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1958-02-12 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十二日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君       青木  正君    加藤 精三君       木崎 茂男君    楠美 省吾君       渡海元三郎君    古井 喜實君       渡邊 良夫君    今村  等君       大矢 省三君    加賀田 進君       北山 愛郎君    山本 幸一君  出席政府委員         警察庁長官   石井 榮三君         警  視  監         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         通商産業事務官         (軽工業局長) 森  誓夫君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 二月十一日  町村議会事務局設置に関する請願外一件(齋藤  憲三君紹介)(第七七四号)  同(林讓治紹介)(第七七五号)  同(杉山元治郎紹介)(第八二一号)  同(足鹿覺紹介)(第八二二号)  同(山下春江紹介)(第八五三号)  同外四十二件(生田宏一紹介)(第八七一  号)  同(纐纈彌三君紹介)(第八七二号)  黒坂町と根雨町の合併勧告変更に関する請願(  足鹿覺紹介)(第八二三号)  製氷冷凍事業用電力電気税撤廃に関する請願  (亀山孝一紹介)(第七九三号)  同(足鹿覺紹介)(第八二五号)  大工、左官及び板金業者事業税軽減に関する  請願矢尾喜三郎紹介)(第八七三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付し案件  銃砲刀剣類等所持取締法案内閣提出第二号)  (予)  警察法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二八号)  遺失物法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二八号)(予)  地方自治及び地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 それではこれより会議を開きます。  まず警察法等の一部を改正する法律案銃砲刀剣類等所持取締法案及び遺失物法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題として、前会に引き続き質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。亀山孝一君。
  3. 亀山孝一

    亀山委員 昨日お願い申し上げました通産当局森局長がお見えになっておりますので、森局長一つお伺いいたしたいと思います。  今回警察庁当局から銃砲刀剣類等所持取締法というのが出ております。これにつきまして昨日私はこういう意味質問警察庁当局にした。というのは、われわれが従来から銃砲刀剣取締りもさることながら、これと同等以上というか、それ以上に保安心配なのが火薬類である。その火薬取締りと申しますか、それが現在は通産省である。そこで通産当局としては、これは産業上の立場からこれが製造及び管理その他いろいろ規制をしておると思いますが、保安上の問題になると、どうも通産当局だけでは少し心配だという意味のことを申し上げたんですが、きょうは一つ局長から、現在火薬類に対して、まあいわばどういうような産業上の取締りと申しますか、それと、保安上の取締りをしておられるか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  4. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 火薬類製造譲渡所持消費運搬等につきましては、火薬類取締法というものが昭和二十五年に制定され、以来何回か改正されながら今日に至っております。もちろんこれは、それまでは明治末年に制定されました銃砲火薬類取締法というもので取り締っておったのですが、これが火薬につきましては、ただいま申しましたような法律に姿を変えたわけであります。火薬類取締法系統の法令でどういう取締りをいたしておるか、またそのほか行政指導として通産省はどういうことをやっておるかということについて、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  まず法規の内容について申し上げますと、製造につきましては製造営業許可制をしております。これは火薬爆薬等のごとき、重要なる物資の生産については直接通産省が処理しております。そのほか火工品とか、煙火の類、いわゆる軽微なものにつきましては府県がこの仕事をいたしております。そういうようにして、まず、営業開始の場合の許可制というものをしているわけでありますが、その後施設が完成して運転開始する場合には、完成検査を受けさせるということになっております。その後施設を変更する場合などは、また許可を受けさせるということでございます。それから製造方法につきましても、これは営業許可を受ける際に同時にその設備状態とともに審査をいたすのでございますが、その後製造方法が変るというような場合には許可を受けさせる。もちろん製造する火薬の種類が変った場合も、同じように許可を受けさせるようになっております。それからまたこの法律系統、特に施行規則において、具体的に製造方法なり製造設備技術上の基準を示してありますが、大体それらに基いた製造方法をとり、製造設備を設置することになっているのであります。そのほかの作業運営上のいろいろなこまかいことにつきまして、基準がその施行規則にきめられておりますが、大体そういうのを基礎にして、工場では別に運営規則というものを作っております。そのようにして一応政府事業許可したり設備許可したりあるいは製造方法許可をしたときの状態が、今後もずっと続けられるようにそれを義務ずけておるわけでございます。つまり技術基準を維持する義務というものを課しております。それからもしこれにそむいたような場合には、それを維持する命令政府は出し得ることになっております。それから工場自体としては、自主的に危害予防規程を制定して、それに従業員を従わせるようにさせなければならないということになっております。またこの危害予防規程が公共の秩序維持上非常に不十分な場合には、政府変更命令を出すことができることになっております。  次にまた作業主任者というものを製造工場においてそれぞれ設置しまして、これが工場内におきます保安監督指導を行うということになっております。この作業主任者は、国家試験を受けて合格したものに限って就任できるのでございます。この主任者にいろいろ不適当な行為があったような場合には、政府解任命令を出すことができるということになっております。そのようにして工場自身で自主的に保安を維持するという建前もとっておるのでございますが、別途政府としては、毎年定期的に保安検査というものを受けさせることになっているのであります。これは法律企業者にこの検査を受ける義務を課しております。現実には政府としては大体年二回くらい回って見ておるのでありますが、特に大きい重要な工場についてはそれ以上に及ぶことがあります。以上の規定に違反した場合には、製造事業の取り消しをする、あるいはまた体刑とか罰金とかいうふうな刑法上の処罰が課せられることになっておるのでございます。  以上が大体火薬類取締法系統規定しておる事柄でございますが、そのほかに行政指導としてやっておりますることは、各工場作業主任者等のごとき者に対して保安教育講習会政府として実施いたしております。あるいはこの火薬類取締法関係法規運営は、軽微な火薬類を作るものは府県が監督することになっておりますが、そのほかの譲渡とか運搬とか消費等についての取締り許可制とかあるいは届出制になっておりまして、これらの取締り府県が実施いたしておるのでありますが、府県の係官が年に一回くらいは中央に集まりまして、講習会と申しますか、連絡会といいますか、そういうことをやっております。  大体そういうなことをして取締りをいたしておるのでございますが、最近の事態から見ますと最近新聞紙上災害が連続して起って、非常に取締りがゆるんでおるかの印象を与えておりますが、年間の統計で見ますと、必ずしも増加しておるわけでもございませんで、むしろ三十一年、三十二年と比べてみますと、製造面におきまする災害は、若干ではございますが減少いたしておるということが言えるのでございます。しかしながらいろいろ最近の災害について考えてみますると、もっと技術上の基準を厳格にさらに科学的に精密なものに改めていく必要があるというふうにわれわれも感じておるのでございまして、この点の検討が終りましたならば、所要の改正をいたしたいというふうに考えております。
  5. 亀山孝一

