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1958-02-21 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十一日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    伊東 隆治君       加藤 精三君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    楠美 省吾君       渡海元三郎君    古井 喜實君       松澤 雄藏君    加賀田 進君       北山 愛郎君  出席政府委員         警察庁長官   石井 榮三君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     坂井 時忠君         警  視  監         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   吉浦 浄真君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 二月二十一日  遺失物法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二八号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締法案内閣提出第一二  号)(参議院送付)  警察法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)  遺失物法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二八号)(予)  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四八号)      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 これより会議を開きます。  本日はまず奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。質疑通告順によってこれを許します。伊東隆治君。
  3. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 このたび奄美群島復興特別措置法の一部改正議題に入りまして、先般大臣から提案理由説明がございました。御承知通り本案は、昭和二十九年に奄美群島が復帰をいたしました翌年に、議員立法としてこれが制定せられたものでありますが、これが再び政府提案として提出せられましたことは、私としてまことに喜びとするところであります。と申しますのは、当時から奄美群島住民は、奄美群島が母国に復帰したのは、一地方の一地域が返ってきたということよりは、むしろ日本としてあれだけの地域が南方に伸びたのであるから、新付の領土がここに生まれたのだというくらいの熱意をもって、国が八年間の軍事占領から救って、そしてその復興をはかっていただきたいという熱願があったのでございます。そういう点からして、国が率先この復興措置法については提案いたし、予算のごときも特別の配慮をしていただきたいものだということは、住民こぞっての熱願であったのでございます。もとよりその意思をくんで、当委員会におきまして議員立法としてこれが提案せられ、そしてここに制定せられたのでございますから、住民も非常に感謝いたしておるわけでございますけれども、もう一歩進めて政府が取りきって進んできて、復興に直接力を注いでいただくということを熱願しておったのでございますので、このたび議員立法でできた法律が、政府提案によってその期限が延長せられ、また新しい復興事項も追加せられましたことは、私としては、住民の意向を察しまして、非常に喜びとするところであります。ついては、政府自身は私が申したような気持で、政府提案をおやりになったのかどうかをお伺いいたしたいと存じます。
  4. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 奄美群島復興特別措置法につきましては、ただいま御指摘もございましたように、去る昭和二十九年の第十九国会におきまして議員提案として提案せられ、成立を見たのであります。その後、非常に荒廃をいたしておりました奄美群島復興ということにつきましては、本法律主管省でございます私たち自治庁当局といたしまして、鋭意この法律の円滑なる施行ということを目的といたしまして努力をいたして参ったのであります。計画自体では当初五カ年間ということになっておったのでありますが、その後の情勢にかんがみまして、これを何とか延長していかなければならぬという結論に私たち自身としても到達をして参ったような次第でございます。この間本年度まで四ヵ年度を迎えて、本計画実施にも当ってきたわけであります。政府といたしましても奄美群島復興審議会委員の方々にもたびたび御視察もいただき、また私たのち方の係官も現地に参りましてつぶさに問題を検討して参ったのでありますが、いろいろ実情がわかって参りますにつけて、本問題の重要性ということをおそまきとは思いますが、しみじみと感じ取ることができるような状況になって参ったのであります。政府といたしましても奄美群島復興ということは非常に重要な問題であり、ただ単にこれを局地的なる問題というようなことを越えて、非常に重要な問題であるという見地に立ちまして、昨年来奄美群島復興審議会を中心にいたしましていろいろ検討をされて参ったのであります。その意見具申というものもございまして、この意見に即応いたしまして、政府といたしましてもあらためてここで奄美群島復興計画全体を、もう一ぺん再検討をしてみる時期が来たのではないかということでございまして、本法案の提案をお願い申し上げておる次第でございます。
  5. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 ただいまの御説明政府側意図も大体わかりましたが、御承知通り奄美群島復興のためには、奄美群島復興審議会がありまして、その審議会から内閣に対して復興案答申があった、その復興計画案なるものは御承知通り百五十二億、五カ年計画案であったのであります。なおこの百五十二億計画案内容を簡単に申しますと、百十億が政府負担分、約三十二億が起債融資、すなわち借金でやれ、あとの十億は地元負担ということでございます。ところがこの百五十二億円の五カ年計画を過去四年間に実行してみますと、政府負担分の百十億がわずかに四十二億の支出であり、また融資起債地元負担等をも含めての総事業額は七十億に達しなかったということでございますので、その復興計画がとにかく最初計画通り行かなかったということは、国の財政が十分でない今日、私ども奄美群島の者のみが、多くの国庫負担をお願いすることは無理でもございますけれども、とにかく非常に差があった。これらのことは私ども奄美群島の者は非常に遺憾に思っておる次第でございます。ついては奄美群島のこの復興計画案実施かくのごとくにおくれた理由、またその実施状況等について、簡単に御説明を願いたいと思います。
  6. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 復興計画実施状況でございますが、総事業費はただいまお述べになりましたように約百五十二億、このうち国費が約百十億ということになって発足をしたのであります。ただいままでの実施状況を申し上げてみますと、昭和二十九年度、これは第一年度であったわけですが、事業費といたしまして八億八千九百万円、国庫が七億一千五百万円、三十年度は総事業費が二十一億一千二百万円で、国庫が十一億二千百万円、三十一年度事業費として二十四億七千万円、国庫が十一億二千万円、これに対しまして本年度昭和三十二年度事業費は二十六億三千二百万円、国庫が十二億二千万円、こういうことに相なってきておるのであります。三十二年度につきましては、まだ年度半ばでございますので、見込みを申し上げておるわけでございます。  以上申し上げましたように、二十九年度から始まりまして本年度までの実施額は、合計総事業費といたしまして約八十一億に相なっておりまして、これは復興事業総額に対して約五三%の進捗率に当っておるのであります。この中では、やはり何と申しましても公共事業関係陸海交通整備であるとか、あるいは国土保全関係、さらには産業復興の基盤を育成する問題、次いでは文教施設というものの復興整備をはかりまするとともに、その他の社会保険施設を拡充していく、こういう点に主として重点を置いて事業進捗をはかって参ったような次第でございます。  ところが四年度を過ぎようとしておりまするにもかかわらず、ただいま申し上げましたように、事業進捗率は全体として半分をちょっと越えている程度である。まさしく計画通りに進んでおらない、遅延をしているのではないかというおしかりでございまして、この点は私たちも率直におくれておること自体は認めざるを得ないと思うのであります。言いわけになりますかもしれませんが、実情お話し申し上げますると、当初の復興計画自体は、御承知のように昭和二十九年度を第一年度として、五カ年計画として策定をされたものでございます。ところで奄美群島復興特別措置法が制定せられましたのは同年の六月のしかも末でございまして、さらに本法に基いて復興審議会諮問をいたしました上で計画が決定を見たのは二十九年の十月末であったわけです。初年度年度半ば過ぎてようやく事業が開始されるというようなことに相なっておる、こういうハンディキャップがあったわけでございます。続いてだんだん復興計画は軌道に乗って参ったのでございまするが、しかし国庫支出金の面において四十億ちょっとでございまして、予定通りにはなかなか参っておりません。  こういうことになっておりまするのは、何と申しましても事業実施するに当って奄美群島というものが置かれております地理的条件から申しまして、全国最大台風の頻度のあるところでございます。台風襲地帯でありまするし、また冬は冬で季節風の影響を受けるということが非常に多いわけでありまして、このために何としても工事が支障を来たす。さらには資材面と申しましても、群島で手に入るという資材はごくわずかなものでございまして、いろいろ建設をはかるにいたしましても、仕事をやっていくにしましても、それらの資材あるいは技術というものは、本土から持ってこなければならぬというような点がございます。すなわち地元における事業遂行能力というものが、なかなか思うにまかせない、こういうことがございまするし、さらには本土から遠く離れた遠隔の海上に浮んでおる一連の島嶼でございます。そういうことで、どうしても輸送関係等海上輸送に極力と申しますか、ひとえにたよって参らなければならないというようないろいろな悪条件が重なっておるのであります。また今御指摘がございましたように、国家財政事情等もございまして、五カ年計画予定されておりまする事業進捗率というものとにらみ合せますると、半分をちょっと越えたというような現況になっておりまして、当初の計画通り進捗を見ることができなかったのでありますが、だんだんといろいろな悪条件も日がたつに従い、また復興計画が逐次実施されるに伴いまして、そういう隘路も目に見えて改善のきざしというものが、これは率直に言って認めることができると思います。  さらに今度の改訂計画というものが実施されて参りますと、国家財政の規模、さらにまた地元負担能力の点、事業消化能力、そういったものに無理なく見合うような計画になっていくのではないかということで、私たちといたしましては、今後の本計画実施ということに対して非常に大きな期待を持っておりますとともに、何としても今後の計画遂行ということにつきましては、なるべくと申しまするか、最大限計画通りに進んで参るように万全の努力を一つやって参りたい、かように考えております。
  7. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 ただいまの藤井局長の御答弁で、政府は率直に奄美群島復興計画最初計画通りにはいろいろの事情にはばまれてできなかったことをお認めになりましたことは、今後の復興計画実行する上に、私は非常な大きな推進力となるというふうに思うのでございます。さればこそ、政府は進んでここにみずから政府提案としてこの法律案を出して、五カ年間の期限内でできなかったが、今後はなお五年間延長して、最初計画にあるそれよりは少くとも約三十億もワクを広げて、すなわち百八十二億にワクを広げて復興しようというその意図は、何としてもわれわれ群島民のひとしく認めて感謝するところでありますが、この計画といえども、一応計画は立てままたものの、やはりこれが遂行に当りましては、またいろいろな事情にはばまれて、そうしてまたその通り実行ができないというようなことになりはしないかということを、われわれは憂える次第でございます。ついてはこのたび政府が十カ年計画案に改められた、その改正計画案と申しまするか、この改正された復興計画なるものの大体を御説明願いたい。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 奄美群島復興計画改訂の大要でございますが、この点はまだ正式に政府といたしまして態度を確定をいたしておるのではありません。これは御承知のように本法が御決議に相なりました後におきまして、成規手続、すなわち内閣総理大臣におきまして、鹿児島県知事が出して参りまする計画をもとにして、さらに奄美群島復興審議会というものに諮問を出しまして、正式答申を得て策定をして参る手続が要るわけでありますが、その手続を、本法が幸いにして成立をいたしました暁におきましては、急速に進めて参りたい、かように考えておるわけでございますが、大体私たちといたしまして、当初の計画というものの五年を、これを十年に延ばしたいというふうに考えました理由、並びにその計画の大体の考え方というものについて申し上げてみたいと思うのであります。  この点は、大体昨年末復興審議会において政府に対して意見具申がございました。その意見というものは、大筋はきわめてけっこうでございまして、この意見というものを尊重いたしながら、将来の計画改訂ということの参考にいたしたい、かように考えておるわけでございます。この改訂計画は、今申し上げましたように、当初事業費といたしましては百五十二億でありましたものを、その後の計画実施状況というものと、現実の姿というものをできるだけ精密に調査検討をいたしまして、しかも将来の群島経済のあり方、あるいは民政安定のめどつけ方というようなものも照合いたしまして、具体的な内容確定をいたしたい、かように考えておるのでありますが、当初の計画自体においても、どうもまだ不足をしておるというものもございますので、総体といたしましては事業費総額を百八十二億、当初の計画の約二割方これを引き上げたい、そうして来年度からになりますので、今後六カ年間にこれを完遂する方途をもって仕事を進めて参りたい、かように考えておるのであります。考え方基本につきましては、これは従来の進んで参りました計画というものについて、根本的な改訂を加えるというものではございません。あくまで当初立てられました方向というものは、今われわれが考えましても十分奄美群島実情と合っておる、そうそごはないというふうに考えておるのでありまして、ただその後の実施状況というようなものを十分ににらみ合せまして、現実に合った改訂計画の作成ということに持って参りたいと考えておりまして、抽象的ではございますが、基本方針を申し上げますと、今申し上げましたように、引き続いて非常に立ちおくれておりまする民度というものを引き上げまするために必要な施設整備、戦災並びに災害によって長く荒廃にゆだねられて参りました諸施設の復旧、さらには政行分離の期間が非常に長い、そのために行政の空白というものが非常に多く生じておりますので、これを取り戻すための諸施策を講じて参りたい、特に地元民の自立精神というものを高揚いたしますることも大事でございますので、これと並行して各種産業生産性というものを向上せしめまして、この復興計画というものが打ち切られましても、打ち切られたときに、がたっと参ってしまうというようなことでは困るので、その点必要な基礎条件整備して、一人立ちができる、全国並み施策を講じて参りまするならば一人立ちができるというようなことを目途といたしまして、群島経済自立化の促進をはかりたい、こういう含みをもちまして本計画策定に当って参りたい、かように考えておるような次第でございます。  そこで大まかに事業費内容を申し上げてみますと、陸海交通整備、これについて改訂計画としてわれわれ考えたいと思っておりますのは、約五十二億八千万円、それから国土保全関係公共事業がおもでございますが、これが九億四千四百万円、産業振興、これが七十八億一千万円、文教施設復興整備が二十七億四千万円、保健衛生施設及びその他の社会福祉の充実十三億六千万円、大まかに事業内容を区分けいたしまして、この五つに分けてみたわけでありますが、そういう大項目のもとにおける事業費の割り振り、これによって奄美群島復興目的を達せしめたいという大体の方針で進みたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 ただいまの御説明で、このたびの施設復興計画案なるものの骨子がはっきりしたわけでありますが、ただいまのお話にもございました通り、百五十二億計画案が百八十二億計画案ワクが広がったことは大いにけっこうでございますが、復興事業をやりまして、その復興事業なるものがもうストップした際には一人歩きができない、すなわち港や道路はりっぱになったけれども産業復興が十分でなかったために、依然として島民は苦しい生活をしなければならぬということがありはしないかということが一般懸念されておるわけでございます。