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1958-02-11 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十一日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 矢尾 喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    加藤 精三君       川崎末五郎君    菅野和太郎君       木崎 茂男君    楠美 省吾君       渡海元三郎君    早川  崇君       古井 喜實君    松澤 雄藏君       今村  等君    大矢 省三君       北山 愛郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     坂井 時忠君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁刑事部         防犯課長)   増井正次郎君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締法案内閣提出第一二  号)(予)  警察法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)  遺失物法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二八号)(予)      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 これより会議を開きます。  警察法等の一部を改正する法律案銃砲刀剣類等所持取締法案及び遺失物法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑に入ります。質疑通告順によってこれを許します。亀山孝一君。
  3. 亀山孝一

    亀山委員 まず最初に銃砲刀剣類等所持取締法案につきましてお伺いしたいと思います。  銃砲刀剣類を取り締るという御趣旨は、先般の提案理由によってよくわかりましたが、私はこれに最も密接な関係ありと思うのは火薬類取締りだと思うのです。銃砲刀剣取締りも今度がっちりできると思いますが、一体これよりももっと危険と思われる火薬類に対して、どういう取締りがしてあるのか、この際一つお伺いしたいと思います。
  4. 坂井時忠

    坂井政府委員 御質問のありました通り火薬類取締りは非常に大事な問題でございますが、この法律所管は現在は通産省になっておるわけでございます。通産省業務監督上の監督をいたしておるのでありますが、ただ罰則がありまする点につきましては、警察も当然その監督をいたす義務を負っているわけであります。そういう見地から通産省とよく連絡をいたしまして、私の方では罰則の規定の適用につきまして、終始注意深く取締りを続けておる、こういうことになっております。
  5. 亀山孝一

    亀山委員 よくわからないのですけれども、一応の罰則がある点で警察が取り締る、こういう御説明でありますが、銃砲刀剣類については占有所持その他この法案にありますように非常に厳重な制限がしてある。しかるにこれよりもっと危険視され、しかもわれわれが戦前に体験をし、戦後においても同様でありますが、火薬類製造から管理から、これの所持から、そういう問題についての取締りがどうも不十分ではないか。いずれあと銃砲刀剣類について御質問したいと思いますが、この方は至ってやかましい制限をつけておる。しかるに火薬類に対しての制限があまりにルーズであるという感じがするのですが、一応その火薬類についての取締りといいますか、これの占有所持その他の問題を一つお伺いしたいのであります。
  6. 坂井時忠

    坂井政府委員 先ほども申しました通り火薬類製造、販売、貯蔵、運搬、消費その他の取扱いにつきましては、通産省の方で権限を持って、またその係の職員も置きまして指導取締りをやっておるわけでございます。と申しますのは、この火薬類というのは御承知通りいろいろの種類があるわけでございますが、いわゆる生産面にいろいろ使われておるわけでございます。従いまして通産省仕事とする方が適当であるという建前をとっておるのでございますが、御指摘銃砲刀剣類等は、これは生産ということには直接結びつかぬ面が多いということで、警察庁所管ということになっておるわけでございます。犯罪を犯すというような点につきましては、火薬もあるいは銃砲刀剣も同一の面があるかとも思われますが、その本来の用途といたしまして、やはり違う面があるのではなかろうか、こういう点で片方通産省所管片方警察庁所管というふうになっておるかと思うのでございます。
  7. 亀山孝一

    亀山委員 火薬類生産上非常に重要な価値を持っておるということは今おっしゃる通りですが、それと同時にまたこれが保安上非常に危険なものであることも申すまでもない。そこでこれを単なる通産省所管だけに全部まかしてしまって、罰則適用関係だけの範囲においてのみ警察庁がこれに関与するというのは、いかにも産業上のことのために保安上のことをおろそかにしておる、こういう感じを持っておるのですが、その点についての警察当局の御意見をお伺いしたい。
  8. 坂井時忠

    坂井政府委員 非常にむずかしい問題であるとは思いますが、われわれの方としましては、とにかく通産省とよく連絡をとって、火薬類等犯罪に使われる場合につきましては、警察十分指導取締りを加えるということでやっておる次第でございます。
  9. 亀山孝一

    亀山委員 具体的に犯罪のおそれがあるというような場合に取り締って、事前に、たとえば戦前にあったのは私から申すまでもなく銃砲火薬類ということが一緒になって取締りがしてあった。それが今度はさっきもお話のように、火薬産業上の理由で切り離された。そうなると従来の法律の時代には、火薬製造からあるいはその管理貯蔵からあるいは占有所持についても相当保安上の取締りをしていた。それが今は全然ない。ただ犯罪のおそれがあるというような場合にのみ警察当局は関与できる、そういうのは一体具体的にどういう場合ですか、それでいいと警察庁は思われますか。
  10. 坂井時忠

