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1958-02-18 第28回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十八日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 片島  港君    理事 上林山榮吉君 理事 小泉 純也君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本  靖君       秋田 大助君    伊東 岩男君       川崎末五郎君    椎熊 三郎君       濱地 文平君    廣瀬 正雄君       杉山元治郎君    原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (経理局長)  西村 尚治君  委員外出席者         郵政事務次官  小野 吉郎君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 二月十五日  委員松前重義辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員小松幹辞任につき、その補欠として松前  重義君が議長指名委員に選任された。 同日  羽藤榮市君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  理事松前重義君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 二月十七日  玉里村に郵便局設置請願赤城宗徳紹介)  (第九六〇号)  村井町に無集配特定郵便局設置請願戸叶里  子君紹介)(第一〇一一号) の審査を本委員会に付託された。 二月十五日  NHK大阪テレビに第二教育放送設置に関する  陳情書外七件  (第三〇九号)  NHK教育テレビ放送近畿地方実施に関する  陳情書外二件  (第三一〇号)  西成郵便局舎移転新築に関する陳情書  (第三八六号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 片島港

    片島委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事松前重義君が去る十五日委員辞任せられ、これに伴い理事一名が欠員になっておりますが、同君が再び委員に選任されましたので、先例によりその手続を省略して、委員長において同君を再び理事指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片島港

    片島委員長 御異議なきものと認め、さよう決しました。     —————————————
  4. 片島港

    片島委員長 次に郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。先般の委員会において、郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概況について、郵政大臣及び公社当局よりそれぞれ説明を聴取いたしましたが、これに対して発言の申し入れがありますので、順次これを許します。森本靖君。
  5. 森本靖

    森本委員 その前に資料要求一つだけしたいと思います。聞くところによりますと、電電公社工作工場を廃止するとかしないとかいうことで、若干紛争を来たしておるようでありますが、その問題はきょう質問するのをやめにいたしまして、資料として電電公社の現在の工作工場の任務と、その仕事内容、人員、それから現在置かれておるところの場所、そういうものの詳細な資料一つお願いしたいと思います。それから新しく工作工場をどのように変更をするかというようなことについての計画の資料があれば、その変更資料というふうに工作工場に対する資料の御提出要求しておきたいと思います。
  6. 片島港

    片島委員長 よろしゅうございますね。
  7. 森本靖

    森本委員 それでは早速大臣の過日の委員会における所管事項説明に対する質問を行いたいと思いますが、この中でちょっとふに落ちない点がありますので、過日の予算分科会でも聞こうと思いましたが、時間がなくて聞くことができなかったわけでありますけれども、本年は国際放送を強化しなければならぬという年であるにもかかわらず、国際放送の、いわゆる交付金が減っておりますが、この理由を一つ説明願いたいと思います。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。金額においては千五百万円減ったようになっておりますが、国際電電機械を使うのが、二台のものが一台になるというように、使用料がちょうど千五百万円ばかり減っておりますので、実際問題としては去年と同額ということになるわけでございます。
  9. 森本靖

    森本委員 NHKの方は、本年度国際放送を、さらに南米向け等拡充については考えておったのではないですか。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 NHKから、まだ三十年度の予算案及び事業計、画が出ておりませんので、明確には御答弁できませんが、先年から委会員の方々及び省側NHK等との連絡のもとで、現在の十五方向、十五時間をもう少し上げたいという考えを持っておったわけであります。
  11. 森本靖

    森本委員 NHKの方はこの国際放送拡充したいということを考えておったけれども、今回のこの交付金の削減——実数的な削減にはならぬと申しましても、これを拡充するという場合においては、これがほとんど不可能であるというような交付金でありますが、そういう点からNHKはこれをあきらめたのじゃないですか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 今度放送法改正がございますので、その審議過程においてこの問題は解決せらるべき問題だと考えますが、現行法国際放送に対しては政府資金を交付することができる、こういうことになっておりまして、国際放送にかかった経費全部を出すことがいいのか、政府NHKをして行わしめた分だけに対しては全額政府資金を交付しなければならないのか、明確を欠いておるわけであります。その意味で、この問題に対してはいろいろな議論が続けられてきたわけでありますので、今般の放送法改正で、国際放送というものに対しては明確な定義をつけることによって、将来政府がいかなる支出をすればいいか、またしなければならないかという面を明確にしようという考えでございます。
  13. 森本靖

    森本委員 それでは一体この国際放送に関する十五条の改正というのはどういうふうに考えているわけですか。これは今でも私は明確な条文だというふうに解釈しておりますが……。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 私もこの国際放送条文については多角度から研究してみたのでありますが、御承知通り現在NHK受信料でまかなうということになっております。それで国際放送の面にだけ政府支出をしなければならない、こういうふうに規定いたしております。しかし国際放送に関してNHKが自主的にやる場合、政府との権限関係については全然明確な規定がないのであります。その意味で、NHKが自主的に行う国際放送そのものに対して全額政府が補償すべきか、またその何割を補償すべきか、または政府が特殊な立場で指定の国際放送を行わしめた分にだけ出すのかは明確を欠いております。その意味放送法改正に際しまして、国際放送政府との関係政府負担をしなければならない負担区分等を十分に一つ明確にいたしたい、こういう考えでございます。
  15. 森本靖

    森本委員 国際放送については前にもちょっとこの委員会で問題になりましたが、これは第三十三条と三十五条にある通りであって、郵政大臣国際放送を行うべきことを命じた場合には、特に全額国負担をするというのは、この条文で明らかな通りなんです。それ以外の国際放送云々と言われるけれども、それ以外の国際放送があっても、それは郵政大臣が必要だということで命じたならばやはり国が全部負担をする、こういうことになるわけですよ。だから、この条文をあなたが明確にするために変えたいと言うなら、一体どういうふうに変えるということですか。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げた通り、この条文政府が行わしめた部分にだけ国が負担をするのか、国際放送全般に対して負担をしなければならないかということは、現在最終的な検討の段階でありますので、近く成案を得て御審議をお願いするつもりであります。
  17. 森本靖