    亀山委員 森局長の御説明で大略了承いたしました。ただ私どもが感ずることは、今局長が最後におっしゃったように、火薬製造場法規上の取締り等は十分できており、また行政指導もできておると思いますが、この二、三年来火薬製造場事故というものは相当出ておる、相当の被害を与えておることは私が申し上げるまでもない。結局製造場の方の問題につきましては、今私からるる申し上げる必要はないと思いますが、ただこれで心配なのは、今お話のように通産当局、あるいは県でおやりになっておるというものの、聞くところによると、県のこの方に当る職員というものはきわめて数が少い。一面火薬製造工場なり管理貯蔵所は数が多くなってきている、そういう問題を一体どうお考えか。今の産業関係のあるものですから、私は不必要にこれらに規制を加える必要はないと思いますけれども保安上の問題から考えると、どうも現在の通産当局の御方針を体して地方において現実にこれが取締りをする者の数が少いということと、その取締りが不徹底ではないか。従って私ども見解をもってすれば、かつて銃砲火薬類といってともに取締まってきたことから考えますと、やはりいま一歩警察当局との協力があっていいのじゃないか、そういう気がいたしますので、その点の御見解一つお伺いいたしたい。  同時に銃砲刀剣類は御案内のように、その所有、所持から運搬まで非常にやかましい制限がある。もちろん火薬類についてもある程度あると思いますけれども、われわれの聞いているところでは、使用した火薬の数とそれから貯蔵された数との照合といいますか、その整理あるいは使用したと称して実際には使用されておらない、ダイナマイト自殺事件等相当にあることも御案内の通り、かつてはダイナマイトを食った連中がいるくらいですから——このごろは知りませんけれども、そういうことがあり、あるいは川で魚をとるときにこれを使ったという例もたびたび聞いている。これらの使用は不当な使用だ。だからそういう点の現実使用したものとせざるものとの照合、あるいは貯蔵している管理所におけるこれの取締り、あるいはこれの運搬等取締りを一体どうやっておられるか、この二点をお伺いしたい。
  6. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 最初の現実取締り予算人員等の制約から不備を免れないではないかという点でありますが、これはおっしゃるような、そういう欠点がないとは申せないと存じます。そういう意味でこの、取締りの万全を期するためには警察当局等と緊密な連絡をとってやっていくということが必要であると考えます。われわれとしても予算と人をふやすということに努力しておりますが、御承知のような財政事情でそう思うようなわけには参っておりません。政府としては与えられた予算でできるだけ能率を上げていくということを心がけるしかありませんが、しかし警察当局との連携ということは非常に大切なことであると考えます。火薬類取締法の五十二条にも大体そういう意味規定がございまして、政府なり府県製造許可をしたり、あるいは譲渡消費等許可をいたしました場合には、これを国家公安委員会とか、あるいは都道府県公安委員会等に通報するということになっております。そういうわけで、これは両者緊密に連携してやっていけということの気持の現われだと思いますが、実際どの程度に緊密にやっていくかということは、これは運用上の問題であります。これはただいま御指摘のように今後緊密な連絡をとって取締りの万全を期したいというふうに考えます。  それから譲渡であるとか、運搬等取締りをどういうふうにやっているかという点でございますが、これは火薬類取締法にいろいろ規定がありまして、譲り渡し、譲り受け双方に府県許可を受けさせるようになっております。そして製造者とか販売者はその譲り受けの許可証を持っていない者に対しては売ってはいけないという規定もございます。そのようにして相当厳重な何重もの取締りをしているわけでございます。  それから運搬の場合は、これは一々事前に許可を受けるということでなしに、届出をいたしまして、そして運搬証明書というものを府県からとって、それを持っていなければ運搬をしてはいけないということになっております。そのほか運搬の車両の規格等につきましては、別に運輸省の系統でそれに関した詳細な規則が出ております。それから運搬行為保安上の基準といいますか、これにつきましては施行規則に一応詳細な基準が書かれております。  それから消費の場合も一応府県から許可を受けるということになっております。この場合は継続して鉱山をやっているとか、そういうふうに継続して火薬消費するような場合には、一年以内の期間で包括して許可を受けるということになっておりますが、法規上の取締りはそこまででございまして、これ以上その違反の発生を防ぐためにどうするかという問題については、府県なりあるいは政府なりで十分そういう方向に努力するというほかに、事業体内部一つ保安監督者を設置しまして、これは作業主任者といいますと製造関係ですが、取り扱い主任者というものを各企業ごとに置くことになっております。消費をしたり、あるいは販売するのに置くことになっておるのでありますが、これも国家試験で一応技術上のいろんな知識を試験して、合格した者をもって、初めて主任者に任ずるのでありますが、そういう主任者を中心にして企業体内部で取り締りを十分にやっていくということによって、危害発生防止いたしたいと思うのでございます。しかし何しろ非常に広範な分野で販売なりあるいは消費が行われておりますので、事故の絶無ということは期しがたいのでありますが、そういう方向に向って、われわれとしては全力をあげていきたいと考えます。
  7. 亀山孝一

    亀山委員 今お話を伺いまして、結局法規及び行政指導は私は今よくいっておると思います。しかし事故なんか発生した際を考えましても、とても心配になります。そこでこの点を一つお伺いしたいのですが、いかがですか。やはり銃砲刀剣類と歩調を合わす意味において、警察当局協力していく、昨日警察庁当局に聞きますと、警察庁としては罰則の適用という面においての責任を持っておる。従って犯罪発生のおそれのある場合に、結局警察当局がこれに介入する。それでは私はこういう火薬類保安上まことに懸念すべき状態だと思う。ついてはこの銃砲刀剣類等取締法ができました機会に、火薬類についてもいま一歩これを保安上の措置を講ずるという意味警察当局との協力をはっきりとできるように現在の火薬取締法律改正するような——この国会でなくてもいいですが、そういう御意思がありますかどうか。それを一つお伺いしたい。
  8. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 精神におきましては、警察当局と緊密な連絡をとって、この法規運用の万全を期したいということは申し上げることができると思います。法規改正をいたして、それを明確に書き入れるかどうかという点については、府県の詳細な実情をわれわれとしても、もう少し調査いたしたい。それをはっきり法規に書いて、ある義務づけをするほど必要なものであるかということを明らかにして、この問題については方針をきめたいと思うのでありますが、この点については、なおもう少し検討してみたいと存じます。御趣旨といたしましては、私の方は異存はございません。
  9. 亀山孝一

    亀山委員 御説明でよく了承いたしましたが、御案内のように、警察当局はこれに入るということにつきましては、どうしても明文がないと、なかなか最近警察権の行使ということがむずかしいのです。私は火薬類については何とか一つ銃砲刀剣類に準ずるように——といって産業上の圧迫をする必要はございません。ただ保安上の取締りができ得るような趣旨において、警察との協力を何とか明文化しておかれれば、今のわずかな県の職員でこれが行政指導取締りをしておられるよりも安心できるのではないか、かように思いますので、その希望を申し上げたいと思います。  おいでになりました機会に、あるいは御所管かどうかわかりませんが、次に例の液化ガス圧縮ガス、これも相当やはり危険を伴っておりますが、今これの取締りはどうなっておりますか。その点を簡単にお伺いしたい。
  10. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 高圧ガスにつきましても、高圧ガス取締法というものがございまして、その生産運搬等につきまして、大体火薬類と同じような取締り規定をおいておるわけでございます。なお火薬類にはないものとしては、容器についての厳重な検査規定があるわけであります。これは大体府県がその取締りに当っております。ただ容器検査については、いまだ中央でやっておりますが、このままこれは火薬類以上に府県取締りで大ていやっている仕事だということを申し上げます。
  11. 亀山孝一

    亀山委員 通産当局に対する質問は私はこれで終りますが、あとちょっと警察法の問題でお伺いしたいと思いますが、幸いに通産当局が見えておりますので、同僚委員から御質問もあるでしょうから、私はあとに、保留しておきます。
  12. 徳田與吉郎

    徳田委員 今火薬の問題についていろいろ御質問がありましたが、最近は家庭燃料が非常にガス化してきたようです。従って高圧容器についての取締りがもっと必要になってくると思う。今ちょっと答弁の中にありましたけれども、今家庭用燃料高圧のボンべをやはり中央検査しておられる、あるいは二年か三年に一回ずつ検査をしておる。ところが御承知でもありましょうけれどもプロパンガスというようなものはいなかのすみずみまで今入り込んで、ほとんど木炭その他と同様な燃料になっておる。こういうものを、一々容器中央へ持ち込んで検査するというのは、もうだいぶ時代に合わなくなっておるのじゃないかと思う。こういうことについて将来どういうお考えか伺っておきたい。
  13. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 容器につきましては、五百キロリッター以上のものは中央検査をいたします。それ以下のものは地方検査をすることになっております。お話家庭用プロパンのごときは地方検査をするという部類に入るものでございます。従ってただいま御指摘がありましたように、あまりひどい手数をかけるということはあるまいかと思います。
  14. 徳田與吉郎

    徳田委員 ちょっと御答弁がありましたが、実情は違うのじゃないですか。私どもの方では家庭用のあれがどれだけ入っておるのですか知りませんが、あれを中央に送らなければ地方検査ができないということでまとめて中央へ送っておるようです。そういうふうに承わっておったのです。私、金沢ですが、私の方に間違いがありますか、その辺一つ……。
  15. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいまお話がありましたが、プロパンガス容器は全部小さなものですから、府県でやるということになっておるのでございます。御指摘の例は、従って私の方としてはちょっと理解いたしかねるのでございますが、さらにどういう場所でそういうことがあったかということをお知らせ願いましたら、調査した上で御回答いたしたいと思います。われわれの一般的な考え方としましては、そういうふうにあまり微細なもので非常な手数をかけるというようなものは、なるべく地方にこれを移譲するということが正しいものであると思います。ただ地方でそういう仕事にふなれな場合にはかえって失敗をして保安上憂慮すべき事態を起すということがあってはならないというので、中央で直接検査するという建前でございますが、だんだんそういう受け入れ態勢ができるに従って、これは地方でやっていくようにというふうにわれわれとしては考えております。
  16. 徳田與吉郎

