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1958-02-27 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十七日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    伊東 隆治君       加藤 精三君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    楠美 省吾君       渡海元三郎君    古井 喜實君       松澤 雄藏君    井岡 大治君       加賀田 進君    北山 愛郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 二月二十二日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九九号) 同月二十六日  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇五号) 同月二十二日  大工、左官及び板金業者事業税軽減に関する  請願伊藤卯四郎紹介)(第一〇二八号)  同(關谷勝利紹介)(第一〇五七号)  同(渡海元三郎紹介)(第一〇五八号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一〇五九号)  同(藤本捨助君紹介)(第一〇六〇号)  同(永田亮一紹介)(第一一〇三号)  同(古井喜實紹介)(第一一〇四号)  同(大坪保雄紹介)(第一一二三号)  同(菅野和太郎紹介)(第一一二四号)  同(灘尾弘吉紹介)(第一一二五号)  銃砲刀剣類等所持取締令改正に関する請願(加  賀田進紹介)(第一〇二九号)  地方制度改革推進等に関する請願中馬辰猪  君紹介)(第一〇八一号)  自治権擁護に関する請願二階堂進紹介)(第  一〇八二号)  個人間の任意農地交換に対する不動産取得税の  免税に関する請願中馬辰猪紹介)(第一〇  九五号)  町村議会事務局設置に関する請願外九件(三浦  一雄君紹介)(第一一〇五号)  地方自治法の一部改正に関する請願中馬辰猪  君紹介)(第一一二六号) の審査を本委員会付託された。 二月二十五日  湯津上村の大田原市合併に関する陳情書外一件  (第四〇〇号)  府県制度改革反対に関する陳情書  (第四〇一号)  地方財政確立に関する陳情書外一件  (第四〇二号)  地方自治確立に関する陳情書  (第四〇三号)  新市町村建設促進に関する陳情書  (第四〇四号)  同外二件  (第四六九号)  新町村建設助成に関する陳情書  (第四〇五号)  自家用貨物自動車税率引下げに関する陳情書  (第四〇  七号)  町村議会事務局設置に関する陳情書外二件  (第四〇八号)  同外一件  (第四六七号)  地方交付税率引上げに関する陳情書外一件  (第四〇九号)  たばこ消費税率引上げ等に関する陳情書  (第四六八号)  公債費軽減等に関する陳情書  (第四七〇号)  災害復旧町村助成対象額引下げ等に関する陳  情書(第四七二  号)  新町村建設助成費増額に関する陳情書  (第四七三号)  地方制度改革に関する陳情書  (第四七五号)  二輪及び三輪自動車税半額町村移管に関する  陳情書(第五〇〇  号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通取締に関する小委員及び小委員長の選  任  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四八号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九九号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇五号)  昭和三十三年度地方財政計画に関する件  地方自治に関する件      ――――◇―――――
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 これより会議を開きます。  去る二十二日本委員会付託になりました地方税法の一部を改正する法律案、及び昨二十六日同じく付託になりました地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題といたしまして、それぞれ趣旨説明を求めます。郡国務大臣。     —————————————     —————————————
  3. 郡祐一

    郡国務大臣 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  地方税制につきましては、御承知の通り、昭和二十五年独立税主義徹底地方自主財源増強等基本方針のもとに大改正が行われたのでありますが、その後における屡次の改正によりまして、右の基本方針は堅持されつつも一応わが国の実情に沿う税制が立てられ、また経済安定化に対応して負担軽減合理化がはかられて参ったのであります。しかして現在におきましては多くの地方団体財政再建計画を立てたばかりであるという地方財政の状況とも相待って、むしろ個個の地方団体が見込んでいる税収入の見通しに混乱を与えないことが必要であると考えられるのであります。従いまして、今回は、特にかわり財源を得て、大衆に対する零細課税の整理として多年要望されておりました自転車荷車税廃止を取り上げるにとどめ、あわせて徴税合理化負担均衡化等のための最小限度規定改正のみを行うことといたしたのであります。  改正案骨子とするものといたしましては、第一に、自転車、リヤカー、荷車等に対する自転車荷車税廃止することとし、これが減収を補てんするため、市町村たばこ消費税税率を引き上げ、他面原動機付自転車に対する自転車荷車税は、軽自動車及び二輪の小型自動車に対する自動車税とあわせて、市町村において課する軽自動車税とすること、第二に、徴税合理化負担均衡化等をはかるため、道府県民税市町村民税固定資産税電気ガス税木材取引税軽油引取税等につき所要改正を加えることでありまして、以下その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は自転車荷車税廃止及び市町村たばこ消費税増率等に関する事項であります。市町村において課する自転車荷車税は、明治二十一年国税附加税として創設以来、七十年に及ぶ沿革を有し、特に昭和十五年以降は市町村法定独立税として、市町村財政に寄与して参った税であります。元来自転車荷車税自転車及び荷車の所有事実に担税力を見出して課税する物件税でありますが、道路損傷負担金的性格をもあわせ有し、またきわめて普遍性に富んでいる税であったのであります。しかしながら、最近における社会経済の進展及び自動車利用の発達に伴い、原動機付自転車以外の自転車及び荷車に対する課税は著しく大衆課税的な性格を帯びるとともに、道路損傷負担金的な性格も名目的なものとなるに至っていたのであります。また一方、市町村にあっても、自転車荷車税による収入税収入総額の二%程度を占めるに過ぎず、莫大な数に上る零細な対象についての同税の徴収に当って必要とされる徴税費を勘案するとき、同税の市町村歳入中に占める比重は著しく低下していると考えられるのであります。  政府としては、以上の諸点を総合勘案し、特に国民大衆に対する零細課税を整理する見地から、昭和三十三年度以降本税を廃止したいと考えるに至ったのであります。  ただ原動機付自転車以外のものに対して課する自転車荷車税収入は、平年度で五十億円に上り、且つ、これが全市町村に普遍的な税源となっているため、これにかわるべき財源が得られないままに本税を廃止することは、市町村財政現況よりして許されないところでありますので、本税の廃止に伴い、市町村たばこ消費税税率現行九%から一一%に引き上げ、これにより平年度五十億円の財源補てんを行うこととしたのであります。  また、自転車荷車税廃止に際しまして、軽自動車及び二輪の小型自動車に対する課税権道府県から市町村に移譲し、この軽自動車及び二輪の小型自動車と従来市町村において課税されていた原動機付自転車に対しまして市町村において軽自動車税を課することといたしたのであります。  自動車税課税客体とされている自動車のうち軽自動車及び二輪の小型自動車につきましては、これら以外の自動車とは異なり登録制度がありませんので道府県よりもむしろ市町村の方が、地域が狭小であること等により、その把握が容易であると考えられますし、他面、市町村は、従来から登録が必要とされていない原動機付自転車に対する課税事務を行なっていることにもかんがみた結果であります。  税率はいずれも現行のままでありますから、その負担に変動はないのでありますが、これによりまして、徴税合理化がはかられるものと期待されます。  第二は、徴税合理化負担均衡化等をはかるための措置に関する事項であります。その一は住民税に関する事項であります。住民税所得割を第一課税方式によって課税する場合において、昭和三十三年分及び昭和三十四年分の所得税について認められる貯蓄控除を行なった後の所得税額課税標準とするときは、所得税における臨時措置によって自動的に道府県民税及び市町村民税減収を来たすこととなり、その額は、昭和三十四年度九億円、平年度十三億円に上るのでありまして、財政上も適当でないと考えられますので、住民税においては、このような貯蓄控除を行う前の所得税額課税標準とすることといたしたのであります。  その二は固定資産税に関する事項であります。