    森本委員 現在の放送法におきますところの国際放送条項については、私は条文的に疑義はないと思う。ただそれを実行する場合に大臣が、言ったような問題が、現実の問題としては起り得るかもわからぬけれども、条文そのものとしては郵政大臣国際放送を命じた場合には、それは全額国庫負担をするのだということは明確に出ているわけです。ただそれ以外に自主的にNHKがやられる云々ということはあなたはそういうふうに言われるけれども、NHKが自主的にやられるということは、それに対して意見書を付して郵政大臣国会に報告するという格好になっているので、この問題についても郵政大臣が実際にタッチをする、こういうことになるわけです。ですから、この条文をあなたは改正すると言われるけれども、改正するならどういうふうに改正するのですか。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 放送法は第三十三条、第三十四条を受けて第三十五条に「前二条の規定により協会の行う業務に要する費用は国の負担とする。」こう書いてあります。三十三条には御承知通り郵政大臣放送、区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」とあり、第三十四条には、「協会に対し、第九条第一項第四号の範囲内で事項を定めてその研究を命ずることができる。」とございます。ですから、ただいま森本さんが申された通り、この法律条文通り平たく読めば、国際放送に関する費用はすべて国が負担をしなければならないというふうに読むことが、正しいと思いますが、今までの状態を見ますと、全額負担をしておりません。そこに問題があって、衆参両院当該委員会でもって、国際放送費用を一体増額しなければならないのかということが問題になったと思うのでありますが、今度は放送法改正でそういう不明確なものを一つ明確にしようという考えでございます。
  19. 森本靖

    森本委員 この問題については後日そういうものが出た場合にも十分審議ができますが、こういうふうな段階において、たとえば国際電電維持費がそれだけ少くなったのだからプラスマイナス昨年と同様の交付金だといって、大臣がのほほんとしておったのでは困ると思う。国際放送については将来ますます拡充強化していかなければならない今日において、やはり昨年度よりは相当ふえているというのが普通の状態であるにもかかわらず、こういうふうに削減せられていることについては非常に将来を憂えますので、特に大臣に質問したわけでありまして、国際放送の今後の重大な意義というものを十分に考えて、今後ともかりに補正予算その他の問題があるという場合には、この問題は郵政省としては大きく取り上げてやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 全くお説の通りでございます。それから私も大臣就任以来、国際放送十八方向十八時間という案を持っておったわけでありますから、今度の予算編成過程において表面的であっても千五百万円減額になり、実際上からいってもプラスマイナス・ゼロだというようなことでは満足できない状態でございます。国際放送はお説の通り将来大いに拡充しなければならないことは論を待たないのでございます。ただどうしてこの程度で済んだかということを申し上げますと、これはこれからのNHK予算審議の問題もからむのでありますが、NHK聴取料の問題、しかもNHKが将来相当大規模な事業を行い、内容拡充整備いたしていくためには受信料だけでまかなえるべきものか、また受信料値上げ等が行われると仮定した場合、わずかな政府交付金というようなものを出していることと、NHKの主体性ということとの関連の調和をどこにとるのかというような問題も考えましたので、三十三年度の予算編成に当っては大幅に交付金を増額しなかったということでありますが、これから放送法及びNHKの三十三年度予算審議が始まりますと、その過程においてはただいまのお話のような御説が当然出るのでありまして、何らかの形でこの問題を明確に解決をしなければならない、こう考えておるわけでございます。
  21. 森本靖

    森本委員 国際放送の問題が出ましたので、ついでに放送法の第三十四条の問題でありますが、この問題は私が国会に当選をしてきてから、三十年の予算審議の当時から今まで三年間ずっとやってきているわけでありますが、いまだにこの問題についての交付金というものが実現したことが一ぺんもないわけです、あなたは非常に俊敏な方だから、今度ぐらいはこの第三十四条の問題についても若干でも色をつけるのかなと思っておったところが、今年も第三十四条が全然空文にひとしいような条文になっておるわけです。この問題について何か相談があったことはないのですか。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 国際放送拡充強化につきましては、毎度NHKとの間で話をいたしておりますが、特に予算編成過程においては、三十四条に基く国の負担金に対しては幾らか連絡が不十分であったようにも考えます。
  23. 森本靖

    森本委員 いや、この国際放送と別に、第三十四条の「放送進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に対し、研究を命ずることができる。」、それについての負担をする場合がある、この条文が適用されたことがないわけです。だからぜひ今後も適用のことについては考えろと、ずっと予算審議のときに言ってきたわけであります。そのつど当該大臣はやはり考えますということを言ってきておるけれども、これが実現したことはないわけなんです。このことについて聞いておるわけです。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 今までは全然出ておりませんし、今度は予算要求もしなかったようであります。しかしこの問題は三十四条が明確にありますし、特にNHKがこういうことをしなければならないのでありますから、この問題に対する国の費用負担の問題、また先ほど申し上げたように国が費用負担をするか、もしくはNHK聴取料でまかない得るという見解は放送法審議段階においては当然きめなければならない問題だと考えます。
  25. 森本靖

    森本委員 放送法改正審議のときには云々ということですが、私の言っておるのは、今までこの条文があってもこの条文を生かされておったことはない。それで当該大臣へこの問題をどう考えるかといえば、これは重点的にこの次はぜひやりたいと考えますという答弁をずっとしておったけれども、いざ予算を組むということになると、この問題はいつも忘れられてしまって何もできておらぬ。いまだかつて一ぺんもこの条文が生かされたことはないというような条文なんです。しかし条文は明確にあるし、それから今度あなたが放送番組その他については民放にもNHKが提供しなければならぬというふうな要綱を書いて発表しておるわけです。そういうことになってくると、この三十四条というものは実際に生かしてやらなければならぬ性質のものなんです。それが一ぺんも生かされておらぬということは非常に残念だから、今まで委員会があるたびに、前の大臣にもその前の大臣にも言った。ところがどの大臣も、十分に考えて次には一つ考慮いたしますという答弁をいつもするけれども、実現をしたことが一ぺんもない、だからこの問題について大臣はどう考えておるか、こういうことなんです
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 私は三十四条の放送に関する研究ということに対しては、先ほども申し上げた通り、国が国際放送に対して費用負担をするということと同じことで、三十四条の条文研究に対して費用負担をするというふうにやりましても、これはもうわずかだと思います。国際放送金さえも千五百万円削ろうというのですから、三十四条の研究費用を現在の電波研究所等でやっておるのにプラス・アルファという考えNHKにも出そうということになっても、そう多額のものではないと思います。その意味衆参両院委員会で、昨年の八月以降NHKの三十三年度の予算に対しても、放送料金値上げをしなければならないかもしれないということも明確に申し上げておるわけであります。そうしますとNHKの将来を考えまして、NHK受信料でもってまかなうべきものか。それから受信料でまかなえても、国際放送研究費用は国がそれにプラス・アルファすべきだというような問題に対して明確に線を引きたい。これは一つの仮定の問題でありますが、受信料現行六十七円を百円にでも値上げができ、六十億も年間に増収があるという、それほど大幅な値上げをすることになれば、当然NHKがその費用でもって研究しなければならぬという考えも出てきますので、わずかな補助金考えるよりも、抜本的にものを考えようという考えで今日まできているわけであります。三十三年度の予算は近く提出をされますが、その審議過程で当然研究の問題はどうなるか、国が出さないにしても国が貸し付ける制度もありますしいろいろな方法があるので、あわせてそういうものも次のNHK予算審議過程において、国会の御意見も尊重しつつ何らかの結論をも明確に出さなければならない段階にあるというふうに考えております。
  27. 竹内俊吉