今度の改訂計画案の中に、産業復興の点にもだんだん重きが加えられておりますけれども、この点については一そう留意せられて、復興事業がなくなったらがた落ちにならぬように、特別の配慮を願いたいと思う次第でございます。ただいまの御説明にもありました通り、今度の改訂復興計画案なるものは、百八十二億のうち百二十一億が政府負担分でございます。その百二十一億のうち、すでに過去四年間に政府が負担いたしました四十二億を引きますと七十九億となる。すなわち向う六年間に政府が負担する総額は七十九億円と相なるわけであります。従って一年の負担額を見ますと、すなわちそれを六で割ってみますと、十三億三千万円になるのでございます。しかるに三十三年度予算額を見てみますと、十二億五千万円にすぎません。この点から見ましても、さっき私が申しました懸念、すなわちせっかくワクも広げ、政府もみずからお乗り出しになって実行に当られたというその第一年において、もうすでに十三億三千万円年額の予定が十二億五千万円に、約八千万円、一億円にも近い減額があるということは、またまたこの計画向う六年間において実行せられないのではないかという懸念を実証するような気がいたします。かくのごときことでは、せっかく改訂計画案なるものも、また実行不足になるおそれがありますが、この点に関しまして政府はどういうふうに考えておられるか、御所見を伺いたいと思います。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 来年度事業費予算案として、今御審議をいただいておるわけでございますが、この事業費は十二億三千万円ということに相なっておるのであります。御指摘になりましたように、今度の改訂計画案というものを、そのままに実施をして参るということに相なりまする場合におきましては、国庫支出といたしまして毎年平均約十三億三千万円程度支出をして参らなければならぬということになるわけであります。ところが最近の状況を見ていただくと十分おわかりになっていただきますように、国庫支出金ないし事業費というものは、若干ずつではございますが、毎年増高をいたしてきております。取り立てて言うほどの金額ではないかもしれませんが、毎年着実にふえてきておるのであります。また来年度予算額十二億三千万円と申しますけれども、これは政府一般的な経費節減の方策というものがここにも適用を受けておりますので、こういう額になってきておるのでありますが、実質的には十二億九千万円程度ではなかろうかというふうにわれわれも承知をいたしておるのであります。しかしこれにいたしましても、今後六カ年間にわたって本事業を円滑に推進をしていくという点につきましては、若干の不安の念が奄美群島住民諸君の間には、おおい隠せないのではないかと思うのであります。特に今後六カ年の計画を進めていくと申しましても、これが毎年々々平均的に国庫支出が十二、三億程度ということになっていきます場合に、もしそういうことでございますと、今後六カ年度を経まして、その次から全部なくなってしまうというようなことでは、われわれとしても困ると考えておるのでありまして、むしろ初めのところはカーブを高くして、あとは円滑にだんだんと下降線をたどっていって、最後はそんなに大きなギャップがなくて、一般状態に戻っていくというようなことをやるのが理想ではないかと考えておるのであります。そういたしますと、やはり当初に相当の馬力をかけて参りませんとうまくいかないという事情もございます。そういう面から見まして、来年度予算額自体は十分とは言えないものがあるのではないか。これは率直に私もそう考えておるのであります。しかし全体として今後の見通しが明るくついて参った、レールが敷かれたという点は明らかでございまして、その点についてはわれわれもある程度意を強くいたしておる次第でございますが、今まで若干ふえつつある傾向、並びに今後計画改訂めどが大体立つようになってきたという客観的な情勢の変化というものとにらみ合せてみまして、私たち改訂計画実施せられた後においては、十分な財政的な裏ずけということについて努力をいたしまして、決して今度の改訂計画案自体机上プランに終らしめないように努力をして参りたい、かように考えております。
  11. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 ただいまの答弁でございますが、実際この案の問題につきましては、大蔵当局出席を待って、もっと掘り下げて私は申し上げたいのでございますので、委員長にお願いいたしますことは、次会においては大蔵当局の御出席、いやできるなら大蔵大臣の御出席をぜひお願いいたしたいと思います。ただ、ただいまのお話の中にございましたことで、私もここに強調いたしたいことは、六年計画の中で大体の総額をきめて、今度大蔵当局との間に話が大体つきましたことは、私はこれは自治庁の大きな成功だと思う。だが、私どもはその意味自治庁成功を非常に喜んでおりましたにかかわらず、第一年度においてすでにかくのごとき、いわばどじを踏んだような格好になっておりますことは遺憾でございますから、最初の御計画通り大蔵当局との話し合いを実行に移すように、ぜひこれは努力していただきたい。また、お話の中にもありました通り、六年計画のうち初めの三年、四年くらいまでは漸次むしろ額を上げて、どか落ちにならぬように最後の二年をだんだん額を少くして、そうして打ち切るなら打ち切るというふうにしなければ、復興事業のやり方としては円滑に行かぬのではないかという御意見はまことにその通りでございまして、その意味から申しましても、初年度予算の増額については、一つ大蔵当局の御出席を待って私は強く要望いたしたい、かように存ずる次第でございます。  次にお尋ねいたしたいことは、これも大蔵当局なしでは十分でございませんので、なお大蔵当局出席を待って質問いたしたいことを留保いたしたいのでございますが、かくのごとく、とにかく過去四年間、大島の復興事業計画の一部を実行して、なるほど港も、名瀬港のごときは見違えるようになりました。それから古仁屋港には船の横づけができます。亀津港の船の横づけも近いことでございます。かくして各島における港湾の設備もだんだん整っては参りました。また道路のごときも徳之島一周道路も完成いたしましたし、各島の道路改善を見つつあります。かくのごとき公共事業改善は、むしろ著しく進んでおるといってもよろしいと思います。しかしながら島民のふところはちっともあたたかくならない。むしろ琉球政府下にあった当時の方が、いろいろの点においてやりよかったというのは島民ひとしく申しておるところであります。でございますので、この復興事業の進め方についても漸次、さっき申した産業復興に重点を移していかなければいけないだろうということはだれ人も考えておるのでございますが、その中でもとにかくまず困っておるのは農民のふところでございます。徳之島は人口五万余の第二の島でございますが、黒糖の本場でございます。しかし島民のふところが非常に貧しいので、青葉のうちに、サトウキビの時代にこれを売り飛ばしてしまって、せっかくこれを加工して黒糖に製造したときには、それら金融業者の手によって利益の大半は奪われてしまっておる。農民は依然として青葉売りの苦境から救われていない。すでに復興第五年目を迎えておりまする今日、そういう悲境にあるのでございます。それで私ども自治庁とも協力し、特に自治庁は率先して産業開発の特別基金を置かなければならぬということに意をいたされて、大蔵当局と話されておることは、われわれ非常に時宜を得た案であると思って、私も政治的にこれを推進をいたしておるのでございますが、どうも今のところ見通しが暗い。それでこの点につきましては、一そう自治庁は腰を据えてこの機会にやらなければ、港や道はだんだんよくなっても、島民のふところは占領下の時代よりは苦しくて、青葉売りは依然として続いておるというこの窮状を救えないと存じますので、いずれ大蔵当局が参りましたときには、この点についてもっと詳しく自治庁の考えも私承わりたいと思いますが、さしあたり藤井局長の御所見を伺いたいと思います。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 奄美の復興計画推進に伴いまして、奄美の群民所得というものも、年々相当に目立った向上を示して参っておりますことは、この所得等を算定いたすことによりましても、明らかでございまして、私たちこの点非常に明るい見通しを持っておるのであります。しかしながら全体的な水準自体が非常に低いのであります。全国的な水準等を見ました場合には、これは上ったと申しましても、それ自体がきわめて低いということは御摘指の通りであります。今御指摘になりました、何らか政府の資金をもって特別に金融機関を設置をして、一般の金融機関の金融べ—スに乗らないような農林水産等の零細事業者に対して融資をなすことを目的とするものを、一つ考えてみたらどうかということで、私たち事務当局といたしましても、ある程度研究を進めて、その実現には努力いたしたいと考えておるのであります。私たち微力でありますために、来年度におきましてはどうもその見通しがつかないままになっておりますが、しかしこの点はあきらめたわけではございません。ぜひとも近い将来においては、この実現を期したいということで、努力をいたしていきたいと思っております。復興事業が相当進捗をいたしました現段階におきましても、群島経済の実態というものは、今御指摘になりましたように非常に脆弱でございまして、特に金融措置というものについては、きわめて劣弱でございます。もちろん中央機関でございます商工中央金庫でありますとか、あるいは農林漁業金融公庫等の金融機関においても、政府資金の流れについて配慮はいたしておりますけれども、どうも十分に末端までには流れていかないうらみもあるのであります。特に奄美群島の場合、農業の協同組合化ということが非常におくれております。その組織率もきわめて低位でございますし、またせっかく協同組合が組織されておりますところでも、その財政基盤がきわめて悪くなっておりまして、十分の活動をいたしておるものはほとんどないといったような状態で、その結果、農民各位においても、その資金を利用することが事実上困難な状況であるわけであります。群島経済自立化を促進をして、農民の経済的基盤を強固にいたしますためには、復興事業実施とあわせまして、どうしても今申しました資金の融通機関の必要性があるのではないかというふうに考えまして、私たちといたしましても、今後ともその実現についてさらに具体的に研究をいたしますとともに、その実現の緒につきますように、さらに努力をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。
  13. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 島民の経済状態をよくするために、産業特別基金というものを設置いたしたいという自治庁計画は、私どもこれは全力をもって推進したいと考えておるものでありまして、少くとも五億円程度の基金が特別にありませんと、現在の農民の危急は救われないのでございます。なるほど農林漁業金融公庫または中小企業金融公庫その他、公庫がたくさんありますけれども、非常に条件がきつい、すなわちワクがきついので、島民の経済状態の現状においては、これらの金融公庫を利用することは至難でございます。なおまたこれらの金融公庫の中で、資金のイャー・マーク、すなわち特別ワクをしてもらったらどうだろうかという案もございますけれども、それでも島民には窓はきつく閉められて、その実行はなかなか困難でございますので、どうしてもこの復興期間だけでも、この特別基金の制度を設けなければ農民のふところはいつまでも貧しく、青葉売りは解消しないと信じますので、これは次会大蔵当局出席を待って、もっと掘り下げてお願い、またその所見をただしたいと思う次第であります。  次に港湾の問題でございますが、奄美大島の復興と申しますのは、やはり何といいましても港湾が事業の中心になるわけであります。すなわち群島本土との連結、また島々の間を結ぶ点におきましても、港が第一であることは申すまでもありません。その港湾の建設でございますが、名瀬港だけは、幸いに国営と申しますか、運輸省がこれの着工に当りましたので、非常によく進捗いたしておることは御承知通りでございます。しかるに名瀬港以外の各港の築港状況は、実に寒心の至りでございまして、あの台風襲地帯、いな、むしろ台風が上陸して吹きすさぶ島々におきます状況におきましては、まるでさいの川原の石垣みたいなものでございまして、せっかく港の回復にかかりますと、台風が来てこれをこわし、また作ればまたこわす。この実情は、特に徳之島、沖之永良部の和泊港において幾たびか繰り返しておる状況でありまして、すなわち県当局が地元の建築請負業者に委任して着工いたしますと、何分にも技術においても経験においても、あの困難な地帯の着工にはなかなか力が及ばない。そのために島民もいささか、最近に至っては着工問題については非難し始め、これは幾たびやりかえても、まだ台風が来れば突堤をこわし、またせっかく作った港のいろいろな施設も洗い流されてしまう。これはやはり名瀬港の実情にかんがみましても、国の技術と経験を持ってこなければいけないじゃないか、特に徳之島や沖之長良部のように比較的大きな島、いな、進んでは喜界島、与論島に至りましても、港の改築、特にあの台風襲地帯における港の築港に当っては、どうしても国の技術と経験を持ってこなければいかぬじゃないかということを痛切に感ずるのであります。私はこの機会に、政府はこの点に関してどういうふうに考えておられるか、また現在着工中の港湾工事の進捗状況について、政府の見ておられる点を承わりたいと思う次第であります。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 最初に港湾の修築状況について簡単に申し上げておきたいと思いますが、奄美群島本土とも遠く離れておるわけでございますので、各島間の交通これすべて船舶によらざるを得ない実情であることは申すまでもございません。従って港湾の整備ということに関しましては、まず本土との交通の門戸として、今お話のありました名瀬港を重要港湾として整備をいたすことといたしまして、各島には相互に連絡可能なように港湾を整備をしていきたい。その場合に全国最大台風の頻度があり、また冬季には季節風の影響等もあるわけでございますので、すぐには参らないかもしれませんが、各島の実情に応じましておおむね主港、副港——主たる港と副たる港と、場合によっては主港を使うけれども、使えない場合には副港が利用ができるというような観点に立ちまして、主港、副港を保有する形式にしていくということがいいことじゃないか、こういう一般的な考え方をいたしておるわけであります。これらの主要な港湾といたしましては、今出ております名瀬のほかに亀徳、和泊、湾、茶花、平土野、これらの六港がございまして、六港を整備をして参る考えでございまするし、また瀬戸内町の島嶼部等におきましては、これは海上交通の必要性が特に入り込んでおります関係もございます。この点から見まして瀬武等七港を整備をすることにいたしておるのであります。その中でおもなものについて工事の進捗状況を申し上げますると、名瀬港は、これは二十九年度から着工いたしまして今まで五三%、それから亀徳は三十年着工でこれもやはり五三%、湾は三十年着工でこれは五分の一、二〇%であります。和泊は三十年度着工で四二%、こういう進捗状況になっておりまするが、なかんずく名瀬港につきましては、これは運輸省の直轄工事でやっておりまして、現在すでに一千トン級の船舶が接岸できる状況にまで整備をされておるような次第でございます。  なお第二として、今御指摘になりましたような港湾の修築工事等が地元の業者に請負わされておるということのために、きわめて進行の状況がおそい、これは一つどうにかならぬかという点でございますが、その点はなるほどもっともの点も少くはないのでございます。地理的条件、気象的条件等、非常に悪条件が重なっておりますことでもありまして、作業の可能日数というものはきわめて少いというようなこともございまして、なかなか思うようにはまかせませんが、そういう悪条件というものをできるだけ一つ除去することによって、工事の進捗をはかって参りたいと考えておるのでございます。もちろん請負業者の能力が問題があるというような点もございますけれども、この点につきましては一気に全部を直轄工事に切りかえていくかどうかについては、なお問題がございます。やはり地元一般産業地元業者の振興というものもかたがたはかっていかなければならぬという要請もございますので、全部を全部というわけには参りません。しかし大規模な、しかも早急に実施を要するようなこういう重要な港等の工事につきましては、運輸省の直轄工事ということも十分考えていい措置ではないかと考えられるわけでありまして、私たちといたしましても、この点につきまして目下関係省とも協議をいたしております。法律的にはその道も広げられる可能性というものが十分あるような見通しを持ちつつあるわけでありまして、今後これらの方向に向って一つ善処をして参りたいと考えておる次第であります。
  15. 伊東隆治

