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1958-03-20 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 片島  港君    理事 上林山榮吉君 理事 小泉 純也君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君       小島 徹三君    椎熊 三郎君       渡海元三郎君    永田 亮一君       南條 徳男君    廣瀬 正雄君       横井 太郎君    杉山元治郎君       松井 政吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         郵政政務次官  最上 英子君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         企画局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   首藤憲太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月二十日  委員秋田大助君、高碕達之助君、南條徳男君、  星島二郎君及び粟山博君辞任につき、その補欠  として小島徹三君、横井太郎君、中山榮一君、  渡海元三郎君及び永田亮一君が議長の指名で委  員に選任された。     ————————————— 三月十九日  簡易生命保険郵便年金積立金融資範囲拡大  等に関する請願外一件(南條徳男紹介)(第  二〇五七号)  同(永井勝次郎紹介)(第二〇九八号)  同(田中正巳紹介)(第二一三〇号)  同(本名武紹介)(第二一七四号)  簡易生命保険保険金最高制限額引上げに関す  る請願外一件(南條徳男紹介)(第二〇五八  号)  同(永井勝次郎紹介)(第二〇九七号)  同(田中正巳紹介)(第二一三一号)  同(本名武紹介)(第二一七三号)  新橋大通に無集配特定郵便局設置請願(森三  樹二君紹介)(第二〇九九号)  簡易郵便局を四等局に切替えに関する請願外五  件(杉山元治郎紹介)(第二一二八号)  同外五件(有田喜一紹介)(第二一七〇号)  同(杉山元治郎紹介)(第二一七一号)  同(堀川恭平紹介)(第二一七二号)  岩手福岡戸田局間電話回線増設に関する請願  (田子一民紹介)(第二一二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第一二五号)  電話加入権質に関する臨時特例法案内閣提出  第一二八号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一九号)(予)  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査を行います。  まず政府当局より提案理由説明を聴取いたします。郵政大臣田中角榮君。     —————————————     —————————————
  3. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議題となりましたお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  現行法律は、郵便はがきお年玉をつけることと、郵便はがき郵便切手寄付金をつけることとの二つの内容を持っている法律でありますが、今般改正しようといたしておりますのは寄付金に関する部分でございます。現行法昭和二十四年に制定されたのでございまして、当時は終戦後日浅く、社会情勢はいまだ十分安定しておらなかったため、寄付金額にいたしましてもそう多くを望み得ない試行的状況のもとに、さしあたり急いで現行法のような内容をもって立法せられたものであります。従いましてその関係条文も、わずかに一カ条という簡単なものでありまして、手続的にもかなり不十分なものを残しており、実施後の状況によりまして早晩改正せらるべきものと考えられておったのであります。その後鋭意研究いたし、政府内部意見調整に努めました結果、本改正案を提出するに至った次第であります。  その改正の要点について申し上げますと、第一は、寄付金配分する対象の範囲を拡張いたそうとするものであります。現行法によりますと、郵便はがき等に付された寄付金は、社会福祉の増進を目的とする事業に対して配分されることになっております。この制度を始めました昭和二十四年度ごろには、寄付金額はせいぜい一億五千万円程度にすぎず、また戦後の社会情勢から見ましてこのような規定をしたわけでありますが、この寄付金つきはがき等消化能力は、社会情勢の安定とともに逐年増大し、今日では年間五億を上回る状態であり、本年までの統計は三十五億にも達しております。一方、十年の経過の間に新しい社会的解決を要請される問題で国民の好意によることがふさわしい分野拡大し、各方面からの要望もありますので、第一に風水害、震災等非常災害の場合の救助、第二にガン、結核、小児麻痺等いまだ治療方法の完全な解決をみない疾病の学術的研究治療、第三に原爆被災者に対する治療その他の援助を行う団体にも寄付金配分を行うことができるようにいたしたいと考えたのであります。  第二は、寄付金つき郵便はがき等発行手続整備いたそうとするものであります。すなわち、はがき等発行前に国民寄付目的発行枚数寄付金の額及び寄付金配分を受ける団体の名称を告示いたしまして、あらかじめ寄付趣旨を公開しておくことにいたしたいと存じます。また寄付金配分を受ける団体の指定及び配分額決定は、寄付目的の拡張ということに応じ、団体事業を所管する大臣と協議した後、郵政審議会にはかってからすることとし、配分額決定についてはその団体ごと配分額を公示することにいたしたいと存じます。  第三は、郵便募金管理会という特殊法人を設立いたそうとするものであります。この法人は、寄付金管理及びその使途の適正をはかることを目的としております。その業務は、寄付金の受け入れ、保管、交付及び寄付金使途監査等を行います。現行法によりますと、これらの点について責任の所在が不明確でありますので、責任ある団体寄付金の処理をさせることか適当と考えられるからであります。さらに加えて、従来の寄付金使途状況からみまして、計画が具体化するまでに半年から一年間の時間を要しているものが大半であり、かたがた今回の改正により災害救助等の未確定要素もありますので、これも責任ある団体に保管させることが寄付金の適正な取扱いをすることにもなると考えられます。  第四は、寄付金使途の適正をはかるための措置をいたそうとするものであります。寄付金使途の適正をはかるため、逓信大臣は、寄付金配分を受ける団体事業を所管する大臣と協議し、かつ郵政審議会にはかって当該団体の守るべき準則ともいうべき事項を定めることができることとし、あわせて管理会に対して、逓信大臣が所要の監督をすることができることといたして、必要な規定を設けようとするものであります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようにお願いする次第であります。     —————————————
  4. 片島港

