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1958-03-06 第28回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月六日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 相川 勝六君 理事 保科善四郎君    理事 前田 正男君 理事 山本 正一君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       大村 清一君    北 れい吉君       小金 義照君    中川 俊思君       船田  中君    眞崎 勝次君       粟山  博君    山本 粂吉君       淡谷 悠藏君    木原津與志君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      高尾 亮一君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  岡部 史郎君         外務政務次官  松本 瀧藏君         外務事務官         (大臣官房長) 田付 景一君  委員外出席者         専  門  員 安部 三郎君     ————————————— 三月五日  委員大橋忠一君辞任につき、その補欠として薄  田美朝君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七四号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第七五号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 福永健司

    福永委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。木原津與志君
  3. 木原津與志

    木原委員 法の改正に関連をいたしまして、外務当局に質問をしたいと思うのでありますが、国交がまだ回復していないのに韓国代表部日本に駐在しておるようでございますけれども、この韓国代表部のことについてお尋ねしたいのですが、韓国代表部というのは正規機関であるかどうか、この点をお聞きしたいのであります。
  4. 松本瀧藏

    松本政府委員 韓国の場合は、御承知通り占領当時に対日理事会というものが東京設置されておりまして、それに韓国代表が派遣されておったわけであります。講和条約発効と同時に、口上書交換によりまして、これは一九五二年の四月二十八日であったと記憶しておりまするが、口上書によりまして、相互の国におきまして領事あるいは領事館待遇を与える代表部一つ置こうという約束が成立しておりましたので、従って日本韓国代表部設置を許しておる次第であります。
  5. 木原津與志

    木原委員 そうすると、これは両国外交関係における正規機関だといって差しつかえないわけでございますか。
  6. 松本瀧藏

    松本政府委員 それに準ずるものでございます。
  7. 木原津與志

    木原委員 そうすると、この韓国代表部韓国から大使だとかあるいは公使というような方が見えておって、日韓両国外交問題についての折衝は、こういう韓国大使公使日本外務関係の人とが折衝されておるようでございますが、この折区画正規外交上の折衝ということになるのでございますか。
  8. 松本瀧藏

    松本政府委員 御承知のごとく、講和条約発効後におきましても、たとえ国のごとく、双方に、代表部を置きまして、国交正常化になりますまでの臨時措置といたしまして、外交官待遇に準ずるいろいろな関係を保って参りした。もちろん韓国との口上書の取りきめにおきましては、日本にもまた韓国にも相互的に置くことになっておったのでありまするが、諸般事情日本韓国には置いておりませんが、ちょうどインドネシアの場合あるいはフィリピンの例にならいまして、韓国代表部も、たとえば昨年の十二月三十一日に取りかわしました例の協定等あたりも、向う正規代表としてこれにイニシアルをいたしました。従ってこれは外交ルートに準ずるもの、またそれに従ってわれわれは効力を発生するものと考えております。
  9. 木原津與志

    木原委員 国際間の大使館公使館あるいはこれに準ずる代表部、こういうようなものは相互設置すべきものであるとわれわれは理解するのです。ところが韓国の場合は韓国だけが代表部を置いて、日本韓国には何らの外交機関を置いておらない。御承知のように、現在日韓の問題は非常に重要問題が山積いたしておりまして、財産請求権の問題あるいは国籍の問題、さらにまた差し迫った問題としては抑留されておる日本人の釈放の問題、こういうようなものが今懸案となってまだ解決するに至っていない。今後日韓会談もやられるという段階でございますが、相手国だけが日本代表部を置いて、日本政治経済その他一切の事情を調査して本国にこれを知らしめて適切な外交上の措置をやり得る立場にあるわけでございます。ところが日本の場合は、こういう重大な問題を前にして、韓国に何らの外交上の機関を持っておらないために、抑留邦人がどういうような状態になっているのか、また韓国政治経済がどういう状態になっておるのか、社会状態等についても何ら知るところなくて、そしてここでこういう日本の将来の安危にかかわる問題を外交折衝しなければならないというような状態は、これははなはだ両国対等立場に立って事を折衝する意味において、私は韓国の場合は片手落ちの感があると思うのです。そういうような状態を長く継続しておったのでは、外交上非常に不利になると思うが、どうして韓国日本代表部なり、あるいはまた貿易等相互にやられているのですから、国交はなくとも通商代表部というようなものでも、あるいは何らかの国家機関を置かなければならないと思うのですが、それを今日まで置かれない理由は一体どこにあるのか、それを詳細に承わりたい。
  10. 松本瀧藏

    松本政府委員 五年前の第三次の日韓会談が決裂いたしまして、非常に空気が緊迫してそのままずっとしばらく持続されたことは、御承知通りでございます。そこで一応日本代表部京城に置くというような計画も立っておりましたし、またその後京城に置く予算、あるいは釜山領事館に準ずるものを置く予算措置等もとってあったのでありますが、北鮮との関係におきまして、南鮮における治安も必ずしも日本と同じように安心できる状態でないことも、御承知通りであります。そういった観点等からいたしまして、目下のところ、こちらからしいて無理押しをして設置しなければならないほど痛痒を感じていなかったわけであります。痛痒という言葉は少し行き過ぎの表現であるかもしれませんが、先方におけるいろんな経済情勢あるいは政治情勢等十分他チャンネルを通じてわれわれは得ておりますのと同時に必要に応じまして、日本側から先方にいろいろな使節等政府代表を送ったりなどしております。  そこで、向うに置いてないから東京にある韓国代表部を閉鎖したらいいではないかという議論も一応立つでありましょうが、しかしわれわれは地理的に、また歴史的に考えまして、韓国との国交を何とか将来正常化していきたいという情熱を持っている次第であります。その意味におきまして、東京における韓国代表部を通じまして、先方政府と十分折衝する一つチャンネルを開いて置く必要から、これをわれわれは迎えておるわけでありまするが、もし全面会談が早急に開始されまして、正式の大使館設置ということになりますれば、その方がかえっていいのではないか、こう考えまして、一応今のところでは差し迫ってこちらが無理をして京城日本代表部設置しなければいかぬとは感じておらない、先ほど申し上げました治安の問題から参りまして、今のところ考えていない次第であります。
  11. 木原津與志

    木原委員 どうも納得いきかねます。治安の問題があるからというお話でございますが、日本外交官韓国に駐留して、日本外交をうまくやっていくという場合に、相手治安がどうとかこうとかいうことをわれわれは考慮すべき筋合いものではない。むしろ治安の悪いところに進んで外交官が乗り込んで行って、そうしてその治安の悪い状況はどういうところにあるのかということを調査したり種々活動をするところに、私は外交官国家の官吏としての責務があると思うのです。治安が悪いところには外交官が行かない、やりたくないんだということを言っておったのでは外交にはなりませんよ。さらにまた、今日までいろいろな韓国事情などは、ほかのルートからまんべんなくとり得たというようなことをおっしゃいましたけれども、そういうような他人まかせのことで一国の外交をやられたのではたまらぬ。やはり日本は、日本の責任ある政府機関なりあるいは民間団体なりといったものが向うに直接行って、むろん他のルートからも資料をとることは必要なのでしょうが、みずからも直接向うの国内の情勢にタッチして、そこからなまなましい外交上のいろいろな問題等を調査して、そうして適切な誤まりのない外交をやらせるというところに外交の真義があると思うのです。この日韓会談という重大な問題を前にして、特に日本韓国状態は通常の状態でないのに、その間にあって拱手傍観向うだけに代表部設置を許して、そうしてみずから向うに、京城あるいはその他のところにでも外交機関設置して積極的にやろうという意思のないということは、これは果して妥当な措置であるか。今日までそういうようなことを考えてもおらなかったというのだったら、私は政府の大きな怠慢だと思うのです。その点についてもう一回伺います。
  12. 松本瀧藏

    松本政府委員 もちろん諸般の不自由は感じております。従って再三再四、韓国におきまして日本代表部設置便宜をはかるようにということを申し入れておるのでありますが、先ほど申しましたような理由等あたりをあげて、いまだにそれに至っていないのでありますが、もちろんわが方といたしましては、熱意があればこそ、やり方が妥当であるという考えがあればこそ、この予算等措置をいたしまして、大体京城に八名、釜山に三名の館員を派遣するという建前で今日まで交渉して参ったのでありますが、先はど申しましたような事情で、相手もあることでありますので、意のままに進まなかったことははなはだ残念に思います。ただし、といってこれも先ほど申し上げましたごとく、それでは、東京におけるところの韓国代表部、店をしまって帰れという態度に出ていいかどうかということになりますと、これは先ほど申しました一つチャンネルを閉鎖することになりますので、やはりそれは一応このまま置いておいて交渉を続ける便宜をはかった方がいい、こういう考えでおります。
  13. 木原津與志

    木原委員 次官は誤解されておられるのじゃないかと思いますが、私は何も韓国代表部を引き揚げさせろということを言っているのじゃないのです。私の申したいのは、少くともこの段階において韓国だけに代表部設置日本が認めて、そうして韓国には日本代表部設置がされておらないというところに外交上の不均衡が生じるのではないか——どもはこの日韓会談についてもいろいろただしたいことがあるのでございますが、ここはそういうことをただす場面じゃないと思いますから、その点は申し上げませんが、日韓会談の問題につきましても、後手ばっかり打っているような感じを社会党は持って非常に歯がゆいのですよ。そういったような点も、結局相手国だけに日本代表部設置を認めて、政府機関として資料収集等についての縦横な活躍をやらしておる。日本だけはつんぼ座敷で、向うには代表部を置かないで、外国のほかからのルートだけでこそこそ資料を集めて対処していくというような態度、しかも片一方だけが代表部を置いて、日本向う代表部を置き得ないということになりますと、国家間の体面から申しましても、いかにも卑屈な態度が見受けられると私は思う。その点、どういう理由韓国に置かないのかということについて先ほどからお聞きしたのですが、十分なお答えを得ることができないので私も非常に残念に思いますが、一体韓国代表部を置くということを向うに申し入れたことがあるのですかないのですか、その点を承っておく。
  14. 松本瀧藏

    松本政府委員 先ほど申しましたごとく、たびたび向うに申し入れておるのでございますが、相手の方でこれに対して十分われわれの熱意をくんで協力してくれないところに大きな原因があると思いますが、その理由といたしましては、やはり治安問題等あたりを持ち出しております。
  15. 木原津與志

    木原委員 こちらで、置きたいという熱意をもって交渉をしたが、韓国側で置かせない、置くことを好まない、置くことを承認しないために、今日まで代表部設置の実現を見るに至らないということであれば、事は非常に重大だと思う。そういうような正規機関に準ずるといたしましても——正規機関でも、相手方が大使を送るならばこちらも大使をやらなければならぬ、公使が来ればこちらも公使をやるというのが外交慣例だというようなことを、あなたは先般この委員会でおっしゃった。そうすれば、正規機関に準ずるものだということで、向う代表部を置くということになれば、これはもう国際通念上、当然こちらにも向う代表部を置かせるということが対等の原則だと思う。それを向うにだけ置かせて、そしてこっちから向うに置くことを拒否されて黙っておる、そのままじんぜんとして、しかも日韓の重要な会談に臨む、こういう態度で果していいものかどうか、外務次官、どう考えられますか。
  16. 松本瀧藏