    徳田委員 ちょっと念を押しますが、私どもそれで間違いないのですが、法規では、小さなあの程度のものは地方でやってよろしいということになっておるのですか。
  17. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 そのようになっております。
  18. 永田亮一

    永田委員 爆発物のことに関連してちょっとお尋ねしますが、花火がよく事故を起して、私の方の海水浴場なんかで置いてあるやつが爆発して困ったことがあるのですが、花火は今日本の産業の中で相当輸出しておるのじゃないかと思うのですけれども輸出の振興ということと、それから製造しておるところが中小企業のような防火設備などが何もないこまかい露路みたいなところでこしらえておるものだから、火災なんかの点からも、あるいは爆発の危険の防止という点からも、十分行っておらないのじゃないかと思います。しかし今輸出相当のウエートを持っておるとすれば、今後国家的な見地からとめるわけにもいかぬだろうし、そういう関連したことで輸出がだんだんふえてきつつあるかどうか、そういう数字があったらお示しいただきたい。  それから花火爆発防止の対策のようなことをどうやっておられるか伺いたいと思います。
  19. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 花火輸出は本年度は約百万ドルに達しております。これは相当大きい金額であります。そうして最近の傾向を見ますと、年々増加をいたしておるわけでございます。そういう意味ではわれわれとしても輸出産業として重要視をいたしておるわけであります。御承知のように雑貨類は一口は非常に小さい金額でありますが、これが累積されますと非常に大きいものになりまして、三億ドル以上の雑貨輸出ということをやっておるのでありますが、そういう意味花火製造輸出につきましてもわれわれとしてもその育成について十分力をいたしたいと考えております。ただその取締りにつきましては普通のおもちゃ用花火火薬類取締法対象にはなっておりません。それ以上の大きいものだけを対象にいたしておるわけであります。これにつきましてはその製造については府県許可を、あるいは設備についてもやはり府県許可を受ける等、府県取締りを受けるという形になっております。
  20. 亀山孝一

    亀山委員 警察庁長官警察法改正につきましてお伺いしたいと思います。今度の警察法及び道路交通取締法の一部改正が出ましたことは、おそまきながら私どもは喜んでおるところでありますが、私が申し上げるまでもなく現在の交通事故は、昨年の一月から十月までに十五万件もある。しかも七千人に近い人を失い、十万に近い負傷者を作っておる。こういうことにかんがみますと、交通規制交通取締りの問題は警察としては大いに重要視しなければならぬと思うのでございますが、今度の警察庁の機構のうちに交通局というものがない。私は現在の交通事故の数及び自動車が大いに増しつつある現状から見て、むしろ交通局を設置されてはどうか、こういう感じを持つのでありますが、この点を第一点として一つお伺いしたい。  同時に、交通事故に関連して、道路交通から考えますとこの際徹底的に道路交通取締法改正される必要があるのではないか、こういう点を伺いたい。  それから交通規制取締りに関連してもう一つお伺いしたいのは、現在指定市にある市警察部というものをむしろ廃止して、県警察本部にこれをまとめて、そして交通部を設けていくという方が、私は現在の交通取締りの上からむしろ適切ではないかと思いますが、それらの三点についての警察庁長官の御所見をお伺いしたい。
  21. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 このたび警察法等の一部改正法律案を御審議願うことになりましたゆえんのものは、ただいま御指摘になりましたように、その一つを重要な重点といたしまして、最近の交通事故飛躍的増加に対処しまして、交通警察重要性がますます増しておりますが、現在警備部の一部門として警ら交通課でわずかにこの問題ととっ組んでおるような状況であっては、とうてい問題の十分な解決に当ることが困難であるということにかんがみまして、このたび警察庁の内部部局の組織を一部改編いたしまして保安局を作りまして、その保安局の所掌する重要部門といたしまして交通警察を取り上げ、また一面防犯少年問題等も非常に重要性を増しております今日、これを所掌することにいたしたのでございます。交通問題の重要性から考えるならば、さらに一段と飛躍して交通局を作った方がいいではないかというただいまの御意見でございますが、そうした考え方も確かに成り立つと思うのでございますが、私どもといたしましてはとりあえず現状より一歩前進という意味におきまして保安局を作り、その中に交通問題をもっぱら取り扱う専門の交通課というものを設けたい、かように考えておるのでございますが、今後さらに交通問題がいよいよ重要性を増して参りますような状況でありますならば、その機会にあらためてただいまの御意見のように、交通局を別途新設するというようなことも、また考えなければならぬ時期が参ろうかと思いますが、現状におきましてはとりあえずただいま考えておりますような、保安局の中に新たに交通課というものを作りまして、これに当面の重要なる交通警察の問題を真剣にとっ組まさせていきたい、かように考えておるわけであります。  御質問の第二点の、道路交通の現状にかんがみ、この際道路交通取締法を全面的に改正する意図はないか、こういうお尋ねであったと思うのでございますが、確かに最近の道路交通の状況から考えまして、いろいろ問題点があるのでございまして、道路交通取締法につきましても全面的に再検討しなければならぬ時期が近づいてきておるかと思うのでありますが、この問題につきましてはいろいろむずかしい問題もあるようでございますので、さらに十分に検討を加えて参りたい、かように考えております。  御質問の第三点の現在五大府県にそれぞれ市警察部というものがございますが、これを廃止してむしろ今問題になっておる交通警察等を、もっぱら取り扱う交通部のようなものにした方がいいのではないか、こいうお尋ねであったかと思うのでありますが、現在の指定府県における市警察部は、御承知の通り警察法改正当時、そうした必要性にかんがみて修正された点でございます。自来今日まで三年有半、市警察部というものを置いて実際の警察運営をやって参ったのでありますが、その経験に徴しますに、それぞれの市の事情が違いますので、関係府県におきましてはそれぞれ創意工夫をこらしまして、その市警察部というものを、きわめて有効に運営しておるように思うのでございまして、あるいは交通問題を中心にして運営するとか、あるいは少年防犯の問題を中心にして運営するとか、それぞれその都市の特殊事情を勘案して、この法が有効適切に運営されておるように思うのでございます。従いまして今直ちにこれをどうこうするということはいかがなものか、いましばらくこれが実際的運営の状況を考えてみた暁において、また再検討する必要があるならば、そのときに考え直してみてはどうか、現在のところかように考えておる次第でございます。
  22. 亀山孝一