  5. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議題となりました電話加入権質に関する臨時特例法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  電話加入権質権目的といたしますことは、通信政策上の見地等から、現行公衆電気通信法において禁止しているところでありますが、現に相当な財産的価値がある電話加入権もあり、中小企業者等の間におきまして、これを担保にして融資を受けることに対する強い要望がありますので、現下の経済事情日本電信電話公社事業運営実情等諸般事情を考慮し、関係各省とも協議の上、慎重に検討の結果、五ヵ年の期限を付して質権設定を認め、加入者の利便に供することといたそうとするものであります。電話加入権質権設定を認めることといたします場合、これらの権利関係の公示の方法を必要といたしますが、不動産登記のような登記制度を採用いたしますことは、実務日本電信電話公社に対し、いたずらに事務複雑化あるいはむづかしい法律上の実務を要求することとなり、臨時的な時限立法である点をも考慮いたしますと妥当でなく、またもともと電話加入権担保価値少額でありますので、質権実行に当り一般強制執行方法によりますことは、電話担保化が不利、不便になります等のために、簡易な登録制度の採用、質権者範囲の限定、質権実行手続簡略化日本電信電話公社および加入者一定制限ないしは義務を課すること等一連の規整を行いまして、日本電信電話公社事務上の煩雑化を救うとともに加入者質権者の利益を保護し、この電話加入権担保制度の円滑なる運営をはかろうとするものであります。  この法案のおもな内容について申し上げますと、第一は、質権目的とすることができるものは、現に電話取扱局に収容されている電話電話加入権に限定することとし、質権者範囲は、さきに述べました理由から一定金融機関等に限定することといたしました。質権実行手続につきましては、質権者範囲を特定することにより、民事訴訟法第六百二十五条第三項に規定されております特別の処分として、裁判所質権自身電話加入権換価を命じあるいはその換価に当り鑑定人による鑑定を要しない等簡略な実行方法をとることができることとし、少額融資目的とする電話加入権による金融を実効性あるものとする配慮いたしております。  第二は、二重質、転質につきましては、電話加入権による金融少額であるために金融取引の実際からみて重大な支障もなく、また簡易な登録制度をとっておりますので、法律関係を簡素にいたしまして困難な法律問題の発生をできるだけ避けるため、これを禁止することとし、また流質につきましては、加入者保護をはかるためにこれを禁止することといたしております。  第三は、質権の得喪、変更は、登録によってこれに対抗力を与えることとし、これを公示することによって権利関係を明確化いたしますとともに、質権設定が認められることによって、電話加入権の移転あるいは滞納処分または強制執行による差し押え等の処分制限との間に複雑な権利関係が生じますために、附則において公衆電気通信法の一部を改正するとともに、本法においてもこれらの点を調整することといたしております。  第四は、質権設定されている加入電話加入者が、加入契約の解除または加入電話の種類の変更その他電話加入権担保価値に影響するような請求等公社に対してするためには、質権者の同意を要することといたしまして、質権者保護をはかりますとともに、日本電信電話公社法律に基いてこのような行為をいたしますときは、これを質権者に通知することといたしております。また質権実行手続に入りましたときは、裁判所に申請して、一定期間質権目的となっている電話通話停止裁判所が命ずることができることといたしまして、実行期間中における電話担保価値の減少を防ぎ得るようにする等、電話加入権担保化に必要な規整をいたしております。  以上がこの法律案を提案いたしました理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いを申し上げます。     —————————————
  6. 片島港

