運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-01 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    加藤 精三君       川崎末五郎君    菅野和太郎君       楠美 省吾君    渡海元三郎君       早川  崇君    古井 喜實君       今村  等君    大矢 省三君       加賀田 進君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         自治政務次官  中島 茂喜君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 四月一日  委員平野三郎君辞任につき、その補欠として川  島正次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月三十一日  中小企業事業税撤廃に関する請願太田正孝  君紹介)(第二五三五号)  同(田中伊三次君紹介)(第二五三六号)  同(田中織之進君紹介)(第二五三七号)  同(福井盛太紹介)(第二五三八号)  同外八件(松岡松平紹介)(第二五三九号)  同外十一件(粟山博紹介)(第二五四〇号)  同外二件(大石武一紹介)(第二五九七号)  同(高岡大輔紹介)(第二五九八号)  同(福田赳夫君外一名紹介)(第二五九九号)  同外十九件(横井太郎君外一名紹介)(第二六  〇〇号)  同外八件(渡邊良夫紹介)(第二六〇一号)  同外十五件(今井耕紹介)(第二六四八号)  同外三件(堂森芳夫紹介)(第二六四九号)  同(中川俊思君紹介)(第二六五〇号)  同(林讓治紹介)(第二六五一号)  同(前田榮之助君紹介)(第二六五二号)  同外三十二件(横井太郎君外一名紹介)(第二  六五三号)  同外六件(伊藤卯四郎紹介)(第二六九三  号)  同外三件(薩摩雄次紹介)(第二六九四号)  同外一件(今井耕紹介)(第二六九五号)  同(橋本龍伍紹介)(第二六九六号)  同外十七件(植木庚子郎君紹介)(第二六九七  号)  同(山手滿男紹介)(第二六九八号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第二六九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れの件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四〇号)      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。目下建設委員会において審査中の下水道法案につきましては、本委員会の所管とも関連がありますので、この際本案につきまして建設委員会連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  3. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決しました。  次に地方自治法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。渡海元三郎君。
  4. 渡海元三郎

    渡海委員 地方自治法の一部改正案の要点につきましては、ほとんど事務的な改正でございますので、私はこの際、この問題には触れてはおりませんが、自治法一般の問題につきまして簡潔に一点お伺いしたいと思います。それは国と普通地方公共団体、また普通地方公共団体相互間の関係におきまして、勤務年数通算自治法第二百五十二条の十八によって規定されておるのでございますが、この規定の中には通算措置義務として規定したものと、また勧奨規定として規定したものと二つに分れておるのでございますが、立法のときにおきましていかなる理由に基いてこのように二つに分けたか、一応簡潔に御説明賜わりたいと思います。
  5. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 恩給通算措置に関しましては、国家公務員都道府県職員、あるいは都道府県職員相互間につきましては、これを通算ができまするような措置を講じたのでありますが、これに対しまして恩給市町村職員あるいは市町村府県関係というものにつきましてはいろいろ問題がございまするので、特に府県市町村との間につきましては、なるべく恩給通算措置を講ずるように努めなければならない、そういうような取扱い上の差異を設けて、現在の制度ができ上っておるのであります。このような措置を講じました理由につきまして、ごく簡略に御説明を申し上げたいと思います。法律によって統一的に通算強制措置を講ずることが可能でありまするのは、これは恩給法上の公務員と、それから都道府県職員につきましては、御承知のように任用制度なりあるいは給与制度等につきまして、大体従来の沿革から申しましても、同一基盤に立っておるわけでございます。従って在職期間そのものが大体種類が同じと申しますか、同質のものであるばかりでございませんで、恩給制度と従来ございまする都道府県退職年金制度自体がその内容にも同じものであるということに、その基本的な原因があるものであるというふうに考えておるのであります。ところが都道府県職員市町村職員につきましては、その相互通算措置につきまして、それぞれの地方団体において通算措置を講ずるように努めなければならぬというふうにいたしておるのでありまして、これは法律上の強制措置をとらないようなことにいたしておるのでありますが、これは今申し上げましたように、やはり通算措置を講じまするためには、その基盤となりまする任用あるいは給与制度同質である、さらには、退職年金制度自体が、恩給あるいは府県退職年金制度とそれぞれ同一基盤に立っておるということを前提といたしませんと、通算措置を強制いたしますることについて、技術的に申しましても、非常に困難な問題が起る。いわば法律技術的な面からいえばほとんど不可能と思われるような点があるからでございます。現在、渡海委員も御承知でございまするように、市町村にはそれぞれ独自の退職年金制度というものを持っておるのでありますが、その内容に至りましては、非常に区々に相なっております。給付種類にいたしましても、あるいは給付基礎となりまする恩給の算定の方法にいたしましても、あるいは恩給納付金に当りまする掛金につきましても、あるいは最短年金年限にいたしましても、非常に区々に相なっておるのであります。区々に相なっておるものにつきまして、法律上当然に通算義務づけるということに相なりますると、結局におきましてはそれぞれの市町村におきまして、どうしてもやはり府県退職年金条例、あるいは恩給内容に匹敵いたしまするような内容条例を制定し直さなければならぬという結果に相なって参るのであります。そのことが現在の恩給制度なり府県退職年金制度なりというものより悪いところについては、これは公務員自体利益になることでありますからかまわないかもしれません。しかし事実上は、現在の市町村退職年金制度というものの内容は、大体恩給法自体のものよりもよくなっておるのであります。