運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-16 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十六日(水曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 片島  港君    理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 松前 重義君 理事 森本  靖君       川崎末五郎君    椎熊 三郎君       南條 徳男君    濱地 文平君       粟山  博君    杉山元治郎君       原   茂君    松井 政吉君   出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君   出席政府委員         郵政事務官         (郵政局長)  板野  學君   委員外出席者         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 四月十六日  委員椎熊三郎君及び南條徳男辞任につき、そ  の補欠として前田房之助君及び小西寅松君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員小西寅松君及び前田房之助辞任につき、  その補欠として南條徳男君及び椎熊三郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十五日  特定郵便局制度改革に関する陳情書  (第  九七九号)  お年玉付年賀葉書による寄附金沖繩への配分  に関する陳情書  (第  九九〇号)  NHKのラジオ及びテレビ視聴料撤廃に関する  陳情書  (第九九六号)  合併町村における郵便区と集配施設の調整に関  する陳情書  (第一〇一二号)  余喜簡易郵便局を無集配特定郵便局に指定の陳  情書(第  一〇一三号)  神村町に無集配特定郵便局設置に関する陳情書  (第一〇一四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第一二五号)      ――――◇―――――
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 きのうこのお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案について私の方から質問いたしまして、ちょうど大臣がおられませんので、おもに政務次官と事務次官の方からお答えになりましたが、その中で外国の例を見た場合に、お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律というふうなものの外国の例では、その寄付金のうちの一割程度はその直接担当いたしますところの従業員福利厚生施設に回してもよろしいというふうな法律もあるということで、郵政省としても、そういうことについてはできれば望ましいけれども、そんなことをわれわれの方からは、口幅ったくて言うわけにいかぬので、そういうことについては全然この法律にはない、こういうことでありましたので、私の方から、そんならこの院においてこれをそういう方向修正をするということになった場合に、郵政省はどうかということを聞いた場合に、事務的にはまことにけっこうで賛成でございます、こういうことでありましたけれども、しかし大臣がおらぬので、政治的な問題としては全然お答えがなかったわけであります。そういう問題についてこの院において改正する法律案の中で修正をしても、郵政大臣としては一向差しつかえないかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 森本議員の御発言ごもっともでございます。一割程度、これは常識的な問題だと思います。でありますが、私も改正法律案の立案当時十分考えたのでありますが、今日の段階ではこういう表現をもっていたしたわけであります。でありますが、私はこの改正案が通過したら、郵政事業のために幾らか使わせてもらおうという考えを持っておりますし、この改正案を通していただければ使わしてもらえるという考えでございます。でありますが、院議皆さんがより明確にすることが必要であるということであれば、院議は尊重いたしますし、問題はないということをお答えしていいと思います。
  5. 森本靖

    森本委員 郵政大臣考え方がこの点についてははっきりいたしましたので、われわれの方としても、与野党が話し合いをしてその問題についてはけりをつけるということにしたいと思いますので、その問題はそれでおきますが、次にきのうやはり問題になったわけでありますが、寄付金つき郵便はがきに関する郵政省厚生省との申し合せというので、郵政大臣厚生大臣が二月十九日に行なっておる申し合せ書であります。これは一体法的にどういう効果があるのか、その点を一つお聞かせ願いたい。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 全くの紳士協定であります。
  7. 森本靖

    森本委員 全くの紳士協定であっても、たとえば二項の、中央共同募金会及び日赤に対する寄付金は従来の実績額を尊重する、三十二年度の実績額を下らざるものとすることという一項がありますし、三項についてもかなり重要な問題でありますが、一体これの有効期間はいつまでということですか。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 法律等改正になって、この申し合せが制限を受けるということになれば別でありますが、そういうことのない以上はこの申し合せを履行するつもりであります。
  9. 森本靖

    森本委員 だからこの申し合せというのは、たとえば三十三年度の実績を下らざるということになりますと、四億五千万というものが固定になるわけです。この四億五千万というものが、期限がないから、これで見ると未来永久ということにもなりかねない解釈になるわけでありますが、それをどう解釈するかということです。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 端的に申し上げれば、未来永久であります。しかしこれはお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律実情を申し上げるとおわかりだと思いますが、大体四億五千万枚以下になるということは考えておりません。将来もお年玉つきはがきはふえるという見通しのもとに立ってこの協定をやったわけでありますから、この法律が続いておる限り、また三十二年度以上に発売枚数がふえていく限りにおいてはこの二条を尊重しなければならない、こういう建前をとっておるわけであります。でありますが、お年玉つきはがき法律がなくなれば消滅すべきものでありますし、しかも総額で四億五千万枚しか発売しないのだという場合には、もう少し考えてもらうという問題が起きるのであって、現在の状況では五億、六億、七億というふうな格好が可能であるという見通しのもとに、少くとも第二条は十分履行して参らなければならない、こういう考えでございます。
  11. 森本靖

