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1958-04-15 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十五日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 片島  港君    理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 森本  靖君       川崎末五郎君    椎熊 三郎君       塚田十一郎君    中曽根康弘君       南條 徳男君    濱地 文平君       廣瀬 正雄君    佐々木更三君       松井 政吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         郵政政務次官  最上 英子君         郵政事務官         (郵政局長)  板野  學君  委員外出席者         郵政事務次官  小野 吉郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 四月十二日  委員南條徳男君、濱地文平君及び星島二郎君辞  任につき、その補欠として中馬辰猪君、椎名隆  君及び五十嵐吉藏君が議長指名委員選任  された。 同日  委員五十嵐吉藏君、椎名隆君及び中馬辰猪君辞  任につき、その補欠として星島二郎君、濱地文  平君及び南條徳男君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第一二五号)  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七一号)      ————◇—————
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  お年玉つき郵便葉書等の販売に関する法律の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。質疑通告がありますので、順次これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 大臣がまだ来ていないようでございますので、おもに事務的な方面質問をしたいと思いますが、まずこのお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案の中で、本年度発行予定額というものはどうなっておりますか。
  4. 板野學

    板野政府委員 まだ正式には本年度発行予定についてはきまっておりません。
  5. 森本靖

    森本委員 これは過日新聞閣議決定になったということが載っておりましたが、まだきまっておりませんか。あの閣議決定というのはそれではうそですか。
  6. 板野學

    板野政府委員 事務的には私どもの方といたしまして、大体寄付金つきのもの七億、寄付金のつかないもの一億というような事務的の一応の考え方というものを出してはおりますけれども、これは正式にまだきめたものではございません。
  7. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは正式に閣議決定事項にはまだなっておらないわけですか。
  8. 小野吉郎

    小野説明員 この問題は本質上閣議決定事項ではございません。在来郵政大臣郵政審議会の議を経まして決定し得る問題であります。閣議で話題になることはありましょうが、この決定をいたしますために閣議決定を仰がなければならないという筋合いでもございませんし、先般も、それも三十三年度発行の枚数を大体大よその構想にしろ、閣議決定を仰いで決定の前提にしようという筋合いで、大臣が話されたものとは考えておりません。
  9. 森本靖

    森本委員 これは閣議決定事項でないことは私どもも重々承知しておりますけれども、具体的に新聞には閣議に報告をして了承を得た、こういうことが載っておるから聞いておるわけですが、その間の事情はどうなっておりますか。
  10. 小野吉郎

    小野説明員 大体年賀はがきとしまして、昭和三十二年度郵政省発行いたしましたもの並びに私製はがき等を加えまして、総体が八億七千万枚程度になっておりましょうか、そういうところから見ますと——一昨年も大体八億見当年賀郵便が出ております。戦前の最高の年賀郵便の扱いの数字が八億と称されております。そうしますと、年賀はがき発行のそれも終戦後急激に盛り上って参りまして、三十二年度八億七千万枚ということになっておりますが、これは大体今後の趨勢を見ましても、さほどこれをこえることはないのではないか、天井に近いのではないかという感があるわけであります。しかもそのうちで官製はがき等によらないで私製はがきによるものも相当あります。これは将来も続くと思いますので、年賀はがきとして発行し得る限度がどのくらいであるかという点は、およそ七億枚くらいが限度ではあるまいか。それをこえましても、そう大幅にこえるわけでもありませんので、大体三十三年度におきましても、郵政省年賀はがきとして官製はがき発行し得る限度はまあ七億見当、それが最も安全なところでございまして、そのくらいを大体の目安に大臣もお話しになったものと考えております。
  11. 森本靖

    森本委員 新聞では七億と一億ということにきまって、それから沖縄に若干の金を出すということが載っておったわけです。だからそれがほんとうかどうか。あなたが閣議へ出ていないから知らなければ知らないということで、あと大臣に聞くからそれでいいのですが、ただ新聞に載っておったのでそれをただしておるわけです。
  12. 小野吉郎

    小野説明員 大臣が来られますので、この辺のところについては御質問に対してお答えすると思います。私はこの点につきましては、大臣からもその模様は聞いておりますが、答弁を控えさしてもらいたいと思います。
  13. 森本靖

