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1958-04-08 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月八日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 亀山 孝一君    理事 纐纈 彌三君 理事 徳田與吉郎君    理事 川村 継義君       加藤 精三君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    楠美 省吾君       渡海元三郎君    早川  崇君       古井 喜實君    松澤 雄藏君       渡邊 良夫君    大矢 省三君       北山 愛郎君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         自治政務次官  中島 茂喜君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政局         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 四月四日  地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する  法律案中井徳次郎君外十一名提出、衆法第一  二号) 同月七日  大工、左官及び板金業者事業税軽減に関する  請願中井徳次郎紹介)(第二七一八号)  中小企業事業税撤廃に関する請願犬養健君  紹介)(第二七一九号)  同外三十二件(笹山茂太郎紹介)(第二七二  〇号)  同(櫻内義雄紹介)(第二七二一号)  同外十二件(島村一郎紹介)(第二七二二  号)  同(林博紹介)(第二七二三号)  同(眞鍋儀十君紹介)(第二七二四号)  同(村上勇紹介)(第二七四七号)  同(井原岸高紹介)(第二七七四号)  同外一件(八田貞義紹介)(第二七七五号)  同外二十件(保利茂紹介)(第二七七六号)  同外六件(大橋武夫君外一名紹介)(第二八一  九号)  同外五件(大村清一紹介)(第二八二〇号)  同(小西寅松紹介)(第二八二一号)  同(永田亮一紹介)(第二八二二号)  同(山手滿男紹介)(第二八二三号)  同外十九件(井手以誠君紹介)(第二八四〇  号)  同外三件(加藤高藏君紹介)(第二八四一号)  同(菊池義郎紹介)(第二八四二号)  同外九十三件(首藤新八紹介)(第八四三  号)  同外十四件(楢橋渡紹介)(第二八四四号)  同外八件(福田篤泰紹介)(第二八四五号)  同外二十六件(淵上房太郎紹介)(第二八四  六号)  同(松本俊一紹介)(第二八四七号)  同外五件(松岡松平紹介)(第二八四八号)  元狭山村の瑞穂町合併反対に関する請願(福永  健司君外二名紹介)(第二七四三号)  亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願  (佐々木更三君紹介)(第二七七七号)  同(横路節雄紹介)(第二七七八号)  地方財政再建等のための公共事業に係る国庫  負担等臨時特例に関する法律有効期限延長  に関する請願鈴木善幸紹介)(第二七七九  号)  町村議会事務局設置に関する請願外六件(生田  宏一君紹介)(第二八三九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇五号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長代理 これより会議開きます。  本日は矢尾委員長が所用でありますので、私が委員長の指名により委員長の職務を行います。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。川村委員
  3. 川村継義

    川村(継)委員 次官と課長がおいででありますから、私二、三点お伺いいたしたいと思いますが、実はこの前の委員会のときに地方交付税の総ワクの問題についていろいろお聞きしたのでありますが、そのときに交付税算定基礎の中に公債費元利償還の問題が入っております。これは大臣提案理由説明の中にも公債費問題を恒久的に解決する、こういうふうに述べられておるのでありますけれども、恒久的に解決するというその真意がはっきりしませんでしたので、大臣はこの前もいろいろ答弁しておられたようでありますけれども、あらためて自治庁当局考えを明らかにしてもらいたいと思います。と申し上げますのは、私が申し上げる必要もありませんけれども、さき国会公債費対策問題について、われわれは交付税の中に元利償還対策を織り込むということは筋が通らない、いわゆる算定されておりますところの特別措置債の問題にしてもあるいは特定債の問題にしても、これは国の一方的な都合によって、あるいは国の責任でこのような事態が生じておるのであるがら、これは別途法律をもってこの公債費対策を処置すべきである、そういう見解さき国会ではいろいろ論議してきたのでありますけれども、昨年は八十六億のひもつきの形で、実は処置されてきたわけであります。今回は交付税の中に入ってきておりますが、それによって大臣おたりはこの公債費問題を恒久的に解決する、こういう考えを持っておられますけれども、この点が先ほど申し上げますように、その考え方についてもどうも不明確なところがあるようでありますから、ここで重ねてお伺いするわけです。この恒久的に解決するという意味は、いわゆる特別措置債といわれるもの、特定債といわれるものを交付税の中に見てやるから、地方団体はその元利償還については間違いなく、この交付税で見てやる分の額は国が処置したのであるから、その償還については当然誤まりがないようにしなければならぬ、こういう意図を織り込んで考えられてあるのかどうか。公債費元利償還は、これば交付税の中に見てあろうとなかろうとその償還をするということは当然地方団体責任ではありますが、今度交付税の中に単位費用として見たということ、償還費を見てあるから、必ずその分に応じたものは間違いなく元利償還をしていかなければならぬ、こういうことで、この前もちょっと議論になりましたように、いわゆるひもつき考え方考えられて恒久的に解決する、こういうような見解に立っておられるのがどうが。その辺のところを一ついま一度御説明を願いたいと思います。
  4. 柴田護

    柴田説明員 公債費の問題の処理の仕方につきましては、二つ考え方が実はあると思っておるのでございます。一つ一般財源を与えるべくして与えなかったのであるから、従ってその公債費に見合うものにつきましては特定財源を与えようという、いわば元利補給方式と申しますか、そういったやり方一つございます。もう一つやり方といたしましては、公債費先ほどお話のありましたように義務費でございますので、一般財源を与えればいいのじゃないが、特に特定した財源を与える必要はないのではないかという二つ考え方が成り立とうかと考えるのであります。この間にいろいろ本委員会でも国会でも御議論がございまして、いろいろ経過があるのでございますけれども、結果的には地方交付税増率によって始末をするという結果になっておるのであります。それはお話がございましたように、交付税で与えるのでございますから、もとよりひもつきではございませんで、一般財源を与える与え方、つまり公債でもって処理したそのあと始末というものを、元利償還金に見合うだけの一般財源を与えることによって始末する、そういう意味交付税計算の中にそれを織り込むという意味でございまして、特にひもつきでこれを与える、交付税ひもつきにするという意味ではないのでございます。
  5. 川村継義

