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1958-02-20 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    伊東 隆治君       加藤 精三君    川崎末五郎君       菅野和太郎君    渡海元三郎君       早川  崇君    古井 喜實君       加賀田 進君    北山 愛郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         警察庁長官   石井 榮三君         警視監         (警察庁長官官         房長)     坂井 時忠君         警視監         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙局         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         参議院議員   大沢 雄一君         警視長         (警察庁通信部         通信総務課長) 今竹 義一君         総理府事務官         (自治庁行政局         行政課長)   降天 敬義君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 二月二十日  銃砲刀剣類等所持取締法案内閣提出第一二  号)(参議院送付)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締法案内閣提出第一二  号)(参議院送付)  警察法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)  遺失物法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二八号)(予)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七二号)  地方自治に関する件      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 これより会議を開きます。  警察法等の一部を改正する法律案遺失物法等の一部を改正する法律案及び昨十九日、参議院修正を得て本院に送付され、本委員会に付託されました銃砲刀剣類等所持取締法案の三案を一括議題といたします。  この際、銃砲刀剣類等所持取締法案につきまして、参議院における修正趣旨につき、その修正案提出者より説明を求めることにいたします。参議院議員大沢雄一君。     —————————————     —————————————
  3. 大沢雄一

    大沢参議院議員 ただいま議題となりました銃砲刀剣類等所持取締法案に対する修正案提案理由並びにその内容について御説明いたします。  本法案において、挙銃所持につきましては、その性能にかんがみ、危険予防上きわめて特定のものを除き、すべて禁ぜられることは、わが国の現状におきましてはやむを得ない措置と認められますが、他面、国際親善などのために開催される運動競技会におきまして、記録の正確を期することは最も重要なことであると存ずるにもかかわりませず、これらの場合に拳銃の使用が認められないため、その実効を上げがたい実情にありますることは、各位御承知通りでございまして、まことに遺憾に存じますので、この際、オリンピック競技会アジア競技大会国民体育大会のような国際的もしくは全国的な規模で行われます運動競技会におきます運動競技用信号銃使用を認めることといたしまして、またこれに関連する規定整備をはかろうとするものでございます。  何とぞ御賛同をお願いいたします。
  4. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 これで参議院における修正趣旨説明は終りました。  これより三案の質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。中井徳次郎君。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 上程になりました三つの法案のうちで遺失物の点を除きまして、あとの二つについて、一、二お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、銃砲刀剣類等所持取締法案でありますが、ただいま参議院の方からのお話の中にもありましたが、これはきわめて狭義に厳格に解釈すべきものでありまして、できるだけ範囲ははっきりといたしておくということが、法の趣旨であろうと思います。その点について、警察当局におきましては、そういうふうにお考えになってお作りになったものだと思いますが、いかがでしょう。
  6. 坂井時忠

    坂井政府委員 御質問の御趣旨、まことにわれわれの考えておる通りのことでございまして、この前の委員会でありましたかに申し上げました点、たとえば風俗、習慣上認めるというような点につきましても、われわれとしましては非常に厳格な解釈で臨んでいきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  7. 中井徳次郎

    中井委員 そういうふうな考え方からこの法案を一読いたしますと、一、二の疑問を私は感ずるのであります。  その第一は、第四条に「狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、人命救助、」こうありまして、こういうものははっきりといたしておるが、その次に「漁業」というのがございます。これは漁業の中で銃砲または刀剣使用しなければならぬというふうなものになりますと、私は捕鯨だけだろうと思いますが、それ以外に何か銃砲を使うものがあるのでありますか。この点は第三条の第八であります、ここに詳しく説明などいたしております「捕鯨用標識銃」というものがございますが、これとの関連において、私はできましたらこの点ははっきりいたしておきたい、あなた方の趣旨に沿うためにできればはっきりいたしておきたい。捕鯨あるはい救命用ということになりますと、遠洋航海その他とはっきりした方がいいのではないかと思いますが、当局見解を伺ってみたいと思います。
  8. 坂井時忠

    坂井政府委員 やはり御指摘通り海等使用する銃砲というのは、目下のところ捕鯨用のものだけに考えておる次第でございます。従いましてそのものだけの適用等考えておりますが、条文体裁等でできればこういうことの方がいいのじゃなかろうかということで、こうしておるわけでございます。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 よくわかりました。条文体裁などというふうなことで簡単に御判断になったと思うのでありますが、さっきの趣旨からいいますと、私はこの点詳しくはっきりとした方がいいように思います。  それから引き続きまして「建設業」というのがございます。この建設業におきましても、建設業といえば非常によく解釈ができます。そうして銃砲刀剣でさまざまな事件を起しますのは、実はこの建設業に従事をしておるような人たちがその一つの大きな要素になっておることも、これまた過去の日本実情から見てはっきりした事実であろうと私は思う。従ってこの建設業に関する限りは、かなり峻厳に規定をすべきものである。これはこの法案一つの大きな重点だ。建設業のどこまでやるかということが重点である。かりにこういうふうに建設業といたしますと、建設用に使う鉄砲類もあるように私は伺っていますが、それ以外の業者にまでこれは許可をするおそれなしとしない。皆さんは政令とか通牒でもってその点は上手にやりますと言いますが、はっきりしておるならば、法においてはっきりうたっておいた方がいいんじゃないか、私はこう思います。一つ見解を伺ってみたい。
  10. 坂井時忠

    坂井政府委員 この前の委員会でも御指摘をいただきまして、実は先生がお見えになりましたら刑事部長から詳しく御答弁をする予定になっておったのでありますが、後ほど刑事部長も来ると思いますので、その機会に譲った方がいいと思いますが、確かにこの建設業というのはいろいろそういう広く解釈されるおそれがあるのではないかという疑問もあろうかと思います。しかし目下のところはコンクリートに打ち込む銃類似のものというようなものが考えられるわけでありまして、まあ世の中が進歩するにつれまして、建設用にそういう技術的な機械がまたあとから出てくるかとも思いますが、この法律趣旨がやはり暴力団取締り等を意図しまして考え法律でございますので、解釈といたしましては厳格に解釈をいたしていきたい、こう考えておる次第でございます。     —————————————
  11. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 ちょっとお諮りしますが、ただいま郡国務大臣が出席されましたので、予算委員会その他で非常にお急ぎのようでございますから、ちょっとこの質疑を中断いたしまして、昨十九日本委員会に付託になりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案議題として、政府よりその趣旨説明を求めることにいたしたいと思います。郡国務大臣。     —————————————
  12. 郡祐一

    郡国務大臣 公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  地方公共団体が経営しております水道、交通等公営企業整備は、民生の安定のためにも地方産業の振興のためにもきわめて緊要でありまして、政府といたしましては、ここ数年来、公営企業にかかる地方債の増額をはかって参っておりますとともに、その資金を低利、かつ、安定した条件で供給するために、昨年六月から公営企業金融公庫を設置いたしたのであります。幸いにして同公庫は、設置以来順調な経営を行なっておりますが、さらにその基礎を強化し、公営企業の健全な運営に寄与するため、今回産業投資特別会計から五億円増資し、現在の資本金五億円を十億円に改めることといたしたいのであります。これがこの法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  13. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 本案に対する質疑次会に譲ることといたします。     —————————————
  14. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 引き続き警察関係法案質疑を続けます。中井徳次郎君。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁でももう事態ははっきりしたと思うのでありまして、そういう御趣旨でありますならば、第四条はもう少し詳しく、建設業のうちの境界をある程度まではっきり範囲をさしまして、それでいくのが私は妥当だ、かように考えるのであります。というのは、第三条の八にもやはりはっきりと、建設用びよう打銃あるいは建設用綱索発射銃、こういう字句も使っております。ここではこういう字句を使いながら、第四条では一般的なことをやっておるということになりますと、私はこの法の趣旨実施の際にかなり拡張解釈をされるおそれ十分にあり、かように思うのでありますが、いかがでありますか。
  16. 坂井時忠

    坂井政府委員 御指摘通り四条ではこういう書き方をいたしておりますが、具体的にはやはり三条で縛られた許可しかいたさないわけであります。従いまして、建設用の場合にも、ここに書いてありますように、建設用のびよう打銃、それから建設用鋼索発射銃、こういうものが具体的には許可になるだけのことでございまして、それ以外のものは現在の段階におきまして対象にならない。たださっきも申し上げましたように、新しい機械が、そういう技術的な面につきまして非常に有効な機械ができる場合も全然予想されないこともないと思いまして、四条はこういう体裁で書いてみたのでございますが、御了承をお願いいたします。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 それではちょっと納得ができません。こういうふうに四条建設業と書いてありますと、たとえばずっと山の中の電源開発なんという場合に、これはどうも少し物騒だからわれわれのところも銃を持たせてくれというふうなことになりまして、これはもう必ず将来刃傷ざたの一つの大きな原因になると私は思います。この点はまことにささいなことでありますけれども、党としましても、また委員会としましても、一つ十分相談をさせてもらいたい、かように考えます。  銃砲刀剣類関連法案につきましてはこの程度にいたしておきまして、警察法の一部改正について、一、二お尋ねをいたしたいと思います。この改正の中にあります道路交通取締りとの関連でありますが、これはどうですか。現在承わりますと、各府県によって、国道一号線なら一号線を通る車についてのスピード制限等ははなはだまちまちである。東京から神奈川県へかかったとたんにスピードをゆるめなくてはいけない。またそれが静岡県へ行くと変っていくということがあるやに聞いております。そういう意味においては私どももけっこうだと思うのでありますが、これはしかし全国的にこう広めていくと、現在自治体警察の形をとっておりまして——どもはまあ自治体警察とは本質的には考えておりませんけれども、形の上だけでもそういうふうな形をとっている、それとの調整関係という点について将来心配になるのであります。従って、スピード制限、違反の取締りその他について、各府県が区々まちまちであるならば、その状態を、一つわかっておられましたら聞かせていただきたい、かように思います。
  18. 坂井時忠

