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1958-03-04 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月四日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 片島  港君    理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 松前 重義君 理事 森本  靖君       秋田 大助君    川崎末五郎君       椎熊 三郎君    濱地 文平君       粟山  博君    井手 以誠君       杉山元治郎君    原   茂君       松井 政吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         郵政政務次官  最上 英子君  委員外出席者         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         日本電信電話公         社資材局長   和気幸太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 三月四日  委員原彪君辞任につき、その補欠として井手以  誠君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月一日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一一九号)(予) の審査を本委員会に付託された。 三月三日  新町村区域における電信電話施設の統合に関する陳情書(第五九四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  電気通信に関する件      ――――◇―――――
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますのでこれを許します。森本晴君。
  3. 森本靖

    森本委員 郵政関係の問題で、特にきょうは過日の委員会におきまして私の方から大臣の方に申してありますところの、例の大臣所管事項説明の中にありました特定郵便局制度調査会に関連をして質問を行いたいというふうに考えておりますが、その前にきのうの夕刊あるいはけさ朝刊を見てみますと、郵政省関係労働関係がなかなか微妙に動いておるというふうな記事が載っておるわけでありますが、現在の郵政省関係の労働問題について若干の御説明を願いたいわけです。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。郵政従業員組合官側との間には幾多の問題があったようでありますが、御承知通り昨年年末の給与問題を片づける際にお互い団体交渉を円満に行いまして、現在のところは組合官側対立しているような大きな問題はございません。非常に円満に行っておる、こういうふうにお考えになっていただいてけっこうだと思います。ただ組合から現在特定局制度等に関し六、七件の要求が出ておりますが、この要求に対しては過日回答を行なってございます。その回答の大要を申し上げますと、特定局制度調査会答申はなされましたが、この問題は非常に長い歴史を持つものでありますし、私も大臣就任の当時申し上げました通り、できれは制度調査会答申を機会にして、議論に終止符を打ちたいという希望を持っておりましたので、これが答申解釈及び特定局制度に対する問題に対しては慎重に検討いたしておる段階でございます。なお法律案予算案等の非常に忙しい時期でありましたので、慎重に行うということと、時期的に非常に忙しいということで、特定局制度調査会答申に対する省側としての具体的な結論は何ら出ておらないのであります。組合申し入れ等十分勘案をして適当な結論が出るであろう、こういう回答をしてあるわけでありますから、組合省側との間に紛争を起すべき原因は現在のところ一つもない、こういう状態でございます。
  5. 森本靖

    森本委員 現在のところ紛争を起す原因一つもないということでありますが、それは大臣のおっしゃられる通りでしたらまことにけっこうなことであります。しかしきのうの夕刊なりけさ朝刊で見ますと、郵政省関係労働組合省側とのトラブルが何か相当激しいというようなことが新聞に載っておるわけでありますので、大臣が全然円満に行っておりますと言っても、あの新聞を見ておったのでは円満に行っておるというふうには解釈ができぬわけでありますが、何かきのう私の友人の組合幹部諸君に聞きますと、三百人の警官隊を動員をして、だいぶ警官隊になぐられたという人もおるようであります。その辺の事情一つ詳細に説明を願いたいと思います。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 私が先ほど申し上げた通り全逓組合官側との間には長い歴史を通じて見ると、相当闘争が激化したときもあるようでありますが、私が就任してからは、皆さん御承知通り、非常に組合官側との間はうまく行っております。今度の問題、特にきのうの夕刊を私も見まして、非常に事実と相反しておるということで——ただ写真の面から見ると、こういうふうな対立的な光景が写されることは、正常になった全逓及び官側の現在の状況を現わすものではないということで、非常に悲しく思ったわけでございます。私は現在でも組合及び官側には過去の闘争時のように激烈な対立状況などを起す原因は全然ない、こういうことを考えております。ただきのうはどうしてこうなったかということを平たく申し上げますと、全逓諸君が私に会うのに、何もこういうふうに大挙して写真やニュースになるような方法をしなくても、幾らでも会えるのです。私は就任後随時会っておりますし、おとといも会っておるのです。特に話のうまく行っておる全逓が、全官公労春闘という一つスケジュール的な計画闘争の第一線に立たされることは、全逓としてもよくないし、責任者である私としても好む状態でないから、立場上やむを得ないということは認めるが、全逓そのものが極端な動きをしなければならない情勢がないのですから、姿勢は一つなるべく低くしてお互いが円満にやってもらいたい。スケジュールによると、きのう、きょう、あしたと三日間、郵政本省集団団交というか、集団陳情に来るというけれども、私は国会におるので郵政省にはおらぬから、来るならば国会に来てくれ、国会でもなかなか多数の人が入れなければ私の方で広場を指定するから、宮城広場でもいいし楠公の銅像の前でもいいから、私の方から出向いて幾らでも話に応ずるということで、おとといは円満に別れておるのです。だからきのう唐突としてこういうふうに何百人もの諸君郵政省に来なければならないというような事実は全逓はないわけであります。ないにもかかわらず、こういうふうにたくさん集まられたことはどういうことかというと、これはもう春闘という一つの大きな命題のもとに、全官公労組織体一つとしてやむを得ずこういうことをやったのだろうと私は見ておるのです。だから、あれだけの大ぜいが対峙したにしては平穏無事であります。あなたは今なぐられたり何かしたというお話がありましたが、そういうことは郵政省ではなかったはずであります。そういう意味で私が考えておるように、きょうもやるそうでありますが、できれば私はそういうことがなく、まじめな意味で円満なお互い話し合いを続けて参りたい、こういう考えでございます。
  7. 森本靖

    森本委員 なかなか高遠なる労働行政についての説明を受けたわけでありますが、しかし私が聞いたところによりますと、そんなにしごく円満に行っておるというふうには考えられぬわけであります。何も組合の方だって、あなたが簡単に執行部と会って話し合いを進めるということであるならば、そんなにやいやい言うていくということはないと思う。あなたは春闘のはしりだというようなことを言われるけれども、郵政省職員労働組合にしたところで、郵政省職員のいわゆる要求事項をあなたに率直に聞いていただいて、そうしてその場で団体交渉が円満にできるということならば、私はそんなトラブルはないと思うのです。ところがあなたの方が何か交渉を拒否したというふうないきさつがあるのではないですか。あなたがかりにそういうふうに考えておったにしても、あなたはしょっちゅう国会におるわけですから、本省に残っておるのは、そこにおられる人事部長以上事務当局です。そういう人と組合との間に行き違いがあったのではないですか。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 私の関する限りにおいては、そういうことは全然ございません。しかも組合との間には随時話し合いをしておりますし、おとといの夕方も、非常に忙しいときでありましたが、私は組合要求といえば万難を排して会っておるのでありますから、そういうような事情はございません。しいて言えば、種別改訂の問題で郵務局長に会うのに、さっぱり郵務局長では要領を得ないから、これは大臣が抑えておるのではないか、一体郵務局長にまかすのか大臣がやるのかどっちかということで、おととい中間の諸君が来られましたから、郵務局長は今まで通りにやってよろしい、しかし郵務局長一存ではかれないものもあるだろうから、そういうものは大臣に相談するので、何もお互い角突き合って話をしなくても円満に話がつくのだから、今までのように円満に交渉を続けてもらうように、こういうことを言ってありますし、特に先日参議院の委員会でもって各地の問題について質問がございましたが、私の方で会わないから集団陳情に行くのだということを一方的に言われると困るから、私が聞くところによると、三日、四日、五日、三日間集団陳情を行う、こういうふうにスケジュールが発表せられておるので、そういうことでは困る、私はどこででも会うから、郵政省へ押しかけることはぜひやめてくれ、こういうことを正式に申し入れたのです。そうしてなお郵政省にどうしても行かなければならないような場合でも、形式的に最小限やむを得ざる人数にしてくれ、私は日曜日といえども全逓諸君との間に会談を拒むものではない、こういうことを明確に言っておったのですが、日曜日には連絡はない。私はおかげさまで一日家で待っておらなければならないというふうに、誠意を傾けておるのでありますから、より大きな力でもってより大きな指令で行動をしなければならないという以外には、私と組合との間に問題があるなどということは全然ございません。
  9. 森本靖

    森本委員 大臣の言明を聞くと、岸内閣労働者との対立はあるけれども、わしは非常にいい大臣だから、郵政省職員とはさっぱり対立することはないのだというふうに、あなたの今の口ぶりだととれますけれども、しかしそういう問題はいずれあらためて伺うとして、きのうのああいう紛争原因はどこにあったか、そのことを聞いておるわけですよ。組合側は、おそらく大臣に会って話し合いをしたいとかいうことだったろうと思うのです。あるいはまた大臣の方が簡単に会うということならば、きのうのように、新聞にああいう写真が載るようなことはなかったろうというふうに考えるわけであって、きのうのそのトラブル原因はどこにあったかということを聞いておるわけです。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 私は会うということを、中闘の委員長以下三役全部だと思いますが、土曜日に私のところへ参りまして、相当長時間話をしたのです。土曜日の晩でも、日曜日の朝でも、日曜日の晩でもかまわないから、スケジュールによる郵政省取り囲みということはできるだけやめてくれ。やむを得ず立場上やらなければならないなら、それも認めるが、何とか処分の対象になるようなことはやらぬでくれ、こういう言葉で私は口をすっぱくして申し上げたのです。だからきのうは新聞にはでかでか出ておりますが、事情を十分聞きますと、国会の前では小ぜり合いがあったようですが、郵政省の前では小ぜり合いも何もなかったのです。だから、ああいうふうに大ぜいが対峙した状況からいうと、戦後十二年間初めて平穏な陳情状況だった、こういうことを私は考えておるわけです。そういう意味からいいますと、組合諸君もなぜあそこへ行かなければならないかということは、十分知っているはずなんです。これは私と会うためではなく、総評の一陣として、全官公労のいわゆるスケジュール闘争の一環として、やむにやまれずあそこに行かなければならなかった。そこまで私は言いたくはないのですが、そういう実態だと思います。私は組員の諸君立場も了解しますから、官側に対しても特に対立をすることのないように、厳重に申し渡しておきましたから、実際はきのうは平穏無事だった。写真だけでやると、非常に対峙しておるようでありますが、激烈なけんか等一つもなかったということを、十分お認めいただきたい、こう考えております。
  11. 森本靖

    森本委員 それでは大臣の方は、きのうの本省前における問題については平穏無事であって何もなかった、こういう事務当局からの報告を受けておるわけでありますか。そういうことになると、私はさらに聞いていきたいと思いますが、きのうは円満に何もなかった、こういう報告大臣は受けておるのですか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 私は言葉のあやでいろいろなことを言うつもりはありませんから、明確に申し上げますと、大体のものさしは戦後十二年間の組合闘争状況考えればいいのでありますから、そういうものさしではかりますと、全く平穏無事だったと言っても過言ではないと思います。ただ、しいて言えば、七時四十九分、こういう報告でございますが、組合側はスクラムを組んで、登庁する本省職員の入庁を拒否しておったという場合に対して、警察官が実力行使によって組合側のピケを排除して入庁させたということだけであって、これは強制的にこん棒をふるって解散をせしめたとか、ふるっても、砂川のようになかなか解散をしないのが例でありましたが、これは円満に自発的に解散をしたということでありますから、私は常識的にいって、紛争はあったものとは認めておりません。
  13. 森本靖

    森本委員 大臣としてもいろいろのことを考えて、そういう発言をしていると思いますが、そこで、紛争がなかったということになりますと、きのう組合職員の者があなたの方の者と、入れろ入れねというようなことで、いろいろトラブルがあったということも若干聞いておりますけれども、かりにそれがなかったといたした場合はけっこうでありますが、きのうああいうふうに組合側が行ったときの要求は、どういう要求でありますか。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどちょと申し落したから申し上げますが、そのほかに、警官隊と対峙をしましたときに、東門のとびらを破損したということが出ておりますが、こんなものは、トラブルの仲間ではない、こういうふうに考えております。私としましても、不法行為がある場合には処分しなければなりませんので、こういう実態をよく見ているのですが、実際において混乱もなし、また不法行為として特筆すべきものはなかったというふうに、平穏な報告文書が出ております。  なお、きのう郵政省の前に押しかけたところの組合員が、どういう要求を持ってきたかわかりませんが、前の日に……。
  15. 森本靖

    森本委員 いや、それを聞いているのではない。きのうの……。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 きのうは組合から持ってきたものは、私のところに届いておりません。おりませんが、おととい、明日伺うのはこういうことですと言ったのは特定局の問題です。特定局制度調査会から答申が出たが、あの答申は全く組合としてはのめない。これに対しては反対である。省側は非常に妥当な答申である、こう言っているが、これを妥当と認める省側はおかしい。大体特定局は撤廃しろ、こういう特定局撤廃の、御承知通りの本来から長くやってきておった議論であります。これに対して省側は明確に答えよ、こういうことでありますが、省側からは御承知通り組合要求に対して、過日文書をもって回答いたしておりまして、いわゆる答える段階に至っておらない。この問題は非常に重要な問題でありますから、軽々に結論を出すような問題ではなく、より十分時間をかけて片づけなければならぬ問題であって、とても今五日や一週間で結論が出ない問題であるので、了解を願いたい。こういうふうに文書回答をいたしておりますし、なおその上に口頭をもって十分連絡をいたしてございますので、この問題に対して直ちに回答を求めたいということは、ちょっと無理ではないかと思うのです。
  17. 森本靖

    森本委員 私が聞いているのは——聞いている方は非常に短かい質問をしておりますから、答弁も短かくやってもらいたいと思いますが、きのうの組合側要求というものは、だから特定局問題についての交渉を行いたい、こういうことであったかどうであったか、こういうことですよ。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 そういうことであったろうと思うので、文書は、きのうごたごたしておって正式なものは受け取らなかったそうであります。
  19. 森本靖

    森本委員 文書であろうとなかろうと、組合側もだれか責任者がおったと思うのです。責任者も何もおらぬで、ただわあわあ言って、大臣たたき殺せというようなことで行くはずがない。だから、だれかが何かをやってくれということを言ったと思うのです。その何かをやってくれということはどういうことだったか、それをどういうわけで拒否したかということを聞いているわけです。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 きのうは全然文書でも口頭でも、なぜ陳情に来たのか、陳情の趣旨はこうであるということは申し入れなかったそうであります。しかし土曜日に、大臣からこの前回答らしきものをもらったけれども、あの回答ではこちらがどうしても納得できないので、もう一回お話をいたしたいという申し入れがありましたから、私はいつでも会おう。なお三日に会うならば、全官公労国会を取り巻くというから、裏門の方へは出れないと思うが、正門くらいはあいているだろう。正門から行ける一番近いところは宮城広場だから、そこならお会いしましょう、こう言っておったのです。だから三日に郵政省組合員が来たとすれば、同じ問題に対して話し合いに来た、こういうふうに認めているわけであります。
  21. 森本靖

    森本委員 そうすると、その点ははっきりしておきたいと思いますが、きのうの場合には、組合側からは何も正式の正要求といいますか、そういうものはなかった、こういうことですか。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 正式の要求は全然ないそうであります。
  23. 森本靖

    森本委員 そうなると、私もその点についてはさらにそれは調査をして後日質問をしたいと思いますが、いずれにいたしましても、ああいうふうなあまり格好のよくない記事新聞に出るということは、これは郵政省としてもあまり芳ばしくないと思う。そこで今後組合といたしましていろいろの大衆行動を行うというようなことがありましても、それはやはり何らかの一つの目的があって、ただ騒ごうというふうなことによるところの行動じゃないと私は思うのです。だから、やはり大臣なら大臣と会って話し合いをしたいとか、交渉したいとか、あるいは人事部長なら人事部長郵務局長なら郵務局長と会って話をしたい、団体交渉をしたい、こういうことだろうと思うから、そういうふうな要求があった場合は大臣にしても、あるいは事務当局にしても、いつでも応じて、そうして話し合いによって物事の解決をつけるということを、この際はっきり大臣としても回答願っておきたい、こう思うわけです。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 私は就任後はよき労使の慣行を樹立するためにはいつでも会うということでありますし、向うから会わないうちに私から押しかけていって会ったこともあるのでありますから、そういう点は会うことを拒否したような前例は全然ございません。それだけではなく、おとといは私がいつでも会う、とにかくスケジュール闘争ということだが、いずれにしても、組合員多数を納得させなければ、中闘の力だけでもってこれを一挙に阻止するわけはいかぬだろうから、私としては日曜日でも土曜日の晩でもいいから会って、そして今までお互いがうまく行っているものに対して少しでも傷になるようなことはしないようにしようということを言っておったのですが、きのうの状態になったわけです。私としては七カ月間も実際は非常にうまく行ったものが、きのうの夕刊一ページでもって全く春泥にまみれたというつもりで、非常に不本意でありますが、こういうことのないように、私としてもまた部下を督励して、いつでも胸襟を開いて、なおまた法律上の団交の当事者でありますから、そういう意味で、もちろん会見等を拒否する意思は毛頭ございません。
  25. 森本靖