    伊東(隆)委員 時間もございませんので、簡単に一、二なお港湾のことについてお尋ねいたしたいのであります。ただいまの藤井局長お話で、非常にこの港湾の問題については明るい見通しを持つことができましたことは、まことに喜ばしいことでございます。御存じの通り、重要港湾に指定されなければ国が出てきて築港ができない、すなわち運輸省が直轄できないことになるのでありますが、委託港という形式で、すなわち地方団体から国にこれを委託すれば、九州地方においては下関ですかにある港湾建設局が直接築港に当って、大牟田にある強力なる機械を動員して名瀬港をあんなにりっぱに築港ができたように、徳之島における亀徳港、その他永良部におきます和泊港、進んでは湾、及び茶花の諸港についてもできるという法律上の私は立場もあると存じるのであります。特に今度計画の中に載りました事項の中で最も大きな沖永良部の知名港の開さく、これは港のないところに新しい港を二億数千万円を投じて新しく開さくしようというような、かくのごとき大事業でございますから、かくのごとき事業は土地の業者などでは台風襲地帯において機械が吹き流されるとかいろいろの懸念もあって、着工をためらう点もあります。またやりましても、技術、経験等において至らぬ点があると思いますので、ぜひこれらの港につきましては、法律上いろいろの手続もとりまして、一つ運輸省が直轄でこれを建設するようにお願いいたしたいと思います。  なおこれらの諸点につきましては、次会にお尋ねすることにいたしまして、以上の点を特に強くきょうは要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  16. 中井徳次郎

