う意味がなぜ大臣は是認できないのですか。
  115. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 統一解釈通りだと申し上げておるので、是認しておるわけであります。
  116. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ということは、結局この行政協定などというものは、共同声明というような形式で変更されないという前言をくつがえすつもりは全然ないということなんですね。
  117. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 統一解釈に述べた通りでございます。
  118. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それで大体法律論として全貌がはっきりしてきたわけなんです。何度も申し上げておるように、合衆国陸海空軍日本区域及びその付近配備する権利を持っておる、これはアメリカ権利です。この配備の中には核兵器の装備といったような問題も含まれる、しかもこの配備に何らかの規制を加えようと思えば、それは行政協定による以外はない、これがはっきりした法律上の達前です。ここに特別に政治的な配慮が行われて、安保委員会というものが作られ、総理が言うことく、あなた方が言うことく、核兵器の持ち込みという問題を、一歩私が譲って、この安保委員会協議されるとしてもけっこうです。しかし安保委員会協議して意見の一致を見て、アメリカ配備権利というものに制約を加えようということになったとしても、現行行政協定を改訂するというところに戻っていかなくては何にもならぬ、これがはっきりした。協議不成立という場合には、これはアメリカ権利に何らの制約を加ることもできないわけだから、依然としてアメリカ権利はそのままになる。従って法律的には行政協定なり条約の直接の改訂ということ、あるいは新しい協定の締結ということをやらない限り、核兵器持ち込みというような問題についても制約を加えることはできない、これが日米間の条約協定上の権利義務概念だ、こういうことが確認されたわけであります。それを日本国民の願望によってどうにかなるかのごとくおっしゃるが、日本政府のうしろに日本国民があるごとく、アメリカ政府のうしろにもアメリカ国民がある。両国国民の願望ということが表現として現われておる。従ってアメリカの国民の願望が日本国民の願望と必ずしも一致するという何らの保障もないわけですから、そういうあいまいな言葉でごまかそうとしてもだめだということです、これも確認された。とにかく非常に重大な問題です。これは少くとも条約協定上核兵器持ら込みといったような、こういったアメリカが一方的に握っておる権利を制約する何ものもないということは、ここで明らかになったわけです。私はそれをいかにも保安委員会協議するだけで、法律そのものの、アメリカ権利までも制約できるかのごとく誇大に宣伝しておる岸総理の責任は重大だと思う。従ってあなた方に対する質問は本日はこれでやめて、総理の御出席を願って再度この点について質問をすることにいたしたいと思います。従ってこの質問の私の権利は留保いたしますから、委員長御承認を願いたいと思います。
  119. 福永健司

    福永委員長 午前中の会議はこの程度といたしまして、午後一時まで休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  120. 福永健司

