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坂根参考人 全国税の
坂根でございます。ただいまの
横山先生の御
質問にお答えをいたしたいと思います。
第一点は私
どもの
運動の
方針が
転換をいたしたのかどうか、こういう御
質問でありますが、この点は
方針の
転換と申しますか、そういう点では確かに事実でございます。ただそれは、なぜそのように
方針を
転換をしたか。今
長官からも、
経済闘争から
政治闘争、こういう非常に何と申しますか、私
どもの
真意でないところの御
答弁がありましたけれ
ども、問題は、
国税庁の
労務管理の政策が、三十一年ごろから、詳しく申しますと、三十年の一月にさかのぼるわけでありますが、私
ども国税の
税務署に働いておる
職員に対する扱い方が、非常に変化をいたしました。これは
労務管理の
方針の
転換ということが言えると思うわけでありますが、従いまして、それに対応すると申しますか、
組合のやり方も変ったということは言えるわけです。どういうわけで
国税庁の方が変ったかと申しますと、実は私
どもの
組合運動も十年の歴史を持っておるわけでありますけれ
ども、その中でいろいろな変遷がありました。それで、二十九年のころまではよく当局と
話し合いをいたしまして、いろいろと問題の解決に当るということに私
どもも努力をしてきたわけであります。ところがその後、三十年あるいは三十一年のころでありますけれ
ども、これまで約束をしてきた事項につきまして、
国税庁がことごとくこの約束を破棄をするという態度に出てきておるわけであります。その実例を申し上げますと、たとえば私
どもの
国税庁当局のやり方の中に、特別昇給制度というのがございます。これらにつきまして、従来の
組合と
国税庁当局の間の約束は、これは、ただ成績主義だけでは非常に実情に即さない点もある、従いまして、気の毒な人の救済に充てるというふうな約束があったわけでありますけれ
ども、それらにつきましても一方的に破棄をする。それから従来は、当局と
組合の間に妥結事項について確認書をかわすというようなこともありました。そういったことにつきましても、先ほど申しました以降、一方的にこれを破棄してくる。それから
組合活動の自由という問題につきましても、従来
勤務時間内にいろいろの活動をする自由も認めておったわけでありますけれ
ども、これらについても一方的に破棄をしてくる。こういうふうな形で、私
どもの
立場から申し上げますと、ほんとうに権力的なやり方に変ってきたところに、私
どもの
方針もまた変らざるを得ない、こういうふうな
立場に立っております。この点、非常に短時間で説明できないことを遺憾に思いますけれ
ども、大体第一点は以上です。
それから第二点につきましては、これは、先ほど
長官からも
お話がありましたけれ
ども、団交をしたいと思っておるということでありますが、これこそ私
どもの当面の第一の目標でありまして、
団体交渉を開きたいと思っているわけであります。ところが
国税庁当局は、先般来の
処分をした人間は団交の対象にしないということでありまして、大へん理不尽なことであるわけであります。私
どもは少くとも理論的に、自主的に
組合を結成いたしておりまして、役員を選ぶ自由というものは侵すことのできない私
どもの自由である。そういう自由と権利を持っているわけであります。ところが
国税庁は免官をした人を――なるほど
職員の身分というものは、免官の辞令で消すことができるかもしれませんが、役員の資格あるいは役員という
立場を
国税庁の辞令でもって否認するということは、まことに理不尽なことであります。従いまして、私
どもとしては、常に
団体交渉を開いて
話し合いで解決をしようという態度に出ているわけでありますが、常に
国税庁当局によってその団交が拒否をされ続けておるということであります。これは、私
どもの当面大きな要求になっております。それから私
どもの具体的ないろいろな要求の内容でありますが、これは、昨年御承知のように給与法の改悪が行われましたけれ
ども、私
どもの生活は決してよくなっておりません。一例を申し上げますと、月給日に五千円札一枚しか入っておらないという
職員の数も相当数に上るような状態です。それから最も私