    ○中井委員長代理 次に警察法等の一部を改正する法律案銃砲刀剣類等所持取締法案及び遺失物法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたします。  前会に引き続き質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。川村継義君。
  17. 川村継義

    ○川村(継)委員 時間もだいぶたっておるようでありますから、簡単にお尋ねいたしますから、明快に一つお答えおき願いたいと思います。  きょうは道路交通取締法の改正問題について二、三点お伺いいたしますから、当局の明瞭なる御所見を一つお聞きしたいと思います。  まず第一に提案されております道路交通取締法の改正、つまり二十六条の四を設けるという問題と道路交通取締法の第十条との関係でございます。第十条はいろいろ車の最高速度を規定いたしておるのでありますが、その車の最高速度は命令でこれを定める、こういうことになって十条に数項目きめております。なお施行令の十五条でこの最高速度を明示いたしておるのでありますが、この取締法の十条及び施行令の十五条、こういうような関係を考えて当局が交涌上の取締りを実施して参りますならば、あえて今回の二十六条四の設定を考えなくてもやれるのじゃないか、こういうような見解を持つわけです。もちろん各県の公安委員会はこの法及び施行令に基いてそれぞれの立場で車の最高速度等をきめて取締りに当っておるとは思いますけれども、国家公安委員会の方で各県の公安委員会に対して協議するとかいうような手段を尽せば二十六条四の改正というような問題は解決していくのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。第十条及び施行令と今度の改正の二十六条の四、こういうものについての関係及びその見解はどのようにお考えでございますか、まずお伺いいたしたいと思います。
  18. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 お尋ねの点でございますが、道路交通取締法の十条の一項に「諸車の最高速度は、命令でこれを定める。」ということで、政令で最高速度をきめておるわけでございます。ただこれはあくまでも車についての最高速度でございまして、その車が実地に道路を走る場合におきましては、各府県の実情によりましてその最高速度の範囲内で、さらに公安委員会がその道路道路につきまして速度をきめておるわけでございます。それがきのうの委員会でもお答えいたしたのでありますが、各府県で非常にまちまちになっておる。そこでそのでこぼこをできるだけ各府県の話し合いによってうまくやるようにしてはおるのでありますが、それがどうしてもできない場合にいかんともしがたい現状にかんがみまして、今回の道交法の一部改正をお願いしたい、こういうことでございます。
  19. 川村継義

    ○川村(継)委員 お尋ねしていることについて大へんばくとしたお答えのようでございますが、私には先ほど申し上げましたような疑問と申しますかそういったような見解が生まれてくるわけです。それを今回二十六条四の設定によって取締りの強化をはかっていこうというようなお考えでありますから、私は二十六条四の提案をなされるについては、もっともっと深いお考えがあるのじゃないかと思っておるわけです。二十六条四の条文が示しておるようなことだけでは、先ほど申し上げましたように十条の規定があるし、施行令の規定があるし、しかも今度同じ警察法の一部改正で移動警察の一項を改正する提案もなされておる。その中にはいろいろ移動警察の権限等について皆さんの方で協議してやっていけるように改正されるわけです。道路交通取締りについても、国家公安委員会あるいは各県公安委員会の方で協議してやっていけば、二十六条の四であなたたちが考えているようなことはやれるのじゃないか、僕はこういうような見解に立っておるわけです。そうでないとなると、この二十六条四の提案というものは、あなたの方で何かほかにもっと非常に強い必要性があって提案されておるのじゃないか、こう思わざるを得ませんからお尋ねしたわけです。そのところをもう少し具体的にお示し願いたい。はっきりと御所見を披瀝してもらいたい、こう思うわけです。  時間もありませんから、私の方でお尋ねすることをもう少し追加いたしますと、二十六条四には「国家公安委員会は、政令で定めるところにより、」というような言葉を使っておる。そうして最後の方には「諸車の最高速度の制限その他政令で指定する事項に係るものの処理について指示する」こういうような条文になっております。そこで先ほどお尋ねいたしましたような問題と、この法文が示しておるところの内容からいたしまして、政令というのは現在ある政令をそのまま考えておるのか、新しく政令条項を規定しようと考えておるのか、新しく政令条項を規定しようと考えておるならば、具体的にどういうものを考えておるのか、それがお聞きする一つのものであります。  なおおしまいの方に「政令で指定する事項に係るものの処理について指示する」というんだが、その「処理について」ということは、一体具体的にいえばどういうことか、こういうことがお聞きしたいものの第三点になるわけです。  そういうものをあわせて御答弁願いたい。そうすると、私がお尋ねしたいという二十六条四のこの提案については、皆さん方の方でもっともっとこれを設けなければならぬという必要は大きな問題が考えられておるのじゃないか、こう思うわけです。
  20. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 私の説明が足りなかった点があるかと思うのでございますが、十条できめて参りますのは諸車の最高速度であるということでありまして、車についての最高速度でございます。従いまして、こういうように道路等が整備して参りますと、車そのものについては相当高い速度をこの命命ではきめる方が、むしろ時代の進展に沿うのではなかろうかというふうに考えられるわけであります。しかしながら道路の状態は非常にまちまちでありまして、非常によいところもあれば非常に悪いところもある。またカーブのところも直線のところもあるというふうに、各土地の実情によりまして相当違っておるわけでございます。従いまして具体的な道路についての最高速度は、その土地を管轄しておる各公安委員会がきめるという趣旨が十条の趣旨でございます。そこで十条の趣旨によりまして各道路について最高速度を府県の公安委員会がきめるわけでございますが、それが府県の境等に例をとりますと、きわめてはっきりわかりますように違っておる。その違いも非常な違いになっておるということで、そこを通る車にとっては不便であるという不合理が生まれてきておるわけであります。そこでそれを今回国家公安委員会が指示して訂正し得るような権限を持ちたいというのが、今度の改正の要点でございます。従いましてこの道交法の一部改正でいう政令というのは、新しく今度考えておる政令でございます。今まである政令ではございません。それでは今後新しくどういう内容の政令を考えておるかということでございますが、第一に道路の区域を特定いたさなければならないわけであります。たとえば高速自動車国道、あるいは一級国道、あるいは二級国道につきまして、具体的にどこの道路だとか、またその道路の始まりの点と終りの点を特定しなければなりません。そういうことを指定したいということが政令の内容の一つになるかと思います。それからそのほかに、いろいろ交通規制の指示基準というようなものも、この政令できめて参りたいと思うのであります。  お尋ねの第三点でありまする、それじゃ具体的に国家公安委員会はどういう場合に指示をするのだということでございますが、その点はたとえて申しますと、一番早いかと思いますが、道路の通行の禁止または制限に関するような事項、それから自動車または原動機付自転車の最高速度の制限に関する事項、これが先ほど申しました滋賀から京都に入る最高のスピードが非常に違っておる、それをある点指示によって規制しよう、こういうことでございます。それから車馬の並進または転回についての制限に関する事項、それから停車または駐車を禁止する場所の指定に関する事項、あるいは追い越し禁止の場所の指定というようなものを考えていきたい。ただ前にも申し上げましたように、これらの事柄はできるだけ府県当局の話し合いによりまして話を進めたいと思うのでありますが、どうしても各府県の話がまとまらない場合に、初めて国家公安委員会がその間を取り持ちまして指示をやっていく、こういうことになっておるわけであります。従いまして今度の道路交通取締法の一部改正は、お尋ねのように非常に広い権限をこの改正によって得たいというようなことではないのでございます。
  21. 川村継義

