○小林(與)
政府委員 お手元に
昭和三十三
年度地方財政計画の
説明書をお配りしてございますので、これに基きまして簡単に御
説明いたしたいと存じます。
第一ページは
地方財政計画の策定
方針及びその概要で、これはただいま大臣の方から
説明があったことを書いてあるわけでございます。
次の第一表、これは表でございまして、この前概要について御
説明申しました数字をやや詳しく書いてあるものであります。その細目につきまして御
説明を加えることにいたしたいと思います。
六ページの第三表をごらん願いたいと思います。第三表に
増減事由に関する調として、おもな項目を書いてございます。そのうちの
歳出の第一は
消費的経費であります。そのうち
給与費は昇給等による増、人員増による給与増を含めて百五十一億でございます。この人員増によるものは消防職員の増とか、それから産業教育を振興するための関係職員の増とか、あるいは職業訓練法の施行に伴う増とか、あるいは高等学校の先生の増とかそういうものを四千人ほど見込みまして、あとは普通の昇給率をかけたのであります。昇給率につきましては従来四%でございましたが、実態にかんがみまして四・二%に
計画では上げております。次に(ロ)は義務教育水準の
確保に関する問題で、今度文部省の方から標準定数に関する
法律が出まして最低限度の標準数を
確保しよう、こういうことになっております。それに伴いまして五千名ほどの職員の差引の増が見込まれておりまして、それに要する
経費をこちらも受けて書いたのでございます。この内訳はまたあとから御
説明申し上げます。それから(ハ)は
期末手当の増、これは去年の
期末手当を今度は新しく載せたわけでございまして四十二億、それから石炭、薪炭手当の単価
改訂による増が二億八千万、それから通勤手当
新設による増、これは新しく通勤手当
制度が国家公務員にしかれますので、それに対応する地方職員の
経費でございます。それから
暫定手当切りかえによる増、これは前
年度実施されました
暫定手当の三十三
年度分の増でございます。管理職手当九億七千万も新しく管理職
制度が小中学校の校長について設けられますので、右に伴いまして高等学校並びに府県
市町村立の大学等につきましても管理職手当を支給する必要がある、そういう大学学部長等に対する手当を入れております。それから合併による減は合併の進捗に伴いまして合併後いろいろ
消費的経費を
合理化する、こういう前提になっておりまして、
消費的経費をここで減に立てるとともに、その
経費を積極的な
投資的経費に回す、こういうことでこれは一番下の方の欄で、またあとから申し上げますが、別途二十億の新
市町村建設事業費の増を見込んでおりますが、ここでは減るべきものは減らす、こういうことになっておるのであります。その他が十一億ございます。
それから恩給及び退隠料は、これは全く義務的な
経費ですから申し上げるまでもありません。
その他の
経費も
国庫補助負担金を伴うものが六十七億、
国庫補助負担金を伴わないものが二億七千万、これらの内訳はあとであらためて御
説明申し上げます。
公債費は六十億の増。
道路、
橋梁等維持補修費は百六十一億。
投資的経費につきましては、公共事業及び失対で要するに国の予算の
増減に伴うもの、これが七十三億の増でございます。
それから
国庫補助負担金を伴わない
建設事業費二百二十八億。これがいわゆる
行政水準の
確保と申しますか、向上と申しますか、そういうものに実質的に当る
経費でございまして、その内訳は下水、屎尿処理施設等の環境衛生施設の増が七十九億、
道路整備費、これは新しく
道路整備五カ年
計画が作られますので、それの裏としての地方の単独の
道路整備事業費でありまして百五億。それから義務教育施設の校地の買収費として十五億、これは従来も学校を新しく作るときは当然校地が要ったのでありますが、十分
計画上も見てない。現に今国の補助もずいぶん問題になっておりますが、ことしも国の補助がつかなかったのですが、われわれといたしましては起債の
配分に当って必要なものは考えたい、こういう考えで
計画上も十五億見ることにしたのでございます。それから次は新
市町村建設事業費で二十億。これは国の補助に伴うものがそれぞれ別途掲げてありますが、そうでない純粋の単独の事業費の増として二十億を計上して新
市町村の建設をできるだけ促進したい、こういう考えでございます。それから(ホ)は
