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1958-03-20 第28回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 相川 勝六君 理事 高橋  等君    理事 保科善四郎君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    小金 義照君       田村  元君    永山 忠則君       船田  中君    眞崎 勝次君       稻村 隆一君    中村 高一君       長谷川 保君  出席国務大臣         国 務 大 臣 津島 壽一君  出席政府委員         国防会議事務局         長       廣岡 謙二君         調達庁長官   上村健太郎君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     柏原益太郎君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         外務政務次官  松本 瀧藏君         外務事務官         (大臣官房長) 田付 景一君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         農林政務次官  瀬戸山三男君         水産庁長官   奥原日出男君  委員外出席者         専  門  員 安部 三郎君     ――――――――――――― 三月十九日  委員赤路友藏辞任につき、その補欠として稻  村隆一君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として長  谷川保君が議長指名委員に選任された。 同日  委員長谷川保辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十九日  農林省定員外職員全員定員化に関する請願(  伊藤郷一君紹介)(第二〇三九号)  同(松田鐵藏紹介)(第二〇四〇号)  同(中曽根康弘紹介)(第二〇四一号)  同(片島港君紹介)(第二〇五九号)  同(橋本龍伍紹介)(第二一〇六号)  同外六件(内藤友明紹介)(第二一〇七号)  同(足鹿覺紹介)(第二一三五号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(中  曽根康弘紹介)(第二〇四二号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二一〇一号)  同(渡海元三郎紹介)(第二一三八号)  元満鉄社員恩給法等適用に関する請願(石坂  繁君紹介)(第二〇四三号)  同(内藤友明紹介)(第二一〇四号)  同(杉山元治郎紹介)(第二一〇五号)  同(池田清志紹介)(第二一三六号)  暫定手当の不均衡是正等に関する請願永田亮  一君紹介)(第二〇四四号)  同(今井耕紹介)(第二一〇二号)  建設省定員外職員身分保障等に関する請願(  竹谷源太郎紹介)(第二〇六〇号)  同(森本靖紹介)(第二〇六一号)  同(足鹿覺紹介)(第二一三四号)  建設省北上川下流工事事務所臨時職員身分保  障に関する請願日野吉夫紹介)(第二〇六  二号)  同(保科善四郎紹介)(第二一〇九号)  恩給法等の一部を改正する法律案中一部修正に  関する請願帆足計紹介)(第二〇六三号)  同(松尾トシ子紹介)(第二〇六四号)  同(中馬辰猪紹介)(第二一〇三号)  同(千葉三郎紹介)(第二一三七号)  建設省湯田ダム工事事務所臨時職員身分保障  に関する請願保科善四郎紹介)(第二一〇  八号)  建設省出雲工事事務所臨時職員身分保障に関  する請願山本利壽紹介)(第二一一〇号)  同(足鹿覺紹介)(第二一三三号)  建国記念日制定反対に関する請願岡本隆一君  紹介)(第二一七七号)  同(加賀田進紹介)(第二一七八号)  同外七十五件(門司亮紹介)(第二一七九  号)  同(柳田秀一紹介)(第二一八〇号)  行政府の官僚体系是正及び科学的技術行政の確  立に関する請願受田新吉紹介)(第二一八  一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第二十六回国会閣法第一五五号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  三三号)  国防会議構成等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第四二号)  漁業制度調査会設置法案内閣提出第六六号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第七五号)      ――――◇―――――
  2. 福永健司

    福永委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案国防会議構成等に関する法律の一部を改正する法律案、及び第二十六回国会よりの継続審査になっております防衛庁設置法の一部を改正する法律案、以上各案を議題とし、質疑を続行いたします。長谷川保君。
  3. 長谷川保

    長谷川(保)委員 日本国憲法においては、民主主義の原則にのっとって、基本的人権を尊重することを根本方針としていることは御承知通りであります。従って憲法第十三条にも、国政の上でも、立法の面でも、生命あるいは幸福追求に対する国民の権利については、最大に尊重するというふうに規定されておるのでありますけれども、どうも防衛庁自衛隊運営に当っては、必ずしもさように考えられないものがあるのであります。この際、長官自衛隊運営根本方針一つ承わりたい。
  4. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。自衛隊各隊の運営の全体を通じまして、御指摘のように人権を尊重し、憲法の趣旨に沿って運営していくということは、むしろ当然のことだと思います。ある面においては新しい飛行機等のためにその対策等が十分でない部面もあるかと思いますが、精神においてこれによって一般人権を尊重しないというような事実は起らぬように、最善注意を払っておるわけでございます。
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 たとえば浜松航空自衛隊で最近墜落いたしましたジェット機空中分解、また二、三カ月前に墜落いたしました飛行機は爆発だということであります。そういうようなことで、さきに墜落いたしました機体の死体もまだ全然手がかりがないというような事態のさ中において、また空中分解機体生命も失うというような事態であります。もうすでにこういうようなたぐいの事故が数個にわたっておることは皆さん御承知通りであります。どうもそこに何か無理があるということを考えるわけであります。本委員会におきましても、以前にもそういう問題を取り上げたということを承知しておるのでありますが、今日依然としてそういう無理があるのじゃないかというように思われるのでありますが、これらについてどう思われますか。
  6. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘浜松方面におけるF86Fの飛行機事故、これは最近のは三月十三日であったと報告がございます。航空事故は非常に遺憾なことでございまして、極力その事故防止に対して努力して参っております。昨年夏から今日までに起った飛行機事故に対して根本的、徹底的な調査をいたし、その原因を究明しまして、その対策を講ずるということにいたしました。私は就任後でございましたが、これは重大な政策に力を集中すべきだといったような考え方から、三十二年度の既定の予算の中でも航空事故防止対策のために、現年度特に約六億数千万円の経費航空事故防止対策のためにあてがいました。それから三十三年度においては航空事故防止対策、これは即防空力の増強という意味でありますから、重点的に経費を計上するという方針を立てまして、三十三年度においては直接の経費、また間接費を合せまして、三十六億円ばかり計上願ったわけです。現年度においては、お説のように昨年たびたび事故がございまして、自来そういった対策が効果を奏したとは端的に申し上げられませんが、昨年の暮れから最近の三月十三日までには実は一回もジェット機事故がなかったわけでございます。しかるに三月十三日に本年に入りましては初めてこの事故を見たわけでございます。この事故はいわゆる空中分解という言葉で表現されておりまするが、翼が機体から離れたということで、おそらくこれは絶対に避けられなかったとは思いまするが、はなはだ遺憾な事故であったと思います。しかして大体浜松天竜川河口十七マイル沖にこれが落ちたということは、目撃者報告によって確かでございまして、自来関係方面の協力を得まして、その機体の所在については墜落した海底でございますが、それの捜査に非常に努力いたして今日まで至っております。残念ながらまだそれを発見いたしておりません。その地帯と申しますか、海底は非常に深い水深のところでございまして、捜査にも非常な困難を感じておるということでございます。お説のように、これらの点についてはさらに一そう努力して、その原因がどうであるかということを調査することも、今後の対策上必要だろうと思っておる次第でございます。御承知のように、ジェット機の操作というものは非常に困難が伴いまして、諸外国においても相当の事故があるわけでございます。わが方といたしましては、先ほど言いましたように、この事故防止最善を尽そうという方針が確立され、来年度予算にもそういった多額経費を見積もっておる、こういう次第でございまして、犠牲者に対してはまことに私は同情の念にたえない次第でございます。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 たびたびの事故現地におきましては、伝えられるところによりますと、先ごろはもう乗ることを拒否するといって、別のわかりやすい言葉で言えばストライキが起って大騒ぎだということが現地で言われておる。その実態については私は詳細に存じませんが、伝えられるところによればそういうわけである。またあの事故で次々に官舎があいてしまうので、奥さんたちはノイローゼになっておるというような事態があるわけです。今お話通りに、そういうようなことから先ごろから飛ばすことをやめまして、整備に努力したということからしばらく事故がが起った。およそ機体が爆発してしまってもうどうにもならぬというようなこと、空中分解をしてしまうというような事故がたびたび起るということは、何と申しましてもそこに何か非常に無理がある。これは機体がすでに古いといったようなことであるか、あるいは機体そのものの構造に無理があるか、あるいは燃料とか操縦それ自体に無理があるか、とにかく何か非常な無理があると思う。だからこういう点で十分調べる必要があると思う。今日までそういうものを調査した結果がありましょうか。
  8. 津島壽一