    松本政府委員 仰せのごとく非常に変則であります。相互主義でありますので、先方が拒否して参りますならば、日本におけるその代表部も拒否するのが相互主義だと思うのであります。これが、普通の外交が正常化されておるところの状態でありましたならば、そういうことも考えられるでありましょうけれども、先刻来申し上げておりますごとく、何とかして一つ日韓の問題を解決したいという熱意からいたしまして、日本におきますところの代表部、店をしまって帰れということになりますと、そのルートが閉鎖されますので、これは非常に一方的に偏してはおるかもしれませんが、その方がわれわれ今のところ政策としていいと思いますので、そのまま継続しておるということを申し上げておる次第であります。たびたび日本代表部設置の問題につきましては韓国側に申し入れてきておるのでありますが、はなはだ残念なことでありますが、今日に至っても承諾してきていないのが実情でございます。
  17. 木原津與志

    木原委員 こちらから代表部を置く提案をしても韓国の方でこれを拒否する、そういうような状態の中で、なお日本としてはルートを締めてはいけないというところから、甘んじて韓国代表部だけを認めておるのだという御答弁に対しては、私どもも感慨なきを得ない。しかし考えてみれば、一方的に何でも韓国から押えつけられて向うの言いなりほうだいになって今日まで来ておる。この事態、たとえば李承晩ラインの問題にいたしましても、われわれ国民としてもとうてい耐え忍ぶことができない、こういうようなむちゃなことを一方的に宣言され、そうしてまた多数の漁夫を越境したという理由で不法に逮捕し抑留しておる、こういうようなこともわれわれは現実に目の前にしておるのです。こういうようなことでは、私は日韓交渉も正常に行うことはできないと思うのです。国際間で今まで日本がそういうような——敗戦講和条約は別でございますが、外交交渉をやるのにこういったような不対等立場外交交渉をやったことがありますか。私はないと思う。そのない状態でなお日韓会談という重大な問題に突入するということでございますが、こうなればもう日韓会談の前途というものは、私は見えすいておると思う。これはもう明らかに日本が不利な態勢のもとに押しつけられるというような状態になりはせぬか。だから少くともまず日韓会談を正式に打ち出される前に、韓国代表部の問題、特に日本向う代表部を置くかどうかというような問題から、私は先に解決しなければならぬと思うのです。それをどうお考えになりますか。
  18. 松本瀧藏

    松本政府委員 ただいま韓国との交渉の過程におきまして、代表部を置く置かないという問題以上に大きな問題がございますので、その方から優先的にわれわれは取り組んでいきたい、こう考えます。
  19. 木原津與志

    木原委員 それではこの問題はもうこれ以上申しませんが、参考までにお聞きしたい。代表部人たち裁判権とかあるいは国旗掲揚権というようなものはどうなっておりますか。
  20. 松本瀧藏

    松本政府委員 外交官待遇を受けておりますので、他の外交官に準ずる、あるいは同等の取扱いを受けております。
  21. 木原津與志

    木原委員 韓国代表部は現在置かれておるのですが、御承知のように、朝鮮韓国朝鮮人民民主主義共和国の二つに南北に分れておる。そのうちの南の方の韓国の方は代表部を置かれておるが、北鮮の方の民主主義共和国の方には代表部が置かれていない。すると向うから代表部を置きたいという申し出があれば、政府はどという措置をとられる方針でおられますか。
  22. 松本瀧藏

    松本政府委員 いわゆる北鮮の場合には南鮮事情が非常に異なると思うのであります。北鮮の方から代表部交換したいという申し出がありましても、これに日本政府といたしましては応ずるわけにいかないのであります。  御承知のごとく日本国連加盟国であります。国連主義日本外交方針一つの柱になっておる限りにおきまして、一九四八年十二月の第三回総会におきまして、いわゆる南朝鮮政府合法的政府であると認めておる限りにおきまして、われわれは代表部交換を今日するわけにいかないのであります。
  23. 木原津與志

    木原委員 国連主義立場に立ちまして、北鮮代表部を置かれないという御趣旨でありますが、事実上朝鮮南北に分れて、北鮮南鮮と分れておる。これは国際連合の決議の中にもありますように、他日南鮮北鮮自由選挙によって統一することを期待するというのが、国際連合態度だと私は理解しておる。そうすればここで南鮮にだけは代表部を許すが、北鮮にはこれを許すことができない、それが国連主義だとおっしゃるのはいささか言葉が足らぬのじゃないかと思うのですが、国連そのものは南と北の両独立国を認め、しかも他日これは当然自由選挙によって統一をすべきものだ、統一することを期待するということを国連自身が言っておるじゃありませんか。そうすればどっちが侵略とか、どっちが被侵略だとか、そういうようなことでなくて、南鮮韓国代表部を認めるならば、北鮮からの申し入れがあれば当然韓国代表部を置く、しかもまた北鮮の方に日本代表部を置くというのが、国連主義建前じゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  24. 松本瀧藏

    松本政府委員 先刻申し上げましたごとく、それは国連主義とは違うのでありまして、北鮮政府合法的政府として認めていないのであります。もちろん国連管理のもとに、南北朝鮮統一並びにそれによって平和及び安全を確保したいという気持は、国連の中にはございます。あるいは近い将来にそういう事態になるかもしれません。なりました場合には、ちょうど最近のエジプトシリア連合によりまして、先方意思によって、日本にこういう格好で一つ大使交換をしたいというようなことを言ってくるでありましょう。従いましてできます形及び客観情勢によって、日本は判断すべきであると思いますので、今北鮮代表部交換をすることは、もちろん先ほど申しましたいろいろな理由によりまして、日本としてはとるべき処置ではないと思います。
  25. 木原津與志

    木原委員 そういたしますと、かりに日韓会談代表部を通じてやられる、そしてもろもろの協定ができたといたします。北鮮の側からすれば、日本韓国との間に協定ができても、これは北鮮を拘束するものじゃない。そうなると全朝鮮にわたる問題を、韓国とだけ協定ができても、北鮮を拘束する何らの力はないということになって、他日北鮮南鮮とが一緒になったという場合には、一体あなた方が現在努力しておられる日韓協定なるものはどんなことになるのですか。
  26. 松本瀧藏

    松本政府委員 先になってどういう形で統一が実現するかということを見ませんと、今の問題に対する回答は出ないと思いますが、少し事態は変っておりますが、エジプトシリアの場合は、両国でおのおの別個に締結いたしました条約はそのまま新しい連合が継承するというような形もとっておりますし、いろいろと先の統一後のいわゆる客観情勢によって事態は変っていくかもしれませんが、今のところはもちろんそれを予測することは少しむずかしいと思います。
  27. 木原津與志

    木原委員 最後にもう一点だけお尋ねしたいと思うのです。南鮮とか北鮮とかいう国は分立して独立しているのでございますが、日本としては、韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国、こういったものは新たに生まれた独立国考えておられるのですか。それとも明治四十二年かに日韓合邦をやりました、あの日韓合邦をやったものの旧国家戦争日本と分離して独立した国家、こういうふうに見ておられるのですか、その点お聞きしたいと思います。
  28. 松本瀧藏

    松本政府委員 講和条約におきましては、日本朝鮮独立を認めるということによって、これは調印しておるのでありますが、果して今北鮮が他の国に完全な承認を得られるような形態であるか、あるいは国民自由意思によって樹立されている政府と申しましょうか、一つの機構であるかどうかということにつきましてはいろいろ問題があるようであります。ごく少数の国がこれを承認していることは事実でありますが、これはほとんど共産圏の国でありますので、自由陣営並びに国連に加盟しておりますところの日本といたしましては、一応国連並び自由主義陣営諸国のとっておる解釈参考にすることは当然だと思います。
  29. 木原津與志

    木原委員 私が聞きたいのは、戦後に新しく独立した国、たとえばアジアあるいははアフリカ等において民族自決によって独立した国、こういうような国と、それから成り立ち上、国家間の対等合併によってできた国が戦争後分立した国とは、同じ独立国だといっても、日本から見れば見方が変るのじゃないかと思う。韓国の場合、これは戦後新たに独立した国ではなくて、合邦した両方の国、朝鮮日本というのが明治四十二年に独立国のまま一緒になって対等合併したものが、分離して新しく独立したのだから、これは旧国家の復活という状態だと見なければならぬと思うのです。その点を外務当局はどういうふうな目で見ておられるか、お聞きしたいのです。
  30. 松本瀧藏

    松本政府委員 ちょっと堂々めぐりみたいな答弁になるかもしれませんが、朝鮮独立を認めるということをわれわれは承認いたしまして、これが日本の旧領土から切り離されたわけでありますが、その後にいろいろの不幸な事態が起りまして、三十八度線というものが引かれまして、北と南に分れておることは事実であるのと、北鮮におきまして北鮮政府、その機関と、それが管轄しておるところの人民のあることは事実でありますが、これが一般世界に承認される国の形を整えておるかどうか、政治的にすベての点において条件が整っておるかどうかということにつきましては、われわれは一応国連解釈並びに自由陣営諸国解釈参考にして方策をきめる以外にないということを繰り返して申し上げる以外にないと思います。
  31. 木原津與志

    木原委員 朝鮮から終戦直後日本人が全部引き揚げた。これは台湾でも同じなんでありますが、こういう集団的に強制引き揚げをやられたという事実は、私は歴史上いまだかつてないと思う。それは軍の命令で二、三の居住がえというものはあったかもしれませんけれども、今度の場合において朝鮮から一切がっさい全部日本人本国強制移住をするというようなことをやられたことは、これはもう歴史上まだ聞いたことがないのです。そういうようなこともわれわれ国民感情として納得がいかないのですね。こういう態度終戦後強制的にやられたということは、国際法違反だと思うのだが、そういうようなことを今さらほじくり回してもしようがないのですが、少くとも何でもかんでも一方的に、何ぼ敗戦をしたからといって向うの言うなりにやられる、それにまた屈してこっちから何ら積極的な手を打たない。すなわち韓国代表部の問題にいたしましても、韓国にだけ代表部をここに置かせて、そうして日本が置くことを拒否されるというような態度を今日までそのまま黙認しておられるというようなことについては、私どもこれは国民としても納得がいかぬと思う。国民感情としてこういう不公平なことをそのままいつまでも——つまり終戦直後の虚脱状態の中においては、国民も一応敗戦意識で固まっておった当時だから、それは許されるかもしれぬが、しかしもう終戦以来十三年ですよ。なお今日こういうような事態がそのまま放置されるということは、これはもう民族の今後の意識のためにも、このようなことはほったらかしておくべきことじゃない。事は小さいかもしれないが、非常に大きいのですよ。だから向うだけ韓国代表部を置いて、そうして日本代表部を置くことを拒否するというような態度を持続するならば、日本政府としてもこれに対しては厳重な決意をしてもらいたい。少くとも近い将来のうちに——日韓会談がどうなるかわかりませんが、日韓会談のできるできぬは別にして、韓国代表部と同等の日本代表部向うに置かせるということの強い決意をあなた方に要求したい。ぜひこれは実現さしてもらいたい。そうしなければこれはいつまでも国民が黙ってはおりませんよ。必ずこれは大きな問題になってくると思う。だから一つその点はとくと留意されて、ぜひとも、向うが置くのだからこっちも置かせる。向うが拒否するならばこっちも拒否するというような強い態度一つ要望したいのです。
  32. 松本瀧藏