    森本委員 それから次に第五条でありますが、第五条で今度新しく寄付金つき郵便切手というのが出るということが載っておるわけであります。さらに「郵便葉書お年玉つき郵便葉書を含む。)」というふうに載っておりまするので、これから解釈をしていきますると、今までの寄付金つきお年玉はがき以外の寄付金つきはがきも出るということが予想せられまするし、それから切手でも寄付金つきが出るということが予想せられるわけでありますが、この内容事務当局から御説明願いたいと思うのです。
  14. 板野學

    板野政府委員 この寄付金つきはがき並びに切手発行できるというこの権限は、今度改正提案をしておりまするもとの法律にもこのことがあるわけでございまして、このたびはただそのお年玉条文寄付金条文とをはっきり二つに分けて規定しただけでございまして、もとの法律につきましてもこれができるようにはなっております。
  15. 森本靖

    森本委員 だから私が聞いているのは、第五条によるところの問題については、二項以下が新しくつけ加えられておるわけですよ。だから二項以下が新しくつけ加えられておるということは、従来のお年玉つき郵便はがきだけではこういうことはできないというにとが予想できる。それで具体的にはそういう発行についてはどう考えておるかというのです。あなたに説明されなくても、前の法文については十分承知しておるけれども、二項以下の問題が新しく出ておるから、第五条についてはその具体的な計画はどうなっておるか、こういうことを聞いておるわけです。
  16. 板野學

    板野政府委員 現在のところ、お年玉つき以外に寄付金つき切手なりはがきを出す計画はございません。
  17. 森本靖

    森本委員 そうすると、この第二項に新しく「社会福祉増進目的とする事業を行う団体、風水害、震災等非常災害」というのがあるわけでありますが、これはどういうふうにするつもりですか。
  18. 小野吉郎

    小野説明員 今回の第五条の第二項によりまして、寄付金配分先法文の上ではいささか広げております。在来社会福祉目的とする云々とありましたが、これは現実に過去八年間この目的のために寄付金配分いたしました現実のそれよりは意味が広いわけであります。在来のそれは日赤並びに共募に対してのみ寄付金配分いたしておりましたが、社会福祉目的とするものはそのほかにもあるわけでありますが、在来の八年のそれが社会福祉目的とする団体イコール日赤、共募、こう観念されたような実質の既定事実もありますので、そういった面を、そういうものにのみ限定するのでないという意味合いにおきまして、いささかつけ加えたわけであります。もちろんこれは年賀はがきだけではありません。将来切手とか年賀はがき以外のはがき寄付金をつけるというようなことが計画として具体化いたしますならば、その場合に寄付金配分団体に適用されるわけでありますが、さしあたっての問題といたしましては、切手あるいは年賀郵便以外のはがき寄付金をつける具体的計画を持っておりません。これを策定いたしますためには、まだまだいろいろ具体的な基準等を十分に明確にいたしませんと、需要を十分に受け入れることができないという意味で、非常に無用な非難を受ける結果にもなりますので、さしあたりは年賀郵便のみを考えております。この年賀郵便寄付金配分に関しまして、在来日赤、共募以外に、特殊の災害による罹災者救済関係とか、特殊の疾病治療目的とする団体、そういった方面配分範囲を広げようという意味合いにおいて、つけ加えたものであります。
  19. 森本靖

    森本委員 将来そういうことを行おうというふうに考えておりますか。
  20. 小野吉郎

    小野説明員 現在、これは非常にむずかしい問題でございまして、そういった方面計画を踏み切るといたしますと、おそらくかなりの要望が出て参ります。この要望を十分に満たしますためには、相当な用意を持ってかからなければなりません。従ってそういう要望を聞く基準等を明確に、しかも公平にきめなければなりませんので、現在のところまだそういった面につきまして現実具体計画も持っておりませんし、また近い将来においてそういうものをやろうという気持も現在まだ持ち得ないような状況でございます。
  21. 森本靖