    津島国務大臣 今月のこの事故については、ただいま申し上げましたように、その原因を確かめるのに、その機体の発見がまだわかりません。単座で一人で乗っておったものでございまして、それが犠牲者となったというわけでございます。過去においては、すべての事故を通じまして綿密なる原因調査をいたしまして、大体百数件について調査した結果は、故障の大体四割三、四分くらいは離着陸の場合に起った事故でございます。それからもう一つは、機械の整備が不完全であったためにそういった故障があったというのが全体の数のおそらく五、六%であった、その他滑走路関係が狭かったというような場合もございます。これらを全部調べましてそれに対する対策を講じたのが、先ほど申しました三十二年の夏以来今日にわたってやってきたところでございます。飛行機自体が、F86がそういったような非常に事故を起しやすいものであるかということは、私はそう考えておりません。これは諸外国も使っているわけでございます。しかし何分にもこのジェットの操縦というものは、この戦闘機単座であって、よほど訓練いたした者でないと操縦に困難を感ずるということは、ただいま申し上げまた離着陸の際の事故が非常に多いということによっても証明できることでございまして、隊員訓練パイロット訓練ということは非常に大切なことでございます。その意味におきまして、パイロット環境改善あるいは食事の改善ということも、昨年秋以来、食費も一般隊員よりは倍のものを供与する、また環境改善はいろいろな施設で安眠のできるように、休養のとれるようにするために、予算をその方に向けたわけであります。三十三年度においても、このパイロット環境改善休養をとる設備には一億数千万円の予算を組んでおるわけで、御指摘のような点が今後そういった面からはないようにいたしたいと全力をあげているわけでございます。  なお一言付加しておきたいと思いまするが、昨年春ごろの事故の多いときにパイロットがもう搭乗をこれから断ろうといったような話があったということが、今ストライキという言葉で表現されて、新聞報道にも載ったようでございまするが、これは現実にそういった事実はございません。むしろすべての自衛隊を通じてこの航空自衛隊志望者というものが非常に多いわけでございまして、決してこれがために航空自衛隊の将来の整備発展には支障がない、募集に対して十倍の志望者がございます。そういう事態でございまして、御注意の点は今後さらに一そう工夫、努力を加えたいと思います。
  9. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今度の空中分解は、事故事情を聞きますと、一万二千メートルからの上空でもって音速をこえようという直前に空中分解をした。そういう事情を聞きますと、これはどうしてもやはり機体操縦訓練自体に無理があるということに考えられる。そういう点について今度事故調査はしてあるのかどうか。
  10. 津島壽一

    津島国務大臣 この搭乗した飛行機はF86Fというものでございまして、普通の場合において、性能としては音ないのでございます。すなわち千百キロの時速を持った飛行機ということにされております。そこで戦闘機訓練の間に下降する場合は、往々にしてこの〇・九マッハのものが一マッハという音速あるいは音速をこすような速力が出、またそういった場合にこれに対処するようなことも訓練としは必要の場合があるわけでございまして、一般訓練において音速を超過するとか、音速に近いようなものをやるということではないわけでございまして、そういった事態が起るに対して操縦をどうするということは一応心得ていないと手が出せない、こういうわけであったと思います。
  11. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうもそこに納得できないものがあるのでありまして、その点は一つ十分調査をしてそういう事故のないように一つやっていただきたい。  それからさらに御承知のように、たびたび天竜川河口堕落事故を起しておりますそのことについて、聞くところによれば現地でこういうようなことが言われるのです。ジェット機燃料というものは、一度舞って降りてくると、それは全部商人に払い下げて再生する。そのために燃料を非常にしまつすると申しますか、非常にぎりぎりの線で、燃料をあとへ残さないように積む。ところがその操縦十分訓練を得ておらない、一口に言えば下手な諸君が演習に行って帰ってくる。飛行場に着陸しようとするが一度では着陸できない。その場合には何回も上空を回らなければならぬ。その間に燃料がなくなってしまう。その結果浜松市に落ちるわけにはいかないので、天竜川河口の沖の方に乗り出して墜落せざるを得ない、こういうようなことを現地ではうわさされておる。もしそういうことがあれば、重大な問題だと思う。わずかな燃料を惜しむことによって、機体人命も失うということは大へんなことである。自衛隊自体については、われわれ社会党はいろいろな考えを持っておりますが、一応こういうようにやっておるとすれば、これはやはり同胞の生命でありますし、また多額の国費を使ってやっておるという点から申しましても、そういうことが絶対にあってはならぬと思いますが、そういうような現地のうわさは事実かどうか伺いたい。
  12. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまの航空機に搭載する燃料の節約という方面から、そういった事故も起り得るということを地元の方々が申されておるということでございますが、今まで私は飛行機についていろいろ情報を集めておりますが、そういったことはまだ耳にしておりませんでした。おそらくそんなことで事故を起こすようなことはちっと想像できないのでございます。あるいは必要に応じまして政府委員の方からお答言えいたしたいと思いますので、お許し願います。
  13. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 若干補足して御説明申し上げます。燃料を節約して、そのために事故になるということは聞いておりません。ただジェット機は非常に大量の燃料を食うものでありますから、飛行時間が非常に短かいのでございます。大体一時間ちょっとくらいしか今飛行機は飛べないと思います。少し予定の航路を過ぎまして、飛行の時間が長くなりますと、帰投の際に非常に危険になるということは事実でございます。その点は訓練計画を立てますに当りましては、十分に余裕を見まして帰るようにはしておるのでございます。
  14. 長谷川保

    長谷川(保)委員 実は私直接聞いたのではないけれども、自衛隊の将校から私の友人に話したというので、私にこういう問題は困るではないかというお話があったわけです。それで今のように航続距離に対する燃料を一ぱい積んだ結果がそうであるとすれば、これはまた別な考え方をしなければならぬが、しかし燃料を節約するという意味からそういう事故を起す危険を持ってくるとすれば重大な問題である。こういうことは事実であるかどうか、もう一度伺いたい。
  15. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 燃料を節約いたしまして、人命及び機体を損するということがあってはならないと思います。その点は十分に細密に計画をしておるものでありまして、燃料消費量から飛行時間が短いためにそういうような可能性が、普通のプロペラの飛行機より多いとことは言えると思います。しかしジェット機自体につきまして、節約するために人命機体を失うということは絶対にございません。
  16. 福永健司

    福永委員長 長谷川委員質疑は後刻続行いたすことにいたします。     ―――――――――――――
  17. 福永健司

    福永委員長 漁業制度調査会設置法案議題といたします。本案についての質疑はすでに終了いたしております。討論もないようでございますので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立
  18. 福永健司

    福永委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。     ―――――――――――――
  19. 福永健司

    福永委員長 次に、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。受田新吉君。
  20. 受田新吉

    受田委員 ごく簡単にお尋ねをしておきたいのでございますが、この法案に関連して、さき委員会外務省の見解をただした二つの件について、最終的に御所見を承わっておきたいと思います。それは認証官たる大使公使の問題でございますが、少くとも外務省は、日本のお役人の中でごくわずかしかポストのない認証官のうちで、大公使専任としてこれを取り扱う場合には、合計七十余人という膨大な人員認証官に持っているというこの点においては、断然街角を抜いた役所であると思います。従ってこの認証官を独占した感のあるこの外務省の大公使の処遇につきまして、一つ私は次の点についてただしておきたいのでございます。それは、単に外交辞令の上で大使公使を交換するということだけでは、これは全く形式にすぎない。実質上国際親善をはかり、国交の親密化をはかる、こういう意味であるならば、別に認証官としなくても済むのじゃないか、認証官たる大使と、また認証官でない大使公使というようなものもあっていい、かように考えておるのでありますが、この認証官を独占したきらいのあるあり方に対して、認証官をごく少数にしとどめて、御遠慮申し上げるという形の方向へ態度をおとりになる道はないものか、お尋ねをしたいと思います。
  21. 松本瀧藏