    松本政府委員 ただいまの木原委員の懇切なる御忠告を十分頭に入れまして今後交渉さしていただきたい、こう考えます。
  33. 木原津與志

    木原委員 終ります。
  34. 福永健司

    福永委員長 淡谷悠藏君。
  35. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この設置法につきまして一、二点お伺いをいたしたいと思いますが、この外務省の大阪連絡事務所の件でございます。これは一体従来どのような事務を扱い、どのような構成であったかということを御説明願いたいと思います。
  36. 松本瀧藏

    松本政府委員 大阪におきまする事務局というのは、非常に小さな規模のものでありましたが、御承知のごとく大阪にはだいぶ外国との取引等あたりを行なっておる会社が多いのでございます。と同時に、大阪地区には外国の領事館等あたりが相当集中しております。従いましてこれらの領事館等との渉外あるいはいろいろな取引の上におきまする調査であるとか、旅券下付の便宜の供与というようなことを主として今日まで行なってきております。
  37. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 人員等はどうなっておりますか。
  38. 田付景一

    ○田付政府委員 ただいままでは所長が一人とそれを助けております補助員が一人、わずか二人でありますが、来年度からはもう二人ふえまして、四人で仕事をする。そのほかの仕事、たとえば旅券の発給等につきましては、大阪府の方でも援助をしていただくというふうに考えております。
  39. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この説明書を見ますと、「外国事情の紹介、旅券発給についての便宜供与、関西駐在外国公館との連絡」というふうに書いてありますが、二人か三人、あるいは四人くらいの者で財界等との接触が非常に密接になった場合、監督上その他何らか思わしからざる問題が発生するおそれはございませんか。
  40. 田付景一

    ○田付政府委員 ただいままでの経験から申しますと、そういうようなことは発生しないと私は思います。
  41. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大阪以外にこういう例はございますか。
  42. 田付景一

    ○田付政府委員 大阪だけでございます。
  43. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 連絡事務所がないとしましても、大阪におけるような事情が神戸とか、あるいは下関とか横浜、こういったところにも随時発生することがあると思いますが、そういう際にはまた特に連絡事務所を置くというような構想をお持ちですか。
  44. 田付景一

    ○田付政府委員 大阪府のこの事務所は、大体関西地域——別に管轄地域というのはございませんですが、関西地域の方を管轄していきたい、こういうふうに考えておりますので、ただいま御指摘の神戸あたりは、当然この大阪事務所の方で仕事をしていく、こういうふうに考えております。そのほか下関あるいは福岡といったような方にありましては、目下のところ関西地区ほどの事業がございませんので、外務省としてはそちらの方に新しく事務所を設けるという考えは目下のところございません。
  45. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは大阪府の知事及び同地の財界、経済界から、経済外交推進等のため、ぜひ設けてもらいたいという要求に基いて作られたというふうにここに書いてありますが、こういうふうな要請があった場合は、設けざるを得ないと思うのですが、そういう点はどうですか。
  46. 田付景一

    ○田付政府委員 この問題は、御要望があればできるだけ外務省としてはその御希望に沿いたいとは考えておりますけれども、やはり国の予算等も考慮しなければならないと思いますので、目下のところは大阪だけを考えておるわけでございます。
  47. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 端的に申し上げますと、外務省の出張御用達みたいな形になっておるようでありますが、どうも中央の外務省の方針が、その通り流れておるのじゃなくて、一種の財界、経済界等に対するサービス機関のような感じがいたしますが、そういうおそれはございませんか。外交の事務を財界あるいは経済界から要請されまして、非常に密接に民間の中に入るのはよろしいけれども、あまりに深入りしたために、そういう点でルーズに流れるような心配がございますが、その点の御配慮はどうしておりますか。
  48. 松本瀧藏

    松本政府委員 決して財界等の命令とかそういうことでこの設置をきめたのではなくして、経済外交を推進する意味におきましても、ことに経済界の非常に活発な活動のあります関西地区にこういう事務所を設ける方が経済外交推進にも寄与するということとともに、いま一つわれわれが設置に熱心になりました理由は、最近御承知通り、招待外交というものが頻繁に行われ、ことに大阪地区におきまするところの見学等が相当経済外交に功を奏しておるのであります。そういう意味におきましても、ぜひ一つ関西に事務所を設置して、もっと活動範囲を広くした方がいいというわれわれの自主的気持から、これの設置をきめた次第でございます。
  49. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 前半の意味はわかるのです。「たまたま」以後がわからない。そういう意向があったところが、「たまたま、一昨年来大阪府知事及び同地の財界、経済界から、経済外交推進等のため、是非連絡事務所を大阪に設置するよう強い要望がありましたので」、と書いてありますね。要望がなければ、設置の必要があっても、作らない。要望があったから作ったとすると、さっきの説明にもありましたけれども、何か財界からの特別な便宜供与あるいは援助等の申し入れがあったのですか。設置するについて、何か条件をつけましたか。
  50. 松本瀧藏

    松本政府委員 もちろん要望ということは、われわれが決定いたしまする重要参考資料になると思うのであります。両方の意見が一致して、持ってくる必要はないというような強い意見のあるところに持っていく必要もないかとも思いますが、そればかりで決定するわけでもございませんが、たまたまこの財界筋におきましても、便利であるから一つ頼むというようなこともあったことは事実でありまして、意見の一致を見たわけであります。
  51. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう一点のお答えがございませんが、財的の援助もしくはその他の条件で援助するような話はございませんか。
  52. 松本瀧藏

    松本政府委員 財的援助とか、そういったことは一切ございません。
  53. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう一点、国際協力局の問題ですが、これを今度は名前を変えるという案が出ております。国際協力局が以前やっておりました仕事と、今度国際協力局を国際連合局に改めるというこの内容は、何か変化がございますか。名前だけ、看板を変えるだけで、以前の国際協力局と何ら変った点がないというのでしょうか。その点を明らかにしてもらいたい。
  54. 松本瀧藏

    松本政府委員 内容をお調べになればおわかりのように、事務はほとんど国連の仕事がおもになっております。国際協力局というのは終戦後につけました名前で、名前といたしましても少しおかしいと考えますのと、同時に、国際原子力の問題が今度この局で取り扱われるようになりましたので、国際連合局というように名前を変えた方がわかりやすくて便利かと存じまして、変えさしていただきたい、こう考えます。
  55. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 日米合同委員会というのがあったはずです。これはたしか協力局で扱ったと思っておりますが……。
  56. 田付景一

    ○田付政府委員 ただいまの問題は、たしか日本に駐在しておるアメリカ軍の調達関係をやっておったところの、昔、日米合同委員会というのがありまして、これが昔国際協力局にありましたが、それはもう三、四年前に調達庁の方に移ったと考えております。
  57. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは、その日米合同委員会は途中で国際協力局から調達庁に移したことは知っておりますが、今度の国際連合局ではそれをまた、持って帰るというようなことではないのでしょうか。
  58. 田付景一

    ○田付政府委員 ございません。
  59. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 今調達庁が防衛庁に外局として入るという案も出ておるようであります。その場合に合同委員会関係はどうなりましょうか。
  60. 田付景一

    ○田付政府委員 ただいま申し上げましたように、前には国際協力局という名前で、これは国際連合に入っておりませんために、やや不明な字句を用いたわけでございますが、外務省は全体が国際協力関係をやっているわけで、特別に国際協力局というのはおかしい。たまたま今度日本国際連合の中に入りましたので、今度ははっきりと国際連合の仕事をするのであるから、国際連合局と、こういうふうに改めたわけでございまして、従来の調達庁関係その他とは何も関係がないのでございます。
  61. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはあなたの方に質問するのはちょっと的はずれかもしれませんが、前に国際協力局の中にあって現在調達庁にある日米合同委員会、これが調達庁が防衛庁の外局になった場合に、日米関係のものも一緒にその防衛庁の中に入るのか、私はちょっとこれは混迷するのです。これをもう一ぺん国際連合局に持ってくるような構想もありそうに思えるのですが、これはどうなりましょうか。御答弁がなければ、今石井長官がお見えになりますから、そちらに聞いてみます。
  62. 田付景一

    ○田付政府委員 ただいまの外務省でそちらの方の関係をやっているのは、アメリカ局でやっております。防衛関係についてアメリカと交渉をするというのは、むしろアメリカ局でやっておりますので、たといそういうような問題が起りましても、そういう仕事が再び国際連合局に返るというようなことはございません。
  63. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 次官にお伺いしますが、今の御答弁にあったように、防衛庁の外局に調達庁が入った場合、日米合同会議というものは、そのまま防衛庁の外局に入って差しつかえありませんか。
  64. 松本瀧藏

    松本政府委員 仕事の内容からいたしまして、これは防衛庁の外郭団体としてやる方が便利かと思います。もちろんいろいろな交渉あたりでオーバラップする点はあるかもしれませんが、それは防衛庁と外務省関係ばかりでなく、通産省とも、あるいは農林省その他の省ともいろいろオーバラップする仕事がありますが、これは密な連絡をとりまして調整をしておりまするが、所管はもちろん防衛庁の外郭の方が便利かと思います。
  65. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 少しおかしいじゃないですか。防衛庁がアメリカとの交渉を始めるのですか。日米合同委員会というのは米軍の衣住その他の調達事務を取り扱う会議なんです。それを防衛庁がやるというのは、おかしいじゃないですか。
  66. 松本瀧藏

    松本政府委員 調達関係とそれから日米のいろいろな合同委員会の問題は、少し違うと思うのでありますが、今調達庁の機構を防衛庁にくっつけるというような案が出ているのではないか、そういう工合に聞いたのでありますが、あるいは私の質問に対する理解が足りなかったのかもしれませんが……。
  67. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 質問に対する理解よりも、日米合同会議の本質に対する理解が足りないのじゃないかと、私は思うのです。これは前に日米合同会議が、米軍の要求する調達事務をやっておった。特に土地に関してやっていた。それをそっくり調達庁に集めた。従って演習地等の要求に対しては、この合同会議を経て決定してあるのです。これは独立した官庁としての調達庁ならわかりますけれども、防衛庁がそういう外交関係までやるということはおかしいと思います。
  68. 松本瀧藏

    松本政府委員 こちらに駐留しております軍との関係は、主として調達庁でやっておりますが、アメリカ国と日本国との交渉になりますならば、これはもちろん外務省の所管だと思います。
  69. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 日米合同会議はただ調達事務だけではなくて、別に日本とアメリカとのさまざまな協議あるいは申し合せ、要求等についでやっておる機関というように、われわれは考えておったのです。調達だけではないでしょう。
  70. 松本瀧藏