現在、企業合理化促進法によって、法人税及び所得税につき特別償却が認められる企業合理化を促進するための試験研究用機械設備等及び機械設備等近代化する必要のある重要産業にかかる機械設備等に対しては、これらに対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から三年度分の固定資産税に限り、価額の二分の一をもって課税標準とする特例措置がとられておりますが、今回企業合理化促進法の一部改正によって新技術の企業化用機械設備等が同法に追加され、これらの機械設備等についても法人税及び所得税において特別償却が認められることとなったので、固定資産税においても、これらの資産に対し、従前と同様の課税標準に関する特例措置を設けることといたしたのであります。  その三は電気ガス税に関する事項であります。電気ガス税につきましては、今回新たに、エチレン、ポリエチレン、エチレンオキサイド、エチレングリコール、スチレンポリエステル系合成繊維テレフタール酸アクリルニトリル系合成繊維アクリルニトリル及びジルコニウム地金製造用電気非課税範囲に加えることといたしました。このうちジルコニウム地金原子炉構造材として使用されるものであり、その他のものは石油を原料とする化学製品等であって、いずれも最近において新規に開始した重要産業に属すると同時にその製造に当っての電気使用量比重が非常に大きいものばかりであります。  その四は木材引取税に関する事項であります。木材引取税につきましては、その徴収合理化徹底を期する意味において、今回税率を百分の二に引き下げることとしたのであります。反面、市町村ごと課税を更に一段と適実化することによって、従来の税収確保することができるよう措置して参る所存であります。  その五は軽油引取税に関する事項であります。軽油引取税は、法令に規定された規格に該当している軽油引き取りに対して課するものでありますが、最近軽油に若干の灯油を混合した炭化水素油等軽油引取税を課せられない炭化水素油自動車内燃機関燃料の用に供せられる事例が漸次増加の傾向にあるのであります。こうした事態を放任いたしますと、課税軽油を使用する場合との間に著しく負担均衡を欠くことになりますので、課税されている軽油又は揮発油以外の炭化水素油等自動車内燃機関燃料の用に供された場合には、これに軽油引取税を課することとしたのであります。  右に申し上げました諸事項のほか、所得税法改正に伴う事項等所要規定整備をはかったのであります。  以上が地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  ここ数年にわたって講じて参りました各般の地方財政健全化施策と、地方団体自体における努力とにより、地方財政再建はようやく軌道に乗って参ったのでありますが、御承知のように、地方財政健全化措置の基本問題と考えられるいわゆる既発行地方債にかかる公債費問題が未解決のまま残されておったのであります。政府は、第二十六回国会における衆参両院地方行政委員会の決議の趣旨にも基き、今般地方交付税率を一・五%引き上げ、増強せられた地方交付税配分を通じてこの公債費問題を恒久的に解決することとするとともに、極力既存地方税源確保をはかり、なお一般会計における地方債を可及的に一般財源に振りかえ、地方財政健全化施策の一そうの推進をはかることといたしたのであります。これらの措置に伴い、地方交付税率を変更するとともに、単位費用について、制度改正等に伴う所要改訂を加え、投資的経費を可及的に充実し、また、測定単位新設補正方法合理化等を行うことにより、基準財政需要額算定方法合理化及び明確化を更に推進して、地方交付税の適正な算定を通じて増加された財源を合理的かつ適正に配分するため、地方交付税法の一部を改正する必要があるのであります。  以上が本法律案提案理由であります。  次に本法律案内容要旨につきまして御説明いたします。  第一は、地方交付税総額に関する事項であります。その一は、地方交付税率を一・五%引き上げ、国税所得税法人税及び酒税の二七・五%といたしたことであります。その結果、昭和三十三年度において交付すべき地方交付税総額は、昭和三十一年度分の精算額一一八億円を加え二二四〇億円となります。  その二は、普通交付税特別交付税との割合を変更し、特別交付税交付税総額の百分の八から百分の六に、普通交付税は百分の九十二から百分の九十四に改めることといたしたのであります。地方交付税は、できるだけ普通交付税として配分することが合理的であって、特別交付税の額が増加することは必ずしも適当とは考えられませんので従来の特別交付税のうちすでに定型化したものの普通交付税への移替をもあわせ考慮し、おおむね従来の特別交付税総額確保することとして、その割合を改めることにしたのであります。  第二は、基準財政需要額算定方法に関する事項であります。その一は、測定単位新設改廃でありまして、地方交付税算定をより合理的ならしめるためには、できるだけ客観的かつ合理的な測定単位によることが必要と考えられます。これがため、新たに測定単位として、道府県分中その他の土木費海岸保全施設の延長を、その他諸費に恩給受給権者数を加え、義務教育職員費教育職員数及び学校数により測定することに改めるとともに、三十二年度限りの暫定的な公債費対策として認められていた特別地方債償還費を本則中に規定して恒久化し、かつその中の特定債償還費測定単位元利償還金に改めることとしたのであります。  その二は、単位費用改訂に関するものであります。単位費用改訂については地方財源増強地方債の減少ともにらみ合せ、可及的に投資的経費充実をはかることを中心とし、一、期末手当増額等制度改正に伴う改訂を行うこと、二、旅費物件費合理化建築物機械類の単価の是正を行うこと、三、標準施設合理化及び近代化を促進すること等を方針として、その全般にわたり、所要改訂を加えたのであります。  その三は、補正方法に関するものであります。基準財政需要額算定合理化を期する上において、単位費用とともに補正方法合理化が重要な因子をなすものでありまして、特に態容補正につきましては、現状をさらに改善する必要が認められますので、今回道府県分態容補正係数算定についてその合理化をはかるとともに、特定債償還費につきましてはその性格にかんがみ、いわゆる公債費対策恒久化を機会に、新たに財政力補正を行うこととし、弱少団体における公債費の重圧を緩和することといたしたのであります。  以上のほか、自転車荷車税廃止等地方税法改正に即応して基準財政収入額算定方法に関する規定整備をはかり、また地方交付税交付時期ごと交付すべき額及び算定資料検査等に関しても、所要規定整備することといたしたのであります。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 両案に対する質疑は次会に譲ることといたします。     —————————————
  5. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 次に、昭和三十三年度地方財政計画について政府より説明を求めます。郡国務大臣
  6. 郡祐一

    郡国務大臣 ただいまお手元に配付いたしました昭和三十三年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和三十三年度地方財政計画の策定に当りましては、国庫予算編成基本方針に即応するとともに、地方財政現状にかんがみ、懸案でありました公債費問題を恒久的に解決し、前年度に引き続き歳入歳出構成是正し、可及的に必要行政水準確保して、長期にわたる健全財政の基盤の確立をはかることを基本方針といたし、これに基き、次の四点を骨子といたしたのであります。  第一は地方交付税税率を引き上げ、既発行地方債にかかる公債費問題の恒久的解決等をはかることであります。  第二は地方税負担最少限度合理化をはかるほかは、できるだけ自主財源確保することであります。  第三は一般財源充実とも相待って一般会計における地方債発行額を減少し、歳入構成是正をはかることであります。  第四はできるだけ行政水準確保をはかることであります。  以上のような前提のもとに、昭和三十三年度地方財政計画を策定いたしました結果、その歳出規模は、一兆二千三百七十一億七千三百万円となり、昭和三十二年度地方財政計画に比して、九百億五千八百万円を増加することとなりました。  次に歳出及び歳入のおもな内容について簡単に御説明申し上げます。  先ず第一に、歳出について申し上げます。  その一は、給与費であります。給与費につきましては、昇給義務教育職員高等学校教職員等増加に伴う給与費の増、退職手当暫定手当管理職手当等の増を見込んだ結果、前年度に比し、二百九十六億九千五百万円を増加し、四千七百三十二億六千一百万円となっております。  その三は、恩給費であります。恩給費につきましては、昭和三十一年度決算を基礎として、増加率を考え、なお文官恩給是正に要する経費等を加減して算定した結果、前年に比し、四億四千五百万円増の二百十八億三千万円となっております。  その三は、その他の消費的経費であります。このうち、国庫補助負担金を伴う経費については、それぞれの国の予算額基礎として積算を行い、国庫補助負担金を伴わない経費については、昭和三十二年度地方財政計画の額を基礎として、これに増減経費を加減いたしました。その結果、国庫補助負担金を伴う経費は、一千一百七十二億七千二百万円となり、前年度に比し、六十七億七千二百万円を増加し、国庫補助負担金を伴わない経費は一千五百三十五億六百万円となり、前年度に比し二億七千一百万円の増加となっております。  なお、国庫補助負担金を伴わない経費につきましては、国の予算編成方針に準じて旅費物件費等の二%程度の節約を行うこととしたほか、人口増に伴う経費の増、旧法戸籍改訂事務に要する経費増等を見込んでおります。  その四は、公債費であります。