その典型的な例を申しましても、最短年金年限については、恩給ないしは都道府県退職年金制度については十七年であることは御承知通りであります。これに対しまして特に市の場合等につきましては、十七年というのもございまするけれども、そのほか十六年、十五年、非常に短かいものでは十年というようなものがございます。そういうようになって参りますると、そういういわば今までのいろいろな市町村沿革等から申しまして、市町村職員に有利なようにきめておりまする退職年金条例内容を、一般国家公務員あるいは府県職員並み改訂をいたすということを強制いたしますることは、いかがであろうかという点も一つ考えてみなければならない点が重要な問題としてあるわけであります。そういうような点を考えて参りますると、技術的に申しましてもまた実質的に申しましても、今直ちにこの通算措置というものを法律義務づけていくということについては、かなりの無理が伴うのではないか。最近問題になっておりまする全日制市町村立高等学校教員については、一般職員とは若干違うのではないか。教員については免許状ということもあるし、職務内容にしても一般教員あるいは義務教育職員等とは同じような基盤に立っておるので、そういう点別ではないかというような議論もございます。しかしながらその場合におきましても、全日制高等学校教員のみについて、そういう措置を講ずるということになりますると、やはりその他の一般市町村職員というものとの均衡は、どうしても考えて参らなければならぬ問題でございまして、それらを総合的、一般的に一挙に解決をする機会を待って、これを改正するのが妥当ではあるまいかというふうに考えられるわけであります。現在通算措置につきまして、恩給公務員あるいは府県職員と、市町村職長との取扱いについて異なる取扱いをいたしておりまするのは、大体以上申し上げました理由に基くものでございます。
  6. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまの御説明で大体了解いたしましたが、今局長が指摘されましたように、一般公務員の場合におけるところの市町村公務員と、全日制市町村高等学校教職員、この間においては、今は全体的な処理の異なるときにのみこれを考えたらいいじゃないかと思うという御意見もあると思いますが、また教育という面から申しますれば、現在の高等学校教育公務員の中で、ひとり全日制市町村立高等学校教職員のみがこの通算の恩典から漏れております。このことは、市町村立高等学校にはそれ自体の問題もあろうと思いますが、現在の市町村立高等学校というものは、県立の学校を補う上においてできておるのでございますが、むしろ教育全般立場から言いましたならば、平等なる立場において、教育の伸展ということに寄与しているのではないかと思いますときに、人事交流教員自身利益の擁護という意味から言いましたならば、他の市町村公務員と別にして、通算措置を講じ得るというふうなことも考えるのが、また一つ考え方ではなかろうか、かように思うのでございます。そのためか、せんだっての二十七回国会におきまして、本件に関する請願書が出されましたとき、私たちはこれを採択いたしまして、政府に向ってこれを提出したというような結果がございますが、あの請願書に対しましていかなる措置をとっていただきましたか、この際一つ説明願いたいと思います。
  7. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただいまお述べになりましたような点は、なるほど非常にもっともな点があるのでありまして、この教育公務員について、特に義務教育職員等に対する比較論あるいは権衡論から申しまして、全日制高等学校教員について、通算措置が講ぜられておらないということは非常におもしろくないではないかという点は、まさしくその通りであろうと私たちも考えております。通算措置を可能にいたしまするように相なりますると、いろいろ人事交流面等についてもいい効果が現われて参ります。そういうことが教育全般の振興の上から申しましても、けっこうなことでございまして、われわれといたしましても、できるだけその線に沿った措置を許せる範囲において一っ講じて参りたいという気持を持っておることは事実でございます。ただその場合に、一般職員とは異なるものとは申しますけれども、どうしても市町村費負担職員について、そういう措置を講じまする場合については、一般職員教職員等につきましても同時にやっていくことが望ましいという点が別にございます。それと技術的にどうしても最短恩給年限年金年限等について異なりまする場合に、同じ勤務期間でありまする一年というものを、恩給の場合における通算基礎としてどういうふうに見ていくか、あるいは恩給適用対象になっておりまするものについて、これを年金年限の短かい市町村に参りました場合に、過去の一年というものをどういうふうに見るか、そういう点だけを見ましても、やはり技術的にかなり困難な問題がここに伏在をいたしておる点がございます。ただしこれらの市町村立高等学校教員通算措置等につきましても、近い将来に全くこの解決のめどが見つからないということでございますれば、これまた何らかの法律上困難な面がございましても、これを克服して、一つ解決方策というものを見つけていく努力をもちろんわれわれはいたさなければならぬと思います。ただ最近の事情といたしまして、御承知のように国家公務員につきましても、恩給共済利度というものを一本化いたしまする機運というものが出て参っておるのであります。現在恩給公務員につきましては今のところまだ最終的結論には到達しておりませんが、ただ考え方自体といたしましては、共済恩給というものを一本にして、長期給付保険制度というものを確立していくという方向は、大体きまった方向ではないかというふうに私たちも考えておるのであります。恩給公務員につきましても、おそらく近いうちに最終的な結論がいたされるのではないかというふうに期待をいたしておるのでありますが、そういうふうに相なって参りまするならば、当然府県職員あるいは市町村職員を通じまして、現在多岐にわたっておりまする共済制度、あるいは恩給制度というものを、やはり国家公務員における措置にならいまして、これを一本化してすっきりとした形に持って参らなければならない時期が当然に参ると思います。それもそう長い将来のことではなくして、近い機会におきましてこの改訂措置というものは当然に講じなければならぬのじゃないか、そういうような根本的な改正の場合に、通算を可能ならしめまする基礎となりますいろいろな共通基盤の確立というものも、そういう根本的改正の場合には、はかり得る機会が非常に多くなってくると思うのでありまして、その際にわれわれといたしましては、本問題も含めてできるだけ合理的な解決をはかりまするように努めて参りたい、かように考えておる次第であります。
  8. 渡海元三郎