    森本委員 この問題についてのことはこれで終りまして、あと特定局の問題についてこの間要望した通り質問を行なってみたいと思いますが、ただこれは私の要望でありますが、大臣がそういうふうに会おうと考えておっても、事務当局も人でありますので、やはりいろいろ問題が多いと事務当局の人も興奮をして、大臣が会おうとしているのに会わさないという場合もこれはなきにしもあらずです。だからそういう点についてはややもすると三百人、四百人と集団陳情に行くということになると、これは威力的であるとかいうことで頭から毛ぎらいをするわけでありますが、そういう場合も、私はやはりおとなしく話し合いをしようということならば、その三百人なり四百人はちゃんと玄関で待っておるだろうと思う。それを話し合いにも応じないということになってくると問題がありますけれども、話し合いに応じるということになると、それでもなおかつ大臣室へなぐり込んでいくというようなことは私はないと思う。そういう点については、大臣の真意というものをよく事務当局徹底をさしてもらって、とかくトラブルが起らないように、話し合いにはいつでも応ずる、こういう態勢を大臣が下まで徹底をさしてもらいたいということをこの際要望しておきまして、きのうのトラブルの問題については私の方としてもさらにもう一ぺん詳細に調査をいたしまして、なおあす、あさっての委員会もありますので、その際にまたお聞きしたい、こう考えるわけです。  そこで、過日この逓信委員会における郵政大臣所管事項説明の中で、特定局制度調査会の問題について説明があったわけでありますが、目下鋭意検討中でありまして、早急に何らかの結論を得たいと思っておりますということでありますが、まず第一番目に私は国会としての関係のある問題についてお聞きしたいのはこの前も若干お聞きいたしましたけれども、これについてのはっきりした結論が得られてないわけであります。それは大臣が旅先において放言をいたしましたところの例の四等局制度であります。この四等局制度については、大臣としては、何か新聞記事で見ると、現在の簡易郵便局とそれから特定郵便局とのあいのこである、そういうものを二千局程度窓口機関拡充のためにこしらえたい、こういうことを言っておったと思いまするが、社会党といたしましては、これは大臣にも官房長官にも私の方から正式に申し入れておりましたように、そういうふうな四等局制度というようなものは作る必要がない、さらに現在の簡易郵便局についてもこれは廃止した方がましである、そういうよりか現在のいわゆる特定郵便局なり、あるいは普通集配郵便局の出張所、分所というものをこしらえた場合には、大臣考えているところの窓口機関拡充というのと同様にいく、その経費についてもそれほどかかるものではないということも、われわれは正式にあなたに党から申し入れをしておるわけでありますが、これについての見解をこの際はっきりと伺っておきたい、こう考えるわけです。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 特定局の問題に対してお答えをする前に、先ほどの御要望に対して特に私の考え方を申し上げておきます。私は御承知通り組合運動に対しては弾圧等考えはごうまつもないのみならず、私自身戦後十二年たって、正常に復しつつあり、また軌道に乗りつつあるところの合法的な組合運動の発達に対しては、みずから先頭に立ちたいとさえ考えておるのでありますから、私たちの方から組合との正常な団体交渉陳情に対して、これを拒むというような考えは毛頭ないことをあらためて明確に申し上げておきます。ただすわり込みとか、また実力行使とかいうような、いわゆる不穏なものであり、社会の公安、秩序を乱さないということでもってお互い話し合いをすることは、私自身も常に申し上げておる通り、私は官側の代表だけではなく、その組合もまた郵政の職員でありますので、その責任も私に帰するのでありますから、そういうまじめな意味お互い話し合いをもって片をつけたいという考えであります。これからもなお下部の機関に対しても十分話し合いをするように、ただ特定局制度反対というふうな問題を、特定局長や地方郵政局長に陳情してもできない問題であります。だから、法律案を出すなというような問題は国会に、大臣はこういうことをやっちゃいかぬという問題は大臣に、こう集約せらるべき問題であって、どんな問題でもできるだけ本省でもって中闘との間に円満な交渉をしよう、だからできるだけ下部機関において、末端機構で混乱を起さないように私から下部の者にも厳重に申し入れますから、その線に沿って正常な団体交渉及び会見に応じて、将来も拒むというよりも、なるべく進んで会見をし、お互いが円満に話し合いの上で解決をしたいということをここで明らかにいたしておきます。  それから特定局の問題で、私が二千局と言ったのは私の放言だと申されましたが、放言ではございません。これは私もまじめな意味で窓口の整備をしなければならない、こういうことを考えておるわけであります。ただ仮称四等局という表現を使っておりますから、四等局というものがいかなるものかというふうに、すぐ仮称のものに対しての御質問でありますが、私は実際のところ仮称四等局を作るということよりも、でき得れば、特定局を二千局作りたいのです。特定局というものは、特定局であるが、また分局も含むものである、こういうふうにお考えになってけっこうでありますが、とにかく窓口機関が現在の一万二千では少い、こう考えておるのです。農協あたりが実際の金融機関として末端の金融機関ということであるよりも、できれば国家金融機関の窓口機関としての郵便局があることが一番いいのです。ですから私は、人口百戸くらいの山間僻地にも必ず郵便局があるのだ、アルプスの中にも郵便局はあるのだ、郵便局に赤電話もつける、郵便局でもって公債やその他全部の窓口としてこれを取り扱ってやるということが親切であり、サービスであり、国家がこういうことをやることは当りまえのことであると思います。そういう意味で、郵政が特別会計になってからは比較的に特定局の数が作られ、増大をし、また窓口機関として整備したといいながら、昔でも町村合併前の市町村の数が一万二、三千でありますから、一万五、六千といえば、古い合併前の村では一つしか郵便局がない、こういう状態であって、郵便局はどうしても二、三万局必要であるということは言を待たないと思うのです。ところが現実問題としてなかなか特定局を私が五十局を二百局に今年度上げるのに、一週間もけんかをしなければなかなか調整がつかぬという状態であって、何か特別な財源でも考えない以上は、とても窓口機関が早急に整備されるとは思わない。だからそういう意味で何らか一つ便法を講じてでも二千局程度は最小やりたいという考えで、予算編成の過程に関係当局との間に話し合いをし、今すぐ定員の問題を解決してやるわけにいかぬので、定員も将来解決をする。それでまた一局当りの費用というものが一体二十万円でいいのか、二十五万円でいいのか、五十万円が妥当なのか、現行特定局のように百万円以上要るのか、そういうものを郵政省としても事務的にまだ調査しなければならない段階でありますから、近い機会に調査をまとめて、そうして必要やむを得ざる限度において窓口を整備しよう、こういう考えでまず特定局と簡易局との中間局を二千局だけ設けることに対して了解を与えようということで話をした、こういうことでありますから、現在の段階では簡易郵便同法を改正して簡易郵便局としての窓口をふやすか、四等局といういわゆる特々定局になりますか、特定局ダッシュになりますか、どういう名前かわかりませんが、そういうような実際の特定局と簡易局との中間局、私の言う仮称四等局を作るか、特定局二千局設置法にするか、一万局を二千局ずつ五カ年間に分けて設置し、そのうち特定局を何局、分局を何局というふうに分けるかは相当大きな問題であって、とにかく直ちに私や省の考え方だけできまる問題ではないのです。そういう意味で時間をかけて、できるだけ早い機会にこの問題を実現しよう、こういう悲願からなるものであって、これに対して社会党の方々が特定局制度に反対だからということをもって、直ちに二千局にも反対だということでなく、これは一つ内容を十分見られて、できるならば一つ賛成をしていただきたいということを申し上げたいのです。
  27. 森本靖

    森本委員 その最初の大臣が言われた点は、若干気がかりになる点がありますので重ねて申し上げておきますが、いわゆる正常な団体交渉あるいは正常な申し入れというふうなことについての解釈が、ややもいたしますると組合側とあるいは官側との場合が違ってくるということもあり得ると思う。そこで私が言っておるのは、官側の方も平和的にいつでも話し合いに応じよう、こういうことをあなたたちがやるならば、これは何も片一方の方も、それは大臣室なり郵政局長室になだれ込んでいってやろうとは言わぬですよ。だからその辺が大臣としても大事な点であって、そこをよく運用の面について注意をしてもらいたい。これはややもいたしますと、これが事務当局あるいはそういう人たちの考え方によってその運用をせられぬように、一ついつでも組合側とは正常な話し合いをしようということならば、これは三百人や五百人や千人くらい本省陳情に行ったところで、団体交渉しておるから、ちょっと前に待っておってくれといえば、私どもは必ずおとなしく前で待っておると思うのですよ。それをちょっと労働歌をうたったら、労働歌をうたってはいけないというようなことを言うからやはり片一方は怒る。そんなものはうたわしておいたらいい。それを歌をうたったらいかぬとか、あるいはスクラムを組んだらいかぬとかいうようなことを言うから紛争が起る。それは片一方は集団としてそれだけ一生懸命やっておるのだから、何かぼやっとして立って待っているわけにはいきませんから。だからそういうことをよく考えて、そういう点で言ってもなおかつそれに対して、大臣室へなだれ込んでいくというようなことは私はないと思う。だからそういう場合は片一方は交渉している、片一方は待っておる。待っておりながらやはり労働歌をうたう場合もあろう、こういうことなんであって、その点については大臣としても一つ十分に、さっきから言われるようなあなたに良識があるならば、そういう方向でやってもらいたいというふうに考えているわけです。もう一ぺん大臣がそれについての見解があるなら言ってもらえばまた私の方から申し上げますが、その点について大臣に伺います。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 私と森本さんの言やまさに一致をしておりますから、これは良識の問題なのです。お互いが良識でもってこれが平穏なものであるということなら、これを拒んだり、またそういうことは全然ありませんし、懸念をする必要もないのです。ただざっくばらんに申し上げると、おとといまではもうちゃんと話をしているのです。しかもきょうだって退職年金法の問題は話し合いをしましょうということでツーツーにやっているのに、きのうときようとあした三日間だけは郵政省に行かぬ、衆議院におりますから本省に行ってもおりませんよと言っているのに、承知をして、いるかもしれぬということで行ったのじゃない、やはりスケジュールで行かざるを得なかった、こういうことでありますから、これは立場も了解しているので、それを正常な交渉じゃないとは言っていないのです。ただ私は千人も来てもらわなくても、一人来ても、来なくたって、うちの組合員のためにどうしなければいかぬかということは日夜考えておるのです。あなたも御承知通り、今までも私が団体交渉を拒んだなどという例はないのです。十二月の二十日ごろまでかかるだろうと思うのが、十一月七日に一晩できまってしまうというくらいに簡明直截に話をしておりますし、またついておる現状でありますから、少くとも郵政の官側全逓組合との間に、過去にあったような紛争が起きるということは絶対にこれからもないと思いますし、またないように各機関をして円満な交渉が行えるように指示をします。
  29. 森本靖

    森本委員 その問題について、大臣は千人も来てもらわぬでも一人来たら十分意思がわかると言うけれども、過日の軍人恩給の問題にしても、あれが一人や二人軍人恩給の代表が来て会ったら自民党に圧力にはならぬですよ。はっきり言って今の代議士だってそうでしょう。やはり十人来たより百人来た方が、自分の票がこわいからみな最敬礼して送るのでしょう。あなたみたいに選挙の強い人はそういうことはやらぬだろうと思うけれども、やはり国会議員だって、一人や十人来るより選挙区から、二百人、三百人来れば扱いが違うのですよ。それと同じことで、労働組合だって一人ぽかっと大臣のところに行ったって何も相手にしやしません。千人なり二千人来て、そこでこれが私の考え方だといって初めて会えばよろしいのだ。ただその場合大臣もさっきから心配しているようなことはそういうことの場合に積極的に会って、お互いの代表者が話し合いをしようということなら、私はそんなに中に入っていって窓をこわすというような乱暴をすることはないと思うのです。ただその場合手持ちぶさたで待っておっても困るから、代表が大臣交渉しておるのだ、それを激励する意味において歌をうたったりわっしょいわっしょい前の方でやる者もあるでしょう。それは何も業務に影響はないのです。それをわざわざスピーカーを出して、課長補佐か何か知らぬけれども、一生懸命、デモはやめてもらいたい、歌はやめてもらいたいといえば、片一方はよけい興奮して、しまいにはなぐらなければおさまらぬということになる。その辺のことをよくあなたの方で注意をしてやってもらったらけっこう円満に行くだろう、私はこういうことを言っているわけです。だからそういうふうに一つ良識を発揮してやってもらいたい。  それから先ほどの四等局制度の問題でありますが、確かに大臣が今言われた点については私も初めに新聞で拝見しましたときと、この国会で答弁をしたこととはだいぶ違ってきておることは認めます。あなたも言っておるように、四等局制度というものは必ずしも簡易郵便局特定郵便局のあいのことは限らぬのだ、場合によっては社会党が言っている出張所、分室ということもこの中に含まれる、そういうことを含めて将来検討していこうということなら、これまた話は一応筋が通る。ところがあの新聞で見ると、まるっきり四等局制度というものを今日の特定郵便局以外にこしらえようというふうな考え方に立っておるから、ここに社会党があわててあなたの方に申し入れをしたわけだ。だからあなたがたが言うようにこの問題について十分に与野党においても話し合いをし、あるいはまた国会においても論争し、あるいはまたあなたの方と組合との間においても十分にこの問題について話し合をしていかなければならぬ。しかもその中にはいわゆる簡易郵便局法を改正するという考え方もあろうし、場合によっては現在の集配郵便局のそのままの出張所、分室の形ということも出てこよう、こういうことも含めて今後の窓口機関拡充ということについては検討していきたいということであるならば、私はまだ話が前進をしてくると思う。しかし頭から今の特定郵便局よりもさらに請負のひどい四等郵便局にするということになると、これはまっこうから対立をする、こういうことになるわけです。だから今大臣だいぶニュアンスが変ってきたように、将来この四等局という問題については社会党なりあるいはまた職員の方が今言っておるところの分室、出張所制度ということをも含めて、十分窓口機関拡充ということについて検討していきたい、こういうことかどうか。その点を一つ確かめておきたいと思います。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 これはもう社会党さんとまつこう対立しようなどとは全然考えておりません。こんなものは全く超党派で国民にサービスをしなければならぬということであって、私はもう初めから——ニュアンスが変ってきたのじゃないのです。私の個人的なものの考え方や、過去の実績を見ていただければわかる通り、私はただ国民に対して最大のサービスをしなければいかぬということを考えておるのですが、ただサービスをするということにきゅうきゅうであるために、さなきだに混乱をしておるところの組合との間に、もう一つ争議の紛争の種をまこうなどと考えるものではないのです。だからそういう意味で私は社会党がほんとうに賛成してくれて、郵便はがきにもう一円つけて、一つ五カ年間でもって一万局の局を作って、そのうちの三千局を分局にでもしょうということになれば、それはもう一向賛成なんです。ほんとうにそうなんですよ。そういう意味で窓口を整備しなければならぬということは、これはもう当りまえなんです。ですからそういう意味で私が二千局と言ったのはもう最小やむを得ないというのは——私が大臣になってから今二千局くらいあるのです。与野党を問わず局を設けろ局を設けろということばかりきているので、これを何とかしなければ、どれを見ても——東京は置局計画は人口六千の六百メートルの間隔でありますが、これを人口八千の八官メートル、人口一万の千メートルにしようと、だんだん縮めなければならぬものを、逆にどんどんと率を伸ばして、それでもなおどうにもならない。東京でも四、五百局作らなければどうにもならないのです。大阪もその通りです。それを今私が五千局を二千局にするものでも大へんであったので、何とか一つ衆参両院の院議の力を借りて、一つ二千局ずつ五カ年間に一万局にもやろう——しかしそれを自民党がどうも考えそうだというふうなアイデアでもって、直ちに現行の特定局よりももっと請負的なものを作るのだという断定はしかし少し早いと思うのです。私はそう考えておりませんし、自民党もそうは考えておらないのです。私のこの意見に対しては、とにかく窓口を整備するためには二千局のうち幾つを簡易局にするか、それから幾つを四等局として必要か、また幾つが特定局になるか、分室になるか、その計画を一つ全国的に出してごらんなさい、実際に二千局で足らなければ五千局になるということもあり得るのだから、いわゆる総合的にお互いに話し合ってやろうということで、私は社会党さんや全逓諸君とこの二千局の問題で対決しようなどという考えは、全くないということを明確に申し上げておきます。
  31. 森本靖

    森本委員 なお同僚委員質問があると思いますが、私はこの問題をさらにはっきりしておきたいと思います。大体大臣は非常に感違いをしておると思うのですよ。事務当局からこの特定郵便局をこしらえれば一局百万円当り要るのだ、このことが頭にこびりついていると思うのだ。だからこれは分室、出張所ということにして、かりにその出張所の職員が現在の四級職の職員くらいがこれを実際にやるとするならば、何ぼも要らぬのだ。一名で出張所ということにすれば。だからそういうことはまるっきり反対だから、事務当局は今まで全然検討していないのだ。それを首を振ったところで事務当局は検討していないのです、現実にそういうことは無理だというようなことで。ところが現実にわれわれが現場におったときにそろばんをはじいてみても、分室、出張所にしても採算は十分にとれる、われわれが言っておるような形でやれば。それは今の特定郵便局は二名から大体七名程度定員がおりますが、それを全部平均をしたものを、それをとって積算根拠として一局作るとそれだけのものができるということが頭にこびりついて、それだけしか考えぬから、分室、出張所というものが出てくる。だからここで簡易郵便局というものを、あなたは二千局のうち五百なり六百なり作って、あるいは分室、出張所というものを何ぼ作ってということを言っているけれども、われわれの言っているのはそういうことでなくして、現在の簡易郵便局もさらに将来作る二千局も、そういうふうな分室、出張所という制度でいって、現在の郵政財政でけっこう採算がとれる。一円も上げぬでもできるということを言っているわけです。ですからそういうことを一ぺん事務当局としてやってみたらいい、そういう検討をやったらいい。それから大臣もあまりはったりみたいなことは言わぬでもらいたい。たとえば切手を一円上げたら、社会党が賛成すればわれわれも出すということを言うけれども、大臣あなたが、選挙の前に郵便料金を上げるということを絶対に自民党が提案するはずがない。この間のNHKの受信料だってあなたは何回も、百円に値上げするということを新聞に三回も四回も発表しているが、明日提案するところのNHKの受信料もやはりもとの六十何円じゃないか。そんな選挙の前にはったりみたいなことを言うのは一切やめてもらいたい。そこで四等局の制度の問題についてはそういう問題だけれども、とにかくわれわれが言っているところの出張所、分室ということも一つ含めて、全部親切に検討してもらいたい。そうしてその中でいいものを与野党が討論をし、あるいはあなたの方と職員組合とが交渉して、そうしてわれわれは国政の立場からこれを検討して、よりよく国民にサービスするところの窓口機関拡充するということはだれしも反対はないわけであるから、これをどう拡充していくかということについて意見が分れているわけだから、その意見を調整することについては、お互いに与野党が努力して検討しようということを言っているわけです。あなたは何も簡易郵便局はこだわる必要はないということを言っているわけです。だから出張所、分室を含めて窓口機関拡充ということについては、将来検討していくかどうかということを聞いているわけです。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 私が先ほどから申し上げております通り、窓口の整備は全く急を要するものでありまして、何らかの方法でもってやりたいという意図に出ておりますことは、一つ承知になっていただけると思います。組合側及び社会党さんとの間に対決をしながら、この制度を新設しようなどという考えは全くないのでありまするから、私は現在の法律のもとで、国民によりサービスを拡大したいという考えでもって窓口の整備ということを考えているのであって、今のままのように対決をしていると、私がせっかく大蔵事務当局と話をした二千局も流れてしまう、そういうことになる可能性があるので、これは流さないように何とか一つ話をしようという考えなんです。だから放送法に対しても、初めは非常に危ない放送法の改正が出るだろうと思っておりましたが、出てきたものはなかなかこれはいい放送法であって、社会党も賛成であろう、そういうような内容の非常にいいものでありますから、そういう思想の私が立案しようというのでありますから、少くともこの窓口機関の整備の問題で対立しようというようなことは全然考えておらぬ。だから皆さんとこういう組織の問題、法律の問題等で、組合と私たちが正式に団交するというようなことは、これは言うべきでないし、また言ってはならない問題でありますが、国会の御審議を煩わすのでありますから、与党野党を問わず政党の了解を得れるようなものでなければ、これはどうしても日の目を見ないのでありますから、私としては今までのいろいろな窓口整備に対して出されている問題を十分調査研究して、最も合理的な窓口機関の整備の方式を立てよう、こういう考えでございます。
  33. 松井政吉

    ○松井委員 ちょっと関連して恐縮ですがお伺いします。窓口をふやしてサービスをよくしよう、不便なところまで窓口を作ろうということについてはだれも反対する者はいないのです。いないのだが、要するに末端窓口としての特定局制度そのものに不合理が現在あるわけです。その不合理を改めないので、要するに不合理のまま窓口を設置していくのか、それともやはり不合理な特定局制度というものを一ぺん合理的に改めてやるのかというところが、一番問題になるわけです。だからあなたの方はふやすのだふやすのだと言うが、既存の特定局制度の欠陥、それから不合理、それをどういう工合にやるのだというお話一つもないわけです。それを一ぺん聞かして下さい。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 それは非常にポイントでございます。重大な御発言であります。私もこれに対して無為無策でおるわけではありません。しかし特定局制度には欠陥もありますし美点もあります。今松井さんが言われたように絶対不合理だという面は、直して再発足すべきであることは申すまでもありません。だからこの特定局がどこが合理であり、どこが不合理だ、どこが経済的であり、どこが不経済的であるかという問題に対しては、特に八カ月の長期間にわたって、特定局制度調査会というものができて、学識経験者が集まって答申を出しております。しかしこの答申につきましてもいろいろの解釈がありますし、また答申通りにいかないという面もありますが、少くとも八カ月間もやっていただいた学識経験者の意見というものに対しては、われわれは真摯な態度でこれを検討して、実現化するように努力をしなければならない責務があるのは当然だと思います。そういう意味で、特定局制度調査会の私あてに出された答申案に対しては、まだ最終的な研究が終っておらないのです。だから私の方もこれを終らないで、別にたな上げしておって四等局を作ろうなどとは考えておらないのです。だから答申を私たちの方が解釈をして、こういうふうに解釈をされる場合にはこういう法改正が出てくる、しかしこれに対して与野党の意見は一体どうか、また実際の窓口機関としての適格性はどうかということは、この特定局に対しては長く過去に論議がされておりますから、論議の焦点は明確なんです。だからその問題との調和をはかりつつ、より合理的な結論を出したい、こういう段階でありますので、私は今不合理な特定局制度のままで二千局をふやすのだという考え方ではなしに、最も時代に適した、また実際的に国民に対し、窓口機関の整備になり、郵政事業にもプラスになるという面を調和をせしめて具現をはかるというわけであります。
  35. 松井政吉