    坂井政府委員 火薬類等につきましても、警察が過去とは違いましてある限られた面だけの権限を持っておる。その権限はどういうものかと申しますと、通産大臣から火薬類製造許可等についての通報を受ける権限があるとか、あるいはまた火薬類取締法の四十三条の二項にありますように、「人の生命、身体又は財産に対する危害を予防するため特に必要がある場合には、火薬庫その他火薬類保管場所又は火薬類製造場所若しくは消費場所に立ち入り、関係者質問することができる。」というふうになっておるわけでございます。警察法改正されました際に、こういう関係仕事、それから衛生関係仕事を大幅に各省の所管に譲ったのでありますが、いわゆる警察は各行政官庁のやる仕事につきまして罰則適用がある場合に、執行機関というふうに変ってきた。行政面につきましては、特に警察仕事というものが執行機関的な性格に変ってきた、こういう点が戦後の警察一つの特徴であろうかと思うのであります。そういうことになっておる次第でございますが、反面からいたしますれば、その執行段階ではもう追いつかない、その前の段階においても、もう少し徹底的にやれというお話もよくわかるのでございますが、これは法の建前上なかなか困難な、非常にむずかしい問題も含んでおるように存じておるわけでございます。
  11. 亀山孝一

    亀山委員 法の立て方で現在のような手ぬるいやり方でやむを得ぬというお話でありますが、これは私から申すまでもなく、最近の二、三年の事例でも火薬工場、特に花火等火薬工場が爆発して相当死傷者を出し、被害を出したことは申すまでもない。私はああいう事実を見ており、さらに火薬を取り扱う者がやはり戦前と同様に、ダイナマイトの取扱いについては相当厳重にこれを取り締らなければ、不測災害事件が起ることが予想される場合が多々ある。そこでそういうようなままで放っておいて一体いいかどうか。法の立て方がむずかしいとおっしゃるが、それは今の危険に比べますれば、これはやはり銃砲火薬類取締法と同様とは申しませんけれども保安上これに相当する程度取締りを加えるべきではないか、こういうように思うのですが、その法の改正ということは非常にむずかしいというのはどういう点がむずかしいのですか。私はやはりこれはこの銃砲刀剣類等所持取締法と同様に、適当にこの趣旨を盛って、この際今の火薬関係の法令を改正して、ある方面については従来通産省相立の努力をしておられると思うけれども、手がない。警察当局の方は、現地においていろいろな事情をよく知っておるので、ともに手を携えてこれが取締りを行なって、そして不測災害を防止する、あるいは除くということが望ましいと私は思うのですが、いかがでしょうか。どういう点がむずかしいのか、やってやれぬことはないと思うのだが、その点は全然やれませんか。両省のセクショナリズムなら別だけれども、その点お伺いしたいと思います。
  12. 坂井時忠

    坂井政府委員 おっしゃる点はよくわかるのでございますが、私ども考えといたしましては、とにかく通産省監督をもう少しびしびしやっていただきたいという気持を強く持っておるわけでございます。通産省だけではないのでありますが、いろいろの法規、権限に基きます監督が各大臣、従って各府県知事が委任を受けてやっておるのでありますが、いろいろの点で非常に不行き届きといいますか、徹底しておらない。私も第一線で仕事をしておりましたが、この火薬点等につきましては、府県におる担当の職員がきわめて少い。非常に大きな兵庫県みたいなところでも、火薬類等につきましての専任職員は、技師一人に技手が二人くらいで、あの広い兵庫県の監督をやっておるというようなことで、徹底を欠くうらみが非常にあったのであります。御承知のように兵庫県は、あすこの家島という島に相当大きな火薬庫があるのでありますが、非常に離れたそういう島に一々行って監督することはなかなか困難である。しかし私どもの方としましては、とにかく法の建前がそうなっておる以上、県庁の方で、もう少し徹底的な監督をし得るように、極力望んでおったのであります。警察といたしましては、それに協力するという態勢で、それぞれの駐在巡査警察署を動員いたしまして、援助の態勢をとって、まあまあやっておったのでありますが、こういう法の建前からしまして、やはり通産省でもっと徹底した監督をやっていただく、このことが必要ではなかろうかという気がいたすのであります。  それから、お尋ね法改正がむずかしいという点は、これは警察執行機関的なふうに変ってきた建前を、この際どうするかという、警察の性格問題にも触れて参りますので、まあむずかしい問題であるというふうに申し上げましたので、法律技術的に非常にむずかしいとかいうことではないのでございます。なお御質問趣旨のある点はよくわかりますので、さらに通産省等連絡を遂げまして、今後の措置につきまして研究を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  13. 亀山孝一

    亀山委員 大体御説明はわかりましたが、もし警察庁に最近の火薬取扱いによる——製造を含めまして、何か事故の統計がありますれば、一応お示し願いたい。特に今からお作りになる必要はないと思います。  委員長一つお願いしたいのですが、われわれは銃砲刀剣類等の審議に当りまして、一度適当の機会通産省火薬に関する当局に来てもらって、平仄をあわせるようにいろいろ御質問したいと思いますので、適当な機会一つ当局を呼ぶように御配慮願いたい。  次に、火薬類と同様に危険なのは、最近の産業進歩といいますか、工業の進歩に従いまして、ガス関係事故相当あるようであります。これは今のいわゆるガス会社によるガス以外に、私どもよくわかりませんけれども圧縮ガスとか液化ガス、そういういわゆるガス性工場その他の事故相当多いようですが、直接これには関係ございませんけれども、まあ爆発物に類するものとして、これに対してどういうような取締りと申しますか、管理が行われておるか、お伺いしたいと思います。
  14. 坂井時忠