    渡海委員 教職員と申しましても、市町村公務員であるということには間違いございませんのですから、全般的に平等の立場において処置したいと言われる局長の答弁は、私も了とするのでありますが、現実におきまして、またそのような機会があり得る、可能性があるということも聞いております。しかしながら前にも申し述べましたように、一般市町村公務員教職員との場合におきましては、また別の観点から考えられるということも事実でございまして、このためにも先ほど質問いたしましたように、請願が採択され、政府に対して処置の要望がなされた、このような経過もございますから、仮定になりますが、万一現在考えられておりますところの恩給公務員制度の一本化という点も、私はやはり今局長教職員については、そういうような機会がなければ別途に考えなければいけないというお気持も持っておられるようなことでございますから、多少時期がずれるというふうな場合には、当然最も近い機会において教職員のみを対象にしたこれらの措置が考慮されるべきだ、かように私は考えるものでございますが、そういった場合にいかなる処置を講ぜられる所存であるか、その点につきまして、この際明快なる御回答を承わりたい。
  9. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 請願採択のこともございまして、その趣旨というものは十分尊重をして参らなければならぬと思うのであります。ただいま申し上げましたように、公務員全般についての共済恩給制度改革という問題が、私は近い将来必ず行われるというふうに実は確信をいたしております。それがいつになるかということにつきましては、私個人の口からそれを申し上げるわけには参りませんですが、しかしきわめて近い将来においてそのことは必ず行われるというふうに確信を持っております。ただその見通しというものがなかなか成就しがたいという情勢に相なりますならば、われわれといたしましても、法律上きわめて技術的困難な面はございまするけれども、その趣旨に沿うような措置が講ぜられるように、別途研究を進めなければならぬと考えております。ただ本問題につきましては、おそらく必ずや近い機会統一的な制度改正機会において、この問題も一緒解決される時期が必ず来るというふうに私は考えておる次第であります。
  10. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいま近い将来においてその機会が来る、これは現実の見解の相違でございまして、この措置が行われればそれに越したことはないと私は考えるのでございますが、しがしながら前の国会でもこのことは論議された問題でございますので、万一制度がおくれるような場合、いかなる点によって教職員のみのこの問題を解決し得るかということにつきまして、その時期になってから研究するじゃなくて、現在すでに研究しておられることと思いますので、その研究しておられる構想を一、二示していただきましたならば、近い将来におけるこれが解決というものについて、教職員の方々も安心して進めるのではないか、かように思いますので、私も局長の言われますように、共済組合制度による一本の改革を望むものでございますが、万一の場合をおもんぱかるものでございますから、その点について、もしお聞かせ願えるのでしたら、その辺のことについて御回答を賜わればけっこうかと思います。
  11. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現在の制度のままで通算措置を可能ならしめるようにいたしますためには、先刻申し上げましたように、いろいろ非常にむずかしい法律上技術的な障害があるのであります。従いましてこの点につきましては研究もいたしておりますし、今後も研究は続けて参りますが、なかなかむずかしい面がたくさん出てくるのではないかというふうに考えられるのでありますが、しかし一面一つ考え方方向といたしましては、市町村立高等学校職員適用いたします退職年金条例というものを、恩給並み統一をしていく、これは一般職員につきましては、いろいろ今までの沿革その他につきまして、急に今これを根本的に改正をするということがむずかしい。それを全国一本の線でやっていくならば可能でありますけれども、そういうことでなくて、ただ通算を可能ならしめるためにのみ、そういう改正を一挙に行うことはなかなかこれは困難である。しかし教員につきましては、教員特殊性、特に人事交流を円滑ならしめなければならぬ、そういう趣旨からいたしまして、市町村立高等学校職員適用対象にいたします条例を、恩給並み統一をして規定をしていくという方法、あるいは給与負担というものを府県負担統一をして、府県条例でもってこれを一本に規定をいたしていく、そういうふうな措置を講ずることにいたしますならば、これらの通算措置というものは、技術的にかなりの困難がございましても、でき得ないことではございません。そういうような方途というものも別途われわれとしては検討を続けております。今後も検討していきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、これらの問題はさらに根本的な改革機運が今ある際でございますので、われわれとしては希望といたしましては、できるだけその際に一挙に解決をいたしたい、かように考えている次第であります。
  12. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいま二つ方法を述べられたのでございますが、その第二に述べられた給与負担府県統一するということは、現在の市町村立公立学校教職員につきましては全部この方法がとられているのでございますが、あれと同様にするというのか、ただ恩給のみを府県限度負担とするのか、この点を伺いたい。
  13. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 やはり恩給だけをというわけにもおそらく参らないのではないか、これを可能ならしめるためには、やはり給与負担全体の問題を統一的にする、これを府県負担に全体として統一するという方法をとらざるを得ないのではないか、かように考えております。
  14. 渡海元三郎

    渡海委員 この点の技術的な問題につきましては、なおいろいろお聞きしたいこともございますが、要は、現在局長が考えておられますように、一本化したところの共済組合制度というものによる恩給均一化というものが考えられるのでございます。われわれもそれを望むものでございますが、万一のこともございますので、ただいま概括的のことを伺ったわけでございますが、いずれにいたしましても、このような不合理な人事交流並びに教職員自身利益の問題につきまして、不均衡を起しているという事実は当局も強くお認めになって、これについて善処したいというふうに御努力願っていることを認めますので、早急にこれが実現いたしますように要望いたしまして、私の質問を終ります。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 関連して。今の渡海さんの御質問の面ですが、私留守をしておりましたが、自治庁としては非常にやりにくい、技術的にやりにくいからという、こういうお話のようにかねがね私どもは承わっておるのです。ところが昨日そういう問題につきまして社会党といたしまして会合いたしましたところが、それは簡単にできるという説がある。恩給法の中にすでに府県の、たとえば広島県の人が岡山県にかわる、あるいは広島県の人が国家公務員になるというような場合の読みかえの規定がある。そうしてある県において十二年で恩給がつく。今度は国にかわった場合には十七年、そういう場合には読みかえができる規定がある、それで簡単にできる、こういう意見があったのです。私もまだ率直にいって調べておりません。