    坂井政府委員 道路交通取締法では、道路交通規制取締りというものは、各府県公安委員会に大体まかしておりまして、各府県公安委員会最高責任者としてやっておるわけでございます。それでまあ大体はけっこうなのでございますが、御承知のように交通機関が非常に発達いたしますし、また道路もだんだん整備されて参りますと、府県の境というものが経済的にもいろいろ意味がなくなるというよりも、県境ということが無意味になってきておるような情勢があるわけであります。にもかかわりませず取締りが違うということ、あるいは規制方法が違うということは、そこを通る自動車、その他の交通機関にとりましてはまことに不便であるし、理解しがたいところとなっておるだろうと思うのであります。御指摘がありましたように、国道において、県が違うことによりまして、スピードが違うという例がたくさん出てきております。東京から神奈川に参りますと五十五キロが五十キロになる。それから滋賀県から京都府に入りますと三十二キロから五十キロになる。それから大阪から兵庫に参りますと四十キロから五十キロになる。広島から山口に参りますと四十キロから六十キロになる。一番ひどいような例を申し上げますと、愛知から岐阜に入りますと六十キロから三十五キロになるというふうに、半分ほどの速度に落さなければならぬというような、スピード制限が違っておるわけでございます。また道路通行区分というのがございます。国道線に線を引きまして、この線の中は一般車、この線の中は貨物車というように、高速車低速車通行区分がきめてあるのでありますが、これが県によって全く逆なところがあるというような不均一な点、また運転手が始終それを見て走っているところの標識の点でございますが、指導的な区画線京浜地区では白である。それから禁止区画は黄である。これが阪神地区に参りますと、指導地区が黄色になって、禁止的な区域が白になるというふうに、非常に区々まちまちになっておるわけでございます。そこでそれらの点を一つできるだけ歩調をそろえるように、府県間の話し合いによりまして、交通機関に不便を来たさないように努力をいたしておるわけでありますが、何分にも道交法によりましては、各府県公安委員会最後責任者としてやっておるということで、どうしても話し合いがつかない場合は、現在はいかんともいたしがたい状態でありますので、今度の改正をやりまして、そこの不便を除去しようと考えておるわけでございます。ただ何でもかでも全国一律にしようという考えはないのでございまして、この道交法改正にもありますように、全国的な幹線道路における交通規制の齊一をはかる必要がある。全国的に見ていかにもそこだけでこぼこがひどい、全国的に見ていかにも不都合であるという面をとらえまして、必要な規制をしていきたい、こういうふうな考えでございますので、何でもかでも全国一律にやる、その府県の事情は全然顧みないのだということではないのでございます。その点、時代の進展をにらみながら、また各府県実情にも即しながら規制をやっていきたい、こういうように考えておりますので御了承をお願いいたします。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 今の話を承わると、私どもはそこまで知らなかったが、六十キロと三十五キロなんということはあまりひどいと思うのです。そういうものは今の法制下においても私は調整する方法幾らでもあろうと思う。わざわざ直さなくちゃできないのですか。そういう頭なら、幾ら法律を直しても、理屈の言い合いで、なかなかこれは実施ができないようにも思うのだが、その辺のところはどうなんです。あまりひどいですね。標識の色まで関東と関西とで違うなんということは、現在の法律内においても私は十分調節の道はあろうと思うし、それを今日までほうってあるのは、これは警察当局の非常な怠慢だと思うのですが、その辺のところの見解を率直に聞かしていただきたい。また過去においていろいろのいきさつもあったでありましょう。その事例も一つ聞かしていただきたい。
  20. 坂井時忠

    坂井政府委員 御指摘を受けますと、まことにその感じがいたすわけでございまして、県によりましても、最高速度制限がかほどに違っておるということは理解しがたい点でございます。警察庁としましても、府県調整といいますか、話し合いをお互いにさせまして、そこの不都合がないように努力をいたしておるのでありますが、なかなか一ぺんきめますと、道路標識等も全部できておりますし、スピードを書いた標識なんか全部ずっと道路に並べてありますので、費用の点等もからみまして、なかなかそう簡単にいかないというのが現状でございます。しかしながら色が違ったりというような点もそういうことでなかなかできないのでございますが、今度の改正によりまして、これは最後の伝家の宝刀というような意味で、この条文考えてもいいかと思うのでありますが、そういった全国的なことを考えながらやらなければいかぬという考えが各府県にまだまだ少い現状にかんがみまして、それらを一つ考え直していただこう、こういうことにしておるわけでございます。今までも努力が足りなかったのでありますが、この法の改正によりまして極力努力いたして参りたいと考えておる次第であります。
  21. 中井徳次郎

    中井委員 今いろいろお話もあったですけれどもスピードの問題なんかは、法を待つまでもなく、調節ができなくちゃならぬ。公安委員皆さんもみな良識の持主でありましょうから、この点は法を改正しなくちゃできないというふうな考え方では、全般の警察行政の運用なんかも、なかなか複雑な情勢にあるということを私どもは察せざるを得ないのであります。しかしこの点はさらにまた質問を続けるといたしまして、きょうは、ほかの問題で一点だけお尋ねをいたしたいのは、警察通信関係であります。警察通信形態が一体どうなっておるのか。警察庁本部があって、全国指令を流しておるのか。通信状況から見まして、これは鉄道と同じようなことでありますから、連絡用意味から、連絡は密なる方がいいわけでありますが、そういう形はどうなっているのか、大体概要をお話願いたい。さらに願えましたら、回線系統は、有線回線無線の回路ともにどういう系統になっておるか。これは一つ資料を出してもらいたいと思います。今度多少改正をするということですが、通信体系改正のねらいはどういう点にあるのか、それがまず第一点。それから、たとえば東京から鹿児島までとか、全国的な警察通信というものはあろうと思うのですが、一番時間のかかるもので、どれくらいで通ずるものか、そういう点をちょっとお話願いたい。
  22. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 警察通信は、御承知通り警察活動のいわば中枢神経と申すべきもので、きわめて重要な使命を持っております。戦後警察通信につきましては特に私ども力をいたしまして、これが整備改善をはかって参っておるのでございます。戦前に比べますならば、警察通信はかなり進歩向上いたしております。しかしながら同時に他の方面におきましても、たとえば電電公社におきましても、あるいは電源開発会社等通信線にしましても、最近非常に飛躍的な進歩向上を見ておるようでございます。警察といたしましても、これらの他の方面通信と遜色のないように、なお一そう改善し、内容の充実をはかっていかなければならぬ、かように考えまして、来年度の予算等におきましても、通信の施設の整備強化ということには、かなり力をいたしておるつもりでございます。  ただいまお話の、現在の警察通信の全体の仕組みと申しますか、そういう点についてのお尋ねでありますが、これは詳細かつ正確に、他の専門家からお答えするのが適当かと思いますので、通信総務課長をして便宜お答えいたさせたいと思いますので、御了承を願います。
  23. 今竹義一

    ○今竹説明員 お答え申し上げます。警察通信にいろいろの通信形態がございまして、まず第一はいわゆる警察電話でございます。これは電話線の方は昭和二十四年からすべて電々公社から専用線として借りております。この専用線は、東京を中心に申し上げますと、東京から各管区警察局所在地、たとえば大阪とか福岡とか仙台というところに、まず幹線が参ります。それから各管区警察局所在地から各府県——大阪で申しますと、大阪から京都兵庫滋賀というところの各府県本部まで、また幹線が参るのであります。それから各県本部で申し上げますと、各府県本部から警察署にそれぞれ電話線が行っております。それから各警察署から管内の派出所駐在所へまた電話線が行っております。そこで東京とか各管区警察局、各県本部警察署にそれぞれ警察の自分の交換機がございまして、その交換機で接続いたしまして、たとえば秋田県から福島県へかけるという場合には、秋田県から仙台へ参りまして、仙台交換機で中継をして福島県へ行くわけであります。ただいま御質問のございました東京から鹿児島へ行く場合には、福岡管区まで参ります。そこで中継されて鹿児島県本部へ参る、こういう格好になっております。そうして大体われわれといたしましては、全国警察署相互通話できるということを目標として、回線交換機その他の整備を行なっております。この電話回線は、ただいま申しましたように、電電公社専用線を借りておるわけでございますが、回線の総キロ程が大体十七万キロで、これは御承知のように派出所駐在所まで参るものでございます。毎年国の予算で十二億、地方予算で十五億の専用料を支払っております。ただし専用回線は電々公社から借りておりますが、交換機警察で自営しております。それをつないで相互通話をするというのが現状でございます。それから次に、有線電話では災害その他の場合に通話が切れるおそれがございます。また電電公社専用料は必ずしも安くございません。非常に専用料が高い。警察といたしましても、この電電公社専用線を借りることを建前としまして、ただそれの補充的な面で超短波多重という回線を、特に重要な幹線について作っております。これは現在東京大阪広島福岡、及び三十三年度工事中の仙台、札幌というような、全国のごく重要な幹線にだけ、警察で自営の超短波多重回線がございます。大体電話状況についてはそういうことでございます。  次に、電話のほかに無線電信がございまして、これは各県本部無線電信局がありまして、各県本部相互間に無線電信をやる。どういうふうに利用するかと申しますと、重要な手配、あるいは家出人手配、そういうのがございますと、秋田県から全国的にこういう人間が家出したからよろしく頼むというようなことを、無線電信手配するわけでございます。  こういう警察電話無線電信のほかに、御承知通り県ごとにいわゆるパトロールカーというものがございます。これは各県ごとに運用されておりまして、県本部指令室がございます。それから一部の警察署、大体全国の千二百ばかりの警察署において、目下五百ぐらいの警察署固定局というものがございまして、各県本部及びそういう五百の警察署固定局と、移動するパトロールカーとの間に相互通話が行われる、こういうことになっております。パトロールカーはまだ現在の状況では七百ぐらいしかございません。  大体警察通信の主要なものは、全国警察電話と、同時に一つの県について申しますと、県本部を中心に派出所駐在所に行く警察電話でございます。それから全国の各県相互間の無線電信、それと各県ごとに運用されておりますパトロールカー、この三つでございます。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 大体の構想はわかりましたが、具体的に言いますと、そうしますと、各派出所から東京警察庁電話をかけようと思ったらかかりますか。それからたとえば東京福岡大阪なんというのは、何回線専用線を使っておられますか。それからもう一つは、パトロールカー、これは無線はもちろんありますが、これと有線とつなぐことができるかどうか、たとえば東京都のパトロールカーから直接仙台の方に話ができるのかどうか、そういう点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  25. 今竹義一

