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1958-03-18 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    加藤 精三君       木崎 茂男君    渡海元三郎君       早川  崇君    古井 喜實君       松澤 雄藏君    今村  等君       大矢 省三君    北山 愛郎君       楯 兼次郎君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         議     員 高村 坂彦君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 三月十八日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  楯兼次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  遊興飲食税還元に関する請願畠山鶴吉君外  七名紹介)(第一九九二号)  酒消費税創設に関する請願畠山鶴吉君外七名  紹介)(第一九九三号)  娯楽施設利用税還元に関する請願畠山鶴吉  君外七名紹介)(第一九九四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九九号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇五号)  地方自治に関する件      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 これより会議を開きます。  本日はまず地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 この前の続きですが、木材引取税の問題です。自治庁としては今度税率は下げておりながら税収の方は今までと同じように減収を見積っておらないということで、どうも納得がいかなかったのですが、しか個々市町村の実情によって、やはり相当額減収は避けられない、こういうことが予想されるわけであります。特に北海道市町村では、この木引の減税については反対をしておるのですが、聞くところによれば、北海道としては対象になる木材については、ほとんどこれを確実に捕捉しておるんだ、従って税率を下げた分だけは減収になる、こういうことから今度自主財源が失われるという点について強い反対をしておるわけであります。  それで自治庁からいただきました資料によりましても、北海道市町村歳入総額の中における市町村税税収の中で、木材引取税の占める割合が非常に高い町村がたくさんあるわけであります。五割以上も木材引取税に依存しておるというような市町村があるわけであります。その他北海道のみならず九州あるいは東北等におきましても、山村においては木材引取税が主要な財源であるというような市町村があるわけであります。そこで北海道のような、税率引き下げが確実に税収影響するというような場合においては、必ずその分を特別交付税でもって補てんをするということを、はっきりとお示しを願わぬと工合が悪いのじゃないかと思うのです。たとえば北海道の上川は、三十一年度の一般会計歳入総額が一億八千万円、その中で市町村税決算額の方は一億三千八百八十八万円、木材引取税の方は六千五百四十五万円、四七%が木材引取税税収となっております。そういうようなところは税率を二%下げることによって理論上は半分になる、三千万円以上のものを失うことになる。こういう分を確実に特別交付税において補てんをするというのかどうか。これをはっきりしてもらいたいと思うのです。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話の問題につきまして、自治庁の部内で決定しております措置を読み上げたいと思います。「木材引取税税率の引下げに伴い、課税適正化を図るも、なお従前に比し減収が生ずると認められる市町村については、差当り昭和三十三年度において、同年度分木材引取税に係る基準財政収入額基礎として算定した税収見込額が前年度の木材引取税収入済額に満たない市町村に対して、当該満たない額を特別交付税として当該市町村交付する。」ということであります。
  5. 北山愛郎

    北山委員 その基準財政収入額基礎として算定した木引税収入額というのは、実際どういうふうにやって算定するのか、これを明確にしてもらいたい。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 木材引取税にかかります基準財政収入見込額は、大体従来通りの算定の仕方でよろしいのじゃないかというように考えているわけであります。前年度におきます木材樹種別伐採数量、これを基礎として推定して参るわけであります。なお念のために申し上げておきたいと思うのでありますが、前年度の収入済額の場合に標準税率超過課税をやっておるところとそうでないところとがございます。改正木材引取税につきましても、やはり標準税率標準税率超過課税方法とがあるわけであります。従いまして前年度五%で課税して得られました収入額につきましては、やはりこれを標準税率の場合に得られる額に置き直しまして、それと基準財政収入額基礎とした標準税収見込額との差額を、特別交付税交付額数字として用いるべきだ、かように考えているわけであります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 どうもはっきりわかない。前年度の実収額というものを一応基礎にして、そうしてこれなら適正な方法でとれるであろうという、あるべき収入額を算定した金額との差額をやるというのですが、北海道なら北海道の場合においては、実際にどういうことになりますか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国有林材にかかりますものと民有林材にがかりますものとに分けて申し上げますと、全国的に民有林材にかかりますものについては、従価税率を使っているところが多いのであります。国有林材につきましては逆に従量税率を使っているところが多いのであります。ところが北海道の大部分は従価税率であります。国有林材につきましても従価税率でございます。従いまして現実引取価格基礎にいたしまして、しか標準税率じゃなしに高い税率を使って課税しておるものでありますから、自治庁考えておりますように、かりに課税基礎に用いるべき木材価格を引き上げましたところで、従量課税をやっておるわけでございませんから別に増収は得られないわけでございます。なおまたその価格につきましてもきわめて適正に捕捉しておるようでございますので、やはり税率を下げましただけは減収にならざるを得ないのじゃないか。そういうような傾向が北海道につきましては一般的にあるだろうと思うのであります。従いまして北海道市町村につきましては、基準財政収入見込額と高い税率を用いて課税しておりました時代の収入済額との間には、現実にギャップが出て参るだろうと思います。従いましてそういう団体につきましてはその差額をそのまま特別交付税として交付していく、こういうことにならざるを得ないのではないか、かように考えているわけであります。なおまた逆に従来課税の悪かった市町村におきましては、基準財政収入見込額の方が木材引取税課税実績よりも多く算定されておったという団体がずいぶんあるわけでありまして、そういう団体につきましては今度税率が下げられましたからといって、収入実績との間に差額が出てくるわけではない、従って特別交付税を今のような方法で計算いたします限りにおきましては算定されてこないということになるのじゃなかろうかと思っておるわけであります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 そういうようなやり方で特別交付税として措置をしなければならない分は、大体において何億くらいになるか。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 個々市町村につきまして現実に算定してみませんと正確なことは言えないわけであります。従いましてまた自治庁内部におきましても税務局財政局との間で数字の打ち合せをしておりません。ただ私の全く荒っぽい推定では三億くらいになるのじゃないかと想像はいたしております。しかしこれもよく今後の推移を見ました上で予想を立ててみたいというように存じておるわけであります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 どうも自治庁ではいろいろな措置をして工合の悪いことがあればすぐ特別交付税特別交付税ということになるわけです。そういうようなまずい措置をして調整財源として特別交付税をそっちの方に持っていかれるということになれば、交付税数字はふえないのですから、これはどこかにしわが寄っていって、当然もらうべかりし交付税が、別の方へ流れていくということになるのですが、これはやはり間接には木引税をとっていない市町村なり地方団体に対しても影響を与えるのだ、こういうことからいって好ましいかどうか。三億円だけ見込まれるとするならば、それだけ交付税のワクをふやすのならば影響はないが、何でもかんでもちょっとまずければ特別交付税ということで、特別交付税を切り札にしている。こういうことは好ましくないと思うのですが、小林さんどうですか。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 仰せの通り何でもかんでも特別交付税というのは、私も好ましいとは存じておりません。今のような問題を特別交付税で解決するのだという考え方もいいか悪いか疑問だろうと思います。しか現実にその結果特定団体に著しい減収が生ずるとすれば、これは激変を緩和せざるを得ないのでございまして、その場合に特別交付税を利用するということも、これはやむを得ない処置だろうとわれわれとしては考えておるわけであります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 こういうふうな措置特別交付税でやること自体がいいか悪いか問題があるというお話ですが、これは、税務局としても財政局としても、今度の木引の五%引き下げについては、あまり確信を持っていないのじゃないか——いいことだと思っているのですか。
  14. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私の言いました気持をもう少し補足いたしますと、要するに税の改正は普通ならば普通交付税で調整される、こういう仕組みに当然なるのでありまして、何も特別交付税で特別の措置をしなくてもいいじゃないかというのが本質論だ、そういう意味で申し上げたのであります。しかしながら現実個々団体激変が出て動きがつかぬということはほうっておくわけにいかない。そういう意味で今度の場合などは激変が生ずるということは明白でございますから、これは特別交付税で調整せざるを得ない、こういう趣旨でございます。
  15. 北山愛郎