そういうものがあるならば簡単にやったらどうか、こう思うのだが、その点一つあなた方が御答弁できなければさっそく調べてもらいたい。これが私の質問の第一点です。  第二点は理論的にいいましても、前回に府県関係公務員国家公務員との間はできたわけですから、府県が全部独立の恩給法だけだとはいわせない。その後多少の変化もあったでしょう。変ったこともあったと思いますが、それができるのに市町村なんかができないというのはどうもよくわからない。それからあの改正をしたときに私から質問をしております。これならば、たとえば大阪の市立高等学校のものが府立にかわる、あるいは国立にかわるというようなことも一緒にやったらどうかといった場合の政府当局回答としては、実はまだその時期でないということが第一点。第二点としてはむしろ大都市の市立等においてはそのままそっとしておいた方がよろしい。それの方が有利であるから国家公務員あるいは府県の方にはかわらない。あまりさわらないでくれ、こういう希望があるというので、それが回答であったと思うのです。私の方にもそういう陳情もありました。これは二、三年前の話です。ところがその後やはりそれはいけないということになって参った。渡海さんに大へん御尽力いただいて、それは自民党の方でも御賛成で御研究をいただき、きょうの問答になっておると思うのですが、そういう意味ではもう少し何が他の面から、すかっとした対策があるように思うのですが、この点はいかがですか。
  16. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 第一にお述べになりました点でございますが、恩給自体でいろいろ読みかえをいたしております。また退職年金条例規定いたしまする都道府県条例、あるいは根拠になりまするこのたびの恩給通算措置に伴いまする地方自治法施行令等につきましてもこういう措置を講じて、これが可能ならしめられておるのであります。ただその場合にあくまでその基礎がほとんど同じであるというところに、これを可能ならしめまする基盤があるのであります。なるほど中井委員御指摘になりましたように、従来の府県の退隠料条例、今の退職年金条例といわれるものにつきましては、これはそれぞれに応じて差があったはずではないかと仰せになりますが、その点につきましては従来恩給制度適用を受けておりまする公務員というものは、府県にはむしろ違った事態が多いのでありまして、そういうような点との権衡の問題もございまして、府県の退隠料条例等につきましては、恩給内容とほとんど同一あるいはあまり変ったところがないように私たち承知をいたしておるのであります。それで退職年金の年限というものを異にいたしまする際に、その通算基礎となりまする勤続期間というものをどういうふうに見ていくかということにつきましては、現在の恩給公務員の中につきましても、たとえば警察官というものと一般公務員というものの間にはその勤続期間通算するに際しまして、算定がえをするという方式が認められております。これは一般公務員が十七年でありますから十七年の一年と警察官の十二年の一年とを同じ一年として規定を読みかえていくというわけには参りませんので、その点について便法を講じておるのであります。ただ市町村の場合にこれを適用いたしました場合に、ある市でもって十二年の恩給年限であるという場合に、その十二年とそれから一般公務員一般都道府県職員の十七年と同じ一年の等差をつけて、その基準に算定するというやり方が果して合理的であるかどうか、警察官等につきましては、これはもちろん職務の特殊性でありますからそういうことは言い得ますけれども、一般職員につきまして、市町村府県との間にそういう同じ一年でもって差を設けていくということが果してどうであろうかというような点もございます。そういうような点につきましても、いろいろわれわれといたしましても検討は加えておるのでありますが、やはりどうしても恩給通算を可能ならしめるためには、その基礎となりまする任用制度なり給与制度なりというものは、最低限度これを統一した基盤に置いてやっていくのでなければ、合理的な通算措置というものがなかなかむずかしいのではないかというように考えておるのであります。そうかと申しまして現在有利な条件で十二年なら十二年で恩給がついておる建前になっております市町村職員についてこれを強制的に十七年にするということは合理的でございません。そういうような措置法律上強制すべき筋合いではございません。そこでやはり将来恩給制度の一応の基盤となりますものにつきましては、恩給共済について最低限度の一つ基盤というものを確立をいたしまして、それに対してさらに市町村独自で従来の沿革もあって職員を有利に待遇をいたしておる面があれば、その面は付加的な給付としてこれを独自の条例でやらすような道をつけていく。しかし基礎的なものは基礎的なものとして、これを一つのレベルに乗せて、それを対象にして通算基礎にこれを入れていくということをいたしませんと、どうもやはり全体としては合理的な基礎にはなり得ないのではないか。そういうふうな点につきましてわれわれは非常にいろんな面から検討を加えておるのでありまして、将来近いうちに国家公務員共済恩給制度統一制度の採用に伴いまして、地方公務員全体についてもそういう方法で進めて参らなければならない時期がくると思いますので、そのときにこれらの問題についての全般的な解決をはかって参りたい、かように考えておる次第であります。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますと、私どもが承わっておったように事務上の手続として非常に困難であるからというのではなくして、むしろ政府におかれては十二年のものもあり、十五年のものもある。こういうようなものまで内容的に一つ手をつけて統一的な、総合的なものを作りたい。そこでそれまで待て、こういうことですが、率直にいうと、そうなりますと少し問題が私は残ると思うのです。われわれはこの法案につきまして予備審査の過程において自由党と社会党とでいろいろ懇談をやっております。その際における自由党の皆さんの私たちに対する回答は、非常に事務手続上できない、ほかの法律にも手をつけなければならないということでしたが、今のあなたの回答では必ずしもそうではない。その点はどうですか。そういうことになると、これはやはり地方自治体の独自の権限をやはり国家としてワクをはめて統制をしよう、国家が十七年というのに、お前ら十二年というのはなまいき千万だ、こういう思想が出ておる。率直に言うと、この前の府県と国家、あるいは府県相互間のあの改正のときにも、私は非常に不満にたえなかったのは、市町村はちょっと違うのだ、一段下だというような扱いを受けておった感じが私はしてならなかったのです。あのときくどく申し上げた記憶がございます。どうも今のもそういうことでありまして、四千ばかりある市町村にはさまざまなことがありましょう。しかしそれはありのままとして認めるのが法の建前だろうと思うのですが、内容にまで入っていくということになると、市町村独自の権限を——指導されるのはけっこうです。慫慂されるのはけっこうでありますけれども、どうも最近の政府のやり方を見ると、通牒行政といいまするか、法律改正では率は低くするけれども、逆に今度は税金などにおいて評価を上げろというようなことで、非常にむちゃなことになっております。