    ○松井委員 関連質問が飛び飛びになりますけれどもお許しを願います。正式通告のときに今度具体的にお伺いします。  なるほど八カ月かかりまして調査会の方がやったといいますが、当委員会は八カ月や一年ではないのです。特定局制度についてずっと古い速記録を調べてみれば、八年間にわたりこの委員会で問題になっているのですよ。八カ月程度の調査会じゃないのですよ。それだからそろそろ当局の結論を出していいのだが、衆議院なり参議院で毎年再々問題になっているのだが、改めようとしないところに問題が重なってきているわけです。これはおわかりだと思います。そこでここにも速記録に載っておるように、国会からもわれわれは出かけて、わざわざ特定局ばかり調査して歩いた報告書も出ておるわけでしょう。それほど重大な問題なんです。そういう重大な問題のポイントというものは、われわれが考えてみると大体二つか三つなんですよ。一番問題なのは局舎の問題が一つです。それから局長の任用制の問題なんです。そうでございましょう。これを一体どう解釈するかということが問題なんです。そこでもう一つお伺いしますが、全逓諸君特定局制度反対という要求書なり、あるいは陳情運動を起すと仮定いたしまして、何もないところに起きっこないですよ。たとえば働いている全逓諸君が承服できない者、あるいは地元民が見てふさわしくない者を任命しようとか任用しようとかいうところに問題が起きてくるのですよ。そういう問題がないところに運動が起きっこないのです。これは制度からくる大きな欠陥なのですね。それが現われておるのです。だからそういう問題について、特定局制度そのものの根本的なものと、特定局制度の矛盾から起ってきて今問題になっておるものの解決、これを全逓諸君とどう解決しようとするのか、どう話をしようとするのか、その方針があったら一つ話していただきたい。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 全逓諸君がなぜ反対しておるか、全逓諸君が反対をしておる論点はもう明らかであります。特定局を廃止すべし、こういうことなのであります。廃止をしない場合は局舎を完全に国有にすべし、それから自由任用をやめろ、自由任用の場合でも長年月逓信事業の中におった人を最優先的にやれ、こういうことにしぼられておる。ですからそういう問題に関してはもう論点がはっきりしておりますから、この論点と、それから特定局制度調査会答申に対しては、時間がなくて実際のところはまだやってないのです。今の三十三年度の予算、これはあなた方から見たら全く郵政事業にとってみみっちい予算かもわかりませんが、私にとればこれはなかなか苦心の作なのです。こういうふうに思うのでありまして、いわゆる全郵政事業というものに対して、二十三年度の予算を何とか片づけなければならない。まだまだ法律はたくさん出さなければいけないと思うし、最小限やむを得ざる限度において十一、二の改正法案を出そうということで懸命にやってきたのであって、しかも私は病気で休んだことは一日もないくらいで、今日までやってきたのです。ところが微力遺憾ながらまだ特定局の問題があまりにも大きい問題で、早急に結論を出すような問題でないのです。私の方でも予算が通過したら、それから法律案も全部終って、この時期から一つじっくり腰を入れてやろう。しかも組合諸君の言われることは十分わかるし、社会党の方々といえども二大政党対立状況下唯一の野党でありますから、そういう方々の意見も聞きながら、この条文をこういうふうに具現した方がいいというまでにはまだ時間がかかるのです。それをきょう、あす鮮明にして直ちにやれ、こう言っても私は答えようがないのです。答えようがないことを、今度逆に私の方でもって同じことを言うと、自由任用制やそれから現行特定局組合諸君に認めてくれ、こういう反論を私がやると、これはちょいと簡単に認められるものではないのですよ。同じことなのです。だから私の方も自分の考え通りのことを強行しようと考えておるわけではない。いずれにしても長い歴史を持っておるところの特定用の紛争に対しては、終止符を打たなければいかぬと思うし、より慎重でなければならぬ、こう考えております。ですから最終的にはお互いいざこざが全然ないような結論は出ないでしょうが、いざこざがあっても最小限度のいざこざでなければいかぬ、こういうふうにまじめに考えておるだけに、まだ今の段階において一体特定局はどうしたのだ、こう言われても、実際これは私に求むる方が無理でありまして、私も誠意を持って今やっておるのでありますから、また毎度々々両院の委員会質問の半分が特定局の問題だということだけでも、逓信事業としてのポイントになる問題でありますので、事務当局を督励してできるだけ早く皆さんと御相談ができるように、また皆さんに御報告ができるような結論を出したい、こういう考えでございます。
  37. 片島港

    片島委員長 この際申し上げますが、質疑応答はできるだけ要点をかいつまんで簡明にお願いをいたします。特に大臣の答弁はもう少し簡明にお願いをいたします。
  38. 松井政吉

    ○松井委員 それではお伺いしますが、簡単にお答え願えればよろしいのです。大臣特定局の問題に対する心痛と御苦労は了承してもよろしいのでございますが、問題は、特定局制度そのものについては答申案についても結論が出てない、今鋭意研究中だということなんですが、それはそれでよろしいですが、そうすれば当面特定局の不合理から起きてきている問題、局舎の問題、局長の任用の問題をめぐって紛争が起きている場所についての解決はせなければならぬ。制度そのものは検討するにしても、これは解決しなければいかぬ。その問題の解決と取り組むだけでも、全逓との間の話し合いはなごやかにいくわけです。そういうことについてお考えになったことがありますか。そういうことを考えてこれから全逓との間に話し合いを進めるつもりであるか、この一点だけお伺いします。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 あります。
  40. 松井政吉

    ○松井委員 あるということでありますれば、起きている問題はなごやかな話し合いの中に解決していく、こう解釈をしてよろしゅうございますか。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 よろしゅうございます。
  42. 松井政吉

    ○松井委員 それでは森本君の質問を関連にとったのでございますから、森本さんに質問時間をお返しをいたします。
  43. 片島港

    片島委員長 原茂君。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 要点だけ三つお伺いします。  一つは今の御答弁を聞いておりますと、特定郵便局制度というものの持っている合理、不合理性に対しては、調査会答申が出たにもかかわらず、まだ研究がなされていない、それほどむずかしい問題だ、こうおっしゃった。それから今の四等局というか、特定局といいますか、二千局設置しようということは、昨年来の大臣一つの抱負として語られている。この二千局を設置する場合は、少くとも特定郵便局の合理、不合理件というものが究明された後に、ある程度のディスカッションが終って、なるほどこれでいくべきだというはっきりした答えが出ない限りは、特定局制度と同じような、あるいはこれに準じたものを二千局の中には置かない、作らない、こういうことは言えますね。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 どうも質問が簡単に答えられないような質問でありますから、因りますが、先ほども申し上げた通り特定局でも分局になるか、いずれでありますが、現行の特定局程度の規模のものを作るとすれば、郵政省設置法の改正をやらなければいかぬか、単行法を出さなければならないわけでありますので、しかもこれは財源が伴いますし、財源立法をしなければいかぬので、そういう意味ではこれはやはり社会党さんと話がつかなければできない問題です。だから現在の法律のままでやれるものは一体何かということになりますと、これは立法措置をしなければなかなか二千局の設置というものは不可能だというふうに考えてもけっこうです。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 だめ押しのようですが、要するに現在の特定局、これに対する合理、不合理が完全に究明された後でなければ、二千局設置ということが実現するときでも、現段階においては今の特定局制度に準ずるようなものは作らない、作る、こういうふうにお答え願いたい。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 作らないではなく、作れないのであります。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 では作らないと私は解釈しておきます、作れないのですから。  そこでもう一つお伺いしたいのは、現在の特定局制度の中で、先ほど大臣が三つ、全逓組合が何かの考えているのはこうだというお話があった。たまたまそれほどよく御勉強なんですから、全逓の言っているその意見、要求に対しては不可能だとか可能だとかいうことを簡単に理由を付して答えてもらいたい。
  49. 田中角榮

    田中国務大臣 これは特定局制度調査会答申との関連がある問題でありますから、今私が端的に意見を申し述べることは不穏当だと思いますので、次の機会に譲りたいと思います。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 ではその点はこの次にお伺いすることになりますが、今の調査会結論が出ているのと、それからこれをよく調べて大臣が何かのお答えをお出しになるはずですが、この時期はいつごろになるでしょう。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 これはもう慎重に、かつ明快にいたさなければならない問題でありますので、時期に対しては今にわかに明示はできないという段階でありますが、いつまでも延びてしまう、この国会中にはできないというようなことは考えておりません。できるだけ早い機会に結論を出さなければならない、紛争は長引かせるものではないという考えでありますから、できるだけ早い機会に結論を出したいという考えであります。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、今国会のうちにはやはり結論を出し、それから二千局設置に関するはっきりした態度を表明なさる、こう見ていいですか。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 これはもう私が発言したことでありますから、今、国会中でありますから、できるだけこの国会に出す、また出したいということが実際でございますが、この問題はなかなか調整を要する問題でありますので、紛争が大きくなればこの国会に出ないということもあり得ます。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 今の紛争が大きくなればというのですが、これは紛争というのはどういうことが予想されるのですか。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 窓口を整備しなければならぬということはだれでもが認めております。しかし特定局というような問題に対して、いわゆる窓口機関の問題に対しては議論があるところであります。この議論に終止符を打ちたいということを考えておる。私は新しく提案することによって、今よりもより大きな紛争が起きるということになれば、これは全く事志とたがうか、もしくはあぶはちとらずになりますし、そういうふうな愚策はとらない、こういうふうなことを申しておるわけであります。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 では最後にもう一点お伺いしておきます。その前に、では今国会にとにかく特定郵便局制度に対するお考えがまとまったときにはこの委員会で審議を十分できるように一つ考えを披瀝していただく。そのときに一つ個々の問題に対して私どもも審議を続けるので、これは一つ保留しておきます。  最後にお伺いしておきたいのは大臣が昨年からこの特定郵便局か何か知りませんけれども、四等郵便局といいますか、二千局設置というものをお考えになって、これを一応あらゆる機会に発表されているわけですが、大臣個人のお考えですか、事務当局と相談した上ですか、二千局というのは……。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 私個人の考えでございます。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 その個人の考え事務当局に諮ったことはありますか。
  59. 田中角榮

    田中国務大臣 例年五千局ずつの特定局を二百局に増置をするように予算案を作りましたときに、省議でもう二千局加えておけ、こういうことで私が明確に指示をいたしたのであります。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 指示しましたら、そのときに事務当局からその二千局をふやす案、その内容をこういうふうにしなければできないという何か大臣に答えが出ていませんか、出ていたらその答えをそのまま聞かせていただきたい。
  61. 田中角榮

    田中国務大臣 明確な答えは出ておりませんが、特定局を作るとすれば設置法の改正もしなければいかぬし、簡易郵便局として拡充するならば、簡易郵便局法の改正をしなければいかぬし、新しく仮称を四等郵便局というならば、単独法を出さなければならないし、それはそのときになって出せばいいじゃないかということで命じたわけであります。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 そのときには事務当局から分室、出張所、いわゆる置局基準に従っての分室、出張所等でやるというような案は出なかったですか。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 出ておりません。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 これは後日これを側々の条章で審議するときの参考にお伺いしたのですが、非常に事務当局としては怠慢だと思うのです。そういう答弁であるとすれば、これに関連して最後にお伺いしたいのはこういう新しい置局をすることは非常に大事です。窓口は広げなければいけないのですが、しかしその前に前の委員会でも言ったのですが、現在の郵便局というものは普通局、特定局があります。これをとかく拡充、整備、近代化することもないがしろにできないはずだ。それは当然であるのですが、その中で一点、昨年六月、大臣就任以後の七月ですか、百二十三局の特定局を普通局に上げるというものを、さっき全逓組合の話が出ましたが、大体組合との間ではこれを昇格するという話し合い団体交渉か何かでできていたと思うのですが、どうでしょう。大臣就任前ですよ。
  65. 田中角榮

    田中国務大臣 私が就任したと同時にこの問題が起きたのです。百二十三局でありますが、これは前々大臣のもとでもって種別改訂を行うということを決定したのだ、こういうことが組合側の言い分であります。省側の言い分として決定したのじゃない。ただ組合のそういう話があったのだということで、私は新しい大臣でありますから、どっちを信用すればいいかわからないので、まあ時間をかけて聞けばよくわかるだろう、こういうふうに言っておりましたところ、第一回に五十局ばかり、本省種別改訂が上って参りました。この問題に対して百二十三局、あと七十何局あるのだから、大臣も忘れないようにこの問題を片づけなさいよということでありましたので、一件々々難のないものに対しては片づけるようにしようということで、現在は比較的円満に片づいております。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御答弁で二つ問題になるのですが、一つは、前の大臣から申し送られたといいますが、話し合いについて、組合は約束したと言い、当局の方ではそういう話を聞いただけだ、こう言っている。いやしくも組合団体交渉か何か話し合いをするのに、当局は相互で確認した記録はないのですか。それから今のお話ですと、五十局ばかり種別改訂をしたのだが、その後も上ってくるものをいろいろと審議して、うまく円満にぽつりぽつりと昇格をさしている、こういう御答弁だった。その後幾つ昇格しましたか。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 正式な団体交渉によるものは文書がございます。双方にあるわけでありますが、この問題に対しては双方にないのです。そこがなかなかおもしろいものですから、私もあえてその実情を解明しようとも思わないのです。解明しなくとも、お互い話し合いをすればいいじゃないか、こういうふうなことでありますが、これは郵政省の課長の名前でもって、百二十三局種別改訂に応ずる、こういう文書が一通交付されておるのです。ところが省議の決定もないし、いろいろな意見が省内にあるのですが、何も隣の人とのけんかじゃないのです。私から見れば、私の省内の問題でありますから、こういう問題は文書があるとかないとかいうものじゃない。だから、いずれにしてもお互いが十分話し合いをして、できるだけ円満にやればいいじゃないか。こういうことで、初めは相当きつかったのです。初めはどっちも意地になっておったのですが、私が行ってから、意地にならないで円満に事を運ぼうということでもって、このごろは円満に事が進んでおりますから、そういう意味で、あまり文書とか協定とか言わないで私が一つやろうということで、現在までに種別改訂は五十局完成をいたしております。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 円満にやろうという大臣のお考えは非常にいいのですが、言葉の魔術で、円満にいくかどうか、焦点をしぼっていくと、組合は約束をしたと言い、大臣の側からいうと、当局は聞いただけだ、一課長の、これに応ずるという文書を出したというようなことを言っているのですが、そういう点をやはり一つ一つきちっと解明していかないと、円満々々と言ったって、行くところまで行ってからいきなりばんと爆発するのですよ。大臣は自己満足で円満にいっているつもりなのかもしれないけれども、実際には相手があるのですから、相手が、円満にスムーズにいっているのだと考えているかどうか、非常に問題があるのですよ。いつでも相手を考えないといけない。私の見ているところでは、大臣が言っているほど相手は円満にスムーズに了解しながら事ごとにうまくいっているのだとは見えない。この点は今ここで森本君が、課長か局長が首になったとかなんとか言っています。何かわかっているらしいから、これはまた関連してやる問題でありますが、とにかく団体交渉あるいは組合との話し合いはどんなことがあっても、必ず双方確認し合った文書を残すことが絶対必要なんですから。たまたまなかったことは事務当局の怠慢です。もしそのときの話し合い文書で相互にかわされていなかったら、大臣は、組合のことをしかるわけにいかぬでしょうから、事務当局に対して怠慢を叱責していいのですよ。近代企業を経営するのに、これは常識ですから、どんな話でも、済んだときには文書にすべきです。それがなかったら、前の事務当局が非常に怠慢なんだ。こういう意味では事務当局をうんと叱責しなければいかぬと思う。それが一つ。  それから今の五十局やったというのは、五十局やったのはわかっているのですが、大臣のさっきの答弁ですと、その後ぼつぼつ上ってきたものを円満に処理をしておるという答弁だったから、五十局以後やっておるかと聞いておるのです。私の聞いておる範囲では、大臣就任されて以来——七月かそこらか知りませんが、とにかく百二十三局のうち五十局まで一応やった。その後のものは、むしろストップをかけて、大臣が言う円満にやっておるどころか、とんでもない逆のことを実際にはやっているように聞いているのですが、この点はどうですか。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 これは事情を申し上げないとよくわかりません。私は組合との話し合いを公開の席上ではあまり話したくないのですが、議員の御質問でありますから、やむを得ません、明確に申し上げます。この特定局種別改訂の問題は私が就任をして第一番目に問題になったものです。私はこういう重大な問題が相互にびしゃっと文書になっていないのはおかしいじゃないか、こういうことでもって相当憤ってみたのですが、実際から言うと水かけ論になるのです。それと、もう一つはこういうことなんです。省側として一体どうしてこれを出したのかと言うと、これは居直られたのだということを省側では言うのです。普通のときだったら何でもないのですが、ちょうど組合大会の前で、種別改訂で一札とらなければ、これは大会決議になっておってどうにもならないのだ。しかし実際やるときにはお互い話し合いをして円満にやろう、ただし文書を交付するということで、ほんとうの話し合いでもって、実際に即応して自分たちはやったのだ。ところが今度、文書をとにかく与えたからというふうに、それを持ってきて、こういうものが出ているじゃないかということを言うので、これは今までの円満な団交としては多少筋が違うじゃないか、こういうことだったのです。ところが、過去にはそういう例があったかもしれぬが、今度は綱紀粛正を一枚看板として出てきた岸内閣であるから、官紀は振粛しなければならぬ、そういう意味で、昨年の七月は私としてもそういう気持だったのです。いずれにしても、官紀は振粛しなければならぬのだから、こういうことはよくない、正すべきは正そうということで、これからはちゃんとしなさい、この問題でもってお互い議論をしてみても、官側組合側の言うことが——私が聞くと五十歩百歩の議論になって、大本を片づける議論にはならない。だからまずこれに対しては私が焦点に立って両方をまとめよう、こういうことでまとめにかかったのです。それで組合との間に私は何回も折衝をしたのですが、私自身は今特定局制度調査会があるので、この問題のさなかに種別改訂を強行して、前提条件を作るように、痛くもない腹を探られても因るじゃないか、そういう意味でちょっと時間をかけてはどうかということを話したわけです。私は平たく言えば全くしろうとですから、第三者的な意見を出した。そして組合も、それはよくわかります、私たちの方も、調査会に対して圧力をかけたり陳情するということはよくないと思う。当時組合側とすれば、組合よりの陳情よりも、いわゆる官の調査会に対する干渉の方がかえっておそろしい、そういう考え方がよけいあったので、お互いにそういう前提条件を作らないようにしましょう。——これは良識ある人だったら、だれでもこういう結論に達するのです。常識論なんです。ただし何もしないわけにもいきませんぞ、大臣はどうするのですか。時あたかも三、四十局は省へ来ておったのです。私はそれに対しては全然見ていなかったのですが、全然やらぬということはおかしいじゃないか、しかも五月三十日までにやれということが、もうすでに七月十日じゃないかということで、私がその交渉をやった日に、問題のない九局を私の権限で直ちにやったのです。種別改訂をしなさいと言ったのです。またそれで一カ月くらいやりまして、九局とは何事ぞ、直二十三局の九局では一割にも満たないじゃないかということで、また交渉をやって、最後に、二十五局今すぐやるから何とか待ってくれ、調査が済まないうちにやるのはおかしいから、こう言ったら、あなたは郵政局長のやったものさえ認めないのかと言うから、私も冗談に郵政局長から来たものを全部大臣がやるならば、林ノ上の局長もやってもいいか、こう言ったのですけれども、それは困る、林ノ上の局長は仙台郵政局長が本省に上申したものであってもこれは問題ないのだ、問題のない種別改訂をやれ、こういうのでごたごたしましたが、最後にはこういう了解のもとにやったのです。大臣立場もわかる、しかしわれわれの立場もよくわかってもらわなければいかぬ。少くとも四、五十局出てきておったら、三十局、四十局はやりなさい。しかもあとは特定局調査会結論の出るまでは私たちが言うのではないが、大臣というものは特定局制度調査会結論が出るまで、本省に上ってくるのを待っておれ、こうあなたは言える権限を持っているのじゃないか。そういうことをやっても僕らはお互いに了解をするのだから、文句は言いません、こういうことでそこまで話してきた。それで私は三十五局でもどうか、それはだめです、今来ているものを全部やらなければならぬ。その中でもって地元が反対したり、局長が反対しているのが二つあった。二つはどうしても反対だった。そういう意味で、二つ三つはだめなものもあるぞと私が言ったら、そんなものを私たちは種別改訂を全部やれとは言わぬ。五十のうち大衆が認め、良識が認めるものさえやるならばいいと言った。それで私はその日のうちに四十八局やった。二局に対してはずっとそれから調査をして、この間二局の話も円満にまとめて、今よりも十日前に二局もやった。五十局全部やった。五十局全部やると同時に私のところにやってきて、あと二十何局出ている。それを全部やってしまえ。郵務局区長に聞いたら、出ています。出ているなら早く調査をすればいいじゃないか。今調査をいたしております。こういうことで、組合との間に局長が呼び出されて、強引に自分の意思に反して種別改訂に賛成をさせられたり、また趣旨の反対のものを反対じゃないというようなことを言ったりしてはならない、ちょっと時間をかければ、フルに昇格をしてくれということに対しては問題がなくなるのだから、強引にやるな、官僚的にやってはいかぬと私が言っておりました。そういう意味で今二十八局上ってきているそうです。これをすぐやれと言うのです。私はやらぬと言ったのじゃないのです。ただ局長がまだ調べてもおらぬのに私がやれと言うのはこれは最も悪い政治的な指導ですから、そういうことはやらない。だから局長から次官を経由し、政務次官を通って私のところに来れば、私の遺憾のないものはやろうということで、組合との間には私が協定をして破っていることは今まで一つもない。特にこの種別改訂の問題に対しては一つもない。答弁が長くなりましたけれども、実際の話をしなければわからないのであって、この問題に対しては私がやらないということはないのであるから、下から上ってくれば当然これは決済を与える、こういう考えなんですから御了解を願います。
  70. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 関連して。今聞いておって私非常に不審に思うのですが、どの条項でお話になっているか知りませんが、公共企業体等労働関係法の第八条に「公共企業体等の管理及び運営に関する事項は団体交渉の対象とすることができない。」という条項があります。今の種別改訂の問題あるいは特定局設置の問題は、この法律の第八条に関する事項、私はこう思うのですが、大臣はこれと別に考えておられるかどうか。  一回だけの質問にしますから続けて言いますが、そうだとすれば、今まで大臣がいろいろ答弁されておったことはいわゆる法律を越えての政治的な配慮であって、まことに労働組合立場を十分に考えての親切味のある、いわゆる従来の非公式の交渉を続けておられたと思うのです。従って今の団体交渉権とか団体で協約したとかいうような質疑は私納得できない。私は今まで大臣がやってこられたことは非常に労働組合のことも考えて、できるだけ組合の意思も尊重してやっていこう、こういう考え方と思うのですが、この法律との関係を明らかにして論議を進めてもらいたい。そうしないと、ただ単に質問が長くなって意味ないのじゃないかと思いますから……。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。この問題はただいま言われた通りでございます。管理運営事項に関するものでありますから、団体交渉の範囲内ではないのでありますが、ないと言えば団体に取り巻かれますから、なるべく私の方は取り巻かれまいとするわけですが、やはりよき慣行は守らなければならぬ、こういう考え方です。今まで前の大臣がやったとかやらないとかいうことは水かけ論で、問題が起っているならば将来起さないように、また現に目の前にあるものは円満に片づけなければならぬ、そういう労使の慣行、特に法律があるとかないとかいうよりも、前にやっておったものは何とか円満にうまく片づけよう、こういった配意のもとに仕事を片づけようというのが私の考え方であります。
  72. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の大臣考えはけっこうなんです。ですから、ここで何か法律的な論議を引き起すような意味での質疑がないのではないか、よき労働慣行を続けてもらうという意味一つ大臣の政治的考慮によってこの問題は善処してもらう、そうして組合の意思も尊重して実現してもらうということで、お互いにあまり権利的なことを言いますと、この条文にもひっかかってくるので、この点お互いに政治的考慮によって十分善処してもらうという線で進めてもらいたいと考えます。
  73. 森本靖

