○中井
委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、
政府提出の
地方税法の一部を
改正する
法律案に反対、社会党
提出の同
修正案に賛成の討論をいたしたいと思います。
大体
政府の出されました今度の
修正案は
自転車荷車税の廃止、それから
たばこ消費税の
税率二%の
引き上げ、
電気ガス税の非課税範囲の拡大、さらに
木材引取税の率の半減と、こういうものがおもな
内容であると存じます。そういたしまして、率直に申し上げて
自転車荷車税につきましては、私
ども社会党がここ数年前から
主張いたして参ったことであります。従って本件に関します限りは、できるならば私
どもも賛成をいたしたかった。ところが今回出されました
政府の
修正案の成立のいきさつなどを伺ってみますると、これは最初
政府の事務当局の原案にはございませんでした。それが閣議の席上におきまして、総選挙を前にして、多少これは人気取りもやらなければいかぬというふうなことで、これは差しさわりがあったら恐縮でありますが、わが党からの見方でありますから率直に申し上げます。そこで急に
自転車荷車税の廃止ということにきまった。
国民のためにはけっこうでありますが、そういう
状態でありますから、これに対する引き当て
財源というものは、社会党といたしましては前からの
主張でありますから、実は相当詳細な
検討をいたしておりましたが、それに対する見返り
財源というものは、この必須条件を非常に簡単に乱暴に
考えて、総計で合えばいいじゃないかということで、簡単に
たばこ消費税の率を二%
引き上げることによって解決をしたと称する。ここに私はまず第一の問題があろうと思うのであります。従いまして原則として
自転車荷車税には反対ではないが、この必須条件であります
財源措置のでたらめさという点において、われわれは賛成するわけにはいかない。われわれは資料を要求いたしました。そういたしましたならば、大体でこぼこは七億程度であろうというのが返事であります。すなわち大都市におきましては、大都市は大都市としていろいろな仕事はありましょうけれ
ども、とにかく貧弱な
地方の小都市や
町村に比べて
財源が豊かでありますが、そこには大いによけいいく、この
自転車荷車税のかわり
財源は非常にたくさんいく。しかし山村などでは非常な
減収になる。その差額は七億だ、こういうことであります。そこで七億の根拠を
一つ示せとこまかく追及いたしますと、これは差引計算だ、たとえば埼玉県においてプラス・
マイナスしたら数千万円、静岡県においてプラス・
マイナスすれば数百万円の赤字であるというふうなものを合計して七億でありますから、これは
答弁にはなっておりません。これはあくまで
マイナスになる
町村の全国の総計をしないことには、これはならないのであります。私
どもの
考え方といたしましては、おそらく七億の倍額、十四億程度の出入りはあろうかと、かように
考えております。こういうずさんな見返り
財源では、私
どもはとうてい首肯しがたい点が、これがまずこの原案に対する反対の第一点。
第二点は
木材引取税、これもまた社会党は、こういう非常に変動の多い、また把握がしにくいのか、しないのか、いずれに原因があるか、これは世評はまちまちでありますけれ
ども、とにかく正確に把握すれば、もっともっと取れそうな税金であるが、現実には取れない。こういうものは税金としてどんなものであろうか。また一方固定資産との関係を
考えますと、山村におきましては、ほとんど森林以外にはあとにりっぱな財産的なもの、
財源的なものはないのでありますから、そういうものは私
どもといたしましては、今の
固定資産税の
税率も、たとえば一割程度あるいは二割もいけば相当いけるだろう、こういうふうなものでこの見返り
財源を見つけて、この引取税を何とかしてはどうかというのが
意見でありましたが、今回の
政府の案を見ますと、単に
課税標準などに多少手を入れまして、そうして率を半分にしてもこれはもと
通り取れるというのでありますから、これはどうもすこぶる乱暴でございます。承わりますと、これも全国のそういう
団体の強力な運動によって、しかも国会の開会中に、予算が成立してから——これは成立前でありましたら私はいじっておるだろうと思う。
財政計画等においても相当手を加えておると思いますが、成立後に、この会期の途中に急に半減をいたしました。従って関係の
市町村においては非常な混乱でございます。
説明によりますと、東北から北海道、国有林の多いところ、こういうところでは足りないところはことしは
特別交付税でやる、あるいは一般交付税におきましても、
税収入がそれだけ減ればそのうち七割というものは
補てんされるというふうなことであります。また西の方に参りますと、
先ほど申し上げたようにこのままで前よりもよけい取れる、去年九州地区はそういうふうであったというような非常に乱暴な御
説明だと私はこれを承わったのであります。そうして
自転車荷車税の十数億の赤字も、
木材引取税のそれも一緒くたに、
先ほども議論にありましたように、これは
特別交付税及び一般交付税で
補てんする。大体交付税なんというものを、そういうふうに簡単に追い込んでいいものであろうか。町のおかみさんの買いものかごに何でも物をほうり込むように、何でもかんでも理屈は
特別交付税でいく。しかもその
特別交付税の算定基準たるや、この間から問題になっておりますような基本的に非常な問題のあるときでございます。こういうところに何でもほうり込んでいくというのは、それ以外の府県、
市町村に、もちろん直接、間接非常な影響があるということを
考えて参りますると、今のこの
政府の案には私
どもはとうてい賛成するわけには参りません。特に問題は小さいことでありまするが、この