    竹内委員 関連して。ただいまの問題ですが、これは委員会でしばしば問題になっておったことでありまして、大臣は今までの委員会のいきさつを御存じない点もあろうと思いますので、つけ加えて重ねて大臣の御所信を承わりたいと思います。これはこういう意味なんです。たとえばカラーテレビというものを考えてみましても、全くこれの実際的な事柄はNHKがやっているわけです。これだけ日本文化に大きい力をもたらすものを、電波行政の面からは協力してないとは申し上げませんが、きわめて協力の仕方が少い。こういう大きな文化問題は、NHK受信料余裕があるからないからということで考えていくことではなくて、国の文化政策として大きく取り上げて国がこれに金を出して、カラーテレビなり、AMからFMに転換していく日本放送全体を研究すべきではないか。そういう点に対して今の電波行政は力が足らぬ。単に身のまわりの仕事に追われて、そういう日本の大きい文化施策の上からの電波施策が必要ではないか。こういう議論がしばしば繰り返されてきたわけです。ただいまの大臣の御答弁は、もっぱらNHK聴取料余裕があればそういうことをやれるがという点に力点を置いた御答弁ですが、それではいささか方向が違う。そうでなくて、国の財政からこういうものにもっと積極的に金を出していって、日本放送文化全体の水準の向上をはかるべきではないか、こういう議論はしばしばしてきて、大体歴代の大臣もそういう議論には賛成だったが、なかなかこれが実現できない。こういう点で問題があるのでありますから、視点を変えて一つ考え願いたい。こういうのがこの委員会の今までの趣旨でありましたから、その点についての御所信を承わっておきたい。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 私がお答えしていることも、今お話しになられたことと違わないのです。私は現実問題を前提に置いて話をするものですから、私の意見がどうも委員会意見と違うように聞えますが、現実の問題から申しますと、理想的には確かに国の機関であるところのNHK受信料、これは電波税式なものでありますから、民放は一銭も取ってむらないものを、NHKという特殊機関が国にかわって聴取料を取る特権を与えられておるのです。こういう国の機関研究をさせるのでありますから、国が金を別に出したらいいじゃないかという考えは理想的であり、合理的であります。私もそれをいなむものではないし、当然そうあるべきが理想だと考えます。しかし三十五条、すなわち国際放送という、政府が命令をして、やらなければならない、またやれる、そういうものさえも全額負担しないで、わずか二分の一しか国負担しない。今年度は大幅に増額しなければならないのに、機械使用料が減ったから、その減った分を千五百万円差っ引く、財政的には現実にそういう姿でありますので、特に三十三年度の予算編成に当りましては国際放送の問題、研究費問題等は十分考えました。考えましたが、時あたかも、先ほど申し上げました通りNHK大幅料金値上げということがありましたから、国が五千万円か三千万円か、多く出しても一億円というようなものを出すということとあわせて、聴取料、いわゆる受信料性格というものをもう一ぺん新しく検討しなければならない段階である、受信料が百円というように大幅にNHKが求めたように値上げができるということになると、これはもう契約に基いて聴取料を協定できろなんというものではなくて、形は変っておりますが、国会の議決で税金を取ると同じ性格のものになりますから、三十三年度から新しい立場国際放送及び三十四条にかかる事項費用はまかなえるか、またはまかなうことがいいのか、今までのように、受信料値上げする値上げしないにかかわらず現行のままにしておいて、その上になお三十四条の研究費、三十五条の国際放送に関する費用を、国が今よりももっと大幅に増額をすべきかという問題を考えたのであります。考えましたが、結論的にはNHKの三十三年度の予算案提出され、審議をされるという段階までに結論が出ないで、ついに三十三年度の予算では三十四条にかかる事項に対しては、一切今まで通り見ておらぬという結果になったわけでありますので、この問題も予算編成のときどきに折衝するというようなことではなく、三十四条の費用は一体何によってまかなうのか、三十五条は一体こうしなければならぬというものは、ちょうど放送法改正案提出されますし、三十三年度のNHK予算は非常に窮屈なものでありまして、何らかの財政処置をしなければならないという問題にぶつかっておりますから、それとあわせてこの問題を早急に解決していきたいという気持でおりますから、委員会がお考えになっておることに全然反対とか、違った意見を持っておるわけではないのであります。
  29. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいまの大臣の御答弁ですが、聴取料は、これは理屈を言うまでもなく契約に基く聴取者が対価の支払いをしておるわけですが、現行法律からすれば、それによってテレビ研究費だとか、そういうものに充てべき性質ではないわけです。それを何にでも使えるように法律改正をするのだということになれば、これは全然別個の問題になるわけです。それを聴取料の問題はとにかくとして、それはそれとして、とにかくこれだけ日本文化に大きい影響のあるものに電波行政上、NHKの経済が苦しいからやむを得ないのだという考え方でない考え方大臣は持たないのか、こういう点がお尋ねしている趣旨ですから、そういう点を一つお答え願えればいいと思います。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。三十四条及び三十五条に関する経費は国が負担をしたい、今までよりももっと出さなければならないということは、もう私も委員会と同じく考えておるのです。
  31. 森本靖