    森本委員 関連して。橋本さんがそういうことを言われると、私は一言言っておきたいと思います。確かに法的には橋本さんの言われる通りです。ただよき労働慣行として、これは全逓郵政省が長年にわたって交渉し、また交渉に応じて、あるいは時と場合によっては、協定ということでやってきているわけであって、そういう点は十分に与党の諸君としても考えてもらいたいと思うわけです。それから種別改訂の問題は橋本さんも三年間ずっと一緒に委員会をやってきたので、よくこの委員会の論議を御承知だろうと思うのですが、これは全逓がどうだとか、郵政省がどうだとかいうことで、われわれは論議をしてきたわけではない。特定郵便局ですでに五十人、六十人と大局になった場合は当然普通局に昇格していくべきではないか、これは国会としての調査権の発動によって、問題については質問をする、こういうことでこの問題については大臣としても、今まで三年間この委員会を通じて論争してきたわけで、そういう意味におけるこの種別改訂の論争をわれわれはするわけであって、何も労使そのものについてということでなく、われわれは委員会としての論議から特定郵便局と普通郵便局と比べた場合に、現在の特定郵便局を一応認めるとしても、ある一定の水準に達したものは普通局に昇格すべきである。これを政治的に三年間やめておったのはけしからぬ、こういうことでここ二年間論議してきたわけでありますので、これはそういう組合関係とは別個に、委員会としても当然取り上げて論議すべき問題であると考えているわけですから、この点誤解のないように御了承願いたい。
  74. 田中角榮

    田中国務大臣 お二人とも正しい意見で、私よく了解いたしております。国会のいわゆる行政的な行き方というものに対して森本さんの御質問でありますから、そういう意味で答えますと、私の方でも非常に簡単なんですが、いずれにしてもそうじゃなく、実際のことをぶちまけて御了解を得たわけです。そうして苦労している実態を認識していただこうということで申し上げたのですが、そういうことになっているのであります。あとの五十局の問題は、特定局制度答申が出るまではあなたが押えたっていいじゃないかということでやったのですが、特定局制度答申が出ましたから、そうすると地方の郵政局長はまあいいだろう、こういう気持できっと出してきたのでしょう。私もその間において出すなとは一切言っておらぬのですが、地方郵政局長が二十八件送ってきた、こういうことなんです。ところがまず問題が起きてくるのは今までのような状態でもって種別改訂をするのか、いわゆる種別改訂をしなければならないというものに対しては相当答申案で明確な基準が出ておりまして、こういうふうなものは種別改訂をした方がよろしいというふうに出ておりますので、そういう問題に対して答申をすっかり解明をして、基準を作り、できれば省令を作るような状態になってからやるべきか、もしくは紛争を起しちゃいかぬという実際論から考えて、幾らかでもやれるのかという問題は、事務当局で慎重に検討しろ、こういうことになっておったのです。事務当局としては新しく答申が出たのでありますし、すべての特定局制度に関する問題は答申待ちにしようということで、もうすでに内命をした者さえも現在任命を行なっておらない、こういうふうな状態がありますので、こういう問題もみなひっくるめて何らか早く結論を出そう、こういう状態になっておることを一つ御了解になっていただきたい。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 今橋本委員が第八条論を出してきたのですが、法的にはそれが正しいというような解釈になりそうだから言っておくのですが、私は組合員、いわゆる職員の身分上、待遇上のことに関係が及んでくることに関しては、当然組合としては、管理運営というものは一体どこまでこまかくきめてあるか知れませんが、そこが常識なんです。管理運営という言葉だけに当てはめて、特定郵便局を昇格させる云々ということは、組合の参加する団体交渉の対象外だ、こんな暴論はありません。そんなばかなことはありません。いやしくも特定局が普通局になるならないということは、そこに働く人々に重大な身分上、待遇上の影響があるのです。これが主たる対象となって組合が組成されている。このことをしない組合なら、ない方がいい。この八条をそのまま適合して対象外にすべきだというあなたの認識は、今の大臣中で最も新しい感覚を持っている大臣としては、答弁が少し逸脱したと思うのです。訂正していただきたい。
  76. 田中角榮

    田中国務大臣 これは重要な問題でありまして、これは相手があっての話ですから、常識論を私は申し上げておるのです。法律には二つあるのです。郵政大臣が干渉してならないもの、組合活動に対しては手を出しちゃいかぬ、こういう問題と、組合は管理運営事項に対しては手を出しちゃいかぬ、これは平仄が合った二つの法則なんです。今あなたが言っておる、実際問題としてはこうしてやっておるから、いろいろな問題はあるが、法律的にはこれが重大な職務上の問題、給与上の問題と関連をすべき問題だから、当然団体交渉の対象になるであろう、こういう考えは、これは逆にひっくり返していいますと、今度は組合の行き方その他に対しては、運営上郵政事業と重大な関係があるのだから、おれもやっていいのだという考えにはならないのです。そういう意味で私は、管理運営事項は正式な団体交渉の議題にはならないのだ、こういうふうに法律的には明確な考え方をしておくことが正しいと思うのです。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは僕の意見と反対なんです。管理運営事項に関する限りは、一切団体交渉の対象にしないという解釈を前提にしてこの問題をやっていこうとすると、今の職員の身分上あるいは待遇上の大きな重大な問題がこれと一緒に行われるのだから、この問題を組合が当然団体交渉の対象にしていこうという考え方は、これはもう組合の側としては当然の話なんです。当然のことだ。それでなければ組合なんというものはなくていいのです。身分上や待遇上の問題を当局が、これは管理運営の問題だから上げる下げるを勝手にやるのだ、それに対しては組合発言できない。それでは組合は何のためにあるのですか。大臣だって組合のことはわかるのですから、一体労働組合は何のためにあるのか、それを一つ……。
  78. 田中角榮

    田中国務大臣 これは退職年金法を作った方がいいとか、月給を上げろとか、あるいは定期昇給をやれとか、年末手当をよこせとか、一ぱいありますけれども、そういう問題は政治闘争ではなく経済闘争ということになるのです。種別改訂の問題になるとこれは確かに管理運営事項で、私たちはこれが全くの団体交渉の問題であるというふうには考えておりません。これはそういうことまで考えますと全くかきねがなくなってしまうのです。どこまでも何でもやれるのだという考えになるのであって、これは私といたしましては法理論として管理運営事項も団体交渉の範疇に入るというふうな意見にはなりません。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣の言うこと、当局の立場はわかるのです。だから管理運営事項全体を団体交渉の対象にすべきだということを言っておるのではない。管理運営といういろいろな大きな範疇の中には、今言ったような身分上、待遇上重大な関与するものがある。そういうものに関しては、組合は当局と団体交渉する権利を有する、そういうことを言っておるのですよ。管理運営全体を言っておるのではない。管理運営の中に重大な身分上、待遇上の影響があるものに関しては、組合は当然これに対して団体交渉を行う、そういうことを言っておるわけです。
  80. 田中角榮

    田中国務大臣 これは月給が上らなければ特定局には行かないとか、配置転換に応じないとか、あそこの局は遠過ぎるとか、こういう問題に対して、いわゆる経済問題からこういうふうなものを支給しなければだめだとかいう問題は、経済問題ですから団体交渉しても一向差しつかえないが、種別改訂をしてはならぬとか、これこれ百二十何局は絶対やらなければならぬということは、法理論上団体交渉として絶対有効である、法律上この交渉に対しては大臣は拘束される、こうは絶対に考えない。これは判例を求めてもそういう判例は出ないことを私は確信しております。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 百二十何局の種別改訂をしてはいけないということが、団体交渉の対象になるかならないかを僕は言っておるのではない。そういうことを論じておるのではない。そのことは前からやって、よい慣行として今日までやってきておる。慣行は重要なものです。一切の法律の場合でも慣行は重要なものです。これはやっておりますから、そのことを今対象に論じておるのではない。ただここでたまたま橋本さんが、問題をそこまで全部ひっくるめて機構、管理運営の問題からいって、大臣の寛大な措置によってこの話し合いが進められているということで、大臣法律上本来いれるべきでないと言ったから、そうなってくると問題は重大だ。そうではなくて慣行でやってきておりますから、そのことに関しては、身分、待遇上の重要な関連を生ずる問題に関しては、組合側とすれば団体交渉のいかなる問題といえども対象にしていくのだという立場をここではっきりしておかないと、そういうこともひっくるめて第八条で全部管理運営の範疇ということでやられたのでは、こういう国会の大事な場所でそういうことをきめられることは全労働組合にとって重大な問題だから、そのことははっきりわれわれの側からいって立場を鮮明にしておく必要があるから、大臣にはこのことを理解させようという意味で私は言っておるわけです。
  82. 田中角榮

    田中国務大臣 法律的にいいますと、管理運営の事項は団体交渉の範疇ではないということだけは明確に申し上げます。しかし労使のよき慣行は助長しなければならぬという考え方からいって、私は今現実問題としてはこれが解決に乗り出しているわけであります。乗り出している姿というものが、私が寛大にやっているものだということが語弊があれば、私が良識があるから良識に基いて解決するように努力をしておるのだということであって、組合運動に対しては、私も正常な組合運動の助長発展には自分みずからそういうことをこいねがっておるのです。そういう姿がなければ日本は生きていかれぬのだという思想を根底に持っておりますから、私は何も言わないで話をしておりますが、これは法律に基く団体交渉だというふうに考えることは行き過ぎであります。これはあくまでも良識による話し合いだ。会見というか陳情というか、お互い話し合いだということをお互いが了解しないで、ここまでは絶対いかぬのだと私たちもそういうふうに門を狭めておるわけではない。しかし狭めておらぬからといって、あれもこれもみな団体交渉の範疇にあって法律的効果が生まれるのだという考え方も行き過ぎでありますので、そういうことのないようにお互いにいい結論を得るという以外にはないと思います。
  83. 森本靖

    森本委員 関連して。その点で先ほどの発言で誤解があると困りますので、私もこの点については明確にこの際しておきたいと思いますが、要するにこの問題については、今までは管理運営事項というものは法律においては団体交渉外である、ただし特定局の待遇改善あるいは特定局の制度撤廃、あるいは種別改訂というような問題についてはこれは従業員の待遇改善に非常に大きな影響があるので、これは明らかに団体交渉の範囲である、こういうことの考え方によって組合側郵政省とはずっと折衝してきておる。さらにこの組合側考え方については社会党としてはこれを全面的に容認をするものである、特定局の問題については。そういう考え方できておったけれども、現実には郵政省としてはこれは団体交渉の範囲外である。そうしてよき労働慣行としてわれわれの方はやるのだ、こういうところの意見の対立によってきておる。しかし意見が対立しておっても、実際に交渉していかなければ何にもならぬので、今日まであなたの方はよき労働慣行としてやってきた。組合の方としては、明らかにこれは団体交渉であるという考え方においてやってきた。そういう主張の相違点が明確にあるということをこの際明確にしておきたい。そうしないと、ここで何かそれが管理運営事項であるということを承認をしたというような形にとられると、非常にこれは誤解がありますので、そういう対立のままで現在も行われておりますし、また将来もそういうことでいくだろう、こういうことであります。
  84. 田中角榮

    田中国務大臣 私も明確に答えておきますが、あなたの言われる通り状態で現在に到達をいたしております。これは現実として認めます。しかし、特定局制度の中で働いておられる職員が俸給を増さなければいかぬ、特別手当を出さなければいかぬ、こういう制度を作らなければいかぬということは言えますが、特定局の撤廃、種別改訂、こういうことが管理運営事項ではないという考えは、これはまあ法律というものは解釈のしようはありますが、こんな法律は非常に明確でありますから、しかも官が今郵政事業に必要だからといって、労働組合に干渉なんか絶対にしていないのですから、そういうことから考えましても、いずれにしてもやはり法律はすなおに平たく解釈すべきだという考えから、私たちの方もよき労働慣行としてやっておるのですから、森本さんも過去も現在も将来も種別改訂も一切含めて団体交渉の範疇にあるのだということを強弁せられないで、とにかくよき労働慣行を助長するようにと、こういうことに一つ考え願っておきたいということを申し上げておきます。
  85. 井手以誠

    井手委員 関連して大臣にお尋ねしますが、ただいまの問題は非常に重大だと考えております。過去長い間、特定局の待遇改善のために種別改訂が断行された、その実績は積み重ねられておるわけです。そこで私は、その法律解釈のことは私もずいぶん意見を持っておりますけれども、それは別にいたしましても、あなたは先刻来官紀粛正を非常に強調された。官紀粛正の根本をなすものは何かと言えば、私は約束を守ることだと考えておるのであります。約束を守らぬでおって、何が官紀粛正だと私は言いたい。この約束というものは、あなたはそういう文書の交換はなかったとおっしゃっておりますけれども、確かにあっておるのです。郵政省の課長が作ったものです。それを郵務局長がこれをさらに書きかえ、判を押し、さらに人事部長が修正をして、そして文書を取りかわされておる事実を私は知っておる。これは郵政省職員でございますよ。あなたの大臣のときじゃございませんけれども、その前の大臣のときにちゃんとかわされておって、ここに写しを持っております。しかし私はこれをもってあなたにかれこれ申そうとは考えておりません。しかし約束がなかったとか、そういう文書の交換がなかったとかいうことを申されたから私は申し上げておるのです。今まで組合側はまたわれわれも大臣と何回となくこの問題については交渉をいたしております。それを考えると、そういう約束はなかったとか、文書の交換はなかったとここで開き直っておっしゃるようなことは、私はそういうことは言えないと思うのです。大臣はこの際そういう約束はなかったなどというその言葉一つ取り消してもらいたい。長い間ここで論議された問題ですよ。私だけではございません。多くの人々が大臣にいろいろと質問をされたし、答弁もされている。何か約束されたことをああでなかった、こうでなかった、あとになってから別なことをおっしゃる、そういうことが私は一番いけないと思う。
  86. 田中角榮

    田中国務大臣 これは井手さんにお願いいたしますが、速記録を読んでいただくとわかるのですが、私はそういう交換文書はなかったということをこの席から申しておりません。その間の事情を申し述べるときに、いわゆる組合側は七月の十日に、大臣になった直後の私に対して、こういう文書があるのだが一体どうして大臣はやらぬのだということであり、官側はその文書はこういういきさつで出したものであるから無効であるという対立をした議論がありましたので、第三者的な立場から私は、そういうものがあるなしにかかわらず、これはよき労働慣行として何とかして片づけなければいかぬ、私は円満な話し合いをやろう、私もその線に沿って円満に交渉に応ずる、こういうことを申し上げた。私はそういう経過をお話したのであって、そういうことがなかったということを認定しているわけではございませんから、誤解のないように一つ……。
  87. 井手以誠

    井手委員 今日組合と当局にいろいろと紛議が起きている問題、あなたは先刻組合要求する特定局の制度の問題、これについては直ちに回答ができないとおっしゃっておりましたけれども、約束があっている。この文書によりますると、昨年の六月を目途として種別改訂を行う、普通局に昇格させるという約束ができている。この約束というものは昨年の三月二十七日でございます。もう一年近くになっている。六月を目途として種別改訂を行おう。その種別改訂を行うということは、法律的にいろいろな問題があるかもしれませんけれども、これはよき労働慣行でございますから、そういう交渉が今日まで積み重ねられているわけであります。そうなれば六月を目途としたものが今日まで延びている、約束の期限に一年近くなっている。これはあなたは総評の一環としてやむにやまれぬという立場事情をおっしゃったけれども、そうでないと思う。一年にもなるのになお約束ができないから、なおやむにやまれず多数の人が紳士的に相談をしよう、お話し合いをしようと今あなたの方に向っているわけです。待機しているわけです。だからこの急ぐ問題をどうして解決なさらないのか。やはり約束というものは一番守らなくては、幾ら官紀粛正とかいろいろなことを言ったってだめですよ。約束を守ってください。
  88. 田中角榮

    田中国務大臣 私はもう約束を守るということに対しては非常に峻厳にものを考えております。約束は守らるべきであり、守らないような約束をしてはならないということさえ考えております。だから私は約束を破るというような考えではないのです。それは文書は、去年の六月三十日までにいわゆる種別改訂を行えるようにというような文書でございますが、組合とその後に起きた新しい事態で何回か交渉を続けてきたのです。そういう意味特定局制度調査会という問題がありました。その前に私が十局ばかり局長の任命をやったのです。ところがそれは政治任命ではないか、こういう意見が出てきたのです。ああ政治任命でない、かくかくの理由によってやったのだということを言いましたときに、今特定局制度調査会でもって特定局議論を遂げようというときに、あなた、何もやる必要はないじゃないか、こういうような組合側の意見に対して、私は任命はやるな、種別改訂はやれと、こういう考えではいかぬので、種別改訂の問題も五十局もやったら、ある程度特定局制度調査会結論が出るまで待つという明確なことではないですが、いずれにしてもお互いの良識で特定局制度調査会答申が出るまでは一つ円満にものを進めていこうじゃないかということで今日まで来ているのです。新しい事態が出てきているのです。とにかく今度答申が出ましたから、今度はさあやれ、またやれるという問題になっていますが、答申案はお互いに尊重しようということで待ってきたもので、答申案に対する明確な解釈さえも現在できておりませんから、だから新しい基準を作っていわゆる特定局制度調査会答申に沿った線でもってお互いのものを片づけようか、前のもので、もうしかしそれは出たけれども今までの通りでやろうとかという問題の調整を今するところなんです。だから百二十三局のうち現在やったのが五十局、現在本省に上げられてきているのが二十八局であります。あと五十局程度は出てきておらぬわけです。そういう状態になっておりますし、しかもその中には定員二十名くらいの局もあるのです。だから三十五名にしようか、三十名にしようか、三十五名にしようかという中で、十九名というようなものもあったようです。そういうものでも、事情が許せば一応やろうじゃないか、それをやれたからといって、前提条件になり、将来種別改訂の基準は十九名からだというようなことを組合側も言うものじゃないから、やろうじゃないかという円満な考えでもって五十局出たので、二十八局やるかどうかという問題に対しては、今第二段の段階に入っているのです。事務当局としては、新しい答申が出たのだから新しい基準を作って、やはり一挙に任命も何もやらなければならぬ、その筋を通さなければならぬという議論もありますし、私としてはそういう問題も加味しながら、お互いに最も円満にやれる状態におきまして早く片づけようという状態でありまして、私はこれを引っぱっておるとか、約束を破って守らぬという考えは全然ありません。
  89. 井手以誠