    松本政府委員 お答え申し上げます。御承知のごとく、大公使は天皇の認証された信任状を携行いたしまして、任国の元首にこれを提出するのでありまするが、特に最近の傾向からいたしまして、先般も御説明申し上げましたごとく、東南アジア並び中近東におきまして、たくさんの新興国家ができました。しかもこれらの国々は非常に格式を重んじまして、そして最初から大使の交換とか、いろいろと先方からは皇族の者を大使にして日本によこすとかいうような工合に進められております。こういう意味からいたしまして、日本威厳を海外に代表する大公使でありますので、できれば認証官として向うに出したいというのであります。もちろん人数からいたしましては、多少他の省の関係と比較いたしますると多いかもしれませんが、決して七十数名ではございませんので、今日五十五名ですが、新しい制度になりましたならば、これがたしか六十六名になる。確かに多いきらいはありますが、先ほど説明しましたような事情によって数がふえておるのであります。
  22. 受田新吉

    受田委員 先般の委員会田付官房長から申された人員は、兼任した人々があるわけですが、それを全部兼任を解いて専任とした場合の総数は幾らになっておりますか。もう一度……。
  23. 松本瀧藏

    松本政府委員 兼任を解きました場合にフルに活用いたしまして、六十六名になるわけであります。
  24. 受田新吉

    受田委員 六十六名といたしましても、そこに莫大な認証官がおるわけです。認証官でなければならないんですか。信任状を奉呈するのに、認証官でなければならないという何かの規定かお約束があるのですか。
  25. 松本瀧藏

    松本政府委員 これは決して約束とかそういうことでなくして、先方の強い要望に従って、先ほど申し上げましたごとく、格式の問題、威厳を代表するというような点からいたしまして、たとえば戦前であったならば総領事で済むところも、場合によりましたならばこれは公使、あるいは公使館で済んだところを大使館というような工合に、ことに中近東並び東南アジア諸国におきまして、新興国家において強い希望がございますので、それに沿うように一つわれわれこたえたい、こういう気持でございます。
  26. 受田新吉

    受田委員 そうした向う希望によって大使公使を交換するということは、これは一応うなずけるのでございますが、それをこちらの国の取扱いとして、認証官という特別の職にこれを指定することが必ず必要なのかどうか。
  27. 松本瀧藏

    松本政府委員 慣例からいたしまして、それは必要だと考えます。
  28. 受田新吉

    受田委員 その慣例というのはどういうものでございますか。
  29. 田付景一

    田付政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、向う側といたしましては、できるだけ日本の優秀な、しかもりっぱな地位を持っておられる方が大使並びに公使として出てもらうということを希望しておるわけでございまして、われわれも、そういう日本の代表として送ります以上、認証官としての資格を持った方が出ていかれることが一番必要じゃないか、こういうようにに考えておりますので、従来から、大使公使はいずれも認証官として認証しいただく、こういうわけであります。
  30. 受田新吉

    受田委員 認証していただくのは、必ずしもはっきりした根拠があるわけじゃなくて、慣例でやっているということになると、これは私は問題だと思う。慣例をこの際改めてで、あまりに大公使が多く製造されているのですから、こういう機会に認証官を厳選して、認証官である大公使認証官でない大公使というようなものを、分離するという措置をとるべきではないか、こういう意味で私はお尋ねしておるのですが、慣例は同時に動かすことのできない形になっているものかどうかです。
  31. 田付景一

    田付政府委員 外務公務員法に、大使及び公使認証官として規定されております。
  32. 受田新吉

    受田委員 その認証官規定を、大使公使認証官でこうたくさん製造される段階においては、認証官でない大公使を作るという形のものをとることができないかどうかです。そういうことを法律を改正することによって認められるかどうか。慣例という今あなたのお言葉があったのですが、慣例だけであるならば、法律を改正して、これを認証官である者とない者とに分離もできると思う。
  33. 田付景一

    田付政府委員 ただいま申し上げましたように、大使公使はいずれも日本国を代表して向うに行かれるわけでありまして、ある国の代表の大使だけが認証官でなくて、ほかの国の大公使認証官であるというふうに分けるわけにはいかないと思うのでありまして、少くとも国家を代表いたしました大使及び公使認証官としての資格を、もって行かれることが、われわれとしては必要じゃないか。先ほど申し上げたようなことをまた繰り返して申すわけでございますけれども、認証官としてぜひ大使公使を認めていただきたい、こういうふうに考えております。
  34. 受田新吉

    受田委員 法律的に見たならば、認証官である大公使と、しからざる大公使とに分離はできますですね、そういうことは可能ですね。
  35. 田付景一

    田付政府委員 つまり日本の国家を代表して、その国に信任されて参りました大公使と、それからあるいは国連に行きました大使、あるいは今、ジュネーヴにおります公使、これは必ずしも認証官にしなくてもよろしゅうございます。これはその国に対して信任されておりませんので、その二つの大使並びに公使認証官としないでもよろしゅうございます。
  36. 受田新吉

    受田委員 今官房長のお言葉で、認証官としなくても済む大公使もあり得る、これは法律改正によって可能であるということになるわけですが、そうしますると、これはできるだけ認証官を制限するという形、認証官の権威を保つという意味からは、そういう措置もとり得べきものではないかと思います。それと同時にもう一つは、大公使の給与など見ましても、一番下の給与が六万六千円という、一般公務員の給与に比べても最高俸に達しない俸給をもらっておられる大公使がおるわけです。認証官としては、これは一般の公務員に比較してなおその最高俸に相当距離のある給与をもらっておるということになれば、待遇の上からいってもこれは認証官の権威に関する問題だと思うのです。若い局長などがすぐ大使に出ていく、公使に出ていく、こういうことになると、認証官というものがあまり軽く取り扱われるおそれがあると思うのでございますが、そういう場合を考えて、実際の給与と、それからそれに当られる方々の過去における地位と、こういうもの考えるときに、認証官に対してある程度の権威を保持するという意味から、それを認証官である大公使と、しからざるものとの二つに分ける、責任ある大公使とそうでない、今御指摘されたように国連で事務をとっておるとか、あるいはアメリカなどで大使の下についておる公使とかいうような、直接重要ポストでない、そういう人々を認証官から分離するということ、これは一つ考える道ではないか。
  37. 松本瀧藏

    松本政府委員 受田委員の御説、ごもっともの点も多々ございます。私どものじかに経験しております点を申しましても、たとえば某小国のごときは皇族を大使にして日本に送っております。従ってそれにマッチするようなりっぱな大使を送ってくれ、こう言うのでありますが、いろいろな事情から今日まで延びまして、今度在外公館のこの法案通りましたならば、向うに置くことができるのですが、なおでこぼこの問題等につきまして、また認証官にあらざるところの大公使の設置の問題等につきましては、十分検討いたしましてこれから一つ合理的な道を講じたい、こう考えます。
  38. 受田新吉

    受田委員 これは大へん大事な問題だと思うのでございますが、今田付官房長から申された認証官にあらざる大公使を作っても、これは差しつかえのない向きもあるんだということでありますならば、この法案は、これはできれば四月一日にさっそく大使を交換されようという段階に至っているという差し迫った問題ではありますけれども、これは慎重な審議をもうしばらく繰り返す必要がないかと思うのです。  もう一つは、これはこの前ちょっと指摘したのでございますが、関係法律で特に給与に関係した言葉づかいの問題でございまするが、外務省関係した在外公館に勤務する職員に対する在勤俸、そして同時に加俸の問題でございます。在勤俸及び加俸というものはみな俸給です。俸給というものは基本給であって、基本給以外のものは手当という形が用いられてでおる。日本の国内に勤務する場合にも、勤務地手当というものがあります。これはそのところどころの経済事情に応じて、特別の手当を出しておるわけですが、そうしたいわゆる地域給、厳密に言うならば勤務地手当に当るものが、在外公館に勤務する在勤棒に当ると思うです。従って勤務地手当というものに当るのです、基本給ではない。基本給と、手当というものを分離しなければならないという建前からいったならば、あらゆる関係法律の中でただ一つ、この給与関係法律の中で俸給の性格を手当に付与しておるものは、外務省のお役人のうちで在外公館に勤務するお役人だけです。従ってこの際在勤俸を在外勤務地手当という名称――これは仮称でありますが、そういうものにして、基本給と諸手当とを分離していく、これはこの前岡部行政管理局長もこれに対して同意をせられておりました。また在勤俸とあわせて家族に対する加俸というものがあります。この加俸というようなものも俸給の性格を帯びております。実質的には手当であるにかかわらず、形だけが俸給という形を帯びておる以上は、これは一つお直しになる用意はないか。この法律を早く通さなければならぬというので、私たちは修正を用意したいと思ったが、あらゆるところに棒という言葉が、加俸とか在勤俸とか出て参ることから、そのまま一つ一つやっておったら、法律技術上の問題として時間がかかるというので、これを御遠慮申し上げて、早くこの法律を通してあげたいというまことに美しい友情があるわけなんですがね。ところでどうでしょうか、これは外務省としてはこうしたあらゆる給与法の中で、ただ一つ独立の牙城を温存しておられる俸給の性格の文字を改められるという点について、御意見を伺いたい。
  39. 松本瀧藏