    福永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。飛鳥田一雄君。
  121. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 まず防衛庁長官にお伺いをしたいと思いますのは、およそ自衛隊を統率していかれる第一の要諦として、少くとも一兵に至るまでに愛情を傾けること、こういうことがおありだと思いますが、この点はどうでしょうか。
  122. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまの御質問、その通りでございまして、自衛隊全員に対して人権を尊重して、その訓練等に当っても十分の愛情をもってやるということは当然だろうと思っております。
  123. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ところが現実はさにあらずというような事態がしばしば生じておるように思います。その一つの例として、昭和三十二年十二月十七日、北海道の第九普通科連隊第一重火器中隊で板東茂男という一士が突如午前十時前後に、作業服のまま、作業場から行方不明になりました。この行方不明になりました板東茂男君の問題についての御調査、あるいはその後の措置、こういうものについて遺族は非常な不満を感じております。一つ十分に、どの程度の措置をおとりになりましたか、お聞かせをいただきたいと思います。これは防衛庁長官でなくてけっこうです。
  124. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいま御指摘の板東一士のことにつきましては、私も担当の者から報告を受けまして、まことに遺憾な事柄であると思っております。ただいま経過その他の状況についてのお問いでございますから、これは便宜担当者の方からお答えすることにいたします。
  125. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいまお尋ねのありました板東一士の行方不明になった事件でございますが、ただいままでに判明しております状況につきまして以下申し上げたいと存じます。  ただいまお話がございましたように、板東一士は北海道旭川にありますところの第九普通科連隊の第一重火器中隊の車両班に勤務するところの一等陸士でございます。たまたま昨年十二月十七日に車両整備を隊員六人とともに、隊内において作業中、同僚隊員の確認するところによれば、午前十時三十分ころから姿が見えなくなって、その後これを探しましたけれども、その行方は今日に至りますまで判明をしておらないという事案なのでございます。行方がわからなくなりましてから自後、部隊におきましては、同月二十八日までの間におきまして駐屯地内は申すに及ばず、旭川市の内外をくまなく捜索をいたしたのでありますが、同日までには発見に至らず、その後全国的に警察関係にもお願いをしまして手配をしたのでございます。当時の捜索の状況は同夜は約二千人の隊員諸君が出まして捜索をいたし、自後十八日以降ただいま申しましたように二十八日に至りまするまで、旭川の市の内外、特に石狩川の周辺地域につきましては相当捜索をした。そのときに石狩川の川っぷちに同一士の名前の入っておりまする手帳がやや破られて落ちておったのを発見したような事態もございます。いろいろこの行方不明になりました原因その他につきまして事態を調査しているのでございますが、この行方不明になりました直前の状況は、ただいまお話がありましたように、写真機を買うと言ったようなこともあり、帰省を楽しんでおったというような状況もございまして、自殺あるいは行方不明にならなければならないといったような理由というものを発見するのにはなはだ苦しむものでありまして、自後今日に至りまするまで発見できないことを大へん遺憾に思っておる次第でございます。  なお家族に対しまする御連絡は、十二月十八日に直ちに電報で連絡をいたし、その後数次にわたりまして連絡をし、二十九日には実兄の方が旭川に来られまして、いろいろ事情を申し上げたのであります。自後いろいろな捜査の依頼書あるいは嘆願書なども出て参りまして、それに対しましては連隊長、あるいは第二管区総監、所管の警務隊長からいろいろわれわれの方でとりました措置その他について御説明を申し上げたはずでございます。以上大体さような状況になっております。
  126. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今の御説明によりますと、十時半ごろ働いている、その現場からふいといなくなった、こういうお話ですが、そでれではいなくなったことを発見した時間は何時ごろですか。
  127. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 お話のごとく十時三十分ごろまでおったということについては確認をしておる。ちょうどこの日の作業は、車両の点検を前にしまして、車両整備に非常に熱中をしておったということなのでありますが、ただいまお尋ねの、しからばこれが何時ごろになっていないということを確認をし、またそれ以後捜査を始めたかという時刻は、大体午後の九時過ぎないし九時半ごろではないか、こういうことになっております。
  128. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 軍隊にはしばしば点呼もあり、本人がいなくなったことを発見する機会はたくさんあるはずだった、こう私は思うわけです。飯を食うときだって一緒になって飯を食うはずです。ばらばらに飯を食うことはない。また飯を食ったあとの点呼もあるはずです。作業につく前に点呼をなさるはずです。仕事が終って、各自自分の部尾に帰られる場合でも点呼があるはずです。こうしろうとが考えましても数回の機会はあるはずです。それなのに最後に確認した、それが午前の十時半、そうしていなくなったことが、はっきりわかったのが午後の九時半あるいは十時ごろ、少くとも十二時間近くも一人の人間がいなくなったということを発見できない、こういうことは私たちとしては想像がつかないわけです。もしそうだとすれば、その軍隊の士気というものは非常に弛緩しているんじゃないか。命令系統などというものは一体どこにあるのか、私たちは非常に不審に思わざるを得ないわけです。かくも発見がおくれた理由を一つ御説明いただきたいと思います。もし早く発見すれば、今あなたのお話のように、石狩川河畔においてたき火をしたとか飯を食った跡があるとかいうことでありますので、もしそれが事実とするならば、早期発見によってたちまち本人を発見することができたはずです。また父親のところに隊長からの御報告が来ておりますが、それによりますと、隊を出てから立ち寄ったと思われるうちがあります。こういううちに立ち寄ったりいたしておりますので、早期に発見すれば完全に本人を——どうなったのかはわかりませんが、行方不明でいまだに死んだか生きておるかわからないのですから、わかりませんが、完全に本人を救い得たのじゃなかろうか。ここで早期に発見しなかったことが、もし板東君が死んでおるとするならば、板東君を死に追いやった結果になっておる、こう私たちは思わさるを得ないわけです。なぜかくも規律きびしいはずの自衛隊の中で、十二時間も発見がおくれたのかその詳細をお知らせいただきたいと思います。
  129. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいまお尋のごとく、朝十時半までおったことを確認し、自後いなくなったことの確認が午後の九時前後であったという点につきましてはただいまのお話のごとく、私どももこれは隊内の問題としては珍しいケースではないかと思っておるのでございます。この間にどうして発見をしなかったということでございますが、一応当時の隊内。作業。進行あるいは隊員の出入りの関係を申し上げますと、当日は六名の同僚と一緒に車両整備をやっておったのでございますが、点呼は隊内の勤務としましては、日朝点呼と申しまして、朝点呼がございます。それから夕方、日夕点呼と申すものが、時聞は隊によっていろいろ異なるようでありますが、点呼がございまして、十時に消灯をする、こういうことでございます。その間に特別の点呼はない模様でございます。もう一つ昼の食事の際に発見できなかったかということがございますが、このときは隊員は一斉には食事をせずに、かわるがわるに交代で食堂に行って、夕飯もやはり作業中で、これもそでの作業場で食事をしておるのでありまして、九時近くまで作業に従事をした、こういう状況であります。そうして当時この修理を指揮しておったのは峯という三曹が指揮をしておりますが、この人、が板東一士のいなくなったことについては、当時気づいておりまして、板東一士はどうしたかということを実は申しておるのでございます。ところがそれは警衛勤務に行ったのではないかという隊員の返事がありまして、警衛勤務に行ったものではなかろうかという、やや不確実な事柄をみずから信じてそのままにしたという経緯が残っておるのでございます。もとより指揮者としまして、隊員の掌握を十二分にもしなければならぬということはもちろんでありまして、かような部下掌握では、はなはだ不十分であるのでありまして、この峯三曹に対しましては戒告の処分が実はなされておるようなわけでありまして、ただいま御指摘のごとく相当の時聞にわたりまして、この者のいなくなったことの発見をしなかったことにつきましては、部隊としましてはやや異例に属することであり、監督者としては、指揮者としては掌握不十分ということで処分をしたような、やや珍しいケースであるとわれわれは考えております。
  130. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 珍しいケースというだけで問題が片づくとは私たちは思えないわけです。今のお話の中にも、非常に受け取れないものがたくさんあります。まず第一に、食事の時に一斉に集まって食事をしなかった、それはよろしい。従ってそこでの点呼はなかったというのもよろしい。だが、しかし六人が一班をなして作業をしている。三百人、五百人が一団になって作業をしているのではないわけです。六人ですよ、たった。たった六人で班を作って作業をしている場合に、そのうちの一人が、二時間なり三時間なり作業に加わっていないとすれば、当然これは問題になるのが当りまえじゃないでしょうか。他の残った五人は、板東はどこに行ったのかと、こういうことを考えるべきであり、板東がいたずらに命令にあらずして作業から離脱しているとすればそのことを当然上司である峯三曹ですか、峯陸士長ですかに報告をすべきです。ところがそういう報告が行われた形跡はない。五人は当然板東一士がいないことを当りまえのように受け取って作業をしておった、こうとしか思えないわけです。こんなばかな話が一体どこにあるのか。さらに陸士長が、板東一士は警衛に上番しているのじゃないか、こういう不確かな気持で、板東がいないことには気づいておったけれども、そのままにしておいた。自分の部下が警衛に上番しているか、していないかを知らないような陸士長というのが一体ありますか。大体警衛——昔でいえば歩哨とか何とかというのでしょうか、そでういうものに自分の部下が、だれとだれがきょうはその番に当っているかということをはっきり知っているはずですそして割当表ができているはずです。ところがそういうことも知らないで、自分の部下のうちでだれとだれが警衛に上番しているかも知らないなどということは、少くとも私は信じられない。そして、知りもしないでいて、警衛に上番しているのじゃないかというような感じで、部下が見えなくなったのをほっぽっておく、こういうこと、があり得るはずはありません。処罰をしたから、戒告をしたから、それでよしいというのではなしに、そういう事実はあり得べからざる事実だと私たちは思うのです。もしそうだとすれば、ここでもまた板東一士がいなくなったごとを知りつつも平然と済ました何かの事実があるのではなかろうか。作業の五人の仲間でも、板東一士がいなくなってから二時組たっても三時間たっても平気で作業を続けている。上司に報告もしない。また上司であるところの陸士長も、板東がいなくなったことを知りつつもそれを何ら処置しない。こうなってくると板東一士がいなくなったことを当然と考えるか、あるいは何かそでこに隠しているものがありはしないだろうか、こう考えざるを得ないわけです。これは親の立場になって考えてみて下さい。そう考えざるを得ないわけです。実にその点が奇怪きわまる、常識の範囲を越えている、こういわざるを得ないと思うのですが、一体その後それでは板東一士がその日警衛の番に当っていたかいないかをお確めになっていますか。
  131. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 それだけの時間内で確認できなかったということにつきましては、先ほど申し上げましたように全く異例のケースである、部下の掌握上はなはだ不十分であるということは先ほど申し上げた通りであります。警衛に上番したのではないかということを何らの理由もなく信じたということにつきましては、ただいまのお話のごとくわれわれとしましてもはなはだ遺憾に思うわけであります。なお板東一士は警衛の勤務では当時ございませんでした。
  132. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ただ遺憾であるという問題だけでこの問題が片づくとは私は思えないわけです。それではその最後に板東一士を見た人はだれとだれですか。それを一つ教えていた、たぎたいと思います。そうしてどの場所で確認をしたのですか。
  133. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 場所は車両庫の操縦手の控室で採暖をするために、陸士長の三野というものが、板東一士がストーブ台のまき類の始末をしてすわっておるのを見た。これが当日の九時五十分過ぎであった。それでしばらくそこに板東一士が休憩をしておったということになっております。
  134. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういたしますと、先ほど失綜をしたのは十時三十分ごろだというお話ですが、九時五十分に確認をした人が最後で、十時三十分に失綜したというのはどういうわけでしょう。
  135. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 当日の九時五十分ごろに指揮者の峯三曹が部品の交渉のために武器隊に行った。そうして十時十分ごろ車両庫に帰ってきまして、自後この峯三曹が、板東一士、にS整備に交代させるようにということで、長田士長という士長に指示をしておりますが、その際に板東一士はどうかということになったわけですが、それがほぼ十時三十分ごろであったというわけであります。
  136. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうすると十時三十分ごろに板東一士がいないということを確かめた、こういうふうに受け区取れるわけですね。
  137. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 確実にその人を、板東一士を確認したのは九時五十分ごろであった。しかし今度は逆にいなくなったということがわかったと確認したというのは十時三十分ごろであった、こう考えます。
  138. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それからどういう経路を通って最終的に確認をされたか、もう少し詳しく伺いたいと思います。
  139. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいまのお話は、最後にいなくなったということは、いつ正確にわかり、それから捜索に移ったかというその点だと思いますが、これは作業を九時ごろ終りまして、中隊に帰っておるわけであります。そういたしまして中隊に帰って、あとで板東一士が警衛勤務に行ったものと思っておったわけでありますから、そのときに板東一士が帰っていないということがわかって大騒ぎとなった。こういうふうになっております。
  140. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そこまでわかりましたが、それではさっき九時五十分ごろ板東一士を確認した、こういうことを三野さんという方がおっしゃっている。三野さんはそのときに板東一士だけを見たわけではないと思いますが、そのときに板東と一緒にいた人、それはだれとだれであるかを確認なさっておりますか
  141. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 もちろん三野陸士長は板東一士と二人だけでおったわけではないようでありまして、そのほかの、ただいま申しました一緒に作業した隊員とも、同時に休憩をしておったということであります。
  142. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それはだれとだれでしょう。
  143. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 作業の当日の区署を見ますと、三野士長、脇士長、清水一士、白川士長、川村士長、石川一士、それだけであります。
  144. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それは一緒に仕事をしておった人じゃないですか。ところが三野さんは、たしか父親のところに隊から送ってきて下すった三野さんの供述書によりますと、「〇九五〇頃休憩を命ぜられ、大隊車両庫の操縦手控室に暖みを採る為はいって行ったところ、板東一士はストーブ台のマキ類の始末をして、車両幹部の横に座っていたのを見ました。それからしばらく休憩しているうちに、車両幹部が手に写真を持っていましたので、何の写真ですかと尋ねたところ、大隊車両無事故表彰記念写真だといわれました」こういうふうに述べているのですが、その車両幹部というのが今お話しになりました方ですか。
  145. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この点につきましては、正確に車両幹部というのはだれであるか、ちょっと私どものところにはただいまのところではわかっておりませんが、おそらくただいま申し上げましたこの六人の者とは別の者ではないかと思います。
  146. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 およそ人が失綜をした場合に、最後にその人に会った人、最後にその人を確認した人というのは、かなりその後の捜査の手がかりになるものです。そしてそこからいろいろの問題が出てくるわけです。ところがその人をも確認せずにほっておくというのは、一体どういうわけなんでしょうか。
  147. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいま私どもの手元にありますのは、速急のことでありましたので、三野陸士長の、ただいまお読み上げになりました、その口述書と申しますか、供述書と申しますか、そういうものはあるのでありますが、おそらく当時としましては、そこに供述書といったようなそういう形ではないかと思いますけれども、おそらくそのときに一緒に作業した者、あるいは居合せた者につきましては、詳細に当時聞いたものであろうと私は考えております。
  148. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ところが現実には、部隊の方でもそのことについてのお調べをしておられないようです。一体今回の失踪事件について、隊がやられた、あるいは警務隊と連絡をとって警務隊がやられた捜査というものは、隊外の捜査ばかりやっていらっしゃる。もう離隊をしてしまった、こういう前提に立って、隊外の捜査ばかりやっておる。少しも隊内の捜査というものをやっていないのじゃないか。隊内の捜査というものはまことにずさんきわまるものである、こういう印象を、家族の者も、家族から事情を聞きましたわれわれも、持たざるを得ないわけです。一体隊内についてはどういうような捜査方法をとられたか、最後に確認した人、最後に面会した者も調べていない。その人の名前さえわかっていないというような事情で、一体どれだけの捜査をやっておられるのか、一つそれを伺わしていただきたいと思います。
  149. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 もとより捜査をやります場合に、ただいまお話のごとく、行方不明者が最後に会った者、あるいは最後に見た者、その場に居合せた者、それらにつきまして、事こまかく当時の事情を聞くということは、これは定石であり、捜査の常識であると思います。従いましてただいま申し上げましたように、三野陸士長の供述書はございますけれども、その他の者につきましてもおそらく聞いたものであろう。ただ遺憾ながら、ただいま私どもの手元まではさようなものは参っておらない。なおこの点につきましては、詳細に調査をしてみたいと考えております。
  150. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それではそういうものをと全部もう一度お調べをいただいてその部分についてもう一度お答えをいただきたいと思います。  そこで、少し話は横道にそれますが、さっき冒頭に御報告がありましたときにも、十二月十八日に実家に報告をした、こういうふうにおっしゃっておる。そうしてその後数回報告をした結果、二十九日には実兄が旭川にやってきた、こう言われておるわけです。     〔委員長退席、保科委員長代理着席〕 十七日に行方不明になって、二十九日に実兄が旭川へやってくる。十一日もかかっているわけです。自分の子供あるいは弟が行方不明になって、十一日も便々と待っておるはずはない。家族に聞いてみますと、行方不明になったという電報をもらったから、すぐ折り返し旭川へ行きたい、こう電報を打ったところ、来るに及ばぬ、こういう返電があった。さらに折り返して聞いてみますと、来る必要はない、もう少し待て、こういうような返電があった。そのために行きたくても行けず、じんぜん日を送ったと言っているのですが、一体父親だの実兄が、子供の行方不明、弟の行方不明を心配して飛んで来ようとするものを、押える必要がどこにあるのですか。どうも先ほどの隊内のやり方、こういうものを見ますと、ふに落ちないものがある。かてて加えて、父親や兄などがやって来ようとすると、これを押えようとする。何がふに落ちないものがある。何かそこに隠されたものがあるのではないかと、いたずらなる想像をめぐらさざるを得ないわけですが、一体父親や兄がやって来るのを、来るに及ばぬといって断わる理由がありますか。ありましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  151. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 先ほどお話がございましたように、これは非常にレア・ケースである。従って行方不明にならなければならない理由というものが、隊としてすこぶる首肯しがたいものがある。これは捜索すれば発見ができるのではないかという観測を相当強く持って、できるだけ早く発見して、無事のことを父兄に知らせたいという気持が当時として非常に強かった。隊の幹部はさよう申しておるのであります。従ってせっかくおいで下さっても、そういうことであるからという気持が、見えたけれどもすでに生存で発見されたというのでは、という気持が強く働いたのではないか。従ってお見え下さらなくても、こちらで捜索しておりますからもう見つかるのではないか、そういう気持が非常に働いた結果、そういうことを申し上げたのではないかと、私は推測します。結果的に見れば、それが今日に至るまで発見ができておらぬわけでございますから、やはりいいことではなかったということは言えるかと思います
  152. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 何かすぐ発見できるような具体的な根拠があって、そういう態度をとられたのならば、私たちは今の御説明でうなずけます。しかし十月三十日にいなくなった。それがわかってから徹夜で捜査をしているはずです。ところが何ら得るものがなかった。しかも相当積っている雪の中に、薄っぺらな作業衣一枚で出て行ったとすれば——出て行ったかどうかわからないのですが。隊内で殺されたのかわからないが、かりに出て行ったとすれば、凍え死ぬであろうことは歴然であります。そういう場合に、一晩じゅう捜査してみて、なおかつ何らの発見もできないのに、それでもすぐ発見できるようなそら頼みを持って、兄や父親が来るのを阻止する。そんな説明をなすったって、少くとも常識人はうなずくことができないと思います。もっと何人もがうなずくような説明ができないでしょうか。それとも、ここの隊員全体が少し狂ってしまっているとでも言うのなら別です。一つもう一度御説明を願います。
  153. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 今申し上げましたように、要するに非常に、珍しいケースであって、行方不明にならなければならない理由の発見に幹部も、あるいは同僚も苦しんだというようなケースでありますだけに、これは非常な不幸なケースになるのではないか、こう考えたから、そういうことをしたのであろう。だから私がただいま申しましたように、結果的に、いまだに発見されていないという非常に遺憾な事態から申せば、これはまずかった、こういうことが言えると思います。こういう意味でただいま申し上げたわけであります。
  154. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういう珍しいケースだとか、あるいは行方不明になる原因がわからないからという、そういうことでは、私は十分な説明にならないと思う。むしろ家族に心配をかけたくない、こういうようなこと、そんな親切なお心なら、それでは一つ伺いましょう。僕はこんなことを言いたくないと思ったのですが、二十九日に実兄が旭川にやって参りました。そうしますと、実兄は直ちに会計のところに連れていかれて、最初に一ぺん板東茂男行方不明という電報がきた。その電報だけは公電だから電報料は要らない、そのあと打ってきた、まだわからないか、発見できないかという電報に対して、いや、わからない、こういう返事をしておるが、この電報はあなた方の方に対して返事したのだから電報料をみなよこしなさいというて取られたというのです。最初の一回だけは自衛隊で負担をする。あたりまえですよ。自分のところの兵隊がいなくなったのに、父親にいなくなったという電報を打つくらい、これはあたりまえです。その後父親が心配して何回か照会してくると、その返信料をみんな取られた。旭川にやってくると劈頭会計で取られた。これでも、そんな親切な、すぐ発見できるだろうから、発見できたところに来てもむだ足になる、だから来るに及ばぬという返事をしたのだとおっしゃるのでしょうか。第一に、こういう行方不明になった場合、最初一ぺんだけ、行方不明になったという電報だけが隊負担で、あとの一切の往復、こういうものは電報料を取る規定になっておりますか。
  155. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 その間の事情につきましては、遺憾ながらまだ詳報を入手いたしておりません。調査いたしたいと思います。
  156. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 情報を聴取していらっしゃらなくても、現に取られた人が僕らに言うんですから、これ以上間違いないと思います。もしそういう事実になっておりましたら、どうなさるか。一体規定としてどういう規定になっておるのかということを伺いたいと思います。
  157. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 そういう場合は払い得ると思います。
  158. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 払い得るというのは、隊の方で費用を負担して、そうして父親たちにその情報を知らしてよろしい、こういうことだと思うんですが、今回の場合は、心配してやってきた父親や兄に対して、いきなり、来て下さいというので取った、こんな形でこの捜査がほんとうに感謝をもって家族に迎えられるかどうか、考えてみれば明らかだろうと思います。しかもその兄が、それではというので、一緒に働いておった人々、六人一組になって働いておった人にせめて事情を聞きたい、こういう申し入れをいたしましたところ、これをすべて拒否したというのはどういうのでしょう。
  159. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 その点につきましても、まだ詳細なことはわれわれのところにわかっておりませんので、調査いたします。
  160. 阿部五郎