    亀山委員 ただいまの長官の御説明はよくわかるのですけれども、どうも一歩前進というようなお考えですが、私は今の交通事故の現状は、先ほどちょっと統計も申し上げたのですが、最近警視庁の前にあるあの交通事故の数を見て、一歩前進どころではなくて数歩も前進してもらわなければならぬ。あまりに自重し過ぎられる。かつての警察法の騒ぎで少し憶病になっておられる。十五万件も交通事故があり、七千人の死者をすでに一月から十月までに作っておる。十万人の負傷者がある。しかも自動車はどんどんふえておる。この現在の都市交通をごらんになるとひどいものです。こういうことを考えますと、交通取締りという問題は、警察として一歩前進でなくて十歩も百歩も進めていただきたい。今の御答弁で、今度できる保安局の重要事項といわれるが、保安局の機構はあとで伺いますけれども、私は交通について前々国会でも御質問申し上げたように、交通警察官の増員の問題及びこの中の機構の問題は警察の重要な仕事として、機構もあわせてお考えいただきたいということを申し上げたつもりです。今度出た案では、率直に言いまして一歩前進です。まだこんなことで今の交通事故が減るとは思えません。今あげました人に対する被害のみならず、物件に対する被害等も考えますと、これは数億に上る問題なんだ。これはぜひお考え願いたいと思います。これは今度の議会にはやむを得ぬけれども、この次には出すくらいのしっかりした御答弁をいただきたい。  それから次に道路交通取締法改正お話しが出ましたが、この前の前の国会でも私はお伺いしたと思うのですが、最近自転車のサイクリングと同じように、自家用自動車を持つ者がだいぶふえてきた。一面これは陸運局の関係ですが、車庫のない者が道路を車庫にするというような傾向が多い。その後警察庁からの資料をいただきましたけれども、その数に現われた通り、一体陸運局が自動車を許可する場合に車庫の問題をあまり重視していない。参考に赤坂辺をお歩きになると、自動車の修理工場等の前に置いてある自動車というものはどうですか。一体あれは交通道路ですか。万一火災でもあるとどうされますか。われわれの住んでいるところを見ましても、平然と路上を車庫として置いてある。そういう点は陸運局の問題かもしれませんが、いま一応警察庁の善処を要望したい、その点の御所見を伺いたい。同時に道路交通取締法もこの次の国会くらいには一つ全面的な改正をお出し願いたい。この点に関する長官の御所見というか、意見をもう一度伺いたい。
  23. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 今回の改正案で、保安局の中に交通課を独立させる程度ではなまぬるいという亀山委員の御意見まことにごもっともでございますが、御承知の通り、最近飛躍的に増加いたしております交通事故防止の問題の解決のためには、ただ単に私ども警察取締りのみをもって問題を解決し得るものではないのでございます。これは道路交通関係を持ちます各省庁の総合施策によって、初めて問題の解決が可能である、かように考えるのでございます。従いまして、交通取締りを担当いたしております警察の専門部局のみを著しく急激に拡大強化いたしましても、決して問題の根本的解決にはならないと思うのでございまして、他の関係省庁における機構の整備、またそれぞれの施策の推進ということがあって初めて、飛躍的に増加いたしております交通事故防止が可能である、かように考えるのでございます。現在関係各省庁における施策とわれわれの交通取締りの施策とは、絶えず緊密に連絡をとりつつ、これが防止に従事しておるのであります。保安局の交通課を独立せしめるという程度では、一歩前進でなまぬるいというお感じをお持ちのようでありますが、私自身も確かに飛躍的に前進した方がいいと考える点もあるのでございますが、今申しました通り関係各省庁との緊密なる連絡のもとにおいて、問題に取り組むべき段階であり、またそうした性質のものでございますので、この際は一歩前進程度がおおむね妥当ではないかと、かように考えておるのでございます。将来の問題といたしましてはこの問題の重要性にかんがみまして、さらに二歩ないし数歩前進しなければならぬという状況に至りますならば、その際あらためて考えたい、かように考えておるのでございます。  第二点の、道路交通取締法を次の国会ででも改正する意思はないかというお尋ねでございますが、先ほども申し上げました通り、道路交通取締り関係につきましてはいろいろ問題点があるのでございまして、ただいま御例示になりましたような路上駐車の危険の問題もありますし、その他われわれが現在研究いたしております問題は、たとえば踏み切り等の通行についての安全確保の措置、あるいは交通騒音の問題であるとか運転免許制度の改善問題、あるいはひき逃げ事故等悪質事犯に対して罰則を強化する必要があるのではないかとか、今思いつくだけでもいろいろ問題が考えられるのでございまして、その他いろいろ問題点がございますので、そうした点に関しましてはさらに十分研究を加えまして、適当な機会道路交通取締法の全面的な改正ということを考えたい、かように考えております。
  24. 亀山孝一

    亀山委員 今長官のお言葉でちょっと、私は言葉じりをつかまえるわけじゃないけれども、次には二歩、三歩前進……そういうなまぬるいことでは非常に困る。先般神風タクシーのために、阿佐ヶ谷の魚屋さんがやっと手塩にかけて大きくした子供さんが死んだ事故、あの記事をごらんになって——これは交通取締りの直接の問題じゃありませんけれども、いわゆる神風タクシーなるものがどのくらいいろいろな被害を及ぼしておるか、こういうことを考えれば現在が一歩であと二歩、三歩、そういうなまぬるいことでなくて、ほんとうにこれはお互い国民のために、もう少し意気込んでもらいたい。これはあなたを別にとがめているわけでないが、少し弱い。そんなことじゃだめです。少くともこの次は十歩くらい前進のつもりで——機構の問題も、今の交通関係警察官の増員をしてもだれも何とも言いません。あの悲劇、あの損害を考えれば交通取締り警察官の増員は当然です。何もちゅうちょ遠慮される必要はない。そしてこの被害を減少させ、あの悲劇をなくするように、ほんとうにお願いしたい。  次に、ただいま保安局は交通の方に重点を置くと言われましたが、保安局の仕事は御説明の中にもあったかと思いますが、幸いに麻薬中毒、ヒロポン中毒等に関する取締りは、検察庁その他各省の協力によって今減少しつつある。しかし麻薬中毒のおそろしいことはいまさら私が申し上げるまでもないのですが、最近はこれがどっちかといえば地下にもぐりまして、ヒロポンがチクロパンにかわるとか、その他モルヒネ等の密輸入というものは相当なものです。この取締り相当やるべきだと思うし、また市街地における騒音の防止、こういう問題もほんとうにお互いの国民生活上重要問題です。こういう問題は今まで、私は手ぬるいとは言いませんけれども、もう一歩進めておやりになる必要があると思うのだが、これも保安局でおやりになるのですか、どこでおやりになるのですか。交通問題が保安局の重点だということになると、こういう問題は一体どういうところでおやりになるのですか。
  25. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 最初のお答えの際に申し上げたかと思うのでございまするが、今回私ども考えております安保局の所掌しまする事項は、先ほど来申し上げておりますように、交通問題の重要性にかんがみまして、現在警備部の一部門であります警ら交通課を警備部からはずしまして、保安局に持ってくるのが一つの重点でございます。これと同時にきわめて重要であるただいまお話しの防犯あるいは少年等の問題を、現在担当いたしております刑事部の防犯課、これを二つに分けまして防犯課、少年保安課というふうなものにいたしまして、保安局の中に置く考えを持っておるのでございます。ただいまお話のありました麻薬類等の取締り保安局において所掌いたすということになっております。
  26. 亀山孝一

    亀山委員 今の問題は大体了承いたしました。  次にもう一つお伺いしたいのですが、最近の青少年の犯罪というものはまことに寒心にたえません。私がるる申し上げるまでもない。この青少年の犯罪防止、これを補導するという点から、私はこの方面の防犯行政というものは十分考えなければならぬと思う。売春取締りも同様でありますが、こういう防犯の問題をどうお考えになるか、今度の機構ではどう重視しておられるか、その点を一つお伺いしたい。
  27. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 最近遺憾ながら青少年犯罪が年々ふえておる、しかも悪質化しておるということは、次代を背負う国民であるこれらの青少年の将来を考えて、まことにゆゆしき問題であると考えるのでございます。そういう意味からかねがね警察におきましては、青少年の非行防止につきましては特に力をいたしておるのでございます。これはただ単に警察関係する問題だけでなくして、むしろ少年の指導、教養育成という問題としまして、関係各機関が緊密に連絡をとって、この問題には真剣に取り組まなければならぬ、かように考えるのでございます。従いまして警察といたしましては少年の育成をする機関、少年を保護する各種機関と緊密に連絡をとりまして、少年の補導、すなわち少年をして非行に陥らしめないように、事前に非行を防止するという見地から少年補導ということにつきまして特に力をいたしておるのでございます。今回保安局におきまもしてそういう意味から、現在は刑事部の防犯課の一係で扱っておりますこの問題を、問題の重要性にかんがみさらに力をいたす意味におきまして、先ほど申しました通り、現在の防犯課を防犯課と少年保安課というふうに分けまして、機構、陣容を充実しましてこの問題に一そう力をいたしたい、かように考えるのでございます。
  28. 亀山孝一

    亀山委員 今長官の御説明で、今度の機構にちょっと顔を出したということは、まあ一歩前進でしょう。けれども青少年の犯罪というものは、これは最近の週刊雑誌をごらんになってみれば、私がるる申し上げるまでもない。そこで私は局ばかり作れと言うわけじゃないけれども警察庁としてはこういう問題に対しては、一応局という問題も考えるべきじゃないか。保安局というばく然とした——ばく然といっては、はなはだ悪いけれども、先ほど申し上げた交通局と同時に青少年犯罪を防止する防犯局を作らせ、このゆゆしき問題である青少年の補導に対しては、警察が一歩乗り出さなければならぬ。われわれはほんとうに憂慮にたえません。何も防犯局ができたからというので、急にこの方がどうなるということはないけれども、しかし国家がそれほど警察を通じて青少年犯罪防止に、ほんとうに力を入れておるんだということを国民に知らしめなければならぬ。それに対しての一つ長官の御所見をお伺いしたい。
  29. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 最初のお尋ねの際にもお答えしたのでありますが、交通局を独立して作るというようなことになりますならば、勢い防犯局というものがそれと並列して作られるということになると思いますが、(「賛成」と呼ぶ者あり)現在私の気持といたしましては、先ほど来申します通り飛躍的にそこまで一気に整備強化するということは、できればけっこうなことかもしれませんが、諸般の情勢から考えまして、この際は一歩前進という意味におきまして、まず保安局を作り、その中に先ほど来たびたびお話のあります重要なる交通問題あるいは防犯、少年の問題等を所掌せしめようということにいたしたいのでございます。将来情勢の変化と申しますか、さらに必要なる事情が生じて参りました場合には、先ほど来たびたびお話のあります通り交通を単独に取り扱う交通局の設置なり、あるいは少年、防犯等の問題をもっぱら取り扱う防犯局といったような構想を実現すべきものではないだろうか、かように考えるのでございます。
  30. 亀山孝一