公債費は八百二十八億四百万円であり、前年に比し、六十億七千三百万円の増加となっております。公債費累増につきましては、つとにその根本的対策確立が問題になっていたのでありますが、今回、地方交付税率一・五%を引き上げることにより、その配分を通じて公共事業債等特定地方債元利償還金の一部について財源措置を行うこととし、既発行地方債にかかるいわゆる公債費問題について恒久的解決をはかるものとするとともに、なお後に述べますように一般財源増強に伴い、一般会計における地方債発行額をさらに減少せしめ、将来における公債費累増を押えることといたしました。  その五は、道路橋梁等維持補修費であります。この経費は、四百十九億四千五百万円で前年度に比し一百六十一億九千万円の増となっておりますが、これは道路橋梁現況にかんがみ、その維持補修費最低必要額を見込んで算定いたしたものであります。  その六は、公共事業費であります。公共事業費については国の予算額に基き積算いたしたのでありますが、前年度に比して三十五億三千三百万円を増し、一千九百二十七億二千六百万円となっております。このうち増減の著しいものは、道路整備事業費の増二十九億八千九百万円、臨時就労対策事業費の増二十億四千五百万円、災害復旧事業費の減三十七億二千四百万円等であります。  その七は、失業対策事業費であります。失業対策事業費につきましても公共事業費と同様の方法によって積算をいたしましたが、前年度に比し三十八億三千七百万円を増加し三百四十億七千七百万円となっております。  その八は、国庫補助負担金を伴わない建設事業費であります。これは昭和三十二年度地方財政計画の額を基礎として、道路整備五カ年計画との関連における道路整備事業費の増一百五億円、下水、屎尿処理施設等環境衛生施設整備に要する増七十九億八千万円、義務教育施設整備のために必要な敷地買収費に要する増十五億七千五百万円、新市町村建設に要する経費の増二十億六千三百万円等を見込んで算定いたしました結果、前年度に比し二百二十八億三千八百万円を増し、一千三十二億八千四百万円となっております。  第二は歳入であります。  その一は、地方税収入であります。税収入のうち普通税につきましては前年度地方財政計画上の額に対しまして四百九十一億九千七百万円の増加が予定されるのでありますが、国税減税並びに地方税負担合理化をはかるための税制改正により二十億四千六百万円減収となりますので、差引四百七十一億五千一百万円の増収となり、総額四千九百六十三億七千二百万円となっております。  目的税につきましては、二十七億二千三百万円の自然増収及び制度改正による増一億二千八百万円が見込まれ、百四十一億四千三百万円となっており、その結果地方税収入総額は、五千百五億一千五百万円と見込まれ、前年度に比し五百億二百万円の増加となっております。  その二は、地方譲与税であります。譲与税収入については二十五億八百万円の増を見込んで三百二十一億七千四百万円と算定いたしました。これは、入場譲与税については自然増収六億二千九百万円を見込み、百八十三億三千六百万円、地方道路譲与税については自然増収十七億八千万円を見込み百三十一億五千三百万円、特別とん譲与税については自然増収九千九百万円を見込み六億八千五百万円と算定し、これらを合算いたしたものであります。  その三は地方交付税であります。地方交付税総額は二千二百四十億一千一百万円を見込みましたが、これは法定の繰入率を一・五%引上ることとし、減税後の国税三税の収入見込額七千七百十六億八千二百万円の二七・五%の額に昭和三十一年度精算分百十七億九千八百万円を加算して算定したものでありまして、前年度に比し二百八十六億三千九百万円の増となっております。  その四は、国有提供施設等所在市町村助成交付金であります。これは十億円で、前年に比し五億円の増となっております。  その五は、国庫補助負担金であります。国庫補助負担金は、義務教育費負担金において五十八億六千四百万円の増、その他の普通補助負担金において三十一億二千二百万円の増、公共事業費補助負担金において十三億六千七百万円の増、失業対策事業費負担金において二十二億八千五百万円の増でありまして、総計において、前年度に比し百二十六億三千八百万円を増し、三千八十二億三千八百万円となっております。  その六は、地方債であります。地方債につきましては、地方団体歳入構成をできるだけ合理化するため、一般財源充実に伴い、一般会計において、これに振りかえることを適当とする地方債を減少せしめることを基本方針といたしまして、地方財政計画に計上する地方債は、前年度に比し、七〇億を減じ、四百五十億円といたしたのであります。  なお、明年度における地方債としては、地方財政計画に計上する右のほかに、公営企業債四百八十億円、収益的建設事業債六十億円、退職手当債十億円を予定しており、地方債総額は一千億円であります。資金別の内訳は、政府資金八百五十億円、公募百五十億円であります。  その七は、雑収入であります。雑収入につきましては、昭和三十二年度地方財政計画額を基礎とし、これに所要増減を行なった結果一千百六十二億三千五百万円となり、前年度に比し二十七億七千一百万円の増となっております。おもな内容は、高等学校の生徒増に伴う授業料の増、給与費の増に伴う恩給納付金の増、発電水利使用料の料率引き上げの平年度化に伴う増及び国庫補助負担金を伴わない建設事業費の増に伴う受益者分担金の増等であります。  以上が昭和三十三年度地方財政計画の概要であります。これを要約いたしますと、前年度計画額に比し地方税の増収が五百二十五億円見込まれ、これに二百八十六億円の地方交付税の増を加えて、一般財源はかなり充実することとなり、これによって、義務的経費増加額その他国の諸施策に伴う必要経費をまかなうほか、地方債七十億円を減額して、歳入構成是正をはかり、さらに、行政水準確保のために約三百数十億円の経費を計上することができたのであります。地方団体における行政水準の実態に顧みるときは、もとより不十分のそしりを免れないのではありますが、前年度のそれと比較するときは、改善の度合いは見るべきものがあり、地方財政は実質的意味においてもその健全化を推進することができるものと考えております。本計画により、地方財政をめぐる諸問題は一段と解決の歩が進められたのでありまして、なお残された若干の問題につきましては、政府としてもさらに解決の努力を重ねていきたいと存じますが、各地方団体においても、それぞれ自主的にすみやかに財政の健全性の回復ないしは財政構造の合理化を達成し、長期にわたる健全財政基礎確立するように、積極的に推進して参りたいと存じております。
  7. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 次に小林財政局長より補足説明をいたしたい旨の申し出がありますのでこれを許します。小林財政局長。
  8. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 お手元に昭和三十三年度地方財政計画説明書をお配りしてございますので、これに基きまして簡単に御説明いたしたいと存じます。  第一ページは地方財政計画の策定方針及びその概要で、これはただいま大臣の方から説明があったことを書いてあるわけでございます。  次の第一表、これは表でございまして、この前概要について御説明申しました数字をやや詳しく書いてあるものであります。その細目につきまして御説明を加えることにいたしたいと思います。  六ページの第三表をごらん願いたいと思います。第三表に増減事由に関する調として、おもな項目を書いてございます。そのうちの歳出の第一は消費的経費であります。そのうち給与費は昇給等による増、人員増による給与増を含めて百五十一億でございます。この人員増によるものは消防職員の増とか、それから産業教育を振興するための関係職員の増とか、あるいは職業訓練法の施行に伴う増とか、あるいは高等学校の先生の増とかそういうものを四千人ほど見込みまして、あとは普通の昇給率をかけたのであります。昇給率につきましては従来四%でございましたが、実態にかんがみまして四・二%に計画では上げております。次に(ロ)は義務教育水準の確保に関する問題で、今度文部省の方から標準定数に関する法律が出まして最低限度の標準数を確保しよう、こういうことになっております。それに伴いまして五千名ほどの職員の差引の増が見込まれておりまして、それに要する経費をこちらも受けて書いたのでございます。この内訳はまたあとから御説明申し上げます。それから(ハ)は期末手当の増、これは去年の期末手当を今度は新しく載せたわけでございまして四十二億、それから石炭、薪炭手当の単価改訂による増が二億八千万、それから通勤手当新設による増、これは新しく通勤手当制度が国家公務員にしかれますので、それに対応する地方職員の経費でございます。それから暫定手当切りかえによる増、これは前年度実施されました暫定手当の三十三年度分の増でございます。管理職手当九億七千万も新しく管理職制度が小中学校の校長について設けられますので、右に伴いまして高等学校並びに府県市町村立の大学等につきましても管理職手当を支給する必要がある、そういう大学学部長等に対する手当を入れております。それから合併による減は合併の進捗に伴いまして合併後いろいろ消費的経費合理化する、こういう前提になっておりまして、消費的経費をここで減に立てるとともに、その経費を積極的な投資的経費に回す、こういうことでこれは一番下の方の欄で、またあとから申し上げますが、別途二十億の新市町村建設事業費の増を見込んでおりますが、ここでは減るべきものは減らす、こういうことになっておるのであります。その他が十一億ございます。  それから恩給及び退隠料は、これは全く義務的な経費ですから申し上げるまでもありません。  