    松本政府委員 御趣旨の通り、これを手当に変えることにやぶさかでないのでありはすで。いろいろ検討しました結果、先般受田委員の御説明の通り、また今日の御意見の通り、もっともだという考えを持っております。早急に一つ機会を見ましてこれを是正させていただきたい、こう考えます。
  40. 福永健司

    福永委員長 中村高一君。
  41. 中村高一

    ○中村(高)委員 なるべく急いで通したいと思いますので、一つ……。その意味でせっかく外務省の方がきょうは見えておりますから、二、三急いで聞きたいと思うのです。  藤山外務大臣になりましてから、移動大使というものが出てきましたが、これは官制の上に一体どういう形になってできておるのか。将来もこの移動大使というものを存続させる外務省方針であるかどうか。また東南アジア方面に移動大使を出しておりますけれども、ほかにも出そうという計画があるのかどうか。移動大使というものが、どうもいろいろの批判をする人々の言葉によりますと、何か藤山さんが目新しいことを一つぶって、財界からおれは入ったけれども、おれが入ればまあちょっとこういうような新感覚を見せてやろうという意図があったのだというようなことも言われておりまして、どうも外務省の中の官僚出身者から見ると、そんなよけいなものが入ってくると、というような、何かじゃま者扱いにしておるというようなうわさも聞いておるのでありますが、移動大使に関しまする外務省方針いかん、これを一つ伺いたい。
  42. 松本瀧藏

    松本政府委員 移動大使の問題に対しましては、いろんな角度からいろんな見方もあったろうと思います。批判する人もあれば、また非常に成果をあげたという人もあるのであります。今回の移動大使の成果を見ましても、かなりそこには多とすべきものもあります。いろいろと国際情勢も変わって参りますし、またいろいろと常駐の大使では十分手の届かないような仕事もございますので、移動大使制度というものは、今後とも継続していきたいという気持でおります。
  43. 中村高一

    ○中村(高)委員 移動大使というものを継続されるということに対しては、私たちも必ずしも悪いと思っておらぬのであります。ここに外務省出身の松本さんなんかもおられますけれども、われわれももっと民間人を起用して、外務省の狭いというては失礼かもしれませんけれども、外務官僚だけの見方というものは、私は一つの狭さを持っていると思うのであります。やはりこれからの国際外交というようなものに対しては、確かに民間人の、特に経済、貿易の方面などにきましては、やはり民間人というもののいいところがあるから、そういう点については、私たちも非常にいい見方だと思うのであります。こういうことを継続すべきだということについては、私たちも賛成なんでありますけれども、どうも聞くところによると、必ずしも外務省の中から育った諸君から見ると、横からそういうものが入ってくるということに対して好意的でないということを聞くのでありまするけれども、そういう方面に対しては、松本次官は必ずしも専門家ではない、むしろ公平な見方ができる方だと思うのでありますが、内部でそういうようなうわさを聞いて、内部ではあまり歓迎されてないのだということを聞いておりますけれども、どうでしょう。
  44. 松本瀧藏

    松本政府委員 決してそういうことはございませんので、あるいは一部におきましていろんなうわさがあったかもしれませんが、真実は決して排他的な気持を、今外務省は持っていないのであります。先般も常駐の専門の大公使あたりを一般から起用したらどうかという質問がございましたが、十分その任に当る人があれば、またそのポストについてくださるような有能な士がございましたならば、それを起用するにやぶさかでないということをここに言明しておりまするが、その気持は毛頭変っておりません。ただ常駐大使になりますと、御承知のごとくポストが限られております。たとえばラオスとかネパールに大使になって行ってくれといいましても、なかなか民間人では起用できる人がないのであります。そういう観点からいたしまして、やはり民間から起用し得る。ホストというものが非常に制約されておりますので、なかなか困難な点もございまするが、決して一般から起用することを排斥するものではないことを繰り返してここに申し上げておきたいと思います。
  45. 中村高一

    ○中村(高)委員 この問題については、まだ私もいろいろ聞いておりまするから、お聞きしたいのでありますが、お急ぎの委員諸君もおられるようですから、後に譲りますが、もう一つだけちょっとお聞きしたいのは、外用務省に、情報文化圏でありますか、その局長が、しきりと何か藤山外務大臣の選挙運動をやっておるということが、ある新聞に出ておるのです。ごらんになっておるし、お聞きになっておると思うのですが、情報文化局というのでありまするから、方々に演説して歩いて、情報をとって歩くということもいいかもしれませんけれども、もっぱら横浜に情報文化を宣伝して歩くということは、これはいかぬことでありましょうが、藤山さんも次の選挙には立候補せられるというのでありますから、確かに一つの手を打とうというお考えはわかります。しかし事いやしくも外務省の局長を自分の選挙運動に使うというようなことは、はなはだこれは公私混淆でありまして、許すことはできないと思うのでありますが、指摘をせられるところを見ると、特に横浜には御熱心に派遣をしておられるそうでありますが、まさかその通りだと答弁があるとは私たちも思いませんけれども、そういううわさを生むということはよろしくないことでありますが、外務省としてお耳に入っておられると思いますが、御調査をなすったか、またそれに類することがあるとするならば、厳に、戒心すべきことだと存じますが、いかがでございましょう。
  46. 松本瀧藏

    松本政府委員 某新聞にその記事が出たことを私承知しております。聞きましたので、さっそく局長を呼びまして、その事情調査いたしましたところが、絶対にそういうことのないことを私は発見いたしました。ただ情報文化局といたしましては、外務省並びに、場合によったならば大臣のPRの仕事等もこれは担当しておりますので、ちょっとそういうにおいがしたのをあるいは選挙運動に結びつけてこの記事を書かれたのかもしれませんが、断じてそういうことのないことを私はっきりここに言明できます。
  47. 中村高一

    ○中村(高)委員 よろしいです。
  48. 福永健司

    福永委員長 先刻受田新吉君の質疑中、大公使は必ず認証官でなければならぬか、この問題については再検討するかどうかというような趣旨の御発言がございまして、これに対して松本政務次官から御答弁があったのでありますが、受田君の御表現をもってするならば、さらに数日の検討を要するかのごとき印象を受ける言葉があったのでありますが、本案は事対外関係とも関係いたしまして、政府としても特にすみやかに成立を希望いたしておりますので、さらに松本政務次官から政府の考え方について明確なる御発言によって再確認を願って、これをもって受田君にも御了承を願い、なるべく本日本院を通過する運びにいたしたいと思いますが、いずれにしてもまず松本君からさらにもう一度発言を願いたいと思います。
  49. 松本瀧藏

    松本政府委員 認証官にあらざる大公使を起用する余地の問題に関しましては、先ほど官房長からの答弁の中にありましたように、国連その他の代表部に派遣する大使等は認証官でなくてもよいとも考えられますので、できる限りそういう方向に進みたいと思いますが、ただ問題は先ほど何回も繰り返しましたごとく、格式とそれから威厳代表の観点等からいたしまして、必ずしも一様にいかない場合もあるかもしれません。十分先ほどの御意見を尊重いたしまして、将来運営に資したい、こう考えます。
  50. 福永健司