    ○川村(継)委員 今の点については別の意見もあるのですが、またあとでお聞きいたします。  その次に聞いておきたいと思いますことは、警察当局が、特に交通取締りの第一線にいて活躍して下さる警官の諸君の労苦に対して、われわれは心から敬意を表しております。特に昨日いろいろ交通取締りの状況を視察させてもらったのでありますが、われわれが従来知っている以上のいろいろな問題を知ることができまして、非常な勉強になったと思っております。ところがこういう道路交通取締りのことを考えて参りますと、あなた方はこういうような提案をなさるということより以上に、もっともっと交通取締法の改正について考えていただく問題が非常に多いのじゃないか、こういうことをつくづく考えたわけです。きのうも警視庁でいろいろお話が出ておったようでありますが、今日のものすごい交通事故というものは、これは警視庁からも警察庁のあなたたちの方からもたくさんの資料をいただいて、その資料を見て実は驚いております。これくらい多くの交通事故を起しておりますから、これをなくすというのがやはり警察の大きな使命でなければなりませんし、こういうような交通事故を少くしていくということについては全国民が全力をあげなければならぬ、こういうような感じを持つわけです。それを足元の東京都内あたりの問題を考えてみると、きのうもお話が出ておったと思いますけれども、広告物の問題であるとか、あるいは路面電車の問題であるとか、あるいはいろいろの道路上の施設の問題であるとか、あるいは道路工事の問題であるとか、こういうような問題を考えていかなければ、ここに提案されているような、こういうようなことを考えられただけでは、この交通事故などというものは防ぎ得ないのではないか、こういうことを強く感じたわけです。きのうでございますかきょうでございますか、朝日新聞にも「神風タクシー」というような見出しで実例をあげて書いておりますけれども、交通取締りをりっぱにして交通事故を防いでいくためには、あのタクシー業のあり方を考えなければならぬ、それには陸運局の問題も検討しなければならぬし、労働基準法の問題も考えていかなければならぬ、そういう総合的なものが全部現われて参りましてこういう交通事故防止の成果が上るのじゃないかということを考えるわけです。それはそれといたしまして、ここに提案されているような問題で、交通事故などというものは決して防げない。たとえばある県とある県の間で最高速度が非常に違っておりますから、これはある点、均一、調整したからといって今日のような恐るべき状態はなかなかそう簡単になくなるものではなくして、むしろ先ほどから申し上げておりますような問題点を、具体的な問題として取り上げていって初めてこういう事故が防げるのじゃないかという感じを非常に深くしたわけです。  そこで、たくさんありますけれども、具体的に一つ、二つお尋ねしますと、あの第一線に活躍しております白バイに乗って働いている人たちの勤務状況は、一体どういうふうになっているかということ、一日に八時間勤務でありますならば、一時間白バイに乗って交通の取締りに当る、一時間はおりて休息するとか、あるいは事務の整理をするとか、そういうような形になっているのか、あるいはどういう状態のときに二時間なら二時間連続して白バイに乗るのか、こういうような勤務条件をまず一つお聞かせ願いたい。
  22. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 きのう視察をいただきまして非常に御理解もいただいたかと思うのでありますが、現在の交通の問題は非常に大きな問題でございまして、われわれ警察当局のみの力をもってしてはいかんともいたしがたいことは御承知通りであります。内閣に交通事故防止対策本部というものが設けられまして、関係各省集まりまして総合的な対策を樹立いたしておるのでありますが、これが多少事故防止の面に実効を上げることに役立っていると思うのであります。警察といたしましてもその一環といたしまして、いろいろ解決に努力いたしておるのでありますが、御指摘になりました道路交通取締法の改正も大事な問題であると思います。今回の改正によりましてはとてもきのうごらんいただきましたいろいろの問題が解決できることにならぬのは当然なことでありまして、われわれとしましては、近い将来に全面的な道路交通の規制、取締りにつきましての措置を講じて参りたいと思っております。ただ現在警察庁としまして交通関係の職員もきわめて少いのでありまして、ざっくばらんに申しますと、警察庁で交通関係をやっている者は五名の定員にしかすぎないわけでございます。従来われわれが怠慢であったということは率直に認めなきゃならぬところであると思うのでありますが、今回御審議をいただいておりまする保安局の考え方、交通課の考え方によりまして、この点を改善努力して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  白バイの勤務員についてのお尋ねでございますが、これは各府県相当事情が違っております。この勤務制度も非常に違っておるのでございまして、一がいに申し上げることはできないのでありますが、きのうごらんをいただきました警視庁の例をとってみますと、三交代で時間差をつけて勤務をしております。勤務時間は通常の勤務時間と同じようになっておるのでございますが、なおこまかいことにつきましてもしお尋ねがありますれば、説明員からお答えいたしたいと思います。
  23. 川村継義

    ○川村(継)委員 白バイの警官の人たちの勤務でございますが、あれは詳しくまだ存じませんが、きのうちょっと聞いたところでは、私先ほど申し上げましたように、大体車に乗って勤務している時間が、五時間ほどあるというような話も聞いたのであります。あの警官に五時間も車に乗せて交通取締りの勤務をさせるということは、少し酷じゃないか、私はそういう感じを受けたのです。これはやはり警視庁としても、あるいはその元でありますあなた方としても、十分考えてもらわなければ、あの人たち自体の疲労度、あるいは勤務の成績の非能率という状態が出て来はせぬか。これももういろいろこまかく申し上げなくても、あの緊張した状況で白バイに乗って、あの繁雑な交通状況の中で、かりに一時間ずつ休むとしても、車からおりるにいたしましても、一日に五時間乗車勤務ということは、大へんなことじゃないか、こういうことを考えたのです。こういう点についてはあなた方の方で十分考えてもらうことによって、また交通の事故を防いで行くという成績が上るんじゃないかということを思うわけです。警視庁の方には予備隊がたくさんおりますが、現在の予備隊は一体何人おって、日ごろどういうことをやっておるかということなどを一つお尋ねもいたしますが、そういうような予備隊等の人員を配置転換することによって、この白バイの勤務をするような交通関係の警官をたくさん増員し得るのではないか、こういうようなことを考えたのです。私としては皆さん方の方にその白バイの勤務をしておる人たちを増員するとか、あるいはその勤務条件を緩和してやるとか、そういうことによって交通取締りの能率を上げてもらう、あるいはそういう事故の発生を防いでもらう、こういうことにしていただくのが一つの有効な手段じゃないか、こう思ってお尋ねしているわけなんですが、一つ御見解を聞かせていただきたいと思います。
  24. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 五時間ずっと続けて勤務しておるのではありませんので、一時間勤務したら休憩をする、それからまた勤務するというふうになっておるところが多いと思います。ただ御指摘のように、非常に神経を使う肉体労働でございますので、この関係の警察官で病気になる者も非常に多いように思います。そこで各府県ともこの対策に苦労しておるのでありますが、何と申しましても自動車の数がふえるということで、白バイをどんどんふやさなければならぬ状況になっておるわけであります。従いまして、われわれとしましては、白バイというあの機械をたくさん予算でいただくということが一つの方法であり、またその乗務員をなるべくほかの勤務場所を節約して、こちらの方に回すということが必要になってくるわけでございます。現在非常に勤務が過重になっておりますのも、一つには人が足りないこと、一つには白バイという機械そのものが少い。しかもそれを非常にフルに活用しなければ交通の取締りが円満に行かないということによって、過重になっておると思うのでありまして、車及び人をできるだけふやしていきたいというふうに考えておるわけであります。来年度予算におきましても、この白バイの強化につきましてはある程度お願いをいたしておるのでありますが、人員の点につきましては、今回はそれができていないことは残念でございますが、できるだけほかの面を節約いたしまして、この方に回したい。ただ将来を考えますならば、やはり交通勤務員はある程度ふやしていかなければ追っつかぬのではないかというような心配を私どもはいたしておる次第でございます。  警視庁の予備隊もある程度白バイ等に回さなければならぬ時期に来ていると思うのでありますが、今回またパトロール・カーも大量にふやす予定でありますので、その乗務員等も結局は機動隊員あたりを回さざるを得ぬというふうに現在は考えているわけであります。現在警視庁に機動隊員が千八百名いるそうでありますが、東京都の実際の治安の状況にかんがみまして、機動的な警察力を確保しておく必要もあることは御承知通りでありますして、これをパトカーあるいは白バイに回すといいましても限度があるのではなかろうかというふうに考えております。
  25. 川村継義