    坂井政府委員 法の建前は、やはり先ほど爆発物等と同じような建前になっておりまして、執行面、いわゆる罰則がついております点に触れる問題につきましては、警察執行機関としてこれが取締りに当っておる、こういうことでございます。
  15. 亀山孝一

    亀山委員 その問題について、やはり先ほど質問した爆発物と似たような取締りをする必要があるかどうかというような点はどうお考えでありますか。やはり同じ平仄でやるべきものか。この方はいわゆる火薬類とは多少違うものだ、こういうふうにお思いになりますか。その点はどうですか。
  16. 坂井時忠

    坂井政府委員 御質問通り程度問題といたしまして、犯罪に使われるという点から申しますと、火薬類の方が事件数も多いかと思います。またガス等犯罪に使われるというよりも、不時の事故によりまして被害を受けるという面が多いので、業務監督の面を強くやっていけば、ある程度被害は少くて済むのではなかろうかというふうに考えておりますので、多少趣きを異にしておるかと存じます。
  17. 亀山孝一

    亀山委員 大体了承いたしましたが、それでは銃砲刀剣類等所持取締法案についてお伺いしたいと思います。従来は刀剣等所持しますのに、いわゆる職業上、業務上当然これを必要とするというもの以外には、その刀剣自体銃砲自体文化財でなければ所持できなかった、それを今度改正せられたのでありますが、その点の大体の御趣旨、ことにそれによって文化財ならざる刀剣所持する場合の例等一つお示し願いたいと思います。御方針一つお示し願いたい。
  18. 坂井時忠

    坂井政府委員 文化財をある程度規制するということになりますが、それに漏れたものにつきましても問題は同じでございます。ただ文化財ならずとも風俗慣習その他によりまして、所持させることが常識上妥当であると思われるものにつきましては、特別の取扱いによりまして所持を認めるという方針をとりたい、そういうことで改正案考えておる次第でございます。
  19. 亀山孝一

    亀山委員 そうしますと、従来はたとえば父なり兄の遺品であった刀剣類、これは文化財保護委員会において、これを文化財と認めざるものについては所持できない、今度はそれが所持できる、父のかたみ、兄のかたみを適当な人であれば所持できる、こういうふうに解釈していいわけですか。
  20. 坂井時忠

    坂井政府委員 その通りでございます。
  21. 亀山孝一

    亀山委員 今例をあげましたが、その他に文化財保護委員会文化財として認めない刀剣類所持できる場合は、今申し上げたようなかたみとかいうようなもの以外に何かございますか、その点ちょっとお伺いしたい。
  22. 坂井時忠

    坂井政府委員 具体的に考えられるものといたしましては、お祭その他土地の風俗習慣等で、何と申しますか、醇風美俗を維持するという観点から、ある程度認めなければならぬ事態が起ろうかと存じます。
  23. 亀山孝一

    亀山委員 それから今度この法律改正の必要に迫られたオリンピック競技その他の体育競技につきまして、外国から持って入ります銃砲ピストル等の問題でありますが、これに対しては国際関係上、いろいろ手続等で従来とかく取扱いに対して問題が起ったと思うのですが、今度はどういう方針外国選手が持ってくるピストル等を円滑に許可されるのか、その御方針をちょっとお伺いしたい。
  24. 坂井時忠

    坂井政府委員 拳銃は、わが国におきましては職務上持っておるもの以外は、一切所持を認めない建前をとってきておりまして、今度の改正法におきましてもその建前をとっておる次第でございます。ただそういたしますと御質問のありました通り、この五月にアジア・オリンピック大会がありまして、その種目の一つピストル競技というものがある、その際外国人が参加できない、拳銃を持てないわけでありますから参加できないということになる次第でございます。そういうふうになりますと非常に不都合がありますので、国際競技等に必要である場合には、外国人拳銃を持って入ることを許可するというふうな、一種の特例を考えておる次第でございます。
  25. 亀山孝一

    亀山委員 そういう場合に、一々所有者許可を受けるということになると思いますが、それを一括して許可を受けて、その責任者一括許可を与えていく、その責任者国内における取扱い等に対して保証してもらう、こういうような便法でも講ぜられれば、一々許可証を持ち歩く、あるいはそのための手続の煩瑣を避けることができると思うのですが、こういうような国際関係の便宜上の処置というようなことは何かお考えになっておられるか、国内所持と多少違うと思うのですが、その点をお伺いしたい。
  26. 坂井時忠

