○中川
委員 先ほど申し上げました
通り、
昭和三十三年度におきましては人件費だけでも八千億、これに物件費が九千二百億も計上されておるのでございますが、私がここに
一つの疑問を持っておりますことは、これが果して完全に充足されておるかどうかということであります。たとえば八千億という人件費、三百万人という
公務員が予算の上では計上されておるのでございますが、これが果して三百万人まるまる稼働しておるかどうか、こういうことでございます。私の今日まで調査したところによりますと、まず九七%から九八%くらいしか動いていない。そうしてあとの二、三%の人件費、物件費というものはやみからやみに流れておる事例が非常に多いのであります。こういうことはやはり官界に長く職を奉じておられた方でないとなかなかわからない。これは卑近な例でございますが、どの役所を見ましても期末が近づくと、一月ごろから宴会費、出張費が非常に膨大に支出されます。これはその年度にそのきめられた人件費、物件費を使っておかないと次の予算がとれませんから、年度末になりますと役人はいろいろな
理由を設けて出張をする、またいろいろな宴会が行われる。ここに非常にむだな経費が乱費されている事例を私は知っておるのであります。従って三百万という
公務員の数が予算面には計上され、それに要するところの費用は八千億というものが計上されておりますが、これが充足されていない。こういう点はよほど
一つ考えて、
国民は血の出るような汗と油の税金を奉納しておるのでありますから、一銭もむだのないようにすることが私
どもの責務でありますから、これらの点は十分に
一つお
考えを願いたいと思うのであります。
日本の官僚
組織が非常に強靱でありまして、余人を近づけないところの宮廷
政治であることは、岸さんは十分御存じだろうと思うのです。ただいま申し上げましたような点から、彼らの中には国費を平気で乱費するばかりでなく、法の運用さえ自分らに都合のいいように解釈することがございます。またややともすれば憲法さえ無視して
国会を軽視する事例がしばしばある。これはついなま新しい問題でございまするが、先日もこの席であった。私の質問に対して、恩給
局長は憲法違反だと言う。
法制局長官は憲法違反じゃないと言う。
政府は
答弁を統一して後刻返事をするということでございましたが、いまだに返事がない。何が憲法違反だということでございますので、これはいずれ恩給の問題が
審議されます際に
答弁があると思いまするから、私はそのときに譲りまするが、そういうふうに憲法さえ勝手に解釈するというような事例が非常に多いのでございます。私はかって本院に
行政監察特別
委員会設置の際の賛成討論のときにも言ったのでございます。藩閥の
時代にはそのすねをかじり、
政党が盛んになればその
中心に食い込み、軍閥の
時代にはその爪牙となり、さらに終戦後は巧みに駐留軍首脳に食い入って売国的行為さえ行われておった事例があったと私は思うのです。これは私はかつて本
会議におきましていろいろな事例をあげてついたのでございまするが、そういうことがあった。官僚
機構の
簡素化と一口に申しますけれ
ども、余人を近づけない宮廷
政治でございますから、なかなか容易でございません。そういう
意味で私は先ほど来
総理に御決断を願っておるのであります。
総理は、よく知っておるからかえってやれないというようなことを言われておりまするけれ
ども、これは知っておっても知らなくても、なかなかそう簡単に参りません。ローマは一日にして成らないのでありまするから、
日本のこの官僚
機構の民主化ということはなかなか早急には参りませんが、さりとて
国民の信託にこたえなければならないところの
国会として拱手傍観するわけには参らないのであります。どうか先ほど来要望いたしておりますような点について、今回の
設置法の改正につきましては再
検討をしていただく、私
どもも再
検討をいたしまして、そうして
国民の納得のいくような
方向に持っていきたいと思いまするから、
総理の決意を促す次第であります。
最後に私は二、三の問題についてお尋ねをしておきたいのであります。これは先般も
石井副
総理に御質問したのでございまするから、あるいは閣議の席上等でお聞き及びになったかと思いまするが、
総理からじきじきに御
答弁を願っておきたいことがある。それは何かと申しますと、今年は好むと好まざるとにかかわらず衆議院の選挙が行われます。この選挙に際しまして、公正に選挙が行われなければならないことは、むろん申し上げるまでもない。ところが官僚出身の
議員あるいは官界から
議員に立候補する
人たちの今日までの行動を見ておりますと、どうも
公務員の集団的な選挙運動が非常に多いのでございます。たとえば農林
関係でございまするならば農林省の出先機関を総動員する、大蔵
関係ならば大蔵省の出先機関を動員して、そうしてお前の税務署の管轄では何百票の札を取れ、お前の高知出張所の管轄では何票取れというふうに割り当てているのです。こういうことは
総理は初耳かもしれませんが、
公務員は月給が安いとか文句は言っておりますけれ
ども、
仕事を放擲して選挙運動に没頭いたします。これに協力しない者はみんな首にしております。その事例をあげろとおっしゃれば私はあげるし、人の名前も知っておる。そういうことは自分は役人の
立場として、高知出張所長として、あるいは専売局の出張所長としてできませんと言って断わったところが、彼は直ちに首になっております。そういう事例がある。昨夕の朝日新聞の夕刊にも出ておりましたのを
総理はごらんになったかと思いまするが、「
公務員の選挙運動に新判例」というトップ記事でございます。これもやはりその一例でございます。しかし
日本の書高裁判所はこれを有罪と認めて判決を下したので、私はまことに
日本の最高裁判所は健在なりというので意を強うしたのでありますが、とにかくこういう問題はしばしばある。ことに先ほど来申し上げます
通り、今年は選挙の年でございますから、
総理は官紀振粛という
意味からも、この点については十分に配慮の上格主管大臣を通じて出先に対してそういうようなことは絶対にすべきでない、もししたら国家
公務員法あるいは地方
公務員法、人事院規則等に照らして厳重に処分するという通達を出される意思ありやいなや、お伺いいたしておきたいと思うのでございます。