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1958-04-18 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十八日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 片島  港君    理事 上林山榮吉君 理事 小泉 純也君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本  靖君       秋田 大助君    川崎末五郎君       椎熊 三郎君    廣瀬 正雄君       粟山  博君    杉山元治郎君       羽藤 榮市君    原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務次官  小野 吉郎君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      莊   宏君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社監査局長   辻畑 順一君         専  門  員 吉田 弘苗君 四月十六日  委員濱地文平辞任につき、その補欠として山  手滿男君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員南條徳男辞任につきその補欠として田村  元君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田村兄辞任につきその補欠として南條徳  男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七一号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一九号)(予)      ————◇—————
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。     〔「簡単に願います」と呼ぶ者あり〕
  3. 森本靖

    森本委員 簡単に願いますというヤジが初めからありまするけれども日本電信電話公社法の一部を改正する法律案についての社会党の質問はきょうが初めてでありまするので、そう簡単に参らぬということを最初に申し上げておきたいと思います。  それでまず最初に、今回の日本電信電話公社法の一部を改正する法律案の主要なる目的監事を置くということにあるわけでありますが、そこで現在の電信電話公社監察制度について若干の御説明を願いたいと思います。
  4. 靱勉

    靱説明員 現在電信電話公社におきましては、いわゆる自治監査と申しますか、内部監査機構といたしまして、監査局というものを本社に設けております。地方通信局にはそれぞれ監査部というものがございまして、これに関係しておりまするのは二百八十六名ございます。在来はいわゆる会計監査というものは、経理局会計課におきまして、これはいろいろ会計上の書類の対照その他をやっておりまして、それから別に総裁室にありました監査部というものが業務監査と申しますか、いろいろ会計上以外の問題につきまして監査して参ったのであります。これを統合いたしまして監査局といたしまして、ただいま申したような意味で本社監査の毎年度の方針を立て、通信局ないし通信部現業機関に対しましても監査いたしますが、通信局監査部は主として現業機関監査に当る、こういう体制になっております。
  5. 森本靖

    森本委員 そうすると現在の監査機構としては本社監査局があって、通信局監査部がある、こういうことですか。
  6. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  7. 森本靖

    森本委員 そして二百八十六名という数字でありますが、郵政省の万は特殊事情がありますからこれは郵政省にお聞きいたしますが、郵政省従業員が、電波関係を除いて総数幾らであって、それに対する監察要員幾らである、それから公社の方の従業員総数幾らであって、それに対する監察要員幾らであるという比較をちょっと御説明願いたいと思います。
  8. 小野吉郎

    小野説明員 お答え申し上げます。郵政省電波職員を除きまして、正確に何名というところまでは会資料を持っておりませんが、大体二十五万五千人に対しまして監察官の定数は現在法律では七百名以内ということになっておりますが、実際に現在監察官として配置いたしております実数は六百数十名ということになっておりまして、法律の七百名の限度までには少し開きがあるようでございます。
  9. 靱勉

    靱説明員 私どもの方はただいま申し上げ上げましたような次第でありますが、御案内のように職員定員といたしましては約十八万でございます。
  10. 森本靖

    森本委員 そこで今度この法律が施行せられて、そして監事ができて、別個にこの監察業務が行われるということになった場合に、人員は増加せられる見込みですか。
  11. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知通り監事二名が増員になります。なお事務機構としては現在監査局がありますから、こういう人員を適当に監事の下に再配分を行うということもありますから、総体的な人員としては監事二名だけがふえるという考えであります。
  12. 森本靖

    森本委員 私はこういう方面の組織の問題についてはしろうとでありまするが、二百八十六名という数字になると仮定をいたしますると、片や十八万人で二百八十六名、それから郵政省の方は約二十六万人で六百数十名、約半分ということになるわけであります。ところが郵政省の場合は、これは郵便事業あるいはまた貯金為替事業、保険、それから対外的にも郵便犯罪、そういう面から監察業務をかなり徹底しなければならぬという特殊事情があって、六百数十名というのはある程度大体妥当な数字ではなかろうかというふうに考えるわけでありまするが、公社の場合は、郵政省の場合と違いまして単なる内部自治監査機構としては、この人数に若干多過ぎはしないかと考えられるわけですが、どうですか。
  13. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知通り郵政事業は窓口が非常に多いのでありますし、特に郵便貯金等現金を取り扱っており、事務複雑多岐でありますから、七百名でも現在では少いというぐらいな状態であります。昭和二十四年でありますか、郵政省設置法が改正せられたときの定員そのままであります。しかし郵政事業に比べて経理も単一的であるところの公社は、約四割ぐらいの人員を持っておりますが、これは御承知通り公社は戦後初めての機構でありますし、民間に対しても政府関係機関としてその任を全うしていかなければならないという新しい立場において、特に経理厳正化をはかるために二百八十名という定員を擁して監査に当っておるわけでありますが、公共企業体審議会等では特に第三者監査機構を設けて独立した監査機構を整備すべしというふうな答申があるようでありますが、私は各公社に比べて電電公社は非常に業績を上げておりますし、戦後できたものとしては成績優秀であるという状態でありますので、 これを減員しなければならないとは考えませんがまた増員をしなければならぬとも考えておらないわけでありまして、答申の線をも十分考慮して、機構をより合理的に運営しようという考えで、今回改正案を提案いたしておるわけであります。
  14. 森本靖

    森本委員 公社監査局の二百八十六名というものの実際の身分上の取扱いはどうなっておるのですか。
  15. 靱勉

    靱説明員 公社になりましてから、いわゆる昔の官という名前もつけられませんので、課長クラスと申しますか、そういうのを調査役ということにいたしまして、さらに調査員というものを置いております。また本社等におきましては調査員以外に普通の監査員というものも置いておりますが、大体調査役というものは課長クラスより少し上、調査員というものは大体係長と同等以上ということになっております。  先ほど大臣の御答弁がありましたが、私ども会計監査も持っておりますので、全部これは書面審理その他対照しなければならないので、この半分はほとんど会計監査に当っておる。これは会計計算事務監査ということになります。各現場につきまして年一回くらい回りたいということでありますが、この程度で辛うじて年一回回れる、こういう形になっておりますので、必ずしも十分とは考えておらない次第であります。
  16. 森本靖

    森本委員 そうすると現在は本社監査局長があって、それからまた地方には監査部長があって、その下には調査役調査員、この二つあるわけですか。それ以外には監査関係に従事しておるものはないのですか。
  17. 靱勉

    靱説明員 特別に会計検査等の場合に他の部局の者を監査員として指定することがございます。ただいま申したように、大体の機構といたしましては監査局長監査部長調査役調査員、それが監査に当る次第であります。
  18. 森本靖

    森本委員 監査局長にお伺いしたいと思いますが、現在の経理監査関係については最低が調査員で、それ以下のものはないのですか。
  19. 辻畑順一

    辻畑説明員 ただいま副総裁の御答弁がありましたように、調査役調査員監査員、この三つでやっております。監査に出てくるには監査員の資格を持って出てきます。
  20. 森本靖

    森本委員 そうすると本社におりますところの調査役調査員というものと各通信局調査役調査員というものの身分は同様ですか。
  21. 辻畑順一

    辻畑説明員 私の方の職階という制度から参りますと少し違って参っております。身分は同じですけれども、待遇は少し変って参っております。
  22. 森本靖

    森本委員 どういうふうに変っておりますか。
  23. 辻畑順一

    辻畑説明員 端的に申し上げますと俸給が少し低いということであります。
  24. 森本靖

    森本委員 俸給が少し低いということと、何か身分上というか何級職とか、そういうようなのがあるのではないか。たとえばどこそこの電話局長は何級職で、どこそこは何級職というようなものがあるのではないのですか。私がこれを聞いておるのは、本社調査役調査員というものと、通信局調査役調査員というものが、局長クラスか、どの程度のものに当てはまるかということをはっきりしておきたいと思って聞いておるのです。
  25. 辻畑順一

    辻畑説明員 おっしゃる通りでありまして、月給であると端的に申しましたけれども職階が違うわけであります。
  26. 森本靖

    森本委員 職階が違うのは、本社調査役は何級職調査員は何級職通信局調査役は何級職調査員は何級職、そうしてそれが現場通信部長クラスであるとか、あるいは県庁所在地電話局長クラスであるとかいうように、あなたの方は職階段階があるはずですよ。それと比べた場合に監査役というものはどの程度の地位を得ておるかということを私はただしておるわけです。
  27. 辻畑順一