    片島委員長 次に、電波法の一部を改正する法律案議題として審査を行います。まず政府当局より提案理由説明を聴取いたします。郵政大臣田中角榮君。     —————————————     —————————————
  7. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  電波法制定後における電波科学及び技術進歩発達はきわめて顕著であり、これに伴いその利用分野社会生活全般拡大され、その形態もきわめて多種多様となって参っております。無線局の数につきまして、これを昭和二十五年の現行電波法制定当時と今日とを比較いたしますと、約七倍となり、三万局にも及んでいるという有様であります。しかもこれらの傾向は将来さらに著しくなるものと予想をさせられます。このように電波利用がきわめて顕者な発展を遂げている今日より見ますと、現行電波法規定中には、無線局免許手続無線局検査制度無線従事者制度及び手数料等につきまして、必ずしも適切でないものがかなり出て参っておりますので、法律運用七年余の実績に徴し、施設者及び従事者の負担を最小限度に軽減し、並びに監理行政合理化能率化をはかる目的をもって、これら関係規定整備を行おうとするものであります。  改正のおもな点につきまして申し上げますと、第一点は、無線局免許についてでありますが、その一といたしましては、無線局の落成後の検査その他無線局免許手続につきまして、無線局規模および種別または電波監理上の必要の度に応じ、それぞれ適当な措置がなし得るように改めようとするものであります。その二といたしましては、法人である免許人に合併がありましたときの免許人地位承継を当然承継としておくことは、電波監理上不適当と認められますので、これを許可を要するように改めようとするものであります。その三といたしましては、無線局免許欠格事由のうち、放送局に関するものにつきましては、その高い公共性にかんがみまして、一般無線局の場合より厳格にする必要がありますので、その旨を規定しようとするものであります。その四といたしましては、一般の例にならって予備免許免許または許可には、必要最小限度で、かつ不当な義務を課すこととならない限度において、条件または期限を付することができる旨を規定しようとするものであります。  第二点は、無線従事者についてでありますが、その一といたしましては、過去における無線従事者免許の更新の実績にかんがみますと、免許有効期間を設けておく積極的な必要性が認められませんし、またこの制度を廃止いたしましても電波監理の上からも支障がないと認められ、他方無線従事者地位の安定を保たせることにもなりますので、今回これを廃止しようとするものであります。その二といたしましては、アマチュア無線進歩発達をはかる見地から、新たに初級のアマチュア無線技士の資格を設けようとするものであります。その三といたしてましては、電波科学および技術が急激に発達し、新しい電波利用分野が開かれているという現状に即応して、すみやかに適切な措置をとり得るように、無線従事者の行うことのできる無線設備の操作の範囲を政令で定めることに改めようとするものであります。  第三点は監督についてでありますが、その一といたしましては、無線局態様多種化に伴いまして、毎年行うことになっております定期検査を、電波監理の必要の度に応じ適切に行い得るように改めようとするものであります。その二といたしましては、免許を要しない微弱電波無線局が多数できて参りましたので、その運用が他の無線局運用支障を与える場合も考えられますので、これらについて障害排除のための措置命令または検査が行い得るように規定しようとするものであります。  第四点は、手数料についてでありますが、その一といたしましては、前にも申し上げましたように電波利用分野拡大に伴いまして無線局態様が多種多様となって参りましたため、手数料徴収単位につきまして不合理な点が生じてきておりますので、これを是正いたしますとともに、その金額につきましても適正妥当な額に改めようとするものであります。その二といたしましては、手数料に関する規定は国には適用しないことといたしまして、その旨を規定しようとするものであります。  以上簡単でございますが、この法律案提案理由及びその内容の概略を説明申し上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
  8. 片島港

    片島委員長 ただいま説明を聴取いたしました三条に対する質疑は後日これを行うこととして、本日は説明聴取にとどめます。     —————————————
  9. 片島港

    片島委員長 これより放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、審査を行います。  本件について御質疑があれは承わります。——別に御質疑がなければ、本件に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 片島港

    片島委員長 御異議なければ、これにて本件に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。討論の申し出がありますので順次これを許します。小泉純也君
  11. 小泉純也