    ○今竹説明員 お答え申し上げます。ただいまの電話のいわゆる通話帯域の問題でございますが、派出所駐在所について申しますと、一つの県内の派出所駐在所相互通話ができるということを目標にしております。従って宮城県の派出所駐在所は、宮城県内の派出所駐在所、及びそれとあわせまして福島県あるいは岩手県という隣接県の、特に隣接署の派出所駐在所と話ができるということを目標にして整備しております。  それからたとえば東京大阪間の回線の問題でございます。これは現在電電公社から借りておるものとしましては四回線ございます。そのほかに、先ほど申し上げた超短波多重が五回線ございます。計九回線で行なっております。しかし先ほど申しましたように、この回線に単に東京大阪通話が乗るだけでございませんで、京都兵庫あるいは東京につながっておる北海道、仙台という通話が、全部これに乗って関西に参りますので、必ずしも電々公社通話のように即時というように整備されてはおりません。それからパトロールカー電話とつながるかの問題でございますが、いわゆる一一〇番で民衆から警察に訴えがございますと、それはパトロールカーの統制室と同じ統制室に一一〇番の受付がございまして、一一〇番を聞きながら、その聞いておる内容が同時に、統制室の指令事務を行なっておる者に聞こえております。そこでいろいろな状況を聞いておりまして、同時にすぐ車を手配しております。たとえば、そういうものを必要があって宮城県へ流すという場合には、その統制室に警察電話がございまして、その警察電話によって通常の警察電話のコースを通って宮城県の方へ連絡する、こういう形になっております。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 大体わかりましたが、もう一度念のために伺っておきますが、宮城県の派出所から東京電話がかかるかどうか。交換は宮城県で一カ所、東京で一カ所と、こういうふうになる。あるいは警察署を通じるともう一ヵ所ですが、そういう通話ができるかどうか。具体的なことを伺っておきます。
  27. 今竹義一

    ○今竹説明員 宮城県の場合でございますと、仙台市内は大体においてできます。しかし、たとえば気仙沼とか、そういう非常に遠い警察署になりますと、通話が明瞭でなくなりまして、回線の現況が非常にいいときはできる場合もありますが、そうでなければ雑音が非常に出て参ります。
  28. 中井徳次郎

    中井委員 パトロールカーから有線へのつなぎは、どうなるのですか。
  29. 今竹義一

    ○今竹説明員 パトロールカー通話は、統制室と話ができるだけでございまして、有線につなぐ場合には、すべて統制室の人間が中継して話をしなければならないという状況になっております。
  30. 中井徳次郎

    中井委員 大体わかりましたが、今お話のような回線——末端の派出所までの回線は要りませんが、県単位ぐらいまでの回線図をできたら出していただきたいと思います。それから無線の回路も出していただきたい。  こういうふうに全国的に非常に強力な通信網を持っているのでありますが、私ども心配しますのは、これを逆用されますとえらいことになろうかと思うのであります。特に政治的にこれを使われると非常に困る。具体的な例を申しますと、地元の県会議員その他が、市外通話をかけると時間がかかるから、警察電話を借りるということがしばしば行われておりまして、私はこれは警察業務を非常に阻害しているように思いますが、そういう面について、警察当局はどういうような指導をされているか。この際はっきりしておいていただきたい。あまり今のような状況をほうっておくと、国会議員あたりも使うようになるかもしれませんので、私は、一つ最後に希望と同時に、あなた方の考え方を伺っておきたい。特に私は選挙の際なんか、警察は政治から中立でなければなりませんが、この前の総選挙の場合なども、私は実はいろいろな批判を伺っておるのであります。きょうは具体的なことまで申しませんが、こういうものに警察通信が使われますと、私は政治の将来のために嘆かわしい問題だと思います。こういう点についての長官の見解を伺い、できれば、そういうものをとめるという強力な通達を出してもらいたい、私はかように思います。
  31. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 警察通信施設は警察本来の用途以外に使ってはならない、こういう原則になっております。警察通信関係の施設の利用の仕方につきましては、公安委員会の規則をもって厳重に制約をいたしておるのであります。ただ例外的に、たとえば災害のとき等に、警察機関以外の者に臨時に使用させることが実情に即し、必要である場合がありますが、そういう場合は例外の場合として、これもやはり一応その限度においては使用可能であるという道を開いておるのでございます。厳重なる統制、規制のもとに警察通信は利用されておるのでありますが、ただいま御指摘のような事例が、あるいは末端においてあるとしますならば、将来十分に戒心して参りたいと思っております。
  32. 中井徳次郎

    中井委員 例外のことはわかりますが、その前のことは通り一ぺんの御答弁だが、それでは、もう現実にどんどん行われてるんですから、何か新しい手を打たれる必要があろうと思うが、通達でも出される意思があるかどうか、もう一度念を押しておきたい。
  33. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 先ほど申しました通り、そういった具体的な事例がありますならば、十分これをチェックしたいと思っておりますので、必要とあれば、通牒その他のしかるべき方法によりまして、これが是正に努めたいと思っております。
  34. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 北山君。
  35. 北山愛郎

    ○北山委員 警察法改正関連して一、二お伺いいたします。  まず最初は、最近の新聞で、警察官の職務執行法の改正が伝えられたわけであります。ところが警察官の職務執行法の改正が、国家公安委員会で論議されたとか、そういうことじゃなくて、自民党の幹部、六役において改正をするというような決定がなされた。私はまことに変じゃないかと思う。警察官の職務執行法というものは、申し上げるまでもなく、警察の任務を遂行するために警察官が行う職務執行の方法規定してるもので、純警察的なものと考えてよろしいと思う。政策的なものでないと思う。それを政党の最高幹部のところで、関係の機関が何もやらないうちに方針をきめるというようなことは、この問題の政治的背景というものがそこに推測されるわけですが、警察庁には与党の方から何か警察官職務執行法を検討しろというようなことを言ってきてるのかどうか。また現にそういうものを検討してるかどうか、お伺いしておきたい。
  36. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 私ども警察関係の法令というものはずいぶんあるわけでございます。警察行政の運営の実績に徴しまして、絶えず関係法令の改正を要すべき点があるかどうかということにつきましては、常に研究を続けておるのでございます。ひとり警察官職務執行法のみならず、その他のあらゆる関係法令につきまして、絶えずそれぞれの係において、第一線の実際の警察運営の実情に照らして、改善を要する点があるかどうかということにつきましては研究を続けておるのでございます。そういう意味からいたしまして警察官職務執行法も例外ではないわけでございまして、研究はかねがねいたしております。しかしながら、ただいまお話通り警察官職務執行法は、きわめて重要な法律と申しますか、国民の権利、自由に関係を持つ重要な法律でありますだけに、かりにこれを改正するという場合には、よほど慎重な用意をもって、十分なる検討を加えた上でなければ、軽々に取り上げるべきものでない、かように考えておるのでございます。与党の一部の方々に、警察官職務執行法を改正してはどうかというような意見の持主のあることは、私も承知をいたしております。私ども第一線の警察職務執行の実情にかんがみまして、かねがねいろいろ研究をいたしております。そうした研究の結果に基き、国民世論といたしましても、警察の職務執行はかくあってもらいたいという要望があり、当然それに即応するために、何がしかの改正を必要とするというような段階が参りますならば、その際は考えてみたいと思っております。
  37. 北山愛郎

    ○北山委員 その職務執行法に関係して、御承知のように最近全国の各地の警察官の職権乱用と、いいますか、拷問等の事件があちこちで起っておるわけであります。もしも職務執行についての規定考えるというならば、やはり警察官のそういうような職権を乱用するということを防止するような何らかの工夫がなければならぬと思う。そういう点もあわせて職務執行法その他において検討しておるかどうか、何かの方法によって警察官の間違った職務執行、職権の乱用なり拷問なりが起らないようにする工夫をお考えになっておるかどうか、これをお伺いしたいのであります。
  38. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 警察官が職務を執行するに当りまして、権限を乱用して国民の人権を侵害するというようなことがあってはならぬことは申すまでもないことでございます。この点に関しましてはかねがね私どもは第一線の警察官諸君に絶えずその心構えを十分徹底するように指導すると同時に、あらゆる機会にそうした関係の法令の周知、徹底をはかり、権限の行使に当って行き過ぎのないように指導、教養に努めておりますと同時に、不幸にしまして数多い警察官の中にいわゆる行き過ぎがあり、職権乱用と目すべき不祥事を起しました場合には、これに対する責任の追及をして、当該警察官のみならず、その監督の立場にある者の監督の不徹底のゆえに監督責任も追及するというふうに厳重にその反省を促し、将来再びそうしたあやまちを犯さないように指導に努めていく、こういうふうにいたしておるのであります。今後ともこの点につきましてはさらに一そう徹底を期して、いわゆる職権の乱用というようなことのないようにして参りたい、かように考えております。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは職務執行法についてはほかの警察関係の法令と同じような研究はしておる、しかしこの国会においては現在まで出されました警察関係の諸法案警察としては提案する計画のものであって、今後職務執行法を出す意思がないと考えてよろしゅうございますか。
  40. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 ただいまお答えいたしました通り問題はきわめて重要な問題と申しますか、国民の権利、義務に関係を持つ重要な内容法案でありますだけに、私どもはさらに慎重な検討を続けたい、かように思っておるのでございまして、将来具体的にいつどうというようなことは、ただいま明言することは差し控えたいと存じます。
  41. 北山愛郎

    ○北山委員 次に、これはこの前の委員会で川村委員からも質問があったのでありますが、現在の警察庁と都道府県警察との関係、これは警察法改正論議の際にもずいぶんやかましく言われたことであります。大体三つの方法で、現在は二つといいますか、警視正以上の人事を中央で握っておる。もう一つ警察法第三十七条の例の国庫支弁金、いわゆる金の面で押えておるということなのでありますが、さらに第五条の国家公安委員会の所掌事務、いわゆる警察庁のやるべき任務の範囲では、警察庁は都道府県警察を指揮監督ができるという規定になっておるので、その第五条に掲げられた各項目の関係については、実は多少明確を欠く点があるわけなのであります。これは警察法の審議の際に昭和二十九年の国会においてずいぶん論議をされましたが、実は明確を欠いておる。そこで今申し上げた国庫支弁金の問題でありますが、これは一体今までどのように使用され、配分され、運営されておるか。一応法令上はある程度わかっておるのでありますが、昭和三十二年度あるいは昭和三十三年度の予算において、警察庁予算の中で、都道府県警察に国庫支弁金として行くものはどの程度にあるものか。昭和三十二年度はどうか。これは今お答えが願えるならば御説明を願いたいと思います。
  42. 坂井時忠