電気ガス税の非課税につきましては、課税の対象になりまする大会社はどういうものかというと、
先ほども申しましたように三井だとか、三菱だとか、あるいは東洋レーヨンとか、カネカロンというふうな天下の大会社で、それに一億数千万円の免税を特に取り上げる、
電気ガス税の問題が今や天下の大きな問題になりつつありまするときに、厚かましくも特に取り上げるというふうなことは、私はこの
電気ガス税の非課税の問題だけでも、今の保守党内閣の性格がそこにまる出しだというふうに
考えられてならぬのであります。以上の点からとうてい賛成するわけには参りません。
私
どもが
提出しました
修正案、これの
内容は、まず第一に
事業税でありまするが、この
事業税につきましてはシャウプ勧告以来大へんな問題になりました。この間も陳情者の話も聞きました。これは一体応益性のものか、応能性のものかさっぱり最近はわからない。応益性のものなら
所得税や
法人税と重複をするというふうな問題も起ってくる。結局のところは、現在の
地方財政から見て便宜的なものだ、今の
大臣の御
答弁にもありましたが、将来
考えなければならぬ。これはやはり将来は全廃の
方向に持っていくべきでありましょう。しかし
地方財政をそのままにして何も全廃しろとはいっておりません。そういう面におきまして、私
どもはすぐに廃止というわけではないが、
地方制度調査会の答申にもありましたような
方向に持っていったらどうだろうというのでありまして、そういう
意味からことしは個人の
事業税の基礎控除を二十万円まで上げる、あるいは
税率を一般的に八%というものを六%に下げるというふうなことでありまして、私はこれは当然
国民の世論にこたえるものであると
考えるのであります。
その次には例の
遊興飲食税の問題でございます。この問題はもうあまりくどくどしく論ずるまでもないのでございますが、去年のこの国会におきまして、
政府は芸者の花代等を三割を一挙に一割五分にいたしました。その際、多少の免税点の
引き上げはありましたが、逆に飲食におきまして三百円と五百円との間は、これまで五分の
税率でありましたのを一割にいたしました。また旅館の宿泊につきましては、八百円から千円のものを、これまた五分のものを一割にいたしまして非常に問題になりました。
政府の
答弁といたしましては、そういう営業をする人
たちは、計算も得意でないので、片手で料理をしながら計算もする、すしを握りながらやるとこれは非常に困るんで、五分だ何だと言わず一割だというと簡単だという、これまた乱暴な
答弁でありました。しかしそれはいけないんじゃないかというのでいろいろ議論の末、少くとも次の通常国会においてはこれは何とかしたいという返事でありましたが、今回依然としてほおかむり、そうして資料を要求いたしますると、これだけで二十数億の金である、こういうのであります。この点は私
どもの判断では、資料は資料といたしまして、現実の面で二十数億になるというふうなことは、とうてい
考えられないという
考え方をいたしております。
また
電気ガス税でありまするが、
先ほどは
政府はまたこの非課税範囲を拡大いたしておりまするが、私
どもは戦後の復興が一応の格好がついた、そうして昨年度あたりは神武景気といって大産業、大会社は非常な好況である、こういうときに悪税である
電気ガス税を一般庶民
大衆——普通の人から生活援護を受けている人に至るまで、全部一割を取るというのはあまりひどいではないか、しかも非課税の総計に一割かけましたら、百五十億を突破するという数字になっている。従って私
どもも全部一挙に復活しろとは言いませんが、この一般の一割の
電気ガス税を七%に下げ、そうして今非課税になっておりますものを一律に三%ぐらい課税をしたらどうかというのが、私
どもの
考え方であります。
さらに
農耕地の
固定資産税等につきましても、これはいかにも今の農村の
実情から見ましてあこぎに過ぎるというので、現状の三分の二程度の評価でもってこれを課していったらどうか、こういうことでございます。
その他
消防施設税な
どもございます。これなんかも、
政府が昨年あたりいろいろの議論の末、こういう
消防施設税のようなものを設けたいというので、わざわざ
審議会をお作りになったようでありますが、その結果は
固定資産税の水増しというふうな結論を出しておられる。最初のわれわれのねらいといたしましては、これは、あくまで火災保険その他のものから、消防に非常な関係があるのでありますから、税の形においてこれを
市町村に
提出さす、
徴収をするというのが妥当な社会通念であろうというのでもって、そういう
内容を含めたのであります。従ってこれに対して相当な欠損がありますけれ
ども、これは
地方制度調査会の答申に基きます
たばこ消費税でもってカバーする。それならば
国税に穴があくじゃないかということにつきましては、社会党といたしましては、租税特別
措置法のあの
制度いじることによりまして十分その穴埋めはできる、こういう建前でございますから、りっぱな筋の通った、
国民のほんとうに要望していることであろうと私は
考えているのであります。
ただいまその私
どもの案に対する内閣の御
意見を拝聴いたしましたが、第一、税金をあんまりいじると混乱をするという、それならことしなぜ
税制改正なんかやったのですか。わけがわからない。
たばこ消費税の
税率を上げると国の歳入
計画に重大な支障を生ずる、それならなぜ二%上げたのですか。そんなちょっと思いついたような反対
意見を申し述べて、そうしてもってとにかく多数だ、もう今三月三十一日だから、がんばっておればきょうあす通るだろうというようなことでは、私
どもはまじめな国政
審議だと言えないと思うのであります。
そういう面を含めまして私は
政府の原案に反対をいたしまして、社会党の提案に賛成をするものでございます。以上をもって討論を終ります。(拍手)