どもが憤慨をいたしておりますのは、やり方が非常に競争心をあおるというやり方でやって参りまして、賃金制度の上でも競争心をあおる。このことは、そのまま徴税競争にかり立てるといいますか、税取り競争にかり立てるといいますか、そういう政策の現われであるわけでありまして、私
どもは、そういう競争心をあおるというやり方はやめてもらいまして、生活も
一つ豊かにしてもらうということを要求しております。それから労働の条件でありますけれ
ども、これは一言で申し上げますと、
国税庁のやり方は、ほんとうに点数競争にかり立てる、みんなを競争させるという一点に集中されておるわけです。あらゆることに点数をつける、A、B、Cをつける、そういう形で、その成績のいい者は昇給をさせたりあるいは昇格をさせる。あるいは
国税庁とか大きな
税務署に転勤をさせる、こういうような形で、反対に成績が悪いと目された者は、妻子を置いて二重生活をせざるを得ないようなへんぴな地に一片の辞令で転勤をさせる、こういうようなことで、非常に成績競争にかり立てて徴税強化を行うというような
方針になっておりまして、私
どもは、私
どもの労働の条件をよくするために、そういう競争心をあおるようなやり方はやめてもらいたい。このことは、またほんとうに
税務行政が
納税者のものになるといいますか、
納税者のために行われるということに欠くことのできないことだと思いますが、そういう点が二点。
それから第三点は、私
どもの
組合活動の自由に対して、最近非常に露骨なやり方をしてきております。その例は、先ほ
どもちょっと申し上げましたが、従来慣行として認められておりました
組合活動の自由と権利に対しまして、これを非常に排撃をするという形であります。一例を申し上げますと、最近熊本局の局長が全部の
税務署を回って
組合の誹謗、中傷の演説を二時間も三時間もぶって歩くということで
組合をこわす、こういうふうなつぶしてしまうというようなやり方をいたしております。それからまた職場の中におきまして、
税務署長やあるいは課長、係長に命令をいたしまして、――課長、係長は
組合員でありますけれ
ども、これらの
人たちまでも動員をして、
組合の破壊工作とデマ、宣伝を非常にやっておるというところに、私
どもの非常に遺憾とするような
事態になっておるわけであります。そういう一切の不当干渉、妨害と申しましょうか、これを
一つやめてもらいたい。
組合活動の自由というものはもちろん、従来も認めておりましたような既得権もこれは認めてもらわなくちゃなりませんし、これはたとい
税務署に働いておる事務労働者でありましても、当然労働者としての権利というものは認められていいものではないか、こういう観点から要求をいたしておるわけです。
なお長後に申し上げますが、私
どもの
税務器の
職員の
組合活動も、もちろん私
どもの生活をよくいたしたい、もっと労働の条件をよくいたしたい、こういう観点から
運動をいたしておりますが、そのことは、またひっきょうするに
納税者国民の権利が尊重され、
税務行政の確立ということになくてはならない、あるいはそういうことに向っておる
運動だというふうに理解をいたしておりまして、私
どもの権利がほんとうに守られる、生活が保障されるということは、
税務行政というものがほんとうに国民のものになる大前提ではないか、こういうふうに考えております。
それから最後につけ加えたいのでありますが、非常に
国税庁の競争心をあおるという政策の現われが、ごく最近大宮の
税務署に起ったわけでありますが、これは、よく現在中小企業に特に問題になっております所得税の問題をめぐりまして、
国税局から
税務署に出張した係官が、要するに所得した金額をふやせ、言葉をかえて申しますと、この税額をよけいにふやせということで、税金をふやせないような
職員だったら寝ていた方がいいじゃないか、そんな者はやめてしまえということで、いわゆる伸びでしりたたきをしておるという実例もあります。このほかたくさん実例がありますが、このように、私
どもを非常に競争にかり立てて徴税を強化するという今の政策の
もとで、私
どもの
運動が正しく、
税務行政のほんとうの
意味の民主化ということで、ささやかながら続けておる、こういう状況です。
若干長くなりましたけれ
ども、以上でございます。