    森本委員 今の最後の答弁で大体なにですが、これはNHK受信料、それから予算その他とにらみ合せて、この条項改正するなんということを考えてもらったらちょっと因ると思うのです。その点は今の大臣の御回答でいいのですが、ただしかし大臣の今の答弁では、三十三条の国際放送は頭にあったけれども、三十四条の放送技術研究ということについてはどうも忘れておったような答弁のしぶりでありますので、そうでなければ幸いですが、特にここに本委員会の注意を喚起しておきますから、これは十分頭の中へ入れておいていただきたいと思うわけです。  それからここでちょっとお尋ねしますが、これはいつも問題になることでありますが、NHK受信料であります。この受信料について、たとえば今実際に下部において、私はNHK放送は全然聞いておらぬ、民間放送だけ聞いておるので払うわけにいかぬという人がたくさん出ているわけです。これはいずれNHK予算審議のときに聞こうと思っておりましたけれども、大臣にもちょっとその点を聞いておきたいと思うのでございますが、そういうことで実は下部の実際の集金人が困って私のところへも尋ねてくる人がたくさんあるのです。それで、そんなものは郵便局の局員の責任ではないから、そういうことで聴取者が払ってくれないならば一応全部NHKに返せということで、全部NHKに返しているものが相当あるそうですが、この問題については一体どういう見解を持っておりますか。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 これは近く放送法改正されるわけでありますから、そのときの焦点になるわけでございまして、今のお問いに対する答えを一つ明確に改正法律案に盛ろうと私も一時考えたのです。考えたのですが、私が盛ることは少し行き過ぎだと考えますので、そういうことが必要であるならば国会審議過程において一つ明確に出してもらいたい、こういうことでそれは今除いたわけであります。しかしここで明確に申し上げておきますが、私がいつか結論が出るでしょうなどという答えをすると、ますます払わないでいいような気風を醸成するおそれもありますので、現在の段階における私の考えを明確に申し上げます。  放送法ができたときの事情は私もよくつまびらかにしないのでありますが、NHKの持つ公共的な性格といいますが、私はこれは明確な国家機関だと考えておるのです。ただ放送は言論とともに官が干渉してはならないという第三条の条文が非常に強く出ておりますから、番組や業務内容に対しては干渉しないという大前提を作っておるのでありますが、いずれにしてもNHKだけに聴取料を取る特権を与えておるのでありますから、これは考えようによっては、国が同じものを電波税として徴収して、そうしてこれをNHKに交付しても同じことでありますが、そうしないで、現在は平たく相互が契約をして、その契約に基いて受信料を払うということになっているわけです。しかし性格そのものは私が申し上げたようなものだと私は信じております。そうでなければ、NHKだけが受信料を取れるのであって、他の放送機関が取れないなどという論拠は全くなくなるのであって、NHKは国家機関としての特権を付与されておると考えるのが至当であると思います。これ以外の解釈はないと考えます。だから今度の改正には、民放はいかなる名目を問わず、聴取料等のものを取ってはならないと規定いたしますから、そのつもりでありますから、そうなるとなおさらNHK聴取料性格が明確になってくるわけであります。この法律におきましては契約によって支払わるべき対価としてあります。私は聞いておらないから払わないという議論が現在ございまするが、その場合におきましては裁判を行なって、裁判の結果を待ってということになるのであって、これは一件々々やったら大へんなものです。ただ国民の良識によって円満に法解釈がなされて支払われているという姿であります。しかし今まではNHKだけしかなかったから聞いておりましたが、今度はNHKは教養とか教育とかかた苦しいものにだんだんに重点的に移りますし、民放は娯楽専門でやる、こういうことになりますと、娯楽の方は入れるがNHKのスイッチは入れないという議論が出てくることは当然であります。しかしもう民放しか聞かないし、見ないから、NHK聴取料金は払わないという性質のものでは絶対にない。そういう議論が国民の中にたくさんになってくる場合には、いかんながら放送法の中にこれは払わなければならないものだ、税金と同じ性格のものだということを明確に規定する以外に道はないのであります。
  33. 森本靖

    森本委員 大臣答弁をこれから簡単に願いたいと思います。そこで今現実にあなたの部下が、この集金を半分以上受け持っておるわけです。その場合全国にそういう例が非常に多いのです。そこで私は行政官じゃないけれども、私のところへどうしたらよかろうというてたまたま聞いてきた者に対しては、そんなものは郵便局員が一々責任を持ってやっておったのではケリがつかない。払わぬ者は仕方がないからNHKに全部返せということで帰していることもあったのですが、そういう場合どうなるのですか。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 それは森本さんのところにそういう方が行きましたら、できるだけ取ってやれ、こういうふうに言っていただかないと困ります。やはりこれは法律に基いて郵政職員が委託業務を受けておるのですから、受け持っておる場合、これを腕ずくで取るというわけにもいきませんし、またそれに専念しておって、他に郵政業務を全然行えないという現状では因りますが、これはお互いが考える良識の線で、徴収の背任は委託を受けた郵政省にあるのでありますから、万やむを得ざる者以外は一つ誠意と熱意をもって徴収に当ってもらわなければいかぬ、こういう考えであります。
  35. 森本靖

    森本委員 それはもちろんあなたがおっしゃったように、私も長年この問題は知っておるので、極力取るようにしろということを言っておるわけです。言っておるが、払わぬというのを言うのはきまった人間です。これはその村なり町なりで、ちゃんときまった人間が絶対に払わぬ。これを半年も一年も置いておいたのでは局員としてもたまらぬ。だから半年くらい説得をして、どうしても払わぬというのはやはりあるわけです。そういう者は全部一応NHKの方へ転付をつけて返すということになっておりますが、これはNHKの方でその処置をどういうふうにするか聞いてみようと思いますが、まだ三裁判ざたになったということは聞いておりません。こういうことがあっちこっちも起る。それから第三十二条、なるほど理屈を言うておる者はよく言うておるのですよ。この三十二条を読んでみると、受信機の設備をしても、おれの方はNHKは聞いておらぬ、民放だけしか聞いておらぬということを言うと、やはり第三十二条が妙にばく然としたような格好に解釈がとれがちになる。この三十二条の条文だけでは確かにそうです。だからそういう点で、実際の集金をする者でも非常に因っておるし、また国民の中からもそういう声が上ってきておるということについては——特にこれは郵政従業員はそういう問題に逢着して非常に困っておるという状況でございますので、この問題についてはいずれこの予算審議の際にもう一回NHK当局を呼んで質問したいと思いますが、一つ大臣もそのときには、この問題については明確な態度を表明できるように研究してもらいたいと思うのです。なお今の答弁は一応普通の答弁でありますが、細部にわたっての、今言ったような言葉のやりとりが出てくる場合がありますので、そういう場合についての答弁も十分に研究しておいてもらいたいと思います。この問題は時間がありませんので、一応これで打ち切ります。  次に私は、やはり一般会計に属することでありますが、経理局長がおられますので聞きますが、この一般会計の、電波監理局の中で、旅費は昨年度から見ますとどのくらいふえておりますか。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 経理局長のお答えの前に、先ほどの問題について申し上げますが、三十二条を読むと、昔はこれでよかったのでしょうが、これはNHKだけしかないときの条文であって、民放がたくさん出てきたときの条文としては非常に不明確であります。これはこういうことであります。「但し、放送の受信を目的としない受信設備を設置した者については、この限りでない。」これはNHKのチャンネル番号のない受信機を特に作って設置した者は、民放だけ聞いて、おれば全然払わぬでよい、こういうものはこれは時代おくれであります。この一条を見ても放送法がいかに改正の必要に迫られておるかということは、これはもう明確におわかりになるわけであります。これは一つ次の機会に大いに私も研究いたしますが、国会でもこの聴取料の問題、今まではよいのですが、これからは民放が出てくると大へんな問題になるのです。だから法定をしなければならないというふうな考えもありますし、法定は時期尚早という議論もありますので、慎重に御審議をお願いいたします。
  37. 西村尚治