    松本政府委員 今先生の考えておられるのは、日米安全保障委員会と混同されているのではないかと思いますが、最近発足しております委員会ではことに行政協定の問題とか、そういった問題を中心としていろいろやっておりますが、純然たる国と国との外交はこういうルートではなくして、外務省と向うの国務省との間で行われておるのであります。
  71. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 国内に駐留している米軍と、国内との関係を調整するのは、合同会議じゃないのですか。
  72. 松本瀧藏

    松本政府委員 国内におきまする軍との関係におきましては、もちろんそこでやっておりますが、先ほど申しましたように、アメリカ政府日本政府の間の重要問題に関しましては、もちろん外務省が所得しております。
  73. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは国内における米軍と日本内地とのさまざまな交渉は、防衛庁の所管で行なってもいいという見解ですか。
  74. 松本瀧藏

    松本政府委員 根本の問題はそうではありません。これは国と国との取りきめでありますので、協定に基きまして、いろいろな事務の打ち合せあるいは実行等につきましては、もちろんここでやるのでありますが、国と国との交渉は、もちろん防衛庁の所管ではございません。
  75. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 長官が見えておりますから、あなたに対する質問はこれで切り上げますけれども、これはその場限りの御答弁じゃなく、やはり御研究なすった方がいいと思います。米軍のさまざまな要求に対して外務省はタッチをしないで、これを調達庁にまかしておくというぐらいはいいけれども、防衛庁に一たん外務省からそういう指示を与えて、防衛庁から米軍にいきますと、今非常にやかましい問題になっております演習地のジョイント・ユースに対する問題に、ますます混乱を生ずる。この点ははっきり、外交的な折衝に関連のある調達事務と国内的な米軍の調達事務は、区別された方がいいと思いますので、これはあらためてあなたにじっくりお聞きいたしますけれども、あまり委員会答弁と思わずに、こういう点を詳細に御研究下さいますように希望いたして、私の質問を打ち切ります。
  76. 福永健司

    福永委員長 この際各省設置法の改正に関連して、石井国務大臣より発言を求められております。これを許します。石井国務大臣。
  77. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 各省庁の行政機構につきましては、政府といたしましてできるだけ簡素、能率的であることに努力して、その膨張を抑制する方針を堅持しておるのでございますが、同時に行政機構はそのときどきの政治経済、社会の事情のもとにおける諸般の施策や行政の実情に適合するように合理化せられていくべきものであることもまた論ずるまでもないことだと思います。今回の各省庁の設置法の改正は、一見いたしますると、非常に多量に出ておるために、非常な膨張をするように見えるのでございますが、その中には定員の改正を設置法で規定しておるものもありまして、そのための提案のものもありまするし、部長あるいは特別の職を次長あるいは部長に振りかえた方が、より行政の責任を明確にする点から改正をしようとするものもありまして、今回提案の多くは必ずしも機構の膨張となるものではないのでございます。また新設されまする部局についても、現下の情勢関係部局の行政を適切に処理する上から見て、いずれも必要最小限のものであると存じまして、この程度のことはやむを得ぬものだとして処置をいたしたものでございます。また今回の機構の改正に直接伴いまする定員の増加は、各省を通じまして百五十一人でございます。  なお政府といたしましては、行政の運営の合理化または機械化等について、さらに一段の努力をいたしまして、定員の抑制ないしは減少に努めるように努力をいたし、そうして機構の合理化についても力をいたしたいと存じておる次第でございます。以上申しましたような点の詳細につきましてはそれぞれ提案されております各省庁の設置法の改正案を御審議いただきまして、何とぞすみやかにこれが議決されるようにしていただきたいと念願いたしておる次第でございます。
  78. 福永健司

    福永委員長 ただいまの発言につきまして、質疑を許します。中川俊思君。  中川君に申し上げますが、できるだけ簡潔にお願いをいたします。
  79. 中川俊思

    ○中川委員 副総理にお尋ねをしておきたい。きょうは副総理対国会議員というような固苦しいことでなく、ほんとうに国の進歩発展をこいねがうという個人的な石井さんから、率直な意見を承わりたいと思うのです。今事務当局が書いてきました原稿を御朗続になりましたが、そういうようなことでなく、率直な意見を承わって、副総理も私どもと同様に、国の発展を憂えておられるのでありますから、そういう建前から一つ忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと思うのであります。私も決して意見がましいことを言って副総理を困らせるような意地の悪い質問はいたしませんから、どうかそういう意味一つ副総理の忌憚のない御意見を承わりたいと思うのであります。  国会の使命が予算の審議と行政監査にあることは申し上げるまでもございません。そこで私どもといたしましては、行政事務を能率化して、そうして国民に少しでも迷惑のかからないような、できるだけシンプルな行政機構にして、そうして能率の増進をはかり、あわせてこれに要する経費というものも、国民の血税でございまするから、できるだけ経費を少くして、そうして能率を大きくするということに心がけるのが私どもの責任だと実は考えておるのであります。そういう見地から日本におきます官僚機構というものをずっと見て参りますと、行政機構の表も政府からお配りになっておりますが、これを見ましても、日本の行政機構というものが年々大きく膨大化しておりますことは、副総理もお認めだろうと思うのです。鳩山内閣以来行政の簡素化ということがしばしば唱えられて——鳩山内閣のときからではなく、前々から国会の始まりますたびに唱えられておるのでございます。ところが事実は、ことにこの国会になりましてその感を深うするのでございます。事実はこれに反して行政の簡素化どころか、ますます行政機構は拡大して、しかも複雑になっていっておる。国民一つの許認可の事務を行政官庁に持って参りましても、全く戸惑いを生じておるというような状態でございまして、これが日本の民主化をどのくらい妨げ、日本経済の発展、国力の発展にどのくらい阻害を来たしておるかということを実は私は痛感をいたしておるのでございます。これは先年ドレーパー視察団が日本に参りましたときも、副総理も御存じと思いまするが、日本の官僚機構の膨大——あの当時ですら官僚機構の膨大と行政事務の非能率、さらに官僚の腐敗、これについてはもうびっくりしておったのでございます。日本の官僚組織が実に強靱であり、余人を近づけない宮廷政治だ、ここまで極論をしておったのでございます。そういうような建前から、今回政府が御提出になりました各省設置法、これは果して石井さん個人として十分に御検討の上御提案になったのかどうか。むろん普通の御答弁でありまするならば、その通り自分は十分検討して出したとおっしゃるのが通常でございましょう。しかしお忙しい長官が今回のこの各省設置法を十分に御研究になる時間的余裕もなかったかとも思いまするが——はなはだ失礼な申し分でございますけれどもが、十分に御検討になった上、これはやむを得ない。先ほどもお話のございましたように、行政機構を合理化するためにやむを得ない措置だというふうに、御研究になる時間的余裕はなかったんじゃないかと思うのです。また事実長官としてそこまでこの各省設置法について、いろいろな末端の事情まで詳しく御調査になることもできなかったのじゃないかと思うのです。そういうような建前から申しまして、これを慎重に考慮いたしまするときに、私どもといたしましては、ことに私といたしましては、今回のこういう機構がさらに大きくなっていくということに対しては非常に深憂いたしておるのでありまするが、先ほどお話しのように、行政機構はだんだん大きくなっていくから、これを抑制しなければならないということが、私は率直な長官のお考えだろうと思うのです。今回のこの行政機構の非常に大きくなったのにつきまして、長官は今御趣旨を述べられましたけれども、ああいう事務当局の書いたものでなく、一つ長官の卒直な意見をまず冒頭に承わっておきたいと思うのであります。
  80. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 私行政管理庁の長官になりまして、各省から出ておりまする機構改革の問題について順次説明を聞きました。各省からわざわざ説明に見えたのもありまするし、庁内で説明を聞いたのもありますが、いろいろな意見がありましたのをディスカスいたしまして、私自身もこのくらいなところまではやむを得ぬじゃないか、そうやった方がその省の能率が大きく上るのではないかと考えるものを、随時認めていくということで並べてみたのであります。全体的にいたしますると、各省の設置法というものになってたくさんのものが出て参りまするが、各省々々について検討いたしますると、こういうくらいな程度は今日やむを得ぬじゃないか、そしてこの方が実際上によくその省の運営がいくのだろうというものを取り上げて認めたようなわけでございます。根本的の問題と、いたしまして、日本の行政機構をできるだけ簡素化し、そして人員もなるべく少くして仕事の能率をあげていくという線は、これはもういつまでたっても変らない大事な方向でございますが、それなら実際問題といたしまして人をどういうふうに減らせるか、ただもう日本の行政の全体の費用から見てとってもやり切れぬから、天引き二割にしようとか一割にしようとかいうようなことを前にやったこともあるのでございますが、必ずしもそれがいい結果にはなっていないようでございます。ある時期になると、またずるずるずるずるいろいろな形でふえてきておるのも事実でございます。私は、これはやはりそのよって来たるところのものは何がゆえに人がふえるのかというような問題を考えますと、今の日本の官吏の執務の状態等を見ますると、第二次的の仕事と申しますか、その省その省の本来の仕事でなくして、その本来の仕事を助けていくような部分になる仕事において人数がふえますと、またそれにつれてそこの定員がふえておるというような状態でございますが、こういうふうなところに、もう少し機械化と申しますか、仕事の上に人の力にかわるべきものを用いてそこの仕事の能率を上げる。三日かかるものは一日で仕上げるというようなふうに、仕事ができると同時に、人のふえることも押えることができるということになったならば、平たく言えば、ビジネスライクに運営ができるようになったならば、ほんとうにそこの定員がむやみにだんだんふえていくというようなことはなくなるのではないかというような考えをもちまして、目下各省において機械化というような——機械化というのは少し行々しいのでありますが、そういうふうなビジネス・ベースによる経営の仕方というような方法で、何か人力以外のものでこれを助けていって定員をほんとうに合理化できないかという問題の検討を私命じまして、目下やらしておるようなわけでございます。そういうふうな根本的なものから行政機構、定員のあり方等を考えるべきではないかと思ってその研究をやるのでございますが、現実の問題といたしまして各省庁におきましていろいろ機構の改正を持ち出したものは、ただいま申しましたように、私も検討に加わりまして、このくらいな程度のものまで許した方がそこの仕事は能率が上るだろう、これでむやみに人間がふえるようなことがあってはならないのでございますが、さっき申しましたように、今回の機構改正関係からいたしますと百五十一人程度にとどまっておる。ほかの相当な数がふえましたのは、新しく予算のついたものに伴いましての自然増でございます。これも自然増々々々でどんどんやっておったらきりがないんじゃないかという問題が起ってくるの区でございます。そういう根本は、今申しましたように、合理化する方法についていろいろ検討してこれを押えていくというような方向で進めていきたいということを考えておるわけでございます。
  81. 中川俊思