どうも今の場合もそんな感じがしてなりませんが、この際そういう点についての自治庁の見解を聞いておきたいと思います。そういうことであるならば、問題であります。私どもはできれば今回この地方自治法一部改正法案の中にそれを入れていきたいという考えです。皆さんはしばらく待てと言う。それは、待ってもいいですよ。待ってもいいですけれども、思想の中にそういうことが入っておるということになると、これは問題にせざるを得ない、こういうことであるが、見解はどうですか。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私が申し上げておりますのは、従来までそれぞれ市町村が独自でやっておりまする制度というものを、法律でもって非常に有利なものまで統一的に規制していくというようなことは、むしろいけないことだという意味で申し上げておるわけであります。ただ一種の国家全体の保障制度というような社会保障制度の一環としての年金制度、あるいは共済制度統一をしていくということになりますると、これは最小限度の一定の基準といたしまして、地方公務員として共通基盤に立つものは最低限度保障という意味において、国において統一的な制度というものを考えていくことがよいのではないが。またそれをやることによりまして、お互いに通算上の措置が可能になりまするし、また一面人事交流その他が円滑に参って、全体として地方行政の方にもプラスになってくる面があるのじゃないか。しかし一面現在までありまする市町村独自でそれぞれの考えで、それぞれの沿革でやっておる制度というものを、これを全部それに右へならえさせることは、私はむしろ不適当であると考えるのであります。それらの分については市町村独自でやっていっていただく、ただ共通の最低限度の基盤だけは一つのレベルの上に乗せていく、そういう考え方でいくべきでありまして、これを機会に十七年なら十七年、あるいは今度の新しい考え方でありまする二十年なら二十年ということに全部が全部してしまう、そういうようなやり方につきましては、私自身も適当であるとは考えておらないのであります。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 そういうことであるならば、この法案を一部修正することは必ずしもそう困難なことではないと私は思うのです。詳細のことは政令にまかすとか、あるいは恩給法に準拠するとか、そういう形においてこれは修正はできる、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  20. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点につきましては前々からいろいろ御要望もございましたし、またわれわれといたしましても市町村関係の方々からもいろいろ御要望を受けておりまして、事務的、技術的にいろいろ検討を加えたのでございまするが、どうしても今のままでは、政令等にゆだねられましても正直のところ不可能に近い。法律技術的に申しまして不可能に近い。目下のところはそういう結論に到達いたしておる次第であります。
  21. 川村継義

    ○川村(継)委員 今渡海委員を初め中井委員から二百五十二条に関係のある問題でいろいろ御質疑がありました。自治庁当局考え方は一応了解できるわけであります。ただ今局長のいろいろの答弁を聞いておりましてまだ納得のいかないところが一、二点ありますので、重ねてお聞きしたい。  それは勤務年数通算問題で二百五十二条の十八に規定いたしておりますいわゆる義務規定の問題は、これは恩給法上の職員対象にしておる、あるいは退職年金制度等の内容同質職員について都道府県関係あるいは県と義務教育関係職員である、こういうのを対象にしておる、ただしいわゆる勧奨規定である第三項に規定いたしております問題では、給与制度の問題あるいは退職金制度のそういうものがどうもばらばらである、非常に内容が違っておる、従って法律的に見ても技術的に非常に困難だから不可能だ、こういう大体の結論があなたたちの中には出ておるようであります。現在においてはやれない。そうなりますとそのような非常に技術的に困難な内容を持っておるものを、どうして二百五十二条十八の三項に「努めなければならない。」こういうような規定を一体設けたのか、逆にいうならば努めようと思ってもやれない、そういうものをどうしてこれは規定したのか、ここに私は今問答を聞いておりまして一つ大きな疑問が出てくる。これについての御見解をお聞かせ願いたい。それからいま一つは、そういうように困難ないわゆる不可能に近いものを、法律では在職期間通算する措置を講じなければならぬ、こういうように規定してあるんだから、やろうとする場合には一体今までどういう形で市町村関係はやったのか、そういう実例があるのか、その具体的な問題等についても、この際一つお聞かせおき願いたいと思います。
  22. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 「努めなければならない。」というふうにいたしましたのは、義務づけられる一般府県職員と、市町村職員との間では、どうしてもその基盤に非常な相違があるというところから、理想的な形では通算措置というものが全公務員について行われることが望ましいわけでございますけれども、そういうニュアンスの相違がございまして、これを一律に法律上で義務づけますことが、かえって不適当であるという考え方から、市町村職員につきましてはお互いの一つの努力目標として掲げる、法律上はこれを強制することが、今の段階においては適当でないという立場から、そういう書き分けをいたしておるのであります。そこでこれらの可能でありますのは、先刻来申し上げておりますように、給与制度あるいは退職年金制度内容その他につきまして、大体同じような基盤に立っておるところ、あるいはそうでなくてもお互いの話し合いによりまして共通に近いような基盤制度自体改正をする、一方が一方に合せていくというような場合、従ってこの場合においては市町村の側の方が合せることが実は多いわけでありますが、そういう合せたことによって、基盤が大体共通になるという場合においてこれが可能になってくるのでありまして、両者の共通の基盤というものが整います際においては、これの促進措置というものはできるだけ講ずるように一つやってもらいたいという趣旨であるように承知をいたしておるのであります。またその線に沿いまして、全国——ただいま私数字は覚えておりませんが、府県市町村との間に通算措置を講じておるものも、この法律ができまして以来、若干生じておるのであります。
  23. 川村継義