    森本委員 それではこの協定の第一項の問題から順次やっていきたいと思いますが、第一項の問題とそれから提案せられております改正案の第二十四条の問題でありまするが、第二十四条においては、管理会というものがその交付にかかる配分金使途についての監査というものができるということになっておるわけであります。ところがこの第一項によりますと、厚生省所管団体については厚生大臣監査をし、その結果を郵政大臣に報告しそれを措置すること、この協定で終ってしまって、この二十四条のことについては具体的に実行されないのかどうか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 一条、二条、三条と森本さんが御質問になるといろいろ問題が起きますが、こういうふうになる過程を一つ申し上げて、御了解を得たいと思います。この法律議員立法でありますから、できれば議員立法でもって実情に合うように御修正を願うということが筋だと思いますが、法律としてある以上、政府議員発言及び郵政審議会その他の発言を十分慎重に検討した結果、その趣旨に沿い実情に即した法律改正を必要とする場合は政府みずからもこの法律改正案提出しなければならないという状態であることは御承知通りであります。この法律改正案というものは、過去五、六年にわたって相当議論のあった法律でありますが、ついに日の目を見ないで今日まできておったわけであります。しかし少くとも税金と同じような性格を持つこの金が、ただ法律によって社会福祉のためにというふうにしぼられておるために、大きく広げないで、中央共同募金会日赤という在来の二団体にしぼって交付をし、しかも窓口から直接交付団体に金が行く。また行くまでの間に、一体どこで金を管理するのか、その使途が一体どうなっておるのか、監査はだれがやるのかということが全く現行法では不明確でありますので、委員会その他においては、何らかの処置でその使途の明確を期し、また国民に対しても、国民の醵出した金がかくも社会福祉のために有効適切に使われており、責任の所在はここにあるのだということをするように、ぜひ法律で明確に改正をしなければならないという一方に強い要求があったわけです。でありますが、なかなかうまくいかない、提案に至らないということは、これは森本さんもよくおわかりになると思うのです。政府は勇気を出して正しいと思う道に向って出せばいいじゃないか。議論はそうでありますが、実際にはお互いに政党に所属する者でありますから、その間の事情はおわかりになる通り、党の政策審議会にもかかりまするし、そういうことになりますと、現行法よりも悪い立場になるようなおそれのあるものに対しては、厚生関係が容認しないということで、今日までいろいろな問題を含みつつこの法律改正できなくてきたのでありますから、そういう意味で、少くとも現行のままでいけば、御承知通り郵政従業員の中では、全く自分たちだけが売らせられて、しかも四円のものを五円に売らなければならないという非常に悪い面だけを背負わされながら、一つも還元を受けない、そういうことから行うと、ある一面においては郵政に関係しておる従業員社会福祉というものは、この法律考え社会福祉から除外されるのかという極論も出てくるのであります。そういう意味からいって、どうしても三十三年度を契機にして、どうせここまできたならば、全廃をするか、もしくは全部に寄付金をつけるか。つけないものを一部発行しなければならないとしても、少くとも年度々々、しかも議論があって十一月になってからようやく枚数をきめるようなことではなく、一つ改正法律案を出して明確にしよう、そしてまた国民の負託にも答えよう、こういう世論のおもむくところ、政府改正案提出を決意したわけであります。そうすると、在来のいきさつがありますから、結局は厚生省との間に円満に協定ができる段階でなければ提案に至らないということでありましたので、行政上の実際の問題としては厚生郵政両省でもって十分慎重に審議をして、少くとも既存の権利を侵さないという程度の申し合せをやったことによって、ようやくこの法律案提案するに至ったのでありますから、その間の事情は社会党の皆さんといえども十分おわかりになる実情でございますので、そういう法律案の過去の姿を一つ前提としてお考えいただければはなはだ幸甚だ、蛇足でありますが一応事実をありのまま申し述べて御参考に供したわけであります。
  13. 森本靖

    森本委員 この問題については、私も過去三年間ずっとこの改正問題については携わってきておりますので、大臣言われるまでもなく、その裏面の動きについても十分承知をいたしておるはずであります。ただ私が非常に疑問に思いまするのは、こういう改正案というものを政府提案をした。そうしてそれを執行する内容について、法案国会審議をして下さいとかけておいて、その法律が通ったら、こういうふうな協定によって施行するということを、あらかじめ郵政大臣厚生大臣協議をして、紳士協定であるにしても、協定を結ぶということ自体がいいか悪いか。たとえばこの法案を通しておいて、その上においてこの法案の実際の行政指導をどうするかということを郵政大臣厚生大臣協議するということになればそれは別でありますが、今言いましたように、その行政指導を先に協定しておいて、そして衆議院なり参議院の方にこの法案一つ審議して下さいということで提案をしてくることは物事が逆ではないか、こういうように考えるわけです。そこで、そういうことを今追い詰めたところでやむを得ませんが、私は具体的な問題として、たとえばこの協定の第一項の問題と第二十四条の問題とが一体どう関連をしてくるのか。第二十四条においては、今度新しくできる管理会というものが配分金使途については十分の監査ができることになっている。その管理会がそれに立ち入って監査をすることになっておるけれども、この第一項においては寄付金使途については厚生省所管団体については厚生大臣監査をして、その結果を郵政大臣に報告をすることになっている。そうすると郵政省でなしに管理会が、この法律をたてにとって、そんなことを言ったところでこの法律においてはこれが監査ができるようになっているのだから、おれの方が監査をするということで監査を始めた場合に、この第一項と一体どういうことになるか、こういうことです。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどの発言の中で間違いがありましたから訂正させていただきます。この法律議員立法でなくて政府提案であります。これは議員立法をしようとしたところが、時の情勢で議員立法でなく政府提案になったということでありますから、訂正をしておきます。  それから二十四条の管理会と申し合せ第一項でありますが、この第一項と二十四条とは全然競合しておるところはございません。法律通り責任管理会が行うのであります。でありますが、実際の行政運用は申し合せによって行う。これはたくさんあるのです。森本さんもそういうことはよくわかると思うのですが、行政円滑化のためにこういうことはたくさんあります。法律においては、資金運用部資金運用に関しては郵政大臣なり何々、何々の大臣協議をして行うということになっておりますが、三省大臣の申し合せで、地方起債に対しては大蔵大臣自治庁長官が話をきめて、郵政大臣協議は事後でよろしいというふうないろいろな申し合せがあるのです。それには法律で要求する事項が行われないということであれば別でありますが、政府部内で委任することは一向差しつかえないことでありまして、これはもちろん最終的責任法律によって管理会が行うのでありますが、管理会が行う事業、ことに厚生省所管のものに対しては厚生省では管理会に対して責任を負うということであれば、行政上はそういう措置はたくさんあるということを一つ御了解いただきたいと思います。
  15. 森本靖