    川村(継)委員 そのような御意見はこの前もあったように思いますが、もしも私たち考えておったように、公債費対策を、別の方面から財源を求めて、別の法律でその対策を処置していった、こうするならば、今回二七・五%に引き上げられました交付税の額というものは、そっくりそのまま地方自主財源となって大きく生きていく、こうわれわれは見ておるわけであります。ところが今度せっかく二七・五%に上ったけれども、一・五%引き上げられたけれども、その中には一般財源として公債対策を見るという考え方はありましょうけれども、それが入ってくるので、実は公債費対策元利償還というようなものを念頭に置いて交付税増額を見ていけば、さっき申し上げましたように、それが別の方法で処置された場合よりは、地方団体がこの交付税の恩恵を受ける度合いというものは非常に少くなるのじゃないか、こう考えるのですが、その点はそういうふうに考えて間違いないのでありますか。
  6. 柴田護

    柴田説明員 一・五%の率の引き上げの問題につきましては、御承知通り公債費問題の処理ということとあわせまして、昨年行われました減税のはね返りというものの始末というものも含まれておるわけでございます。従いまして御指摘のようにもし一・五%引き上げましたほかに、別途に公債費対策というものが成り立つ余地があるじゃないかと言われれば、そのこと自体については御指摘通り考えます。従いましてかりにそのようなことが行われるといたしましたならば、地方財源はそれ、だけ裕福になったということも御指摘通りかと考えます。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 特別措置債特定債といわれるような分が交付税の中に見てありますけれども、この前もちょっと申したと思うのですが、特別措置債のごときは、これはどこから考えても国が全責任を持って処置しなければならないものだ、こう考えているわけです。特定債についても、これはもちろん元利ともに見てもらえばいいわけなんですけれども、特にその中の交付公債のごときは、少くとも利子は完全に国で見なければならぬ、そういうものじゃなかろうか、こう考えておるところに交付税の中に入ってきた。交付税の一・五%の引き上げということは、何もわれわれとしては公債費対策のためにこれを引き上げる、そういうふうには考えておらなかったわけでありますが、今日の地方財政状況からして、あるいは富裕県、あるいは貧弱な地方団体、こういうものの財源の調整、そういう意味からしてあるいは地方財政計画上のいろいろな不備な点を見てやる、地方行政水準引き上げる、そういう大きな財源として何としても交付税を一・五%引き上げなければならぬ。ところが交付税がそのようにして引き上げられ、配付されるということは、その金はそっくり実は地方団体がみずからの権利としてとるべき財源だろう、私はこう思っているわけです。ところがその交付税のほかに、また別の形で国が見なければならぬいわゆる特別措置債のごときものが、その中で処置しろということになると、何か国は名目を与えて、実は自分でとって、いわば交付税引き上げたからという形で二重に搾取しておる、そういう考え方が出てきてしょうがない。だからして特別措置債のごときものは、この前も申し上げましたように、これはやはり何とかして別の形で財源を与えるべきであったんじゃないか。それが交付税の中に出てきたということは、どうも納得のいかない考え方がわいてくる、こういうことであります。しかし、まあ自治庁当局のいろいろな説明もあるようでありますけれども、私たちとしては、今申し上げますように、交付税の中にそっくりこのような形で入れて、そして公債費対策を恒久的に解決した、こういうように高らかにうたい上げるということについてはやはり疑問が残る、こういうことであります。  次に、ちょっと数字にわたりますが、財政計画に初めちょっと触れて、財政計画の中の問題でございますが、自治庁がら出しております資料の中に義務教育費国庫負担金の額が出ております。その財政計画に載っておるのは九百五億六千四百万円になっておる。この九百五億六千四百万円の義務教育費国庫負担内訳は、いわゆる義務教育費国庫負担法に基く教職員関係給与教材費、それだけであろうと私は思うのですが、その内訳をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  8. 柴田護

    柴田説明員 財政計画に上っております数字中身は、いわゆる教職員給与に対します国庫負担金教材費でございます。教材費中身はたしか十五億だと考えますが、ちょっと資料をとりまして御報告申し上げます。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 今おっしゃったように、教材費は十五億、結局地方負担分を合せて三十億ということになりますね。それから教職員給与恩給費関係で八百九十億一千四百万、こういうことであろうと思うのですが、昭和三十三年度地方団体歳入歳出総額という資料がありますね、その資料を見ていただきますと、今の額についてちょっと疑問が起るのです。昭和三十三年度地方団体歳入歳出総額見込額、その中の八十ページをあけていただくと、国庫負担金に基く経費内訳として、文部省の欄に、いわゆる義務教育職員給与並びに教材費、こうあげてありまして、今私が申し上げたような数字が出てきます。給与及び恩給費が八百九十億一千四百万、教材費が十五億。そこで地方負担分がその同額で経費総額が右に書いてある。そうすると、この(1)(2)の総額合計いたしまして千八百十億二千八百万円になると思うのです。ところが今度は三十七ページを見ていただくと、義務教育関係費としてそこに地方負担分が九百五億六千四百万、その合計が一千八百十一億二千八百万、こういうことで、八十ページの負担総額は一千八百十億二千八百万になるのだけれども、三十七ページの合計額はそれよりも上回っている、これはどういうことですが、これをちょっと説明しておいていただきたい。
  10. 柴田護

    柴田説明員 義務教育費国庫負担金教員給与費分は、御指摘のように八百九十億一千四百万、教材費が十五億であります。この数字と、地方団体歳出にあげられております義務教育関係費総額が違いますのは、交付税の参ります交付団体分につきましては、国庫負担金の倍額がそのまま給与費としてあげられております。それは実額負担でありますので、実額の倍のものが給与費になっております。ところが地方交付税の参りません不交付団体分つまきしては、御承知のように義務教育国庫負担金につきましては政令による制限がありまして、頭切りをいたしております。ところが財政計画上の計算といたしましては、歳入には国庫負担金の額をそのままあげております。つまり制限を加えました額をあげてありますが、歳出は、不交付団体教員単価を使いまして、上回った単価計算をしている。その関係の差額がその食い違いになって出てきております。これは従来からそういう計算方法をいたしておりまして、そういたして参りませんと、不交付団体義務教育職員費の実態に沿わぬものでございますので、経理といたしましてはそういう計算をいたしておりますが、ただ国庫負担金につきましては、現実に頭切りで押えたもので計算されるものでありますので、国から出ます負担金額をあげておるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 今の点はわかりますが、そうなりますと、今の八十ページの国庫負担額は、合計して九百五億一千四百万、こういうふうになっている。財政計画の上ではそれが九百五億六千四百万となって、五千万円差が出ている、この五千万の差は今の説明の差と見てさしつかえありませんか。
  12. 柴田護