    ○川村(継)委員 またそれらについて後日お尋ねすることがあると思いますが、もう一つ、きのう車に乗ってずっと見ていきまして、われわれしろうととしても非常に強く感じたのは、道路の両側にいろいろ交通規制の札が立っている。速度の制限であるとかあるいは駐車禁止の区域であるとか……。ところが、私たちには——特にしろうとの関係もありましょうが、なかなかそれが目につかない。こういう状態では、運転手も一々これを読み分けでその規制に従って交通の規則を守るのは、大へんじゃないかと思ったのです。ということは、第一はどこにあるのかはっきりしない。どうも区別がはっきりしない点がある。あたりには広告が一ぱいあって、いろいろの色の雑多なやつがあって、交通規制のいろいろの標識がよくわからない。私は今日の交通事故をなくする一つの手段としては、この問題も何らかの方法で十分研究される必要があると思った。特に夜ともなれば、いろいろネオンなどが出て参りまして、そういう問題がもっと倍加するのではないかと考えたわけですが、交通事故を少くする、これを防いで行くについては、そういう問題が私は非常に重要だと考えたわけですが、そういう点についてどういう御見解を持っておられるか。  もう一つは、運転手あたりに対してそのような、たとえば午後の何時から何時まではあの道路は駐車禁止になるとか、あるいはいろいろ規制のそれが変ると思うのですが、そういうのをどうして伝達されているのか、周知徹底されているのか。あの標識一本によって連絡する、あるいはそれを知らせるという方法になっているのか。これは私は交通事故を考える上においては大問題だと思った。特にきのう自動車の試験場に参りますと、一日に数千名の諸君が運転手の免許証を取りに来て、次から次に新しい運転手が生れてくる、こういう人たち状況などを考えると、交通規制についてのいろいろの方法を周知徹底させることは大へんなことであるし、またそれをやらなければ交通事故はなくならぬじゃないか、こういうことを考えたのですが、私はこういう点が交通取締り上の大きな問題じゃないかと思ったわけですが、それについての御見解を一つ聞かせておいていただきたい。
  26. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 御指摘の点まことにごもっともな点が多いので恐縮いたしておるのでございますが、道路標識等につきまして、われわれとしましては、一応形や色で見分けられるように配慮はいたしておるわけであります。一々そこに書いてある文字等を読まなくとも形や色で見分けられる、また設置の場所も大体こういうところに設置するのだというふうにきめておるわけでありまして、営業目的のタクシーの運転手あたりは大体それでわかると思うのであります。しかしながらしろうとの運転手、すなわち自家用の運転手の人たちはなかなか現在の状況ではわかりにくいということはお説の通りだと思います。これは先ほども申しましたように、警察だけの問題ではなくて、いろいろの広告物の点等も考えまして解決しなければならない大きな問題であると思うのでありますが、今後ともこれを解決するにつきまして遺憾のないような措置をとっていきたいと思っております。ざっくばらんにいいまして、もうわれわれの方は交通警察につきましては追われた形になっておりまして、そういう意味で従来の実績があまり上っていないということは率直に認めざるを得ないかと思うのでありますが、今後十分努力をして参りたいと考えております。
  27. 川村継義

    ○川村(継)委員 今の標識の問題にいたしまして、私は交通取締りの上から非常に重要な問題じゃないかと思うわけですが、私は交通取締りの諸問題があると思われる中で、今標識の問題、それから白バイに乗って勤務しております警官の勤務条件の問題、この二つを今ここに例示して見解をお聞きしたのですが、これはやはりもう早急に解決してもらわなきゃならぬとともに大きな問題である、こういうふうに思っておるわけであります。  そこで時間もありませんのでいろいろお聞きすることは後日に譲りますが、当初お聞きしましたように、今度の道路交通取締法の二十六条四の改正ということは、これによってもちろん交通取締りがよくなるということは考えていない、まあこれはこれの必要によって出したのだというような御見解でありましたが、先ほどお尋ねいたしましたように、政令の内容、あるいは政令に従って指示するところの内容事項ということなどは、私は自分の見解を固執するようでありますけれども、何も必ずしもこういう二十六条四を新しくお作りにならなくとも、皆さん方の方で各都道府県の公安委員会等と連絡をとられて協議していかれればやれるものだ、私はこういうふうに考える。そこでどうもこの二十六条四の提案については、別に皆さん方が考えておられる問題点があるんじゃないかということをお聞きしたわけですが、そういうことはないというお話であります。そこで各県の公安委員会でいろいろ速度制限について非常に違っておるから、ある点これを均一化する必要がある、こういうことでありますが、必ずしもなぜそうしなければならないかという、この根拠についてどうも私は納得がいかない。各県の公安委員会は自分の所轄するいわゆる道路あるいは路面であるとか、あるいはその直線であるかカーブであるか、いろいろの状況によりまして、ちゃんと法文に従って最高速度の規制をいたしておると思います。そういうようなものの中において、皆さん方の方で、あえてここからここは、こういうふうに一緒になせということをおっしゃらなくてもいいのではないか。たとえばある県からある県を五十のスピードで走ってきた。ところが次の県に入ったら四十のスピードになっておる。その四十のスピードというのは、その県の公安委員会でそれが適当だという、いわゆる自主的な判断に基いておそらく規制されておりましょうから、五十が四十に落ちてもそれでいいのじゃないか。それを無理して両方ともひっくるめて四十五にしろとか、あるいは隣りの県の五十に合せろとか、あるいは別の隣りの県の四十に合せろ、そういうことをなさる必要はないのじゃないか。私はむしろそういうような違いがあることこそが、土地のその道路情勢に応じて作られた制限でありますから、そのまま認めていかれることが、私は交通の取締りの上から考えても有効じゃないか、こういうような考え方が出てくるわけです。何も皆さんの方で無理して規制をする、斉一化するというようなねらいを立てられなくてもやっていけるのではないか。また一面に、私前にも長官にお尋ねいたしましたように、公安委員会の今日の状態は、大へん変なたとえでありますけれども、私たちは、りっぱな肉体を持った公安委員会でないと思っております。いわば現在の地方の公安委員会というものは、からだ組みはできておりますけれども、骨ばかりになっておる。その公安委員会を皆さんの方でこんなに縛ってかかりますと、その骨がくずれてしまって白骨になってしまうのです。これは言い過ぎかもしれませんけれども、自治体警察、民主警察の基本をなしております公安委員会というものを皆さん方が大事になさるならば、こんなことで一々皆さん方の方から命令をしたり指示をしたりしてやっていかれる必要はないじゃないか、そういうことを考えて先ほど一番にお尋ねいたしましたように、二十六条四を設定されるについては、ただここに書いてありますような趣意書あるいは法文、それだけではないのじゃないか、またそういうことはこの法文をお作りにならなくてもやれるのじゃないか、こういうことを考えてお尋ねしておるのです。それについての長官及び官房長の御所見を一つ再度お聞きしたいと思います。
  28. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 道路交通取締法の一部改正につきまして、提案理由説明、あるいはここで私ども説明する以上の何か考えがあるのではないかという御質問でありますが、何ら他意はございません。提案理由で述べてあること及び私たちがここで説明しておる通り、現在の実情をいかんともいたしがたい点につきまして、ある点規制をしようという意図でございます。各府県の実情があるのだから、各府県の公安委員会にまかせたらいいじゃないかというお話でございます。道路交通取締法は、まさにそのようになっておるのでございますが、どうしても各府県で話し合いがつかない、あるいは府県を離れて考えてみた場合に、それが不合理である。その不合理も、話してもなかなか直してくれないというときに、初めてこの指示をやりたいということでございます。たとえて申しますと、神戸から名古屋までの高速度道路ができる、あるいはまた関門トンネルの国道ができる、ああいうところにおきまして県の境というようなことがあまり意味がなくなる。それにもかかわらず、いろいろスピードその他につきまして各府県が各府県の立場にとらわれての規制をすることが、工合悪い点が生じた場合に初めてこの国家公安委員会が指示をするのでありまして、普通の場合であれば、理屈を言えば大体わかってくれると思うのでありますが、いわば最後の伝家の宝刀というような意味で、国家公安委員会の指示がなされると思うのでございます。従いましてこの改正案が通りましても、またぼつぼつ国家公安委員会が指示するというのではありませんので、できるだけ各府県の話し合いを進めていく、それでなおかつ解決しない場合に伝家の宝刀で指示をする、こういう考え方でございます。
  29. 川村継義

    ○川村(継)委員 伝家の宝刀ということでやってもらわれてはありがたくないわけですけれども、むやみにやることは考えていない、こういうことだろうと思います。  そこで具体的に最後にちょっとお聞きいたしておきますが、自衛隊等の車でもやはり交通取締りの規制を受けておると思いますが、どういう場合に制限速度を越してやっていけることになっておりますか。政令にはいわゆる緊急自動車ということでいろいろと規定はありますけれども、自衛隊の車などということは考えていないようでありますが、そういう場合は自衛隊の車を緊急な自動車として見る、あるいはそのほかのことは全然ございませんか。
  30. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 自衛隊の車だからといって、特別の取扱いは現在は全然いたしておりません。
  31. 川村継義