    井手委員 新しい事態とおっしゃいますけれども、私は新しい事態とは一向さばけないから早くやってくれというのが新しい事態だと思っているのです。この官側組合の申し合せと申しますか、交換文書と申しますか、その中には、将来の構想については調査会答申を待たねばならぬ、しかしこの範囲のものは、百二十何同程度のものは、どんな場合だって大丈夫だ、それだけはやりましょう、こういう申し合せなんです。その分だけはやはりやらなくちゃならぬ。将来どこまで下げるか、十九名にするか、あるいは十五名にするかということは、あなたの方の議論です。私の方はまた私の方の意見を持っておりますけれども、本省側答申案のことも尊重なさるでありましょう。しかし約束されたものは、調査会答申と反しておりません。従って約束されたものはすみやかに解決なさることが、本省の側のあなたの任務じゃないかと思う。あなたは直接には交渉の任に当ってはおられなかったかもしれませんけれども、あなたの前の大臣、局長は承知しておるわけですから、そこで私は最後にお尋ねいたしますが、もう一年近くなります。三月二十七日にそういう約束ができ、判も押されておる。そういうものに対してはもう一年以内には片づけなくては、あなたがおっしゃったすみやかに解決しろという趣旨に沿えないと思います。少くとも今月一ぱいには解決するという御意思がございますか。
  90. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のように、まだ本省には二十八局しか上ってきておらぬそうでありますし、私のところにはまだ来ておりません。私のところに来たものを抑えたり、これを修正を求めたりする考えは全然ございません。だから自動的にこの問題はスムーズに解決しようという考えでありますから、今月一ばいに片づくかどうか明確にはできませんが、事務当局調査段階は一体どうなっておる、こういう問題に対しては早く結論を出せということで事務当局を督励しまして、できるだけ早く結論を出したいということを申し上げておきます。
  91. 井手以誠

    井手委員 これで終りにいたしますが、今までのいきさつから言えば、その百二十何局を昇格させる問題については、これを抑えたり、排除したり、いろいろないきさつがあったことを承知いたしております。しかし大臣は、全部とは言わないけれども、何らか近く解決したいというお言葉でございます。私は一局も残らぬようにとは申し上げません。事務当局にいろいろな事情がありましょうから、申し上げませんけれども、この三月一ぱいには大体片づける、約束を履行するという目途でお進みになるかどうか、もう一ぺんその点を確かめておきたい。
  92. 田中角榮

    田中国務大臣 二十八局の中では二、三月前に出てきたものもあるそうでありますから、まあそういうものは直ちに結論を出すかどうかということは問題がありますが、三月一ぱいならばまだ二十五日もあるのですから、この間に二十七局片づけられないということは、どこを押しても出てこない話でありますので、私もこういうものはなるべく紛争を起さないように、また解決すべきものは早く片づけようという考えでおります。しかも申し合せ、よき慣行は守ろうという前提で申し上げておりますので、私の発言一つ御信用を願いたいと思います。
  93. 井手以誠

    井手委員 それでは大臣発言を信用いたします。大体地方の郵政局では調査を済ませて上申されておるはずでございますから、その点を含んですみやかに約束をお守り下さるように、特に私から要望いたしておきます。
  94. 片島港

    片島委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零博四十五分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  95. 片島港

    片島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電気通信に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますのでこれを許します。松井政吉君。
  96. 松井政吉

    ○松井委員 政府側どなたかおいでになっておりますか。
  97. 片島港

    片島委員長 電気通信監理官がおいでになっております。
  98. 松井政吉

    ○松井委員 大臣は。
  99. 片島港

    片島委員長 参議院の予算委員会の方に行っておられますが、政務次官がもうじき見えられます。
  100. 松井政吉

    ○松井委員 電電公社関係で一番先にお伺いしたいのでありますが、最近工作工場の統合問題をいろいろな資料その他で私たちも拝見さしていただいておりますし、第二次五カ年計画の説明の際も、ちょっと耳にしたような気もいたしますが、工作工場に関する電電公社の考え方の基本となるべきものを最初にお伺いしたい。
  101. 靱勉

    ○靱説明員 工作工場につきましては、当委員会におきまして御質問がありまして、総裁からもお答え申し上げてあると思います。考え方としましては、総裁がたしか松前委員の御質問に対してお答えした考え方に立っておるわけであります。戦争中におきましてはなかなか機材も得られなかった。戦後におきましてもなかなかいろいろな制肘を受けまして、通信機の補充が十分でないということから、できるだけ既存の機器を修理いたしまして、その必要に応ずるというような態勢で、工作工場というものが、非常に重要なものとして電気通信省当時からあった次第でございます。ここ五年間、大体公社になりましてからも、その態勢でやって参ったのであります。これは最近の通信機器の技術の進歩と申しますか、あるいは製造関係の整備等から見まして、現在工作工場の運営におきましても、だんだん修理の対象のものの数が少くなる、こういうような態勢と、新しい機器の採用によりまして、旧機器を採用しない、要するに寿命がある程度きましたらそのまま廃止するというような実態も生じて参りましたし、また修理の態様につきましても変更を生じて参ったわけでございます。ただ工作工場におきましては、相当の職員が現在もこの業務に従事いたしおりますので、その間いろいろと工作工場の将来の方針というものに対しまして問題もあったわけであります。公社におきましても、ここ一年間いろいろと検討いたしまして、過般資料の御要求がございましたので、多分お手元に届いておることと存じますが、工作工場についてという資料をごらんに入れております。その中の工作工場の運営改革の必要性というものに書いてあるわけでございますが、今御質問の趣旨は、基本的な考えはどうかということでございましたが、私ども工作工場を全廃しようという意思はございません。公社が電信電話事業を運営していく上におきましていろいろな機器を使用いたしておりますが、そのうちで修繕を自営でやるのを適当と認めるものにつきましては、ただいま申したような最近の情勢の変化にも対応いたしまして、今後五カ年計画も立てておりますので、それに対応した工作工場の整備をはかりたい、こういうような趣旨でございまして、工作工場を廃止するという考えはないのであります。しかしながら工作工場において修理するところの品目あるいは修理の方式、工作工場の内部のいろいろ設備の整備と申しますか、そういうものを考えまして、若干の統合はございます。資料に御説明してある通りでございますが、そういう考えには立っておりますが、やはり公社みずから修理を必要とし適当と思われる機材につきましては工作工場を利用していきたい。ただ電電公社といたしまして、修理業務と申しますか、こういうものを今後工場形態で発展さしていくか、あるいは工場以外にまた現場の機関その他に分散して発展させていくか、私ども将来の態勢といたしましては、現在工作工場の管理を資材部門においてやっておりますが、将来は保全部門でやるのが適当ではなかろうかというような考え方で、工作工場というものを離れて公社の修理業務全体を見ますと、これは私ども当然将来におきましても、設備の拡大に伴いまして修理業務は第二次五カ年計画の期間はもちろん、その後においても数量は減るものでないというふうに考えております。そういうような次第で、ただいまの御質問にはっきりお答えいたしておりますかどうかわかりませんが、工作工場に対する基本的な考え方としましては、一言に申せば修理品目を整備し修理の方式の変化に対応した整備を行いますが、これを廃止するという考えはない。なお修理業務全体としては将来におきましてもこれがなくなってくることはない、こういうふうに考えておる次第であります。
  102. 松井政吉

    ○松井委員 基本的な考え方が廃止する考えはない、それから修理、それから一番最初に工作工場ができたときの意義を少しお述べになったと思いますが、それが整備統合ないしは縮小しなければならなくなったということですが、現状はそうなったということについてどういう考え方とどういう歴史的な過程を経て整備統合、縮小しなければならなくなったか、ここの考え方が一番ポイントになると思いますが、その経過について一つお述べを願いたいと思います。
  103. 靱勉

    ○靱説明員 ただいま申し上げましたように修理品目対象でございますが、在来主としましてやはり電話機、電話交換機その他電信機械あるいは搬送の機械等でございましたが、製造技術と申しますか、技術の進歩によりまして、在来のような修理を必要としないというような性格のものもあるわけでございます。その点なお資材局長から詳しく御説明申し上げますが、また対象といたしましても、たとえばデルビルの電話機というものは今後使っていかない、こういうものを修理してもしようがないということで、その品目を廃止する、こういうような二つの面があるわけであります。そこで設備が非常に拡大して参りますから修理の件数と申しますか、そういうものはこれまた滅ってくると思っております。しかし方法が非常に簡単になってきますと、結局それに当る人というものはある程度減らざるを得ない。それから過去にやっておったもので、廃止するとなればそれだけ数量は減る、こういう関係になりますが、私ども将来の態勢としまして今の件数から見ればそう減るものではないと思っておりますが、やはり作業能率と申しますか、作業の内容が違って参りますので、必ずしも多くの人は要らぬということで、お手元へ差し上げました資料におきましてもだんだんと、この五カ年計画においてでございますが、年百名程度の減少は考えられるということを述べてある次第でございます。そういうような範囲におきまして、一方におきましては工作工場も、ことに戦争中あるいは戦後既設の建物等も非常に脆弱なものを用いている、要するに職員の作業環境から見ましても好ましくないというような設備もありますので、地理的条件やいろいろなことを考えまして、一カ所に集めて工場としてその条件を整えたものにしていきたい。現在全国に十五あるわけでございますが、この十五の数は、今後の五カ年間の計画から見まして、十五カ所に分散するよりある程度統合した方がよかろうというような考えに立っておるわけであります。今申し上げましたように、要するに品目の変更、作業方法等が変ってくるので、形としましては十五を十ぐらいにいたしますれば縮小ということになるかもしれませんが、基本的考えは要するに変化に対応しまして、この限度におきまして修理業務というものを工場としてやっていく、こういう計画を立てつつある次第でございます。
  104. 松井政吉

    ○松井委員 それではもう一つ明確に答えていただきたいのですが、そうすると技術の進歩に伴って修理部門の仕事がだんだん滅ってきたということですが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  105. 靱勉

    ○靱説明員 先ほど申しましたように、件数としては、たとえば電話機にしましても非常に数がふえて参りますので、件数においてはそう減少するというふうには考えていないのでございます。ただ古いものの品目はこれを落す。それだけのものは明らかになくなります。たとえば先ほど例に引いた電話機の問題もありますし、また古い搬送の機械等を修理する必要がなくなる。品目的には整理されて参ります。電話機を例にとりましても、最近の電話機の寿命は非常に長くなってきた、こういうことになりますと、今までのような割合におきまして修理の対象になる電話機の数がそうはふえてこない、こういう考え方であります。
  106. 松井政吉

    ○松井委員 そこは一番重大だと思いますが、要するに技術は進歩するけれども仕事の量は滅らない、しかしながらやはり工作工場は整備統合、減少さしていく、こういうことなんですね。そこのところが合わないのですね。工作工場の設立意義からずっとくれば、技術が進歩すれば技術に伴ってやはり工作工場で修理する機械もすべてが進歩していかなければならないのですね。すべてが進歩していけば量がふえるのですから、整理統合ではなくて、もっと科学的な進歩がされた工作工場が拡張していかなければならない、こういう考え方にならざるを得ないのですが、それはあべこべなんですね。その辺のところは一体どういう考え方ですか。
  107. 靱勉

    ○靱説明員 資材局長から御説明申し上げますが、簡単に申しましてたとえば電話機にしましても、今までのような修理の方法でなくて済むという形になって参りましたので、電話機数の件数としては多くなりますが、今までにかけたような作業量というものは必ずしも増大していかない、こういうことを申し上げたのでございまして、それを具体的に御説明いたします。
  108. 和気幸太郎

    ○和気説明員 私から補足して御説明申し上げたいと思いますが、工作工場の仕事の量の問題でございます。これは二通りに分けて御説明した方がよろしいかと思うのでありますが、在来工作工場で扱っておった品物と、それから今後予想される物品と二つに分けて御説明したいと思うのであります。従来扱っておりました品物の大宗を占めますものは、主として電話機とそれから交換機でございます。ところがこの電話機と申しましてもいろいろ種類がございまして、特にその中で問題になって参りましたのは、デルビルと申しまして非常に旧型の電話機でございます。これは加入者の評判も非常に悪うございまして、また私どもの方で保守する場合も非常に手間がかかります。そうして工場で修繕いたしましても、これがまたすぐ故障になって工場に戻ってくるということで、いろいろな角度から見まして非常にこれはまずい機種になって参りました。たまたま一方におきまして、それにかわりますところの三号Mと申しまして、新しい磁石式の電話機がもうすでに出ております。そういうものが出回っておりますときに、評判の悪いデルビルをいつまでも使っておるということは、公社の対加入者サービスとしてもまずいということから申しまして、このデルビルの電話機につきましては、使えるだけとにかく使って、工場に持ち込まなければならなくなったらそれを持ち込まないで廃棄してしまう、そのかわり新しい三号Mの電話機をつけるということにいたした次第でございます。それからもう一つ、在来機種の中で交換機でございますが、この交換機につきましては主として磁石式の交換機でございますが、これは電話局とかそういうところにつけたままで修理をする——これは少し専門的なことでございますが、私どもの方では事業品修理と申しておりますが、そういうものは今までは一々現場からはずしてきて工場に持ち込んで、工場でオーバー・ホールしてまた現場に戻すという、非常に手の込んだやり方をしておったのでありますが、そういうものは建前から申しまして、現場で動かしながらこれを修理するというふうに持っていくべきであろうというふうなことになったのでございます。さらにまた貯蔵品修理につきましては従来撤去されたものを何でもかんでも工場に持ち込みまして、これをオーバー・ホールして修繕したというために、非常に修繕原価のかさむものが出て参りました。中には新品価格よりもよけい原価がかかるというものが出て参ったのでございます。こういうものにつきましてはこれからは技術的に認定をいたしまして、果して修理原価が妥当な原価で済むかどうかというところを検討いたしまして、その上で修理をする、そういうふうなやり方で在来やって参りましたものをすっかり洗い直しまして、そうして品目を整理したのでございます。  なお新しい機械の問題でございますが、この点につきましては、現在新しい機種としまして私どもが考えておりますのは、マイクロウエーブの機械とかあるいは小型の搬送の機械、こういうものでございます。こういうものは量としましては現在のところは非常に少いのでございますが、これは技術的な点からいいまして、公社の工作工場で修理することができないのであります。その理由としましては部品がすべて密封型になっておりまして、これを簡単にばらすことができないというようなことと、さらにその中身の部品というものが、メーカーによりまして非常に任意の系列を持っておりまして、あらゆる種類の部品がその中に入っておる、これを、工場で扱うということになりますと、あらゆる部品を常時用意しておかなければならないというふうなまずい点も出て参りますので、これはただいまのところは、それを作ったメーカーに戻して修理をさしておるという段階でございます。なお将来の新しい技術による製品の種類をどうするかという問題でございますが、この点につきましては新しい製品として将来どういうものが出てくるかということはちょっと今のところでははっきりつかむことができませんので、そういう場合には出て参りましたものにつきまして個々に検討いたしまして、工作工場で自営修理をした方がいいというものは自営修理をしていくというふうに考えておる次第であります。
  109. 松井政吉

    ○松井委員 るる説明をされましたけれども、こういうことじゃないのですか。要するに工作工場そのものに対する根本的な考え方は、廃止する意思はないし、これはやはり修繕等に利用していくのだ、技術の進歩に伴った、工作工場に整備統合していくのだ、こういう靱さんの説明ですが、大体これはこの段階で答弁なさる理屈であって、今まで工作工場に対する考え方が、こうなってもいいのだという考え方で貫いておったのじゃないのですか。従って工作工場が必要だった当時においてはそれを利用する、しかし科学技術が進歩したり、さらにまたメーカー等の関係で逐次縮小したり、従来工作工場でやっておったところの修理、それからその他これはメーカーへ渡していいのだという、こういう考え方があったために、技術の進歩に伴った工作工場の機械設備も新しい角度から進歩を追っかけてやらなかった、従ってやはり新しい機器等が出た場合にはすでに工作工場では間に合わない、工作工場の設備も古くなっておる、それならいっそやめてメーカーに出せるものは全部出した方がいい、こういう考え方にならざるを得なくなった、こういう経過をたどっているのではないのですか。そこのところは率直に言ってもらいたいのです、ごまかしでなしに。そういう考え方で貫いてきたから、今いろいろおっしゃるけれども、やはり工作工場というものは整備統合、縮小せざるを得なくなった、こういうのがほんとうじゃないのですか。
  110. 和気幸太郎

    ○和気説明員 先ほどの私のお答えが少し足らなかったと思うのでありますが、技術の進歩ということにつきまして、少し具体的にお話し申し上げようと思うのであります。たとえば電話機につきまして申しますと、御承知の四号電話機、これは今のところ一番新しい電話機でございますが、この四号電話機の構成を見ますと、昔のように振動板とか炭素粒を一々取りかえるというふうにはなっていないのでありまして、送話機なら送話機そのものを取りかえる、受話機なら受話機そのものを取りかえる、そういう一つのユニットを取りかえていくという方式になって参っておるのであります。従いまして、この工場における修理のやり方というものも、だんだん工数的には少いものとなって参ってきておるのであります。それから新しいものをメーカーに出すということでございますが、これは先ほどちょっと触れましたように、ただいまのところ、そういうものを出しておりますのはマイクロと小型の搬送、その二種類でございます。これは金額的に申しますと、年間に工作工場全体で大体十六億の仕事をしておるのでございますが、その中の約五百万円程度しかならないのでございます。一%以下の量しか占めてないというふうなことでございまして、全体から見ますとこれは大した問題ではないというふうに考えている次第でございます。
  111. 松井政吉

    ○松井委員 僕もこまかい機械の種類、それから精密度はよくわかりませんけれども、常識的に考えて、要するに工作工場を作った当時は、必要欠くべからざるものだったのでしょう、工作工場そのものは。そうじゃないのですか、そこから出発したわけなんでしょう。従ってそのときの機械の状態のまま工作工場をほったらかしておけば、今のような技術の発達してきた世の中では、だんだん間に合わなくなる部分ができてくるのは当りまえの話なんですよ。だからやはり工作工場が絶対必要なんだ。そうして、そこで公社自体の修理、それから公社自体の従業員の技術訓練、それを一貫してやるのだという考え方が貫かれておるならば、技術の進歩とともに工作工場にも新しい機械設備に関する投資が行われてこそ、公社の運営と修理の操作に役に立つ工作工場となるのであって、建築物にいたしましても機械設備にいたしましても、やはり誇るべき自営の工作工場たるべきはずなんです。そうじゃなくて、もう技術はどんどん進歩するのだし、とにかくだめになったらほうってしまえばいいのだ、そうしてやはり可能な範囲からメーカーに出せばいいのだ、こういう考え方できた結果、縮小、整備統合をせざるを得なくなった、こういうことじゃないのですか。一体どっちなんですか、ここのところをはっきり一つ聞かして下さい。
  112. 和気幸太郎

    ○和気説明員 新しい機械の修理が工作工場でできないということの区原因としましては、ただいまお話のように工作工場に新しい機械設備をしなかったということが原因ではないのでございます。先ほども申しましたように、新しい機械そのものの構成が、工作工場で修理できないような構成になっておるということなのでございます。密封型になっておりまして、それが簡単にばらせないというふうなことでありますので、工作工場自体の機械設備の問題ではないというふうに御了解願いたいと思います。
  113. 松井政吉

    ○松井委員 そうすれば先ほど靱さんの言ったのと逆になりますね。工作工場の仕事の量もふえているし、それから必要のものであってやめることはしないというのと、あなたの方の、機械が進歩して、もう工作工場ではばらせないのだ、修理できないのだという考え方と、全然相反するような形になっておりますが、どっちがほんとうなんですか。
  114. 和気幸太郎

    ○和気説明員 先ほど副総裁の申し上げましたのは、たとえば四号電話機のごときもの、これは今後数はふえていくであろう、しかしながら修理のやり方が簡単に送話器なら送話器、あるいは受話器なら受話器、そういうものをそっくり取りかえるというふうな行き方になって参るというふうに説明をしたのであります。私の申しましたのはたとえばマイクロとか搬送のように、そういう新しい技術のものについての御説明をしたわけでございまして、決して食い違ってはいないと思うのでございます。
  115. 松井政吉