その他の経費国庫補助負担金を伴うものが六十七億、国庫補助負担金を伴わないものが二億七千万、これらの内訳はあとであらためて御説明申し上げます。  公債費は六十億の増。  道路橋梁等維持補修費は百六十一億。  投資的経費につきましては、公共事業及び失対で要するに国の予算の増減に伴うもの、これが七十三億の増でございます。  それから国庫補助負担金を伴わない建設事業費二百二十八億。これがいわゆる行政水準確保と申しますか、向上と申しますか、そういうものに実質的に当る経費でございまして、その内訳は下水、屎尿処理施設等の環境衛生施設の増が七十九億、道路整備費、これは新しく道路整備五カ年計画が作られますので、それの裏としての地方の単独の道路整備事業費でありまして百五億。それから義務教育施設の校地の買収費として十五億、これは従来も学校を新しく作るときは当然校地が要ったのでありますが、十分計画上も見てない。現に今国の補助もずいぶん問題になっておりますが、ことしも国の補助がつかなかったのですが、われわれといたしましては起債の配分に当って必要なものは考えたい、こういう考えで計画上も十五億見ることにしたのでございます。それから次は新市町村建設事業費で二十億。これは国の補助に伴うものがそれぞれ別途掲げてありますが、そうでない純粋の単独の事業費の増として二十億を計上して新市町村の建設をできるだけ促進したい、こういう考えでございます。それから(ホ)は災害復旧費で、いわゆる単独災害でございます。単災につきましては、従来十分でないといういろいろ問題もございまして、金額はそれほど十分でもございませんが、ゆとりのあるところをこれは回したわけでございます。その次の地方交付税の不交付団体における平均水準をこえる必要経費、これはあまりいい表現ではありませんが、要するに不交付団体については、それぞれやはり必要な行政費用というものは要りますので、そういう経費を見たわけでございます。  それから歳入の方は普通税自然増収が四百九十一億ございましたが、国税減税または税制改正による減が二十億ございますので、差引四百七十一億の増、目的税では自然増収等が二十七億、税制改正による増が一億二千万、合せて二十八億、合計五百億の増でございます。  譲与税は二十五億の増、交付税、基地交付金等は特に申し上げる必要はございません。国庫支出金は義務教育費、生活保護費その他公共事業費、全部ひっくるめて百二十六億の増、地方債が七十億の減、雑収入二十七億で総体九百億、こういう計算でございます。  そこでその次のページをごらん願いますと、三十二年度と三十三年度計画上における歳入出の構成を一応調べてございます。そういたしますと、地方税は前年度四〇・二%が今度は四一・三%になります。譲与税が二・六から二・六、これは変りありません。それから交付税が一七から一八・一、つまり地方税と交付税の構成比がふえております。逆に国庫支出金が二五・八から二四・九になります。地方債が四・五から三・六になる。それぞれの伸張率が一番右の欄に書いてございまして、その伸張率をごらん願いましても交付税と地方税の伸び方が一番大きい。要するに歳入構成からいいますと、こうした一般財源が前年度よりも計画上はやや充実された形になっておる、こういうふうに見られるのでございます。  それから下の歳出構成の上では消費的経費が六四・九%であったのが六三・二%になって、構成比が減っております。公債費は六・七から六・七、これは同様。維持補修費は二・三から三・四、これは今度は相当増額いたしましたので、伸び率も一番大きいのであります。それから投資的経費が二六・一から二六・七、これは大観いたしまして維持補修費投資的経費につきましては従来よりもやや構成比が伸びておる、消費的経費が総体的に落ちておる、こういう形が見られるのでございます。  それから次の八ページ以下にこの経費の内訳を詳しく書いてございます。一々申し上げませんが、おもだったものだけ申し上げますと、給与費のうちの一般職員及び義務制以外の職員の給与費につましては先ほど申し上げました通り昇給率を四・二%にし、それから通勤手当とか管理職手当、期末手当、薪炭手当、石炭手当等の増を見込んで計算したのでございます。次に臨時職員の問題がございまして、御承知の通り国家公務員につきましても臨時職員の一部を本定員に振りかえる、こういうことが別途措置せられまして、それに対応して同じ割合で常勤労務者の二割を定員化する、こういうことにいたしたのであります。  警察職員につきましては、昇給率等は一緒でございますが、時間外勤務手当が警察の実態から考えまして、どうしても従来少いという問題がありましたので、六%から九%に引き上げることにいたしたわけでございます。  それから義務教育関係職員につきましてはこれはむしろ員数の方が問題だろうと思いますが、次の九ページに表が出ております、それをごらん願いたいと思います。そうしますと、教員数の増減内訳の表がございまして、児童生徒の増減に伴う増減で小学校は九千六百の増、中学校は一万六百の減、中学校の生徒が減りまして小学校の生徒がふえる、こういうのが来年の姿でございまして、それに伴う増減がこういう結果になっております。それから学校統合によりましてある程度職員数が減る、それと逆に学級規模の適正化による増、先ほど申しました標準定数に関する法律ができまして、極端なすし詰め教室をできるだけ改善したい、こういう問題で、それに充てるため五千名の増を考えております。差引いたしまして、右の減と合せまして、去年よりは三千七百人ほどふえるのですが、そういう数字を基礎にして財政計画で数字を見込んだわけでございます。  それから議員の報酬は、これは国の特別職の報酬が上りますので、それに対応しただけでございます。  恩給及び退隠料も特に申し上げることはございません。  それからその他の経費のうちでは国庫補助負担金を伴うものにつきましては、十ページに各省所管のおもだったものの経費を掲げてございます。これは要するに国の予算できまっておるものに見合った経費を地方も計上したのでございまして、そのうちで特に申し上げたいのは、文部省所管の教材費の負担の伴うものの増があります。これは教材費につきましては、新しく国庫負担制度を作り、例のPTAにいろいろ負担転嫁をしておる、こういう関係の経費が少いという問題があったので、なおこれは不十分でございますが、今度負担制度が作られますので、それに対応する経費を見たのであります。  それから厚生省関係では、一般的に生活保護とか児童保護、結核予防その他の保健衛生、社会福祉関係の経費がふえたのに伴うものでございます。  農林省、通産省等もここの表に書いてある通りでございまして、特に申し上げることもないと思います。  それからその次は十一ページに、この補助率の変更及び新設された普通補助金に関する調があります。補助率の削減または何とかという問題が予算編成上いろいろ議論になっておりましたが、結局最終的に変更と廃止されたものはここに掲げてあるものでございます。補助率の変更の行われたものが三件、新設されたものがここに掲げております五件のほかに十件ございます。全額的にいえばいずれも大したものじゃございません。それから廃止されたものもいわゆる零細補助金等で、補助の必要性が少いというもので廃止されたものもここに八件ございます。  それから国庫補助負担を伴わない経費というものは、これは地方におけるいわゆる単独的な経費でございますが、これにつきましては、一つは国におきましても物件費の節減をはかるという基本方針がございまして、各省の経費につきましてもある程度の節減がございます。地方におきましてもその方針に準拠して、減らすべきものは減らす、そこで旅費物件費等につきまして二%程度の額を節約し、そのかわりにふやすべきものはふやす、そういうことで人口増とかあるいは戸籍の改訂に要する経費とか、その他国庫補助の廃止による一般財源の振りかえに伴う増、そういういろいろな経費を見て、結局差引増減で二億七千万円の増になっておるわけでございます。  それから第八表は、一般財源に振りかえられた国庫補助の経費でございます。これも特に申し上げることはございません。  それから次は公債費でございまして、公債費総額八百二十八億、前年度に比して六十億の増になっております。その内訳が元金が四百七十一億、利子が三百五十六億、前年度は元金が三百九十九億で利子が三百六十七億だったのですが、これからの態勢は、だんだん償還が進んでいくに従いまして、元金の方が多くなり、利子の方が総体的に少くなる、こういう格好で表われます。しかし総額はまだしばらくふえていきます。そういうのがこの公債費の姿でございます。八百二十八億でございまして、総体的には六十億の増ですが、御承知の通り一般会計の借り入れ額は四百五十億でございますから、借り入れる金額より倍近い数字の借金の返済があるということだけは認められるのでございます。なおこの計画に掲げるもののほかに、再建債の償還金というのが百億ほどございます。これは財政計画では見ないで、計画上のいろいろ歳出を節減をしたり、あるいは計画外の収入等を確保することによって赤字を消していく、こういう仕組みになっておりますので、計画には載せておりません。しかし現実にこの百億の金は、これはもう理屈なしに払わなくてはならぬ金でございますので、ここにそれらのことについて明らかにしておいたわけであります。  それから維持補修費、百六十一億の増でございまして、その中心は道路橋梁であります。われわれの考えでは、維持補修費というのは、要するに現状を維持するために必要な経費で、人件費——人間に給与を与えると同様に、そういう施設には最小限度の維持補修経費を見るのが当りまえで、いわばもう準義務的な経費と見ていいものだと考えております。従来これが非常に少くて、地方の道路橋梁等がむしろ悪化の一途をたどっていく、こういうようなところをともかくもある程度維持できる態勢に計画を直すことにいたしたのであります。