    ○中川委員 事務の合理化ということを長官は簡単におっしゃるが、現在の日本の官庁の機構ではなかなかできない。これはできないような組織になっておるのであります。またそれを合理化されたのでは官僚勢力の温存にならないのです。はなはだ失礼でございますが、たとえば農林大臣なら農林大臣、文部大臣なら文部大臣が、二年や三年大臣の職についておられても、なかなか官庁機構のすみずみまで理解することができないのが現在の日本の官庁機構なのでございます。長官も各省から持ってきたものをごらんになって、一応この程度は妥当だというふうにお考えになったでしょうが、各省では持ってくるときにはみんなうまいことを言って、長官に納得させるようなことを申しますから、表だけのお話をお聞きになれば、私は今長官が御答弁になりましたような決裁を、おそらく一人長官だけではなく、だれでもがするだろうと思うのでございます。長官がお考えになっておるように、事務の合理化あるいは機械化で能率を上げる、ビジネスライクにやっていかなければならぬということでございますけれども、なかなかそう簡単なものではないということをお考えの上で御善処を願いたいと思うのです。  それから三十三年度の政府が示されました給与額を拝見いたしますと、国家公務員の給与額が約四千五百億、地方公務員が四千九十億、合計いたしまして八千六百億という給与額に達しておるのでございます。さらに物件費を見ますと、三十三年度に九千二百九十六億円という膨大な額に達しておるのでございます。私はこの人件費、物件費を見まして、これが果して全部充足されておるかどうかと、これに実は多大の疑念を持つのでございます。長官は役人の御経験がどのくらいあるか知りませんが、毎年三月になりますと、役人の旅行出張が頻繁になることは十分御存じだろうと思うのです。なぜなるかと申しますれば、今年で申しますと三十二年度にとっておいた人件費、物件費は、その年に使いこなさないと翌年の予算がとれないのであります。だから、残っておるものはとにかく全部使ってしまわなければだめなんだ、年度内に使わなかったら翌年の予算獲得おいて支障を来たすからというので、必要もない出張や宴会がしばしば続いておるのでございます。物件費におきましては、これは三十三年度でございますが、おそらく三十二年度も、少し少いか知れませんが、そう違わないと思う、九千二百九十六億円という物件費が果して有効に使われておるかどうかということについても私は一種の疑念を持っております。せっかく予算を獲得したこの物件費は、年度内に使わなかったら翌年の物件費はもらえませんから、まだ使えるファーニチュアなんかでも、全部役所に出入りいたしますところの特定業者に払い下げて新しい物を入れる。その年度にとっておいたものはその年度内に使うというのが今日までの日本の官庁における常套手段でございます。ここに非常な国費の乱費が行われておる。ただいま長官がおっしゃったように、いたずらに人をふやし機構を拡大してみたところで必ずしも能率が上るものじゃありません。今日本における役人の数は一体どのくらいあるとお考えになるか知りませんが、私の計算によりますと、常勤非常勤をのけまして三百万人でございます。三百万人ということは、一世帯五人家族といたしますと千五百万人の役人ということになるわけでございます。今日本は人口八千五百万でございますから、八千五百万を千五百万で割りますと大体六人弱で一人の役人を国民は養っていっておる。こういう役人の多い国がもし世界にございましたら事務当局から御説明を願いたい。私はないだろうと思うのです。実に驚くべき日本の役人の数です。しかもそれが先ほど来申し上げますように、年々増大していっておる。役人諸君が取っております手当の数も十五種類ございます。それにさらに今年は通勤手当まで政府は出してきておる。十五種類も十六種類もの手当が役所だけにでも払われておる。まことに私どもといたしましては奇異にたえないのでございます。私は副総理にお尋ねというよりお願いをしたいのですが、副総理も十分御存じでありましょうが、今定員外の常勤非常勤というものを定員化してくれという陳情が私どもの手元に殺到しておる。新しく機構を拡大して仕事の能率が上らないから人をふやすというのでございますが、そういう常勤、非常勤の人は一般の職員以上の仕事をしております。実際においてりっぱな仕事をしている人が私はかなりあると思う。こういうものをむしろ定員に入れてやって、差別待遇をしないような方法が講じられないものかどうか。これは役所におまかせになっておったのでは、現在の定員の中にはまっておりますものは、なるべくこういうものが上ってくることを妨げますから、簡単にはできません。やはりこれは政治力でおやりにならないとできないことでございまするから、常勤、非常勤の、いわゆる先端に立って働いておりますものは一般の職員と同等あるいはそれ以上の能率を上げて仕事をしておるのですから、こういう人に早く優遇の道を講じてやって、喜んで国の発展のために働くというような政治的の御配慮ができないものかどうか。  これは今私がこう申しましても、それではやろうということは副総理としても御即答はできないかもしれませんが、こういう点は閣議の席等で十分に一つ御検討をいただいて、そういうふうに持っていっていただきたい。それが今の行政機構の膨大を防ぐ一つの道でもありますし、また人員をどんどんふやしていくことを抑制することにもなるのでありまするから、ぜひそうしていただきたいと思うのでございまするが、以上私が申し上げたことに対して、長官御自身として、個人の石井さんとして、どういうお考えでございましょうか、率直な意見を承わりたい。
  82. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 たくさんな人が、総計的にすればたくさんな給与を取って、国費の中の非常な大事な部分を役人のために使われておるというような問題、そうでありますればあるだけに、できるだけ人数を少く、そうして能率が上るような方向に持っていかなくてはならぬということも考えるのでございますが、お話にもありましたように、なかなか一朝一夕に簡単にこれの処理ができない。これは長い間の累積であり、またある人が言われたように、行政整理というものはどぶ掃除のようなもので年中やっておらないとすぐ悪い水がたまる。たまるというか、とにかく流通がよくないというようなことをいわれますので、これは私どもの役所のようなところでは、これを年中取り上げて考えていかなくてはならぬし、またそれを実行に移していかなくてはならぬのでございます。これは今後とも私どもに課せられた一番大きな問題であるということに考えておりまして、さっき申したようなことも、どうやってか合理化して、そうして人が少くて能率が上るような方向に進んでいきたいと考えております。それはなかなか困難な問題がございましょうが、困難だからといってほっておけない問題でございますから、これは私一生懸命これと取り組んでいろいろやっていきたいと思います。  年度末など、いろいろな旅行だあれだということはよく言われることでございますし、これは各省それにはいろいろな事情もあり、中にはおっしゃるようなことでない、もっともだというものもあるかと思いますが、いずれにいたしましても、むだにいろいろなものが使われるというようなこと、人間が多ければ多いだけにむだに使うような場合も起りやすいということもごもっともな御意見でございます。それを、そうでないというものは私ども持たないのでございますが、特にこういう問題についても、もちろん年中いわれることでありますし、気をつけていろいろな注意は役所は役所なりにやっておることもございますが、なおこういう問題の起らないように、少くなるようにすることには私ども全部力を入れていかなければならぬと思います。  定員外の職員を定員化しろというお話、これは数年来の問題になっておりまして、昨年の議会でございましたか、岸総理大臣も何とかしてこれを解決したいというようなことを発言をいたしておりましたが、私も臨時国会のときでございましたか、何とかこれを一つ道をつけていきたい、戦争前には私はこんなものはあまりなかったと思うのでございます。私は非常に古い時代にちょっぴり小役人をしていただけでありまして、あまり実はよく知らないのでありますが、実は昨年あたり聞いて驚いた。定員外でやっておる人の数が約六万人ある。どうしてそんなになってきたかということを調べてみますと、あまり人間をふやすな、ふやすなというので、ちょっと暫定的にというか、仕事本体できめた予算、それの中で臨時的に雇っているというような仕組みでだんだん伸びてきたのもあるだろうと思いますが、いつの間にかそうなっておりますが、この中には普通の職員とお話のように一つもかわらない。それ以上の経歴、能力のある人たちもあるのでありますから、これは何としても片づけなくてはならない。これは公務員法を改正いたしまして、早く公務員法によって、どういう人たちが公務員だということをきめることが第一だと思います。私はその方の係の人にぜひ今度の国会に出したいのだがということで、昨年の募れでありましたが、相談いたしましたが、審議会の答申は受けておるが、まだ実際の案を出すまでに至らないということでございましたので、それならばそれまでの間の暫定的な処置としてでも、どれだけかの人でも、一般の公務員と同じような扱いができるようなことにしたいと思いまして、いろいろ私どもの方でこまかく調べまして、それによってこの程度なら何人、この程度なら何人というようなことで、ずっとこまかい案をこしらえましたり、最後に私判定をいたしまして、ここらくらいで棒を引こうといって集めました結果の人が、一万九千何百、約三分の一でございます。これだけを定員化することを今度の国会にお願いする。公務員法が出ればもっと入る人も何人かあると思う。あるいはみんな何してしまえというようなお話もありますが、そうなると今度公務員の中に入れない人もあると思うのです。そういう関係もありまして、ここらなら両方しんぼうしていただけるだろうということで、約三分の一だけを定員化することにしておるようなわけでございます。
  83. 中川俊思