    阿部委員 関連してちょっとお聞きしたいのですが、自衛隊の方でこういう事実のあったことの報告をお受けになったのは、何月何日でございますか。
  161. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この事件の直後にはおそらく陸幕の方には報告があったということでしょうが、正確に書面でもって報告が陸幕の方にありましたのは一月三十日であります。
  162. 阿部五郎

    阿部委員 ただいまあなたが御答弁なさった中に、こういう事件を捜査するに当っては本人を最後に見た者について捜査をするのが常道である、かようにおっしゃいましたが、これは私ももちろんその通りだと思います。ところが御報告を受けておられるその内容はその捜査ができていない報告であります。今御答弁になったのはその通り。すなわち三野士長という人が本人を最後に見たのが九時五十分。その席上には三野と本人とそのほかの者が何人かおったということもわかっております。しかしそれが何者であるかはわからない。従ってまたその場におって本人を最後に見た者についての調査はできていない、そういう報告を受け取っておられます。そういう報告を受けられた上司の方としましては、捜査が常道を踏んで行われていないということを知ったわけです。その際、直ちに常道を踏んだ精密な調査をすべしという御指示をなさいましたかどうか、その点伺いたい。
  163. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 先ほど私が申しましたごとく、陸幕に対します報告には、三野士長の口述書というものがついておりますが、その他の同僚につきましては、事情は聞いたであろうけれども、その供述書、口述書といったような、最後に記名をするようなものにはなっていなかったのではないか。しかしおそらく聞いたことは聞いたに間違いない、かように思うし、またさようなふうに先ほどお答えをいたしたようなわけであります。
  164. 阿部五郎