    ○西村政府委員 一般会計の旅費といたしましてはだいぶ項目があるのでございますが、ふえたものも減ったものもございますおもなものについて申し上げますと職員旅費とか赴任旅費、こういった一般的なものにつきましては減っておるわけであります。この二つにつきましてはトータルいたしまして五千万円ほど減っておりますが、業務遂行上の業務監督旅費、これは八万円ふえております。それから有線電気通信施設監督旅費といたしましては九十万円ふえております。外国旅費といたしましては百四十七万円ふえております。おもなものにつきましての概況は以上でございます。
  38. 森本靖

    森本委員 私が特にお聞きしたかったのは、昨年の委員会に私が問題にいたしましたように、有線放送電話に関する規正の法律が通った。それに対する旅費か全然ないので、めくら認可をしなければならぬということが昨年出てきた。それではいかぬので、これは一つ来年度は旅費を組んで、そうして有線放送電話については全部現場に一応視察に行くということをやらなければならぬということを、私が繰り返しこの前の委員会でも言ったわけです。その旅費が一体どのくらいふえておるかというふうに聞いたところが、今のお話ではこの九十万円に相当するわけですか。
  39. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、本省の旅費のことだけ経理局長からお答え申し上げましたが、もちろんこれもその有線放送電話と関連してふえたわけでございます。そのほかに地方旅費といたしまして有線放送電話の監督旅費が百四十二万五千円成立しております。それから同じく庁費といたしましてこれも五十九万六千円ばかり成立しております。これもやはり有線放送電話監督と関連いたしましての庁費でございます。従いまして従来はそういうものはほとんどゼロ、監理庁費はほかのもので五十一万円ほどございましたけれども、大体地方におきましては二百万円くらいのものがこの際ふえております。そういうわけでございますが、実は人間の方も要求をいたしたのでございますけれども、この点は大蔵省の見解としては現存の地方電波監理局全体として考えればそれでやっていけるはずだということを強硬に主張されまして、私どもも最後までがんばったのでございますけれども、人間は成立いたしませんでした。しかし旅費あるいは庁費の面においては仕事がやれるようにだけは見てやろうということで、今の程度のことが成立いたしましたので、これは従来の予算の成立額から比べますと、額は非常に小さうございますけれども、けたが一つ上に上っている程度の成立でございますので、まあまあこれでもって本年度はやっていくより仕方がないと考えております。
  40. 森本靖

    森本委員 こまかいことを言うようでありますが、われわれも国会において法案の審議をしてその法律を成立させた以上は、その法律の施行について、あなたたちがいかにまじめに行政指導をしておるかということについては、やはりわれわれとしては関心を持たざるを得ぬです。今あなたのおっしゃったような、地方電波監理局でも全体で二百万円とすると、通常私が知っておる範囲内では四国の通信局でも、郵政局でも、電波監理局でも、全国の大体二十分の一と見た場合妥当です。そうするとこれが十万円であります。その経費が十万円で、四県の右線放送電話に対する視察、あるいは監督というものはできっこないのです。それは私はそらで大体算用できますが、郵政局についても、電波監理局についても、電気通信局についても、そういうことが言えるのです。そうすると十万円を四つに割ったら二万五千円、二万五千円で、あの一県の広いところを、しかも今の右線放送電話がたくさんあっちこっちできておるところを、今後一年間、これは絶対できっこない。去年はこの旅費というものは一銭も組んでいないのだから、またまた机上でこれを審査しなければならぬということになりかねない。こういうことだったら、私はあの法律を通すのじゃなかった。実際にあなた方はまじめに、この法律を通していただいたら、この法律の施行については十分責任を持ってやると言われたから、われわれとしてはあの法律を通した。しかもあれは非合法的なところがあるので、それを合法的にしようということで、われわれは考えて作った。今度公衆電気通信法の一部改正が出てくるが、これに似たような問題が出てくるわけですが、そのときはそのときで私は十分にその施行についての準備をお開きしないと思いますが、私はこの問題については去年からやかましく言っておるのです。にもかかわらず、これが二百万円ということになると、一県一万五千円ということでは、どう考えてもできっこない。試みに私がここで四国の電波監理局管内に、一体有線放送電話の、今度正式に認可されたものが幾らあるか、それを聞いてても、これは明らかだと思うのです。この問題を、毎年々々大蔵省に削減せられた云々というようなことで答弁をしてもらっては困る。法律の旅行の問題ですから、この辺の問題を実際の担当官としてどう考えておるのですか。
  41. 小野吉郎

    ○小野説明員 お答え申し上げます。森本委員の御指摘の通り、有線放送電話法か成立して、その施行の万全をはかっていきます上には、現在の状況では非常な不備、欠陥があると思います。何しろ今年度の予算編成に当りまして、旅費、庁費につきましてはきわめてきびしい査定でありまして、各省を通じて従来認められたものよりも引っ込んでおるというような状況でございます。特別会計におきましても、先ほど経理局長が申しましたように、旅費の点につきましてはかなりの削減を受けておるような状況でございます。そういうさなかでいろいろ折衝を重ねたわけでありますが、金額は、非常に特殊な例として二百万円ばかりふえておりますけれども、これをもって十分とは考えておりません。何しろ今年度の予算編成方針は、この面にはきわめてきびしかったので、私どもも満足しておるわけではございませんが、将来、非常に有益な御意見を賜わりまして、その線に沿って努力し、法律施行の万全を期して参りたいと存じます。
  42. 森本靖