    辻畑説明員 本社調査役から申し上げますと、本社調査役本社課長クラスでございます。通信局調査役通信局部長と大体同じクラスでございます。
  28. 森本靖

    森本委員 調査員というのはどの程度ですか。
  29. 辻畑順一

    辻畑説明員 本社調査員課長補佐課付の間くらいでございます。通信局調査員課長よりちょっと下という程度でございます。
  30. 森本靖

    森本委員 それから通信部には監査役調査役というものは全然おりませんか。
  31. 辻畑順一

    辻畑説明員 通信部にはございません。
  32. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この通信局監査関係の者は年に何回各現場なり通信部監査して、本社の者は各通信局監査を年に何回程度行いますか。
  33. 辻畑順一

    辻畑説明員 本社から申し上げますと、本社監査局におきましては一年に一度通信局を回りたいと思いまして、昨年は初めてでございますけれども、十一通信局を全部回りました。各通信局通信部取扱局に対する監査はどう行われているかと申し上げますと、これは一律には参っておりません。ただいま副総裁も申し上げましたように、一年に一度はできるだけ回りたいと思っておりますけれども、ただいまのところそこまで参っておりませんで、少くとも二年に一度は必ず回るように努めております。現状はそういう程度で、ばらばらでございます。
  34. 森本靖

    森本委員 昨年の電電公社犯罪事故はどの程度ありますか。——それではそれはあとで御説明願いたいと思います。今の監査機構の不備と冗漫なところ、その両方をついてみたいと思っておったわけですが、あと答弁がないとその問題は出てきません。そこで、今回監事を置いても、地方機関については全然機構は変って参りませんか。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 地方機構は今よりも合理化したいという考えではありますが、人員的にはそうふえて参らない、こういうことであります。
  36. 森本靖

    森本委員 人員的にはふえてこないということではなしに、その人員配置、たとえば通信局だけに存在するというふうなことではなしに、これは郵政省とだいぶ違いまして、公社の場合は通信部長がかなり大きな権限を持っているわけであります。そういうところに一人なり二人なり別個に配置するとか、そういう新しい観点機構改革公社考えておらぬかということを公社に聞きたい。
  37. 靱勉

    靱説明員 今度の監事制度ができましても、これは少し性格が違っておりまして、私ども内部のいわゆる執行機関みずから自治監査をするという現在の監査局系統組織については、今のところさような考えはないわけであります。先ほど申し上げました通りに、一昨年でございましたか会計監査業務監査を統一したということで、現在整備しつつあるわけであります。
  38. 森本靖

    森本委員 だから、今度できる監事というのは、現在の監査局機構の上のどこかに乗ることになるのでしょう、監査局長がなくなるかになって、そうではないでしょうか。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げた通り監事を新しく二名作りたいということでありますが、これは内部監査機構で、監査局とは全然別なものであります。経営委員会任命であり、経営委員会に所属する監事であります。ただ二人ではどうにもならないので、監察仕事をやっておったエキスパートを五人ないし多くても十人くらい手足としてこれにくっつけるが、これは経営委員会の配下としてつけるので、現在の内部監査制度とは別個に作るわけであります。でありますので、こういうものを契機として監査が適切に行われるように、また業務犯罪等も起らないように、内部機構人員をふやすというような問題ではありませんが、より合理的な配置転換等があればそういうものもあわせて考えるという考えであります。
  40. 森本靖

    森本委員 その点についてはよくわかりました。そこで、そうなりますと今回新しくできる監事二名の下にはどういうスタッフができるのでありますか。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 私はおおむね手足になる人を十名以内ぐらい置けばいいではないかという考えであります。
  42. 森本靖

    森本委員 監事二名の下に十名内外として、どういう身分の人を置くのですか。
  43. 田中角榮

    田中国務大臣 私は内部監査機構である監査局十分連絡がとれ、また円満に仕事ができるようにというので、少数精鋭主義で、監査局に勤めておる人とすれば課長クラスエキスパート配置しなければならない、こういう考えであります。
  44. 森本靖

    森本委員 そうすると、監事二名の下に現在の本社課長クラスの者を十名内外置いて、その名目はどういうことになりますか。大臣が答えるより、これは総裁なり副総裁が答えた方がよいではないですか。私の方が大臣より今の機構については知っておりますが、今度できるものはどうやるかということがわからぬわけで、これは政治的な感覚でお答えになるより事務的にお答え願った方がよいと思います。
  45. 靱勉

    靱説明員 監事の下には事務局を作りまして、そこに調査役一名または二名、あと調査員を十名内外というふうに考えております。  なお、先ほどの御質問に関連して申し上げます。三十二年度の総計はまだできておりませんが、上半期におきまして部内者犯罪は二十六件でございます。三十一年度は六十三件、これは公社監査機関において調べたものでございます。
  46. 森本靖

    森本委員 そうすると監事室というような名目になりますか。
  47. 靱勉

    靱説明員 私どもはこれは経営委員会に属するというような考え方を持っております。しかし内部組織につきましては総裁から提案いたしまして、経営委員会決定にいたしたいと思っておりますが、その際は監事室というのを設けたいと思っております。総裁直属機関ではございません。
  48. 森本靖

    森本委員 監事室を置いて、そして調査役一、二名置いて、調査員五、六名ということで、大体この輪郭が浮び上ってきたわけでありますが、実際の仕事はどういうことをするわけですか。
  49. 靱勉

    靱説明員 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、大体この立法の趣旨から見まして、やはり経営委員会公社における重要事項最高意思決定機関になっておりますから、その経営委員会の指示を受けまして、経営上のきわめて基本的な重要な問題につきまして総合的に監査する。その場合におきましては、もちろん内部機関監査は、あるいは各局に対して資料要求することは当然できるわけであります。そういう観点から重点的に、経営の総合的な監査と申しますか、あるいは特定事項につきまして監査をするという場合もあるかと存じております。
  50. 森本靖

    森本委員 経営の総合的な監査というふうに言われますると、これは非常にばく然としたことであって、私は将来このものができて公社が非常に発展をしていくということならけっこうだけれども内部的に仕事の問題においてなわ張り争いとか、あるいはまたできたことによってかえって複雑になるというようなことがあってはならぬと思って、特にこの点について注目をしておるわけでありますが、今総合的な経営監査というふうに一言で言われますけれども、たとえば具体的にどういうことをこれが行うのか、行う場合いにはどういうふうなスタッフを使ってどういう方法において行うのか。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 森本さんが御心配をすることはわかるのですが、私がこの監事制度を作った根本の考え方一つ申し上げればきっと明確になると思いますから申し上げますと、御承知通り他の二公社には監事制度がございます。また部内監査機構もございますが、全然別個な監査制度があるということが一つ、もう一つ公社以外の日本放送協会住宅公団さえもこういうものがあります。同時に公共企業体を合理化するために作られた審議会答申は、いわゆる自己監査を行うところの内部監査機構の充実はもとよりであるが、他の公社のように第三者任命によるところの第三者監査機関を設くべしという答申が出ております。でありますから、私はこの答申の線に沿って、しかも膨大な外部監査機構は現在の電電公社としては必要ない。特に行政管理庁及び会計検査院監査も受けておるのでありますし、内部監査もうまくいっておりまして、六十件のものが二十件に減っておるというふうに、事業量はふえながら業務犯罪は漸減をしておるような状態でありますので、屋上屋を重ねるような膨大なものは必要としないということで、答申趣旨十分了としながら、必要最小限度のものでもって一つまかなおうということでもって、二名の監事制度というものを新たに提案をしておるわけであります。でありますが、この監事内部監査機構と違いまして、監事みずからが監査を行わなければならないということで、第三者的な立場監査を行うことが一つ。もう一つは特に郵政大臣要求によって監査を行う、これは修正になるかわかりませんが、私の考えではいずれにしても郵政大臣要求があった場合、監査を独自な立場で行うということ、もう一つは、経営委員会要求せられて、経営委員会権限内において自分がきめたところの事業がうまくいっているかどうかということに対して、経営委員会意思をもって監査を行うという三点があるわけであります。でありますから、内部監査機構もありますし、特に総裁、副総裁特別委員ではありますが、経営委員の一員でありますので、特に膨大な監査機構を必要としないということで、二名の監事のもとに少数事務局員を設けようということでありますので、監査屋上屋を重ねまして混乱をするようなことは絶対に排除しなければならぬということが原則であります。もう一つ監事仕事といたしましては、公社総裁と意見が違うようなことができた場合、また総裁が欠けたような場合に対して、監事をして一時代行任務を行わしめるという新しい法律的な権利も作りましたので、監査のためのみに作った監事ではないということを御了承願います。
  52. 森本靖