    亀山委員 現状においては長官の御答弁でやむを得ぬかもしれませんけれども、私は先ほど申し上げたような理由で、同僚の加藤君も賛成と珍しく言うてくれましたから、ぜひこの問題は真剣にお考え願いたい。警察当局の御努力を期待いたします。  私は時間がありませんので、あと保留させていただきますが、もう一つお伺いしたい。それは警察官は御承知のようにほんとうに激職に従事しております。従ってこの警察官の健康管理、福利厚生というものは、これはもう十分考慮しておられるであろうけれども警察官に団結権あるいは団体交渉権がないのでありますから、この点は特に考えてやらなければならぬところですが、この点についての長官のお考え一つお伺いしたい。
  31. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 警察仕事がきわめて激職であることは御承知の通りであります。もともと警察官に採用する際には、きわめて健康にすぐれた者を採用しておるはずでございますが、その激職のゆえをもちまして勤務いたしております間に、病気にかかる者がかなり数多くあるのでありまして、最近の統計によりますと療養者あるいは要軽療者、要注意者、こういう者をひっくるめまして定員の約七%ないし八%、こういう状況にあるのでございます。これはまことにゆゆしき問題でございますので、こうした療養者、あるいは要軽療者、要注意者に対しまして、それぞれ部内におきまして療養の施設等を利用せしめまして、一刻もすみやかに回復するように努力をいたしておるのでございます。こうした状況から考えまして、この際警察官の福利厚生というような問題につきましても、中央といたしましていま少しく積極的にこの問題と取り組んで施策を考えなければならぬ、かように感じておるのでございます。従いまして今回の中央の機構改組の機会に、警務部の中に厚生課というようなものを作って、警察職員の福利厚生の問題をもっと積極的に推進していくようにして参りたい、かように考えております。
  32. 亀山孝一

    亀山委員 私がこの質問を申し上げるのは、どうも今警察官の福利厚生に対しての予算等を見まして、これを他の省の職員に比べますと、非常に見劣りがするのです。これは長官すべて一歩前進という、そういえば慎重かもしれないけれども、他の省とお比べになると、警察官の福利厚生という問題は非常に見劣りします。もちろんこれは地方団体の負担を考慮しておられると思うけれども、こういう問題はむしろ、地方の財政を考慮される必要はあるかもしれないが、国でみずからやっていいことです。ほんとうは国費でやるべきです。ですからそういう点も一つ考慮に入れて、激職であり、しかも伺えば相当からだを痛めておる警察官もおられるのだから、こういう警察官に対する福利厚生を、一歩前進ではなくて、もう少し二歩、三歩とこれも同様にお願いしたいと思うのです。もう一度これに対して何かお考えがあれば、この際お漏らしを願いたい。幸いに今度の機構改革で厚生課ができるということはまことにけっこうです。非常にいいことだと思うけれども、厚生課ができてもそれの使う予算の問題があるのです。ただ課だけ作ってもだめなんで、機構と一緒に予算がなければいけない。これには相当の抱負経綸があると思うが、もしあればこの際お漏らしを願いたい。
  33. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 従来警察職員の福利厚生の問題は、中央におきましては人事課の一係で取り扱っておったのでございますが、そうなりますと、勢い人事課は人事課本来の仕事に忙殺されて、警察職員の福利厚生の問題には、つい頭が十分及ばないといううらみがあったのでございます。そこで今回機構改正の際に、人事課から厚生課を独立させて、警察職員の福利厚生の問題を専門に研究せしめまして、今後打つべき手を考えて参りたい、かように考えておるのであります。今直ちに予算その他の措置はございませんけれども、新しくできます厚生課におきまして、警察職員の福利厚生の問題をいろいろ研究いたしますならば、たとえば共済組合の資金を活用して具体的手を打つということは、当然考えられると思うのでありまして、従来も警察共済組合の資金を利用いたしまして、各地に療養所あるいは保健所等を作っておりますが、そうした問題ともう少し真剣に取り組んで、研究調査をするために、厚生課が独立します際に、一そうこの問題に積極的に取り組んで参りますならば、具体的ないい施策もまた生まれてこよう、かように考えるのでございます。
  34. 永田亮一

    永田委員 石井長官に続いてお尋ねしますが、今度の警察法改正ということは、時代の進展に伴って文明が発達してきて、それに即応して改正するということで適当であると思うのでありますけれども、ずっとこれを一わたり見てみまして感ずることは、どうも全体的に何か中央集権的なにおいが出てくるのじゃないかという気がするのであります。せっかく戦後民主的になってきておる警察が、これは心配にすぎないかもしれませんが、何か非民主的な警察に逆戻りをするというような憂いがなきにしもあらずという感じがするのであります。たとえばこの第五条あたりを見てみましても、国家公安委員会とか警察庁というものが、都道府県警察を監察するというようなことが書いてあります。幹線道路の交通ということは、全国的な立場で統一的な規則が必要でありますし、また最高速度の制限というような規則を設けるということも当然のことでありまして、私も賛成であります。しかしそういう最高速度の制限とか、そういうようなことでも全部地方の方で、あるいは国家公安委員会とか警察庁の方が地方の都道府県警察を監察するというようなやり方でやっていきますと、たとえば地方には地方の事情があるわけでありまして、地方実情に即する必要があると思うのです。速度をきめるにしても、人家の多いところもあれば少いところもあるし、地方によっては観光の土地もあるし、あるいは山ばかりの土地もあるし、荷物を運ぶというだけの道もあるわけであります。こういうようなことを何か中央ですべて規制していくというような感じを受けるわけであります。そういう点がちょっと心配なのであります。  それからもう一つ、監察するといっても、地方には府県の公安委員会があるわけでありまして民主的にやっておるわけであります。何か国家公安委員会というものが、地方府県の公安委員会よりも一段えらいものであるかのごとき感じを受けるわけであります。こういう監察をするというようなことをやるのであれば、あるいは監察の別の委員会を作ってほかの機関がやるというならば、よくわかるのであります。つまり地方の公安委員会のやっておることも監察するし、国家公安委員会警察庁のやっておることも監察する、こういうことであればわかるのでありますが、国家公安委員会の方で地方の方を全部監察するというような考え方は、どうも時代が逆戻りするおそれがあるのじゃないかという懸念があるわけであります。この点についてどうお考えになりますか、まずお伺いいたします。
  35. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 今回の警察法の一部改正は、中央集権化をもくろみ、また現在の警察制度の建前に根本的影響を及ぼそうというような気持は毛頭持っておりません。あくまで現在の警察制度の根本を守りつつ、過去三年有半の実績に徴しまして、より能率的より合理的に警察運営が行い得るように若干の点を改正しようということにほかならないのでございます。ただいま御指摘のありました監察の問題でございますが、これは現行法に監察というはっきりした言葉は出ておりませんが、それを今回ただこの機会に明文化したにすぎないのでございまして、本来の監察ということは当然に現状においても可能であると私ども考えておるのでございます。と申しますのは、監察ということは、そのこと自体が一つの権限というのではなくて、これは本来の任務を遂行するためにとる一つの手段にすぎないと思うのでございます。本来の権限にむしろ付随する付随的な業務であろうかと思うのであります。すなわち警察庁が所掌いたします事務を遂行するために都道府県警察に必要な実態調査を行い、その実態調査の結果に基きまして、警察庁としてその所掌事務についていろいろ考えるべきことを考え、講ずべき策を講じていく、こういうことに相なるのでございまして、ねらいはどこまでも警察行政の全般の合理化、適正化をはかりたいということにほかならないのでございまして、それ以外に何らの意図も持っておるものではないのでございます。  また第二点の交通規則の問題にいたしましても、これは御承知の通り、先ほど亀山委員からもお話のありました通り、最近交通の問題が非常に重要となって参りまして、特に重要な二府県以上にまたがります幹線道路における交通規制につきましては、それぞれの府県がそれぞれてんでんばらばらに規制をいたしたのでは、これは非常に困る場合が起るのであります。そうした点で、全国的視野に立って、交通の円滑と安全をはかるための必要最小限度の規制を加えることを中央に留保するということに、きわめて実情に即するものである、かように考えておるのでございまして、決して各都道府県公安委員会の権限を著しく管掌して中央集権化そうという意図は毛頭ないのでございます。全国的視野に立って、重要幹線道路における限られた道路の、限られた地区における交通の安全規制のための必要最少限度の措置をとりたい、こういうことにほかならないのであります。
  36. 永田亮一