    小泉委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に対し、私は自由民主党を代表し、本議案承認を与うるに賛成の意を表するものであります。  本議案内容をなす日本放送協会昭和三十二年度事業計画及び収支予算を見まするに、まず事業計画において、例年と異なった一つの特色とも申すべきものは、計画概説の中に協会が今後数万年にわたって行うべき事業方針を鮮明したことであります。従来のものはただ単に当該年度計画に局限されていたのに対し、明確な何カ年計画というべきものではないといたしましても、ともかく一種の長期計画を打ち出し、その一環としての三十三年度事業計画を樹立する構想をとったことは一つ進歩であって、協会のごとく長期にわたって膨大な事業を経営するものの、当然とるべき態度であらねばならぬと思うのであります。ただ一言希望を述べるならば、本年は諸般事情上やむを得なかったかもしれませんが、三十四年度以降については、さらに明確な財政的基礎の上に立脚した五カ年計画あるいは十カ年計画を樹立して、これに準拠した各年度事業計画を提出していただきたいと考えるのであります。またこの長期計画内容をなす中波放送網のすみやかな完成老朽陳腐化設備の改善、放送番組、なかんずく教育教養番組充実向上テレビジョン及びFM放送全国普及国際放送拡充研究機関充実等は、いずれも適切妥当というよりも、むしろ協会存立目的そのものともいうべきものでありまして、われわれとしてはこれが達成の一日も早からんことを望む以外に、もとより異論のあるべきはずはございません。  次に収支予算につきましては、長期借入金放送債券を通じ、総額五十億円を外部資金に依存しておるほか、ラジオについて三〇%の減価償却の繰り延べを行なっておることは、これまた三十三年度予算一つの特徴であります。これは確かに収支予算としては不健全であり、協会かある意味での危機に立っていると見ることもできましょう。しかしながら一面において協会は、前に述べたような長期計画に基いて、ラジオ及びテレビジョン建設並びに運営を行なっていかなければならない至上命令に服しておる。しかも国民要望するところがその一日もすみやかな完成にある以上、ある程度の赤字を覚悟しつつも、行うべきは行わざるを得ないところに、協心の苦心の存するところを了解できるのであります。他面またテレビジョンの急速な普及は、将来における協会収支を漸次好転せしめることを約束するものであり、かつ将来教育放送拡充等については、政府資金導入等の方途を講ずれば、この予算必ずしも一がい悲観すべきものでも、また非難すべきものてもなく、むしもろラジオ及びテレビジョン普久発達のためのやむを得ざる措置と認めるのが至当であります。しかしながらこのような収支の不均衡は、もとより望まいことではありませんから、協会当局並びに政府においては将来にわたり、かかる不均衡を解消するよう適切な措置を講ずるとともに、さしあたってこの収支予算執行上必要とする外部資金の調達については、政府としても終始傍観することなく、できる限りの援助を与えることが必要であろうと考えるのであります。  最後に民間経営によるラジオ及びテレビジョン事業の勃興によりまして、最近の放送界は殷盛をきわめており、放送番組につきましても、まことに百花瞭乱の感があるのはけっこうでございますが、協会としてはあくまでその公共的使命を第一義として、番組面においても施設面においても、教育教養的効果をおさめるものに重点を置かれること、及び国際放送重要性にかんがみ、わが国における唯一の国際放送機関たる協会としては、これが積極的拡充についても十分力をいたされるよう要望いたしまして、私の賛成討論を終る次第であります。(拍手)
  12. 片島港

