○
小林(與)
政府委員 簡単に逐条に
補足説明を申し上げたいと思います。
第一は、
地方財政法の
改正の問題でございまして、そのうちの
四条の三を
全文改正をし、それに関連して
四条の四を設けております。現在でも
地方財政法の
四条の三におきまして、
地方公共団体における
年度間の
財源調整の
規定がございまして、ある場合には積み立てて
地方債の
償還財源に充てる等の
規定を設けておるのでございます。しかしながら、現在の
規定は少し不十分でございまして、
現行法によりますと、
交付税の額とその算定に用いた
基準財政収入額との
合算額が、
基準財政需要額を著しくこえる場合に積み立てる、こういう
趣旨の
規定になっておるのでございます。具体的に申しますと、
特別交付税がふえた場合しか、実際問題は適用がないのでございまして、これはむしろ
特別交付税の問題でなしに、税収をひっくるめた
一般財源が
例年度よりも著しく
伸びた、つまり通常の
経済の
伸び以上に著しい
一般財源の
伸びがあった場合におきましては、そうした異常な事態が将来必ずしも続くわけではございませんので、後
年度における
財源調整に備えて、その一部を積み立てる等の
措置を設くべきものといたしたのでございます。
もう
一つは、
現行法によりますと、その場合にも
災害その他やむを得ない
事由がある場合を除いて積み立てる、こういう
趣旨になっておりますが、
災害その他やむを得ない
事由というのが、必ずしも明確でありませんので、その点をなるべく明確にしょう、こういうことで、
災害によって生じた
経費の
財源または
災害によって生じた
減収の
補てん、あるいは前
年度までに生じた
赤字の
補てん、その他緊急に実施することが必要になった大
規模な
土木その他の
建設事業の
経費その他必要やむを得ない
経費、当然
自治団体の経営上どうしてもやむを得ない臨時的な
経費等を別にいたしまして、著しくこえることになった
部分について、その
部分だけ
財源調整のために積み立てる、その
趣旨を明らかにいたしたのでございます。
それからもう
一つは、
現行法によりますと、「積み立て、又は
地方債の
償還財源に充てる等」と、こういう
趣旨になっておりまして、単に
地方債の
償還費に充てればいいということになっておるのでございます。しがしながら、これらの異常の
収入があった場合には、むしろ繰り上げ
償還等の特別の
措置をしなければ意味がないので、積み立てるか、あるいは繰り上げ
償還を行うような形に
建前を改めたわけでございます。しかしこの
規定は、いずれも
地方団体の自主的な
財政運営の
基本方針を書いたのでございまして、直接これを指揮したり監督したりするという問題は全然ないのでございまして、
団体の
自主的財政運営の
基本方針として、それぞれの
団体が自主的にこの
法律の
趣旨によって行うことを、
法律といたしまして期待することにとどめたのでございます。
それからこの
積立金の
始末の仕方を書いておかなかったならば、この
積立制度がなくなりますので、
四条の四でこの処分について、処分する場合を列挙することにいたしたのでございます。その場合は、
経済事情の
変動等によって、後
年度において
財源が著しく不足する、そういう場合は当然そういうために設けた
積立金ですから、使ってもよろしい。その他緊急に実施することが必要になった大
規模な
土木その他の
建設事業で、臨時的な
経費でやむを得ない
経費が多額に要ることがあるのでございます。そういうためには、この
積立金制度を活用するということがきわめて適当でありますので、これを活用する。その他
災害の
始末とが、あるいは繰り上げ
償還等の場合に
積立金を用いることにいたしたのでございます。
それから次に第七条の
規定を若干
改正いたしておりますが、第七条も、これは国の
財政法と同じ
趣旨の
規定でございまして、決算の
剰余金があった場合には、二分の一以上の金額を
地方債の
償還財源に充てるということになっておるのでございます。それを単なる
地方債の
償還財源でなしに、これも積み立てるか、繰り上げ
償還に充てるようにするように改めることにいたしたわけでございます。
次は十二条の二でありまして、
債務保証等の
制限に関する
規定を
財政法に入れることにいたしました。この
規定は、実は別途
参考資料でお配りしてございますが、現在
法人に対する
政府の
財政援助の
制限に関する
法律というのがございまして、
政府または
地方公共団体は、
会社その他の
法人の
債務については
保証契約をすることができない、ただし
大蔵大臣の指定したものについてはこの限りでないという
現行法が、
昭和二十一年に設けられまして
運用されておるのでございます。これによりますと、
政府のやる場合は別といたしまして、
地方公共団体が
債務保証をするのを
大蔵大臣の
承認にかけるということは、
地方財政の
運営から申しまして筋が違うのでございまして、もし必要があれば
自治庁長官が当然これは
始末をすべき問題なのでございます。そこで今度大蔵省と話をつけまして、今の
法律から
地方公共団体を削りまして、
地方公共団体に関するものは
財政法の
一般規定の中に取り入れることにいたしたのでございます。現在は一々
大蔵大臣の個別的な
承認になっているのでございますが、ものによりましては
法律または
政令で一般的にそういうものははずした方が、
地方団体の行政の実態に合いますので、ただし書きを設けまして、
法律または
政令で定める場合はこの限りでない、一般的な排除の
規定を設けることにいたしたのでございます。なお個別的に
審査する必要のある場合もあり得ましようから、
政令のうちに、
自治庁長官の
承認による場合という
規定もあわせて入れることにして、実際の
運用に支障のないように考えたいと存ずるのでございます。
その次は二十七条と二十七条の二、二十八条の二を
改正いたしております。これは従来からいろいろ議論になっております
都道府県と