    森本委員 今の大臣の言われた点については非常に反駁する点がありますが、まずその前に、そういう意図でこの改正案を出すということならば、私は改正せぬ方がましだと思う。郵政省が長年かかってこの問題についての改正をしようということを考えてきたのはそこにあるのです。このいわゆる寄付金配分額というものが、一般の国民から零細な金額を社会福祉のためにといって寄付をさせた、そして郵政省従業員もそれを一生懸命苦労をして集めたものだ。ところがその使途についてはややもすると相当不明瞭なところがあるということは、この前の国会あたり相当に論議をされているわけであります。そういうことについては私は前の二十四国会からずっとこの問題について、こういう管理会でなくて、郵政省においても各統轄郵便局があって、そこには会計課があって、それぞれの特定郵便局監査する経理会計監査専門家もおる。各郵政局にも監査専門家がおる。そういうところで調査をさしてもよいということを前から言っておったわけであります。たまたまこの国会でこの法案提案をされて、郵政省外郭団体と見えるところのこの管理会が、この「交付に係る配分金使途についての監査」を行うということになっておるにもかかわらず、これを行政措置において厚生省に移管する、厚生大臣にそれを委任するということなら、こんな改正案なんか私は出す必要はないと思う。一体大臣は、この改正案意図というものをどこに置いておるのですか。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 改正案意図を明確に申し上げますと、一つはあなたの言ったように郵政事業に使いたい、こういう考え方があります。現行のままでは使えません。それが一つの大きなポイントとしてあるのです。もう一つは、結局今のままでいきますと、この法律案は円満に施行せられない。ということは、郵政従業員が、私も郵政従業員責任者でありますが、郵政従業員が納得するような状態を作るには、現行法のような状態ではもうやめてもらいたい、こういう強い意思がある。こういう改正をしたらどうか、満足ではないが一歩進められたことになって非常によろしい、こういうことで大臣としては当然これに応じなければならないという問題が一つあります。  もう一つ厚生省関係で、今まで郵政省が全然監査をしておらなかったものであっても、新しく今度窓口が開かれましたから、そういう窓口が開かれるものに対しては、少くとも国民の指弾を受けることがないように、使途が適正に明確になるように管理会という機構ができた。ともかくこの法律管理会という郵政大臣所管内にあるものを作ることに対しては相当反対でありましたが、いずれにしても管理会を作ることを認めたのです。現行法でもってやられておるもの、すなわち中央募金会及び日赤に対するものは厚生大臣がやることになっておりますが、法律上の最終的監査責任管理会にあるのでありまして、法律には明定しておるのであります。その厚生大臣の報告されたものが万全なものでないと認める場合には、当然法律に基いて管理権が行われるのでありますから、現行法に比べて相当な進歩であって、やはりこういう段階を経てこういう複雑な問題は解決していかなければならないのだという考えであります。でありますので、この法律の中で一番問題になったのは、管理会というものは必要でない、こういう議論が非常にあったのです。管理会をもし作るならば、厚生郵政大臣共管にしてくれ、こういう議論はどこにでもある議論であります。それで非常に困ったのでありますが、私は法律は筋を通さなければいかぬ、共管というものは行政責任が不明確になるので、少くとも法律の表面は筋を通さなければいかぬ、こういうことで私もようやくここまでこぎつけたのでありますから、この間の事情一つ御了承願いたいと思います。少くとも現行法よりも一歩前進をしておる、こういう考えであります、
  17. 森本靖

    森本委員 この法律では一歩前進をしておる、それは確かにあなたのおっしゃる通りです。その一歩前進したものを紳士協定によってやられてしまっておるから何もならぬ、それだったら初めからこんな法律なんかは通さぬでもいいじゃないかと思うのです。この協定が、あなたの方は紳士的に約束したのだからどうしてもむずかしいということになるならば、次の内閣においてそういうものは破棄するような方向に申し送ろうとでもいって、次の大臣がそういうことになればそれは別でありますが、しかし現在の法律審議する以上は、この協定が気にかかってやはり問題にせざるを得ないわけです。私は大臣が言っておることが全部わからぬと言っておるわけではない。大臣のその苦衷はよくわかるけれども、なおかつ厚生省にしてやられたという気がこの協定を見る場合にはするわけです。法律というものはよいけれども、その行政協定未来永久にやられてしまったのでは、郵政省としては立つ瀬がない。それから従業員立場から見ても、何のための改正ぞやということを言いたくなる。それだったら、この募金会をこしらえなくても、私が言ったように、郵政省には経理監査を専門的にやる人が各県におりますから、そういうものに命じて郵政省がこの指導についてはすっきりと監査する、こういうことにしてもいいわけです。私は何も募金会というものにこだわる必要はないと思う。郵政省本来の立場に立って改正するならば、私の言ったような考え方改正でもいいと思う。たまたま募金会を作ると、また役人のうば捨て山になるのではないかということを勘ぐられる点が非常に多い。こんなことよりも、私が二十四国会以来言っておるように、各郵政局なり統轄局に依頼して、そこから監査をする方が郵政省考え方としてはすっきりする。そんなことを今言っても仕方がないので、私としては、できればこの法案審議し、これを可決するかわりに、郵政大臣はこの厚生大臣との協定を一応白紙に戻してもらいたいと思う。そうしてこの法案が通った上に立って、郵政大臣厚生大臣が新しく協議を始めて協定をしてもらいたい。そうしないと、これは話が逆じゃないかと思うのです。法律提案をしておいて、その法律内容行政指導というものを先に両大臣協定をしてきめてしまうなんということは、私はこれは逆じゃないかと考えておるわけですが、その点はどうですか。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 これは念には念を入れたのです。この改正案衆参両院が可決したらこういうことをやろうということであって、判こを早く押したかおそく押しただけでありますから、まあそういうことを言わないで、ぜひお願いします。
  19. 森本靖