    北山委員 問題は特別交付税を使う原因なんですね。災害とかいうことは制度以外から出てくるのですからこれはやむを得ない。こういう問題について特別交付税考えていくのだと思う。趣旨はそうだと思う。ところがこれは政府みずからがこういう激変を起すような原因を作っておいて、そうしてそのしりぬぐいを特別交付税でやるというのだから、これは私はうまくないのではないかと思う。この議論は別としておきますが、ただ将来の問題として、こうして木引税が五%から四%あるいは二%というように下ってくるということになりますと、一体木引税というものは好ましくないのかどうか、やめるのかどうか、将来どういうふうに持っていくことがいいのか、これについては自治庁はどういうようにお考えでしょうか。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話になりましたように、木材引取税税率を一挙に半減するということは、将来木材引取税を廃止する意味でやっているのじゃないだろうか、こういう誤解が生じてくることがあり得るわけであります。しか政府におきまして、今回税率を二分の一に切り下げましたのは、むしろこの税をいろいろと争いの多かった姿から安定させたい、そして将来にわたって木材引取税を維持していきたい、こういう考え方から出ているのでございまして、木材引取税を廃止したいという考えは毛頭ないわけであります。なお山林関係から所在市町村に何がしか財源を与えていきたい。その財源を与える方法として、立木課税するのがいいのか、あるいは立木伐採税というような形式がいいのか、あるいは木材引取税というような形式がいいのか、これはいろいろな形があるだろうと思うのであります。しかしながら、その後にいろいろな角度から検討した結果、山林関係から何がしか財源を地元の市町村に与えていくといたしますれば、やはり木材引取税というような形において財源を調整するのが一番よろしいのではないか、こういう結論を今のところ持っておるわけであります。そういうような考え方のもとに、この税を将来にわたって安定したものにするためには、この際思い切って税率引き下げよう、こういうようなことになったわけであります。このことにつきましては、いろいろ是非の論はあろうかと思うのでありますけれども、むしろ将来安定したものにするために改正を加えようとしたのが本旨でございますので、その点は御了解をいただきたいと思うのでございます。
  17. 北山愛郎

    北山委員 要するに、安定する、しないということは、納税をしなければならぬ業界業者人たちが騒ぐか、騒がないか、騒ぎさえすれば不安定だということになって、それで税率を下げる。そうなればみな騒ぎますよ。遊飲税も騒いでおるわけだが、騒いだものが得をする、騒げば不安定だということになって安くしてくれるということじゃ、税制としてはまずいのではないかと思う。そういう意味の安定なら、私はまずいと思う。どうやら今度の問題でも、業者木材引取税撤廃運動をやった、そこに根源があるので、そういう考え方に引きずられて税制の安定というものを考えるのか。そういうことでは奧野さんらしくもないではないかと私は思うのですが、そういうことではないと思うのだが、どうですか。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 木材引取税撤廃運動のありましたことは、事実でございます。その際に反対の理由としてあげられておりました事柄に、市町村間において税負担が非常に区々になっている、そのことが木材業界にとっても非常に悪い影響を与えている、こういう問題がございました。この点についてはやはり課税適正化という意味において、私たちとしても十分配慮しなければならないところだ、かように考えておるわけであります。税率をある程度下げました方が、市町村間において負担適正化をはかっていく場合にはより容易になる、こういうことはやはり言えるだろうと思うのでありまして、そういう見地を中心にしていろいろ考えました結果が、今回の改正案になっておるわけでございます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 とにかくこの問題は大きく考えるならば、財源を持たない山村、いわゆる山林原野の多いような地方団体市町村府県もそうでありますが、そういうものが税源を求めたい。税源が非常に足らないわけです。そこで林産物なり、山林所得なり、あるいはその財産、こういうものから税収を得たいという一般的な要望はあるのではないか、また必要もあるのではないか、こういうふうなところに市町村のこの問題に対する考え方があるのではないかと思うのです。そこで特に北海道東北のような、国有林が三分の一とか、あるいはそれ以上占めておるような地域における山林木材資産、あるいはそこから出てくる所得というものに対する課税について、どうもこれを捕捉する制度が非常に乏しいのではないかというふうな点が考えられるわけであります。国有林の問題については、固定資産に相当する交付金が出ておるわけですが、これが非常に安いというような意見を、関係市町村でよく聞くのですが、一体どういうふうになっておるのか。付近一般山林評価と同じ程度評価をした金額を、国有林交付金として関係市町村交付されているか。これがどうも少くて困るというような意見も聞く。ですからその実態。どの程度金額林野庁の方から総額として交付をされておるか。また、ほかの民有林等固定資産に比べて、その評価が低過ぎるのではないですか。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のように、国有林地評価額民有林地評価額に比して低過ぎるからそれをもっと高くして、そうして国有林地にかかる所在市町村交付金の額を増額すべきだという意見がございます。関係市町村からもそういった要望を得ておりますので、われわれの方から林野庁の方に対しまして、公文でこの点についての意見を求めてるわけでございます。国有林地の反当平均評価額は四百五十円くらいであります。これに対しまして、自治庁の方から市町村民有林地平均評価額を指示しておりますが、その全国平均が千百円くらいであります。そういたしますと、国有林地評価額が、民有林地評価額の四割くらいにしか当っていないわけであります。その点につきましては、先年も林野庁の人と議論をしたことがございましたが、国有林地につきましては、人跡未踏の全く森林の育成もできないようなところが非常に多いんだという話がございまして、従いましてまた、民有地評価と同じ水準で評価はとてもできない、こういう話もございました。これももっともなところだろうと思っております。ただ関係市町村からの話によりますと、民有林地に隣接してる国有林地評価額が、どうしても納得がいきがたい、低過ぎる、こういう御指摘がございました。それが事実ならば、私たちもそうだと思いますので、自治庁としても、今申し上げますような計数から見ると、どうも低過ぎるように思うので検討してもらいたい、そうして意見を伺いたい、こういうことを公文で申し入れておるのでありまして、なるたけ早い機会に私たちも若干の現地の調査もいたしたいと思っておりまして、話し合いを続けた上で、なるたけ早い機会交付金額の増額をしてもらいたいという希望を持っております。なお国有林地にかかります所在市町村交付金総額は、三億四千万円でございます。
  21. 北山愛郎