    阿部委員 それはさっきすでに聞きました。あなたはその通りおっしゃったのであります。しかしながら肝心の捜査の常道を踏んだものが行われていないという報告を受けておるとしたならば、そういう報告を受けたとき、直ちにこれは常道を踏んでいないから、常道を踏んだ捜査をしてその報告をなすべしと指示をするのが、上司の責任ではないでしょうか。その責任はどう果されておるのであろうか、それをお聞きしておるのです。
  165. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 これは、私が先ほど申し上げましたように、捜査といたしましては、当時その辺におった者あるいは関係者から事情を聞くということは常道であった、かように考えるのでございますが、この報告書が参りまして、これは陸幕の中で一応処理をされた、われわれのところでは最近になりましてこれを知ったということなんでありまして、もちろんただいまのお話のごとく、捜査として不十分な点かあれば指示をするのが当然であったかと考えます。     〔保科委員長代理退席、委員長着席〕
  166. 阿部五郎

    阿部委員 当然であったとしたならば、その当然の職責を果すべき上司は一体何ものでありますか。またその責任は一体どういうふうにそれを果しておるのでありますか。
  167. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 その報告は捜査の系統でありますので、警務隊というものがございまして、この報告は第二話を承わります。なるほどそれは捜査を形式的にいえばそうなるかもしれませんけれども、捜査する責任といいましたら警務隊かもしれませんけれども、とにかく行方は不明になったが、一体それが犯罪であるか、あるいはそうでないか、何もわからないのでありますから、とにかく本人を捜す、見つけるということが前提であります。それは当然その隊自身の責任であり、さらにその隊を指揮する上部部隊といいますか、それの指揮者の責任でなけれけならぬと思います。そして最後には防衛庁自身に報告が来ましたならば、防衛庁もそういう指図は——すなわち捜査の常道を踏んでおらない報告が来たならば、それを踏ませるような処置はしなければならぬと思いますが、いかがなものでございましょう。あなたのお答えが不満足でありましたならば、私はこれを大臣から伺いたいと思います。
  168. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この事件につきましては、その後も引き続き全国の警察にも手配をいたしまして捜索しておわけでありますから、今後におきてしてもただいまお話のような線に沿って、一そうの捜査をいたさなければならぬと考えておるのであります。
  169. 阿部五郎

    阿部委員 どうもお答えは私の問いに対して沿うておりません。この点大臣はいかがにお考えになりますか。
  170. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。本件についてははなはだふびんのことでございましたが、きわめて最近に私のところに報告があったのであります。まことにその点についても遺憾でございます。いろいろ御質問もございまして、まだ十分お答えができなかった点もあるかと思います。私としては自衛隊の規律並びにあらゆる部面において万全を期するように、従来とも非常に熱意を持って参ってきたわけでございます。本件については、今申し上げましたように、十分詳細な事実を私は自分自身で調査し、またその報告を受けることにまだ至っていないのがありのままのことでございます。しかしながら今までの経過から見まして遺憾な点があるように考えます。つきましては、私としましては、この問題については十分徹底的に調査いたしましてその全貌を明らかにし、またその責任のあるところにはそれ相応の責任をただしたい、こう存ずる次第であります。
  171. 阿部五郎

    阿部委員 私のお尋ねしておるのはそういうことではないのであります。しかし事情を十分御承知にならない大臣に、こまかいことを申し上げるのもまことに差し控えるべきと思いますから、一点だけ申し上げますが、私が知りたいのは、こういう事件が起って捜査をしなければならぬ責任が自衛隊にあることは明らかであります。そうしてその捜査をした方法たるや、捜査の常道に反する、常道を逸脱した方法しかとられておらないという報告を受けた、これまでは事実であります。御答弁によってはっきりしております。そういう報告を受けた場合に、その報告を受けた者は当然上司でありますから、その上司たる者は、それに対して常道を踏んだ捜査をなすべしという指導命令をしなければならない、指図をしなければならないと思いますが、どうもそされが行われておらないらしいのであります。それでこうい責任は一体だれにあるのか、こういうことをお尋ねしたいのであります。しかし私は本日ただいまここでその答弁をしろと迫るのではありません。これからお調べになるそうでありますから、よく調べていただきたいと思います。  ただ一つここではっきりさしておきたいのは、今までの御答弁を通じて考えますと、この事件の捜査に当りまして、最初から先見を持って、板東茂男なる本人は、隊外に逃走したるものなり、こういう前提をもって捜査をなさっておるように見受けられます。そのためには千人も動員されたとかいうことであります。ところが先ほど御答弁の一部にもありましたように、本人は逃走すべき何らの理由を持っておりません。貯金を五万円余りも持っており、逃走したといわれる十七日の二日前、十五日には賞与金一万円余りをもらって、その賞与金と貯金の一部を引き出して、一万二千円という金を持って写真機を買うております。そして本人の親にあてた手紙などを見ますと、写真機を買いたいというのは、本人長い間の喝望であった。その喝望を二日前に満たしておるのであります。そして行方不明になったときには、肝心の長い間喝望しておった写真機も衣服も貯金通帳も、すべて残したまま作業衣のまま、こつ然として消えうせておるのであります。こういう事態を直ちに隊外へ逃走したるものなりとして、隊外ばかり捜査しておって、隊内については何らの疑いを持っていないかのごとき感があるのであります。すなわち私がこれを申すのは、隊内で最後に本人を見た人間が三野というのと、ほかに何名かあるのであります。現にあるにもかかわらず、それらの人々についての十分な調査どころか、調査の片鱗も現われていない。すなわち隊内にはおらないのだ、逃げたのだ、こう最初からきめてかかっておるというのがはなはだ不可解千万であります。一体どういうわけでそういう御判断をなさったのであるか。この点どうしても氷解しなければならぬ問題であると思います。これに対して、もしお答えができるならば、この際はっきりとおっしゃっていただきたい。できないとすれば、あえてきょうの答弁は求めませんけれども、十分お調べになった上で事態を明らかにしていただくことを要求いたします。
  172. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいま申し上げましたように、この事実並びにその後の措置等については、十分調査いたしまして、御報告するということにいたしたいと思います。
  173. 阿部五郎

    阿部委員 それでもう一点これに関連した問題があるのであります。——ちょっとこの問題は飛鳥田君に譲ります。
  174. 福永健司

    福永委員長 阿部君の発言を取り消しまして、飛鳥田一雄君に発言を許します。
  175. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは今までのところは一応別として、その後徳島新聞の三十三年三月七日の朝、すなわち朝刊に自殺の新名所という表題で、一つの報道がなされました。その報道によりますと、三好郡奥地、すなわち吉野川の上流三好郡の奥地は大歩危小歩危に続くところであって、自殺をするには格好の場所だ。従って自殺者が絶えない。本年に入ってもすでに五件に上っている、こういうことが書かれ、そしてその五件の自殺者の中に自衛隊員の死体が出てきた、こういった報道がありました。この自衛隊員は、この付近で将校用のテントを張って飯ごう炊さんをして、そしてそこで食事をした後に睡眠薬を飲んで自殺をしたらしい。そしてウイスキーを飲みましたからびんに、手帳を破って、ウイスキーびんにある一万五千七百円は葬式代に使ってほしい、三十二年四月九日と書いてあった、こういう事実が報道せられたのであります。ところがこの事実が報道せられますと、すぐ善通寺の陸上自衛隊第三管区警務隊本部あるいは陸上自衛隊第三三五警務分遣副隊長、こういう方々が見えて、その死体を検視された。しかしこれはすでに長く放置をせられましたために白骨に変っておりますので、何人かは判明できません。にもかかわらずこれば板東君の死体だろう、板東君の死体に違いない、こういうことを言って、父親たちに、これが死体であるからがまんをせいと言って、非常に強制的に圧力を加えそいった、こういう話があるのであります。何がめんどうだものですから簡単に片づけてしまいたい。たまたま自衛隊風の自殺体が現われて、しかもそれが風化されて白骨化されておりますのをいい幸いにしてこれを板東君に仕立てて、そして問題を処理してしまおう、こういうような態度をとっておられるのであります。もし、その隊員の方々の名前を言えとおっしゃるなら全部言います。こういうようなむちゃなことをなすって一体いいものかどうか。この残しておきました遺書にも三十二年四月九日と書いてあるわけです。死のうとする人が、自殺をする人が遺書の日付を偽わるなぞということを考えられるでしょうか。死んでいく人が遺書の日付を偽わるなどということは考えられるはずはありません。板東君が行方不明になりましたのは十二月の十七日であります。遺書は四月の九日であります。これほど歴然たるものを、これが板東君の死体だろう、がまんしなさい、あきさらめなさい、こういうことで済ませようとするその根性が憎らしい。私たちはこう思わざるを得ないのであります。しかも、あげくの果てに土地の警察がこの白骨を、たしか徳島医科大学だったと思いますが、法医学部にお願いをして鑑定をしていただきました。そういたしますと、この白骨は少くとも四カ月以上を経過している、こういうことであります。四ヵ月以上あるいは十カ月を経過しているかもしれない、こういう鑑定だったそうであります。もし、三十三年の二月の二十三日に発見せられた白骨が、少くとも四カ月以上経過しておるものとするならば、十二月十七日に失嫁した板東茂男君であるはずがありません。もし、自衛隊の人の言うように、これが板東君だ、がまんしなさいというのならば、一体自衛隊は幽霊にでも月給を払っておられたのでしょうか。そういう計算にならざるを得ません。こういう態度をとっていいものか悪いものか、一つ長官に伺いたいと思います。
  176. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまの事件は私は全然報告を受けておりません。よく取り調べたいと思います。そういう事実があったとすればこれはまことに許しがたいことだと思いますが、まだ何ら情報の報告を受けておりませんので、一応取り調べてみるということにいたしたいと思います。
  177. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 報告を受けておりませんということで、大事なむすこを入隊させた父親たちが了承できるでしょうか。こんなばかな話はないんだ。しかも現に見も知らぬ他人の白骨を、これがお前さんのせがれなんだ、がまんをしろと言われて、涙をのんで自分のうちに帰ってきた父親が満足するはずがないじゃないですか。十二月十七日に起った事件がまだ長官のところにろくな報告もいっていない。ですから私は最初に伺ったのです。一人の隊員の命ですら大事にするところに自衛隊の統率の本義があるのでしょうと伺ったら、その通りだとおっしゃった。一体長官はおっしゃっていることとやっていることと違うのですか。
  178. 津島壽一