これも建設省の専門家の意見から見れば、まだだいぶ足らぬのでございますが、ぜいたくもいえませんので、この程度でがまんをすることにいたしたわけでございます。  それから次は投資的経費でございまして、公共事業費の問題がございます。そのうちでこれは、またあとに十四ページに全部表がございます。それで特に申し上げておきたいのは災害の問題でございまして、災害復旧事業につきましては、過年災の復旧率は本計画の実施によって、土木災では二十六年災と二十七年災及び三十年災については残事業のすべてを完了しております。しかし二十八年災と二十九年災については残事業の五〇%程度、三十一年災については総事業の八五%、三十二年災については総事業の六五%。例の災害復旧は三、五、二という比率でやるという建前になっておりますが、そのプリンシプルから見るというと、これはまだ相当におくれておるという姿が見られるのであります。われわれといたしましては、かねてからその比率でむしろ残事業を一掃したいという気持を持っておったのでありますが、国の方の関係もあって、こういう形にとどまっておるのでございます。  それから次の十表は特に御説明申し上げる必要はございません。公共事業費の各省の重立った経費の内訳でございまして、一番伸びているのが道路整備の二十九億、臨時就労の二十億、その他の経費でございます。災害関係では全体として三十七億減っておるのでございます。そこで差引公共事業全体では三十五億の増、こういうことになっておるわけです。  その次は失業対策事業、この失業対策事業の内訳もここに書いてございまして、前年度に比して三十八億ふえておりますが、その内訳はこの表に書いてある通りでございます。補助単価の一部も是正をされております。それから国庫補助負担金を伴わない建設事業費総額で一千億ほどになっておりますが、これが先ほど申しました水準の確保と申しますか、向上と申しますかに当るものでございます。その内訳を書いてございます。その数字は先ほど申し上げましたところですから差し控えたいと思います。そのうちこの災害復旧単災につきましては七億二千万円、その内訳は従来災害公共事業費に対する比率を一五・五%ということにしておったのを一八%に引き上げたのであります。これは単災に対する扱いが悪いじゃないかという議論がありましたが、本年度ですが、災害の実態に徴しまして、各省の専門家にも行ってもらって実態を見たところが、実態に合せるようにすると、総体的にはまず一八%程度だろう、こういう数字が出ましたので、その数字を基礎にして是正することにいたしたわけでございます。環境衛生関係の内訳は、下水道六十六億、屎尿処理等十三億、こういう経費内訳になっております。  その次は歳入の概要でございまして、これはまた税の方で詳しく御説明があるかと思いますが、この地方税収入増減事由のおもなるものを普通税目的税に分けて、それぞれ現行制度による増、税制改正等による増減をまとめて書いてございます。さらに各税目の内訳を十三表に、これは道府県税、市町村税に分けて書いてございますので、それぞれごらんおきを願いたいと思います。  それから十九ページは譲与税、これも内訳の通りでございます。交付税、基地交付金等につきましても申し上げる必要もないと思います。  それから国庫支出金も特に申し上げる必要はございませんが、これをごらん願いますと、義務教育関係の国庫負担金が五十八億円、その他の普通補助金が三十一億、公共事業が十三億、失業対策関係が二十二億、こういうことになっておりまして、前年度からふえました百二十六億のうちの半分は義務教育関係の国庫負担金であります。その他の半分がこうしたもろもろの経費だということになっております。  その次は地方債で、これも今までしばしば申し上げましたことですから特に申し上げる必要がなかろうと思います。一般会計で七十億を減らし、逆に収益的建設事業で十億をふやし、退職債で二十億減らし、公営企業債で十億ふえる。差引総体で一千億、その資金の内訳は政府資金が八百五十億、公募が百五十億、そのうち一般会計の分は全部政府資金、こういうことにいたしております。公募は一般会計にはつけない。これも実質的には一つの改善点でございます。  それから雑収入は特に申し上げるほどのことはございません。以上でございます。
  9. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 北山君。
  10. 北山愛郎

    ○北山委員 地方財政計画内容的な質問は別にいたしますが、資料を一つお願いしたいと思うのです。第一はこの税の自然増でありますが、これは三十三年度五百億の自然増を見ておるわけであります。それで三十二年度の地方税の実収の見込みはどうか、これを資料としていただきたいわけであります。なお大まかな数字が、きょうお答えが願えるならば、本年度、三十二年度地方財政計画に対して大体どの程度増収になるか、これをお答え願いたいと思います。それから税関係では、今の増収資料というのは、やはり事業税、住民税固定資産税電気ガス税、これがおもなものでありますから、主としてこういうところに重点を置いていただきたいと思います。それから地方税法の四百八十九条、電気ガス税の例の非課税規定がありますが、その非課税の適用を受けてこの電気税が免除になっておる金額ですね。事業種別に資料を出していただきたい。これは二十数種類あるわけでございますが、金額としては百二十三億ばかりあるということは聞いておりますけれども、その内容を資料としてお出し願いたい。  それから次は、木材引取税が今度は減税ということになっておりますが、地方の市町村木材引取税に依存しておる度合い、税収の中でこの木材引取税がどの程度に比率を占めているか、これは山村ほど比率が高いわけでありますが、これについての資料をお願いしたい。  それから固定資産税については、山林原野の分が非常に少いわけであります。大体二十億くらいじゃないかと思うのですが、面積は非常に広いのですけれども、山林原野に課せられておる固定資産税は非常に少いので、固定資産税対象となっておる山林原野の上にある立木の価格というものは、どの程度にあるのか。これを一つお調べになってお出し願いたい。税関係では以上であります。  それから今御説明のこの地財計画の中では、再建債の償還は入っておらぬ、こういうことでございました。再建債の元利償還分が百億くらいあって、これが入っておらぬというお話がありましたが、地方財政再建法による再建債の償還というものが、これから年次的にどういうふうな形になっていくか、これを一つ団体の種別に、できるだけ詳細にお願いをしたい。と同時に、歳出の面では償還費が地財計画に入っておらぬのでありますが、見合う歳入というのは当然あるわけなんです。そうしますと、この財政計画の中にある歳入の中から、その百億という再建債は返すということになっておるものか、その点の御説明がないので、お答えを願いたいと思います。それから公債費、いわゆる地方債の元利償還は年々ふえて参っておりまして、八百二十何億になっておる。これが地方団体、府県あるいは市町村税収の中に、どの程度を占めておるか。これは団体によって、富裕府県とか、団体現状で違うと思うのですが、その比率、一般財源の中で税収と比べてみて、公債費増加状況、その比率という資料をお出し願いたい。それからもう一つ、起債の充当率といいますか、今度は一般事業債が九十億減っておりますので、特にこの点をお伺いしたいのですが、従来一般補助事業についての起債充当率というものは、どういうふうにやっておったか、この資料をお出し願いたいのであります。盛りだくさんでありますが、大してめんどうくさい資料ではありません。  最後に、交付税のお話がありましたが、昭和三十二年度の追加分七十八億というものは、どういう計画で、どういう方法配分されるのであるか、これをお示し願いたいのであります。
  11. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 ちょっと北山君にお諮りしますが、ただいまの資料要求に対しましては、速急に資料を出していただくことにいたしまして、質問は次会にする申し合せになっておりますので、どうか簡単に……。
  12. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 大体出せると思いますから、できるだけ早く提出します。
  13. 中井徳次郎

    ○中井委員 もう一つ追加しておきます。自転車荷車税廃止に伴いますたばこ消費税の二%、これも各地区で非常なでこぼこができると思いますが、そのでこぼこの総額、これは全国全部当るといったら無理だと思いますが、各府県でピックアップされて、おもなところで、単位町村においてはどれくらいの額になるか。それは地方交付税で調節されてると思いますが、その材料をお持ちになってると思いますから、これもついでに出していただきたい。
  14. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 ただいま要求の資料につきましては、早急に出していただくようにお願いいたします。     —————————————