    ○川村(継)委員 それはよくわかります。ただ私がお聞きしましたように「努めなければならない。」というような規定を設けておるのだけれども、自治庁の、いわゆる本庁であるあなた方の方で、現状において非常に困難だ、いわば技術的にも全く不可能に近い、こういう見解を持っておられるのに、それぞれの都道府県あるいは市町村で、努めようと思ってもそこに努められない一つの非常な限界があるのじゃないか。そうなると、このような法律を作った以上は、市町村においてもそれが努められるように、やれるように、これはあるいは政令等で、あなた方の方で努力をしてやる、そういうような地作りをしてやるというようなことが、実は必要であったのじゃないか、こういう感じさえ持つのです。それを、ただ法律だけを作っておきまして、そうしてあなたたちの方で、実はなかなかやれないのだ、いや、不可能に近いのだ、こういう見解を持って今日まで来られたということについて、どうも納得の行かないところがあるわけです。  さらに申し上げますならば、渡海委員からも御指摘がありましたように、この問題は大きな問題となりまして、前々の国会から課題になっておる。委員会でも、請願が採択になって、あなた方の方にこれは回っておるはずだ。だからして、当然今日では、こういう方法を講じさせるとできる、こういう障害があるからそれを取り除いてやらなければならぬというような、これができるような法的措置を実はとっていただけるものだとわれわれは思っておった。ところが今日でも、結局今やろうとしても無理だ、できないのだというような見地に立って押し流されたことについては、われわれとしても納得のいかないところがあるわけです。もちろん、今日の現状においてできないということは、局長が言っておられるように、退職年金の問題にしても、恩給の問題にしても、それぞれ内容が違っているし、それらに関係のあるところの条例改正等をやらなければ持っていけない、それはわかります。わかりますけれども、やろうと思えば、やらせようと思えば、この条項を生かして、ほんとうに実効あるものとしようと思えば、私は、皆さん方の力で、これは法的な措置が講じられてできるものだ、こういうように解釈をしておるわけです。ところが今、何度も申すようでありますけれども、どうも現状においてはやむを得ない、とてもやれない、だから恩給共済制度等のできるのを待とう、こういうようなことでありますが、それにはどうもわれわれとしては、今日までの経過を考えてみて納得のいかないものがありますが、特にここに問題となって参ります全日制高等学校職員の身分上の問題あるいはいろいろの勤務条件の問題、給与上の問題、人事管理の問題等については、特殊の立場にあるということは、もう御承知のことでありますから、全日制高等学校のこの職員の問題だけでも早急に解決してやる、そういう考え方に立って、実は処置願いたかった、こういう気持が今では一ぱい出てくるわけです。  そこでさらにお尋ねしたいのでありますが、法律的に、技術的に非常にむずかしい、しかしやろうと思えば、さきの御答弁にも、市町村立高等学校の特別の職員条例等を、恩給法関係並みに統一するとか、あるいは給与負担条例、こういうものをならしていけばやれるだろう、こういうような見解が出ておりましたが、こういうのを今すぐ自治庁の方でこうせい、ああせいという指示あるいはそういう法的な束縛というものはできないかもしれませんけれども、現在あるそういう市町村立高等学校等の職員条例あるいは給与負担、そういうもので、いわゆる県なら県に異動する場合、それが切りかえられるという措置というものは、現在の法律のもとでは絶対不可能なものですか、あるいはそこに何か算定の上から考えて、やろうと思えばやれるものですか、その点を一つお聞かせ願いたい。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 先刻ちょっと私案的に申し上げました第一点でございまする市町村立高等学校職員適用対象となります条例を、恩給並み統一をする。この点につきましては、一つ法律にその根拠を置くというやり方もございましょうし、行政指導でやるというような方法もあり得ないわけではないかと思います。しかし、どうしてもやはり全国的にこの制度を確保するということにいたしますれば、法律改正措置を講じていくことが実効を上げる上から申して適当ではないかというふうに考えるのであります。ただこの場合におきましても、現在ございまするたとえば年金の最短期限でございますが、これらが一般国家公務員たる教育公務員あるいは都道府県教育公務員というものに対比いたしまして、ある程度有利になっておるというようなものにつきましては、これは恩給公務員並みに直すということにつきましては、もちろん現在の人について、既得権を尊重する措置を附則等において講じていくことは当然といたしまして、そもそも今の恩給よりも有利なもの、それを若干でも不利にするということが果してどうであろうかというような点も、一つ考え合せて見なければならないのではないかという点がございます。しかしその点は通算をいたしますることによって、全体として人事交流等が容易になってくるという効果を考え合せますならば、これはやっててできがたいことではないと思うのであります。ただこの場合におきましても、一般公務員との場合の均衡論というものが当然起きて参ることは、一つ考慮しておかなければならないと思います。  それから第二の点としてあげました給与負担関係を、県費負担統一することでありますが、この点につきましては、これは申すまでもなく、負担法等につきまして法律改正を要する問題でございます。
  25. 川村継義

    ○川村(継)委員 もちろん今お話の点はわかります。市町村の場合は、都道府県に比して有利な場合、不利な場合、いろいろあると考えます。有利な場合等を考慮して、それを画一的に、全国的に縛るということは問題があると思うのです。ただし、私たちがあの二百五十二条の制定が行われた場合、いわゆる第三項に関係のある問題で、先ほどもちょっと触れましたが、やはり第三項の趣旨を生かして、そうして通算の努力をする、そういうような制度を確立させるには、自治庁当局としては、その恩給あるいは退職年金等の通算の年限の算定と申しますか、それの基準、あるいは十二年をどういうふうに見るかとか、あるいは十年をどのように見るかというような、やはり一つの基準というものを示しておかれれば、これらに従って、市並びに県当局の間に話し合いが進められて、そういう条例はスムーズにできていくのじゃないか、そういうことを考えてみるわけです。それを、ただ、その規定規定なりにほうり出されてありましたから、今日までこういう問題が解決されずに来ておる。それでほんとうにあなた方の方でこの通算を生かしてやろうというお考えがあれば、その条例内容等について詳しくは存じませんけれども、そういうような努力を皆さん方の方で払ってもらえれば、非常に大きな成果を上げてきて、各地におけるこの通算の問題をぜひどうかしてくれというような今日のこの大きな声は、ある程度静まっておると思うのであります。そこで有利な市があろうと、不利な市がありましょうと、それは皆さん方の方で一つの算定の基準というものをちゃんと作ってもらえれば、やりたいところはやりましょうし、やりたくないところはやらないというようなことになってもいいのじゃないか、私はそう思うのです。それだけの努力をしてもらわなかったところに大きな問題があるし、今日全日制高等学校関係が、特にいろいろな面で、教育行政の上において、つまり人事異動等を考えた場合に、非常に困難な支障が出ておる、こういうことが言えるのじゃないかと思うのです。  そこで最後のお伺いになると思うのですが、この二百五十二条の十八のいわゆる三項というもの、ここに「措置を講ずるように努めなければならない。」と書いてありますが、これに何か「政令に従う」というような言葉を挿入して、今われわれが希望しておりますような措置はできないものかどうか、その点もう一回お聞かせ願いたいと思います。