    永田委員 それから二十三条の保安局の問題ですが、これを見ると、保安局を設けようという趣旨はよくわかりますが、保安局で指導していこうというような考えのようであります。「指導」という文字も書いてありますけれども、これは、たとえば文部省なんかが教育委員会に対して指導助言をやるというようなことがありますけれども、教育委員会なんかは、なかなか文部省の言うことを聞かないからそう心配は要らないのですが、警察庁なんかが指導した場合にはこれはちょっと教育委員会なんかと違って警察庁が指導したことはすなわち命令であるというふうにとるのじゃないか、つまり指導したことが全国みな同じように必ずいってしまう。それはいいことであればけっこうでありますが、何か全国を画一的に、みんな中央でやっちまおうというような意図がある。私は与党だからあまり強く突っ込みませんけれども、こういう点がどうも懸念があるのです。どうですか、これは命令というつもりでやるわけですか。
  37. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 御承知の通り、これは第五条の国家公安委員会の権限が限定されておりますのを受けまして、警察庁の所掌事務もおのずから限定をされておるわけであります。その警察庁の所掌事務に関する限度においては、都道府県警察警察庁長官が指揮監督できるということ、これも現行法の建前であります。従いまして、保安局において、何々に関する指導をするというのも、結局この警察庁の所掌事務に関する範囲においてであります。それ以外の一切のことにわたってまで都道府県警察を指揮したり、指導しよう、こういう意図では毛頭ないのでございまして、現在の基本的建前から何ら逸脱するものではないので、その点御了承願いたいと思います。
  38. 永田亮一

    永田委員 それから次に、五十一条に北海道のことが書いてありますが、この中に、道の警察本部のある札幌方面本部は廃止する、そうして道の警察本部の直轄にするということが書いてあります。これは、人員とか経費の節減という点からは、まことにけっこうでありますけれども、やはりこういうことは、初めに私が言ったような、何か一つにまとめていこうという一つの現われのような気がしてならないのです。管理機関である方面の公安委員会を廃止するということは、どうも民主的でなくなってくるのじゃないかという心配があるわけであります。この道の警察本部の直轄にするという点について、そういう逆行的な意図はないと思いますけれども、ちょっとそういう心配がある。それからもう一つ、方面ごとに今まで警察学校があった、それを統一してしまって、道の警察学校でまとめてやる、こういうことも、よい面もあるだろうと思いますけれども、やはり北海道は広いですから、各方面の実情に即した警官を作ったらどうかという気もするのです。こういう点も、北海道というものを五つに分れておったのを一つにまとめていこうという考え方が、全部にわたっているような気がするわけです。全国的のものを何か中央にまた全部権力を集めていこうというような考えがあるのじゃないですか。
  39. 石井榮三

    石井(榮)政府委員 北海道警察は、御承知の通り地方公共団体たる北海道の自治体警察であります。北海道警察本部がその本部であるのでございまして、他の都府県におきましても、それぞれ都府県本部がありまして、その都道府県内の一切の署を直接指揮監督をいたしておるのでありますから、従いまして北海道におきましても、北海道警察本部が全道の各警察署を直接指揮監督しておかしくないはずなのであります。本来ならばそれでいいわけなのでございますが、むしろ北海道のようなあの広い地域におきましては、道本部が各警察署を直接指揮するということはなかなか困難であります関係上、方面本部というものを作りまして、現在まで五つにこれを分ちまして、それぞれの方面本部がその方面内の各警察署を指揮監督する、こういう建前になっておるのでございますが、遠隔な方面はそれぞれ現状の通りにしておく方が適当であると考えますが、道本部の所在する札幌方面におきましては、むしろ札幌方面警察本部を廃止しまして、道本部が直接指揮した方が、いわゆる屋上屋を架するようなきらいがなくなり、従ってまた先ほどお話も出ましたように、こうした札幌方面本部を廃止することによって生ずる人員あるいは経費を他の重要な面に移用し得るという利点もある、こういうことからいたしまして、過去三年有半の運営の実績に徴しまして、こういうふうにしてもらいたいという北海道警察の要望に基きまして、こういうような措置をとるとこにいたしたのでございます。  次に方面警察学校の問題でございますが、これも過去三年有余の実績に徴しまするに、方面ごとに新任警察官を採用いたしましてこれを教養するということになりますと、小さい方面ではきわめて少数の人員を教養するということになって、きわめて非能率的である。むしろ北海道全体といたしまして、新任者は道警察学校において教養し、そして北海道全道にわたってそれぞれ適材適所にこれを配置されるように最初から仕組んだ方が、むしろ警察官のためにもいいのではないか。ある限られた方面だけに一生を終始するということは、むしろその警察官にとって不幸である、北海道全体をくまなく適所を得て配置されていくということの方が将来のためにもいいのである。そのためには最初のスタートにおいて同じかまの飯を食い、起居をともにして初任教養を受けるということの方が実情に即するのではないか、かように考えまして、道警察学校において新任教養を一切まとめてやるということにいたしたのでございます。しかしながら現在あります方面警察学校をそのまま完全に廃止してしまうのはもったいないことでございますので、道警察学校の分校といたしまして、当分の間は、道警察学校も直ちに新しい教養に即するように充実しない施設の面もありましょうから、そうした間は方面警察学校を分校として利用しなければならぬということもありましょうし、それぞれ方面ごとにその方面の特殊事情に基いての現任教養、あるいは専科教養といったようなものをやるためには、またそうした一つのよりどころが必要でございますので、道警察学校の分校としてこれを引き続き活用する、こういうふうにいたして参りたいと考えておるのでございます。
  40. 永田亮一

    永田委員 よくわかりました。なるべくこの警察法改正は民主的にやっていただくようにお願いします。  もう一つ銃砲刀剣類のことでちょっと質問いたしたいのですが、銃砲刀剣類所持取締りをする場合に、今武器等製造法という法律がありますね。新しいこういうものを作る方を規制していかなければいかぬと思うのですが、今ある武器等製造法ですか、もらったのをちょっと読んでみますと、鉄砲だけの製造についての規定はあるのですけれども、刀剣類の製造規定は見当らないのですが、どういうわけですか。
  41. 中川董治

    ○中川政府委員 お説の通り武器製造法という法律がございまして、この武器というのは刀剣を含みません。刀剣の製造という点になりますと、国として直接規制するということにしなくても、文化財保護委員会の承認を得てこれを製作することができる、こういう形をとっておりまして、文化財保護委員会の承認の点は、提案いたしました法律案にも三条の七号に規定いたしたのでございます。だから刀剣類を製作しようとするものにつきましては、文部省の関係の文化財保護委員会の承認を得た者において製作ができる、こういう規定がございます。
  42. 永田亮一

    永田委員 そうすると現在日本には刀かじというものはいないわけですか。
  43. 中川董治

    ○中川政府委員 刀かじというものは文化財保護委員会の承認を得ておるわけであります。従って刀かじというものは存在するわけであります。
  44. 永田亮一

    永田委員 そうするとその刀かじが作った刀は、一つ一つ文化財保護委員会に持っていって、これは美術品であるかどうか見てもらって、もし美術品でないペケを食ったらそれは売ることも所持することもできないわけですね。
  45. 中川董治