    坂井政府委員 オリンピック大会に参加するというような特殊の事例でありますし、特殊の取扱いもいたそうという改正案でございますが、その特殊の取扱いをさらに何か特殊に扱えないかという御質問の御趣旨であると存じます。この点につきましては、私主管部長でございませんので、今後どういう方針でいくか、後ほどまた機会を得まして御答弁申し上げた方がいいかと思いますが、法の建前といたしましては、やはり一応個々の許可ということになっておる次第でございます。実際の取扱いで、どういう便宜的な方法がとれるかということにつきましては、また研究してお答えいたしたいと思います。
  27. 亀山孝一

    亀山委員 今の問題は一つ当局でも十分研究されまして、なるべく国際トラブルの起らぬような御処置をぜひおとり願いたい。  それから、次に警察法等の一部を改正する法律案に関連してちょっとお伺いしたいと思います。  現在の警察機構の問題をいろいろ考えてみますと、私どもが懸念にたえませんのは、北海道の北辺のいわゆる国境警備、あるいは壱岐対馬等警備、あるいは密航関係における取締りその他の関係、こういう点を考えますと、現在の警察官でいいのか、あるいはその地方団体で一部負担するというような警備官よりも、むしろ全額国庫負担で、その府県に迷惑をかけないような警察官を配置するのがいいのじゃないか、これはその府県利害関係というよりは、国全体の利害関係に影響する問題ですから、そういう点についてのお考えなり御意見が何かあったならば、ちょっと参考にお伺いしたい。
  28. 坂井時忠

    坂井政府委員 御質問趣旨まことにごもっともな点があると思いますが、二十九年の警察法改正の際に、とにかく警察組織単位は都道府県とするという大原則を打ち立てて、その後その建前でやってきておるわけでございます。従いまして御質問のような趣旨の点は、十分検討の余地のある問題であるとは思いますが、警察組織単位の問題とからみまして、今直ちにこれをそういうふうにするという結論を得ておるわけではないのでございます。パトロールということは、今回も多少考え改正案をお願いしておるわけでありますが、そのほかに国境警備警察であるとか、あるいはまたきわめて特殊な警察事務についての要員である分につきましては、国が直接めんどうを見るというようなことも十分考えられる点でありますので、将来の問題としまして研究をいたしていきたい、こう考えております。
  29. 亀山孝一

    亀山委員 今私が申し上げたので、ちょっと誤解があったのではいかぬので、つけ加えて申し上げておきますが、これは全額国庫負担であるけれども、その身分はやはり今までの警察官と同じである、費用だけを全額国庫負担で持って、そうして今の辺境警備あるいは国境警備に充てる、あるいは国において特に必要と認めるところにこれを配置する、その指揮系統は現在と同じ府県本部長でいい、こういうふうに私ども考えるのです。その点は、私が申し上げたような辺境等につきましてはどうしても考慮していかれるのがいいのじゃないか、こういうように思っておりますので、その点の意見だけを申し上げます。  私の質問はこれで終ります。
  30. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 なお、通告がありますからこれを許します。中井徳次郎君。
  31. 中井徳次郎

    中井委員 警察法の問題については後日に譲りたいと思います。  きょうは銃砲刀剣類等所持取締法案について、二点だけお尋ねをいたしておきたいと思います。第四条に「狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、人命救助、漁業、建設業又は」、こういうふうにありますが、この中の建設業が持たなければならぬという理由をちょっとお聞かせいただきたい。私ども考えて、建設業がどうして銃砲及び刀剣を持たなければならぬのか、どうもよくわからぬのです。
  32. 坂井時忠

    坂井政府委員 私主管部長ではございませんので、今主管の者を呼んでおりますから、恐縮でありますが、しばらくあと答弁を保留させていただきます。
  33. 中井徳次郎

    中井委員 それではもう一つお尋ねをいたしたいのだが、先ほど亀山さんからちょっとお話しがありましたけれども、これまではむしろ美術品だとかそういう骨董的なもので刀剣を持つことができる、こういうことになっておりましたが、今度はそれをむしろ逆に広げて、おやじの形見だというふうなことで、もう持てるということになりますと、親分の形見だ、こういうことになって、これは大へんなことになりはせぬかと私は思う。先ほど私はあなたの答弁を伺っておって、その点非常にどうも重大だと思いますので、そういう点についての考え方を、この際やはり委員会としては統一をしておかなくちゃならぬ。それはもう大へんですよ。あなたも御存じかもしれぬが、去年別府暴力団同士の争いがあった。みんな刀剣を持っておる。それで別府の市警が、そういうものを持っておっては困るじゃないかと言ったら、これはみんな美術品だ、おい君食え、と言って、刀剣でちょっとリンゴを突いて警察官の前に出したとか出さぬとかいう話まで聞いております。そこで、これはせっかくこういうものをお作りになるのですから、その辺のところをはっきりしてもらわぬと、委員会としてはちょっと困るのだがな。これはどうなんですか。文化財保護委員会に登録するということを書いておりますが、これはもちろんそういうことでしょうがね。しかしそれはだれでもいいのですか。そういうものについても制限的なものを私は設けるべきだと思う。第五条に書いてありますね。こういうものは許可を取り消すとかなんとか書いてありますが、どうもそれには当てはまりそうにもありません。この点についても私は政府委員のはっきりした答弁を伺わぬと、この刀剣取締法案そのものについては、社会党としましてはまだ党議がきまっておりませんが、大体の方向は、とにかくこういう暴力ざたを防ぐための法律であるならば、反対する筋合いではありませんけれども、内容にそういう盲点があるようでは、これはちょっと問題です。その点はどうでしょう。
  34. 坂井時忠