  15. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 この際お諮りいたします。  本委員会道路交通取締に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認めまして、右小委員会を設置するに決しました。  なお右小委員の員数は十五名とし、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認めまして、小委員には       加藤  精二君   亀山 孝一君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈彌三君     渡海元三郎君       徳田與吉郎君    永田 亮一君       古井 喜實君    吉田 重延君       井岡 大治君    加賀田 進君       川村 継義君    北山 愛郎君       中井徳次郎君 以上の諸君を指名いたします。  また、小委員長には渡海元三郎君を指名いたします。  なおこの際お諮りいたします。委員異動に伴う右小委員及び小委員長の補欠選任につきましては委員長にあらかじめ御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕
  18. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決しました。     —————————————
  19. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 次に奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。伊東隆治君。     —————————————
  20. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 奄美群島の復興計画につきましては初め五カ年計画ができましたのに、それが計画通り参らなかったという関係からいたしまして、このたび政府におきましてはもう五年延長されまして、十年計画のもとに復興をはかることに相なりましたことは群島民として非常に感謝しておるところでございます。しかしながら、この復興事業の約八割を占めますのは建設事業でありまして、港湾、道路、農道、林道、溜池、井せき、これらのこと、それから海岸とか砂防とか、そういう建設事業がだんだん進んでおりますけれども、農民のふところはあたたかくなっておりません。この件に関しましては先ごろの委員会におきまして、行政局長との間に私質問をかわしたのでございますが、琉球民政府下にありましたときには米軍事当局におきましては、物において、すなわちガリオア物資において二億余、また琉球民政府から三億足らずの金、合わせまして六億に達しますところの物及び資金を供給いたしまして、群島民の窮状を救って参ったのでございます。母国に復帰いたしましてからは、もとよりあたたかいふところに帰ったのでございますから、わが政府におきましても年々十二、三億の経費を投入していただいて、その復興に当っていただいておることは感謝しておるのでございますけれども、先申しますように、これらの資金なるものは約八割を建設費に注いでおりますので、群島民のふところは一向あたたかくならない。そこでこのたびの予算の編成に当りましては産業基金のための特別金融機関を奄美大島に設けなければ郡島民は依然としてふところがあたたかくならない、産業が振興しないということで大蔵当局に強くこの件をお願いしたことは大臣もよく経緯を御承知と思います。本日は相沢主計官がわざわざ見えておられますが、私はまず大臣から本件に関しまする大臣としての御意向を承わりたいのであります。
  21. 郡祐一

    郡国務大臣 確かにお話しのように群島民の信用力は何と申しましてもまだ低いのでありまして、これから産業などを伸ばして参りますために基金のような構想の必要性があるのでございます。このたびは見送りましたけれども、今後そうして群島民の経済活動と申しますか、産業活動をいたしますのに必要な力をつけて参りますために、できる限りの措置を講じて参りたいと考えております。
  22. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 このことに関する大臣の御意向につきましては、私まことに満足する次第でありますが、この機会になお申し上げて相沢主計官からもお答えを願いたい。そういう産業資金については農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫を初め、旭相互銀行あるいはその他の信用金庫がありますから、そういうところで間に合いはしないだろうかということを申すのでございますが、これらの金融機関は非常に窓口が狭くて条件がきついので、群島民がこれらの資金を利用することがなかなか困難な事情にあるのであります。しからば窓口のやわらかい楽な金を貸すような機関を作ってもらいたいということになりますと、国の貴重なる租税を主とする収入から出すお金を貸し倒れにするようなことがあってはいけないのじゃないかということがすぐ考えられるでありましょう。現に大蔵当局においてもそういうことをはっきりと言われた係官がおられる。しかし先ほども申しましたように琉球復金時代に群島民が借りたお金については厳重な手段ではないにかかわらず、借りた金は返すという道義心から群島民は相当の無理をして月に約二百何十万という金を信用保証協会に返しておるという実情にかんがみましても、貸し倒れなどにはならないのみならず、これで助ける産業がしっかりしておれば決してそういうことはない。またそういう悪い例を残したのでは後の者に非常な不利益を及ぼす、人には迷惑を及ぼさないという島の特有の道義心から、そういうことは現在までないのでございますから、この点に関します大蔵当局の懸念もなくてよろしいと思うのであります。そこでこの機会に相沢主計官から、本件に関しまする御意向を承わっておきたいと思うのであります。
  23. 相沢英之

    ○相沢説明員 奄美群島復興開発基金の問題に関しましては、さきに奄美の復興審議会におきましても、「改訂後の復興計画に基く事業の実施に必要な地元負担確保を図るため引き続き政府資金による所要の金融措置を講ずるとともに、本群島経済の自力発展に必要な産業資金の円滑な融通を図るため、すみやかに特別の金融対策を樹立するものとする。」というような答申が出ております。三十二年度におきましても自治庁並びに地元の方々から本基金の設置に関しまして強い要望があったのであります。先ほど伊東先生から大蔵省ではこういう考えでこの基金に反対しているという御説明がございましたが、まあそういった趣旨から本件に関してはさらに検討する必要があるという考え方を持ったわけであります。現在行われております金融措置で、果して今後の奄美の復興事業計画を遂行するに必要な産業資金が確保されるかどうか、それからそのためにはどういう方法が必要かということにつきましては、今までのところはまだ果してこの基金を設置しなければどうしてもやれない状況にあるかどうかという点についてはなお問題が残っておるというふうに考えておるわけであります。それから、こういう金融措置につきましては、私どもというより銀行局その他の意見でありますが、やはり窓口はできるだけ数が少い方が望ましいわけでありまして、現在におきましてもすでに農林漁業金融公庫とか中小企業金融公庫、農中、商中その他の特殊な金融機関も相当あるわけであります。そういった金融機関の上にさらにこういう特別な地域的なものを新しく設けるかどうかにつきましては、奄美群島の問題だけではなく、さらにほかの離島とかその他の特殊な地域に対してこういう基金の設置の要求をあわせて招くといったような点も考慮して検討しなければならない、かように考えております。
  24. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 相沢主計官のおっしゃることはよくわかりましたが、奄美大島にそういう特別の金融機関を設置すれば、他の離島の関係においても考慮することになりはしないかというようなことから、国費の失費をあるいは懸念されておるのではないかというふうにも承わったのであります。奄美群島の疲弊ぶりについてはとくと御承知の通りでありまして、すでに昭和の半ばにおいて、沖縄及び鹿児島県大島郡の振興計画があったことでございまして、すでに終戦前から国はこれらの地方の疲弊を救おうということで、あの軍事費に大半を費しておった当時においてすらこれに着目してやっていただいておった地方であります。それが、戦争によってその振興事業が中絶し、その後八年間も続きまして占領されて、島民の疲弊はその極に達した。そういうところであればこそ、御同情をいただいてここに特別法によってもう五年も振興事業をしていただいておるのでございまして、この島民のふところをあたたかく救済するということは、もう復興五年目を迎えておりまする今日、是が非でも必要ではないかと私思うのであります。港や道路はよくなったけれども、島民はむしろ琉球民政府治下のときの方があたたかであったというようなことをかこっておるような始末でありますので、この際ぜひ特別金融の制度は他の離島との権衡などを懸念されることなく、特別の措置をとっていただきたいと思うのであります。ここにごく簡単に現状を申しますと、今農林中央金庫とそれから中小企業金融公庫それから開発銀行というようなものから受けております対象は、農業倉庫、精糖工場、船舶、バス、トラックなどでありまして、農民が非常に希望しておりますところの牛豚等の家畜に対する融資、バナナ、パイナップル、ユリの根あるいはシイタケ、木材、薬草などの農産物、その他カツオやマグロの水産物等に対します長期の金融を非常に熱望しておるのでありまして、今や融資の大部分は商業銀行である鹿児島銀行大島支店がやっておるというような状況でありますので、非常に窮屈な状況にあるわけでございます。そういうわけでありますから、この際、ただいま相沢主計官が言われたことはごもっともでありますけれども、特にこの点も強く認識していただきたいという希望を述べまして、この件については終ります。次に、大臣がいらっしゃいますので、この機会に御所見をお伺いしておきたいことはこの復興事業のやり方でございます。