    津島国務大臣 報告がきておらなかったということは事務の上においても非常に申しわけないことでございまして、私は冒頭申し上げましたように、自衛隊員の生命はもちろん人権を尊重していくという念慮に満ちておるのでございます。今の報告がなかったということも、私は申しわけないことだと思います。事実ありのままを申し上げたわけでございます。
  179. 辻政信

    ○辻委員 ただいまの問答を聞いておりまして、一言長官にお伺いしたいことがあります。この事件の根本の原因はどこにあるとお考えになるか。それを承わりたいと思います。
  180. 津島壽一

    津島国務大臣 今の旭川の問題においては、今まで報告を聞きましたところによると、どうも部内の規律に欠けた点があったと思います。ふだんの規律についてはずいぶん厳重な申し渡しをし、これが励行を迫っております。全体としては私は規律が非常に乱れておるとは思いませんが、今の事件に関連しての経過を聞きまして、まことに遺憾な点があったと思います。
  181. 辻政信

    ○辻委員 私は別の感じを持つのであります。戦力の無形的なものは何かと申しますと、これは精神的な団結であります。その団結には上下の関係と左右の関係があります。上下の関係は命令服従というきわめてきびしい、冷たいものであり、左右の関係は戦友愛というきわめてなごやかなあたたかいものである。この二つのものがしつくりしないと、幾ら形だけの重隊を作っても精神的な団結はない。精神的な団締がないところに戦力がわくはずがないと考えるのであります。現在の自衛隊の根本の過失はどこにあるのか。時代の風潮もありましょうが、命令服従の関係という上下の綱がゆるんでおる。それに反して戦友愛という左右の愛情というものはあたたかみが冷却しておる。そこに根本があるのであります。ことにただいまの問答を通じて感ぜられるのは、下士官いわゆる陸曹クラスの隊員に対する指導が欠けていることである。これはこの前の質問のときにもちょっと申し上げましたが、「兵隊サラリーマン」という本がある。これば非常に参考になる本であります。本屋の宣伝をするわけではありませんが、自衛隊の幹部ことに内局におられる方や長官はぜひ一読なさって、率直に赤裸々に書かれた陸上自衛隊の生活記録の中から、大きな教訓を拾い上げていっていただきたい。  二、三の例を御参考に申し上げますと、下士官、昔で言う内務班長の指導力の欠除というものが私はこの事件の最大の原因じゃなかろうかと思う。こういうことがある。いわゆる新兵は前期におきまして集団訓練を受けて後期に各部隊に配属になる。その後期の教育の中で、「隊員として一人前に成る以前の、こうした保護期でこそ、人間的に荒削り状態だった前期基本調練に引続いて、隊員素養指導が強く打ち出されねばならない筈なのに、班長達は、ややもすれば自分の任務多忙や無気力なために、優秀隊員を養成するという光栄ある班長に指名されても、有名無実化する恐れが多分に窺われた。甚だしい班長ともなれば己れの好色に浮身をやっし、われわれの個人指導は、朝晩の清掃状況位に思っているような印象さえ受けた。親元を離れて日浅い多くの新兵を放任状態に晒すような、あまり感心もできない迷指導を行っているようでは、何のための班長なのかも解らなくなってしまう。兵営生活にすっかり馴れ切っしまった頃に起り勝ちな、多種多様な事故も、その時々の圧力や反省では到底消し得ない根強いものとなってしまうであろう、この肝瞥な時期に、そして間もなく旧隊員の仲間入りを認められるであろう、この後期仕上げ教育中に、強力な成長指導の必要性を思わずにはいられなかった。」ここに下士官としての隊員の家庭にまで立ち入ったあたたかい指導が欠けておるのが根本であると思う。  もうえ一つ内務関係で、あなたの方ではときどき内務の点検指導をなさるのですが、その問答が出ております。問答は、防衛意識の高揚とは何か、その次は、貴重品の保管はよいか、ロッカーの錠はかけてあるか、その次は、連隊長の銃率方針を言ってみよ、暗唱しろ、防衛長官の名前はどうだ、これを聞く。次には貴重品袋は持っているか、貯金通帳はあるか、これを聞いておる。その次は、貯金は幾らくらいしたか、中隊内のことで何か不満はないか、こういう問答。これでは一つも身の入った指導ができておりません。お前のうちはどうだ、おかあさんは丈夫か、こう聞くのがほんとうの愛情のある指導なんです。上官の名前とか統率方針とか、かぎはかかっておるかとかこういう問答しかやっておらない。歩哨に立っておるとき——一番大事な弾薬庫の歩哨ですよ、「弾薬庫立哨中大胆にも山と積まれた弾薬箱の蔭で莚を被って眠ってしまったことがある。交代時間が来て、交代係や、上番者が、彼を探し出すまでに一苦労したということであるが、幸い中隊だけの秘密として処理されたので、処罰も食わなかったが、運悪く巡察幹部にでも、見舞われたとしたら、部隊の心臓部たる弾薬庫歩哨であるから、免職さえ考えられる大変な居眠り事件であった。」しかもその半面において家庭にまで立ち入ったあたたかい指導、相談相手というあたたかい面がなくなってしまった。訓練においては徹底的に命令服従の関係を確立するきびしさを持つ反面において戦友愛、内務の指導におけるあたたかい友情を欠いておることが今日この問題を起した根本じゃないか。長いことは申しませんし、答弁は求めませんが、これは決してむだな本じゃありません。一つこれをお読みになって愛情に徹する御指導をやっていただかなければならぬ。根本の欠陥は下士官クラスの無能、無気力、またほんとうに訓練されておらないところにあると思います。その点を御参考までに申し上げたい。
  182. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 話を前に戻しまして、本人が行方不明になり、その後今阿部さんが述べられましたように、隊内には目を放たずに外にばかり捜査を拡げていった。その結果得るところの二、三のものがあった。すなわちそれは板東君の持っておったとおぼしき手帳の端切れ、それが雪中から発見できた、こういうことでありますが、それでは板東君の持っておった手帳の端切れを発見した隊員は何という人でしょうか。そしてそれはいつごろなんでしょうか。同時にその手帳の端切れの存在した場所と、発見いたしましたたき火の場所とはどういう関係に立っておるのか、この点も一つ伺っておきたいと思います。
  183. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 先ほどのお話で、ちょっと申し上げておきますが、隊内は捜索をしなかったというお話が出ましたが、これはもちろん最初に隊内につきましては、隊舎、倉庫、車輌庫、外柵まで捜索はいたしまして、それからさらに外部に及んだ、こういうことでございます。  それからただいまお尋ねの手帳は、十二月十八日の十時三十分ごろ、石狩、川の河畔の納骨堂のありまする東側の川原で火をたいた形跡があり、その近くでこの手帳の一端を発見した、こういうわけであります。
  184. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 何という人が発見したのですか。
  185. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 堀村という三尉の捜索隊が発見したのであります。
  186. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 堀村三尉の捜索隊のだれですか。
  187. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 堀村三尉の指揮する捜索隊が発見したということで、その発見をした現実の隊員の名前は現在ちょっとわかっておりません。
  188. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 なぜこんなに私がしつこくそのことを伺うのかと申しますと、隊から父親のところに手帳の紙片をまるめて突っ込んであった場所、こういうことで写真を送って下さったわけです。これは隊でとって送ってくれた写真だろうと思います。ところがその写真を見ますと、なるほど今川原とおっしゃったが、見渡す限りの雪野原であります。その雪野原の中に、手帳をまるめますと、こんなに小さくなってしまう。ほんとうにたばこ一本よりも短かい小さなものがまるめて突つ込んであった。手帳は白です。一体発見できるのだろうか、それは偶然ということもありますからできないとは言いません。しかし少くとも常識をもってはうなづくことのできない場所です。写真はあなたの方にもおありでしょうから、一つ参照してみていただきたいと思います。と同時にその発見をいたしました手帳の切れっ端、その切れっ端の写真も送って下さいました。この写真を見ますと、まるめて突っ込であったと思われるような紙片ではありません。もうほんとうにぼろぼろでまるめることのできないものです。筒のようにはまるめることのできないものです。かりに紙玉のようにくるくるにして捨ててあったのなら当然雪によって——なるほど北海道の雪はこちらの雪とは違いますが、しかしぬれておらなければなりません。ところがどう詳細にこの写真を見てみましても、この写真は比較的よくできておりますが、ぬれた形跡はありません。こうなって参りますと、これはにせの証拠を作られたのではないだろうか、こう疑わざるを得ないわけです。父親も非常に心配したそうでありますので、近所の某警察官を退職なさった方にこれを見せて鑑定的な依頼をなすったそうです。ところがその元警察官も、とうていこれはわれわれの何十年間の経験からしてもあり得べからざることだとしか思えない、何か隠されておる、この点をよく調べてもらいなさいということを言ったそうであります。これは別にその言葉に私たちはこだわるわけではありませんが、何かこの証拠は作られたものという印象が非常に強いのです。捨てられておった手帳というのを一つ見ていただきましょう。あなたのところにも写真があるはずです。ここには氏名というところに板東茂男、認識番号表というところに三二二〇六五、こういうふうに自筆でもって書き入れてあります。もし雪の中に捨てたものならば、この写真からはわかりませんが、少くとも万年筆でインクで書かれたものと思われますから、当然この字はにじんでいなければならない。ところが何ら水分に当った形跡がないのであります。もしそうだとすれば、この証拠は隊内に板東君の一切のものが置いてありますから、その隊内に置いてあった板東君の手帳の中から一、二片を破り取って持って行って、故意にその川原で発見したかのごとくよそおって、そうして同人が隊内を離脱して行ったという裏づけにしたのではないかとしか私たちには思えないのです。あなたはそうした捜査の方面には御経験があり、エキスパートだと思いますので、僕の申し上げたことにそう異論はなかろうと思います。そういう意味で私はこの紙片を発見した人がだれかということを知りたいのです。  さらについでに申しますが、たき火の写真も父親のところに送って下さいました。非常に御親切です。これはまだ写真代を払ったかどうか私は知りませんけれども、多分そのうちに取られるのだろうと思います。しかしともかく御親切に送って下さいました。ところがこの写真から見ても、このたき火の形跡は非常に怪しい、こう言わざるを得ないのです。どうぞその方面のエキスパートにこのたき火の写真を見せていただきたいと思います。至急だれが発見をしたものなのか、こういうことを一つお知らせをいただきたいのと同時に、この手帳の他の部分であるものが一体どこに残されておるか、こういうことも一つ教えていただきたいと思います。
  189. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 この手帳の破られた紙片につきまして、非常に鑑識的なお話がございましたが、北海道の積雪からしてこれが翌朝の十時三十分に発見されているわけですが、果してぬれるものであるか、ぬれないものであるか、あるいはぬれて字がにじむものであるかどうかは、よほど鑑識的な観察をしてみなければ、わからない問題ではないかと思います。お尋ねの、捜査隊員のうちのだれが発見したかにつきましては、よく調査した上で申し上げたいと思います。
  190. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今も、その写真を、うしろにすわっておられる自民党の議員諸君にもお見せしたのですが、みな、おかしいなと、異口同音に言われるわけです。確かに常識をもってすればおかしいわけです。どうもこの事件は、初めからおしまいまで、あなた方は稀有の事件だと言う、めずらしい事件だと言う。われわれに言わせれば、初めからおしまいまでなぞに包まれて、理解しがたいことが満載せられた事件だといわなければならない。そういう点でもっと正確な御報告をいただきたい、こう思うわけです。そこで、そういう御報告を委員会にいつまでにいただけるものか、これを一つ伺いたいと思います。
  191. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 なお足りないところにつきましては、早急に電話その他の方法で照会いたしまして、一応その判明したところで、さらに明日申し上げたいと思います。
  192. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 明日その話を伺って、さらに私の質問を続けたいと思います。  そこで、今長官もお認めになって、どうもこの隊の規律は乱れておる、こういうことを言っておられる。ところが、その乱れている隊が、訓練だけは実にすごくやっているのです。規律はいいかげんにしておいて、辻さんの言われる愛情という点はほっぽらかしにしておいて、まるで死の行軍以上のことを平然としてやっているという事実があるわけです。こういうことは一体どういうことなのか。まず、本人の父親のところによこしました手紙を、二、三読み上げてみますから、一つよく聞いてみていただきたいと思います。「バラ、カヤ、石、昼の二時三時に石の上にねて顔を石の上につけてはあっちこっちころび、又前に歩み顔を石に付けて居る時に動くと大きな竹等でピシピシ!想像も付きません。走ってはころびころびこれまで厳しい訓練とは十人が十人皆言って居ります。前日も訓練がたえられなく三人帰りましたよ、」こう書いてあります。さらに違う手紙によりますと、「中隊のお知らせも今も一月十二月と続いて、次から次から退職して帰り一〇〇人以上いたのが今は三〇人程しかいないです、」「入隊人員も多いが退職人員も多いです、」こう言っております。さらに別の手紙によりますと、「自衛隊は何時も締め付けられ自由には成りません、先日新聞ラジオでも聞いたと思うが広島の「死の行軍」事件で世の人達は大分驚いて居ることでしよう、ニュース本にまで自衛隊の記事を見ます、自分達も死とは行かないがこれ以上と言う所までは毎日の日課です、今頃は年次監査でここ三日間は夜眼る事も出来ないです」こういうことを再々、手紙のたんびに送ってきている。こういう点を見ますと、この隊のやり方というものがわかってくるわけです。失踪した隊員については、もう剣もほろろな態度をとり、あげくの果ては電報料をよこせなどといっておいて、そうして片一方の訓練の方だけは、死の行軍以上だ、この本人が言うようなことまでやっている。百人入隊したものが三十人になっちゃった、こう言っておるのであります。まさかうそは書いておりますまい。片っ方ででたらめなことをやり、片っ方でこのようなことをやって隊員を締めつけている。これが一体、先ほど長官の言われた、愛情のある自衛隊統率であるのか、私はそれをちょっと伺いたいと思います。議会で、事答弁なさるときには答弁なさっておいて、違うことばかしやっている。こういうことでは何にもならないわけです。一体議会の答弁と現実に行うところが一致していなければ、私たちが何をたくさん述べようと、そんなものはから回りするだけだ。私たちは単なるピエロにしかすぎません。単にお言葉だけでなしに、一体こういうものについてどうお考えになるか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  193. 津島壽一