    森本委員 大臣が言われたその政治的な問題については私もよく承知をしておるわけです。ただこれが具体的に発足をして実行の段階になった場合に、一体どういうスタッフを使って——たとえば経営委員会が今の執行機関についてはどうもちょっとおかしい、一つこのことについて調査をしてみろということを監事命令を下した場合、結局その命令を受けた監事としては、やはり公社執行機関の、総裁直属部下を使って調査をしなければできないわけです。そういうふうなことで、監事の二名だけがそういうことで独立をしておって、実際に仕事をする者はそうではないというような観点になった場合に、それで果してその目的ほんとうに達せられるかどうか。これははっきり言って総裁、副総裁理事監事見解が違った、それでは一つ調査をしてみようということになった場合、実際に調査をする者はやはり総裁、副総裁理事の下の部下調査をしなければならぬ。そういうことになった場合に、果してこれがうまくいくかどうかということを私は心配をして聞いているわけです。だから、そういうふうなことについては公社当局としてはどうお考えになっておりますか。
  53. 靱勉

    靱説明員 先ほどお答えを申し上げましたのは非常に抽象的に申し上げましたが、たとえば行政管理庁監察局あたりがやる監査というものは、やはり公社とはまた別の見解でいろいろ行政監察をやられているわけであります。外部から指摘されて直すというより、できるだけみずから直したいというので、この監事は、経営委員会に属するという形になりますけれども、いわゆる執行機関業務監査する、こういう形になって、総裁、副総裁以下の執行している業務監査、こういうことになるわけであります。ただいまの御質問では、実際においては総裁、副総裁以下理事その他を使ってやるのではないかとおっしゃられますが、すべてこういうふうな監査というものは、いろいろな資料に基いて、貴重なる資料を集めてそこに判断を下す。あるいは直接自分で何か見なければならぬというような場合もあり得ますけれども、他の会計監査にしましても、行政監察にしましても、やはり公社監査を受ける場合にはいろいろ公社書類を提出してそれによっていろいろと監査を受ける、こういう形になっておるわけでありますから、監事が独立的にそういうような権能を執行することは何ら混乱がないものと私は考えております。
  54. 森本靖

    森本委員 とにかく現在の公社に対してこういう監査をするのは、先ほど言った自治監査があり、会計検査院があり行政管理庁があるということで、さらにその上に今度はこの監事というものができて、経営の基本的な問題について経営委員会から要請があったら監査をする、こういうことになっているわけでありますが、私はこれほどいろいろなあらゆる観点から、そんなに次から次へやらなくてもいいのではないかという気がするわけであります。しかしせっかく大臣が意気込んでこの法案を提案して監事を二名置こうということでありまするから、その監事を二名置くということの実際の効果、そういうものを私ははっきりとさせてもらいたい。先ほど来の答弁をずっと聞いておっても、何のために監事を置かなければならぬかという基本的な理由というものが、まだ明確にたっておらぬというふうに私は考える。そこで経営委員会の中で執行機関とはこれは全然別個なものであるというふうに副総裁も言われたけれども、たとえば詳細に検査をするところの会計検査院あたりになりますと、書類の上だけの検査ではございません。現実にその係員が現場に行ってそれぞれ詳しく調査して、そうして会計検査院は独自の立場においてこれを提出するわけです。そういうところまでやらなければほんとう第三者的な立場における監査というものはできないと思うのです。ところがこの場合は調査役が一、二名と調査員が五、六名で十名内外スタッフで、実際に経営委員会から言われても、それを行うのはやはり執行機関の人がその調査資料なりあるいは意見を付して出してくるわけです。それを監事は、経営の問題について、ただ総合的な判断に立って大きな観点からのみ注意をするということならまだ比較的話はわかりますけれども、ある程度監察業務というものを兼ねたような格好になるならば、これは全然無意味だということになるわけです。  それからもう一つ心配いたしますのは、たとえば十名内外スタッフを持って監事が大所高所から大きな判断でしようと考えてやっても、その場合にこれはどうも不利益な資料だ変なものを出されては困るというので、執行部がこういう調査については遠慮しろ、こういうようなものについては、出せ、こういった指示をすれば、自然とそういう指示に従った調査資料によって片寄った判断を出さざるを得ない、こういう格好になるわけです。こういう機関はほかにもありますけれども電電公社としては妙に中途半端な機関になって、要らぬのじゃないか。もっとも監事というのが理事同様なポストであるということで、だれかを救済するということにおいてやるなら別でありますが、実際公社業務の内容から見た場合においてはあまり必要でないのではないだろうかと考えておるわけですが、どうなんですか。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 非常に重要な御発言でありますから明確にお答えいたしておきます。これは必要でもあるようだが大して実効を上げられない、それならばやめてもいいのじゃないかということでありますが、そうじゃないのです。そこがこの法律案のいいところなんです。第三者監査機関のようなもので下まで徹底的に、会計検査院がやるような仕事をやろうとしておるのではないのです。これは全然違うのです。会計検査院行政管理庁がやるように言いますが、監査局がやっているよりもより高い立場において筋を通さなければいかぬ、こういう考えであります。全然別なものを作って事務機構を整備するという考え答申にあります。しかし私は戦後の電電公社経営の実態を見ておりまして、非常に成績優良だと思っているのです。でありますから、屋上屋を重ねるように、いわゆる事業執行上紛淆を来たすようなものはなるべく避けて、必要最少限にとどめたいという考えであります。現在のままでいきますと、公共企業体に対していつか外部監査機関というような第三者任命のような形のものができるおそれがありますので、私はそれよりも一歩先に、電電公社はこれでいいのによって万全を期せられるという考えなんです。もう一つは、こまかい監査をやるわけではなく、経営委員会が最後の意志決定機関でありますが、その決定が執行部によってどう行われておるかということを監益する機関がないのであります。これは一般事業においても、株主が取締役を選任すると同時に監査役という相対立する者を置いて取り締るということと同じであって、監査役二人か三人でもってそんなことができっこないじゃないかということではなく、当然いかに執行部が行なっておるかということについては機構膨大にして事業の進展を阻害しないということを原則として、やはり必要なものは作らなければいかぬという考えであって、これが事務機構三百名を持つようなものであったら私は作らないのです。しかしそういうものができるような方向にあるものですから、私は電電公社を愛しておりますから、そういう意味でも二名に十名くらいのスタッフをつけて、経営委員会の所属にさしておいて、場合によってはそのうちの一人が総裁権も代行できるという非常に重要なポストでありますので、より高い立場から要求された監事制度であって、犯罪調査まで行うということではありませんので、監査局に意見を求めたりいろいろすることがあっても、これは機能を執行するにどうしても不適当だというようなことはないようにやれると思います。
  56. 森本靖

    森本委員 大臣の言われることは、他の公社あるいはその他会社から見て、常識を言っておることであって、私は現実の今の公社のあり方から、公社業務執行のあり方からいって、それが果して大臣が言うような理想的な運営ができるかどうかということを心配しておるわけです。だから私は場合によっては自治監査人員をこれにくっつけてしまって、そうして一つスタッフをこしらえた方が、何も公社人員がそれでふえるわけではないのですから、そういうようにした方がいいのではないかという気もするわけです。というのは、今言ったような一応経営委員会というものに、執行部と監事と両方束縛されている。しかしそれぞれ違った性格を持っておるものだ。それぞれ違った性格を持っておって、自分経営委員会で決議したことをいかに執行部が執行しておるかということを、大局的な見地から見て判断するのが主要な任務であるということに、なるならばその場合にいかに執行しておるかということを判断する材料というものは、すべて執行機関から上ってくる。そこでこれは官庁の統計にしてもあるいは各公社の統計等にしても、とりようによってはどうにでもとれる。あるいは提出のしようによっては、どうでも自分の都合のいいようにある程度はできるというのが、今の公社なり官庁の仕組みなんです。だからそういう点を考えた場合には、大臣考えておるような理想的なことが、現実の問題としてはなかなかうまいこといかぬのじゃないかという心配が起るわけです。そこで、最初に私は自治監査機構というものがどの程度あって、どういうふうに配置をせられておるのかということを聞いたわけであります。その辺の関係を一体どう考えておるか、こういうことです。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 筋からいいますと、国会と内閣と会計検査院が独立しおりますように、経営委員会執行機関である総裁、副総裁監事が独立するという答申の線が筋としてははっきりしておりますが、私は他の公社に比べても、電電公社は非常にしっかりよくやっておりますから、それ以上他の公社のように平仄を合せて膨大な第三者監査機構を設けることが、公社経営にプラスになるかどうかということに対しては多少疑義を持っております。でありますが、平仄を合せるが実害のないよう、こういう信条に基いておりまするが……(森本委員「中途半端だ」と呼ぶ)その中途半端というのがまたこの法律の非常にいいところだということを、一つお認めいただきたいのであります。内部監査機構としては政府に行政監察機構があるように監査局はあります。そういうものがありますから、監事というものに監察機構を全部くっつけてやろうかということを考えたのですが、今の機構においては、監事というものはさっき申し上げたような状況のものであって、大体監査局が全部監事に所属をして非常にうっとうしい、いつでも隣には監査役がおるのだというようなことよりも、自己監査で実効を上げておるから、それはそれとして最小必要やむを得ざる限度において監事制度を作る。今日の段階においては私は電電公社を信用して、この程度でもってよろしい、こういう考えであります。
  58. 森本靖