    坂井政府委員 御質問の御趣旨全くその通りでございまして、銃砲刀剣類等所持は、職務上あるいは業務上必要なもの等を除きまして、極力押えたいという気持は、この法改正の一貫した考え方でございます。ただ御指摘のありましたように、第四条に、祭礼等の年中行事に用いる刀剣類その他の刀剣類所持することが一般の風俗慣習上やむを得ないと認められるものを所持しようとする者については、特別の取扱い所持を認めるというふうに除外例を設けたのでございますが、この除外例を広範に適用いたしますと、御指摘のような点がたくさん出てくるわけでございます。従いましてこれはほんとうに必要やむを得ないものだけに限るということでやっていきたい。従いまして、この第五条にいろいろ不適格の条項が書いてありますが、この第六号に「人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当理由がある者」というところで、暴力団その他はきっちりと所持を認めないということでやっていく方針でございます。
  35. 中井徳次郎

    中井委員 今の答弁ではまだ不十分だと思います。中川君が来ましてからこの点ははっきり確かめておきたい。  建設業関係はどうですか。建設業はどうして銃砲刀剣が要るのか。——この点は重要ですから、政府において見解の統一をきちっとはかってもらって、この次にはっきり返事をしてもらいたい。おそらくこれは自由党の皆さんだって同じ御意見だろうと思います。きょうはこの程度にいたします。
  36. 川村継義

    川村(継)委員 関連——今の刀の持ち歩きですが、近ごろ非常に剣道が盛んになってきて、それにちなんでいろいろ居合の練習がまた非常に盛んになってきた。そうすると、木刀ではどうも居合というものは目的も達しないし、気合も出ない。やはり真剣を持たなければならぬ。居合の練習あるいは居合術の練磨にはげむ人たちは、必ず刀を持って出るわけです。こういうものについてどういうふうに考えておられるかということは、今の質問等に関係して重要な問題だと思いますが、この点も一つはっきりと見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  37. 増井正次郎

    ○増井説明員 お答え申し上げます。ただいまの刀剣等を居合あるいはその他、社会的な必要性と申しますか、そういう必要性に基きまして携帯される、あるいは運搬されるということをこの法律では禁止することを趣旨といたしておりません。通常業務上の用途、商用であるとか、あるいはその携帯、運搬すること自体につきまして、通常社会的に認められるような必要性がございますならば、それは禁止の対象とはいたさないのでございまして、必要もないのに刀剣を持ち歩いておるとか、あるいは暴力あるいは騒擾、傷害というような状態が大体予想せられまして、そういう状態において刀剣を運搬される、あるいは携帯されるということをこの法律は規制して参ろう、こういうことを考えておるわけでございます。
  38. 川村継義

    川村(継)委員 それはそうでなければならぬと思います。ほんとうに居合の道を練磨する人は、これは自分の心身の鍛練としてやるのですから、これを悪用したりなどするようなことは絶対あり得ないし、またちゃんと法規に従って刀等の取扱いをりっぱに始末をしてくれる人だと思うのです。ただ今日のような状態になりますと、そういうものに名をかりて、結局ほんとうの居合の道を練磨する人じゃない人たちが、これでりっぱに取り締っていかなければならぬというような、そういうおそれのある対象の人たちが、結局そういうものに名をかりて刀を持ち歩く、これを取り出すというおそれが出てくるんじゃないかということを心配しておるわけです。そういう場合に、一体何を具体的にどういう形においてこれを取り締っていくかということは、非常に大きな問題になってくる。その辺のところがはっきりしておらなければ、結局こういうものが誤まった方向に進んだり、あるいは結局取り締らなければならぬものを逃がしてしまったり、そういう結果になるんじゃないか、こういう点を非常に心配するわけです。その点をよく考えておりますか。
  39. 増井正次郎

    ○増井説明員 ただいまの御質問の点は非常に大切なことのように存じます。従いまして私ども四条に関する規定を、いかなる場合が正当な理由でない場合であるかというような事柄を具体的に検討いたしまして、この通達あるいはこの法律に関する解釈を明らかにいたしますとともに、第一線の今後の運用におきまして、具体的にこの法律の運用に関しましてそういう行き過ぎのないように、判断の誤まりのないように十分に留意して参りたい、こう考えております。
  40. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 関連——第三条第一項の所持ということですが、たとえばピストルとかなんとかいうものは、その仕事のために始終持ち歩くということがあるのですが、刀剣職務上始終つけているというものもあるかもしれませんが、ことに文化財なんかの関係からいきますと、これはむしろ始終所持しているんじゃなくて、運搬するとか携行するとか、こういう場合があるわけですが、この所持という問題は、所有権、そういうものに対しては所有権を確保している意味でなくて、届出をすれば、そういうことは当然にだれでもがその許可をされたならば運んでいけることになるわけですか、どうなんですか。
  41. 増井正次郎