    森本委員 もしそういうことなら、この第五条の第二項は削除したらどうですか。一応その法律を成案を得て、立法府提案をして審議を得る以上は、それについての内容はこうこうである、将来はこういうふうにやっていきたい、今直ちに準備できないけれども、将来はこういうようにやっていきたいというような一応の案があってしかるべきだ。一応立法府にそれを提案をしておいて、審議をして通してもらっておいて、何年か先にゆっくり考えてやろうということでは、われわれはこの法律審議する際にこの内容が明らかにならなければ、どうこうということは言えないと思うのですよ。やはりこういうようなものを提案をする以上は、郵政省としては将来こういう考え方において、こういう構想のもとにこれをやりたい、いろいろな障害があろうと思うけれども、それを突き進んでやっていきたいと思う。それから具体的にそういう場合にはお年玉つきはがきだけでは足らぬので、年に三回なり四回の、一応一千万円なら一千万円、その程度記念切手発行して、今日切手ブームの時代でありまするから、そういうものを発行してやりたいというふうな具体的な計画を明示して、この法案提案すべきではないかというふうに考えるわけです。ただばく然と、こういうようなことをやっておいたら、いつかは使う機会があるだろうというふうな考え方であるならば、率直にこれは削除した方がいいと思うのですが、どうですか。
  22. 小野吉郎

    小野説明員 その問題は、これから始めるであろうところの切手に対する寄付金あるいは年賀郵便以外のはがき寄付金をつけた場合に予定しておるものではないのでありまして、年賀はがきそのものにつけました寄付金配分配付団体を拡張しようということでございまして、将来計画には関係なく、現在年々発行いたしております寄付金つき年賀はがき配分先について、その程度範囲に広げたいということでありますので、将来の年賀はがき以外につける寄付金配分のために作ったものではございませんので、ぜひその面は年賀はがきに付加する寄付金配分先を拡張する、こういう意味合いにおいてお認めを願いたいと思います。
  23. 森本靖

    森本委員 そういうことになると、さらに私は非常に憤慨にたえぬわけです。これが単に年賀はがき寄付金だけということになるとするならば、第二項でせっかくこれだけ広く範囲を拡張しておるというにもかかわらず、この法律がまだ通らぬ前の二月の十九日に郵政大臣厚生大臣が協議をして、しかもその中でこの三十二年度実績を下らざる額を今後従来の中央共募と日赤にやるということをきめておいて、そうしてこっちではこれを拡充するなんということは、これは非常にちぐはぐな格好になって、私はまことにおかしな格好ではないかと思うのですが、どうですか。
  24. 小野吉郎

    小野説明員 この問題につきましては、森本先生よく御存じの通り、従来ともいろいろ厚生省関係並びにこの寄付金配分して参りました社会福祉団体とは、よきにつけ悪きにつけいろいろな問題があったのであります。これをせっかく国民の利用される方面から見ましても、正月にお年玉というささやかなそういった浄財を寄付するという、うるわしい仕事でありますので、そういった従来によく見られましたような遺憾の点のないように十分に話し合いをして、ほんとうお年玉はがき発行の趣旨に沿ったうるわしい状況処理をいたしたいということで、厚生大臣とも郵政大臣が話し合われまして、在来実績は尊重する、こういう一札を入れたわけであります。ただその問題は、従来の昭和三十二年度実績は尊重するということでありまして、自余の問題について、その金額配分をどうするとか、発行の点について制限を受けるとかいうような点はございません。これはもとより国会の御審議なり、また郵政審議会にも付議するわけでありますから、その方面の公正な意見を拝聴いたしまして、それを尊重して善処いたしたい、かように考えておる次第であります。
  25. 森本靖

    森本委員 私はこの問題についてはいずれ厚生大臣も当委員会に来てもらって、明確な答弁を願わなければ、この法案についての審議を相当促進していくわけには参らぬというふうに考えておるわけでありますけれども、それはあとの問題といたしまして、今の問題でありまするが、第五条の二項以下でせっかくこれの範囲を広げておきながら、この法律では郵政大臣郵政審議会に諮ってこの配分方法をきめるということが明確に出ておるわけであります。それだけ郵政大臣権限を持っておるわけであります。にもかかわらず、この法律案提案しておる最中に、郵政大臣厚生大臣が、その法律を施行する面における協定をすでに成立をしてしまったということについては、私は非常に遺憾にたえない。これは事務次官に何ぼ言ったところで、大臣の政治的な責任でありまするので、どうにもならぬ問題でありまするが、特にこの第五条の第二項がこういうふうに拡張せられるということについては、私もある程度賛成であります。賛成であるにもかかわらず、そのことをこの行政におけるところの厚生大臣郵政大臣協定においてこれを束縛するということは、どうしても私は納得がいかぬわけであります。だからこの法案提案をして、そうしてこの法案審議してくれ、こういうことならまず私は郵政大臣厚生大臣協定というものを破棄してしまって、そうしてこの法案審議をして、この法案が通過したあとにおいて、郵政大臣厚生大臣がこの新しく改正をされたところの法律に基いて話し合いをするというなら、事がわかるわけであります。ところが法律提案をしておいて、その法律が通らぬ前から、その法律が施行せられたらこういうことをやりますよという協定をして、この法律審議してくれなんということは、全くおかしげ格好でありまして、これはしかし大臣がおらぬので肝心のところがちっともどうもならぬのですが、政務次官、どうですか、この点は大臣から聞いておりますか。聞いておらなければ、政務次官質問をしてもしようがないのですが。
  26. 最上英子