    ○中川委員 事務当局には、先ほど私が申しました点の人口との比率その他等を文書で出していただきたい。  今副総理から忌憚のない御意見を承わりまして、私もそういうお気持でやっておられることに対しては、まことに敬意を表さざるを得ないのであります。しかしローマは一日にしてならずということがありまして、日本の官僚の民主化もそう急にはなかなか不可能だろうと思う。しかしそうかといいまして、国民の信託にこたえなければならぬ国会といたしましては、これを無視するわけには参りませんから、どうか一つ今お述べになりましたような見地から、十分に御検討をいただきたいと思う。局を一つのものを二つにしてみたり、官房長をいたずらに作ってみたり、そういうことより今副総理がお述べになりましたような、まつ先で働いておる、実際に仕事をしておる連中の優遇措置を講じていただいて、そして事務の能率化、民主化をはかっていただくことが先決問題だと思いますから、このたびの各省設置法の改正法案は、すらすら簡単には国会を通らないのではないかと懸念いたしておるのであります。  さらに私が副総理に十分お考えを願っておきたいと思いますことは、いろいろ局長をふやしてみたり官房長をふやしてみたりしますけれども、結局これは人のための機構を作っておるにすぎない。そういう人たちがほんとうにまじめに仕事をしておるか——むろん仕事をしておる者もございます。私は全部が全部とは言いませんけれども、いつまでも役人をしておってもしょうがない、局長、次官になれば一つ次には選挙にでも打って出ようというような考えから、自分の地位を利用して、在任中に選挙運動に専念しておる。そのために行政事務というものは勢いからになってしまうのです。そういうことから、機構を拡大され、どんどん人員をふやされたのでは、これを養っていく国民の側としては黙ってはおれないわけでございます。実際に役所の中へ行ってみましても——現に副総理も御存じの方で、ついこの間まで役人をしておられた人が、われわれと議席を並べておられる例もたくさんある。その人たちは、私は在任中にたびたび行ってみましたけれども、とにかく仕事はほとんどしていない。役所の中で公金を使って、しかも自分の部下を使って選挙運動ばかりやっておるという事情で、これでは幾ら機構を拡大してみたところで、人員を増大してみたところで、仕事の能率が上るわけはないのであります。従って、国会の中でも、役人をしておった者が選挙に立つ場合の規制を作らなければならぬというような声が、この前出ておりましたのも、私はやはりこういうところに原因があるのではないかと思うのです。しかも一たび選挙になりますと——官僚出身の諸君はお耳ざわりの方があるかもしれないが、お許しを願いたいと思いますが、たとえば農林省に出ておられた方々は、選挙になりますと農林機構をフルに使う。自分が今まで長年農林省なら農林省におったのでございますから、その全国にまたがるところの農林機構にみなつながりがある。選挙のときには、お前のところの耕地出張所は何票の札を取れ、お前のところは何票の札を取れという割当をするのです。副総理、そういうことを御存じですか。私は、役人といえども自分で選挙権を行使することは自由でありまするけれども、出先の役所が選挙運動のためにそういうことをしておることは断じて許せないと思うのです。そういう事例は幾らでもございます。大蔵省出身の人は、国税局あるいは税務署、タバコ耕作組合、専売公社の出張所等をフルに利用して、お前の管轄のところでは何票の札を取らなければいかぬということを全部命令するのです。実例をあげろとおっしゃれば私はいつでもあげます。しかしそれは個人のことになりまするから、副総理と二人だけなら話しますが、こういう公開の席では遠慮いたしますけれども、そういうことに対して、ことしは選挙も近いのでありますが、政府としては、官紀の粛正という意味からいっても、絶対にそういうことはすべきでないという何か特定の指令でもお出しになる御用意があるかどうか。私はこれは副総理としてもお困りかと思いますが、日本の民主化のため、また官僚出身の議員がそういう独善的な行為をやることに対して、炭内内閣の性格といたしましても、十分にお考えにならなければならぬと思うのでございますが、副総理はこれについてはどういうお考えでございましょうか、御所見を承わりたいと思います。
  84. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは今までもやった例が何度かあるということを聞くのであります。これは公務員関係の問題でありますので、人事院が出しておる例があります。おそらく今度もまた選挙も近くあるというのでそういうことでありましょうが、私の方としては別に今までやったことはないのでありますが、御趣旨のそういうことがあってはならぬということには賛成であります。何か考えます。
  85. 中川俊思

    ○中川委員 副総理、これは人事院とかどことかということでなく、岸内閣の副総理として私はお願いしておきたいと思います。これは一つ閣議ででもお申し合せいただいて——今までもやっておったか知りませんが、実効は上っておりません。官紀粛正の意味から申しましても実効が上っていない。公務員法の本旨から申しましても、公務員がそういうことをすべきではないと思う。ですからこれは一つ岸内閣としてこの次の選挙からは——いつ選挙があるか知りませんが、厳重にやっていただきたい。特にお願いを申し上げておくのであります。  以上私は、社会党の方からも御質疑があるので、委員長から早くやめろということでございましたから、この程度にいたしておきますが、今私が申し上げましたことは、そこにおられる官僚諸君にはまことにお気の毒でございましたけれども、しかし私といたしましては、年々官庁機構が膨大になっていく、これに伴って人件費、物件費等がかかると思いますので、私は持論として、人をふやしたところであまり仕事の能率は上らないということは、ちっぽけな企業をやってみて、そういう感じがするのであります。それよりか、むしろ出すものはたくさん出して、そして給与の改善でもして、わずかな人数で能率が上るように持っていくことが、いずれの面から考えましても得策ではないか。いたずらに人数をふやし、人件費をふやしてみたところで、それに並行して能率が上るものでないという建前から、一つ副総理として十分にお考えをいただいて、これらの行政機構の問題につきましては、先ほど副総理からのお話の通り、しかく簡単にいくものとは私ども考えておりません。しかし、政府が常にそういうところに頭を置いてお考えになるならば——今回のように各省こぞって設置法の改正なんかを国会に提案されるまでには、私はおそらく相当の議論があったと思うのであります。多少の議論は閣議でもあったかもしれませんが、ほとんど各省事務当局が出したそのままをうのみにして、国会に出されてきておるような感じがいたしたのであります。私どもとしましては、今回の各省設置法の改正につきましては重大な関心を持っておりまするので、政府としても十分にお考えをいただきたいということを特にお願い申し上げまして、終ります。
  86. 福永健司