災害復旧費で、いわゆる単独災害でございます。単災につきましては、従来十分でないといういろいろ問題もございまして、金額はそれほど十分でもございませんが、ゆとりのあるところをこれは回したわけでございます。その次の
地方交付税の不
交付団体における平均水準をこえる必要
経費、これはあまりいい表現ではありませんが、要するに不
交付団体については、それぞれやはり必要な行政費用というものは要りますので、そういう
経費を見たわけでございます。
それから
歳入の方は
普通税で
自然増収が四百九十一億ございましたが、
国税減税または
税制改正による減が二十億ございますので、差引四百七十一億の増、
目的税では
自然増収等が二十七億、
税制改正による増が一億二千万、合せて二十八億、合計五百億の増でございます。
譲与税は二十五億の増、
交付税、基地
交付金等は特に申し上げる必要はございません。国庫支出金は義務教育費、生活保護費その他
公共事業費、全部ひっくるめて百二十六億の増、
地方債が七十億の減、雑
収入二十七億で総体九百億、こういう計算でございます。
そこでその次のページをごらん願いますと、三十二
年度と三十三
年度の
計画上における
歳入出の
構成を一応調べてございます。そういたしますと、地方税は前
年度四〇・二%が今度は四一・三%になります。
譲与税が二・六から二・六、これは変りありません。それから
交付税が一七から一八・一、つまり地方税と
交付税の
構成比がふえております。逆に国庫支出金が二五・八から二四・九になります。
地方債が四・五から三・六になる。それぞれの伸張率が一番右の欄に書いてございまして、その伸張率をごらん願いましても
交付税と地方税の伸び方が一番大きい。要するに
歳入の
構成からいいますと、こうした
一般財源が前
年度よりも
計画上はやや
充実された形になっておる、こういうふうに見られるのでございます。
それから下の
歳出構成の上では
消費的経費が六四・九%であったのが六三・二%になって、
構成比が減っております。
公債費は六・七から六・七、これは同様。
維持補修費は二・三から三・四、これは今度は相当増額いたしましたので、伸び率も一番大きいのであります。それから
投資的経費が二六・一から二六・七、これは大観いたしまして
維持補修費と
投資的経費につきましては従来よりもやや
構成比が伸びておる、
消費的経費が総体的に落ちておる、こういう形が見られるのでございます。
それから次の八ページ以下にこの
経費の内訳を詳しく書いてございます。一々申し上げませんが、おもだったものだけ申し上げますと、
給与費のうちの一般職員及び義務制以外の職員の
給与費につましては先ほど申し上げました通り昇給率を四・二%にし、それから通勤手当とか管理職手当、
期末手当、薪炭手当、石炭手当等の増を見込んで計算したのでございます。次に臨時職員の問題がございまして、御
承知の通り国家公務員につきましても臨時職員の一部を本定員に振りかえる、こういうことが別途
措置せられまして、それに対応して同じ
割合で常勤労務者の二割を定員化する、こういうことにいたしたのであります。
警察職員につきましては、昇給率等は一緒でございますが、時間外勤務手当が警察の実態から考えまして、どうしても従来少いという問題がありましたので、六%から九%に引き上げることにいたしたわけでございます。
それから義務教育関係職員につきましてはこれはむしろ員数の方が問題だろうと思いますが、次の九ページに表が出ております、それをごらん願いたいと思います。そうしますと、教員数の
増減内訳の表がございまして、児童生徒の
増減に伴う
増減で小学校は九千六百の増、中学校は一万六百の減、中学校の生徒が減りまして小学校の生徒がふえる、こういうのが来年の姿でございまして、それに伴う
増減がこういう結果になっております。それから学校統合によりましてある
程度職員数が減る、それと逆に学級規模の適正化による増、先ほど申しました標準定数に関する
法律ができまして、極端なすし詰め教室をできるだけ改善したい、こういう問題で、それに充てるため五千名の増を考えております。差引いたしまして、右の減と合せまして、去年よりは三千七百人ほどふえるのですが、そういう数字を
基礎にして
財政計画で数字を見込んだわけでございます。
それから議員の報酬は、これは国の特別職の報酬が上りますので、それに対応しただけでございます。