    最上政府委員 ただいま森本委員の御質問でございますが、この件につきましては私も大体は存じておりますけれども、後刻大臣がお見えになりますので、そのときに詳細をお聞きになっていただきたいと思います。
  27. 森本靖

    森本委員 肝心なところが大臣がおりませんので話になりませんけれども、参考までに事務的な面を聞いておきますが、三十二年度日赤と中央共募の実績はどうなっておりますか。
  28. 板野學

    板野政府委員 大体四億五千九百九十余万円集まりまして、そのうち共募が八〇%参りまして、日赤の方が二〇%、こういう比率になっておりま  す。
  29. 森本靖

    森本委員 それでは技術的な立法の面でありまするが、こういうふうなお年玉寄付金、あるいは寄付金つきのものが出た場合、実際これを一生懸命売り歩いて、しかもこれによって相当な労働強化が年末年始にかけて毎年郵政省従業員に行われるわけでありますが、その郵政省従業員に対してこの寄付金の中から——私は手当を出せとは言いませんけれども、実際にこれが相当各社会福祉施設になっておる。そういう点から考えた場合に、このうちのたとえば何%なら何%というものを一応従業員厚生施設に充てるなり、あるいはまた厚生福利施設にこれを寄付をするなり、あるいはまたたとえば郵便局なら郵便局には——今後テレビブームができまするが、郵便局食堂あたりにこの寄付金の中から一台くらいのテレビ寄付をするとか、そういうふうな実際に従業員に対して何とか慰安をするというふうな方法は、立法技術としてとれぬものですか。
  30. 板野學

    板野政府委員 外国には立法といたしまして、そのうちの大体一割くらいは郵政従事員福利のために出すという立法例もございます。しかし私どもといたしましてはそういう要望もございますし、またそういう面にも何らかの方法でこの法律で許す範囲内で適当な考慮を払っていきたい、こういうような考えでおります。またこのお年玉はがき発行につきまして必要といたしました経費は、この募金団体から受け入れておりまして、大体その額は四千万円くらいでございますが、そのような経費の一部は実際に従事員のいろいろな活動に対して回っておるわけでございますが、直接的には現在はその厚生その他の施設に回しておりません。この点につきましては、この法律範囲内で一つ適当な方法で考えてみたいというふうに思っております。
  31. 森本靖

    森本委員 その四千万円というのは、肝心の従業員には一つも渡らずに、実際にその当該局長が共募の代表者を集めてみたり、あるいはその土地の有力者を集めてみたりして、昼飯でも食うとか、あるいは記念品でも贈るとかいうように売る方向に使われておって、現在は一つ従業員厚生福利ということには関係がないわけです。ただしかしその四千万円程度の金において、その範囲内においてやろうといっても、私は現在のこの法律範囲内においてはできがたいのじゃないかと思うのですが、郵務局長は一体この条文の中のどの条文でそれをやろうとおっしゃるのですか。
  32. 板野學

    板野政府委員 今の四千万円は繰入金でございまして、これは雑収入として入っておりまして、それが予算の面にも現われまして、直接的に厚生関係にいっておりませんけれども、各種の費用に充てられているわけでございますが、この条文の中で直接に従業員厚生施設に考えられるような点はないかということで私ども現在研究をいたしておりますが、たとえばこの第二項にもございますように、社会福祉というような関係、あるいは特殊疾病というような関係で、そういう費用審議会なりの御承認を得られればそういう面に使い得るのじゃないか、私はこのように考えております。
  33. 森本靖