    坂井政府委員 国費で各都道府県警察に必要な経費に、どういう支出をしておるかというお尋ねだと思います。これには二つございまして、一つは都道府県に対する補助金でございます。都道府県警察活動に必要な費用のうち、大体常識的にいいまして半分ほどの補助金を出しております。もちろんこの補助金の内訳はいろいろに分れておりまして、それぞれの項目について補助をいたすわけでございますが、これが今年度、すなわち三十二年度におきましては約三十四億弱になっておるわけでございます。今御審議を願っておりまする来年度の予算におきましては若干減っておりますが、これは通信関係専用料が当然減になりますので、実質的には今年度並みの補助金ということになろうかと思います。  そのほかに国費で支弁するものは警察法の施行令の中に書いてあるわけでございます。これはいろいろございますが、一口に申しますと、国を単位とした国家的な犯罪というものに要約できようかと思います。それらの費用は、今年度につきましては、今手元に資料がございませんが、来年度におきましても、各項目に分れておりますので、後ほど資料としてお出しした方がかえっていいかと思いますので、そうさせていただきたいと思います。
  43. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは、その補助金は別として、国庫支弁金ですが、それを今の施行令の各項目に分けて一つ資料としてお出しを願いたいと思います。  そこで、実はこれは昭和二十九年の場合にもずいぶん論議しましたが、地方財政法の第九条では、地方公共団体及びその機関の事務に要する経費は、原則としてその団体の負担になるのです。ただ例外として、いろいろな事業の種類によって地方財政法では、それから以下数条にわたって各項目があげられておって、この分については国も一部負担するんだという例外がずっと書いてあります。その中には、警察のことはないのですね。だからどうも地方財政の建前からすれば、国庫支弁金は非常な異例であって——異例であるばかりでなくて、好ましくないのではないか、原則違反じゃないか。と申しますのは、たとえば警察通信なりあるいは装備なり、そういう経費にしましても、県費負担のものと、国庫支弁金によるものと両方あるでしょう。一体どういうふうにして、この予算を運営するものか。府県としては、予算を計上するときに、警察装備についてはこれだけ、通信についてはこれだけ、給与についてはこれだけ、あるいは犯罪捜査活動についてはこれだけというような所要経費を組むのです。だから組むときに、一体国費の支弁金がどのくらい来るかということが頭の中になければ予算は組めないわけです。さしむきのことを言えば、この三月に県は予算を組むわけです。あなた方の方からまさか来年の予算の国庫支弁金の配当について、各項目についてどれだけどの県でやるかということはまだきまっていないでしょう、まだ予算がきまっていないのだから。それでどうして正しい予算の経理、運営というものができるのですか。そういうところから考えても、国費の支弁というものは都道府県警察の所要経費の一部を府県予算を通じないで、国の金を国家公務員である地方警察官に渡している。そこで府県の経理を通じないで運用するということは、これは原則的に悪いのではないですか。どうなのですか。
  44. 坂井時忠

    坂井政府委員 国庫支弁金で支出する項目は、御承知のように警察法の施行令で内容がきまっておるわけでございます。従いましてこれらの費用は国費で出てくるのだ、そういう以外の費用を県費として出すのだ、こういうことでございますので、おのずから県の方ではどういう予算を県費で組むべきかということはわかってこようかと存じておるわけでございます。
  45. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし犯罪捜査の経費にしても、これはわかるようでわかっていないのです。その人件費はどうだ、日当はどうだというようなことになって、ある種の犯罪の捜査費をきちっと計算できますか。できないからこれは当然両方の経費が重なってくるのです。同じ警察なのですから。たとえば砂川の事件について、これはやはり国費も出しておるでしょう。ところがおのずからわかるものではないのです。区分しがたいものが現われてくる。従ってそういうものは一体として所要額というものを予算に置き、また経理をしていくというのが正しい財政運営のやり方であって、一部は国でもってやる。それも府県予算経理を通じないのですよ。出納長が扱っていますか。都道府県ではこの国庫支弁金をどんなふうに経理をしているのですか。これは財政法違反だとも言える。どういうふうな取扱いをしているのですか。
  46. 坂井時忠

    坂井政府委員 ただいま申し上げましたように、国費で出す費目は大体わかっておるわけでございますが、犯罪が起った、それが国費の犯罪か県費の犯罪か、通俗的に言いますとそういうことになると思いますが、これは捜査してみなければわからぬということは御指摘通りであろうと思います。しかしながらある程度参りますと、これは国費の事件である、あるいは県費の事件であるということはわかるのでありますから、そのような区分の仕方でやっておる、こういうことでございます。  それから国の支弁金を府県にやりました際にどういう取扱いをしておるかというお尋ねでございますが、これは国費でございますので、やはり国家公務員である本部長が支出官となる必要がある。こういうことで本部長が支出官として仕事をしておるわけでございます。ただ実際的には県の方といろいろ連絡をしまして、国からこういうふうに来ておるということで、内部的な連絡の上、遺憾のないような措置をとっておる次第であります。
  47. 北山愛郎

    ○北山委員 まあ都道府県警察に支出官を置いている、金の出納はどうしているのですか。しかもそれは都道府県の中央でだけ金が経理されるものではなしに、関係警察署はどうするのです。警察署員というものは地方公務員なのです。地方公務員が国の金を扱うのですか。出納しているのですか。それでどうするのですか。言うまでもなく国の金を地方公務員に扱わせるのですからね、これは財政上おかしいです。しかも財政法の第九条には地方団体の団体及びその機関、その機関というと公安委員会もそうなんですが、警察の方も地方財政法の原則からいえば、都道府県予算から出さなければならないのです。法律できめてあるからいいようなものの、そういう財政法違反をすると、実際問題としての運営も困るから、あの際にもいろいろ申し上げたので問題は今でも残っておる。こういうやり方はいかぬと思うのですが、長官はどう思いますか。
  48. 坂井時忠

    坂井政府委員 長官にかわりまして私から答えさせていただきたいと思いますが、確かに御指摘のような点は変則といえば変則であろうかと思います。しかしながら警察の特殊性に基きましてそういう取り扱いをしておる。たとえば各府県警察官は全部地方公務員、警視正以上一部国家公務員を除きまして全部府県の吏員であります。しかしその府県の吏員を警察本部長が任命しておる。国家公務員である本部長が任命しておるという、ほかには例のない取り扱いをいたしておるのでありまして、やはりこれは警察という特殊性から来た警察法での特別な取扱いであるというふうに御理解をいただくほかないと思います。
  49. 北山愛郎

    ○北山委員 警視正以上は国家公務員ですから、それは給与は国の方から出してもいいでしょう。しかし警察運営のいろいろな費用、捜査の費用などは都道府県予算で組んで一向差しつかえない。しかも補助金という制度がございます。その補助金で適当に加減すればその方が運営がうまく行くのです。わざわざ警察庁予算を握ってこれを分けてやる。府県の方はあずかり知らない。へたすると公安委員会も知らないかもしれない。そういうふうなやり方では、予算というものが機密的に扱われる危険性もあるわけなんです。この問題は長官もうまい御答弁ができないようでありますが、私はさらに警察法の施行令というようなものを調べてさらに詳細お伺いいたしまして、こういう制度はぜひ直していただかなければならないと思っております。なお地方財政法等については自治庁の担当者にも来ていただきまして、この両者の矛盾を解明しなければならないと思っております。  それから最後に一点お伺いしておきますが、いわゆる監察を要する事項というのが今度警察庁、国家公安委員会の任務の中に入っておるわけですが、説明を見ますと、従来からやっておったのであるが、ただ明確にしただけだというのですが、従来どういう監察をしておったのですか。
  50. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 警察庁の所掌事項に関しましては、私が都道府県警察を指揮監督する権限を与えられておるわけであります。警察庁所掌の事項に関しまして都道府県警察の実際運営が適正になされておるかどうかということは、私といたしましては十分にその実態を把握しておらなければいけないと思うのであります。よく国会の当委員会等におきましても、各県に起りました事案についていろいろ御批判をいただくようなことがあるのでありますが、そうした実態はやはり私といたしましてはよく調査をいたしておきませんと、責任あるお答えができないことになるわけであります。そういう意味におきまして都道府県警察の運営の実態がどういうふうにあるかという実態を調査するということは、所掌事項に関する限りにおいては、これは当然に許されることであろうと思うのでありまして、従来法文の明確なものがありませんでしたけれども、これは当然にそうしたことはあってしかるべきものである、かように考えておりますので、今回の改正を機会に、その点を法文の上にも明確化して置こうというに過ぎないのであります。
  51. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると形の上で監察に関する事項を入れますと、監察官みたようなものを置くわけですか。
  52. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 現在も監察官というものを、本庁においては若干置いております。
  53. 北山愛郎

    ○北山委員 今のような監察というのは、従来もやっておったということになれば、警察法の第五条のどの事項によってやっておるわけですか。
  54. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 先ほども申しました通り、現行法においても監察ということは当然できるものであるという私ども解釈でございます。私の権限に属する範囲において、部下の職員のうち、しかるべき者を監察官に任命いたしたのでございます。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 第五条の第二項に列挙してある十二の項目がありますが、その問題については確かに指揮監督権があるのですから、それはできるわけです。ところがそれに書いてあるのは特殊な大規模な災害にかかわる事犯だとか、地方の静穏を害するおそれのある騒乱だとか、そういう特殊の場合以外には直接には警察運営は関係しない。問題になっているのは警察に関する制度の調査であるとか国の予算であるとか、あるいはまた教養施設、通信施設、鑑識施設、皇宮警察、犯罪統計、警察装備、これは警察運営というよりも、装備とか技術的な事項なんですが、問題になるのは十一の職員の任用、勤務及び活動の基準ですね。もう一つは十二号の警察行政に関する調整、これを今までやったとすれば十一及び十二——技術的事項についての指揮監督はいいですけれども警察運営についての指揮監督ということになれば十一号、十二号というところでやっていたんじゃないか、こういうように解されるのですが、それでいいですか。
  56. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 お説の通り、第五条第二項の十一号「警察職員の任用、勤務及び活動の基準に関する」これにつきましても警察職員の任用についての基準を、私どもの方で都道府県の方に示しておるわけであります。その基準通りに実行されておるかどうかというようなことは、やはり実態をよく調査して、基準が守られておるかどうかということを十分調査する必要があろうかと思うのでございます。問題はむしろ十二号のいわゆる警察行政に関する調整範囲、この範囲に属する事項について中央のわれわれの方から第一線の実情を調査し、またそれに対しどの程度の指揮監督をするかという問題であろうかと思うのでありますが、御承知のように、連絡調整事項というのは、いわば都道府県が主体的に行う権限を持っている事項について全国的な見地から見て、ある一定の方向に向って、各府県がまちまちでないようにあることが望ましいという意味におきまして、中央においてコントロールをするという性格のものでございます。その意味におきまして実際的には都道府県本部長が、本来の権限として持っておって執行する事項につきまして、中央の私どもの方におきまして全国的な視野に立って、それをある程度の方向に調整をするということでございますから、厳格に申しますならば、われわれがこういうふうにしたらどうかというアドバイスをするのに対して、本部長は参考までに承わっておくと言われても、法律的にはそれ以上追及はできないという性質のものであるかもしれません。しかしながら今日幸いに各府県警察運営の実情は、私ども中央と第一線の本部長とお互いに話し合い、納得ずくで円滑に日々の業務が運営されておるのでございまして、この調整に関する事項につきましても、われわれがいろいろ第一線の方にアドバイスすることにつきましては、第一線では誠意を持って警察運営の適正化のために相互努力をいたしておる、こういうことになっておるのでございます。これをやかましく監察を、いわゆる非違を糺弾するというような狭い意味に解して、そして本部長が当然主体的に行い得ることに対してまで、中央がやかましく目を光らして、はしの上げおろしまで、これに注文づけるといったようなことまでやるのではないかというふうに御懸念を持たれるならば、われわれはそういう行き過ぎたことはしようとは考えておりませんので、御安心を願いたいと思います。
  57. 北山愛郎

