○
橋本(登)
委員 次官の
説明通りその精神であろうと思います。従って
大臣の
説明の中にも、「この際経営
委員会のもとに執行系統から独立した監査権能を有する監事を設けて
公社の
監査機能を確立する、」こういうことを言われているのでありまして、この点においては次官の
説明と一致すると思います。ところが今回の
改正法案の中には、監事の任免は
郵政大臣の認可を受けて経営
委員会が行う、あるいはまた
郵政大臣は経営
委員会に対して必要事項を監事に監査をさせ、及びその結果を報告すべきことを求めることができる、こういうように
公社それ
自体の
監査機能とは別個に、監督官庁でありかつその権能者である
郵政大臣が、この監査機構に一枚加わっているような条項が加わっておるのであります。そこで実はこの
公社法の制定ですが、
日本電信電話公社法を制定いたします当時、自由党はこのの事業は思い切って民営に移すべきではないか、従ってこの民営論が非常に強く押し出されて、一時は党の方針としては電信電話事業を民営に移すという
決定すらもあったのであります。その後種々協議の結果、一応
電信電話公社の制度に落ちつきましたけれ
ども、その根本精神としては、民営事業としてやることの方が電信電話事業を拡張し、かつまた国民の負託にこたえるのではないかという強い意見が行われた、従ってこれは国鉄あるいは専売
公社等とはその性格をある
意味においては異にしておる。できるだけ民営事業的な性格を持って、積極的な事業の拡張並びにサービスの改善を行うべきであるというのが、
公社法制定当時における
考え方であった。その
考え方から見ますと、今回のこの
公社法の一部
改正に対する
考え方がややもすれば後退をして、いわゆる監督官庁のもとに強い監督
機能を考えようとする意向が含まれているようにも
解釈される。そこで先ほど申しあげた監事の任免は
郵政大臣の認可を受けるという事項、あるいはまた
郵政大臣は経営
委員会に対して必要な事項を監事に監査させるという事項、その二つの事項から考えましても、実は
現行法の第七十五条には、「
公社は、
郵政大臣がこの
法律の定めるところに従い監督する。」という規定がある。その上第七十六条には、第一条の
目的達成のため、こういっておりますが、この第一条の
目的というのは、「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を
増進することを
目的として、ここに
日本電信電話公社を設立する。」この第一条の
目的達成のために、
郵政大臣は
公社に対して監督上必要な命令を出すことができる。いわゆる経営の問題あるいは設備の問題あるいはサービスの問題、要するに
公社の全事業に関して
現行法においても
郵政大臣は
公社に対して監督上必要な命令を出すことができる。その上また報告上の義務を
公社に与えておる。すなわち
郵政大臣が必要であればこれを報告せしめることができる。
公社からその業務に関する報告を徴することができる、こういう第七十五条及び第七十六条の具体的な、しかも峻厳な規定があるのでありますから、そこで今回の
改正に伴うところのいわゆる監事をして経営
委員会に対して必要な事項を監査させる必要があるのかどうか。たとえばこういうような事項がなくとも、いわゆる
郵政大臣は
公社の全事業に対して命令を出し、あるいは報告をせしめることができるのでありますから、この第七十六条に
郵政大臣は経営
委員会に対して必要な事項を監事に監督させる、こういうような事項がなくとも、
公社の監督の
目的というものは十分に達成せられるものである、こういう工合に
解釈するのですが、その点政府御当局のお
考え方をお聞かせを願いたい。