    森本委員 確かに官僚の答弁としてはそれで満点ですが、しかし実際の運営をする場合には、私が今言った通りなんですよ。これは私の知っておるところでも、今年度また新しく続々でき上ってきておるわけです。去年でき上ったものさえ、ろくにその指導監督もできておらぬ。今年もまた新しく申請をする。それも、結局机上でやらなければならぬということになるわけであって、万全を期するということはまことにありがたいが、実際は相当足らぬということは事実でありますので、一つ大臣としても、これはこまかい問題のようでありますけれども、法案はわれわれが責任を持って審議をし、可決して成立させた、そういう責任がありますから、一つこの問題は十分今後考えていただきたいということに尽きまするので、これはこの程度で終りますが、小さい問題のようだけれども、法律を施行するという面では非常に重大な問題でありますので、今後よくお考えを願いたい、こう考えるわけです。  次に特別会計でちょっとお聞きしておきたいと思いますが、今年度郵便局舎の建設費が、昨年度から見て削減になっているようでありますが、これはどういうことですか。
  43. 西村尚治

    ○西村政府委員 お答え申し上げます。新年度の局舎建設費といたしまして、前年度に比較いたしまして、大体表の上では約五百万円減ということになっているわけでございますが、ただこの中には、建物以外の什備品類を一億ほど前年度まではまかなっておったわけでありますが、今度物品管理法というものが施行されまして、これは需品費で買えるということになりましたために、新年度の予算からはこの予算を削ったわけでございます。ですから表面は五百万円ほど減になっておりますが、実質的にはむしろ増加になっているというふうに考えていいのではないかと思います。
  44. 森本靖

    森本委員 それから物件費の増加でありますが、物件費の増加の中の集配運送費が十六億五千三百万円ですか、かなりふえているわけですが、ちょっとこの内訳を説明願いたいと思います。
  45. 西村尚治

    ○西村政府委員 お答え申し上げます。集配運送費といたしまして、前年度より十六億五千三百万円ほどふえております。そのおもな内訳といたしましては、まず外国運送料が十億四千万円ほどふえたのを初めといたしまして、鉄道郵便車の使用料が一億九千万円、専用自動車の請負料として約三億円、それから内国の航空運送料として四千万円、おもなものとしては以上の通りであります。
  46. 小野吉郎

    ○小野説明員 ちょっと関連して御説明申し上げますが、外国への支払いの分が十億ばかりふえている、こういう内容になっておりますが、これは昭和三十二年度予算におきまして、当初にはその程度組んであったわけでありますが、仲裁裁定実施のために、いろいろ資金のやりくりをいたしまして、成立した本予算の中から、約九億ばかりの海外払いのものを裁定実施の原資に充てました。そういう関係もありますので、その補填というような意味合いにおきまして、大幅にふえております。また鉄道料の関係につきましては、昭和三十二年度において鉄道運賃の値上げがありましたが、これに対する逓送料の引き上げはやっておりません。現在運輸省とその逓送料の引き上げをどの程度にするか、運賃引き上げの関係とにらみ合せて相談中でございますが、それに対応するものであります。また自動車関係につきましては、これまたガソリン税の引き上げによりましてコスト高になっておりますが、三十二年度予算においてはこれに対応する措置がございませんので、三十三年度予算でガソリン税の引き上げに伴って多少の集配料を上げなければならなくなり、これに即応しますものが三億計上してあるわけでございます。また航空関係のものにつきましては、在来運んでおらなかった小包郵便物等も、航空郵便に利用しようということになっておりますので、そういう措置を円満に実行できますように、四千万円を計上したということになっております。
  47. 森本靖

    森本委員 私がお聞きしたかったのは、専用自動車の件でありますが、今の答弁ではガソリン税ということでありますが、ガソリン税だけでこれが三億円ということになるのですか。それとも専用自動車を、たとえば東京—名古屋間というようなところについては、鉄道と並行して速達の専用自動車を走らすというふうなことを、私はちらっと聞いておりますが、そういう経費はこの中に入っていないのですか。
  48. 小野吉郎

    ○小野説明員 その分は直接入っているとは申し上げられませんが、先ほどの三億円の自動車逓送料に関する増額は必ずしもガソリン税の引き上げのみに見合うものではございません。その他新線開設等にも対応し得るように認められたわけであります。
  49. 森本靖

    森本委員 この中で、ガソリン税の増額の分がどの程度で、それから新線に問題があると私は思いますが、その新路線の開設について何ぼ、その新路線はどことどこであるか、それをちょっと説明願いたいと思います。
  50. 西村尚治

    ○西村政府委員 新線を設けたりする関係経費が、約一億円入っております。
  51. 森本靖

    森本委員 妙にぶっきらぼうな答弁だが、その三億円の中でガソリン税の引き上げについては何ぼあって、今言った新路線の開拓で何ぼ、その残りが何ぼだ、こういう三億円の内容を聞いておるわけです。もう一ぺん御説明願います。
  52. 西村尚治

    ○西村政府委員 申しわけありません。ぶっきらぼうな答弁というつもりではなかったのであります。実はこまかい内訳の資料をここに持ち合せておりませんので、詳細御答弁申し上げられませんが、いずれまた調べましてお答えいたします。
  53. 森本靖

    森本委員 それではこの問題については後日質問をするといたしまして、新路線についても郵務局長でないとわかりませんか。
  54. 西村尚治

    ○西村政府委員 郵務局長でないとちょっとわかりかねます。
  55. 森本靖

    森本委員 それではこの新路線の開設について問題があるので初めから順番を追って聞いておるわけでありますが、いずれ今度郵務局長が来たときに聞くことにして、本日はこの問題についてはやめておきます。  それから小さい問題でありますが、通勤手当を新しく施行するということを聞いておりますが、これについての予算は幾ら組んで、いつから実施する予定ですか。それからその通勤手当についての最高限度額についてはどういうふうに考えておりますか。
  56. 西村尚治

    ○西村政府委員 通勤手当といたしましては、郵政特別会計に約六億計上されております。これは法案がどういう内容になるかわからないのでありますが、一応年度当初からという予定で予算に計上されておるわけであります。最高限その他はわかりませんけれども、一人、平均月額百九十七円という単価で積算してございます。
  57. 森本靖