    津島国務大臣 訓練の程度、これは十分適正であり、かつて起ったような事件のないことを、私は常に注意もしておるわけでございます。今御指摘のような事実がどういうような程度であったか、こういったことについても十分調査いたしたいと思っております。今日までの訓練の過程においては、ある面からは非常になまぬるいというような御批判も出ておるように承わっております。また、ある部隊においてはもっとひどいものになっておるという事実も、あるかもわかりません。これらについては、各部隊について、十分実情を調査いたしまして、すべて隊員が気持よく、心から訓練なり教科を受けていくということでなければならぬということを、私は常に感じておる次第でございます。今の点について、どういった程度のものであるかを十分調査いたします。
  194. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今の、手紙を読みましたのでもおわかりをいただけますように、これはちょうどこの国会で、私たちが死の行進などということで騒いでいる最中の手紙であります。死の行進などといって、その問題について、自衛隊の方々がみんな遺憾の意を表せられて、今後はこういうことのないように、こういうことをみな言われたわけです。そういうことをおっしゃりながら、実はもう他の一部、北海道ではそういうことが平然と行われている。これじゃ何もならないでしょう。そういう時期と幾らか時期が前後しているとでもいうならば、主だ私たちは話がわかります。ところが、死の行進で国会が大瞬ぎをしている最中に、死の行進以上です、と兵隊に手紙を書かせるような訓練が、正平然と行われている。これじゃ何もならぬでしょう。また、あなた、今、そうおっしゃった。おっしゃったけれども、日本の至るところの部分で、あなたのお言葉に反する事実がどしどし出ている。もしそうだとすれば、それはどうなるのでしょう。
  195. 津島壽一