    ○松井委員 それではあらためて聞きますが、従来から工作工場でやっておりました一切の修理、それから扱ってきた機器、その品目、種類を全部ここで述べて下さい。
  116. 和気幸太郎

    ○和気説明員 お手元に行っておると思うのでございますが、資料の一番最初に表がございますが、この表の下から三行日あたりに、主要修理、品目というものがあります。これが現在扱っておりますおもな品目でございまして、大体終戦以来この程度のものを扱って参っておるのでございます。一番この中で大宗を占めますものは電話機と交換機でございます。あと搬送、無線、電信、計測器、これは量としましてもそう多くはないのであります。それから車両ということで、大宗はあくまでも電話機と交換機でございます。一番最後の欄に数量を書いてございますが、一年間に電話機としまして四十一万個、交換機としまして三千八百台という程度のものをやっておるのでございます。
  117. 松井政吉

    ○松井委員 それではこの品目に基いて、ここ五カ年聞のその修理の量の年別変遷を聞かせて下さい。そして現状はどうなっておるか、従って縮小しなければならない、こういう理屈をわかるように説明してくれませんか。この資料には交換機、電話機、搬送、無線、電信、計測器、これだけしか載っておらぬですな。
  118. 和気幸太郎

    ○和気説明員 今までやって参ったものはこれだけの品種でございまして、電話機、交換機、搬送、無線、電信、計測器、それから車両、これだけでございます。
  119. 松井政吉

    ○松井委員 その量の変遷を。どうして少くなって、どうして工場が要らなくなったのか。
  120. 和気幸太郎

    ○和気説明員 こういう修理品目が今一数景的になぜ減ったかというお尋ねでございますが、電話機につきましては、先ほど私が申し上げましたように、デルビルという古い型の電話機をこれから修理することはやめようというふうにしたために、電話機の数は、デルビルの電話機だけは減ってきたわけでございます。それから交換機につきましても、今までのように何でも工場に持ち込んで修理するということはやめまして、工場に持ち込んで比較的修理原価がそう高くかからないものだけを選んでやるというふうにいたしますので、この交換機の数も減ってくるのでございます。それから搬送とか無線につきましては、これはたとえば荻窪あたりでやっておりますものは、非常に古い時代の搬送で、部品なんかも大型の部品を、使っておるのでございまして、こういうものは装置としましてもすでに寿命が来ておるものでございます。こういうものはこれから工場に持ち込んで修理しないで、廃棄をしていくというふうにしたために、搬送とか無線とかいうものは減って参っておるのでございます。それから電信、計測器につきましても同様でございまして、終戦直後のもの、あるいはその前のものはもう悪くなっても工場で修理をしないというふうにいたしましたために、こういうものの仕事量が減ってきたのでございます。そういうことでございます。
  121. 森本靖

    森本委員 今の説明を聞いておると、技術が非常に進歩してきた、それに従ってのこの工作工場についての変化も出てきたというふうな、大体意味ですね。だからたとえば、一つ四国を例にとってみた場合、ここは特殊な機械の修理というものはほとんどやっておらぬ、これは電話機と交換機の修理工場である、そうしてこれを今回近畿の方に統合したい、こういうのがあなたの計画ですね、ここに出した資料では。そうすると、たとえばこの四国の工場を廃止をするという理由は一体何と何ですか。
  122. 和気幸太郎

    ○和気説明員 四国の工場の問題でございますが、四国の修理工場は御承知のように現在八幡浜にございます。通信局の所在地である松山からかなり離れております。それでこの四国の工場の仕事を大阪と中国に移したいという考えでございますが、その理由といたしましては、仕事の量が減るということがまず第一の理由でございます。それからその次の理由としましては、現在の八幡浜の工場の建物が非常に老朽しておりまして、早晩これを何とか建て直しをしなければならないというふうな点、それからいま一つは、工場の所在地と、通信局ないしはその配給局の所在地が離れておる。そのためにいろいろ実務上の不便が出てくるのであります。そういったような点を考えまして、これを八幡浜に新しい建物を建ててやるということよりも、むしろ大阪と中国の工場でその仕事を続ける方がいい、そういうふうに考えましてその案を作ったわけでございます。
  123. 森本靖

    森本委員 そうすると、その理由は工場が八幡浜にあって、配給局が松山にある、通信局が松山にある、それで非常に不便だ。それから現在の庁舎が非常に古い。そうしてこれを新しく建て直すということをやるよりかは中国と近畿に分けた方がいい、こういう理由が大半ですか。それともその修理が減ってきたのが大半ですか。その三つの理由で、どの理由が一番多いのですか、パーセンテージにしたら。
  124. 和気幸太郎

    ○和気説明員 理由のウェートといたしましては、仕事の量が一番大きなウェートを占める、さように考えます。
  125. 森本靖

    森本委員 そうすると、その。パーセンテージは大体どのくらいに考えておるわけですか。
  126. 和気幸太郎

    ○和気説明員 概数的に申しまして、約三割減になるのでございます。
  127. 森本靖

    森本委員 そうすると、三割減というのは、この昭和三十一年度の修理実績から昭和三十二年をやれば、その機数と台数が三割減になる、こういう見通しですか。
  128. 和気幸太郎

    ○和気説明員 私の方はその仕事の量を計算します場合には工数をもって計算しておりますので、必ずしも台数には比例はしないと思うのでありますが、工数的に見ましても約三割減、工場の所要工数から申しまして、三割くらい滅ってくるであろう、そういうことであります。
  129. 森本靖

    森本委員 だから私が聞いておるのは、所要工数というよりも、台数が現実に減るかどうかということを聞いておるわけですよ。まあそれはわかるものはわかりますけれども、そんなことを言ったところで、一般の人にはわかりっこない。だから実際には、その実績というものは交換機が何台で電話機が何台の修理を行なったという実績を見るよりほかはないのだから、これはわかりやすく説明をするならば、三十一年はここに数字が出ておるので、三十二年の数字というものはどのくらいの数字になる、こういう見込みになりますという答弁でなければ、一般にはわかりにくいですよ。専門語を使ってわかりにくい答弁をしようとしたところで、わからないものは何回も聞かざるを得ないですよ。——そういう問題は、これは数字的な問題について、もっとはっきり、すっと答えられるようにしておいてもらいたいと思いますが、ただ私が申し上げたいのは、その修理台数が若干減るにいたしましても、われわれがしろうとで考えた場合でも、今の四国管内における電話機の修理台数及び交換台数というものが、そう一ぺんに三十一年から三十二年に四割も五割も減るということは常識で考えられぬ。そんなことがすぐ減るとなったら今までの計画が悪い。そんなに急激に四割も一ぺんに減るなんということはとうていわれわれとしては考えられぬ、実績台数としては。だからたとえば、その他の工場の問題については、またほかの同僚委員が聞かれると思うが、私は関連質問として今のあなたの答弁から質問をしておるのでありますので、あまり長くやりませんけれども、たとえばこの四国工場の問題についても、実際のあなたの方の理由というものは、工場が八幡浜にある、それから通信局が松山にある、それではっきり言ってこの庁舎は改築をしなければならぬ。この庁舎を改築するとすれば、四千三百万円程度かかる、そんなことをするよりかは中国と大阪の方へ分けてそうしてやった方がましだと、こういう結論からこれを考えておるのじゃないか。もちろん人員の減員というものも若干あろうと思うけれども、それが私は最大の理由ではないかということを考えるわけですよ。けれどももしそういうようなことであるならば、私は特に四国出身の議員だから四国のことをいうわけではないけれども、実際にこの修理をする場合にも、四国のものを大阪に持っていって修理をするとか、あるいは中国へ持っていって修理をするというよりかは、実際に通信局の所在地である松山において修理をしてこれを各県に配分をするというのが、一番サービスが早くなるのではないですか。そういうことを考えた場合、これを頭から廃止をするという考え方について、われわれはどうも納得ができぬわけですよ。そういうものこそ若干の金をかけても、さらにこれが修理が便利になるように、これを私は拡充していっていいじゃないかというように考えるわけです。だからそういう点の数字というものをもっと明確にして、そうしてその数字の上に立っての討議を行いたいけれども、さらにわれわれは、そういうようなあなたたちが考えるような理由においてこれを廃止していくということよりか、いっそのこと通信局なんかはやめてしまって、近畿総通信局あるいは関西総通信局をこしらえて、そうして一切の通信局をやめて合理化すれば相当できるかもしれぬ、それと同じ理屈になる。この工作工場の廃止にしても、これは今までは工作工場というものについても、それらの地域の便利さというものを考えての設置基準というものがあったと思うのですよ。そういう点からいって非常に私は、特に四国の場合は電話機と交換機だけの修理であるというように限定をされておる面から見ると、あなたたちが考えておるところの、いわば電話機、交換機の修理についてのこの工作工場の廃止ということについては、どうしても私は納得がいきません。またあとで私の質問の時間に質問をするといたしまして、今関連質問でありますので、この程度で関連質問はやめておきます。
  130. 松井政吉

    ○松井委員 同僚議員の質問通告があるようでありますから、私も自分の聞きたい点はうんとありますが、こまかい部分的なことは、実はきょうは聞くつもりじゃなかった。ところが答弁で、どうしてもこまかく聞かざるを得なくなった。私は最初から靱さんに聞いておりましたように、根本的な考え方を聞きたいのです。要するに戦争中工作工場というのは、必要なるものの生産工場、それから自分のところの修理工場、それから保全、その必要から生まれたものなんですよ。これは間違いですか。まずここから聞きます。これはその考え方からできたことじゃないのですか。
  131. 靱勉

    ○靱説明員 戦争中及び戦争後におきまする状況におきまして、やはり通信事業を経営している経営体といたしまして、修繕業務を自営する必要が当時は非常に強く出ておった、こう申し上げます。
  132. 松井政吉

    ○松井委員 そこでだんだんはっきりしてきた。当時はという言葉を使ったが、今はどうですか。今は要らなくなったということですか。
  133. 靱勉

    ○靱説明員 これは先ほど私からお答えいたしましたように、将来にわたりましても——現在でも先ほど来御説明している通信機器のごく一部でございますが、修理いたしている。ケーブル関係は一切修理をいたしてないので、公社みずから自営する必要のある適当と思われるものについては、将来においも残るということであります。
  134. 松井政吉

    ○松井委員 基本的な考え方でいいのですが、当時はそのために必要であって生まれた。ところがだんだんメーカーの方の技術も進歩してきた、それから機械も新しく進歩してきた、その間何も新しい機械設備もせずにほったらかしておいた、廃止した方がいい場所ができてきた。だから今後必要なるものは残すが、要らないものはやめてしまう考え方に今なった、こういうことなんですか。
  135. 靱勉

    ○靱説明員 先ほど来御説明申し上げておりますように、ともかく機械自体が変ってきた。従いまして修理の方式も——修理業務というものは何でもこわれたらすぐほかへ出すなんということはできないのでありまして、むしろ非常に簡単な修理というものは現場でやるべきだ、そういう量がふえてきた。それから工場修理ということになると、かなり規模の大きな修理、非常に現在まだ数量は少いのでございますが、マイクロとか小型の搬送機等は方式が違ってきたから、これは新たにはやっていくまい、こういう考えなんです。過去のものにつきましては、旧式でもう直してもしようがない、要するに工場に持ってきて相当の大修理をするようなものはむしろ廃棄してもいいのじゃないか、新しいものを採用すべきだ、そういう量がだんだんふえて参っております。従ってそういうものが数量が減ってくる。しかし電話機の数だけ申しますれば、年に二十万個から三十万個ふえて参りますから、修理業務というものはふえて参りますが、しかし工場へ持ち込んでやるというものは限定されてきますし、またその作業の方法も、送話機をはずして取りかえる、こういうような作業にもなってくるというようなことでありますから、何も修理工場におきまして近代的な通信技術に対応する設備をしなかったから間に合わなくなって、もう民間の力にたよったらいいというので、これを縮小、統合しようという考え方ではないのでございます。
  136. 松井政吉

    ○松井委員 そこのところは全然見解が異になりますが、われわれはそう思っておらぬのです。悪口を言いたくないけれども、工作工場の人的配置から、従来の機械設備から、われわれもしろうとだけれども見学はさしていただいておるのですから、今副総裁が答えたようなものじゃないのですよ。投げやりにした部分はかなりありました。同時に投げやりにしておいたから、今そろばんでコストをはじけば発注した方が楽だというものがありましょうよ。そういうところに原因がないなんということはないので、こういうところに大きな原因があったということは、率直におっしゃった方がいいような気がするのです。これはもちろん私たち機械の中身はしろうとです。しろうとですけれども、そういうことがあるのですよ。そこのところははっきりして、今回の場合はこの程度やるのだし、今後の工場における仕事の量はこうなって、技術的にはこう発展していくので、こういう形で残すのだという考え方にならないと、なかなか話のやりとりがうまくいかないのです。そういうところを聞かしてもらわなければならぬ。
  137. 靱勉

    ○靱説明員 先ほどから御説明しておりますように、新しい機械の修理の方法というものは変って参りましたから、たとえばオーバー・ホールしたようなものにつきましてはこれを修理工場で修理するより、そのままその部分だけを取りかえるというような方法で、その内部の操作というものは工場にまかした方がいい、すべての条件が整っているというふうにその部分については考えておりますし、また経済的比較ということになりますと、終戦当時の状況とは民間メーカーの関係も違って参っております。それらの点ももちろん考慮に入るわけでございますけれども、それを総合検討いたしまして、ただいま私どもの持っている案におきましてはやはり修理業務というものは公社自体に残る。それから工場自体でやるような大きな修理というものは、だんだんと縮小されるではないか。しかしながら修理業務は先ほど申したように全般的に設備の量もふえて参りますので、簡単な修理というようなものはむしろ現場に分散していく、保全部門に溶け込んでいく、こういう考え方に立ちまして、工作工場をどの程度の規模にすべきかという点を検討したような次第であります。
  138. 松井政吉

    ○松井委員 他の同僚議員に譲りますが、これは靱さん、あなたは今一生懸命にるる体系づけたような説明をなさいますけれども、工作工場の問題は今始まった問題ではございませんでしょう。当委員会においても三、四年前からやっているのですよ。そのころのあなたの答弁と今の答弁と違いますよ。そのころの考え方と今の考え方は違いますよ。われわれ委員会の決議で工作工場の視察もやっているのです。だからその辺の考え方が経営上逐次変ってきたというなら、変ってきたとはっきりおっしゃったらいいじゃないか。それは押し問答になるからやめますけれども、初めてわれわれが調査しているのではない。三年前、四年前の速記録を調べてもいいし、われわれが調査した工作工場の報告書を調べてもいいですが、きのうきょう議論になっている問題じゃないのだが、その当時のあなたの御答弁ときょうの答弁とは同じ方向をたどっていないのです。それだから理屈でごまかすという形でなくして、経営上こうなってこう考えたのだ、技術が進歩して機械の関係が変化したのでこうなったのだとはっきりおっしゃったらいいと思うのですが、どうしても必然にそうなったということだけで言い切ろうとするので、そうじゃないと思いますが、それはやめます。そういうことで、あとで同僚議員の質問のあった後でよろしゅうございますが、信越工場、沼津工場、四国工場、奈良工場、佐賀工場、すべて具体的にどういう理由でどう廃止しなければならぬかということをつまびらかに聞かしていただきたい。これは同僚議員が質問したあとでよろしゅうございます。
  139. 片島港

    片島委員長 松前重義君。
  140. 松前重義

    ○松前委員 工作工場に関する当局の御意思はわかりましたが、ただ私が一言お尋ねしたいのは工作工場の会計ですね。経理です。これはどういうふうになっているかをまず伺いたいと思います。
  141. 和気幸太郎

    ○和気説明員 工場の経理につきましては、工場計算事務規程という一つの規定を作りまして、工場の収支を特別会計的に明らかにするという方式でやっております。
  142. 松前重義

    ○松前委員 まだ明確でないのですが、特別会計でやっているというのはどういうことなんですか。もしある程度の修理の成績が上らなければ、給与も何もやれないということになっているのか、その辺をお伺いしたい。
  143. 和気幸太郎

    ○和気説明員 特別会計的と申しましたのは少し言葉がおかしかったかもしれませんが、一つの独立採算制でやっておる、そういうことなんでございまして、非常に赤字を出した場合には給料がもらえないということではないのでございまして、そういう場合には通信局全体の中でその給料は回しまして給料を払いますが、しかし工場の経営としては赤字であるという批判は出ざるを得ないだろうと思います。
  144. 松前重義

    ○松前委員 独立採算でおやりになっておって、そしてやってみるが、赤字であるというお話ですが、赤字という基準はどういうところに置かれたのですか。赤字の基準を一つ伺いたい。
  145. 秋草篤二

    ○秋草説明員 工場の経理につきましては御案内のように、今和気局長から申しましたように特別会計というのは大げさでございますが、従来まで工作勘定という予算科目がございましたが、おととしから廃止しました。要するに内部では中間勘定と称した工作勘定を別に立てまして、直接損益勘定なり建設勘定で支弁しないで、工場だけの会計というものを一応立ててみよう、しかし究極におきましてはその中間勘定は大部分は損益でありますが、損益勘定なり建設勘定に流れ込んで消化するという仕組みになっております。そこでその中間勘定である工作勘定につきましては各工場において予定の原価を立てて、そしてそれを製品に配付するわけですが、ただいま先生は独立採算ということをおっしゃいましたが、これは絶対的な意味の独立採算ではなくて、工場原価をできるだけ明らかにするという方途であって、最終的には赤の出るところ、黒の出るところがありましても、その工場でそれだけのものを責任を負ってかぶっていくということではないわけです。従ってその過不足は現実的には各通信局におきましてそれぞれみな一般の予算の範囲内で経理してしまう。これを極端にやれば、その工場自体で注文をとるだけとってもどうしてもまかなえなければ、従業員を減らしていくなり、給料を減らしていくなり、そういうことまでなるのでありますが、公社ではとてもそういうことは——賃金というものは全部一律でございますし、注文というものも、いかに宣伝してみても公社の中から入ってくる注文でございますから、工場の人にいかに責任を持たせても無理な話であります。工場の人には今日まで非常に営々として働いていただいているわけでございます。むしろそういう制度をとることによって、できるだけコストを下げてみようという努力は非常にやっておられました。そこであまりそういうことで突き詰めてやって御苦労をかけてもいけないので、数年前からそうした赤字は各通信局の損益勘定で支弁してしまう。もう一つのやり方は完全に工場原価制度をとらないで、損益勘定だけで直接費で支弁する方法もございます。しかしそうなってきますと、工場自体の経営のよしあしということは全く批判はしないということになりますが、私どもは民間でやっているような完全無欠な原価計算制度とかあるいは独立採算制度という意味ではないのでございます。
  146. 松前重義

    ○松前委員 私がお尋ねしているのは赤字というような、原価計算ですが、その基礎は一体どこへ求めておられるか。民間に請負に出されたそのコストとの割合を、それをベースとして考えておられるのかどうか。赤字という概念をお伺いしたいのであります。
  147. 和気幸太郎

    ○和気説明員 赤字の意味でございますが、ただいま先生のお話のように、民間に比べてどうこうということではないのでございまして、これは毎年各工場別に、たとえば電話機一個修理したら、それを幾らで引き渡すかという取引の値段をきめるのでございます。たとえば北海道の工場について申しますと、デルビル電話機一個修繕したら、それを事業者側にたとえば二千円なら二千円で引き渡すということをきめるのでございます。これをわれわれの方では固定単価と言っているのでございますが、そういうものを各工場別にきめているのでございます。それをものさしにしまして一年間の仕事をやってみまして、そして実際に一台二千円で受け取った金と、工場として一体どのくらい支出があったかということを比べてみまして、そこで支出の方が多ければ赤字である。こういうふうに言っているのでございまして、赤字の意味はそういう意味なのでございます。
  148. 松前重義

    ○松前委員 これは副総裁に伺いますが、電電公社の技術の問題です。電電公社はいろいろな技術の発達に伴って新しい方式の、研究されたもの等を採用して参っておられますが、私どもから見ると、最近多少公社の方がおくれがちだと思っているけれども、とにもかくにも新しい方式を採用する。その新しい方式が優秀であるかどうかという問題についてはこれは相当な技術的な眼を必要とする、知識を必要とすることは申すまでもありません。そのようにメーカーにある注文を出すにしても、仕様書を書いて発注するにしても、当然仕様書その他を書きますときには、ある程度該博な知識の上に立って仕様書を書かなければならない。また技術的な指導をやらなければならないのです。でありまするから、場合によってはメーカー以上の技術が電電公社に存在しなければ、私は日本の通信事業の指導育成はできないと考える。電気通信事業全体の指導育成という使命が電電公社にあるのであります。あるならば技術の進歩に対して、またそれに即応したところの技術訓練を受ける。そしてまた高級な機械を発注するというような指導的な技術は、どのようにして一体養成していかれようとしているのか、その点の御抱負のほどを一つ承わりたいと思います。
  149. 靱勉