    ○北山委員 すでに第五条の各項目は運用によっていろいろに変るおそれがある項目でありますが、少くとも今度の監察に関する事項を入れたのは、第五条の第二項の列記事項を正しく行われておるかどうかということを監察する範囲において行うものである、すなわち一般的な警察運営については直接監察するものではない、こういうふうに了解していいものか。たとえばこの中に書いてある警察の教養に関する事項、通信に関する事項、それから鑑識に関する事項、そういうものが正しく設備され、運用されているかどうかということを監察するあるいは警察官の任用、勤務及び活動の基準というものが正しく守られているかどうかを監察をする、直接勤務状況を監察するというのでなく、基準が正しく守られているかどうかということを監察をする、こういうふうな範囲に解するのが正しいのではないかと思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  58. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 お説の通り、要するに警察行政の全般の合理化、適正化をはかるという意味におきまして、第一線の警察行政がどういうふうに運営されておるか、その実態をながめ、われわれの権限に属する範囲において警察行政を適正化するために改善すべき点があれば、それの注意を喚起し、必要な措置をとって適正ならしめるようにしていくということになるわけでございます。必要以上に本部長の行うことに対して制肘を加えるというようなことは毛頭考えておりません。
  59. 北山愛郎

    ○北山委員 あとの問題は次に保留しておきますが、ただ先ほど長官のお話の中にちょっとあったので申し上げたいんですが、それは委員会等でいろいろ地方警察の運営について文句が出るので、従って警察庁としても責任上いろいろと地方の運営上タッチしなければ役目が勤まらぬのだ、こういう御答弁だったようですが、それはわれわれとしてもある場合には都道府県警察の運営の問題を国家公安委員会なり警察庁の責任があるというふうにして、行き過ぎて追及する場合もあるかもしれませんけれども、それはあくまでそれぞれの委員の錯覚なりその場の言葉の問題でございまして、建前としてはそれだからといって警察庁は都道府県警察の運営について全責任を負うものだということを認める趣旨でないということを言いいたいんですが、警察庁長官の方でもよくお考えになってやっていただきたい。これをもちましてきょうの質問は終ります。     —————————————
  60. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 次に地方自治に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますからこれを許します。中井徳次郎君。
  61. 中井徳次郎

    中井委員 きょうは兼子選挙局長が見えておりますから、福岡県のリコールの問題について一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。  この問題は今、単に一府県の問題でなくして、全国的に非常な政治的な批判を受けているものでありまして、この間、私現地に党を代表して一応の調査をして参りました。ところがいろいろ問題がたくさんございまして、とうてい半時間や一時間では、これはお尋ねをしてもなかなか結論も出ないこともあろうと思いますが、このリコール問題を大局的な観点から、私はこの際考え直す時期にきておるんじゃないか、特にその手続等におきまして、まことに煩瑣きわまりのないものでありまして、特に選挙というようなものはきわめて公正でなければならぬにもかかわりませず、手続に藉口いたしまして、リコールの相手方は現職の知事でありますので、そういう面におきまして非常に行き過ぎがあるようにも思われるのであります。従いまして本日のところ——この質問は私二回、三回と研究をしながらやっていきたいと思うのだが、本日はその第一日といたしまして、あまり時間もありませんから少し伺ってみたいと思います。  まず第一に、署名が終りましてからのその審査の中の喚問状の問題でありますが、リコールの署名人を呼び出しまして、あなたはこれはほんとうに署名したか、捺印したかということを聞けばいいのでありますが、それについてまことに詳細な罰則を麗々しく印刷をいたしまして、出頭しないときにはどうなる、あるいは偽証した場合にはどうなるとか、非常にどうもむずかしい文言でもってこれをやっておられるのでありますが、こういうものはぜひこういう形の喚問状というようなものを作らねばならぬものであるかどうか、この点が第一点であります。  それから第二点は、審査の期間であります。これは先日も私個人の資格で自治庁の意見も聞いたことがあるのでありまするが、署名が終りますと審査の期間が二十日間ということになっておる。従って原則的には二十日間で審査の終了を見にゃならぬ、それに努力をせにゃならぬ。ところが現実の問題としてたとえば人口五十万を擁する福岡市のごときは、二十日間ではなかなかできない、従ってそういう場合には実際問題として少々延びてもやむを得ないであろう、こういうような自治庁の見解でありました。私どもももっともだなと思って、そのときはそうですなというふうなことでありましたが、現地を見て参りますると、その説が深く下まで流れてしまいまして、十日もあれば、あるいは一週間もあれば十分調査ができるにもかかわりませず、一日一人ずつ呼び出してやろうか、まあ五人ずつくらいしようかということで、二十日たちましても半分も済んでおらぬ。署名人は一体何人おるんだと言ったら、五千人くらいだ。知事の方はどうかといいますと、リコール運動が起りますと、こういうものは県費を乱費するものであるといって、盛んに逆宣伝をしながら、一たび決定をいたしまして九十万近い署名者が出ますと、この調査には幾ら金をかけてもいいからゆっくり調査をせい、幾らでも県費を出そう、こういうまことに政治的な行動が多過ぎるのであります。そういう意味からいいまして、私はこの審査の期限等についてこの際中央のはっきりした態度を伺っておきたいと思います。まずこの二点について伺っておきます。あと五十項目ぐらいありますから、まあぼつぼつ聞いていきます。
  62. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。福岡県のリコールの調査につきましては、ある社会党の市長が、市役所の構内に無断でリコール相談所というものを設けまして、そこで種々の示唆を与える、あるいは喚問されたものに対して出頭しなくてもいい、あるいはそれはこう答えろというようなことを指示をしているといううわさがあり、現に私たちも市役所の構内に無断で建っておりますリコール本部からの相談所というものをこの目で見てきたのです。かかることはいかに卑劣な妨害行為かということがわかるのですが、これは法に触れないものかどうか。私も何十かの質問をいたしたいと思いますが、まずこの手続の公正ということが問題になっておりますので、その点についてまず第一の質問をいたします。  それから第二の質問は、選挙管理委員の手当や夜食料等は、これは法律によりまして市町村が市町村の選管の経費として支弁すべきことになっております。しかるにもかかわらず、この経費の支出は直接市町村の運営に関係ある経費でない、またもし市町村議会に出したら否決されるだろうというような宣伝がありまして、そうしてこれら必要経費を十分に支出しない、その議会にもかけない、よってもって十分に正確な調査をすることをわざと懈怠したる場合におきまして、かかる行為は法に触れるものだと思いますし、またそれの無効の原因にもなるのではないかと思いますが、それらの点についての現行法上の解釈をお願いしたいと思います。
  63. 中井徳次郎

    中井委員 加藤さんの関連質問けっこうでありますが、私の質問に対してお答えをいただいて、ある時期で関連質問してもらわぬと、答弁がないうちから関連質問されては私は進めるわけには行きませんよ。
  64. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 お答えいたします。リコールの署名をしたかどうかという事実の審査につきまして、署名人を呼び出しまして実情を把握するという手続は当然踏まなければならぬと思うのでありますが、この場合に、ただいま御指摘の点は、喚問状に法規の制裁等の規定を書いておるのは行き過ぎじゃないか、このような御趣旨の御質問でございますが、これは自治法の七十四条の三の第四項の規定によりまして、民訴二百七十六条を準用いたしております。民訴の二百七十六条の規定は、呼出状の記載事項ということでございまして、「証人ノ呼出状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者ノ表示 二 訊問事項ノ要領 三 出頭セサル場合ニ於ヶル法律上ノ制裁」、法律上はこの規定が準用になるのでありますが、いかなる程度の審査をするかということは、選挙管理委員会の決定すべき権限であります。どうしてもそういう手続をとらなければ実態がつかめないという判断をいたしました場合には、当然そうすることが必要であろうとも思うのでございますが、これは選挙管理委員会の判断すべき事柄と存ずるのでございます。  二番目に審査期間の法定期間が二十日間というのは一様で画一的であって、都市方面においては実際の場合にも非常に長くかかる。この場合、長くかかってもやむを得ないのだということに籍口して長く延びておりはしないだろうか、このような御趣旨の御質問でございましたが、この二十日間というのは法定期間で、この期間にやる、これは少し理想は単純過ぎるといえばそのきらいはございますが、審査をできるだけ早く済まして、次の手続の段階に進ませる、リコール紛争を早く解決をはかるという趣旨から申しまして、二十日間の期間が法定をされておるのでございます。しかしながら、実態を見ますと、やはり署名の真実追求におきまして、都市方面におきましては署名人の数も多く、とうてい二十日間ではできないのは事実でございます。将来の立法の段階におきまして、人口段階別に期間の差異を設けるかどうかというような技術的な点はございますが、私どもの指導といたしましては、二十日間という期間が法定されている以上、できるだけ早く処理をしていただくというように指導をいたしておるのでございます。  それから、これに関連して先ほど加藤委員から御質問がございましたが、ちょっと聞き取れなかったのでございますが、リコール本部を設けていることが法律上差しつかえないかということが第一点でございますか。
  65. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 市役所構内に、召喚せられますところの証人の出入りする出入口にリコール本部の職員が数名机を持ち出して、そこで待機しておりまして、入ってくる証人に対して一々話をしている。これはあるいは尋問されたらありのままを答えよという非常に好意のある、義務を尽せという御指導かどうかかもしれませんが、そうでないかもしれないのであります。常識上ばかりでない限りはそうでないと推定するのが普通でしょうね。これは、私の見た市役所では十ばかり設置されてありまして、それがいろいろ話題になりますと当時どこかに退散してしまいましたが、そういうような現実があるのです。これからいろいろ中井委員も御質問されるようでございますから、私もよく視察しました豊富なる経験に基きましてお尋ねし、御報告したいことがございますが、民主主義国家におきましてこういう無断で住宅侵入して、そうして法律に違反することを指導するというようなことがもしありとするならば——あるとは言いません、ありとするならば、これはきわめて遺憾なことでありますので、もしそういう事実があるならば、これが法に触れるかどうか、また選挙そのものの実態に何らか影響がないかどうかということをお聞きしておるのです。これが第一の質問であります。
  66. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 市役所の構内の一部にリコール本部がリコール相談所を設けて、相談ないしは出入する市民に対して威圧的な空気を与えている、それが法規に違反しないかどうかというお尋ねと思うのでございますが、市役所等の構内にそのような施設をいたしますことは、これはその公共団体、市町村長の管理権に基く問題で、法的根拠は管理権の問題だと思うのでございます。それで無断でやりました場合には、その市町村長が立ちのきを請求されるのが至当ではないか、このように考えます。公法上は現在そのような規定はないと思うのでございます。それから公選法の自由妨害の方は、罰則は必ずしも準用になっておりません、これには該当いたしません。ただ自治法の罰則の規定に該当するかどうか、これは態様いかんによって必ずしも該当しないとは言えないと思います。
  67. 中井徳次郎