  26. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この点は先刻来申し上げておりますように、ただいまの現状におきまして、この法律に基いて政令を作りますということは、技術的に申しまして、率直に申しますが、不可能であるというふうに考えております。
  27. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 ほかに御質疑ございませんか。——御質疑がなければ、本案に対する質疑は、これにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  この際、自由民主党、社会党共同提案になる亀山孝一君外二十八名提出の修正案が提出されております。本修正案について提出者より趣旨説明を求めます。纐纈彌三君。         —————————————
  29. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、私は自由民主党並びに社会党を代表して、その趣旨を簡単に御説明申し上げます。  まず、修正案の全文を朗読いたします。    地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案   地方自治法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第百八十条の五の改正に関する部分の前に次のように加える。   第百三十八条第二項中「市」を「市町村」に改め、同条第四項中「市及び町村」を「市町村」に改める。   附則を次のように改める。     附 則   (施工期日)  1 この法律は、公布の日から施行する。   (市の人口要件の特例)  2 地方自治法第七条第一項の規定による関係市町村の区域の全部若しくは一部をもって市を設置する処分又は同法第八条第三項の規定による町村を市とする処分については、昭和三十三年九月三十日までにその申請がなされ、かつ、その申請の際当該市となるべき普通地方公共団体の人口が三万以上であるものに限り、同法第八条第一項第一号の規定にかかわらず、市となるべき普通地方公共団体の人口に関する要件は、三万以上とする。ただし、地方自治法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百九十三号)附則第二項の規定によることを妨げるものではない。  3 前項の人口は、地方自治法第二百五十四条並びに第二百五十五条及びこれに基く政令の定めるところによる。  以上であります。  ただいま朗読いたしました修正案の内容といたしますところは、次の二点でございます。  すなわち、その第一点は、町村議会の事務局の法制化に関する事項であります。現行制度によりますと、地方議会における事務部局につきましては、地方自治法の第百三十八条に規定がありまして、都道府県の議会には事務局を置き、市の議会には条例の定めるところによって事務局を置くことができることになっておりますが、事務局を置かない市及び町村の議会にあっては、単に書記長、書記その他の職員を置き、なお町村の議会だけは書記長をも置かないことができることになっているのであります。  従って、現行法上は、町村議会においては、事実上はともかく、法律上に根拠を持った事務局を置くことは認められていないのであります。  しかしながら、町村の現況は、町村合併によってその規模が急激に拡大され、その財政力や行政能力も一段と伸張いたしたのであります。特に、新町村建設の段階に臨んだ今日においては、行政事務量も増大し、これに相応して町村議会の活動もますますその重要性を加えてきたわけであります。このような新事態に処して、町村自治の本義と議会の使命の重要性にかんがみ、町村議会の活動を能率化し、その本来の機能を発揮するに遺憾なからしめるためには、その事務処理の体制を整備する必要があると認められます。もとより、機構の整備と職員の増加による財政上の負担増大や執行機関とのいたずらなる摩擦は極力これを回避すべきは言うを待たないところでありますし、町村の場合には、なお個々の町村によって事情の異なるものがありますので、事務局の設置を法制化しましても、これを画一的にすることを避けて、町村議会においても、市におけると同様、条例の定めるところにより、事務局を置くことができることとしようというのが、この修正点の趣旨であります。このような趣旨から、法第百三十八条第二項に「市の議会に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。」とあるのを「市町村の議会に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。」と改めて、町村においても、その議会の事務局を法制化し、それを条例によって定めるかいなかは、当該町村の実情に即応して任意にその採否に任せることといたしたいのであります。  なお、御参考までに申し上げますと、この問題は、かねてから全国町村議会議長会の熱心に要望していたところであり、国会に対する請願もしばしば行われ、国会もこれを採択して政府の検討を求めていたことは各位の御承知通りであります。政府におきましては、議会事務局の法制化は議会制度の確立上理想としつつも、両三年来地方自治制組織の簡素化と財政再建途上における緊縮方針の要請から、にわかにこれにくみしなかったもののごとくであります。しかしながら今日の実情に徴しまするに、町村の規模は人口八千未満から五万以上のものまであり、多種多様でありますが、概して町村の合併によって規模が拡大され、従前の市と大差のないものもあり、現在の町村数三千二百五十のうち、二千七百三十二の町村議会について調査した結果によれば、その七四%に当る二千三十二議会が常時議会事務に従事する職員を有する現状でありますから、政府当局の懸念するような点に留意して運用に誤まりなきを期すれば、町村議会事務局の法制化は、その職員の地位を安定せしめるとともに、議会機能の発揮に益すること多く、これを必置制とせずして現行法の市の議会におけると同様の扱いとすることは、むしろ実情に適するものと考えるのであります。  修正の第二点は、市となるべき要件のうち、人口要件について臨時の特例を定めようとするものであります。すなわち地方自治法第八条には、市となるべき普通地方公共団体の備えなければならない要件が定められてあり、人口要件としては、人口五万以上を有することとなっております。御承知通り、この人口要件は以前には長い間人口三万以上を有することとなっておりましたのを、昭和二十九年六月に現在のように改められたのでありますが、その理由とするところは、弱小町村を解消するため、大よそ人口八千を目途として町村合併を推進し、町村の規模は従前に比して飛躍的に増大するとともに、一方市としては近代的都市としての様相を整え、施設、能力を具備するためには、さらにその規模を拡大することが必要と認められたからであります。  