    森本委員 そういう理論理論にならぬわけであって、これはやはりこの法律が通ったらこの協定でやろうということで、すでにこの協定を結んでいるわけですから、この法律が通ったらこの法律の観点に立っての協定をすべきである。だからこの法律を通して、たとえばこの監査の問題についても第二十四条の上に立ってこの協定を結ぶべきである。たとえば第二十四条の上に立って一応厚生大臣にその監査をやらして、さらに不備な点がある場合においては、やはりこの二十四条を生かして、この者が監査を行うというふうなこの法律趣旨に立っての協定をすべきである。ところがこの協定ははっきり言ってこの法律趣旨とはだいぶ違った協定になるわけです。だから法案提案をした考え方とこの協定というものは——この協定は依然として厚生省考え方に非常に傾いているわけです。この法案はある程度郵政省考え方に傾いているわけです。だからその中間をとってあなたが非常に政治的に苦慮したということも、私は初めから言ってているようにわからぬわけじゃないけれども、そうかといって、この協定改正法律案を通されたのでは、長年苦労されてきたところの郵政省従業員はたまらぬ。私も二十四国会以来この問題を追及してきたことから考えてみても、このままで済んでしまうということは、私はどうしてもふに落ちぬわけです。だから、この問題はこれ以上は政治的な問題でありますので、大臣としてはこの問題はどう解決をつけたらいいかということについては十分考えてもらいたい。まだ解散までには十日くらいあるようでありますから、この法案審議についてはそうあわてる必要はないと思います。一つその点については大臣は政治的に御考慮願っておきたいということを注文しておきたい。  それからこれは事務的な問題でありますけれども、やはり大臣でないとお答えができないと思います。今申しましたように管理会というのができたわけでありますが、この管理会理事長理事監事というのが役員になっておるわけであります。これのほかに、これは執行機関でありますが、これに対する決議機関というものは——互助会とか弘済会とかいうものについては一応電電公社についてもそれぞれ決議執行という面の分野が明確に分れておるわけです。その場合のこれに対するところの指示を与える機関というものはどこになるわけですか。
  20. 片島港

    片島委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  21. 片島港

    片島委員長 速記を始めて。
  22. 森本靖

    森本委員 その間の事情については若干私も知っておりますけれども、何か募金会というものができて、そうしてこの問題については郵便法二十二条の問題についても相当疑問がありまするし、また憲法上においてもこの寄付金の取扱いについては若干疑問になる点もありまするけれども、それは次の機会に譲るといたしまして、管理会については理事長一名、理事長三人、監事二人ということで運営をしていくということについては、何か非常に心細いものを感じるわけであって、これを郵政大臣が監督をするということになっておるわけでありまするが、その辺のことについては、大臣も経費の節約という点から、実際はそう持っていきたいけれども、できなかったというふうな意味であろうと考えるわけであります。そうなりますと、この理事長一名、理事五名あるいは監事二名というものは、一体郵政大臣としてはどういう観点に立って任命をしようと考えておられるのか。
  23. 田中角榮

    田中国務大臣 これもまた時期的に早いかもわかりませんが、また相当物議をかもすかもわかりませんが、御質問でありますからお答えすれば、できれば会計検査院上りを一人、郵政省から一人、厚生省から一人というくらいになれば、実際の業務はこういう申し合せはありますが、管理会でも円満に行える、こういうことも考えておるわけであります。でありますが、それは全く公平な見方でありまして、会計検査院でもそういう専門家——郵政省も御承知通り金を扱っておりますから、経理には非常に専門的でありますので、三名のうち二名は郵政省からということになり、一名は厚生省になり、あとの監事のうち一名くらいは専門家を入れるかというような試案を当然考えられるわけであります。まだ結論に達しておりません。何か御注文があればお聞きをいたします。
  24. 森本靖

    森本委員 そういうことになりますと、これはちょうど今の共募の中央の情勢と全く一緒じゃないかというふうに考えるわけでありますが、共募の構成が厚生省から、それから社会団体から、あるいはまた一人だけは郵政省からとりましょうということで、一人だけ郵政省からも古い人が行っておる。今度は逆に郵政省でこしらえる管理会というものに郵政省では理事を一人くらいに監事を一人くらいにして、あとは厚生省の関係の古い人をとりましょうということで、政治的には妥協するのが落ちだということで、大臣がそういうことを考えたかもしれませんけれども、私は少くともこの管理会を作った趣旨というものを考えた場合は、これはそういうふうに政治的に遠慮する必要はないと思う。やはりこれは私は郵政省を中心としてはっきりこしらえるべきだ、こう考えるのです。それでなかったら一体こんな法律改正をして郵政省——あなたは大臣だからそうだと思うけれども、郵政省の事務当局あたりが、これが最上の策でございますなんということは、私は考えないと思う。だから大臣としては、そういう点については、厚生省その他の者と相談をして、政治的に非常に苦慮して作ったということはよくわかりますが、その間の、たとえば役員の任命等についても、官僚の古い人だけを対象にするということでなく、やはり従業員の代表というものを堂々と入れたらいい。何も遠慮する必要はない。この管理会については、そんなにあっちこっちに遠慮せずに、やはり郵政省中心としてこの設立の人間については考えていくべきだ、こう考えるわけでありますが、その点について明確に御答弁を願っておきたい。
  25. 田中角榮

    田中国務大臣 管理会の人事その他に対しては、申し合せも全然ありませんし、これは郵政大臣として直接自分の責任でやろうということであります。今、また非常に示唆に富んだ御発言もありましたので、その辺も十分考慮して、適正妥当な人事を行うということを申し上げておきます。
  26. 森本靖