    森本委員 率直なところ第五条の二項ではとても使えぬですよ。だから今言ったお年玉はがきの実際に要った事務的な問題については、これを郵政省に還元をするということはあるわけであって、その中に含めようという考え方ではなかろうかと想像いたしますが、しかしそれでもこの法律範囲内においては具体的にはなかなかむずかしいじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  34. 板野學

    板野政府委員 たとえばこの社会福祉増進という言葉をもう少し広義に私ども解釈をいたしているわけでありますが、今度の法律が通りますれば、この社会福祉というのは、ただ共同募金日赤だけということでなしに、もう少し広くこれは解釈していいのじゃないか。それからまた特殊疾病等につきましても、適当なる従事員福祉団体というようなものができますれば、それに対しまてここから審議会の議を経てここにそういうよう基金を出すことができる、このように私どもは考えております
  35. 森本靖

    森本委員 外国の例はどうなっておりますか。先ほど一割以内出していると言った外国の例の立法措置は……。
  36. 板野學

    板野政府委員 外国の例では、この寄付金額の一割の範囲内において、郵政従事員のためにこれを使用することができるという明文をもって規定されているところがございます。その例はオーストリアとイタリアにはそういうはっきりした明文がございます。
  37. 森本靖

    森本委員 だから日本ではそういうはっきりしたことはいかぬのかということを聞いているわけです。
  38. 小野吉郎

    小野説明員 この問題は郵政省といたしましても、森本委員のただいまの御質問は非常にありがたい限りでありますが、従来どちらかと申しますと、そういう議が省議等に上ったこともありますが、それは求めるべきものではなくて与えられるべきものである、こういうことで遠慮を申し上げているようなわけであります。今回の立法におきましても、そういった面を明文ではっきり出すということは、実は遠慮いたしているようなわけであります。では全然できないかと申しますと、先ほど板野政府委員からお答えいたしましたごとく、特殊疾病治療関係、あるいは社会福祉というような関係で、その条文の許す範囲におきまして、国会のそういった御承認が得られれば、実際問題として処理をして参りたい、かように考えているわけであります。
  39. 森本靖

    森本委員 郵政省の役人は大体非常に微温的で、私はそういう点では非常にまずいと思うのです。そういう考え方があるなら、今の郵政大臣はなかなかしっかりした大臣でありまするから、大臣に頼めば、大臣はオーケーといって手をたたいてやってくれるのではないか、私はこう思っておるわけです。あなた方の方が非常に遠慮してやらなかったような口ぶりでありますが、それならこれははっきり申し上げておきまするが、当委員会においてそういう方向にこの法律案修正をするということになった場合、郵政省としてはこれについては全面的に賛成である、こういうことが言えますか、どうですか。
  40. 小野吉郎

    小野説明員 もとより非常にありがたい御質問でございまして、われわれといたしましてもそのような御修正があれば喜んでこれを受けたいと思います。
  41. 森本靖

    森本委員 大事なときになって大臣がおらないので、どうにもならないわけですが、今の回答事務次官回答ではちょっと物足らぬわけであって、やはりこれは郵政大臣からそういうことを正式に話をしてもらわないことには、われわれ野党としても、与党の諸君と話し合いをしてどうこうという際に、事務当局賛成だけれども大臣として反対だということになると困りまするので、委員長大臣を早急に呼んでもらわないとこの質疑はなかなか進まないわけでありますが……。
  42. 片島港

    片島委員長 今大臣を呼んでおりますから、間もなく見えると思います。     —————————————
  43. 片島港

    片島委員長 大臣が出席されるまで、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題として、審査を進めます。質疑通告がありますので、これを許します。橋本登美三郎君。
  44. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 日本電信電話公社法の一部改正法律案について、二、三の点を質問いたします。この公社法改正に関する大臣提案理由によりますると、日本電信電話公社監査機能を確立するために公社監事制度を設ける、こういう提案理由でありますが、この場合、電信電話公社それ自体機能において監査制度を確立するという意味か、それとも電信電話公社に対して郵政省の監督の監査機能を確立するという意味か。もちろんこの理由によりますれば、日本電信電話公社それ自体監査機能を確立する、こういう工合に解釈されますけれども条文内容を見ますと、郵政大臣日本電信電話公社監査機能を確立するような条文がありますので、あらためて提案理由の基本的な考え方、すなわち日本電信電話公社監査機能を、電信電話公社それ自体の性格において確立しようとするのか、その点についての御説明を願いたい。
  45. 小野吉郎