    ○中川政府委員 御質問趣旨と違うのでございまして、文化財保護委員会の承認は、個々の刀剣について承認するのにあらずして、刀剣を製造する人間を承認するわけでありますので刀剣を製造する何の何がしという方について文化財保護委員会が承認するわけであります。その承認事務は多くの場合、文化財保護委員会は都道府県の教育委員会に事務を委託しておりますので、具体的には刀かじの居住なさる都道府県の教育委員会が個々の刀剣についてにあらずして、その製作する方について承認を与える、承認を得た方については合法的に製作ができる。これが現行法では三十日に制限をしておりますが今度の改正では三十日の制限をはずしたのであります。文化財保護委員会の承認を得た方は堂々と製作ができる、こういうことになります。
  46. 永田亮一

    永田委員 今の話でわかりましたけれども、その承認を得た何がしがこしらえた刀が非常にりっぱなものができれば、これは現実に美術品として所持したり売ったりすることができるわけですね。もしできそこなった刀がたくさん市中に流れたりすると、これはぶっそうな話です。そうすると、できた刀は一々持っていってこれは美術品として登録する、あるいはこれはだめだからこわしてしまう、そういう制度になっているのですか。
  47. 中川董治

    ○中川政府委員 御質問趣旨の通りになっておるわけであります。刀かじがいろいろ製作いたしまして、文化的価値のあるものについては市場に出すことができるけれども、実際的に文化的価値のないものについては、製作のし直しとかなんとかをやっておるわけであります。
  48. 永田亮一

    永田委員 わかりました。  それからこの中に出てくる刀の長さ十五センチメートル以下のものはいい、たとえばほうちょうであるとか、出刃ぼうちょうであるとか、こんなものを暴力団がみんな一人一人持っていてもこれはかまわないわけですね。
  49. 中川董治

    ○中川政府委員 この法律規制しておりますのは、ここに書いてありますように刀、剣、やりの類でございますので、出刃とか、刺身ぼうちょうとか、他に目的を持ったものにつきましては、この提案いたしました法律の刀剣類の範囲外でございます。従いまして、刺身ぼうちょうであるとか、出刃ぼうちょうについては所持そのものについては規制はいたしておらないのであります。しかし携帯の点につきまして法律案の二十二条に規定いたしておるのでございますが、あいくちに類する刃物の携帯につきまして正当な理由がある場合以外はいけない。従って暴力団、不良商人等であいくち類似の刃物を犯罪の一歩手前というような段階において携帯している、その携帯行為規制いたすことができるわけであります。現行法も同様な規定があるわけでございます。
  50. 永田亮一

    永田委員 何か刃渡り五・五センチメートル以上の飛出しナイフは禁止していると書いてありますけれども、ほうちょうとかなんとかの方のことは規制してないですね。そうすると意味ない。五・五センチから十五センチまでの間はかまわないわけですね。
  51. 中川董治

    ○中川政府委員 この法律建前は、他に正常な用途のあるものにつきましては一応除外するのであります。他に正当な用途が一応認められないもの、すなわち武器または武器に準ずるものとする、すなわち本来殺傷の用途に供せられる形態のものを一切規制対象に一応するわけであります。飛出しナイフについて一応申しますならば、ここに規定いたします寸法をこえる飛出しナイフについては他に適当な用途が見つからない、大部分は飛び出さなくてもナイフの用途は達し得る、こういうものを規制対象にいたすのでございますが、通常のナイフはリンゴをむいたり、いろいろそういう正常な目的を持っておりますので、その規制の範囲からはずしているわけであります。ただしその携帯の方法について、違法的な方法で携帯した者につきましては二十二条の規定によってこれを制限するということでございます。
  52. 永田亮一

    永田委員 捕鯨用標識銃というのは、どういうものですか。
  53. 中川董治

    ○中川政府委員 捕鯨事業をやりますために標識をするわけです。その標識のために銃砲を発射して標識をする、こういう器具がありまして、これはやはり弾丸発射の機能を有しておりますから危険でありますので、規制対象にしているわけであります。     —————————————
  54. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 それでは次に地方自治及び地方財政に関する件について調査を続けます。質疑の通告がありますので、これを許します。北山愛郎君。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 簡単に申し上げますが、問題は地方団体が工場誘致等を盛んにやっておりますが、それが行き過ぎて自分の財政の健全性を害してしまうというところまで行っているような事例もあるのじゃないか、これを黙っておくと、地方財政のためには逆によくない結果が出ることがある、こういうようなことからちょっとお伺いしたいと思うのです。すでに数年前から盛んに行われているのですが、地方団体が工場誘致条例、これでもって地方税の固定資産税なり事業税というものを数年間免除するとか減免するというような規定を置くことは、地方税法の違反であるということで、現在では直接減税をしないで、それに見合う補助金をやるというような措置をとったり、あるいは誘致の場合に、多くの場合は敷地を提供する、まあそういうことをやっておる例が多いと思います。そういう点についてのいろんな調査が自治庁にあったら、あとでもいいからいただきたいのですが、そのうち最も顕著なケースが一つありますので、これを申し上げて御意見を承わりたいのです。  それは岩手県の東磐井郡の東山村という寒村、小村がありまして、人口が七千、戸数にして一千戸くらいなものです。そこへ国策会社である特殊法人の東北開発会社が、昭和三十年度からセメント工場を作るというわけでやっておるわけであります。これは岩手県当局並びに地元の東山村が誘致の運動をいたしまして、現在工場は建設を進めております。ところがその敷地並びに整地の経費というものは、ほとんど会社の方としては出さない。約八千万円のものを人口が七千、戸数にして一千戸の村が全部引き受けてそれを提供するということにして進んで来ておるわけであります。そういたしますと、一戸当りが八万円の負担、それをどういう措置をしたかといえば、その村が持っておる山がありますが、山もこれは官行造林でありまして、直ちに切れる山じゃなかったのですが、それを売却することにして、何千万円という金を銀行から借りて、そして用地を買って整地をして提供したいというような格好になっているわけです。ところがなかなかこの山の処分がつかないので、借金の利子を毎月三十万円ずつも払っているというような、そういう運用をしておるわけなのです。なるほど工場ができれば、将来はいいかもしれませんけれども、固定資産税にしろ、まあ一定の制限が——市町村がもらう固定資産税というのは制限がある。その上に村としては、工場について、三年間固定資産税相当分の助成をするということにしておるわけであります。御承知のように東北開発会社というのは、これは法律できまっておるまあ国の機関に準ずるものです。国が出資をし、またその債券にしろ国が保証しておる国策会社であります。それが作る工場について、地元の一千戸しかないような小さい村から八千万円もの負担をさせるということは非常な行き過ぎじゃないか。こういうことをやったのでは、現在村が困っておるわけなんですが、そういうふうなあり方は、一体自治庁としてどう思うか、これをお伺いしたい。
  56. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 工場誘致の問題は、北山委員もおっしゃいましたように、一般論としていえば、地方産業開発、その他地方振興のために工場地方に行くことはわれわれも望ましい。それがために地元の府県や市町村がいろいろ力をいたしておるのは、そのこと自体悪いというわけには私はいかぬだろうと思います。ただしその今の誘致の仕方が、やはり地方のそれぞれの府県、市町村の力相応と申しますか、柄に合わなければ非常に無理がくるのでございまして、それはわれわれもやはり避けさせぬといかぬと考えておるのでございます。特に出てくる会社が、まあ今の話は国策会社でございますが、その他営利会社などでございまして、営利会社を引っ張るために、特別に税金をどうこうしたりするというような形は、やはりやり方としても必ずしも筋の通ったものではないのでありまして、やるのなら必要な公共施設をやる。そうでなくたって工場がくれば道路の問題とか水道の問題とか住宅の問題とか、いろいろ関連した公共事業があるわけでございまして、そういう本来府県、市町村が分担すべき面を中心にして協力をしていく、これが大筋の考え方だろうと思っておるのでございます。そこでわれわれといたしましては、そういう筋の考え方で協力するように持っていきたいという心組みで指導をいたしておるのでございます。工場誘致条例を作ってしまったのもいろいろございますが、これはできるだけ、きめてしまった規則そのものはしようがありませんが、運用が筋が立つように、今後は妙な形にしないようにという形で指導はいたしておるのでございます。今お話のものは特にこれは国策会社でございまして、むしろ特別法に基いておそらくは東北開発のいろいろな開発計画に基いてやっておるのじゃないかと思いますが、この具体の開発計画の場合をよく知りませんが、そういう場合には地方はむしろそういうものである限りは一層やはり地元との経費の適正な配分と申しますか、協力の仕方というものを合理的に考えていかなくては私は行き過ぎがあると思うのでございまして、この点は私の方でももう少し事情を調べて参りたいと思いますが、市町村におきましてもやはりよく考えてやってもらわなくては困るという気がいたすのであります。非常に遠い将来で、その投資した経費がみな返ってくるという問題はもちろんあり得ると思いますけれども、しかしながら今お話のように当座の借金に首が回らぬという形になっては、はなはだ適当だとは申し上げることができません。どういう形で今の会社がその村へ行ったのか、村が進んで一体これを出したからそうなったのか、あるいは逆にいえばむしろ上の方から何かこれを押しつけたのか、そういうような問題だって私はあり得ると思うのでございまして、こういう国策会社だけでなしにいろいろな公社、公団の問題だって、施設をやる場合に相変らず地元の寄付を強要というと語弊がありますが、前提にしておる、こういう問題がやはり現にございます。国と府県市町村の配分の方は、ある程度財政法で規制がしてございますけれども、公社等になりますと、現在これは財政法のワクに入っておりません。そこで私はやはりどうも少し行き過ぎがあるのじゃないかという問題もございして、少くとも公社などの問題につきましては、私は財政法の規制をもう少し国に準じて考えるべきじゃないかという気で、今の財政法を検討する場合に一つの問題にしておるのでございます。そうでなくてもこういう問題につきましても、やはりそこはほどほどにやっていかなければ適当じゃあるまいという感じがいたしておるのでございます。ただわれわれの方で一々そういうものを相談があるわけでもなし、それからまたこういうものを一々とめる力もありませんので困っておりますが、再建団体等の場合にはいろいろ寄付制限とか何とかという手段で、自治庁の方に相談があります。それに合うように調整はいたしておりますが、こういう問題につきましては、やはりもう少し自治体も考えてもらわなくちゃいかぬし、それから特にこういう会社ならば、その会社の大筋のところもぜひこれは考えてもらわなくちゃいかぬ、率直に言って、そういう感じがいたしておるのでございます。
  57. 北山愛郎