    中井委員 私少し筋を立ててお尋ねしたいと思っておったのですが、関連質問等がありますので、少し具体的な事実なんかも入れて申し上げてみたいと思います。たとえば審査をいたします場合に、これは選挙管理委員会がもちろんやるべきものですが、ところが選挙管理委員が一名もおらぬ、ただ下の事務の者だけが審査をしておるというふうなことは、私は違法な措置ではなかろうかと思うのですが、この点を伺っておきます。     〔加藤(精)委員「委員長、私の質問答弁していない」と呼ぶ〕
  68. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、選挙管理委員会で審査をいたします場合には、選挙管理委員会が全員そろうことは原則であります。全員そろった委員会の決定によりまして、大勢の人を審査する場合に、担当して審査するということは適法と思うのでありますが、選挙管理委員が審査をしなければならぬ。ただ事務局職員が準備をするということはあろうかと思いますが、審査そのものは選挙管理委員がやらなければならぬ、このように解釈しております。
  69. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 先ほどの加藤君の質問に対して、政府委員の方で趣旨がわからなかったそうですから、もう一度質問して下さい。
  70. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 私も中井先生に怒られるとちょっと都合が悪いのですが、関連質問は、中井先生の質問全体が終ってから質問したいと思いますので、その点におきまして、どうも数日間ある事件だけについて審議するほど地方行政は委員会の日数が多くないものですから、そこのところ適当に御調整いただきまして、御質問全部終られましてから、私が質問することにいたします。ただいまの問題は関連しておりますから、ちょっと申し上げますが、経費の出所について、県知事が金をよけい出してもいいと言ったり、県費の乱費だと言ったりすることに関連して、今度は市町村長の方から——若干関連がありますので、全然関連のない質問ということはできません。それで申し上げますが、ある市町村に参りますと、県知事のリコールであるから、これは直接町村住民の問題に関係ないから、町村行政に関係ないように思うし、相当の金がかかる。法律では市町村の選挙管理委員の手当とか夜食料とかは、市町村が支弁すべき法律規定があるんだ。そこでこれを市町村長に要求したところが、予算を組んでくれない。市町村長の側でも、これは議会に出したって否決されるだろう。どっちかというと革新派の多いような市町村で、そういうことを言うているのを見聞したのです。そういうふうにして審査を公正に執行するのに必要な経費を出し惜しんで、それによって適正な審査ができないという場合において、そういう経費を支出せざることが原因になって、選挙の公正が傷がつくと私は考えるのでございます。そういう場合に、問題を分けて考えれば、選挙管理委員長が市町村長に対して経費を要求したときに、それを提案せざる行為は、市町村長の行為として適法でないと思うのです。これは法律に触れると思いますが、その点についてどういうふうな法令にどう触れるか。これは公職選挙法や地方自治法や地方財政法に関連してのお尋ねでございます。それから、そういうふうなものが公職選挙法のこの取締り法規には影響しないかどうか。それから公職選挙法ないし地方自治法のリコール手続——今選挙と申したのはリコール手続のことでありますが、リコール手続の公正を害する結果、これが解職投票そのものの結果に異同を生ずるおそれがあると思いますので、これが公職選挙法でいえば、いわゆる選挙の効力、解職投票の効力に影響を来たさないかどうかという点でございます。これは事務的にはごく微妙な関係にあると思いますので、地方行政の問題として勉強しておきたいので、お尋ねします。
  71. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 リコールの審査に要します経費と、市町村の選管の委員の報酬等の点につきましては、これは市町村の機関でございますので、市町村で負担をする、このように解釈をいたしております。  それから経費を支出しないということによって、投票手続の公正が阻害されるおそれがないか、またそれによって投票の効力に影響がないか、このようなお尋ねでございますが、そのような必要な予算予算化しないということによって不便をこうむるということはあろうかと思いますが、手続そのものにつきまして、その手続が投票の効力に影響を及ぼして無効になるというような法律上の問題は起らない、このように解釈をいたしております。  それから取締法規に違反しないかという点につきましては、取締法規にはそのような規定はございません。
  72. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 同じ問題についてですから……。その問題は、選挙局長は簡単に答えられましたけれども、非常にむずかしい問題だと思いますので、十分に自治庁の方で御研究になられまして、その結果を次の委員会に、もう一回表明せられるようにお願いしたいと思います。今御質問申し上げて即座に回答いただくためには、ちょっとむずかしい問題ではないかということを考えておりますので、さようお願いいたします。
  73. 中井徳次郎

    中井委員 今御答弁になりました二つの問題、さらに加藤さんがお尋ねになりました経費の件等につきましても、重ねて伺っておきたいのですが喚問状には、法によってこういうようなことを書けとありますが、しかしそれは具体的にどこまでどういうふうに書けというふうなことはございません。従ってこれは喚問状を出して、出てこないと法の制裁がございますというふうなものを書いて、それで私はけっこうだと思うのです。そういう面における思いやりといいまするか、そういうもので、国民大衆の中では、警察に呼ばれる、あるいは役場に呼ばれる罰則つきの喚問状が来るということになると、それだけでもう大へん心配をする。行きますると、ずらっとたくさん並んでおりまして、その前で宣誓書を読ませる。七十のおばあちゃんに宣誓書を読ますといったって、読めない。横の人がかわって読むというようなことで、ふるえておるというような次第でありまして、この点は、私は何も福岡県だけのことを言っておるのではございません。また将来は社会党の関係の者も大いにリコールされることもあるでありましょう。私はそういうことも予想しなければならぬと思いまするが、もう少し国民の立場というものを考えて、こういうものを作るべきではなかろうかと、実はかように思いまして聞いておる次第であります。この点、重ねてお尋ねをいたします。  それから審査の期限につきましては、あなたのおっしゃるように、できるだけ早くやると、これは法の建前からもう当然だと思うが、一つの具体的な例を申し上げますると、福岡県の柳川市におきまして、署名簿の集まりましたのは、わずか八千であります。この間行って、私尋ねましたところ、二十日過ぎに三千済んだだけである。だれを呼んでいるんだと言ったら、ほとんど女の人を呼んでいる。男はどうしたと言ったら、あそこでは酒作りに出かけるそうであります。そういう理屈は言うておりましたが、ほとんど女の人を呼んでおる、こういうことであります。その際に、ちょっと関連をするのですが、この審査をやるのは、あくまで選挙管理委員会である。しかるにやっておりますのは選挙管理委員がおったりおらなかったり、実際やっておるのは市役所の課長級がやる。その課長級はどうして君らがやっておるのだといえば、選管から辞令が出た。そういうことになって参りましたら、横におりました新聞記者が、いや市長さんがあの辞令を渡しておりましたぞ、こういうことであります。選挙管理委員会の辞令を市長が渡すというこの形が、私は法的にはもう全然ナンセンスだと思いますが、この形が私ははしなくも今の福岡のリコール問題を象徴しておるように思うのであります。厳格にいいますると、市長がそんな辞令を渡しておる。そんな辞令は有効だとは私は思いません。選挙管理委員長が渡すべきものであります。それを市長がぬけぬけと渡している。お前ちょっと選挙管理委員で手伝いせよ。辞令の内容はどうかというと、選挙管理委員長の辞令だそうであります。ですからこういう面が私は厳格に言えば、そんなものは有効か無効か問題が起ると思うが、そんなこまかいことまで言いたくありません。実際言いたくありませんが、私はここに今日の地方財政の姿があるように思えてならないのです。選挙管理委員会というものの重要性というものを忘れておる。申すまでもなく市長は地方政治家であります。市長から勝手に独立しておるものでなければ、選挙管理委員会なんというものは初めから効力がない。こういう事態がありまするので、私どもは心配をする次第なのであります。そこで審査の期限につきましては、こんなことをいつまでもだらだらとやっておるべきものではありませんから、私は本部の方から、それはもう延びてもやむを得ないけれども、これは何もやむを得ないだけの話であって、当然では決してありませんのですから、早急に進めるように、私は指令一つ出してもらいたい、これを考えるのであります。  それから新しい質問に入りますが、数地区にわたりまして署名をとる。御案内のように福岡は門司、八幡、戸畑、若松なんというものは非常に密接をいたしております。門司の街頭で八幡の人が署名をしておる。現在の法規では全部無効だ。門司の街頭でとったものは門司市の人だけが有効だけれども、八幡や若松の人は無効だと言いまするが、これはどうも法の精神からいいまして、私はその場合は門司で審査をして、そうして有効、無効を決定をして、決定をしたらその書類を一括八幡に渡して八幡はまたそれによってやる。原本は門司にある、あるいは八幡にある、こういうことにする。私は将来はこれは有効にすべきものだと思います。今でも争いは十分ある。リコール本部においては、おそらく争われることであろうと思いますが、こういう点についての見解一つはっきりお尋ねをいたしたいのであります。
  74. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 喚問状の記載事項でございますが、先ほど申し上げました民訴の規定は、二百七十六条の第三号の規定によりまして、「出頭セサル場合二於ケル法律上ノ制裁」この規定解釈法律上の制裁があるということを知らせるだけでなく、制裁の内容についてあらかじめ知らしておく、こういう法律趣旨でございます。ただそのような成規の手続をとってやることがいいかどうかという点は、これは御指摘のごとくあろうと思います。ただ法律の制度といたしましては、真実を探究いたしますために、このような制度を持っておるのでございますが、その運用いかんは今後十分注意をしなければならぬと存じます。  それから二番目の柳川市の実情についてお話がございましたが、選挙管理委員会の事務を手伝うのに、市長が辞令を出した。市の職員を応援させるのに市長が辞令を渡したというお話がございましたが、これは選管職員が専任でない場合、他から応援せしめます場合には、やはりその本来の所属長におきまして、応援命令とかそういうものを辞令を交付いたしまして、それで選管の委員長の指揮下に入って、選管の委員長が仕事を命ずる、こういう建前になろうかと思います。でございますので、実情をその点調査しなければ何とも申し上げられないのでございますが、私どもはそのような事態ではなかったかと解釈をいたすのでございます。  それから三番目に署名の収集の場合に、門司の人が八幡で署名をした。それが無効になるのは酷ではないかというようなお話でございましたが、これは制度そのものが施行令の九十二条等の規定によりまして、市町村ごとの署名簿を提出するという制度になっておりますので、その市町村の住民が署名をする、このような建前になっておる関係上、そのような解釈が出て参るのでございます。
  75. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁で柳川市の場合ですが、市長がお前は選挙管理委員会に出向しろという辞令を出しているなら、私も何をか言わんやであります。そうじゃありません。選挙管理委員長の辞令です。選挙管理委員長がお前を選挙管理委員会の事務局に採用するという辞令なんです。まことに間違っております。その点一つ
  76. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 どうもよく御指摘の事態では法律的には了解がつきかねるのでございますが、先ほど申し上げましたようなことで処理をされるべきものだ、このように解釈いたします。
  77. 中井徳次郎