    ○増井説明員 ただいまの問題は、登録刀剣の御質問のように存じておりますが、登録刀剣につきましては、文化財として価値のある刀剣であるということを、文化財保護委員会の方で刀剣審査会の方が御認定になりまして、その価値ある刀剣を保存しようという趣旨から、登録の制度が生まれて参ったのであります。従いまして、登録を得られました刀剣である限りは、所有権等につきましては、あるいは所持につきましては、現行法ではどなたが持たれてもいい、こういう規定になっているのでございます。ただし、その現実に登録を受けられた品物であるかどうかということにつきましては、登録証というものを文化財の方で出しておられますが、その登録証をお持ちになれば、現在所持はそれでいいのでございまして携帯、運搬もよろしい、こういうことになるんじゃないかと思います。
  42. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 大体趣旨はわかりましたが、そういたしますと、そういうものを鑑定するために持ち歩くとかいうような場合に、ときどき警察の方で、勝手に持っていてけしからぬというようなことで、従来そういうことでかなり迷惑をしたような実例もあるように私ども聞いているわけですが、そういうような点をよくはっきりしていただかないと、今後この問題で、いろいろ善意の人が迷惑するような場合があるのではないかというふうに考えるわけですが、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  43. 増井正次郎

    ○増井説明員 私ども今回の法律改正趣旨から考えまして、一面現在の刀剣銃砲が悪用をされないという方向を出されておりますと同時に、他面におきましてはやはりそういう禁止規定の設定に伴いまして、運用上は十分留意しなければならぬ事柄が多いように考えております。従いまして、従来の銃砲所持禁止令、続いて銃砲刀剣類等所持取締令という政令の形におきまして運用されておりました実情を判断いたしますならば、さらに今回この法律としての改正機会に根本的に考え方建前、運用の仕方というものを考え直して参る必要があるのではなかろうかと存じております。ただいまの御説のような点につきましても、私ども今後の運用につきましては十分留意して参りたいと考えております。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 関連して……。資料的なことなんですが、銃砲刀剣類というようなものは、現在登録あるいは許可を受けておるもの、それ以外に潜在しておるものが相当あるんじゃないかと思うのですが、それらの点についてもどのくらいあり得るものか。特にこれは調べてみなければわからぬでしょうが、いろいろな暴行脅迫、あるいは傷害殺人、そういうような犯罪に武器を使用されているような例があると思う。それを許可を受けなかったものだというようなケースが相当数あると思うのですが、そういう犯罪に使用されて許可を受けないで持っておった武器、拳銃とかあるいは刀剣類、そういうものから推定をして、一体警察庁としてはそういう潜在しておる銃砲刀剣類がどの程度にあるものかということを考えておられるか、それが一つであります。  それからなおそういう武器銃砲等ですが、それの源、源というのは製造しておるところ、それからこれを大量に持っておる軍隊、警察、そういうものが一つの源になっておるわけですが、軍隊から流れる、あるいは警察から流れる、特に米軍がおりますので、米軍から流れる拳銃等があるのではないか、こういうふうに思いますが、それらの点についてはどういうようにお考えになっておるか、調査資料等があればそれをお示しをいただきたい。  もう一つ警察の部内の拳銃管理ですが、拳銃によっていろいろな事故を起している数が相当あるのではないか。新聞等で見ますと、拳銃の暴発によって人を殺傷したというような事件もあるようでありますが、そういう事故がどれくらいあるのか、あるいは警察の持っておる拳銃等が外部へ流れる、亡失をするとか紛失をする、あるいはとられてしまう、あるいはまた警察官がこれを売ってしまうという例もあるようであります。そういうケースがどの程度にあるものか、これらの点について一つ説明を願いたいと思います。
  45. 増井正次郎