    柴田説明員 御指摘通りでございます。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 それからもう一つの問題は、御承知通り今度の補正予算で四十二億の義務教育国庫負担費用が追加された、昨年は十七億だったと思うのですが、追加された。こういうふうに年々——これはもちろん精算してみなければわからないということもよくわかります。わかるけれども、こうして年々不足額を追加いたしてきております。特に三十二年度のごときは、四十二億という膨大な額に上っているわけですね。ところが、この不足をまかなってきている地方団体のいわゆる財政上のやりくりというもの、これはやはり相当な苦労がある。ずいぶん財政の運営に支障を来たしているのじゃないかと思う。ところが財政計画の上には追加分などということは考えられていない。こういう点について、自治庁としては一体どう考えておられますか。やはりこれは仕方がないのだと見送っておられるのか、何か対処をしなければならぬというお考えがあるのか。で、こういうような形において措置されてきますと、常に、皆さんの方で義務教育関係の問題を取り上げられていろいろ考えておると、こう言われても、地方団体教育費をまかなっていく上においては、ずいぶんのやりくりがあるし、またその点から、教員給与その他について大きな教育上のマイナスが出てくることは必至であります。で、教職員についての非常に大きな人員整理を要求されたりあるいは昇給、昇格のストップが行われるということも、こういう点に一因をなしておるのじゃないか、こう思われるのですが、先ほど申し上げますように、自治庁当局はこういう問題をどのように考えておられるのか、あるいは対処したらいいというような考えがあるのか、その辺のところはどうでございましょうか。
  14. 柴田護

    柴田説明員 お言葉通り義務教育費国庫負担金精算が年々おくれております。この問題につきましては、これまたお言葉のように地方団体は非常に苦労いたしまして一時借入金をいたしまして、その問の間差を埋めておる、こういうのが実情でありまして、こういう状態は決して望ましい状態ではございません。常に文部当局なり大蔵当局に、当初の見積りにつきまして正確を期してもらいたいということを話しておるわけでございますが、遺憾ながら毎年違う。違う原因はどこにあるかと申しますと、一つは恩給の支払額、それから退職手当支払額、この部分が大きく違っておるのが実情であります。ここ数年間、いろいろ高給者整理等で新陳代謝が行われてきておるのでございますが、そういうところから当初その間の関係を、いずれ精算だからというような安易な気持も多少あったのじゃないかと、私たちは実は想像するのでございますけれども、そこに大きな精算残が出ておるというような状況でございます。私たちはもちろん常に注意を喚起し、改正なりあるいは改善をお願いしておるのでございますけれども、遺憾ながら、昭和三十一年度におきましては、非常にその間差が大きく出てきてしまった、こういうのが実情でございます。今後とも十分この間につきましては、関係当局にお願いいたしまして、そういう大きな間差の出ないようにいたして参りたいと考えております。  なお、財政計画上の始末の問題は、数年前までは実は義務教育費国庫負担金にかかわりなく、給与費財政計画計算をいたしまして、その特定財源として義務教育費国庫負担金を引いていた時代がございますが、こういたしますと、その財政計画上の積算基礎というものと義務教育費国庫負担金積算基礎というものが符合いたしませんで、世間にいろいろ誤解等を与えますので、その態容をたしか三十一年から改めまして、今日のような姿になっておるわけでございます。従いまして本筋から申しますならば、精算が行われますとするならばさかのぼって過去の、財政計画を直していくというような格好に行くべきものでございますが、ただここ数年は、税も財政計画以上に自然増収もございますし、その部分地方団体負担分につきましては大体まかなわれておるということが言えますので、特に財政計画を補正して新たな財源措置をするというような手続を省略しているようなわけであります。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 御承知通り教員のこのような義務教育関係費用だけ見ても、私はこのやりくりについては相当地方団体はやはり苦労しているんじゃないか、こう思うのでありますが、給与費関係を見ても、年々給与費は是正されておるようには見えます。本年も昨年に比べて二百九十六億余りの増加は、これは当然のことでありましょうけれども、見込んであるわけです。ところがどうもこれは決算計画を比較するということはどうかと思うのでありますけれども、決算に比べて計画が非常に少い。決算額よりも計画額が非常に下回っているということは、先ほども申し上げます通りに、財政計画の上でもっと考慮しなければならぬ重大な問題があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。たとえば給与費の年々の決算計画額を比較して参るならばわかるわけでありますが、これはいつぞやも申し上げたわけでございますが、三十一年度決算と三十一年度計画を比べてみると、そこに五百四十九億七千万という大きな開きが出ておる。三十一年度決算と三十一年度財政計画数字というものは、五百四十九億という大きな開き給与費の上に出てきておる。そこでこの三十二年度計画と三十一年度決算を比べてみても、なお百二十八億というマイナスがあるわけです。こういうものをもう少し厳密に計算をして計画上に織り込んで、そして財源の裏打ちをするという処置をとってもらわなければ、地方団体給与費関係をまかなっていく上については、大きな支障があるのじゃないか、こういうことであります。この点については、これは私はやはり地方財政計画の上において、もっともっと考慮してもらう必要がある、こういうふうに考えておるわけですが、この点は一体どういうふうに考えておられるか。  それから本年度財政計画消費的経費、あるいは投資的経費等の割り振りをちょっと見てみますと、自治庁地方財政の指導の重点として、投資的な経費重点を置いて、地方行政水準引き上げていこう、これは非常にけっこうなことでありまして、決して異論はありません。ところがワクのはまった一つ地方財政の中で無理をすると、またそこに思わないところの支障が生まれてくるのじゃないか。と申し上げますのは、三十三年度財政計画消費的経費と、三十二年度消費的経費の増減の比較を見てみますと、三十二年度は三十一年度に比して、消費的経費増加は、ひっくるめまして大体八%程度財政計画上はなっておる。三十一年度と三十二年度を比べて参ると、三十二年度の場合には消費的経費総額増加は八%程度である。ところが三十三年度は三十二年度に比べて消費的経費増加は五・一%になっておる。ということは、消費的経費全般が非常に大きく押えられておる、こういうことも一面考えてみなければならぬと思う。もちろん投資的経費は、さすがに三十二年度は三十一年度に比べて七・五%くらいの増加率であったのが、本年度は一〇%をこえておる。これは投資的経費にうんと力を入れておる、それで地方行政水準を伸ばしていこう、こういう考え方から出ておるに違いありませんけれども、今申し上げますように、職員給与、あるいは警察職員給与にいたしましても、そのほかの消費的な経費にいたしましても、これはほとんどが義務的なものが多いのでありますし、このように消費的経費を押え過ぎると、またそこに非常に無理が出てきて、地方財政を混乱させるという状態もあるんじゃないか、こういうことを考えるわけです。本年度財政計画を見てそういう印象を私は受けます。くどいようでありますけれども、先ほどから一、二給与関係のことを申し上げましたが、そういうような給与一つ考えてみても、そのやりくりについて当然なさなければならないものが、計画上それだけを見ていない、あるいは財源措置考えられないということになると、せっかく投資的経費の方にこういうふうに計画上は力を入れるということになっておっても、実際は何のことはないというような結果に陥るんじゃないか、こういうことを考えざるを得ないのですが、その点についても一つお答え願いたい。
  16. 柴田護