    中井委員 その点はあなたの解釈は事実と違いますからそういうふうに了解してもらいたいと思います。  そういたしまして、あなた先ほどから公正な審査と言いますが、そういうことになりますと、これだけのこわい喚問状を出して呼ぶが、実際調べておるのは選挙管理委員じゃない。その事務員が調べておる。それからだれを呼び出そうかなんということについての法的な根拠は別にあるわけじゃありません。これを呼んでやれ、あれを呼んでやれ、——地方に参りますと、はっきり言えば、この人は怪しい、何で判を押したのだろう、聞いてみてやれというような、まことに主観的なことで出しておる。そういうことであるならば、私は選挙管理委員というものは尊重しなければなりませんから、選挙管理委員さん自身がおやりになるべきものである。それとこれを呼んでおけと言うておいて、実際に調べておるのは下の事務員であるということになりますと、こんがらがって参ります。この点はまた他日実際の模様によってもう一度お尋ねいたしたいと思うが、きょうは一般論をほかに一、二申し上げてみたいと思うのです。  この署名には点字を認めておりませんね。これはどうでしょうか。この点は単に福岡だけの問題じゃありません。私は将来必ず法改正の問題が起るべきものだと思いますが、点字を認めておらぬ。それにはどういう解釈をされておるのですか。
  78. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙と違いまして現在の法制上点字は認めておらないということから起っておるのでございまして、将来の問題としては研究に値する問題と思うのでございます。
  79. 中井徳次郎

    中井委員 これは法改正のときには十分に参考にしてもらいたい。こんなばかなことはないと思います。ただ選挙管理委員が、自分らが点字を知らぬから、手続がめんどうだから消しておけ、こういうことであろうと思うのですが、国民主権の大事な権利行使を盲人から剥奪をいたしておるということになりますから大きな問題と思います。それと関連いたしまして代筆も認めておりません。一般の投票の場合には正規の代筆は認めておる。しかるにこの場合は代筆を認めておらぬ。これも将来私は管理委員会などに同道をして書いてもらうとかいう方法をぜひとるべきものであろうと思うのですが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
  80. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 代筆の問題につきましても、よく検討いたしたいと思います。
  81. 中井徳次郎

    中井委員 それで私が福岡県に参りまして県の選管の発表を拝見しますと、十月十日現在におきまして福岡県のリコールの無効の率は実に二七・九%、その次の日には二四%に減っておりました。こういう大きな無効があるリコールは私は全国でほとんどまれだろうと思いますが、これまで各地で行われましたリコールの平均の無効率がわかりましたら、この際お知らせをいただきたい。
  82. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 今手元に持ち合せておりませんので、調べました上でお答え申し上げます。
  83. 中井徳次郎

    中井委員 私の記憶するところによれば一四、五%であろうかと思うのであります。どうしてこう二七%も多数の無効があるかということが問題であります。内訳を見ますと署名簿がもう全然無効だというのがあるのであります。たとえば太刀洗町は千七百十八票のうちで六百六十九票というものは冊子全部無効だ。こういう国民がせっかく署名したものを全部無効だ、これはどっか手続が間違っておるのだろうというふうなことでありまして、だんだん聞いてみますと、委任状の日付が二、三日早かったとか、あるいはあれは三人委任状を連署しておりますが、それが十二月十九日を前後といたしまして二人になりました。その日付の相違でもって二、三日のことで全部無効になったとか、ひどいのになりますとあらかじめ前から選挙管理委員会と相談をいたしまして、そうして選挙人名簿に大体合うように署名をとってくれ、とろうというふうな話がある。そしてそういう順序でとられておる。ところが実際の署名を収集する人たちはそんなこまかい法規を知りませんから、署名をとりましてから自分で改ざんをしまして、なるべく選挙管理委員会の名簿とチェックに都合のいいように直しました。二、三枚上へやったりして全部改ざんしたから無効だ、こういう形で全くペテンにかかったような次第である。そこでそれを文句を言いますと、法規だからしようがない、異議の申し立てをして下さい。これじゃ私は救いようがないと思いますが、そういう事態に対するあなた方への照会なり——実態はよくわかっておるのですか。まずそれを伺ってみたい。
  84. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 署名のとり方の問題につきまして委任状の日付が誤まったり、あるいは三人の請求代表者が二人になって、二人ですべきであるというところに三人書いてあったために無効となった。これは今回のリコールの事例におきまして、請求代表者が御承知のごとく十二月十九日に一人他の市町村に移転いたしました関係上、請求代表者となり得ないということからそのような事態が起ったのでございますが、そういう特殊の問題が一つからんでおりましたので、さらに複雑になっておるのでございますが、今回のリコールは御承知のごとく県段階のリコールでございまして、従来のリコールは市町村の段階でございますので、その様相におきまして非常に違うのでございます。従ってそういう面から手続等の関係で無効率が高くなるということは考えられると思うのでございます。また選管の執務をおもんぱかって、その便宜のために改変をしたのが法規に違反して無効になったというお話がありましたが、これは署名簿の形式によって審査をいたしまして改変がされておるということになりますれば、これは正規の手続によったものでないというような推定を下すというようなことはやむを得ないのではないか、このように考えておるのであります。いずれにいたしましても現在のこの法制をもっていたしましては、府県のような広域の段階におきましては非常にむずかしい点が起って参りまして、将来相当考究を要する点があろうかと存ずる次第であります。
  85. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁の中で、選挙管理委員会との打ち合せに従ってやったものが、逆にそれが無効になったというのではあまりに酷だろうと思う。この点はそう簡単にやっつけないで十分調査をしてもらいたい。作為はむしろ選挙管理委員会の方にあるのだ。こういうふうにやれと言ったからその通りやったら今度はいけない。そういうことでは二割だって三割だって出てこようと思う、こういうふうに思うのであります。  それから先ほど加藤さんからもお尋ねがありました経費の問題です。私も加藤さんとあとの点で同感なんですが、知事が幾らでも金を出すと言ったって、市町村の選管なんです。知事は補助金を出すつもりなんでしょうが、そんなもの幾らでも出すと言ったら出せるのでしょうか。そういう点についてお伺いいたします。
  86. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 先ほどの署名簿の選挙管理委員会と打ち合せた上でやってぺテンにかかった、このような御趣旨の御発言がございましたが、そのようなことは私ども聞いておりませんので、よく事実を調査した上で善処いたしたい、このように考えております。  また経費支弁につきまして、知事が幾らでも経費が支出できるのかどうかというお尋ねでございますが、知事が経費を支出いたしますのは、県として支出すべき範囲ということは当然でございまして、幾らでもというわけには参らないと思うのであります。また県の負担すべき範囲に属します経費につきましては、当然市町村の請求を待って支出しなければならないものと考えるのでございます。
  87. 中井徳次郎

    中井委員 経費の点ですが、たとえばわれわれが衆議院の選挙をやります場合には、国が予算を組みましてこれを府県、市町村に流すわけです。それから言いますと今度は知事のリコールでありますから県が負担すべきものである。それならばそれの一定の基準があってそれを流さるべきものである、こういうふうに思うわけでありますが、そういう基準とか、たとえば県議会の選挙の場合には、県が経費を出してそれを市町村に流す。しかし現実には衆議院でも県会議員の選挙でも市町村はそれだけではまかなえないのであります。非常にけちけちいたしますものですから、それに足し前をしなくてはならぬというような現状であります。しかし今回の場合は府県の選挙、知事の選挙と同じような考え方で、一定の基準を設けて流すべきものであると思うのであります。そういう点についてちょっと伺ってみたい。
  88. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 県が負担いたします経費の支弁につきましては、知事の選挙あるいは県会議員の選挙等で前例があるわけでございます。県議会で今回の経費支弁につきまして予算審議をいたします場合に、当然そういう基準によって審議をされておるものと考える次第でございます。
  89. 中井徳次郎