市町村の間における
負担区分を、もう少し明確にする必要がある。つまり
地方財政の問題は基本的には国と
地方団体との間において、
財源の
配分その他
負担区分の適正を期するという大きな問題が
一つございますが、それとともに
都道府県と
市町村との間においても、やはり
負担関係を明確にしなければ、
都道府県がしばしば
負担金等の名前において
市町村に個別に、ばらばらに、いろいろの
負担を命じておることが少くないのでございます。そのやり方につきましては何ら規制がございませんので、各県の思い思いにやっておりまして、ずいぶん極端な
負担を
市町村に命じている場合があるのでございます。思うに
府県の
仕事としておるものは
府県が
負担をするのは当然のことでございまして、
財源の
配分の上におきましても、
財政計画なり
交付税の
配分の場合などには、当然そういう前提でやっておるのでございますが、それがさらに
市町村に転嫁される。これはある程度の限度を置くべきでございまして、そこでそれぞれの
仕事につきまして
政令で
一つの
基準をきめ、その
基準の範囲内において
府県が
市町村に
負担金を命ずる、そういう仕組みにいたしたいと思うのでございます。こういうことでありますれば
府県と
市町村の筋道も立ちますし、またわれわれの方といたしまして
財源の手当をする場合には、その
政令の
基準に従って
市町村で見るべきものは
市町村で見る、こういう
建前をとりたいと思うのでございます。そこでそういう
趣旨の
規定を二十七条及び二十七条の二に入れることにいたしたわけでございます。その場合のそれぞれの
事業につきまして、
道路なり河川なり、
仕事によって違うと思うのでございまして、それは何も
財政法の
施行令で一本に書く必要はありませんので、
道路法なら
道路法の
施行令で書けばよい、
海岸保全法なら
海岸保全法で
始末をしてよいのでございますので、それぞれ
法律で
府県が
市町村に、
負担金を取れるという
規定のあるものは、その
関係法律を改めて、
政令の
基準に従うようにしろ、こういうふうに改めたのでありまして、そういう
関係法律の
改正を
附則であわせて行うことにいたしたのでございます。それからなお二十八条の二におきまして、そうした
負担区分が明瞭になっている場合においては、その法令の
趣旨に従ってそれぞれの
団体が
経費を
負担すべきであって、みだりに他の
団体に押しつけるということのないようにすることを明らかにしたのでございます。この極端な例が
義務教育教職員の
経費を
市町村が
負担しておる、これはしばしば問題になっておるのでございまして、今度別途
義務教育の
標準定数などというものができる、それに対して
交付税で
財源を保障する、そういう場合には当然
府県が払うべきものは
府県が払う、
市町村が払っておりますと
身分も本人も安定しない、恩給などもつきはしないし、
成規の職員でないので、
身分上も
財政上もすこぶる筋が違うのでございます。そういうものは筋をはっきり立てなければ、ほんとうに
地方財政の
健全性が確保できませんので、その
趣旨の
規定を二十八条の二に入れることにいたしたのでございます。
それからその次は、
地方財政再建促進特別措置法の二十
四条を
改正いたしております。この二十
四条は、御
承知の
通り国に対して
地方公共団体は
寄付その他の名儀で金を出してはいかぬ、こういう
趣旨の
規定が現在あるわけでございます。これは国でやるべき
仕事は当然国の
責任でやるべきでありまして、御
承知の
通りに
市町村あるいは
府県にいろいろな形で
経費を押しつけるということは筋が違うので、現在それは禁止されております。しかしながら実際見ておりますと、国といいましても国だけではやはり狭いのでございまして、国に準ずる
公社とか
公団、
公庫等につきましても、類似の事例が少くないのでございまして、そういうものも国と同様に扱うことが筋だろう、こういうことでこれを入れることにいたしたのでございます。もっともこの
現行法によりますと、
施設を移管する場合は、
自治庁長官の
承認を得れば差しつかえないことになっておりますが、また場合によっては全然絶対禁止ということもかえって狭過ぎる、動きのつかぬこともありますので、この
施設の移管その他やむを得ないと認められる
政令で定める場合には、除外の道をあけておく、穴をあけておいた方が実際の
運用も適当だろう、こういうことでそういう
趣旨の
規定を入れることにいたしたのでございます。
大体以上申しましたのが
改正の中身でございまして、
あとは
経過措置といたしまして
債務保証とか、こうした
公社、
公団等の
寄付につきましては、経過的に現にやっておるものは当然それは差しつかえない、そういう
趣旨のことをこの
附則の二項、三項に入れることにいたしたのでございます。
その
あとの
附則の
規定は、先ほど申しました
関係法律の
改正でございます。
以上が今度の
改正の
内容でございまして、われわれといたしましては
地方財政の問題は
地方財政の
財源を確保する、こういう問題が
一つあるとともに、国と
地方団体の
負担関係を適正にする、それが
一つ。それからいま
一つは
府県と
市町村の間を適正にする、それが
一つ。それからさらにいけばこの
地方団体と
住民の間の
負担を適正にする、こういう問題が残っておるのでございまして、
税外負担等、
公費で
負担すべきものは当然
公費で見るような
始末を考えなくてはいかぬのでございますが、この問題は
地方の
財源の充実と兼ね合せて考えなくてはいけませんので、今回におきましてはわれわれも努力いたしましたけれども、その
力足らず、その点は十分な
措置ができておりません。この問題は将来の問題にいたしまして、ともかくも
府県と
市町村の間、国及び国に準ずるものと
地方団体の間、並びに
地方団体自体が
年度間にわたって合理的な
財政運営ができるような土台を作る、そういう点につきまして
改正することにいたしたのでございます。