    森本委員 大臣のその考え方は私はわかりますけれども大臣と私の相違は、大臣は政治的に考えそう判断をして、私は現実の今までの公社の運営と執行方法を見ておるから、そういう心配があって言っておるわけであって、大臣答弁を聞いておっても、おそらくこの速記録をあとから全部見た場合には、読んだ人は、やはり監事というものは中途半端な機構だなということを感ずるだろうと思う。これは大臣がそういう答弁をしても、あとで今のこの質疑応答の詳細な速記録というものを、これは電電公社の専門的な人が読んだ場合には、やはり監事というものは、だれか偉い人のポストをこしらえるために作るのかなあということを、率直に言って私は感ずると思うのであります。私は何も膨大な監査機構を作って、そうして電電公社をぎゅうぎゅう締めろということについては反対であります。反対だけれども、現実に自治監査をするという機構があるわけです。それをそのまま置いておくということならば、こういうものができれば一応その指御下にスタッフを置いておくということが、やはり本来のあり方からすれば正しいのじゃないか。それを自治監査自治監査で置いておいて、監事監事で置いておいて、わずか上の方に十名程度ぽこんと本社に置いておいたところで、実際これは率直なところ何もしょうがないのです。そういう現実の面に立って見ると、この法案が通った場合においては、優秀な総裁、副総裁がおられるし、また公社スタッフもなかなか優秀な人がおられるので、おそらく大臣が言うように円満にいこうとは思いますけれども、いずれ私が本日質問したことについてこれが当ったということのないように、一つこの執行については十分に決意をして、このことについては一つ総裁もよく聞いておいてもらいたいと思うのです。だから私はこの問題があるからわざわざ総裁に来てもらったわけですから、総裁もこの問題はよく聞いておいてもらいたい。今の大臣なり副総裁との質疑応答の中においてもこれははっきりとした。これを置いて明確に公社事業が上っていくということについては、まだまだ納得がいかぬだろうと思うのです。しかし今言われたように、やり方によっては最高度に発揮することもできる。だからこの点についてはよく公社の執行部としても十分考えてやっていってもらいたい。あの委員会において質疑があったがやはりこういうことになったということにならぬように、老婆心から私はこの際申し上げておきたい、こう思うわけです。  それから次に経営委員会の問題についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、今回監事任命についても経営委員会任命をする、こういうことになっておるわけでありますが、現在の経営委員会の運営方法はどのようにやっておられますか。
  59. 靱勉

    靱説明員 経営委員会委員は五名であります。それに特別委員として二名ありますから七名で構成されておりまして、公社法に規定してあるような形で議決していくわけであります。定例的には月二回ということになっておりますが、問題の多いときには毎週開催する、こういう形になっております。
  60. 森本靖

    森本委員 経営委員会は月二回は必ず開いておりますか。
  61. 靱勉

    靱説明員 これは必ず開いております。
  62. 森本靖

    森本委員 それから経営委員は現在無報酬になっておると思いますが、どうなっておりますか。
  63. 靱勉

    靱説明員 報酬はなしでございます。
  64. 森本靖

    森本委員 経営委員は報酬はなしでありますが、そういうように定例的に出てきた場合はどのくらいものを措置するわけですか。
  65. 靱勉

    靱説明員 これはほかにも一般の非常勤のいろいろな例がございますが、大体実費、車馬賃その他としまして一回に委員長が二千二百円、委員が二千円ということで大体やっております。
  66. 森本靖

    森本委員 そこでこの経営委員会仕事というものは、この電信電話公社法から見てもかなり領分があるわけです。もっとも経営委員がぼんくらで公社の執行部がしっかりしておって、そして執行部の言う通りめくら的に異議なし異議なしで通れば別ですけれども経営委員ほんとうにこの電信電話公社法の精神にのっとって、経営委員会にかかる問題を一々克明に、自分の能力と判断によって、これを執行していく、議決していくということになって参りますと、経営委員というものはかなり仕事があるのじゃないか、この公社法から見てもこう考えるわけです。もっともそれで無報酬でやろうというのは、よほどこれは特殊な社会奉仕をする人でなければ、今日の電信電話公社の内容から見たらできないと思うのですよ、率直なところ。そこでそういうことからいたしましても、執行部がだんだん経営委員会に対しても力が強くなってしまって、執行部の独走になるというところに私は大きな原因があるように考える。そういうところを考えたかどうか知りませんけれども、全体的には反対でありますけれども、今回の放法法の改正においても、いわゆる放送協会の経営委員等に対しては若干の報酬を与えるということが出ているわけです、同じ政府の提案として。そうなって参りますと、今回の電信電話公社法の改正を出す場合にも、同じ政府が提案をするなら、私はやはり経営委員のあり方については十分考えて提案をした方がよかったのではないか、こう考えるわけでありますが、この経営委員の問題については報酬その他については今回は全然触れられておらぬ、これはとういうわけか。ちょっと大臣でないとお答えができぬと思いますが……。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 経営委員会委員は非常勤委員に対しては実費弁償でもって、給与は支給しないということで原則的に今日まできております。でありますからNHKの経営委員も実費弁償だけであったのでありますが、今度の放送法ではもっと法律に基く仕事をやっていただくためには、当然費用弁償をすべきであるという考え委員は報酬を受けるものとするということを考えたのでありますが、委員の方々が受けるものとするというのでは、もう委員をやめなくちゃいかぬかもしれませんけれども、受けることができるということの方がより妥当であるということでございましたので、今度の改正案で受けることができる、こういうふうに規定したわけであります。電電公社経営委員に対しても、この法律案提案のときよく考えました。しかも答申案では懸賞委員は非常勤の者でも報酬は受くべきである、こういう答申が出ております。審議の途中でありますか、いずれにしても受けた方がよいという議論、それから受けることができるというふうにした方がよいという議論があった、これはおわかりの通りであります。経営委員は御承知通り委員長に大橋さん、委員に古野さん、井上さん、新関さん、中山さん、特別委員に梶井、靱両氏、こういうふうで、金に困らない人であります。われわれはいただかなくても十分法律上の職務を行います、こういうお話もありましたので、このたびは改正しなかったのですが、ただ要らないから支給しないでよいのだという考えではなく、政府関係機関経営委員等の問題に対しては、近い将来に何らか筋を通した支給をするとか、しないとか。実費はもっとも二千円などでは車馬賃にもならないと思います。遠いところから飛行機で来る人は八千円の損でありますから、そういう人に対してはもっと実情に合わしたものにしなければならない。これは鋭意調査を行い、できるだけ早い機会に妥当な結論を出したいということで、今般の改正案には委員は報酬を受けることができるということは入れなかったわけであります。
  68. 森本靖

    森本委員 大臣考え方は提案の仕方はわかりましたけれども、私はそれについてはだいぶ不満であります。公社当局としてはそれについてどういう見解を持っておりますか。実際に経営委員のお世話を願っておって、その経営委員状態を見て、この問題についてはどうお考えですか。
  69. 靱勉

    靱説明員 実は私ども監事制度考えましたときに、経営委員会の問題もございまして、今大臣が仰せられたより経営委員の方には適当な報酬を出した方がよいというふうに総裁ともお話しておる次第でございます。
  70. 森本靖

    森本委員 これは公社当局もそういう考え方であるし、大臣もこれについては反対しておらぬ、大体賛成の意向ですが、そういうことなら、公社法が一応提案されておるわけですが、きょうかりにこの問題についても修正議決したらどうなのですか。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 院議には全く従う予定であります。
  72. 森本靖