    森本委員 次に伺いたいのは具体的な問題として、この管理会事業運営におけるところの金は最小限度この寄付金の中から還元をして出てくるということになっておるわけでありますが、ただ事業運営でなしに、利子の収入とか、そういう面の収支というものは、一体どういうふうに運営していくつもりですか。
  27. 田中角榮

    田中国務大臣 これは実際は十二月の末までに売り切れまして、金は郵便局にすぐ入るわけであります。でありますが、これが使途配分ということは、ことしは二月でしたか、二月ごろに郵政審議会の議を経て決定するわけであります。でありますから、今度の場合も、少くとも今までのようなラフなものでなく、事業の内訳その他も明細書を出してもらわなければなりませんから、三月、四月ということになるでしょう。ということになりますと、その間金を預かっておかなければいけませんから、管理会が保管をしておるということであります。管理会は金融機関にこれを預託しておき、それできまったものから交付をして参るということになります。管理会の費用等は何でまかなうかということでありますが、これは総額の二%程度ということで明定をしておるわけでございます。利子は大体現在まで二千万円くらいあるそうであります。この利子は——一年間平均すると大体三億か四億の金が管理会にあるわけでありますから、そういうものの利子収入というものは、別に一つもっと計画的に使用しなければならない、こういうふうに考えております。
  28. 森本靖

    森本委員 話が大へん飛びますが、もう一ぺん最初の問題をはっきり言っておきます。きのうもこれは事務次官の方、郵務局長の方からも答弁がありまして、四千万円程度の事務取扱い費というものをもらっておるということもはっきりして、従業員の方の還元についても考えたい、こういう意思でありました。私がその点について、きょう念を押して大臣にお尋ねをしたのは、そういうこそこそしたようなことをやるよりは、法律ではっきり一割以内は従業員厚生福利に使ってよろしい。天下晴れて従業員に使えるというふうに、この法律改正したい。それについてはどうかということを聞いたら、大臣はよろしいということになっているので、その点については問題がないのでありて、あとは与野党の折衝になるわけでありますから、大臣はその点は繰り返して言われないようにしてもらいたい、こう考えます。
  29. 田中角榮

    田中国務大臣 問題はなくはないのです。それを一つ申し上げておきますが、社会福祉の中に郵政従業員社会福祉施設も当然含まれるわけであります。今度は幅を広げましたから、中央共同募金会及び日赤のほかにできるわけであります。でありますが、郵政省はこれは国の仕事でありますので、六億でも七億でも集まったものに対して、当然事務経費としてもらうものは、今までのように収納するわけでありまして、これは法律改正後も一向変りはありません。ありませんが、そのほかに、いわゆる配分先に郵政省従業員の施設をするということを法律に前足することは、こういう野付金の性質、この法律による収納金の性質から考えても問題があるので、この法案を作るまでの間に相当議論をしましたが、そういうものを明定しないでも、実際使えればいいじゃないかということで、こういう表現でやったわけであります。でありますので、私は総収納金の一割程度郵政従業員の、この法律に基く社会福祉施設に当然使わしてもらおうということを考えておりますし、法律的にも筋の通った話でありますから、あらためて明定をしてもらわなくても、十分その趣旨は達成できるという考えであります。でありますが、委員会において院議でもって修正されるならば、私は院議を尊重いたします、こういうことであります。
  30. 森本靖

    森本委員 だから、その点はきのう大臣に来てもらっておればよかったのですが、来なかったので、事務的な質疑は大いにやったわけです。そこで外国の例等なども調べてみると、よく岸内閣が言うところの先進諸国においては、その一割以内は法律従業員の方に還元してもよろしいということをきめている。こういう例もたくさんありますので私は言ったわけですが、大臣がそういう言明をいたしましたので、あとで与野党が十分折衝していきたい、こう考えておりますので、またそれが違う考えだというようなことを、今後言わないように一つお願いをしておきたい、こう考えるわけです。  それから先ほどの利子でありますが、この利子は、今後この法案が通った場合には、これを寄付金考えるのか。これを管理会の収入と考えるのか。この点を明確にしておいてもらわぬと、将来問題になる点でありますので……。
  31. 田中角榮

    田中国務大臣 これは管理会の収入ということに考えられなくもありませんが、法律上は、明らかに寄付金から生まれた利息でありますから、寄付金に合算さるべきものであります。
  32. 森本靖

    森本委員 そうすると、それは管理会の収入としてこれを運用するというわけには参らぬのですか。法的にはっきりそうなるのか、私もそういう財政的なことはあまりわからぬわけでありますが、これは管理会の純然たる収入として考えてもいいじゃないかという気もするのですが……。
  33. 田中角榮

    田中国務大臣 法律に明定のないものでありますので、これは運用によって管理会の収入とできないことはありませんが、純理論から言うと、管理会は保管をしているだけであります。管理会は、別に総取扱い金額の二%を事務費としてもらうように法律になっておりますから、預かっている間、預託金から生ずるものは当然寄付金に合算さるべきだ、こういうふうに理論的には言い得るわけであります。
  34. 森本靖