    津島国務大臣 今のような過激な訓練というような事実があるかどうか、これは各部隊の実情ということに関連する問題であります。これは十分調査いたしたいと思います。
  196. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは旭川の問題は皆さん方の御返答を伺ってまた質問を続けさせていただくといたしまして、旭川の問題から離れて二、三の問題を伺ってみたいと思います。  まず第一に、日本の周辺におけるGMの基地あるいは航空機などの配備の状況について御説明をいただきたいと思います。
  197. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 日本の周辺におけるGM並びに航空機の基地についてのお尋ねでございまするが、御承知のごとくこういうような種類の事柄につきましては各国とも非常に秘密にしておりまするので、私どもといたしましてはその調査には苦慮いたしておるわけでございます。GMの基地につきましても、極東方面にもあるやの情報もございまするけれども、私どもの調査の段階におきましては、いまだこれを確認する段階までは参っておりません。飛行機の基地につきましては、日本国内事情は大体御承知であろうと思いまするが、朝鮮から大陸にかけまして、私どもの判断ではジェットの飛べる基地が約三百くらいあるというふうに考えております。
  198. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 およそ戦うには敵を知りおのれを知るということが重要だと思います。ところがそれにもかかわらずGMの基地について何ら具体的な情報を持っておられないということで、一体それではそれに対応する日本の軍備をどうするかなどということはとうてい語り得ないのではなかろうか。もしそういうものを全然相手にしない、自分たちだけどんどんやっていくのだということでありますならば、これは非常に誤まって考え方であろう、こう私は思います。GMの基地があるかないか、そういうことの調査をすることについてどういうふうに努力をなすっていらっしゃるか、その努力の模様を具体的に一つお聞かせをいただきたいと思います。
  199. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 私どもが日本の防衛を考えます際におきまして、今お話しのごとく、相手と申しては語弊がございますけれども、周辺諸国の軍備の状況につきまして的確なる知識を得ることは当然必要でございます。しかしながら知りたいという希望と知れるという事実とは必ずしも一致をしないのでございます。私どもが現在やっておりまする調査もまだ十分ではございません。何とかしてもう少しこういうふうな周辺諸国における軍の配備その他のことにつきまして、より的確なる資料を得たいということにつきまして、いろいろ苦心はしておるわけでございます。いかにしてこういうふうな資料の収集に努めておるかという話になりますると、公刊の資料その他を万全に利用いたしておりますることは当然でございますが、それ以外の事項につきましては説明を省略させていただきたいと思います。
  200. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 説明を省略させていただきますとおっしゃるのですが、そこが伺いたいわけです。なぜそれでは説明を省略させていただきたいのか、それを聞かして下さい。
  201. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 こういう事柄は、どういう方法でいかにして集めておるかということを公けにいたしまするとその次からその情報源は利用できなくなることは御理解願えると思います。そういう意味におきまして説明をいたしかねるということでございます。
  202. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今わかっております程度でGMの基地の状況を聞かして下さい。
  203. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 先ほど申し上げましたごとく、一部の情報によりますと、極東方面にもGMの基地があるやにも聞いておるのでございますが、しかしそれは私の方ではまだ確度の低い情報であるというように認めております。
  204. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういたしますと、日本のあなた方の防衛というものはその確度の低いGMの基地に対する情報というものは無視して組み立てられておられるのかどうか。
  205. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 現在の日本の防衛力整備計画は、これはたびたび大臣等からも御説明いたしましたので御了承願っておると思いますが、わが国に対する他よりの侵略を容易に企図し得ない体制に置きたいというのが、これはもちろん侵略の程度によりまして米軍の援助を受けなければなりませんけれども、そういうことを一応のねらいとして防衛力整備計画を進めておるのでございます。GMの基地につきましても私どもは非常に関心を持っておりますので、今のままでよろしいというふうには考えておりません。さらに調査を続けそのときどきの資料に基きまして、わが国の防衛体制につきまして、そのときに応じ有効適切なる手段を講じていくようにしたい、かように考えております。
  206. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 少くとも世界はGMすなわちミサイルの時代に入った、こういうふうにいわれておるわけです。また当然そのことに従ってGM時代に入った以上は自衛隊もまた質的な強化をはからなければならない、こういうことをたしか長官は言われたと思います。期そういたしますと、その質的強化というものは全然相手方と無関係考えられているのか、同時にまた具体的にいえば、その質的強化というのは何をさすのか、こういうことを一つ関連して伺いたいと思います。
  207. 津島壽一

    津島国務大臣 防衛の具体的な観念は、わが国力に応じて自国を守る体制を固めていくこと、その方法としては一定の数量、たとえば艦舶その他について適当と認める数量を根幹として作ろう、しかしてその装備の関係は科学の進歩等に応じてこれを改善刷新していこう、こういう方針でございます。具体的なことは申しませんが、ただこの間にあって核装備ということはやらない、しかしながら高次的な近代の兵器、質的の強化という目的に沿うものについては極力その方に方向を進めていこう、これで最善を尽そう、こういうふうなのがわが国の国防の方針になっておるわけでございます。ただそれによってわが国の防衛が完全にできるかという問題になるといろいろそこに問題がございましょう。そこにわれわれは集団安全保障また日米安全保障というものがある、こういう次第でございます。
  208. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 わかったようなわからないような御答弁なんですが、質的な強化というものは具体的に何をさすのかというふうに伺ったつもりなんですが一般論をもってお答えになる。こんなことをやっておってはいつまでたってもきりがありませんから、それじゃ伺いますが、誘導弾の研究などというものも質的強化の一つですか。
  209. 津島壽一

    津島国務大臣 研究開発をし、また装備をするということであればこれは質的強化の一つであると思います。
  210. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ところが質的強化を急ぐということを言っておられながら、現実には政府の誘導弾と研究などというものは非常に一貫性を欠いておるのではないか、こんなふうに僕らは思うわけです。と申しますのは、初めにスイスのエリコン社のものを買う、続いてイタリアのスタッキーニ社のものをこ買う、今度はイギリスのフェアリー社のものを買う、こういうふうに年次ごとに姿を変えていろいろなものを購入せられる、こういう形をおとりになっておられるわけです。もちろん体系的である必要はありません。こちらの頭が体系的であれば、各社のものをお買いになって、これを比較研究なさることはけっこうです。しかし、スイスのエリコン社のものも、イタリアのスタッキーニ社のものも、イギリスのフェアリー社のものも、買付だけは約束したけれども、現実には品物が一つも来てないじゃないですか。一つも品物が来てないで研究もへったくれもありはしない。何かそこに研究についても一貫性を欠いているものがあるのじゃなかろうか。かけ声だけで現実には、一つもスタートしていない。こう私たちは思うのですが、どうですか。
  211. 津島壽一