  87. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 時間がありませんからなるべく簡単にやりたいと思います。要点をお答え願いたいと思いますが、今副総理の説明を聞いて、実は失礼ながらあぜんとしたわけであります。と申しますのは、少くとも岸内閣といたしましては、副総理である石井さんを行政管理庁の長官として配置したということは、私はこれに対して少しはまともに行政機構というものに取り組む意欲を示したのじゃないか、こういうふうに善意に解釈したのでございますけれども、今の御説明を聞いてみますと、全く反対だ。これは勘ぐって言えば、岸さんの深謀遠慮に基いて、石井さんをこういうところに配置したのじゃないかと言いたくなるほど、情ない状態じゃないかという感じを深めたわけです。御説明によりますと、今度各省に官房長を置くとか局をふやすとか、いろいろなこういった一連の提案が出ておる。これは各省庁の要求に基いておるのだ、こういうことをまず言っておられる。それから第二に、行政機構の簡素能率化ということと、これ以上の膨張抑制ということと、それからもう一つは、これと全くうらはらな、経済情勢その他諸般情勢適合という言葉の中で、ふくらむことを認めたようなことを一緒に言っておられる。一体岸内閣に、行政機構というものに対する確たる信念といいますか、基本的な考え方というものがあるのかということをまず伺うわけなんです。少くとも鳩山内閣は、三大公約の一つに、行政機構の改革というものをはっきり打ち出しました。これは竜頭蛇尾に終っておるとはいいながら、その意図するところには、多分にわれわれも共感する面があるわけです。一つ一つ現われた諸施策の中には、われわれとうてい賛成できないようなものが相当あります。しかし基本的に、民主政治のもと、政党内閣、議院内閣のもとにおける行政機構というものは、どうあらねばならぬかということだけははっきり持っておったと思う。私はこの点については賛成するわけです。一連の法案が議会に出されて参りました。その中でも、再三述べられておったのでございますが、基本的な理念として、議院内閣制のもとにおける行政の責任体制を明確にする、あるいは行政組織を合理化する、政党の官僚に対する優位性の確立をはかるというようなことをはっきり打ち出されておった。私は、これは政党人鳩山内閣の一つの特徴であったかとも思う。この点においては認めるにやぶさかではないのですが、今の岸内閣というものは、これと全くうらはらのものじゃないかという感じがしてならない。少くとも担当大臣である石井さんの今のような説明の中から、私は岸内閣が民主政治のもと、先ほども申し上げたように、政党政治、議院内閣というもののもとにおける行政機構というものは、どうあらねばならぬかというものを持っておるのかという疑問を持ったんでございますが、その点、副総理の口から、あるんだということであれば、明確に一つ最初に御説明を願っておきたいと思う。
  88. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 岸内閣のもとにおいて、現在私どもが主管しておる行政管理庁で、何か行政機構改革について特別な方向を岸内閣の方針として打ち立てるようなものはないか、それも持たぬならだめじゃないかというお尋ねのようでございますが、岸内閣といたしましては、この官吏制度に対しまして、絶えず岸総理が言われておりまするように、三悪追放の旗じるしのもとにおいて、官吏がりっぱな行政をやっていけるように、そして汚職等の問題を根絶したいということを一番大きな願いとしてやっておるわけでございます。その心持を受けまして、行政管理庁においては、各行政機関の監察等に力をいたし、そしてできるだけ汚職の温床になるような問題の払拭に努力をしておるのが、現在の状態でございます。この行政機構の改革というものは、どんな場合でも、今よりもどうやったらよくなるかということを考えていかなくちゃならぬことは当然だと思います。しかしそれかといって、いつでも何か内閣がかわるたびに、こういうふうな方に行政機構を変えるのだという、ただ声ばかり出して、実行せずにおくというようなことであるなら、これは何もならぬことでございまして、旗じるしを上げた以上は、それは小さいものでも一つずつ築き上げていく。私は日本の行政というものは、何も一年、三年、五年で終るものではないと思うのでありまして、これは絶えず考えていかなくちゃならぬ。それでことしそれがないからといって、それをほったらかしてぼんやりしておるというのではないのでありまして、私どもは官吏のあり方というものはかくあるべし、そうして行政機構の動きというものは、ビジネス・べースによってきちんと物事を運んでいく方向を進めていくというようなことについての、非常にじみな仕事に今取り組んでおる状態でございます。  それからその上にどういうふうにやっていくかということは、次の問題として私どもは当然いろいろな問題を考えていかなくちゃならぬのでございますが、決して無為にほったらかしておるという気持はないのでございます。
  89. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私はまだ改革の話までしていないわけであります。岸内閣、政党内閣のもとにおける行政機構はどうあらねばならぬか、その基本的なものを岸内閣は持っておるのですかということをお尋ねしておる。今先ばしりして、大臣は声だけ行政機構改革と言ったって、声ばかりであって、実際にはやれないじゃないか、こうおっしゃったが、その原因についての疑問もお持ちにならないような口ぶり、それほど官僚の抵抗が強いというふうにお考えになりませんですか。少くとも政党政治本来の姿に行政機構を持っていこうとすれば、これに対して官僚勢力の温存をはかる人たちが一斉に反撃を加えて、この抵抗が強いから、幾ら声を大にして行政機構改革を唱えても、これがしまいには竜頭蛇尾に終るのだ、こういう疑問はお持ちになりませんですか、私どもはそういうふうに考えておる。さればこそさらに声を大にし、さらに実行力を発揮して、これに手をつけなければならぬというふうに私たちは考えるのですが、その点はいかがですか。
  90. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 行政機構がきょうよりあす、あすよりあさってというふうにだんだんりっぱなものになっていって、いい行政が行われるということは、われわれみんなこいねがうところであることはもちろんのことでございます。私が言うのは、あなたのおっしゃるのと違わないと思うのでございますが、私どもが今じみに取り組んでいくと申しましたことは、ただ声だけ出して、何もなしに終ってはならない。それには一歩々々下から積み上げていくのだというような心持で、行政機構がりっぱになるようにという線で私どもやっていきたいと思う。こいねがうところの目標というものは、全然あなたのおっしゃることと同じでございます。  それから役人の社会においてこの行政機構改革の反対のいろいろな動きがある、それだから政党人では何もできないというように私どもはあきらめてもいないのであります。これはこうやっていったならば、よりりっぱな行政の機構になるという線が出るならば、私は官吏諸君がただいたずらに反対するとも思いませんが、かりに何かのために反対があっても、私どもはちゃんとした線を押し通していくことに、決して憶病な態度はとらないつもりでございます。
  91. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 一歩々々積み上げていくのだ、声だけ出していてはいけないのだ、こうおっしゃいますが、その一歩々々積み上げていくのが、基本的なものを持たないから妙な方に走っていっておるというふうに、私どもは理解するわけなんですよ。先ほど大臣は、各省庁からの要求が出てきた、いろいろ検討してみたが、この程度のものはやむを得ないだろうという結論になった、こうおっしゃった。この一つ言葉の裏にすら、私は重大なものを含んでおると思う。各省庁から出てきたと言うが、実際は各省庁のお役人さん方が机の上で作って、そして出してきたものだというふうに私ども考えます。少くとも官房長がふえたり、局がふえたり、そういうことが、基本的なものを持っておった場合に積み重ねていくことになるのかどうか、また官僚の橋頭堡を築いてやるような形になっていくのじゃないか、こういうような懸念を僕らは持つわけなんです。戦後今まで何回となく確かに行政機構の改革は行われてきました。しかし幾らやっても、いつの間にかまたふくれていくというこの裏には、官僚の抵抗のすさまじい力というものを私どもは見るわけなんです。まるでトカゲのしっぽを切ったように、切られたしっぽもしばらく生きている、そのうちまた新しいものがはえてくるというようなことを繰り返している。そういうことを繰り返すから、やってもつまらぬというように大臣のお言葉は受け取れやすい。積極的にしからばどうしたらいいかという情熱を込めた御意見は少しも承われない。そこで最初に戻りまして、もう一度お尋ねいたします。民主政治のもとで、政党政治、議院内閣のもとにおいて、行政機構はどうあらねばならぬとお考えになりますか。この点鳩山内閣ははっきりと、先ほど申し上げたように、失敗に終ったであろうけれども、少くとも明確に出しておるので、それに匹敵するものをお持ちですか。持っておれば、私は岸内閣といえどもやはり政党内閣を指向し、これを守り抜いていこうという意欲を持っておることを認めるにやぶさかではございませんけれども、ないとするならば、やはりお里が知れる。官僚温存、この勢力拡大の中で生き抜こうとしておるのじゃないか、そういう妙なひが目で見られてもやむ得ないということになるのではないかと思うのですがいかがですか。
  92. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今のお話を聞いておりますと、今の岸内閣が行政機構改革の何か旗じるしを持っていなければ官僚に屈服するのじゃないか、そういう疑いさえ持つのだというふうにお話のようでありますが、私はそうは思わないのであります。行政機構は現在すでにもうあるものがあるわけでございます。これをどうやってよくなしていくかということをわれわれは絶えず考えていなくちゃならない。さっき私も申しましたが、あなたも今言われたように、ほうっておけばすぐまた変なふうになっていくのだから、絶えず気をつけていなくちゃならない。そこなんです。私どもはそこに目をつけて、そしてどんな場合でも今のでけっこうだということは言っておれないということにおいては、一致するわけなんであります。それではどうやっていくか。ただいまどこの省をどうしよう、あるいはどこの局をどうしようというよりは、私がさっきから何べんも申し上げております問題は、今のような状態でおりますと、何か仕事が出てくる。そうするとこれだけの人間が要る。そうするとその本体の仕事を補助するような二次的の役人が、また何人それについて増さなくちゃならぬというようなことで、ずるずると数が増していくというようなことじゃいかぬじゃないか。だからそれには根本的に今私どもがずっと力を入れて研究して案を立てようと努力しております問題は、ほんとうにこれがただ国の金であって、一向自分の損得には影響せぬというようなことで、役人がだんだんふえていくような状態であってはならない。いわゆるビジネス・ベースによる、そうして最小の費用で最大の効果をあげていくというような心持でこれを見たならば、ここで相当大きな変革を来たし得るのではないか。その上にいろいろなものを考えていくというようなことが、私ども考え方でありまして、非常にじみではありまするが、こうやっていくことにおいて、ほんとうの行政組織というものががっちりとなるのじゃないか、私はそういうふうに取り組んでいこうと思うておるのでございまして、ほったらかしておくというような気は毛頭ございません。
  93. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ずるずるとふえるのはいかぬじゃないかと口ではあなたおっしゃるのかもしれませんが、ずるずるふえつつあるじゃありませんか。今度の各省設置法の内容を、よく御承知と思いますけれども、ちょっと参考までにもう一度思い起していただきましょう。  自治庁に官房長、外務省のアジア局に次長を置く、文部省に官房長、体育局を作り、建設省の道路局に管理部、建設部を置く、法務省に司法法制調査部を大臣官房に置く、通産省通商局に振興部を設置、軽工業局にアルコール事業部を置く、厚生省公衆衛生局を予防局と環境衛生局の二局に分ける、郵政省に官房長、電務局を設ける、電波監理局に部制を設ける、しかも行政管理庁みずから模範を示して、各管区行政管理局の部を増置し、三部制とする。とにかく何もかもふやそうという形がまた出てきておる。これでは今まで幾多の過去の内閣がやってきた機構の改革というものは、もとのもくあみに戻るどころか、さらに改革以前の姿よりももっと極端に局部課がふえる形が出てきつつあるということに、あなたは着目されておられますか。試みに私申し上げてみますと、昭和二十四年六月の改革以前に、行政機関の局は百三十九ございました。ほかに総局が二つあった。部が百二十、課が千五十ありました。これが改革後どのような推移を経たかと申しますと、局が八十四に減っておる。部が百十三、課が千百二十二に減っておるわけです。そうして最近の例を申し上げますと、鳩山内閣当時に、いわゆる各省における課の二割天引整理というものをやりました。これによってだいぶ減っておる。その結果、現在どれだけの局部課があるかと申しますと、局が百九、部が八十九、課が七百九十一です。今度の各設置法の成立を見た暁にこれがどれだけにふえますか、局が百九から百二十二にふえる。しかも郵政省設置法案がかりに提出されますと、これまた一つこの上にふえます。それから部が現在八十九のものが九十四になる。これは郵政省、農林省等の各省設置法が出れば、さらに四部ふえる。そうなると、課がまたずっとふえてくることは必然です。二割天引以前に戻るだけでなしに、それこそ昭和二十四年の改革前の姿に戻ろうとしておる。今まで一生懸命努力をして、あらゆる抵抗を排除して、ささやかながら改革をやったことが、これが水泡に帰するどころか、元以上の姿に戻ろうとしておることに、あなたは何ら行政管理庁の長官として矛盾をお感じになりませんか。まずその点からお伺いいたしましょう。
  94. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは数の上から見ると、あなたのおっしゃる通りにふえております。この問題も考えながら私どもは検討いたしました。しかし現在の仕事の運び方、それからこれから先の仕事の見通しというようなもの等から考えまして、いろいろたくさんな要求がありましたが、ずっとすべてを集め、そうして全体の振り合いを考えながら検討いたしまして、こうやった方が確かに今よりもいい仕事ができる。——かつ私ども心配いたします問題は、こういうことをやりますと、むやみに人がふえていかないかという問題でございますが、これは根本的な行き方の研究は、さっき申しましたようなことで別といたしまして、今度の問題で局、部がふえます。そのために人数は一体どのくらいふえるかと申しますと、さっき申しましたように百五十一人ということでございまして、このくらいのふえ方、それからその部、局の仕事の見通しということから考えると、これを認めた方が国の仕事はずっとよく動くであろうという私どもの見きわめによって決定をいたしたような次第であります。
  95. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは結論を急ぎますが、鳩山内閣においてはこの行政機構の改革に非常な熱意を示された、そして第一次行政制度改革要綱なるものを三十一年の三月三十日に閣議で決定しております。この内容の中でさしあたって関連のあるものだけを読み上げますと、行政機関の内部機構の縮小ということをうたって、行政機関の内部機構が著しく膨張し行政事務の効率的事務を阻害しつつある現状にかんがみ、各行政機関の課を二割整理する、これを打ち出して実行されたわけです。それでは、これは今あなたがお考えになって妥当な方式であったとお考えになりますか。行政機構改革というものをはなばなしく打ち上げて三大公約の中の一つに織り込んだ、その鳩山内閣がもう行き詰まってどうにもならず、格好をつけるためにこういうむちゃなことをやったんだ、こういう批判に通じているような御発言のようでございますが、そういうふうに理解してようございますか、いかがです。
  96. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 鳩山内閣のときには、それが一番いい方法だと考えたものであったと思います。私はそれを非難をいたしません。そしてその通りに努力をされました。その通りいったものもあるし、あるいはいかなかったものもあると思いますが、そのときには鳩山内閣の考えは私はよかったと思います。それだから私どもがまたその通りのことをやれという問題はまたおのずから別でありまして、今の場合においては、私は今すぐにそう二割減というようなものを打ち出すというようなことは、必ずしも考えていないわけであります。
  97. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは行政機構についての考え方、あるいは行政機構の改革というものについての考え方、そういうものについては鳩山内閣当時と今度の第二次岸内閣との間には、必ずしも意見が一致してばかりはおらぬ、こういうことでございますか。
  98. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 どんな場合でも人間をむだにふやして役人の数を多くし、そして仕事のじゃまになるというような方向になるということはあってはならない。これは鳩山内閣の当時にあんまり人数が多くなってむだになり、そのために官署の仕事がほんとうに能率化できないというお見込みであったと思うのでありますが、私ども日本の役人の状況を見まして、これが完全無欠とは決して思っていないのであります。だからこれは何とかしなければならぬということで、先ほどからいろいろ申し上げているふうなことを考えているわけでありますが、鳩山内閣のときそう打ち出したことは鳩山内閣としてりっぱであったと思います。私もそれに賛成した一員でありますから。しかしただいまそれを批判して、それは悪かったから今度変えるというのでなくて、それはそれであったし、今度は今すぐそういうふうな二割減だとか何だとかいうような線等について、まだ考えをいたしていない、こういうことであります。
  99. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 二割の問題に限定してお尋ねしておるわけではないのです。行政機構というものの考え方においては、鳩山内閣と岸第二次内閣とは必ずしも全面的に一致はしない、こういうことですかとお尋ねしたのです。
  100. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 行政機構に対しまして大きな筋において私は変らぬと思います。それは能率化するようにしていかなければならない、むだな人間が多くならぬようにしなければいけない。しかしそれだけではなく、それよりも、あまり人数もふえないで、そしてより能率が上るという見込みがつくならば、決してそれを減らすだけが能ではない、あるいはふやしても——今度のようにふやすことも、一つの行き方である、そして私どもはこの際においてはこれが適当な処置であった、こういうふうに思っておるということであります。
  101. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私も時間を急ぎます。それで要点だけお答え願いたいと思うのです。行政機構についての考え方は、鳩山内閣と第二次岸内閣では必ずしも全面的に一致しませんかという質問にのみお答え願いたい。
  102. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 鳩山内閣のとき、さっき申しますように、大きな方向は同じであると言えると思います。
  103. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それ以上のお答えがないようでありますから、それでは具体的にお尋ねいたしますが、鳩山内閣が公約に基いて四苦八苦した結果、一連の行政機構改革法案を国会に出してきたことは御承知だと思います。その重要な部分が二十四国会以来ほとんどすべて継続審査になっておる。私はこの点について矛盾を感ずるわけなんですが、この際内政省設置法その他こういう法案を撤回される御意思はございませんか。
  104. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 内政省設置法は今せっかく審議中でございますが、これは撤回する方向で今考えております。
  105. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 いつごろされるつもですか。
  106. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 なるべく早く……。
  107. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そのほかの継続審査になっております国家公務員法の一部を改正する法律案、あるいは経済企画庁設置法の一部を改正する法律案、それから二十六国会以来継続審査になっております防衛庁設置法の一部を改正する法律案、こういったものについてはいかようにお考えでございますか。
  108. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 継続してなるべく早くあげていただきたい、こういうふうに思っております。
  109. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは内政省設置法の撤回をなるべく早くされるということでございますが、この点で私非常に疑問を感じておりますので、今すぐ撤回すべきではないかという意味で質問いたしたいと思います。それはどういうことかと言いますと、時間がありませんから一例だけあげましょう。今度の各省設置の中に総理府設置法の一部改正法案なるものがでておるわけであります。これは御承知通りであります。この内容をざっと申し上げますと、南方連絡事務局の名称を特別地域連絡局と改め、総理府本府の内部部局とすること、これか第一。第二に特別地域連絡局の所掌事務として従来の南方連絡事務局において所掌していた事務のほかに、政令で定める北方地域に関する事務(外務省の所掌に属する事務を除く)と改めること、第三、日本政府南方連絡事務所は総理府本府の付属機関とすること、大体こういう内容のものが盛られておるわけなんです。これが今度提案されております総理府設置法の一部を改正する法律案の要綱です。継続審査になっております内政省設置法の方を見ますと——今の総理府設置法の一部を改正する法律案によりますと、附則で南方連絡事務局設置法は廃止するとある。ところが継続審査になっております内政省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案によりますと、第二十四条において「南方連絡事務局設置法の一部を次のように改正する。」とあります。いいですか。内政省設置法の方では南方連絡事務局設置法を改正する、こういう提案が国会に出されておるのですよ。総理府設置法の一部改正の方では廃止するというやつが出ているわけです。全く異なった、矛盾したことを二つの法律案にして国会に提案してくる、こういうことが理屈として成り立ちますか。あまりにも国会を侮辱するものではありませんか。私は直ちに撤回することをここで要求いたします。
  110. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 そういう点もありますので早く引き下げるようにしたい。手続がいろいろありますが、なるべく早くやりたいと思います。
  111. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ほかにもまだたくさんあるわけなんです。先ほど申し上げたように、私はこういうことが果して妥当な方法であるかどうか、まことに理解に苦しんだ。議員が気がつかなければ幸いとばかり、こういうでたらめをやったのじゃないかとひがみたくもなる。少くともこういう無責任なことをやったことが、これから撤回しますという言葉で容認されるものかどうかということについて、私の方でも検討することにいたしまして、一応質問をこれで留保いたします。
  112. 福永健司