    北山委員 この点は私ども現地でもっていろいろ意見を聞くわけでありますから、一つ付近民有林地並み国有林についても交付金を引き上げる、こういうような努力を払っていただきたいと思う。  なお自治庁からいただいた資料によりますと、民有地にある立木評価額というものが、約一兆円をこしておる。これが国有林の方は、国有財産の台帳によりますと、五千五百億です。これも比較的安い。石当り幾らになりますか、三十五億石くらいありますから、百五十円くらいですか、非常に安い評価で五千五百億ある。民有林の方は一兆幾ら、合わせて一兆五千億という固定資産であります。これに対しては固定資産相当税金がかかっておらない。ただ土地だけを評価して、それにだけ課税をされておる。私ども山林県として見た場合に、やはり県なり市町村税収対象として、農業とかあるいは商工業とか、そういうものには固定資産あるいは所得についてこれを捕捉して、その税収の維持をしておるのですが、山林の方は今申し上げたように、莫大な立木資産に対する固定資産税もかかっておらない。また山林所得についても山林所得控除であるとかいろいろな特典がありまして、それで捕捉が少い。ですから相当額の林産物あるいは林産資源を持ちながら、それに対してはこれが税源対象になっておらないという点について、どうもおかしいじゃないかという気持を持っておるのですが、こういう点は自治庁として地方税の立場から将来御検討になるお考えがあるかどうか、これを伺っておきたい。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話になりました点は、やはり地方税制上の一つの大きな問題であろうというように存じております。ただたびたび繰り返し申し上げますように、現在のところの考え方結論としては、やはり木材を伐採した場合に引取者にある程度税金負担してもらう仕組みが一番よいだろう、こういうような考え方を持っているわけであります。木材引取税税率を、それでは何パーセントぐらいがよろしいか、そういうようなところから理論的に割り出されてこなければならぬと思うのでありますが、さしあたりこの問題につきましては、ただいまのような改正をして安定した姿において、山林所在市町村財源を供与していきたいというように考えておるわけでございます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 今の点はいろいろ検討していただくということにいたしまして、行政局長もお見えのようでありますから、私の地方税の質問はそろそろ終りますが、もう一点、自治庁としては昭和三十三年度における税収も相当ふえた、それから地方財政もよくなったということで、法定外のいろいろな税金を整理されるというような御方針を前に新聞等で拝見したのですが、これについてはどういう方針ですか。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自転車荷車税を廃止した趣旨から考えますと、法定外普通税につきましても、同じようなものがもしあるとするならば、市町村で廃止してもらうことが望ましいというように考えているわけであります。しかしながら、だからといって法定外普通税全部が廃止の対象になるものであるとも考えておりませんし、またできる限り府県市町村に自主的な判断で、財政運営をしてもらうことが適当でございますので、一つ考え方基準は示した方がよろしいと思っておりますけれども、強制的に廃止させるというような考え方は持っていないわけであります。  なお念のために申し上げておきたいと思いますが、私たち法定外普通税をいろいろな角度から区分してみました場合に、大体五つぐらいの種類に区分ができるのではないだろうかというように存じております。その一つは、全国的に所在する税源ではございませんので、あえて法定はいたしておりませんけれども、たまたまそういうような税源所在します市町村におきましては、他の法定税目との均衡から考えて参りますと、積極的に法定外税目を起してでも課税をした方が均衡がとれるのだというような性格のものがあろうかと思います。たとえば東京都のようなところでも、商品切手発行利用税という法定外税目を設けております。こういった式の税目は、今回の措置いかんにかかわらず将来とも継続してしかるべきものだというふうに存じているわけであります。  第二は特定施策を行いますために、その施策から利益を受ける人たちに応分の負担をしてもらう。逆に言いますれば、受益者負担のもとにおいて、特定施策地方団体が行なっているというようなものでございまして、たとえば繭の検査に関係いたしまして、繭引取税を起しているところがございます。あるいはまた観光施設を整備するという意味で、文化観光施設税を設けているところがございます。こういうような個々施策に基きますものは、今回の措置とはやはり関係がない、かように考えているわけでございます。  第三には、法定税目のままで課税をしていくよりも、むしろ若干課税の方式を変えた方が、その地方実態に即する場合があるわけでございまして、たとえば木材引取税の形で課税をいたしませんで、その村から他の村へ出て行きます場合には、一本道路だ、その一本道路の出口において木材の搬出を見ておれば、的確に捕捉をしていけるというようなことで、木材移出税というような課税形式をとっているところもございます。こういうのも今申し上げるような趣旨でございますから、あえて廃止する必要はないものだというように考えているわけでございます。  第四は、財源がないために、若干無理ではあったが、あえて法定外税目を起しまして、わずかでも財政収入を上げる努力をしているものがございます。  それから第五には、法定されておった法定税目が廃止されたけれども、わずかな財政収入でも上げたい、あるいはまた従来から法定外税目としてずっと継続しておった、そういう税目を、社会情勢が変ってきても、なおかつ今日もあえて法定外税目で継続しているところがございます。たとえば扇風機税を起している、ミシン税を起している。扇風機とかミシンとかいうものは、何十年も昔でありますと、それを持っていることによって、一つの担税力を捕捉できたと思いますけれども社会情勢の変化から考えますと、もはやそれを持っているから担税力があるとはいえないと思うのです。今申し上げました第四や第五の範疇に属します法定外税目につきましては、新たなる見地から検討していただきまして、税目を新たに起す結果、地方税をよけいとることになり、地方民に圧迫感を与えていると思いますが、こういうものを検討いたしまして、なるべく廃止していただきたい、こういう考え方を持っているわけでありますが、こういう考え方につきましては、いずれ地方団体に対しましても示して参りたいというように存じているわけであります。
  25. 北山愛郎

    北山委員 これは理屈をつければ、税金にはいろいろな理由が何ぼでもつくわけなんですよ。ですから今非常に明確に幾つかの条項に整理をされましたけれども、いい税金というのは一つもないのですから、その中で無理ではあるが、財政上の必要から取るというもの、それから従来法定税であったが、情勢の変化によって法定税金とするのは適当でないからやめるというようなもの、これについては、少くとも今後整理をしていくというような方針で進む、こういうふうに確認をしてよろしゅうございますか。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 整理すべきであるかどうかということを研究する場合の対象になるのが、第四と第五だと思うのでございます。その場合に、その中で、扇風機を持っている、ミシンを持っているというようなことで担税力を捕捉してきたようなものは、社会情勢の変化から考えますと、ほかにもっと担税力を捕捉するに適当なものがありますので、原則としてやめてもらった方がいいのではないか、あるいはまた現在町村においてわずかに一万円ぐらいの収入しか上げていない、むしろ徴税費を考慮した場合には、かえって徴税費倒れになる、財政の整備もできないでその日暮しに追われているものですから、検討の余裕もなかった団体もあるだろうと思うのであります。そういう団体については、やはり検討を加えてもらった方がいいのではないか、徴税費倒れになるような課税はむしろやめてもらった方がいいのではないか、財政収入が不足をするという場合に、どういう方法によるかといえば、私どもは原則としては有力な法定税目標準税率超過課税だと思うのであります。従いまして徴税費のことも考え税目一つ加えることによっての納税者への圧迫感等も考えまして、原則は、わずかばかりでありましたならば標準税率超過課税とか、そちらに財源を求めるべきで、こういう考え方地方団体によく連絡をいたしたい、その上で地方団体で判断をしてもらいたい、こういう考え方を持っているわけであります。
  27. 北山愛郎

    北山委員 先ほどのお話の中で、木材の移出税については認めておられるようですが、これなんかは、従来奧野さんが言っておられたこういうような経済の一つの流通関係ですね。こういうものはやはり全国的な視野から考えるべきなんで、それぞれ地方団体で物の取引流通について課税するということは、適当でないようなお話を前に聞いたことがあるのですが、木材移出税の方はそれでいいのですか。  またもう一つあわせて政策上の問題もあると思うのですね。国としては、酪農振興を大いに奨励していると言いながら、地方税の中には家畜税というようなものが最近ふえて参りました。そしてせっかくの家畜増殖の意欲を押えておるというような税金は好ましくないのじゃないかと思うのですが、家畜税なんかについてはどういうふうにお考えですか。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 木材移出税は、木材引取税にかえまして木材移出税を起しているわけでありまして、実体的には全く同じでございます。ただ引き取りのつどそれを捕捉して課税をいたしますよりは、道は一本道でありますので、そこの出口で見ておれば完全に把握できますので、村外に搬出する場合に捕捉をして課税する、こういうやり方をしているわけでありますので、一般的な物品の移出に対する課税を認めるという意味ではございません。木材引取税につきまして、いろいろな議論がございますので、それぞれの市町村におきまして、一番やりやすい課税方式を個々市町村において適宜とらしていきたい、そして木材引取税の円滑な運営に寄与していきたい、こう考えているからでございます。なお家畜税につきましては、これはいろいろな点から関係地方団体においても議論になっているわけでございます。家畜を持っているから担税力があるということで課税をしていく考え方には、私たちはあまり積極的に賛成はしがたいと思っております。ただ畜産行政との関係におきまして、そういう税を起しているところもございまして、たとえば種牛を購入してきて、それとの関係において家畜税を起しているとかいうよらなやり方をしているところもございますので、そういう意味で、私たちはどの家畜税も全部同じような目では見たくないという考え方を持っているわけであります。
  29. 北山愛郎