    小野説明員 もちろん現行法によりますと、郵政大臣公社を監督する事項は明確に規定してございます。現在のところ、その規定で不自由は感じておりません。公社関係につきましては、そういう該当の条項によりまして公社監督の実は上げ得ると思います。従いまして、今回設けようとします監事制度におきましても、決して監督権の強化というようなことは考えておらないのでありまして、公社自体監査機能の充実という見地から御提案を申し上げたわけでございます。在来行政管理庁等からも、公社の制度運営等につきましては幾多の勧告を受けておりますが、そういうような面を、ほかから監査される前に、公社自体としてそういう監査機能を十分充実いたしまして、自主的に、自発的に改善をはかっていくというのを要望しておるのが提案の趣旨でございまして、この監事制度を通じまして、現在公社法で規定された郵政大臣の監督の面をさらにその面から強化しようという意図は毛頭ございません。
  46. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次官の説明通りその精神であろうと思います。従って大臣説明の中にも、「この際経営委員会のもとに執行系統から独立した監査権能を有する監事を設けて公社監査機能を確立する、」こういうことを言われているのでありまして、この点においては次官の説明と一致すると思います。ところが今回の改正法案の中には、監事の任免は郵政大臣の認可を受けて経営委員会が行う、あるいはまた郵政大臣は経営委員会に対して必要事項を監事に監査をさせ、及びその結果を報告すべきことを求めることができる、こういうように公社それ自体監査機能とは別個に、監督官庁でありかつその権能者である郵政大臣が、この監査機構に一枚加わっているような条項が加わっておるのであります。そこで実はこの公社法の制定ですが、日本電信電話公社法を制定いたします当時、自由党はこのの事業は思い切って民営に移すべきではないか、従ってこの民営論が非常に強く押し出されて、一時は党の方針としては電信電話事業を民営に移すという決定すらもあったのであります。その後種々協議の結果、一応電信電話公社の制度に落ちつきましたけれども、その根本精神としては、民営事業としてやることの方が電信電話事業を拡張し、かつまた国民の負託にこたえるのではないかという強い意見が行われた、従ってこれは国鉄あるいは専売公社等とはその性格をある意味においては異にしておる。できるだけ民営事業的な性格を持って、積極的な事業の拡張並びにサービスの改善を行うべきであるというのが、公社法制定当時における考え方であった。その考え方から見ますと、今回のこの公社法の一部改正に対する考え方がややもすれば後退をして、いわゆる監督官庁のもとに強い監督機能を考えようとする意向が含まれているようにも解釈される。そこで先ほど申しあげた監事の任免は郵政大臣の認可を受けるという事項、あるいはまた郵政大臣は経営委員会に対して必要な事項を監事に監査させるという事項、その二つの事項から考えましても、実は現行法の第七十五条には、「公社は、郵政大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」という規定がある。その上第七十六条には、第一条の目的達成のため、こういっておりますが、この第一条の目的というのは、「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本電信電話公社を設立する。」この第一条の目的達成のために、郵政大臣公社に対して監督上必要な命令を出すことができる。いわゆる経営の問題あるいは設備の問題あるいはサービスの問題、要するに公社の全事業に関して現行法においても郵政大臣公社に対して監督上必要な命令を出すことができる。その上また報告上の義務を公社に与えておる。すなわち郵政大臣が必要であればこれを報告せしめることができる。公社からその業務に関する報告を徴することができる、こういう第七十五条及び第七十六条の具体的な、しかも峻厳な規定があるのでありますから、そこで今回の改正に伴うところのいわゆる監事をして経営委員会に対して必要な事項を監査させる必要があるのかどうか。たとえばこういうような事項がなくとも、いわゆる郵政大臣公社の全事業に対して命令を出し、あるいは報告をせしめることができるのでありますから、この第七十六条に郵政大臣は経営委員会に対して必要な事項を監事に監督させる、こういうような事項がなくとも、公社の監督の目的というものは十分に達成せられるものである、こういう工合に解釈するのですが、その点政府御当局のお考え方をお聞かせを願いたい。
  47. 小野吉郎