    福永委員長 将来運営というのではないのです。制度そのものについて再検討するかどうかというのです。本委員会としてはそれをお聞きした後に態度をきめたいと思います。そういう点を明確にしていただきたい。
  51. 松本瀧藏

    松本政府委員 十分再検討さしていただきます。
  52. 福永健司

    福永委員長 よろしい。ただいまの言葉によって受田君、御了承願いたいと思います。  質疑はこれにて終了いたしました。討論もないようでございますので、直ちに採決をいたします。  本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立
  53. 福永健司

    福永委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。  さきに御議決をいただきました漁業制度調査会設置法案とただいま御議決をいただきました在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案、右二案について、委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 福永健司

    福永委員長 御異議なしと認めます。よってそのように取り計らいます。     ―――――――――――――
  55. 福永健司

    福永委員長 次に長谷川君の質疑を続行いたします。長谷川保君。
  56. 長谷川保

    長谷川(保)委員 最近板付では飛行場の付近の住民は自己の危険と飛行機の騒音の被害に耐えかねて、一部落全員が移転したということでありますが、その実情はどういうようになっているか。調達庁長官いますか。
  57. 上村健太郎

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。板付の飛行場の滑走路の延長の真下に部落がございまして、約十九戸でございますか、飛行機事故等を出した例もございますので、集団移転の希望の申し出がございまして、昨年移転に対する補償をきめまして目下移転中でございます。
  58. 長谷川保

    長谷川(保)委員 浜松航空自衛隊にもほぼ同様のことがございます。ちょうど滑走路の先端のところから急に三方ヶ原の台地がスロープになっておる。その先端のところがスロープになっております。その低いところに四十六戸ばかり農家がある。谷上部落というのでありますが、旧陸軍飛行学校当時、すでにこの部落に八回にわたって墜落事故を起しておる。そのうち三回は民家に墜落しておる。その後新しい航空自衛隊ができましてから後も、たびたびそういう事故があったのでありますが、ことに昨年三十二年六月には、この滑送路の先端のところで事故が起こって、着陸の際に機体が焼けまして、火災を起しまして、乗員が二人焼け死んだのであります。そういうような事件がたびたびありますので、非常に付近住民は恐怖しておる。プロペラ飛行機と違いまして、ジェット機飛行機でありますから、もしそういうことになりますと、一面火の海になる。家も財産も、もちろん命も全く失われるということになり、ことにうちで寝ております病人あるいは赤ん坊等を置いて親たちが野らにいくというようなにと、こういうようなことは大へんなことになる。それで今の板付の部落と同じように、最近何とかして他に移転をしたい、こういうことがあるのでございます。まず私が伺いたいのは、滑走路のすぐ目の前にこの部落がある。それなのにこの滑走路を使って平気で今日もこういうように飛行機が飛んでおるのです。あるいは全国的にもこういうような事実があるところがあるかと思うのでありますけれども、これはさきに御答弁になりました自衛隊がほんとうに人命を重んずるということについては、隊員人命のみならず、当然付近の住民の人命というものも十分尊重しなければならぬわけです。自衛隊につきましては、先ほど申しましたように、社会党の考え方は別にございますけれども、いずれにいたしましても、平和建設隊を作るとか、あるいは警察予備隊を一部残すとかいうようなこと、があるといたしましても、社会党といわず、あるいは自民党といわず、今日の政府といわず、自衛隊というものは、人民の生命財産を守るということが根本の目的でなければならぬ。しかるに目の前にこの部落があって、過去に何べんも事故が起きておる。しかも三回は人家に堕落をしておるというようなことがあるにかかわらず、ここに新しい自衛隊になりまして、同じく滑走路を作り、その滑走路でもって今日飛び立っておるということは、われわれ解せないのです。先ほどの長官の御答弁から見まして、こういうことをなぜやっておるか、私は理解できないのでありますが、どういう事情でこういうことをやっておるかお伺いしたい。
  59. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいま御質問によってで御指摘になりました浜松飛行滑走路のすぐ間近にある谷転部落と承知しておりますが、これは航空機のひんぱんな離着陸のために非常な御迷惑を及ばしておるということを承わっております。につきましては、この部落に対して危険のないように、またそういう悪い影響のないようにと思って、今その実際を調査しております。その結果を待ちまして、あるいはこの地域を安全地域とかあるいは保安地域と申しるために、よく関係方面ともお話し合いをして、その土地を防衛庁の方で買い上げまして、またその部落の方がもしそれに御了承下さるならば、移転をする。これは先ほど申しました調達庁側で、板付の場合に行いましたようなことに準じて、適当な措置を講じたい、こう私は思っております。
  60. 長谷川保

    長谷川(保)委員 浜松航空自衛隊ができてから何年になりますか。またジェット機を飛ばすようになりましてから何年になりますか。
  61. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 浜松の航空隊は、最初陸上自衛隊の航空学校として開設したのでございまして、たしか昭和二十八年から九年のころだと思います。ジェット機飛行を始めましたのは、航空自衛隊になりました後のことでございまして、航空自衛隊が二十九年の七月にできましたのでございますから、三十一年の春にジェット機の練習を築城で始めましたので、そのしばらく後だと思います。
  62. 長谷川保

    長谷川(保)委員 だから私はすでにこれを作りますときに――航空自衛隊を作りますとき、あるいは陸上自衛隊飛行学校でもなんでもいいですよ、それを作りましたときには、この滑走路の先端にすぐ目の前に――五百メートルを離れていない、すぐ真下にある。そこにこの谷上部落があるということがわかっておった。だからそのときにもすでにこの問題を解決しておかなければなかったはずです。しかもそれからすでに七、八年になる。さらにまたジェット機を飛ばすようになりましてからすでに数年になるというような間、こういうものを無視してやってきたというところに、とうてい納得できない。どうしてこういう問題をまず最初に解決するということにならなかったか。これはどう考えてもむちゃじゃありませんか。すでに七、八回もこの部落に飛行機が落ちている。ジェット機になってもそういう事故が起きている。この部落では、騒音で申しましても、洗面器の水ががたがたに揺れてこぼれてしまうというような騒音があるわけです。ちょうどその部落だけが谷に入っておりますから、大へんな騒音である。赤ん坊も泣き出してしまうし、病人はいたたまれないというような状態である。目の前ですからね。こいいう騒音だけから申しましても大へんでありますが、同時に今のような事故が起っている。そういうものを一体なぜ最初に解決しなかったか、また今日までそれを放置してあったか。今長官はただいまその問題を取り上げるいるということでありますけれども、どうもそういう点が私は不可解である。局長、どういうわけでこういうことになっているのですか。
  63. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 最初浜松飛行学校を設けました際にも、いろいろ全国各地の状況を調べたのでございますが、当時の状況といたしましては浜松にぜひ陸上自衛隊の航空学校がほしい。飛行学校の基地といたしましては、浜松以外に適当なところがなかったのでよございます。その後航空自衛隊の方に引き継ぎました後におきましても、同様に全国各地について調査はしておったのでありますが、浜松飛行場の拡張の可能性があるということと浜松が非常に適地であるということからいたしまして、そういう問題がありますことは承知をいたしておりましたけれども、現在まで解決に至らないで飛行場として使っているわけでございます。
  64. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私は防衛庁へ参りますと、局長以下最近は非常に物腰やわらかで非常にいいと思う。防衛庁へ行くと、局長も議長も非常に人民に対して丁寧で、昔と違って非常に愉快に思っているのです。ところがこういう事実を見ると、形だけは物腰やわらかで礼儀正しいけれども、しかし実際は旧軍時代のくような人民をなめた、国民をなめたような感じを持つわけです。こういう問題を何年もほうってある。そうして騒ぎ出さなければ解決しない。騒ぎ出せば、やむを得ず何とかしよういうようなことは、国民をなめたという感じがする。旧軍時代の遺風が依然として残っているように思う。こういうことであっては私はまかりならぬと思う。先ほど長官の御答弁のようにほんとうに人民と人命を尊重しているかどうか。こういう事実は反対のことを意味していると思う。こういう点は長官としてはどう解決なさるか。
  65. 津島壽一