    森本委員 財政的な問題は、私は詳しく知りませんけれども、しかし預かったものを銀行に預けずに、管理会がそのまま持っておったのならば利子は全然生まれてこぬわけであって、これを運用収入として考えても私は一理はあると思うのです。だからやはりその辺の問題は、将来必ず問題になるような気がするわけであります。だから私は、ここでは一応この問題については寄付金考えずに、管理会というものができて今までのお年玉はがきの問題とは全然変ってくるわけであります。これを管理する管理会というものができ、その管理会には役員もちゃんとできてくるわけでありますから、そういう利子についてははっきりと管理会の収入として将来取り扱っていくというのが望ましいのじゃないか、こう考えるのですがどうですか。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 これは法理論として正しく申し上げれば私が言った通りでありますが、いずれにしてもこの金は長期に運用するような金じゃなく、実際計画があれば一日も早く国民に還元しなければならない金でありますから、利子収入というものはまた派生的に起る収入でありますから、これを多額に見積るわけにはいかぬと思うのです。でありますが、管理会の費用に——事務当局はここで管理会の費用にしてもいいと思いますというようなことを言っておりますが、私はそうは考えないのです。これは明らかに保管をされたものから自然発生的に生まれるものでありますから、これは寄付金の集計にプラスさるべきものだ。ただこの運用に対しては相当問題があるのです。そういう意味でこれを管理会の収入ということに明確に規定をいたしますと、管理会の費用が余った場合は、二%が一%でいいじゃ、ないか、〇・五%でいいじゃないかとだんだん少くなってくる。管理会の費用の余剰金もなおこういうものに使えるという法律的なものはないのでありますから、管理会は必要最小限の費用でやっていく。だからここでは管理会の費用は利子収入をもってまかなうという法律の建前をとりませんで、総扱い高の二%は管理会の費用としてこれを徴収するというようになっておりますので、利子収入は還元すべきものだという考えを持っております。
  36. 森本靖

    森本委員 法理論的には大臣の言われる通りかもしれませんけれども、今までの利子収入の問題とこの法律が施行されたときの利子収入の取扱いの問題とは変ってくるということを前提において考えてもらいたい、こういうことなのです。今までの利子収入というのは、大臣は大したことはないと言われるけれども、はっきり言ってこれは相当大きいのです。たとえば利子で大きな病院が一つでき上るということが今まであったわけであります。だから私は今までのように募金会とか管理会というものがなかった時分においては、これを寄付金と同様に取り扱っていかなければしょうがなかった。しかし今回は管理会というものができて、それに責任を持った役員もできたということになってくると、原則としてはその金は寄付金と同じような方向に使わなければならぬということも考えられるけれども、しかしその総金額の中においては、この管理会が有効と認める場合には、管理会考え方によって使ってもよろしいと、こういうふうな行政の幅のあるものを持たせてもらわなければ、私は実際にこれをやる孝がはなはだやりにくいのではないかということで、この法案の可決する際には——将来これは速記録に残りまするから、私はこの問題をはっきりと大臣に言ってもらいたい、こう言っておるわけであります。だから私は大臣が言っておるように、これは全然寄付金でなくて、すべてこれを収入として取り扱おうというふうにも考えておりませんし、あるいはまたこれが全部寄付金であるとも私は考えておらぬわけです。一応寄付金の収入については、原則としては寄付金というふうな考え方になるので、この会計上の取扱いについては私はこれを管理会の収入と考えて、管理会はその収入の中からあらためて社会福祉施設なりあるいは団体に対して交付する、そうして管理会が若干使ってもいいという場合もあり得る、こういうふうに私は解釈しておりますが、これをどうお考えですか。
  37. 田中角榮

    田中国務大臣 なるほどあなたの言うように、全くその通りのもののようであります。法制局の意見でありますが、これは理論的に言うと管理会のものと考えられる。しかし金の性質上寄付金に還元すべきものである、これが妥当な意見のようであります。でありますから今あなたがおっしゃったと同じ考えであります。しかしこの管理会は御承知通り法律を作る過程において相当問題になったのですが、いわゆる事業収入というものは全然ないものだということで、免税措置をとられております。でありますので、管理会が二千万円も三千万円も利息が入ってくるということは考えていなかったわけであります。なるべくこれを還元をするという趣旨でこの法律は作られております。でありますからいろいろな問題を考えて、より合理的な運用方法をきめるように慎重に考えまして、この金の性質上非難をせられるようなことが万が一にもないように考えるようにいたします。
  38. 片島港

    片島委員長 関連して私からも申し上げますが、それは誤解を招かぬようにはっきりしておかなければいかぬと思うのです。先ほど森本委員の質問で、そのまま置いた場合には利息はつかない、預金すればつくという話もありましたが、人の金を管理しておるのですから、管理する者は善良なる管理者の注意をもって保管をしていかなければならぬ。善良なる管理者の注意というのはどうかと言えば、できるだけそれが有効に果実を生むような方法で保管をしていかなければならぬ。そうして生まれた果実は元本についていくものであって、それを別個に管理しておって、おれたちの手柄でこちらに回すというのは法理論的にはできぬだろうと思う。そうしますとその使い方ということと、果実を生むということとはこれはまた違うので、使う場合にどういうふうに使うかということは別個の問題として考えるが、あくまで元本の方から生んだ果実であるというふうに、法律的にはこれを明確にしておいて、相当の利息を生んで、どこかで適当にもやもや使うのではないかという誤解を受けることのないようにしておくのがいいのではないかと思うのですがどうですか。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 いずれにいたしましてもこの金の生まれるもとの性質上、寄付金に合せて還元すべきもの、こういうふうに明確にお答えしておきます。
  40. 森本靖

    森本委員 くどいようですが、これはあとで紛争を起すもとだと思うのではっきりしておきたいと思う。それではこの利子収入というものは管理会の収入である、しかしその利子収入の入ってきた趣旨からして、管理会としてはこれはでき得る限り寄付金と同様の使い方をすべきである、ただしその範囲内においては管理会自身が使ってもいいこともあり得る、こう解釈をしていいかどうか。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 そう解釈していいと思います。
  42. 森本靖