恩給及び退隠料も特に申し上げることはございません。
それからその他の
経費のうちでは
国庫補助負担金を伴うものにつきましては、十ページに各省所管のおもだったものの
経費を掲げてございます。これは要するに国の予算できまっておるものに見合った
経費を地方も計上したのでございまして、そのうちで特に申し上げたいのは、文部省所管の教材費の
負担の伴うものの増があります。これは教材費につきましては、新しく国庫
負担制度を作り、例のPTAにいろいろ
負担転嫁をしておる、こういう関係の
経費が少いという問題があったので、なおこれは不十分でございますが、今度
負担制度が作られますので、それに対応する
経費を見たのであります。
それから厚生省関係では、一般的に生活保護とか児童保護、結核予防その他の保健衛生、社会福祉関係の
経費がふえたのに伴うものでございます。
農林省、通産省等もここの表に書いてある通りでございまして、特に申し上げることもないと思います。
それからその次は十一ページに、この補助率の変更及び
新設された普通補助金に関する調があります。補助率の削減または何とかという問題が予算編成上いろいろ議論になっておりましたが、結局最終的に変更と
廃止されたものはここに掲げてあるものでございます。補助率の変更の行われたものが三件、
新設されたものがここに掲げております五件のほかに十件ございます。全額的にいえばいずれも大したものじゃございません。それから
廃止されたものもいわゆる零細補助金等で、補助の必要性が少いというもので
廃止されたものもここに八件ございます。
それから国庫補助
負担を伴わない
経費というものは、これは地方におけるいわゆる単独的な
経費でございますが、これにつきましては、一つは国におきましても
物件費の節減をはかるという
基本方針がございまして、各省の
経費につきましてもある
程度の節減がございます。地方におきましてもその
方針に準拠して、減らすべきものは減らす、そこで
旅費、
物件費等につきまして二%
程度の額を節約し、そのかわりにふやすべきものはふやす、そういうことで
人口増とかあるいは戸籍の
改訂に要する
経費とか、その他国庫補助の
廃止による
一般財源の振りかえに伴う増、そういういろいろな
経費を見て、結局差引
増減で二億七千万円の増になっておるわけでございます。
それから第八表は、
一般財源に振りかえられた国庫補助の
経費でございます。これも特に申し上げることはございません。
それから次は
公債費でございまして、
公債費は
総額八百二十八億、前
年度に比して六十億の増になっております。その内訳が元金が四百七十一億、利子が三百五十六億、前
年度は元金が三百九十九億で利子が三百六十七億だったのですが、これからの態勢は、だんだん償還が進んでいくに従いまして、元金の方が多くなり、利子の方が総体的に少くなる、こういう格好で表われます。しかし
総額はまだしばらくふえていきます。そういうのがこの
公債費の姿でございます。八百二十八億でございまして、総体的には六十億の増ですが、御
承知の通り
一般会計の借り入れ額は四百五十億でございますから、借り入れる金額より倍近い数字の借金の返済があるということだけは認められるのでございます。なおこの
計画に掲げるもののほかに、
再建債の償還金というのが百億ほどございます。これは
財政計画では見ないで、
計画上のいろいろ
歳出を節減をしたり、あるいは
計画外の
収入等を
確保することによって赤字を消していく、こういう仕組みになっておりますので、
計画には載せておりません。しかし現実にこの百億の金は、これはもう理屈なしに払わなくてはならぬ金でございますので、ここにそれらのことについて明らかにしておいたわけであります。
それから
維持補修費、百六十一億の増でございまして、その中心は
道路、
橋梁であります。われわれの考えでは、
維持補修費というのは、要するに
現状を維持するために必要な
経費で、人件費——人間に給与を与えると同様に、そういう施設には
最小限度の維持補修
経費を見るのが当りまえで、いわばもう準義務的な
経費と見ていいものだと考えております。従来これが非常に少くて、地方の
道路、
橋梁等がむしろ悪化の一途をたどっていく、こういうようなところをともかくもある
程度維持できる態勢に