    ○増井説明員 許可を得ておらない刀剣、あるいは登録されておらない刀剣がどの程度現在あるかという問題でございますが、この数字につきましては私どもはっきりとつかんでいないのでございます。ただ現在許可を受けておる銃砲刀剣の数でございますが、大体にいたしましてお手元に資料としてお配りいたしました中にあると記憶いたすのでございますが、大体銃砲刀剣許可に関しましては約五十万ほどと存じております。空気銃、猟銃それから猟用刀なんかをひっくるめて、ざっと五十万ではなかろうかと考えております。 それから登録されました刀剣と申しますのは、やはり五十万か五十五・六万だったと思います。最近の登録状況は、年間やはり四万ないし五万というような数字が出て参っておるようでございます。そういう数字が上って参りますのは、たまたま何かの機会に蔵の掃除をやっておるときに発見されたというのが多いようでございまして、その際に登録刀剣として文化財保護委員会の方に届出をされて登録されてくるということのようでございます。  それから許可銃砲刀剣につきましては、これは社会的な必要性があるものでございますから、そのつど受けて参っておるようであります。  なお暴力団等が使った数字でございますが、これは許可をされた刀剣、それから許可をされないもの、そうして正規に許可を受けたものでも使用方法を誤ったものということで、そういう数字も出てきております。  なお最近起りました別府事件、それから東京に起きました巣鴨事件ですが、それとあと取締りの結果を調べてみますと、やはり正規に許可を受けておる、あるいは登録を受けておるというような刀剣を使った事例が少くございません。  それから拳銃でございますが、拳銃取締りにつきまして、特に私どもあらゆる方面から取締りをやっておるのでございますが、大体年間で四百丁から四百五十丁前後の取締りをやっておるのでございますが、やはり依然数は減らないというような状況でございます。  これはどこから出るのかという御質問でございますが、ずっと過去から旧軍隊時代の拳銃を使って、あるいは不法事犯を犯しておるというような事例もあるようでございます。それからまた最近SWというか、アメリカ製の拳銃ども取締りの対象となったうちに出ておるようであります。その源はどこかというお話でございますが、やはり私どもといたしましては、米軍関係あるいは警察の保管にかかる拳銃につきましても、こういう拳銃が流れないように、またそういうものが紛失しないように十分注意はいたしておりますとともに、関係の米軍等につきましては特にこの点は念を押しまして、管理保全に留意をされるように私ども注意を喚起いたして参っております。
  46. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいま御説明のようなケースについての拳銃なら拳銃が、一年間に四百丁くらいというのですが、その経路をお調べになっておると思いますので、どういう経路で一体入ってきておるか、こういう統計というか、数字的に整理されたものがあれば、それをあとでもいいからお出しを願いたいと思います。  それから警察部内の拳銃事故、それから亡失してどこかへ紛失したといったようなもの、こういうものについても資料を出していただきたいと思います。  なお国内にこういう武器の製造業者が三十軒くらいあるそうでありますが、拳銃、あるいは自動小銃とかそういうものもあるかもしれませんが、それを製造して輸出しているのがどのくらいあるか、あるいは自衛隊に納める、警察庁に納めるもの、そういうふうな大体の数字がありましたら、それも資料としてお出し願いたい。     —————————————
  47. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 それではこの際お諮りしますが、警察法等の一部を改正する法律案について逐条説明をまだ受けておりませんので、この際逐条説明を求めることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 御異議がなければ、逐条説明を求めることにいたします。坂井房長
  49. 坂井時忠