  13. 松井政吉

    松井委員 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関し、若干の希望条件を付して、これを承認することに賛成の意を表するものであります。  本議案内容をなすものは、日本放送協会昭和三十三年度収支予算事業計画及び資金計画でありますが、御承知の通りわが国放送事業界は、昨年夏から秋にかけてのテレビ・チャンネルの全国計画決定と、それに続く全国にわたるテレビ放送局の一齊仮免許とによって、いよいよ国民待望テレビ時代を展開しようとしており、中にもNHKはその使命に基き、一般放送事業者に先駆して、テレビ時代啓発の役を果そうとしているのでありまして、昭和三十三年度収支予算等は、放送事業重大転換期において、NHK今後の方向を決定するものとして、例年とは異なるきわめて重要な意義を持つものと考えられます。わが党はかかる観点から、本議案については得に慎重かつ精細に検討を進めて参ったのでありますが、二旬にわたる審議の結果として、やむを得ざるものとの結論に達したのであります。しかしながら以下指摘する若干の事項については、これを不満とせざるを得ないのでありまして、政府並びにNHK当局は、その趣意をくみ、向後の事業監理運営において善処されるよう特に希望いたすものであります。  まず第一に申し上げたいことは、協会財政について長期計画を樹立しなければならないということであります。前述の通りテレビ時代の到来を控えて、NHKはその事業規模を飛躍的に拡大すべき時期に入ろうとしているのでありまして、この際において協会が、ラジオテレビ両部門にわたる長期建設整備計画を策定し、その推進をはかろうとしていることは、まことに時宜に適した処置であり、その方針賛成するのでありますが、構想についても必ずしもわれわれの納得するもののみではないのであります。計画は初年度から約五十億の赤字をもって出発いたします。もとより一律に赤字予算を排すべきではなく、ことに膨大な整備計画を急ピッチで遂行する場合には、多少の赤字はやむを得ないものとも言えましょうが、NHKのような公共的な事業においては、赤字はその解消の見通しが明確につけられている場合にのみ容認されるべきものと考えます。私はかかる観点から、赤字に始まるこの長期計画財政方針については特にしさいにただしたのでありますが、残念ながらNHK当局政府当局のいずれからも、満足すべき回答に接し得なかったのであります。当年度予算赤字については、政府からの融資あっせん等によって一応資金調達の見通しありとされておりますが、これはあくまで当面を糊塗する弥縫の策にすぎず、長期計画を一貫財政計画として樹立されていないと見られます。関係当局の説明によれば、収入源である受信契約者の増減が推定困難であるため、年次計画は策定できないということでありますが、財政計画の裏づけがない限り、整備計画は単なる一個の作文にすぎないのであり、また逐年、かような弥縫的措置を繰り返していては、事業の前途は憂慮すべきものと考えられます。協会はこれらの点に留意し、事業財政の前途を見きわめ、長期の財政計画を確立して、事業経営の安定をはかるよう、格段の努力をいたされたいと強く希望するものであります。  次に申し上げたいのは、放送番組、なかんずく教育教養番組の充実についてであります。放送番組の充実、向上については、かねてから当委員会会でも繰り返し論議を重ねたところで、今さら多言を要しませんが、放送番組に対して今日ほど世人の関心が集まり、その向上に期待かかけられている時期はなかったと存じます。ことに基幹放送としてのNHKに対しての期待は、一そう高く評価されつつありまして、NHKがかねて念願の公共放送としての性格を明確化し、さらにまたその明徴化をはかる絶好の機会であると考えられます。NHKはこの機運を利用して、この要望にこたえ、番組の充実、向上に努められんことを望みたいのであります。  第三は、国際放送の充実であります。わが国が置かれている国際環境はいよいよ国際放送重要性を強めつつありますが、この情勢に背馳して、政府国際放送の交付金を約一千五百万一円削減いたしております。国際放送の充実については、当委員会でも常に要望を繰り返してきたところでありますが、今回のこの政府措置は、必ずしも当を得たとは考えられません。従いまして国際放送に対する熱意と、さらにまた今後における十分なる期待をしてやまないものであります。特に政府国際放送重要性に顧みて善処されるべく、またNHKはその使命に徴して、一そうの精進をいたされたいことを重ねて要望したいのであります。  最後に従業員の待遇問題についてであります。これはわが党多年の重大関心事でありまして、また当委員会におきましても常にその論議がかわされたところであります。御承知のようにNHKの従業員の待遇の現状は満足すべきものではないのであります。特に類似事業との較差はますます広げられていく状態にありますので、NHK財政が逼迫を続けている今日、その内容については必ずしも理解することができないことはないのでありますけれども、かかる事態の推移は事業の将来に暗影を投じるのではないかと憂慮されるのであります。従いまして前途の長期財政計画の一要素として、従業員の待遇策の根本的樹立を強く要望せざるを得ないのであります。  以上申し上げました諸点について、関係当用の善処を強く期待しつつ、討論を終ります。
  14. 片島港

    片島委員長 これにて討論は終了いたしました。  これより放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件について採決いたします。本件に対して承認を与うべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  15. 片島港