    森本委員 それならまたあとで私は理事会等でその問題については十分協議してみたい、こう思うわけであります。そこでもし問題があれば与党の方から質問をしてもらいたいと思いますが、とにかく同じ政府が提案しておるところの法案において、同じような格好において、片一方では出して片一方では出さない。また現在の公社の運営方法からしても、この経営委員というものはかなり重要な任務を持っておる。だからこれは遊び半分の経営委員ではとても勤まらぬということははっきりしております。それでは院議に従うということであるならば、あとでもう一回与野党が話し会言いをしてやった方がいいと思いますが……。
  73. 田中角榮

    田中国務大臣 院議に従うというのは原則論を申し上げたのであって、今般は一つ原案でお通し願いたいというのが私の希望であります。  もう一つ、同じ政府といいますが、同じ郵政大臣から出したのだからというのですが、NHKの経営委員会は御承知通り地方区から選出されておりますので、九州の果てから、北海道の果てからも、経営委員の会のたびに来なければいかぬので、実費弁償する額ではまかなえないわけであります。そういう特殊な事情もあることを一つ御了承いただきたいと思いますし、特にこれらの政府関係機関委員の問題に対しては、先ほども申し上げたように、近い将来各政府機関ともに慎重に審議をして適当な結論を出し、次期国会くらいには御説のようにいたしたいという考えでありますので、あとから御相談してもう一ぺんなどと言われないように、誤解を受けるといけないので、一つ、ぜひお願いいたします。
  74. 森本靖

    森本委員 そうするとこの問題については解散も近いわけでありますが、どうせ特別国会等も開かれますし、その特別国会等においては大臣は、まあやるかやらぬかわかりませんけれども、しかし現在の大臣としては一応来たるべき特別国会におきましては、その経営委員の報酬の問題については十分考えて、できれば提案をしたい、こういう考え方ですか。
  75. 田中角榮

    田中国務大臣 政府部内の意見を調整し、また政府関係機関及び経営委員の皆さんの御意見も聞きながら、できるだけ御趣旨に沿いたいという考えであります。
  76. 森本靖

    森本委員 この監事の地位というものは大体わかりましたが、ついでにおかしなことを聞くようでありますけれども、この監事の報酬というものは理事と同様になるわけでありますか、どうなりますか。
  77. 田中角榮

    田中国務大臣 おおむね理事待遇でありますから、日奉十万円くらいを考えております。
  78. 森本靖

    森本委員 おおむね理事待遇ということでありますが、おおむねということでなしに、今回の監事というのはどのくらいの報酬を出すつもりですか。
  79. 田中角榮

    田中国務大臣 おおむねと申し上げましたのは、民間会社において取締役と監査役というような表現で申し上げたわけでありますから、理事監事は通念においても同格であるということでありまして、月支給するものはおおむね十万円程度というふうに考えております。
  80. 森本靖

    森本委員 ついででありますが、現在の総裁、副総裁理事の報酬はどうなっておりますか。
  81. 松田英一

    ○松田政府委員 現在総裁、副総裁及び理事につきましては、その給与の基準について郵政大臣において認可しておりますので、それに従って行われておりますが、総裁が十九万何がし、それから副総裁が十四万何がし、理事が十二万から十万の間であります。
  82. 森本靖

    森本委員 総裁、副総裁のものはこれでわかりましたが、理事の十二万から十万というのは、その人の理事の前歴によって違うわけですか、どうですか。
  83. 松田英一

    ○松田政府委員 公社の大体の扱いとしては何と申しますか、経歴の古い方が高くなるという扱いにしておるようであります。
  84. 森本靖

    森本委員 そうすると今度の監事は、十二万から十万の中に入るわけですね。
  85. 松田英一

    ○松田政府委員 これはこの法律通りますれば、この給与の基準をやはり私ども認可いたすことになりますので、そのときは大体理事と同じになると思います。
  86. 森本靖

    森本委員 それから今度の監事がかりにできるということになりますと、この監事の下におります十名内外スタッフというものは、現在の公社の執行部から出ていくわけですね。
  87. 松田英一

    ○松田政府委員 その点におきましては公社の職員でございますから、あくまでも建前の上では総裁任命になるのでございますけれども、この制度趣旨にかんがみまして、経営委員会とよく相談をして人をきめるというふうに運用されると伺っております。
  88. 森本靖

    森本委員 だから経営委員とよく相談してきめますが、そのスタッフに対する指令、指示権というものは、総裁、副総裁あるいは理事の方々にはないわけですね。
  89. 田中角榮

    田中国務大臣 もちろん経営委員会に所属する事務局でありますから、監事に所属する事務局、こういうことになります。それは経営委員会事務局に所属する職員と同じであります。でありますから公社の職員ではありますが、指揮、命令系統は経営委員会に所属すると同時に監事の下についておる者は、指揮、命令系統は監事に所属する、こういうふうに考えていただければよいと思います。
  90. 森本靖

    森本委員 そこでこれは電気通信監理官ども一緒でありますが、私は前々からこの点についてもおかしいとは考えておりますが、たとえばそこにおられる岩田さんにしても、元の通信局長をやっておって、それから健気通信監理官に来られた。前の平山氏についても電気通信管理官をやっておって、そのまま今度は公社の方の通信局長に出ていったということで、電気通信管理官というものは、現在の立場においては電電公社その他の業務上の監督、あるいはその他のことを遠慮なやらなければならぬ立場にあるわけなんです。ところがそういう仕事の内容に精通しておられるということで、そういう人事異動が再々行われる。そういうことになると実際問題として、現実の問題としては遠慮も相当出てくると思う。そういうことと同様でありまして、この監事の下に置くところの十名内外スタッフというものも、監事の指揮、命令系統も受けるけれども、やはりその人の昇進その他を考えていくならば、これはやはり公社内部における異動等もありますると、そのまま今度は執行部の方の局長なり通信部長なりに出ていかなければならぬということがあるのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  91. 田中角榮

    田中国務大臣 これは確かにあなたが言われるように、今の電気通信監理官になった岩田君と同じような状況であります。これは私も大臣になったころはそういう意見に対して、やはりはっきりしておった方がいい。電電公社からもらって電電公社に返すというようなものはおかしいじゃないか。実際問題として監理官の立場になっても、また返っていくのだから監理官の職務が円満に行えないのは通例だという議論に対して、私もそうかなということで、あえて反対もしないし、また筋を通せれば通した方がいいと考えておりましたが、しかしこれは今民間の優秀な人を最高裁判所の判事にやるとか、こういう問題で、人事交流というものはそう窮屈に考える必要はないじゃないかという議論が、戦後は非常に強くなっております。優秀な人があるならば、人材は一つ官民か問わず登用してやるべきだ。こういうものの考え方からしますと、公社に帰るのだからといって職務が行えないというようなことはありません。特に公社から来るときには監理官として職務を十分行い、総裁、副総裁といえども、監督しなければいかぬときは厳重に監督できるような人をもらって、おりますから、今までは比較的円満に行政が行われております。しかも同じケースで監事の下につく者が、総裁の意向によってどこの通信局長に栄転をするというようなことが起るわけでありますが、これはやはり監事の下につく人の異動その他に対しても、監事及び経営委員会が主導権を持ってやるということであって、いつも総裁が栄転をさせ、場合によってあまりきつくやる人は左遷をするというようなにとは絶対やってはいかぬし、またやらないという原則のもとに事務局を選任いたしますから、そういうお互いにマイナスにならないようなことを前提にして考えて行えば、おおむね円満にいけるだろう、こういう考えであります。
  92. 森本靖