    北山委員 法定外の普通税等につきましては、一般的に法定税金の超過課税というか税率とか、そういうものでかげんすれば、ある程度間に合うという状況のものが少くないと思うのです。ですから、ただいまも奧野さんが言うように、今の財政上の必要によるようなもの、あるいは適当でないようなもの、そればかりでなくて、一般的に法定外普通税というものを整理していく方針で進んでいってもらいたいと思う。  なお最後に一点だけ電気ガス税について。私の方としては、たしか一昨年でありますか、街路灯の使用する電気に電気税をかけるのはおかしいんじゃないか、ああいう公共的な、道路の照明であるとか、あるいは防犯であるとか、そういうような公共性のあるものについては、少くとも電気税はかけるべきじゃないのじゃないか、こういうふうな考え方で一昨年修正案を出したことがありますが、この点についてはどのように考えるか。またでき得るならば、街路灯の電気料金を私たちは特別に安く、ただにしてもらいたいというのが理想ですが、少くとも大口電気がキロワット時当り三円なら、三円くらいまで下げるとか、ああいう公共性のあるものは、私はそういうふうな政策をとるべきではないか、その手始めとして、少くとも電気税は免税にすべきじゃないか、非課税にすべきじゃないか、こう考えるのですが、奧野さんはどう考えますか。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 電気ガス税の非課税の範囲につきましては、従来からもたびたび議論のされているところであります。どこで線を引くか非常にむずかしい問題だろうと思います。また線の引きょうによっては、電気ガス税の徴収というものが非常に手数のかかるものになってしまうおそれもございますので、あまりに電気ガス税の徴収を複雑な姿にはしたくない、こういう基本の考え方一つ持っているわけであります。なお街路灯の問題につきましては、街路灯にもいろいろな種類のものがあるだろう、たとえば繁華な商店街におきまして、商店の人たちが積極的に金を出し合って照明を明るくしながら、それらの商店街への客の吸収策を講じているところもあったりしますので、街路灯なるがゆえに全面的に非課税にするという意見はとり得ないというように存じておるわけでございます。なおまた街路灯の中で特に公共性の強いものだけを拾ってみるということになりますと、どこで線を引くかにつきましては、興行用のものその他のものにつきましても、いろいろむずかしい問題があろうかと思うのでございまして、さしあたりはあまり複雑な姿にしていきたくないものでございますので、一応現在のままでやってもらえないだろうかという考え方をしているわけであります。もとより料金政策におきましてそういう配慮を加えるということは大賛成でございまして、かつて地方団体が配電事業をやっておりました際には、私は積極的にそういう面は取り上げられておったと思うのでございます。ただ、これは自治庁の問題ではございませんで、通産省の問題でございますので、私たちから積極的にあれこれ言うことは適当でないと思います。ただ、それを税の面において変えていくということになりますと、非常にむずかしいことになるのじゃないだろうかというように、私たち考えているのでございます。
  31. 北山愛郎