    森本委員 今法案に関係があるようなことを言われましたが、この通勤手当は何かの法案に関係があるのですか。
  58. 西村尚治

    ○西村政府委員 やはりこれは一般職については給与法に関連した問題と思いますので、その方の改正案が出るように聞いております。
  59. 森本靖

    森本委員 この通勤手当は、一般会計のものについてはなるほど給与法に関係がありますけれども、この予算が通れば郵政大臣と全逓信労働組合との間において団体交渉をやって、団体交渉が成立すればこれは直ちに使えるのですよ。これは法律には関係ない。こういう給与その他については団体交渉によって成立すればそれによってできるわけです。だからあなたは今法案云々というように心配されましたけれども、一般会計のあなたちのものについては団体交渉ができて協約ができたらそれを準用すればいいわけですから、その法案については全然心配がないわけです。その点は一つ御忠告申し上げておきます。  なお、その他の予算についてもまだいろいろお聞きしたいことがありますけれども、きょうは時間がありませんので、あとちょっと大事な点を大臣にお聞きしておきます。大臣説明の中で、特定郵便局制度調査会の結論が出た、これについては重要な点はしかじかかくかくであるが、慎重に検討する、こういう説明があったのでありますが、この慎重に検討した結果というものはいつごろ発表するわけですか。
  60. 田中角榮

    田中国務大臣 これは御承知通り二カ月間も調査会の調査期間を延長した問題でありますし、ことに特定高制度に対しては賛否両論、存廃論さえ存するものに対する答申でありますから、特に省が態度をきめるには慎重でなければならない、こういうことで答申案の解釈その他に対しても今鋭意作業を進めておるわけであります。しかしこれはいつまでも延ばしておくわけにはいかないのでありまして、できるだけ早い機会にという考えを持っております。いつまでということになると、なかなか大へんでありますが、私は法案と並行して二月一ぱいにもと考えておったのでありますが、御承知通り予算審議過程でありますし、なお省提出法律案もまた作業が終らないものもありますので、もう少しゆとりが出てきてからじっくりと一つ考えて万遺憾のない結論を出したい、こういう考えでございますので、三月一ぱいくらいに出れば非常にいいというふうに考えていただいてけっこうだと思います。
  61. 森本靖

    森本委員 あまり慎重に万遺憾なきを期しておっては、内閣が交代して大臣がおられなくなっても困りますが、あなたは優秀な大臣でありますので、改造に際しても残られると思いますから、その点はよろしくお願いいたします。ただこの調査会の結論である答申案の中で、具体的にこの国会に直接関係がある事項というものは——この中でもしかりに、この制度調査会のものを総合的に全部これを受け入れるという考え方に立った場合は、直接に関係する法案の審議というものは、恩給法の改正と、郵政省設置法の中に特定郵便局という項を一項設けるかどうかという問題と、それから簡易郵便局法を改正するかという、この三つの問題に当委員会法律形態としては限定されると思うのです。そこでこれはわれわれとしても今後の法案審議の日程にも影響するわけでありますので、そういう問題についてはあなたは今国会で提案をする意思があるがあるかどうか、慎重に検討をしてやるということでありますので、そうなれば今国会にはとてもそういうことはできぬということなのかどうか、特に聞きたいと思います。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 郵政省設置法の一部改正法律案は近く御審議をわずらわす段階になっておりますので、郵政省設置法の一部改正法律案の中に特定局の問題を明確に織り込むかどうかということも考えましたが、これは先ほど申し上げた通り、答申そのものに対する省の明確な態度がまだきまっておりませんので、一応見送ったわけでございます。そうしますと簡易郵便局法改正の問題になりますが、これもただ単に簡易郵便局法の改正だけでまかなえるものは答申案のごく一部であります。これだけで能事終れりというわけに参りませんので、まだ会期は五月十八日までございますし、しかも特定郵便局制度調査会の答申に対しては五月までかかろうというのではありませんから、御相談をいたしつつなるべく政争の問題にならないように、慎重に結論を出したい、まだこういう段階でございます。恩給法の問題につきましても先ほどから申し上げておりますように、まだ答申そのものに対する省側の最終的な考えがまとまっておりませんので、まとめ上げる過程において十分考慮いたすつもりでございます。
  63. 森本靖

    森本委員 この問題はいずれ日をあらためて、一日かかっても項目別にあなたの見解を聞きたいと思います。ただちょっと事務当局にお聞きしておきたいのですが、この制度調査会の中で特定局長の任用で「部内者を特定局長に任用する場合には一律に退職の手段をとり局長としての初任給を給することが望まれる。ただし恩給年限に達しない者が局長となった場合、局長退職後の恩給については、本人が郵政職員として与えられた給与の最高額が恩給額算定の基準となるよう立法措置を講ずることが要望される。」ということで、恩給法の問題が要望されるわけでありますが、現実問題として現に郵政省の中にこういう事態が起っているわけです。それについては現実にどうやっているわけですか。
  64. 小野吉郎

    ○小野説明員 現実の問題としてはこういった線が在来明確になっておりませんので、いろいろ御指摘を受けますと多少矛盾を来たしておる面があろうかと思います。たとえば退職しないで横すべりといった例もありますし、一たん退職を打ち切って入った者もあります。そういった諸般の問題を明確に解決しますためにも、答申をいただいておるわけであります。この答申につきましては今の関係条項が、特定局長の新任、給与関係、あるいはその後の昇給の関係、さらにその答申の通りにいきますと、過去で一番高かった俸給年額を恩給のベースにするということになると相当大きな問題となるので、かなり慎重に検討しなければならぬ問題だと思いますが、そういったことを慎重を期しつつできるだけ早く結論を出したい、かように考えております。
  65. 森本靖

    森本委員 私の聞いておるのは、この答申案の結果に対する問題じゃないのです。答申案に出ておるようなことが現実の問題として郵政省の中にたくさんある。それを現実にどう処理しておるか。たとえば普通郵便局長をやっておってかなり俸給が高い、その者が一ぺん退職をして退職手当の十割増しをもらって、それで自分の俸給がぐっと下って今度特定郵便局長に任用せられる、こういう者もたくさんおる。それから一ぺん特定郵便局長に任用されて、そしてまた普通郵便局長に戻って給料が上る、そしてまた特定局長に戻ったという例もあるわけです。そういうふうな現実郵政省の内部に起っておるところの任用については、一々どう処理をせられておるかを聞いておるのです。
  66. 小野吉郎