    森本委員 それではこの問題についてはそれでいいと思います。  それからこの第三十条でありますが、今言いましたように利子が三千万円、四千万円というようになって参りますと、この余裕金をどこに預託するかということもかなり私は問題があろうと思います。そこで「郵便貯金又は銀行若しくは逓信大臣の指定するその他の金融機関への預金」というのは逓信大臣が一応大臣という形においてある限りは、これは信用してけっこうだと思う。ところが郵便貯金も、これはむろん信用してけっこうだと思いますが、銀行というのは、これは銀行にもよりけりで、千葉銀行みたいな銀行もあるわけですから、私は郵便貯金もしくは逓信大臣の指定する相当の金融機関というふうなことが、将来いろいろな問題が起るよりもいいのではないかという気もするわけです。この条文でいくと、管理会考えてどこの銀行へ入れてもいいということに解釈ができるわけです。この辺のことについて大臣は一体どうお考えになってこの立法措置を進めたかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  43. 田中角榮

    田中国務大臣 これは十分考えました。こういうものが運用されるということによって、もちろん取付を食うようなところへ預金をして、さあ還元しなければならぬというときに間に合わぬという問題もありますし、もう一つは、こういうものが裏金利を生んだり、いろいろな事件を起すような原因になっては、国民に対してはなはだ相済まぬということでありますので、この金融機関の指定という問題に対しては特に考えましたために、大臣の指定するというふうにしたわけでありますが、これは郵政省で扱った金でありますから、できるだけ郵便局へ積んでおくということが一番いいと思うのです。
  44. 森本靖

    森本委員 そこでこの三十条の問題でありまするが、私は郵便貯金、逓信大臣の指定するその他の金融機関ということについては問題がないということは初めから言っておるわけです。ただどこの銀行へでも預けられるということがここに出てきておるわけです。そこで私が心配になるのは、初めに言ったように、決議執行という機関が二つに分れておらぬわけです。管理会というのは、わずかな理事長理事監事と少数の人間でこれが運営できるわけです。そこで執行機関というものにはそういうことを相談をする機関が一切ないわけです。そこでその執行機関というものだけで相談をして、どこそこの銀行へ金を預けるということにまとまれば、これは合法的になるわけです。だからこの点については、最初に申し上げたように管理会の生まいれ方、構成のあり方については非常に危惧する点がある。そういうところへもってきてこういう第三十条の一号なんというものがあるということは——郵便貯金もしくは逓信大臣の指定する銀行その他の機関ということになれば、これは郵政大臣がはっきりとその問題について認定をして、監督をするということになるから、私は安心ができると思う。ところがこれだけであると、今言った管理会の少数の人間がきめることができる、だからその点については非常に疑問があるので、もう一ぺんお答え願いたい、こう思うわけです。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 これは郵便貯金にするか、銀行預金にするか、銀行の指定は逓信大臣が行う、こういう考えであります。
  46. 森本靖

    森本委員 載っていないじゃないですか。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 その他の金融機関は、特に逓信大臣が指定するもの、こういう思想で読んでいただいてけっこうだと思います。
  48. 森本靖

    森本委員 法律改正案ではそうなっていない。
  49. 田中角榮

    田中国務大臣 三十二条に「管理会は、逓信大臣が監督する。逓信大臣はこの法律を施行するため必要があると認めるときは、管理会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。」これは一切郵政大臣が行える、こういう考えであります。
  50. 森本靖

    森本委員 この第三十二条は「この法律を施行するため必要があると認めるときは、」ということであって、この法律に明示をせられていることは一応管理会管理会考え方においてやってもいいと私は思う。そうでなければ、管理会事業その他のことについて一々こまかくきめる必要はない。ただこの法律に出てこないようないろいろな細部の問題についての行政指導というものは逓信大臣がこれを行うという、第三十三条の二項というものは通常の法律のあり方なのです。だから私がさっきから言っているように、第三十条の場合は管理全会の少数の人間がきめて、どこの銀行へほうり込んだところで法的にはかまわないのです。そこでかりに何かの事故が起って、初めて郵政大臣がそれはどうもおかしいからいかぬじゃないかということを言うわけだ。だけれども、私が言っておるように、それは事故の後になることであって、事前にはそういうことにはならぬ、こういうことを言っておるわけです。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 そうじゃないのです。立法例はみんなそういうふうになっているそうでありますが、私は専門家じゃありませんからわかりませんが、私の考えでは、特に三十条に逓信大臣としましたのは、逓信大臣の指定するその他の金融機関への預金、いわゆる郵便貯金、銀行を除く他の金融機関へも逓信大臣が指定をすれば預金ができる、こういうふうにやったのでありまして、これは郵便貯金、銀行等に対しても当然三十二条の適用を受け、逓信大臣が指定できる、こういう考えであります。
  52. 森本靖

    森本委員 三十二条を適用してやるという考えなら、この三十条の一号なんというものをこしらえる必要はないのです。私はこの解釈の仕方についてはそうじゃないと思うのです。この三十二条というようなものは通常法律にはこういうものがついているのです。この法律の施行についてのすべてのものについて逓信大臣が監督権を持つということは当然なんです。だけれども、個々の法律に明示せられていることについて、大臣がそのことについてはいかぬからこうだというようなことを言う必要はない。ただ事故があって初めて、それはいかぬじゃないかということをこの第三十二条によって指摘をすることができる、私はこう解釈するのが当然だと思う。事務当局がそんなことを大臣に教えてもらっては困る。法律上の問題としては、私の解釈していることが正しいと思うのです。この問題がいい悪いは別として、法律上の問題は私が解釈していることが正しいと思うのですが、どうですか。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 これは私が今申し上げているように、管理会は逓信大臣の監督を受けるのです。しかも三十条では「管理会は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。」という前提のもとに左記に列挙したのでありまして、管理会運用に対しては全部郵政大臣が指定をしたり、監督したりできる、こういう建前に立って立法しているのであります。特にこの逓信大臣というものが出て参りましたのは、こういうことなんです。いわゆる電話の加入権質の問題等でも銀行何々、その下に特に郵政大臣の指定する機関、こういうふうな書き方をしていると同じように、「郵便貯金又は銀行若しくは逓信大臣の指定するその他の金融機関」というように拡大をしているために逓信大臣を入れただけでありまして、少くとも郵便貯金または銀行に対しても逓信大臣が指定できる、またそういう間違いの起きるような、しかも管理会が勝手に、前の早船事件ですか、ああいうことを起すようなことが絶対にないように十分監督をし、これが預託等に対しても監督、指定の責任がある、こういうふうに考えておるのであります。
  54. 森本靖