    ○川村(継)委員 最後に一つ要望いたしますが、いろいろお聞きしたい問題点があります。先ほど申し上げましたように、今日の交通状況というものは、われわれ特に身の毛のよだつような思いがするわけです。そこでいろいろ交通取締りについて具体的に解決しなければならぬ問題が非常に多いと思う。それらについて一つ全力を尽して交通事故の防止のために御努力を願う、たびたび申し上げておりますように、皆さんの方で国家公安委員会が持っている権限をより以上に縮小したり、あるいは抑圧したり、そういうような状態にならないように一つ気をつけていただきたい、それだけきょうはお願いしまして、私の質問を終ります。
  32. 永田亮一

    ○永田委員 事故発生の原因のことに関連しまして一言だけ質問しておきますが、タクシーなんかが事故を起す大きな原因の一つは、運転手が非常に過労していることじゃないかと思います。朝から晩まで走り回ってくたくたになっておるために、事故をよく起すんじゃないかと思うのであります。実は私この前、東京じゃないのです、尼崎でありましたが、タクシーに乗った。そうして用を足しておる間に時間がたって、タクシーを一時間ばかり待たしてあったわけです。それで出てきてまたよそへ行ったわけですが、運転手といろいろ話をしておったところが、このまま自分が会社へ帰ると始末書をとられる、こう言う。それは一体どういうことだと聞いたところが、その会社の規定かなんかでは、ある時間の間に何キロとかの間を走り回っておらぬと始末書をとられる、その間にお客を乗せておってもおらなくてもそれは問題じゃないんだと言うんです。罰金をとられるならばそれは気の毒だ、私が一時間以上も待たしたのだから、罰金は私が払ってあげようと言ったら、罰金じゃないんです、一時間なり二時間なりの間に何キロ以上走らなければいけない、こういうことであります。東京あたりはどうか知りませんけれども、これは関西の話ですが、そういうことをすると運転手をいたずらに疲れさせるような形になるじゃないかと思う。こういうことはどうなんですか。無理に運転手を疲れさしているような傾向がある。それで私はその運転手に聞いた。それじゃ君、おれはどうしたらいいのだ、君が始末書をとられないようにするのにはどうしたらよいのだと言ったところが仕方がないから今からあなたをおろしておいてから神戸までからで走って帰ってくれば、その間の三時間か四時間ほどの間にそれだけの規定の距離を走ったから、始末書はとられないのだと言う。全くむだな話であります。お客さんは乗せないで、からで走って戻ってきてガソリンを使って交通を混雑さして、そうして始末書をとられないのだ、まことに矛盾した話だと思うのですが、こういうようなことは御存じないですか。
  33. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 交通事故の激増の原因はいろいろあるのでございます。その一つに運転者の勤務の過労と申しますか、こういったことが一つの大きな原因になっていることは私どももよく承知をいたしているのでございますが、これは一にかかって業者の運転者に対する労務管理と申しますか、労働条件の改善と申しますか、待遇改善と申しますか、こういった点の問題になろうかと思うのでありまして、そうした点については中央官庁といたしましても、労働省等におきまして、いわゆる労務管理のことにつきましていろいろ研究工夫、必要な施策を講じておられるように思っているのでございますが、私どもなお十分に緊密な連絡をとりまして、交通の実態、運転手の勤務の実情というものを十分に関係各省にも連絡をとりまして、考慮願うべき点は十分考慮していただいて、改善をはかっていくようにいたしたいと思っております。
  34. 永田亮一

    ○永田委員 今私がお聞きしたようなこと、これは陸運局の方で取締りをさせられるのかもしれませんけれども、交通事故という面から見ると、実際ばかげた話であって、しかもガソリンをむだに使って、からで走って来なければ始末書をとられる、こういうような点は警察庁の方でも取り締ったらどうですか。そういうふうな会社の規則は、皆さん自家用車に乗っておられるから御存じないかもしれないけれども、私タクシーに乗って初めて経験したわけですが、運転手が過労をしいられる結果になるわけで、事故もふえるわけですから、こういう点を一つお取調べになって、そういう会社の内規のようなものがあれば、改正させるようにされたらいいじゃないかと思いますが……。
  35. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 問題は一営業会社の労務管理の問題であると思います。従いまして警察の問題にはならないかと思いますが、そういう実情をよく調べまして関係各省に連絡をいたしたいと考えております。きわめて特殊な場合ではないかと思いますが、現地の方にも一ぺん問い合せてみたいと思います。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 関連してただいままでいろいろお聞きしているのですが、道路交通の問題、交通安全の問題というのは、常識的に考えても単なる警察取締りの問題ではなくて、道路関係あるいは運輸関係あるいは労務関係、それぞれの問題が関連をしているわけです。私どもが期待するのは、実は警察ばかりじゃなくて、運輸省あるいは建設省あるいは通産省、そういうふうな関係の各省が集まって、いかにして今のこの殺人的な交通の問題を解決するか、その対策を講じてやっていただくのが一番いいと思うのですけれども、何かそこまではやっておらないようにただいまの答弁では考えられる。従ってこの委員会としては、今までやはりこの交通取締りの問題を再々やりましたが、一歩も前進しないわけなんです。ちょうど今国会は委員会としてもそれほど大した法案もないようでありますから、いろいろな角度から交通安全の問題を取り扱う意味において、単に警察に要望するだけじゃなくて、運輸省あるいは労働省あるいは建設省の方の関係者、それから今お話のあったタクシー会社とかあるいは労働組合の関係者も呼んで十分これを検討して、そして何らかの結論をこの委員会としては出すべきじゃないか。それについて必要とあれば小委員会を設けてもいいでしょうし、そういうふうな取り運びを一つ委員長の方で理事会等に諮ってお進めをいただきたい、こういう点を要望いたしておきます。
  37. 中井徳次郎

    ○中井委員長代理 ただいまの北山さんの御提案につきましては理事会に議題として出しまして、できるだけ御要望に沿いまするように努力いたしたいと思います。
  38. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいま永田委員からの御指摘ですが、やはり現在のいわゆる神風タクシーのできる原因の一つは、日本のタクシーが走行キロ数で料金を支払うという点にあるのじゃないか、従ってこれはむしろ外国にあるようにある程度走った時間を加味する点とか、あるいは同時に乗った人の数も加味できるようなタクシー料金というような点をぜひ考えていかなければならぬのではないか。これは警察当局にお話しするのは無理かもしれませんが、今永田委員の御指摘に対してそういう感じがいたしましたので、そういう点に対しての研究ができておるかどうか。今同僚の北山委員の言われた点もわれわれ全く同感です。これはこの国会の会期中に、ぜひわれわれもそういう小委員会を作って検討したいと思う。ただしこの法案はなるべく早くあげるように、それを条件にしてわれわれは賛成するものであります。
  39. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 ただいま亀山委員の御指摘のありましたタクシーが時間と距離とをかみ合わしたものでやることが理想的ではないかということは確かにごもっともでございまして、外国においてはすでにそういうものが使用されているというふうに聞いております。現に警視庁におきましてもその点につきましては着意いたしまして、関係業者の方々といろいろ懇談を進めております。でき得る限りすみやかにそうしたものが使用される段階に持っていきたい、かように考えておりまして、関係方面と極力ともどもに研究をいたして実現をはかっておるところでございます。
  40. 永田亮一

    ○永田委員 時間がありませんから簡単に交通事故の問題について……。一方交通の問題なんですが、一方交通をやっておると非常に事故がなくなると私も思うのですが、外国なんかへ行ってみますと、ずいぶん一方交通ばかりになっているように思います。日本ではまだそこまで行っておらぬのでありますけれども、これはどうなんですか、日本でも一方交通にこれからやっていったら、交通事故がなくなるのじゃないかと思うのですが、その点をちょっとお尋ねいたしたい。
  41. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 全くお説の通りに私どもも考えておりますので、今後具体的実情に照らして、一方交通の個所を漸次多くしていくというふうにいたしまして交通事故防止に努めたい、かように存じております。
  42. 永田亮一

    ○永田委員 これは交通事故と反対のことになるかもしれませんけれども、騒音防止のことであります。実は東京へ来る外人なんかは、日本の町というものは世界中で一番雑音でやかましいとよく言われる。私は去年ちょっとオーストリアの方へ行って驚いたのは、町が非常に静かでほとんど音がしないということであります。自動車なんか警笛を鳴らすことがめったにないから、非常に静かでありまして気持がよかったのでありますが、日本へ帰ってくると、とたんにがやがややかましい。ところがこれをやかましく助長させておるのが警察じゃないかと思われるところがある。それは曲り角とか追い越しのところとかなんかには、必ず警笛を鳴らせという標識がついておるわけです。おまけに英語でサウンド・ホーンとある。外人も鳴らさなければいかぬのかと思って鳴らすわけです。騒音防止ということからいいますと、それと逆行するようなことを皆さん方の方でやっておられるような気がするのですが、もう少し静かにやってもらう方法はないでしょうか、ちょっとお尋ねしたい。
  43. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 事故防止の見地から最小限度に必要な場合に警笛を鳴らすことを、現在の法制の建前としてとっておるのでございます。ところが現実には必要以上に警笛を鳴らしておるという面が確かにうかがえるのでございます。そうした点は関係者の十分な自粛を促すように平素指導をいたしておるつもりでございます。全般的に騒音の問題につきましては、これは確かに研究しなければならぬ問題であろうと思います。現在のところ若干の府県に条例をもって騒音を取り締っておるところがございますが、国といたしましては全国的に取り締る法律はまだできておりません。今後この問題は十分研究に値する問題であると思って、われわれも研究に取りかかっておる状況でございます。
  44. 木崎茂男