今復興事業は鹿児島県知事が国の機関としてこれを実行いたしております。そこでいろいろの復興事業につきましては土地の建設業者に請け負わせてやっておるのでありますが、あの台風銀座といわれるような台風のしばしば襲来する島におきましては、これらの地方建設業者の技術と経験をもってしては、あのむずかしい港湾等の建設はなかなかうまくいっていないのでございまして、沖永良部島の和泊港また徳之島の亀徳港におきましては台風ごとに破壊されまして、さいの川原の石積みみたいな状態にありますので、島民はひどくこの点を憂慮いたしております。そこで私は国営とか県営では弱いとかということを論ずるのではありませんが、少くともこういう建設事業は、技術と経験を持っておるところの国が進出してやらなければ十分の事業ができないと思うのです。名瀬港を国営にいたしまして、すなわち運輸省の直轄にいたしまして、あの通りりっぱに仕上りました経験からしても、亀徳港あるいは和泊港というような港は、ぜひこれを国が直轄でやっていただきたい。もとよりこれは重要港に指定しなければ、国が直接出て参るわけにいかないことは私もとくと承知いたしておりますので、これを委託港の形式において、国に委託する形式においてはできることは御承知の通り、日本でも十数港が地方港であるけれども、国が直轄してその建設に当っておることは御承知の通りであります。あの台風常襲地帯におきます港湾の建設には、どうか国が進出してやれるように、運輸省が直轄できるようにいたしたいと思いますが、これに対します大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  25. 郡祐一

    郡国務大臣 気象の条件等のために稼働いたします日数が比較的少い等、必ずしも条件がよくございませんために、むずかしい場合がありますけれども、工事の適正な執行をして参らなければならぬことを当然でございまして、従いまして地元の業者に対して、広い意味で地元の産業を振興いたさせます配慮をしながら、重要な港につきましては伊東さんお話のように委託というような形で事柄を進めて参りますように、運輸省とも現に相談いたしております。ものの重点と全体とをにらみ合せて御趣旨に沿うようにして参りたいと思っております。
  26. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 本件に関しまして非常に私ども群島民の満足する御答弁をいただきましたことは喜びとするところであります。どうかこの上とも本件を実行に移すことに御尽力願いたいと思います。  もう一点大臣の御言明をいただきたいことは今度の法律案にあります災害復旧の点でございますが、御承知の通りこの案には建設被害のみが規定してあって、農林被害が規定してないというところに多少の片手落ちがある。農林被害と申しましても、この漁港が建設被害同様に災害復旧の範嗜に入っておるということに了承いたしましたので、私は今回はこれで満足するものでありますけれども、いずれ台風常襲地帯ともなりますれば、農道、林道またため池、井せき、農産物——農産物は共済制度がありましても、とにかくこれらの農林被害の復旧につきましては、後日適当な機会に私これをこの法律の一部改正として入れたいという熱望を持っておる次第でありますので、本件に関しまする大臣の御所見、御意向をお伺いいたしたいと思います。
  27. 郡祐一

    郡国務大臣 離島振興との関係もございまして、ただいまの法律のように相なっておりますけれども、私といたしましては奄美群島というものの特殊性を考えまして、今後ともでき得る限りよい条件にいたしたいと考えております。
  28. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 次に空港についてのことでございますが、御承知の通り奄美群島の首都であります名瀬市と鹿児島市との間は今ごく不便な船の連絡によってやっておりまして、早くて十五時間、また長きは二十二、三時間にもわたる時間でございますので、この空港の整備を早くいたしたいというのが、群島民の要望でございます。しかるにこの空港の設備についてはなかなかはかどらない、いろいろの点において運輸省との間にはかどらない点がある、一体どこにこの空港の開設について故障があるか、大臣が御承知なら御説明願いたいと思います。
  29. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 奄美群島の空港整備の問題でございますが、群島は本土より遠く離れております特殊な地理的条件にあるわけでございまして、一部におきましては早くから空港の設置ということの必要が叫ばれておりました。今日まで寄り寄り協議をいたしておるのでありますが、現在までのところまだ計画の具体化を見るに至っていなかったのであります。最近に至りまして、御承知のように八丈あるいは種子島等各地の離島におきましても空港が整備せられて参りまして、群島内にもようやく設置の機運が醸成をされてきておりますので、改訂計画におきましてもこの整備計画いたしておるようなわけでございます。ただ現在までのところ国の方針あるいは財政の問題等もございますが、それとあわせまして、技術的な面から申しまして空港の適地というものを発見をいたします点について、なかなかむずかしい問題もあるのであります。現在一応候補に上っております点は、伊東委員も御承知のように、やはり名瀬市に近い大島本島というところに適地を求めて空港を設置をしていくということが適当であるというふうに思われるのでありますが、これにも二カ所ございまして、そのいずれをとるかということについては、まだもう少し掘り下げた研究が必要ではないか。農地の壊廃の状況その他もにらみ合せますならば、もう少し技術的にも掘り下げて研究をする必要があるのではないかと思っておるのであります。さしあたり現在のところでは、現地の実情によりまして喜界島にございまする旧飛行場——これは軍の飛行場がございましたが、これを復興、整備をするということにいたしまして、第一次的にはそれをやりながら、本格的な空港整備という問題については、なおさらに技術的な点等について掘り下げをいたしました上で、逐次実行に移すように努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  30. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 この航空路につきましては、東亜航空という会社とフジ航空という会社とが競願いたしておりまして、運輸省におきましてもいろいろ考慮をいたしておることがあるように承知いたしておりましたが、このたび東亜航空に仮免許をおろして、この航空路を担当するように取り計らっておりますし、東亜航空におきましてはすでにビーチクラフトを二機用意して、今にも渡ろうといたしておる。しかるに、ただいま行政局長の—言われた通り、その空港の整備についていろいろの点がまだ整備されませんので、その段取りに至らないのは私どもも非常に遺憾に考えております。どうか自治庁当局におきましてもこの促進に一段の力を添えていただきたいと存ずる次第であります。  もう一、二点ありますけれども、時間の都合もありますから、また来週の火曜日に伺うことにいたしまして、本日はこれにて私の質問を打ち切りたいと思います。     —————————————
  31. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 次に地方自治に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。北山愛郎君。
  32. 北山愛郎

    ○北山委員 行政局長は二、三日御用だそうでありますから、めったにお目にかかれないので、この機会にちょっとお伺いしておきます。  問題は地方公務員法の問題であります。今世間で問題になっております勤務評定のことでありますが、地方公務員法の第四十条にこの勤務評定のことが書いてあるので、これについて私、若干疑問に思っておりますのでお伺いするのですが、自治庁としては現在教育公務員に対して行われ、また行われようとしておる勤務評定というものは、これは給与とかあるいは勤務条件というような人事上の問題とは別個のものとお考えになっておるのかどうか。というのは、第四十条にはこう書いてあるのです。「任命権者は職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置を講じなければならない。」と書いてある、その「結果に応じた」というのは、これはどういう措置なのか。たとえば愛媛県のように、勤務成績、勤務評定の結果によって昇給や昇格をきめるというようなのが、四十条に書いてある、その成績に応じた措置ということができるのかどうか。こういう問題を私、若干疑問に思っておりますので、お伺いしておきたい。
  33. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 必要な措置を講じなければならない、その措置内容というものは何をさすかということでございますが、これは私の解釈といたしましては、その法律措置を講じなければならぬという意味の措置というのは、主として、研修の関係をさしておるのではないか、かように考えておるのであります。ただ勤務評定というものが持っております性格から申しまして、やはりその結果としてどういうことが期待されるかと申しますと、これはただ単に研修だけということではなくて、人事行政上の参考資料としていく、たとえば任用をやる際に、あるいは職場配置をやる際に、さらには昇給等につきましても、成績を反映をするという一つの参考資料にするというようなこともございますので、そういうことは勤務評定の当然の内容として生まれてくるのではないか。ただここに法律で書いてあります措置を講じなければならぬという、その措置というものにつきましては、私は、やはり研修あるいは職務上の配置関係の計画、そういうようなことをさしておるのではないか、かように考えております。