    ○靱説明員 電気通信技術につきましては何と申しましても、わが国として公衆電気通信事業を独占的に経営いたしております公社でございますから、すでに通信研究所というものも設備いたしまして、日本の通信技術の発展に寄与いたしたいということで公社は臨んでおるわけでございますが、ただいま御指摘のように、いろいろと新しい機器を採用していくという場合につきまして、これに対して十分公社の人が技術的な判定なり、それに対する理解というものがなければならぬ。従いまして、もちろん通信技術研究所におきましては、さらに新しい技術の発展の分野を開拓し、検討していくわけでございますが、また当局におきましてはあるいは試作工場等も設備いたしまして、実際上の試作も行う。一方におきまして公社の現在の機構で申しますれば、技師長室に調査課等もございまして、ここにおいても技術の研究あるいはいろいろの新しい技術の調査、あるいは成果の測定というようなものもやっておるわけであります。また現実に使用している通信機材につきましては保全部門におきまして、もちろんそういう知識を持ってやっていくわけでございますが、これらにつきましては今仰せのように、やはりそういう人がだんだんと技術的に訓練されていく。私ども全部の保全要員の方々が、すべて高度の技術を修得していくことは困難だと思います。やはり責任のある技術士の指導的な地位の人につきましてはそういうものが修得できるような態勢がなければならぬというふうに考えておるのでございます。
  150. 松前重義

    ○松前委員 時代の進歩に伴った技術の向上、それに即応した経営のあり方、これは非常に大事なことでありまして、これを論議すれば短かい時間ではとても尽きませんが、ただ問題は電電公社は機械をメーカーに発注なさる。発注なさったその機械は、請負会社がこれを工事をする。そうして電電公社の方が、その据え付けられた機械のスイッチをひねる。そしてコントロールしている。すなわち一種のオペレーターというのが、現在の電電公社の技術の姿であるように私どもは見受けられるのであります。オペレーターというものは、これは技術的には非常に低級でありまして、低級といってははなはだ悪いのだが、いわゆる技術の細部にわたってまでこれを会得していなくても、このオペレーターというのはできる場合もある。ほんとうは細部にわたってまで知っていなければならぬのでありますけれども、一応スイッチをひねれば動くことは動きますから、そういうところでできる場合もあるけれども、ほんとうにこれを保守していこうというならば、これは機械の細部にわたってもっと故障の起りやすいようなところから、それからまたいろいろな特性についてもよく知っておらなければならない。これが大体保守者の技術であると私は思う。そうでないと電電公社全体の機械の保守というものは、円滑にいかないのではないかと思う。  そこで問題は工作工場の問題に返るのでありますが、工作工場というものは先ほど来のお話のような、いわゆる独立採算とでもいいますか、何か、君は一つ請負みたいなことで、単価どのくらいでやってみろ、こういうことで適当に単価をきめて、そこに請負をやらせる。やらせたらその単価、人件費その他をかけて、その単価では結局総合的に赤字が出るというようなことで赤字だとおっしゃるだろうと思う。一体そういうふうなやり方でやっておられるということはこれは技術の向上なんか目的ではなくして、ただ一つの事業として修理会社があって、その修理会社にやらせるというような気持でおやりになっておるのであります。工作工場の問題と、このいわゆる保守者の技術の訓練という問題、これらの問題を考えるときには、赤字とかいう概念は根底から払拭しなければならないのであって、むしろ技術の訓練のためにこの工作工場というものを活用しなければならない。それであってこそ健全な電電公社の事業の運営が私はできると思うのでありますが、これに対してどういうふうなお考えであるか、伺いたいと思います。
  151. 靱勉

    ○靱説明員 今完全なる保全をやる、ことに電電公社におきましては電気通信事業の独占的経営でございますが、あるいは計算にIBMを使っているからそれは全部知識を持っているというのではなくて、本体をなす通信機器について十分な知識を持ち、技術を持つということの必要性はただいまおっしゃった通りで、私ども全くそのように存ずるものであります。従いましてこれを完全に保守するために、今保全要員についてそういう技術を修得する必要がありということは私ども反対ではないのであります。ただ私の考えでございますが、いろいろの機材ができるだけ簡単に運用されるということが、一つの技術の進歩であるかとも存じます。従いまして保全部門のすべての人が高度の技術を修得しなければならぬということではないかと思います。しかしながら私は、先ほど申し上げましたようにやはり技術の中心部門をなすところの人は、どういうところに故障の発生があるか、どういうところに欠点があるか、そういうふうなことを常に検討をする機能というものが電電公社にあるべきだと思います。従いまして通信研究所におきましても、あるいは学園の訓練におきましても、あるいは保全部門、技師長室の調査課等におきまして、そういうような技能を向上し確保するような工作を必要と考えるのであります。
  152. 松前重義

    ○松前委員 私の伺っているのは二つの点です。まず第一にこの技術の向上、いわゆる保守者に対する技術の訓練というような問題については反対ではないというお話でありましたけれども、これは反対でもされた日には大へんなんで、賛成どころじゃない。これを徹底的に実行しなければ、私はほんとうに円滑な事業の運用はできないと思う。もう一つの私が伺いたいと思った問題の一つは、独立採算のような形で工作工場を経営せしめるということは技術の向上なんということはもう考えないで、ただ単にその辺の町工場に品物を出して、どのくらいの能率で単価どのくらいで上るかというような、そういう全く事業全体を技術的に生かすような考え方でなくて、ほんとうに町工場に適当にこれを発注するというようなつもりでやっておられる。そういうことでは技術の向上なんというのは期することはできないじゃないか。反対ではないとおっしゃったけれども、それはできないと私は思っておる。だからそれは反対したことになるのです。この点が第一点でありまして、とにかくそういうようなやり方でもって果して技術の向上ができるかどうか、この点であります。  第二の問題は、これは経験してみなければわからないことでありますけれども、とにかく修理をしなければ保守はできないのです。修理のできない者に保守はできませんよ。自動車の運転にいたしましても、自動車のエンジンの修理がある程度できる人であれば、これは安心して運転せしめて十分であります。理理な運転はしませんよ。エンジンでも何でもそう無理をかけません。だから長持ちする、円滑に行くというのでありまして、そこが非常に大事なことであります。私は工作工場全体の問題を通じまして、根本的な修理と技術の訓練との概念、そしてまたこれが事業に生きてつながっていく。別々な形態でない。独立採算というようなことで、別な形態にして責任を一応負わしてみるというような、そういう唯物的と申しますか、血のつながりのないような——まあ、あとで何とか始末をするとおっしゃるけれども、そういう冷酷なやり方でなくて、むしろこれを技術の訓練に使ったらどうかということなのです。であるならば、このような縮小をしなくてもいいじゃないか、もう少し拡張したらいいじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、これについてはどういうふうなお考えか、この二つの点について伺いたい。
  153. 靱勉

    ○靱説明員 第一点につきましては、反対でないと申し上げたのは、はなはだ言葉が適当でないのでありますが、そういう体制でなければならぬということは前に申し上げた通りであります。それを工作工場におきまして収支を度外視して考えるべきだ、他の民間の工場等に修理を頼むのと同じような観念ではいかぬ、こういう点についての御質問でございますが、私ども公社として考えております点は、工作工場を技術の訓練場所として、保全要員を漸次そこを通じてから出して行くというような体制では必ずしも今までやって参ってなかったのであります。やはり工場は工場としてその機能を果していくというような体制であったのであります。今御指摘の、保全要員というものが当然そういうことを知ってなければならぬ、それだけの保全要員としての的確性を持つ技術の修練というものは、私どもはやはり訓練等によりまして別途に計画される。——もちろん修理工場において、その一部局においてやるというような方法もあるかと思いますが、ただいままでの修理工場の体制といたしましては、やはり修理というものの効果を発揮するというような方針でやって参ったことは事実でございます。さらばと申しまして、ただいま御指摘の点を私ども公社として必要じゃないのだ、こういうことではなくして、今後そういうような設備というものは充実して、新しい高度の技術に対応していくべきであるということは、私どももそういうように考えております。ただそれを修理の作業と、そういうような技術を修得する一つの訓練といいますか、そういうようなものを今一緒にしてない、こういう点がある次第であります。それから第二の問題としましては、要するに機械の知識もなくして運用、保全ができるか、こういうことにつきましては、もちろんそういうことはできないわけであります。私ども今後におきまして、今申しましたように高度の技術に対応するような技術、知識の向上と申しますか、そういうものにつきましては十分なる措置をとって参りたい、こういう考えでおります。
  154. 松前重義

    ○松前委員 今までのものを盛んに御説明になりましたが、今までのことは大体承知をしておりました。将来どういうふうにこれらの関連性において考えられるか、そしてもしこれを技術と訓練との関連性において考える場合においては、工作工場というものは今のような小規模なものであってはいかぬ、むしろこれを訓練かたがた修理をやらせるという体制に切りかえていく、そうして施設その他の拡充もこれは当然やるべきではないか、人事の交流も当然やるべきではないか、このように私は思うのでありますが、この点は一つ公社としてよくこの問題を処理されるときに考えていただきたいと思うのでありまして、いずれまたあとでこの問題については質問をいたします。  それから工作工場で修理を請負にだいぶ出しておられますが、それはどういう品物を——工作工場として出しておられなくても、ほかの部門で出しておられるのがありますか。マイクロその他はみな請負に出しておられる。すなわち多少高度の技術を必要とするものは請負に出しておられるが、これはどういうわけですか。電電公社に技術がないから請負に出しておられるのか、それとも請負に出した方が安上りだというので請負に出しておられるのか、その点を伺います。
  155. 和気幸太郎

    ○和気説明員 工作工場の請負に関するお尋ねでございますが、これには二通りの請負がございます。それは工場自体で、独自の考えで外注するというものがあります。もう一つの場合としましては、これは本社で全国を統一的に見まして、こういうものは外注しなさいというふうにしているものがあります。ただいま先生のお話のマイクロとか新型の搬送につきましては、これはあとの外注に属するものでございまして、本社の方針としまして、こういうものは工作工場でやらないで、それを作ったメーカーで修理するようにという方針で、昨年からやっておるのでございます。これの理由でございますが、これは先ほどからも私御説明したのでございますが、最近の小型搬送とかマイクロの機械は、御承知通り濾波器とか変調機とか、そういう一つの機能単位に部品がまとまってできておるのでございまして、それだけをごっそり入れかえるということでやっておるのでございます。その中身は部品を密封してございまして、それをばらして修理するということが物理的に不可能なのでございます。しかもその濾波器とか変調機の中身の部品たるや、製造業者によりまして任意の部品系列を持っておりまして、あらゆる系統の部品がそれぞれ使われております。そういうふうな関係でこれを工作工場で修理するということは物理的に不可能である、そのように私ども考えまして、これを現在は製造したメーカーに戻して修理を頼んでおるということなのでございます。その量は、先ほど申しましたように、工作工場全体の十六億円の中で四、五百万円の程度でございまして、量的にはきわめて少い状態でございます。
  156. 松前重義

    ○松前委員 箱の中に入れてごそっと取りかえる、そういう仕組みになっているからメーカーに出さなければならぬという話ですが、それは将来においてはだんだん機械類がそういうふうになる傾向を持っております。そうなるとこれは一にもメーカー二にもメーカーで、とにかくメーカーだけあればあとはスイッチをひねる人間がおればいいのだから、また取りかえる人間がおればいいのですから、そうすると電電公社には技術というものがだんだん退化していくのじゃないかということを非常におそれる。そういう箱の中へ入っておるからこそ、その中を開けてやれるだけの経験と知識を持っていなければならぬと思うのです。かえってそういうものであればあるほど、知識を持っていなければいかぬと思うのです。だから修理の必要があるというわけです。その点は今までそういう方針をもっておやりになったとしても、やはり技術の育成のために、また電電公社の技術力の培養のために、少くともメーカーの指導はできませんよ、そんなことでやっておると。みんな向うが技術をもっていて、こちらはまるでばかにされて、スイッチをこうひねればこうなりますというだけになってしまう。これでは電電公社の技術者というのはあわれな技術者になってしまいはしませんか。私はそんなことでいいのかと憂うるのであります。この点についても、きょう御答弁は要りませんけれども、とくと一つ考えになって、明日か明後日の委員会でまた伺うことにいたします。この点については一つよくお考え願って、またもう一ぺん総合的に質問しますから、御答弁をいただきたいと思います。
  157. 井手以誠

    井手委員 関連して一点だけお伺いをいたしますが、ただいままで工作工場の整理をめぐる論議を聞いておりますと、委員の建設的な意見に対して、どうも公社側の態度が、その説明が足りないように私は感じたのであります。あるものはこれを生かして使う工夫というものが、長い期間があったにもかかわらず足りない。その点はこの委員会でも何回も松前委員その他から論議されておりますけれども、一向進んだ態度を私は見出すことができなかった。なるほど機械の進歩に伴って、機器の小型化、精密化によって、今のままではいけないということは私はわかりますけれども、やはり生産はメーカーであるけれども、修理は自営でなくてはならぬというこの考え方は貫かなくてはならぬと私は思う。今までのような当局の態度なり答弁の程度では私は決して従業員の諸君を納得させるものではないと考えるわけです。特に私はこの中の事例を一つ取り上げて申し上げたいのでありますが、あなたの方から出されました工作工場についての末尾に添付されておる別表によりますると、九州の地区において、佐賀は、私のところですが、まっ先に整理の対象になっておるようでありますが、この佐賀の工作工場は熊本の方に吸収合併されておる。今の技術はもう必要でなくなったとおっしゃるけれども、三十六年度においては逆に九州地区においては七名ふえるという結果になっておるのであります。だから、これを生かし方によっては整理しなくても済むわけであります。佐賀の場合を考えてみますと、庁舎のことは関係はございません。老朽庁舎ということが大きな理由にも一つなっておりますが、佐賀は二、三年前特別の御配慮によって、罹災したものを新築されました。その新築された庁舎はもとの村部でありまして、そこに佐賀の通信部を移転して活用したいと書いてありますけれども、電話局あるいは電報局などは市の中心部にある。それを統轄すべき通信部がずっと村部に位置するということでは、これは幾ら何と言っても、納得される通信部の位置ではございません。これはやはり統合のための整理案だ、こう私どもは言わざるを得ないのであります。こういうふうに具体的に考えましても、どうしても私どもは納得はできませんので、今も松前委員からお話がありましたように、ここでこの案を撤回するとかなんとかいうことは即答できないかもしれません。あえて私はそれを求めようとはいたしませんけれども、みんなの意見が非常に建設的であり、日本電電公社のためにもっと工夫すべきであるというこの大きな意見、貴重な意見に対しては、撤回はせぬでもいいけれども、もう一んぺ白紙に返って考え直してもらいたいと私は思う。そうでなくては従業員諸君は納得できない。そういうことから私は特に副総裁靱さんに一つ再考願いたい。その御用意があるかどうか。皆さん方の意見もわかりましたから、それではもう一ぺん考えてみましょうということであれば、私はきょうはこの一問だけで終りたいと思います。その御用意があるかどうか。これだけの多くの意見に対して、考え直そうという大きな気持がおありになるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  158. 靱勉

    ○靱説明員 資料として御参考に供しておりますのは、私ども一応こういうような考えで公社として考え方をまとめたいという次第でございます。いろいろ配置転換あるいは工場の移転というようなものもございますし、しかも実施予定年度は三十五年度でございます。佐賀は三十六年度ということになっておりますので、私どもなお組合との間にも、現在この案についていろいろ説明をいたしておりますし、また意見も聞いておるような次第でございますので、今直ちにこれをおっしゃるように撤回というわけではないのでございますが、実施年度もまた後年度でございまして、現在はいろいろな点をさらに精細に検討するということの段階でございますので、確定的な御返事は控えさしていただきたいと思います。
  159. 井手以誠

    井手委員 即答は求めません。ただどう実施するかについて研究の段階だとおっしゃいまするけれども、すでに年次的に整理の方法まで出ておる。どこは何年度、どこは何年度というところまで出ているのです。三十四年度に整理するところもあるわけなんです。それに対しましては各人それぞれ意見はあるかもしれませんけれども、今まで出ましたほとんどの意見は、ただ反対とかなんとかいうことではなくして、もっと電電公社としては大きい立場から自営の修理を行うべきではないか、もっと工夫すべきではないか、こういう意見はもっとすなおに受け入れてもらいたいと思う。組合の方でもおそらくこれでは納得しないと思いますから、どうぞ——私は即答を求めません。十分研究したいということであれば、私はそれで引き下ります。撤回とは申しません。ほんとうの意味の御検討、十分な御検討を願いたいと考えております。いかがでございますか。
  160. 靱勉

    ○靱説明員 ただいまお答え申し上げましたように、全般的にさらに精細に検討中でございます。
  161. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連です。同僚の諸君から大へん参考になる貴重な発言がありまして、私ども参考になりました。しかしながら工作工場をどうするかという問題については、私どもは必ずしも社会党の諸君と同一意見ではないのです。私どもは自分の意見をいまだ留保している段階です。こういう質疑が同僚の間から盛んに活発に行われる段階において、われわれも認識を深めていきたい。そういう考え方から、同僚の意見を尊重して聞いておりますが、必ずしも結論は一致しておるものではないということ、それから当委員会の多くの人の今までの発言は、社会党の人の発言なんですが、それがこの委員会の全体の空気に近いものだというような錯覚を起されては困る。特に私が承わりたいのは、私はしばらくこの委員会に出ておりませんから、この問題に対する過去のいきさつは知りません。ただあれだけの大事業をやっているところですから、技術の進歩、発展、発明、発見、工夫というものは、年じゅう心がけていなければならぬ。そのためには技術の研究所とか、そういうものは持っているのですか、あるのですか、ないのですか。それはどういう規模のものがあるのですか。まずその点からお聞きします。
  162. 靱勉

    ○靱説明員 一つは 一番大きな機構を持っておりますのは、電気通信研究所でございます。これは本社の機構の内部に入っております。そこには試作工場もありまして、新しい考え方によりまして新しい機械を作るというような工場もあるわけであります。それから訓練をかなり系統的にやりますのは学園訓練というもので、鈴鹿にありますのは、主として技術上の訓練の全国的な機構であります。東京にあります中央学園も、やはり主体は技術の訓練に置かれておるような次第でございます。あと全国にございます学園というものは、業務的な面もいろいろございますけれども、簡単な技術の訓練はできるわけでございます。しかし高度の技術になりますと、中央学園ないし鈴鹿学園でないとできないわけであります。さらにこれは現場訓練と申しますか、各現場におきまして、動いておる実態についての技術の習得というものは、おのずからやはり現場訓練という観念でやる、こういう形になるわけです。なお本社の技師長室に調査課というのがございます。これにつきましては、技術の実際の効果、こういうものの検討をいたしております。それからいろいろメーカーに機材を出す場合におきましては、仕様書、これも技師長室に仕様課というのがありまして、相当各方面から集めた材料に基いて、公社として技術の仕様書を作るわけであります。そういう部面におきましては、いずれも相当高度の技術がなければならぬわけであります。
  163. 椎熊三郎

    椎熊委員 先刻同僚松前さんからお話があったように、この工作工場のごときものでも、松前さんがおっしゃるような、高度の研究とふだんの努力によって非常な技術を修練させていくということにまで発展していけば、大へんけっこうなことなんですが、現実の問題として、私は今日の科学的大発展というものが、ただ単にそこの工場にいたからというだけではなしに、基礎的な学問も必要でございましょうし、そのためには非常な高度の科学的知識が必要でございましょうから、そういう人が研究する場所と、現在使っておる機械を修理していくという修理工場のごときものとは、私は同一のものでないと思う。従って発明、発見のような高度の研究は、現在ある研究所とか修練所とかいうようなものを拡充していくことこそ望ましいのであって、それを修理工場に求めるというがごときことは——そこまで行ったら非常にけっこうだが、無理ではなかろうか。私はこういう工場が全国にこれだけあって、それが時代とともにどうも用途が非常に狭くなってきた。従って経営上整理統合していくということも、当然考えられてしかるべきだと思います。ただ一点、その際において、ここに修理工場に働いている従業員と申しますか、職員の数はなかなか多い。二千名をこえておる。その整理統合によって、こういう人たちの職場がどういうふうになるのか。むろん整理統合によって犠牲になるはずはないと思う。そんなことは許されないと思います。そういう点についても、計画の上にはしかるべくちゃんと救済の道があるのかどうか、その点ちょっと明らかにしていただきたい。
  164. 靱勉