    津島国務大臣 ジェット機によるいろいろな危険または被害等につきましては、今日までその措置がお説のごとく十分でなかった点はあるかと思いますが、着任以来特にこの点に重点を置いて今後御民迷惑を及ぼさないようにやっている次第でございまして、どうぞそれに一つ御期待、御信頼を願いたいと存じます。
  66. 長谷川保

    長谷川(保)委員 一応長官の答弁を了としておきます。全国にもこういういろいろな問題があると思いますから、そういう問題については十分人民を尊重して、憲法規定するところに従ってほんとうに人民の生命、財産、基本人権というものを尊重してもらいたい。  全国にもこういうような事件がいろいろあると思いますから、谷上部落の例をとって今後の防衛庁方針をもう少し伺っておきたいと思うのであります。  こういうような谷上部落の移転、こういうことは板付のような米軍の使っているものとは違いまして、自衛隊のやっているこういうような部落の移転とか、あるいは農地その他のいろいろな損害の補償というようなものは、特損法を準用運用できるのかどうか。ほかにまた別の法律があるというように私は覚えないのでありますけれども、特損法を準用できるのかどうか、この点を承わりたい。
  67. 津島壽一

    津島国務大臣 駐留米軍の場合は御承知のように調達庁で担当いたしておりまするいわゆる特損法がございまして、これに基いて、一定の基準によって補償なりその他の措置を講じておるということになっております。わが国の側におきましては、これを直ちに法律的に準用するという立法措置はまだできておらぬように思います。これはおそらく民間航空の場合もございますし、自衛隊飛行機の場合もあると思いますので、今日まだその補償措置に関する立法ができていないのだろうと思っております。しかし大体調達庁における特損法に基いてやる一種の基準があるようでございますから、そういったこともよく見てこれに準じてやる、また立法措置がなくてもそういった効果を実際的にあげていくというように取り計らいたいと思っております。
  68. 長谷川保

    長谷川(保)委員 聞くところによると、防衛庁ではこの種の法律を立案し、今国会に提案しようとしたけども、大蔵省で反対したためできなかったというふうに伺うのでありますが、そういう事実はあったのでありますか。
  69. 津島壽一

    津島国務大臣 私の承知しおる限りでは、具体的の法律案を作って大蔵省と交渉して、そしてこれが大蔵省の同意を得なかったという事実はございません。それが私の知っている事実であります。
  70. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると特損法を準用するとして今年度予算にどれくらいこういうもののために用意されておるか。
  71. 津島壽一

    津島国務大臣 防衛庁予算の中には費目として、こういった飛行場付近に生ずる危険、損害等の目を盛った予算はないわけでありますが、実際にわいてこの金の目の流用ということで、賠償、補償等の経費、そういうものから特に目を立てて、この飛行機関係で騒音防止とかあるいは移転とかいったようなものに、つけ変えるというようなことに相なっておるわけでございます。
  72. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうするとこの方は今年度幾ら予算がありますか。
  73. 津島壽一

    津島国務大臣 経理局長の方からお答えさせていただきます。
  74. 山下武利

    ○山下(武)政府委員 今長官からお答えいたしましたように、騒音の防止に関するものといたしましては、特別予算措置は講じてありません。しかしながら例の特損法の精神にかんがみまして、同じような事態に対処しましては、なるべくそれに準拠していきたいということで、実際そういうふうな運用をいたしておるわけでございます。具体的な例と申しましては、三十二年度といたしまして、これはおもに文教施設に対する騒音防止設備の金でございますが、約三千万円の流用を大蔵省で認められております。三十三年度につきましても同様な措置を講じていきたいと考えております。
  75. 長谷川保

    長谷川(保)委員 調達庁の長官に伺いますが、板付の場合には何と何を補償していますか。たとえば住宅の移転とか、農地とかいろいろな問題がありましょうが、そういう問題で……。
  76. 上村健太郎

    ○上村政府委員 板付の場合におきましては、移転のために要する費用全体でございまして、内訳を申し上げますと、建物、工作物の移築費、動産移転費及び立木の補償費、それから休業期間中の営業補償、移転のための仮住居費、立ちのく宅地の買収費というものでございます。
  77. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それでは全部でどのくらい補償しておりますか。
  78. 上村健太郎

    ○上村政府委員 板付は十九戸で四千五百万円ばかりでございます。
  79. 長谷川保

    長谷川(保)委員 長官も今お聞きのように、相当大きな額を板付では補償しておりますが、これに準じて、ほぼ同様の方法でこの種部落に対しましても補償する御意思でしょうか。
  80. 津島壽一

    津島国務大臣 調達庁長官の申しました金額あるいは目的物、そういったものについて十分調査いたしまして、土地等については、おのおの時価というか、そういった公正な価格、妥当な価格があるわけでございますから、金額はこちらが四千万円と申しましたが、そうだということでなくて、公正妥当な価格をきめるというのがほんとうだろうと思います。これは十分地元の方々、関係者とも話し合うべき問題であろう、こう思っております。
  81. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私がおそれますのは、駐留軍の場合には非常にたくさんの金が出る。費用も出る。しかし自衛隊の場合にはそれが出ない、こういうように一般には考えられておるわけです。それでそのために危険を目の前にいたしまして、住民諸君はどうしても移転をしたいけれども、その費用に困るということで、四苦八苦しておるわけです。そういう点で、駐留軍の板付のような場合とほぼ同様のものが出るとなれば、これはすみやかに住民諸君は決意をいたしまして、移転の具体化をするということになると思うのであります。それが著しく住民諸君の生活を脅かすものであれば、事実移転できないわけです。危険と知りながら、そこに泣き寝入りという形にならざるを得ない。その点、ともすると、駐留軍ならば相当出るが、自衛隊では出ないというふうに一般に考えられておりますから、この点事実に即していろいろ補償額をおきめになるのは当然であります。しかし精神は同じ精神でなさるのかどうか、その点を伺いたい。
  82. 津島壽一

    津島国務大臣 御説の通りに考えております。金額の問題は別ですが、公正妥当な交渉の結果、そういったものを出したい、こういうつもりでございます。
  83. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この滑走路の先端から二・七キロのところに湖東村伊佐美中学校及び小学校、二つの学校がございます。大体自衛隊飛行場ができますようなところは不便なところが多くて、従ってそういうところは割合に貧しい村落が多いのではないかと想像されるのでございますけれども、この村も実は非常な貧乏村です。小学校の校舎は新しいもので建築してからもう三十四年、四十五年、六十二年というような非常な危険校舎です。ところが村が貧乏で、この学校がジェット機の騒音のために全く困り抜いておる。教育に支障を来たしておるのであります。従って先生初め生徒一同、何とかして他に引っ越してくれと言うのでありますけれども、貧乏で、危険校舎であるにもかかわらず他に移転ができない。また防音装置をするにいたしましても、あまりにオンボロ校舎であってこれが困難であるというような事情にあるわけです。こういうように非常に教育に支障を来たしておるにかかわりませず、村が貧しくて、財政的な余裕がなくて引っ越しができない。ただいま防衛庁の方からもこの騒音の調査に行っていらっしゃいますけれども、防衛庁としては特別な費用を出してこの学校の移転建築というようなことを援助することができるか、今まではないだろうと思いますけれども、そういうことができるかどうか、この点を承りたい。
  84. 津島壽一

    津島国務大臣 それは湖東村の伊佐美の中小学校だと思います。騒音のために非常に御迷惑をかけておる点も十分承知しております。今現場でその程度なりいろいろな対策を研究中でございます。今の多少校舎が古くなっているものを、この騒音に関連して改築と申しますか補強と申しますか、そういう点が可能であるかということでありますが、これは従来あまり例を聞かない点でございまして、過去の事実もどうか知りませんですから、一つ政府委員の山下局長からお答えすることにいたします。
  85. 山下武利