計画を直すことにいたしたのであります。これも建設省の専門家の意見から見れば、まだだいぶ足らぬのでございますが、ぜいたくもいえませんので、この
程度でがまんをすることにいたしたわけでございます。
それから次は
投資的経費でございまして、
公共事業費の問題がございます。そのうちでこれは、またあとに十四ページに全部表がございます。それで特に申し上げておきたいのは災害の問題でございまして、
災害復旧事業につきましては、過年災の復旧率は本
計画の実施によって、土木災では二十六年災と二十七年災及び三十年災については残事業のすべてを完了しております。しかし二十八年災と二十九年災については残事業の五〇%
程度、三十一年災については総事業の八五%、三十二年災については総事業の六五%。例の
災害復旧は三、五、二という比率でやるという建前になっておりますが、そのプリンシプルから見るというと、これはまだ相当におくれておるという姿が見られるのであります。われわれといたしましては、かねてからその比率でむしろ残事業を一掃したいという気持を持っておったのでありますが、国の方の関係もあって、こういう形にとどまっておるのでございます。
それから次の十表は特に御
説明申し上げる必要はございません。
公共事業費の各省の重立った
経費の内訳でございまして、一番伸びているのが
道路整備の二十九億、臨時就労の二十億、その他の
経費でございます。災害関係では全体として三十七億減っておるのでございます。そこで差引公共事業全体では三十五億の増、こういうことになっておるわけです。
その次は失業対策事業、この失業対策事業の内訳もここに書いてございまして、前
年度に比して三十八億ふえておりますが、その内訳はこの表に書いてある通りでございます。補助単価の一部も
是正をされております。それから
国庫補助負担金を伴わない
建設事業費、
総額で一千億ほどになっておりますが、これが先ほど申しました水準の
確保と申しますか、向上と申しますかに当るものでございます。その内訳を書いてございます。その数字は先ほど申し上げましたところですから差し控えたいと思います。そのうちこの
災害復旧単災につきましては七億二千万円、その内訳は従来災害
公共事業費に対する比率を一五・五%ということにしておったのを一八%に引き上げたのであります。これは単災に対する扱いが悪いじゃないかという議論がありましたが、本
年度ですが、災害の実態に徴しまして、各省の専門家にも行ってもらって実態を見たところが、実態に合せるようにすると、総体的にはまず一八%
程度だろう、こういう数字が出ましたので、その数字を
基礎にして
是正することにいたしたわけでございます。環境衛生関係の内訳は、下水道六十六億、屎尿処理等十三億、こういう
経費内訳になっております。
その次は
歳入の概要でございまして、これはまた税の方で詳しく御
説明があるかと思いますが、この
地方税収入の
増減事由のおもなるものを
普通税、
目的税に分けて、それぞれ
現行制度による増、
税制改正等による
増減をまとめて書いてございます。さらに各税目の内訳を十三表に、これは
道府県税、
市町村税に分けて書いてございますので、それぞれごらんおきを願いたいと思います。
それから十九ページは
譲与税、これも内訳の通りでございます。
交付税、基地
交付金等につきましても申し上げる必要もないと思います。
それから国庫支出金も特に申し上げる必要はございませんが、これをごらん願いますと、義務教育関係の国庫
負担金が五十八億円、その他の普通補助金が三十一億、公共事業が十三億、失業対策関係が二十二億、こういうことになっておりまして、前
年度からふえました百二十六億のうちの半分は義務教育関係の国庫
負担金であります。その他の半分がこうしたもろもろの
経費だということになっております。
その次は
地方債で、これも今までしばしば申し上げましたことですから特に申し上げる必要がなかろうと思います。
一般会計で七十億を減らし、逆に収益的建設事業で十億をふやし、退職債で二十億減らし、公営
企業債で十億ふえる。差引総体で一千億、その資金の内訳は
政府資金が八百五十億、公募が百五十億、そのうち
一般会計の分は全部
政府資金、こういうことにいたしております。公募は
一般会計にはつけない。これも実質的には一つの改善点でございます。
それから雑
収入は特に申し上げるほどのことはございません。以上でございます。