    中井委員 それから先ほどの御答弁の中にあったが、請求人三名のうちで一人は他府県に行った、他府県ではありません。これは同県内で、たまたま住所を変更したので選挙人名簿が二つにまたがるわけです。そういう次第でありますので、少くとも県知事の選挙の場合にはこういう問題も起ってくると思うのです。それに籍口して十二月十九日以前で許さぬということになりますと、二万五千名の収集人の委任状を全部それによって書きかえなければならぬというのも大へんな手数であったろうと思うのですが、こういう問題についても将来はよく考えてもらわなければいかぬと思う。現状におきましてもこういう問題についてはやはり拡張解釈をすべきものだと思う。そうこだわるべきものじゃないと思う。こういう問題があるのです。二十日以後三人の名前が出ました。しかしそのうちの一人は消し忘れてもちろん判も押していない。そういうものが無効というのはひどいと思う。判を押してないのであります。ただ氏名を消すのだけを忘れたというのは私は有効と考えておる。あとの二人は判を押している。大変具体的なことになりますが、そういう面についての見解を伺っておきたいと思います。
  90. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 ただいまの三人のうち一人が他府県町村に転出したために請求代表者たり得ない問題でありますが、これは請求代表者証明書の交付申請をする場合に、御本人は十二月二十日以降は請求代表者になれないということを御承知であったように私ども聞いております。同一府県内に住所があります場合には、法律拡張解釈をとり得るのではないかというお尋ねでございますが、これは現在の選挙人名簿の理論からいたしまして同一市町村内でなければならない。これはリコール制度ばかりでなく選挙法を通ずる原則でございますので、それは無理だと存ずるのでございます。またそのような点は先ほど申し上げましたように御本人も御承知になっておられたように私ども聞いておるのであります。
  91. 中井徳次郎

    中井委員 先ほどの質問の審査の期限については、二十日というのがあるのですから、それよりぜひ早くやれという指令を流されますかどうですか。御答弁がなかったので承わりたい。
  92. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 審査の実際の執務の問題は、選挙管理委員会でやっておるわけでございますが、福岡県等とは連絡がございますので、御趣旨のような点は機会を見て申し伝えたいと存じます。
  93. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 私はきょうは関連質問をしないつもりでおったのでございますが、どうもあまりに事の意外なのにびっくりして質問するのでございますから、その点は御了承をいただきたい。前の約束に反するようですけれども、これを黙ってほうっておけないほどの衝動を感じたのであります。私は全国府県選挙管理委員会、市町村の選挙管理委員会の名誉のために申し上げたい。  ただいまの中井委員お話によりますと、選挙管理委員会が署名が無効になるような指導をして、その結果無効になったのだから、それは有効として扱うべきじゃないかという御議論のように伺ったのです。私はそういう指導を県の選挙管理委員会や市町村の選挙管理委員会がまさかするとは思えない。確かにそういうことに籍口して牽制をやっているといううわさは聞きました。しかしながら責任ある国会の委員会におきまして、あたかも県や市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿の搭載順序に誤刷を編成し、署名収集者が集めたのであれば、署名をとったときの誤刷の状態を改ざんして、選挙人名簿の搭載順に署名簿を改ざん編綴して提出するようにと指示し、それに従ったがゆえに罪は選挙管理委員会にあって、それは無効原因にはならぬというような次第であるかどうか。その点につきましてもわれわれは深い関心を持っておるのでありますが、私たちの調べたところによりますとそういう事実は現実にないのであります。事実がないのに、市町村の選管ないし県選管が、そういう誤刷改編を指示したというような巷間のうわさ、あるいはためにする宣伝と同じものを取り上げまして御質問になるというのは私は非常に重大なことだと思うのでございます。中井委員は党を代表してリコール手続の進行状況の御視察をされましたので、いずれの選管がそういう違法なる指示をしたか、その事実を確かめておられるかどうか、きわめてあっさりした御質問でございましたが、きわめて重大でございます、そういう指示をした選管があるならば、それは県の選管であるか市町村の選管であるか御指摘をいただきたい。この質問は、おそらく現場の福岡県の知事解職請求手続を進行しております当事者の間にも非常な関心を持たれ、また影響も与えることでございましょうから、中井委員にいかなる選挙管理委員会で、そういう違法な指示をしたかということをお尋ねいたしたい。御回答いただければありがたいのでございます。
  94. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 この問題につきましてはただいまの自治庁の答弁の中にも、まだ不明瞭な点もございますし、実態をにぎってないところなどもありますので、いろいろ御意見もあると思いますが次の機会に質問を続行してもらうことにしまして……。
  95. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと一言言っておかなければならない。今の加藤さんの御意見なんですが、私は事実を聞いております。従ってその選管は非常に困りまして、もちろんまだ結論は出ない、その問題でもめてしまって、じんぜん二十日ばかり過ごしてしまって名簿が有効かどうかということで、個人にまで当ってない、こういう事実まで私は聞いております。だから、結論は出ていませんが、そういうことで問題が起っているわけなんです。加藤君はあたかも私が無稽のことを言うがごときことを言われますが、これははなはだ迷惑なことでありますから、その点だけははっきり抗弁いたしておきます。
  96. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 果してそういう問題が起っているということであれば、それで了承します。しかしながら選挙管理委員会が誤まった指示をしたがゆえに無効になった署名は有効であるという御議論に至っては、私は行き過ぎかと考えております。それ以上私礼儀上追及いたしませんが、こういう論議は影響が非常に大きいのでございますから、十分慎重に御質問をいただきたいということをあわせてお願いいたします。
  97. 中井徳次郎

    中井委員 私の言っておりますのは、そういうことがありまするために、そうでなければ有効であるものが無効になる危険がある、そこでもめているということです。
  98. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 この問題につきましては、福岡県の各町村全般にわたって御視察になったと思いませんので、部分的にそういう場所があったかもしれませんし、なかったかもしれませんし、そういうような点につきましても不明瞭でありますので、自治庁の方においても十分調査をしてもらいまして、次の機会に十分質問をしていただきまして、その点を明瞭にいたしたいと思います。本日ば午後一時半から警察法の審議の参考のために視察をすることになっておりますので、時間の関係もございますので、最後に徳田委員。
  99. 徳田與吉郎

    ○徳田委員 私も視察に行きますので、この件についてはあらためて質問いたしますが、今中井先生の御質問の中で、選挙局長が答えられたことについて、私ちょっと質問があります。中井先生は、この審査の期限二十日間を過ぎておるから早くやれと言う。これは規定が二十日となっているから、おっしゃるのは当りまえだと思う。ただ現地へ行ってみますと、このことは非常に大きな問題になっておると承知いたしております。従って、今のように選挙局長が簡単に急がせますという言葉は、私ちょっと念を入れなければならぬと思う。現地は今非常に調査疎漏になっております。やはり規則は、訓示規定であろうとも、二十日と一応区切ってある。だから選管としては、二十日というものにこだわっていることは事実だし、お互いにやはり二十日間の照合の期間にやらすということは当りまえだと思う。ところが一方から考えると——これはこの次に聞きたいので、きょうはお答えの必要はありません。根本的に質問したいのですが、一体三分の一の署名ということをあなた方は非常に軽率に考えておられるきらいがあると私は思う。これはもっと究明してみなければなりませんが、実際自治庁からそういうことが出ているということをはっきり聞きますが、あとに、信任の投票があるからいいじゃないか、というようなことは、この三分の一の署名というものを非常に軽んじて、こんなものはいいかげんにやっておいて、あとで信任投票があるから、それで結着をつければいいじゃないか、こういう考え方があるとすれば、きわめて重大であります。少くとも三分の一の署名によって、知事なら知事、だれであろうとも、一個の人格の信任を問われる問題だから、基本的人権の最も重大な問題であると思うから、この点、もう一ぺんはっきりしていただきたい。
  100. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 お答えいたします。審査は十分審査を尽さなければならぬと思うのであります。二十日間という規定趣旨は、これは二十日間に、人口の多数あります都市方面では困難なことは考えられるのでございますが、この法定期間という法の精神から見まして、できるだけ早く審査を結了すべきである、このように私ども考えます。審査はもちろん正確にやらなければならぬと思います。でございますので、選挙管理委員会におきまして、実際の審査の計画を立て、故意に審査をおくらすというようなことがあってはもちろんならないのでございます。先ほど中井議員から御質問がございましたのは、何かそのような御趣旨にとれる御質問と拝承いたしましたので、私どもそのように答えたのでございますが、審査は十分尽さなければならぬということは決定して参りたいと思います。
  101. 徳田與吉郎

    ○徳田委員 今のはただ申し上げるのではなしに、これまで自治庁のいわゆる解釈と称するものを現地へ流した、それが非常にまたトラブルを起しておるところがたくさんあります。これは両方にあると思うのです。だから、その流し方を非常に注意してもらわないと、現地で問題になりますから、それを流される場合には、よほど現地で誤まりのないように、今言われたように、審査というものは厳正でなければならぬ。しかし故意におくらすようなことは断じて許されない。もちろんそういう選挙管理委員がおるならば、これはとんでもないことになるので、もうそんなことは言う必要はないのであって、その点ははっきりと一つ考えの上でこの問題を処理してもらわぬと、トラブルの上にトラブルを起して、さらにおくれることになりますから……。
  102. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 この問題につきましては、重大な問題でございますから、本日はこの程度で打ち切らしていただきまして、次の機会に十分に質問していただきたいと思います。
  103. 中井徳次郎

    中井委員 私いろいろお尋ねをいたしましたのは、一般的に見まして、こういうことなんです。もちろん審査は厳重にやらねばいかぬし、法規通りにやらねばいけませんが、何としましても今の日本現状から見まして、現職の知事のリコールのことであります。その府県市町村は独立しておるといいながら、やはりそれぞれ非常に密接な関係がありまするから、これは自民党の皆さんは大いに気負い立っておっしゃるけれども、現実の姿は、やはりリコールを請求しておる人たちにとりましては、非常な圧迫感を受けて、現実はそういう姿で動いておるのじゃないかと私は思う。そうでなければ現地の新聞もああいうふうには書きません。そこで私のような性格ですから、百パーセントの政党根性からこういう質問を申し上げておるのではありません。実際柳川市へ参りましたら、八千名の署名を、二十五日もう経過しております。期限は過ぎておって、二十五日たって、まだ三千名しか調べておらぬ。こういうことでは、やはり慎重に名をかりて少しだらけておるのではないか、少くともそういう気がいたしますのでお尋ねしたのですから、この点は自民党の皆さんも誤解のないようにぜひお願いしたいと思うのでございます。
  104. 徳田與吉郎

    ○徳田委員 中井先生のおっしゃることを決して誤解しておりませんが、私ども行ってみると、非常に選管の委員が困っておるという事実を見受けるのです。非常に困って、一体どうするか、二十日というものがあるのを、あとはどうするのだというので非常に迷っています。このときにまたあまり急がすような、誤解を受けるような指令が出てくると、さらにこれがまた一つのトラブルのもとになってくるのじゃないか、こういうふうに考えますから、どうぞ曲解のないように、いずれまたこの次にいろいろこういう問題を御質問申し上げますから……。
  105. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 本日はこれで散会いたします。     午後一時七分散会