    ○山下(武)政府委員 騒音の防止対策といたしましては、調達庁の方で一応の基準を設けておられますので、防衛庁といたしましては大体それに準拠いたしまして実行いたしておるのであります。具体的に申しますと、八十フォーン以上で、ある程度の頻度を持っておる場合には防音の装置をする、それがもっとずっと激しくなりますと移転の補償をるといったような、一応の基準は持っております。今の伊佐美の小中学校につきましては、どの程度であるかということを目下調査中でございますので、ここでまだはっきりした結論を申し上げるわけには参りませんが、一般の基準に準拠してやりたい、かように考えております。
  86. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この学校は飛行訓練の日におきましては毎時間六回から八回、一回が四十秒ないし五十秒、この中に十二秒ないし十五秒は、九十五フォーン以上というような騒音がある。四機編隊で参ります場合には、この学校の上がちょうど方向転換をする場所でありまして、百フォーン以上、また滑走路で始動エンジンをがんがんやるわけでありますが、この始動エンジンの音量は八十フォーンないし九十五フォーン以上、一回が平均三十分、三十二年四月十六日のごときはこの空中及び地上の騒音は百八十五回、こういうことなんですね。ですから、授業も何もできない。この学校の子供の作文を見ますと、ほんとうに涙が出るようなかわいそうな作文を書いている。また今年この中学校から高等学校へ入学する率が特別に悪い。こういう事情で、至急対策を立てる必要があるのでありますけれども、今申しましたように、非常に村が貧乏でその余裕がないわけです。文部省の管理局正長がおいでのようでありますから伺いますが、こういう事情の学校に対して、今も防衛庁の方からは、事情によっては移転費を出すというお話でありますが、村に財政的な余裕がないわけですから、今の自衛隊の移転料に加えて、文部省の方でこのような不幸な学校のために十分な経費を出して、この村が財政的な措置をしなくても移転できるような――移転と申しましても、非常に古い学校、ですから新築するよりしかたがないと思います。そういうことにいて特別な措置ができるのかどうか、普通の二分の一の補助以外に適当な方法があるかないか伺っておきたい。
  87. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 ただいまの伊佐美の小中学校の問題につきましては文部省といたしましても、県の教育委員会の方から話を大体承わっております。ただ、従来の建物が、お話にもございましたように、四十五年ないし六十年たっておるというような木造校舎でございますので、これに直ちに防衛庁の方で防音装置をなさるということになりましても、遮音の効果はそれほど上らないのじゃなかろうかと実は私ども考えます。従って、移転する場合でも現在の校舎は改築する必要があるのじゃなかろうかと思っております。こうした場合に、大体駐留軍関係は調達庁の方ですべての経費を見ていただいておるわけでございますが、これと同様に自衛隊の基地についても防衛庁の方で全部出して下されば別でありますが、いろいろ経費の都合からそれがなかなか困難であるような場合におきましても、文部省といたしましてはたとえば危険校舎の改築に関する補助金を優先的に出す、あるいはこれに伴う補助起債を優先的に見てもらうような措置を講じまして、防衛庁の遮音装置について、文部省の方からもできるだけ御援助を申し上げたいと考えております。
  88. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この中学校の方はまあ別といたしまして、小学校は、最近二つの村が合併しましたので、現場に行って聞いてみますと、地理的に言ってこの位置でなければ村がおさまらぬということなんですね。ですから全くの移転改築と申しますより、十分な防音の装置ができますれば、村民としてはこの場所で新しく作ることにしたいようでありますが、そういう場合にも、今の防衛庁の方のお考えとしては、やはり他に移転をするということでなくて、そこに新築と防音装置をするということにいたしましても、それらの費用が十分出るのかどうか。これはずいぶんむずかしい問題のようにも思いますけれども、そこはどうでしょうか。もちろん個々のケースによりますけれども、ここのところはちょっとかわいそうなケースなんですね。
  89. 津島壽一

    津島国務大臣 よほど具体的な内容の問題になりますが、今調査しておりまして、防音の装置ではどうにもやっていけぬというような事実があるかどうか。これは技術的の面を調査させましてその報告を持ちまして対策を考えたいと思います。今これは改築してしまうんだということをはっきり申し上げるのは、まだ調査報告も来てないというわけでございますから、御趣旨のあるところは了承しますが、具体的の対策は、その結果を待ちまして一つ検討いたしたい、こう存ずる次第であります。
  90. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その点十分一つ実情を見て、子供たちのために、また村民のために御尽力願いたいと思います。ここでもう一つ、私は念を押しておきたいことは実は先日も私現地付近の学校を幾つか回りまして、調査いたしましたときに、防衛庁からいらっしゃった方々も騒音をはかっておられました。ところが、現地の幾つかの学校を回ってみますと、どの学校も一様に先生たちの申しますことは、防衛庁調査に来る日に限ってこの騒音が少い。ある女の先生は私にこう申しました。ほんとに不届きだ、調査に来た日に限って騒音が少いので、私は舞っている飛行機に向って、自衛隊のばかやろう、こう言って叫びたくなる、いや叫ぶんだ。こういうようにまで腹を立てていました。私はどうもそこらに――はかる器械はうそを言いますまいけれども、飛ぶ方に、あるいは騒音を立てる方に手心があるんじゃないか。こういうことをどこの学校でも言うのでありますから、どうもそういうように思われるのであります。こういう点は、むしろ最もはなはだしいときを当然はかって、それによって、やはり誠実にその騒音の被害に対して措置すべきであって、もし万一にもそういうことがあってはならないと思います。長官や局長たちがあるいは知らぬでいる間に下の方でそういうことがあるのかもしれませんが、どこの学校に行ってもそう言う。そういうような怒りやつぶやきが皆さんの耳に入らないのか、入ったことはないのか、事実こういうことをしていることはないのか、この点を念のためにお聞きします。
  91. 山下武利

    ○山下(武)政府委員 そういうことは、私は今まで全然聞いたことがございませんで、何とも申し上げかねますけれども、おそらくそういうことはないと確信いたしております。
  92. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その点は十分考慮してもらいたい。どの学校に行っても言っている。十分考慮して、およそそういうようなことで住民の怒りを買うことのないように、また誠実を尽さないという非難のないように、十分やってもらいたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのですが、最近遠州灘に航空自衛隊の射撃場を設置するということを伺っておりますが、その実情はどうなっておりましょうか。
  93. 津島壽一

    津島国務大臣 浜松の沖、遠州灘のところに、航空自衛隊の射撃演習をする場所を今求めておるわけでございます。十二ミリ機関砲を空中で一定の距離を撃っていく、こういうわけであります。これは御承知だと思いますが、熊野沖で駐留米軍の航空部隊が射撃演習をしておりまして、自衛隊の航空部隊も共同で使用さしてもらっておるわけでございますが、場所が不適当であり、その地域の関係からいきまして、何とか他に求めたいというようなことで、今浜松沖の遠州灘方面の適当な水域に空地を求めたい、こういうことでございます。浜松の航空隊から近いというような点もあるし、またこの実行においては、船舶の通行等のない時間を見はからつてやるので、全然危険もないような措置が講じ得られるということもありまして、何とかそういった射撃場を求めたい、こういう考え方をしておるわけでございます。
  94. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私は全国的にこういう事例がいろいろ出てくると思いますので、伺うのでありますけれども、今のお話では、この水域にはあまり船舶が通らないというのでありますが、この水域は、現地で調べてみますと、タイやサワラの漁場、また同時に、春の四、五、六月は、カツオが上ってくる魚道であり、秋の十月は、逆にカツオが下って参ります魚道であります。御承知のように、権威ある学者の説によりますと、魚は断続音というものを非常に恐れて逃げる。時速五マイルぐらいでこれらの魚は逃げるということでございますが、逃げた魚は三日半くらいは寄りつかない。魚というものは一度網から逃げれば、一週間は寄りつかないということであります。十二ミリの機関砲弾を落下するということで、その量も大へんなものだということを伺っておるのでありますが、御承知のように、これが落下する音は、大体八十センチメートルの上から水滴を落した音の二百三十一万倍の音がするということでありますけれども、今のような魚道でありますから、そういうことで非常な影響があるということになるわけです。こういうことは調査しておられますか。
  95. 津島壽一