    森本委員 それは運用することについては郵政大臣がそういう考え方運用してもけっこうでありますし、また私はそうでなければならぬと思うのです。ただここでは法律案審議しているわけです。この法律を実際に施行する場合には、一体どうなるかということを考えて質問しているのです。だから、この法律の条文がある限りにおいてはこれは三十二条があったにいたしましても、管理会がかりに千葉銀行に裏金利の問題を理由にして融資をして、そうしてその結果事故が起きてから、郵政大臣がそんなところへやっちゃいかぬということは命令することはできるけれども、そういうおかしげな銀行に預けるということは、管理会はこの条文では勝手にやれるのです。だから私はそういう点については、未然にそれを防止するという意味において、この銀行というのも、逓信大臣の指定する銀行その他の金融機関への預金、こう書いた方がよくはないかということを言っておるわけです。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。これはこういう表現を使わなければならなかったという事情があります。その事情というのは、これは税金をもってまかなういわゆる国の歳出金ではないのでありまして、できるだけ郵政大臣等はこれが運用について関与すべからずという考えをまず前提に置いてあります。でありますが、必要やむを得ざる限度において管理会に対し命令もしくは監督、任命等を行うということで逃げておるわけです。でありますから、この条文からいうと、管理会は少くとも今までのようにないよりはいいのであって、とにかく理想的にするには郵政大臣というものは指定する業務の細部まで指揮をするということになることを避けて、こういう条文の表現になったわけでありますが、こういう表現でありますから、郵政大臣が細部までは指定をしないということで逃げておりながら、実際の運用の上では一切のものに対して郵政大臣が万全を期すために監督権を発動し、指示ができる、こういうふうにお読みをいただきたいと考えます。
  56. 森本靖

    森本委員 私はさっきから言っておりますけれども、大臣趣旨はよくわかるけれども、法律的にはこれを悪用しようと思えばできるということを私は例証をもって言っておるだけであって、特に私がこのことをやかましく言っておるのは、こういう社会福祉事業に充てるところの寄付金という問題について、かりに事故でもあった場合は、これは大きな社会問題になるわけであります。だからこういう問題については立法するときには、念には念を入れて考えておくべきであるという考え方から私は言っておるのであって、あえて反対の立場から言っておるのではないのですから、その点は大臣も十分考えてもらいたい。  私はそれ以外にこまかい問題の質問がたくさんありますけれども、先ほど委員長から注意がありましたように、本日の質問はこれで打ち切りたいと思いますが、最後に、先ほど来私が言っておりますように、問題の点を一応もう一回念を押しておきたいと思いますので、郵政省としてもこの問題については考えておいてもらいたい、こう思うわけであります。  まず郵政大臣厚生大臣——私は何もこの四億五千万円そのものがいいとか悪いとかということを言っておるのではないのですから、その点については誤解のないように……。ただ法律提案しておきながら、こういうものを先に勝手にきめてやることがいいのか悪いのか、この法案を可決するということについては、こんなものは一切ない、こういう条件のもとになければ、この法案を可決するということはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えるわけであって、この点がまずこの法案の問題の第一点であります。もう一点は、先ほど言いましたように、従業員厚生福利施設その他に還元をするということを、ああだこうだというようないろいろの条件を探してきてやらなければならぬということよりも、先進国の例をとって、一割は従業員厚生福利施設に還元するということをはっきりこの法律の中で認めていきたい。さらにこの管理会の運営その他については、これは行政上の問題であって法律上の問題でありませんけれども、設立その他については十分一つ大臣の意のあるところを考えてもらいたい。  最後に、わが党としては前々から言っておりますように、こういうふうなお年玉つき郵便はがきというものだけの犠牲において、社会福祉寄付傘をやる必要はない。やるならば現在のタバコに一円つけてもよろしいし、二円つけてもよろしいし、あるいはまた映画館の入場料に対して五円つけてもよろしい。これは実際のところをいって、映画劇場に入場する際につけた方がずっと効果がある。片一方はそれだけ遊びにいく余裕金を持ってやるわけでありますから、そういう際に五円くらい寄付したところでかまわぬわけであります。こういう例は諸外国にもたくさんあるわけであります。あるいはまたタバコの問題についてもしかりであります。何も郵政省だけがこういうところの犠牲を負う必要はない。さらにできれば今日の四円というふうな年賀はがきは廃止をして、五円プラス一円ということでやるのが順当であるというふうに考えておるわけでありますが、この問題も十分次の委員会における質疑応答の材料にしたいというふうに私の方では考えておりますので、郵政省の力としても十分お考えを願っておきたい、こう考えるわけであります。  それからこのお年玉つき郵便はがきの改正に関連をしてのいろいろの問題がその他にもあるわけでありますが、私はきょうそれだけの問題を一応郵政大臣に対しても宿としてお願いをしておいて、私のきょうのこれに関する質問は終りたいと考えるわけであります。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいまお述べになりました問題の中で、一番初めのものを除けばおおむね私も賛成であります。一条はこの法律を出すために必要やむを得ざる限度において作られたものであるということを一つ御了承いただいて、この問題はぜひ不問に付すようにお願いしたいと思います。
  58. 片島港

    片島委員長 ほかに質疑がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。  次会は明後十八日午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十五分散