○中川
委員 事務の合理化ということを長官は簡単におっしゃるが、現在の
日本の官庁の機構ではなかなかできない。これはできないような組織になっておるのであります。またそれを合理化されたのでは官僚勢力の温存にならないのです。はなはだ失礼でございますが、たとえば農林大臣なら農林大臣、文部大臣なら文部大臣が、二年や三年大臣の職についておられても、なかなか官庁機構のすみずみまで理解することができないのが現在の
日本の官庁機構なのでございます。長官も各省から持ってきたものをごらんになって、一応この程度は妥当だというふうにお
考えになったでしょうが、各省では持ってくるときにはみんなうまいことを言って、長官に納得させるようなことを申しますから、表だけのお話をお聞きになれば、私は今長官が御
答弁になりましたような決裁を、おそらく一人長官だけではなく、だれでもがするだろうと思うのでございます。長官がお
考えになっておるように、事務の合理化あるいは機械化で能率を上げる、ビジネスライクにやっていかなければならぬということでございますけれ
ども、なかなかそう簡単なものではないということをお
考えの上で御善処を願いたいと思うのです。
それから三十三年度の
政府が示されました給与額を拝見いたしますと、
国家公務員の給与額が約四千五百億、地方公務員が四千九十億、合計いたしまして八千六百億という給与額に達しておるのでございます。さらに物件費を見ますと、三十三年度に九千二百九十六億円という膨大な額に達しておるのでございます。私はこの人件費、物件費を見まして、これが果して全部充足されておるかどうかと、これに実は多大の疑念を持つのでございます。長官は役人の御経験がどのくらいあるか知りませんが、毎年三月になりますと、役人の旅行出張が頻繁になることは十分御存じだろうと思うのです。なぜなるかと申しますれば、今年で申しますと三十二年度にとっておいた人件費、物件費は、その年に使いこなさないと翌年の
予算がとれないのであります。だから、残っておるものはとにかく全部使ってしまわなければだめなんだ、年度内に使わなかったら翌年の
予算獲得おいて支障を来たすからというので、必要もない出張や宴会がしばしば続いておるのでございます。物件費におきましては、これは三十三年度でございますが、おそらく三十二年度も、少し少いか知れませんが、そう違わないと思う、九千二百九十六億円という物件費が果して有効に使われておるかどうかということについても私は一種の疑念を持っております。せっかく
予算を獲得したこの物件費は、年度内に使わなかったら翌年の物件費はもらえませんから、まだ使えるファーニチュアなんかでも、全部役所に出入りいたしますところの特定業者に払い下げて新しい物を入れる。その年度にとっておいたものはその年度内に使うというのが今日までの
日本の官庁における常套手段でございます。ここに非常な国費の乱費が行われておる。ただいま長官がおっしゃったように、いたずらに人をふやし機構を拡大してみたところで必ずしも能率が上るものじゃありません。今
日本における役人の数は一体どのくらいあるとお
考えになるか知りませんが、私の計算によりますと、常勤非常勤をのけまして三百万人でございます。三百万人ということは、一世帯五人家族といたしますと千五百万人の役人ということになるわけでございます。今
日本は人口八千五百万でございますから、八千五百万を千五百万で割りますと大体六人弱で一人の役人を
国民は養っていっておる。こういう役人の多い国がもし世界にございましたら事務当局から御説明を願いたい。私はないだろうと思うのです。実に驚くべき
日本の役人の数です。しかもそれが先ほど来申し上げますように、年々増大していっておる。役人諸君が取っております手当の数も十五種類ございます。それにさらに今年は通勤手当まで
政府は出してきておる。十五種類も十六種類もの手当が役所だけにでも払われておる。まことに私
どもといたしましては奇異にたえないのでございます。私は副総理にお尋ねというよりお願いをしたいのですが、副総理も十分御存じでありましょうが、今定員外の常勤非常勤というものを定員化してくれという陳情が私
どもの手元に殺到しておる。新しく機構を拡大して仕事の能率が上らないから人をふやすというのでございますが、そういう常勤、非常勤の人は一般の職員以上の仕事をしております。実際においてりっぱな仕事をしている人が私はかなりあると思う。こういうものをむしろ定員に入れてやって、差別
待遇をしないような方法が講じられないものかどうか。これは役所におまかせになっておったのでは、現在の定員の中にはまっておりますものは、なるべくこういうものが上ってくることを妨げますから、簡単にはできません。やはりこれは
政治力でおやりにならないとできないことでございまするから、常勤、非常勤の、いわゆる先端に立って働いておりますものは一般の職員と同等あるいはそれ以上の能率を上げて仕事をしておるのですから、こういう人に早く優遇の道を講じてやって、喜んで国の発展のために働くというような
政治的の御配慮ができないものかどうか。
これは今私がこう申しましても、それではやろうということは副総理としても御即答はできないかもしれませんが、こういう点は閣議の席等で十分に
一つ御検討をいただいて、そういうふうに持っていっていただきたい。それが今の行政機構の膨大を防ぐ
一つの道でもありますし、また人員をどんどんふやしていくことを抑制することにもなるのでありまするから、ぜひそうしていただきたいと思うのでございまするが、以上私が申し上げたことに対して、長官御自身として、個人の石井さんとして、どういうお
考えでございましょうか、率直な意見を承わりたい。