    柴田説明員 三十一年度計画決算との給与費関係開きは、五百六十三億ばかりでございます。そのうち議員、委員の報酬に関します部分が二十二億円、あと五百四十一億円見当が、これがその他のいわゆる給与費関係開きであると私たち考えております。ただこの内訳を精査いたして参りますと、この財政計画では、補助職員関係給与費は、その他の国庫補助負担金を伴いますその他経費の中にぶち込まれております。それからこの計画の中には、義務教育費の今の精算分が入っておりません。また期末手当の〇・一五カ月分のものも計画上は無計上になっております。こういうものをずっと計算して引いて参りますと、両者の差額は、大ざっぱに申し上げまして百二、三十億円になるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。そのうちで計画と実際との開きの非常に大きいものは、百二、三十億円のほかに、退職手当の差が九十億円ばかり、約百億円近く退職手当の差がございます。これは合併の進行等に伴いまして、いろいろ退職手当財政計画で織り込まれている以上に要ったということを物語ったものでございます。言いかえますれば、退職手当の率と申しますか、退職手当計算の率が財政計画上低きに過ぎはせぬかという点が、一つの問題点でございまして、本年度計画でも少し直しましたけれども、正直なところまだ十分直っておりません。それと、あと百二、三十億のものは何かということに結局なるわけでございまして、これは一つ給与単価の問題もございましょう。いま一つは人員の問題が実はあろうかと思うのでございます。特に府県分につきましてはさほど違っていると考えておりませんけれども、市町村分につきまして、施設の新設と申しますか、そういうものと、それから計画上の人員というものの差。施設の新設が毎年あるわけでございますが、あるものに施設が新設されますと、それに伴いまして当然人員がふえて参ります。その人員の計算財政計画上漏れていやしないかという問題が、御指摘のようにあるわけでございます。これらの点につきましては、精査、調整する必要があることを痛感いたしております。ただ何分にも全国非常に多数の市町村にまたがりますし、その計算はなかなかできないのでございますけれども、本年度の予算の中に、給与の実態調査というような予算も、自治庁の中にありますので、これを十分活用いたしまして、その辺のところの的確な把握をいたしまして、御趣旨に沿った計算をして参りたい、かように考えておる次第でございます。  消費的の経費の問題につきましては、御指摘のようにその問題に関連するかと思うのでございますが、今年度消費的経費の伸びといたしましては、昨年に比べまして減っておる一つの理由は、昨年は給与改訂がございまして、給与改訂が昇給率を加えまして約一割の増加になって、給与改訂所要額の財源計算されておりますが、今年度はその部分が平年度化いたしております。従いまして、昇給率による昇給原資だけの計算になっておりますので、その間、差が縮まっておりますのと、いま一点は、旅費、物件費につきまして、国の方針に準じまして、地方財政計画上二十億円ばかりの節約を期待いたしております。もっとも他面二十四、五億の修繕費等の修正を行い、是正をいたしておりますけれども、なお二十億円くらいの旅費、物件費の節約を期待いたしておりますので、その部分が率を引き下げた一つの原因ではないかというように考えておるわけでございます。消費的経費がこれで十分だとおっしゃられますれば、消費的経費の中でその他の消費といいますか、国庫補助金を伴わないその他の消費的経費というものがございますが、これが昭和二十九年度決算額基礎にいたしまして、そのまま積み上げをやっております。ただ昭和二十九年というのは、御承知のように地方財政にとっては、最も深刻な年であったわけでございますので、その点の決算を組むのがいいか悪いかという問題が一つあるわけでございます。昭和三十年度決算も明らかになって参りましたし、これをもう一ぺん再検討いたしまして、この点について所要の是正をはかりたいと考えておりますが、御指摘のようにその他の旅費、物件費の中に一つの問題点があるということは、率直に言いましてその通りでございます。
  17. 川村継義

    川村(継)委員 いろいろ説明がありましたが、先ほど申し上げましたように、給与費一つ考えてみても、やはり地方団体財政を運営していくときには非常に大きな問題が出て参りますので、この点は十分一つ御研究いただき、財政計画の上から財源的な裏づけというものも、せっかく今日地方財政が安定してきたといわれるときでありますから、再び混乱させないようにお願いを申し上げたいのであります。  それから交付税法改正の内容の点について、一、二お聞きしておきます。特別交付税の率が下る、六%になすとありますが、説明によりますと、従来の特別交付税のうち、すでに定型化したものを普通交付税へ移した、こういうふうに述べられておりますが、どういうものが移されたのか、この際一つはっきり説明していただきたいことが一つ。  それから従来の特別交付税総額を大体確保する、こういうふうにもうたってありますけれども、果して昨年度あるいは一昨年あるいは本年と比べてみて、大体の額はその趣旨に述べてあるようになっておるのかどうか。昨年は大体百五十億ぐらいが特別交付税に回ったのではなかったと私は記憶するのでありますが、そういう点について御説明を願いたい。それが二つ。  それから三点といたしましては、この前木材引取税の問題のときにもいろいろ論議されまして、北海道、東北の市町村で、木引税のマイナスするところは特交で見る、こういうふうな言明もなされております。今日まで何かしら財源的にそのような処置が不備で、はっきり見通しがないものについては、よく特別交付税で処置するという言明をして、悪くいうならばのがれてきたような感じさえしないでもないのでありますが、特別交付税の率を減らしたということは、従来の特別交付税の配付あるいは使い方の経験からして、率を減らしても十分やっていけるのかどうか、これが三点であります。災害等が起った場合に当然見てやらなければならぬ額を、率を減らしていけば、たとえば一千万円見るべきところを特別交付税総額が少いから七百万にしておけというような結果に陥る危険性がないのか、その点をまずお聞きいたします。
  18. 柴田護