    片島委員長 起立総員。よって本件承認を与うべきものと決しました。  この際、本件に対して附帯決議を付すべしとの動議か提出せられておりますので、この趣旨説明を求めることにいたします。竹内俊吉君。
  16. 竹内俊吉

    ○竹内委員 自由民主党、日本社会党共同提案の附帯決議についてその趣旨を弁明いたします。  まず案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に対する附帯決議  一、日本放送協会昭和三十三年度収支予算執行にあたつては放送債券長期借入金を通じ多額の外部資金の調達を必要とするが、政府は財政資金の融通その他によつて、極力これに便宜を与えるべきである。  二、日本放送協会は、その公共性にかんがみ放送番組編成にあたり教育、教養番組等の拡充及び質的向上を図るべきである。  三、政府ならびに日本放送協会は、国際放送拡充につき更に積極的施策を講ずべきである。  四、日本放送協会は経営の合理化、経費の節減を図り従業員の待遇の改善に努めるべきである。  右決議する。  当委員会審議の過程及び本日の与野党の討論の上にもこの趣旨が明らかでありますので、きわめて簡単に趣旨の弁明をいたしたいと思います。  日本放送協会昭和三十三年度予算は、多額の外部資金を引き当てとするもので、財務の正常な基盤に立った予算とは言いがたいものがあるのであります。従って昭和三十三年度予算執行に当っては、その外部資金調達のいかんが重要なポイントでありますが、日本放送協会公共性テレビ普及ラジオ施設の老朽化改善という、当面しておる重要事態、わが国金融事情の実態にかんがみて、政府放送債券長期借入金等の資金調達に格別の措置をとって、日本放送協会に便利を与えるべきであるとの趣旨であります。決議の第二は、番組編成に当り、公共放送の本旨から当然かくあるべしというのであります。第三の国際放送拡充については、三十三年度予算において国際放送かやや消極的に扱われておるが。国連加盟後ようやく国際的地歩を築きつつある日本外交の、特に国民外交の重要な一翼として、国際親善のために国際放送を重要視すべきであるというのであります。  第四の従業員待遇の改善向上は、従業員の生活安定が日本放送協会事業全般の安定と向上をはかる上に必要な条件であるとの認識に立つものであります。しかしながらそれは日本放送協会が企業意欲を一そう盛んにし、経営の合理化に一段の努力、工夫をして、よってもって従業員の待遇改善をはかるべきであるというのにあるのであります。  以上をもって趣旨の弁明といたします。何とぞ御賛同をお願いいたします。
  17. 片島港

    片島委員長 ただいまの竹内君御提案の附帯決議を本件に付するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 片島港

    片島委員長 御異議なしと認め、竹内君御提案の附帯決議を本件に付するとに決しました。  なお本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任正願いたいと存じます。  この際田中郵政大臣及び野村参考人より発言を求められております。これを許します。田中郵政大臣
  19. 田中角榮

    田中国務大臣 この際一言出し上げます。日本放送協会昭和三十三年度予算案につきましては、ただいま承認すべきものとの議決をいただき、まことにありがとうございました。政府はこれが執行につきまして、協会側とも十分連絡をいたし、附帯決議の趣旨を十分尊重、遺憾なきを期するつもりでございます。
  20. 片島港

    片島委員長 野村参考人。
  21. 野村秀雄

    ○野村参考人 協会を代表いたしまして、一言お礼を申し上げたいと思います。各位におかれては、連日御熱心なる御審議をせられて、この予算に御承認をお与え下さったことを心から感謝いたしております。御審議の途上、皆様からいろいろ御意見を承わって、大いに教わることがあったのであります。私ども協会に職を奉じておる者は、いたずらに受信料の上にあぐらをかいておるようなことをいたさず、経営意欲を盛り上げて、どこまでも公共放送としてのNHK使命の達成に邁進いたして参りたいと存じております。これによって、ただにNHK使命達成のみならず、日本放送界そのものの発達に貢献いたし、日本の文化向上に尽し得るものと信じております。ただいまの御決議、附帯決議並びに審議中における皆さんの御意見を承わって、私は三十四年度予算編成においては長期計画を確立いたしまして、このNHKのよい番組とよい施設をもって国民大衆の御期待にこたえたいと存じております。至らぬところもたくさんありましょうが、皆さんの御協力と御支援によって、その責任を果していきたいと思います。どうかよろしくお願いたします。
  22. 片島港

    片島委員長 次会は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時三十五分散会