    北山委員 これはむずかしくないですよ。実際、実態を見れば、街路灯というのは一体だれが料金を払っているかといえば、それぞれ部落会、町内会でやっておる。商店街は、自分の商売上、ああいうふうに明るく金を出し合ってやっているわけですね。ところが公共建造物のあるようなところ、東京都内でも大通りでまっ暗なんです。まっ暗だということは、道路交通の安全の上から見ても、公安の上から見ても好ましくないのです。盛り場だけがまるでこうこうと電気がつき、ネオンがついておって、それ以外のところはまっ暗だというようなことはないと私は思う。だから私は道路交通の点から見ても、ただ道路のりっぱなやつを作ればいいのじゃなくて、それには適度な道路照明というものが付帯しておらなければならぬ。それが公共性なんです。だからそういう基準をきめて、何メートルの道路には大体何メートル置きに何燭光の街灯があるべきであるということがきまって、そしてその分については電力料金はただだとか安くするとか、あるいは電気料金をただにするとか、そういうことにすべきだと思う。なるほど現在では技術的にまだそこまで進んでおらないから、これからやるということになればむずかしいでしょうが、私は必ずしもそれが非常にむずかしいのじゃなくて、市町村等で一つ基準によって指定した街灯についてそういう措置をとればいいのであって、これは非常に助かるのですよ。今部落会、町内会で街灯費の持ち寄りで問題になっている。市町村で自分が持つべきものでありますけれども市町村の財政が苦しいものだから、街灯費までは持てないということで、まっ暗なんです。町を明るくするということは大したいい仕事なんですから、街灯電気税の免税、非課税ということは、これはまじめに考えてもらいたい。  それから委員長にお願いしておきますが、私はこういうことに関連して、電力会社の固定資産税その他にも関連をいたしますので、通産省の公益事業局の責任者を呼んでもらって、街灯の電気料金を安くするようなことについて要望したいと思いますので、そういう措置委員長にお願いして、私の質問を終ります。     —————————————
  32. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 ほかに御質疑がないようでございますから、次に地方自治に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。纐纈彌三君。
  33. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 ちょっと委員長に伺っておきたいと思います。町村合併の問題で政府方針を聞きたいと思いますので、自治庁長官の御出席を要求しておりますが、いつごろ御出席願えますか。
  34. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 大臣は今、参議院の予算委員会に出席しておりますので、十二時ごろになるそうです。
  35. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 それでは行政局長がお見えになっているようですから、町村合併についての御質問を申し上げたいと思います。  町村合併促進法ができましてから、町村合併は相当な成績をあげておるわけでありますが、なお今日その問題についてかなり紛糾を重ねておるものも相当あるように承わっております。それからまた法律によりまして町村合併の問題について知事の勧告を発しておるものも相当あると思いますが、これがどのくらいあり、勧告したもので今日までその勧告通りに合併が進められたものがどのくらいありますか。一応参考までに伺っておきたいと思います。
  36. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 ちょっと手元に資料を持って参りませんので、後ほど正確でない部分は訂正をいたしますが、大体の概要を申し上げます。  昨年の三月三十一日までに、県内の町村合併に関しましては、それぞれ知事におきまして各県の新市町村建設促進審議会の議を経まして、未合併町村に対しまして勧告をかけておるわけでありますが、この勧告の対象になっておりまする町村の数は約八百八十であります。その後勧告をかけましていろいろ県においても努力をいたしまして、漸次対象町村について合併が進捗いたして参っております。その結果、今まで減少いたしました町村を除きまして、あと残っておりまするものが約五百、五百町村がなお未合併町村として現在残っておるという状況でございます。
  37. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 その五百の未合併町村に対しまして、早急か、割合に近い将来において、この勧告通りに合併が行われそうだというお見込みはある程度あるのですか。
  38. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 五百残っておりまする町村の中で、勧告通りに合併が進捗いたしますものもかなりあると思いますが、率直に申しまして今残っておりますものは、いずれも非常にむずかしいものばかりという状況でございまして、早急にこれらの未合併町村が全部が全部勧告通りに合併が実現するという見通しは、今のところなかなか困難ではないかと考えております。
  39. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 その勧告を受けました未合併の五百町村の中で、相当勧告通りに合併が行われる見込みのあるものもあるようですが、かなりむずかしい問題があるというお話でございますが、このむずかしい問題をやはり勧告通りどこまでも進めていかれるつもりですか。またこれをいつまでもずるずるべったりに長く引いておったら、かえって自治団体に対する非常なあつれきができまして、自治団体の円満なる発展のために非常な弊害をもたらしまして、町村合併の目的に反するような結果に持っていかれる心配があるように思うのでありますが、これについてはどういう御意見をお持ちでしょうか。
  40. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 その点は纐纈委員の御指摘になりました通りでございます。全体といたしまして町村合併の成果というのは、実は形式上は所期の目的以上の成績をあげて今日まで来ておるわけであります。ただ県計画におきましてなお未合併町村について合併を推進をしたいという建前のもとに勧告をいたしまして、今日まで残っておりますものがなお相当多数あるわけでございますが、これらの町村合併の今後の進め方につきましては、今お話のございましたようになかなかきまり得ないというようなものをいつまでもそのままにいたしておくということになりますと、当該の町村の一体化というものが、いつまでたってもけりがつかない、それが全体としての新市町村の建設の足並みにも影響を来たすというような点は、われわれとしても十分考えて参らなければならないというふうに考えておるわけでありますが、そのために私たちといたしましては、できるだけ近い機会に——時期的に申せば来年度に入りますならば、早々に、今勧告がかかっております町村の実態に応じて、それぞれ類型を分つというような試みをいたしてみては、どうかということを考えておるのであります。  その類型の分ち方等につきましては、まだ今のところ確定的な成案を得ておるわけではございませんが、大体の考え方を申しますならば、一つのグループといたしましてはやはり客観的その他の状況から申し上げまして、最後は住民投票あるいは総理大臣の勧告をかけてもこれを実現をした方がよろしい。たとえばある町の周辺に四つなり五つの村がございまして、その周辺の各村がまん中の町に合併をしたいという熾烈な要求を持っておる、また地勢、経済その他の状況から言いましても、それらのグループの合併は好ましい状況にある、にもかかわらず中心にある町におきましていろいろな状況から周辺町村の受け入れを拒むというような状況にありますようなところとか、あるいは完全に飛び地になってしまっておって、今までの経緯からいってその飛び地というものは段階的にそういう形が現われたのだけれども、将来時期がくれば必ず合併をするというような当事者の約束ごともあったというようなもの、その他合併をいたしますことが、いろいろな面から見まして最も妥当であると思われるようなグループが一つあると思うのであります。  その次のグループといたしましては、将来の町村の一つのあり方、適正なる町村規模のあり方といたしましては、その合併計画自体は妥当なものである、しかも将来機運が向きまして、それらの町村の間において合併の動きが見えてきた、その場合に合併の勧告がかかっておりませんと、それらの町村において新市町村としての取扱いを受けないということになっても困りますから、一つの将来の合併方法を示すという意味においての取扱いをいたした方がいいもの、それが第二のグループである。  第三のグループといたしましては、なるほど当時の情勢として、他の町村の規模その他から見まして勧告をかけること自体にもちろん不合理はなかった、なかったけれども、よくよく検討してみるならば、やはり勧告を強行するということがかえって弊害を生ずる、むしろこれは実質上は勧告はかかっておっても取扱い方としては合併不可能町村と同じような取扱いをする方がいいのじゃないか、勧告がかかっておるけれども、実際の取扱い方としては不可能町村と同じような取扱いを実質上やっていっても差しつかえがない。大体私の考え方ではそういう三つの類型に分ちまして、これによって全体としての町村合併というものについて一つの方向を与え、また一つの終結への方向を打ち出して参る、そういうことにいたしまして、全国的にいって新市町村の建設促進という方向に大きく一つ方向づけをもっていったらどうか、大体そういう構想を持っておる次第であります。
  41. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 問題になっておる問題につきましては、早急に十分の研究をいたして、何とか片づけたいというような御意向でございまして、私どももぜひそういう方向に進んでいただきたいということを考えておるわけでありますが、私の考えでは、今日町村合併の問題で争いのあるところについていろいろ考えてみますと、一応その町村におけるボスの争い、こういうようなものが一つ原因になって、そのために、場合によりますと住民全体の意思に反したような形に持っていかれておる、こういうような問題の村が相当あって、それが一番解決のむずかしい問題じゃないかということが一つ考えられる。もう一つは、もちろん地理的には相当合併の条件としてはいいかもしれませんが、町村としては非常に財産を持っており、人口の点についてだけ、ある程度の標準の人口にはないのだけれども、一応盆地のようなところであって、しかも村有林とかそういう財産を持っておる、あるいは大きな発電所を持っておって、固定資産税がうんと入るとかいうことで、財政的にちっとも困らない。むしろ合併された市、あるいは町が——富裕財産というものはみなそれぞれ合併した村が持っておって、された方では比較的借金だけ持っておって合併したとかいうようなことで、新市町村がかえって財政的には困っている。ですからそういうところへ裕福な村が入っていくということでは、かえってこれが将来村のためには非常にふびんになりはせぬか、こういう心配があって、なかなかそれが実現しないというふうなものも私はあるように思います。今の感情的の問題についての解決というものは、これは感情問題でなかなかむずかしいのでありますが、結局今も局長のお話になりましたように、新市町村の育成促進法ができておるわけでありますから、これでもって徹底的に一つ市町村を育成せしめて、りっぱな市町村ができていくという見通しができる、相当将来りっぱになるのだというようなことになって参りますれば、私はそういうところにおきましては、また財産があるところでも、おそらくだんだん今のむずかしい問題が解消されて、将来はやはり県等で計画したような形に進めていくことができるんじゃないかということを考えるわけでございまして、今日の情勢でいつまでもごちゃごちゃしておるものを、知事の勧告が出たから、それでどうしてもやらなければいかぬとか、あるいは県庁で計画したのだから、これを無理しても通さなければならぬとかいうような、県庁の役人連中のめんつによって無理押しをしていくというようなことも、私はかえって弊害があると思いまするから、一応この辺で、町村合併の問題も、今お話になりましたように、将来相当合併の見込みがあるというようなものについては、これは場合によっては総理大臣の勧告まで持っていってもいいですが、それがまた知事の勧告と同じように、総理大臣に持ってきて勧告して、それができないというような形になりますと、勧告というものは何であるかということになって、かえって意味がないという問題になるわけでありますから、ぜひともこの辺で、町村合併をどうするかということについてのはっきりした方針を立てていただいて、その合併によって町村内がごちゃごちゃしておって、そのために住民が非常に迷惑している、一部の野心家のためにかれこれ引き回されておって、入りたいものも入れぬ、入りたくないものも入るということで、無理に持っていくという形を何とか早く解消していただいて、それでむしろ、私は、育成促進法を生かして、そうして自然に、円満に計画通りに合併が進めていかれるという線を持っていく時期に来たのじゃないかというふうに考えておりますので、今局長のお話になりましたような方針を、できるだけ早く決定されまして、この合併問題についてのピリオドを打つというわけじゃないのですが、町村の間におけるごちゃごちゃを解消して、将来円満裡に、また健全に自治体が発展するように持っていっていただきたいということを、一応要望いたしておく次第であります。  さらに、越県合併の問題がただいま中央審議会で相当論議されておるようでありまして、なかなかいろいろの関係で越県がむずかしいようであります。これについては、私は大臣に御質問申し上げたいと考えておりますが、一応局長さんから審議会の大体の様子がどんなふうにまで進展しておるか、その辺お差しつかえがなかったら、ちょっとお聞かせを願っておきたい。
  42. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 いわゆる県境合併の問題につきましては、ただいま中央審議会で、本問題についてはいろいろな角度から慎重な検討、討議が行われておる段階でございます。従来いろいろやって参りましたいきさつを簡単に申し上げますると、委員会におきましては、それぞれ学識経験者が十一名ございますので、十一名をもちまして小委員会を構成いたしました。その小委員会委員長には会長である湯沢先生が小委員長になられまして、あとの十名の方々はそれぞれ二名ずつ、越県合併について一県づつ担当をしていただきまして、現地についての調査、その後関係者からの事情聴取等の議を経まして、今小委員会全体といたしまして、どういうふうに、それぞれの案件について結論を持っていくかということについて、慎重検討を続けておる段階でございます。実は、本日もその小委員会をもって審査をいたしておるような状況でございます。日ならず、時期的な問題もございますので、小委員会結論が出、またこれをもととして、本審議会の意見答申がなされる段階に来るのではないかというふうに考えております。
  43. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連して。さっきから纐纈さんの御質問があり、またあなたからもお答えがあったのですが、問題はいろいろ錯綜して、事情があるだろうけれども、私どもあの法案を作ったときの思想ですね、その思想が最近は生かされておるかどうかということで、もう私は非常に疑いを持っておる。そこでお尋ねするのですが、大体、どうも今の、特に府県の境界変更について、結果としてはそうなるのだが、そういう問題については、知事から県会議員から非常な猛運動をやっている。同時にまた関係の町村につきましては議会、首長全部が猛運動をやっている。しかし私は、どうも考えるのに、根本思想はあくまで住民本位でやらなければいかぬ。今の考え方としては、段階としては府県の圧力が、自治庁、総理大臣勧告その他に向って非常に加えられている。その次に今度は議会並びに関係町村の圧力は、非常な猛運動がある。しかしその根本思想はあくまで住民でありますから、地区住民の意思というものが生かされねばならぬ、こう思うておるのでありまするが、あなた方幹事として委員会にも参加されておるし、自治庁としてもそういう面については十分な腹を持ってもらわぬと、この問題はたとい裁定が出てもあとへ引くと思うのですが、どうですか、その辺の自治庁の見解を伺っておきたい。県当局の意思を尊重するのか、町村の機関の意思でやるのか、住民の意思でやるのか、それは理屈のつけようはいろいろあります。町村議会は住民の意思を代表しておる、県も代表しておるといいまするが、現実には私はそうでないように思う。ここに問題があると思うのだが、どうなんですか。
  44. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 現在まだ審議中でありまして、結論が出ておる段階でございません。従って御懸念になっておるようなことが現実に現われてくるかどうかということは、今予測の限りではございません。われわれ事務当局といたしましては、この問題については非常に微妙な問題でございますけれども、やはり町村住民の意向、並びに当該町村の客観的な条件というものが、県境を越えて合併をするということを要請をするのかどうかという点を、やはり第一義的には中心として事柄を考えていかなければならぬ。ただ県境にまたがる問題でございますので、どうしてもその他の意向というものを全然無視して考えるわけにはいかぬと思いますが、第一義的な中心になりますことは、これはあくまで当該町村の置かれた客観的条件であり、また当該町村の主観的な意思ということを、第一義的にはやはり尊重していくのが建前であるというふうに考えております。
  45. 中井徳次郎