    柴田説明員 特別交付税から普通交付税に移しがえようと考えておりますものは、本年度の特別交付税の額で申し上げますと、いわゆる府県分の投資的経費につきまして新態容補正をやっておりますが、これの不工合なところを特別交付税において直しましたものが五億円ばかり。それから特定債につきまして特別交付税財政力の補正をやりました。つまり特定債元利償還金が一般財政を圧迫する度合いの強いところには、割増し係数を使って財源を与えるように計算をいたしたのであります。その部分が十六億円。これが今度の改正案で参りますと、普通交付税の中に振りかわるわけであります。それからさらに単独災害復旧債の償還費が十四億円ばかりあるが、この部分も従来は特別交付税でやっているが、単独災害の査定がだんだん精緻になって参りますので、これを普通交付税の中に移しまして、その見方も上げていこう、こういう考え方をとっております。それから緩漫災害と申しまして、いわゆる地盤、地すべりの関係元利償還金が二億円ばかりございますが、これらも災害の慣例といたしまして、普通交付税の中に織り込んで計算をいたしたわけであります。総計いたしまして三十七億円ばかりを普通交付税に移すという目算を立てているのでございます。  本年度の特別交付税総額は御指摘のように百四十九億何千万円、大体百五十億円でございますが、このうちから三十七億円ばかりのものが減って参る。そういたしますと百二十億円ばかりのものが残るわけでございますが、改正案によって特別交付税総額計算いたしますと、大体百三十五億円になる。大体昭和三十二年度程度の額は確保される、こういう計算を立てているわけでございます。  それから大災害が起った場合にどうするかという問題でございますが、現在の建前のもとにおきましては、やはり大災害が起りました場合におきましては、特別交付税ワクは限られているわけでございますので、その災害が起りました程度によりましては、収拾がつかない事態が起る可能性があるのでございます。何もかも特別交付税に織り込んでは困るではないかという御指摘は、御指摘通りでございます。ただ何か制度が大きく変ります場合におきまして、実際に激変をして参る地方団体に対しまして、何らかの意味で激変緩和の措置を考えてやらなければいかぬのじゃないか、これもその通りと思います。自治庁といたしましてはどうしても特別交付税なりそういうような財源をもって始末をつけざるを得ない、こういう格好にならざるを得ないのであります。非常に大きな災害が起りました場合には、別途交付税額の総額をふやすとか、別の特例債というような考え方をとるとか、どうしても別途措置を講じてもらわなければならぬ。それはそのときになって、そのときの状態に応じて考えていくということをせざるを得ないと考えております。ただ通常の災害、去年と同種程度の災害でございますれば、この程度の特別交付税ワクで十分まかなえるというふうに現在のところは考えております。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 次に第十条の第五項についてお答え願いたいと思います。「第三項ただし書の規定により一部の地方団体について既に決定した普通交付税の額を変更した場合においては、それがために他の地方団体について既に決定している普通交付税の額を変更することはしないものとする。」実際問題として過不足が出た場合に、その配賦の金はどのように処理されることになりますか。
  20. 柴田護

    柴田説明員 これは従来疑問がございましたのを明文をもって疑義を解決しようとしたものでございます。「第三項ただし書の規定により一部の地方団体について既に決定した普通交付税の額を変更した場合」と申しますのは、たとえば交付税決定後錯誤が発見された、そこですぐその年にこれを跡始末してしまったという場合には返還を命ずることになるわけでございます。その場合厳密に申し上げますと、十条の二項の基準財政需要額が基準財政収入額を越える額と普通交付税総額が十分合っておりますれば問題ございませんが、第二項によりまして調整率が変りました場合は——その額が決定された後に錯誤が発見されて、普通交付税の額を直して参りますと、調整率そのものも変ってくるということになりまして、非常に計算がややこしくなる、そこでその分については、ほかの地方団体については決定額を変えないということを明文をもって明確にする次第であります。現行法の解釈でもそういう解釈は出ておりますけれども、いささか疑義がありますのではっきりしておきたいということで、規定の整備という意味から五項を規定したのでございます。なおその場合、かりに返還を命じた場合においては、返還額は特別交付税総額の中に繰り入れるということになって参ります。
  21. 川村継義

    川村(継)委員 その最後の特別交付税の中に入れるということは、どこできめるわけですか。
  22. 柴田護

    柴田説明員 交付税法の二十条の三の第二項の規定であります。
  23. 川村継義

    川村(継)委員 もう一つは十二条関係単位費用の問題でありますが、県及び市町村の分を見ても一番大きく目につきますのは、社会福祉の単位費用でございます。これが大幅に減らされておるのはどういうお考えに基いておるのですか。
  24. 柴田護

    柴田説明員 従来社会福祉主事関係経費は、社会福祉費の中で計算いたして参りました。歴史的に申し上げますと、生活保護費と社会福祉費は一本でございました。そこでその中で生活保護費も社会福祉主事の経費も見ておったのでありますが、去年生活保護費と社会福祉主事の経費は、必ずしも一つにならないのじゃないかということで、その間の間差がいろいろ出て参りますし、特に北の方に参りますと、生活保護費につきましてはその単価が違う。そこでそれを正確に計算いたしますためには一緒に入れることはいかぬじゃないかということで、生活保護費と社会福祉費とを分けたのであります。その際、社会福祉主事というものは、社会福祉費の中で計算することにいたしておったのでございますが、実際の今年一年やってみましての結論は、やはり間違っておったようでありまして、生活保護費と社会福祉主事の経費というものは、同じような函数関係に立つ。そこで社会福祉費から生活保護費に移しまして、ここで社会福祉主事の経費が落ちまして、生活保護の経費が上っておる、こういうことでございます。
  25. 川村継義