しかしながら、町村合併の推進の過程ないし町村合併計画遂行の要請から、合併関係町村において、市となるべき期待をもっていたのにもかかわらず、一面においては北海道地方におけるがごとく、関係町村の区域が面積に比して人口数が少く、他面においては周辺都市や町村事情に制約されて新しい人口要件を充足するような合併ができず、従前の人口三万の要件で市となったものに比して、実質能力において遜色がないにもかかわらず、人口要件改定の前後にわたる時期的ずれによって、市となることが不可能となったものに対しては、この際町村合併の大事業も大よそ完成され、今後当分は大変動も予想されないこととにらみ合せ、一定期間を限り、以前の人口要件をもって市となることができる道を開くことが町村関係を安定させることとなり、関係町村の熱望にこたえて、その自治完成の意欲を高めるゆえんであろうと思うのであります。  このような必要を満たしますため、さきに人口要件が三万から五万に改正されたとき、経過措置として改正規定の施行の際、現に都道府県知事に対して当該処分の申請がなされている場合は、従前の例によるものとされたと同様の趣旨をもちまして、この趣旨をさらに時期的に延長いたしまして、昭和三十三年九月三十日までに申請をしたものは人口三万以上の要件をもって市となることを認めようとするものでございます。  以上が修正案の提案理由の概要であります。何とぞ御審議の上、満場一致御可決あらんことを御願い申し上げます。
  30. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 修正案の趣旨説明は終りました。  これより討論に入りたいと存じますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認め、直ちに採決いたします。  まず自由民主党、社会党共同提案にかかる、亀山孝一君外二十八名提出にかかる修正案より採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  32. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 起立総員。よって本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  33. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 起立総員。よって本案は修正議決されました。(拍手)  この際本案に関しまして渡海元三郎君より発言を求められておりますので、これを許します。渡海元三郎君。
  34. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいま議決されました地方自治法の一部を改正する法律案に対し、付帯決議を行いたいと思いますので、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   公立学校教育公務員のうち、全日制市町村立高等学校教職員のみが、退職年金基礎となる在職期間通算制度においてとり残されている現況にかんがみ、政府は、これらの職員についても都道府県立の高等学校及び義務教育学校教職員と同様に、その在職期間通算するよう、すみやかに措置すべきである。  右決議する。  今回の政府提案の改正案は、単に別表の整理に過ぎず、別に新たなる内容を持った改正事項を含んでおりませんので、さしあたり懸案となっていた町村議会の事務局法制化等について修正案が提案され、ただいま可決された次第でありますが、私はさらにただいま読み上げましたような付帯決議を本案に付して、政府の善処を求め、可及的すみやかに問題の法制的解決をはかりたいと思うのであります。  御承知通り、地方公務員退職年金及び退職一時金に関する勤務年数通算については、さきに一昨年の第二十四回国会において地方自治法の画期的に大幅な改正が行われた際、一応その原則が確立され、解決を見たのでありますが、なおその施行上にも若干の問題を残しているのであります。すなわち、右の改正によって新たに付加された本法第二百五十二条の十八の規定によれば、都道府県と国との相互間、都道府県相互間の人事交流異動による勤務年限の通算については、都道府県職員を迎える場合にも、送り出す場合にも、通算する措置を講ぜねばならないことになっておりますが、一般普通地方公共団体相互間にあっては、右の場合を除いては、すなわち都道府県市町村あるいは市町村相互間においては、通算措置を講ずるよう努めねばならないとあるにとどまっておりますので、義務教育職員については問題はありませんが、市町村立高等学校職員は当然には通算が認められず、教育上非常な支障があることは、本日の本委員会質疑応答においても明らかにされた通りであります。  この問題については、前国会においても請願国会に提出され、本院もこれを採択し、政府に善処を促しているのでありますが、可及的すみやかにこれを解決しなければ市町村立高等学校教育の振興上はなはだしく憂うるものがあるのであります。若干の支障がありましても、ひとしく教育に従事する公務員として、はなはだしく差別をすることは不当であり、かつて以前においても教育職員として恩給年限について通算されていた事例にかんがみましても、可及的すみやかに通算できるような方途を考究し、その措置を講ずべきだと信ずるものであります。  これがこの付帯決議を付して政府に可及的すみやかにその善処を要望するゆえんであります。何とぞ全会一致、御賛成下さるようお願いいたします。
  35. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 ただいまの渡海元三郎君の動議のごとく付帯決議を本案に付するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  36. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 起立総員。よって渡海元三郎君の動議のごとく付帯決議を本案に付するに決しました。  なお、ただいま修正議決されました本案に関する委員会の報告書の作成並びに提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  38. 中井徳次郎

    中井委員 今の全会一致で決議になりました市町村職員恩給通算の問題でありますが、きょうの問答におきまして、事務当局からこれは技術的に非常に困難であるということでありましたので、私どもはやむなくこういう決議の形になったのであります。ところがこれはどうせ参議院に回るであろうと思うのでありますが、まあ衆議院のことでありませんから差し出がましいようでありますが、参議院におかれましては、これはできるという意見も相当あるので、従いまして私どもも、もう済んだことですから決議にとどめますけれども、もしそういうことでございましたならば、政府におかれてはこの決議の内容については謙虚に受け取っていただきたい。衆議院でも決議であったのだから参議院ではできないなどと言ってがんばらないで、一つ謙虚な立場でおやりいただきたいということを、私は強く要望いたしておきます。きょうは時間もありませんでしたので技術的にこまかく入れなかったわけであります。そういうわけで残念ながら決議にしたということをよく御了察のほどを、特に私から要望いたしておきたいと思います。
  39. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時十二分散会