    ○靱説明員 この案は先ほど申したように、なお正確に検討いたしておりますが、この案自体におきましても、ただいま二千数名のものが、五カ年に三百人ばかり減ずる程度でございます。しかしながら長年その工場にあった人が配置転換になる、あるいは職種転換になるということは、一つの問題でございますが、先ほども申し上げましたように、修理業務はだんだんと現場の保全業務と一体になっていく。今度の案におきましても、調整所というものを工作工場と一緒にしようという案になっておるわけであります。そういう態勢でございますから、ほとんど大部分の方は保全修理の業務に従事していただくということで、もちろんこれによって強制退職させるというような措置をとる必要もありませんし、またとる意思はございませんが、非常な無理をしてその措置をするということではなく、私ども十分対策を練るつもりであります。
  165. 椎熊三郎

    椎熊委員 これは最後の問題ですが、電電公社が持っておる今日の技術の水準というものは機械メーカーの技術の水準よりも劣っておるというような状態であると、これは大へんなことになって、松前さんが指摘せられている通り。私は聞くところによると、そうではなくて、今最新式の電話機の四号何とかというものも、元来研究所で発明したものだ、そうしてその作り方を教えてメーカーに注文したものだ、ということを聞いたような記憶があるわけですが、どうなんでしょうか。一体あなた方、技術の進歩において、研究所はメーカーの技術に負けていないという感じを持っておるのか、遺憾ながら負けておるとおっしゃるのか、その点を一つ明らかにしていただきたい。——私の聞き方が悪いかもしれないが、松前さんが指摘しような現状であれば、電電公社としては困ったことだし、われわれもそれではいかぬと思う。そこで、そんなに劣っておるのかどうか、実は劣っていないのだという自信を持っておるのかどうか。遺憾ながら負けておるのか——それならそれでもいいのです。どうなのか、それを聞いておるのですよ。議論しておるのではない。電電公社の技術というものはメーカーが持っておる技術と水準的に劣っておるのかどうか。松前さんが心配しておられるのは遺憾ながら劣っておるのじゃないか、あんなことではだめじゃないかというように私は聞き取れたのだが、それでは大へんなことだと思う。それはどうなんです。
  166. 靱勉

    ○靱説明員 通信技術の研究におきましては公社の現在の水準は、私ども全体的に見まして決して製造会社より劣っておるとは考えておりませんし、また私は、日本のほんとうの通信技術、通信科学の研究発展のためには、通信正研究所というものは絶対的責任を持たなければならぬと思います。先ほど御指摘のように、四号電話というものは確かに公社の研究所の研究者が、ああいう進歩したものを発明した、こういう形でありますが、ただメーカーの持っております製造技術と申しますか、そういう言葉で言えますかどうか。公社は全般的に大きな製造をやっておりません。試作工場というものを持っておりますから、そういうものに対する製造技術はもちろんメーカーも持っておるわけであります。またメーカーもだんだんと研究機関を整備しておりますし、それからまた国際的に見ますれば、なお外国の進歩した技術もあるわけでございます。公社は決して油断すべきものではなく、ますます通信技術の向上については努めなければならぬわけであります。今直ちに通信技術というものについて、広い意味におきまして公社は劣っているとは私ども考えていないわけであります。
  167. 松前重義

    ○松前委員 どうも椎熊さんの話によって一言言わなくてはならないようになってしまったのでありますが、大体この電電公社の通信研究所の研究というものはすべての技術ではないのです。従って電電公社が使う機械というものは生産という過程を通じて、いわゆる工業過程を通じて生産されて、これはああいうふうに施設されてきておるのですから、その生産過程における技術を修理の段階においてある程度体得しなければならない。ただ科学技術の研究、すなわち概念的な、一般的な研究というもの、それとこれとはだいぶ違う。片一方は必ずしも実際上に応用されるかどうかわからないが、とにもかくにも一応こういうものができたというものでありまして、従ってそれをほんとうに実用化するという点になると、安定性とかいろいろなものが出てきて、これで大丈夫だということになってから生産に移すのだ。生産の過程における修得が低い——というと語弊があるけれども、実際的な生産過程の技術、こういうものを修得させる機関として私は非常に必要ではないか。これはドイツあたりではそうしておるのです。この間あなたはお出になったかどうかしりませんが、ドイツではレールリングス・ウェルクスタットという一種の工作工場を持っております。そこにすべての従業員を一応入れて、そうして修理に従事せしめて、修理を体得した人間を送り出して新しい人間をまた入れる。これは修理工場として生きながら、しかも人間の訓練に使っている。こういう意味においても技術が私はだんだん劣る可能性がある、こういうことを言っておるのであります。ですからこの点を前のと混同しないで考えてもらいたい。この説明が今靱さんからなかったものだから、いかにも何だかそこのところの話が私の話を否定したような結論になったものだから、それは間違っていると私は思います。この点は一応弁明をいたしておきます。
  168. 片島港

    片島委員長 原茂君。
  169. 原茂

    ○原(茂)委員 私は今一つにしぼってお伺いしたいと思いますが、建前は工作工場の廃止はすべきでないという立場でちょっと御質問したいと思います。  先にお伺いしたいのは三十三年度の事業予算の中で、工作工場全体に対する予算が全部ひっくるめてどの程度入っておって、それが総予算の何%になっておるかそれが一点。それからもう一点は十五工場を八工場に縮小をする、こういう予定のリストがございますが、この場合に一体どの程度現在より経費が削減というか軽減されるのか、この二点を先にお伺いいたします。
  170. 和気幸太郎

    ○和気説明員 概数でございますが、公社の全体の損益勘定予算の中で工作工場は約一%程度でございます。それからこの計画を実施した場合にどのくらい経済的になるか。これは一応机上の計算ではこの計画が五カ年後にすっかりでき上ってしまいますと、これも正確なことはちょっと失念いたしましたが、年々約千万円内外の経済になるという計算が出ておるのでございます。
  171. 原茂

    ○原(茂)委員 一%の金はどのくらいでありますか。
  172. 和気幸太郎

    ○和気説明員 大体十五、六億でございます。
  173. 原茂

    ○原(茂)委員 そこでほかの面から私は公社当局に、これを廃止しないという御考慮を願えるかどうかという一つの案を申し上げてみたいと思います。それは現在日本の科学技術が非常におくれていることは国として非常な関心を持たれている。現政府もこれに対しては重要な決意の上に、とにかく科学技術の振興というものを重点施策として発表もし、予算にもある部分盛り込んできておるわけです。これは政府とかあるいは一、二の人間の関心ではなくて、いわゆる宇宙世紀第二年を迎えたようなこの時代になりますと、日本の国民自体の持っている科学技術の水準の低さということが、何としても早くこれを引き上げなければいけないという、国家的、国民的な課題となっていることは御承知通りであります。こういうときに何が一体科学技術の振興をさせるか。いろいろな点がありますが、一番大事な問題は、国民一人一人の科学に対する理解力あるいはこれに対する知識、これを引き上げることが、国としての科学技術を引き上げる何といっても一番大事な柱になるわけであります。この面から科学技術委員会でもいろいろ問題を取り上げているのですが、特に文部当局も学校教育の中における科学技術の教育に特に力点を置いている。これはいわゆる次の世代をになう子供に、今の学校教育の中である程度の科学というものに対する植えつけをしていかないと、国全体のレベルが上らないという観点から、これに対する当然の措置が今講ぜられているわけです。しかし悲しいかな、予算が非常に少い等の理由から、学校自体の科学技術振興教育、これには先生を集めることにも困難を生じている。人がいないことがあります。予算がない。あるいは一番大事なことは学校の中にこの理化学教育の実験の設備、こういうものをどうしても持たなければいけない、こういうことがすでに焦点となって論ぜられているのに、予算がないためにこれが実行できない。ひどいのになると顕微鏡一台ないというような学校がまだ全国にたくさんあるわけです。特に僻地の教育などを見ますと、科学教育などというものは名ばかりで、全然その姿を見ることができないのがたくさんあります。そういう観点から言いますと、公社の本来の事業の目的からしますと、何といっても公共の福祉を増進することを目的としている。そこに公社の存在の理由もあるということを考えたら、むしろ一年にわずか千万円程度の経費の節減を今はかるよりは、もっと進んで公社の公共性という立場から、この程度の予算の節減をしようとするならば、むしろ進んで何がしかの予算の増額をして、これらの工作工場の設備の近代化をはかって、最小限度でいいから、少くとも近代的なものに改装をするというようなことを進んでおやりになって、既存の十五カ所の工場を中心に一番近い範囲の学校あるいはその他の一般人でもけっこう、大いにこれを参観させることが必要であると思う。先ほど椎熊さんからも松前さんからもお話がありましたが、技術といっても特に大切なのは生産技術である。生産過程における修得ということが一番大切なのでありまして、私ども局舎等を視察しましても、でき上ったところの密封されておる部分品を見ただけでは、おとなでさえもこれがどんなふうにしてできたものか、どんなもので組成されているのかというのがわからない現状でございます。そういう点を考えますと、むしろ積極的にやって、これが本来の目的ではないのでありますが、やはり国家にその大きな必要が生まれてきても、なお予算その他で学校教育の充実すらできないという現状においては、この既存の十五カ所の工作工場くらいは見せてやる。一千万というごくわずかな金額でありますから、その土地を通じて各小、中、高等学校の学校教育に利便を提供する意味で、いわゆる公式的な通信機械に関する限りは、もし必要があるならば、いつでも公社の工作工場を見せてやる、進んでその視察の便に供してやるという、その意図を積極的に証言するときがきているし、しかもこの機会にそれをすることが、工作工場のせっかくできているものを撤廃して八カ所に集めるということよりも、意義が非常に重大ではないかと思うのです。私は一千万というものが軽減されることに反対ではありません。経費は公社の事業としてもできるだけ節減しようとする努力は必要だと思いますし、そのお考えに対しては多とするものですが、しかし現在の科学技術を必要とする時代に、しかも日本国民の非常に低過ぎるこういう立場考えたときは、むしろ一千万くらいのものは新たに文部省その他に予算をふやしたところで、これは大した力どころか、九牛の一毛、焼け石に水、科学知識を普及宣伝しようとするための何らの役に立たないということを考えると、この一千万円というものを単に経費を浮かしていこうとお考えになるよりは、節減しようとお考えになるよりは、進んで国民的視野に立って、これだけの費用でしかもこれを公開し、いつでも参観の便に供させ、進んで向うから来たときは、技術の要員が十分に説明の資料を整えて子供たち、学生たち、一般市民に対してこの通信機械、通信技術というものがどういうものであるかを、実際に部分品をばらしたり作ったりする過程の中から教えていくことが非常に大事だと思うし、この方が時代的にいっても意義が大きい。この一千万円は、節減することよりも進んでこの意味に提供することが必要で、ただ単に社会党の私どもが反対するというだけではなくて、あえて自民党の椎熊さんその他にもこの点に御留意願って、ほんとうに国民の一人として科学技術を振興するという建前から、これを生かしてむしろ転換する方向に積極的な意図を盛り込んでいただくと、この一千万円というものは百倍あるいは一万倍にも生きるし、時代的にいっても重要な意義を持つものになる、こう確信いたしますので、私はむしろこれを撤回するとかというようなことではなくて、廃止すべきではないという立場から、特に今後の御考慮を煩わすその中の一つの案としてこれをお考え願いたい。きょうは郵政大臣がおられませんので言うことができませんが、後の機会に郵政大臣に、この問題をとらえてこの意味の転換をすべきではないかという提案をし、再考を促すつもりでございますが、自民党の諸君もぜひこの点謙虚にもう一度御検討をいただき、できるならば全委員会が一致して、公社当局に対する私ども全委員会の統一した意思としてこのような措置をお考えいただきたい、こうも思っておるくらいです。どうか公社当局も、今後の研究をなさるときには一つこの建前も一応御考慮の中に入れていただいて、むしろ積極的に公共の福祉増進という点にこの小さい金額を活用して、何十倍、何百倍の時代的な科学技術振興の歴史的な一つの大きな柱をお立ていただきたい、こういうことを今後考慮願う一つの案としてお願いしておきます。お願いしておくのですが、総裁からそういうことも考えてみようというような御意思を一つ承わりたいと思います。
  174. 靱勉

    ○靱説明員 原委員の科学技術の振興と申しますか、その知識教育をさらに充実させるという必要性は、私どもも一番深く考えておりますし、また公社も非常に発展のはなはだしい技術を持っておるのでありますから、その点においてはできれば時代に貢献するようにいたしたい、また当然やるべきものだと思います。ただいまの御意見よく拝聴いたしましたが、なお私ども先ほど申し上げましたように、内部の人のいわゆる訓練ということになりますと、学園の施設というものを充実していき、むっと技術的な訓練を充実する必要があるのじゃないか。従いましてそちらの方の経費は私どもも増していく、こう考えております。単に工作工場だけで一千万円の取引をするわけではないのでありまして、先ほど来お話の内部の技術の向上のためには、ことに今までやっております電話交換機ないしは搬送無線電話機というだけの修理工場ということであれば、通信機材の全部を持っておるわけではないのでありまして、学園におきましては、その他さらに相当重要な部門の技術の修得ということもやらなければならないわけでありますが、そういう方向で考えていくのがよいのじゃないかと思います。ただ全国的にかなりの数があるようでございますが、学園もほぼ同数あります。そういう関係で私ども決してこれを全廃しようという考えでやっておるのではないのでありまして、やはり修理工場という場合に、先ほど松前委員からなお検討してもらいたいという御意見が出ておりますが、そこで一緒にやるのがよいのかどうか、そこらの点もなお十分に考えてみなければならぬと思います。ただいまのところそれは区別していくというようになっておりますので、先ほど来いろいろと御意見が出ておるものと拝聴いたしておるような次第でございます。
  175. 原茂

    ○原(茂)委員 大体同数の学園があるとおっしゃるのですが、この学園でやっていくことと修理工場でやっていくこととは、完全に同じものとは言えないわけであります。それから第二には、学園が十五もしあるとしたら、そのほかに修理工場が十五あるとすると合計三十ですか、全国にいわゆる通信機械を見学し得る場所が三十カ所あるからといって決して多過ぎない。私の建前では、科学技術を振興しなければいけないという国民的な今日の世論の中で、こういった一千万円の節減をするということをせずに、逆に文部省などを通じて、かりに一億ないし十億出しても実際に子供たちが科学技術を修得する機会としては得られないようなもっと重要な機会が、あるいはその場所が、この三十カ所なり十五カ所で得られるということになれば、私は科学技術の振興の上からこれは非常に必要ではないかという建前から言っておりますので、学園を中心として、むしろその一千万円を節減したら現在ある施設が十五減る、あるいは七つ減るということになるので、そのことは私は時代的にもったいないと思います。これは非常にもったいないのです。とにかく搬送だとか電話機とか交換機とか、そういうものだけしかこの修理工易ではやっていないから、参観しても大して役に立たないというような意味のことも今おっしゃっておりますが、これが役に立つのです。電話機一つでも、組んでいるところ、ばらばらになっているところを見ただけでもよいのです。これは長野県の話ですが、とにかく小学校の六年生でいまだに店というものを知らない子供があります。商店というものを知らないのです。そこへ行くのに八里もあるというのでいけない子供もある。ましていわんや電話機を見るなんということは全然夢なんです。そういう小学生などもたくさん日本にはあるのです。せっかくこの機械が、こういう場所が与え得るものならば、今減らさないで、どうしてもその面に生かしていく、その経費としては一千万円は非常に安いと思いますから、学園があるからこれを減らしていいという建前ではなくて、先ほど他の委員からのお話でも、とにかく一応研究なさっていただくときにはそのこともぜひ考慮していただきたい。こういうことを重ねてお願いしておきます。
  176. 和気幸太郎

    ○和気説明員 先生の御質問に対しまして私は千万円と申し上げたのでございますが、ちょっと言葉が足らなかったので、この五カ年計画は三十七年度に終るわけでございますが、約五千万円くらい得になるという計算であります。それを五カ年で割ってみますると、一年度当り千万円程度の得になるということでございまして、年度を重ねるごとにその数字はふえていく、さように私は考えております。
  177. 片島港

    片島委員長 森本靖君。
  178. 森本靖

    森本委員 私は、時間がありませんので、次の委員会でさらにこの問題をやるようでありますから、それまでの宿題として一つ副総裁なり資材局長、経理局長要望しておきたいと思います。先ほど同僚松前委員からも申されましたように、この問題についての基本的な公社の考え方が、やはり安易な採算という方向に流れておるということが言えると思うのです。だから先ほど松前委員も言われたように、われわれとしては現在の通研の技術、あるいは電電公社の一般の技術というものが、普通より以下であるとは考えておりませんけれども、現実に搬送機なりあるいはそれぞれの保守を担当しておるところの技術者が、ほんとうにこの保守を担当するに足るだけの技術を修得しておるかどうかということについては、まだまだであるということがはっきり言えると思うのです。私も昔電電公社の職員の一人であって、ここにおられる松前さんの発明された無装荷ケーブルの保守を三年くらいやっておりましたし、裸線搬送の三チャンネルの方も一年くらいやっておりましたけれども、現在の電電公社の保守要員あるいは現にその機械を扱っておる技術者というものが、全部その機械構造その他について修得しているかどうかということは、電電公社としても相当考えてみる必要があると思う。ただ採算という面からいうと、一方的に技術を高くして、あとは平均にならせばいいというような経営者的な考え方ではなくして、全般のレベルを上げていく。それがためにはこういういわゆる工作工場というものを大いに利用して、人事の交流等も十分にやるというふうな新しい観点に立った工作工場の考え方というものも考えてみる必要があるのじゃないか。さらにあなた方の理論が、百歩譲っていいといたしましても、この案でいきますと、三十六年までの一応の具体的な計画というものが出ておる。しかし二十六年以降の計画というものは全然出ておらぬ。そうなって参りますと、ここに従事するところの従業員といたしましては、三十六年までにはとにかく三百何名か減る。しかしまた三十六年以降になると、これが五百名、千名減るかもしれぬというような、非常な不安と焦燥にかられておるということも事実であります。そういうようなあらゆる観点から考えた場合に、公社はもっともっとこの内容について研究しなければらぬと思う。さらに職員の方についても、その方面の専門家もおりますし、またそういう面についてのどういう具体的な要求を持っておるかということも私はあろうと考えます。そこで公社といたしましてもまた政治的なセンスが非常にない、私はこういうふうに考えざるを得ない。今日のように国会並びに春闘というようなことで非常に騒然としておる状況の中において、ずっと先の三十六年のことをちゃんとここに書いて、三百五十何人首切るというようなことをはっきり出すという政治的なセンスを、私は非常に疑わざるを得ません。だからそういう問題については、よく職員組合なり従業員組合と話をして、納得をしてから発表する、こういうような考え方に立っていかなければ、今後電通の合理化が発展していくに従って、こういう紛争は絶えないと思う。だからわれわれとしてもこういう小さな——小さな問題ではないけれども、こういう問題を一日も二日も三日も国会において論争するということ自体、電電公社全体の発展を考えた場合においては、公社としても損失だろうと思う。だからそういう点を十分に考えて、一つ次の委員会ではわれわれが一応納得がいくような返事が得られるように、十分に研究してもらいたい。椎熊さんも先ほど意見を言われておりましたけれども、われわれがいろいろ意見を申しておりまするので、その意見を聞いて与党の諸君も相当の御意見があろうと思う。だから公社の諸君の意見をこの次にそういうあらゆる観点からはっきり開陳せられて、さらに私は質問を続けていきたい。このことは、本日総裁がおられぬことは非常に残念でありますが、なお本日の委員会状況等については副総裁の方からよく総裁に進達をして、一つ公社の意見ももう一回再検討してまとめて、次の委員会では御回答願いたい。こういうことを要望しておきまして、私の本日の質問は終ります。
  179. 松井政吉

    ○松井委員 先ほど同僚委員質問した後に、発表していただきたいと申しましたが、先ほど原君の質問にお答えをした節約し得る金額の数字も、私の資料をとったのもこういうのがありますが、違っておるわけであります。従いまして、佐賀、四国、奈良、沼津、信越、この工場に関する節約費用、それから人の配置転換の構想について、あらためてこまかい資料を次会までにいただきたい。
  180. 片島港

    片島委員長 それではそうお願いいたします。  次会は明五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十七分散会