    坂井政府委員 警察法等の一部改正につきまして、すでに一部御質問を受けたあと説明するのは恐縮でありますが、この際御説明を申し上げたいと思います。  この法律案は、二カ条から成り立っておりますが、第一条では警察法の一部を改正せんとするものであり、第二条では道路交通取締法の一部を改正せんとするものであります。  まず警察法改正から御説明申し上げます。  その第一は、第五条第二項の改正であります。本項は国家公安委員会権限について規定していますが、今回新たに第五号として「全国的な幹線道路における交通の規制に関すること」を加えました。最近における交通機関の発達に伴う交通事故の激増については、すでに御承知通りでありますが、特に全国的幹線道路における交通は、全国的立場での統一的規制取締りを必要とする面があるのでありまして、これは、あとで御説明いたします道路交通取締法の一部改正と相待ちまして、諸車の最高速度の制限等交通の規制の斉一をはからんとするものであります。  また第十四号として監察に関することを加えましたのは、現行法では、都道府県警察に対する監察を実施することについて法文上明確にされておりませんので、国家公安委員会及び警察庁の所掌事務を遂行するために必要な監察を行い得ることを明文をもって規定したのでありまして、特に新たな権限をつけ加えたものではありません。なお、これに伴い第十四号の事務を行わせるため、第三十条におきまして管区警察局の所掌事務の範囲に所要の改正を加えております。  次は、第十九条から第二十五条まで及び第三十四条の改正でありますが、これは、警察庁の内部部局の組織を新しい情勢に即応せしめるため、合理的に改編しようとするものであります。すなわち、現行警察庁の内部部局の組織は、旧国家地方警察時代の組織をそのまま踏襲しておりますが、これは、新警察法施行後三年余を経過した今日におきまして、諸般の情勢から適当とはいいがたく、また無理な点も多々生じつつあります。特に府県警察の管轄に大都市、中都市を含むに至ったため、少年警察保安警察、交通警察等都市特有の警察問題が重要度を増しつつある状況で、これらに関する事務を適切に処理し、必要な企画、調査を行い、都道府県警察がこれらの部門について時代に即応し、国民の要望に沿う運営をするよう指導する必要があるので、第二十三条の二を設けまして、少年、防犯、保安、交通等に関する事務をもっぱら所掌する保安局を新設しようとするものであります。また従来警務部で所掌していた装備の事務を長官官房に移すなど、他の部局の所掌事務にもこの機会に合理的改編を加えますとともに、昨年八月一日から新たに局制を採用いたした自治庁、行政管理庁、経済企画庁等の各庁に比べまして警察庁は、規模も格段に大きいのみならず、附属機関、地方機関も有しているものでありまして、この際現在の部課制にかえて局課制をとることにしようとするものであります。  第三は、第三十一条の改正でありまして、現行法におきましては、管区警察局に総務部、公安部及び通信部の三部を置くこととされておりますが、大都市を管内に有する管区警察局の特殊性に即応し、及び警察庁内部部局の再編成に対応いたしまして、関東管区警察局及び近畿管区警察局につきましては、現行の三部のほかに新たに保安部を置き、四部とすることといたそうとするものであります。  第四は、東京都の区域における警察通信施設の維持管理、その他警察通信に関する事務を分掌している現在の東京都通信部を、関東管区警察局の下部機構からはずして警察庁の地方機関として、東京都警察通信部を設けようとする第三十三条の改正であります。その理由は、現在通信に関する事務につきましては、その他の事務とは異なり、東京都の区域は、関東管区警察局の管轄に属しており、その下部機関として東京都通信部が置かれております。しかしながら、東京都通信部は首都警察の通信に関する事務を所掌するため、事務量もきわめて多く、関東管区警察局を通じて、警察庁が東京都通信部を指揮監督することは能率上適当でないので、その他の警察事務の運営の場合における警視庁の例に準じ、関東管区警察局から分離し、警察庁直轄の地方機関として、東京都警察通信部を設けようとするものであります。これに伴い第三十条第二項のただし書きを削ることとし、またこの際北海道地方警察通信部の名称を北海道警察通信部に改めることといたしております。  次は、北海道警察組織に関する第四十六条、第五十一条及び第五十四条の改正であります。  北海道において方面本部を設けておりますのは、北海道の区域が広く、交通上から見ても、地理的環境から見ても他の府県と異なるためでありますが、現在の五つの方面本部のうち、道警察本部の所在地を管轄している方面本部、すなわち札幌方面本部については、方面本部を廃止し、道警察本部の直轄として、人員、経費の節減をはかるとともに、これによって生じた余剰人員の適正な配置を行わんとするものであり、これが第五十一条の改正であります。なお方面本部が廃止された場合には、その管理機関たる方面公安委員会も存在理由がなくなりますので、方面本部の置かれない方面については、方面公安委員会も置かないことといたしましたのでありまして、これが第四十六条の改正であります。また現在、北海道におきましては、新任の警察官に対する教育訓練を行うため、方面ごとに方面警察学校を設けておりますが、その後の実績にかんがみまして、道における新任者の教養の充実斉一を期することが望ましいので、道警察学校におきまして、まとめて初任教養を行うことにしようとするのが第五十四条の改正であります。  次に、移動警察に関する第六十六条の改正についてでありますが、第一項においては、現行の「協議により定められた」という規定をより明瞭ならしめるため、「協議して定めたところにより」移動警察権限を行い得るよう改めるとともに、新たに第二項を加え、二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる政令で定める道路の特定の区域につきましては、そこでの交通の円滑と危険の防止をはかるため必要があると認められるときは、第一項の例により、すなわち関係都道府県警察の協議して定めたところにより、その道路の区域における事案について、それぞれの警察官の属する公安委員会の管轄区域にかかわらず相互に職権を行い得ることとしようとするものでありまして、近く開通を予定される関門トンネルや、高速度自動車国道その他の全国的な幹線道路につき必要に応じ政令で指定を行うようにいたしたいと考えているものであります。  次に、第二条の改正の道路交通取締法の改正について申し上げます。  現行法におきましては、すべての道路における諸車の最高速度の制限その他の交通規制は、その道路の区域を管轄する都道府県公安委員会権限となっているのでありますが、最近の交通量の飛躍的増大と自動車交通の広域化という事態に即応するためには、全国的な視野からこれにある程度の統制を加え規制の斉一をはかる必要が痛感されますので、今回第二十六条の四の規定を設け、そのような必要が認められる場合にあっては、一級国道その他全国的幹線道路における諸車の最高速度の制限その他の交通の規制等について、国家公安委員会が政令で定めるところにより関係都道府県公安委員会に対し指示を行うことができるようにしようとするものであります。  最後に附則について御説明申し上げます。この法律案は昭和三十三年四月一日から施行することといたしますが、道警察本部の所在地を包括する方面の方面公安委員会及び方面本部の廃止に関する警察法第四十六条第一項並びに第五十一条第一項及び第五項の改正規定は、条例制定の手続も必要でありますので、本法公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたし、その他札幌方面公安委員会の廃止に伴う許可許可の申請、聴聞等についての経過規定を定めております。  以上、今回の改正案につきまして、その内容を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御願いいたします。
  50. 矢尾喜三郎

  51. 亀山孝一

    亀山委員 この際お願いがあるのでございますが、最近の交通事故の統計がございますれば、なるべくすみやかに一つお示しを願いたい。その希望を申し上げます。
  52. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十一分散会