    川村(継)委員 もう一つ単位費用の問題で、県分の教育費関係でありますが、小学校、中学校は、今までは測定単位の中に教職員数、児童数、学校数、学級数、こうありましたのが、本年度から児童数と学級数が落されている、こういうことになっております。測定単位の中から児童数と学級数が落された結果、これはもちろん十三条の補正等もありますので、なかなかごまかなことではっきりわからないと思いますけれども、県がいわゆる教育費として単位費用を出すときに、基準財政需要をはじき出すときに、従来に比べてどういう結果になって出てくるのか、その辺のところをちょっと御説明いただきたい。
  26. 柴田護

    柴田説明員 御承知のように従来児童数、学級数、学校数三本を測定の単位に使っておりましたのは、間接的に教職員の数をこの三つから割り出すと言いうやり方をやっておったわけでありますが、これが実は実態に沿わない。そこで、かねがね警察官の測定単位費用と同じように、何が教職員の数ができないものだろうかということが問題になっておったわけでございますが、今回公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案というものが別途提案をされております。それによって標準定数というものが出て参ります。そこでその標準定数を使いまして教職員給与費計算することにいたしたのでございます。なぜ学校数を置いておいたかと申しますと、宿日華当の計算は、標準の義務教育教職員数ではできません、学校数に応じまして、どうしても宿日直手当の計算が行われなければならない。そこで宿日直手当の計算をいたしますために学校数は一応存続をして、その他の教職員給与費は全部この教職員定数の標準に関する法律基礎とする定数によって計算をする、こういうことに改めたわけでございます。ただその定数の標準に関する法律では昭和三十二、三、四年度——当分の間におきましては、政令で暫定の定数をきめることになっております、まだその政令は現在関係省におきまして検討中でございます。それができて参りますと、各地方団体でこれによりまして計算ができる。もとより補正係数につきましては暫定手当の制度の進行に伴いまして、補正係数が若干変って参りますので、その点の変更はございますけれども、政令で暫定的な定数がきまりますれば、地方団体におきましては計算はさして困難ではない、こういうことになろうかと思っております。
  27. 川村継義

    川村(継)委員 大臣がお見えになりましたから、最後に一つ簡単に大臣にお聞きいたします。この前もちょっとお聞きしましたように、本年度交付税総額は、三十一年度の繰り越しと合せて二千二百四十億余りになっておりますが、三十二年度交付税総額と比べると、財政計画上は二百八十六億の増加になっておるけれども、実際は二百八億の増加である、こういうことでございます。そこで交付税の率でございますが、大臣はこの前、税制の改正のときにも、今日地方団体が背負い込んでおるところのあらゆる税外負担というものは、これはもう整理していかねばならぬと強く述べておられます。また法定外普通税等もなるだけこういうものを整理して、見るべきやつはちゃんと国があるいは地方団体のいろいろ財源生み出しによって、見ていくようにしなければならぬ、こういうような意見も述べておられますが、この法定外普通税あるいは税外負担、こういうものをなくして、住民の負担をなるだけ軽減することは、われわれといたしましても賛意を表するわけでありますが、何と申しましても力のない地方団体は、交付税にその財源を求めているということ、これはもうその通りでございまして、交付税というものが地方財政の上に占める力は大きいのであります。今年二七・五%ということになりまして、昨年に比べて一・五%引き上げを見て参りましたが、一体交付税の税率というものは、大体今この辺が限度であるのか、あるいはいろいろ地方の税あるいは自主財源、そういうものと考え合せていけば、この交付税率というものは、あるいはこれでは十分でない、引き上げなければならぬというようなことをお考えになっておられるのかどうか。交付税というものは国の税源等を考えて、これ以上はとても引き上げることは無理だ、あるいはもう少し地方の実態を考えるならば、交付税で見てやるべき分が生じてくる、こういうふうにお考えになっておるのか、その辺のところをこの際一つ大臣がら御所見を承わっておきたいと思います。
  28. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私は地方財政の構成を、今のままではどうも自主財政という面からいって不十分でおるように考えております。このたびたばこ消費税を増しましたので、また消費税がある程度のウェートを持って参っております。他に財源がなければそれは消費税もいいのでございまするけれども、独立税、交付税、それからまたたばこ消費税のような消費税、こうしたものの振り合いを、どのように考えるがということを、私よほど考えてみなければ相ならぬと思います。従いまして現在の状況で所要の財源を見ていぎます場合に、ある程度交付税というものが限度に来ておるという感じはいたしまするけれども、これを、全体をあんばいいたしましたときに、どのように相なりまするか、これは重要な問題として一つ検討をしてみたいと思っております。繰り返して申しますならば、今のそっくりそのままの地方財政の構成を考えまするときには、ある程度限度に来ておると見なければならない。しかしこれからのあんばいの仕方ではものの考え方も変ってくるということもあり得ると考えております。
  29. 亀山孝一

    亀山委員長代理 門司君。
  30. 門司亮

    ○門司委員 大臣非常に急がれるそうですから、私が一番先に聞いておきたいと思いますのは、今度の改正で測定の単位の費用を大体増額いたしております。その増額している中で、港湾に関するものだけが一つも増額していない。これには何か理由がありますか。 何かお考えがあったことですか。政策的にやったのが自主的にやったのか。
  31. 柴田護

    柴田説明員 御指摘の点は、港湾費の港湾における外郭施設の延長の点だと思いますが、この点につきましては、従来の単位費用の中には収益的建設事業の部門が実は若干入っております。この部門を整備いたしまして、浮標とかあるいは防舷材の経費を一応算入いたしておりますが、このほかに実は港湾に関しまする経費の充実に努めております。その分は実は施設の整備になりますので、単位費用といたしましては三千百円のそのままになっておるわけであります。非常に誤解を招きやすい形で恐縮でございますけれども、比率補正をいたしまして護岸分を増額するつもりでございます。
  32. 門司亮