    ○北山委員 このセメント工場は、東北開発会社と直接東山村が誘致の話し合いをしたというよりも、御承知のように東北開発ということで、東北開発株式会社は福島県の肥料工場とそれから今度のセメント工場、これがまあ主になるわけなのですが、東北全体の問題として、しかも岩手県あたりは県として非常な努力をしたわけです。ところが県の方は一億円の出資を追加したのですが、その一億円の出資は、起債をもらって出資をしているのですから、県の方はふところは痛まないわけです。そうしておきながら、地元の小さな村には田地を全部持たせる、山を切らせて売らせて処分させて、そしてそれを提供させてしまう。ただしばらく無償で貸しておくとか、あるいはまた賃貸料を払っていくということならばまだしものことですが、全部提供させてしまうということは、県の指導としても私は行き過ぎではないかと思うのです。ただなぜこういうことになったかといえば、当初東北興業会社がセメント工場をやる場合の資金のワクというものが制限をされておりまして、十四億五千万円ですか、それでやれるのだということで、その計画の中には用地費が二百十万円しか載っていなかった。ですから、当初の資金ワクが非常に窮屈だったからそういうことになったのではないかと思うのです。ところが御承知のように昨年度、三十二年度は二十五億円のワク、それから昭和三十三年度はさらに三十億の資金ワクが開発会社に与えられている、どう使っていいか、まだわからないという状態です。金のワクはあるのですが、そういうように事情が変ってきておりますので、私は地方自治体を守っていく、財政の確立をはかっていく、あるいはいいように指導していくという地方行財政の立場からいえば、一つ自治庁から十分事態を御調査願って、この開発会社を管理している企画庁の方にお話を願って、初め約束をしたことではあるにしても、そういう事態でありますから、何とか地元の貧弱な村にあまりむちゃくちゃな負担をさせないように御配慮が願いたい、最終的にはそう思うのです。これは一つのケースとして申し上げたのですが、おそらくこれに似たような事例はたくさん全国にあると思うのです。市町村ではわけがわからないものだから、とにかく村を繁栄させるために工場さえ持ってくればいいのだ、そのためにはあらゆる犠牲を払うということで、無理なことをする。税金も将来は固定資産税がとれるとか、あるいは法人税割がとれるというようなことを当てにしてやっておる。しかし税法のことですから、将来制度が変るかもしれない。固定資産税みたいに、いわゆる大規模償却資産は一定限度しかとれないというような制度の改正があとで行われた、こういうことも将来予想されるわけです。ですから、現在の税制というものがいつまでも続くものと考えて、それを当て込んで無理な負担をするということは行き過ぎではないかと思うし、そういうことをさせるべきでないというふうに思いますので、できれば一つ全国的に、市町村あるいは府県というものがやっております全工場誘致のこういう実態を、お調べを願いたい。またこのケースについても十分県等から事情を御聴取になって最終的には村の負担を軽減せしめるような措置をお考え願いたい、こういう要望をしまして私の質問を終ります。
  58. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今の問題の事件は、私は東北開発計画とか、そういう役所とか、そういうものが関与しておるようでありますれば、私の方でも事情を調べまして、これは今後の例にもなり得る問題でもありますし、できるだけ具体的にうまく行くように配慮をするように努力をいたしたいと思います。
  59. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。私、おそく来てよけいなことを申し上げるのでございますが、北山委員の質問について、特に地方自治の新しい事態の根本的な問題のような気がして、ちょっとお尋ねしてみたいのですが、地方団体の目的というものが昔から見れば少し変ってきた。それは、新しく長期経済計画などを作ったり、いろんな開発計画を作るような事態になれば、それに相応して、その府県市町村という団体そのものが地方開発の主体としての任務をやるようなことに使命が変ってきた。本日予算委員会でも、門司さんが地方開発と地方制度について質問されるということを承わって、私は非常に敬服すべき着眼だと思っているのでございますが、それに関連して特に考えますのは、中央に本社を持って、そして北海道とかあるいは山口県とか宮崎県とかに鉱山とか工場とかを持っているような場合、果してその鉱山当局、それから地方にある大工場当局が地方自治体の一員として、自分が属している地方団体をもとにして地方を開発する、その地方の二、三男の雇用関係考えてやって、国で五ヶ年計画に四、五百万人の雇用を増大するような意味で、地方でも雇用を増大してやるとか、地方に収入を落すとか、そういう熱意があるかどうかということが問題であると思います。現在は新市町村建設促進法やなんかの関係のところは、新しい開発計画すなわち新市町村建設計画というようなものがあり、また東北開発というような公共的な国家的な使命を受けたそういう法律に基く関係事業であるならば、それによって融資を受けるセメント工場等の生産建設計画が、再建整備を受けた新市町村建設計画と、そこのところある程度歩調を合せる必要があるから、行政的にこれをながめて、その間の計画の調整をはかることができればいいと思いますけれども、これを一般化しまして、将来全部の市町村について、そこにある現在既存の工場とか鉱山とか、あるいはこれから融資するものなどとの間の調整をはかるような何らかの措置が必要じゃないか。ことに東北のある府県で、中央に本社を有する大工場の水道料のことが問題になって、そして市の議会で問題になった。ところがそれを精査してみたら、五分の四ぐらいはごまかしておって、水道料が直ちに五倍になった。それからその会社は非常に下請工場に対する支払いなどもおそいので有名な会社で、そういう事例がおそらく相当あると思います。  そういうようなことにかんがみまして、工場誘致等につきまして指導を自治庁がなさるのが当然必要であると私は思いますし、むしろ進んで新市町村建設促進法以外の団体につきましても、公的な開発計画を作られまして、そうした大きな鉱山、工場その他との調整もはかるというようなところへ踏み込んでいただくことを御研究下さればいかがかと思いますが、政府の御意向を伺いたいと思います。
  60. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは先ほどの北山委員の御質問とも関連しているのですが、自治庁としましても地方の総合開発を計画的に進めるために、地方自治府県の計画あるいは国の計画その他民間の計画を総合的に調整することが、私はきわめて重大な問題であろうと思います。しかし事柄はなかなかむずかしく、自治庁だけでとやかくできる問題でございませんが、われわれの関与しておる分野におきましては、できるだけ仰せのような問題を考えまして、われわれといたしましても研究もし、対策も進めて参りたい、こういうふうに存じております。
  61. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十分散会