    津島国務大臣 それらの点につきましては、慎重に調査いたしておるわけでございます。非常に高い上空でございまして、これらの発射したたまはほとんど散って、水上に落ちるときはほとんど害がないだろう。また今お話ありましたように、船舶の航行という問題がございます。これも承知いたしておりますが、そういったときを選ばないで、航行に支障のないようにいたしたい、こういうやり方を考えておるわけでございます。なお魚族に対する影響がどうあるかという問題は、私は慎重に研究さしたいと思います。
  96. 長谷川保

    長谷川(保)委員 五島列島の女島というのですか、ここで米軍の爆撃練習がなされておる。そのために回遊魚の魚道が変って、鹿児島方面ではブリ漁がなくなってしまったという事実があるそうであります。こういうような問題に対して、損害の補償をされたことがあるのかどうか、調達庁から伺いたい。
  97. 上村健太郎

    ○上村政府委員 お尋ねの個所は、鳥島の近所であろうと存じますが、現在補償をいたしております。
  98. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どういうような補償をしておりますか。
  99. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 演習期間中におきまする漁業の補償につきましては、平年における漁獲高によりまするところの漁業収入に対しまして、演習に基きまして漁業ができないということによる漁業の所得の減少に対して補償をいたしております。
  100. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この前伺ったところによりますと、防衛庁としましては、これは公海だから補償をすることはないというように伺っておるのでありますが、そういうように防衛庁はお考えでしょうか、それともまた、ただいま調達庁の方でお話のように、やはりこれも補償をするというお考えでしょうか。
  101. 上村健太郎

    ○上村政府委員 鳥島の場合は艦砲射撃でございまして、米軍が行なっております演習で空対空の射撃演習をしておりまする公海上における演習区域においては、漁業を差しとめておりませんので、補償をいたしておりません。
  102. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私昨日ほかの委員会に出ておりましたので、この委員会には出ませんでしたが、聞くところによりますと、昨日この委員会農林政務次官から、こういう遠州灘のような問題正で、公海であっても科学的な根拠があれば損害の補償をすべきだというようなお話があったように伺っておるのでありますが、そうすると農林省の考え方防衛庁、調達庁の考え方とは違うと思うのでありますが、この点調達庁、防衛庁はどうお考えになっておりますか。
  103. 上村健太郎

    ○上村政府委員 砲音によりまする漁獲の減少につきましては、九十九里浜におきまして高射砲音によって生じました損害について補償をいたしました例はございます。これは学者等の調査によりまして、確かに漁獲が減ったという認定が行われましたので補償をいたした次第でございます。高空におきまする飛行機同士の射撃演習につきましては、その音によって漁獲が減るとかあるいは魚道が変るというような事例はまだ現在までに出ておりません。従いまして補償をいたしておりません。
  104. 長谷川保

    長谷川(保)委員 事実私が鹿児島の漁民の諸君に聞いたところでは、そういう例があるわけです。魚道が変って魚が来なくなってしまったという例があるわけであります。だから今度の問題でもいろいろ問題を含んでおりますけれども、やはり全国的な問題として私ども考えなければならぬことは、こういうような魚道が変って魚が来なくなる。なるほど下に漁船が漁業をしているときには演習はしない、こういうようなお話もあるのでありますけれども、何しろ莫大な量の機関砲弾が落ちるわけであります。従って下に漁船がいなくても、今言ったようにここは春、秋はカツオの大魚道でありまして、遠州灘から駿河湾にかけましての漁業者にとりましては非常に重大な問題になるわけであります。だからそういう問題が当然考えられるにかかわらず、補償をしないという今日のあり方については私は理解できない。もしそういうことであれば、どうして一体ビキニとかクリスマス島におきまする核爆発の実験に対しまして損害補償を要求することとができるのであるか。ほぼ同様な問題であると私は思うのです。本質的には同じようなものになる。そのために魚道が変ってしまって、魚が来なくなってとれなくなってしまったということで、莫大な損害が来るとすれば、当然漁民はその損害の補償を要求する権利がある。また国としては特損法の精神から申しましても、国が補償する責任がある、こう思うのでありますが、こういう損害を補償しないというのはどういう根拠に立つのでありますか、この点承わりたい。
  105. 上村健太郎

    ○上村政府委員 先ほども申しましたように、音あるいは砲弾の破片によりまして漁獲が直接の影響を受けて減るという場合がありますれば、もちろん補償いたさなければならないと思うのでありますが、現在のところそういう認定ができませんので、補償をいたしておらない次第でございます。もっとも同時に艦砲射撃が行われまして、出漁ができないというような場所、たとえば鳥島付近のような漁場でございますと、具体的に損害を計算いたしまして補償いたしておる次第でございます。
  106. 長谷川保

    長谷川(保)委員 聞くところによると、この遠州灘沖の航空自衛隊の射撃場を、もう一つ南方にひっくり返しますと、漁民の方の被害はないということであります。漁道もはずれましてその被害はないということでありますが、ところが南方にひっくり返すことができないのは、航空機及び定期船、汽船の航路になっている。それだからそれができないのだ。それで力の弱い漁民の方にこれをおっかぶせるのだ、こういうような結果になるのだということを伺っておるのであります。そういうことであればなおさら不届きだと私は考えるのであります。漁民諸君に言わせれば、もう一つ南へ演習場をひっくり返せばいい、そうすれば自分たちは被害を受けない、こう言っておるわけであります。もし航空機の航路になりあるいは定期船の航路になるということで、そういう方面からの反撃、苦情というものを避けるために、力の弱い漁民に犠牲をしい、しかもこれの補償をしない、こういうことになれば実に問題だと私は思うのであります。私どもとしてはそういうようなことを許すわけには参らない。特損法の精神から言ったって当然補償すべきである。ただそういう被害があるということが具体的にわからぬからというようなことでお逃げになると思うが、わからぬのじゃない。わかろうとしないからわからないのであって、漁民は非常にそれを言っておるのでありますから、積極的にこれを調べるべきである。防衛庁自身が調べるべきであると思うのでありますが、そういう御意思はないのでありますか。
  107. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまの御質問のようでございますと、あらためて調査する必要があるかとも存じます。現在の自衛隊法では、水面の利用をして損害を起した場合ははっきりと規定があるのでございまして、これは法律に書いてあるわけでございます。ただ空中の場合についてはそういったはっきりした規定がないと私は思っております。それで問題の場所その他については、さらに一つ適当な調査をいたすということにいたします。法律的にはそういう規定はあるわけでございますが、水面と書いてありまして、空中の場合がないわけでございます。また従来もそういった被害というか、今九州の場合がどうかということでございましたが、これもちょっと承知いたしておりませんが、そういった意味で今まで被害のないと思われるところを選び、また実施の上においてもそういうことに危険のないように努力していったらどうか、こういう趣旨であるわけでありまして、よく調べてみたいと思っております。
  108. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これらの問題は先ごろからの質問に関連した問題でありまして、これはやはり自衛隊自衛隊としての行動をなさるならば、国民の生命や幸福を追求する権利、財産権、こういうようなものに対して誠実をもってこれを解決するという態度を持たなければならない。それができませんならば、私は憲法の精神に従って、この被害を受けます人々の立場に立って、この権利を守る行動を起さなければならないということになるわけであります。私は円満な解決を熱望するがために、どうかすみやかに、先ほど申し上げた谷上部落の問題にしても、この射撃場の問題にしても、あるいは学校の問題にいたしましても、その他自衛隊隊員あるいは家族等の問題にいたしましても、十分誠実をもって解決をなさってもらいたい。騒がなければ解決をしないということでありますならば、これは騒がざるを得ない。われわれもその先頭に立たざるを得ないということになるわけでありますが、そういうようなことは私は望みたくない。どうしても自衛隊の航空の訓練をするため必要であるというならば、当然誠実をもってその解決をすべきである。またそれがどうしてもできないというならば、これは飛行自体を他に移転してもらうよりほかに道がないということになるわけでありまして、どうかこれらの問題について誠実をもって積極的にその解決に乗り出してもらいたい。自衛隊、調達庁の皆さんの今後の御尽力を期待いたしまして、私の質問を終ります。ありがとうございました。
  109. 福永健司

    福永委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十三分散会      ――――◇―――――