    ○門司委員 これは今誤解だと言うけれども、私は誤解じゃないと思う。何か意図があってこんなことをやったのだと思う。ほんとうに私の誤解であるがどうかということは、今の御答弁を聞いてみますと、今日港の維持管理をだれがやっているかということでありますが、護岸規定から言えばこれは明らかに市町村の仕事になっておる。そうすると全部の単位費用をふやしてくるというのなら、やはりここでも港湾費というものがどこでふえるかということを考えねばならない。ただわずかに最後に一つあるのは、海岸保全施設といいますか、これは砂防や、おそらく新潟県の海岸地帯のものをさしていると思うのですが、これは特別の問題なんだ。港湾費の費用が市に対しても県に対しても一向ふえておらないという問題については、単に誤解ではない。今の説明だけでは承服できないのだが、もう少しはっきりした考え方というのはないのですか。このままではこれを認めるわけにはいかぬですよ、今の答弁だけでは。そのほかに理由はないのですが。
  33. 柴田護

    柴田説明員 先ほど説明申し上げまし通たりでございまして、そのほかに別にどうごうという考え方は持っておりません。ただ形が比率補正になっておるものですから対象になっていなかったということになりまして、まことにぶざまな格好でございますけれども、結果的には港湾における外郭施設の延長は、その護岸を入れて参りますと、この基準財政需要額で申し上げますと大体五億ばかりふえる。去年の計算でいきまして大体六億ぐらいでございますので、基準財政需要額といたしましては倍程度になる予定でございます。
  34. 門司亮

    ○門司委員 施設の延長というけれども、ほかのものは施設の延長で、はかってないのだが、そうするとここだけこういう形にするということも私は少し変だと思うのです。実質的には変らぬと言うかもしれないが、それはあとでもう少し聞きたいと思います。  それから大臣一つ聞いておきたいと思いますことは、ずいぶん変ったごとを聞くようですが、最近地方に出て地方選挙をずっといろいろ見て回ると、その中で一つ問題になるものは交付税の問題です。与党の首長であれば交付税がよけいもらえる、野党の首長では交付税が少いという変なデマが飛んでいる。私はこれは単なるデマだと思います。こういうことがまことしやかに聞えるのですね。政党政治である以上はやはり政府につながる政党の方が、何がもらい分が多がろうというようなことが考えられる。従ってこういうことはあまりないと思いますが、この際大臣はそういうことがあるかないかということを明確にしておいていただきたい。
  35. 郡祐一

    ○郡国務大臣 交付税地方団体の共通の財源であります。その配分の際に地方団体の長の政党所属がいかにあるかというようなことは全く問題の外でございましてそのようなことは考え方の上でも、また実際でも決してございません。
  36. 門司亮

    ○門司委員 それで次に聞いておきたいのは、十七条の三に新しく加えられた一つの条項であります。これは算定の基礎大臣が調べる、なおこれは都道府県知事に委任することもできる、こう書いてある。問題はやはりこういうところに、だんだん交付税の測定単位だけでなくて、大臣の権限というものが相当強くなっておる、あるいは町村に対しましては都道府県知事の権限というものが強化されておる。私はこういうところにいろいろな問題がありはしないかと思います。従ってこの条文を入れられた、要するに十七条の三をここに新しく入れられた趣旨を一応大臣から承わっておきたいと思います。
  37. 郡祐一

    ○郡国務大臣 これは実際の問題といたしまして、やはり重要な資料の検査等ができておりませんために、あとになって還付を命ずるような具体の事例もあり、またその間どうも扱い方が好ましくない種類のものもございましたために、実際問題としても丁寧な検査をいたさなければ相ならぬと思いまするし、またこうした検査の規定がありますことも、決してこのために何か悪い影響を及ぼすようなことはない。私どもは交付税が適正であるということは期待しておりますけれども、これに対して決して監査、査察というようなやり方をいたす考えは持っておるわけではございません。むしろものの正確さだけを期して参りたい、こう思っておりますし、運用もそのように持って参りたいと考えております。
  38. 門司亮

    ○門司委員 大臣急がれておるようですから、もう一つだけ聞いておきますが、この中でもう一つ変った問題があります。例の橋梁のところでありますが、従来単なる橋梁の延長というように書いていたものを木橋と改めて指定したというところに、何か考え方がありますか。
  39. 郡祐一

    ○郡国務大臣 従来の橋梁というような言い方でございますと、永久橋も木橋も入っておりますし、こうした木橋ということをはっきりと出すことによりまして、今後の橋梁というものは永久橋にかえて参りたい、この点を強く出して参ろうとするためでございます。
  40. 門司亮