    津島国務大臣 誘導弾兵器の研究はいろんな方面からなされるべきものでありまして、エリコンについても地対空としてこの研究の目的をもって購入いたして、わります。ただ途中においてだんだん改善を加えつつあるために、本邦に対する輸送がおくれておるという状況でございまして、これを捨てるとか何とかいうことではございません。その他のものについても種類が非常に多いものでございますから、必ずしも一貫性がないという趣旨ではないのであります。なお技術研究所自身においても、こういった部面の自分の研究試作というものをいたしておるわけでございます。それらができていろいろな角度から基礎的とかまた実験的の研究によって初めて効果を表わすものでありまして、ミサイル研究はただ一本やりで済ますべき問題でないという見地から、いろいろな研究をやらしておる、こういう次第でございます。
  212. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 いろいろな研究をやらしておるとおっしゃるのですが、一体エリコン社に注文なさったのはいつですか。
  213. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 お答えいたします。エリコンの誘導弾の契約をいたしましたのは三十一年の十月二十日でございます。
  214. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 納入の期日の約束は。
  215. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 納入の期日は、契約当時は三十二年の十月になっておりましたが、その後延びまして、現在のところは四月十二日前後という約束でございます。
  216. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 三十一年の十月二十日に注文して、三十二年の十月には納入されなければならない。それが一年近くもおくれてまだ納入されておらないわけです。それではイタリアのスタッキー二社の品物を注文したのはいつで、納入の期日はいつの約束ですか。
  217. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 スタッキーニ社のアイローネは、契約いたしましたのが三十年三月二十九日でございます。この納期はことしの三月十五日になっておりますが、これも少しおくれまして、大体今月一ぱいにはナポリで積むことになっております。
  218. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 少しおくれまして今月一ぱいには入るとおっしゃるのですが、ほんとうに入りますか。私たちがいろいろなもので読んだ範囲では、今月どころか少くとも相当おくれるのじゃなかろうか、こう思われるのですがどうでしょうか。
  219. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 エリコンの方は初めの予定納期に比べまして相当おくれました。これはエリコンがこれを作りますについて、部品その他をほかの国あたりに発注しておった。それがスエズ問題その他で、その部品が円滑に入手できなかったというような関係、それとかぜ——アジアかぜといわれておりますが、これで技術者が休んだということを言っております。スタッキーニの方は、当初の予定よりも少しおくれるわけでありますが、この方は大体確実に来ると思っております。
  220. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 少しという言葉はどのくらいですか。一週間か十日くらいですか。
  221. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 先ほど申しましたように、契約上は三月十五日になっておりましたのが、今月一ぱいには大体積み込める、そういう意味のことでございます。
  222. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ある出版物によりますと、こう書いてある。「イタリアのスタッキーニ社から六日、防衛庁についた書かんによると同社が防衛庁より昨年受注した空対空ロケット弾のナポリ港船づみは年初予定された三月十六日より再び遅延、二ヵ月の遅れをみせることとなったもようである。このため、三月末には領収出来ることとなっていたアイローネは二度の遅延で七月中旬と約四カ月の遅れをみせることとなったわけであるが、同社はこの理由をストライキによるものとしている。」こういうことを書いておりますが、一体こういう注文したものの入手がおくれる、四カ月も六カ月もあるいはひどいものになると一年近くおくれていくとすれば、研究はもっともっとおくれていくのじゃないでしょうか。そうしてこれを受け取ったころには、もうそういうものが一番古いものになっていく、こういう可能性さえあるのではなかろうかと私は思うのであります。一体こういうことについて、防衛庁は注文のしっぱなし——びしびし督促して予定通り納入してもらい、それによる研究を進めるという情熱を持っているのですか、いないのですか。
  223. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 もちろんこれを調達いたします調達実施本部は、契約の条項に基いて納入を確実にやってくれということをしょっちゅう催促いたしております。それから調達を要求する方の技術研究所も一日千秋の思いで待っておるわけであります。ただいまお読みになりましたアイローネの場合は、私の聞いておる話では三月末までにはナポリを積み出されるということは確実でございます。
  224. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういうルーズな態度がいろいろなところに派生していくのではなかろうか。たとえばあなた方はGM研究計画というものを持っていらっしゃるそうです。この際、そのGM研究計画というものもお示し願いたいと思いますが、しかしこのGM研究計画も、今のような注文品の非常なる遅延によって一年も二年もズレていくのではなかろうか、こういうふうに私たちは思うわけです。少くとも国民の税金を相当高価に使い果していくものでありますので、こういうようなルーズなやり方が許されるかどうか、私たちははなはだ疑問に思っております。  ついでのことに伺っておきますが、サイドワインダーの購入についてもそういうルーズさがあるのではなかろうか。と申しますのは、サイドワインダーは一発四千ドルくらいする、こう予算の関係から見ますと思われるわけです。ところが同種類のイギリスのファイア・ストリークを見ますと、一発千ドルくらいのように私たちには思えるわけです。サィドワインダーとファイア・ストリークの間に性能の差がそうあるとは思えない。むしろあるとすれば、ファイア・ストリークの方がすぐれているのじゃないかとさえ思われるのであります。現にF104にはサイドワインダーがついておるし、F100にはファイア・ストリークがついておる、こういう関係でありまして、その間に上下の差があるはずがないと私は思うのです。ところが千ドルのものを買わないで、わざわざ四千ドルのものを買っている。こういうやり方を見ておりますと、ここにも今申し上げた誘導弾研究におけるルーズさ、のろさ、そういうものの根底にひそんでいる気持が現われているんじゃなかろうか、こう考えるわけです。双方について一つ答弁をいただきたいと思います。
  225. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 サイドワインダーは、予算にも出ておりますが、一発四千ドル見当であります。円にしまして約百四十万円程度であります。ファイア・ストリークは、これは方式は多少違いますが、性能的にもサイドワインダーよりは進んでいるとイギリス側は言うのでございますが、私どもの調査では、なお先方の会社で言っておりますところによりますと、一発一千万円程度でありまして、相当ファイア・ストリークの方が高いわけであります。
  226. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 GM研究計画はどうですか。
  227. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 GM研究計画と申しますのは、実は技術研究所が、GMを今後開発していきますについて、自分の希望といいますか、こういう段取りでこうやっていきたいということを見当をつけたものはございます。ございますが、これは庁議その他で正式に決定したものではございませんし、またこの研究所の方の要望に比較しまして、予算その他で毎年締められていくような関係でありまして、防衛庁としてきまった研究計画というものはまだ持っておらないのであります。
  228. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは次に、米国政府はつい先般クレジット・セール計画というものを発表し、これが日本に適用せられるものは約五千万ドルだろう、こういわれておりますが、日本防衛庁はこのクレジット・セール計画についてどう考えておられるのか、あるいはこのクレジット・セール計画に応じていかれるつもりなのか、あるいはもうすでに応じて申し込みをせられたのか、このことについて教えていただきたいと思います。
  229. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 今申されましたクレジット・セールでございますか、その計画は実はちょっとどういうことか私もわからないのであります。ただ有償援助をいろいろやっておりますが、そのときに有償援助のやり方にいろいろございまして、その中に委託買付をしてもらうという制度がございまして、これをある程度利用しておりますが、新しく何十万ドルでそういう計画があって、それがどう具体化しているか、またどういう計画をこちらが考えておるかということは、具体的にはなっておりません。
  230. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 御存じないとおっしゃるのですが、米国の五八会計年度において一億七千五百万ドルを設定して、この予算を基金として、長期借款方式によって、被援助国に対し、航空機、誘導弾、地上兵器などの完成兵器装備を売却する、こういうことはあなただって御存じだろうと思うわけです。これはもちろん今までの有償援助方式と異なるものだということも御存じだと思うのです。御存じないんですか。
  231. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 その計画は日本で利用しておりませんし、利用よる計画は具体的にはございません。
  232. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ところがこのクレジット・セール計画に関して米議会歳出委員会の公聴会において、日本関係について議論をされているわけです。その要旨はこういうことが述べられております。「問 日本はクレジット・セール計画に参加して航空機、兵器を購入することを考えているのか。答 ぞうです。問 クレジット・セールのため一億七千五百万ドルの予算のうち、日本はどのくらい購入する予定であるか。答 現在確かな数字を持っていない。しかし私は日本が防衛に対し寄与する努力を増加することに関し別の要因を明らかにしたいと思うし」云々、こう言っております。「問 クレジット・セール制度がどのくらいとなるかわからないか。答 わからない。」こういうふうに言っておるわけです。少くともアメリカの議会の中で、「日本はクレジット・セール計画に参加して航空機、兵器を購入することとを考えているのか。答そうです。」というふうに、アメリカ政府が答えている。もしそうだとすれば、アメリカ政府は全然日本政府と連絡なしにこういうことを答えているとしか思えないのですが、そんなことは私は少くともないと思う何らかのお話し合いがそこにあったと考えざるを得ないえんですが、どうでしょう。
  233. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 有償援助のやり方は、事前にオファーを出しまして、向うが承知すれば事前に払うのが原則であります。それからあと払いの方法委託買付の方法、クレジット買付の方法といろいろございます。その方法が言われた金額のものだろうと思います。ただ従来も日本はまだ具体的に使ったことはございませんし、また今のところ具体的に使う計画を持っておりません。
  234. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうすると、今の防衛庁は米国の五八会計年度に計画せられておるクレジット・セール計画というものに参画をする意思はない、こう伺っておいていいわけですか。
  235. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 五八会計年度にはおそらくもう間に合わないし、ないと思います。従来、現在までに大体有償援助でやっておりますものは、大体航空機の部品とか、部品関係が多いわけであります。これはずっと兵器にまとまったもののよりにそういう制度が活用するほどのものじゃないというのが大部分でございます。来会計年度以後はそのつど相談いたしまして、必要があればそれに乗っけていくこともあるかと思います。
  236. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 防空装備委員会というのはどういう委員会ですか。
  237. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 防空装備委員会は、昨年の十月に長官の訓令によりまして設けられた委員会でありまして、その目的は、防空に関する装備体系の調査、研究の調整、促進その他防空に関する装備体系一般について審議するものということでございます。そのメンバーは、事務次官が委員長でございまして、官房長、防衛、経理、装備局長技術開発担当の参事官、統合幕僚会議議長、陸、海、空の各幕僚長、技術研究所長が、委員会委員になっております。そのもとに、委員のそれぞれの所属に属しますところから幹事を出しまして、開設以来、私の記憶では十回に近く集まりまして、今申しました防空装備委員会の目的に基きまして検討を重ねて参っておる状況でございます。
  238. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これは新鋭兵器の機種決定などにも関係がありますか。
  239. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 ただいま申し上げましたごとく、わが国の防空装備をどうするかという大きな目的を持って検討しておるのでございまして、もちろん飛行機技術研究所で研究をいたしております地対空のGM、それから高射砲及びレーダー、こういうふうなものを組み合せまして、どういうふうにすればわが国の防空が最も効果的にできるかということを研究するものであります。従いまして飛行機の問題ももちろんその一部に入るわけでございますけれども、ただいま防空装備委員会において直接に86Fに続く次の迎撃機の検討をいたしておるということはございません。
  240. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういう検討をするのはどういう機関でやるのですか。F86Fに続くわが国の迎撃機の決定につきましては、主として航空幕僚監部及び内局の防衛局、装備高等が中心になりまして検討を続けて参っております。
  241. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 すでに機種決定をせられましたか。
  242. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 まだ決定になっておりません。
  243. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 この前たしか防衛庁長官がその問題に言及をされて、タイガーにきめたというようなことを御発言になったように思いますが、それはうそですか。
  244. 津島壽一

    津島国務大臣 新機種については、どれにきめたということは私はまだ申し上げておりません。
  245. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 まああまり時間がおそくなって皆さんにお気の毒ですから、たくさん伺うことはありますが、最後に将来誘導弾部隊などというものが、当然高射砲部隊にかわってできると思いますが、これの所管は、もしできるとすればどこに入るものか。すでにもう防衛庁の内部では相当空幕と陸幕の間で御討論のようですが、どこに入るものか、一つ長官から伺わしていただきたいと思います。
  246. 津島壽一

    津島国務大臣 長官としてはその話なり、そういったことが計画されておるということは、承知いたしておりません。従ってどういうことになりますか、またはその配備をどうするかということは、今日申し上げる段階ではございません。
  247. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 まだほかに実は飛行機のことについてたくさん伺いたい点があるのですが、もうきょうはこれでやめます。
  248. 福永健司

    福永委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会