    ○木崎委員 関連して一言伺いたいのですが、いろいろ事故が起きる原因について、先ほど来論議をされておるのですが、空車が至るところ走っておるということ、これをパークさせるような考え方が一応考えられないかどうかということと、それから最近日比谷公園の地下とか、今年は東京都で八重州口の前のところに有料駐車場の建設に入るようですけれども、この間亀山委員からも御指摘があったのですが、路面の駐車に対してパーキング・メーターか何かつけまして有料駐車をさせる、それで制約をして一面路外の駐車場に車を持ち込ませるということと、それから前段申し上げました一般の自動車が空車でひっきりなしに客を拾うというようなものを、ある程度方向づけるというようなことが交通行政上真剣に考えられておるかどうか。それから有料駐車場というパーキング・メーターをつけてやるものを、これも私は詳細にわかりませんが、道路法の改正では、たとえば東京なんかの場合は東京都がやるようなふうになるのじゃないかと思うのですが、そういうことをいざやろうという場合に何か交通取締り上、むしろ警察当局の方には困るというような御意見があるように聞いておるのです。そういう意見のために、昨年道路法の改正をやったのですが、現実に進まないというようなことを私ちょっと耳にしたのです。そういうことについて御存じでございましたら、この機会に一つはっきり御意見を承わっておきたいと思います。
  45. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 この前の国会に建設省から提案いたしまして御議決いただきました駐車場法というのがございまして、各府県——と申しましても東京都が中心になると思いますが、東京とか一定の地域には、普通の車を駐車してはいけない。それで駐車場というのを設けて、駐車場以外にはとめてはいかぬということをやろうということでございます。われわれとしましても、そういうことが非常に望ましいことであると思いまして、賛成をして協力をいたしておるわけでございますが、駐車場を作ることにつきまして、なかなかむずかしい、いろいろの技術問題がございます。しかしわれわれとしましてはできるだけその線で、たくさんの駐車場ができて、駐車場以外のところは駐車させないというような方針がいいのではないかと思っておるわけでございまして、別に警察が文句を言っておるわけではないのでございます。
  46. 木崎茂男

    ○木崎委員 空車の問題はどうでしょうか。
  47. 坂井時忠

    ○坂井政府委員 道路交通取締法によりまして、異常に交通量が多いところは、流し禁止の地域を指定できることになっておりまして、東京都内等でも、ところによりましてはそういう措置を講じておる次第でございます。
  48. 木崎茂男

    ○木崎委員 あとに御質問があるそうですから、私あと一つだけ……。私はまだ外国に残念ながら行っていないのです。ところが帰って来た人の話を聞きますと、空車が猛烈に走っているというような国はないといわれているのですね。私も最近にぜひ見たいと思うのですが、日本のようなガソリンの少い国で、しかも一面交通事故防止の面から考えましても、あの日暮れどきなんかに、たとえば銀座なら銀座に行きますと、空車が殺到してくるのですね。大体業者というものは時間によって人の集まるようなところをのみ込んでいるでしょうが、たとえば新宿に集まるとか、何時ごろにはどこに集まるとか、そこへフルスピードで空車が集中してくる、その地帯が混雑をするというのが現状において事故が発生する一番大きな原因になっているのじゃないかと思うのですが、そういうことについて何かもう少し大きな観点から——これに業界なんかが果して協力するかどうかわかりませんが、空車をめちゃくちゃに走らせるというようなことを、ある程度全体的な規制をしていくというようなことが、国家全体の観点からも、経済の観点からもいいのではないかというふうに考えられます。私なんか足が悪いものですから、至るところで拾えた方が便利は便利ですが、このごろは路上を歩くことすら危険だというような状態なんですから、そういうことについても、今後一つ真剣に御検討いただきたいと思うのですが、お願いだけ申し上げておきます。
  49. 中井徳次郎

    ○中井委員長代理 亀山孝一君。
  50. 亀山孝一

    ○亀山委員 前々回の委員会でありましたか、中井委員から銃砲刀剣類等所持取締法案につきまして重要な質疑がありました。当時中川刑事部長、石井長官は欠席しておられましたので、この際その点を一つはっきりとお伺いしたい。私かわりまして伺いますが、違っておれば中井委員から御訂正願いますが、今度の改正案の第四条で漁業、建設業、これが銃砲刀剣類の所持については、公安委員会の許可を得れば持てるということになっておる。ところがこの規定は、上段の方は「狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、人命救助、」というように、それぞれ行為によってこれを制限してある。ところが建設業と漁業については業態というもので触れておるが、この点があるいは広きに失するのではないか、これに対して、この銃砲刀剣の今度の法案の趣旨からいって、いま少し限定すべきではないか、こういうような御趣旨のように私は伺ったのですが、中井さん、そうでございましょうな。——それについて一つ明確なる御答弁を願います。
  51. 中川董治

    ○中川政府委員 危害予防上の見地から、なるべく許可の範囲を具体的に明確にいたしたい、まことにごもっともでありまして、私たち大賛成であります。そういう見地で第四条を立案したのでありますが、要するに危害予防上の見地からのみいえば、許可の範囲は狭い方がいいということに相なろうと思うのでありますが、他面第四条の趣旨とするところは、社会生活上または産業上必要なものについては、一定の規制のもとにこれを認めていこう、この限度でございます。これを一番ずさんに書けば、社会生活上または産業上という書き方ですが、それでは御指摘のように目的を達成いたしませんので、具体的に一つ一つ拾って参ったのであります。人命の救助までは確かに具体的なことが明確になっておって、漁業は具体的ともいえるが一般的ともいえる、こういう御指摘であろうと思います。建設業に至ってはさらにその感を深くする、こういう御指摘であろうと思います。私ども立案に当って注意深くそれを研究したのでございますが、漁業については坂井政府委員説明したと思いますが、前条の八号に掲げる捕鯨用標識銃等が、比較的定型的なものが多いということは事実でございます。そういうもので定型的なものは、製造業者、すなわちメーカーとか、バイヤーは許可を要せずして前条、すなわち第三条によって持てる。それをはみ出すものを全面禁止いたしますと、産業生活上困る面がございますので、三条の書き方とわざと異なった文字を用いたのであります。具体的に申しますと、多くの場合は捕鯨用標識銃等が多いのでございますけれども、漁業に従事していらっしゃる方の中には、比較的例は少いのでございますけれども、漁村等におきましてこの法律に定める銃砲刀剣類を用いて漁業に従事しているケースが若干ありますので、そういうものにつきましては、無制限に許すべきではございませんけれども、公安委員会行政処分によって許す道を開いて参りたい、こういう趣旨でございます。建設業についても全く同様なのでございますが、確かに建設業で現在定型化したものといたしましては、建設用びょう打銃及び建設用綱索発射銃が定型化したものでございますけれども、建築事業がだんだん進歩しておりまして、この銃砲または刀剣類を用いる建設業が日進月歩でだんだん多くなってくる、こういうことに対しまして、この規定がなかりせば全面的に禁止になってしまう。それでは産業の発達も期しがたい点がありますので、この建設業という言葉を用いたのであります。実は建設業を入れますのには、第二十二国会でお願いいたしたいのでございますが、従来はこれを認めていなかったのですけれども、建設業関係が相当進歩して参りまして、建設業に用いる銃砲、こういうものがだんだん出て参りましたので、これを入れたような次第でございます。これのしぼり方についてさらにわれわれも十分研究したのでございますが、漁業について申せば全国各地の漁村等で行われております漁業で、例は非常に少いのですけれども、やや多種多様な例がありますので、漁業という言葉でしぼらざるを得ない、幸いにして漁業につきましては漁業法という規定がございまして、漁業法によって国がコントロールしよう、また水産資源保護につきましては、水産資源保護法によってコントロールしているという、法律上の別の実体法がある関係がありますので、水産資源保護法と漁業法をにらみ合せて漁業という文字を用いたのであります。建設業につきましても実体法上現在の建設省設置法にも建設業という言葉を用いておりますし、二十四年の法律一〇〇号の建設業法でもこの言葉を用いておりますので、現実の実体法上用いた言葉を用いる方が内容が正確に相なりますので、その性格に概念構成をいたした文字を用いまして、建設業に必要な銃砲を、公安委員会で認められる限りにおきまして許可をして、それからこの法律の事務上の規定等によって危害予防上の制限をして参りたい、こういう趣旨でございまして、中井委員を初め亀山委員の御指摘のごとく、なるべくしぼって参りたい。しぼるということの限定は、こういう産業のそれぞれの発展を阻害しないという範囲において、だんだん制限をきつくいたしたい、こういう趣旨でこれを用いたのであります。これは人命救助についても同様なごとが言えるのですが、人命救助につきましても、定型化いたしましたものにつきましは、救命索発射銃と救命用信号銃があるわけでございますが、定型化したもの以外でも人命救助のため必要なものが将来出てくる、こういうことを念頭に入れまして、それをこの法律においてふさいでしまうということになると、文明の進歩を妨げることになりますので、この四条の人命救助と三条八号の文字をわざと違えまして、だんだん科学の進歩、地方の実情等によって発達するということを念頭に置き、しかも危害予防上の必要の調和点を見出したい、こういう努力をして参りまして、わざと三条は違えた文字を用いたのでございます。この点、御了承願いたいと思います。
  52. 中井徳次郎

    ○中井委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時一分散会