    ○門司委員 どうも今の答弁は私にははっきりしないのですけれども、それでは最後に聞いておきたいと思いますことは、この前もちょっとお聞きをいたしましたように、交付税のあり方自身がただ補修だけをするということだけが、算定の基礎の中に入っておって、そうしてこれを伸ばしていくことのために、どうすればいいかということについては、これがほとんど入っていない。従ってこれはあくまでも考え方としては調整するという形で法律ができておると思います。ところが今度の改正で、大臣お話のように、これで公債費をまかなうというようなことがだんだん強くなって参ります。そういたしますと、性格をやや異にした法律であって、今改正されておるだけでは、この法律が工合が悪くなりはしないかという考え方も持つのです。これは改正しないでもよろしいという大臣のお考えですが。
  41. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私は交付税自主財源とは違った性格を持って運用されること、お話通りだと思いますが、しかし同時に、地方財政全体のあり方というものを、それぞれの独立税なりあるいはその他の税なりその他の歳入なりいろいろなものと結び合せて地方財政というものを考えますときに、交付税のあり方というものにはあるいはまた考え方を新たにして参るべきものも起ってくるかと思います。ただいまはこの交付税の体系でけっこうだと思いますが、それらの点については国地方を通じた税制、財政全般を考えますときには、十分取り上げるべきものだと考えております。
  42. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、私がこういうことを聞いておりますのは、そういう性格をここに持たして参りますと、この委員会でも長らく主張いたしておりますし、また大蔵大臣にも特に強くお話申し上げておりますが、それは公債費処理していくことのために交付公債等についても、どう処理するか。ここに書いてあります問題も本質はわからぬわけじゃありません。昭和二十六年、二十七年あるいは二十九年においてこの四十項目の中に入れております特別処置として発行された起債というものはこれは給与費の跡始末とそれから交付税の譲与税を改正したときの跡始末に充てるものだという想像は大体つきます。それからその次の四十一にあげておりますのも、大体予算補正その他に伴う当然の仕事であり、公共事業等につきましても当然政府の責任において行うべきものであったということは大体想像はつきます。しかしこれらの問題については、やはり交付税と別に公債処置を考えるということの方が、私どもは筋の通った考え方だと思う。これを交付税の中にうやむやのうちに入れてしまっておくということ、こういう処置については私は将来問題が出てくると思います。これはだんだんこういうものが多くなるわけでありませんし、なくなる性質を持ったものであります。従ってこの交付税の対象となるべきものは、やはりあくまでも地方自治体の行う当然の仕事としてのものでなければならないと私は思います。こういうふうに特別の政府の責任においてできた借金までも、交付税の中からこれを見てやるというような考え方は、私は元来ものの考え方が間違っておると思う。交付税が少し一・五ばかりふえたからといって、これで公債費までまかなえなんというべらぼうな考え方をするというのは、私は少しおかしいと思う。災害その他の問題はあるいは当然の仕事であったかもしれない。これは国が特別にやった仕事でもなければ地方の自治体の求めた仕事でもない。従ってこれらのものはある程度考え方が、交付税の中でその復旧その他でできた借金を補うということは言えるかもしれない。しかし今日の公債費は、私は交付税でこれをまかなうべき筋合いのものでは断じてないと思う。やはり公債費対策としては、別個に法律で政府の責任の所在というものを明確にすべきだと私は思う。こういうことになりますと、これはまるっきり地方責任においてできた借金のように考えられる。こういう取扱いについては私どもはあまり感心したものではありません。法律自身が一・五をふやしたということについてあえて反対するものではございませんが、これらの扱い方についてはかなり大きなものの考え方の上に政府に考慮してもらわなければならぬところがあると思う。従ってこの際大臣に聞いておきたいと思いますことは、今私が述べたように、公債費については特別の法律で処置することが私は正しいと思うのだが、大臣はその点はどう考えるか。
  43. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私お話に全面的に異論を持つものではございません。そういうお考えはりっぱな筋の通ったことと思います。そうして、同じ公債であって御指摘のように、地方責任に期するものと、見積り等の誤りという場合と、かつての地方財政が非常に窮迫しましたときの国の扱い方によって生じましたもの、この後者につきましてお考えのような仕方というものは十分考え得ることと思います。ただ、三十三年度処理といたしましては、また現在生じておりまする公債費対策といたしましては、とにかく新しい財源を付与することによって解決する、こういう考え方で扱っておりまするが、御趣旨の点はさらに十分考えるべき大きい問題があると考えております。
  44. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけその条項について聞いておきたいと思いますが、この法律の中に新しく設けられた中には、地盤沈下を除いております。これは今までありました条項ですが、三十九になっておりますから、三十九の災害その他の問題の中に私は含んで差しつかえないと思う。この公債費を入れるとすれば、それは何も地方の自治体のせいでもなければ国のせいでもない。これは災害とほとんど同じような性格を持っておる。これをこの中に除いておる。だから、さっき申し上げましたように、だんだん文句も言いたくなるのです。国の責任でできたものを交付税で支払えというようなばかばかしい考え方が非常に強く出ておる。もし大臣の御答弁のようなことであるとするならば、この中の地盤沈下その他は三十九に入れて処置すべき性質のものではないかというように私は考えるのですが、その点はどうなんですが。
  45. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私はこの三十九の災害復旧債の中に入っておるように理解をいたしております。その点は一つ政府委員からお答えいたさせます。
  46. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今のお話のは十二ページの三十九の「災害復旧事業費の財源に充てた地方債の元利償還金」の説明の方に入れてございます。「地盤沈下、地盤変動若しくは海岸侵しょくの防除のための事業に係る経費又は国の行う地盤沈下、地盤変動若しくは海岸侵しょくの防除のための事業に係る負担金に充てるため起した地方債の当該年度における元利償還金」。
  47. 川村継義

    川村(継)委員長代理 それでは北山愛郎君。
  48. 北山愛郎

    ○北山委員 一つだけ大臣にお伺いしておきたいのですが、この前大蔵大臣が来られたときに要望したのですが、地方債の起債のワクの中で、一般補助事業の起債のワクを本年度は九十億減らしておるわけです。これでは交付税の方を一・五%引き上げを認めても、一方でそれに見合うくらいは、財源の中から起債のワクとして減らされておる。補助事業をやる事業団体としても困るのじゃないかということを申し上げたのですが、特にこの財政投融資の計画については、こういうような現在の経済不況の状況から見て、さらにこれは検討を要するような時期がくるのではないかと私は思うのです。資金運用部の資金についても、大蔵省としては余裕金を造船であるとが、あるいは鉄鋼、電力というようなものにどんどん追加してふやしておるような状況なんです。資金運用部の金の性格から申しましても、それだけの追加をする余裕があるというのであれば、やはり地方債とが中小企業とが、そういう方面にも増加を認めてもらわなければならぬこういうふうな一般の経済政策といいますか、そういう面からも再検討を要すべきものだと私は考えるのです。従って自治庁長官は一つ地方債の中で一般補助事業の削られた部分の復活ということについて努力をしていただきたい。大蔵大臣に要請をしたのですが、自治庁長官としてもこのワクをふやすように努力してもらいたい、こういうことを要望したいのですが、大臣のお考を聞いておきたい。
  49. 郡祐一

    ○郡国務大臣 一応おっしゃるように九十億減りましたが、それで三十三年度地方財政計画全体を立ててまかなっていける見込みをつけておるのでございますけれども、お話のように適債事業というものをさらに充実いたしますことは、即行政水準の向上にもなりますし、お話の点は十分御趣旨を体しまして、これから扱って参りたいと思います。
  50. 川村継義

    川村(継)委員長代理 他に質疑はありませんか。
  51. 川村継義

    川村(継)委員長代理 他に質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了するに御異議ありませんか。
  52. 川村継義

    川村(継)委員長代理 異議なしと認め、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  次に討論に入りたいと存じますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんが。
  53. 川村継義

    川村(継)委員長代理 御異議なしと認め、本案を直ちに採決いたします。地方交付税法の一部を改正する法律案を原案の通り可決するに賛成の各位の御起立を願います。
  54. 川村継義

    川村(継)委員長代理 起立総員、よって本案は原案の通り可決されました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成並び提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまふすが、御異議ありませんか。
  55. 川村継義

    川村(継)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十五分散会      ————◇—————