    ○中井委員 今のお話ですが、客観的な意思なんといったって、非常にむずかしくて、さっきあなたから御説明を聞きましても、非常に客観的にものを言うておるが、それできまるのなら、これは八百にも上りはせぬのです。今運動しておるのは、その客観性なるものが、各機関のえて勝手な解釈によって混乱をしておるところに問題があるのです。全く現実の姿としては、そういう三つ、四つのグループが主観的な判断に基いて、それでおのおの客観性を強調しておるだけです。だからあなた方が最後まで客観性々々々と言ったって、問題は解決しないと思うのです。そのいろいろなグループがございます。そのグループのうちのどの意思を尊重するかということで切っていかないことには、私はなかなか解決しないと思う。ところが現実団体の上の方が自治庁には非常な圧力になっておる。圧力関係からいいますと逆なんです。私は自治庁としては、声なき声といいますか、そういう素朴な意見といいますか、この法案が出たときに、けっこうな法案が出た、それなら私の方はこうしてもらおうというのが、一番私はすなおな意見だろうと思うのですが、それが全くゆがめられてきておるということについて、私はあなた方の覚悟を伺ったのです。ですから今のような上手な答弁ではなしに、もう少しはっきりした意思を表明されていいと思うのですが、私は関連質問ですからこの程度にしますが、どういうことですか。
  46. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 この際高村坂彦君より委員外発言をいたしたい旨の申し出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 御異議なしと認め、高村坂彦君委員外発言を許可することにいたします。高村君。
  48. 高村坂彦

    ○高村坂彦君 私は市町村合併の問題について、実は最近警察の方で、警察の統廃合をやっている。その統廃合をやることが、町村の合併促進の方向と逆に行くような事例があるのです。こういう点について、何か自治庁として警察関係お話しになったことがあるかどうか、それをまず伺ってみたいと思います。
  49. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 一般的に申しますと、新市町村の建設促進法にも書いておりますように、市町村合併を促進する、そういうことに寄与するように国の全般の施策も協力していただくという建前になっておるわけでございます。そこで具体的にはそれぞれの県におきまして、全般的な施策をやる場合におきましても、それぞれ県なり市議会なりがございまして、そういう点で調整をとっておるようになっておると思います。事実私たちもそういう方向で指導をいたして参っておるつもりでございます。最近特に警察署の統合関係等で、町村合併なんかに、何か特別に支障があるということにつきましては、具体的に問題としてちょっと耳にいたしまして、今実は調査をいたしておりますが、まだ具体的な報告には接しておらない段階でございます。
  50. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 高村さん、ちょっとおそれ入りますが、大臣が今出席されましたが、十二時半から閣議がありますので、それまでに大臣に対する質疑がございますので、それを済ませたいと思います。纐纈君。
  51. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 大臣がお見えになりましたから、町村合併に対する政府方針を伺いたいと思います。ただいま私が言わんと欲したところを中井委員からお話しになりましたが、大体町村合併はやはり一番の中心は、そこの住民の意思を尊重する、そのほかにもいろいろな条件がありますけれども、大体そういうことなんです。今日の状況を見ますと、どうもその点が多少ぼやけてしまっておる。ことに越県合併につきましては、さようなことで住民は非常によその県の方へ行きたい。いろいろの交通状態、経済状態、それから地方の民情問題、そういうようなことで非常にあれしておる。ところがそれに対して県の方はどういうことですか、いろいろの関係もありましょうが、反対しておる。こういうようなことで、岐阜県におきましては、最初愛知県との間の越県合併は、直ちに実は住民の意思を尊重いたしまして、これは県としても越県合併を認めたわけであります。最近どうもそういったことで、ほんとうに住民の意思に反したような形で——受け入れの方は必ずしもそうでもないのですが、これをよその県へやるという点について、相当県の方からいろいろな圧力が加わっておるように考えて、その合併したいという住民は非常に迷惑をして、早くこれを解決してもらいたいということで、始終私どもも陳情を受けておるわけであります。ただいま局長からもお話を伺いましたところが、時期の関係もありますし、中央審議会においては相当熱心にやっておられて、やがてその結論が出るだろうというふうなことを伺ったわけでありますが、この中央審議会の決議に対しましては、これは自治庁長官といたしましては、その審議会の答申を全幅的に信頼されまして、その答申通りの裁定をするのが、当然私はそうあってしかるべきだと思いますが、それに対しまして長官としてはどういう考えを持っておられますか、一応伺っておきたいと思います。
  52. 郡祐一