    森本委員 大臣の言う通り円満にいけば問題ないわけであって、円満にいかぬ場合のことをやはり考えて、あらゆる観点から考えておかなければならぬわけです。これは人の名前を出してはなはだ申しわけないと思うけれども、たまたま非常にいい例があったから出しただけのことであって、別にその個人にどうのこうのという他意はないのでありますから、これは誤解のないように願わなければなりません。だからこの監事の下におっても、それは人情ですよ。かりに副総裁なり総裁なり局長か、執行部の局長が、あいつこのことをこういうように監事に言ってくれというふうに頼んであるのに、おれの言うことを聞かぬ、見よってみろ、今度あれがどこかへ栄転するときには絶対おれは反対してやる、こういうことになるのは人情的にいって当然なんです。人間というものはそういうことがはっきりあるわけですから、そうなるとやはり監事直属部下であっても、ひょっと今度出ていかなければならぬときに、総裁なり副総裁なりににらまれておったのではつまらぬ、なるべく監事さんの言うことも執行部の言うことも両方聞かぬとどうにもならぬ、そういうことが出てきかねないのですよ、率直なところが。だから電気通信監理官制度というものも、私はそういう点から見ると非常にちぐはぐな点があるような気が前からしておったわけでありますが、たまたまこの問題が出たから、大臣が言うように円満にいけばいいけれども、実際には私が今言った弊害というものは必ず出てくることは否定ができないと思う。だからこの運営その他については、私がわざわざ総裁にきょう出席を願ったのは、こういう質疑応答というものをよく聞いておいてもらいたい、そうしてこれを実行に移す段階においては、よくこの問題を考えて、委員会におけるこういう質疑、討論があったということを記憶にとどめてもらって、万遺憾ないように、この執行については考えてもらいたいというふうに考えておるわけであります。  そこで最後に、この新しくできる監事任命の問題でありまするが、今からその人間についてどういう者を考えておるというようなことは、聞いたって大臣も答えられぬだろうと思いますが、本来ならばこういう監事というものについては、ところてん式ではないけれども公社内部に優秀な人間がおればこれを登用するのが至当だというふうに考えておるわけであります。しかし往々にして古手官僚の天下りとか、あるいは民間の人が事情によって来るとかいうことにもなりかねないわけであります。そこで、現在公社には顧問制度とかいうようなものがありますか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  93. 靱勉

    靱説明員 顧問制度はございません。
  94. 森本靖

    森本委員 そうすると、人の名前は出しませんけれども郵政省あたりからたまたま公社にお世話になっておるというような人は、どういう処遇になっておるわけですか。
  95. 靱勉

    靱説明員 公社におきましては、役員は別とし、職員におきましては、先ほど質問職階がありまして、一級というのが最高となっております。そこで現在公社には調査役という制度がありまして、これは一級からかなり下の段階までございます。従いまして最高の社員と申しますか、一級の調査役というものを置いております。
  96. 森本靖

    森本委員 そうすると郵政省あたりから行かれた人は一級の調査役ということですか、現在おられる方は。
  97. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  98. 森本靖

    森本委員 この問題については、私もあえてどうこうとは目しませんけれども、ただ大臣に特に要望しておきたいのは、この監事任命ということについては、やはり原則としては、電電公社に優秀な人がおればその人を一名程度任命をする、あと一名程度は場合によったらこれは監事として、いわゆる局外から見て妥当なら妥当だというぐらいの考え方一と持ってやってもらいたいというふうに考えておるわけでありますけれども、具体的にこれは微妙な問題でありますので、これ以上私はこの問題に対する質問は行いませんが、大臣はこの任命についてはどうお考えになっておりますか。
  99. 田中角榮

    田中国務大臣 この種のものに対しては、おおむね他の法律では所管大臣任命かもしくは所管大臣の認可か承認かということになっております。でありますから、この原案では郵政大臣の承認を受けて経営委員会任命するということにしてございます。でありますが、承認でありますので私から押しつけようというような考えはありませんし、私には意中の人がございません。全然ございません。
  100. 森本靖

    森本委員 これは実は経営委員長を呼んで、そうしてこの内容については詳細に聞きたかったわけでありまするが、時間がないので非常に残念でありますが、この法律では総裁、副総裁権限にもこれはないわけであります。ないが、一応公社の最高責任者として、こういう監事任命等については、希望があるなりあるいはまたそれに対する見解があるなら、一つ総裁としての見解を述べてもらいたいこう思うわけです。
  101. 梶井剛

    ○梶井説明員 先ほどからいろいろ御に対しましては、十分にわれわれは御注意の通りにいたしたいと思っております。またただいまの問題につきましては、大臣がすでに御答弁になりましたので、私としては大臣と同様な考えを持っております。
  102. 森本靖

    森本委員 ほかにまだ私はこまかい問題がたくさんありまするけれども、一応紳士的な申し合せを尊重しまして、私の質問をこの程度で終ります。
  103. 片島港

    片島委員長 ほかに質疑の通告がございませんので、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  この際森本靖君より本案に対する修正案が提出せられておりますので、その趣旨説明を求めます。森本靖君。     —————————————
  104. 森本靖

    森本委員 私は日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党共同提案として次の修正案を提出したいと思います。   日本電信電話公社法の一部を改正するほう立案の一部を次のように修正する。   第二十一条の改正に関する部分中「第二十一条の改正に関する部分中「逓信大臣の  認可を受けて」を削る。   第二十四条の改正に関する部文中「逓信大臣の認可を受けて、」を削る。   第七十六条の改正に関する部分を削る。  以上でありまするが、これに対するところの提案理由につきましては省略をいたします。
  105. 片島港

    片島委員長 別に修正案に対する質疑もないようでありますので、これより本案並びに修正案を一括して討論に入ります。橋本登美三郎君。
  106. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 議題となっておりまする日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案並びに修正案を除く原案に対して、自由民主党を代表して賛成の意見を申し上げます。  この法律は、当然監事制度があるべくして従来なかったことは欠陥でありまして、公社には審議室等があって、執行部としては監査の実を上げておるようであります。しかし公社内部一つの重役陳ともいうべき経営委員会にはその監査機構を持っておらなかった。これは普通の民間会社を考えましても、議決機関である重役会なり経営委員会等が監査機構を持っておらないということは一つの欠陥でありますから、郵政省当局がこの点に気づかれて、監査制度の機能を独立したものとして発揮するという考え方でこれが上程せられましたことは、まことに時宜に適した提案と思います。  なお修正案でありまするが、この電信電話公社は、当時御承知のように民営論すらも高かった時代でございまして、これは一応公社の線にまとまりましたが、その目的とするところは、できるだけ公社をし自主的に改善をせしめ、かつまた積極的な電信電話網の拡充をはからせる、それには政府よりも、政府からある程度独立の権限を持ってこれらの仕事をやっていくことが適当である、こういうことからしてでき上った法律でありますから、今回の改正案の中には逓信大臣の許可を受ける、こういうよなことにつきましては、そういう誤解あるいは何らかの干渉がましいような感じを与える危険があるならば、これを取り除くことが妥当と考えまして、両党提案の修正案に対しましても賛意を表する次第であります。
  107. 片島港

  108. 森本靖

    森本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に対する修正案並びに修正案を除く案に対して賛成の意向を表明したいと思うものであります。  まずこの日本電信電話公社法の一部を改正する法律案によりますと、郵政大臣電電公社に対する権限がさらに強化せられようとしているような感じを受けるわけでありますが、私たちとしては公社経営の自主性と独立を尊重して、電信電話事業のいわゆる国民に対するサービスの発展を顧っておるわけでありまして、これ以上政府機関がこの電電公社に対して監督を強化しようということについては、必要がないと考えるわけであります。そういう意味において、この修正案については全面的に賛成であります。  さらに先ほどの質疑応答の中で明らかになりましたように、日本電信電話公社の運営、経営という面を見ますと、経営委員の任務というものも非常に重大な要素を帯びてきておるわけであります。そういう観点からいたしますと、もはや経営についても名誉職的な感覚ではできないと考えられるわけでありまして、私は大臣が将来この点についても改正をしたいと申されましたので、その言を信用いたしまして、この問題についてはそういう方向になることを特に望んでおきたいと考えまするが、それと同時に、この法案か通過するに際しまして特に郵政省並びに電電公社当局に望んでおきたいことは、この監事におきまして監査機構を明確にすると言われましたけれども、現実に、先ほどの質疑応答の中にありましたように、この監事任務というものが明確になっておらない点もあるわけであります。さらににこの監理の運営方法についても、執行部と監事の数等、これは執行する面についてはかなり十分に考えていかなければならぬ点があるわけでありまして、そういう点については私は公社当局なり政府当局がただいまの質疑応答の意思というものをこ十分に生かして、この法律によってをしていかれんことを望んで、私の賛成討論を終る次第であります。
  109. 片島港

    片島委員長 これにて本案並びに修正案に対する討論は終了いたしました。  これよ採決に入ります。まず森本君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  110. 片島港

    片島委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  111. 片島港

    片島委員長 起立総員。よって本案は森本君提案のごとく修正議決せられました。  この際郵政大臣より発言を求られておりますのでこれを許します。郵政大臣田中角榮君。
  112. 田中角榮

    田中国務大臣 この際一言お礼を申し上げます。日本電信電話公社法改正案審議に当りまして寄せられた御協力に対して、心からお礼を申し上げます。なお本法の公布施行に対しましては、委員会における御発言の趣旨等を十分に体まして、万遺憾なきを期す所存でございます。
  113. 片島港