    ○小野説明員 この点につきましては、たとえば一たん普通局長を退職して特定局長になった場合に、在来普通局長で受けておった俸給額そのものを取っておらない例はあります。これは退職手当が出たというようなこともありますし、いろいろな関係でできるだけそういった在来の俸給を参照はいたしておりますが、必ずしもその額そのままを認めておりません。そういうようなことで特定局長になるなり方も、転勤の形で退職にしないで行った者もありますし、一たん退職を打ち切って入った者もおりますので、その辺の関係現実はありていに申しますとそう統一されておらないので、答申の趣旨に従いまして検討を要する問題であろうと思います。
  67. 森本靖

    森本委員 その任用の経過はそれでわかりますが、現実に恩給措置についてはどうなっておりますか。
  68. 小野吉郎

    ○小野説明員 恩給の措置につきましては、一応退職をいたしましても特定局長は公務員でありますので、そのときに全然公務員にならなければ、退職した当時の俸給によって恩給が支給されるわけでありますが、特定局長在任中は停止されております。特定局長をやめましたときにその年限も通算いたしまして恩給が出るわけでありますが、これは今はっきりこうだと責任を持ってお答え申し上げかねるのは非常に遺憾と思いますが、現在の恩給法の建前では、恩給額は最終の俸給を基礎にすべきだと思います。そういう関係もありまして、答申でいっておるように特定局長のいわゆる業務の量、責任の度合い、複雑さ、そういった問題を参照にした初任給というものははっきりきめてありません。かなりそういう面を越えた在来の退職当時の俸給を詳しく下げない程度で特定局長になっておる。従って現実の問題としましては、その後の特定局長に在職しておられた期間に昇給もいたしますので、恩給額といたしましては特定局長をやめられたときの最終俸給を基礎にとりましても、さして損はないということになろうと考えております。
  69. 森本靖

    森本委員 この問題はいずれこの制度調査会の結論審議する際に重要な事項になるのでお尋ねいたしますが、今の次官の答弁はまだ確信があるような答弁とは考えられませんので、事務当局も十分に研究しておいてもらいたいと思います。  これで郵政関係の質問は終りますが、電電公社の副総裁がせっかく来ておられますのでちょっとお聞きしておきます。この間新聞に、国鉄は各駅の電報取扱いを採算が合わぬから全部廃止するのだということを電電公社に申し入れているということがありましたが、これは事実ですか。それともそれは一応新聞に載っただけの記事であるか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。  もう一点は、この間予算分科会でわが党の小松委員が質問しておったとき、電話の問題について大臣とそれから総裁との間においてやりとりがありましたが、子供の教育という問題についてこの際お聞きしておきたいと思います。電電公社は小学校、特に奥地の小学校に対して電話教育という面から、電話機の機材を安く配給するということを計画しておったはずであります。これが昨年度どのくらい計区画しておって、本年度さらにこれを一どのくらい増額しておるか、そのことについてちょっとお聞きいたしたいと思います。
  70. 靱勉

    ○靱説明員 第一の御質問に対しましては今おっしゃったような損をしておるから全部やめてしまうという意味合いではありませんが、音響通信をまだ徹底してやっておりますところについては、これを廃止いたしたいというような希望が出ております。私どもといたしましては、駅におけるところの電報取扱いというものにつきましても、できるだけ電報受付の窓口機関はやりたいということで、御案内のように赤電話等をやっている次第でありますから、国鉄の方と十分相談いたしまして、これについては円満な措置をとりたい。廃止しようというような考えはないのであります。委託関係になっておりまして、先方の非常に赤字になるというような点もあるようであります。そこらはよく協議して決定いたしたいと思いますが、まだそれは結論を得ておりません。  それから第一の問題につきましては、この間の御質問のあれが電話の技術と申しますか、電話の教育をするために、その加入電話を長く使うというような意味合いの質疑応答であったとは思いませんが、今の御質問の趣旨ですと、要するに電話知識について小学校においてもやるというような意味合いにおきましては、設備の機械といったものも年々御希望によりまして相当寄付しております。本年度どのくらいやるか、前年度どのくらいやったか、この数字は正確には覚えておりませんので、御必要ならばまたお答えいたしますが、そういうような処置は在来ともやっております。
  71. 森本靖

    森本委員 山奥の町村の小学校なんかに行くと、中身はなくてもいいから、電話機の外側だけでも貸してくれという小学校が相当ある。この問題については一つ十分に考えていってもらいたいと思います。  それから最初の駅の電報廃止の件であります。これは国鉄と十分に協議をする際に、小さな駅等についてはこれは別でありますけれども、少くとも県庁所在地というようなところについては向うさんが廃止をするというなら、場合によっては公社は公社としてサービス・センターの拡充強化ということを考えていってもいいのじゃないかということも考えられます。そういう点についても今日人員の合理化という問題が非常に大きく持ち上っている際に、一つ大きな駅等については、そういうサービス・センターを公社の直営で設置するということもこの際考えていっていいのじゃないか。もちろん小さな駅等については従来のように委託していかなければならぬと思いますが、その辺は公社自体としても十分研究をして、国鉄と折衝してもらいたい、こう考えるわけです。  それから最後に一つ、きのうの夕刊に出ておりましたが、これは私がしばしばこの委員会においても質問をいたしておりましたけれども、答えがなかったわけでありますが、北京と東京との間における国際電話が、近く中共との間に話し合いができて開通するということがちょっと載っておりましたが、この詳細なことについてちょっと説明を願いたいと思うのです。
  72. 松田英一

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。中共と日本との間の電話の問題につきましては、前国会においても御質問を受けまして、さっそくその趣旨によりまして国際電信電話会社に命じまして先方と接触をとらせまして、いろいろと交渉をさせておったわけでございます。その結果、大体ことしの初めごろになりましてまあやれるという見当がつきまして、御承知のように無線電信は前からやっておりますので、問題は無線電話だけでございますが、無線電話について北京と東京の間でやりたい、それから写真電報もやりたいということで大体の話はまとまっているのでございますが、日本側のアンテナの施設等を整備する必要がありますので、その実施は若干おくれることになりまして、多分三月ごろになるだろうと思うのでありますけれども、ある新聞に載っておりましても、私の方へその正式の申請というものがまだ参っておるわけではございませんので、そういう経緯になっておるという話だけは私ども承知しておりますことをお答え申し上げておきます。
  73. 森本靖

    森本委員 私はこれ以外に上海の有線の海底電線の問題についてもお聞きしたいと思いますが、きょうはあと予定の時間があるそうでありますので、私はあとの質問は後日に譲りまして、私の本日の質問はこれで打ち切ります。
  74. 片島港

    片島委員長 次会は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十三分散会