  34. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし愛媛県の例のように、勤務評定によって昇給昇格をやるということは、少くとも違法ではない、やはり勤務評定の結果としてそういうことも起り得る、そういうことは認めておられるのですか。
  35. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 さようでございます。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、勤務評定というものは、一面においては教育効果、教育の成績を上げるという面と、人事的に考えるときは、やはりその教職員なら教職員、公務員の給与その他の勤務条件にも半面では関係してくるということも含んでおる、こういうふうに解されますか。
  37. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 結果的にはそういうことになると思います。
  38. 北山愛郎

    ○北山委員 そこでお伺いするのですが、問題は、ある地方で勤務評定の問題について交渉を持とうとした。ところが教育委員会は、これは地方公務員法による——あれは何条でございましたか、団体交渉の対象にはならないのだ、こういうことで、団体交渉に応じないわけなんです。しかし今お話しのように、勤務評定というものが給与その他の勤務条件にも関係するものであるとするならば、これは団体交渉に応じなければならぬ、私はそう思うのですが、どうでしょうか。純粋に教育効果とか、そういう面の教育の成績を上げるという面だけのものでなくて、やはり今のお話のように、あるいは愛媛県の実例のように、その結果として給与その他勤務条件にも関係してくるという内容を含んでおるものであるとするならば、これはやはり団体交渉の対象になり得るのじゃないか、これは当然じゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  39. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 いわゆる職員団体と任命権者との間の交渉というのが、これが法律にもございますように、給与それから勤務時間その他の勤務条件ということになっておるのであります。勤務評定というのは、これは任命権者が法律規定に基きまして、いろいろの効用を持っております計画を樹立して、これを実施をしていくということになると思うのでありまして、先刻申し上げましたように、結果的にはもちろん勤務条件に関連を持つということも、その運用条件によってはあり得るわけでございますけれども、しかし勤務評定の実施それ自体というものは、勤務条件というものには入らない、私たちはかように解釈をいたしております。
  40. 北山愛郎

    ○北山委員 現実に愛媛県のような場合、それによって昇給昇格をやるのだということになったら、当然給与に関係してくるのじゃないですか。勤務条件にも関係してくるのじゃないですか。そういうことがなければいい。ないという保証があればいいのですが、現実にもあるし、またいわゆる結果に応じた措置というものの中には、関連して給与にも関係してくることもあるということである以上は、それは労働組合なり何なりからいえば、やはり給与その他の勤務条件にも関係してくるのだから、当然地方公務員法五十五条ですかの団体交渉をするのが当然じゃないか、こういうふうに解されるのですが、どうでしょう。
  41. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 私たちはそういうふうには考えておらないのでありまして、勤務評定というものは、あくまで広い意味における人事行政というものを推進し、あるいは改善をしていくための一つの計画であるということに考えておるのであります。そのできました計画自体というものをどういうふうに参考にし、利用していくかという場合におきまして、結果的にはときには給与に関し、あるいは昇給等に関して参考にされるという場合において、それは関連を持つということはあり得ますけれども、しかしこれは勤務条件自体ではない。従いましていわゆる団体交渉の範囲内に入らない、かように解釈いたしております。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 それはおかしいと思うのですよ。とにかく現実に愛媛県の場合が不適当だとか、あるいはああいうことは勤務評定の意図する措置ではないというふうなことであるならば、これは別ですけれども、そうでない限りは、ああいうものもあり得るということになれば、直接に昇給昇格の条件に響く、何パーセントはそれによって昇給をするということになれば、これは明らかに給与に関している。だから条例上当然団体交渉の対象になる。そうでないと私たちは考えておると言うけれども、人事行政というのは、使う方から見れば人事行政なんで、計画を作ったり、いろいろ給与の条例を作ったりするでしょう。これは何も関係ないのだ、人事上の問題なんだ。しかし相手のあることなんですから、問題はその相手の方に関係してくるから、団体交渉という道を認めているでしょう。これはやはり一方的な問題じゃないのです。一面だけいえばそうなんだけれども、事実は使う方と使われる方があるから団体交渉という問題があるので、それが全然給与に関係がないというならば、これはいいでしょう。これは職員団体といえどもあるいは関心を持つべき範囲じゃないかもしれぬ。しかし勤務評定については明らかに愛媛県のような例があるのだから、ああいうものは絶対にないのだ、これは別個なものだ、これは教育なら教育というものの効果をいかにして上げるかという教育上の問題なんだ、それによって給与をどうするこうするというのじゃないのだということが明確にされるならば、それは確かに給与には関係ないと言えるかもしれぬけれども、現実に愛媛県のような場合を認めておいて関係がないと言っても、これはちょっと理屈に合わぬのじゃないですか、どうでしょう。
  43. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 愛媛県の場合にやりました勤務評定のやり方、特にそれと昇給との関連のさせ方ということにつきましては、当時問題がございました際に、私たちも申し上げておりますように、これは必ずしも全面的に非常にいいやり方だというふうにはわれわれも思っておらないのであります。県当局といたしましては、もちろんああいうような昇給と直接関連せしめるという意味の勤務評定をやったのでないことは、るる説明も受けておりますし、事実そうであったと思いますけれども、しかしやり方自体についてあまりにも画一的であり、さらには当初の計画といたしましては、昇給の幅と勤務成績の確定の仕方というものが、かなり近似をしておったがためにいろいろ一般にも誤解を生ぜしめたというような点もあったのであります。しかしこの点も後における実際のやり方を見ますと、これはそうではございません。かなりそこに全体としての配慮をめぐらしまして、そう機械的、形式的にはやっておらないという結果も出て参っておるのであります。そういうことでございまして、私たちは勤務評定の実施自体は、人事行政上の一つの改善方策のための措置であり、計画でありまして、これはやはり勤務条件というものではない、関連はいたす場合もあり得ますけれども、これはあくまでやはり勤務条件と見るべきものではない、かように考えております。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 時間もおそくなりましたから簡単に片づけますが、問題は、先ほど一番最初に第四十条のその結果に応じた措置ということの解釈について、行政局長はそれは直接にそういうふうな給与に関係した措置ではないのだというふうに言われたので、それが明らかにされておらぬという点が問題だと思う。局長がただそういうふうに考えるというだけでなくして、これは問題になっておらなければいいのだが、いろいろ大きな問題になっているものですから、やはりその誤解を解くためには、必要な措置というのは、それによって昇給昇格をしたり、そういうことではないのだ、それとは別個なものなんだという解釈を、何らかの方法で明らかにしなければならぬと私は思うので、その点を一つ御検討願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  45. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 その点はもし誤解があれば検討いたしたいと思っておりますけれども、一面勤務評定というものが客観的にデータとして出てくる場合におきましては、他の法律あるいは条例等の規定によりまして成績が良好である者についてはどうこうするというような規定があります場合は、そういうデータを参考資料として利用するということは事実上あり得るわけでございます。しかし法律上の必要な措置というものは、私先刻申し上げましたように、そういうものを、必ず義務づけているというふうな内容のものに含めるべきではない、かように考えております。その点明らかにする方がよろしいということでございますれば、方法等については検討いたします。
  46. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十八分散会