○纐纈
委員 ただいま議題となりました
地方自治法の一部を
改正する
法律案に対する修正案につきまして、私は自由民主党並びに社会党を代表して、その
趣旨を簡単に御
説明申し上げます。
まず、修正案の全文を朗読いたします。
地方自治法の一部を
改正する
法律案に対する修正案
地方自治法の一部を
改正する
法律案の一部を次のように修正する。
第百八十条の五の
改正に関する部分の前に次のように加える。
第百三十八条第二項中「市」を「
市町村」に改め、同条第四項中「市及び町村」を「
市町村」に改める。
附則を次のように改める。
附 則
(施工期日)
1 この
法律は、公布の日から施行する。
(市の人口要件の特例)
2
地方自治法第七条第一項の
規定による
関係市町村の区域の全部若しくは一部をもって市を設置する処分又は同法第八条第三項の
規定による町村を市とする処分については、昭和三十三年九月三十日までにその申請がなされ、かつ、その申請の際当該市となるべき
普通地方公共団体の人口が三万以上であるものに限り、同法第八条第一項第一号の
規定にかかわらず、市となるべき
普通地方公共団体の人口に関する要件は、三万以上とする。ただし、
地方自治法の一部を
改正する
法律(昭和二十九年
法律第百九十三号)附則第二項の
規定によることを妨げるものではない。
3 前項の人口は、
地方自治法第二百五十四条並びに第二百五十五条及びこれに基く政令の定めるところによる。
以上であります。
ただいま朗読いたしました修正案の
内容といたしますところは、次の二点でございます。
すなわち、その第一点は、町村議会の事務局の法制化に関する事項であります。現行
制度によりますと、地方議会における事務部局につきましては、
地方自治法の第百三十八条に
規定がありまして、
都道府県の議会には事務局を置き、市の議会には
条例の定めるところによって事務局を置くことができることになっておりますが、事務局を置かない市及び町村の議会にあっては、単に書記長、書記その他の
職員を置き、なお町村の議会だけは書記長をも置かないことができることになっているのであります。
従って、現行法上は、町村議会においては、事実上はともかく、
法律上に根拠を持った事務局を置くことは認められていないのであります。
しかしながら、町村の現況は、町村合併によってその規模が急激に拡大され、その財政力や行政能力も一段と伸張いたしたのであります。特に、新町村建設の段階に臨んだ今日においては、行政事務量も増大し、これに相応して町村議会の活動もますますその重要性を加えてきたわけであります。このような新事態に処して、町村自治の本義と議会の使命の重要性にかんがみ、町村議会の活動を能率化し、その本来の機能を発揮するに遺憾なからしめるためには、その事務処理の体制を整備する必要があると認められます。もとより、機構の整備と
職員の増加による財政上の
負担増大や執行機関とのいたずらなる摩擦は極力これを回避すべきは言うを待たないところでありますし、町村の場合には、なお個々の町村によって事情の異なるものがありますので、事務局の設置を法制化しましても、これを画一的にすることを避けて、町村議会においても、市におけると同様、
条例の定めるところにより、事務局を置くことができることとしようというのが、この修正点の
趣旨であります。このような
趣旨から、法第百三十八条第二項に「市の議会に
条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。」とあるのを「
市町村の議会に
条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。」と改めて、町村においても、その議会の事務局を法制化し、それを
条例によって定めるかいなかは、当該町村の実情に即応して任意にその採否に任せることといたしたいのであります。
なお、御参考までに申し上げますと、この問題は、かねてから全国町村議
会議長会の熱心に要望していたところであり、
国会に対する
請願もしばしば行われ、
国会もこれを採択して
政府の検討を求めていたことは各位の御
承知の
通りであります。
政府におきましては、議会事務局の法制化は議会
制度の確立上理想としつつも、両三年来地方自治制組織の簡素化と財政再建途上における緊縮方針の要請から、にわかにこれにくみしなかったもののごとくであります。しかしながら今日の実情に徴しまするに、町村の規模は人口八千未満から五万以上のものまであり、多種多様でありますが、概して町村の合併によって規模が拡大され、従前の市と大差のないものもあり、現在の町村数三千二百五十のうち、二千七百三十二の町村議会について調査した結果によれば、その七四%に当る二千三十二議会が常時議会事務に従事する
職員を有する現状でありますから、
政府当局の懸念するような点に留意して運用に誤まりなきを期すれば、町村議会事務局の法制化は、その
職員の地位を安定せしめるとともに、議会機能の発揮に益すること多く、これを必置制とせずして現行法の市の議会におけると同様の扱いとすることは、むしろ実情に適するものと考えるのであります。
修正の第二点は、市となるべき要件のうち、人口要件について臨時の特例を定めようとするものであります。すなわち
地方自治法第八条には、市となるべき
普通地方公共団体の備えなければならない要件が定められてあり、人口要件としては、人口五万以上を有することとなっております。御
承知の
通り、この人口要件は以前には長い間人口三万以上を有することとなっておりましたのを、昭和二十九年六月に現在のように改められたのでありますが、その
理由とするところは、弱小町村を解消するため、大よそ人口八千を目途として町村合併を推進し、町村の規模は従前に比して飛躍的に増大するとともに、一方市としては近代的都市としての様相を整え、施設、能力を具備するためには、さらにその規模を拡大することが必要と認められたからであります。
しかしながら、町村合併の推進の過程ないし町村合併計画遂行の要請から、合併
関係町村において、市となるべき期待をもっていたのにもかかわらず、一面においては北海道地方におけるがごとく、
関係町村の区域が面積に比して人口数が少く、他面においては周辺都市や町村事情に制約されて新しい人口要件を充足するような合併ができず、従前の人口三万の要件で市となったものに比して、実質能力において遜色がないにもかかわらず、人口要件改定の前後にわたる時期的ずれによって、市となることが不可能となったものに対しては、この際町村合併の大事業も大よそ完成され、今後当分は大変動も予想されないこととにらみ合せ、一定
期間を限り、以前の人口要件をもって市となることができる道を開くことが町村
関係を安定させることとなり、
関係町村の熱望にこたえて、その自治完成の意欲を高めるゆえんであろうと思うのであります。
このような必要を満たしますため、さきに人口要件が三万から五万に
改正されたとき、経過
措置として
改正規定の施行の際、現に
都道府県知事に対して当該処分の申請がなされている場合は、従前の例によるものとされたと同様の
趣旨をもちまして、この
趣旨をさらに時期的に延長いたしまして、昭和三十三年九月三十日までに申請をしたものは人口三万以上の要件をもって市となることを認めようとするものでございます。
以上が修正案の提案
理由の概要であります。何とぞ御審議の上、満場一致御可決あらんことを御願い申し上げます。