    ○郡国務大臣 住民の意思を第一義的に尊重いたしますことは、これは私は当然だと思っております。住民間に意思の懸隔があります等のために、なかなか事がむずかしくなってしまった例もございますけれども、いつの場合にも正しい住民の意思というものを重点に置いて参りたいと思っております。また中央審議会の答申等につきましてはこれを尊重して参る考えでございます。
  53. 楯兼次郎

    ○楯委員 ただいまの纐纈委員の質問に関連してお伺いいたしたいと思いますが、審議会の答申を尊重して裁定をしていくという長官の御答弁は、これはもっともだと思うのですが、われわれ関係者として心配をする点が一つあるわけです。それはきょう越県合併が五つありまして、三十一日でこの建設促進法でありまするか失効をするということになっておるわけでありまするが、この答申が出されてから裁定まで非常に時期が切迫をいたしております。答申案を尊重して裁定を出されるのに、時期的におくれるおそれがないかということを関係者は心配いたしておりますが、この点そういうおそれはないかどうかお伺いしたいと思います。
  54. 郡祐一

    ○郡国務大臣 法律のきめておりまする期間に十分——もとよりことは慎重にいたすべきことでありまするけれども、その期間を十分フルに使いまして、そして間に合せるように進めて参ります。
  55. 楯兼次郎

    ○楯委員 地方関係の報道機関が最近報道いたしておりまするところによると、非常に越県会併が政治的問題になってきて、本日小委員会をやっておりまするけれども、総会をできるだけおくらかす、ある報道機関においては二十八日ごろに総会をやりまして、そうして答申をさせる、出る、その答申の裁定の出ない期間に三十一日を越える、いわゆるもうにっちもさっちもいかなくなって、長官としてはこれを流産をさせるという方向に動いておるのではないかという報道も盛んにやっておるわけです。従って先ほど私が質問をいたしましたように、そういうことであってはならないので、ここでくどいようではありまするが、必ず審議会の答申はこれは合併をするか分離をするかせよ、あるいはこうしてもらいたいということを私どもは言っておるのではないのです。審議会から出ました答申はいずれであろうとも、地方機関が一部報道をいたしておりまするようなことのないように、必ず裁定をするという御答弁を重ねていただきたいと思います。
  56. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私も審議会の方がそう政府が扱いに困るような時期に答申を出すような考えは毛頭持っておられず、そこは十分リーズナブルな扱い方をされるように私は信じております。またそのように私どもは聞いておるのでありまして、従いまして答申を待ち、そうして答申を尊重して扱いますることは当然でございます。
  57. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 越県合併の問題につきましては、ただいま長官からはっきりしたお答えを得ましたので満足いたすのでありますが、町村合併に対しましても、やっぱり越県合併と同じような形においていろいろ問題があるわけでありますが、町村合併としては促進法ができましてから、相当成績はあげておるわけでありまして、今日残っておりまする問題は、しかも知事が勧告したもので末解決の問題が五百もある、そのくらいあるわけでございますが、ぜひともこの問題は早い機会において解決をいたしまして、できないものはできないで、もう打ち切るとか、できるものだけを集中してやるというようなことにして、そうしてあとは町村促進法によりまして新市町村をりっぱに育成していけば、時期的には今反対しておる者にも、やっぱり合併した方がいいのだ、住民のためにいいのだというふうな感情を抱かせるように、一つ育成法をうんと活用してやっていくようにすべきじゃないかという考え方を私は持っておるわけでありますが、これにつきまして一つ長官の御意見を伺いたいと思います。
  58. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私も早く解決をいたしまして、何と申しましても将来の地方自治の土台なのでありまするから、事態を、何と申しますか、収拾すると申しますか、早くものをきめてしまいたいと思っております。事実私どもが承知しておりますものだけでも、総理大臣の勧告を出したその一つがなかなか落着をせぬために、その県の中の町村合併全体が何かブレーキがかかったような感じのところも見るのであります。こういうことは非常に遺憾なことでありまするから、どうしても住民の意向が熟しませんとか、あるいは事態が無理であるとか、そういうものについては、それぞれ個々に判断をいたしましてものの結末をつけるように努力をいたします。
  59. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 ただいまお話しのようなことでありまして、これをいつまでも引き延ばしますと、自治体の中におきまする紛糾がたえないということで、いつまでも引っぱっておくということは、市町村の今後の健全な発展の上に阻害する点が非常に多い。ことにいろいろボス同士が争ってみたり、いろいろこの問題から波及して、町村が今まで円満に行ったものが、合併問題からかえって不和になって紛糾を起しているというようなものがあるわけでありまするから、この際できるだけ早い機会一つ合併の未解決の問題についても、何かのピリオドを打つような形にしまして、別の角度から新市町村を育成するような形において、住民がその方向に進んでいくような形にできるだけ早く方針を打ち出していただきたいということを要望して私の質問を終ります。
  60. 郡祐一

    ○郡国務大臣 その点私も全く同じ考えでございます。急速に何か新しく講じて、そうして早く新市町村の出発をやるという方に一つ方針を、法律はもちろん尊重しながらでありまするけれども、作って参ることにいたします。
  61. 楯兼次郎

    ○楯委員 先ほど来各員からいろいろ論議をされておりましたが、私もそう思うのですが、大体とられる方は反対をする、受け入れる方は賛成をする、これは当然なことです。そこでいろいろボスが暗躍をいたしまして、必要以上な感情が発生をいたしまして混乱を来たす。従って先ほど中井委員も強く主張されておりましたが、一体住民は何を望んでおるかという点を一つ十分考えて解決をしていただきたいと思う。そのこと以外に私は自治庁としては目標とする点はないと思います。それが一部の人たちによって政治的に左右され、必要以上に混乱を招いて他に波及しているというのが今日の現状でありますから、十分その点に意を用いていただきたいと思います。  それからいま一つ心配になりますのは、審議会から答申が出されまして裁定をされる期間というものは、過去において大体幾日くらいかかったか、お知らせ願いたいと思います。
  62. 郡祐一

    ○郡国務大臣 楯委員の前段の御趣旨よく体しましていたします。  それから後段の、今までどのくらいかかったか、これは事例が今度は全く新しい事例でございますから、引用して申し上げるような例はございません。
  63. 高村坂彦

    ○高村坂彦君 市町村合併を促進するという趣旨で、各関係の官庁等もその趣旨に沿ってやるべきだというお考えでありますが、しかし官庁によってはそういうことが十分はわかっておらぬところもあると思うのです。われわれも実際言うと、町村合併のことについて具体的に問題がありますと関心を持ちますけれども、そうでないとなかなかうとい。そういう意味で特に行政の区画を変更することを主張するような官庁があるのです。そういうところは、そういう点を密接に一つ意思の疎通をはかっておかぬと、いろいろなそごを来たすことがあると思うのです。具体的な問題はさらに後ほどお話申し上げますけれども、そういう点で今後特に警察の統廃合というようなことが、今日各府県で行われつつある状況でございます。これは私は、交通機関等も交流になり、警察の統廃合というものが警察の能力を発揮する上からも必要だと思いますが、そういう場合には、一応そういう点を十分お打ち合せをする、協議するということが必要ではないか、その点に対してどうお考えになりますか。
  64. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 各行政機関と町村合併との関係につきましては、非常に密接な関係を持っております。また行政機関の設置のやり方いかんによりましては、せっかくの町村合併の機運というものも破壊をするというような事例もこれは絶無ではないわけであります。そういう意味で私たちの方も新市町村建設促進中央審議会に幹事会を置きまして、この幹事会では各省のそれぞれの係官を全部網羅いたしまして、こういうような問題がありました場合には、ここで具体的な調整をはかっておりますし、また基本的には、一般方針としては今お述べになりましたような線で、実は進んでおるわけであります。従いましてまだもちろん十分ではございませんけれども、郵便局の統廃合にいたしましても、あるいは電話局の統廃合の問題にいたしましても、集配区域の問題等にいたしましても、不十分ではございますが、毎年相当の予算をとりまして、その方向に向って進んでおるわけでございます。ただ今お話のありましたようなことが、全国的に申しまして例が絶無であるとは私も思いません。そういうような点につきましては今度ともわれわれ自身も注意をしていくつもりでございますが、何か具体的なそういう事例がございますれば、御連絡いただければ、それについて関係方面とも一つよく折衝いたしまして、少くとも町村合併の支障になるような方向に向って、そういう動きがなされるということにつきましては十分注意をいたして参りたいと思います。
  65. 高村坂彦