    小野説明員 現行公社法が制定せられました当時の事情から申しまして、公社は民営形態はとっておりませんが、電気通信サービスの飛躍的な改善、向上を期しますために、民営の長をとった企業活動の自主的な積極的活動に期待することが基本であることは、私どももさように考えております。ところで公社に対する監督といたしましては一に公社法の第一条に書いてありますごとく、公社がその施設の面につきましても、さらにその施設の運営につきましても、これを合理的、能率的に運営いたしまして、よってもって国民に対する電気通信サービスの改善をはかっていくということにあろうと思うのでありまして、そういう面の最小限度の点に監督の発動としては局限さるべきものだ。また現行法もさようにできておるのでありまして、その見地から申しますと、監督権といたしましては、現在の規定をもって十分であると思います。今回設けようとしております監事制度は、どこまでも公社内部の監査機能の整備の問題でありまして、郵政大臣公社に対する監督の問題とは全然違うわけであります。郵政大臣といたしましては、何も監事を通じて監督いたしませんでも、当該の根拠条文によりまして、公社の最高幹部に対しましてそういうような報告を徴したり、あるいは所要の命令を下し得るわけであります。監事制度は一に公社自体監査機能の発動を所期しているものでございますから、決して大臣の監督権と関連のあるものとは考えておりません。
  48. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の次官の説明によりますれば、先ほど私が指摘いたしました監事の任免権は郵政大臣にあるとか、あるいは郵政大臣が監事に向って監査をさせる法律的な根拠を置くという必要は実際上はないように考えられる。あたかもこういうような項目を置くために、電信電話公社それ自体の監査機構なるものが、郵政大臣と経営委員会の二本立の監査機構のような感じを与える。この際はこの二項目に対して特に修正をするようなお考え方を持っておらないか。この点については当委員会としても重要な関心を持っておりますので、この点に関するところの大臣、または次官の御説明を願いたい。
  49. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私は提案の責任者として国会審議を仰いでおりますから、私の方で修正する意見、気持はありませんが、国会でもって御修正になる場合には一向それでも変りがないという考えであります。私自身も思想的には電電公社の自主性を侵さないという考えでありますから、監事をして調査をせしむるなどということだけでどうなるわけではありませんから、削除せられるということであればけっこうであります。
  50. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 要するにこの改正法案提案の真の目的といいますか、重要なる目的は、現在公社公社内部の監査機構がない。いわゆる経営委員会があるけれども、経営委員が任命した執行部を監査する機構がない。執行部自体は、監査室というような制度を持ってやっておりますけれども、経営者、いわゆる経営監督者、内部における経営委員会というものと執行部との間に、経営委員会に監査機構を持っておらぬために、そこでとかくのいわゆる疑惑があっても困るし、かつまた監査能力を徹底的に向上せしめる、こういう考え方から、この監査機構が必要であるという理由で御提案になったのだろうと思う。従って純粋にこの面に限られてこの法の改正が行われる方が無難であり、かつまた妥当であると考えますので、第七十五条及び第七十六条によるところの郵政大臣の監督権は今後ともに十分に発揮せられてけっこうでありますが、何か公社自体に対する干渉と思われるような条項は、この際われわれとしましては、修正するといいましょうか、特に考慮する必要があろうと考えております。その点大臣は特に意見がないというお話でありますから、あえて答弁を求めませんが、以上をもって私の質疑を終ります。
  51. 田中角榮

    ○田中国務大臣 その間の事情を明確にいたしておきますが、私は公社監事制度を設けたことによって不必要に公社を監督し、監査を強化しようという考えは毛頭ありません。御承知の通り公共企業体等の組織をどうするかという審議会が作られて、その結論が出たのであります。この審議会の答申は、第三者による相当権能の強い監査機関を持ち、しかも事務当局を持つ独立した監査機能の拡充強化を答申しておりますが、私は戦後作られた機構の中で、電電公社の機構はりっぱにその責めを果しておるという考えでありますので、現在の状態においてはその答申に先行し、監事任免程度を作ることをもって十分やり得る、そういう気持として提案したのでありまして、電電公社の自主性を尊重しつつ、公社としての使命達成に遺憾なきを期したいということだけが、この法律案提案の主目的でありますので、それを拡大し、何らかの職務をつけようなどという考えはありませんから、削除せられるということであれば削除してもよろしゅうございます。
  52. 片島港

    片島委員長 他に質疑がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次会は明十六日午後一時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十九分散会