    片島委員長 お諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましたは、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議がありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 片島港

    片島委員長 御異議なければさよう取り計らいます。     —————————————
  115. 片島港

    片島委員長 次に電波法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。竹内俊吉君。
  116. 竹内俊吉

    ○竹内委員 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案について二、三お尋ねしたいのであります。最初にお聞きしておきたいのは、この改正案の中で一番問題になろうと思います点からお聞きしたいのでありますが、それは第百四条の、二「予備免許、免許又は許可には、条件又は期限を附することできる。」その二項としてそれに対するただし書きがついておりますが、その点についてまず事務当局から機械的なことを二、三最初にお聞きしたいのであります。この百四条の一はあらゆる無線局に適用する、こういう意味でありますか。多少そこに仕分けをした考えを持っているのでありましょうか。
  117. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 すべての無線局に適用する考えであります。
  118. 竹内俊吉

    ○竹内委員 これは御承知通り無線局の業務は同じ電波を使ってやる仕事でありますが、業務の内容にはそれぞれ非常に違う性格がある。たとえば一般無線局と放送局とは著しくその性格が違うのでありますが、その場合放送局、つまり言論報道機関である放送局と一般無線局と同一に扱うということに対しては、多少の疑念があるわけでありますが、その点はどう考えていますか。
  119. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 放送局は言論報道機関でありまして、一般の無線局とは相当大きな相違があることは十分に認めるわけでございますけれども、電波を使います仕事という見地からは、全く同等に取り扱わなければならないと考えます。
  120. 竹内俊吉

    ○竹内委員 性格は違うが同一に扱わなければならぬというのはちょっと理屈に合わぬと思いますが、それは議論になりますから……。「予備免許、免許又は許可には、条件又は期限を附することができる。」この問題は条件の内容にあるわけでありますが、御承知通り「予備免許、免許又は許可」という事項につきましては、電波法の第六条、第七条、第八条にいろいろの規定があるわけであります。たとえば無線局を設けたいという場合の申請書に記載すべき事項をはっきりと何々とうたっておる。それを郵政省が電波監理審議会に出す前にこれを審理しなければならぬという審理事項もちゃんと記載してある。またそこできまった場合に開設者に対して、免許を与えます場合の指示事項も記載してあるわけであります。つまりこれらのこと以外に、放送局の開設の根本基準というものがこまごまといろいろのことを掲げてあるわけであります。これらの中で法律的条件というべきものあるいはそうでないものと多少ありますが、大まかにいってこれらのものが条件だと考えるのでありますが、この第百四条の二にいう条件とは、電波法の根本基準に現われておる事項以外のものと解釈しなければならぬと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  121. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 竹内委員が仰せられましたように、第六条は申請者が免許してもらいたいという場合に申請書に記載する事項、審査要件というようなものでございます。第七条はこれによりまして審査しなければならないということをつけ加えて書いてあるのであります。第八条は免許を与えるといういろいろな事項について書いてあるものであります。しかしながら最近の情勢は無線局が非常にたくさんふえまして、その種類も複雑になり、その目的も多様でありますので、そういう情勢に応じまして、かような審査要件とか審査事項ということだけでは、私どもは行政の目的を達するのに不十分であるということを、今までの実際のいろいろな問題に当面して痛感いたしました。かような意味におきまして、電波を公正にかつ能率的に与えるためには、しかも多数の申請者がある場合にある時間を限って、この免許を与えるという目的を達するためにはやはりある種類の条件または期限というものをつける方が妥当だろうということを考えておるわけであります。今までの法律は、いわゆる法規裁量というふうな考え方が多かったと思うのでありますけれども、今度の改正案といたしましては、最小限の条件または期限を付すという表現を使いまして、郵政大臣のある意味における自由裁量、しかも最小限の、ここに書いてありますように、非常に注意をしまして、悪用されないように厳にいましめた意味におけるところの条件または期限を付すことが必要であろう、こういうように考えております。
  122. 竹内俊吉

    ○竹内委員 ただいまの電波局長の御答弁では、ますます納得できなくなるわけでありますが、そこへ入ります前に、もう少し機械的なことについてお聞きしたいと思うのです。そういたしますと、条件は今申し述べました電波法及び放送局の開局の根本基準以外のことだということははっきりしたわけですがその通りですか。
  123. 莊宏

    ○莊説明員 ただいまお話のありました第七条は、局長から申し上げましたように審査要件が書いてある、かように考えております。それから百四条の二に申します条件または期限というものは、免許等の処分に当ってつけますところの、行政行為の付款というふうに考えております
  124. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そういたしますと、なおこれはおかしいと思うのです。具体的に出てくれば別ですよ。これこれが不完全だから、これこれの条件をつけたい、こういって申請書の内容その他にこういうものを加えろ、審理の条項にこういうものを加えろ、これならわかるのですが、「予備免許、又は許可には、条件又は期限を附することができる。」こういうことは、先ほど局長が言われた法規裁量から自由裁量の領域を広げるのだ、こういう意味でしょう。結局荘局長のおっしゃるように、付款的に条件を付するのだといえば、どういう条件が足りないかということはあなた方は今までの行政の経験でわかっているはずです。それを明らかにして、申請書の内容につけ加えるものはつけ加え、あるいは審理の対象に加えるものは加えて、六、七、八条に足らざるものを補うということならわかりますが、ここへ一本条件または期限を付することができるという自由裁量を持ってきたのはどういうわけか。今局長は第二項に、このただし書きに、「前項の条件又は期限は、公共の利益を増進し、又は予備免許、免許若しくは許可に係る事項の確実な実施を図るため必要最少限度のものに限り、且つ、当該処分を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。」こうあるから、これは決してその拡大解釈を許さないのだ、こう御説明になりますけれども、この第二項の規定は、あらゆる法律に適用する規定であります。法律というものは、元来公益のために作るのですから、公共の利益を増進しない法律がありますか。また国民に対する必要最小限のもの以上に、義務を課する法律というものはないわけであります。でありますから、このただし書きというものは、あらゆる法律に通ずる普通の一般概念をここにうたっただけの話であって、私は百四条の二をこのただし書きによって制限することは考えられない。そういう意味においては言葉は多少過ぎるかもしれないが、広大無辺な自由裁量を、電波法及び根本基準の条件以外のものを何でも許した、こういう解釈も成り立つわけであります。そういう法律的な考え方は、どういう考え方でこれを説明されますか、そこを一つ説明願いたい。
  125. 莊宏