    ○高村坂彦君 具体的にお尋ねしますが、警察からはその幹事が入っておりますか。今の審議会の中でも幹事を各関係方面から入れておるというようなお話がございましたが、警察本部長ですか、それからは幹事が入っておりますか。
  66. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 今のところは幹事は入っておりません。そういう点につきましては、問題がございますれば、臨時委員とかその他の方法もございますし、また事実上の調整をとることは、十分これは考えていけることであると思っております。
  67. 高村坂彦

    ○高村坂彦君 実は具体的の問題がある。これは御承知と思いますからこまかくは申し上げませんが、山口県の徳山市と南陽町の合併問題が長い間懸案になっておって、勧告は出ておりませんけれども、国の意思を体して知事がそれを進めておる。それが今度警察の統廃合で、徳山市の飛び地が全部南陽警察署に入ることになった。そういう原案ができて、今日県会に出ておるわけです。そうすると飛び地のところでは疑心暗鬼が起きて、これはもうかえって自分たちが徳山市から離れなければならぬじゃないかといったような感じが今起きつつある。ところが南陽町が徳山市と離れた飛び地で和田村というものを合併しておる。これは徳山市と合併することを大体条件としたような意味でこの合併を認めておるのです。こういうことが根本からこわれてくるような機運ができつつある。県会でももんでおりますが、具体的な問題をここで論議しようとは思いませんが、私はこういう問題がおそらくほかにも起きているのじゃないかと思う。山口県では二カ所起きております。山口市の警察と小郡の警察の問題もそれです。統廃合の結果、山口市の一部が小郡町の警察の区域内に編入されることになる。そうなると、行政区画の問題と警察の管轄の問題とが、ちょっとはみ出してくるわけですから、いろいろな行政上の支障もあるわけです。今言った合併の問題にも非常な支障がある。これはいずれ詳細にあとからお話申し上げますが、そういう問題について中央として何か善処する方法が一体あるのかないのか、今の制度の建前からして、そういう有効な方法があるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  68. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 徳山、南陽町の具体的な例をおあげになりましたので申し上げますが、この徳山、南陽の問題は非常にもつれてしまった問題でございます。しかしこの点につきましては、飛び地をできるだけ早い機会に解消するという条件であったことは確かであります。自治庁自体もこの問題についてはタッチをいたしておるのであります。ただ当時の状況といたしまして、勧告にかけるということについては、私たちも前からの経緯もございましたし、強くその点については要望いたしておったのでありますが、地元のいろいろな状況のために、知事としてはついに踏み切れないで、勧告書は出ていないのであります。このためにわれわれとしては非常に遺憾に存じておる問題でございます。何といたしましても、あの点をあのままの状況で放置をいたしておきますことは不合理でございます。そういう点で、機会あるごとに当初の既定方針に基く合併というものを、今後ともわれわれは推進をしていくという基本方針を変えるつもりは実は持っておらないのであります。ただいろいろないきさつがございまして、非常にむずかしい問題になっておることは事実でございます。そこで今御指摘に相なりました警察署の問題で、その管轄区域等をきめます際に、これまで警察と具体的に打ち合せをいたしたわけではございませんが、警察署としては、そういう町村合併の経緯というような点について深く考慮するというようなことでなくて、やはり現実の警察事務の処理というような点からいたしまして、その管轄区域なり処理の事務の分量その他いろいろな点も考慮して、現実の事態に即応するための警察活動の一環として、そういう区域を策定したのではないかというふうに想像をせられるわけでございます。しかしそのことのために、一般に非常に疑心暗鬼を生ずる、将来のあの郡の合併というものは全然だめになってしまう、さらに一たん合併したところも、また分離するということになるのではないかというような心配も起きるということも、当然予想せられるのであります。現在県会へそれがかかっておるかどうかは、先刻申し上げましたように調査中でございまして、具体的には私まだ報告を受けておらないのでありますが、そういう案件が出ておりますと、こちらとしては有効適切に、それをストップしろとかあるいは条例案をひっこめろとかいうことは——これは公安委員会の発議によって、知事もそれを了承して議会に提案した経緯もあろうと思いますので、こちらからそういうような事務自体について命令をして、どうこうするというようなことは、これは権限もございませんので、有効適切な本問題に対する対策というものの実はないわけでありますが、その点につきましては、最小限度そういった措置はやむを得ないといたしましても、そのことは現実の警察活動のためにやむを得ない最小限度の措置であって、それと合併の問題とはおのずから別だというような点について最小限度啓蒙をして、誤まった考え方というものが浸透しないように、そういう措置というものを最小限度講じて参りたい、かように考えておる次第であります。
  69. 高村坂彦

    ○高村坂彦君 それはそういうことを他の行政部門でやっておりますと、それがそういうことに影響しないんだといってみてもだめだ。実際問題としては深刻な影響が現に出つつある。中央の権限としてはそういうことがないとおっしゃいますが、今まで町村合併ということを法律まで作って国家の方針として強力に推進しておることと全く違ったそういったことが他の方面で行われる。それに対しては中央としては権限が違うからではありますけれども、何か注意を喚起するとかなんとかいう実際の措置はできないものですか。
  70. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 その点につきましては今実情を取り調べておりまするので、実情がわかりました暁におきまして、できるだけいろいろな情勢もにらみ合せながら適当な措置が講じ得る態勢であれば、そういう方向で実際上の注意を喚起するとか、そういうような措置でもって善処いたしたい、かように考えます。
  71. 高村坂彦

    ○高村坂彦君 実は県会に提案されておりまして、今審議中なんです。おそらく否決になるか、あるいは継続審議ぐらいになるのではないかということがいわれております。どうも官僚というものは、とかく一ぺんやりますと新たに気がついても撤回しない。これは面子もあったりするのですが、そういう面子にとらわれないで、実は警察の統廃合について、それをやる場合には一応地元の納得を得てやるべきだ。今日の時代において秘密主義で地元は全然知らなかった、ぱっとあけてみたら、とんでもない結果になっておった、こういうことなんです。きょうは警察庁の長官も来ておりませんから、あらためてそうした警察本部長なりの態度というものに対しては、一つ考えてもらわなければならぬと思いますが、こういう問題は公安委員会といいましても実際はやはり本部長の考えにおいてきまるわけでありますから、そういう点を虚心坦懐に、これは考えなければだめだというならあっさり引き下る、こういうふうにやってもらいたいと思いますが、一つ実情を十分調査の上お願いいたしたいと思います。こういうことがあっちこっちで行われるということになれば、せっかくのこうした方針がうまくいかぬことになるので申し上げたのであります。今の藤井局長のお話では、実情を調べた上で善処していただけるように聞きましたので、私はこれによって質問を打ち切ります。
  72. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十四分散会