    福永委員長 本会議散会後再開することといたしまして、暫時休憩をいたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  113. 福永健司

    福永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし質疑に入ります、質疑の通告がありますから、これを許します。淡谷悠藏君。
  114. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは、われわれはどうもあまりなれていない法案なんで、大へんどうもぶしつけなことになるかもしれませんけれども、きょうは資料を若干お出しを願いたいと思うのです。今提出されております資料だけで見ますと、この内廷費三千八百万円、皇族費百九十万円となっておりますが、これは五年前の数字で経済情勢が変化しておるし、いろいろ皇室内の事情もあるので、これを増額するという案のようでございますが、もう少し詳しい内容がわかれば御説明を願うか、あるいは資料を御提出を願えないでしょうか。どういう点が一番窮屈になっておられるのですか。あるいはまた特別な行事等も予定されておりますかどうか、その点の御説明でもありましたら、お聞きしたいと思います。
  115. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在内廷費が三千八百万円、皇族費が百九十万円となっておりまするが、これは昭和二十八年に改訂せられましたので、それ以後物価の値上りにつきましては一割六分でございますが、この内廷におかれてはその二十八年のころよりもずっと外国の交際関係がおふえになっておりまして、そういうようなことに関連いたしまして費用がいろいろお要りになる面がある。特に服装を整えましたりいろいろする、そういうような費用が従来よりは多く要ります。それから内廷の皇族さん、皇太子殿下、清宮さんあたりもだんだん大きくなられます。そうするとお小さいときよりは大きくなられますと、どうしても費用がよけいかかって参ります。皇太子殿下の場合で考えましても、いろいろ御研究の経費、また御交際、特にお客をなすって一緒に御食事をなされる、そういう御交際の経費、義宮さんにつきましても、今大学の四年で、この三月で御卒業になりますが、御卒業になると、今までよりは御交際の面も考えなければいけない。現在義宮さんの場合に、事務官がきて言うのには、今の経費ではお客をされるのに経費が足りない、現在でも学校のお友達とかその他お呼びになろうとしても、どうも経費を非常に節約してやっておられるので、私ども半分くらい出すとあとがさびしくなるということを申されておりまして、特に御卒業になれば御交際される。その御交際されることがまた皇族様の御活動として必要でもあり、また義宮さんの御勉強にもなるわけですから、そういう経費も考えなければならない。それから清宮さんの方は、以前ですと、ほとんど子供さんのような経費であったのが、だんだんおとなになられますと、これは先日お買いになりましたが、ピアノも要る、また御結婚の準備のことなどもありますし、経費がふえて参ります。  なお内廷には国家公務員でない二十数名の内定職員をやとっておりますが、そういう人たちの給与も改善していかなければならない。二十八年に比較して現在一般公務員の給与は五割上っておりますが、内廷職員の方はそれに伴う十分の引上げはできていないような点もあります。内廷職員としておられるのは、神祇の方を扱う掌典、内掌典、それから宗教に関することでありますから公務員ができませんので、この内廷費の中でそういう方を雇っておられるわけであります。その他生物学研究所の職員、それからごく内輪の女中のような仕事をしているような人、そういうようなものは内廷費で雇っておられまして、そういうのが合計二十四名であります。そういう人たちの給与も幾らかずつずっと上げて参っておりまするが、そうなりますとそれだけほかの方の経費の方に苦しさが出てくる。いろいろごしんぼうを願ってきておりますのでありますが、ちゃうど今度特別職の給与が改訂になるということを聞きました。この前内廷費を増額いたしましたときも、特別職の給与の改訂の機会にそれと見合ってなさったのであります。今度の国会において特別職の給与を改正する法律案がかかるようにも聞いております。もう出ておるようにも聞いておりますが、そういう機会にこの無理になっている点をお直しすべきであろうというようなことで、この三千八百万円を五千万円に直していただきたいということを考えたわけであります。  なお皇族費の方の百九十万につきましても、この百九十万の算定の基礎になっておるもののうち約半額が人件費であります。以前でありますと、宮家の職員は宮内省の職員でありましたのですが、現在宮家の職員として宮内庁の方から行っておりまするのは、事務官一名と運転手一名、それだけでありまして、その他の職員はこの皇族費の中で雇っておられる。そういうような方を宮家によりまして七、八名雇っておられます。たとえば侍女長というような方、それからコックのような人あるいは女中の方とか、あるいは別邸を持っておられるところは別邸の管理人でありますとか、あるいはまた看護婦なんかも雇っておられます方もあります。これは全部ではありませんけれども、そういうように職員を雇っておられます。そういう方の人件費というものが以前よりはふえて参る。一般公務員並みに五割は上っておりません。やはりお苦しいからそれほど上っておりませんけれども、幾らかずつ上って参りまして苦しくなっておられる。一方御活動の面では内廷のことで申し上げたと同様に、外国交関係が近年次第にふえて参っております。それに伴いまする経費というものがやはり要るわけでありまして、服装をととのえられましたり、また贈りものをされるとか、ときによると招待してちょっとごちそうされるとか、そういうような経費がふえて参っておるのであります。そういうようなのをまかなうのには、現在の定額の一人百九十万円——この百九十万円と申しますのは、お一人が百九十万、その配偶者の方はその半額ということでいっておるわけです。お子様は百九十万の十分の一というのを加えております。そういう基礎でいっておるのでありますが、その金額ではまかないかねておられる。赤字が出てきている。それで外部からも、何とかしてあげなくては、あれでは皇族さんの体面を維持されるのにおもしろくないじゃないかというような批判もありまするようなわけでありまして、そういうふうなことを考え合せまして、この際その基本額の百九十万を三百万に上げていただきたいというふうに考えてこの法律の改正をお願いするわけであります。
  116. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 御説明についてなお若干お伺いしたいのですが、何か世間では皇太子殿下の御結婚も間近いようなうわさも立っておりますが、そういう場合の臨時費等をお考えになっておりますか。これはこの中からおやりになりますか。
  117. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇太子殿下の御結婚のための準備費というような大口のものにつきましては、そのうちもし東宮妃が内定にでもなりますれば、そのときあらためてお願いしようと考えておるのであります。ただ場合によると、こまごました小さなものにつきましては、この内廷費の中で考えるようになると思うのであります。
  118. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その予定などもございましたら、どれくらいの臨時費を必要とするか、一応伺っておきたいのですが。
  119. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 その点は現在まだ詳しく検討をいたしておりませんので、どれくらいの経費になりまするかということにつきましては、ここでまだ申し上げるまでになっておりません。先ほど申しましたように、こまかいことは内廷費でまかなうようになると思いまするが、御婚礼の場合になると、国家的な公けの行事としてやらなければいけない。一番経費の要りますのは、要するに一般に申しまする御披露というような形のものであります。その機会に海外のおもな方を招かれて宮中饗宴をされるというような経費が一番おもになると思います。そういうような金がどれくらいになるかということも、お呼びする範囲等をどうするかというようなことによっても違って参りますので、そこまでまだ検討をいたしていないわけであります。
  120. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それから外国との御交遊でありますが、これは皇室の独自の交遊もございましょうし、政府等が何か公式の交際をお願いする場合もあると思いますが、何か費用の上で区別されておりますか。
  121. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 公式に外国のお客を接待されまする経費は、内廷費とか皇族費の中からお出しになるのでなくて、別に予算をいただいてやるわけであります。平生大公使の離任、着任とかあるいは国賓が見えますというような場合に御参加をなさっておりますが、それはこの方の経費でなくて宮廷費の方に予算を組んでおります。なおその予算でまかない切れぬような、外国の元首が特に見えて相当もてなさなくてはいけないというような場合においては、別に予算をお願いしてやっておるわけでありまして、先ほど御説明申し上げましたこの内廷費とか皇族費でおやりになりますのは、ごく私的な立場でやりまする場合の経費であります。
  122. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 資料を二、三お願いしまして、なお別な委員の質問も保留されておりますから、あらためてまた御質問申し上げることにいたします。大体予算に盛ったのはよろしいのですが、今伺いますと、公務員外の使用者もだいぶあるというし、そういうふうな数をできるだけ詳しく書いたものを一つ出していただきたい。それから赤字が出ているというお話でございましたが、赤字などもどれくらい出ておりますか、この点も一つ検討したいと思いますから、資料としてお出しいただきたい。大体そんなものでけっこうです。
  123. 福永健司

    福永委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十九分散会