    ○莊説明員 百四条の二は二項がございまして、非常に厳重な制限があることは、局長から申し上げた通りであります。この趣旨は竹内先生から、公共の利益を増進することは当りまえのことであるというお話がございましたけれども、実はこの文句はずっとあとの方にかかるわけでありまして、こうこうするため「必要最少限度のものに限り、」というところに意味があるわけでございます。それでもう一点つけ加えさせていただきますと、電波法上の免許という行為は、一つの設権行為である、かように考えられるわけでございます。従いまして一般の行政法理論から参りまして、設権行為に当っては、ある程度の条件等は付し得るものという解釈も可能なものと考えております。しかしながらそれがいたずらに大きなものにわたってはいけない、こういう考えからこの二項は特にその制限を設けまして、過大なものにわたらないようにという厳重な規定を設けた次第であります。
  126. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それは予備免許、免許または許可等には、条件あるいは期限を付することは法律上の通念だということは私もよくわかります。だから私は条件が何も要らぬということを申し上げているわけじゃないが、電波法及び根本基準の条件をあげてあり、あなた方は足らざる点は申請書なり、あるいは審理の対象なり、あるいは指示事項なりうたうことができるようになっている。それ以外に、ここに何ら制限条件のないようなきつい一項を設けるということは、私は近代立法としてもはなはだ当を得ないじゃないかと思います。  それでは大臣一つお聞きしておきたいと思いますが、百四条の二の「条件又は期限を附することができる。」ということは、今事務当局からお聞きすると、今の法律ではどうも行政上不便だ、だからこの一項を設けてもっと便利にやっていきたい、こういう考え方です。ただしこれは第二項にこういう条項があるから、その条件には制限があるのだ、こういう説明ですが、私は第二項の公益を増進し、必要最小限のものに限り、それから当該処分を受ける者に不当な義務を課さないということは、これはあらゆる法律に共通なものでしょう。こんな制限条件は何でもないのです。そして一本こういう大きな自由裁量権を行政官庁が持つということは、言論報道機関と微妙な、行政的な接触を持っている放送機関にとっては、大げさに言えば言論抑圧あるいは官僚統制の心配なしとは言いがたいのであります。だからこれは適当でない、こういう考え方を持つのですが、その点大臣いかがですか。
  127. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。この百四条の二項は、行政上必要最小限度の条件をつける、またつけられるような道を開こうということで、こういう改正案を提出いたしております。これを拡大解釈し、自由裁量を行おうという意思は毛頭ありません。これを表わすために第三項を明記したわけであります。でありますから第三項と第二項を一緒にして、こういう限度において、最小必要限度の条件もしくは期限を付することができる、表限は同じことであります、三項と二項は同一のものであるというふうにお考えいただきたいのであります。先ほど事務当局の答弁、私も答弁しょうと思ったのですが、申し上げますが、電波法でありますから、電波を発射する無線局には一応全部えこひいきなくこれが適用されるという原則は当然であります。でありますが百四条の問題は、少くとも放送を業とするところの無線局にはすなわち放送法という別な法律がありますから、こういう精神を十分しんしゃくをして、少くとも他の法律の精神を侵すようなものであっては絶対いかぬということでありますから、これは一般無線局に対する技術的なものと比べては相当厳密にしぼれるということは一つ言い得ると思うのです。またそうなければいかぬし、そうする予定でございます。それから百四条の二項は一体どういうことかというのですが、これは現行の電波法が御承知通り昭和二十四、五年の成立でありまして、当時の思想としては、当然ある電波に対して申請があったならば与えなければいかぬ。理屈をいうと、早く出したものは自動的にやらなければいかぬ、こういう思想のもとに貫かれておるのが電波法であります。でありますからその条件等に対しては七、八条でもって規定がありますが、これは電波を扱うものに対して必要やむを得ない技術面だけにしぼっております。何月何日までの工事期間が延長する場合といえども郵政大臣の認可を受けなければいかぬ、できた場合は検査を受けなければいかぬというふうに、全く技術的なものだけにしぼっておるのであります。でありますから今日は御承知のように昭和二十四、五年ごろより電波の事情が変って参りまして、電波局の設置の申請はたくさんになってきたのです。でありますからその中の一例を申し上げますと、今度のように免許を行う場合に何社かが合体した方が理想的であるというような形態が一つございます。もう一つは私人でもない、株式会社でもないというもの、電波の割当を受ければこういうふうなものを作ります。こういう設立発起人でもって申請をしてきておりますが、設立発起人といえども私人、法人と同格にこれを扱っておる、こういうことですが、羊頭を掲げて狗肉を売るように、実際そういう無線局の申請に対して予備免許を与える。予備免許を与えても、今度は御承知通り、三月三十一日まで提出条件つきというようなことを付しました。ところがこれを行政措置でできるじゃないか、行政措置でできるということが明確であれば、私は一向差しつかえないと思うのです。こういう改正案は要らないと思うのですが、電波監理審議会でも、法律に明確なものがあった方がいい、またなくして条件をつけたということになると、その条件を守らない場合、また守らなくてもいいのだという考え方も一部存在をするので、法律で明確にしぼってはおるが、条件もしくは期限を付することができるというふうなことがないと、実際無制限に行ってしまう。これはうまくまとまっていけばいいのですが、大関西の例があるのです。まとまらないと何年でも引っぱっておるのです。結局三年間はあの面で貴重な電波が使えないという問題が起きてきます。こういう前例に徴して三月三十一日まで提出条件つきの予備免許を行い、予備免許の効力発生は申請者から提出をしたところの条件が満たされた場合に、確認書交付によって法律的効果を発生せしめる、こういう処置をとったわけです。ところがこれは行政措置でできるということは私は少し行き過ぎだと思う。でありますから、どうしても電波法に一条を加えて、免許に必要な最小やむを得ないものに対して条件または期限を付することができる、こういう考えでこの条文を作ったのであります。省令または政令でやったらいいということは、できるだけこまかくしぼりたい考えでありますが、内容は複雑であって、そうして個々のケースによって違うものでありますから、なかなか例示をすることはむずかしい。でありますので、少くとも放送業者に対しては放送法の精神にもとるような条件及び期限は絶対付さぬ。放送法をより円満に運用するためにこそ必要な条件であり期限でなければいかぬというふうにしぼってありますので、この条文がないと非常に困る、こういう考えであります。でありますからこの条文をつけることによって、干渉とか、官が不当に介入しょうということは全くございません。
  128. 竹内俊吉

    ○竹内委員 大臣の御答弁でさらに疑問が出てくるわけであって、先般のテレビの予備免許に当って郵政省がとった事柄か法律的根拠はなかった、行政指導であれをやったが、法的根拠はないのでこれを作っておきたいのだ、こういう結論になるように聞える。そういう御意思かどうかわからぬが、そうなってくると大へんな問題なのであって、そういう行政の実績が郵政省にあるから、特にこの問題をわれわれは掘り下げて審議しなければならぬ。もう一点、これは大臣にお聞きしたいのだが、先般のテレビ免許に当ってとった、大臣のやったことは、あれは普遍妥当性のある行政の指導として何らの行き過ぎもないことだと、こうお考えになるか、やむを得ざる措置であったか多少行き過ぎがあった、こういうものを平常なものとして行政がやるべきでない、こういう考え方か、そのいずれでございますか。
  129. 田中角榮

    田中国務大臣 電波の事情から必要やむを得ざるものであります。
  130. 竹内俊吉

    ○竹内委員 必要という言葉がつくと、それはちょっとニュアンスが違ってくるが、やむを得ない措置であって、ふだんの電波行政の措置として、ああいうことがいかなる場合にもやってよろしいのだという論には私はならぬと思うのですが、その点いかがですか。
  131. 田中角榮

    田中国務大臣 これは非常に議論のあるところであります。法律に基かないでもやっているものがあります。通産省や農林省の補助金や外負の割当に対しては、相当強い行政権力を発動しております。指定外貨によってまかなったものは指定をする業者以外に売ってはならない。これはより社会の公共性を強調するために、そういう行政措置をやっておりますが、私は少くとも電波に関しては、やはり法律に明確な条文がない以上、議論のあるものは、違法ではないが妥当性がないというようなものはやるべきでないという考えですから、あなたの思想と同じ考えを持っております。でありますが、そうかといって、将来幾らか疑義があるからということでもって、一切そういう条文を作れないということであれば、免許できないわけです。なぜかといったら、少くとも電波の及ぼす国民に対するあれほどの強力な威力というものを考えた場合、しかも競願者がたくさんある、五社の中で一社だけやる——ラジオ業者というように、議論はあっても、すでに前歴もあり実績もあり認定できる者は別ですが、大阪や東京のように、りっぱな名前を掲げてきて、電波法によっては直ちに免許しなければならぬようになっている、こういったものを、私は少くともこの法律を改正して、より妥当な電波の使用ということを、電波の持つ公共性を侵さない限度において法制整備をしなければ、自信のある行政はほとんど行えないと思う。だから私自身もこういう条件をつけることは非常に考えたのですが、できるならば私は法律を整備しておいて準拠法の命ずるもとに条件を付しいろいろなことをしたいのです。けれども、もうすでに前大臣当時から免許の方針に向って三分の一、三分の二はその方針に入っているので、これを私が短かい時間に取り返すということは、ほとんど不可能なので、行政上現在の段階においてとれると思うものは、少し行き過ぎがあっても電波というものの持つ威力を考えて、私の責任でこういうものをつけましょう、しかも電波監理審議会でも、まずやむを得ないだろう、ただし法律改正はできるだけ早くこれを妥当なものにしなければいかぬだろう、という御注意もあったわけです。でありますから、私としてはそういうことでもって全部しぼろうという考えはありませんし、特に電波局が指示をしておりながら、その法律的なものがないので、申請者が自発的に書いたというようにして、自発的に書いたものが守られぬ場合には、虚偽の申請ということになって制限を受けるのだというふうなことになると、これは不当な拘束でありますから、そういうことのないように、新しい視野に立って妥当な行政を行える最小限度の条件または期限を付せるようにしたいということでありまして、あれが最上なものだとは考えておりませんが、あの状態においては万やむを得ざる処置であった、こういうふうに考えます。
  132. 竹内俊吉

    ○竹内委員 大臣のお話を聞くとなお疑問がありますが、次の機会まで質問を保留してきょうはやめます。
  133. 片島港

    片島委員長 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会      ————◇—————